JP3730203B2 - 真空成膜装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばガラス基板等の被成膜体に金属酸化物等の薄膜を多層に成膜して光学フィルター等を製造する真空成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の真空成膜装置としては、例えば特開2002−115052号公報や特開2002−115055号公報に、真空成膜室(真空容器)内において被成膜体を回転させながら表面にイオンアシスト蒸着によって薄膜を形成するとともに、この被成膜体上に形成される薄膜を光学的方法によって測定するものが提案されている。すなわち、これらの装置においては、真空隔壁によって内外が仕切られて真空ポンプにより内部を高真空に維持できるようにされた上記真空成膜室の内部底面にイオン銃および蒸着装置が設けられるとともに、真空成膜室の上部中央の外側にはモータが設置され、このモータの回転軸が真空成膜室内に真空シールしながら真空隔壁を貫通して延長され、その先端部に被成膜体としてガラス基板が保持されて回転できるようにされている。また、この真空成膜室内には、受光レンズが上記真空隔壁に支持されてガラス基板上に配設されており、光源から上記ガラス基板に照射光を照射してその透過光を上記受光レンズにより受光し、その強度が膜厚に依存して変化することを利用して膜厚を算出するようにされている。なお、このように被成膜体としてのガラス基板の膜厚を直接測定するのに代えて、真空容器内にモニターガラスを配置してその表面に形成された薄膜の膜厚を測定するものも提案されている。また、化合物の蒸着やアシスト蒸着においては、真空成膜室内を所定の圧力に排気した後に特定のガスを真空成膜室内に導入することも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような真空成膜装置においては、成膜を開始するときは勿論、成膜中も真空成膜室内を所定の真空度に制御するため、真空ポンプにより排気が行われる。また、上述のように特定のガスを真空成膜室に導入して成膜を行う場合も、成膜中にはこのガスの圧力を制御するために真空排気が行われている。ところが、上記公報に記載された従来の真空成膜装置では、真空成膜室の上記隔壁に開口させられて真空ポンプに連通させられる排気口が該隔壁に配置されているだけであり、また真空ポンプとして拡散ポンプを用いた場合にはその高さの制約から排気口は真空成膜室の上側に配置されざるを得ず、このように排気口が隔壁の上下や、あるいは左右の一方に偏って配置されていると、成膜中の真空成膜室からの排気もこの排気口が配置された側に偏ったものとなって排気偏流を生じ、これによって真空成膜室内に圧力のばらつきや、上述のように特定のガスを導入した場合にはそのガス濃度にもばらつきが発生するおそれがあり、その結果、成膜物質の品質が一定にならなくなって、たとえ成膜中に被成膜体を回転させていても、複数の被成膜体同士の間や個々の被成膜体において形成された薄膜の品質が不均一となってしまう。
【0004】
また、上記蒸着装置において化合物よりなる蒸着源から電子ビームガンによって蒸着物質(成膜物質)を発生させて蒸着を行う場合などには、電子ビームの照射によってこの化合物が分解して発生したガスの滞留により蒸着源周辺のガス濃度が高くなることがあるが、そのような場合にこのように排気が偏っていて蒸着源周辺のガス濃度が高いままだと、例えば酸化物を蒸着する場合には蒸着源周辺の酸素濃度が高くなるために電子ビームガンがアーキング等の異常放電を起こして安定した成膜物質の発生を阻害したりフィラメントの寿命の短縮を招いたりするおそれもある。さらに、このように成膜物質を蒸着して薄膜を形成する場合に、上記公報に記載されたようなイオンアシスト蒸着を行うのに代えて、プラズマガンを用いてプラズマアシスト蒸着を行う場合には、やはり蒸着源周辺の圧力が高いと電子銃がアーキング等の異常放電を起こしたり、プラズマの状態が不安定となったりするおそれがある。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、真空容器(真空成膜室)内に排気偏流による圧力、ガス濃度のばらつきが生じるのを防ぐことができ、これによって成膜物質の品質を安定化させて、被成膜体に形成される薄膜も、個々の被成膜体中や被成膜体同士でも均質なものとすることが可能な真空成膜装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、排気ポンプによって減圧させられる真空容器内に収容された被成膜体に、該真空容器内に配設された成膜物質の発生機構によって薄膜を形成する真空成膜装置において、上記真空容器の内部に臨む側壁に、上記排気ポンプに連通させられる複数の排気口を、上下左右に互い違いの配置となるように設けたことを特徴とする。従って、このように構成された真空成膜装置では、例えば排気口が2つ設けられている場合にはこれらが上下左右に互い違いの対角位置に配置されることとなり、またこれより多くの排気口が設けられている場合には上下左右に互い違いの千鳥状あるいは市松模様状の配置をとることとなり、これにより真空容器内の鉛直方向および水平方向に均一な排気が可能となって真空容器内に排気偏流が生じるのを防ぐことができる。このため、かかる排気偏流によって真空容器内に圧力のばらつきや、ガスを導入した場合のガス濃度のばらつきが生じるのを防ぐことができ、これによって成膜物質の品質安定化を図って被成膜体に形成される薄膜の均質化、高品質化を促すことが可能となる。
