JP2000133186A - ガス雰囲気試料ホルダ - Google Patents

ガス雰囲気試料ホルダ

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JP2000133186A JP10305972A JP30597298A JP2000133186A JP 2000133186 A JP2000133186 A JP 2000133186A JP 10305972 A JP10305972 A JP 10305972A JP 30597298 A JP30597298 A JP 30597298A JP 2000133186 A JP2000133186 A JP 2000133186A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスの雰囲気に試料を浸漬した状態で収容セ
ットされるガス雰囲気試料室を有する電子顕微鏡用の試
料ホルダを提供すること。 【解決手段】フレームと、このフレームに支持された電
子線が通過する通路が設けられたブロックと、複数の電
子線透過小穴及び該小穴をふさぐ薄膜を有し、前記ブロ
ックの電子線通路に間隔を開けて固定される2枚のグリ
ッドとを備え、該ブロックの電子線通路は、前記2枚の
グリットによって挟まれたガス雰囲気試料室と、各グリ
ッドの上側及び下側の2つのガス溜室とに区画され、前
記ブロックには前記ガス雰囲気試料室に対してガスを供
給、排気するための通路と、前記二つのガス溜室からガ
スを排気するための通路とが設けられていることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡等に用
いられ、内部が隔離によって鏡筒内部の真空から遮断さ
れるとともにこの内部に充満したガスの雰囲気に試料を
浸漬した状態で収容セットされるガス雰囲気試料室を有
する試料ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子顕微鏡による観察は高真空
中で行われるため、生物試料等では乾燥してしまい、生
のままの状態では観察はできない。しかしながら、特殊
な構造の試料ホルダを使用することにより、そのような
観察が可能である。その一例としてガス雰囲気試料ホル
ダを用いた透過型電子顕微鏡の一例を図3に示す。図
中、1は電子顕微鏡、2は内部が真空に保持される鏡
筒、3は電子ビームを放出する電子銃、5は照射系レン
ズ、6は照射系の絞り、7は観察しようとする試料、8
は試料ホルダ、9は試料ホルダの一部で試料を収容する
ブロック、10は試料ホルダ8を介し試料7の位置を調
整するためのゴニオメータ、11はガス環境調節装置、
12は対物レンズ、13は結像系絞り、14は結像系レ
ンズ、15は蛍光面、16は観察窓である。
【0003】このような電子顕微鏡1においては、電子
銃3から放出された電子ビーム4は、照射系レンズ5と
照射系絞り6によって集束され試料7に当てられる。試
料7に当たった電子ビーム4は試料7を透過し、また散
乱するが、これらの電子ビーム4が対物レンズ12およ
び結像系絞り13を通過し、更に結像系レンズ14によ
って蛍光面15に拡大された像として結ばれる。この蛍
光面15上の結像を観察窓16を通して観察する。
【0004】この電子顕微鏡1により、含水試料を観察
したり、試料とガスとを反応させた状態で試料7を観察
したりする場合、従来は、ブロック9の試料7を収容セ
ットする室を、隔膜により鏡筒2内の真空から遮断する
とともにガスを充満させた隔膜型ガス雰囲気試料室とし
て形成し、この隔膜型ガス雰囲気試料室に導入されたウ
エットガスにより試料7の乾燥を防止し、あるいは隔膜
型ガス雰囲気試料室に導入されたガスと試料7とを反応
させるようにしている。
【0005】図4は、このような隔膜型ガス雰囲気試料
室を有するブロック9を備えた試料ホルダを示す平面
図、図5は図4におけるVI−VI線に沿う断面図であ
る。図4に示すように、試料ホルダ8のブロック9はフ
レーム17に固定されており、このブロック9に金属管
からなるガス供給側管18およびガス排出側管19が接
続されている。
【0006】図5に示すように、ブロック9内には隔膜
型ガス雰囲気試料室20が形成されているとともに、ブ
ロック9の上下板の中央には、上下に貫通し電子ビーム
4が通過する窓21,22が形成されている。またこれ
らの窓21,22を内側から覆うようにしてフイルム状
の隔膜23,24が設けられている。そして、下側の隔
膜24の上に、試料7がセットされている。更に、ガス
供給側管18とガス排出側管19とが隔膜型ガス雰囲気
