JPH085800A - X線顕微鏡 - Google Patents

X線顕微鏡

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JPH085800A
JPH085800A JP6140534A JP14053494A JPH085800A JP H085800 A JPH085800 A JP H085800A JP 6140534 A JP6140534 A JP 6140534A JP 14053494 A JP14053494 A JP 14053494A JP H085800 A JPH085800 A JP H085800A
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ray
vacuum
pressure
low
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JP6140534A
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Inventor
Katsumi Sugizaki
克己 杉崎
Hiroshi Nagata
浩 永田
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 真空容器内の真空度よりも低真空の収納室
(例えば、水の蒸気圧よりは高く、大気圧よりは低い低
圧の試料室)を設け、試料の取り扱いを簡易にし、X線
の吸収も比較的少ない効率の良いX線光学系を持つX線
顕微鏡を提供すること。 【構成】 少なくとも、X線発生手段1、X線発生手段
1から出射したX線を集光して試料24を照明するコン
デンサー光学系3、試料24を透過したX線を結像させ
る結像光学系5、結像光学系5の結像位置に配置された
撮像手段7、X線発生手段1から撮像手段7までの光路
を真空にするための真空容器6、及び該真空容器6内を
真空に排気するための排気手段2を有するX線顕微鏡に
おいて、前記試料24を保持した試料カプセル104又
は該試料カプセルを更に保持した試料ホルダーを前記コ
ンデンサー光学系3によるX線の集光位置に設置するた
めのX線透過窓103付き収納室100であって、前記
真空容器6内の真空度よりも低真空の収納室100を、
前記真空容器6内又は前記真空容器6に隣接して設けた
ことを特徴とするX線顕微鏡。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生物試料を高解像度で
観察できるX線顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に進歩している医学や生物工
学の分野では、通常の可視光(波長λ=約400nm 〜800n
m )を用いる顕微鏡よりも分解能が高く、しかも生きた
試料(以下、生物試料という、例えば、細胞、バクテリ
ア、精子、染色体、ミトコンドリア、べん毛など)も鮮
明に観察することの出来る高解像度顕微鏡を要求する声
が日増しに高まっている。
【0003】その理由は、従来の高解像度電子顕微鏡で
は空間分解能は高いが、電子線が透過する窓材が存在し
ないので、真空中に試料を置かねばならず、生きたまま
では試料を観察できなかったからである。そこで、この
ような生物試料の観察を可能とするために、可視光に代
えて波長λ=2 〜5nm の軟X線を用いるX線顕微鏡が検
討され、具体的にも開発されつつある。
【0004】例えば図4は、このようなX線顕微鏡の簡
単な構造と光学系を示したものである。図4において、
X線発生器1から出射したX線は、X線照明光学系3で
集光されて、試料4を保持するカプセル9へ照射され
る。そして、試料4および試料カプセル9を透過したX
線は、X線拡大光学系5により、試料の像をX線撮像装
置7上に結像させる。
【0005】X線発生器1からX線撮像装置7までの光
路長は、例えば2m程度である。また、6は鏡筒用真空
容器で、2はこの容器を真空にするための排気装置、8
は、撮像装置7で検出された試料4の像を表示する表示
装置である。しかしながら、このような構成を基本とす
るX線顕微鏡は、現状においてはいくつかの問題点を有
している。
【0006】軟X線領域では、X線の物質による吸収
は、X線の波長や物質の原子番号などによって図5に示
すように変化する。一般には、X線の波長が長いほど吸
収されやすく、物質の原子番号が大きいほど吸収されや
すい。特に、23〜44ÅのX線波長域では、酸素原子を有
する水は、蛋白質などの炭素原子を含んだ有機物に比べ
