JP2000079378A - 塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置 - Google Patents

塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置

Info

Publication number
JP2000079378A
JP2000079378A JP10252432A JP25243298A JP2000079378A JP 2000079378 A JP2000079378 A JP 2000079378A JP 10252432 A JP10252432 A JP 10252432A JP 25243298 A JP25243298 A JP 25243298A JP 2000079378 A JP2000079378 A JP 2000079378A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chlorine
treated
polymer resin
containing polymer
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10252432A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiyuki Kashiwagi
佳行 柏木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Meidensha Corp
Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meidensha Corp, Meidensha Electric Manufacturing Co Ltd filed Critical Meidensha Corp
Priority to JP10252432A priority Critical patent/JP2000079378A/ja
Publication of JP2000079378A publication Critical patent/JP2000079378A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素含有のプラスチックの廃棄物が急増して
いてその処理が問題となっているプラスチック類を30
0℃程度の温度で加熱し、プラスチック類から塩素系ガ
スを分解析出して無害なプラスチック残渣を得、これを
燃料として利用することが知られているが、発生した分
解ガス中には多量の塩素系ガスが含まれており、処理の
仕方によりダイオキシンの生成原因となる。 【解決手段】 加熱により分離分散する気化成分を含有
し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアル
カリ物質体を、加熱して気化成分をCO2,H2Oとして
蒸発飛散させて多孔質化し、これを被処理物に混入して
分解反応炉20で加熱した際、被処理物から分解析出す
る塩素系ガスと効果的に接触反応させて無害な塩化物を
生成することで排ガスおよび残渣から塩素系ガスを無く
し、プラスチック残渣を燃料として安心して使用できる
ようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル等の塩
素含有高分子樹脂等の被処理物を加熱処理する際、被処
理物から発生する有害な塩素成分を除去して、無害な高
分子樹脂の残渣と、無害な排ガスを得るようにした方法
および装置に関し、特に、被処理物から発生する塩素系
ガスと接触反応して無害な塩化物を生成する脱塩素剤と
して、反応効果の高い多孔質アルカリ物質を用いたもの
に関する。
【0002】
【従来の技術】産業廃棄物、一般廃棄物などとして塩素
含有のプラスチックが急増しており、その処理が大きな
課題と成っている。燃焼して処理した場合には、多量の
塩素系ガスを発生し、処理施設に損傷を与えるばかりで
なく、ダイオキシン類を生成することが大きな社会問題
となっている。
【0003】このようなことから、プラスチックから塩
素を除去して無害化し、これを燃料として利用すること
が、例えば特開平10−71384号などで知られてい
る。
【0004】また、従来の化石燃料に代わる燃料とし
て、廃棄物中のプラスチックを抽出し、これらの固形化
物(RPF)を製造して新たな燃料とすることも試みら
れている。
【0005】一方、廃棄物を処理した際に発生する塩素
系ガスの処理手段は、被処理物から塩素系ガスを発生さ
せ、後工程(バグフィルタ、高温燃焼、灰溶融などの手
段)にて、塩素系ガス、ダイオキシン類を除去しようと
するものが一般的である。
【0006】このような有害成分の除去手段として、カ
ルシウム系のアルカリ物質、例えば石灰(CaCO3
消石灰(Ca(OH)2)などを添加して焼却するこ
と、焼却炉内にアルカリ物質を噴霧して処理すること、
又はこれらの物質をフィルタに装填して有害ガスを通過
させることで除去することが、特開昭54−93864
号、特公平2−10341号、特開平1−296007
号、特開昭59−12733号公報などで知られてい
る。
【0007】また、焼却に代えて、被処理物を熱分解
(乾留)処理して、被処理物を減容化(炭化処理等)す
る方法が提供されている。(例えば、特開平5−339
16号、特表平8−510789号、また、本願出願人
の出願に係る特開平9−155326号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開平10−7
1384号公報には、プラスチックから塩素を除去し
て、これを燃料として利用することが提案されている
が、しかし、この提案のものは、プラスチック類を30
0℃程度の温度で加熱し、プラスチック類から塩素系ガ
スを分解析出して、無害なプラスチック残渣を得、これ
を燃料にするものである。
【0009】これによれば、プラスチック残渣の無害化
(脱塩素)は実現できるものの、発生した乾留ガス(排
ガス)中には多量の塩素系ガスが含まれることになり、
設備に損傷を与える。また塩素系ガスを含有する排ガス
はそのまま排出するとダイオキシン類を生成することに
なり、この点でまだ解決すべき課題がある。
【0010】また、被処理物から発生した塩素系ガスと
接触反応して無害な塩類を生成するものとして、アルカ
リ物質を添加することは一般的に知られているが、塩類
生成効果が不安定であって、有害物質を効果的に除去で
きない課題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願の発明者らの実験に
よると、消石灰等のカルシウム系の処理剤を使用した場
合には、使用しない場合に比較して、無害な塩化物を生
成することから、ある程度の効果は期待できることは判
