JP2000090430A - 磁気テープ - Google Patents

磁気テープ

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JP2000090430A
JP2000090430A JP10274308A JP27430898A JP2000090430A JP 2000090430 A JP2000090430 A JP 2000090430A JP 10274308 A JP10274308 A JP 10274308A JP 27430898 A JP27430898 A JP 27430898A JP 2000090430 A JP2000090430 A JP 2000090430A
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JP10274308A
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English (en)
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Kenichi Masuyama
健一 増山
Tatsuro Ishikawa
達郎 石川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い走行耐久性と保存安定性とが両立した特
にコンピュータデータ記録用として有利な磁気テープを
提供すること。 【解決手段】 支持体の一方の側に強磁性粉末及び分子
構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層を
有し、そして他方の側にバックコート層を有する磁気テ
ープであって、該バックコート層が、水溶性ナトリウム
成分を150ppmより多く含むことなく、かつ水溶性
カルシウム成分を50ppmより多く含むことのないp
H6以上の無機酸化物粒子と結合剤樹脂を含み、該無機
酸化物粒子の含有量がバックコート層の重量当たり30
〜60重量%の範囲にあることを特徴とする磁気テー
プ。支持体と磁性層との間に更に非磁性層が設けられた
磁気テープも開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にコンピュータ
データを記録するために外部記録媒体として有利に用い
られる磁気テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータデータを記録するた
めの磁気テープ(所謂、バックアップテープ)などの磁
気記録媒体用の磁気記録再生システムにおいて、より高
密度で記録できるように、記録波長を短波長化したり、
記録する際のトラック幅を狭くする傾向にあり、また大
量の情報をより速く処理できるように、記録再生などの
処理速度を高速化する傾向にある。一方、磁気テープ自
体は、より大きな記録容量を達成するために益々薄型化
する傾向にある。従って、このような薄型化された磁気
テープであっても従来に増して高い走行耐久性や良好な
電磁変換特性を示すことが求められる。特に、最近では
磁気テープは幅広い環境下(特に、変動の激しい温湿度
条件下)で使用される機会も増えており、このような環
境下においても安定してデータの記録及び再生ができる
ことが望まれている。
【0003】一般に磁気テープは、合成樹脂などの可撓
性の支持体上に磁性層が設けられた構成である。また、
より高い記録密度を達成させるために、支持体上に非磁
性層を設け、更にこの上に薄い磁性層を設けた構成の磁
気テープも提案されている。そして一般に良好な感度を
維持させるためには磁性層の表面は平滑であることが好
ましいが、この平滑化による巻き乱れの発生の防止、更
には磁気テープ自体の走行性の向上等の種々目的を達成
するために、支持体の磁性層が設けられた面とは反対側
の面にバックコート層が設けられている。磁気テープは
通常カセットなどに収容された状態(テープが巻かれた
状態)で使用、保存されているため、バックコート層の
表面の凹凸は磁性層側に移り易く、従ってバックコート
層も高い表面平滑性を有していることが望ましい。従
来、バックコート層として、高い表面平滑性を有し、ま
た走行耐久性も向上するなどの理由で、非磁性粉末(カ
ーボンブラック、無機粉末)を結合剤中に分散含有させ
てなるバックコート層が知られている(例えば、特開昭
64−14721号公報)。ここには、バックコート層
の結合剤としては、ポリカーボネートポリウレタン樹脂
を主成分にして、更にフェノキシ樹脂及びポリイソシア
ネートを使用したものが提案されている。
【0004】特開平1−267831号公報には、磁性
層表面上の付着物によるドロップアウトやヘッドの目詰
まりを防止し、高い走行耐久性や電磁変換特性を実現す
るために、塩化物系樹脂を含有する結合剤を含むバック
コート層中のナトリウム原子の含有量を100ppm以
下に抑えた磁気テープが提案されている。ナトリウム原
子の含有量が低減されたカーボンブラックを使用するこ
とにより、バックコート層中の塩化物系樹脂に含まれる
塩素原子との反応により生成するNaCl(付着物)の
発生を抑制できるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】大量の情報が記録可能
なコンピュータデータ記録用の磁気テープでは、特に高
い走行耐久性と共に、記録後の高い保存性が要求され
る。即ち、記録した情報が長期間にわたって安定して再
生できるように高い保存性を有していることが求められ
る。しかし、本発明者の検討では、記録後の保存性につ
いてはなお十分ではなく、更に改良の余地があることが
判明した。即ち、上記公報に記載の磁気テープを長期
間、特に、高温、高湿の条件下で長期間保存しておく
と、依然として磁性層の表面に析出物が現れたり、また
これによって磁性層の動摩擦係数が上昇し、走行耐久性
が低下したり、また出力低下が生じ易いことが判明し
た。
【0006】本発明の目的は、高い走行耐久性と保存安
定性とが両立した高品質な磁気テープを提供することで
ある。特に、本発明の目的は、長期間保存した場合でも
走行耐久性や電磁変換特性の低下がなく、記録した情報
の再生を安定して行なうことが可能な特にコンピュータ
データ記録用として有利な磁気テープを提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、記録後の磁
気テープを保存して置いた場合に磁性層表面上の析出物
の発生原因について検討を行った。その検討によると、
バックコート層に無機粉末として例えば、α−Fe2
3 などの無機酸化物粒子を使用した場合には走行性能が
十分に向上しないことが判明した。そして更に検討した
ところ、従来使用されているα−Fe23 などの無機
酸化物粒子には多量の水溶性ナトリウム成分やカルシウ
ム成分が含有されていることを見出した。そしてこれら
の成分が、バックコート層と磁性層とが接触状態、例え
ばリールに巻かれた状態におかれた保存中に、磁性層の
結合剤樹脂中の塩素原子と徐々に反応して析出物(Na
Cl、CaCl2 )が生成し、この析出物が主な原因で
テープの走行性能が低下したり、また出力低下が生じる
ことを見出した。
【0008】本発明者の研究により、バックコート層に
使用する無機粉末として、水溶性ナトリウム成分やカル
シウム成分の含有量が一定値以下に抑えられたpH6以
上の無機酸化物粒子、好ましい無機粉末として、具体的
にはAl化合物及び/又はSi化合物によって表面処理
し、水溶性ナトリウム成分やカルシウム成分の含有量が
低減されたα−Fe23 を使用することで、走行耐久
性と保存性の両方の性能を満足した磁気テープを製造で
きることが見出された。
【0009】本発明は、支持体の一方の側に強磁性粉末
及び分子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む
磁性層を有し、そして他方の側にバックコート層を有す