て透過率が大きい。つまり、水と蛋白質との間のX線吸
収率の違いからコントラストがつき、染色することなく
細胞の水中での構造を見分けることができる。この波長
域を水の窓(Water Window)と呼び、生物顕微鏡にとっ
て非常に有用な領域である。
【0007】一方、軟X線は大気に容易に吸収される
(1気圧下で2×10-3μm-1程度の吸収率を有する)
ので、X線顕微鏡の光学系全体を、その光路長に応じた
高い真空度に保つ必要がある。このため、軟X線光路中
に挿入される観察試料を気密密封した試料カプセルはそ
の試料層の厚さを薄くして軟X線の吸収を抑えるととも
に、気密を兼ねた観察窓材にも軟X線に対する吸収が少
ない材料を選択する必要がある。一般には、観察窓材と
して軟X線に対する線吸収係数が小さくて膜強度も高い
窒化シリコン(Si3N4 )などを薄膜形成したものが用い
られる。
【0008】図6は、X線顕微鏡に用いられる従来の試
料カプセルと試料容器の構造を示す図であり、図6
(a)は試料カプセル9の試料封入部分の平面構造を示
し、図6(b)は、試料容器とその内部の試料カプセル
9の断面構造を示す。試料カプセル9は、X線透過窓1
0c、11cを形成した2枚のチップ10、11の間に
円環状のスペーサ12を挟持したものであり、その内側
の密閉空間である試料室には、観察試料を含んだ培養液
が装填される。チップ10、11は、シリコン板10
a、11a上に窒化シリコン薄膜10b、11bを形成
した後、X線透過窓10c、11cに対応する部分のシ
リコン板をエッチングにより除去したものである。
【0009】窒化シリコン薄膜10b、11bの張られ
たX線透過窓10c、11cは、0.2 〜1mm角の正方
形であり、その膜厚は、0.05〜0.1 μmである。膜厚を
このように薄くするのは、軟X線の吸収をできるだけ抑
えるためである。チップ10、11の対向する薄膜面1
0b、11bの間に挿入されている円環状のスペーサ1
2は、試料層の厚さを保持するために用いられ、用途に
応じて1〜15μmの範囲内の適切な厚さが選択され
る。
【0010】例えば、波長が2.3 nmの軟X線を用い、
窒化シリコン薄膜10b、11bの膜厚をそれぞれ0.1
μm、試料層(水)の厚さを10μmとすれば、それぞ
れの軟X線透過率は39%、12.3%となり、全体で約1
1%の透過率が確保される。実際にX線顕微鏡で細胞な
どの生物試料を観察するときは、前述した窒化シリコン
等のX線及び可視光に対して透明なX線透過窓10a、
10bの間に、細胞などの生物試料を封入して行なう。
通常、細胞などの生物試料は、できるだけ生物試料が生
活している状態で観察することが望ましいので、培養液
などの液体と共に、X線透過窓の間に挟み込んで密封す
る。
【0011】このような状態であれば、細胞などの生物
試料は、培養液などの液体中で生存し続けることがで
き、細胞がどのような活動をしているかが観察できる。
しかしながら、X線顕微鏡で生物などを観察するのに適
した波長域にある軟X線は、大気で吸収されやすく、X
線の効率が悪くなり、全体として暗くなってしまうの
で、X線顕微鏡の光路は、大気によるX線の吸収を避け
るために、通常は真空状態にしておく。
【0012】このような真空状態にある光路中に、生物
試料などを培養液と共にX線透過窓に挟み込んだ状態で
入れると、培養液が蒸発して細胞も乾燥してしまうの
で、X線透過窓で挟み込んだ試料を試料カプセル内に密
封して培養液の蒸発を防がなければならない。現在のX
線顕微鏡は、上述のような試料密封型の試料カプセルを
高真空の鏡筒内に配置し、試料部分の培養液などの水分
が逃げないように密封保持しつつ観察を行っている。
【0013】さらに、上述のように試料カプセルを密封
するのが難しい場合には、図7に示す例(特開平5−1
00100参照)のように、試料カプセル自体は密封せ
ず、X線光路中にある真空鏡筒に隣接して大気圧の部屋
17を設け、試料カプセル9を大気圧の部屋内に配置す
るという方法も提案されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】この様に、X線顕微鏡
の実現に向けての工夫がなされてきているが、上記X線
顕微鏡の構成では、以下のような問題点が指摘されてい
る。前述したように、X線顕微鏡の試料カプセルは、生
物などの試料が通常の状態で存在できるようにするため
に、試料を水分などを主成分とした培養液などの液体中
に入れて密封する。
【0015】しかしながら、密封した試料カプセルを真
空の鏡筒にいれる場合、試料カプセル内は大気圧である