明したが、その効果は十分ではないので、一層の効果を
期待して研究を続けた結果、ナトリウム、カリウム系の
アルカリ金属化合物を処理剤として用いれば効果的に無
害な塩化物を生成できて有害物質を除去処理できること
を見いだしすでに提案している。(特願平9−3872
5号,特願平9−38736,特願平10−10091
0)。
【0012】更に、上記の実験調査を基に、分析検討す
るために、処理剤を室温から順次加熱して反応を調査し
た結果、100℃以上で加熱すると、処理剤の含有する
気化成分(O,H,CO,CO2など)がH2O,CO2
として蒸発分離して、処理剤に貫通孔、凹部を形成して
多孔質化し、表面積が増加していることが判明した。
【0013】このことにより、処理剤のアルカリ物質
(Na,Kl,Caなど)の表面積が増加してリッチな
表面となり、接触した塩素系ガスとの反応がスムーズに
行われ、無害な塩類(NaCl,KClなど)を生成し
やすい状態となることを見い出した。
【0014】本発明は、これらの知見に基づいてなされ
たものである。
【0015】すなわち、アルカリ物質の処理剤を加熱す
ることで多孔質化し、アルカリ物質以外の気化成分を蒸
発分離して、多孔質化(貫通孔の形成、表面に凹部・穴
を形成)したもの(以下、多孔質アルカリ物質と称す)
を被処理物に添加、排ガスに噴霧などの手段により使用
すれば、有害成分と効果的に反応して無害な塩類を生成
して有害成分を効果的に除去できるものである。
【0016】そして、200〜350℃に加熱された加
熱処理炉において、被処理物から分解析出した塩素系ガ
スは周辺に存在するアルカリ物質と接触反応して無害な
塩化物を生成し、排ガスの無害化(塩素系ガスを含有し
ない、ダイオキシン類を生成しない)ができ、合わせ
て、塩素系ガスを含まない被処理物となる。
【0017】従って、プラスチック残渣の無害化が実現
でき、これをそのまま燃料として、又固形化(RPF)
して新たな燃料として資源の再利用を可能にするもので
ある。
【0018】しかして、本発明における上記の課題を解
決するための手段は、破砕した塩素含有高分子樹脂を含
む被処理物と添加混合した多孔質アルカリ物質からなる
処理剤(以下、脱塩素剤と称す)とを加熱炉で加熱し
て、被処理物から塩素系ガスを分解析出させるととも
に、多孔質アルカリ物質と接触反応させて無害な塩化物
を生成することで、排ガスの無害化と被処理物(残渣)
の無害化を行うようにする。
【0019】また、無害化した被処理物は溶液にて塩類
(塩化物等)を除去し、脱水乾燥し、塩素を含有しない
高分子樹脂からなる残渣を得るようにするものである。
【0020】また、上記の被処理物の処理は、乾燥工程
と無害な塩化物生成工程とからなり、乾燥工程は、10
0℃〜150℃、塩化物生成工程は、200℃〜350
℃で加熱することが好ましい。
【0021】本発明に使用される多孔質アルカリ物質
は、加熱により分離飛散する気化成分を含有し、且つ有
害な成分と反応して無害な塩化物を生成するアルカリ物
質体であって、加熱により前記アルカリ物質体から気化
成分を分離除去して表面積を増加させたものである。こ
のアルカリ物質体は、粉体で平均粒径は0.5mm以下
が好ましい。
【0022】また、表面積の増加はアルカリ物質体に含
有する気化成分(O,H,CO,CO2など)が分離飛
散するときH2O,CO2として分離し、貫通孔,凹部
(穴)が生じて多孔質化することによって形成される。
【0023】また、アルカリ物質体は、気化成分を含有
し、且つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアル
カリ金属化合物に含まれる物質の中から少なくとも1種
類を選択、又は2種以上を混合したものを使用する。
【0024】そして、このアルカリ金属化合物は、炭酸
水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリ
ウムから選択した単体、複数種の混合物による。
【0025】なお、炭酸水素ナトリウム(NaHC
3)は、別称として、酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナ
トリウム、重炭酸ソーダと称され、更には俗称として、
重曹とも称されている。
【0026】セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・Na
HCO3・2H2O)は、別称として、二炭酸−水素ナト
リウム、三二炭酸水素ナトリウム、ナトリウムセスキカ
ーボネートと称され、天然にはトロナ(天然ソーダ)と
して産出する。
【0027】上記のアルカリ物質の化合物で、アルカリ
物質以外の気化成分を加熱蒸発して多孔質化し、その表
面が増大すること、およびこのアルカリ物質と有害な塩
化水素と反応して無害な塩類に置換生成されて有害成分
が無害化されることは下記の反応式により明らかとなっ
ている。
【0028】炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の場
合 加熱による多孔質化処理すると、 NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2 となりH2O,CO2は分離飛散して多孔質化したNa2
CO3となる。これが有害成分の塩化水素と反応する
と、 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 となりH2O,CO2が分離し、無害な塩類(2NaC
l)となる。
【0029】同様に炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナト
リウムは、次のようになる。
【0030】炭酸水素カリウム(KHCO3)の場合 加熱による多孔化処理すると、 KHCO3→KCO3+H2O+CO2 塩化水素との反応は、 KCO3+2HCl→2KCl+H2O+CO2 セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2
2O)の場合 加熱による多孔化処理すると、 2(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)→3Na2
3+5H2O+CO2 塩化水素との反応は、 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 この多孔質化処理した処理剤が、表面積が増加して、被
処理物から分解析出した塩素系ガスとの接触面積が増大
し、反応して新たな塩類を生成する効果が増加すること
は明らかである。上記の被処理物に添加する脱塩素剤の
添加量は、処理される被処理物の5〜30重量%、もし
くは被処理物の含有する塩素成分量の2〜10倍とす
る。
【0031】また、塩素含有高分子樹脂の塩素除去装置
