JPH1179971A - 抗老化剤 - Google Patents

抗老化剤

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JPH1179971A JP9254300A JP25430097A JPH1179971A JP H1179971 A JPH1179971 A JP H1179971A JP 9254300 A JP9254300 A JP 9254300A JP 25430097 A JP25430097 A JP 25430097A JP H1179971 A JPH1179971 A JP H1179971A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膚の老化に大きな影響を与えるマトリック
スメタロプロテアーゼ(MMP1)の活性を阻害して皮
膚の老化を防止することのできる抗老化剤を提供する。 【解決手段】 イブキジャコウソウ(学名:Thymus ser
pyllum L.)の抽出物を有効成分として配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗老化剤に関し、
さらに詳しくは、皮膚の老化に大きな影響を与えるマト
リックスメタロプロテアーゼ(MMP1)の活性を阻害
して皮膚の老化を防止することのできる抗老化剤に関す
る。本発明の抗老化剤は、基礎化粧品をはじめ、メイク
アップ化粧品、頭髪用化粧品、浴剤などに好適に使用し
うるものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】皮膚
の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、
弾力性の低下等に、従来より紫外線が大きく関与してい
ることが知られている。これらの変化をミクロ的に見れ
ば、コラーゲン、エラスチン等の真皮マトリックス成分
の減少、変性が起こっている。近年研究が進み、この変
化を誘導する因子として、特にマトリックス系プロテア
ーゼの関与が指摘されてきている。マトリックス系プロ
テアーゼの中でも、MMP1は、皮膚の真皮マトリック
スの主な構成成分であるタイプI IIIコラーゲンを分解
する酵素として知られるが、その発現は紫外線の照射に
より大きく増加し、紫外線によるコラーゲンの減少変性
の原因の一つとなり、皮膚のシワの形成等の大きな要因
の一つであると考えられる。このようにMMP1活性の
阻害はコラーゲンを保護し、皮膚の老化を防ぐうえで重
要である。ところが、従来の抗老化薬剤には、線維芽細
胞を活性化し、コラーゲンの産生量を増加させる機序を
持ったものは多く認められるが、MMP1活性の阻害に
着目したものは存在していない。そこで、我々は、より
効果的な抗老化薬剤の開発をめざして、MMP1の阻害
作用を有する抗老化剤の開発を行った。したがって、本
発明の目的は、皮膚の老化の予防や改善作用に優れ、か
つ安全性の高い抗老化剤を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、こ
れらの問題を解決するため、広く種々の物質についてM
MP1活性阻害に基づく抗老化作用を検討した結果、イ
ブキジャコウソウ(学名:Thymus serpyllum L.)の抽
出物が優れたMMP1活性阻害性を有していることを見
出し、本発明を完成した。
【0004】すなわち本発明は、イブキジャコウソウ
(学名:Thymus serpyllum L.)の抽出物を有効成分と
して配合することを特徴とする抗老化剤である。
【0005】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明に用いられるイブキジャコウソウ(学名:Thymus s
erpyllum L.)は、シソ科タイム属に属する植物であ
る。イブキジャコウソウの抽出物がMMP1活性阻害に
基づく抗老化作用を有していることは今まで知られてお
らず、今回本発明者らがはじめて見い出したものであ
る。
【0006】本発明に用いられるイブキジャコウソウの
抽出物は、植物全草を抽出溶媒と共に浸漬または加熱還
流した後、濾過し、濃縮して得られる。本発明に用いら
れる抽出溶媒は、通常抽出に用いられる溶媒であれば何
でもよく、特にメタノール、エタノール等のアルコール
類、含水アルコール類、アセトン、酢酸エチルエステ
ル、1,3−ブチレングリコール等の有機溶媒を単独あ
るいは組み合わせて用いることができる。
【0007】本発明の抗老化剤は老化防止用化粧料とし
て用いることを好適とし、その場合のイブキジャコウソ
ウの抽出物の配合量は、外用剤全量中、乾燥物として
0.0001〜20.0重量%、好ましくは0.001
〜10.0重量%である。0.0001重量%未満であ
ると、本発明でいう効果が十分に発揮されず、20.0
重量%を超えると製剤化が難しいので好ましくない。ま
た、10.0重量%以上配合してもさほど大きな効果の
向上はみられない。
【0008】また、本発明の抗老化剤には、上記必須成
分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いら
れる成分、例えば、美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性
成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール
類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等
を必要に応じて適宜配合することができる。
【0009】その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸
三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリ
ウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖
剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム
酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリ
ンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロー
ル、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等
の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウ
ム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸
等の他の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノー
ス、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合する
ことができる。
【0010】本発明の抗老化剤は、例えば軟膏、クリー
ム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外
用剤に用いるものであればいずれでもよく、剤型は特に
問わない。
【0011】
【実施例】次に実施例によって本発明をさらに詳細に説
明する。なお、本発明はこれにより限定されるものでは
ない。配合量は重量%である。実施例に先立ち、本発明
の植物抽出物のMMP1活性阻害効果に関する試験方法
とその結果について説明する。
【0012】1.試料の調製 (1) イブキジャコウソウ抽出液 イブキジャコウソウの全草50gを、室温で1週間エタ
ノールに浸漬し、抽出液を濃縮し、エタノール抽出物
1.5gを得た。この抽出物をDMSOに2%溶かし、
この溶液を希釈して濃度を調整し、これを用いて以下の
実験を行った。
【0013】2.試験方法およびその結果 MMP1活性阻害効果の測定 被験物質をジメチルスルホキシドに溶解し、2重量%溶
液とし、測定用緩衝液(0.4M NaCl,10mM
CaCl2を含むpH7.4の0.1Mトリス)で50
倍又は500倍に希釈した。MMP1(酵素)としては
ヒト由来細胞より抽出したもの(ヤガイ製)を用い、基
質としてはフルオレッセンイソチアネートで標識された
I型コラーゲン(ヤガイ製)を用いた。被験物質を含む
希釈液50μlと一定量の酵素(0.3unit〜0.