ため、鏡筒の真空の雰囲気との差圧により、薄いX線透
過窓に応力がかかり、非常に破損しやすい。また、X線
透過窓に応力がかかることにより窓が膨らみ、試料層が
必要以上に厚くなるため、試料層によってX線が吸収さ
れて像が暗くなってしまう。
【0016】薄いX線透過窓の破損と膨らみを防ぐため
には、X線透過窓の大きさを0.5 〜0.1mm 角に小さく制
限する必要があるが、X線透過窓を小さくすると観察領
域が狭くなってしまうという問題点があった。また、試
料カプセルを密封するために、図6のようにOリングな
どで保持する場合、Oリングをある程度の力でX線透過
窓、あるいはX線透過窓の窓枠に押しつけて密封する必
要がある。
【0017】しかしながら、X線透過窓は窓による吸収
を避けるように非常に薄くしてあるため、Oリングを押
しつけるときに誤って破損しやすい。さらに、この時O
リングの押さえが充分でないと、試料カプセル内の培養
液などが真空鏡筒内に漏れ出して試料カプセル内が乾燥
し、観察しようとする生物試料がダメになるだけでな
く、漏れだした培養液などにより真空鏡筒内の真空度が
劣化する。
【0018】真空度が劣化すると、例えばX線撮像装置
にMCP (マイクロチャンネルプレート)のような高電圧
を印可して用いる検出器を使っている場合には、高電圧
による放電が起こり、最悪の場合には、X線撮像装置が
破壊される、という問題点があった。この場合は、大気
圧の部屋と真空鏡筒とを分離するためのX線透過窓18
が必要となる。大気圧の部屋と真空鏡筒とを分離するた
めのX線透過窓は、試料カプセルの厚み分だけ、さら
に、前述の特開平5−100100の場合でも、X線透
過窓18が焦点から離れてしまうため、X線光学系のNA
の拡がり立体角分だけX線透過窓の大きさを大きくしな
ければならない。
【0019】このように大きなX線透過窓の強度を大気
圧と真空との差圧に耐えられる程度に十分確保するため
には、X線透過窓が大きい分だけX線透過窓の厚みを厚
くせざるを得ず、X線透過窓のX線吸収が大きくなる。
また、X線光路中に設けた大気圧試料室17の大気の部
分によるX線の吸収のため、光学系が暗くなってしまう
という問題点があった。
【0020】本発明は、以上の通りの従来のX線顕微鏡
の欠点を克服するものとしてなされたものであり、真空
容器内の真空度よりも低真空の収納室(例えば、水の蒸
気圧よりは高く、大気圧よりは低い低圧の試料室)を設
け、試料の取り扱いを簡易にし、X線の吸収も比較的少
ない効率の良いX線光学系を持つX線顕微鏡を提供する
ことを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「少なくとも、X線発生手段、X線発生手段から出射
したX線を集光して試料を照明するコンデンサー光学
系、試料を透過したX線を結像させる結像光学系、結像
光学系の結像位置に配置された撮像手段、X線発生手段
から撮像手段までの光路を真空にするための真空容器、
及び該真空容器内を真空に排気するための排気手段を有
するX線顕微鏡において、前記試料を保持した試料カプ
セル又は該試料カプセルを更に保持した試料ホルダーを
前記コンデンサー光学系によるX線の集光位置に設置す
るためのX線透過窓付き収納室であって、前記真空容器
内の真空度よりも低真空の収納室を、前記真空容器内又
は前記真空容器に隣接して設けたことを特徴とするX線
顕微鏡(請求項1)」を提供する。
【0022】また、本発明は第二に「前記収納室の真空
度を水の蒸気圧よりは高く、大気圧よりは低い低圧状態
にしたことを特徴とする請求項1記載のX線顕微鏡(請
求項2)」を提供する。また、本発明は第三に「前記収
納室の真空度を10Torr以上、100Torr以下としたこ
とを特徴とする請求項1記載のX線顕微鏡(請求項
3)」を提供する。
【0023】
【作用】本発明によるX線顕微鏡が、なぜ従来のX線顕
微鏡の問題点を克服するか、図1を用いて以下に説明す
る。本発明は、培養液などの液体が、大気圧下でなく液
体の蒸気圧以上であれば低圧状態でも液体は蒸発せず、
生物などの試料を液体中に存在した状態で保持できか
つ、また低圧であればX線の吸収を最低限に抑えること
ができ、X線光路中に低圧領域を設けても充分実用的な
X線光量を確保できるという知見に基づいてなされたも
のである。
【0024】つまり、真空鏡筒内に隔壁102とX線透
過窓103で密封された低圧の試料室を設け、その中に
開放型の試料カプセル104を導入した構造とした。こ
のような構造を用いれば、低圧試料室100のX線透過
窓103は、試料室の低圧と真空鏡筒内の真空とを分離
