JP2000114482A - キャパシタ、その製造方法及び半導体装置 - Google Patents

キャパシタ、その製造方法及び半導体装置

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JP2000114482A
JP2000114482A JP10283723A JP28372398A JP2000114482A JP 2000114482 A JP2000114482 A JP 2000114482A JP 10283723 A JP10283723 A JP 10283723A JP 28372398 A JP28372398 A JP 28372398A JP 2000114482 A JP2000114482 A JP 2000114482A
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Japan
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lower electrode
insulating film
capacitor
iridium
film
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Yoshihiro Mori
義弘 森
Shigeo Irie
重夫 入江
Takashi Otsuka
隆 大塚
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高誘電体を用いたキャパシタが所望の電気的
特性を確実に得られるようにする。 【解決手段】 ケイ素よりなる半導体基板11上に堆積
した二酸化ケイ素よりなる下地絶縁層12には、半導体
基板11上に形成されたトランジスタとキャパシタ13
とを電気的に接続する窒化チタンよりなるコンタクト1
4が選択的に形成されている。コンタクト14の露出面
を含む下地絶縁層12の上面には、高さが約0.7μm
の酸化イリジウムよりなる柱状の下部電極15が形成さ
れ、該下部電極15の上面及び側面を覆うように厚さが
10nmの五酸化タンタルよりなる容量絶縁膜16が形
成され、該容量絶縁膜16における下部電極15を覆う
領域の上に厚さが約0.1μmの酸化イリジウムよりな
る上部電極17が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高誘電体を容量絶
縁膜に用いたキャパシタ及びその製造方法、並びに、該
キャパシタを用いた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイナミックランダムアクセスメモリ
(DRAM)における1ビットの情報を記憶するセル
は、1個のMOSトランジスタと1個のキャパシタとか
らなり、さらに、キャパシタは誘電体膜の両面がそれぞ
れ2つの電極に挟まれた構造を持つ。この誘電体膜を介
して電荷が蓄積されるため、この誘電体膜は容量絶縁膜
と呼ばれる。また、2つの電極を基板側から順に下部電
極及び上部電極と呼ぶことにする。
【0003】セルの面積はDRAMの大規模集積化に伴
って微細化が進んでおり、微細化に伴って当然キャパシ
タの面積も小さくなる。このような微細化に対応するに
は、単位面積当りの容量を大きくすることが有効であ
る。このため、例えば、五酸化タンタル(Ta25
又はペロブスカイト構造を有するチタン酸バリウムスト
ロンチウム(BST)のような高誘電体よりなる容量絶
縁膜が用いられる。これらの高誘電体は薄膜でもそれぞ
れ50及び300程度の比誘電率を有している。
【0004】高誘電体は酸素を主な構成元素として含ん
でいる。しかし、酸素は容量絶縁膜の成膜時や成膜後の
熱処理において容量絶縁膜中から抜けやすく、また、電
極を通して容量絶縁膜中に下地層の構成原子が侵入して
くる。これらを相互拡散と呼ぶ。従って、電極には相互
拡散が生じにくい材料を用いる必要がある。
【0005】その上、侵入してきた少量の酸素によって
電極の一部が酸化したとしても絶縁膜とならないことが
要求される。特に、下部電極は上部電極に比べて容量絶
縁膜の成膜や容量絶縁膜の膜質改良のためのアニールに
よる熱処理を受けるため、上述のように絶縁膜とならな
い性質を持っていることが重要である。
【0006】このため、従来、五酸化タンタル用の下部
電極には、ルテニウム、白金(例えば、Extende
d Abstracts of the Intern
ational Conference on Sol
id State Devices and Mate
rials 1997、pp.36,37)が用いら
れ、BST用の下部電極には、ルテニウム、酸化ルテニ
ウム、イリジウム、酸化イリジウム、白金(例えば、I
EDM97、pp.253−256)、又は酸素添加白
金(例えば、第58回応用物理学会学術講演会講演予稿
集507頁2a−PC−16)等の貴金属が用いられて
いる。これらの下部電極は、容量絶縁膜の成膜時の高温
下における相互拡散をある程度抑制でき、また、酸素が
侵入しても導電性を維持できる。
【0007】一方、ペロブスカイト構造を有するタンタ
ル酸ビスマスストロンチウム(SBT)やジルコン酸チ
タン酸鉛(PZT)等のヒステリシス特性を有する強誘
電体を容量絶縁膜に用いた不揮発性メモリでも、上述と
同様に容量絶縁膜中から酸素が抜けやすい性質がある。
従って、SBTの下部電極には主に白金(例えば、IE
DM97、609〜612頁)が用いられ、、PZTの
下部電極には主に酸化イリジウムや白金(例えば、第4
5回応用物理学関係連合講演会講演予稿集565頁29
p−ZF−12)が用いられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の高誘電率の容量絶縁膜を持つキャパシタは、所望の
電気的特性を得られないという問題がある。
【0009】本発明は、前記従来の問題を解決し、高誘
電体を用いたキャパシタが所望の電気的特性を確実に得
られるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1のキャ
パシタは、基板上に順次形成された、下部電極、容量絶
縁膜及び上部電極とを備え、下部電極は酸化イリジウム
よりなり、容量絶縁膜はタンタル酸化物よりなる。
【0011】第1のキャパシタによると、下部電極が酸
化イリジウムよりなり、該酸化イリジウムは、酸化膜と
の密着強度が大きいため、酸化物よりなる容量絶縁膜と
の密着性が高くなる。また、酸化イリジウムは、フェル
ミ準位から真空準位までのエネルギーである仕事関数が
相対的に大きいため、五酸化タンタルとの間に生じる電
子の障壁が高くなる。さらに、酸化イリジウムは強固な
不動体であるため、成膜中やその後の熱処理工程におい
て、容量絶縁膜に含まれるタンタル及び酸素を通さな
い。さらに、容量絶縁膜が五酸化タンタルよりなるた
め、該五酸化タンタルはプロセス上比較的容易に生成で
きる。
【0012】本発明に係る第2のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極は酸素が添加されたイリジウムより
なる。
【0013】第2のキャパシタによると、下部電極が、
酸素が添加されたイリジウムよりなり、結晶構造が、イ
リジウムでは面心立方格子構造であり、酸化イリジウム
ではルチル型構造であるため、下部電極の結晶構造が安
定な場合には、ほぼイリジウムよりなる多数のグレイン
が形成され、且つ、該グレイン同士の境界(粒界)に該
粒界を充填する不動態のほぼ酸化イリジウムよりなる充
填層が形成される。
【0014】本発明に係る第3のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極は酸素が添加されたイリジウムより
なる多数の結晶粒を含み、結晶粒同士の間の領域の酸素
の含有率は、結晶粒の酸素の含有率よりも大きい。
【0015】第3のキャパシタによると、下部電極が、
酸素が添加されたイリジウムよりなり、下部電極の結晶
構造が安定な場合には、ほぼイリジウムよりなる多数の
グレインが形成され、且つ、該グレイン同士の境界(粒
界)に該粒界を充填するほぼ酸化イリジウムよりなる充
填層が形成される。このため、結晶粒同士の間の領域
(粒界)の酸素の含有率が、結晶粒の酸素の含有率より
も大きいと、粒界には不動態となる酸化イリジウムが確
実に形成されていることになる。
【0016】本発明に係る第4のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極はルテニウムが添加されたイリジウ
ムよりなる。
【0017】第4のキャパシタによると、下部電極が、
ルテニウムが添加されたイリジウムよりなり、結晶構造
が、イリジウムでは面心立方格子構造であり、ルテニウ
ムでは六方最密充填構造であるため、ルテニウムの添加
率が所定比よりも小さい場合には、立方晶形が維持され
る。従って、下部電極は、ルテニウムを含むためイリジ
ウムと比べてエッチングが容易となると共に、イリジウ
ムのルテニウムと比べた仕事関数の大きさを維持でき
る。
【0018】本発明に係る第5のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極はルテニウム及び酸素が添加された
イリジウムよりなる。
【0019】第5のキャパシタによると、下部電極が、
ルテニウム及び酸素が添加されたイリジウムよりなり、
結晶構造が、イリジウムでは面心立方格子構造であり、
ルテニウムでは六方最密充填構造であり、酸化イリジウ
ム及び酸化ルテニウムはでルチル型構造である。このた
め、ルテニウムの添加率が所定比よりも小さい場合に
は、面心立方格子構造を維持したままほぼイリジウム及
びルテニウムの混晶よりなる多数のグレインが形成さ
れ、且つ、粒界に該粒界を充填するほぼ酸化イリジウム
及び酸化ルテニウムよりなる充填層が形成される。従っ
て、下部電極は、ルテニウムを含むためイリジウムと比
べてエッチングが容易となると共に、イリジウムのルテ
ニウムと比べた仕事関数の大きさを維持できる。その
上、粒界には不動態の酸化イリジウムが形成される。
【0020】本発明に係る第6のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極はルテニウム及び酸素が添加された
イリジウムよりなる多数の結晶粒を含み、結晶粒同士の
間の領域の酸素の含有率は、結晶粒の酸素の含有率より
も大きい。
【0021】第6のキャパシタによると、第5のキャパ
シタにおいて、粒界の酸素の含有率が、結晶粒の酸素の
含有率よりも大きいため、粒界には不動態となる酸化イ
リジウムが確実に形成されていることになる。
【0022】第4〜第6のキャパシタにおいて、ルテニ
ウムのイリジウムに対する添加率が40%(atomic%)
以下であることが好ましい。このようにすると、グレイ
ンの結晶構造がイリジウムの結晶構造である面心立方格
子構造を確実に維持できる。
【0023】本発明に係る第7のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極は酸化ルテニウムが添加された酸化
イリジウムよりなる。
【0024】第7のキャパシタによると、下部電極が、
酸化ルテニウムが添加された酸化イリジウムよりなり、
結晶構造が共にルチル型構造であるため混晶となる。従
って、混晶比が酸化ルテニウムよりも酸化イリジウムの
方が大きい場合には、仕事関数を大きな値に維持でき、
且つ、酸化膜との密着性が高くなる。さらに、不動態と
なる酸化イリジウムに該酸化イリジウムよりもエッチン
グが容易な酸化ルテニウムが添加されているため、混晶
のエッチングも容易となる。
【0025】本発明に係る第8のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極はイリジウムが添加されたルテニウ
ムよりなる。
【0026】第8のキャパシタによると、下部電極が、
イリジウムが添加されたルテニウムよりなり、結晶構造
が、ルテニウムでは六方最密充填構造であり、イリジウ
ムでは面心立方格子構造であるため、イリジウムの添加
率が所定比よりも小さい場合には、六方最密充填構造を
維持したままルテニウム及びイリジウムの混晶よりなる
多数のグレインが形成される。従って、イリジウムの添
加率を所定比まで大きくすると、仕事関数を大きくでき
る上に、エッチングの容易さが損なわれない。
【0027】本発明に係る第9のキャパシタは、基板上
に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電極
とを備え、下部電極はイリジウム及び酸素が添加された
ルテニウムよりなる。
【0028】第9のキャパシタによると、結晶構造が、
ルテニウムでは六方最密充填構造であり、イリジウムで
は面心立方格子構造であり、酸化ルテニウム及び酸化イ
リジウムではルチル型構造である。このため、イリジウ
ムの添加率が所定比よりも小さい場合には、六方最密充
填構造を維持したままほぼルテニウム及びイリジウムの
混晶よりなる多数のグレインが形成され、且つ、粒界に
該粒界を充填するほぼ酸化ルテニウム及び酸化イリジウ
ムよりなる充填層が形成される。従って、下部電極は、
ルテニウムのみの場合よりも仕事関数が大きくなると共
にエッチングの容易さが損なわれない。その上、粒界に
は酸化ルテニウムと不動態の酸化イリジウムとの混晶が
形成される。
【0029】本発明に係る第10のキャパシタは、基板
上に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電
極とを備え、下部電極はイリジウム及び酸素が添加され
たルテニウムよりなる多数の結晶粒を含み、結晶粒同士
の間の領域の酸素の含有率は、結晶粒の酸素の含有率よ
りも大きい。
【0030】第10のキャパシタによると、第9のキャ
パシタにおいて、粒界の酸素の含有率が、結晶粒の酸素
の含有率よりも大きいため、粒界には不動態となる酸化
イリジウムが確実に形成されていることになる。
【0031】第8〜10のキャパシタにおいて、イリジ
ウムのルテニウムに対する添加率が45%(atomic%)
以下であることが好ましい。このようにすると、グレイ
ンはルテニウムの結晶構造である六方最密充填構造を確
実に維持できる。
【0032】本発明に係る第11のキャパシタは、基板
上に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電
極とを備え、下部電極は酸化イリジウムが添加された酸
化ルテニウムよりなる。
【0033】第11のキャパシタによると、下部電極
が、酸化イリジウムが添加された酸化ルテニウムよりな
り、結晶構造が共にルチル型構造であるため混晶とな
る。従って、酸化ルテニウムよりも仕事関数が大きい酸
化イリジウムが添加されているため、仕事関数が大きく
なり、且つ、不動態の酸化イリジウムにより酸化膜との
密着性が高くなる。さらに、酸化ルテニウムのエッチン
グ容易性が損なわれない。
【0034】本発明に係る第12のキャパシタは、基板
上に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電
極とを備え、下部電極は酸化イリジウム又は酸化ルテニ
ウムが添加された白金よりなる。
【0035】第12のキャパシタによると、下部電極
が、酸化イリジウム及び酸化ルテニウムが添加された白
金よりなり、結晶構造が、白金では面心立方格子構造で
あり、酸化イリジウム及び酸化ルテニウムではルチル型
構造である。従って、結晶構造が安定な場合には、白金
よりなるグレインが形成され、且つ、粒界に該粒界を充
填するほぼ酸化イリジウム及び酸化ルテニウムよりなる
充填層が形成される。
【0036】本発明に係る第13のキャパシタは、基板
上に順次形成された、下部電極、容量絶縁膜及び上部電
極とを備え、下部電極は酸素とイリジウム又はルテニウ
ムとを含む添加材が添加された白金よりなる多数の結晶
粒を含み、結晶粒同士の間の領域における添加材の含有
率は、結晶粒における添加材の含有率よりも大きい。
【0037】第13のキャパシタによると、下部電極
が、酸素とイリジウム又はルテニウムとを含む添加材が
添加された白金よりなり、結晶構造が、白金及びイリジ
ウムでは面心立方格子構造であり、ルテニウムでは六方
最密充填構造であり、酸化イリジウム及び酸化ルテニウ
ムではルチル型構造である。従って結晶構造が安定な場
合には、白金は極めて酸化されにくいため、ほぼ白金及
びイリジウムよりなるグレインと、添加された酸素によ
り酸化されてなる酸化イリジウム及び酸化ルテニウムが
粒界の充填層となる。
【0038】本発明に係る第14のキャパシタは、基板
上に形成された下地絶縁膜と、下地絶縁膜の上に形成さ
れ、貴金属、貴金属の導電性酸化物、高融点金属又は高
融点金属の導電性化合物の導電性材料よりなる柱状の下
部電極と、下部電極の上面及び側面を覆うように形成さ
れた容量絶縁膜と、容量絶縁膜における下部電極を覆う
領域の上に形成された上部電極と、下部電極の上面と容
量絶縁膜との間に形成された保護絶縁膜とを備えてい
る。
【0039】第14のキャパシタによると、柱状の下部
電極の上面と容量絶縁膜との間に形成された保護絶縁膜
を備えているため、容量絶縁膜における下部電極の上面
側の屈曲部の内側に保護絶縁膜が位置することになり、
容量絶縁膜の屈曲部に粒界が生成されている場合であっ
ても、この粒界が下部電極のリークパスとならない。
