JP2000096439A - 合成系繊維材料の抜蝕剤および抜蝕加工方法 - Google Patents
合成系繊維材料の抜蝕剤および抜蝕加工方法Info
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Abstract
あるものを抜蝕剤として用いることなく、抜蝕された合
成系繊維材料を得ることができ、型際の極めてシャープ
な透かし模様あるいは起毛品においては型際の極めてシ
ャープな凹凸模様を有し、印捺糊中の染料の変色がな
く、鮮明な色相を有する柄を形成し、意匠性に優れた抜
蝕加工合成系繊維材料を極めて安全に製造することので
きる抜蝕剤および抜蝕方法を提供する。 【解決手段】 炭酸グアニジンを含有する合成系繊維材
料の抜蝕剤、炭酸グアニジンを含有する抜蝕剤を用いる
合成系繊維材料の抜蝕加工方法、および炭酸グアニジン
を含有する抜蝕剤を用いて抜蝕加工された合成系繊維材
料。
Description
抜蝕剤、抜蝕加工方法および抜蝕加工された合成系繊維
材料に関する。
ヨン、絹、アセテート等の異種繊維とを混紡、混繊、交
編織した複合繊維からなる布帛に抜蝕剤を用いて構成さ
れている繊維素材の1つを部分的に除去し、透かし模様
を形成させる加工はオパール加工として知られている
が、この加工では異種繊維間に同色の色彩が得られな
い、抜蝕剤により染料が変色する、印捺柄が抜蝕柄と一
致しない、コストが高い等の問題が挙げられている。
いては、変性ポリエステル繊維と未変性ポリエステル繊
維からなる布帛に、アミン、アルカリ金属水酸化物を抜
蝕剤として印捺付着させた後、熱処理して変性ポリエス
テルを脆化、抜蝕することにより透かし模様を形成させ
る方法も知られている。しかしながら、アミンを用いる
方法は熱処理の際に悪臭、発煙等が生じて環境上問題と
なっており、アルカリ金属水酸化物を用いる方法は本来
残すべき未変性ポリエステル繊維までも脆化してしまう
危険性があり、布帛の強度低下等が問題となっている。
さらに、印捺糊に染料を含有させ、印捺部のポリエステ
ル繊維を染色する際、従来のアミン、アルカリ金属水酸
化物等を抜蝕剤として用いた印捺糊に染料を含有させる
と、染料が変色し、満足すべき色相が得られないという
問題がある。
は、印捺する抜蝕色糊は危険なものが多く、特にアミン
やアルカリ金属水酸化物を抜蝕色糊に使用するにあたっ
ては作業の際に特段の注意を要する。
ルカリ金属水酸化物等の危険性のあるものを抜蝕剤とし
て用いることなく、抜蝕された合成系繊維材料を得るこ
とができ、型際の極めてシャープな透かし模様あるいは
起毛品においては型際の極めてシャープな凹凸模様を有
し、印捺糊中の染料の変色がなく、鮮明な色相を有する
柄を形成し、意匠性に優れた抜蝕加工合成系繊維材料を
極めて安全に製造することのできる抜蝕剤および抜蝕方
法を提供することを目的になされたものである。
解決するため鋭意検討を重ねた結果、抜蝕成分として炭
酸グアニジンを用いることにより、従来の問題点を一掃
できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成さ
せた。すなわち、本発明は、炭酸グアニジンを含有する
合成系繊維材料の抜蝕剤、炭酸グアニジンを含有する抜
蝕剤を用いる合成系繊維材料の抜蝕加工方法、および炭
酸グアニジンを含有する抜蝕剤を用いて抜蝕加工された
合成系繊維材料を提供する。
ンを抜蝕成分として含有するものであり、その形態とし
ては、例えば、炭酸グアニジンそのもの、炭酸グアニジ
ンの水溶液、糊ペーストに溶解したもの等が挙げられ、
この抜蝕剤を元糊に配合することによって印捺糊とする
ことができる。その配合量は、抜蝕の対象となる合成系
繊維材料の種類および目標とする抜蝕の程度によって適
宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、印
捺糊中に炭酸グアニジンが0.5〜50重量%、好まし
くは1〜40重量%配合されていればよく、かかる範囲
で十分な抜蝕効果が得られる。
印捺糊の形に調整して使用される。印捺糊を調整するた
めの元糊としては特に限定されず、通常の各種印捺糊に
用いられる元糊を適宜選択して用いることができる。例
えば、デンプン、アラビアゴム、クリスタルゴム、タマ
リンド、アルギン酸ソーダ等の天然糊料、カルボキシメ
チル繊維素ソーダ、プロピオキシセルロース、アルギン
酸エステル、グアガムエチレンオキサイド付加物、エチ
ルセルロース、メチルセルロース、ブリティッシュガム
等の加工糊料、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸誘導
体、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル−酢酸ビニル