すればよいので、差圧は小さく、X線透過窓103の強
度もさほど必要とされないため、薄くてX線透過性の良
いX線透過窓が使用できる。
【0025】また、試料カプセルを密封しなくとも、液
体が蒸発することはないので、試料カプセル104は密
封する必要がなく、低圧の試料室100に開放した状態
で用いることができる。密封する必要のない試料カプセ
ル104のX線透過窓には圧力差がかからないので、X
線透過窓の強度は、試料を保持するのに必要最低限でよ
く、窓の大きさも充分大きくとれるため、観察領域が広
く非常に使いやすくなる。
【0026】低圧試料室100内の圧力は、試料を保持
する培養液が蒸発しない、蒸気圧以上であればよい。水
の蒸気圧は、10℃で9.2Torr 、20℃で17.5Torr、50℃で
92.6Torrであるので、低圧試料室内の圧力は、10から10
0Torr が好ましい。なお、低温下で観察する場合は、こ
れよりさらに低圧でも良い。また、X線照射などによ
り、試料が高温になったりする場合は、100Torr より高
くした方が好ましい。
【0027】以上のような構成を用いれば、低圧状態の
試料室空間によるX線の吸収は少ないため、効率の良い
X線光学系で試料が観察でき、なおかつ試料カプセル
は、試料を含んだ液体を表面張力などで挟み込むだけで
よく、取り扱いは非常に簡易になる。以下、本発明を実
施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれ
らの例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】図2は、本発明にかかる第1実施例の主要部
分の構成図である。本実施例を図1を用いて説明する。
本実施例は、X線源(X線発生手段)1、X線照明系
(コンデンサー光学系)3、試料カプセル104、観察
する生物試料24、低圧(低真空)試料室100、低圧
保持機構101、X線対物拡大光学系(結像光学系)
5、X線撮像装置(撮像手段)7、モニター8、真空鏡
筒(真空容器)6、排気系(排気手段)2によって構成
されている。
【0029】本実施例においては、X線源1にレーザー
プラズマX線源を用いているが、ZピンチプラズマX線
源、通常の電子線励起型X線管、放射光などの他のX線
源を用いても良い。X線照明系3、X線対物拡大光学系
5は、本実施例においては斜入射光学系を組み合わせて
用いているが、直入射光学系、ゾーンプレート光学系、
更にこれらの組み合わせでも良い。
【0030】X線撮像装置7は、本実施例では、X線CC
D を用いているが、フィルム、乾板などを用いたX線カ
メラ、MCP など他のX線撮像装置を用いても良い。低圧
試料室100、低圧保持機構101は、具体的には図9
に示してあるような構成をしている。低圧試料室100
は、低圧試料室を排気する排気装置201によって排気
されている。
【0031】低圧試料室100の圧力は、圧力ゲージ2
02により測定され、測定値をもとに制御装置203に
よって、流量調整弁204を調節して低圧試料室100
が常に一定の圧力になるように調整される。さらに、本
実施例では、大気の他に別の気体によって低圧を保持す
ることができるように、ガス導入機構205が付属され
ている。
【0032】低圧試料室100は、低圧試料室の壁10
2とX線透過窓103によって完全に真空鏡筒6と遮断
されている(図1参照)。そのため、真空鏡筒6は、1
-3Torr以下に、また低圧試料室100は、10Torrから
100Torr 程度に保持されている。本実施例の試料室は、
図2に詳細に示してある。前述したように、本発明によ
る低圧試料室は、壁102とX線透過窓103によって
密封されており、前述の低圧保持機構101によって低
圧(低真空度)に保持される。
【0033】本実施例においては、X線などの照射によ
る温度上昇も考慮し、50℃においても培養液などの液
体が蒸発しないように、低圧試料室100の圧力を100T
orrとした。もちろん、温度上昇が無視できる場合は、
低圧保持機構101により、圧力を100Torr 以下に設定
しても良い。試料カプセル10、11においては、図に
示すとおり、培養液などの液体23に試料24が含まれ
た状態で、X線透過窓10c、11cにより挟み込まれ
て保持されている。試料を挟み込むX線透過窓10c、
11cは、圧力差がかからないので、窒化シリコンでで
きた0.05μmの窓を用いたが、取り扱いに不自由しない
限り厚くしたり、薄くしたりしてもかまわない。
【0034】本実施例では、試料交換のため、試料カプ
セル全体が、試料挿入棒105の先にとりつけられてお