としては、一端の供給口側から供給した被処理物を撹拌
し、且つ他端の排出口側に移動させる手段を有する円筒
体と、この円筒体の外部から加熱する加熱手段とを備え
た加熱処理炉を少なくとも二基設けて上・下に配置し、
上部の加熱処理炉の排出口側と下部の加熱処理炉の供給
口側とをダクトで連通するとともに、上部の加熱処理炉
は、被処理物と多孔質アルカリ物質からなる脱塩素剤と
の混合物を加熱して乾燥させる乾燥炉となし、下部の加
熱処理炉は、乾燥炉から導入された混合物を加熱して、
被処理物から塩素成分を分解析出するとともに脱塩素剤
と接触反応させて無害な塩化物を生成する分解反応炉と
なし、この分解反応炉の排出口側から処理後の被処理物
を取り出すように構成する。
【0032】上記の上下に配置した乾燥炉および分解反
応炉は、ダクトの一方の側面に略平行に、又はダクトを
挾んで両側に配置する。
【0033】乾燥炉や分解反応炉のいずれか一方又は両
方を複数基設置することができる。この場合、乾燥炉は
上部側に分解反応炉は下部側に、ダクトの一方の側面に
平行又はダクトを挾んで両側に配置する。
【0034】加熱手段としては、円筒体を包囲する加熱
ジャケットを設け、該加熱ジャケットに熱ガスを導入し
て加熱する 以上は加熱処理炉を2基使用した場合であるが、1基で
も実現できる。1基の場合は、円筒体内に異なる2つの
温度域を形成することを好適とする。
【0035】その構成は、一端の供給口側から供給した
被処理物を撹拌し、且つ他端の排出口側に移動させる手
段を有する円筒体と、該円筒体の外周に設けられ、円筒
体内に異なる温度域を形成するための分離した2つの加
熱手段を有する加熱処理炉を設け、前記2つの加熱手段
は、円筒体の外周の供給口側と排出口側に分割した2つ
の加熱ジャケットからなり、排出口側の加熱ジャケット
から熱ガスを供給して円筒体内に無害な塩化物を生成す
る温度域を形成し、この加熱後の熱ガスを温度調整手段
を介して供給口側の加熱ジャケットに導入して円筒体内
に被処理物から水分を除去して乾燥させる温度域を形成
する。但し、加熱手段は必ずしも2つに分離する必要は
ない。
【0036】上記の被処理物を撹拌し、且つ排出口側に
移動させる手段は、円筒体内に設けた羽根又はスパイラ
ル部材で形成することを好適とする。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。実施の形態を説明するに先立って、本発明
に使用される多孔質アルカリ物質からなる脱塩素剤につ
いて説明する。
【0038】この脱塩素剤は、気化成分を含有するアル
カリ物質体を加熱して気化成分を分離飛散させることに
より多孔質化し、表面積を増加させたもので、最初にア
ルカリ物質の多孔質化について説明する。
【0039】図1はアルカリ物質体を多孔質化処理する
ための実験に供した実験装置で、電子レンジを使用した
場合である。
【0040】実験は、アルカリ物質体で、平均粒径が1
50μm以下の粉体を使用し、これをセラミックの容器
2に充填し、電子レンジ1内に入れ、加熱温度を変えて
気化成分の蒸発分離量を重量の変化で測定し、更に電気
顕微鏡で粉体の表面を観察した。
【0041】実験に供したアルカリ物質体は、気化成分
が含有し、該気化成分が分離飛散する際にCO2又はH2
Oとなる物質の中から炭酸水素ナトリウム(試料1と称
す)、セスキ炭酸ナトリウム(試料2と称す)を選び、
また気化成分を含まない炭酸ナトリウム(試料3と称
す)を用いた。
【0042】この試料1および2については、表1に示
すように150℃から50℃間隔で350℃まで、各温
度を一定に保ち、2.5分後、5.0分後、7.5分
後、10分後、15分後、20分後からは10分間隔で
60分後まで各温度における重量を測定した。
【0043】
【表1】
【0044】実施1〜実施5は、試料1について初期重
量が2.00gを使用した場合、実施6,実施7は、試
料の量を増やし初期重量を10gおよび20gとした場
合を示す。
【0045】また、実施8〜実施12は、試料2につい
て、初期重量が2.00gを使用した場合である。
【0046】また、比較1および比較2は、試料3につ
いて試料の使用量を2.00gとし、300℃と350
℃において加熱し、各2.5分から30分後まで表1に
記載の時間経過時に重量を測定したものである。
【0047】表1にこの測定結果を示す。
【0048】この表1から次のことが明らかとなった。
【0049】(1)試料1では気化成分が分離蒸発して
重量は初期値に対して37%程度減少していること。
【0050】(2)試料2でも重量は初期値に対して3
0%程度減少していること。
【0051】(3)試料3は、重量は初期値とほとんど
変らないこと。
【0052】また、試料1および2の表面を電子顕微鏡
で観察したところ、図2に示すように表面に多数の凹部
が形成され多孔質化されていることが確認された。な
お、試料3では凹部の形成は見られなかった。
【0053】図3は気化成分を含有する処理剤が加熱に
より多孔質化する過程の加熱反応模式図で、炭酸水素ナ
トリウム(NaHCO3)の粉体の例を示す。この図で
白丸はNa、網丸はCO2、斜線丸はH2Oを示してい
る。
【0054】100℃以上で、10分以上加熱すると、
CO2,H2Oが蒸発飛散し多孔質のNa2CO3となり、
CO2,H2Oが蒸発して穴a又は貫通孔bが形成され、
粉体の表面がNaのリッチな表面となり、表面積が増加
する。
【0055】図4は上記の多孔化したNa2CO3に塩素
系ガス(HCl,Cl)が接触反応する場合の接触反応
模式図で、縦線丸はHCl,Clを示し、200℃〜3
00℃に加熱・保持し、多孔質化したNa2CO3に被処
理物から分解析出した塩素系ガス(HCl,Cl)成分
が接触反応して新たにNaClが生成される。
【0056】即ち、有害な塩素系ガス(HCl)が無害
なNaCl(塩化ナトリウム)に置換生成される。
【0057】有害な塩素系ガス(塩化水素)が無害な塩
化物に置換生成される理由は下記の反応による。
【0058】炭酸水素ナトリウム(NaHCO3) 加熱による多孔化処理 NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2 塩化水素との反応 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 炭酸水素カリウム(KHCO3) 加熱による多孔化処理 KHCO3→KCO3+H2O+CO2 塩化水素との反応は、 KCO3+2HCl→2KCl+H2O+CO2 セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2
2O) 加熱による多孔化処理 2(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)→3Na2
3+5H2O+CO2 塩化水素との反応 Na2CO3+2HCl→2NaCl+H2O+CO2 即ち、有害な塩化水素は無害な塩類(2NaCl,2K