る磁気テープであって、該バックコート層が、水溶性ナ
トリウム成分を150ppmより多く含むことなく、か
つ水溶性カルシウム成分を50ppmより多く含むこと
のないpH6以上の無機酸化物粒子および結合剤樹脂を
含み、かつ該無機酸化物粒子の含有量がバックコート層
の重量当たり30〜60重量%の範囲にあることを特徴
とする磁気テープ(第一の態様)にある。
【0010】また本発明は、支持体の一方の側に非磁性
粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の非磁性層と強磁
性粉末及び分子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂
を含む磁性層とをこの順に有し、そして他方の側にバッ
クコート層を有する磁気テープであって、該バックコー
ト層が、水溶性ナトリウム成分を150ppmより多く
含むことなく、かつ水溶性カルシウム成分を50ppm
より多く含むことのないpH6以上の無機酸化物粒子お
よび結合剤樹脂を含み、かつ該無機酸化物粒子の含有量
がバックコート層の重量当たり30〜60重量%の範囲
にあることを特徴とする磁気テープ(第二の態様)にも
ある。本明細書において、無機酸化物粒子のpHは、後
述するJIS−K5101に規定された方法によって測
定した値を意味する。
【0011】本発明の磁気テープは以下の態様であるこ
とが好ましい。 (1)無機酸化物粒子が、水溶性ナトリウム成分を80
ppm(更好ましくは、70ppm)より多く含むこと
なく、かつ水溶性カルシウム成分を40ppm(更好ま
しくは、30ppm)より多く含むことがないものであ
る。 (2)無機酸化物粒子が、pH7以上(更に好ましく
は、pH8以上、特に好ましくは、pH9以上)のもの
である。 (3)無機酸化物粒子の含有量がバックコート層の重量
当たり35〜55重量%(35〜50重量%)の範囲に
ある。 (4)無機酸化物粒子が、Al化合物及び/又はSi化
合物によって表面処理されたα−Fe23 である。 (5)バックコート層が、更にカーボンブラックを含
み、無機酸化物粒子とカーボンブラックとの含有重量比
が、無機酸化物粒子:カーボンブラック=50:50〜
90:10(更に好ましくは、60:40〜80:2
0、特に好ましくは、65:35〜75:25)の範囲
にある。 (6)バックコート層中の水溶性ナトリウム成分の量
が、50ppm以下(更に好ましくは40ppm以下、
特に好ましくは、30ppm以下)で、水溶性カルシウ
ム成分の量が15ppm以下(更に好ましくは12pp
m以下、特に好ましくは、10ppm以下)である。
【0012】(7)バックコート層が更にカーボンブラ
ックを含み、該カーボンブラックが、10〜40mμ
(更に好ましくは、10〜30mμ、特に好ましくは、
10〜20mμ)の微粒子状カーボンブラックと50〜
500mμ(更に好ましくは、150〜300mμ、特
に好ましくは、230〜300mμ)の粗粒子状カーボ
ンブラックの異なる平均粒子サイズを持つ二種類のカー
ボンブラックを含む。 (8)上記(7)において、微粒子状カーボンブラック
と粗粒子状カーボンブラックとの含有重量比が微粒子状
カーボンブラック:粗粒子状カーボンブラック=90:
10〜50:50(更に好ましくは、80:20〜5
5:45、特に好ましくは、70:30〜60:40)
である。 (9)バックコート層の結合剤樹脂がフェノキシ樹脂及
び/又は極性基を有するポリウレタン樹脂である。 (10)バックコート層の厚みが0.1〜1.0μm
(更に好ましくは、0.2〜0.8μm、特に好ましく
は、0.2〜0.6μm)の範囲にある。 (11)磁気テープの全体の厚さが4.0〜12μm
(更に好ましくは、4.0〜9.5μm、特に好ましく
は、5.0〜9.0μm)の範囲にある磁気テープであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の磁気テープは、バックコ
ート層が、水溶性ナトリウム成分及び水溶性カルシウム
成分の含有量が一定値以下に調整されたpH6以上の無
機酸化物粒子および結合剤樹脂を含み、かつ該無機酸化
物粒子の含有量がバックコート層の重量当たり30〜6
0重量%の範囲にあることを特徴とする。そして本発明
の磁気テープには、このような特徴的な構成要件からな
るバックコート層を有する二つの態様の磁気テープが含
まれる。第一の態様の磁気テープは、支持体の一方の側
に強磁性粉末及び分子構造中に塩素原子を含有する結合
剤樹脂を含む磁性層を有するものであり、第二の態様の
磁気テープは、支持体の一方の側に非磁性粉末及び結合
剤を含む実質的に非磁性の非磁性層と強磁性粉末および
分子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性
層とをこの順に有するものである。
【0014】まず、第一の態様の磁気テープを説明す
る。以下に、支持体、磁性層、及び本発明の特徴的な構
成要件であるバックコート層を順に詳述する。支持体と
しては、従来から磁気テープの支持体材料として用いら
れているものを使用することができ、特に非磁性のもの
が好ましい。これらの例としては、ポリエステル類
(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタ
レートとポリエチレンナフタレートとの 混合物、エチ
レンテレフタレート成分とエチレンナフタレート成分を
含む重合物)、ポリオレフィン類(例、ポリプロピレ
ン)、セルロース誘導体類(例、セルロースジアセテー
ト、セルローストリアセテート)、ポリカーボネート、
ポリアミド(中でも芳香族ポリアミド、アラミド)、ポ
リイミド(中でも全芳香族ポリイミド)などの合成樹脂
フィルムを挙げることができる。これらの中では、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフ
タレート(PEN)、芳香族ポリアミド、及びアラミド
が好ましい。支持体の厚みは、特に制限はないが、2.
0〜8.0μm(更に好ましくは、3.0〜7.0μ
m、特に好ましくは、3.4〜6.5μm)の範囲にあ
ることが好ましい。
【0015】磁性層は強磁性粉末及び分子構造中に塩素
原子を含有する結合剤樹脂から形成されている。また、
磁性層には、通常、潤滑剤、導電性粉末(例、カーボン
ブラック)、及び研磨剤が含まれている。強磁性粉末と
しては、例えば、γ−Fe23 、Fe34 、FeOx
(x=1.33〜1.5)、CrO2 、Co含有γ−
Fe23 、Co含有FeOx (x=1.33〜1.
5)、強磁性金属粉末(強磁性合金粉末)、及び板状六
方晶フェライト粉末を挙げることができる。本発明にお
いては、強磁性粉末として、強磁性金属粉末、あるいは
板状六方晶フェライト粉末の使用が好ましい。特に好ま
しいものは、強磁性金属粉末である。
【0016】上記強磁性金属粉末は、その粒子の比表面
積が好ましくは30〜70m2 /gであって、X線回折
法から求められる結晶子サイズは、50〜300Åであ
る。比表面積が余り小さいと高密度記録に充分に対応で
きなくなり、又余り大き過ぎても分散が充分に行えず、
従って平滑な面の磁性層が形成できなくなるため同様に
高密度記録に対応できなくなる。
【0017】強磁性金属粉末は、少なくともFeを含む
ことが必要であり、具体的には、Fe、Fe−Co、F
e−Ni、Fe−Zn−Ni又はFe−Ni−Coを主
体とした金属単体あるいは合金である。なお、Fe単独
でも良い。またこれらの強磁性金属粉末の磁気特性につ
いては、高い記録密度を達成するために、その飽和磁化
量(飽和磁束密度)(σs )は110emu/g以上、
好ましくは120emu/g以上、170emu/g以
下である。又保磁力(Hc)は、1400〜2500エ
ルステッド(Oe)(好ましくは、1500〜2400
Oe)の範囲である。また透過型電子顕微鏡により求め
られる粉末の長軸長(すなわち、平均粒子径)は、0.