【0040】本発明に係る第15のキャパシタは、基板
上に形成された下地絶縁膜と、下地絶縁膜の上に形成さ
れ、貴金属、貴金属の導電性酸化物、高融点金属又は高
融点金属の導電性化合物の導電性材料よりなる有底筒状
の下部電極と、下部電極の外側面、内側面、上縁部及び
底面を覆うように形成された容量絶縁膜と、容量絶縁膜
における下部電極を覆う領域の上に形成された上部電極
と、下部電極の上縁部と容量絶縁膜との間に形成された
保護絶縁膜とを備えている。
【0041】第15のキャパシタによると、有底筒状の
下部電極の上縁部と容量絶縁膜との間に形成された保護
絶縁膜を備えているため、容量絶縁膜における下部電極
の上端側の屈曲部の内側に保護絶縁膜が位置することに
なり、容量絶縁膜の屈曲部に粒界が生成されている場合
であっても、この粒界が下部電極のリークパスとならな
い。
【0042】第14又は第15のキャパシタにおいて、
導電性材料が、白金、イリジウム、ルテニウム又はこれ
らのうちの少なくとも2つの金属の合金、酸化イリジウ
ム、酸化ルテニウム又はこれらの酸化物の混晶よりなる
ことが好ましい。
【0043】第14又は第15のキャパシタにおいて、
下部電極の側面と保護絶縁膜の側面とが滑らかに連続し
ていることが好ましい。
【0044】第14又は第15のキャパシタにおいて、
下部電極が、下地絶縁膜が有する凸部の上に形成されて
いることが好ましい。このようにすると、下部電極と下
地絶縁膜とを覆う容量絶縁膜の屈曲部が、下部電極と下
地絶縁膜の凸部との界面よりも下側に位置するため、屈
曲部に粒界が生成されたとしても、この粒界が下部電極
のリークパスとならない。
【0045】この場合に、下地絶縁膜の凸部の側面と下
部電極の側面とが滑らかに連続していることが好まし
い。
【0046】本発明に係る第1のキャパシタの製造方法
は、基板上に、酸素を添加したイリジウム膜よりなる下
部電極を形成する下部電極形成工程と、下部電極の上に
容量絶縁膜を形成する容量絶縁膜形成工程と、容量絶縁
膜の上に上部電極を形成する上部電極形成工程とを備
え、下部電極形成工程は、イリジウム膜に生成される結
晶粒における結晶粒界の酸素濃度が結晶粒の酸素濃度よ
りも大きくなるように、イリジウム膜に対してアニール
を行なう工程を有している第1のキャパシタの製造方法
によると、酸素を添加したイリジウム膜に生成される結
晶粒における結晶粒界の酸素濃度が結晶粒の酸素濃度よ
りも大きくなるようにイリジウム膜に対してアニールを
行なうため、本発明の第2のキャパシタを確実に実現で
きる。
【0047】本発明に係る第2のキャパシタの製造方法
は、基板上に、ルテニウム及び酸素を添加したイリジウ
ム膜よりなる下部電極を形成する下部電極形成工程と、
下部電極の上に容量絶縁膜を形成する容量絶縁膜形成工
程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する上部電極形
成工程とを備え、下部電極形成工程は、イリジウム膜を
構成する原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動する
ようにイリジウム膜に対してアニールを行なう工程を有
している。
【0048】第2のキャパシタの製造方法によると、ル
テニウム及び酸素が添加されたイリジウム膜を構成する
原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動するようにイ
リジウム膜に対してアニールを行なうため、本発明の第
5のキャパシタを確実に実現できる。
【0049】本発明に係る第3のキャパシタの製造方法
は、基板上に、イリジウム及び酸素を添加したルテニウ
ム膜よりなる下部電極を形成する下部電極形成工程と、
下部電極の上に容量絶縁膜を形成する容量絶縁膜形成工
程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する上部電極形
成工程とを備え、下部電極形成工程は、ルテニウム膜を
構成する原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動する
ようにルテニウム膜に対してアニールを行なう工程を有
している。
【0050】第3のキャパシタの製造方法によると、イ
リジウム及び酸素が添加されたルテニウム膜を構成する
原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動するようにル
テニウム膜に対してアニールを行なうため、本発明の第
9のキャパシタを確実に実現できる。
【0051】本発明に係る第4のキャパシタの製造方法
は、基板上に、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムを添
加した白金膜よりなる下部電極を形成する下部電極形成
工程と、下部電極の上に容量絶縁膜を形成する容量絶縁
膜形成工程と、容量絶縁膜の上に上部電極を形成する上
部電極形成工程とを備え、下部電極形成工程は、白金膜
を構成する原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動す
るように導電膜に対してアニールを行なう工程を有して
いる。
【0052】第4のキャパシタの製造方法によると、酸
化イリジウム又は酸化ルテニウムを添加した白金膜を構
成する原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動するよ
うに白金膜に対してアニールを行なうため、本発明の第
12のキャパシタを確実に実現できる。
【0053】本発明に係る第5のキャパシタの製造方法
は、基板上の下地絶縁膜の上に、貴金属、貴金属の導電
性酸化物、高融点金属又は高融点金属の導電性化合物よ
りなる下部電極形成膜を堆積する下部電極形成膜堆積工
程と、下部電極形成膜の上に保護絶縁膜を堆積する保護
絶縁膜堆積工程と、保護絶縁膜及び下部電極形成膜に対
して選択的にエッチングを行なうことにより、上部に保
護絶縁膜を有する下部電極形成膜よりなる柱状の下部電
極を形成する下部電極形成工程と、絶縁膜を下部電極の
上面及び側面を覆うように堆積することにより、絶縁膜
よりなる容量絶縁膜を形成する容量絶縁膜形成工程と、
容量絶縁膜における下部電極を覆う領域の上に上部電極
を形成する上部電極形成工程とを備えている。
【0054】第5のキャパシタの製造方法によると、下
地絶縁膜の上に、貴金属、貴金属の導電性酸化物、高融
点金属又は高融点金属の導電性化合物よりなる下部電極
形成膜を堆積し、その後、下部電極形成膜の上に保護絶
縁膜を堆積する。続いて、保護絶縁膜及び下部電極形成
膜に対して選択的にエッチングを行なうことにより、上
部に保護絶縁膜を有する柱状の下部電極を形成するた
め、本発明の第14のキャパシタを確実に実現できる。
【0055】第5の製造方法において、下部電極形成工
程が、下部電極の側面と保護絶縁膜の側面とが側面が滑
らかに連続するようにエッチングを行なう工程を含むこ
とが好ましい。
【0056】本発明に係る第6のキャパシタの製造方法
は、基板上の下地絶縁膜の上に、開口部を有するマスク
パターンを形成するマスクパターン形成工程と、開口部
が充填されるようにマスクパターンの上に全面にわたっ
て導電膜を堆積する導電膜堆積工程と、導電膜に対して
エッチングを行なうことにより、マスクパターンの上面
を露出させると共に導電膜における開口部の上部に導電
膜が除去されてなる空間部を形成する空間部形成工程
と、空間部に保護絶縁膜を充填した後、マスクパターン
を除去することにより、上部に保護絶縁膜を有し且つ導
電膜よりなる下部電極を形成する下部電極形成工程と、
下部電極の上面及び側面を覆うように容量絶縁膜を形成
する容量絶縁膜形成工程と、容量絶縁膜における下部電
極を覆う領域の上に上部電極を形成する上部電極形成工
程とを備えている。
【0057】第6のキャパシタの製造方法によると、基
板上の下地絶縁膜の上に、開口部を有するマスクパター
ンを形成した後、マスクパターンの上に全面にわたって
導電膜を堆積することにより、開口部に導電膜を充填す
る。その後、導電膜に対してエッチングを行なうことに
より、マスクパターンの上面を露出させると共に導電膜
における開口部の上部に導電膜が除去されてなる空間部
を形成し、続いて、該空間部に保護絶縁膜を充填した
後、マスクパターンを除去することにより、上部に保護
絶縁膜を有する下部電極を形成するため、本発明の第1
4のキャパシタを確実に実現できる。
【0058】本発明に係る第7のキャパシタの製造方法
は、基板上の下地絶縁膜の上に、開口部を有するマスク
パターンを形成するマスクパターン形成工程と、開口部
の底面及び壁面を含むマスクパターンの上に全面にわた
って導電膜を堆積する導電膜堆積工程と、開口部が充填
されるように導電膜の上に全面にわたって導電膜とのエ
ッチング選択比が大きい充填材を堆積する充填材堆積工
程と、導電膜に対してエッチングを行なうことにより、
マスクパターンの上面を露出させると共に導電膜におけ
る開口部の壁面上部に導電膜が除去されてなる空間部を
形成する空間部形成工程と、空間部に保護絶縁膜を充填
した後、マスクパターン及び充填材を除去することによ
り、上縁部に保護絶縁膜を有し且つ導電膜よりなる有底
筒状の下部電極を形成する下部電極形成工程と、下部電
極の外側面、内側面、上縁部及び底面に容量絶縁膜を形
成する容量絶縁膜形成工程と、容量絶縁膜における下部
電極を覆う領域の上に上部電極を形成する上部電極形成
工程とを備えている。
【0059】第7のキャパシタの製造方法によると、開
口部を有するマスクパターンを形成した後、開口部の底
面及び壁面を含むマスクパターンの上に全面にわたって
導電膜を堆積し、続いて、開口部が充填されるように導
電膜の上に全面にわたって導電膜とのエッチング選択比
が大きい充填材を堆積することにより、開口部に充填材
を充填する。その後、導電膜に対してエッチングを行な
うことにより、マスクパターンの上面を露出させると共
に導電膜における開口部の壁面上部に導電膜が除去され
てなる空間部を形成し、続いて、該空間部に保護絶縁膜
を充填した後、マスクパターン及び充填材を除去するこ
とにより、上縁部に保護絶縁膜を有する有底筒状の下部
電極を形成するため、本発明の第15のキャパシタを確
実に実現できる。
【0060】第5〜第7のキャパシタの製造方法におい
て、導電膜が、貴金属、貴金属の導電性酸化物、高融点
金属又は高融点金属の導電性化合物であることが好まし
い。
【0061】第5〜第7のキャパシタの製造方法は、下
部電極形成工程と容量絶縁膜形成工程との間に、下部電
極をマスクとして下地絶縁膜の上部に対してエッチング
を行なうことにより、下地絶縁膜における下部電極の周
辺部を掘削する下地絶縁膜掘削工程をさらに備えている
ことが好ましい。
【0062】第5〜第7のキャパシタの製造方法が、下
地絶縁膜掘削工程を備えている場合に、下地絶縁膜掘削
工程が、下部電極の側面と下地絶縁膜の側面とが滑らか
に連続するようにエッチングを行なう工程を含むことが
好ましい。
【0063】本発明に係る第1の半導体装置は、半導体
基板上に形成され、酸化イリジウムよりなる下部電極
と、該下部電極の上に形成され、タンタル酸化物よりな
る容量絶縁膜と、該容量絶縁膜の上に形成された上部電
極とから構成されたキャパシタを備えている。
【0064】本発明に係る第2の半導体装置は、半導体
基板上に形成され、酸素が添加されたイリジウムよりな
る下部電極と、該下部電極の上に形成された容量絶縁膜
と、該容量絶縁膜の上に形成された上部電極とから構成
されたキャパシタを備えている。
【0065】本発明に係る第3の半導体装置は、半導体
基板上に順次形成され、酸素が添加されたイリジウムよ
りなる下部電極と、容量絶縁膜と、上部電極とから構成
されたキャパシタを備え、下部電極は、多数の結晶粒を
含み、該結晶粒同士の間の領域の酸素の含有率は、結晶
粒の酸素の含有率よりも大きい。
【0066】
【発明の実施の形態】本願発明者らは、従来の高誘電体
を容量絶縁膜に持つキャパシタが、所望の電気的特性が
得られない原因を種々検討した結果、キャパシタの下部
電極の材料に関する第1の問題と、キャパシタの構造に
関する第2の問題とを見出している。
【0067】以下、第1の問題について説明する。
【0068】まず、ルテニウム及び酸化ルテニウムは、
仕事関数が小さく、容量絶縁膜との間の電位障壁が小さ
いため、電圧を上げると電子が電位障壁を容易に飛び越
えるようになるので、リーク電流の電流値が大きくな
る。また、容量絶縁膜との密着性が低く、且つ、DRA
M等の半導体装置においては下地層との密着性が低い。
さらに、ルテニウムは高温の酸素雰囲気で表面が荒れる
ため、ルテニウムを覆う容量絶縁膜の表面が平坦となら
ないので、リークパスを形成しやすい。
【0069】次に、イリジウムは、容量絶縁膜や下地層
との密着性が低い。また、ルテニウムと比べてエッチン
グが困難であり、高温化では電極中への酸素の侵入を抑
制しにくい。また、酸化イリジウムも、ルテニウムと比
べてエッチングが難しい。
【0070】次に、白金は、容量絶縁膜や下地層との密
着性が低く、エッチングが難しい。さらに、白金は、高
温下で結晶を構成する原子が再配置することにより表面
が荒れる。その上、水素に対する触媒作用を有するた
め、容量絶縁膜の水素による還元を助長するので、容量
絶縁膜のリーク電流の増大や比誘電率の劣化が著しい。
また、白金の結晶は細かい結晶粒(グレイン)から構成
されている。このようなグレインはルテニウムやイリジ
ウムにも存在するが、特に白金の場合は、グレイン同士
の境界(粒界)で相互拡散が容易に生じやすい。その結
果、容量絶縁膜中の酸素が抜けやすく且つ容量絶縁膜の
周囲に位置する材料の構成原子が侵入しやすいためリー
ク電流が増大する。なお、酸素添加白金は、あらかじめ
酸素を白金中に添加することによって酸素の侵入を抑制
する効果がある。
【0071】一方、このような問題を下部電極に異なる
元素を添加して改良する方法が開示されている。例え
ば、特開平9−260603号公報には、貴金属と高融
点金属との非晶質合金を用いることにより、高温下での
表面の荒れと、容量絶縁膜及び下地層の構成原子の相互
拡散とを抑制できることが示されている。この抑制効果
は、貴金属と高融点金属との合金が温度が600℃以下
ではアモルファス状態であることに起因している。アモ
ルファスであるためグレインが存在せず、従って、粒界
がない。相互拡散は原子が粒界部分を通ることによって
生じるが、この原子が通る粒界がないため、拡散を抑制
できる。
【0072】また、特開平8−250660号公報に
は、白金に、表面改質材としてルテニウム(Ru)、ロ
ジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(O
s)又はイリジウム(Ir)のいずれかを添加すること
によって白金と容量絶縁膜の構成原子との格子定数が近
くなるため、容量絶縁膜が界面近傍において結晶化しや
すくなり、また、グレインサイズも大きくできるので、
容量絶縁膜の比誘電率が増大することが示されている。
【0073】しかしながら、特開平9−260603号
公報に示される方法では、解決できる内容が限られてい
る。すなわち、該公報においては、下部電極に対して温
度が600℃を超える熱処理を行なうと下部電極材料に
再結晶化が起こり、下部電極は多数の細かいグレインか
らなる多結晶体となる。BST、SBT又は五酸化タン
タル等よりなる容量絶縁膜は成膜後にアニールを行なっ
て結晶化や成膜時の不純物除去をすることが必須である
が、このアニールの温度は600℃を超えてしまう。該
公報によるとグレインサイズが小さいため、下部電極の
表面に生じる凹凸は微小であると思われるが、結晶中に
は多数の粒界が発生し、相互拡散を回避できない。一
方、特開平8−250660号公報においては、結晶の
格子定数は変わるものの、グレインの発生を抑制できな
いため、粒界を通る相互拡散を回避できない。
【0074】従って、本発明に係るキャパシタは、以下
に示す電極材料ごとの第1の問題の解決に特に効果を発
揮する。
【0075】1)ルテニウムは、仕事関数が小さいため
リーク電流が大きいこと、容量絶縁膜及び絶縁層との密
着性が低いこと、高温時に酸素雰囲気下で表面が荒れる
こと。
【0076】2)酸化ルテニウムは、真空からの仕事関
数が小さいため、リーク電流が大きいこと、容量絶縁膜
及び絶縁層との密着性が低いこと。
【0077】3)イリジウムは、容量絶縁膜及び下地層
との密着性が低いこと、ルテニウムと比べてエッチング
が困難なこと、高温化では内部への酸素の侵入を抑制し
にくいこと。
【0078】4)酸化イリジウムは、ルテニウムと比べ
てエッチングが困難なこと。
【0079】5)白金は、容量絶縁膜及び下地層との密
着性が低いこと、エッチングが極めて困難なこと、容量
絶縁膜中の酸素が白金のグレイン間を通り抜けるため、
リーク電流が増大すること。
【0080】以下、第2の問題について図面を参照しな
がら説明する。
【0081】図24は従来のキャパシタの断面構成を示
している。図24に示すように、半導体基板101上に
堆積した二酸化ケイ素(SiO2 )よりなる下地絶縁層
102には、基板101とキャパシタ103とを電気的
に接続する窒化チタン(TiN)よりなるコンタクト1
04が選択的に形成されている。コンタクト104の露
出面を含む下地絶縁層102の上面には、高さが約0.
