JP2000107532A - 排ガス浄化方法 - Google Patents

排ガス浄化方法

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JP2000107532A
JP2000107532A JP10276790A JP27679098A JP2000107532A JP 2000107532 A JP2000107532 A JP 2000107532A JP 10276790 A JP10276790 A JP 10276790A JP 27679098 A JP27679098 A JP 27679098A JP 2000107532 A JP2000107532 A JP 2000107532A
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JP
Japan
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exhaust gas
agent
heating
alkaline substance
heat treatment
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JP10276790A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Kashiwagi
佳行 柏木
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃棄物等を加熱処理すると、廃棄物の含有す
る有害成分が析出て排ガス中に含まれる、これを大気中
に排出すると環境上好ましくないので、排出する前段階
でバグフィルタにより排ガスの浄化処理が行われてい
る。この際、バグフィルタは耐久温度が低いため、排ガ
スの温度を下げる必要があるが、未処理の排ガスの温度
を低下させると、有害成分(ダイオキシン類)を再合成
する可能性がある。 【解決手段】 浄化装置38に排ガスを導入する排出管
路37に、冷却用空気と排ガス処理剤とを供給する供給
部40を形成し、供給部40で冷却用空気と排ガスを混
合して排ガスの温度を下げ、同時に排ガスに反応効果の
優れている多孔質化したアルカリ物質からなる排ガス浄
化剤を添加して排ガス中の有害成分が分解又は活性化す
る高温状態で浄化剤との反応を効果的に行わせ、再合成
の可能性を無くした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は廃棄物等を加熱処理
する場合に発生する排ガスの浄化方法に関し、特に、浄
化装置に導入する排ガスに冷却用空気を混合させて冷却
するとともに、排ガスに多孔質化したアルカリ物質から
なる排ガス浄化剤を供給して排ガスの浄化を一層効果的
に行うようにした排ガス浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ゴミなどの一般廃棄物や産業廃棄
物、シュレッダーダスト、塩化ビニルなどの廃棄物はハ
ロゲン物質(塩素、臭素、沃素、フッ素、アスタチ
ン)、特に塩素成分を多量に含んでいるので、焼却など
の加熱処理をした場合には、塩素系ガス(塩化水素、塩
素)が多量に発生し、発生した排ガス中、及び排ガス処
理のためにバグフィルタで使用した処理済み粉末、排ガ
ス中の飛灰、焼却後の残渣(処理灰)中に猛毒のダイオ
キシン類が生成して残存することが知られている。
【0003】ごみ焼却場等の排ガスを処理するために、
焼却炉と煙突との間の排気系中に排ガスの浄化装置とし
てバグフィルタが使用されている。このバグフィルタ装
置の一例としては、特開平8−108026号公報に記
載のものがある。この公報には、容器内に複数個の濾布
を設け、下部のバグフィルタハウスホッパ部から反応薬
剤としての消石灰と排ガスとを導入し、消石灰を濾布に
付着させ、この濾布を通過させることで排ガス中の塩素
系ガス、ダイオキシン類の除去処理をするようになし、
特に複数個の濾布に対して消石灰の付着層を均一に形成
することにより、少ない消石灰量で高い排ガス処理性能
を持つようにしたバグフィルタ装置例が記載されてい
る。
【0004】又、前記焼却手段に代えて、被処理物を熱
分解(乾留)し、分解後の残渣を炭化又は灰化等により
減容化する方法も知られている。この処理方法として
は、単一の回転処理炉(ロータリーキルン)を使用して
熱分解し、排出された残渣を後ストーカで焼却し、熱分
解ガスを再燃室で燃焼させ、発生した高温ガスをボイラ
等を通した後、反応等で前述同様に消石灰スラリを噴霧
して排ガスと反応させるようにして処理する方法(例え
ば、特開平5−33916号)がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平8−10
8026号などに記載されている従来のバグフィルタ装
置においては、バグフィルタ装置内に処理剤を噴霧する
とともに、装置内を通過させることで排ガスの浄化を行
うものであるが、この装置例では、浄化剤として消石灰
を使用しており、排ガスと接触反応した後の浄化剤には
塩素成分とか、生成したダイオキシン類が付着している
ため未反応の浄化剤があっても再利用することはできな
い。従ってこれらの浄化剤は所定の無害化処理を行って
から埋立処分などの処理を行わなければならない。
【0006】また、被処理物を加熱処理(乾留、燃焼)
した場合には、加熱処理を均一な加熱条件で行えれば、
排ガスの均一な処理が期待できるが、不均一な加熱処理
となった場合には、有害物質の分解が均一に行われなく
なって有害成分が一部残存する可能性がある。
【0007】または、燃焼炉と煙突間の排気系におい
て、排ガス温度が低下(300℃程度)する場合には有
害物質(例えばダイオキシン類)が再合成する可能性が
ある。
【0008】これらの対策として、排ガスを再度高温
(800℃程度以上)で燃焼させて排ガス中の有害物質
(成分)を分解することが考えられる。しかし、このよ
うな高温の排ガスをそのままバグフィルタ装置に導入す
ると、バグフィルタ装置は一般的に200℃以下の排ガ
スを導入するように構成されているので、バグフィルタ
装置は損傷してしまう。そこで、バグフィルタ装置に導
入する前段で排ガスを温水などに置換(熱回収)するこ
とで冷却することが行われている。
【0009】しかし、バグフィルタ装置で浄化する前の
排ガスの温度を再度低下させると、再々度有害物質を再
合成する可能性があり、その後にバグフィルタ装置で除
去するにしても、バグフィルタ装置の浄化剤に吸着され