5μm以下、好ましくは、0.01〜0.3μmで軸比
(長軸長/短軸長、針状比)は、5〜20、好ましく
は、5〜15である。更に特性を改良するために、組成
中にB、C、Al、Si、P等の非金属、もしくはその
塩、酸化物が添加されることもある。通常、前記金属粉
末の粒子表面は、化学的に安定させるために酸化物の層
が形成されている。この場合、気相中で徐々に酸化した
ものが、特に保存安定性、分散性の点から好ましい。
【0018】上記板状六方晶フェライト粉末は、その比
表面積が25〜65m2 /g、板状比(板径/板厚)が
2〜15、そして粒子サイズ(板径)が0.02〜1.
0μmである。板状六方晶フェライト粉末は、強磁性金
属粉末と同じ理由からその粒子サイズが大きすぎても小
さすぎても高密度記録が難しくなる。板状六方晶フェラ
イトとしては、平板状でその平板面に垂直な方向に磁化
容易軸がある強磁性体であって、具体的には、バリウム
フェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライ
ト、カルシウムフェライト、及びそれらのコバルト置換
体等を挙げることができる。これらの中では、特にバリ
ウムフェライトのコバルト置換体、ストロンチウムフェ
ライトのコバルト置換体が好ましい。板状六方晶フェラ
イトには、更に必要に応じてその特性を改良するために
In、Zn、Ge、Nb、V等の元素を添加してもよ
い。またこれらの板状六方晶フェライト粉末の磁気特性
については、高い記録密度を達成するために、前記のよ
うな粒子サイズが必要であると同時に飽和磁化(σs )
は少なくとも50emu/g以上、好ましくは53em
u/g以上である。又保磁力(Hc)は、700〜20
00エルステッド(Oe)の範囲であり、900〜16
00Oeの範囲であることが好ましい。
【0019】強磁性粉末の含水率を0.01〜2重量%
とすることが好ましい。また結合剤の種類によって含水
率を最適化することが好ましい。強磁性粉末のpHは用
いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ま
しく、そのpHは通常4〜12の範囲であり、好ましく
は5〜10の範囲である。強磁性粉末は、必要に応じ
て、Al、Si、P又はこれらの酸化物などでその表面
の一部が被覆されているものが好ましい。表面処理を施
す場合のその使用量は、通常強磁性粉末に対して、0.
1〜10重量%である。このように被覆された強磁性粉
末は、脂肪酸などの潤滑剤の吸着を100mg/m2
下に抑えらえるので、潤滑剤の磁性層への添加量を少な
くしても所望の効果が達成できる。強磁性粉末には可溶
性のNa、Ca、Fe、Ni、及びSrなどが無機イオ
ンとして含まれる場合があるが、その含有量はできるだ
け少ないことが好ましい。通常は5000ppm以下で
あれば特性に影響を与えることはない。
【0020】潤滑剤は、磁性層表面ににじみ出ることに
よって、磁性層表面と磁気ヘッドとの摩擦を緩和し、摺
接状態を円滑に維持させるために添加される。潤滑剤と
しては、例えば、脂肪酸及び脂肪酸エステルを挙げるこ
とができる。脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオ
ン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、及びパルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸又はこ
れらの混合物を挙げることができる。
【0021】また脂肪酸エステルとしては、例えば、ブ
チルステアレート、sec-ブチルステアレート、イソプロ
ピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレ
ート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキ
シルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、
ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステー
ト、ブチルステアレートとブチルパルミテートとの混合
物、オレイルオレエート、ブトキシエチルステアレー
ト、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロ
ピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸で
アシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテー
ト、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化
してジオールとしたもの、そしてグリセリンのオレエー
ト等の種々のエステル化合物を挙げることができる。上
記のような脂肪酸及び脂肪酸エステルは、単独であるい
は二以上の化合物を組み合わせて使用することができ
る。特に、少なくとも1種の脂肪酸と少なくとも1種の
脂肪酸エステルとを組み合わせることが好ましい。潤滑
剤の通常の含有量は、強磁性粉末100重量部に対し
て、0.2〜20重量部(好ましくは、0.5〜10重
量部)の範囲にある。
【0022】カーボンブラックは磁性層の表面電気抵抗
(RS )の低減、動摩擦係数(μK値)の低減、走行耐
久性の向上、及び磁性層の平滑な表面性を確保する等の
種々の目的で添加される。カーボンブラックは、その平
均粒子径が5〜350mμ(更に好ましくは、10〜3
00mμ)の範囲にあることが好ましい。またその比表
面積は、5〜500m2 /g(更に好ましくは、50〜
300m2 /g)であることが好ましい。カーボンブラ
ックは平均粒子径の異なるものを二種以上使用すること
ができる。DBP吸油量は、10〜1000ml/10
0g(更に好ましくは、50〜300ml/100g)
の範囲にあることが好ましい。またpHは、2〜10、
含水率は、0.1〜10%、そしてタップ密度は、0.