7μmのルテニウムよりなる円柱状の下部電極105が
形成され、該下部電極105の上面及び側面を覆うよう
に厚さが10nmの五酸化タンタルよりなる容量絶縁膜
106及び厚さが約0.1μmのルテニウムよりなる上
部電極107が順次形成されている。
【0082】容量絶縁膜106は、低温の化学的気相堆
積法(以下、CVD法)を用いて、下地絶縁層102上
に、アモルファス状の五酸化タンタルを堆積した後、温
度が600℃から800℃程度の高温のアニールを行な
って、五酸化タンタルを再結晶化させる。この結晶化
は、下部電極105を構成するルテニウム原子の結晶格
子の配向方向やグレインサイズといった条件により下部
電極105との界面から始まり、図中に付した矢印の方
向に進む。
【0083】従って、あらかじめ熱処理を行なって下部
電極105のルテニウムの配向性を向上させておくと、
容量絶縁膜106の五酸化タンタルの結晶のグレインサ
イズは大きくなり、粒界に起因するリーク電流は小さく
できる。
【0084】すなわち、容量絶縁膜106の上部屈曲部
106aにおいては図中の矢印が示す方向に結晶の進行
方向が直交するため、上部屈曲部106aに結晶の不連
続部分が生じる。この不連続部分は粒界が広がるため、
大きなリーク電流が発生してしまう。
【0085】同様に、容量絶縁膜106の下部屈曲部1
06bにおいても図中の矢印が示す方向に結晶の進行方
向が直交するため、下部屈曲部106bに結晶の不連続
部分が生じやすい。さらに、下地絶縁層102は二酸化
ケイ素よりなるため、五酸化タンタルのグレインサイズ
が小さくなりやすく、配向する方向も揃いにくい。その
結果、下部屈曲部106bに大きな粒界が生じるため、
生じた粒界に沿ってリーク電流値も増大することとな
る。
【0086】従って、本発明に係る他のキャパシタは、
容量絶縁膜の各屈曲部に絶縁膜が位置する構成を採るこ
とにより、第2の問題を解決する。
【0087】(第1の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第1の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0088】図1は本発明の第1の実施形態に係るキャ
パシタの断面構成を示している。図1に示すように、例
えば、ケイ素(Si)よりなる半導体基板11上に堆積
した二酸化ケイ素又は窒化ケイ素(SiN)よりなる下
地絶縁層12には、半導体基板11上に形成されたトラ
ンジスタ(図示せず)とキャパシタ13とを電気的に接
続する窒化チタン又はポリシリコンよりなるコンタクト
14が選択的に形成されている。コンタクト14の露出
面を含む下地絶縁層12の上面には、高さが約0.7μ
mの酸化イリジウムよりなる柱状の下部電極15が形成
され、該下部電極15の上面及び側面を覆うように厚さ
が10nmの五酸化タンタルよりなる容量絶縁膜16が
形成され、容量絶縁膜16における下部電極15を覆う
領域の上に厚さが約0.1μmの酸化イリジウムよりな
る上部電極17が形成されている。
【0089】酸化イリジウムは酸化膜等との密着強度が
大きいため、下部電極15と容量絶縁膜16、コンタク
ト14及び下地絶縁層12とそれぞれとの密着性が高く
なるので、成膜後に続く高温の熱処理工程における膜剥
れを防止できる。また、過酷な条件での長期間使用に耐
えられるようになり、長期信頼性が向上する。
【0090】また、酸化イリジウムは仕事関数が大き
く、五酸化タンタルとの間に生じる電子の障壁が高くな
る。このため、酸化イリジウムよりなる電極を持つキャ
パシタに1.5V以上の高電圧を印加したとしても、電
子が障壁を飛び越えることによる生じるリーク電流を抑
制することができる。
【0091】その上、酸化イリジウムは強固な不動態で
あるため、成膜中やその後の高温熱処理工程において、
容量絶縁膜16の構成元素であるタンタル及び酸素を通
さず、また、下地絶縁層12の構成元素であるケイ素を
通さない。従って、下部電極15は相互拡散が生じない
ため、五酸化タンタルの組成を均質に保つことができる
ので、キャパシタ13の電気的特性の劣化を防ぐことが
できる。
【0092】また、高温の酸素雰囲気においても、上部
電極17への酸素の侵入がほとんどなく、容量絶縁膜1
6の表面の荒れを抑えることができる。このため、表面
の荒れに起因する電界集中によるリーク電流の増加や信
頼性の劣化を抑制できる。
【0093】さらに、図1に示すように半導体集積回路
に用いた場合には、下地絶縁層12の材料との密着性が
高いため、下部電極15と下地絶縁層12との間に密着
層をわざわざ設ける必要がなくなるので、プロセスを簡
略化できる。
【0094】(第2の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第2の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0095】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、酸素が添加されたイリジウムにより
構成されている。
【0096】イリジウムの結晶構造は面心立方格子構造
であり、酸化イリジウムの結晶構造は、ルチル型構造で
あって、互いに異なっている。従って、キャパシタの下
部電極に酸素添加イリジウムを用いると、図2に示すよ
うに、酸素が偏在し、その微細な構造は、イリジウムを
主成分とするグレイン21と、該グレイン21を取り囲
む酸化イリジウムよりなる充填層22とに概ね分離して
いる。酸化イリジウムは、膜厚が数原子層であっても大
変強固な不動態であり、酸やアルカリに侵されない上
に、相互拡散を効果的に抑制する。一般に、相互拡散は
粒界を拡散原子が通ることによって生じるが、本実施形
態においては、図2に示すように、粒界が酸化イリジウ
ムの充填層22により満たされるため、相互拡散が極め
て生じにくくなり、その結果、下部電極が相互拡散を効
果的に抑制できるようになる。
【0097】また、下部電極の表面は大気中や成膜後の
工程の雰囲気で酸素に触れるため、イリジウムのグレイ
ンが露出したままでは存在しておらず、酸化イリジウム
が形成されている。酸化イリジウムは容量絶縁膜との密
着性が高く、工程の途中での剥がれ防止や素子の信頼性
の向上に効果がある。
【0098】また、図1に示すように半導体集積回路に
用いる場合は、下地絶縁層12の上に酸素添加イリジウ
ムを形成する際に、反応性スパッタ法やCVD法を用い
る。これらの方法を用いると、酸素雰囲気で堆積が始ま
るため、下地絶縁層12との界面が酸化イリジウムとな
るので、下地絶縁層12との密着性が高くなる。
【0099】ところで、反応性スパッタ法やCVD法に
おいては、基板温度が低温の場合に、付着した原子が適
当な格子位置に到達する前に、運動エネルギーを失い固
定されてしまう。このため、成膜された下部電極15
は、酸素が本来の位置になく、部分的なアモルファス状
態となり、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪い
等の欠陥を含む。
【0100】また、図2に示すようなイリジウムよりな
るグレイン21と酸化イリジウムよりなる充填層22と
の分離構造が明確に形成されにくい。そこで、不活性ガ
ス雰囲気中において、温度が600℃〜800℃で時間
が1分〜5分程度のアニールを行なって結晶中で原子を
再配置させることにより、結晶欠陥が回復すると共に図
2に示す構造を得られる。
【0101】(第3の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第3の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0102】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、ルテニウムが添加されたイリジウム
により構成されている。
【0103】イリジウムの結晶構造は面心立方格子構造
であり、ルテニウムの結晶構造は六方最密充填構造であ
って、互いに異なっている。
【0104】また、イリジウムは仕事関数が大きいた
め、イリジウムよりなる電極を持つキャパシタに1V以
上の電圧を印加してもキャパシタのリーク電流は増加し
ないが、エッチングは困難である。これは、塩素と酸素
との混合ガスを用いてドライエッチングを行なう際に、
エッチング時の反応生成物である塩化インジウム及び四
酸化インジウムの揮発性が低いためである。
【0105】一方、ルテニウムは仕事関数が小さいた
め、キャパシタのリーク電流の抑制には不利であるがエ
ッチングが容易である。これは、酸素ガスを用いてドラ
イエッチングを行なう際に、エッチング時の反応生成物
の三酸化ルテニウム及び四酸化ルテニウムの揮発性が高
いためである。
【0106】ところで、イリジウムにルテニウムが添加
された混晶の場合には、原子数比が0%〜40%までの
間で面心立方格子構造が維持される。すなわち、ルテニ
ウムがイリジウムの結晶格子に組み入れられることにな
る。従って、生成される混晶の基本的な電気的特性はイ
リジウムとほぼ同一となるため、仕事関数も大きく低下
しない。
【0107】さらに、この混晶に対して酸素及び塩素の
混合ガスを用いてドライエッチングを行なう際に、添加
されたルテニウムは酸素によってエッチングされやすい
ため、ルテニウムの周囲に位置するイリジウムはラジカ
ルな非結合のボンドができるので、塩素及び酸素による
エッチングが容易となる。また、通常、イリジウムがエ
ッチングされにくいのはその表面に不動態の酸化イリジ
ウムが形成されているためである。しかしながら、ルテ
ニウムの方がイリジウムよりも酸化されやすいため、エ
ッチングガス中の酸素がルテニウムと結合しやすくな
り、その結果、イリジウムが酸素と結合する機会が減る
ことによってもドライエッチングが容易となる。
【0108】また、下部電極の表面は大気中や成膜後の
工程の雰囲気で酸素に触れるため、膜の表面には酸化イ
リジウム及び酸化ルテニウムよりなる混晶が形成されて
いる。この混晶は酸化イリジウムが6割以上を占めるた
め、前述のように容量絶縁膜との密着性が高く、工程の
途中での剥がれ防止や素子の信頼性の向上に効果があ
る。
【0109】また、図1に示すように半導体集積回路に
用いる場合は、下地絶縁層12の上に酸素添加イリジウ
ムを形成する際に、通常、反応性スパッタ法やCVD法
を用いる。ここで、堆積工程の初期にのみ酸素を導入す
ると、酸素雰囲気で堆積するため、下地絶縁層12との
界面は酸化イリジウム及び酸化ルテニウムよりなる混晶
となる。従って、下地絶縁層12との密着性が高くな
る。
【0110】ところで、反応性スパッタ法やCVD法に
おいては、基板温度が低温の場合に、付着した原子が適
当な格子位置に到達する前に、運動エネルギーを失い固
定されてしまう。このため、成膜された下部電極は、部
分的に結晶構造が面心立方格子から崩れたアモルファス
状態となり、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪
い等の欠陥を含む可能性が高い。そこで、不活性ガス雰
囲気中において、温度が600℃〜800℃で時間が1
分〜5分程度のアニールを行なって結晶中で原子を再配
置させることにより、結晶欠陥を回復させることができ
る。
【0111】なお、本実施形態に係るキャパシタは、B
ST又はPZT等の比誘電率が非常に高い材料を容量絶
縁膜に用いると共に下部電極の高さが余り要求されない
場合に、より有効である。
【0112】(第4の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第4の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0113】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、ルテニウム及び酸素が添加されたイ
リジウムにより構成されている。
【0114】前述したように、イリジウムにルテニウム
が添加された混晶の場合には、原子数比が0%〜40%
までの間で面心立方格子構造が維持される。従って、生
成される混晶の基本的な電気的特性はイリジウムとほぼ
同一となり、イリジウムの仕事関数も、たいして低下せ
ずに済む。
【0115】酸化イリジウム及び酸化ルテニウムの結晶
構造は、共にルチル型構造であり、イリジウムとルテニ
ウムとを任意の比率で混合してもルチル型構造となる。
ここでの格子定数は双方の中間の値を示す。従って、キ
ャパシタの下部電極にルテニウム及び酸素が添加された
イリジウムを用いると、酸素が偏在し、その微細な構造
は、図2に示すように、面心立方格子のイリジウム及び
ルテニウムの混晶を主成分とするグレイン21と、該グ
レイン21を取り囲むルチル型構造の酸化イリジウム及
び酸化ルテニウムの混晶よりなる充填層22とに概ね分
離している。
【0116】酸化イリジウムは、極めて強固な不動態で
あり、酸やアルカリに侵されない上に、粒界を通る相互
拡散を効果的に抑制できる。
【0117】本実施形態においては、図2に示すよう
に、粒界が酸化イリジウム及び酸化ルテニウムの混晶で
充填されるが、ルテニウムよりもイリジウムの割合が大
きいため、相互拡散が極めて生じにくくなる。
【0118】また、第3の実施形態と同様に、この混晶
に対して酸素及び塩素の混合ガスを用いてドライエッチ
ングを行なう際に、添加されたルテニウムによってイリ
ジウムにはラジカルな非結合のボンドができるため、塩
素及び酸素によるエッチングが容易となる。その上、強
固な不動態である酸化イリジウムは、ルテニウムの方が
酸化されやすく、エッチングガス中の酸素がルテニウム
と結合しやすいため、イリジウムが酸素と結合する機会
が減ることによってもドライエッチングが容易となる。
【0119】また、下部電極の表面は大気中や成膜後の
工程の雰囲気で酸素に触れるため、膜の表面には酸化イ
リジウム及び酸化ルテニウムよりなる混晶が形成されて
いる。この混晶は酸化イリジウムが6割以上を占めるた
め、容量絶縁膜との密着性が高く、工程の途中での剥が
れ防止や素子の信頼性の向上に効果がある。
【0120】また、図1に示すように半導体集積回路に
用いる場合は、下地絶縁層12の上に酸素添加イリジウ
ムを形成する際に、反応性スパッタ法やCVD法を用い
る。本実施形態においては酸素雰囲気で堆積が始まるた
め、下地絶縁層との界面は酸化イリジウムを多く含む酸
化イリジウム及び酸化ルテニウムの混晶となるので、下
地絶縁層12との密着性が高くなる。
【0121】ところで、反応性スパッタ法やCVD法に
おいては、基板温度が低温の場合に、付着した原子が適
当な格子位置に到達する前に、運動エネルギーを失い固
定されてしまう。このため、成膜された下部電極は、部
分的に結晶構造が面心立方格子から崩れたアモルファス
状態となり、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪
い等の欠陥を含む。そこで、不活性ガス雰囲気中におい
て、温度が600℃〜800℃で時間が1分〜5分程度
のアニールを行なって結晶中で原子を再配置させること
により、結晶欠陥を回復させることができる。
【0122】なお、本実施形態に係るキャパシタは、B
ST又はPZT等の比誘電率が非常に高い材料を容量絶
縁膜に用いると共に下部電極の高さが余り要求されない
場合に、より有効である。
【0123】(第5の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第5の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0124】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、酸化ルテニウムが添加された酸化イ
リジウムにより構成されている。ここで、イリジウムと
ルテニウムとの比率は原子数比で9対1から7対3程度
までとする。
【0125】酸化イリジウム及び酸化ルテニウムの混晶
はルチル型の結晶構造である。酸化イリジウムを主体と
するため、この混晶の基本的な電気的特性は酸化イリジ
ウムとほぼ同一となる。混晶の仕事関数はルテニウムの
添加率が増えるにつれて小さくなるが、それでも、ルテ
ニウムと比べるとかなり高く維持できる。その上、酸化
イリジウムは、数原子層であっても極めて強固な不動態
であるため相互拡散を効果的に抑制できる。この混晶で
はルテニウムよりもイリジウムの割合が大きいため、相
互拡散が極めて生じにくくなる。
【0126】また、酸化イリジウムは前述のように強固
な不動態でありエッチングが困難であるが、ルテニウム
の方が酸化されやすいので、エッチングガス中の酸素は
ルテニウムと結合しやすい。このためイリジウムは酸素
と結合しにくくなりドライエッチングが容易となる。
【0127】また、下部電極の表面は、主たる混晶成分
が酸化イリジウムであるため、容量絶縁膜との密着性が
高く、工程の途中での剥がれ防止や、素子の信頼性の向
