JP2000044299A - セメントクリンカーの製造方法 - Google Patents

セメントクリンカーの製造方法

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JP2000044299A
JP2000044299A JP10207307A JP20730798A JP2000044299A JP 2000044299 A JP2000044299 A JP 2000044299A JP 10207307 A JP10207307 A JP 10207307A JP 20730798 A JP20730798 A JP 20730798A JP 2000044299 A JP2000044299 A JP 2000044299A
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heat treatment
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Yoshiyuki Kashiwagi
佳行 柏木
Haruhisa Ishigaki
治久 石垣
Nobuyuki Yoshioka
信行 吉岡
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B7/00Hydraulic cements
    • C04B7/36Manufacture of hydraulic cements in general
    • C04B7/43Heat treatment, e.g. precalcining, burning, melting; Cooling
    • C04B7/44Burning; Melting
    • C04B7/4407Treatment or selection of the fuel therefor, e.g. use of hazardous waste as secondary fuel ; Use of particular energy sources, e.g. waste hot gases from other processes
    • C04B7/4423Waste or refuse used as fuel
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding
    • Y02P40/125Fuels from renewable energy sources, e.g. waste or biomass

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン物質を多量に含有する廃棄物を単一
の回転処理炉で加熱し炭化処理して排出する場合、分解
した有害な塩素成分が加熱処理炉内に充満し、残渣がこ
れを吸収するため、炭化物と排ガスをセメントクリンカ
ーの二次燃料として再利用することはできない。 【解決手段】 被処理物と多孔質アルカリ粉体からなる
脱塩素剤とを第1の加熱処理炉10で加熱処理して有害
な塩素成分を熱分解し、塩素系ガスを分解析出すると同
時に脱塩素剤と効果的に反応させて無害な塩化物を生成
することで、発生ガス及び残渣を無害化し、無害化処理
された被処理物を加熱処理炉20で炭化処理し、ハロゲ
ン物質の含まない炭化物を取り出して無害な排ガスとと
もにセメントクリンカーの二次燃料としての利用をはか
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセメントクリンカー
の製造方法に関し、特にセメント原料に供給する二次燃
料として、ハロゲン(塩素,臭素,ヨウ素)を多量に含
有する廃棄物を無害化処理するとともに、分解反応工程
で被処理物の含有する塩素系ガス等の有害成分を分解析
出する際に、アルカリ物質体と反応させて無害な塩化物
に置換生成することで有害なダイオキシン類の発生を防
止し、合わせて排ガスの無害化と被処理物の無害化をは
かり、この無害化した被処理物及び排ガスを二次燃料と
して用いるようにしたセメントクリンカーの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来からセメントクリンカーを製造する
際に用いる二次燃料として、低価格な燃料、例えばゴム
タイヤとか石炭含有屑、油汚泥などが使用されており、
これらの二次燃料をセメントの主原料とともに加熱回転
炉内に供給して、必要な燃焼エネルギーを得るようにし
た手段が知られている(特開平6−127988号公
報)。
【0003】この公報には、二次燃料として予め乾燥さ
れた低価格の燃料、例えば含水率約30重量%の製紙汚
泥を炉の排ガスにより回転筒状炉に装入することでセメ
ントクリンカーを製造し、該回転筒状炉からの排ガスの
一部を主流として粉砕乾燥装置に、他の一部を製紙汚泥
の乾燥装置に供給し、乾燥装置から排出される排ガスを
紙残量分離器通過後に前記排ガスの主流に供給するよう
にした方法が記載されている。
【0004】このように従来から使用されている二次燃
料は、低価格な廃棄物処理の一形態として行われてい
る。また、得られるセメントは塩素含有量が200pp
m以下であることが必要であるため、塩素含有量の低い
廃棄物を選別して二次燃料として利用する手段が通常用
いられている。
【0005】しかし塩素成分を全く含有していない廃棄
物のみを二次燃料として供給することは困難であって、
これらの廃棄物に含まれている塩素成分は猛毒のダイオ
キシン類の生成要因となり、特に加熱炉で燃料させるこ
とによってダイオキシン類が生成されてしまうという問
題がある。
【0006】従ってセメントクリンカーの製造時にも二
次燃料に起因するダイオキシン類が生成し、これらのダ
イオキシン類は排ガスとして大気中に排出されるか、又
はクリンカー内に含有されるかの何れかの形態で残存す
ることになる。
【0007】他方で、従来からセメントクリンカー製造
時の二次燃料として利用されていない廃棄物として、都
市ゴミなどの一般廃棄物や産業廃棄物、シュレッダーダ
スト、塩化ビニルなどの廃棄物があるが、これらの廃棄