た状態で排出されることになる。従って、上述したよう
に処理後の浄化剤は、所定の無害化処理を行う必要があ
る等の課題が生じる。
【0010】また、被処理物から発生した塩素系ガスと
反応して無害な塩類を生成するものとして、アルカリ物
質を添加することは知られているが、塩類生成効果が不
安定であって、有害物質を効果的に除去できない等の種
々の課題がある。
【0011】本発明はこのような課題に鑑みてなされた
もので、バグフィルタ等のの浄化装置に導入される以前
の高温の排ガスに多孔質化したアルカリ物質からなる浄
化剤を供給すると同時に、排ガスに冷却用空気を混合し
て排ガスの温度を低下させることにより上記の課題を解
決するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】被処理物を加熱処理する
と熱分解等による排ガスが発生する。この排ガス中には
有害成分が含まれており、これを除去する必要がある。
またこの排ガス中には被処理物の性質にもよるが、一般
的にタール等の可燃成分が含まれているので、排ガスを
排ガス燃焼手段で燃焼して除去した後、バグフィルタ等
の浄化装置で清浄化して大気中に排出される。
【0013】本発明はこの排ガス及び排ガス燃焼手段で
燃焼した後の排ガスは高温であり、且つ、排ガス中に残
存する有害成分(物質)は分解した状態にあり、また活
性化した状態にあるので、ここに有害成分と反応する排
ガス浄化剤を供給すれば、有害成分との反応が効果的に
行えることに着目し、更に、浄化装置に導入される排出
管路内にはブロワ等により相当速い流速の排ガスが通過
していることに着目し、このブロワ等の吸引力による流
速を利用して冷却用空気と排ガスとを混合するととも
に、排ガス浄化剤を排出管路内に送り込み、排ガスの冷
却と排出ガスの効果的な浄化を行うようにしたものであ
る。
【0014】このようにすることにより、排ガスは浄化
されているので、浄化装置に適応するように排ガス温度
を低下させても有害物質は除去されており、再合成の可
能性は極めて少なくなる効果が期待できる。
【0015】また、本願の発明者らの実験によると、従
来から使用されている消石灰等のカルシウム系の処理剤
を使用した場合には、使用しない場合と比較して、無害
な塩化物を生成することから、ある程度の効果があるこ
とがわかった。しかし、その効果は満足するものではな
いので、一層の効果を得るべく、実験、調査を行った。
【0016】実験、調査の結果、ナトリウム、カリウム
系のアルカリ金属化合物を処理剤として用いれば有害成
分と効果的に反応して無害な塩化物を生成し、有害物質
が除去できることを見い出し、すでに提案した(特願平
9−38725号,特願平9−38736号,特願平9
−160910号)。
【0017】更に、上記の実験調査を基に、分析検討す
るために、処理剤を室温から順次加熱して反応を調査し
た結果、100℃以上で加熱すると、処理剤の含有する
気化成分(O,H,CO,CO2など)がH2O,CO2
として蒸発分離して、処理剤に貫通孔、凹部を形成して
多孔質化し、表面積が増加していることが判明した。
【0018】このことにより、処理剤のアルカリ物質
(Na,Kl,Caなど)の表面積が増加してリッチな
表面となり、接触した塩素系ガスとの反応がスムーズに
行われ、無害な塩類(NaCl,KClなど)を生成し
やすい状態となることを見い出した。
【0019】本発明は、これらの知見に基づいてなされ
たもので、上記の課題を解決するための手段は、加熱処
理炉で被処理物を加熱処理し、加熱処理時に分解して発
生する排ガスを、排出管路を通して浄化装置に導入し、
該浄化装置で清浄化した後大気中等に排出するようにし
た排ガス浄化方法において、前記浄化装置に導入する排
ガスと、冷却用空気とを混合することで排ガスの温度を
下げ、且つ排ガスに、排ガス中の有害成分と反応する多
孔質化したアルカリ物質よりなる排ガス浄化剤を供給し
て排ガスから有害成分を除去するようにしたことを特徴
とする。
【0020】また、浄化装置に導入する排ガスと、冷却
用空気とを混合することで排ガスの温度を下げ、且つ排
ガスに排ガス中の有害成分と反応する多孔質化したアル
カリ物質中特にアルカリ金属化合物からなる排ガス浄化
剤を供給して排ガスから有害成分を除去するようにす
る。
【0021】また、排ガスを浄化装置に導入する前処理
工程として、排ガスを燃焼させる排ガス燃焼工程を設
け、冷却用空気は、この燃焼後の排ガスに混合し、燃焼
手段で高温化された排ガスの温度を浄化装置の耐久温度
(例えば、200℃)以下に低下させる。
【0022】本発明に使用される排ガス浄化剤としての
多孔質化したアルカリ物質は、加熱により分離飛散する
気化成分を含有し、且つ有害な成分と反応して無害な塩
類を生成するアルカリ物質であって、加熱によりアルカ
リ物質から気化成分を分離除去することで多孔質化し、
表面積を増加するように形成して有害成分との接触面積
を増大させ、これにより反応効果を高めるようにしたも
のである。
【0023】アルカリ物質から気化成分を分離除去する
加熱手段は、熱ガスによる間接加熱,電気加熱(誘導加
熱,抵抗加熱)、マイクロ波加熱のいずれか、又は組み
合わせのいずれでもよい。 アルカリ物質から気化成分
を分離除去する加熱温度は、気化成分が分離飛散する温
度、例えば200℃〜400℃である。そして、アルカ
リ物質には、粉体を使用し、粉体の粒径は5mm以下が
よい。
【0024】アルカリ物質体は、含有する気化成分
(O,H,CO,CO2など)が分離飛散するときH
2O,CO2として分離し、処理剤に貫通孔,凹部(穴)
を形成して多孔質化することによって表面積を増加する
物質である。
【0025】また、アルカリ物質は、気化成分を含有
し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアル
カリ金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種
類を選択、又は2種以上を混合したものから成る。
【0026】そして、このアルカリ金属化合物は、炭酸
水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリ
ウムから選択した単体、複数種の混合物による。
【0027】なお、炭酸水素ナトリウム(NaHC
3)は、別称として、酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナ
トリウム、重炭酸ソーダと称され、更には俗称として、
重曹とも称されている。