試料室20内に連通しており、したがってガス供給側管
18から供給されたガスGが隔膜型ガス雰囲気試料室2
0内を充満した後、ガス排出側管19から排出される。
これにより、隔膜型ガス雰囲気試料室20の試料7は、
充満したガスGに曝さるようになる。含水状態にある試
料7を観察する場合には、ガス環境調整装置11を操作
することによりガス供給側管18を通してウエットガス
Gを隔膜型ガス雰囲気試料室20内に導入してこのウエ
ットガスGに試料7を曝して含水試料7の乾燥を防止す
る。また、試料7を反応ガスGと反応させた状態で観察
する場合には、反応ガスGを隔膜型ガス雰囲気試料室2
0に導入してこの反応ガスGと試料7とを反応させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
隔膜型ガス雰囲気試料室20では、隔膜23,24が重
要な役目を持ち、この性能が装置の要となる。隔膜2
3,24は鏡筒真空と隔膜型ガス雰囲気試料室20とを
隔てるための役目と共に、電子ビーム4を通過させる窓
としての役目を併せ持つことが要求される。隔膜型ガス
雰囲気試料室20内のガス圧力に耐える丈夫な膜とする
には、膜厚を十分に厚くすればよいが、それでは電子ビ
ーム4の透過性が損なわれる。一方、電子ビーム4の透
過性を優先的に考えると膜厚は薄い程よいが、耐圧性が
悪くなってしまう。このように、隔膜23,24には相
反する二つの要求を満たすことが求められる。そのため
に隔膜の材料や構造を工夫してできるだけ薄くて丈夫な
膜が作られて使用されている。しかしながら、上記のよ
うな制約があるため、十分に安心して長時間使用できる
隔膜23,24を作成することは困難であり、観察中に
隔膜23,24が破損する可能性は高く、そのような事
態になった場合には観察を中止する他は無かった。
【0008】本発明は、上記した問題点を解決すべく成
されたものであり、観察中に万が一隔膜23,24が破
損しても観察を中断することなく、ガス雰囲気試料とし
ての機能を保った状態で観察を継続することができるガ
ス雰囲気試料ホルダを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明は、フレームと、このフレームに支持された電
子線が通過する通路が設けられたブロックと、複数の電
子線透過小穴及び該小穴をふさぐ薄膜を有し、前記ブロ
ックの電子線通路に間隔を開けて固定される2枚のグリ
ッドとを備え、該ブロックの電子線通路は、前記2枚の
グリットによって挟まれたガス雰囲気試料室と、各グリ
ッドの上側及び下側の2つのガス溜室とに区画され、前
記ブロックには前記ガス雰囲気試料室に対してガスを供
給、排気するための通路と、前記二つのガス溜室からガ
スを排気するための通路とが設けられていることを特徴
とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して 本発明の
実施の形態を詳細に説明する。
【0011】図1は本発明にかかわるガス雰囲気試料ホ
ルダの一実施例を部分的に示す、図4と同様の図であ
り、図2aは図1におけるV−V線に沿う断面図であ
る。図2bはX−X線に沿う断面図である。なお、前述
の図4,5に示す従来の試料ホルダと同じ構成要素には
同じ符号を付けることにより、その詳細な説明は省略す
る。図中、ブロック9には、特殊グリッド31、32と
スペーサ33によって挟まれたガス雰囲気試料室Aと、
上側の特殊グリッド31とキャップ34の間及び下側の
特殊グリッド32とブロック9間にガス溜室B,Cが設
けられている。35は固定ネジ、36は排気管、37,
38,39,40,41、42はOリングである。
【0012】ブロック9はフレーム17に固定されてい
る。ブロック9の側面には、ガスGを導入するための通
路9eとガスGを排出するための穴9fが形成され、ま
た、ガス溜室B,CにガスGが流出した場合(前記の課
題で記述した)、そのガスを排気するための通路9gが
設けられている。
【0013】ブロック9の側面の通路9eと9fには金
属管からなるガス供給側管18およびガス排出側管19
が接続されている。また、ブロック9の側面の通路9g
には金属管からなる排気管36が接続されている。これ
らの各管とブロック9間は、Oリング,37,38、3
9によってシールされる。図1において、ガス供給側管
18およびガス排出側管19の右端はガス環境調節装置
11(図示せず、図3参照)に接続されている。
【0014】ブロック9の中央の底部には電子ビームが
通過するための穴9aが形成され、その穴9aの上部に
ガス溜室Cを設けるため円筒部9bが形成され、更に、
その上部にガス雰囲気試料室Aを設けるための円筒部9