共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラー
ル、ポリウレタン、ポリマレイン酸共重合体塩、非イオ
ン界面活性剤等の合成糊料や合成樹脂エマルジョン、珪
藻土、ケイ酸コロイド等の無機系糊料などの各種糊料
を、各々単独であるいは2種以上を混合して、糊料とし
て用い、これを水または有機溶剤に加えて溶液または分
散液としたもの、水と石油系溶剤との粘液エマルジョン
としたもの、前記2者の混合物など、従来から用いられ
ている形態で使用することができる。
も、必要に応じて吸着剤、抜染剤、界面活性剤、顔料、
染料、還元防止剤、金属イオン封鎖剤、増量剤、吸湿
剤、浸透剤、電解質、油脂、蛍光増白剤、防腐剤、紫外
線吸収剤、酸化防止剤等の通常の染色用薬剤を適宜配合
することができる。配合できる染料としては、任意の染
料を用いることができが、特に好ましくはアルカリに耐
え得る染料でキノン系、キノフタロン系の分散染料や反
応染料が用いられる。
ている任意の方法によって行うことができ、模様等の部
分印捺からほぼ全面の印捺まで任意に印捺することがで
きる。また、他の印捺部と一部を重ねて印捺してもよ
い。次に必要に応じて予備乾燥した後、乾熱または湿熱
処理を施す。これらの処理を行う方法は、特に限定され
ず、例えば、乾熱処理法としてはオーブンや乾燥機を用
いてベーキングを施す方法や熱プレス機を用いてベーキ
ングを施す方法等を採用することができ、湿熱処理法と
してはHTスチーマー等を用いてスチーミングを施す方
法などを採用できる。処理条件については、対象となる
合成系繊維材料の種類によっても異なり、一概には言え
ないが、いずれの方法においても90〜200℃程度の
温度で30秒〜30分程度の処理を行えば好ましい効果
を得ることができる。その後、必要に応じて、処理材料
に水洗、ソーピング等の後処理を施し、乾燥する。
料には、当然ながら、抜蝕加工後に通常の染色または捺
染加工を施すこともできる。抜蝕加工での柄、色相とさ
らなる染色または捺染加工での柄、色相との組み合わせ
によって多種多様の高度の意匠効果を付与することも可
能である。本発明に用いられる合成系繊維材料として
は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、およびこれら
の繊維と綿、レーヨン、絹、アセテート等との複合繊維
を素材とした、織物、編物、起毛布、不織布等が挙げら
れる。
るが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではな
い。実施例、比較例中の「部」は「重量部」を表す。 実施例1 ニッカガムAL(アルギン酸ソーダ、日華化学(株)
製)3部、水57部からなる元糊60部中に、水25部
に炭酸グアニジン15部を溶解したものを加えて印捺糊
を調製した。ポリエステル起毛布(白布)上にこの印捺
糊を柄状に印捺し、乾燥した。次いで、HTスチーマー
(HT−3−550型:辻井染機工業(株)製)を用い
て180℃で7分間のスチーミング処理を施し、その
後、水洗、ソーピングを経て乾燥した。印捺糊のポリエ
ステル起毛布に対する付着率は、平均120重量%であ
った。
印捺部が抜蝕されたことにより、立体柄を呈するもので
あった。 実施例2 ニッカガム3A(加工澱粉、日華化学(株)製)6部、
水54部からなる元糊60部中に、水25部に炭酸グア
ニジン15部を溶解したものを加えて印捺糊を調製し
た。ポリエステル起毛布(白布)上にこの印捺糊を柄状
に印捺し、乾燥した。次いで、HTスチーマー(HT−
3−550型:辻井染機工業(株)製)を用いて180
℃で7分間のスチーミング処理を施し、その後、水洗、
ソーピングを経て乾燥した。印捺糊のポリエステル起毛
布に対する付着率は、平均110重量%であった。
印捺部が抜蝕されたことにより、立体柄を呈するもので
あった。 比較例1 実施例2において、炭酸グアニジン15部に代えて48
%水酸化ナトリウム水溶液15部を用いた以外は、実施
例2と同様にして抜蝕加工した。
ル起毛布は得られたが、抜蝕部のエッジングが不十分で
あった。水酸化ナトリウムの添加量を増やすと、エッジ
ング効果は大きくなったものの、糊の粘度が保てなくな
った。 比較例2 実施例2において、炭酸グアニジン15部に代えてトリ
エタノールアミン15部を用いた以外は、実施例2と同
様にして抜蝕加工した。
ル起毛布は得られたが、抜蝕部でのエッジングが不十分
であった。また、熱処理の際に著しい悪臭、発煙等が発
生した。 実施例3 ニッカガムAL(アルギン酸ソーダ、日華化学(株)
製)3部、水57部からなる元糊60部中に、水23部
に炭酸グアニジン15部、分散染料(C.I.Disp
erse Red 92)2部を溶解したものを加えて