物はハロゲン物質(塩素、臭素、沃素、フッ素、アスタ
チン)、特に塩素成分を多量に含んでいるので、焼却な
どの加熱処理をした場合には、塩素系ガス(塩化水素ガ
ス、塩素ガス)を多量に発生することになるため、通常
はセメントクリンカー製造時の二次燃料として用いるこ
とができない。
【0008】又、これらの廃棄物を、焼却などの加熱処
理をした際、発生した排ガスをバグフィルタで処理剤の
粉末を使用して清浄化することが行われているが、バグ
フィルタで使用した処理済み粉末とか排ガス中の飛灰、
焼却残渣(焼却灰)中にも塩素成分が残存し、ダイオキ
シン類を生成する要因となる。
【0009】このような有害成分の除去手段として、廃
棄物を焼却炉で焼却する際に焼却炉内にアルカリ物質
(石灰粉)を噴霧して、焼却によって発生した排ガス中
の塩素系ガスと接触反応させ、無害な塩化物(塩化カル
シウム)を生成させて排ガスの無害化をはかる方法があ
る(例えば、特開昭54−93864号)。
【0010】また、特開平9−155326号公報に
は、塩素成分を含有する被処理物を熱処理する時に、塩
素及び塩素化合物と反応しやすいアルカリ系の添加物を
適量混入し、処理灰に塩素成分を効果的に固定化し、更
にこの処理灰を水処理することで処理灰から塩素を除去
するようにした廃棄物の処理方法が提案されている。
【0011】これら従来の技術手段は、被処理物から塩
素系ガスを発生させた後の工程(バグフィルタ、燃焼な
どの手段)で塩素成分及びダイオキシン類を除去しよう
とするものであり、残渣中に残留している塩素成分及び
ダイオキシン類の除去は行われていないため、残渣から
炭化物を抽出してセメントクリンカー製造時の二次燃料
として利用することは困難である。
【0012】また、焼却に代えて、被処理物を熱分解
(乾留)し、分解後の残渣を炭化又は灰化等により減容
化する方法も知られている。
【0013】この処理方法としては、単一の回転処理炉
(ロータリーキルン)を使用して熱分解し、排出された
残渣を後ストーカで焼却し、熱分解ガスを再燃室で燃焼
させ、発生した高温ガスをボイラ等を通した後、反応塔
に導き、この反応塔で前述同様に消石灰スラリを噴霧し
て排ガスと反応させるようにして処理する方法(例え
ば、特開平5−33916号)。
【0014】また、回転処理炉で低温乾留法により廃棄
物を熱処理して低温乾留ガスと熱分解残留物とに変換
し、これを高温燃焼炉で燃焼して溶融液状のスラグを生
成し、これを冷却してガラス状に固化し、発生したガス
はボイラ、除去フィルタ及びガス浄化装置で処理して排
出する処理の方法(例えば、特表平8−510789)
等がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】セメント中に含まれる
塩素成分は、ビル等における鉄筋を腐食する等の弊害を
もたらすため、規格上では200ppm以下とされてい
るが、これよりも更に含有量が少ない方が好ましい。
【0016】従って塩素成分を含んでいる一般廃棄物と
か産業廃棄物、塩化ビニルなどの廃棄物をセメントクリ
ンカー製造時の二次燃料としてそのまま用いることはで
きない。更に廃棄物を焼却処理した後の焼却残渣中から
炭化物を抽出して二次燃料として利用する手段が考えら
れるが、これら焼却残渣,特に炭化物中には塩素成分が
残存したり、生成したダイオキシン類が吸着残留してい
る可能性があるため、二次燃料として利用することがで
きない。
【0017】従来の廃棄物焼却処理による方法は、アル
カリ物質を焼却炉内に噴霧していることから、発生源に
近い所での処理ではあるが、塩素系ガスを一旦発生させ
た後に処理するのである。
【0018】従って、この方法によれば、塩素系ガスの
除去効果はある程度期待できるものの、改正された法規
制による各種ガスの排出基準値を十分に満足することは
困難である。
【0019】しかも焼却であることから、反応温度が高
いものであり、安定した反応を維持することは困難であ
る。またアルカリ物質を多量に噴霧すると本来の燃焼に
も悪影響(未燃現象の発生)を及ぼし、法規制による各
種ガスの排出基準値を満足することが困難となる。
【0020】また、乾留処理による方法は、被処理物を
燃焼させることなく、熱分解させることから、焼却炉ほ
どの不安定要因は除去されやすい。しかし、焼却炉と同
様に熱処理炉内にアルカリ物質を噴霧したものは、焼却
処理の場合と同様の効果しか期待できない。
【0021】焼却処理及び乾留処理の共通の問題点とし
て、被処理物が多量の塩素系ガスを含む場合には、加熱
処理炉及び煙道など施設の腐食が著しいものとなり、施
設の耐久性の低下とか排ガス漏れなどを引き起こす惧れ
があり、保守の面からも留意する必要がある。
【0022】上記の問題を解決するために、本願出願人
は、被処理物を加熱処理する際にアルカリ系の添加剤を
混入する技術手段を提案している(特開平9−1553
26号)。
【0023】本発明が解決しようとする課題は、被処理
物の分解処理時に被処理物から分解析出した有害な塩素
成分とアルカリ物質体の脱塩素剤とを接触反応させて、
無害な塩化物を形成することで、排ガスおよび残渣の無
害化を実現し、この無害化された残渣を別の処理炉で炭
化処理して、排ガスとともにセメントクリンカー製造時
の二次燃料としての再利用を可能とする技術の提供にあ
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】従来からハロゲン物質と
アルカリ物質が接触すると、反応して無害な塩化物を生
成することは知られているが、本願の発明者らの実験に
よると、この反応は十分なものではなく、塩素成分を含
有する被処理物を加熱処理する場合に、アルカリ物質体
からなる脱塩素剤を添加混合して、分解析出した塩素系
ガスと接触反応させることで、分解ガスを無害な塩化物
に置換生成して、有害な塩素成分を除去した炭化物を得
て、この炭化物と排ガスをセメントクリンカー製造時の
二次燃料として有効利用することができることを見出
し、すでに提案している(特願平10−82361
号)。
【0025】本発明は、この先の提案の実用化を検討中
に、より反応が効果的に行える脱塩素剤を見出したの
で、これを使用したセメントクリンカーの製造方法を提