上に効果がある。また、図1のように半導体集積回路に
用いる場合にも、同様の理由で下地絶縁層12との密着
性が高い。
【0128】ところで、低温で反応性スパッタ法やCV
D法を用いた成膜直後の下部電極は、部分的に結晶構造
が面心立方格子構造から崩れたアモルファス状態とな
り、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪い等の欠
陥を含む可能性が高い。そこで、不活性ガス雰囲気中に
おいて、温度が600℃〜800℃で時間が1分〜5分
程度のアニールを行なって結晶中で原子を再配置させる
ことにより、結晶欠陥を回復させることができる。
【0129】なお、本実施形態に係るキャパシタは、B
ST又はPZT等の比誘電率が非常に高い材料を容量絶
縁膜に用いると共に下部電極の高さが余り要求されない
場合に、より有効である。
【0130】(第6の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第6の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0131】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、イリジウムが添加されたルテニウム
により構成されている。
【0132】ルテニウムの結晶構造は六方最密充填構造
であり、イリジウムの結晶構造は面心立方格子構造であ
って、互いに異なっている。
【0133】ルテニウムはエッチングがしやすいもの
の、仕事関数が小さいため、ルテニウムよりなる電極を
持つキャパシタに約1V以上の電圧を印加するとキャパ
シタのリーク電流が増加する。一方、イリジウムはエッ
チングがしにくいものの、仕事関数が大きいため、キャ
パシタのリーク電流の抑制には有利である。
【0134】ところで、ルテニウムにイリジウムが添加
された混晶の場合には、原子数比が0%〜45%までの
間で六方最密充填構造が維持される。すなわち、イリジ
ウムがルテニウムの格子に組み入れられる。従って、イ
リジウムの含有量を増加すると格子定数が変化し、それ
につれて徐々に仕事関数が大きくなるため、キャパシタ
のリーク電流の抑制力が大きくなる。
【0135】さらに、この混晶に対して酸素及び塩素の
混合ガスを用いてドライエッチングを行なうと、ルテニ
ウムは酸素によってエッチングされやすいため、含有率
が小さいイリジウムにはラジカルな非結合のボンドが多
数できるので、塩素及び酸素の混合ガスによって容易に
エッチングされる。
【0136】また、下部電極の表面は大気中や成膜後の
工程の雰囲気で酸素に触れるため、膜の表面には酸化イ
リジウム及び酸化ルテニウムよりなる混晶が形成されて
いる。この混晶は酸化イリジウムの比率は小さいもの
の、酸化ルテニウムのみからなる下部電極と比べて、容
量絶縁膜との密着性は改善される。従って、工程の途中
での剥がれ防止や素子の信頼性の向上に効果がある。
【0137】また、図1に示すように半導体集積回路に
用いる場合は、下地絶縁層12の上にイリジウム添加ル
テニウムを形成する際に、通常、反応性スパッタ法やC
VD法を用いる。ここで、堆積工程の初期にのみ酸素を
導入すると、酸素雰囲気で堆積するため、下地絶縁層1
2との界面は酸化イリジウム及び酸化ルテニウムよりな
る混晶となるので、下地絶縁層12との密着性が高くな
る。
【0138】ところで、低温で反応性スパッタ法やCV
D法を用いた成膜直後の下部電極は、部分的に結晶構造
が六方最密充填構造から崩れたアモルファス状態とな
り、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪い等の欠
陥を含む可能性が高い。そこで、不活性ガス雰囲気中に
おいて、温度が600℃〜800℃で時間が1分〜5分
程度のアニールを行なって結晶中で原子を再配置させる
ことにより、結晶欠陥を回復させることができる。
【0139】なお、本実施形態に係るキャパシタは、五
酸化タンタル等の比誘電率が二酸化ケイ素の10倍程度
の材料を容量絶縁膜に用い、且つ、下部電極に高さ方向
の寸法を要求される場合に、より有効である。
【0140】(第7の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第7の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0141】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、イリジウム及び酸素が添加されたル
テニウムにより構成されている。
【0142】ルテニウムの結晶構造は六方最密充填構造
であり、イリジウムの結晶構造は面心立方格子構造であ
り、酸化ルテニウム及び酸化イリジウムの結晶構造は共
にルチル型構造である。また、前述したようにルテニウ
ムにイリジウムが添加された混晶の場合には、原子数比
が0%〜45%までの間で六方最密充填構造が維持さ
れ、イリジウムの割合を増加させると、格子定数が変化
し、それにつれて徐々に仕事関数が大きくなって、キャ
パシタのリーク電流の抑制に有効となる。
【0143】従って、キャパシタの下部電極にイリジウ
ム及び酸素が添加されたルテニウムを用いると、酸素が
偏在し、その微細な構造は、図2に示すように、六方最
密充填構造のルテニウム及びイリジウムの混晶を主成分
とするグレイン21と、該グレイン21を取り囲むルチ
ル型構造の酸化ルテニウム及び酸化イリジウムの混晶よ
りなる充填層22とに概ね分離している。この酸化イリ
ジウムを含む充填層22は極めて強固な不動態であり、
粒界を通る相互拡散を効果的に抑制できる。
【0144】また、この混晶に対して酸素及び塩素の混
合ガスを用いてドライエッチングを行なう際に、ルテニ
ウム及び酸化ルテニウムは酸素によってエッチングされ
やすいため、含有率が小さいイリジウムにはラジカルな
非結合のボンドが多数できるので、塩素及び酸素による
エッチングが容易となる。
【0145】また、下部電極の表面は大気中や成膜後の
工程の雰囲気で酸素に触れるため、膜の表面には酸化イ
リジウム及び酸化ルテニウムよりなる混晶が形成されて
いる。この混晶は酸化イリジウムの割合が5割に満たな
いものの、容量絶縁膜との密着性を高めるため、工程の
途中での剥がれ防止や素子の信頼性を向上させる。
【0146】また、図1に示すように半導体集積回路に
用いる場合は、下地絶縁層12の上にイリジウム添加ル
テニウムを形成する際に、通常、反応性スパッタ法やC
VD法を用いる。ここでは、酸素雰囲気で堆積が始まる
ため、下地絶縁層12との界面は酸化ルテニウムを主と
する酸化ルテニウム及び酸化イリジウムよりなる混晶と
なるので、下地絶縁層12との密着性が改善される。
【0147】ところで、低温で反応性スパッタ法やCV
D法を用いた成膜直後の下部電極は、部分的に結晶構造
が六方最密充填構造から崩れたアモルファス状態とな
り、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪い等の欠
陥を含む。従って、図2に示すようなルテニウム及びイ
リジウムの混晶からなるグレイン21と酸化ルテニウム
及び酸化イリジウムの混晶からなる充填層22との分離
構造が明確に形成されにくい。そこで、不活性ガス雰囲
気中において、温度が600℃〜800℃で時間が1分
〜5分程度のアニールを行なって結晶中で原子を再配置
させることにより、結晶欠陥を回復させることができ、
且つ、図2に示す構造を得られる。
【0148】なお、本実施形態に係るキャパシタは、五
酸化タンタル等の比誘電率が二酸化ケイ素の10倍程度
の材料を容量絶縁膜に用い、且つ、下部電極に高さ方向
の寸法を要求される場合に、より有効である。
【0149】(第8の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第8の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0150】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、酸化イリジウムが添加された酸化ル
テニウムにより構成されている。ここで、ルテニウムと
イリジウムとの比率は原子数比で9対1から7対3程度
までとする。
【0151】酸化ルテニウム及び酸化イリジウムの混晶
はルチル型の結晶構造である。酸化ルテニウムを主体と
するため、この混晶の基本的な電気的特性は酸化ルテニ
ウムとほぼ同一となる。イリジウムの添加率が増えるに
つれて格子定数が変り、仕事関数が大きくなるので、リ
ーク電流が低減する。また、酸化イリジウムは極めて強
固な不動態であるため、相互拡散を効果的に抑制する。
本実施形態に係る混晶においては、イリジウムよりもル
テニウムの割合が大きいが、相互拡散は酸化ルテニウム
のみの場合と比べて生じにくくなる。
【0152】また、この混晶に対して酸素及び塩素の混
合ガスを用いてドライエッチングを行なう際に、混晶の
ルテニウムは酸素によってエッチングされやすいので、
含有率が小さい酸化イリジウムにはラジカルな非結合の
ボンドが多数できるので、混晶は容易にエッチングされ
る。
【0153】また、下部電極の表面は、添加された酸化
イリジウムにより容量絶縁膜との密着性が改善され、工
程の途中での剥がれ防止や素子の信頼性の向上に有効と
なる。
【0154】さらに、図1に示すように半導体集積回路
に用いる場合は、下地絶縁層12の上に酸化イリジウム
を添加した酸化ルテニウムを形成する際に、添加された
酸化イリジウムにより下地絶縁層12との密着性が改善
される。
【0155】ところで、低温で反応性スパッタ法やCV
D法を用いた成膜直後の下部電極は、酸素が所定の位置
になく部分的に結晶構造がルチル型構造から崩れたアモ
ルファス状態となり、グレインサイズが小さい、又は配
向性が悪い等の欠陥を含む。そこで、不活性ガス雰囲気
中において、温度が600℃〜800℃で時間が1分〜
5分程度のアニールを行なって結晶中で原子を再配置さ
せることにより、結晶欠陥を回復させることができ、且
つ、図2に示す構造を得ることができる。
【0156】なお、本実施形態に係るキャパシタは、五
酸化タンタル等の比誘電率が二酸化ケイ素の10倍程度
の材料を容量絶縁膜に用い、且つ、下部電極に高さ方向
の寸法を要求される場合に、より有効である。
【0157】(第9の実施形態)以下、前記第1の問題
を解決する本発明の第9の実施形態について図面を参照
しながら説明する。
【0158】本実施形態に係るキャパシタは、図1に示
す下部電極15が、ルテニウム及び酸素よりなる添加材
が添加された白金により構成されている。
【0159】白金は、仕事関数が大きいため、白金より
なる電極を持つキャパシタに1V以上の電圧を印加した
としてもリーク電流を小さく抑えられる。また、ルテニ
ウムよりもBSTを安定に形成でき、高い誘電率を得る
ことができる。しかしながら、白金はドライエッチング
が難しく、アスペクト比が大きい下部電極を形成できな
い。また、白金の粒界が酸素を通しやすいため、後工程
の高温プロセスにおいて相互拡散が生じる。その結果、
BSTから酸素が抜けて、下地層や導電層等の周囲から
チタン等の原子が侵入するためリーク電流が増大する。
さらに、高温の熱処理により結晶中のグレインの方位や
サイズが変わるため、表面に凹凸が発生することもリー
ク電流の増加を招く。
【0160】白金にルテニウム及び酸素を添加すると、
白金はルテニウムと比べて酸化されにくいため、酸素は
白金ではなく主にルテニウムと結合する。また、白金及
びルテニウムの混晶の結晶構造は、ルテニウムの原子数
比が0%〜60%の間で、白金と同一の面心立方格子構
造である。従って、この混晶の基本的な電気的特性は白
金とほぼ同一となり、仕事関数もたいして低下しない。
【0161】一方、酸化ルテニウムはルチル型構造であ
る。従って、本実施形態に係る下部電極においては、白
金及びルテニウムの混晶と酸化ルテニウムとは分れて存
在し、その微細な構造は、図2に示すように、面心立方
格子の白金及びルテニウムの混晶よりなるグレイン21
と、該グレイン21を取り囲むルチル型構造の酸化ルテ
ニウムの結晶よりなる充填層22とに概ね分離してい
る。粒界に充填される酸化ルテニウムは酸素の拡散を抑
制する作用があるため、粒界における酸素の拡散を抑制
することができる。
【0162】ところで、低温で反応性スパッタ法やCV
D法を用いた成膜直後の下部電極は、部分的に結晶構造
が面心立方格子構造から崩れたアモルファス状態とな
り、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪い等の欠
陥を含む。従って、図2に示すような白金及びルテニウ
ムの混晶からなるグレイン21と酸化ルテニウムの結晶
からなる充填層22との分離構造が明確に形成されにく
い。そこで、不活性ガス雰囲気中において、温度が60
0℃〜800℃で時間が1分〜5分程度のアニールを行
なって結晶中で原子を再配置させることにより結晶欠陥
を回復させることができ、且つ、図2に示す構造を得る
ことができる。
【0163】また、この混晶に対して酸素及び塩素の混
合ガスを用いてドライエッチングを行なう際に、添加さ
れたルテニウムは酸素によってエッチングされやすいた
め、ルテニウムに隣接する白金にはラジカルな非結合の
ボンドができやすく、塩素及び酸素によるエッチングが
容易となる。
【0164】(第9の実施形態の一変形例)本変形例に
係るキャパシタは、図1に示す下部電極15が、イリジ
ウム及び酸素よりなる添加材が添加された白金により構
成されている。
【0165】白金はイリジウムと比べて酸化されにくい
ため、酸素は白金ではなく主にイリジウムと結合する。
白金及びイリジウムの混晶の結晶構造は、含有比率に関
係なく面心立方格子構造となる。また、イリジウムは仕
事関数も大きいため、混晶の仕事関数はほぼ不変であ
る。
【0166】一方、酸化イリジウムはルチル型構造であ
る。従って、本変形例に係る下部電極においては、白金
及びイリジウムの混晶と酸化イリジウムとは分れて存在
し、その微細な構造は、図2に示すように、面心立方格
子の白金及びルイリジウムの混晶よりなるグレイン21
と、該グレイン21を取り囲むルチル型構造の酸化イリ
ジウムの結晶よりなる充填層22とに概ね分離してい
る。酸化イリジウムは極めて強固な不動態であるため、
相互拡散を効果的に抑制するので、粒界における酸素等
の拡散を効果的に抑制することができる。
【0167】また、下部電極の表面は大気中や成膜後の
工程の雰囲気で酸素に触れるため、白金及びイリジウム
の混晶よりなるグレインが露出したままでは存在してお
らず、膜の表面には酸化イリジウムが形成されている。
この酸化イリジウムは容量絶縁膜との密着性を高めるた
め、工程の途中での剥がれ防止や素子の信頼性を向上さ
せる。
【0168】さらに、図1に示すように半導体集積回路
に用いる場合は、下地絶縁層12の上にイリジウム及び
酸素を添加した白金を堆積する際に、通常、反応性スパ
ッタ法やCVD法を用いる。ここでは、酸素雰囲気で堆
積が始まるため、下地絶縁層12との界面は酸化イリジ
ウムが存在する。従って、下地絶縁層12との密着性が
高くなる。
【0169】ところで、低温で反応性スパッタ法やCV
D法を用いた成膜直後の下部電極は、部分的に結晶構造
が面心立方格子構造から崩れたアモルファス状態とな
り、グレインサイズが小さい、又は配向性が悪い等の欠
陥を含む。従って、図2に示すような白金及びイリジウ
ムの混晶からなるグレイン21と酸化イリジウムの結晶
からなる充填層22との分離構造が明確に形成されにく
い。そこで、不活性ガス雰囲気中において、温度が60
0℃〜800℃で時間が1分〜5分程度のアニールを行
なって結晶中で原子を再配置させることにより結晶欠陥
を回復させることができ、且つ、図2に示す構造を得る
ことができる。
【0170】さらに、図1に示す下部電極15に、イリ
ジウム、ルテニウム及び酸素よりなる添加材が添加され
た白金を用いてもよく、また、酸化イリジウム及び酸化
ルテニウムよりなる添加材が添加された白金を用いても
よい。
【0171】(第10の実施形態)以下、前記第2の問
題を解決する本発明の第10の実施形態について図面を
参照しながら説明する。
【0172】図3は本発明の第10の実施形態に係るキ
ャパシタの断面構成を示している。図3に示すように、
例えば、ケイ素よりなる半導体基板31上に堆積した二
酸化ケイ素又は窒化ケイ素よりなる下地絶縁層32に
は、半導体基板31上に形成されたトランジスタ(図示
せず)とキャパシタ33とを電気的に接続する窒化チタ
ン又はポリシリコンよりなるコンタクト34が選択的に
形成されている。コンタクト34の露出面を含む下地絶
縁層32の上面には、高さが約0.7μmの酸化イリジ
ウムよりなる柱状の下部電極35が形成され、下部電極
15の上面には、厚さが50nmの二酸化ケイ素又は窒
化ケイ素よりなる保護絶縁膜36が形成されている。下
部電極35及び保護絶縁膜36には、該下部電極35の