【0028】セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・Na
HCO3・2H2O)は、別称として、二炭酸−水素ナト
リウム、三二炭酸水素ナトリウム、ナトリウムセスキカ
ーボネートと称され、天然にはトロナ(天然ソーダ)と
して産出する。
【0029】上記のアルカリ物質の化合物で、アルカリ
物質以外の気化成分を加熱蒸発させると孔質化し、その
表面が増大すること、およびこのアルカリ物質と有害な
塩化水素と反応して無害な塩類に置換生成されて有害成
分が無害化されることは下記の反応式により明らかとな
っている。
【0030】炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の場
合加熱による多孔質化処理すると、 NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2 となりH2O,CO2は分離飛散して多孔質化したNa2
CO3となる。これが有害成分の塩化水素と反応する
と、 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 となりH2O,CO2が分離し、無害な塩類(2NaC
l)となる。
【0031】同様に炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナト
リウムは、次のようになる。
【0032】炭酸水素カリウム(KHCO3)の場合加
熱による多孔化処理すると、 KHCO3→KCO3+H2O+CO2 塩化水素との反応は、 KCO3+2HCl→2KCl+H2O+CO2 セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2
2O)の場合加熱による多孔化処理すると、 2(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)→3Na2
3+5H2O+CO2 塩化水素との反応は、 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 この多孔質化処理した処理剤が、表面積が増加して、被
処理物から分解析出した塩素系ガスとの接触面積が増大
し、反応して新たな塩類を生成する効果が増加すること
は明らかである。
【0033】排ガス浄化剤は、上記のアルカリ金属化合
物が最も好ましいが、ハロゲン物質と反応して無害な塩
類を生成する、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アル
カリ土類金属化合物、に含まれる物質{アルカリ金属
(Na,Kなど)、アルカリ土類金属(Ca,Sr,B
a,Ra)、アルカリ土類金属化合物(石灰、消石灰、
炭酸カルシウム、ドロマイドなど)}であっても排ガス
の性質などに応じて使用できる。この排ガス浄化剤の供
給は、前記の排出管路又は処理空気導入管に、排ガス又
は冷却用空気の流速に引導させて排ガス浄化剤を送り込
む浄化剤供給手段、又は供給手段を別に設けて行う。
【0034】また、この排ガス浄化剤の形態は、粉体
(例えば、本願の出願人の出願に係る特願平9−387
25,同9−160910,同9−38736によるア
ルカリ物質体の)、又は多孔質化した粉体(例えば本願
出願人の出願に係る特願平10−183530)が好適
である。
【0035】この多孔質化した粉体は、加熱により分離
飛散する気化成分を含有し、且つ有害成分と反応して無
害な塩類を生成するアルカリ物質体(例えば、炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウム等)を、加熱して気化成
分をCO2,H2Oとして蒸発飛散させ、穴、貫通孔を形
成して表面積を増加させることで有害成分との接触反応
を良好なものとした多孔質粉体である。
【0036】また、浄化装置は、現在一般に使用されて
いるバグフィルタ装置で形成することが好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。図1は本発明の実施の形態の構成の
概念図で、加熱処理炉を2基設けた場合である。
【0038】図中10は第1の加熱処理炉、20は第2
の加熱炉を示す。
【0039】第1の加熱処理炉10は、回転自在の円筒
体11と、該円筒体11の外周にガスダクトを形成して
熱ガスの導入により円筒体11を加熱する加熱ジャケッ
ト12と、円筒体11の一方の端部に設けられ、被処理
物を円筒体11内に供給する供給口13と、円筒体11
の他方の端部に設けられた排出口14とで構成され、こ
の円筒体11は図示しない回転駆動手段によって回転駆
動される。
【0040】円筒体11の回転駆動手段は、通常の駆動
用モータと駆動歯車及び円筒体に設けられた従動歯車等
から構成される。加熱ジャケット12は固定され、円筒
体11との回転接触部には、メカニカルシールが施され
ている。
【0041】15は第1の加熱処理炉10の供給口13
側に設けられた供給側ダクトで、被処理物と脱塩素剤と
の混合物を円筒体11内に導入する。
【0042】第2の加熱処理炉20の構成は、第1の加
熱処理炉10の構成とほぼ同一であり、回転自在の円筒
体21と、該円筒体21の外周にあって熱ガスの導入に
より円筒体21を加熱する加熱ジャケット22と、円筒
体21の一方の端部,この例では第1の加熱処10の排
出口14側に設けられ、被処理物を円筒体21内に供給
する供給口23と、円筒体21の他方の端部に設けられ
た排出口24とで構成されている。
【0043】16は第1の加熱処理炉10の排出口14
側と、第2の加熱処理炉20の供給口23側を包囲し、
混合物を第1の加熱処理炉10から第2の加熱処理炉2
0へ導入する導入ダクトを示し、この導入ダクト16に
は、必要に応じて脱塩素剤を追加するための脱塩素剤追
加手段26を設ける。この脱塩素剤の追加供給は、塩化
水素濃度測定装置Mにより、ダクト内の塩化水素濃度を
測定し、測定値に応じて、自動又は手動で供給する。
【0044】25は第2の加熱処理炉20の円筒体21
の排出口24側を包囲し、第2の加熱処理炉20で加熱
処理した被処理物(残渣)を溶解槽32内に排出する排
出側ダクトである。
【0045】第1の加熱処理炉10の円筒体11と、第
2の加熱処理炉20の円筒体21とは上下方向に配設さ
れ、図示は省略してあるが、円筒体11および21の外
周に設けられた加熱ジャケット12および21は固定部
材により支持固定されており、円筒体11,21の内部
には、被処理物と脱塩素剤の混合物を撹拌しながら移送
する複数の羽根が設けられ、円筒体11,21自体の回