り、予備排気室106、ゲートバルブ107、予備排気
装置108などを備えており、真空鏡筒6や、低圧試料
室100の圧力を変えずに試料が交換できる。試料導入
棒105は、Oリング120により密封する機構を用い
ている。低圧試料室を保持するX線透過窓103は、窒
化シリコンでできた厚さ0.1 μmのものを用いている。
【0035】X線の吸収は、低圧試料室窓の窒化シリコ
ン(厚さ0.05μm)2枚と、試料カプセル窓の窒化シリ
コン(厚さ0.05μm)2枚と、低圧の雰囲気(低圧試料
室内)による吸収、培養液そのものによるものである。
従来の大気開放型試料室では、真空鏡筒との差圧に耐え
るために、大気開放型試料室のX線透過窓201を厚さ
0.1 μm以上の窒化シリコンにしなければならず、大き
さも制限されていた。窒化シリコンによるX線の吸収
も、窒化シリコンの厚さが厚くなるに従って無視できな
くなり、例えば、0.1 μmのX線透過窓2枚による透過
率は、波長2.36nmのX線に対して43.2%しかない。
【0036】これに対して、本発明による低圧試料室を
用いた場合、X線透過窓の窒化シリコンの厚さは0.1 μ
m以下でよく、例えば、0.05μm厚のX線透過窓2枚の
透過率は65.8%であり、よりX線の吸収が少なくて明る
い効率の良い光学系となる。また、従来の大気開放型試
料室や、本発明による低圧試料室では、試料カプセルを
入れるだけの厚さが必要であり、従来の大気開放型試料
室の場合には、X線光路中に最低でも数ミリ程度の大気
圧の雰囲気が入り、空気による吸収は無視できないほど
大きい(大気1mmで、波長2.3nmのX線は19.5%透過
する)。
【0037】しかしながら、本発明による低圧試料室に
おいては、低圧試料室内が100Torrの場合、空気による
吸収は大幅に減少し、1mm に対して、80.7%透過する。
更に本発明による低圧試料室においては、低圧試料室の
中を、Heなどの吸収の少ない気体で置換してもよく、こ
の場合、Heに対しては、1mmに対して、99.9%透過す
る。そのため、He等の気体と酸素を適当な混合比で混合
した、X線の吸収の少ない培養気体のようなものでは、
ほとんど気体の吸収は無視できる。
【0038】従って、従来の大気開放型試料室でのX線
透過率が、窒化シリコン(0.1 μm厚)のX線透過窓2
枚、大気の厚さ2ミリとした場合、1.6 %しか透過しな
いのに対し、本発明による低圧試料室では、窒化シリコ
ン0.05μmのX線透過窓2枚、低圧の大気を100Torr 、
2mmとした場合、42.8%となり、約70倍透過率が向上
する。
【0039】図3は、本発明による第2の実施例であ
る。本実施例では、試料ステージ150を低圧試料室1
00内に設け、試料導入機構により、試料カプセル1
0、11を低圧試料室内の試料ステージ150に受け渡
す構造としたものである。また、試料の導入は、トラン
スファーロッド130によって行なう構造としてある。
【0040】従来のように、通常の真空鏡筒内で試料カ
プセルを真空内の試料ステージに受け渡す場合、試料ス
テージは高真空の真空鏡筒に配置されるため、その高真
空に合わせて高真空対応のステージでなければならな
い。通常のステージに用いられている潤滑剤は、飽和蒸
気圧が超高真空に比べてかなり高く、真空鏡筒内では蒸
発して試料ステージの潤滑が悪くなるだけでなく、蒸発
した潤滑剤は真空鏡筒内の壁などに再付着し、到達真空
度を悪くし、真空鏡筒内の雰囲気を汚染してしまう。
【0041】従って、真空用の試料ステージ(従来)
は、潤滑剤に蒸気圧の低い真空用の特殊な潤滑剤を用
い、材質も真空であまり放出ガスを出さない、真空度を
悪くしない特殊な材質と、真空が引きやすい特殊な形状
でなければならない。しかしながら、本発明による低圧
試料室内では、潤滑油の蒸気圧以上で用いるので、通常
のステージを用いることができ、試料ステージを大幅に
簡略化することができる。
【0042】図8は、本発明による第3の実施例であ
る。本実施例は、試料カプセル9を封入材180によっ
て密封した密封型としたものである。通常の使用におい
ては、実施例1のように開放型の試料カプセルを利用す
ればよいが、培養液が蒸発しないとはいえ、試料カプセ
ル内は大気圧に比べて低圧状態になる。試料によって
は、大気圧、もしくはそれ以上の圧力下でないと正常に
活動することができないものも多い。
【0043】従って、本実施例では、低圧試料室とする
ことによりX線透過窓の強度を必要最小限にしてX線吸
収を少なくする一方、試料カプセル自体は密封型とし
て、試料カプセル内は大気圧など、試料に適した圧力下