1〜1g/ccであることが好ましい。
【0023】カーボンブラックは様々な製法で得たもの
が使用できる。使用できるカーボンブラックの例として
は、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレ
ンブラック、チャンネルブラックおよびランプブラック
を挙げることができる。カーボンブラックの具体的な商
品例としては、BLACK PEARLS 2000、
1300、1000、900、800、700、VUL
CAN XC−72(以上、キャボット社製)、#3
5、#50、#55、#60及び#80(以上、旭カ−
ボン(株)製)、#3950B、#3750B、#32
50B、#2400B、#2300B、#1000、#
900、#40、#30、及び#10B(以上、三菱化
学(株)製)、CONDUCTEX SC、RAVEN
150、50、40、15(以上、コロンビアカーボ
ン社製)、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラッ
クECDJ−500およびケッチェンブラックECDJ
−600(以上、ライオンアグゾ(株)製)を挙げるこ
とができる。
【0024】カーボンブラックの通常の添加量は強磁性
粉末100重量部に対して、0.1〜30重量部(好ま
しくは、0.2〜15重量部)の範囲にある。
【0025】上記研磨剤としては、例えば、溶融アルミ
ナ、炭化珪素、酸化クロム(Cr23 )、コランダ
ム、人造コランダム、ダイアモンド、人造ダイアモン
ド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄
鉱)を挙げることができる。これらの研磨剤は、モース
硬度5以上(好ましくは、6以上)であり、平均粒子径
が、0.05〜1μmの大きさのもの(更に好ましく
は、0.2〜0.8μm、特に0.2〜0.5μm)が
好ましい。研磨剤の添加量は、通常強磁性粉末100重
量部に対して、3〜25重量部(好ましくは、3〜20
重量部)の範囲である。
【0026】磁性層の結合剤樹脂には分子構造中に塩素
原子を含有する樹脂が用いられる。分子構造中に塩素原
子を含有する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩化
ビニリデンのような塩素原子を含むモノマーを構成単位
として含む重合体、あるいは共重合体を挙げることがで
きる。共重合体としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−
酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エス
テル−塩化ビニリデン共重合体、メタアクリル酸エステ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩ビニリデン−アクリロ
ニトリル共重合体、クロロビニルエーテル−アクリル酸
エステル共重合体を挙げることができる。特に好ましい
ものは、米国特許第4707411号明細書に記載のエ
ポキシ基、スルホン酸カリウム基、及び水酸基を有する
塩化ビニル共重合体である。
【0027】磁性層の結合剤樹脂には、上記分子構造中
に塩素原子を含有する樹脂以外の樹脂を使用することが
できる。これらの樹脂としては、例えば、分子構造中に
塩素原子を持たない、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反
応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。熱可
塑性樹脂の例としては、酢酸ビニル、ビニルアルコー
ル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、ア
クリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステ
ル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラー
ル、ビニルアセタール、及びビニルエーテルを構成単位
として含む重合体、あるいは共重合体を挙げることがで
きる。共重合体としては、例えば、アクリル酸エステル
−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−ス
チレン共重合体、メタアクリル酸エステル−アクリロニ
トリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロビニルエー
テル−アクリル酸エステル共重合体を挙げることができ
る。
【0028】上記の他に、フェノキシ樹脂、ポリアミド
樹脂、繊維素系樹脂(セルロースアセテートブチレー
ト、セルロースダイアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロースなど)、ポリ弗化ビニル、ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂など
も利用することができる。
【0029】また熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリ
コーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリ
エステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポ
リウレタンとポリイソシアネートの混合物を挙げること
ができる。
【0030】上記ポリイソシアネートとしては、例え
ば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネートなどのイソシアネート類、これらの
イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、及びイ
ソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ
ートを挙げることができる。
【0031】上記ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、及
びポリカプロラクトンポリウレタンなどの構造を有する
公知のものが使用できる。
【0032】本発明において、磁性層の結合剤樹脂は、
塩素ビニル系樹脂(例、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール共重合体、及び塩化ビニル−酢酸ビニル−無
水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹
脂)と、ポリウレタン樹脂との組合せ、あるいはこれら
に更に硬化剤としてのポリイソシアネートを加えた組み
合わせで構成されていることが好ましい。
【0033】結合剤としては、より優れた分散性と得ら
れる層の耐久性を得るために必要に応じて、−COO
M、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2 (Mは水素原子、またはアルカ
リ金属を表わす。)、−OH、−NR2 、−N+3
(Rは炭化水素基を表わす。)、エポキシ基、−SH、
−CNなどから選ばれる少なくともひとつの極性基を共
重合または付加反応で導入して用いることが好ましい。
このような極性基は、結合剤に10-1〜10-8モル/g
(更に好ましくは、10-2〜10-6モル/g)の量で導
入されていることが好ましい。
【0034】磁性層中の結合剤樹脂は、強磁性粉末10
0重量部に対して、通常5〜50重量部(好ましくは1
0〜30重量部)の範囲で用いられる。なお、磁性層に
結合剤として塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、及
びポリイソシアネートを組み合わせて用いる場合は、全
結合剤中に、塩化ビニル系樹脂が40〜70重量%、ポ
リウレタン樹脂が2〜50重量%、そしてポリイソシア
ネートが2〜50重量%の範囲の量で含まれるように用
いることが好ましい。
【0035】磁性層を形成するための塗布液には、磁性
粉末を結合剤中に良好に分散させるために分散剤を添加
することができる。また必要に応じて、可塑剤、カーボ
ンブラック以外の導電性粒子(帯電防止剤)、防黴剤な
どを添加することができる。分散剤としては、例えば、
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、
エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール
酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸(RCOOH、Rは
炭素数11〜17個のアルキル基、又はアルケニル
基)、前記脂肪酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属
からなる金属石けん、前記の脂肪酸エステルのフッ素を
含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、ポリアルキレン
オキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリア
ルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(ア
ルキルは炭素数1〜5個、オレフィンは、エチレン、プ
ロピレンなど)、硫酸塩、及び銅フタロシアニン等を使
用することができる。これらは、単独でも組み合わせて
使用しても良い。分散剤は、磁性層の結合剤100重量
部に対して0.5〜20重量部の範囲で添加される。
【0036】バックコート層は、本発明の特徴とする無
機酸化物粒子と結合剤樹脂を含有する。該無機酸化物粒
子は、水溶性ナトリウム成分や水溶性カルシウム成分の
含有量ができるだけ少ないものであることが好ましい。
具体的には、無機酸化物粒子は、水溶性ナトリウム成分
を150ppm(好ましくは、80ppm、更好ましく
は、70ppm)より多く含むことなく、かつ水溶性カ
ルシウム成分を50ppm(好ましくは、40ppm、
更好ましくは、30ppm)より多く含むことがないも
のである。また無機酸化物粒子のpHは、6以上(好ま
しくは、7以上、更に好ましくは、8以上、特に好まし
くは、9以上)である。アルカリ側にすることでより保
存効果が向上する。上記のような性状を持つ無機酸化物
粒子としては、α−Fe23 、α−Al23 を挙げ
ることができる。本発明では、α−Fe23 であるこ
とが特に好ましい。本発明で用いる無機酸化物粒子は、
そのモース硬度が5〜9の範囲にあることが好ましく、
またその平均粒子サイズ()は、80〜250mμ(更