転によって混合物を図の一点鎖線で示すように供給口1
3側から、排出口24側に移送する構成となっている。
【0046】また、円筒体11に回転接触するダクト1
5,16の接触部分および円筒体21に回転接触するダ
クト16,25の接触部分にはメカニカルシールが施さ
れている。
【0047】27はホッパで、このホッパ27に破砕し
たプラスチック類等の塩化物を含有する被処理物とアル
カリ金属化合物からなる脱塩素剤とを混合して投入し、
円筒体11の供給口13から円筒体11内に供給可能と
する。
【0048】このホッパ27に被処理物の破砕機能と脱
塩素剤の混合機能を合わせて持たせ、固形物を破砕しな
がら脱塩素剤と混合してもよいし、また、予め破砕した
被処理物と脱塩素剤とを混合してホッパ27に投入して
もよい。
【0049】28は燃焼装置であり、例えばLNGを燃
焼させる場合には、図外のLNGタンクから供給される
LNGを燃焼して熱ガスを発生させる。この熱ガスは第
2の加熱処理炉20の円筒体21外周に設けた加熱ジャ
ケット22内に供給されて円筒体21を加熱した後、連
絡管29を介して第1の加熱処理炉10の円筒体11の
加熱ジャケット12内に送り込まれ、この円筒体11を
加熱した後、排出管31を介して残渣の乾燥手段34に
送出して、乾燥手段の熱として利用した後、連絡路29
を介して排ガス燃焼手段36に送り込まれる。
【0050】排ガス燃焼手段36は、第1の加熱処理炉
10の排出側と、第2の加熱処理炉20の供給側を連通
する導入ダクト16内のガスと、燃焼装置28から送出
され、各加熱部に利用した後のガスとを燃焼させ、排出
管路37を通して次工程の浄化装置38に導入する。
【0051】この排ガス燃焼手段36では、ガス中に含
まれるタール分等の可燃成分を燃焼して除去する。燃焼
させるための燃料としてはLNGを使用する。
【0052】浄化装置38は、例えば、現在一般に使用
されているバグフィルタ装置が使用できる。
【0053】38′は浄化装置35に設けられているブ
ロワで、排ガスを浄化装置38内に導入し、浄化装置3
8で清浄化された排ガスを煙突39を介して排出する。
【0054】40は本発明の特徴部である冷却用空気、
排ガス浄化剤を供給する供給部(以下、空・剤供給部と
略称する)を示す。この空・剤供給部40は図2に示す
ように構成されている。
【0055】即ち、図2は空・剤供給部40部分の断面
図で、その(A)図は、排ガスaの流速に冷却用空気b
を引導する場合、(B)図は、冷却用空気bに排ガスa
を引導する場合を示す。これらの図において、41は空
気冷却手段を構成する空気導入管で、(A)図において
は、一端側は排出管路37内に連通し、他端側は大気中
に開放され、中間に流入空気量を調節する弁等から成る
流入量調整手段42を有する。
【0056】(B)図においては、空気導入管41の一
端側は浄化装置38に接続され、他端側は開放され、排
出管路37の端部はこの空気導入管41内に開口され
る。
【0057】43は浄化剤供給手段で、排ガス浄化剤4
4を収容し、底部が空気導入管41内に開口し、その出
口に弁等による調整手段45を有し、空気導入管41内
を冷却用空気が流れたときこの流れに引導されて排ガス
浄化剤を排出管路37内又は空気導入管41内に供給
し、排ガス内の有害成分と反応させ浄化装置38に導入
する。
【0058】この浄化剤供給手段43の設置場所は、図
2に示すように空気導入管41に設けてよいが、(A)
図の一点鎖線の43′で示すように、空気導入管41よ
り加熱処理炉側に設けてもよい。
【0059】また図1に戻り、同図の33は脱水手段
で、溶解槽32内の水溶液を固・液分離し、固形物は乾
燥手段34で乾燥した後、固形物抽出部35に抽出す
る。
【0060】次に本実施の形態に基づく一連の処理方法
について説明すると、予め被処理物は破砕機により破砕
しておき、この被処理物に脱塩素剤としてアルカリ金属
化合物、例えば炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を
添加混合する。この脱塩素剤は、塊状、板状、多孔質形
状、粉体状、溶液、懸濁液の何れか、もしくはこれらの
組み合わにより使用される。
【0061】被処理物としては、塩素含有処理物、例え
ば、プラスチック類などで、この被処理物に対する脱塩
素剤の混合割合は、被処理物の含有する塩素量の2〜1
0倍、又は被処理物の5〜30重量%とする。被処理物
の破砕は脱塩素剤を混合してから破砕してもよい。
【0062】これと平行して燃焼装置28でLNGを燃
焼して熱ガスを発生させ、加熱ジャケット22及び加熱
ジャケット12に供給して第1の加熱処理炉10と第2
の加熱処理炉20の炉内を加熱状態としてから、被処理
物と脱塩素剤の混合物をホッパ27から供給口13を介
して第1の加熱処理炉10の円筒体11内に供給する。
この円筒体11は図示しない回転駆動手段によって回転
駆動されている。
【0063】第1の加熱処理炉10での加熱処理は、被
処理物と脱塩素剤との混合物を十分混合した後、この混
合物を100℃〜150℃で加熱し、含有する水分を除
去して乾燥させる乾燥工程により加熱処理を実施する。
被処理物から水分(H2O)を除去することで、次の分
解反応工程を効果的に行い得るようにする。
【0064】第1の加熱処理炉10で乾燥された被処理
物は、導入ダクト16を介して第2の加熱処理炉20に
供給される。
【0065】第2の加熱処理炉20では、被処理物から
塩素系ガスを分解析出して脱塩素剤と反応させる分解反
応工程により分解反応(脱塩素)処理を行う。
【0066】塩素系ガスが分解析出する温度と時間は事
前に調査して被処理物の性質を把握し、この調査結果を
十分にカバーできる温度(200℃〜350℃)と時間
(30分)で処理する。尚、被処理物から塩素系ガスを
分解析出させる温度としては、250℃〜350℃が適
当である。
【0067】尚、第2の加熱処理炉20での加熱温度と
時間は、加熱処理炉の状態(大きさ、加熱手段などの炉
に依存する条件等)、被処理物の処理量などにも関係す
るので、事前に調査などを十分に行っておく必要があ
り、またデータを取り蓄積しておく必要がある。
【0068】また、第2の加熱処理炉20での加熱は、
「燃焼、焼却」ではなく、「蒸し焼き、熱分解」での処
理とすると、析出した有害な塩素系ガスとアルカリ金属
化合物の脱塩素剤とを効果的に接触反応させることがで
き、有害なHClガスを無害な塩化物に置換生成するこ
とができる。
【0069】第2の加熱処理炉20内においては、HC
l成分を含む塩素系ガスが発生するが、この塩素系ガス
中のHCl成分は、添加されているアルカリ金属化合