側面と保護絶縁膜36の上面及び側面とを覆うように、
厚さが10nmの五酸化タンタルよりなる容量絶縁膜3
7が形成され、容量絶縁膜37における下部電極35を
覆う領域の上に厚さが約0.1μmの酸化イリジウムよ
りなる上部電極38が形成されている。
【0173】本実施形態は、柱状の下部電極35の上面
に保護絶縁膜36が設けられていることを特徴とする。
これにより、容量絶縁膜37における下部電極35の上
面側の上部屈曲部37aの内側に保護絶縁膜36が位置
するため、上部屈曲部37aに五酸化タンタルよりなる
結晶の粒界が存在してリークパスとなる可能性があった
としても、上部屈曲部37aの下側に設けられた保護絶
縁膜36によってリークパスが遮断される。
【0174】なお、本実施形態の場合には、下部電極3
5の上面における単位面積当りの容量が大変小さくな
り、上面部分は容量としては使えなくなる。しかしなが
ら、0.2μm2 程度のセル面積になると、下部電極3
5の高さは0.7μm程度であり、下部電極35の側面
と上面との面積比は9対1程度となる。従って、下部電
極35の上面が容量として使えなくなっても1割程度の
面積の減少に過ぎない。さらに、五酸化タンタルは、結
晶化させると比誘電率が約3倍となるため、結晶化した
五酸化タンタルを用いるメリットの方が、面積が小さく
なるデメリットをはるかに上回る。
【0175】このように本実施形態によると、柱状の下
部電極35を持つ立体的なキャパシタ33であっても、
下部電極35を覆う容量絶縁膜37の上部屈曲部37a
と下部電極35との間に保護絶縁膜36を形成するた
め、リーク電流の発生を大幅に抑制できる。
【0176】さらに、第1の実施形態に示したように、
下部電極35が酸化イリジウムよりなるため、下部電極
35の強い密着強度、大きな仕事関数、相互拡散の抑制
及び表面の荒れの抑制等の効果を併せ持つことはいうま
でもない。
【0177】なお、本実施形態において、容量絶縁膜3
7を構成する五酸化タンタルをアモルファス状態で用い
てもよい。
【0178】(第10の実施形態の第1の製造方法)以
下、前記のように構成されたキャパシタ33の第1の製
造方法について図面を参照しながら説明する。
【0179】図4及び図5は本実施形態に係るキャパシ
タの第1の製造方法の工程順の断面構成を示している。
まず、図4(a)に示すように、半導体基板31の上に
二酸化ケイ素よりなる下地絶縁層32を堆積し、続い
て、下地絶縁層32に対してホトリソグラフィー法及び
エッチング法を用いて基板面が露出する開口部を選択的
に設け、該開口部に、例えば窒化チタンを蒸着して充填
することにより、コンタクト34を形成する。続いて、
スパッタ法を用いて、半導体基板31の上に全面にわた
って、導電膜としての厚さが約0.7μmの酸化イリジ
ウムよりなる下部電極形成膜35Aを堆積する。続い
て、プラズマCVD法を用いて、下部電極形成膜35A
の上に全面にわたって、厚さが約50nmの二酸化ケイ
素よりなる保護絶縁膜36を堆積する。
【0180】ここで、下部電極形成膜35Aを堆積した
後に、半導体基板31に対して高温のアニールを行なう
と、酸化イリジウムの結晶の配向性が揃うためグレイン
サイズが大きくなり、その結果、粒界が少なくなる。ア
ニールを行なうタイミングは後工程でもよいが、酸化イ
リジウムの結晶性の向上と、下部電極形成膜35Aと保
護絶縁膜36との密着度を強化するには、このタイミン
グが最も効果的である。
【0181】次に、図4(b)に示すように、保護絶縁
膜36の上面にレジスト膜を塗布した後、ホトリソグラ
フィー法を用いて、レジスト膜からコンタクト34の上
方の領域を島状にマスクするレジストパターン41を形
成する。
【0182】次に、図5(a)に示すように、レジスト
パターン41をマスクとして、保護絶縁膜36に対して
異方性ドライエッチングを行なう。続いて、塩素及び酸
素を主成分とするエッチングガスを用いて、下部電極形
成膜35Aに対して下地絶縁層32が露出するまで基板
面にほぼ垂直に異方性ドライエッチングを行なうことに
より、下部電極形成膜35Aから、上面が保護絶縁膜3
6に覆われた下部電極35を形成する。
【0183】ここでは、エッチングガスに酸素が含まれ
ているため、レジストパターン41も徐々にエッチング
されて保護絶縁膜36の上面が露出する。その結果、保
護絶縁膜36を実質的なエッチングマスクとして、下部
電極形成膜35Aがエッチングされる。従って、エッチ
ングガスが保護絶縁膜36に衝突することによって、保
護絶縁膜36の上面の周縁部及び側面は図5(a)に示
すように徐々に削られていくが、保護絶縁膜36の側面
と下部電極35の側面とは、保護絶縁膜36と下部電極
35の界面35aにおいて段差を生じることはなく滑ら
かに連続する。
【0184】次に、図5(b)に示すように、ペンタエ
トキシタンタル及び酸素を原料とし、温度が450℃の
有機金属CVD法を用いて、保護絶縁膜36を含む下部
電極35を覆うように、膜厚が約10nmの五酸化タン
タルよりなる容量絶縁膜37を堆積する。
【0185】堆積後の五酸化タンタルはアモルファスで
あり、不純物として炭素及び水素を大量に含んでいる。
そこで、半導体基板31に対してオゾン又は酸素ラジカ
ルの雰囲気で高温のアニールを行なって、不純物を気化
させ且つ五酸化タンタルを結晶化させる。このとき、五
酸化タンタルは酸化イリジウムよりなる下部電極35の
側面の結晶構造の影響を受けて結晶化するため、酸化イ
リジウムの特定の方向に配向しやすく、また、粒界も生
じにくい。
【0186】さらに、保護絶縁膜36と下部電極35と
の界面35aに段差がないため、酸化イリジウム上に結
晶化した五酸化タンタルを結晶の核として、保護絶縁膜
36にも五酸化タンタルが容易に結晶化する。もし、保
護絶縁膜36上の五酸化タンタルのすべてが結晶化せ
ず、一部がアモルファス状であったり、粒界ができたり
しても、これらはキャパシタの特性に影響しない。しか
しながら、もし界面35aに段差があれば、この段差部
分で結晶の進行方向が曲げられて、結晶が途切れるた
め、リーク電流の原因なる粒界が発生してしまう。
【0187】次に、スパッタ法を用いて、導電膜として
の酸化イリジウムよりなる上部電極を容量絶縁膜37に
おける下部電極35を覆う領域の上に堆積すると、図3
に示すキャパシタ33が完成する。
【0188】なお、酸化イリジウムの成膜法としてスパ
ッタ法を用いたが、これに限らず、CVD法又はめっき
法を用いてもよい。
【0189】(第10の実施形態の第2の製造方法)以
下、本実施形態に係るキャパシタの第2の製造方法につ
いて図面を参照しながら説明する。
【0190】図6〜図8は本実施形態に係るキャパシタ
33の第2の製造方法の工程順の断面構成を示してい
る。まず、図6(a)に示すように、半導体基板31の
上に窒化ケイ素よりなる下地絶縁層32を堆積し、続い
て、下地絶縁層32に対してホトリソグラフィー法及び
エッチング法を用いて基板面が露出する開口部を選択的
に設け、該開口部に、例えば窒化チタンを充填すること
により、コンタクト34を形成する。続いて、プラズマ
CVD法を用いて、半導体基板31の上に全面にわたっ
て、厚さが約0.75μmの二酸化ケイ素よりなるマス
ク形成膜を堆積し、該マスク形成膜に対してドライエッ
チングを行なって下部電極形成領域となる開口部42a
を設けることにより、マスク形成膜からマスクパターン
42を形成する。
【0191】次に、図6(b)に示すように、イリジウ
ム原子の周囲に有機分子を配した有機金属と酸素とを原
料とする有機金属CVD法を用いて、マスクパターン4
2の開口部42aに充填されるように半導体基板31の
上に全面にわたって酸化イリジウムよりなる下部電極形
成膜35Bを堆積する。
【0192】次に、図7(a)に示すように、塩素及び
酸素を主成分とするエッチングガスを用いて、下部電極
形成膜35Bに対して異方性エッチング(エッチバッ
ク)を行なう。このとき、マスクパターン42の開口部
42aの上部に深さが約50nmの空間部42bができ
る程度にエッチング時間を調整する。
【0193】次に、図7(b)に示すように、プラズマ
CVD法を用いて、マスクパターン42の空間部42b
に充填されるように半導体基板31の上に全面にわたっ
て窒化ケイ素よりなる保護絶縁膜36を堆積する。
【0194】次に、図8(a)に示すように、堆積した
保護絶縁膜36に対してフッ化炭素(CF4 )系のガス
を用いて選択的にエッチングを行なうことにより、空間
部42bにのみ保護絶縁膜36を残す。
【0195】次に、図8(b)に示すように、フッ酸を
主成分とするエッチング液を用いて、マスクパターン4
2を選択的に除去することにより、下部電極形成膜35
Bから、上面が保護絶縁膜36に覆われた下部電極35
を形成する。この後、半導体基板31に対して高温のア
ニールを行なうと、酸化イリジウムの結晶の配向性が揃
いグレインサイズが大きくなって、粒界が少なくなる。
アニールを行なうタイミングは後工程で行なってもよい
が、酸化イリジウムの結晶性、及び下部電極35と保護
絶縁膜36との密着度を向上させるには、このタイミン
グが効果的である。また、保護絶縁膜36と下部電極3
5とはマスクパターン42の一の開口部42aを用いて
形成されているため、保護絶縁膜36と下部電極35と
の側面は界面35aで段差を生じることなく滑らかに連
続する。
【0196】この後の工程は、第1の製造方法に示した
図5(b)以降の工程と同一である。すなわち、有機金
属CVD法を用いて、保護絶縁膜36を含む下部電極3
5を覆うように五酸化タンタルよりなる容量絶縁膜37
を堆積し、堆積した容量絶縁膜37に対して高温のアニ
ールを行なって、不純物の気化及び五酸化タンタルの結
晶化を行なう。続いて、酸化イリジウムよりなる上部電
極38を容量絶縁膜37における下部電極35を覆う領
域の上に形成すると、図3に示すキャパシタ33が完成
する。
【0197】第2の製造方法においても、下部電極35
の側面と保護絶縁膜36の側面とがその界面35aにお
いて連続し段差がないため、下部電極35の酸化イリジ
ウム上に結晶化する五酸化タンタルを結晶の核として、
保護絶縁膜36上の五酸化タンタルも容易に結晶化が進
む。
【0198】また、保護絶縁膜36上の五酸化タンタル
のすべてが結晶化せず、その一部がアモルファス状であ
ったり、粒界ができたりしても、これらはキャパシタ3
3の電気的特性に影響しないことも同様である。
【0199】なお、本実施形態においては、下部電極3
5に酸化イリジウムを用いたが、イリジウム、酸化ルテ
ニウム、ルテニウム又は白金等の貴金属類とその導電性
酸化物を用いてもよく、すなわち、第1〜第9の実施形
態に示した下部電極用の各材料を用いることができる。
さらに、タングステン又は窒化タングステン等の高融点
金属とその導電性化合物を用いても、同様の効果を得る
ことができる。
【0200】また、容量絶縁膜37に、例えば、BST
又はPZT等の高誘電率の絶縁体を用いても本実施形態
と同様の効果を得ることができる。
【0201】(第11の実施形態)以下、前記第2の問
題を解決する本発明の第11の実施形態について図面を
参照しながら説明する。
【0202】図9は本発明の第11の実施形態に係るキ
ャパシタの断面構成を示している。図9において、図3
に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付す
ことにより説明を省略する。図9に示すキャパシタ33
Aは、下地絶縁層32における下部電極35の周辺部が
掘削されてなる掘削部32aが形成され、その結果、下
地絶縁層32における下部電極35の下側に凸部32b
が形成されていることを特徴とする。これにより、下地
絶縁層32と下部電極35との界面を覆う容量絶縁膜3
7の下部屈曲部37bが界面よりも下側に位置するた
め、下部屈曲部37bは下地絶縁層32の掘削部32a
に形成されることになる。従って、容量絶縁膜37の該
界面近傍に粒界が生成されにくく、また、下部屈曲部3
7bに粒界が生成されたとしても、この粒界が下部電極
のリークパスとならない。
【0203】また、容量絶縁膜37の上部屈曲部37a
が保護絶縁膜36を介して形成されているため、上部屈
曲部37a近傍に粒界が生成されたとしても、この粒界
が下部電極のリークパスとならないことは第10の実施
形態と同様である。
【0204】このように本実施形態によると、柱状の下
部電極35を持つ立体的なキャパシタ33Aであって
も、下部電極35を覆う容量絶縁膜37の上部屈曲部3
7aと下部電極35との間に保護絶縁膜36を形成する
と共に、下地絶縁層32における下部電極35の周辺部
に掘削部32aを形成するため、リーク電流の発生を大
幅に抑制できる。
【0205】さらに、第1の実施形態に示したように、
下部電極35が酸化イリジウムよりなるため、下部電極
35の強い密着強度、大きな仕事関数、相互拡散の抑制
及び表面の荒れの抑制等の効果を併せ持つことはいうま
でもない。
【0206】なお、下部電極35の上面に保護絶縁膜3
6を設けず、下地絶縁層32の掘削部32aのみを設け
てもリーク電流抑制の効果を得られることはいうまでも
ない。
【0207】また、本実施形態において、容量絶縁膜3
7を構成する五酸化タンタルをアモルファス状態で用い
てもよい。
【0208】(第11の実施形態の第1の製造方法)以
下、前記のように構成されたキャパシタ33Aの第1の
製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0209】図10及び図11は本実施形態に係るキャ
パシタの第1の製造方法の工程順の断面構成を示してい
る。まず、図10(a)に示すように、半導体基板31
の上に二酸化ケイ素よりなる下地絶縁層32を堆積し、
続いて、下地絶縁層32に対してホトリソグラフィー法
及びエッチング法を用いて基板面が露出する開口部を選
択的に設け、該開口部に、例えば窒化チタンを充填する
ことにより、コンタクト34を形成する。続いて、スパ
ッタ法を用いて、半導体基板31の上に全面にわたっ
て、厚さが約0.7μmの酸化イリジウムよりなる下部
電極形成膜35Aを堆積する。続いて、プラズマCVD
法を用いて、下部電極形成膜35Aの上に全面にわたっ
て、厚さが100nm〜150nm程度の二酸化ケイ素
よりなる保護絶縁膜36を堆積する。
【0210】ここで、下部電極形成膜35Aを堆積した
後に、半導体基板31に対して高温のアニールを行なう
と、酸化イリジウムの結晶の配向性が揃うためグレイン
サイズが大きくなり、その結果、粒界が少なくなる。ア
ニールを行なうタイミングは後工程でもよいが、酸化イ
リジウムの結晶性の向上と、下部電極形成膜35Aと保
護絶縁膜36との密着度を向上させるには、このタイミ
ングが最も効果的である。
【0211】次に、図10(b)に示すように、保護絶
縁膜36の上面にレジスト膜を塗布した後、ホトリソグ
ラフィー法を用いて、レジスト膜からコンタクト34の
上方の領域を島状にマスクするレジストパターン41を
形成する。
【0212】次に、図11(a)に示すように、レジス
トパターン41をマスクとして、保護絶縁膜36に対し
て異方性ドライエッチングを行なう。続いて、塩素及び
酸素を主成分とするエッチングガスを用いて、下部電極
形成膜35Aに対して下地絶縁層32が露出するまで基
板面にほぼ垂直に異方性ドライエッチングを行なうこと
により、下部電極形成膜35Aから上面が保護絶縁膜3
6に覆われた下部電極35を形成する。
【0213】ここでも、エッチングガスに酸素が含まれ
ているため、レジストパターン41も徐々にエッチング
されて保護絶縁膜36の上面が露出する。その結果、保
護絶縁膜36を実質的なエッチングマスクとして、下部
電極形成膜35Aがエッチングされる。従って、エッチ
ングガスが保護絶縁膜36に衝突することによって、保
護絶縁膜36の上面の周縁部及び側面は図11(a)に
示すように徐々に削られていくが、保護絶縁膜36の側
面と下部電極35の側面とは、保護絶縁膜36と下部電
極35との界面35aにおいて連続し、段差を生じるこ
となく滑らかに連続する。
【0214】次に、図11(b)に示すように、形成さ
れた保護絶縁膜36及び下部電極35をマスクとして下
地絶縁層32に対して異方性のエッチングを行なって、
50nm程度の深さに掘削することにより、下地絶縁層
32における下部電極35の周辺部に掘削部32aを形
成する。これにより、下部電極35と下地絶縁層32と
の界面35bに段差が生じない。この下地絶縁層32の
掘削により、保護絶縁膜36も50nm程度削られる
が、保護絶縁膜36としての膜厚は十分に残っている。
【0215】次に、ペンタエトキシタンタル及び酸素を
原料とし、温度が450℃の有機金属CVD法を用い
て、保護絶縁膜36を含む下部電極35を覆うように、
膜厚が約10nmの五酸化タンタルよりなる容量絶縁膜
37を堆積する。堆積後の五酸化タンタルはアモルファ
スであり、不純物として炭素及び水素を大量に含んでい
る。そこで、半導体基板31に対してオゾン又は酸素ラ
ジカルの雰囲気で高温のアニールを行なって、不純物を