案するものである。
【0026】本願による課題解決の手段は、加熱回転炉
内にセメント原料とともに二次燃料を供給して燃焼させ
るセメントクリンカーの製造方法において、上記二次燃
料を製造するための工程は、加熱により分離飛散する気
化成分を含有し、且つ有害な成分と反応して無害な塩類
を生成するアルカリ物質体であって、加熱により含有す
る気化成分を分離除去して表面積を増加した多孔質アル
カリ粉体から成る脱塩素剤を、被処理物に添加混合して
加熱処理炉で加熱し、被処理物から有害な塩素成分を分
解析出させるとともに、脱塩素剤と接触反応させて無害
な塩化物を生成することで排ガスの無害化と被処理物の
無害化処理を行う分解反応工程と、該分解反応工程で処
理した被処理物を加熱処理炉で加熱処理して炭化する炭
化処理工程とからなり、炭化処理工程で得られた無害な
被処理物を溶液に浸し、溶解後に脱液して抽出した炭化
物を二次燃料とし使用する。
【0027】また、脱塩素剤と接触反応して得られた無
害な排ガスを二次燃料として使用する。
【0028】被処理物に添加する脱塩素剤は、被処理物
の含有する塩素量の2〜10倍、又は被処理物の5〜3
0重量%を添加する。
【0029】即ち、分解反応工程において、加熱処理炉
に被処理物と脱塩素剤を添加混合して200℃〜350
℃に加熱し、被処理物から分解析出したガスは発生と同
時に周辺に存在する脱塩素剤の多孔質アルカリ粉体と接
触反応して無害な塩化物に置換生成され、排ガスの無害
化ができ、同時に有害な塩素成分を含まない被処理物と
なる。
【0030】また、炭化処理工程での加熱処理は、被処
理物が炭化する温度である350℃〜700℃とするこ
とにより、セメントクリンカー製造用の二次燃料として
安全に使用可能な炭化物が得られる。
【0031】この脱塩素剤は、アルカリ物質体を加熱し
て気化成分を分離除去して多孔質化し、表面積を増加し
た粉体による。粉体の平均粒径は150μm以下が好ま
しい。
【0032】アルカリ物質体から気化成分を分解除去す
る加熱手段は、熱ガスによる間接加熱、電気加熱(誘導
加熱,抵抗加熱)、マイクロ波加熱のいずれか、又は組
み合わせのいずれでもよい。アルカリ物質体から気化成
分を分離除去する加熱温度は、気化成分が分離飛散する
温度、例えば200℃〜400℃である。
【0033】アルカリ物質体は、含有する気化成分
(O,H,CO,CO2など)が分離飛散するときH
2O,CO2として分離し、脱塩素剤に貫通孔,凹部
(穴)を形成して多孔質化することによって表面積を増
加する粉体を使用する。
【0034】また、アルカリ物質体は、気化成分を含有
し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアル
カリ金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種
類を選択、又は2種以上を混合したものから成る。
【0035】そして、このアルカリ金属化合物は、炭酸
水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリ
ウムから選択した単体、複数種の混合物による。
【0036】なお、炭酸水素ナトリウム(NaHC
3)は、別称として、酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナ
トリウム、重炭酸ソーダと称され、更には俗称として、
重曹とも称されている。
【0037】セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・Na
HCO3・2H2O)は、別称として、二炭酸−水素ナト
リウム、三二炭酸水素ナトリウム、ナトリウムセスキカ
ーボネートと称され、天然にはトロナ(天然ソーダ)と
して産出する。
【0038】上記の分解反応工程と炭化処理工程とは、
単一の加熱処理炉で行ってもよいし、また別々の加熱処
理炉で行ってもよい。別々の加熱処理炉で行う場合は、
ダクトを介して少なくとも各一つの加熱処理炉を設け
て、被処理物が分解反応工程の加熱処理炉から炭化処理
工程の加熱処理炉を経て排出されるようにする。
【0039】この際、加熱処理炉が複数基の場合は、ダ
クトの側面に平行に配置する(上下方向、又は水平方
向)、又はダクトを挾んで両側面に配置する。
【0040】分解反応工程は、乾燥工程と塩化物を生成
する工程とからなるようにしてもよい。この乾燥工程と
塩化物を生成する工程とは、同一の加熱処理炉、又は異
なる加熱処理炉のいずれかの方法で行ってもよい。
【0041】この分解反応工程における加熱処理温度
は、被処理物からハロゲン物質が分解析出する温度、例
えば250℃〜350℃で加熱する。
【0042】炭化処理工程の加熱処理温度は、被処理物
が炭化する温度、例えば350℃〜700℃で加熱す
る。
【0043】加熱処理炉は、円筒形で内部に被処理物の
撹拌(被処理物と脱塩素剤との混合)と、移送を行う手
段を設ける。
【0044】以上の処理方法により被処理物を加熱処理
すると、炭化物と排ガスの無害化が実現でき、炭化処理
炉内には塩素系ガス成分、ダイオキシン類は存在しない
ので、炭化した被処理物がこれらの有害な塩素成分を吸
着することがないので、この炭化物は二次燃料として使
用でき、また、排ガスも二次燃料又は熱源として利用す
ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。本発明はセメント原料とともに二次
燃料を燃焼させてセメントクリンカーを製造する方法に
おいて、有害な塩素成分等を含有する被処理物を加熱処
理する際に、被処理物から塩素系ガスを分解析出して多
孔質アルカリ粉体からなる脱塩素剤と反応する分解反応
工程と、この分解反応工程で処理した被処理物を炭化す
る炭化処理工程を加熱処理炉で行い、得られた炭化物と
高温の排ガスを二次燃料として用いることが基本手段と
なっている。
【0046】図1は本実施形態を具現するための廃棄物
処理設備の概念図であり、図中の10は第1の加熱処理
炉、20は第2の加熱処理炉を示す。第1の加熱処理炉
10は、回転自在の円筒体11と、該円筒体11の外周