に好ましくは、100〜210mμ)の範囲にあること
が好ましい。このような無機酸化物粒子の添加により、
バックコート層の強度が強化され、走行耐久性が向上す
る。これらの無機粉末を後述するカーボンブラックと共
に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化が少なく、
強いバックコート層となる。またこの無機粉末の添加に
より、適度の研磨力が付与され、テープガイドポール等
への削り屑の付着が低減する。
【0037】一般に、従来からバックコート層の無機粉
末として用いられていた上記のような材料は、例えば、
α−Fe23 の場合、原料の鉄塩溶液にアルカリ(水
酸化ナトリウム)を加えて水酸化物とした後、酸化させ
てゲータイトを生成し、該生成物を水洗し、ろ過し、更
に得られたケーキを高温の焼成炉で加熱処理して脱水し
た後、更に高温で加熱処理する方法で製造される。従っ
て、水溶性ナトリウム成分が製造過程で含まれてくる。
また一般に上記水洗は工業用水が用いられている。工業
用水には無機塩(主にCa、Naなど)が含有されてい
るため、これらの無機塩がゲータイトに吸着するため、
水溶性カルシウム成分も含まれてくる。通常、従来のα
−Fe23 の場合、水溶性ナトリウム成分は、180
〜300ppmの量が含まれてくる。また水溶性のカル
シウム成分は、55〜150ppmの量が含まれてく
る。
【0038】本発明において、水溶性ナトリウム成分や
水溶性カルシウム成分の含有量が低減した無機酸化物粒
子は、例えば、従来の方法で得た無機酸化物粒子をアル
カリ性の懸濁液とした後、温度約60〜200℃で加熱
する方法や、無機化合物で粒子表面を処理する方法、あ
るいは、これらの方法を組み合わせた方法を利用するこ
とによって製造することができる。本発明では、特に、
無機化合物で粒子表面を処理する方法を利用して製造し
た無機酸化物粒子を好ましく利用することができる。具
体的には、Al化合物(硫酸アルミニウム)及び/又は
Si化合物(硅酸ナトリウム)によって表面処理された
α−Fe23 であることが好ましい。そして、この表
面処理されたα−Fe23 は、そのpHがアルカリ側
(好ましくは、7.0以上、更に好ましくは、8以上、
特に好ましくは9以上)にあることが好ましい。本発明
の無機酸化物粒子は、バックコート層に該層の重量当た
り30〜60重量%含まれている。好ましくは、35〜
55重量%、更に好ましくは35〜50重量%の範囲で
ある。
【0039】バックコート層にはカーボンブラックが含
まれていることが好ましい。カーボンブラックは、平均
粒子サイズの異なる二種類のものを組み合わせて使用す
ることが好ましい。この場合、平均粒子サイズが好まし
くは10〜40mμ(更に好ましくは、10〜30m
μ、特に好ましくは、10〜20mμ)の微粒子状カー
ボンブラックと平均粒子サイズが好ましくは50〜50
0mμ(更に好ましくは、150〜300mμ、特に好
ましくは、230〜300mμ)の粗粒子状カーボンブ
ラックを組み合わせて使用することが好ましい。一般
に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加に
より、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、
また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置によって
は、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用して
いるものが多くあるため、このような場合には特に微粒
子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒
子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優
れ、潤滑剤併用時、動摩擦係数の低減化に寄与する。一
方、上記粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤とし
ての機能を有しており、またバック層の表面に微小突起
を形成し、接触面積を低減化して、動摩擦係数の低減化
に寄与する。
【0040】微粒子状カーボンブラックの具体的な商品
としては、以下のものを挙げることができる。RAVE
N2000B(18mμ)、RAVEN1500B(1
7mμ)(以上、コロンビアカーボン社製)、BLAC
K PEARLS 800(17mμ)(キャボット社
製)、PRINTEX90(14mμ)、PRINTE
X95(15mμ)、PRINTEX85(16m
μ)、PRINTEX75(17mμ)(以上、デグサ
社製)、#3950(16mμ)(三菱化学(株)
製)。また粗粒子カーボンブラックの具体的な商品の例
としては、サーマルブラック(270mμ)(キャンカ
ルブ社製)、RAVEN MTP(275mμ)(コロ
ンビアカーボン社製)を挙げることができる。
【0041】バックコート層において、平均粒子サイズ
の異なる二種類のカーボンブラックを使用する場合、1
0〜40mμの微粒子状カーボンブラックと50〜50
0mμの粗粒子状カーボンブラックの含有比率(重量
比)は、前者:後者=98:2〜75:25の範囲にあ
ることが好ましく、更に好ましくは、95:5〜85:
15の範囲である。バックコート層中のカーボンブラッ
ク(その全量)の含有量は結合剤100重量部に対し
て、20〜80重量部の範囲にあることが好ましく、更
に好ましくは、30〜70重量部、特に好ましくは、3
5〜60重量部の範囲である。また、無機酸化物粒子と
カーボンブラックとの含有重量比は、無機酸化物粒子:
カーボンブラック=50:50〜90:10(更に好ま
しくは、60:40〜80:20、特に好ましくは、6
5:35〜75:25)の範囲にあることが好ましい。
なお、本発明において、カーボンブラックとしては、水
溶性のナトリウム成分や水溶性のカルシウム成分ができ
る限り含有されていないものを使用することが好まし
い。カーボンブラック中の水溶性のナトリウム成分の量
は、100ppm以下(更に好ましくは、80ppm以
下であることが好ましい。また水溶性のカルシウム成分
の量は、50ppm以下(更に好ましくは、40ppm
以下)であることが好ましい。なお、バックコート層に
は、従来から用いられている非磁性の無機粉末を含有さ
せてもよい。但し、炭酸カルシウムなどの水溶性カルシ
ウム成分を溶出させる無機粉末は含まれていないことが
好ましい。
【0042】バックコート層には、潤滑剤を含有させる
ことができる。潤滑剤は、磁性層に記載した潤滑剤の中
から適宜選択して使用できる。バックコート層におい
て、潤滑剤を添加する場合、その添加量は、結合剤10
0重量部に対して通常1〜5重量部の範囲である。また
バックコート層に、磁性層に記載した分散剤を添加する
こともできる。分散剤の添加量は、磁性層に添加する量
と同様な量とすることができる。
【0043】バックコート層の結合剤樹脂は、従来より
バックコート層に使用されているものを使用することが
できる。このような樹脂の好ましいものとしては、分子
構造中に塩素原子を持たない樹脂、例えば、ニトロセル
ロース樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
エステル樹脂、及び硬化剤としてのポリイソシアネート
を挙げることができる。本発明では、特に、バックコー
ト層の結合剤として、フェノキシ樹脂及び/又は極性基
を有するポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。
そしてこれらの樹脂と硬化剤としてのポリイソシアネー
トを組み合わせて使用することが好ましい。フェノキシ
樹脂は、全結合剤中に、40〜70重量%含有されてい
ることが好ましく、更に好ましくは、45〜65重量%
である。バックコート層の結合剤はカーボンブラック1
00重量部に対して、通常100〜500重量部(好ま
しくは、150〜400重量部、更に好ましくは200
〜300重量部)である。
【0044】バックコート層中の水溶性ナトリウム成分
の量は、50ppm以下(更に好ましくは40ppm以
下、特に好ましくは、30ppm以下)で、水溶性カル
シウム成分の量は15ppm以下(更に好ましくは12
ppm以下、特に好ましくは、10ppm以下)である
ことが好ましい。
【0045】次に、本発明の第二の態様である、支持体
の一方の側に非磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁
性である非磁性層、及び強磁性粉末及び分子構造中に塩
素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層をこの順に有
し、そして他方の側に本発明の特徴的な構成要件である
バックコート層を有する構成の磁気テープについて説明
する。第二の態様の磁気テープは、基本的に、前述した
第一の態様の磁気テープにおいて、その支持体と磁性層
との間に、更に非磁性層が設けられた構成を有する。従
って、非磁性層以外は、第一の態様の磁気テープと同様
に構成することができるため、非磁性層を以下に詳述す
る。
【0046】非磁性層は、非磁性粉末及び結合剤を含む
実質的に非磁性の層である。この非磁性層は、その上の
磁性層の電磁変換特性に影響を与えないように実質的に
非磁性であることが必要であるが、磁性層の電磁変換特
性に悪影響を与えなければ磁性粉末が含まれていても特
に問題とはならない。また非磁性層には通常、これらの
成分以外に潤滑剤が含まれている。
【0047】非磁性層で用いられる非磁性粉末として
は、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げ
ることができる。非磁性無機粉末は、比較的硬いものが
好ましく、モース硬度が5以上(更に好ましくは、6以
上)のものが好ましい。これらの非磁性無機粉末の例と
しては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、
炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、
コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタ
ン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、及び硫酸バリウムを挙げることが
できる。これらは単独でまたは組合せて使用することが
できる。これらのうちでは、二酸化チタン、α−アルミ
ナ、α−酸化鉄又は酸化クロムが好ましく、特に球状の
二酸化チタン又は紡錘形状のα−酸化鉄が更に好まし
い。非磁性無機粉末の平均粒子径は、0.01〜1.0
μm(好ましくは、0.01〜0.5μm、特に、0.