物、例えば炭酸水素ナトリウムと反応して無害な塩化物
である塩化ナトリウム(NaCl)を生成する。これによ
って、分解ガス中のHCl成分の無害化と残渣の無害化
が同時に行える。
【0070】無害化された排ガスは、導入ダクト16か
ら排ガス燃焼装置36に送り込まれる。
【0071】第1の加熱処理炉10と第2の加熱処理炉
20での加熱で生じた排ガス中には、被処理物の性質に
よって多量のタール分等可燃成分が含まれている。この
排ガスが含有するタール分等は排ガス燃焼装置36によ
り燃焼除去される。
【0072】この燃焼により高温化された排ガスはその
まま浄化装置38に導入することができないため、この
排ガスを約200℃以下に冷却してから浄化装置38に
導入する。
【0073】即ち、排ガス燃焼装置36で燃焼した高温
(約800℃)の排ガスaは、ブロワ38′により吸引
されて排出管路37の中を通過して浄化装置38に導入
される。このとき図2(A)では、浄化装置38に導入
される前の段階で冷却用空気bが排ガスaの流速に引導
されて排ガス中に流入して混合し、排ガスの温度を浄化
装置38の耐久温度以下(約200℃以下)に下げると
同時に、排ガス浄化剤44も排ガスの流速に引導されて
流入し、排ガス中に残存する有害成分と接触しながら浄
化装置に導入され、排ガス中に存在する有害成分と接触
反応して排ガスの浄化が行われる。
【0074】また(B)図の例では、浄化装置38のブ
ロワにより冷却用空気bが主に吸引され、排ガスaは、
これに引導される形で冷却用空気と混合して冷却され
る。
【0075】このとき、流入する排ガス浄化剤として
は、多孔質化したアルカリ物質(特に、アルカリ金属化
合物)を使用する。
【0076】この添加供給した排ガス浄化剤と排ガス中
の有害物質成分(例えば、塩化水素)とが高温で接触反
応して、排ガス中の有害成分を無害な塩化物として除去
でき、排ガス温度が低下してもダイオキシン類を再合成
する可能性は極めて少ない。
【0077】塩化水素と反応した無害な塩化物は水など
の溶液により容易に且つ安全に除去できる。
【0078】なお、浄化装置で使用済みの排ガス浄化剤
は、回収後、初期工程の被処理物に脱塩素剤として混合
して再利用できる。
【0079】上記の加熱処理炉での被処理物への脱塩素
剤の添加混合により、基本的には残渣と排ガスの無害化
をはかることができるが、被処理物の性質などによって
は、不完全反応等の現象によって排ガス中に少量の塩素
系ガスが残存するケースが考えられる。
【0080】このような場合であっても、排出管路37
および浄化装置38内で排ガスと排ガス処理剤とを再度
の反応を行わせることによって塩素系ガスの残存を完全
に防止することができる。無害化された排ガスは煙突3
9から安心して放出することができる。
【0081】一方、無害化された被処理物(残渣)と、
反応後の塩化ナトリウム等は排出側ダクト25を介して
溶解槽32内に排出される。この溶解槽32内で、被処
理物と塩化ナトリウム等は、水に溶解し、次段の脱水手
段33で固体成分と液体成分とに分離され、液体成分は
排水され、固体成分(固形物)は、固形物抽出部35に
抽出される。
【0082】ここに抽出された固形物は、RDF(固形
燃料)の原料として使用できる。また、各種の用途の燃
料、例えば、高炉、セメント、クリンカ製造などの燃料
として利用することができる。
【0083】なお、図1の実施の形態においては、排出
管路37に、排ガス燃焼手段36を備えた場合について
説明したが、排ガス燃焼手段36を設けない場合でも、
前記と同様に冷却用空気および排ガス浄化剤を排出管路
又は空気導入管に供給して、浄化装置38に導入される
排ガスの温度を下げると同時に、排ガスと接触反応させ
排ガスを浄化させることができる。
【0084】また、排出管路37に排ガス燃焼手段を有
する場合でも、排ガスを800℃程度で燃焼して高温と
なった排ガスも冷却空気の導入量を増やすことで、排ガ
スの温度を200℃以下に下げて浄化装置に導入する。
【0085】ここで使用される排ガス浄化剤は、加熱に
より分散飛散する気化成分を含有し、且つ有害成分と反
応して無害な塩類を生成するアルカリ物質を加熱し、該
アルカリ物質から気化成分を分離除去して多孔質化する
ことによって表面積を増加させたアルカリ金属化合物
で、例えば炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭
酸水素カリウムから選択した単体、複数種の混合物によ
る。
【0086】次に、このアルカリ物質の多孔質化と、多
孔質化した処理剤(脱塩素剤)の反応効果について説明
する。
【0087】図3はアルカリ物質体を多孔質化処理する
ための実験に供した実験装置で、電子レンジを使用した
場合である。
【0088】実験は、アルカリ物質体で、平均粒径が1
50μm以下の粉体を使用し、これをセラミックの容器
2に充填し、電子レンジ1内に入れ、加熱温度を変えて
気化成分の蒸発分離量を重量の変化で測定し、更に電気
顕微鏡で粉体の表面を観察した。
【0089】実験に供したアルカリ物質体は、気化成分
が含有し、該気化成分が分離飛散する際にCO2又はH2
Oとなる物質の中から炭酸水素ナトリウム(試料1と称
す)、セスキ炭酸ナトリウム(試料2と称す)を選び、
また気化成分を含まない炭酸ナトリウム(試料3と称
す)を用いた。
【0090】この試料1および2については、表1に示
すように150℃から50℃間隔で350℃まで、各温
度を一定に保ち、2.5分後、5.0分後、7.5分
後、10分後、15分後、20分後からは10分間隔で
60分後まで各温度における重量を測定した。
【0091】
【表1】
【0092】実施1〜実施5は、試料1について初期重
量が2.00gを使用した場合、実施6,実施7は、試
料の量を増やし初期重量を10gおよび20gとした場
合を示す。
【0093】また、実施8〜実施12は、試料2につい
て、初期重量が2.00gを使用した場合である。
【0094】また、比較1および比較2は、試料3につ
いて試料の使用量を2.00gとし、300℃と350
℃において加熱し、各2.5分から30分後まで表1に
記載の時間経過時に重量を測定したものである。
【0095】表1にこの測定結果を示す。
【0096】この表1から次のことが明らかとなった。
【0097】(1)試料1では気化成分が分離蒸発して
重量は初期値に対して37%程度減少していること。
【0098】(2)試料2でも重量は初期値に対して3
0%程度減少していること。
【0099】(3)試料3は、重量は初期値とほとんど
変らないこと。