【0007】
ここで、このように複数の排気口を互い違いの配置に設けるに際して、上記真空容器に、この真空容器に連通する補助排気室をその外側に膨出するように隣設し、上記排気口をこの補助排気室の側壁に設けるようにすれば、この補助排気室において真空容器内から排気口に向かう排気の流れをより均一にすることができて、一層確実な成膜品質の安定化を図ることができる。また、この場合に、上記補助排気室の水平断面を略三角形状とすれば、この三角形の2辺を構成する上記側壁にそれぞれ排気口を配置することができて、これら複数の排気口と真空容器内の空間の中心部との間隔を略等しくすることができるので、成膜が行われるこの中心部において特に圧力やガス濃度等のより一層の均一化を図ることができ、従って被成膜体に形成される薄膜についてもその品質の一層の均一化、安定化を図ることが可能となる。
【0008】
一方、本発明によれば、上述のように排気口が上下左右に互い違いの配置をとることにより真空容器内の均一な排気が可能となって排気偏流が生じるのを防ぐことができるため、上記成膜物質の発生機構が、真空容器内に配設される蒸着源から蒸着物質を成膜物質として発生させて被成膜体に蒸着する真空蒸着機構を備えたものである場合でも、上記蒸着源の周辺でのガス濃度の上昇を防ぐことができ、この真空蒸着機構の電子ビームガンにアーキング等の異常放電が生じたり、またプラズマアシスト蒸着を行う場合にプラズマの状態が不安定となったりするのを防ぐことができる。また、特にこのような場合においては、こうして上下左右に互い違い配置された複数の排気口のうち、下側に配置される排気口の下縁の鉛直方向の位置を、上記成膜物質の発生機構の鉛直方向の位置と略同じ位置か、これよりも低い位置に配設することにより、上述のように酸化物を蒸着源として成膜物質を蒸着する際に、この酸化物が分解して発生した酸素ガスが上記発生機構の電子ビームガンやプラズマガン周辺で滞留するのを防ぐことができ、アーキング等の異常放電による電子ビームガン等のフィラメントの寿命短縮などを一層確実に防止することが可能となる。
【0009】
また、高真空の残留ガスの主成分である水分を除去し、質の良い真空とするために、真空容器の内部に臨む側壁には、該真空容器内の水分を凝集させる凝集機構が備えられるのが望ましい。特に、本発明の真空成膜装置においては、複数の排気口が上述のように上下左右に互い違いに配置されているので、真空容器内に臨む側壁にはこれらの排気口が配置されないスペースが該排気口とは逆の上下左右の互い違いに空けられることとなるので、このスペースにコールドパネルやコールドトラップ等の上記凝集機構を配すれば、主排気口のコンダクタンスを小さくすることなく水分を凝集、除去することが可能となる。さらに、当該真空成膜装置は、被成膜体に薄膜を形成する各種の真空成膜に適用可能であるが、被成膜体が、上記薄膜が形成されて光学フィルターとして用いられるガラス基板等の基板であって、取り分け高い成膜品質や均質な薄膜形成が要求される場合に用いて、効果的である。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1ないし図6は本発明の一実施形態を示すものであって、この実施形態は、被成膜体としてガラス基板に薄膜を形成することにより光学フィルターを製造する真空成膜装置に本発明を適用したものである。本実施形態において真空容器1は、その本体2が、上下の天板2Aおよび底板2Bと両側方の側板2C,2Dとから構成されて正面と背面とが開口させられた外形略直方体状の箱形をなし、かつ内部に形成される空間(チャンバー)は略立方体状をなすようにされたものであり、この本体2の正面側の開口部にはヒンジによって横開きに開閉可能に扉3が取り付けられるとともに、背面側には補助排気室4を介して真空排気ポンプ5が取り付けられていて、扉3を閉じて排気ポンプ5を駆動することにより、本体2内の上記空間が補助排気室4を介して真空排気されて高真空に維持されるようになされている。
【0011】
ここで、上記真空容器1は、その上記本体2と扉3とが、例えばJIS H 4000におけるA5052等のアルミニウム合金によって形成されており、上記補助排気室4の外壁も同材質で形成されている。さらに、このうち本体2の側板2C,2Dの外側面には、側面視に図2に示すように補強リブ6が取り付けられており、本実施形態ではこの補強リブ6も、本体2等と同じくアルミニウム合金によって形成されるとともに、ボルト止めによって側板2C,2Dに取り付けられている。また、上記扉3にも正面視に図1に示すような井桁状をなすようにアルミニウム合金よりなる補強リブ6がやはりボルト止めされて取り付けられており、さらにこの扉3を閉じた状態で該扉3が密着する本体2の正面側開口部の周縁には真空シールが配設されている。