にガスダクトを形成して熱ガスの導入により円筒体11
を加熱する加熱筒12と、円筒体11の一方の端部に設
けられ、被処理物を円筒体11内に供給する供給口13
と、円筒体11の他方の端部に設けられた排出口14と
で構成され、この円筒体11は図示しない回転駆動手段
によって回転駆動される。
【0047】円筒体11の内部には、図示を省略した
が、被処理物を撹拌・移送する複数の羽根が設けられ、
円筒体11自体の回転によって被処理物と脱塩素剤の混
合物を排出口14側に撹拌しながら移送する。
【0048】円筒体11の回転駆動手段は、通常の駆動
用モータと駆動歯車及び円筒体に設けられた従動歯車等
から構成される。
【0049】15は供給口13側を包囲する供給側ダク
ト、16は排出口14側を包囲する排出側ダクトであ
る。
【0050】第2の加熱処理炉20の構成は、第1の加
熱処理炉10の構成とほぼ同一であり、回転自在の円筒
体21と、該円筒体21の外周にあって熱ガスの導入に
より円筒体21を加熱する加熱筒22と、円筒体21の
一方の端部,この例では第1の加熱処10の排出口14
側に設けられ、被処理物を円筒体21内に供給する供給
口23と、円筒体21の他方の端部に設けられた排出口
24とで構成されている。
【0051】25は第2の加熱処理炉20への供給口2
3側を包囲する供給側ダクト、26は同排出口24側を
包囲する排出側ダクトである。第1の加熱処理炉10の
円筒体11と、第2の加熱処理炉20の円筒体21とは
上下方向に配設され、円筒体11(21)外周に配置さ
れた加熱筒12(22)が固定部材28により支持固定
されている。
【0052】30はホッパであり、このホッパ30に被
処理物と多孔質アルカリ粉体からなる脱塩素剤とを混合
して投入し、円筒体11の供給口13から円筒体11内
に供給可能となっている。
【0053】このホッパ30に被処理物の破砕機能と脱
塩素剤の混合機能を合わせて持たせ、固形物を破砕しな
がら脱塩素剤と混合してもよいし、また、予め破砕した
被処理物と脱塩素剤とを混合してホッパ30に投入して
もよい。
【0054】31は燃焼装置であり、例えばLNGを燃
焼させる場合には、図外のLNGタンクから供給される
LNGを燃焼して熱ガスを発生させる。この熱ガスは第
2の加熱処理炉20の円筒体21外周に設けた加熱筒2
2内に供給されて円筒体21を加熱した後、連絡管32
を介して第1の加熱処理炉10の円筒体11の加熱筒1
2内に送り込まれ、この円筒体11を加熱した後、排出
管33を経由してセメントクリンカー製造加熱回転炉3
5の供給側に設けた供給ダクト34に送り込まれ、熱源
として利用される。
【0055】36は溶解槽、37は脱水手段、38は炭
化物貯留サイロ、39はセメント原料貯留サイロ、40
は排ガス処理装置、41は煙突である。溶解槽36内の
溶液は脱水手段37で固液分離され、固形物は炭化物貯
留サイロ38に送り込まれ、この貯留サイロ38で金属
類が除去されてからセメント原料貯留サイロ39内のセ
メント原料とともに供給ダクト34に送り込まれるよう
に構成されている。
【0056】次に本実施形態に基づく一連の処理方法に
ついて説明すると、予め被処理物は破砕機により破砕し
ておき、この被処理物に脱塩素剤としての多孔質アルカ
リ粉体を混合する。
【0057】被処理物としては、一般廃棄物,産業廃棄
物等の固形物や、灰類,汚泥いずれでもよく、この被処
理物に対する脱塩素剤の混合割合は5〜30重量%とす
る。被処理物に脱塩素剤を混合してから破砕してもよ
い。
【0058】同時に燃焼装置31でLNGを燃焼して熱
ガスを発生させ、加熱筒22及び加熱筒12に供給して
第1の加熱処理炉10と第2の加熱処理炉20の炉内を
加熱状態としてから、被処理物と脱塩素剤の混合物をホ
ッパ30から供給口13を介して第1の加熱処理炉10
の円筒体11内に供給する。この円筒体11は図示しな
い回転駆動手段によって回転駆動されている。
【0059】第1の加熱処理炉10での加熱処理は、被
処理物からのハロゲン物質,特に塩素系ガスが分解析出
する温度と時間を事前に調査して被処理物の性質を把握
し、この調査結果を十分にカバーできる温度(200℃
〜350℃)と時間(30分)で処理する。尚、被処理
物から塩素系ガスを分解析出させる温度としては、25
0℃〜350℃が適当である。
【0060】尚、第1の加熱処理炉10での加熱温度と
時間は、加熱炉の状態(大きさ、加熱手段などの炉に依
存する条件等)、被処理物の処理量などにも関係するの
で、事前に調査などを十分に行っておく必要があり、ま
たデータを取り蓄積しておく必要がある。
【0061】また、第1の加熱処理炉10での加熱は、
「燃焼、焼却」ではなく、「蒸し焼き、熱分解」での処
理とすると、析出した有害な塩素系ガスと多孔質アルカ
リ粉体の脱塩素剤とを効果的に接触反応させることがで
き、有害なHClガスを無害な塩化物に置換生成するこ
とができる。
【0062】第1の加熱処理炉10内においては、HC
l成分を含む塩素系ガスが発生するが、この塩素系ガス
中のHCl成分は、添加されている脱塩素剤、例えば炭
酸水素ナトリウムと反応して無害な塩化物である塩化ナ
トリウム(NaCl)を生成する。これによって、分解ガ
ス中のHCl成分の無害化と残渣の無害化が同時に行い
る。
【0063】塩素成分の析出により無害化された被処理
物は、円筒体11内の羽根により撹拌されながら移送さ
れ、排出口14から次段の供給口23を介して第2の加
熱処理炉20の円筒体21内に送り込まれ、ここで被処
理物が炭化する温度と時間(紙類は350℃程度で炭化
が始まる。)350℃〜700℃,30分程度の加熱処
理により炭化処理を行う。この炭化処理工程の第2の加
熱処理炉20内には、無害な塩化物が存在するが有害な
塩素成分は存在しないので、炭化した被処理物はこれを
吸収することはない。
【0064】尚、第1の加熱処理炉10と第2の加熱処
理炉20での加熱で生じた排ガス中には有害な塩素系ガ
スは含まれていないが、環境汚染防止の観点から他のガ
ス成分とか塵芥を除去するため、これらの排ガスを排ガ
ス処理装置40により処理した後に一部を煙突41から
放出し、他の一部は二次燃料としてダクト34に供給す
る。