cが形成されいる。
【0015】一方、2つの特殊グリッド31、32は、
金属の円形薄板で作成され、その中央部に、例えば、大
きさが0.2mmΦの穴が7個密接してグリッド状に開
けられおり、そして、7個の穴の範囲を十分にカバー出
来る広さを覆うように隔膜23、24が貼りつけられて
いる。
【0016】図2bに示すように、ブロック9の円筒部
9cには、2つの特殊グリッド31と32を薄膜23,
24が対向する向きで、その間にスペーサ33を挟む形
状で格納し、特殊グリッド31、32とスペーサ33お
よびブロック9の円筒部9cとによる空間にガス雰囲気
試料室Aが形成される。なお、ブロック9の円筒部9c
には、単に特殊グリッド31と32を格納することによ
り、特殊グリッド31、32の7個の穴の上下位置が一
致するように案内溝(図示せず)が施されている。ガス
雰囲気試料室Aには試料7が薄膜24上に置かれる。キ
ャップ34はガス雰囲気試料室Aを固定するためのキャ
ップで、固定ネジ35によってブロック9にネジ止めす
る。このガス雰囲気試料室Aの気密は、Oリング40,
41,42を用いることにより保たれる。
【0017】キャップ34は中央に電子ビーム4が通過
するための穴34aが形成され、その穴34aの下部に
ガス溜室Bを設けるための円筒部34bが形成されてい
る。ガス溜室Bはキャップ34の円筒部34bと特殊グ
リッド31間において構成され、キャップ34の通路3
4cとブロック9の通路9gを通して排気管36に接続
されている。もう一方のガス溜室Cはブロック9の円筒
部9bと特殊グリッド32間において構成され、ブロッ
ク9の通路9gをとおして排気管36に接続されてい
る。排気管36の右端はガス環境調節装置11内の真空
ポンプに接続されている。このような構成の動作につい
て次に説明する。
【0018】本発明においては、基本的に従来装置と同
様にガス雰囲気試料室AにガスGを充満させて用いる。
図2aに示すように、ガス供給管18とガス排出管19
はガス雰囲気試料室A内に連通しており、ガス供給管1
8から供給されたガスGはガス雰囲気試料室Aに充満し
た後、ガス排出管19から排出される。ガス雰囲気試料
室Aの試料7は、充満したガスGに曝される。隔膜2
3,24が特殊グリッド31,32の気密性を保持して
いる限り、ガスGは、従来と同様にガス環境調節装置1
1によって送り出された量が全て回収されるように制御
されることにより、ガス雰囲気試料室Aの外側(ガス溜
室B,Cおよび鏡筒部)の真空度は高真空に保持されて
いる。
【0019】次に、本発明の隔膜23、24が破損した
場合の作動機能について図2bを参照に説明する。例え
ば、図2において、隔膜23が何らかの要因によって破
損した場合、ガス雰囲気試料室AのガスGは、隔膜23
の破損ヶ所を通してガス溜室Bに拡散される。ガス溜室
Bに拡散されたガスGは、キャップ34の通路34cと
ブロック9の通路9gをとおして排気管36より排気さ
れる分と、キャップ34の電子ビーム通過用の穴34a
をとおして鏡筒部に拡散される分とに分かれる。この隔
膜23の破損した状態において、観察を継続するには、
試料の状態を保持できる雰囲気ガスG圧力が保てるこ
と、また、ガス雰囲気試料室Aの外側(ガス溜室B,お
よび鏡筒部)の光軸の真空度が電子ビーム照射に必要な
真空度が保てることが要求される。これらを達成するた
めに、本発明では、隔膜23の破損ヶ所を通してガス溜
室Bに拡散されるガスGの量を抑えることと、ガス溜室
Bに拡散されたガスGを排気管36を通してできるだけ
多く排気する機能を備えることを特徴としている。
【0020】まず、ガス溜室Bに拡散されるガスG量Q
は、特殊グリッド31,の0.2mmΦの穴のコンダク
タンスCgとガス雰囲気試料室AのガスGの圧力P1と
ガス溜室Bの圧力P2との差によって、Q=Cg・(P
1−P2)決まり、通常はP1>P2より、Q=Cg・
P1となる。一方、従来の図4に示す隔膜型ガス雰囲気
試料室の隔膜23が破損した時のガスGの拡散量Q’
は、Q’=Cb・P1となる。Cbはブロック9の窓2
1のコンダクタンスで、窓21は通常1mmΦの穴が用
いられている。
【0021】この結果、図2の本実施例のガスGの拡散
量は、図4の従来例に比べてると、Q/Q’=Cg/C
bとなり、コンダクタンスに比例した分少なく抑えるこ
とができる。厚みが薄い穴のコンダクタンスは、概略穴
の面積に比例することにより、Cg/Cb=0.22
2 =0.04となり約25分の1と少なく抑えること
ができる。
【0022】次に、このように、従来に比べて少なく抑
えられた、ガス溜室Bに拡散されるガスGは、キャップ