Cl、)に置換される。
【0059】次に、本発明に使用される多孔質アルカリ
物質よりなる脱塩素剤と、多孔質化しない脱塩素剤の試
料を使用し、有害成分の中のHClとの反応効果を比較
検証した。
【0060】実験は、排気管付きで、開閉扉を有する密
閉容器にて低酸素雰囲気を作り、この密閉容器に試料を
入れ、電気炉にて加熱し、250℃から650℃まで5
0℃間隔で各温度にて5分間保持し、昇温時、5分間保
持後に、排気管を開けて塩化水素ガス(HCl)濃度
(ppm)を測定した。
【0061】ガス濃度の測定は、JIS−K0804に
規定されている検知管によって測定した。
【0062】測定は、まず塩素成分を多量に含んでいる
ポリ塩化ビニリデンのみ4gを用いて予備実験を行っ
た。その結果を表2の比較B−1に示す。
【0063】
【表2】
【0064】次に、従来より脱塩素剤として知られてい
る消石灰および炭酸カルシウムの粉末を各20g添加し
て実験した。その結果を比較B−2,比較B−3に示
す。
【0065】次に、被処理物としてポリ塩化ビニリデン
4gを用い、脱塩素剤(表には、処理剤として記載)と
して炭酸水素ナトリウムを多孔質化処理した処理剤(以
下、済み剤と称す)と、多孔質化処理しない処理剤(以
下、未処理剤と称す)とを12.5gと7.5gを使用
して比較実験を行った。
【0066】その結果を済み剤によるものを表2の実施
例1および実施例2に、未処理剤によるものを比較A−
2および比較A−3に示す。
【0067】比較A−1は、未処理剤の使用量を20g
に増加した場合の結果を示している。
【0068】次に、標準的な都市ゴミを模擬した次のよ
うな模擬ゴミを作成し、この模擬ゴミを破砕し、破砕し
た模擬ゴミ20gとポリ塩化ビニリデン1gを混合して
被処理物を作り、済み剤を3.15gを添加した場合
と、未処理剤を5g添加した場合との比較実験を行っ
た。その結果を表2の実施例3および比較A−4に示
す。
【0069】模擬ゴミの構成は、次の通り、 20重量%…プラスチック(PE、PP、PS、PVD
C) 50重量%…紙(ティッシュ、新聞、包装紙、箱、飲料
パック) 20重量%…布(ウエスなど) 10重量%…厨芥 表2は、表2の左欄の各温度においてHCl濃度(pp
m)を測定した結果を示す。表2において塩化水素ガス
濃度は実験10回における測定値で、各実施例は最高
値、各比較は最低値を示す。また、“ND”は“検出さ
れずを表わし、10回の実験でいずれも検出されなかっ
たことを示している。
【0070】この表2の実験結果から、次のように考察
される。
【0071】まず、塩素成分を多量に含有する塩化ビニ
リデンを被処理物とした場合、処理剤を添加しない比較
B−1では、熱処理による各温度にわたって塩化水素ガ
スが多量に発生している。
【0072】この被処理物に従来の脱塩素剤である消石
灰を添加した比較B−2と、炭酸カルシウムを添加した
比較B−3では、比較B−1と比べて塩化水素ガスの発
生がかなり抑制されているものの、まだ十分であるとは
言えない。
【0073】これに対し、処理剤として炭酸水素ナトリ
ウムを添加したものは全体として非常に良好な結果が得
られている。そして、この炭酸水素ナトリウムを、多孔
質化処理した済み剤と未処理剤とを比較すると、未処理
剤を12.5g添加した場合は比較A−2に示すように
300℃、5分保持後〜350℃、5分保持後において
極微量の塩化水素が検出されているが、済み剤の場合は
実施例1のように全温度範囲にわたり全く検出されな
い。
【0074】処理剤の添加量を7.5gに減らして比較
すると、実施例2および比較A−3に示すように300
℃、5分保持後〜350℃、5分保持後間において塩化
水素ガスの発生は見られるが、実施例2は極く微量(2
ppm〜15ppm)であるのに対し、比較A−4は若
干多く(5ppm〜90ppm)検出されている。
【0075】しかし、比較A−1のように、添加量を2
0gに増加すれば良好な結果が得られる。
【0076】次に、被処理物として、ポリ塩化ビニリデ
ン1gと模擬ゴミ20gを混合したものを使用した場合
は、比較A−4においては、未処理剤5gを使用して4
00℃〜500℃で若干の塩化水素が検出されている
が、実施例3では済み剤が3.15gと少ないにもかか
わらず、全温度範囲で全く検出されなかった。
【0077】以上の実験調査により、次のことが判明し
た。
【0078】(1)多孔質化処理した処理剤は、実施例
2のように処理剤の添加量が少ないときは若干の塩化水
素の発生が見られるが、その他は良好に反応して塩化水
素が発生していないこと、(2)多孔質化処理しない未
処理剤では、比較A−2〜A−4で300℃〜400℃
の範囲の中で微量の塩化水素の発生が見られるが、しか
し、比較A−1のように添加量を多くすれば良好な結果
が得られること、(3)以上のことから、多孔質化した
処理剤は、多孔質化しなかった処理剤と比較して、少量
の添加量で良好な効果が得られること、(4)比較B−
1〜B−3では、塩化水素が多量に発生していること。
【0079】また、この実験結果から、塩素成分を含有
する被処理物を処理する場合には、有害なHClと反応
して無害な塩化物を生成するアルカリ物質を添加して処
理することで、HClの無害化処理できることが確認で
きた。
【0080】しかも、多孔質化した処理剤を添加する場
合には、多孔質化処理しない場合に比較して少量で良い
ことが判明した。
【0081】なお、650℃以上においても同様な脱塩
素効果はあるが、設備の形態,時間,処理量などに基づ
いて決定すればよい。
【0082】このように、気化成分を含有するアルカリ
物質を加熱処理すると、含有する気化成分(O,H,C
O,CO2など)がCO2又はH2Oとして分離飛散して
アルカリ物質の表面積が増加し、これを有害成分の処理
剤として添加すると、HClとの反応が促進され、少量
で脱塩素効果が得られることが確認された。
【0083】次に、この多孔質アルカリ物質による処理
剤を脱塩素剤として使用した本発明の実施形態について
説明する。
【0084】図5は本発明の実施の形態の構成の概念図
で、加熱処理炉を2基設けた場合である。
【0085】図中10は第1の加熱処理炉、20は第2
の加熱炉を示す。
【0086】第1の加熱処理炉10は、回転自在の円筒
体11と、該円筒体11の外周にガスダクトを形成して
熱ガスの導入により円筒体11を加熱する加熱ジャケッ
ト12と、円筒体11の一方の端部に設けられ、被処理
物を円筒体11内に供給する供給口13と、円筒体11
の他方の端部に設けられた排出口14とで構成され、こ
の円筒体11は図示しない回転駆動手段によって回転駆
動される。
【0087】円筒体11の回転駆動手段は、通常の駆動
用モータと駆動歯車及び円筒体に設けられた従動歯車等
から構成される。加熱ジャケット12は固定され、円筒