【0065】炭化した被処理物と、反応後の塩化ナトリ
ウム等は排出口24を介して溶解槽36内に排出され
る。この溶解槽36内で被処理物と反応後の処理剤等は
水に溶解し、次段の脱水手段37での脱水作用で固体成
分と液体成分とに分離され、液体成分は排水されるとと
もに固体成分である炭化物は、そのまま又は必要に応じ
て乾燥処理してから炭化物貯留サイロ38に送り込まれ
る。
【0066】この炭化物貯留サイロ38で金属類が除去
されてからセメント原料貯留サイロ39内のセメント原
料とともにダクト34を介してセメントクリンカー製造
加熱回転炉35に所定量送り込まれてセメントクリンカ
ーが製造される。製造時に生じた排ガスは煙突41から
放出される。
【0067】尚、上記炭化物貯留サイロ38を使用せず
に、固体成分である炭化物を直接セメントクリンカー製
造加熱回転炉35に送り込むようにしても良い。
【0068】これにより、発生する分解ガス中の有害な
塩素成分(塩素系ガス)と加えた脱塩素剤との接触反応
により、塩素成分が無害な塩化ナトリウム等に置換生成
されるので、分解ガスおよび残渣から有害な塩素成分
(塩素系ガス)を無くすることができ、無害な分解ガス
および無害な残渣とすることができる。
【0069】従って分解ガスはダクト16,26から取
り出し、排ガス処理装置40で所定の処理を行った後、
ダクト34に送り込み、二次燃料又は加熱源として利用
でき、また、残渣は上記のように炭化物にして二次燃料
として利用できる。
【0070】燃焼装置31で発生した熱ガスは、円筒体
21,22を加熱した後にダクト34に送り、セメント
クリンカー製造加熱回転炉35を加熱する補助熱源とし
て利用することにより、資源の有効利用をはかることが
できる。
【0071】以上のように本発明は、セメントクリンカ
ー製造時に用いる二次燃料として、廃棄物を加熱処理炉
で加熱処理して、被処理物から有害物質(成分)を分解
析出し、同時に析出したガスと多孔質アルカリ粉体とを
反応させて無害化し、この無害化した被処理物を他の加
熱処理炉で炭化する技術手段を基本としているので、加
熱処理炉の数およびその配置の仕方は、設置場所の条件
等により任意に選定しても実現できる。
【0072】加熱処理炉内で被処理物と多孔質アルカリ
粉体とを加熱処理すると、分解した塩素系ガスと多孔質
アルカリ粉体とが効果的に反応して分解ガスの無害化と
残渣の無害化が同時に行うことができること、および脱
塩素剤は、多孔質化することにより表面積が増加し、有
害な塩素系ガスとの接触反応が促進されて少量で脱塩素
効果が得られることは、次の実験より明らかとなった。
【0073】先ず、アルカリ物質体の多孔質化処理につ
いて説明する。
【0074】図2はアルカリ物質体を多孔質化処理する
ための実験に供した実験装置で、電子レンジを使用した
場合である。
【0075】実験は、アルカリ物質体で、平均粒径が1
50μm以下の粉体からなる脱塩素剤を使用し、これを
セラミックス容器11に充填し、電子レンジ10内に入
れ、加熱温度を変えて気化成分の蒸発分離量を重量の変
化で測定し、更に電子顕微鏡で粉体の表面を観察した。
【0076】実験に供したアルカリ物質体は、気化成分
が含有し、該気化成分が分離飛散する際にCO2又はH2
Oとなる物質の中から炭酸水素ナトリウム(試料1と称
す)、セスキ炭酸ナトリウム(試料2と称す)を選び、
また気化成分を含まない炭酸ナトリウム(試料3と称
す)を用いた。
【0077】この試料1および2については、表1に示
すように150℃から50℃間隔で350℃まで、各温
度を一定に保ち、2.5分後、5.0分後、7.5分
後、10分後、15分後、20分後からは10分間隔で
60分後まで各温度における重量を測定した。
【0078】
【表1】
【0079】実施1〜実施5は、試料1について初期重
量が2.00gを使用した場合、実施6,実施7は、試
料の量を増やし初期重量を10gおよび20gとした場
合を示す。
【0080】また、実施8〜実施12は、試料2につい
て、初期重量が2.00gを使用した場合である。
【0081】また、比較1および比較2は、試料3につ
いて試料の使用量を2.00gとし、300℃と350
℃において加熱し、各2.5分から30分後まで表1に
記載の時間経過時に重量を測定したものである。
【0082】表1にこの測定結果を示す。
【0083】この表1から次のことが明らかとなった。
【0084】(1)試料1では気化成分が分離蒸発して
重量は初期値に対して37%程度減少していること。
【0085】(2)試料2でも重量は初期値に対して3
0%程度減少していること。
【0086】(3)試料3は、重量は初期値とほとんど
変らないこと。
【0087】また、試料1および2の表面を電子顕微鏡
で観察したところ、図3に示すように表面に多数の凹部
が形成され多孔質化されていることが確認された。な
お、試料3では凹部の形成は見られなかった。
【0088】図4は気化成分を含有するアルカリ物質か
らなる脱塩素剤が加熱により多孔質化する過程の加熱反
応模式図で、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の粉
体の例を示す。この図で白丸はNa、網丸はCO2、斜
線丸はH2Oを示している。
【0089】100℃以上で、10分以上加熱すると、
CO2,H2Oが蒸発飛散し多孔質のNa2CO3となり、
CO2,H2Oが蒸発して穴a又は貫通孔bが形成され、
粉体の表面がNaのリッチな表面となり、表面積が増加
する。
【0090】図5は上記の多孔化したNa2CO3に塩素
系ガス(HCl,Cl)が接触反応する場合の接触反応
模式図で、縦線丸はHCl,Clを示し、200℃〜3
00℃に加熱・保持し、多孔質化したNa2CO3に被処
理物から分解析出した塩素系ガス(HCl,Cl)成分
が接触反応して新たにNaClが生成される。
【0091】即ち、有害な塩素系ガス(HCl)が無害
なNaCl(塩化ナトリウム)に置換生成される。
【0092】有害な塩素系ガス(塩化水素)が無害な塩
化物に置換生成される理由は下記の反応による。
【0093】炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の場