34の通路34cとブロック9の通路9gを通して排気
管36からほとんどが排気され、鏡筒内の真空に影響を
及ぼすことが少ない。また、ガス雰囲気試料室Aの下側
の隔膜24が破損した場合も同様に、ガス溜室Cには従
来に比べて少ないガスGが拡散され、ガス溜室Cのガス
Gはブロック9の通路9gを通して排気管36から排気
される。
【0023】従って、本発明においては、ガス雰囲気試
料室Aの薄膜23,24が破損しても、特殊グリッド3
1,32の複数の小さな穴によってガスGの拡散が抑え
られ、更に、拡散されたガスGはガス溜室B、Cにおい
て排気機能により排気される。この結果、試料はガス雰
囲気が保たれ、また、ガス雰囲気試料室Aの周囲の真空
度が保たれることにより観察が継続することができる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記
に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、特殊グリッドの中央に明ける穴の形状は、円で
なく四角でもよく、また、穴の大きさおよび穴の数はコ
ンダクタンスがゆるせる範囲であれば制約をされない。
更に、ガス供給管18、ガス排気管19および排気管3
6は、単独の金属管によって用いられているが、ガス供
給管(ガス排気管)の外側に排気管を設けた構造の2重
管方式を用いることもできる。
【0024】
【発明の効果】以上の説明からあきらかなように、本発
明においては、フレームと、このフレームに支持された
電子線が通過する通路が設けられたブロックと、複数の
電子線透過小穴及び該小穴をふさぐ薄膜を有し、前記ブ
ロックの電子線通路に間隔を開けて固定される2枚のグ
リッドとを備え、該ブロックの電子線通路は、前記2枚
のグリットによって挟まれたガス雰囲気試料室と、各グ
リッドの上側及び下側の2つのガス溜室とに区画され、
前記ブロックには前記ガス雰囲気試料室に対してガスを
供給、排気するための通路と、前記二つのガス溜室から
ガスを排気するための通路とが設けられている。その結
果、ガス雰囲気試料室の薄膜が破損しても、グリッドの
複数の小さな穴によってガスの拡散が抑えられ、更に、
拡散されたガスはガス溜室において排気機能により排気
される。それにより、試料はガス雰囲気が保たれ、ま
た、ガス雰囲気試料室Aの周囲の真空度が保たれること
により観察を中断せずに継続することができるようにな
った。
【0025】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるガス雰囲気試料室の一実施例を
部分的に示す図である。
【図2】図1における断面図を示し、a)はV−V線に
沿う断面図、b)はX−X線に沿う断面図である。
【図3】従来の電子顕微鏡の一例を概略的に示す断面図
である。
【図4】従来の隔膜型ガス雰囲気試料室の一実施例を部
分的に示す図である。
【図5】図4おけるVI−VI線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1…電子顕微鏡、2…鏡筒、3…電子銃、4…電子ビー
ム、5…照射系レンズ、6…照射系絞り、7…試料、8
…試料ホルダ装置、9…ブロック、10…ゴニオメー
タ、11…ガス環境調整装置、12…対物レンズ、13
…結像系絞り、14…結像系レンズ、15…蛍光面、1
6…観察窓、17…フレーム、18…ガス供給側管、1
9…ガス排出側管、20…隔膜型ガス雰囲気試料室、2
1、22…窓、23、24…隔膜、31、32…特殊グ
リッド、33…スペーサ、34…キャップ、35…固定
ネジ、36…排気管、37,38,39,40,41,
42…Oーリング、A…ガス雰囲気試料室、B,C…ガ
ス溜室、

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フレームと、このフレームに支持された電
    子線が通過する通路が設けられたブロックと、複数の電
    子線透過小穴及び該小穴をふさぐ薄膜を有し、前記ブロ
    ックの電子線通路に間隔を開けて固定される2枚のグリ
    ッドとを備え、該ブロックの電子線通路は、前記2枚の
    グリットによって挟まれたガス雰囲気試料室と、各グリ
    ッドの上側及び下側の2つのガス溜室とに区画され、前
    記ブロックには前記ガス雰囲気試料室に対してガスを供
    給、排気するための通路と、前記二つのガス溜室からガ
    スを排気するための通路とが設けられていることを特徴
    とするガス雰囲気試料室を有する試料ホルダ。
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