【0012】
一方、本実施形態の真空成膜装置では、このような真空容器1の外側に、該真空容器1と別体に構成された架構7が配設されている。ここで、本実施形態の架構7は、上記真空容器1が載置される架台8と、こうして架台8上に載置された真空容器1の周囲を取り囲むように配設される枠体9とから構成されており、これら架台8と枠体9とはいずれも、断面方形をなす角形鋼管が溶接あるいはボルト止めされて組み立てられた構造をなしている。このうち、架台8は、上記鋼管が直方体状の枠形をなすように組み立てられており、その上面部分に真空容器1の上記本体2が載置されて取り付けられている。また、この架台8の上面部分の両側部には、載置された本体2の側板2C,2Dよりも外側に突出するようにブラケット8Aが本体2の正面寄りと背面寄りとにそれぞれ設けられており、上記枠体9は、これらのブラケット8A上に立設された角形鋼管よりなる支柱9Aの各上端部が、やはり角形鋼管によって組み立てられた平面視に図4に示すような長方形をなす枠形9Bの各角部に接合された構造とされていて、正面視には図1や図5に示すように、また側面視にも図2に示すように、真空容器1の本体2の上記天板2Aや側板2C,2Dと間隔をあけて下向きに開口した「コ」字状を呈する門型をなすように形成されている。なお、この枠体9の上記枠形9B内には、やはり角形鋼管よりなる補強材9Cが井桁状に組み込まれているとともに、この枠形9B上には、平面視に図4に示す支持板9Dが取り付けられている。
【0013】
また、本実施形態の真空成膜装置においてはさらに、上記真空容器1内に収容された被成膜体を回転させる回転駆動機構10と、上記被成膜体に形成されるべき薄膜の膜厚を測定する膜厚測定機構11と、この薄膜を形成する成膜物質を発生させる成膜物質の発生機構12とが備えられており、本実施形態ではこれらの機構10〜12がいずれも上記架構7によって真空容器1とは独立して支持されている。すなわち、従来の真空成膜装置では、上記公報に記載のようにこれらの機構がいずれも真空容器に直接的に取り付けられていたのに対し、本実施形態では該機構10〜12が真空容器1にはマウントされることなく、この真空容器1と別体に構成された架構7の上記架台8または枠体9あるいはこれらの双方に取り付けられている。
【0014】
ここで、まず上記回転駆動機構10は、真空容器1内に配設されて上記被成膜体を保持する基板ドーム10Aと、この基板ドーム10Aを回転可能に支持する回転駆動軸10Bとを備え、架構7の枠体9の上記支持板9Dによって支持されている。このうち、上記回転駆動軸10Bは中空の円筒状に形成され、この円筒の中心軸線が平面視において真空容器1内の上記空間がなす方形(略正方形)の中心を通るように鉛直に配置されて、その上端部が上記支持板9Dを貫通して上方に突出させられた上で回転可能に支持され、やはりこの支持板9D上に設けられたモータ等の駆動手段10Cにより上記中心軸線回りに回転駆動させられるとともに、下端部は真空容器1の本体2における天板2Aを貫通して真空容器1内に垂下させられている。なお、この回転駆動軸10Bが真空容器1の上記天板2Aを貫通する貫通部には、その外周側に伸縮自在な金属製蛇腹管10Dが天板2A上面と上記支持板9D下面との間に亙って配設されるとともに磁性流体回転シールが封入されていて、真空容器1内の真空状態を維持したまま回転駆動軸10Bが挿通されて回転可能とされている。また、上記基板ドーム10Aは、中央部が円形に開口させられた傘型に形成されて、この傘型の内周面に被成膜体(ガラス基板)が多数取り付けられ、この内周面を下向きにして上記中央部が回転駆動軸10Bの下端に取り付けられることにより、この中央部の円形開口部から円筒状の回転駆動軸10Bの下端内周部を真空容器1内に開口させた状態で該回転駆動軸10Bと同軸かつ一体的に回転させられる。
【0015】
また、上記膜厚測定機構11には、第1に、真空容器1内に配設されるモニターガラス13Aと、このモニターガラス13Aに向けて測定光を照射する光源13Bと、上記測定光を受光する受光部13Cとを有する光学測定機構13が備えられている。このうち、受光部13Cは回転駆動軸10Bの上記上端部上に取り付けられるとともに、モニターガラス13Aは、基板ドーム10A中央部の上記円形開口部内に下向きに配設され、中空とされた回転駆動軸10Bの内周部を通して上記受光部13Cに連結されて上記測定光を光学的に伝達可能とされており、従ってこれらモニターガラス13Aおよび受光部13Cは回転駆動軸10Bと同様に架構7のうち枠体9の上記支持板9Dによって支持されることとなる。一方、真空容器1の本体2の上記底板2Bには上記モニターガラス13Aの直下に図示されない透孔が真空シールされて設けられていて、上記光源13Bは、この透孔に臨むように上記架構7のうち架台8に取り付けられて支持されており、当該光学測定機構13においては、この光源13Bから上向きにレーザ光等の測定光を上記モニターガラス13Aに照射して、成膜時に被成膜体と同時に該モニターガラス13A表面に形成される薄膜を通過したその透過光を上記受光部13Cによって受光することにより、この透過光の強度が膜厚に依存して変化することを利用して成膜中の被成膜体の薄膜の膜厚が測定可能とされている。