【0100】また、試料1および2の表面を電子顕微鏡
で観察したところ、図4に示すように表面に多数の凹部
が形成され多孔質化されていることが確認された。な
お、試料3では凹部の形成は見られなかった。
【0101】図5は気化成分を含有する処理剤が加熱に
より多孔質化する過程の加熱反応模式図で、炭酸水素ナ
トリウム(NaHCO3)の粉体の例を示す。この図で
白丸はNa、網丸はCO2、斜線丸はH2Oを示してい
る。
【0102】100℃以上で、10分以上加熱すると、
CO2,H2Oが蒸発飛散し多孔質のNa2CO3となり、
CO2,H2Oが蒸発して穴a又は貫通孔bが形成され、
粉体の表面がNaのリッチな表面となり、表面積が増加
する。
【0103】図6は上記の多孔化したNa2CO3に塩素
系ガス(HCl,Cl)が接触反応する場合の接触反応
模式図で、縦線丸はHCl,Clを示し、200℃〜3
50℃に加熱・保持し、多孔質化したNa2CO3に被処
理物から分解析出した塩素系ガス(HCl,Cl)成分
が接触反応して新たにNaClが生成される。
【0104】即ち、有害な塩素系ガス(HCl)が無害
なNaCl(塩化ナトリウム)に置換生成される。
【0105】この有害な塩素系ガス(塩化水素)が無害
な塩化物に置換生成される理由は下記の反応による。
【0106】炭酸水素ナトリウム(NaHCO3) 加熱による多孔化処理 NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2 塩化水素との反応 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 炭酸水素カリウム(KHCO3) 加熱による多孔化処理 KHCO3→KCO3+H2O+CO2 塩化水素との反応は、 KCO3+2HCl→2KCl+H2O+CO2 セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2
2O) 加熱による多孔化処理 2(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)→3Na2
3+5H2O+CO2 塩化水素との反応 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 即ち、有害な塩化水素は無害な塩類(2NaClや2K
Cl、)に置換される。
【0107】次に、本発明にかかわる多孔質化した処理
剤と、多孔質化しない処理剤の試料を使用し、有害成分
の中のHClとの反応効果を比較検証した。
【0108】実験は、排気管付きで、開閉扉を有する密
閉容器にて低酸素雰囲気を作り、この密閉容器に試料を
入れ、電気炉にて加熱し、250℃から650℃まで5
0℃間隔で各温度にて5分間保持し、昇温時、5分間保
持後に、排気管を開けて塩化水素ガス(HCl)濃度
(ppm)を測定した。
【0109】ガス濃度の測定は、JIS−K0804に
規定されている検知管によって測定した。
【0110】測定は、まず塩素成分を多量に含んでいる
ポリ塩化ビニリデンのみ4gを用いて予備実験を行っ
た。その結果を表2の比較B−1に示す。
【0111】
【表2】
【0112】次に、従来より脱塩素剤として知られてい
る消石灰および炭酸カルシウムの粉末を各20g添加し
て実験した。その結果を比較B−2,比較B−3に示
す。
【0113】次に、被処理物としてポリ塩化ビニリデン
4gを用い、処理剤として炭酸水素ナトリウムを多孔質
化処理した処理剤(以下、済み剤と称す)と、多孔質化
処理しない処理剤(以下、未処理剤と称す)とを12.
5gと7.5gを使用して比較実験を行った。
【0114】その結果を済み剤によるものを表2の実施
例1および実施例2に、未処理剤によるものを比較例A
−2および比較例A−3に示す。
【0115】比較例A−1は、未処理剤の使用量を20
gに増加した場合の結果を示している。
【0116】次に、標準的な都市ゴミを模擬した次のよ
うな模擬ゴミを作成し、この模擬ゴミを破砕し、破砕し
た模擬ゴミ20gとポリ塩化ビニリデン1gを混合して
被処理物を作り、済み剤を3.15gを添加した場合
と、未処理剤を5g添加した場合との比較実験を行っ
た。その結果を表2の実施例3および比較例A−4に示
す。
【0117】模擬ゴミの構成は、次の通り、 20重量%…プラスチック(PE、PP、PS、PVD
C) 50重量%…紙(ティッシュ、新聞、包装紙、箱、飲料
パック) 20重量%…布(ウエスなど) 10重量%…厨芥 表2は、表2の左欄の各温度においてHCl濃度(pp
m)を測定した結果を示す。表2において塩化水素ガス
濃度は実験10回における測定値で、各実施例は最高
値、各比較例は最低値を示す。また、“ND”は“検出
されずを表わし、10回の実験でいずれも検出されなか
ったことを示している。
【0118】この表2の実験結果から、次のように考察
される。
【0119】まず、塩素成分を多量に含有する塩化ビニ
リデンを被処理物とした場合、脱塩素剤を添加しない比
較例B−1では、熱処理による各温度にわたって塩化水
素ガスが多量に発生している。
【0120】この被処理物に従来の脱塩素剤である消石
灰を添加した比較例B−2と、炭酸カルシウムを添加し
た比較例B−3では、比較例B−1と比べて塩化水素ガ
スの発生がかなり抑制されているものの、まだ十分であ
るとは言えない。
【0121】これに対し、処理剤として炭酸水素ナトリ
ウムを添加したものは全体として非常に良好な結果が得
られている。そして、この炭酸水素ナトリウムを、多孔
質化処理した済み剤と未処理剤とを比較すると、未処理
剤を12.5g添加した場合は比較例A−2に示すよう
に300℃、5分保持後〜350℃、5分保持後におい
て極微量の塩化水素が検出されているが、済み剤の場合
は実施例1のように全温度範囲にわたり全く検出されな
い。
【0122】処理剤の添加量を7.5gに減らして比較
すると、実施例2および比較例A−3に示すように30
0℃、5分保持後〜350℃、5分保持後間において塩
化水素ガスの発生は見られるが、実施例2は極く微量
(2ppm〜15ppm)であるのに対し、比較例A−
4は若干多く(5ppm〜90ppm)検出されてい
る。
【0123】しかし、比較例A−1のように、添加量を
20gに増加すれば良好な結果が得られる。
【0124】次に、被処理物として、ポリ塩化ビニリデ
ン1gと模擬ゴミ20gを混合したものを使用した場合
は、比較例A−4においては、未処理剤5gを使用して
400℃〜500℃で若干の塩化水素が検出されている
が、実施例3では済み剤が3.15gと少ないにもかか
わらず、全温度範囲で全く検出されなかった。