合 加熱による多孔化処理 NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2 塩化水素との反応 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 炭酸水素カリウム(KHCO3)の場合 加熱による多孔化処理 KHCO3→KCO3+H2O+CO2 塩化水素との反応は、 KCO3+2HCl→2KCl+H2O+CO2 セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2
2O)の場合 加熱による多孔化処理 2(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)→3Na2
3+5H2O+CO2 塩化水素との反応 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 即ち、有害な塩化水素は無害な塩類(2NaCl,2K
Cl、)に置換される。
【0094】次に、本発明にかかわる多孔質化した脱塩
素剤と、多孔質化しない脱塩素剤の試料を使用し、有害
成分の中のHClとの反応効果を比較検証した。
【0095】実験は、排気管付きで、開閉扉を有する密
閉容器にて低酸素雰囲気を作り、この密閉容器に試料を
入れ、電気炉にて加熱し、250℃から650℃まで5
0℃間隔で各温度にて5分間保持し、昇温時、5分間保
持後に、排気管を開けて塩化水素ガス(HCl)濃度
(ppm)を測定した。
【0096】ガス濃度の測定は、JIS−K0804に
規定されている検知管によって測定した。
【0097】測定は、まず塩素成分を多量に含んでいる
ポリ塩化ビニリデンのみ4gを用いて予備実験を行っ
た。その結果を表2の比較B−1に示す。
【0098】
【表2】
【0099】次に、従来より脱塩素剤として知られてい
る消石灰および炭酸カルシウムの粉末を各20g添加混
合して実験した。その結果を比較B−2,比較B−3に
示す。
【0100】次に、被処理物としてポリ塩化ビニリデン
4gを用い、脱塩素剤として炭酸水素ナトリウムを多孔
質化処理した処理剤(以下、済み剤と称す)と、多孔質
化処理しない処理剤(以下、未処理剤と称す)とを1
2.5gと7.5gを使用して比較実験を行った。
【0101】その結果を済み剤によるものを表2の実施
例1および実施例2に、未処理剤によるものを比較A−
2および比較A−3に示す。
【0102】比較A−1は、未処理剤の使用量を20g
に増加した場合の結果を示している。
【0103】次に、標準的な都市ゴミを模擬した次のよ
うな模擬ゴミを作成し、この模擬ゴミを破砕し、破砕し
た模擬ゴミ20gとポリ塩化ビニリデン1gを混合して
被処理物を作り、済み剤を3.15gを添加混合した場
合と、未処理剤を5g添加混合した場合との比較実験を
行った。その結果を表2の実施例3および比較A−4に
示す。
【0104】模擬ゴミの構成は、次の通り、 20重量%…プラスチック(PE、PP、PS、PVD
C) 50重量%…紙(ティッシュ、新聞、包装紙、箱、飲料
パック) 20重量%…布(ウエスなど) 10重量%…厨芥 表2は、表2の左欄の各温度においてHCl濃度(pp
m)を測定した結果を示す。表2において塩化水素ガス
濃度は実験10回における測定値で、各実施例は最高
値、各比較例は最低値を示す。また、“ND”は“検出
されずを表わし、10回の実験でいずれも検出されなか
ったことを示している。
【0105】この表2の実験結果から、次のように考察
される。
【0106】まず、塩素成分を多量に含有する塩化ビニ
リデンを被処理物とした場合、脱塩素剤を添加しない比
較B−1では、熱処理による各温度にわたって塩化水素
ガスが多量に発生している。
【0107】この被処理物に従来の脱塩素剤である消石
灰を添加混合した比較B−2と、炭酸カルシウムを添加
混合した比較B−3では、比較B−1と比べて塩化水素
ガスの発生がかなり抑制されているものの、まだ十分で
あるとは言えない。
【0108】これに対し、脱塩素剤として炭酸水素ナト
リウムを添加混合したものは全体として非常に良好な結
果が得られている。そして、この炭酸水素ナトリウム
を、多孔質化処理した済み剤と未処理剤とを比較する
と、未処理剤を12.5g添加混合した場合は比較A−
2に示すように300℃、5分保持後〜350℃、5分
保持後において極微量の塩化水素が検出されているが、
済み剤の場合は実施例1のように全温度範囲にわたり全
く検出されない。
【0109】処理剤の添加量を7.5gに減らして比較
すると、実施例2および比較A−3に示すように300
℃、5分保持後〜350℃、5分保持後間において塩化
水素ガスの発生は見られるが、実施例2は極く微量(2
ppm〜15ppm)であるのに対し、比較A−4は若
干多く(5ppm〜90ppm)検出されている。
【0110】しかし、比較A−1のように、添加量を2
0gに増加すれば良好な結果が得られる。
【0111】次に、被処理物として、ポリ塩化ビニリデ
ン1gと模擬ゴミ20gを混合したものを使用した場合
は、比較A−4においては、未処理剤5gを使用して4
00℃〜500℃で若干の塩化水素が検出されている
が、実施例3では済み剤が3.15gと少ないにもかか
わらず、全温度範囲で全く検出されなかった。
【0112】以上の実験調査により、次のことが判明し
た。
【0113】(1)多孔質化処理した脱塩素剤は、実施
例2のように添加量が少ないときは若干の塩化水素の発
生が見られるが、その他は良好に反応して塩化水素が発
生していないこと、(2)多孔質化処理しない未処理剤
では、比較A−2〜A−4で300℃〜400℃の範囲
の中で微量の塩化水素の発生が見られるが、しかし、比
較A−1のように添加量を多くすれば良好な結果が得ら
れること、(3)以上のことから、多孔質化した脱塩素
剤は、多孔質化しなかった脱塩素剤と比較して、少量の
添加量で良好な効果が得られること、(4)比較B−1
〜B−3では、塩化水素が多量に発生していること。
【0114】また、この実験結果から、塩素成分を含有
する被処理物を処理する場合には、有害なHClと反応
して無害な塩化物を生成するアルカリ物質を添加して処