赤色の印捺糊を調製した。ポリエステル起毛布(白布)
上にこの印捺糊を柄状に印捺し、乾燥した。次いで、H
Tスチーマー(HT−3−550型:辻井染機工業
(株)製)を用いて180℃で7分間のスチーミング処
理を施し、その後、水洗、ソーピングを経て乾燥した。
印捺糊のポリエステル起毛布に対する付着率は、平均1
20重量%であった。
印捺部が抜蝕され、染色されたことにより、凹部が鮮明
な赤色に染色された立体柄を呈するものであった。 実施例4 ニッカガム3A(加工澱粉、日華化学(株)製)6部、
水54部からなる元糊60部中に、水25部に炭酸グア
ニジン15部、分散染料(C.I. Disperse
Red 92)2部を溶解したものを加えて赤色の印
捺糊を調製した。ポリエステル起毛布(白布)上にこの
印捺糊を柄状に印捺し、乾燥した。次いで、HTスチー
マー(HT−3−550型:辻井染機工業(株)製)を
用いて180℃で7分間のスチーミング処理を施し、そ
の後、水洗、ソーピングを経て乾燥した。印捺糊のポリ
エステル起毛布に対する付着率は、平均110重量%で
あった。
印捺部が抜蝕され、染色されたことにより、凹部が鮮明
な赤色に染色された立体柄を呈するものであった。 比較例3 実施例4において、炭酸グアニジン15部に代えて48
%水酸化ナトリウム水溶液15部を用いた以外は、実施
例4と同様にして抜蝕加工した。
ル起毛布は得られたが、抜蝕部のエッジングが不十分
で、赤色の変色も大きいものであった。水酸化ナトリウ
ムの添加量を増やすと、エッジング効果は大きくなった
ものの、糊の粘度が保てなくなった。 比較例4 実施例4において、炭酸グアニジン15部に代えてトリ
エタノールアミン15部を用いた以外は、実施例4と同
様にして抜蝕加工した。
ル起毛布は得られたが、抜蝕部でのエッジングが不十分
で、赤色の変色も大きいものであった。また、熱処理の
際に著しい悪臭、発煙等が発生した。 実施例5 ニッカガムAL(アルギン酸ソーダ、日華化学(株)
製)3部、水57部からなる元糊60部中に、水23部
に炭酸グアニジン15部、反応染料(C.I.Reac
tive Red 21)2部を溶解したものを加えて
赤色の印捺糊を調製した。綿/ポリエステル(65/3
5)の交織布上にこの印捺糊を柄状に印捺し、乾燥し
た。次いで、HTスチーマー(HT−3−550型:辻
井染機工業(株)製)を用いて110℃で20分間のス
チーミング処理を施し、その後、水洗、ソーピングを経
て乾燥した。印捺糊の織物に対する付着率は、平均13
0重量%であった。
交織布は、従来のアミンやアルカリ金属水酸化物を用い
た抜蝕加工においては一工程では得られなかった、印捺
部のポリエステル部位が抜蝕され、綿部位が赤色に染色
された透かし模様を呈するものであった。
し模様および凹凸模様を有し、また色糊中の染料変色が
なく、鮮明な色相を有する柄部が形成され、意匠性に優
れた抜蝕加工合成系繊維材料を簡易に、かつ、安全に提
供できる。
9)
工方法
抜蝕剤および抜蝕加工方法に関する。
解決するため鋭意検討を重ねた結果、抜蝕成分として炭
酸グアニジンを用いることにより、従来の問題点を一掃
できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成さ
せた。すなわち、本発明は、炭酸グアニジンを含有する
合成系繊維材料の抜蝕剤、および炭酸グアニジンを含有
する抜蝕剤を用いる合成系繊維材料の抜蝕加工方法を提
供する。
Claims (7)
- 【請求項1】 炭酸グアニジンを含有する合成系繊維材
料の抜蝕剤。 - 【請求項2】 炭酸グアニジンを含有する抜蝕剤を用い
る合成系繊維材料の抜蝕加工方法。 - 【請求項3】 炭酸グアニジンを含有する抜蝕剤を印捺
糊中に混合して用いる、請求項2記載の方法。 - 【請求項4】 炭酸グアニジンが印捺糊中に0.5〜5
0.0重量%の量で含まれる、請求項2または3記載の
方法。 - 【請求項5】 印捺糊を印捺し、次いで乾熱処理または
湿熱処理を施す、請求項2〜4のいずれかに記載の方
法。 - 【請求項6】 合成系繊維材料がポリエステル繊維、ポ
リアミド繊維またはこれらの繊維と他の繊維との複合繊
維からなる、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。 - 【請求項7】 炭酸グアニジンを含有する抜蝕剤を用い
て抜蝕加工された合成系繊維材料。
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- 1998-09-22 JP JP26811898A patent/JP2996654B1/ja not_active Expired - Lifetime
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