【0016】
なお、本実施形態では、上記膜厚測定機構11に、この光学測定機構13の他に、第2の測定機構として水晶式膜厚計14が備えられている。この水晶式膜厚計14は、光学測定機構13の上記受光部13Cと同様に回転駆動軸10Bの上端部上に取り付けられて支持板9Dにより支持されたものであり、回転駆動軸10Bの内周部に臨んで配置された水晶振動子の振動数がその表面に薄膜が形成されることによって変化するのを利用して、時間当たりの膜厚の変化を測定可能とされている。
【0017】
一方、上記成膜物質の発生機構12は、真空容器1内の上記底板2B側に配設されていて、光学測定機構13の上記光源13Bと同様に架構7のうちの架台8により支持されている。ここで、本実施形態における発生機構12には、この真空容器1内に配設される蒸着源15Aから蒸着物質を上記成膜物質として発生させて上記被成膜体に蒸着する真空蒸着機構15が備えられており、さらにこの真空蒸着機構15には、上記蒸着物質にプラズマ照射を行うプラズマアシスト蒸着機構16が備えられている。
【0018】
すなわち、上記真空蒸着機構15においては、図6に示すように真空容器1の本体2の上記底板2Bに鉛直上向きに回転軸15Bが貫通させられていて、真空容器1内に突出したこの回転軸15Bの上端部には、上面外周部に複数のルツボ状の凹部15Cが周方向に等間隔に形成された円板状のハース15Dが取り付けられ、このハース15Dの凹部15C内に上記蒸着源15Aが収容されているとともに、回転軸15Bの下端部は上記架台8に設けられた図示されない回転駆動手段に取付られて、この回転駆動手段により回転軸15Bはハース15Dごとその軸線回りに回転可能、かつ周方向に隣接した上記凹部15C同士の間隔に合わせた所定の回転角毎に位置決め可能とされている。なお、この回転軸15Bが真空容器1の上記底板2Bを貫通する貫通部は、上記回転駆動軸10Bが天板2Aを貫通する貫通部と同様に図示されない金属製蛇腹管と磁性流体回転シールとにより、真空シールされている。また、真空容器1内の上記底板2B上には、上述のように所定の回転角で位置決めされたハース15Dの1の凹部15Cに隣接するようにして電子ビームガン15Eが配設されており、上記1の凹部15Cに収容された蒸着源15Aをこの電子ビームガン15Eによって蒸発させることにより成膜物質が発生させられ、またハース15Dを回転させて他の凹部15Cに収容された蒸着源15Aをこの電子ビームガン15Eに隣接させることにより、例えば異なる種類の薄膜を連続的に被成膜体に形成することも可能とされている。なお、本実施形態では、一対のこのような真空蒸着機構15が、正面視に図5に示すように真空容器1内の左右に対称に配設されている。
【0019】
さらに、上記プラズマアシスト蒸着機構16は、真空容器1内の上記底板2B上に、正面視に図5に示したように上記一対の真空蒸着機構15の中央に位置し、かつ側面視には図6に示すようにこれらの真空蒸着機構15の上記電子ビームガン15Eに隣接して位置するように配設されたプラズマガン16Aによって構成されており、このプラズマガン16Aから発生させられたプラズマにより、上記真空蒸着機構15の蒸着源15Aから発生した成膜物質が加速されて被成膜体としての上記ガラス基板に蒸着されるので、膜品質の向上や形成される薄膜の高密度化を図ったりすることが可能となる。なお、本実施形態ではこれら図5や図6に示すように、このプラズマアシスト蒸着機構16のプラズマガン16Aや上記真空蒸着機構15の電子ビームガン15Eは真空容器1の本体2の底板2Bに取り付けられているが、これらについても上記回転駆動軸10Bや回転軸15Bと同様の真空シールを介するなどして、架構7(架台8)によって支持するようにしてもよい。また、この底板2Bには、真空容器1内を所定の圧力に排気後に、該真空容器1内に必要に応じて特定のガスを導入するためのノズル15Fが設けられている。
【0020】