気化させ且つ五酸化タンタルを結晶化させる。このと
き、五酸化タンタルは酸化イリジウムよりなる下部電極
35の側面の結晶構造の影響を受けて結晶化するため、
酸化イリジウムの特定の方向に配向しやすく、また、粒
界も生じにくい。
【0216】さらに、保護絶縁膜36と下部電極35と
の界面35a及び下部電極35と下地絶縁層32との界
面35bにそれぞれ段差がないため、酸化イリジウム上
に結晶化した五酸化タンタルを結晶の核として、保護絶
縁膜36及び下地絶縁層32にも五酸化タンタルが容易
に結晶化する。もし、保護絶縁膜36及び下地絶縁層3
2上の五酸化タンタルのすべてが結晶化せず、一部がア
モルファス状であったり、粒界ができたりしても、これ
らはキャパシタの特性に影響しない。
【0217】次に、スパッタ法を用いて、容量絶縁膜3
7における下部電極35を覆う領域の上に酸化イリジウ
ムよりなる上部電極を堆積すると、図9に示すキャパシ
タ33Aが完成する。
【0218】なお、酸化イリジウムの成膜法としてスパ
ッタ法を用いたが、これに限らず、CVD法又はめっき
法を用いてもよい。
【0219】(第11の実施形態の第2の製造方法)以
下、本実施形態に係るキャパシタの第2の製造方法につ
いて図面を参照しながら説明する。
【0220】図12〜図15は本実施形態に係るキャパ
シタ33Aの第2の製造方法の工程順の断面構成を示し
ている。まず、図12(a)に示すように、半導体基板
31の上に窒化ケイ素よりなる下地絶縁層32を堆積
し、続いて、下地絶縁層32に対してホトリソグラフィ
ー法及びエッチング法を用いて基板面が露出する開口部
を選択的に設け、該開口部に、例えば窒化チタンを充填
することにより、コンタクト34を形成する。続いて、
プラズマCVD法を用いて、半導体基板31の上に全面
にわたって、厚さが約0.9μmの二酸化ケイ素よりな
るマスク形成膜を堆積し、該マスク形成膜に対してドラ
イエッチングを行なって下部電極形成領域となる開口部
42aを設けることにより、マスク形成膜からマスクパ
ターン42を形成する。
【0221】次に、図12(b)に示すように、イリジ
ウム原子の周囲に有機分子を配した有機金属と酸素とを
原料とする有機金属CVD法を用いて、マスクパターン
42の開口部42aに充填されるように半導体基板31
の上に全面にわたって酸化イリジウムよりなる下部電極
形成膜35Bを堆積する。
【0222】次に、図13(a)に示すように、塩素及
び酸素を主成分とするエッチングガスを用いて、下部電
極形成膜35Bに対して異方性エッチング(エッチバッ
ク)を行なう。このとき、マスクパターン42の開口部
42aの上部に深さが約50nmの空間部42bができ
る程度にエッチング時間を調整する。
【0223】次に、図13(b)に示すように、プラズ
マCVD法を用いて、マスクパターン42の空間部42
bに充填されるように半導体基板31の上に全面にわた
って窒化ケイ素よりなる保護絶縁膜36を堆積する。
【0224】次に、図14(a)に示すように、堆積し
た保護絶縁膜36に対してフッ化炭素(CF4 )系のガ
スを用いて選択的にエッチングを行なうことにより、空
間部42bにのみ保護絶縁膜36を残す。
【0225】次に、図14(b)に示すように、フッ酸
を主成分とするエッチング液を用いて、マスクパターン
42を選択的に除去することにより、下部電極形成膜3
5Bから上面が保護絶縁膜36に覆われた下部電極35
を形成する。この後、半導体基板31に対して高温のア
ニールを行なうと、酸化イリジウムの結晶の配向性が揃
いグレインサイズが大きくなって、粒界が少なくなる。
アニールを行なうタイミングは後工程で行なってもよい
が、酸化イリジウムの結晶性、及び下部電極35と保護
絶縁膜36との密着度を向上させるには、このタイミン
グが効果的である。また、保護絶縁膜36と下部電極3
5とはマスクパターン42の一の開口部42aを用いて
形成されているため、保護絶縁膜36と下部電極35と
の側面は界面35aで段差を生じることなく連続し、滑
らかにつながる。
【0226】次に、図15に示すように、形成された保
護絶縁膜36及び下部電極35をマスクとして下地絶縁
層32に対して異方性のエッチングを行なって、50n
m程度の深さに掘削することにより掘削部32aを形成
する。これにより、下部電極35と下地絶縁層32との
界面35bに段差が生じない。この下地絶縁層32の掘
削により、保護絶縁膜36も50nm程度削られるため
所望の形状を得られる。
【0227】この後の工程は、第1の製造方法と同様で
あって、保護絶縁膜36及び下部電極35を覆うよう
に、容量絶縁膜37及び上部電極38を順次堆積するこ
とにより、図9に示すキャパシタ33Aを得ることがで
きる。
【0228】このように、第2の製造方法においても、
下部電極35と保護絶縁膜36との界面35a及び下部
電極35と下地絶縁層32との界面35bに段差がない
ため、下部電極35の酸化イリジウム上に結晶化する五
酸化タンタルを結晶の核として、保護絶縁膜36及び下
地絶縁層32上の五酸化タンタルも容易に結晶化が進
む。
【0229】また、保護絶縁膜36上及び下地絶縁層3
2上の五酸化タンタルのすべてが結晶化せず、その一部
がアモルファス状であったり、粒界ができたりしても、
これらがキャパシタ33Aの特性に影響しないことも同
様である。
【0230】なお、本実施形態においては、下部電極3
5に酸化イリジウムを用いたが、イリジウム、酸化ルテ
ニウム、ルテニウム又は白金等の貴金属類とその導電性
酸化物を用いてもよく、すなわち、第1〜第9の実施形
態に示した下部電極用の各材料を用いることができる。
さらに、タングステン又は窒化タングステン等の高融点
金属とその導電性化合物を用いても、同様の効果を得る
ことができる。
【0231】また、容量絶縁膜37に、例えば、BST
又はPZT等の高誘電率の絶縁体を用いても本実施形態
と同様の効果を得ることができる。
【0232】(第12の実施形態)以下、前記第2の問
題を解決する本発明の第12の実施形態について図面を
参照しながら説明する。
【0233】図16は本発明の第12の実施形態に係る
キャパシタの断面構成を示している。図16に示すよう
に、例えば、ケイ素よりなる半導体基板51上に堆積し
た二酸化ケイ素又は窒化ケイ素よりなる下地絶縁層52
には、半導体基板51上に形成されたトランジスタ(図
示せず)とキャパシタ53とを電気的に接続する窒化チ
タン又はポリシリコンよりなるコンタクト54が選択的
に形成されている。コンタクト54の露出面を含む下地
絶縁層52の上面には、高さが約0.7μmの酸化イリ
ジウムよりなる有底筒状の下部電極55が形成されてい
る。
【0234】下部電極15の上縁部には、厚さが50n
mの二酸化ケイ素又は窒化ケイ素よりなる保護絶縁膜5
6が形成されており、下部電極55の外側面、内側面及
び底面並びに保護絶縁膜56の上面及び側面とを覆うよ
うに、厚さが10nmの五酸化タンタルよりなる容量絶
縁膜57が形成され、該容量絶縁膜57における下部電
極55を覆う領域の上に酸化イリジウムよりなる上部電
極58が形成されている。
【0235】有底筒状の下部電極55の上縁部の幅は7
0nm程度しかなく、下部電極55を覆う容量絶縁膜5
7には、断面形状で上部屈曲部57aが4つに増える。
しかしながら、本実施形態のキャパシタ53は、下部電
極55の上縁部に保護絶縁膜56が設けられているた
め、上部屈曲部57aに多数の粒界が生成しても直接の
リークパスとならない。下部電極55の上縁部の単位面
積当り容量は極めて小さくなって、上縁部は容量として
は使えなくなるが、この部分が容量面積に占める割合
は、数%に過ぎない。五酸化タンタルは結晶化させる
と、比誘電率が約3倍となるため、結晶化された五酸化
タンタルを用いるメリットの方が、面積が小さくなるこ
とをはるかに上回る。
【0236】このように本実施形態によると、有底筒状
の下部電極55を持つ立体的なキャパシタ53であって
も、下部電極55を覆う容量絶縁膜57の上部屈曲部5
7aと下部電極55との間に保護絶縁56が設けられて
いるため、リーク電流の発生を大幅に抑制できる。
【0237】さらに、第1の実施形態に示したように、
下部電極55が酸化イリジウムよりなるため、下部電極
55の強い密着強度、大きな仕事関数、相互拡散の抑制
及び表面の荒れの抑制等の効果を併せ持つことはいうま
でもない。
【0238】また、本実施形態において、容量絶縁膜5
7を構成する五酸化タンタルをアモルファス状態で用い
てもよい。
【0239】以下、前記のように構成されたキャパシタ
53の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0240】図17〜図19は本実施形態に係るキャパ
シタの製造方法の工程順の断面構成を示している。ま
ず、図17(a)に示すように、例えば、ケイ素よりな
る半導体基板51の上に窒化ケイ素よりなる下地絶縁層
52を堆積し、続いて、下地絶縁層52に対してホトリ
ソグラフィー法及びエッチング法を用いて基板面が露出
する開口部を選択的に設け、該開口部に、例えば窒化チ
タンを充填することにより、コンタクト54を形成す
る。続いて、プラズマCVD法を用いて、半導体基板5
1の上に全面にわたって、厚さが約0.75μmの二酸
化ケイ素よりなるマスク形成膜を堆積し、該マスク形成
膜に対してドライエッチングを行なって下部電極形成領
域となる開口部61aを設けることにより、マスク形成
膜からマスクパターン61を形成する。その後、イリジ
ウム原子を含む有機金属と酸素とを原料とする有機金属
CVD法を用いて、マスクパターン61の開口部61a
の底面及び壁面を含む全面にわたって導電膜としての二
酸化イリジウムよりなる下部電極形成膜55Aを堆積す
る。続いて、プラズマCVD法を用いて、開口部61a
を充填するように半導体基板61の上に全面にわたっ
て、二酸化ケイ素よりなる充填材62を堆積する。ま
た、充填材62としてSOGを全面に塗布してもよい。
【0241】次に、図17(b)に示すように、充填材
62に対してエッチングを行なって、マスクパターン6
1の開口部61aを除く領域の下部電極形成膜55Aを
露出させる。
【0242】次に、図18(a)に示すように、塩素と
酸素とを主成分とするエッチングガスを用いて、露出し
た下部電極形成膜55Aに対して異方性エッチングを行
なう。ここで、マスクパターン61上に堆積している部
分が除去された後もエッチングを行なうことにより、下
部電極形成膜55Aにおけるマスクパターン61の開口
部61aの壁面と充填材62とに挟まれた領域の上部に
深さが50nm程度の空間部61bを形成する。続い
て、プラズマCVD法を用いて、マスクパターン61の
空間部61bを含む半導体基板51の全面にわたって窒
化珪素よりなる保護絶縁膜56を堆積する。
【0243】次に、図18(b)に示すように、保護絶
縁膜56に対してフッ化炭素(CF4 )系のガスを用い
て選択的にエッチングを行なうことにより、空間部61
bにのみ保護絶縁膜56を残す。続いて、フッ酸を主成
分とするエッチング液を用いて、マスクパターン61及
び充填材62を選択的に除去することにより、下部電極
形成膜55Aから、上縁部に保護絶縁膜56を有する有
底筒状の下部電極55を形成する。この後、半導体基板
51に対して高温のアニールを行なうと、酸化イリジウ
ムの結晶の配向性が揃いグレインサイズが大きくなっ
て、粒界が少なくなる。アニールを行なうタイミングは
後工程で行なってもよいが、酸化イリジウムの結晶性、
及び下部電極55と保護絶縁膜56との密着度を向上さ
せるには、このタイミングが効果的である。また、保護
絶縁膜56と下部電極55とはマスクパターン61の一
の開口部61aを用いて形成されているため、保護絶縁
膜56と下部電極55との側面は、保護絶縁膜56と下
部電極55との界面55aで段差を生じることなく連続
し、滑らかにつながる。
【0244】次に、図19に示すように、ペンタエトキ
シタンタルと酸素とを原料とし、温度が450℃の有機
金属CVD法を用いて、保護絶縁膜56を含む下部電極
55の外側面、内側面及び底面を覆うように、厚さが1
0nmで五酸化タンタルよりなる容量絶縁膜57を堆積
する。この状態では五酸化タンタルはアモルファスであ
り、不純物として炭素や水素を大量に含み、且つ、酸素
が不足した状態となっている。そこで、堆積した容量絶
縁膜57に対して高温のアニールを行なって、不純物の
離脱と酸素の補充とを行なうと共に、五酸化タンタルを
結晶化させる。このとき、五酸化タンタルは酸化イリジ
ウムよりなる下部電極55の側面及び底面の結晶構造の
影響を受けて結晶化するため、酸化イリジウムの特定の
方向に配向しやすく、また、粒界も生じにくい。
【0245】さらに、保護絶縁膜56と下部電極55と
の界面55aに段差がないため、酸化イリジウム上に結
晶化した五酸化タンタルを結晶の核として、保護絶縁膜
56にも五酸化タンタルが容易に結晶化する。もし、保
護絶縁膜56上の五酸化タンタルのすべてが結晶化せ
ず、一部がアモルファス状であったり、粒界ができたり
しても、これらはキャパシタ53の特性に影響しない。
続いて、酸化イリジウムよりなる上部電極58を容量絶
縁膜57における下部電極55を覆う領域の上に形成す
ると、図16に示すキャパシタ53が完成する。
【0246】なお、本実施形態においては、下部電極5
5に酸化イリジウムを用いたが、イリジウム、酸化ルテ
ニウム、ルテニウム又は白金等の貴金属類とその導電性
酸化物を用いてもよく、すなわち、第1〜第9の実施形
態に示した下部電極用の各材料を用いることができる。
さらに、タングステン又は窒化タングステン等の高融点
金属とその導電性化合物を用いてもよく、導電性のポリ
シリコンを用いても同様の効果を得ることができる。
【0247】また、容量絶縁膜57に、例えば、BST
又はPZT等の高誘電率の絶縁体を用いても本実施形態
と同様の効果を得ることができる。
【0248】(第13の実施形態)以下、前記第2の問
題を解決する本発明の第13の実施形態について図面を
参照しながら説明する。
【0249】図20は本発明の第13の実施形態に係る
キャパシタの断面構成を示している。図20において、
図16に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号
を付すことにより説明を省略する。図20に示すよう
に、本実施形態に係るキャパシタ53Aは、下地絶縁層
52における下部電極55の周辺部が掘削されてなる掘
削部52aが形成され、その結果、下地絶縁層52にお
ける下部電極55の下側に凸部52bが形成されている
ことを特徴とする。これにより、下地絶縁層52と下部
電極55とを覆う容量絶縁膜57の下部屈曲部57b
が、下地絶縁層52と下部電極55との界面よりも下側
に位置するため、下部屈曲部57bは下地絶縁層52の
掘削部52aに形成されることになる。従って、容量絶
縁膜57の界面近傍に粒界が生成されにくく、また、下
部屈曲部57bに粒界が生成されたとしても、この粒界
が下部電極のリークパスとならない。
【0250】また、容量絶縁膜57の上部屈曲部57a
が保護絶縁膜56を介して形成されているため、上部屈
曲部57a近傍に粒界が生成されたとしても、この粒界
が下部電極のリークパスとならないことは第12の実施
形態と同様である。
【0251】このように本実施形態によると、有底筒状
の下部電極55を持つ立体的なキャパシタ53Aであっ
ても、下部電極55を覆う容量絶縁膜57の上部屈曲部
57aと下部電極55との間に保護絶縁膜56を形成す
ると共に、下地絶縁層52における下部電極55の周辺
部に掘削部52aを形成するため、リーク電流の発生を
大幅に抑制できる。
【0252】さらに、第1の実施形態に示したように、
下部電極55が酸化イリジウムよりなるため、下部電極
55の強い密着強度、大きな仕事関数、相互拡散の抑制
及び表面の荒れの抑制等の効果を併せ持つことはいうま
でもない。
【0253】なお、下部電極55の上縁部に保護絶縁膜
56を設けず、下地絶縁層52の掘削部52aのみを設
けてもリーク電流抑制の効果を得られることはいうまで
もない。
【0254】また、本実施形態において、容量絶縁膜5
7を構成する五酸化タンタルをアモルファス状態で用い
てもよい。
【0255】以下、前記のように構成されたキャパシタ
53Aの製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
【0256】図21〜図23は本実施形態に係るキャパ
シタの製造方法の工程順の断面構成を示している。ま
ず、図21(a)に示すように、例えば、ケイ素よりな
る半導体基板51の上に窒化ケイ素よりなる下地絶縁層
52を堆積し、続いて、下地絶縁層52に対してホトリ
ソグラフィー法及びエッチング法を用いて基板面が露出
する開口部を選択的に設け、該開口部に、例えば窒化チ
タンを充填することにより、コンタクト54を形成す
る。続いて、プラズマCVD法を用いて、半導体基板5
1の上に全面にわたって、厚さが約0.8μmの二酸化