【0125】以上の実験調査により、次のことが判明し
た。
【0126】(1)多孔質化処理した処理剤は、実施例
2のように処理剤の添加量が少ないときは若干の塩化水
素の発生が見られるが、その他は良好に反応して塩化水
素が発生していないこと、(2)多孔質化処理しない未
処理剤では、比較例A−2〜A−4で300℃〜400
℃の範囲の中で微量の塩化水素の発生が見られるが、し
かし、比較例A−1のように添加量を多くすれば良好な
結果が得られること、(3)以上のことから、多孔質化
した処理剤は、多孔質化しなかった処理剤と比較して、
少量の添加量で良好な効果が得られること、(4)比較
例B−1〜B−3では、塩化水素が多量に発生している
こと。
【0127】また、この実験結果から、塩素成分を含有
する被処理物を処理する場合には、有害なHClと反応
して無害な塩化物を生成するアルカリ物質を添加して処
理することで、HClの無害化処理できることが確認で
きた。
【0128】しかも、多孔質化した処理剤を添加する場
合には、多孔質化処理しない場合に比較して少量で良い
ことが判明した。
【0129】なお、650℃以上においても同様な脱塩
素効果はあるが、設備の形態,時間,処理量などに基づ
いて決定すればよい。
【0130】このように、気化成分を含有するアルカリ
物質を加熱処理すると、含有する気化成分(O,H,C
O,CO2など)がCO2又はH2Oとして分離飛散して
アルカリ物質の表面積が増加し、これを有害成分の処理
剤として添加すると、HClとの反応が促進され、少量
で脱塩素効果が得られる。
【0131】実験の最後に、上記の多孔質化した処理剤
を添加して加熱処理した被処理物(残渣)を取り出して
分析し、塩素系物質の存在の確認を行った。
【0132】取り出した残渣を分析した結果、有害な塩
素系ガス成分は検出されず、無害な塩化物である塩化ナ
トリウム、塩化カリウムが検出された。更に残渣を10
分間撹拌して水洗浄することにより、塩化ナトリウム、
塩化カリウムは水に溶解し、炭化物が残存するが、この
炭化物中にも有害な塩素系ガス成分は検出されなかっ
た。
【0133】従って、有害な塩素成分は、残渣の一部と
なる、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(K
Cl)、水分(H2O)、気体(CO2)となり、ダイオ
キシンの原因となる塩化水素を発生することはなく、排
ガス及び残渣の無害化が実現できる。
【0134】また、本発明はこの処理剤を排ガス浄化剤
として使用しているので、分解ガス中の有害な成分(塩
素系ガス)と加えた排ガス浄化剤との接触反応により、
有害成分が無害な塩類(NaCl、KCl)に置換生成
されるので、排ガスから有害な成分(塩素系ガス)を分
離することができ、無害な分解ガスとすることができ
る。
【0135】一方、残渣の一部となる無害な塩化ナトリ
ウムは、水などの溶液による洗浄処理により効果的に除
去でき、しかも洗浄後には再利用可能な金属、炭化物な
どが残り、有害な塩素系ガスを含有しないので、再利用
できる。
【0136】また、洗浄処理前・後において、任意の分
離手段により各物質に分離し、分離後の物質を乾燥固化
して燃料その他有効に活用することができる。
【0137】なお、洗浄後の処理液は無害な塩化物を含
有するが、有害な物質はほとんど含まれず、必要に応じ
て廃水処理を行い、河川又は海洋に放流することができ
る。
【0138】また、必要に応じて、除塵その他のガスの
処理は、一般的に知られている排ガス処理方法で行う。
【0139】図7は多孔質化した処理剤を多量に工業的
に生産する場合の加熱炉の概念図で、同図において、3
はステンレス鋼製の円筒体で、密閉して低酸素雰囲気の
形成を可能とし、一方端側から処理剤を投入するホッパ
4、他端側には開放して多孔質化した処理剤を取り出す
排出部5、内部に発生したガス(CO2,H2O)を排出
するための排気管6および円筒体3の外部から加熱する
加熱手段としての加熱コイル7からなり、円筒体3の内
部には、処理剤を撹拌しながら移送する撹拌と移送手段
8が設けられている。
【0140】なお、加熱手段は、電気加熱(誘導加熱、
抵抗加熱)マイクロ波加熱、又は、円筒体3の外周にダ
クトを形成して、ダクト内に熱ガスを導入し、間接的に
加熱する熱ガス加熱のいずれか又は組み合わせによる。
【0141】以上のように本発明は、被処理物から発生
する分解ガス中の有害塩素系ガスは、基本的には分解反
応工程で脱塩素剤と接触して無害な塩化物に置換生成さ
れ、分解ガスから塩素系ガスを無くすることができる
が、被処理物の性質等により不完全反応現象が生じて、
塩素系ガス等の有害成分が残存した場合でも排ガス中
に、排ガス浄化剤を供給することで排ガス浄化剤と、排
ガス中の有害成分(例えば、塩化水素)とが高温で接触
反応して、排ガス中から有害成分が除去でき、排ガス温
度が低下してもダイオキシン類を再合成する可能性は極
めて少なくなる。
【0142】塩化水素と反応した排ガス浄化剤の後処理
は、一般的な溶剤(水、酸性溶液など)で容易に、且つ
安全に行うことができる。
【0143】
【発明の効果】本発明は上述したように、排ガスを浄化
装置に導入する際の浄化装置に導入する前段で排ガスの
冷却および多孔質アルカリ物質からなる排ガス浄化剤の
供給を行うようにしたので、次の効果を奏する。
【0144】(1)浄化装置に導入される以前の高温の
排ガス、又は冷却用空気に多孔質化したアルカリ物質よ
りなる排ガスの浄化剤を供給することで、有害物質成分
と接触反応し、排ガスの浄化を効果的に行うことができ
る。
【0145】(2)高温の排ガスを冷却するのに排ガス
と冷却用空気を混合して行うようにするとともに、これ
らの流速により排ガスに浄化剤を供給することができ、
これによれば供給のための特別な手段は不要となる。
【0146】(3)高温の排ガスを空気で冷却すること
から、冷却手段は簡単な装置ですむ。
【0147】(4)気体成分を含有するアルカリ物質を
加熱処理して気化成分を予め蒸発分離することで、アル
カリ物質の多孔質化した処理剤を得ることができ、アル
カリ物質のリッチな表面とすることができる。このこと
によって、排ガス中の塩素系ガスとの接触反応を効果的
に行うことが可能となり、無害な塩化物を効果的に生成
することができ、排ガスから塩素成分を除去でき、排ガ
スの無害化と生成物の無害化ができ、生成した塩類は、
水などの溶液によって除去でき、除去溶液中にも有害成
分は析出しないので、安全に処理できる。
【0148】(5)従って、無害な排ガスを得ることが
できるので、ダイオキシン類の生成はなく、21世紀の