一方、上記補助排気室4は、本実施形態では真空容器1の背面から外側に膨出するように該真空容器1に隣接して設けられて、平面視に図4に示すように三角形状、より詳しくは真空容器1側を底辺とする二等辺三角形状、さらに詳しくは直角二等辺三角形状に形成され、従ってこの補助排気室4内に形成される空間も水平断面がこのような三角形状とされる。しかして、この補助排気室4は、上記架構7とはまた別体とされた支柱17によって支持されていて、上記二等辺三角形の二等辺を構成する部分に位置する側壁4A,4Bには、それぞれ排気口4Cが形成されて上記排気ポンプ5に連結されている。ここで、この排気ポンプ5として本実施形態では油拡散ポンプが用いられており、また上記排気口4Cには、該排気口4C側が開口した直方体状の箱形をなすバルブ室5Aが上記側壁4A,4Bにそれぞれ取り付けられていて、上記排気ポンプ5の本体5Bは、これらのバルブ室5Aの下面に各々吊下されるように取り付けられている。また、このバルブ室5Aの上面には、上記排気ポンプ5の本体5Bと排気口4Cとの間を開閉する図示されないバルブを駆動するためのシリンダー装置5Cが取り付けられるとともに、バルブ室5Aの背面には、該背面がなす方形の二辺に内接するような大きな径の円形の点検窓5Dが設けられている。
【0021】
このように補助排気室4の上記二等辺を構成する側壁4A,4Bに排気口4Cがそれぞれ設けられることにより、本実施形態では真空容器1内に臨むこれらの側壁4A,4Bに複数の排気口4Cが設けられることとなり、これらの排気口4Cは、真空容器1の正面側から見て図5に示すように、該真空容器1の背面の左右に配置されることとなる。そして、本実施形態ではこの図5に示されるように、一方の側壁(図5において右側の側壁)4Aに設けられる排気口4Cは真空容器1内の下側に開口するように配設されるとともに、他方の側壁(図5において左側の側壁)4Bに設けられる排気口4Cは逆に真空容器1内の上側に開口するように配設されていて、すなわちこれら複数開口させられた排気口4Cが上下左右に互い違いとなるように、上記背面の対角上に位置して段違いの千鳥状あるいは市松模様状の配置に配設されている。
【0022】
なお、これらの排気口4Cは、正面視において図5に示すように上下左右にそれぞれ上記背面を略二等分する程度の大きさの方形状に開口させられている。また、これに合わせて、これらの排気口4Cに連結される上記排気ポンプ5も、そのバルブ室5Aと本体5Bとが図3に示すように側壁4A,4Bに取り付けられるもの同士で背面視に上下左右の対角上に段違いの千鳥状あるいは市松模様状となるように配設される。さらに、本実施形態では左上側の排気口4Cの下縁は右下側の排気口4Cの上縁よりもやや上側にあって、これらの排気口4Cが鉛直方向に重なり合うことがないようにされている。また、この右下側の排気口4Cの下縁の位置は、鉛直方向において、上記成膜物質の発生機構12の真空蒸着機構15における蒸着源15A、電子ビームガン15E、およびプラズマアシスト蒸着機構16におけるプラズマガン16Aのうち少なくとも1つの位置、望ましくはすべての鉛直方向の位置と略同じ位置か、これよりも低い位置に配設されている。さらにまた、上記側壁4A,4Bそれぞれの排気口4Cが設けられた側とは上下反対側には取付座4Dが設けられていて、図5に破線で示すようにコールドパネルやコールドトラップ等の凝集機構18が、これら側壁4A,4Bの少なくとも一方に取付可能とされている。さらに、このような補助排気室4が設けられる真空容器1の本体2の上記背面部には、図示されないルーバーや金網が取り付けられている。
【0023】
従って、このように構成された真空成膜装置においては、まず、真空容器1内を真空排気する排気ポンプ5が複数(本実施形態では2つ)備えられていて、これらの真空ポンプ5への排気口4Cも、真空容器1内に臨む補助排気室4の側壁4A,4Bに複数(本実施形態ではやはり2つ)開口させられており、これらの排気口4Cが上述のように千鳥状あるいは市松模様状の配列をなすように、この真空容器1の背面に上下左右に互い違いの配置をなすように対角位置に設けられているので、成膜前に真空容器1内を排気するときは勿論、成膜中においても真空容器1内で排気の偏流が生じるのを防いで、鉛直方向および水平方向に均一な排気を行うことが可能となる。このため、このような排気偏流によって真空容器1内にその圧力に部分的なばらつきが生じるのを防ぐことができ、また上記ノズル15Fからガスを導入する場合でもそのガス濃度にばらつきが生じるのを防ぐことができ、これによって成膜物質の品質を安定化させて、被成膜体に形成される薄膜も個々の被成膜体中や被成膜体同士で物性等の成膜品質を均質なものとすることが可能となる。このため、このような構成の真空成膜装置は、取り分け均質で高い成膜品質が要求される光学フィルターとして用いられるガラス基板に薄膜を形成するのに用いて、特に効果的である
【0024】