体11との回転接触部には、メカニカルシールが施され
ている。
【0088】15は第1の加熱処理炉10の供給口13
側に設けられた供給側ダクトで、被処理物と脱塩素剤と
の混合物を円筒体11内に導入する。
【0089】第2の加熱処理炉20の構成は、第1の加
熱処理炉10の構成とほぼ同一であり、回転自在の円筒
体21と、該円筒体21の外周にあって熱ガスの導入に
より円筒体21を加熱する加熱ジャケット22と、円筒
体21の一方の端部,この例では第1の加熱処10の排
出口14側に設けられ、被処理物を円筒体21内に供給
する供給口23と、円筒体21の他方の端部に設けられ
た排出口24とで構成されている。
【0090】16は第1の加熱処理炉10の排出口14
側と、第2の加熱処理炉20の供給口23側を包囲し、
混合物を第1の加熱処理炉10から第2の加熱処理炉2
0へ導入する導入ダクトを示し、この導入ダクト16に
は、必要に応じて脱塩素剤を追加するための脱塩素剤追
加手段26を設ける。この脱塩素剤の追加供給は、塩化
水素濃度測定装置40により、ダクト内の塩化水素濃度
を測定し、測定値に応じて、自動又は手動で供給する。
【0091】25は第2の加熱処理炉20の円筒体21
の排出口24側を包囲し、第2の加熱処理炉20で加熱
処理した被処理物(残渣)を溶解槽32内に排出する排
出側ダクトである。
【0092】第1の加熱処理炉10の円筒体11と、第
2の加熱処理炉20の円筒体21とは上下方向に配設さ
れ、図示は省略してあるが、円筒体11および21の外
周に設けられた加熱ジャケット12および22は固定部
材により支持固定されており、円筒体11,21の内部
には、被処理物と脱塩素剤の混合物を撹拌しながら移送
する複数の羽根が設けられ、円筒体11,21自体の回
転によって混合物を図の一点鎖線で示すように供給口1
3側から、排出口24側に移送する構成となっている。
【0093】また、円筒体11に回転接触するダクト1
5,16の接触部分および円筒体21に回転接触するダ
クト16,25の接触部分にはメカニカルシールが施さ
れている。
【0094】27はホッパで、このホッパ27に破砕し
たプラスチック類等の被処理物と、前記した多孔質アル
カリ物質からなる脱塩素剤とを混合して投入し、円筒体
11の供給口13から円筒体11内に供給可能とする。
【0095】このホッパ27に被処理物の破砕機能と脱
塩素剤の混合機能を合わせて持たせ、固形物を破砕しな
がら脱塩素剤と混合してもよいし、また、予め破砕した
被処理物と脱塩素剤とを混合してホッパ27に投入して
もよい。
【0096】28は燃焼装置であり、例えばLNGを燃
焼させる場合には、図外のLNGタンクから供給される
LNGを燃焼して熱ガスを発生させる。この熱ガスは第
2の加熱処理炉20の円筒体21外周に設けた加熱ジャ
ケット22内に供給されて円筒体21を加熱した後、連
絡管29を介して第1の加熱処理炉10の円筒体11の
加熱ジャケット12内に送り込まれる。このとき連絡管
29に温度調整用の空気供給手段30から冷却空気を送
り込み熱ガスの温度を調整する。この円筒体11を加熱
した後の熱ガスは、排出管31を介して残渣の乾燥手段
34に送出して、乾燥手段の熱として利用した後、連絡
管29を介して排ガス燃焼手段36に送り込まれる。
【0097】排ガス燃焼手段36は、第1の加熱処理炉
10の排出側と、第2の加熱処理炉20の供給側を連通
する導入ダクト16内のガスと、燃焼装置28から送出
され、各加熱部に利用した後のガスとを燃焼させ、次工
程のバグフィルタ装置38に送り込まれる。
【0098】この排ガス燃焼手段36では、ガス中に含
まれるタール分等の可燃成分を燃焼して除去する。ま
た、バグフィルタ装置38は従来の公知のものでよく、
ブロワ等の送風手段を有し、排ガス燃焼手段36で燃焼
処理した排ガスを導入して清浄化した後、煙突39から
放出する。37は空気冷却手段で、バグフィルタ装置3
8で排ガスが吸引されるとき、排ガスの流速に引導され
て流れ込み、排ガスをバグフィルタ装置38の耐久温度
以下に冷却する。この空気冷却手段37は、吸引空気量
を調整する弁を設けただけのダクトでも良く、また、ブ
ロワ等の空気発生手段で形成してもよい。
【0099】33は脱水手段で、溶解槽32内の水溶液
を固・液分離し、固形物は乾燥手段34で乾燥した後、
固形物抽出部35に抽出する。
【0100】次に本実施形態に基づく一連の処理方法に
ついて説明すると、予め被処理物は破砕機により破砕し
ておき、この被処理物に脱塩素剤として多孔質アルカリ
物質、例えば炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を添
加混合する。この脱塩素剤は、塊状、板状、多孔質形
状、粉体状、溶液、懸濁液の何れか、もしくはこれらの
組み合わにより使用される。
【0101】被処理物としては、塩素含有高分子樹脂、
例えば、プラスチック類で、この被処理物に対する脱塩
素剤の混合割合は、被処理物の含有する塩素量の2〜1
0倍、又は被処理物の5〜30重量%とする。被処理物
の破砕は脱塩素剤を混合してから破砕してもよい。
【0102】これと平行して燃焼装置28でLNGを燃
焼して熱ガスを発生させ、加熱ジャケット22及び加熱
ジャケット12に供給して第1の加熱処理炉10と第2
の加熱処理炉20の炉内を加熱状態としてから、被処理
物と脱塩素剤の混合物をホッパ27から供給口13を介
して第1の加熱処理炉10の円筒体11内に供給する。
この円筒体11は図示しない回転駆動手段によって回転
駆動されている。
【0103】第1の加熱処理炉10での加熱処理は、被
処理物と脱塩素剤との混合物を十分混合した後、この混
合物を100℃〜150℃で加熱し、含有する水分を除
去して乾燥させる乾燥工程により加熱処理を実施し、被
処理物から水分(H2O)を除去することで、次の分解
反応工程を効果的に行い得るようにする。
【0104】第1の加熱処理炉10で乾燥された被処理
物は、導入ダクト16を介して第2の加熱処理炉20に
供給される。
【0105】第2の加熱処理炉20では、被処理物から
塩素系ガスを分解析出して脱塩素剤と反応させる分解反
応工程により分解反応(脱塩素)処理を行う。
【0106】塩素系ガスが分解析出する温度と時間は事
前に調査して被処理物の性質を把握し、この調査結果を
十分にカバーできる温度(200℃〜350℃)と時間
(30分)で処理する。尚、被処理物から塩素系ガスを
分解析出させる温度としては、250℃〜350℃が好
ましい。
【0107】尚、第2の加熱処理炉20での加熱温度と
時間は、加熱処理炉の状態(大きさ、加熱手段などの炉
に依存する条件等)、被処理物の処理量などにも関係す
るので、事前に調査などを十分に行っておく必要があ
り、またデータを取り蓄積しておく必要がある。
【0108】また、第2の加熱処理炉20での加熱は、
「燃焼、焼却」ではなく、「蒸し焼き、熱分解」での処