5unit/ml)を含んだ酵素溶液100μl、そし
て基質溶液(1mg/ml)50μlを合わせ、一定時
間(2〜4時間)37℃でインキュベートした後、エタ
ノール溶液を加えることにより、未反応のコラーゲンを
沈殿させ、上清に残った分解したコラーゲンの蛍光強度
を測定し、I型コラーゲンの分解率を求めた。被験物質
を含んでいない反応系でのコラーゲン分解率に対する、
被験物質を含んだ系での分解率の割合より、被験物質の
活性阻害率を測定した(酵素1unitは1分間に1μ
gのコラーゲンを分解する酵素量)。その結果を表1に
示す。また参考例として、MMP阻害作用がよく知られ
ている物質であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)
についても、上記と同様の試験を行った。その結果を併
せて表1に記す。
【0014】
【表1】 ───────────────────────────── 試料 濃度(%) MMP1阻害率(%) ───────────────────────────── イブキジャコウソウエキス 0.001 45 イブキジャコウソウエキス 0.01 100 ───────────────────────────── EDTA 0.005 0 EDTA 0.05 89 ─────────────────────────────
【0015】表1より明らかなように、イブキジャコウ
ソウ抽出物のMMP1阻害効果は、EDTAのMMP1
阻害効果より強いものであった。以下に、種々の剤型の
本発明による抗老化剤の処方例を実施例として説明す
る。
【0016】 実施例1 クリーム (処方) ステアリン酸 5.0 重量% ステアリルアルコール 4.0 イソプロピルミリステート 18.0 グリセリンモノステアリン酸エステル 3.0 プロピレングリコール 10.0 イブキジャコウソウ 1,3-ブチレングリコール50%水溶液抽出物 0.01 苛性カリ 0.2 亜硫酸水素ナトリウム 0.01 防腐剤 適量 香料 適量 イオン交換水 残余 (製法)イオン交換水にプロピレングリコールとイブキ
ジャコウソウ1,3-ブチレングリコール50%水溶液抽出物
と苛性カリを加え溶解し、加熱して70℃に保つ(水
相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油
相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってから
しばらくその温度に保ち反応を起こさせる。その後、ホ
モミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃
まで冷却する。
【0017】 実施例2 クリーム (処方) ステアリン酸 2.0 重量% ステアリルアルコール 7.0 水添ラノリン 2.0 スクワラン 5.0 2−オクチルドデシルアルコール 6.0 ポリオキシエチレン(25モル) セチルアルコールエーテル 3.0 グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0 プロピレングリコール 5.0 イブキジャコウソウエタノール抽出物 0.05 亜硫酸水素ナトリウム 0.03 エチルパラベン 0.3 香料 適量 イオン交換水 残余 (製法)イオン交換水にプロピレングリコールを加え、
加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱
融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備
乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくか
きまぜながら30℃まで冷却する。
【0018】実施例3 クリーム (処方) 固形パラフィン 5.0 重量% ミツロウ 10.0 ワセリン 15.0 流動パラフィン 41.0 グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0 ポリオキシエチレン(20モル) ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0 石けん粉末 0.1 硼砂 0.2 イブキジャコウソウアセトン抽出物 0.05 イブキジャコウソウエタノール抽出物 0.05 亜硫酸水素ナトリウム 0.03 エチルパラベン 0.3 香料 適量 イオン交換水 残余 (製法)イオン交換水に石けん粉末と硼砂を加え、加熱
溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱
融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜ
ながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサ
ーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃ま
で冷却する。
【0019】 実施例4 乳液 (処方) ステアリン酸 2.5 重量% セチルアルコール 1.5 ワセリン 5.0 流動パラフィン 10.0 ポリオキシエチレン(10モル) モノオレイン酸エステル 2.0 ポリエチレングリコール1500 3.0 トリエタノールアミン 1.0 カルボキシビニルポリマー 0.05 (商品名:カーボポール941,B.F.Goodrich Chemical company) イブキジャコウソウ酢酸エチルエステル抽出物 0.01 亜硫酸水素ナトリウム 0.01 エチルパラベン 0.3 香料 適量 イオン交換水 残余 (製法)少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマ
ーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチ
レングリコール1500とトリエタノールアミンを加
え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混
合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を
加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一乳