また、本実施形態では、このように配列された排気口4Cが、真空容器1内の立方体状をなす本体2から外側に膨出するように隣接して設けられた補助排気室4の側壁4A,4Bに開口させられており、この補助排気室4において真空容器1内から排気口4Cに向かう排気の流れをより均一にすることができるので、一層確実な成膜品質の安定化を図ることができる。しかも、この補助排気室4は、平面視において上述のように真空容器1側を底辺とする三角形状、特に本実施形態では二等辺三角形状、さらには直角二等辺三角形状に形成され、従ってその内部の上記真空容器1内に連通する空間も水平断面が略三角形状となるようにされており、この三角形の底辺を除く二辺、すなわち上記二等辺三角形の二等辺を構成する部分の側壁4A,4Bに排気口4Cがそれぞれ形成されているので、平面視においてこれらの排気口4Cと真空容器1内の空間がなす方形(正方形)の中心との間隔を略等しくすることができ、従ってこの中心においては圧力やガス濃度等のより一層の均一化を図ることができる。しかして、上記発生機構12の真空蒸着機構15において上記蒸着源15Aから発生させられる成膜物質は、この方形の中心すなわち上記回転駆動機構10の回転駆動軸10Bの中心軸線を略中心として、この回転駆動軸10Bの下端に取り付けられた上記基板ドーム10Aに向かい、この基板ドーム10Aに保持された被成膜体(ガラス基板)に蒸着されて薄膜を形成するので、そのような中心部分において上述のように圧力やガス濃度等のより一層の均一化が図られることにより、本実施形態によれば、被成膜体に形成される薄膜についてもその品質の一層の均一化、安定化を図ることが可能となる。
【0025】
さらに、本実施形態では、上記成膜物質の発生機構12が、真空容器1内に配設される蒸着源15Aから蒸着物質を成膜物質として発生させて被成膜体に蒸着する真空蒸着機構15を備えたものであっても、上述のように均一な排気が可能となって真空容器1内の圧力等のばらつきが防がれることにより、蒸着源15Aの周辺でのガス濃度の上昇も防ぐことができるので、このようなガス濃度の上昇により電子ビームガン15Eにアーキング等の異常放電が生じたりプラズマガン16Aによるプラズマの状態が不安定となったりするのも防ぐことができる。また、特に本実施形態においては、上述のように上下左右に互い違いに配置された排気口4Cのうち、正面視に右側の上記一方の側壁4Aに設けられる鉛直方向下側の排気口4Cは、その下縁の位置がやはり鉛直方向において、上記成膜物質の発生機構12の位置、すなわち上記真空蒸着機構15の蒸着源15A、電子ビームガン15E、およびこの真空蒸着機構15に備えられたプラズマアシスト蒸着機構16のプラズマガン16Aのうち少なくとも1つの鉛直方向の位置、望ましくはすべての鉛直方向の位置と略同じ位置か、これよりも低い位置に配設されている。従って、例えば蒸着源15Aとして酸化物を蒸着する場合でも、この排気口4Cの下縁の位置より上側に位置することとなる上記電子ビームガン15Eやプラズマガン16A周辺に酸化物の分解によって生じた酸素ガスが滞留して酸素濃度が高くなるのを防ぐことができ、より確実にアーキング等の異常放電を防止して電子ビームガン15Eのフィラメント寿命の延長を図ったり、プラズマガン16Aによるプラズマの安定化を促したりすることが可能となる。
【0026】
一方、このように排気口4Cが上下左右に互い違いの配置とされることにより、上記側壁4A,4Bにはこの排気口4Cが設けられない部分にスペースが残されることとなり、本実施形態では側壁4A,4Bの少なくとも一方のこのスペースに上述のような取付座4Dが設けられてコールドパネルやコールドトラップ等の凝集機構18が取付可能とされている。従って、真空容器1から排気口4Cを通って排気ポンプ5に導入される排気中の水分等を、主排気口のコンダクタンスを小さくすることなく確実に除去することが可能となる。また、特に本実施形態ではこの排気ポンプ5として油拡散ポンプが採用されており、万一排気ポンプ5側から油の蒸気が補助排気室4内に逆流しても、これを凝集機構18によって凝集させることにより真空容器1内の汚染を防ぐこともできる。さらに、本実施形態では、この補助排気室4と真空容器1の本体2内との間にルーバーや金網が真空容器1内壁面に取り付けられているので、このような油蒸気の真空容器1内への流入や真空容器1内から排気ポンプ5への成膜物質の流入なども防止することができる。
【0027】
また、本実施形態では、被成膜体として真空容器1内に収容されるガラス基板を回転させる回転駆動機構10や、このガラス基板に形成される薄膜の膜厚を測定する膜厚測定機構11、また膜厚を形成するための成膜物質を発生させる発生機構12が、真空容器1と別体に構成された架構7によって該真空容器1と独立して支持されているので、成膜時に上記排気ポンプ5によって真空容器1内を真空排気することにより内外の圧力差でこの真空容器1の本体2に撓み変形が生じたり、上記発生機構12による成膜物質発生の際の熱によって本体2に熱変形が生じたり、あるいは排気ポンプ5の振動が伝達されて本体2が振動したりしても、これらの変形や振動に伴って上記回転駆動機構10、膜厚測定機構11、成膜物質の発生機構12のそれぞれの位置や互いに位置関係にずれが生じるのを防ぐことができる。すなわち、真空容器1と架構7とは別の構造物であるので、この真空容器1の変形や振動によって架構7が変形したり振動したりすることが抑えられ、また架構7に支持された各機構10〜12は上述のような真空シールを介して真空容器1内に貫通させられているので、上記真空容器1の変形や振動が直接これらの機構10〜12に伝達されてその位置が変位するのも防がれるのである。