理することで、HClの無害化処理できることが確認で
きた。
【0115】しかも、多孔質化した脱塩素剤を添加する
場合には、多孔質化処理しない場合に比較して少量で良
いことが判明した。
【0116】なお、650℃以上においても同様な脱塩
素効果はあるが、設備の形態,時間,処理量などに基づ
いて決定すればよい。
【0117】このように、気化成分を含有するアルカリ
物質を加熱処理すると、含有する気化成分(O,H,C
O,CO2など)がCO2又はH2Oとして分離飛散して
アルカリ物質の表面積が増加し、これを有害成分の脱塩
素剤として添加すると、HClとの反応が促進され、少
量で脱塩素効果が得られる。
【0118】実験の最後に、多孔質化した脱塩素剤を添
加して加熱処理した被処理物(残渣)を取り出して分析
し、塩素系物質の存在の確認を行った。
【0119】取り出した残渣を分析した結果、有害な塩
素系ガス成分は検出されず、無害な塩化物である塩化ナ
トリウム、塩化カリウムが検出された。更に残渣を10
分間撹拌して水洗浄することにより、塩化ナトリウム、
塩化カリウムは水に溶解し、炭化物が残存するが、この
炭化物中にも有害な塩素系ガス成分は検出されなかっ
た。
【0120】従って、有害な塩素成分は、残渣の一部と
なる、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(K
Cl)、水分(H2O)、気体(CO2)となり、ダイオ
キシンの原因となる塩化水素を発生することはなく、排
ガス及び残渣の無害化が実現できる。
【0121】また、発生する分解ガス中の有害な成分
(塩素系ガス)と加えた脱塩素剤との接触反応により、
有害成分が無害な塩化ナトリウム(NaCl、KCl)
に置換生成されるので、分解ガスから有害な成分(塩素
系ガス)を分離することができ、無害な分解ガスとする
ことができる。
【0122】一方、残渣の一部となる無害な塩化ナトリ
ウムは、水などの溶液による洗浄処理により効果的に除
去でき、しかも洗浄後には再利用可能な金属、炭化物な
どが残り、有害な塩素系ガスを含有しないので、再利用
できる。
【0123】また、洗浄処理前・後において、任意の分
離手段により各物質に分離し、分離後の物質を乾燥固化
して燃料その他有効に活用することができる。
【0124】なお、洗浄後の処理液は無害な塩化物を含
有するが、有害な物質はほとんど含まれず、必要に応じ
て廃水処理を行い、河川又は海洋に放流することができ
る。
【0125】また、必要に応じて、除塵その他のガスの
処理は、一般的に知られている排ガス処理方法で行う。
【0126】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、セメント
クリンカー製造時の加熱回転炉内にセメント原料ととも
に供給して燃焼させる二次燃料を得るために、被処理物
の含有する有害成分を分解析出させると同時に脱塩素剤
と反応させる分解反応工程と、その後の被処理物を加熱
して炭化処理する工程を加熱処理炉で行い、脱塩素剤と
して多孔質アルカリ粉体を使用するようにしたので、次
の効果を奏する。
【0127】(1)実験の結果から明らかなように、加
熱により発生する塩素系ガスと効果的に反応して無害な
塩化物を生成する多孔質化したアルカリ粉体からなる脱
塩素剤を添加することにより、有害な塩素系ガスを含ま
ない排ガスを得ることができる。
【0128】(2)アルカリ物質は多孔質粉体で表面が
アルカリ物質のリッチな表面となっていることから、被
処理物から分解析出した塩素系ガス成分と効果的に反応
する。
【0129】従って、同時に残渣の無害化が実現でき、
残渣から炭化物を抽出することで燃料として利用でき、
炭化物、及び排ガスはセメントクリンカー製造時の二次
燃料として利用できる。
【0130】(3)都市ゴミやハロゲン物質(特に塩
素)を含有する廃棄物であっても、塩素を除去した無害
な排ガスと無害な残渣を得ることができるため、従来か
らセメントクリンカー製造時の二次燃料として利用され
ていない廃棄物でも有効に再利用することができる。
【0131】(4)廃棄物処理を無害化処理すること
で、従来の処理では有害であった廃棄物を無害化処理で
きることから、これらの無害化した廃棄物を利用してセ
メントなどの新たな資源を再生産することができて、2
1世紀の子孫に有益な環境と技術を伝えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明図。
【図2】本発明の実験に供した実験装置。
【図3】本発明の多孔質化処理した脱塩素剤の顕微鏡写
真図。
【図4】加熱反応模式図。
【図5】接触反応模式図。
【符号の説明】
1…電子レンジ 2…セラミックス容器 10…第1の加熱処理炉 11,21…円筒体 12,22…加熱筒 13,23 …供給口 14,24…排出口 15,25…供給側ダクト 16,26…排出側ダクト 28…固定部材 30…ホッパ 31…燃焼装置 32…連絡管 33…排出管 34…供給ダクト 35…セメントクリンカー製造加熱回転炉 36…溶解槽 37…脱水手段 38…炭化物貯留サイロ 39…セメント原料貯留サイロ 40…排ガス処理装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉岡 信行 東京都品川区大崎2丁目1番17号 株式会 社明電舎内 Fターム(参考) 4G012 KA02 KA04 KA05

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱回転炉内にセメント原料とともに二
    次燃料を供給して燃焼させるセメントクリンカーの製造
    方法において、 上記二次燃料を製造するための工程は、加熱により分離
    飛散する気化成分を含有し、且つ有害な成分と反応して
    無害な塩類を生成するアルカリ物質体であって、加熱に
    より含有する気化成分を分離除去して表面積を増加した
    多孔質アルカリ粉体から成る脱塩素剤を、被処理物に添
    加混合して加熱処理炉で加熱し、被処理物から有害な塩
    素成分を分解析出させるとともに、脱塩素剤と接触反応