理とすると、析出した有害な塩素系ガスとアルカリ物質
の脱塩素剤とを効果的に接触反応させることができ、有
害なHClガスを無害な塩化物に置換生成することがで
きる。
【0109】第2の加熱処理炉20内においては、HC
l成分を含む塩素系ガスが発生するが、この塩素系ガス
中のHCl成分は、添加されている脱塩素剤、例えば炭
酸水素ナトリウムと反応して無害な塩化物である塩化ナ
トリウム(NaCl)を生成する。これによって、分解ガ
ス中のHCl成分の無害化と残渣の無害化が同時に行え
る。
【0110】無害化された排ガスは、導入ダクト16か
ら排ガス燃焼装置36に送り込まれる。
【0111】第1の加熱処理炉10と第2の加熱処理炉
20での加熱で生じた排ガス中には、被処理物の性質に
よって多量のタール分等可燃成分が含まれている。この
排ガスが含有するタール分等は排ガス燃焼装置36によ
り燃焼除去される。
【0112】この燃焼により高温化された排ガスはその
ままバグフィルタ装置38に送り込むことができないた
め、この排ガスを空気冷却手段37からの冷却空気によ
り約200℃以下に冷却してからバグフィルタ装置38
に送り込まれる。
【0113】これは加熱処理炉での被処理物への脱塩素
剤の添加混合により、基本的に残渣と排ガスの無害化を
はかることができるが、不完全反応等の原因によって排
ガス中に少量の塩素系ガスが残存するケースが考えられ
る。
【0114】このような場合であっても、バグフィルタ
装置38内で排ガスと脱塩素剤とを再度の反応を行わせ
ることによって塩素系ガスの残存を完全に防止すること
ができる。無害化された排ガスは煙突39から安心して
放出することができる。
【0115】一方、無害化された被処理物(残渣)と、
反応後の塩化ナトリウム等は排出側ダクト25を介して
溶解槽32内に排出される。この溶解槽32内で、被処
理物と塩化ナトリウム等は、水に溶解し、次段の脱水手
段33で固体成分と液体成分とに分離され、液体成分は
排水され、プラスチック類等の固体成分(固形物)は、
固形物抽出部35に抽出される。
【0116】ここに抽出された固形物は、RPF(プラ
スチックの固形化物)の原料として使用できる。また、
各種の用途の燃料、例えば、高炉、セメント、クリンカ
製造などの燃料として利用することができる。
【0117】図6は本発明の他の実施の形態の説明図
で、乾燥工程と、分解反応工程とを1つの加熱処理炉で
行うようにしたものである。構成は加熱処理炉を除い
て、図1のものとほとんど同じである。従って、図1と
同じ機能を有する部分には図1と同じ符号を付して説明
を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0118】図6において、50は乾燥・分解反応処理
炉で、該乾燥・分解反応処理炉50は、図5の円筒体1
1と同様に、供給口53、排出口54を有する回転自在
の円筒体51と、該円筒体51の内部を乾燥工程と分解
反応工程に分け、その各工程部分の外周に、2分割して
形成した2つの加熱ジャケット52a,52bと、これ
ら加熱ジャケット52aと52bとを連通する連絡管5
5と、この連絡管55からの熱ガスの温度を調整するた
め熱ガス・空気混合手段56とからなり、分解反応工程
の加熱は、燃焼装置28からの熱ガスを導入し、内部を
200℃〜350℃で加熱し、加熱後の熱ガスを連絡管
55を介して熱ガス・空気混合手段56に送り込み、該
熱ガス・空気混合手段56で、空気供給手段30からの
冷却空気を混合して、熱ガスを乾燥に必要な温度の10
0℃〜200℃に下げて乾燥工程の加熱をする。
【0119】57は排出側ダクトで、分解反応工程で処
理された被処理物と、反応済みの塩化ナトリウム等を溶
解槽32に導出する。
【0120】なお、加熱ジャケット52a,52bと円
筒体51との回転接触部およびダクト15,57と回転
体51との回転接触部にはメカニカルシールが施されて
いる。
【0121】なお、図6の加熱手段は、2分割した2つ
の加熱ジャケット52aと52bにより形成した実施例
であるが、必ずしも分割する必要はなく、分割しない1
つの加熱ジャケットでもよい。この場合でも供給口側
は、順次供給される被処理物により、分解反応温度域よ
り低い乾燥温度域となる。この場合は、連絡管55、空
気供給手段30は不要となる。
【0122】円筒体51の乾燥工程を実施する乾燥部
と、分解反応工程を実施する分解反応部には、被処理物
を撹拌しながら供給口53側から排出口54側に移送さ
せるための撹拌・移送手段、例えば、スパイラル部材又
は複数の羽根が設けられている。
【0123】この第2の実施の形態によれば、加熱処理
炉が1基で済むメリットがある。
【0124】第1および第2の実施の形態における分解
反応工程で被処理物と多孔質アルカリ物質からなる脱塩
素剤とを加熱処理すると、分解した塩素系ガスと脱塩素
剤とが反応して分解ガスの無害化と残渣の無害化が同時
に行われることは、前述した表2に示した実験結果から
明らかである。
【0125】最後に、多孔質アルカリ物質である炭酸水
素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムを添加して加熱処
理した被処理物(残渣)を取り出して分析し、塩素系物
質の存在の確認を行った。
【0126】取り出した残渣を分析した結果、有害な塩
素系ガス成分は検出されず、無害な塩化物である塩化ナ
トリウム、塩化カリウムが検出された。更に残渣を10
分間撹拌して水洗浄することにより、塩化ナトリウム、
塩化カリウムは水に溶解し、炭化物が残存するが、この
炭化物中にも有害な塩素系ガス成分は検出されなかっ
た。
【0127】従って、有害な塩素成分は、残渣の一部と
なる塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KC
l)、水分(H2O)、気体(CO2)となり、ダイオキ
シンの原因となる塩化水素を発生することはなく、排ガ
ス及び残渣の無害化が実現できる。
【0128】また、発生する分解ガス中の有害な成分
(塩素系ガス)と加えた脱塩素剤との接触反応により、
有害成分が無害な塩化ナトリウム(NaCl、KCl)
に置換生成されるので、分解ガスから有害な成分(塩素
系ガス)を分離することができ、無害な分解ガスとする
ことができる。
【0129】一方、残渣の一部となる無害な塩化ナトリ
ウムは、水などの溶液による洗浄処理により効果的に除
去でき、しかも洗浄後には再利用可能な金属、炭化物な
どが残り、有害な塩素系ガスを含有しないので、再利用
できる。
【0130】また、洗浄処理前・後において、任意の分
離手段により各物質に分離し、分離後の物質を乾燥固化
して燃料その他有効に活用することができる。
【0131】なお、洗浄後の処理液は無害な塩化物を含
有するが、有害な物質はほとんど含まれず、必要に応じ
て廃水処理を行い、河川又は海洋に放流することができ
る。