【0028】
このため、第1に、モニターガラス13A、光源13B、および受光部13Cを有する光学測定機構13を備えた上記膜厚測定機構11においては、これらモニターガラス13A、光源13B、受光部13Cそれぞれの成膜時の位置および互いの位置関係を、成膜前に精度良く調整したままに維持することができ、従って高精度の膜厚測定を可能として、その測定結果により確実な成膜制御を図ることができる。また、第2に、被成膜体(基板ガラス)を保持する基板ドーム10Aとこれを支持する回転駆動軸10Bとを備えた上記回転駆動機構10においては、この被成膜体を真空容器1内において所定の位置に正確に配置してやはり所定の上記回転軸線回りに正確に回転させることができ、上述の確実な成膜制御に基づいてその表面に所望の膜厚の薄膜を高精度に形成することが可能となる。さらに、第3に、上述のように真空容器1内に配設される蒸着源15Aから電子ビームガン15Eによって蒸着物質(成膜物質)を発生させて上記被成膜体に蒸着する真空蒸着機構15を備え、またこの真空蒸着機構15に、上記蒸着物質にプラズマガン16Aによってプラズマ照射を行うプラズマアシスト蒸着機構16を備えた成膜物質の発生機構12においては、上記回転駆動機構12によって被成膜体が正確に位置決めされるのとも相俟って、この被成膜体と蒸着源15Aとの距離を一定に維持することができ、上記電子ビームガン15Eやプラズマガン16Aによって正確かつ安定的な成膜制御を図ることが可能となる。しかして、光学フィルターとして用いられるガラス基板に薄膜を形成するには、このような高い膜厚測定精度や正確な成膜制御も要求されるので、本実施形態の真空成膜装置はかかる光学フィルターとして用いられるガラス基板の薄膜形成に用いて、一層効果的であると言える。
【0029】
さらに、本実施形態では、上記機構10〜12のうち、回転駆動機構10と、上記膜厚測定機構11の光学測定機構13におけるモニターガラス13A、受光部13C、および水晶式膜厚計14とが、架構7のうちでも、真空容器1の本体2が載置された架台8にこの本体2と間隔をあけて設けられた枠体9によって支持されており、従ってこの枠体9には上記変形や振動が一層伝わりにくいので、その位置を変位をより確実に防止することができる。
【0030】
なお、本実施形態ではこのように真空容器1を架構7の架台8上に載置して取り付けるとともに枠体9もこの架台8に支持するようにしているが、例えば真空容器を載置する架台とは別に構成した架構を、これら真空容器および架台とも間隔をあけるように配設し、この架構に上記各機構を支持して真空容器とは独立させるようにしてもよい。また、例えば上述のような枠体9を設けずに、当該真空成膜装置が配置される建て屋の天井に上記回転駆動機構10や膜厚測定機構11等を支持するようにしたり、場合によっては真空容器1を架台8上に載置せずに床面に直接置き、この床面に上記光学測定機構13の光源13Bや成膜物質発生機構12の真空蒸着機構15における回転軸15Bを埋設して支持したりするようにしてもよい。
【0031】
一方、本実施形態における真空容器1は、その本体2がアルミニウム合金によって形成されており、かかるアルミニウム合金は、一般的な真空成膜装置の真空容器に用いられるステンレス等の鋼材よりも熱輻射率が低く、上記真空蒸着機構15の電子ビームガン15Eやプラズマアシスト蒸着機構16のプラズマガン16A等による熱を受熱し難いので、このような熱による真空容器1の変形自体を防止することができ、さらに高精度の成膜が可能となる。また、このように真空容器1内の熱をこの本体2が受熱し難いことから、成膜時に真空容器1を冷却する必要もなくなり、これにより冷却機構を省略することが可能となって、当該真空成膜装置の構造簡略化や重量の軽減、あるいは冷却機構や冷却水が供給される際の振動の防止、さらには装置の低コスト化、コンパクト化などを図ることができる。
【0032】
しかも、上記真空容器1の本体2を構成する側板2C,2Dおよび扉3には、同じくアルミニウム合金よりなる補強リブ6が取り付けられているので、この真空容器1の変形や振動を一層確実に防止することができる。ところで、このような金属製の構造物にやはり金属製の補強リブを取り付ける場合には、通常は溶接によって補強リブを構造物に接合するのが一般的であるが、このような溶接による接合では、溶接時の熱による歪みが構造物に生じることが避けられず、特に高精度の成膜を要求される本実施形態のような真空成膜装置では、このような歪みを除去するために溶接後に後加工を行わなければならなくなる。ところが、これに対して本実施形態では、上記補強リブ6がボルト止めによって本体2や扉3に取り付けられており、従って溶接による熱歪みが発生することがなく、かかる歪みを除去するための後加工も不要となるので、効率的かつ高精度に真空容器1を形成することが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、真空容器内に臨んで設けられる複数の排気口を上下左右に互い違いの配置とすることにより、特に成膜中において真空容器内の鉛直方向および水平方向に均一な排気が可能となって、この真空容器内に排気偏流による圧力やガス濃度のばらつきが生じるのを防ぐことができ、これによって成膜物質の品質を安定化させて被成膜体に形成される薄膜を均質かつ高品質なものとすることができる。