ケイ素よりなるマスク形成膜を堆積し、該マスク形成膜
に対してドライエッチングを行なって下部電極形成領域
となる開口部61aを設けることにより、マスク形成膜
からマスクパターン61を形成する。その後、イリジウ
ム原子を含む有機金属と酸素とを原料とする有機金属C
VD法を用いて、マスクパターン61の開口部61aの
底面及び壁面を含む全面にわたって導電膜としての二酸
化イリジウムよりなる下部電極形成膜55Aを堆積す
る。続いて、プラズマCVD法を用いて、開口部61a
を充填するように半導体基板61の上に全面にわたっ
て、二酸化ケイ素よりなる充填材62を堆積する。ここ
でも、充填材62としてSOGを全面に塗布してもよ
い。
【0257】次に、図21(b)に示すように、充填材
62に対してエッチングを行なって、マスクパターン6
1の開口部61aを除く領域の下部電極形成膜55Aを
露出させる。
【0258】次に、図22(a)に示すように、塩素と
酸素とを主成分とするエッチングガスを用いて、露出し
た下部電極形成膜55Aに対して異方性エッチングを行
なう。ここで、マスクパターン61上に堆積している部
分が除去された後もエッチングを行なうことにより、下
部電極形成膜55Aにおけるマスクパターン61の開口
部61aの壁面と充填材62とに挟まれた領域の上部に
深さが100nm程度の空間部61cを形成する。ここ
で、空間部61cの深さ寸法が第12の実施形態の空間
部61bの深さ寸法よりも大きいのは、空間部61cに
充填されてなる保護絶縁膜56を下地絶縁層52の掘削
部52a形成用のエッチングマスクとして用いるためで
あり、その際のエッチングによる目減り分を考慮してい
るからである。続いて、プラズマCVD法を用いて、マ
スクパターン61の空間部61cを含む半導体基板51
の全面にわたって窒化珪素よりなる保護絶縁膜56を堆
積する。
【0259】次に、図22(b)に示すように、保護絶
縁膜56に対してフッ化炭素(CF4 )系のガスを用い
て選択的にエッチングを行なうことにより、空間部61
cにのみ保護絶縁膜56を残す。続いて、フッ酸を主成
分とするエッチング液を用いて、マスクパターン61及
び充填材62を選択的に除去することにより、下部電極
形成膜55Aから、上縁部に保護絶縁膜56を有する有
底筒状の下部電極55を形成する。この後、半導体基板
51に対して高温のアニールを行なうと、酸化イリジウ
ムの結晶の配向性が揃いグレインサイズが大きくなっ
て、粒界が少なくなる。アニールを行なうタイミングは
後工程で行なってもよいが、酸化イリジウムの結晶性、
及び下部電極55と保護絶縁膜56との密着度を向上さ
せるには、このタイミングが効果的である。また、保護
絶縁膜56と下部電極55とはマスクパターン61の一
の開口部61aを用いて形成されているため、保護絶縁
膜56と下部電極55との側面は界面55aで段差を生
じることなく滑らかに連続する。
【0260】次に、図23(a)に示すように、保護絶
縁膜56及び下部電極55をエッチングマスクとして下
地絶縁層52に対して異方性のエッチングを行なって、
50nm程度の深さに掘削することにより、下地絶縁層
52における下部電極55の周辺部に掘削部52aを形
成する。これにより、下部電極55と下地絶縁層52と
の界面55bに段差が生じない。この下地絶縁層52の
掘削により、保護絶縁膜56も50nm程度削られ、保
護絶縁膜56の上縁部の角が取れる。
【0261】次に、図23(b)に示すように、ペンタ
エトキシタンタル及び酸素を原料とし、温度が450℃
の有機金属CVD法を用いて、保護絶縁膜56を含む下
部電極55を覆うように、膜厚が約10nmの五酸化タ
ンタルよりなる容量絶縁膜57を堆積する。堆積後の五
酸化タンタルはアモルファスであり、不純物として炭素
及び水素を大量に含んでいる。そこで、半導体基板51
に対してオゾン又は酸素ラジカルの雰囲気で高温のアニ
ールを行なって、不純物を気化させ且つ五酸化タンタル
を結晶化させる。このとき、五酸化タンタルは酸化イリ
ジウムよりなる下部電極55の側面の結晶構造の影響を
受けて結晶化するため、酸化イリジウムの特定の方向に
配向しやすく、また、粒界も生じにくい。
【0262】さらに、保護絶縁膜56と下部電極55と
の界面55a及び下部電極55と下地絶縁層52との界
面55bにそれぞれ段差がないため、酸化イリジウム上
に結晶化した五酸化タンタルを結晶の核として、保護絶
縁膜56及び下地絶縁層52にも五酸化タンタルが容易
に結晶化する。もし、保護絶縁膜56及び下地絶縁層5
2上の五酸化タンタルのすべてが結晶化せず、一部がア
モルファス状であったり、粒界ができたりしても、これ
らはキャパシタの特性に影響しない。
【0263】次に、スパッタ法を用いて、容量絶縁膜5
7における下部電極55を覆う領域の上に酸化イリジウ
ムよりなる上部電極を堆積すると、図20に示すキャパ
シタ53Aが完成する。
【0264】なお、酸化イリジウムの成膜法としてスパ
ッタ法を用いたが、これに限らず、CVD法又はめっき
法を用いてもよい。
【0265】また、本実施形態においては、下部電極5
5に酸化イリジウムを用いたが、イリジウム、酸化ルテ
ニウム、ルテニウム又は白金等の貴金属類とその導電性
酸化物を用いてもよく、すなわち、第1〜第9の実施形
態に示した下部電極用の各材料を用いることができる。
さらに、タングステン又は窒化タングステン等の高融点
金属とその導電性化合物を用いてもよく、導電性のポリ
シリコンを用いてもよい。
【0266】また、容量絶縁膜57に、例えば、BST
又はPZT等の高誘電率の絶縁体を用いても本実施形態
と同様の効果を得ることができる。
【0267】
【発明の効果】本発明に係る第1のキャパシタによる
と、下部電極に酸化イリジウムを用いているため、酸化
物よりなる容量絶縁膜との密着性が高くなるので、わざ
わざ密着層を設ける必要がなく、製造プロセスが簡単と
なる。また、酸化イリジウムは、仕事関数が相対的に大
きいため、容量絶縁膜との間に生じる電子の障壁が高く
なるので、リーク電流を抑制できる。さらに、酸化イリ
ジウムは極めて強固な不動態であるため、熱処理中に容
量絶縁膜からタンタルや酸素を通さない。このため、相
互拡散を防止でき、所望の電気的特性を維持できる。
【0268】本発明に係る第2〜第6のキャパシタによ
ると、下部電極の主成分にイリジウムを用いているた
め、アニール処理が施されていると、結晶粒にイリジウ
ムを多く含む混晶ができる。さらに、酸素が添加されて
いると、酸化イリジウムはイリジウムと結晶構造が異な
る粒界に充填される、このため、主に粒界を通って流れ
るリーク電流が不動態の酸化イリジウムにより抑制され
るので、所望の電気的特性を得られる。また、ルテニウ
ムが添加されると、ルテニウムはイリジウムと比べてエ
ッチングが容易であるので、製造が容易となる。
【0269】第4〜第6のキャパシタにおいて、ルテニ
ウムのイリジウムに対する添加率が40%以下である
と、結晶粒の結晶構造がイリジウムの結晶構造である面
心立方格子構造を確実に維持できるため、仕事関数も大
きく低下せず、所望の特性をより確実に得ることができ
る。
【0270】本発明に係る第7のキャパシタによると、
下部電極が酸化イリジウムを主成分とするため、酸化物
よりなる容量絶縁膜との密着性が高く、且つ、仕事関数
も大きいので、リーク電流を抑制できる。また、酸化ル
テニウムを含むため、エッチングが容易となる。
【0271】本発明に係る第8〜第10のキャパシタに
よると、下部電極の主成分にルテニウムを用いているた
め、製造時のエッチングプロセスが容易となる。また、
イリジウムが添加されていると、仕事関数が大きくなる
ので、加工容易性を保ったままリーク電流を抑制でき
る。さらに、イリジウムと酸素とが添加されていると、
粒界には、ルテニウムの結晶構造と異なる酸化イリジウ
ム及び酸化ルテニウムよりなる混晶が充填される。従っ
て、酸化イリジウムは強固な不動態であるので、主に粒
界を通るリーク電流を抑制できる。
【0272】第8〜第10のキャパシタにおいて、イリ
ジウムのルテニウムに対する添加率が45%以下である
と、結晶粒の結晶構造がルテニウムの結晶構造である六
方最密充填構造を確実に維持できるため、エッチング加
工性が大きく低下しない。
【0273】本発明に係る第11のキャパシタによる
と、下部電極が酸化ルテニウムを主成分とするため、エ
ッチング加工性を保ちながら、酸化物よりなる容量絶縁
膜との密着性が高く且つ仕事関数が大きくなるので、リ
ーク電流を抑制できる。
【0274】本発明に係る第12のキャパシタによる
と、下部電極の主成分に白金を用いているため、アニー
ル処理が施されていると、結晶粒に白金多く含む混晶が
できる。さらに、酸化イリジウム及び酸化ルテニウムは
白金と結晶構造が異なる粒界に充填される。このため、
主に粒界を通って流れるリーク電流が不動態の酸化イリ
ジウムにより抑制されるので、所望の電気的特性を得ら
れる。また、酸化ルテニウムが添加されると、酸化ルテ
ニウムは酸化イリジウムと比べてエッチングが容易であ
るため、加工性が向上する。
【0275】本発明に係る第13のキャパシタによる
と、下部電極の主成分に白金を用いているため、アニー
ル処理が施されていると、結晶粒に白金を多く含む混晶
ができる。さらに、添加された酸素によってイリジウム
又はルテニウムの酸化物が粒界に充填される。このと
き、酸化物が酸化イリジウムの場合はリーク電流が抑制
され、また、酸化ルテニウムの場合はエッチングの加工
性が向上する。
【0276】本発明に係る第14又は第15ののキャパ
シタによると、柱状又は有底筒状の下部電極の上端部と
容量絶縁膜との間に形成された保護絶縁膜を有している
ため、容量絶縁膜における下部電極の上側の屈曲部の内
側に保護絶縁膜が位置することになり、容量絶縁膜の屈
曲部に粒界が生成されている場合であっても、この粒界
が下部電極のリークパスとならないので、その結果、リ
ーク電流を防止できる。
【0277】第14又は第15のキャパシタにおいて、
導電性材料が、白金、イリジウム、ルテニウム又はこれ
らのうちの少なくとも2つの金属の合金、酸化イリジウ
ム、酸化ルテニウム又はこれらの酸化物の混晶よりなる
と、本発明の第2〜第13のキャパシタを実現でき、半
導体集積回路に用いる場合には微細化に確実に対応でき
る。
【0278】第14又は第15のキャパシタにおいて、
下部電極の側面と保護絶縁膜の側面とが滑らかに連接続
していると、容量絶縁膜における下部電極と保護絶縁膜
との界面に接する領域に粒界が生成されにくいため、該
領域がリークパスとならないので、所望の電気的特性を
確実に維持できる。
【0279】第14又は第15のキャパシタにおいて、
下部電極が、下地絶縁膜が有する凸部の上に形成されて
いると、下地絶縁膜と下部電極とを覆う容量絶縁膜の屈
曲部が、下部電極と下地絶縁膜の凸部との界面よりも下
側に位置するため、屈曲部に粒界が生成されたとして
も、この粒界が下部電極のリークパスとならない。この
場合に、下地絶縁膜の凸部の側面と下部電極の側面とが
滑らかに連続していると、容量絶縁膜における下部電極
と下地絶縁膜との界面に接する領域に粒界が生成されに
くいため、該領域が一層リークパスとなりにくいので、
所望の電気的特性を確実に維持できる。
【0280】本発明に係る第1のキャパシタの製造方法
によると、酸素を添加したイリジウム膜に生成される結
晶粒における結晶粒界の酸素濃度が結晶粒の酸素濃度よ
りも大きくなるように導電膜に対してアニールを行なう
ため、本発明の第2のキャパシタを確実に実現できる。
【0281】本発明に係る第2のキャパシタの製造方法
によると、ルテニウム及び酸素を添加したイリジウム膜
の結晶構造が再配置されて酸素原子が粒界に移動するよ
うにイリジウム膜に対してアニールを行なうため、本発
明の第5のキャパシタを確実に実現できる。
【0282】本発明に係る第3のキャパシタの製造方法
によると、イリジウム及び酸素を添加したルテニウム膜
の結晶構造が再配置されて酸素原子が粒界に移動するよ
うにルテニウム膜に対してアニールを行なうため、本発
明の第9のキャパシタを確実に実現できる。
【0283】本発明に係る第4のキャパシタの製造方法
によると、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムを添加し
た白金膜の結晶構造が再配置されて酸素原子が粒界に移
動するように白金膜に対してアニールを行なうため、本
発明の第12のキャパシタを確実に実現できる。
【0284】本発明に係る第5のキャパシタの製造方法
によると、下地絶縁膜の上に、下部電極形成膜を堆積し
た後、下部電極形成膜の上に保護絶縁膜を堆積する。続
いて、保護絶縁膜及び下部電極形成膜に対して選択的に
エッチングを行なうことにより、上部に保護絶縁膜を有
する柱状の下部電極を形成するため、本発明の第14の
キャパシタを確実に実現できる。
【0285】本発明に係る第6のキャパシタの製造方法
によると、開口部を有するマスクパターンを形成した
後、マスクパターンの上に導電膜を堆積することによ
り、開口部に第1導電膜を充填する。その後、導電膜に
対してエッチングを行なうことにより、マスクパターン
の上面を露出させると共に導電膜における開口部の上部
に導電膜が除去されてなる空間部を形成し、該空間部に
保護絶縁膜を充填する。このようにして、上部に保護絶
縁膜を有する下部電極を形成するため、本発明の第14
のキャパシタを確実に実現できる。
【0286】本発明に係る第7のキャパシタの製造方法
によると、開口部を有するマスクパターンを形成した
後、開口部に全面にわたって導電膜を堆積し、続いて、
開口部の導電膜の上に全面にわたって導電膜とのエッチ
ング選択比が大きい充填材を堆積することにより、開口
部に充填材を充填する。その後、導電膜に対してエッチ
ングを行なうことにより、マスクパターンの上面を露出
させると共に、導電膜における開口部の壁面上部に導電
膜が除去されてなる空間部を形成し、該空間部に保護絶
縁膜を充填する。このようにして、上縁部に保護絶縁膜
を有する有底筒状の下部電極を形成するため、本発明の
第15のキャパシタを確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るキャパシタを示
す構成断面図である。
【図2】本発明の第2〜9の実施形態に係るキャパシタ
における電極の微細構造の模式図である。
【図3】本発明の第10の実施形態に係るキャパシタを
示す構成断面図である。
【図4】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態
に係るキャパシタの第1の製造方法を示す工程順の構成
断面図である。
【図5】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態
に係るキャパシタの第1の製造方法を示す工程順の構成
断面図である。
【図6】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態
に係るキャパシタの第2の製造方法を示す工程順の構成
断面図である。
【図7】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態
に係るキャパシタの第2の製造方法を示す工程順の構成
断面図である。
【図8】(a)及び(b)は本発明の第10の実施形態
に係るキャパシタの第2の製造方法を示す工程順の構成
断面図である。
【図9】本発明の第11の実施形態に係るキャパシタを
示す構成断面図である。
【図10】(a)及び(b)は本発明の第11の実施形
態に係るキャパシタの第1の製造方法を示す工程順の構
成断面図である。
【図11】(a)及び(b)は本発明の第11の実施形
態に係るキャパシタの第1の製造方法を示す工程順の構
成断面図である。
【図12】(a)及び(b)は本発明の第11の実施形
態に係るキャパシタの第2の製造方法を示す工程順の構
成断面図である。
【図13】(a)及び(b)は本発明の第11の実施形
態に係るキャパシタの第2の製造方法を示す工程順の構
成断面図である。
【図14】(a)及び(b)は本発明の第11の実施形
態に係るキャパシタの第2の製造方法を示す工程順の構
成断面図である。
【図15】本発明の第11の実施形態に係るキャパシタ
の第2の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図16】本発明の第12の実施形態に係るキャパシタ
を示す構成断面図である。
【図17】(a)及び(b)は本発明の第12の実施形
態に係るキャパシタの製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図18】(a)及び(b)は本発明の第12の実施形
態に係るキャパシタの製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図19】本発明の第12の実施形態に係るキャパシタ
の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図20】本発明の第13の実施形態に係るキャパシタ