【0132】
【発明の効果】本発明は上記の実験結果から明らかなよ
うに、脱塩素剤として加熱により分離飛散する気化成分
を含有し、且つ有害な成分と反応して無害な塩類を生成
するアルカリ物質体であって、前記気化成分を分離除去
して表面積を増加させた多孔質アルカリ物質を使用し、
加熱により発生する塩素系ガスと効果的に反応して無害
な塩化物を生成することにより、有害な塩素系ガスを除
去するので次の効果を奏する。
【0133】(1)気化成分を含有するアルカリ物質を
加熱処理して気化成分を予め蒸発分離することで、アル
カリ物質の多孔質化した脱塩素剤を得ることができ、ア
ルカリ物質のリッチな表面とすることができる。
【0134】従って、プラスチック類から発生した塩素
系ガスとの接触反応を効果的に行うことが可能となり、
無害な塩化物を効果的に生成することができ、プラスチ
ック類から塩素を効果的に分解析出でき、プラスチック
残渣の無害化が実現でき、排ガスの無害化も実現でき
る。
【0135】(2)多孔質化したアルカリ物質からなる
脱塩素剤の使用形態は、 ・被処理物に予め添加して混合する。
【0136】・追加添加する。
【0137】などの形態で使用することができ、これに
よって、被処理物に混合して加熱処理することで、残渣
の無害化が実現でき、しかも排ガスの無害化も実現でき
る。
【0138】(3)特に残渣中の生成した塩類は、無害
な塩類であり、水などの溶液によって除去でき、除去溶
液中にも有害成分は析出しないので、安全に処理でき
る。
【0139】(4)従って、無害化されたプラスチック
類残渣は、そのまま燃料、固形化することでRPFを製
造し、燃料としての新エネルギー源とすることができ
る。
【0140】(5)従って、無害なプラスチック残渣、
無害な排ガスを得ることができるので、ダイオキシン類
の生成はなく、21世紀の子孫に有益な環境と技術を伝
えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実験に供した実験装置。
【図2】本発明の多孔処理剤の顕微鏡写真図。
【図3】加熱反応模式図。
【図4】接触反応模式図。
【図5】本発明の実施の形態の廃棄物処理装置の概念
図。
【図6】本発明の他の実施の形態の廃棄物処理装置の概
念図。
【符号の説明】
10,20…加熱処理炉 11,21…円筒体 12,22…加熱ジャケット 13,23…供給口 14,24…排出口 15,25…供給側ダクト 16…導入ダクト 26…脱塩素剤追加手段 27…ホッパ 28…燃焼装置 29…連絡管 30…温度調整用の空気供給手段 31…排出管 32…溶解槽 33…脱水手段 34…乾燥手段 35…固形物抽出部 36…排ガス燃焼装置 37…空気冷却手段 38…バグフィルタ装置 39…煙突 40…塩化水素濃度測定装置 50…乾燥・分解反応処理炉 51…円筒体 52a,52b…加熱ジャケット 53…供給口 54…抽出口 55…連絡管 56…熱ガス・空気混合手段 57…排出側ダクト

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 破砕した塩素含有高分子樹脂を含む被処
    理物と添加混合した多孔質アルカリ物質からなる脱塩素
    剤とを加熱処理炉で加熱処理して、被処理物から塩素系
    ガスを分解析出させると共に多孔質アルカリ物質と接触
    反応させて無害な塩化物を生成することで、排ガスの無
    害化と被処理物の無害化を行うことを特徴とした塩素含
    有高分子樹脂の処理方法。
  2. 【請求項2】 破砕した塩素含有高分子樹脂を含む被処
    理物と添加混合した多孔質アルカリ物質からなる脱塩素
    剤とを加熱処理炉で加熱処理して、被処理物から塩素系
    ガスを分解析出させると共に多孔質アルカリ物質と接触
    反応させて無害な塩化物を生成することで、排ガスの無
    害化と被処理物の無害化を行い、無害化した被処理物は
    溶液にて塩化物を除去し、脱水乾燥し、塩素を含有しな
    い高分子樹脂からなる残渣を得るようにしたことを特徴
    とした塩素含有高分子樹脂の処理方法。
  3. 【請求項3】 被処理物の加熱処理は、乾燥工程と無害
    な塩化物生成工程とからなることを特徴とする請求項1
    又は2記載の塩素含有高分子樹脂の処理方法。
  4. 【請求項4】 乾燥工程は、100℃〜150℃,塩化
    物生成工程は200℃〜350℃で加熱することを特徴
    とする請求項1,2,3のいずれか1項に記載の塩素含
    有高分子樹脂の処理方法。
  5. 【請求項5】 多孔質アルカリ物質は、加熱により分離
    飛散する気化成分を含有し、且つ有害な成分と反応して
    無害な塩類を生成するアルカリ物質体であって、加熱に
    より前記アルカリ物質体から気化成分を分離除去して表
    面積を増加させてなることを特徴とする請求項1又は2
    記載の塩素含有高分子樹脂の処理方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ物質体は粉体であることを特徴
    とする請求項5記載の塩素含有高分子樹脂の処理方法。
  7. 【請求項7】 粉体の粒径は0.5mm以下であること
    を特徴とする請求項6記載の塩素含有高分子樹脂の処理
    方法。
  8. 【請求項8】 アルカリ物質が含有する気化成分は、C
    2,H2Oとして蒸発分離するものであることを特徴と
    する請求項5,6,7のいずれか1項に記載の塩素含有
    高分子樹脂の処理方法。
  9. 【請求項9】 アルカリ物質は、気化成分を含有し、且
    つ有害成分と反応して無害な塩類を生成するアルカリ金
    属化合物に含まれる物質の中から、少なくとも1種類を
    選択,又は2種以上を混合したものであることを特徴と
    する請求項5ないし8のいずれか1項に記載の塩素含有
    高分子樹脂の処理方法。
  10. 【請求項10】 アルカリ金属化合物は、炭素水素ナト
    リウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムから
    選択した単体、複数種の混合であることを特徴とする請
    求項5ないし9のいずれか1項に記載の塩素含有高分子
    樹脂の処理方法。
  11. 【請求項11】 表面積の増加は、多孔質化、凹部形成
    によることを特徴とする請求項5ないし10のいずれか
    1項に記載の塩素含有高分子樹脂の処理方法。
  12. 【請求項12】 添加する脱塩素剤の添加量は、処理さ
    れる被処理物の5〜30重量%、もしくは被処理物の含
    有する塩素量の2〜10倍としたことを特徴とする請求
    項1又は2記載の塩素含有高分子樹脂の処理方法。
  13. 【請求項13】 一端の供給口側から供給した被処理物