また、このような排気口を、真空容器に隣接して外側に膨出した補助排気室に設けることにより、真空室内から排気口に向かう排気の流れをより均一にすることができ、さらにこの補助排気室の水平断面を三角形状とすれば、成膜が行われる真空容器内中央部と複数の排気口との間隔を等しくしてこの中央部における圧力やガス濃度の一層の均一化を図ることができる。従って、このような真空成膜装置は、特に光学フィルターとして用いられるガラス基板等の基板への成膜に用いて効果的である。
【0034】
また、このように真空容器内の均一な排気が可能となって排気偏流が生じるのが防がれることにより、本発明によれば、上記成膜物質の発生機構が、真空容器内の蒸着源から蒸着物質を成膜物質として発生させて蒸着する真空蒸着機構を備えたものであっても、この蒸着源周辺のガス濃度の上昇を防いで、この真空蒸着機構の電子ビームガンにアーキング等の異常放電が生じたり、またプラズマアシスト蒸着を行う場合においてプラズマの状態が不安定となったりするのを防ぐことができる。特にこの場合において、上記複数の排気口のうち下側の排気口の下縁の鉛直方向の位置を、この発生機構と略同じ位置か低い位置とすることにより、酸化物を蒸着源とする際に発生する酸素ガスが電子ビームガンやプラズマガン周辺に滞留するのを防ぐことができるので、一層確実に異常放電等を防いで電子ビームガンのフィラメントの寿命延長を図ったりすることができる。さらに、上記真空容器の内部に臨む側壁に凝集機構を設ければ、高真空の残留ガスの主成分である水分を確実に除去して真空容器内を質の良い真空状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】 図1に示す実施形態の右側面図である。
【図3】 図1に示す実施形態の背面図である。
【図4】 図1に示す実施形態の平面図である。
【図5】 図1に示す実施形態の真空容器1内を示す、扉3を取り外した状態の正面図である。
【図6】 図1に示す実施形態の真空容器1および補助排気室4内を示す、図5におけるZZ断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器
2 真空容器1の本体
3 扉
4 補助排気室
4C 排気口
5 排気ポンプ
6 補強リブ
7 架構
8 架台
9 枠体
10 回転駆動機構
10A 基板ドーム
10B 回転駆動軸
11 膜厚測定機構
12 成膜物質の発生機構
13 光学測定機構
13A モニターガラス
13B 光源
13C 受光部
15 真空蒸着機構
15A 蒸着源
16 プラズマアシスト蒸着機構
18 凝集機構

Claims (7)

  1. 排気ポンプによって減圧させられる真空容器内に収容された被成膜体に、該真空容器内に配設された成膜物質の発生機構によって薄膜を形成する真空成膜装置において、上記真空容器の内部に臨む側壁には、上記排気ポンプに連通させられる複数の排気口が、上下左右に互い違いの配置となるように設けられていることを特徴とする真空成膜装置。
  2. 上記真空容器には、この真空容器に連通する補助排気室が外側に膨出するように隣設させられており、上記排気口はこの補助排気室の側壁に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
  3. 上記補助排気室の水平断面が略三角形状とされていることを特徴とする請求項2に記載の真空成膜装置。
  4. 上記成膜物質の発生機構には、上記真空容器内に配設される蒸着源から蒸着物質を上記成膜物質として発生させて上記被成膜体に蒸着する真空蒸着機構が備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の真空成膜装置。
  5. 上記排気口のうち下側に配置される排気口の下縁の鉛直方向の位置が、上記成膜物質の発生機構の鉛直方向の位置と略同じ位置か、これよりも低い位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の真空成膜装置。
  6. 上記真空容器の内部に臨む側壁には、該真空容器内の水分を凝集させる凝集機構が備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の真空成膜装置。
  7. 上記被成膜体が、上記薄膜が形成される光学フィルターであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の真空成膜装置。
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