子孫に有益な環境と技術を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための処理装置
全体の構成図。
【図2】本発明の空気冷却手段の実施の形態の説明図。
【図3】本発明の実験に供した実験装置。
【図4】本発明の多孔処理剤の顕微鏡写真図。
【図5】加熱反応模式図。
【図6】接触反応模式図。
【図7】本発明の工業生産用の加熱炉の概念図。
【符号の説明】
10…第1の加熱処理炉 20…第2の加熱処理炉 11,21…円筒体 12,22…加熱ジャケット 13,23…供給口 14,24…排出口 15,25…供給側ダクト 16…導入ダクト 26…脱塩素剤追加手段 27…ホッパ 28…燃焼装置 29…連絡管 30…温度調整用の空気供給手段 31…排出管 32…溶解槽 33…脱水手段 34…乾燥手段 35…固形物抽出部 36…排ガス燃焼装置 37…排出管路 38…浄化装置 39…煙突 40…空・剤供給部 41…空気導入管 42…流入量調整手段 43…浄化剤供給手段 44…排ガス浄化剤 45…調整手段

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱処理炉で被処理物を加熱処理し、加
    熱処理時に分解して発生する排ガスを、排出管路を通し
    て浄化装置に導入し、該浄化装置で清浄化した後排出す
    るようにした排ガス浄化方法において、 前記浄化装置に導入する排ガスと、冷却用空気とを混合
    することで排ガスの温度を下げ、且つ排ガスに、排ガス
    中の有害成分と反応する多孔質化したアルカリ物質から
    なる排ガス浄化剤を供給して排ガスから有害成分を除去
    するようにしたことを特徴とする排ガス浄化方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理炉で被処理物を加熱処理し、加
    熱処理時に分解して発生する排ガスを、排出管路を通し
    て浄化装置に導入し、該浄化装置で清浄化した後排出す
    るようにした排ガス浄化方法において、 前記浄化装置に導入する排ガスと、冷却用空気とを混合
    することで排ガスの温度を下げ、且つ排ガスに排ガス中
    の有害成分と反応する多孔質化したアルカリ金属化合物
    からなる排ガス浄化剤を供給して排ガスから有害成分を
    除去するようにしたことを特徴とする排ガス浄化方法。
  3. 【請求項3】 排ガスを浄化装置に導入する前処理工程
    として、排ガスを排ガス燃焼手段で燃焼させ、冷却用空
    気は、この燃焼後の排ガスに導入するようにしたことを
    特徴とする請求項1又は2記載の排ガス浄化方法。
  4. 【請求項4】 多孔質化したアルカリ物質は、加熱によ
    り分離飛散する気化成分を含有し、且つ有害な成分と反
    応して無害な塩類を生成するアルカリ物質体であって、
    加熱によりアルカリ物質体から気化成分を分離除去して
    多孔質化することで表面積が増加したものであることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の排
    ガス浄化方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ物質から気化成分を分離除去す
    る加熱手段は、熱ガスによる間接加熱,電気加熱,マイ
    クロ波加熱のいずれか、又は組み合わせであることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の排ガ
    ス浄化方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ物質から気化成分を分離除去す
    る加熱温度は、気化成分が分離飛散する温度であること
    を特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の
    排ガス浄化方法。
  7. 【請求項7】 アルカリ物質から気化成分を分離除去す
    る加熱温度は、200℃〜400℃であることを特徴と
    する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の排ガス浄
    化方法。
  8. 【請求項8】 アルカリ物質は粉体であることを特徴と
    する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の排ガス浄
    化方法。
  9. 【請求項9】 粉体の粒径は5mm以下であることを特
    徴とする請求項8記載の排ガス浄化方法。
  10. 【請求項10】 アルカリ物質が含有する気化成分は、
    分離飛散するときCO2又はH2Oを生成するものである
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記
    載の排ガス浄化方法。
  11. 【請求項11】 アルカリ物質は、気化成分を含有し、
    且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアルカリ
    金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種類を
    選択、又は2種以上を混合したものであることを特徴と
    する請求項1ないし10項のいずれか1項に記載の排ガ
    ス浄化方法。
  12. 【請求項12】 アルカリ金属化合物による排ガス浄化
    剤は、炭酸水素ナトリウム,セスキ炭酸ナトリウム,炭
    酸水素カリウムから選択した単体、複数種の混合である
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の排ガス浄化方
    法。
  13. 【請求項13】 表面積の増加は、多孔質化、凹部によ
    るものであることを特徴とする請求項1ないし12のい
    ずれか1項に記載の排ガス浄化方法。
  14. 【請求項14】 浄化装置は、バグフィルタであること
    を特徴とする請求項1又は2又は3記載の排ガス浄化方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016118376A (ja) * 2015-12-01 2016-06-30 功一 小林 燃焼装置を用いたセシウムの分離方法

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