    を撹拌し、且つ他端の排出口側に移動させる手段を有す
    る円筒体と、この円筒体の外部から加熱する加熱手段と
    を備えた加熱処理炉を少なくとも二基設けて上・下に配
    置し、上部の加熱処理炉の排出口側と下部の加熱処理炉
    の供給口側とをダクトで連通するとともに、上部の加熱
    処理炉は、被処理物と多孔質アルカリ物質からなる脱塩
    素剤との混合物を加熱して乾燥させる乾燥炉となし、下
    部の加熱処理炉は、乾燥炉から導入された混合物を加熱
    して、被処理物から塩素成分を分解析出するとともに脱
    塩素剤と接触反応させて無害な塩化物を生成する分解反
    応炉となし、この分解反応炉の排出口側から処理後の被
    処理物を取り出すようにしたことを特徴とする塩素含有
    高分子樹脂の処理装置。
  14. 【請求項14】 乾燥炉および分解反応炉は、ダクトの
    一方の側面に略平行に、又はダクトを挾んで両側に配置
    したことを特徴とする請求項13記載の塩素含有高分子
    樹脂の処理装置。
  15. 【請求項15】 乾燥炉および/又は分解反応炉を複数
    設置する場合は、ダクトの一方の側面に平行又はダクト
    を挾んで両側に配置したことを特徴とする請求項13又
    は14記載の塩素含有高分子樹脂の処理装置。
  16. 【請求項16】 加熱手段は、円筒体を包囲する加熱ジ
    ャケットを設け、該加熱ジャケットに熱ガスを導入して
    加熱することを特徴とする請求項13,14,15のい
    ずれか1項に記載の塩素含有高分子樹脂の処理装置。
  17. 【請求項17】 一端の供給口側から供給した被処理物
    を撹拌し、且つ他端側の排出口側に移動させる手段を有
    する円筒体と、該円筒体の外周に設けられ、円筒体内の
    被処理物を加熱する加熱手段を有する加熱処理炉を設
    け、前記供給口から円筒体内に破砕した塩素含有高分子
    樹脂を含む被処理物と多孔質アルカリ物質からなる脱塩
    素剤とを供給し、前記加熱手段により加熱して円筒体内
    の被処理物を乾燥するとともに被処理物から塩素系ガス
    を分解析出して脱塩素剤と接触反応させて無害な塩化物
    を生成するようにしたことを特徴とする塩素含有高分子
    樹脂の処理装置。
  18. 【請求項18】 加熱手段は、円筒体内に異なる温度域
    を形成するための分離した2つの加熱手段で形成し、該
    2つの加熱手段は、円筒体の外周の供給口側と排出口側
    に分割した2つの加熱ジャケットからなり、排出口側の
    加熱ジャケットから熱ガスを供給して円筒体内に無害な
    塩化物を生成する温度域を形成し、この加熱後の熱ガス
    を温度調整手段を介して供給口側の加熱ジャケットに導
    入して円筒体内に被処理物から水分を除去して乾燥させ
    る温度域を形成するようにしたことを特徴とする請求項
    17記載の塩素含有高分子樹脂の処理装置。
JP10252432A 1998-09-07 1998-09-07 塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置 Withdrawn JP2000079378A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10252432A JP2000079378A (ja) 1998-09-07 1998-09-07 塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10252432A JP2000079378A (ja) 1998-09-07 1998-09-07 塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000079378A true JP2000079378A (ja) 2000-03-21

Family

ID=17237297

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10252432A Withdrawn JP2000079378A (ja) 1998-09-07 1998-09-07 塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000079378A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002205049A (ja) 汚染された土壌類の浄化方法と浄化施設
JP2000079378A (ja) 塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置
JP2000063559A (ja) 塩素含有高分子樹脂の処理方法と処理装置
JP2000044299A (ja) セメントクリンカーの製造方法
JPH11263977A (ja) 被処理物の加熱処理装置
JP2000107532A (ja) 排ガス浄化方法
JP2000024614A (ja) 多孔質処理剤による有害成分含有物の処理方法
JP2000121022A (ja) ガス発電設備
JP2000024615A (ja) アルカリ物質による有害成分含有物の処理方法
JPH11263976A (ja) 被処理物の加熱処理装置
JP2000107552A (ja) 排ガス浄化方法
JP3785789B2 (ja) 有害成分含有物の処理方法と処理装置
JPH10235313A (ja) 処理物の固形化処理方法と固形化物
JP2000233171A (ja) 縦軸回転加熱処理炉を備えた被処理物の処理方法と処理装置
JP2002028609A (ja) 灰類のダイオキシン類処理方法と処理剤と処理施設
JP2000037675A (ja) 金属スクラップの処理方法
JP2000334417A (ja) 被処理物の減容化処理装置
JP3852204B2 (ja) 有害成分含有物の処理方法と処理装置
JP2000015055A (ja) 多孔質処理剤とその製造方法
JPH11278889A (ja) セメントクリンカーの製造方法
JPH11263978A (ja) 熱ガスによる加熱処理装置
JP2000044970A (ja) 処理物の固形化処理方法と固形化物
JPH11290819A (ja) バグフィルタ装置を備えた廃棄物等の処理施設
JPH11278887A (ja) セメントクリンカーの製造方法
JPH11294728A (ja) 排ガス燃焼装置を備えた廃棄物等の処理施設

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040823

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20060313