    させて無害な塩化物を生成することで排ガスの無害化と
    被処理物の無害化処理を行う分解反応工程と、該分解反
    応工程で処理した被処理物を加熱処理炉で加熱処理して
    炭化する炭化処理工程とからなり、炭化処理工程で得ら
    れた無害な被処理物を溶液に浸し、溶解後に脱液して抽
    出した炭化物を二次燃料としたことを特徴とするセメン
    トクリンカーの製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱回転炉内にセメント原料とともに二
    次燃料を供給して燃焼させるセメントクリンカーの製造
    方法において、 上記二次燃料を製造するための工程は、加熱により分離
    飛散する気化成分を含有し、且つ有害な成分と反応して
    無害な塩類を生成するアルカリ物質体であって、加熱に
    より含有する気化成分を分離除去して表面積を増加した
    多孔質アルカリ粉体から成る脱塩素剤を、被処理物に添
    加混合して加熱処理炉で加熱し、被処理物から有害な塩
    素成分を分解析出させるとともに、脱塩素剤と接触反応
    させて無害な塩化物を生成することで排ガスの無害化と
    被処理物の無害化処理を行う分解反応工程と、該分解反
    応工程で処理した被処理物を加熱処理して炭化する炭化
    処理工程とからなり、得られた無害な排ガスを二次燃料
    としたことを特徴とするセメントクリンカーの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 アルカリ物質体を多孔質化する加熱処理
    手段は、熱ガスによる間接加熱,電気加熱,マイクロ波
    加熱のいずれか又は組み合わせによることを特徴とする
    請求項1又は2記載のセメントクリンカーの製造方法。
  4. 【請求項4】 多孔質化する加熱温度は、含有するアル
    カリ物質の気化成分が分離飛散する温度であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のセメントクリンカーの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 多孔質化する加熱温度は、100℃〜4
    00℃であることを特徴とする請求項1,2,4のいず
    れか1項に記載のセメントクリンカーの製造方法。
  6. 【請求項6】 粉体の平均粒径は150μm以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のセメントクリン
    カーの製造方法。
  7. 【請求項7】 アルカリ物質体が含有する気化成分は、
    CO2又はH2Oとして蒸発分離するものであることを特
    徴とする請求項1又は2記載のセメントクリンカーの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 アルカリ物質体は、気化成分を含有し、
    且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアルカリ
    金属化合物に含まれる物質の中から、少なくとも1種類
    を選択,又は2種以上を混合したものであることを特徴
    とする請求項1,2,6,7のいずれか1項にに記載の
    セメントクリンカーの製造方法。
  9. 【請求項9】 アルカリ金属化合物は、炭素水素ナトリ
    ウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムから選
    択した単体、複数種の混合であることを特徴とする請求
    項8記載のセメントクリンカーの製造方法。
  10. 【請求項10】 表面積の増加は、多孔質化、凹部形成
    によることを特徴とする請求項1,2,6,7,8,9
    のいずれか1項に記載のセメントクリンカーの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 分解反応工程で用いる加熱処理炉と、
    炭化処理工程で用いる加熱処理炉とを少なくとも各1基
    設置して、両加熱炉をダクトを介して被処理物が移送可
    能に連通したことを特徴とする請求項1又は2項記載の
    セメントクリンカーの製造方法。
  12. 【請求項12】 加熱処理炉は、円筒形で、内部に被処
    理物と脱塩素剤とを混合撹拌しながら移送する手段を有
    することを特徴とする請求項1,2,11の何れか1項
    に記載のセメントクリンカーの製造方法。
  13. 【請求項13】 分解反応工程は、被処理物の乾燥工程
    と、脱塩素剤との反応による無害な塩化物を生成する工
    程とからなることを特徴とする請求項1,2,11,1
    2の何れか1項に記載のセメントクリンカーの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 分解反応工程における加熱処理温度
    は、被処理物からハロゲン物質が分解析出する温度であ
    ることを特徴とする請求項1,2,11,12,13の
    いずれか1項に記載のセメントクリンカーの製造方法。
  15. 【請求項15】 分解反応工程における加熱処理温度
    は、被処理物から塩素系ガスが分解析出する温度である
    250℃〜350℃であることを特徴とする請求項1,
    2,11,12,13,14の何れか1項に記載のセメ
    ントクリンカーの製造方法。
  16. 【請求項16】 炭化処理工程の加熱処理は、被処理物
    が炭化する温度で加熱処理することを特徴とする請求項
    1,2,11,12のいずれか1項に記載のセメントク
    リンカーの製造方法。
  17. 【請求項17】 炭化処理工程の加熱処理温度は、被処
    理物が炭化する350℃〜700℃であることを特徴と
    する請求項1,2,11,12,16の何れか1項に記
    載のセメントクリンカーの製造方法。
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