02〜0.1μm)の範囲にあることが好ましい。
【0048】カーボンブラックは、磁性層に導電性を付
与して帯電を防止すると共に、非磁性層上に形成される
磁性層の平滑な表面性を確保する目的で添加される。非
磁性層で用いるカーボンブラックとしては前述の磁性層
に記載したカーボンブラックを使用することができる。
但し、非磁性層で使用するカーボンブラックは、その平
均粒子径が35mμ以下(更に好ましくは、10〜35
mμ)であることが好ましい。カーボンブラックの通常
の添加量は、全非磁性無機粉末100重量部に対して、
3〜20重量部であり、好ましくは、4〜18重量部、
更に好ましくは、5〜15重量部である。
【0049】潤滑剤としては、前述した第一の態様の磁
気テープの磁性層にて記載した脂肪酸、あるいは脂肪酸
エステルを使用することができる。潤滑剤の通常の添加
量は、非磁性層の全非磁性粉末100重量部に対して、
0.2〜20重量部の範囲である。
【0050】非磁性層の結合剤としては、前述した磁性
層にて記載した結合剤を用いることができる。結合剤
は、非磁性層の非磁性粉末100重量部に対して、通常
5〜50重量部(好ましくは、10〜30重量部)の範
囲である。なお、非磁性層に結合剤として塩化ビニル系
樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソシネートを組み
合わせて用いる場合は、全結合剤中に、塩化ビニル系樹
脂が5〜70重量%、ポリウレタン樹脂が2〜50重量
%、そしてポリイソシアネートが2〜50重量%の範囲
の量で含まれるように用いることが好ましい。なお、非
磁性層においても前述した磁性層に添加することができ
る任意成分を添加することができる。
【0051】次に、本発明の磁気テープの製造方法を説
明する。本発明の磁気テープは、通常の方法に従って支
持体の一方の面に磁性層(非磁性層を有する第二の態様
においては、非磁性層及び磁性層)を、そして他方の面
にバックコート層を順にそれぞれ形成することにより、
製造することができる。
【0052】第二の態様の磁気テープを製造する際に
は、その磁性層は、非磁性層が湿潤状態にあるうちにこ
の上に設けられたものであることが好ましい。すなわ
ち、磁性層は、非磁性層用塗布液を塗布後、形成された
塗布層(非磁性層)が湿潤状態にあるうちにこの上に磁
性層用塗布液を塗布する、所謂ウエット・オン・ウエッ
ト方式による塗布方法を利用して形成されたものである
ことが好ましい。
【0053】上記ウエット・オン・ウエット方式による
塗布方法としては、例えば以下の方法を挙げることがで
きる。 (1)グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ある
いはエクストルージョン塗布装置などを用いて、支持体
上にまず非磁性層を形成し、該非磁性層が湿潤状態にあ
るうちに、支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より、磁性層を形成する方法(特開昭60−23817
9号、特公平1−46186号、特開平2−26567
2号公報参照)。 (2)塗布液用スリットを二つ備えた単一の塗布ヘッド
からなる塗布装置を用いて支持体上に磁性層及び非磁性
層をほぼ同時に形成する方法(特開昭63−88080
号、特開平2−17921号、特開平2−265672
号各公報参照)。 (3)バックアップローラ付きエクストルージョン塗布
装置を用いて、支持体上に磁性層及び非磁性層をほぼ同
時に形成する方法(特開平2−174965号公報参
照)。本発明において、非磁性層及び磁性層は、同時重
層塗布法を利用して形成することが好ましい。
【0054】上記の方法を利用して形成した磁性層を、
磁性層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理した後に
乾燥する。磁場配向処理は、当業者に周知の方法によっ
て適宜行うことができる。次いで、乾燥後の磁性層は、
スーパーカレンダーロールなどを用いて表面平滑化処理
する。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤
の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉
末の充填率が向上するため、電磁変換特性の高い磁気記
録テープを得ることができる。カレンダー処理ロールと
してはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミド
イミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することが
好ましい。また金属ロールで処理することもできる。
【0055】本発明の磁気記録媒体の磁性層の表面は、
良好な平滑性を有していることが好ましい。平滑性の向
上には、例えば上述したように特定のバインダーを選ん
で形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効
である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を
60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好ま
しくは80〜100℃にし、圧力を100〜500kg
/cm、好ましくは200〜450kg/cm、特に好
ましくは300〜400kg/cmにして行う。得られ
た磁気記録テープは、スリッターなどを使用して所望の
幅のテープに裁断して使用することができる。カレンダ
ー処理を経た磁気記録テープは、熱処理するのが一般的
である。また、スリッターにより所望の幅のテープに裁
断されたテープは、更に磁性層表面を研磨することが好
ましい。この研磨は、磁気テープに適当なテンション
(通常5g〜500g/テープ幅)をかけた状態でカミ
ソリの刃、サファイヤー製の刃などの固定ブレード、研
磨テープ、ダイヤモンドホイールなどで磁性層の表面を
擦ることにより行われる。
【0056】第一の態様の磁気テープの磁性層の厚み
は、1.0〜3.0μm(更に好ましくは、1.2〜
2.5μm、特に好ましくは、1.5〜2.5μm)の
範囲にあることが好ましい。バックコート層の厚みは、
0.1〜1.0μm(更に好ましくは、0.2〜0.8
μm、特に好ましくは、0.2〜0.6μm)の範囲に
あることが好ましい。また磁気テープの全体の厚みは、
4.0〜12μm(更に好ましくは、4.0〜9.5μ
m、特に好ましくは、5.0〜9.0μm)の範囲にあ
ることが好ましい。
【0057】第二の態様の磁気テープの磁性層の厚み
は、0.05〜1.5μm(さらに好ましくは、0.0
5〜1.0μm、特に好ましくは、0.1〜0.5μ
m、最も好ましくは、0.1〜0.4μm)の範囲にあ
ることが好ましい。また非磁性層の厚みは、1.0〜
3.0μm(更に好ましくは、1.2〜2.5μm、特
に好ましくは、1.5〜2.0μm、最も好ましくは
1.5〜1.8μm)の範囲にあることが好ましい。磁
性層の厚みと非磁性層の厚みとの比は、1:2〜1:1
5(更に好ましくは、1:3〜1:10)の範囲にある
ことが好ましい。第二の態様の磁気テープのバックコー
ト層の厚み及び磁気テープの全体の厚みは、前記第一の
態様の磁気テープと同じであることが好ましい。
【0058】本発明の磁気テープは、そのいずれの態様
においてもバックコート層は、その表面粗さRa(3D
−MIRAU法に従う中心線平均粗さ)が、0.003
0〜0.060μmの範囲にあることが好ましい。この
範囲以外では、バックコート層の表面状態が、磁気テー
プが巻かれた状態で磁性層の表面に転写され、再生出力
に影響を与えたり、ガイドポールに対する摩擦係数に影
響を与え易くなる。なお、この表面粗さRaの調整は、
通常バックコート層を塗布形成後、カレンダーロールに