に封入する構造としたものである。
【0044】
【発明の効果】以上の通り、本発明にかかる低圧試料室
を設けたX線顕微鏡を用いれば、培養液などの液体中の
生物などの試料も、液体が乾燥することなく、通常の状
態で観察できる。また、低圧であることから、低圧試料
室を仕切るX線透過窓を薄くでき、さらに低圧雰囲気に
よるX線の吸収が少ないので、明るい光学系を組むこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明にかかるX線顕微鏡の一例を示す構
成図である。
【図2】は、第1実施例の低圧試料室を示す概略構成図
である。
【図3】は、第2実施例の低圧試料室を示す概略構成図
である。
【図4】は、従来のX線顕微鏡の例を示す構成図であ
る。
【図5】は、X線の物質による吸収を示した図である。
【図6】は、X線顕微鏡の試料カプセルの模式図であ
る。
【図7】は、従来の別のX線顕微鏡の構造を表す概念図
である。
【図8】は、第3実施例の低圧試料室を示す概略構成図
である。
【図9】は、第1実施例の低圧試料室の低圧保持機構を
示す概念図である。
【符号の説明】
1・・・X線発生器、2・・・排気装置、3・・・X線
照明系、4・・・試料、5・・・X線拡大光学系、6・
・・真空鏡筒、7・・・X線撮像装置、8・・・モニタ
ー、9・・・試料カプセル、10a、10b・・・X線
透過窓、23・・・培養液などの溶液、24・・・生物
試料、100・・・低圧試料室、101・・・低圧保持
機構、102・・・低圧試料室隔壁、103・・・X線
透過窓、104・・・開放型試料カプセル、105・・
・試料導入棒、106・・・予備排気室、107・・・
ゲートバルブ、108・・・予備排気機構、120・・
・Oリング、130・・・磁気式トランスファーロッ
ド、150・・・試料ステージ、180・・・試料カプ
セル密封機構、201・・・排気装置、202・・・真
空ゲージ、203・・・制御装置、204・・・流量調
整弁、205・・・ガス導入機構 以 上

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、X線発生手段、X線発生手
    段から出射したX線を集光して試料を照明するコンデン
    サー光学系、試料を透過したX線を結像させる結像光学
    系、結像光学系の結像位置に配置された撮像手段、X線
    発生手段から撮像手段までの光路を真空にするための真
    空容器、及び該真空容器内を真空に排気するための排気
    手段を有するX線顕微鏡において、 前記試料を保持した試料カプセル又は該試料カプセルを
    更に保持した試料ホルダーを前記コンデンサー光学系に
    よるX線の集光位置に設置するためのX線透過窓付き収
    納室であって、前記真空容器内の真空度よりも低真空の
    収納室を、前記真空容器内又は前記真空容器に隣接して
    設けたことを特徴とするX線顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記収納室の真空度を水の蒸気圧よりは
    高く、大気圧よりは低い低圧状態にしたことを特徴とす
    る請求項1記載のX線顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記収納室の真空度を10Torr以上、1
    00Torr以下としたことを特徴とする請求項1記載のX
    線顕微鏡。
JP6140534A 1994-06-22 1994-06-22 X線顕微鏡 Pending JPH085800A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH095499A (ja) * 1995-06-16 1997-01-10 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 軟x線顕微鏡
JP2011007766A (ja) * 2009-05-22 2011-01-13 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology X線顕微鏡用試料支持部材、試料収容セル、x線顕微鏡、およびx線顕微鏡像の観察方法
CN110031492A (zh) * 2019-04-26 2019-07-19 中国科学院长春应用化学研究所 X射线衍射仪溶剂蒸气处理原位测试附件

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