を示す構成断面図である。
【図21】(a)及び(b)は本発明の第13の実施形
態に係るキャパシタの製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図22】(a)及び(b)は本発明の第13の実施形
態に係るキャパシタの製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図23】(a)及び(b)は本発明の第13の実施形
態に係るキャパシタの製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図24】従来のキャパシタを示す構成断面図である。
【符号の説明】
11 半導体基板 12 下地絶縁層 13 キャパシタ 14 コンタクト 15 下部電極 16 容量絶縁膜 17 上部電極 21 グレイン 22 充填層 31 半導体基板 32 下地絶縁層 32a 掘削部 32b 凸部 33 キャパシタ 33A キャパシタ 34 コンタクト 35 下部電極 35a 界面 35b 界面 35A 下部電極形成膜 35B 下部電極形成膜 36 保護絶縁膜 37 容量絶縁膜 37a 上部屈曲部 37b 下部屈曲部 38 上部電極 41 レジストパターン 42 マスクパターン 42a 開口部 42b 空間部 51 半導体基板 52 下地絶縁層 52a 掘削部 52b 凸部 53 キャパシタ 53A キャパシタ 54 コンタクト 55 下部電極 55a 界面 55b 界面 55A 下部電極形成膜 56 保護絶縁膜 57 容量絶縁膜 57a 上部屈曲部 57b 下部屈曲部 58 上部電極 61 マスクパターン 61a 開口部 61b 空間部 61c 空間部 62 充填材
フロントページの続き (72)発明者 大塚 隆 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4M104 BB04 BB30 BB36 CC01 EE05 EE08 EE14 GG16 HH09 HH14 HH20 5F083 AD21 GA28 JA06 JA14 JA15 JA38 JA39 JA40 MA06 MA17 PR21 PR33

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は酸化イリジウムよりなり、 前記容量絶縁膜はタンタル酸化物よりなることを特徴と
    するキャパシタ。
  2. 【請求項2】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、酸素が添加されたイリジウムよりなる
    ことを特徴とするキャパシタ。
  3. 【請求項3】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、酸素が添加されたイリジウムよりなる
    多数の結晶粒を含み、 前記結晶粒同士の間の領域の酸素の含有率は、前記結晶
    粒の酸素の含有率よりも大きいことを特徴とするキャパ
    シタ。
  4. 【請求項4】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、ルテニウムが添加されたイリジウムよ
    りなることを特徴とするキャパシタ。
  5. 【請求項5】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、ルテニウム及び酸素が添加されたイリ
    ジウムよりなることを特徴とするキャパシタ。
  6. 【請求項6】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、ルテニウム及び酸素が添加されたイリ
    ジウムよりなる多数の結晶粒を含み、 前記結晶粒同士の間の領域の酸素の含有率は、前記結晶
    粒の酸素の含有率よりも大きいことを特徴とするキャパ
    シタ。
  7. 【請求項7】 前記ルテニウムの前記イリジウムに対す
    る添加率は40%以下であることを特徴とする請求項4
    〜6のいずれか1項に記載のキャパシタ。
  8. 【請求項8】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、酸化ルテニウムが添加された酸化イリ
    ジウムよりなることを特徴とするキャパシタ。
  9. 【請求項9】 基板上に順次形成された、下部電極、容
    量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、イリジウムが添加されたルテニウムよ
    りなることを特徴とするキャパシタ。
  10. 【請求項10】 基板上に順次形成された、下部電極、
    容量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、イリジウム及び酸素が添加されたルテ
    ニウムよりなることを特徴とするキャパシタ。
  11. 【請求項11】 基板上に順次形成された、下部電極、
    容量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、イリジウム及び酸素が添加されたルテ
    ニウムよりなる多数の結晶粒を含み、 前記結晶粒同士の間の領域の酸素の含有率は、前記結晶
    粒の酸素の含有率よりも大きいことを特徴とするキャパ
    シタ。
  12. 【請求項12】 前記イリジウムの前記ルテニウムに対
    する添加率は45%以下であることを特徴とする請求項
    9〜11のいずれか1項に記載のキャパシタ。
  13. 【請求項13】 基板上に順次形成された、下部電極、
    容量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、酸化イリジウムが添加された酸化ルテ
    ニウムよりなることを特徴とするキャパシタ。
  14. 【請求項14】 基板上に順次形成された、下部電極、
    容量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、酸化イリジウム又は酸化ルテニウムが
    添加された白金よりなることを特徴とするキャパシタ。
  15. 【請求項15】 基板上に順次形成された、下部電極、
    容量絶縁膜及び上部電極とを備え、 前記下部電極は、酸素とイリジウム又はルテニウムとを
    含む添加材が添加された白金よりなる多数の結晶粒を含
    み、 前記結晶粒同士の間の領域における前記添加材の含有率
    は、前記結晶粒における前記添加材の含有率よりも大き
    いことを特徴とするキャパシタ。
  16. 【請求項16】 基板上に形成された下地絶縁膜と、 前記下地絶縁膜の上に形成され、貴金属、貴金属の導電
    性酸化物、高融点金属又は高融点金属の導電性化合物の
    導電性材料よりなる柱状の下部電極と、 前記下部電極の上面及び側面を覆うように形成された容
    量絶縁膜と、 前記容量絶縁膜における前記下部電極を覆う領域の上に
    形成された上部電極と、 前記下部電極の上面と前記容量絶縁膜との間に形成され
    た保護絶縁膜とを備えていることを特徴とするキャパシ
    タ。
  17. 【請求項17】 基板上に形成された下地絶縁膜と、 前記下地絶縁膜の上に形成され、貴金属、貴金属の導電
    性酸化物、高融点金属又は高融点金属の導電性化合物の
    導電性材料よりなる有底筒状の下部電極と、 前記下部電極の外側面、内側面、上縁部及び底面を覆う
    ように形成された容量絶縁膜と、 前記容量絶縁膜における前記下部電極を覆う領域の上に
    形成された上部電極と、 前記下部電極の上縁部と前記容量絶縁膜との間に形成さ
    れた保護絶縁膜とを備えていることを特徴とするキャパ
    シタ。
  18. 【請求項18】 前記導電性材料は、白金、イリジウ
    ム、ルテニウム又はこれらのうちの少なくとも2つの金
    属の合金、酸化イリジウム、酸化ルテニウム又はこれら
    の酸化物の混晶よりなることを特徴とする請求項16又
    は17に記載のキャパシタ。
  19. 【請求項19】 前記下部電極の側面と前記保護絶縁膜
    の側面とは滑らかに連続していることを特徴とする請求
    項16又は17に記載のキャパシタ。
  20. 【請求項20】 前記下部電極は前記下地絶縁膜が有す
    る凸部の上に形成されていることを特徴とする請求項1
    6又は17に記載のキャパシタ。
  21. 【請求項21】 前記下地絶縁膜の凸部の側面と前記下
    部電極の側面とは滑らかに連続していることを特徴とす
    る請求項20に記載のキャパシタ。
  22. 【請求項22】 基板上に、酸素を添加したイリジウム
    膜よりなる下部電極を形成する下部電極形成工程と、前
    記下部電極の上に容量絶縁膜を形成する容量絶縁膜形成
    工程と、前記容量絶縁膜の上に上部電極を形成する上部
    電極形成工程とを備え、 前記下部電極形成工程は、前記イリジウム膜に生成され
    る結晶粒における結晶粒界の酸素濃度が前記結晶粒の酸
    素濃度よりも大きくなるように、前記イリジウム膜に対
    してアニールを行なう工程を有していることを特徴とす
    るキャパシタの製造方法。
  23. 【請求項23】 基板上に、ルテニウム及び酸素を添加
    したイリジウム膜よりなる下部電極を形成する下部電極
    形成工程と、前記下部電極の上に容量絶縁膜を形成する
    容量絶縁膜形成工程と、前記容量絶縁膜の上に上部電極
    を形成する上部電極形成工程とを備え、 前記下部電極形成工程は、前記イリジウム膜を構成する
    原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動するように前
    記イリジウム膜に対してアニールを行なう工程を有して
    いることを特徴とするキャパシタの製造方法。
  24. 【請求項24】 基板上に、イリジウム及び酸素を添加
    したルテニウム膜よりなる下部電極を形成する下部電極
    形成工程と、前記下部電極の上に容量絶縁膜を形成する
    容量絶縁膜形成工程と、前記容量絶縁膜の上に上部電極
    を形成する上部電極形成工程とを備え、 前記下部電極形成工程は、前記ルテニウム膜を構成する
    原子が再配置されて酸素原子が粒界に移動するように前
    記ルテニウム膜に対してアニールを行なう工程を有して
    いることを特徴とするキャパシタの製造方法。
  25. 【請求項25】 基板上に、酸化イリジウム又は酸化ル
    テニウムを添加した白金膜よりなる下部電極を形成する
    下部電極形成工程と、前記下部電極の上に容量絶縁膜を
    形成する容量絶縁膜形成工程と、前記容量絶縁膜の上に
    上部電極を形成する上部電極形成工程とを備え、 前記下部電極形成工程は、前記白金膜を構成する原子が
    再配置されて酸素原子が粒界に移動するように前記導電
    膜に対してアニールを行なう工程を有していることを特
    徴とするキャパシタの製造方法。
  26. 【請求項26】 基板上の下地絶縁膜の上に、貴金属、
    貴金属の導電性酸化物、高融点金属又は高融点金属の導
    電性化合物よりなる下部電極形成膜を堆積する下部電極
    形成膜堆積工程と、 前記下部電極形成膜の上に保護絶縁膜を堆積する保護絶
    縁膜堆積工程と、 前記保護絶縁膜及び下部電極形成膜に対して選択的にエ
    ッチングを行なうことにより、上部に前記保護絶縁膜を
    有する下部電極形成膜よりなる柱状の下部電極を形成す
    る下部電極形成工程と、 絶縁膜を前記下部電極の上面及び側面を覆うように堆積
    することにより、前記絶縁膜よりなる容量絶縁膜を形成
    する容量絶縁膜形成工程と、 前記容量絶縁膜における前記下部電極を覆う領域の上に
    上部電極を形成する上部電極形成工程とを備えているこ
    とを特徴とするキャパシタの製造方法。
  27. 【請求項27】 前記下部電極形成工程は、前記下部電
    極の側面と前記保護絶縁膜の側面とが滑らかに連続する
    ようにエッチングを行なう工程を含むことを特徴とする
    請求項26に記載のキャパシタの製造方法。
  28. 【請求項28】 基板上の下地絶縁膜の上に、開口部を
    有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工
    程と、 前記開口部が充填されるように前記マスクパターンの上
    に全面にわたって導電膜を堆積する導電膜堆積工程と、 前記導電膜に対してエッチングを行なうことにより、前
    記マスクパターンの上面を露出させると共に前記導電膜
    における前記開口部の上部に前記導電膜が除去されてな
    る空間部を形成する空間部形成工程と、 前記空間部に保護絶縁膜を充填した後、前記マスクパタ
    ーンを除去することにより、上部に前記保護絶縁膜を有
    し且つ前記導電膜よりなる下部電極を形成する下部電極
    形成工程と、 前記下部電極の上面及び側面を覆うように容量絶縁膜を
    形成する容量絶縁膜形成工程と、 前記容量絶縁膜における前記下部電極を覆う領域の上に
    上部電極を形成する上部電極形成工程とを備えているこ
    とを特徴とするキャパシタの製造方法。
  29. 【請求項29】 基板上の下地絶縁膜の上に、開口部を
    有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工
    程と、 前記開口部の底面及び壁面を含む前記マスクパターンの
    上に全面にわたって導電膜を堆積する導電膜堆積工程
    と、 前記開口部が充填されるように前記導電膜の上に全面に
    わたって前記導電膜とのエッチング選択比が大きい充填
    材を堆積する充填材堆積工程と、 前記導電膜に対してエッチングを行なうことにより、前
    記マスクパターンの上面を露出させると共に前記導電膜
    における前記開口部の壁面上部に前記導電膜が除去され
    てなる空間部を形成する空間部形成工程と、 前記空間部に保護絶縁膜を充填した後、前記マスクパタ
    ーン及び充填材を除去することにより、上縁部に前記保
    護絶縁膜を有し且つ前記導電膜よりなる有底筒状の下部
    電極を形成する下部電極形成工程と、 前記下部電極の外側面、内側面、上縁部及び底面に容量
    絶縁膜を形成する容量絶縁膜形成工程と、 前記容量絶縁膜における前記下部電極を覆う領域の上に
    上部電極を形成する上部電極形成工程とを備えているこ
    とを特徴とするキャパシタの製造方法。
  30. 【請求項30】 前記導電膜は、貴金属、貴金属の導電
    性酸化物、高融点金属又は高融点金属の導電性化合物で
    あることを特徴とする請求項28又は29に記載のキャ
    パシタの製造方法。
  31. 【請求項31】 前記下部電極形成工程と前記容量絶縁
    膜形成工程との間に、前記下部電極をマスクとして前記
    下地絶縁膜の上部に対してエッチングを行なうことによ
    り、前記下地絶縁膜における前記下部電極の周辺部を掘
    削する下地絶縁膜掘削工程をさらに備えていることを特
    徴とする請求項26、28又は29に記載のキャパシタ
    の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記下地絶縁膜掘削工程は、前記下部
    電極の側面と前記下地絶縁膜の側面とが滑らかに連続す
    るようにエッチングを行なう工程を含むことを特徴とす
    る請求項31に記載のキャパシタの製造方法。
  33. 【請求項33】 半導体基板上に形成され、酸化イリジ
    ウムよりなる下部電極と、該下部電極の上に形成され、
    タンタル酸化物よりなる容量絶縁膜と、該容量絶縁膜の
    上に形成された上部電極とから構成されたキャパシタを
    備えていることを特徴とする半導体装置。
  34. 【請求項34】 半導体基板上に形成され、酸素が添加
    されたイリジウムよりなる下部電極と、該下部電極の上
    に形成された容量絶縁膜と、該容量絶縁膜の上に形成さ
    れた上部電極とから構成されたキャパシタを備えている
    ことを特徴とする半導体装置。
  35. 【請求項35】 半導体基板上に順次形成され、酸素が
    添加されたイリジウムよりなる下部電極と、容量絶縁膜
    と、上部電極とから構成されたキャパシタを備え、 前記下部電極は、多数の結晶粒を含み、該結晶粒同士の
    間の領域の酸素の含有率は、前記結晶粒の酸素の含有率
    よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
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