よる表面処理工程において、用いるカレンダーロールの
材質、その表面性、圧力等の調整により行われる。
【0059】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。尚、下記の「部」は、「重量
部」を表わす。
【0060】針状ヘマタイト(α−Fe23 )粉末の
製造 窒素を吹き込み酸化防止している20℃の硫酸第一鉄水
溶液にリン酸二水素ナトリウム(P/Feの原子比で1
%)を添加し、更に水酸化ナトリウム溶液を中和当量の
80%を添加し、水酸化第一鉄を形成した。20℃に保
持して空気酸化してゲータイト核晶を形成した。このス
ラリーに窒素を吹き込み酸化防止し、スラリー中に残存
している第一鉄の量の4倍量の第一鉄溶液を添加し、4
0℃に保持し、更に水酸化ナトリウム溶液を添加しつつ
空気酸化し、ゲータイトを作成した。ゲータイトを水洗
濾過し、ケーキを成形機に通した後、乾燥した。得られ
たゲータイトの比表面積は82m2 /gであった。焼成
炉中で300℃で一時間保持し、脱水し、α−Fe2
3 とした後、更に600℃で2時間熱処理し、α−Fe
23 (D)を製造した(Dの平均粒子サイズ(平均長
軸長):0.10μm)。
【0061】上記で得られたα−Fe23 (D)を
0.001Nの水酸化ナトリウム水溶液と混合し、更に
サンドグラインダー処理し、水を加えてスラリー濃度2
%の懸濁液を作成した。攪拌しつつ、懸濁液中のFeに
対して所定量のAl(%)を硫酸アルミニウム溶液で添
加し、更に水酸化ナトリウム溶液を添加して懸濁液のp
Hを8.0とした後、80℃で1時間保持した後、ろ
過、水洗、乾燥して圧密処理を行ない、Al化合物で表
面処理されたα−Fe23 (A及びB)を製造した
(Aの平均粒子サイズ(平均長軸長):0.09μm、
Bの平均粒子サイズ(平均長軸長):0.10μm)。
【0062】別に、上記で得られたα−Fe23
(D)を0.001Nの水酸化ナトリウム水溶液と混合
し、更にサンドグラインダー処理し、水を加えてスラリ
ー濃度2%の懸濁液を作成した。攪拌しつつ、懸濁液中
のFeに対して所定量のA(%)を硫酸アルミニウム溶
液で添加し、更に水酸化ナトリウム溶液を添加して懸濁
液のpHを8.0とした後、Feに対して所定量のSi
量(%)を硅酸ナトリウム溶液で添加し、炭酸ガスを通
じて懸濁液のpHを7.5とした。80℃で1時間保持
した後、ろ過、水洗、乾燥して圧密処理を行ない、Al
化合物及びSi化合物で表面処理されたα−Fe23
(C)を製造した(Cの平均粒子サイズ(平均長軸
長):0.09μm)。
【0063】得られたα−Fe23 (A〜D)のpH
及び水溶性ナトリウム成分及び水溶性カルシウム成分の
含有量を測定した。
【0064】(1)α−Fe23 のpHは、以下のJ
IS−K5101に従う方法により測定した。 JIS−K5101(顔料試験方法) 試料5gを下記のA法で処理した後、上澄み液又はろ液
をビーカー100mlに移して、JIS Z8802
(pHの測定方法)の7.によってpHを測定する。た
だし、pH計は、形式I又は形式IIのものを、電極は常
温用のものを用いる。 A法:試料を入れた硬質三角フラスコに水100mlを
加えて5分間煮沸する。減量をあらかじめ煮沸して炭酸
ガスを除いた水を加えて補い、煮沸後三角フラスコにせ
んをして室温まで放冷する。
【0065】(2)水溶性ナトリウム成分及び水溶性カ
ルシウム成分の含有量は、α−Fe23 5gを蒸留水
100mLに加えて1時間攪拌抽出し、上澄みをろ過
し、ろ液を水溶性ナトリウム成分の含有量は、原子吸光
法で、また水溶性カルシウム成分の含有量はICP(誘
導結合プラズマ)でそれぞれ測定した。そしてppm/
1g(1g当たりの濃度)で表した。測定結果を表1に
示す。
【0066】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── α−Fe23 表面処理(at. %) 水溶性Na 水溶性Ca Al/Fe Si/Fe pH (ppm) (ppm) ──────────────────────────────────── A 8 0 9.5 65 28 B 4 0 8.2 58 18 C 6 1 7.0 72 32 ──────────────────────────────────── D 0 0 5.6 220 58 ────────────────────────────────────
【0067】 [実施例1] [磁性層形成用塗布液の調製] (磁性層形成用塗布液組成) 強磁性金属粉末(Fe−Co合金) 100部 (Coの含有量:10重量%、Alの含有量:5重量% Yの含有量:2重量%、 Hc:1850Oe、σs :130emu/g、 SBET :55m2 /g) 塩化ビニル共重合体樹脂 9部 [MR−110、日本ゼオン(株)製] ポリウレタン樹脂 4.5部 (ネオペンチルグリコール/ヒドロキシカプロン酸/フタル酸 /ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレート・Na塩 /ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート =2.5/3.1/2.7/0.1/1.0(モル比)、 数平均分子量=4万、Tg=38℃) カーボンブラック(平均粒子径:80mμ) 1部 アルミナ(平均粒子サイズ:200mμ) 5部 フェニルホスホン酸 3部 ステアリン酸 0.5部 ブチルステアレート 1.2部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0068】上記磁性層を形成する各成分を連続ニーダ
で混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られ
た分散液にポリイソシアネート[コロネートL、日本ポ
リウレタン工業(株)製]を4.5部加え、更に酢酸ブ
チル40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルタ
ーを用いて濾過し、磁性層形成用塗布液を調製した。
【0069】 [バックコート層形成用塗布液の調製] (バックコート層形成用塗布液組成) 表1のAで示されるα−Fe23 (針状ヘマタイト) 100部 微粒子状カーボンブラック粉末 25部 (平均粒子サイズ:17mμ、 水溶性Na成分の含有量:25ppm、 水溶性Ca成分の含有量:0ppm) 粗粒子状カーボンブラック粉末 15部 (平均粒子サイズ:270mμ) フェノキシ樹脂(PKHH、ユニオンカーバイト社製) 50部 ポリウレタン樹脂 35部 (スルホン酸ナトリウム基を6.0×10-5モル/g含有) メチルエチルケトン 1000部 トルエン 300部 シクロヘキサノン 200部
【0070】針状ヘマタイトと微粒子状カーボンブラッ
ク粉末、粗粒子状カーボンブラック粉末、及びフェノキ
シ樹脂、ポリウレタン樹脂をメチルエチルケトン300
部、シクロヘキサノン200部と共に混練した後、サン
ドミルを用いて分散した。得られた分散液にポリイソシ
アネート[コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)
製]25部と残りのメチルエチルケトン、トルエンを加
え、平均孔径1μmのフィルターを用いて濾過すること
により、バックコート層形成用塗布液を調製した。
【0071】[磁気テープの作製]厚さ6.0μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)製支持体の表面
に、上記の磁性層形成用塗布液をその乾燥後の厚みが
2.0μmとなるように塗布し、次いで、磁性層塗布液
が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石を用いて磁場配