化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0020】実施例5 乳液 (処方) マイクロクリスタリンワックス 1.0 重量% 密ロウ 2.0 ラノリン 20.0 流動パラフィン 10.0 スクワラン 5.0 ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0 ポリオキシエチレン(20モル) ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0 プロピレングリコール 7.0 イブキジャコウソウアセトン抽出物 10.0 亜硫酸水素ナトリウム 0.01 エチルパラベン 0.3 香料 適量 イオン交換水 残余 (製法)イオン交換水にプロピレングリコールを加え、
加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加
熱融解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜなが
らこれに水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化
する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0021】 実施例6 ゼリー (処方) 95%エチルアルコール 10.0 重量% ジプロピレングリコール 15.0 ポリオキシエチレン(50モル) オレイルアルコールエーテル 2.0 カルボキシビニルポリマー 1.0 (商品名:カーボポール940,B.F.Goodrich Chemical company) 苛性ソーダ 0.15 L−アルギニン 0.1 イブキジャコウソウ 50%エタノール水溶液抽出物 7.0 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン スルホン酸ナトリウム 0.05 エチレンジアミンテトラアセテート・ 3ナトリウム・2水 0.05 メチルパラベン 0.2 香料 適量 イオン交換水 残余 (製法)イオン交換水にカーボポール940を均一に溶
解し、一方、95%エタノールにイブキジャコウソウ5
0%エタノール水溶液抽出物、ポリオキシエチレン(5
0モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に
添加する。次いで、その他の成分を加えたのち苛性ソー
ダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0022】 実施例7 美容液 (処方) (A相) エチルアルコール(95%) 10.0 重量% ポリオキシエチレン(20モル) オクチルドデカノール 1.0 パントテニールエチルエーテル 0.1 イブキジャコウソウメタノール抽出物 1.5 メチルパラベン 0.15 (B相) 水酸化カリウム 0.1 (C相) グリセリン 5.0 ジプロピレングリコール 10.0 亜硫酸水素ナトリウム 0.03 カルボキシビニルポリマー 0.2 (商品名:カーボポール940,B.F.Goodrich Chemical company) 精製水 残余 (製法)A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA
相を加えて可溶化する。次いでB相を加えたのち充填を
行う。
【0023】 実施例8 パック (処方) (A相) ジプロピレングリコール 5.0 重量% ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油 5.0 (B相) イブキジャコウソウメタノール抽出物 0.01 オリーブ油 5.0 酢酸トコフェロール 0.2 エチルパラベン 0.2 香料 0.2 (C相) 亜硫酸水素ナトリウム 0.03 ポリビニルアルコール 13.0 (ケン化度90、重合度2,000) エタノール 7.0 精製水 残余 (製法)A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A
相にB相を加えて可溶化する。次いでこれをC相に加え
たのち充填を行う。
【0024】実施例9 固形ファンデーション (処方) タルク 43.1 重量% カオリン 15.0 セリサイト 10.0 亜鉛華 7.0 二酸化チタン 3.8 黄色酸化鉄 2.9 黒色酸化鉄 0.2 スクワラン 8.0 イソステアリン酸 4.0 モノオレイン酸POEソルビタン 3.0 オクタン酸イソセチル 2.0 イブキジャコウソウエタノール抽出物 1.0 防腐剤 適量 香料 適量 (製法)タルク〜黒色酸化鉄の粉末成分をブレンダーで
十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチル
の油性成分、イブキジャコウソウエタノール抽出物、防
腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型す
る。
【0025】 実施例10 乳化型ファンデーション(クリームタイプ) (処方) (粉体部) 二酸化チタン 10.3 重量% セリサイト 5.4 カオリン 3.0 黄色酸化鉄 0.8 ベンガラ 0.3 黒色酸化鉄 0.2 (油相) デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5 流動パラフィン 4.5 ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0 (水相) 精製水 50.0 1,3−ブチレングルコール 4.5 イブキジャコウソウエタノール抽出物 1.5 ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0 防腐剤 適量 香料 適量 (製法)水相を加熱攪拌後、十分に混合粉砕した粉体部
を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油
相を加えてホモミキサー処理した後、攪拌しながら香料
を添加して室温まで冷却する。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の抗老化剤
は、優れたMMP1活性阻害効果を有しており、MMP
1によるコラーゲンの分解を防止して、弾力のある、シ
ワやたるみのない皮膚を維持することができ、皮膚の老
化を防止し、若々しい肌の状態を維持することのできる
ものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イブキジャコウソウ(学名:Thymus ser
    pyllum L.)の抽出物を有効成分として配合することを
    特徴とする抗老化剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の有効成分を配合したこと
    を特徴とする老化防止用化粧料。
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