向を行なった。その後、支持体の反対面に上記のバック
コート層形成用塗布液をその乾燥後の厚みが0.5μm
となるように塗布し、乾燥した。このようにして支持体
の一方の面に磁性層を、もう一方の面にバックコート層
をそれぞれ有する磁気記録積層体ロールを得た。得られ
た磁気記録積層体ロールに対してカレンダー処理を施し
た。次いで、カレンダー処理後、磁気記録積層体ロール
を8mm幅にスリットし、その後、テープの表面研磨処
理を行い、本発明に従う磁気テープを得た。得られた磁
気テープを所定のカートリッジに巻き込んだ。
【0072】 [実施例2] [非磁性層形成用塗布液の調製] (非磁性層形成用塗布液の組成) 非磁性粉末 二酸化チタン(ルチル型) 100部 [TiO2 含有量:90%以上 平均一次粒子径:0.035μm BET法による比表面積:40m2 /g pH:7.5 DBP吸油量:27〜38g/100g モース硬度:6.0 表面被覆化合物(A123 )] フェニルホスホン酸 3部 カーボンブラック 15部 (平均一次粒子径:20mμ DBP吸油量:80ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:250m2 /g 揮発分:1.5%) 極性基(−SO3 K基、エポキシ基)含有 12部 塩化ビニル樹脂 [MR−110、日本ゼオン(株)製] ポリウレタン樹脂 6部 (ネオペンチルグリコール/ヒドロキシカプロン酸/フタル酸 /ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレート・Na塩 /ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート =2.5/3.1/2.7/0.1/1.0(モル比) 数平均分子量=4万、Tg=38℃) ステアリン酸 0.5部 ブチルステアレート 1.2部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0073】上記非磁性層を形成する各成分を連続ニー
ダで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得ら
れた分散液にポリイソシアネート[コロネートL、日本
ポリウレタン工業(株)製]を6.0部加え、更に酢酸
ブチル40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィル
ターを用いて濾過し、非磁性層形成用塗布液を調製し
た。
【0074】[磁気テープの作製]厚さ6.0μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)製支持体の表面
に、上記組成の非磁性層形成用塗布液を、乾燥後の非磁
性層の厚さが1.7μmとなるように、またこの上に前
記実施例1で用いた磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性
層の厚さが0.3μmとなるように同時重層塗布した。
次いで、磁性層塗布液が未乾燥の状態で3000ガウス
の磁石を用いて磁場配向を行なった。その後、支持体の
他方の側(磁性層とは反対側)に、上記実施例1で用い
たバックコート層形成用塗布液を乾燥後の厚さが0.5
μmとなるように塗布し、乾燥してバックコート層を設
けた。このようにして支持体の一方の面に非磁性層と磁
性層とが、そして他方の面にバックコート層がそれぞれ
設けられた磁気記録積層体ロールを得た。次いで、カレ
ンダー処理後、磁気記録積層体ロールを8mm幅にスリ
ットし、本発明に従う磁気テープを得た。得られた磁気
テープを所定のカートリッジに組み込んだ。
【0075】[実施例3]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、針状ヘマタイトA
の代わりに針状ヘマタイトBを使用したこと以外は同様
にして本発明に従う磁気テープを作成した。
【0076】[実施例4]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、針状ヘマタイトA
の代わりに針状ヘマタイトCを使用したこと以外は同様
にして本発明に従う磁気テープを作成した。
【0077】[実施例5]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、針状ヘマタイトA
と微粒子状カーボンブラックの使用量を下記のようにそ
れぞれ変更したこと以外は同様にして本発明に従う磁気
テープを作成した。 表1のAで示されるα−Fe23 (針状ヘマタイト) 120部 微粒子状カーボンブラック粉末(平均粒子サイズ:17mμ) 5部
【0078】[実施例6]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、針状ヘマタイトA
と微粒子状カーボンブラックの使用量を下記のようにそ
れぞれ変更したこと以外は同様にして本発明に従う磁気
テープを作成した。 表1のAで示されるα−Fe23 (針状ヘマタイト) 85部 微粒子状カーボンブラック粉末(平均粒子サイズ:17mμ) 40部
【0079】[比較例1]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、針状ヘマタイトA
の代わりに針状ヘマタイトDを使用したこと以外は同様
にして比較用の磁気テープを作成した。
【0080】[比較例2]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、針状ヘマタイトA
の代わりに微粒子状カーボンブラック(平均粒子サイ
ズ:17mμ)を使用したこと以外は同様にして比較用
の磁気テープを作成した。
【0081】[比較例3]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、針状ヘマタイトA
の代わりに、炭酸カルシウム(白石工業(株)製、白艶
華O、平均粒子サイズ:50mμ、モース硬度:3.
0、pH:8.5)を使用したこと以外は同様にして比
較用の磁気テープを作成した。
【0082】[磁気テープとしての性能評価]得られた
実施例及び比較例の磁気テープのバックコート層中の水
溶性Na成分及び水溶性のCa成分の含有量を下記の方
法で測定した。磁気テープから磁性層、及び非磁性層を
除去したテープを用意した。そして該テープを蒸留水
(温水)100mLに加えて1時間攪拌抽出し、上澄み
をろ過し、ろ液を水溶性ナトリウム成分の含有量は、原
子吸光法で、また水溶性カルシウム成分の含有量はIC
P(誘導結合プラズマ)でそれぞれ測定した。そしてp
pm/1g(1g当たりの濃度)で表した。測定結果を
表2に示す。
【0083】得られた実施例及び比較例の磁気テープつ
いて下記の項目を評価した。 (1)バックコート層の動摩擦係数(μ値)の測定 4mmφのSUS420Jにバックコート層面を接触さ
せるように180度の角度でテープを渡し、荷重20
g、秒速14mmで摺動させて、オイラーの式に基づい
てバックコート層の動摩擦係数を求めた。 μ=(1/π)ln(T2 /10)、ただし、T2 :摺
動抵抗値(g) 測定は、繰り返し500パスまで行ない、1パス目の動
摩擦係数μ1 と500パス目の動摩擦係数μ500 を求め
た。
【0084】(2)繰り返し走行後のバックコート層表
面の擦り傷 上記のバックコート層表面の動摩擦係数測定後(500
パス)の表面を顕微鏡(金属顕微鏡や電子顕微鏡)を用
いて発生した傷の状態を観察した。評価は以下のような
ランク付けで行なった。 A:損傷が全く確認されなかった。 B:損傷が僅かに確認された。 C:損傷がかなりあることが確認された。
【0085】(3)保存性(保存条件:60℃、90%
RH)のテスト 磁気テープを所定のカートリッジに組み込んだまま、6
0℃、90%RHの環境下で7日間保存した。保存の前
後で磁性層表面の動摩擦係数(μ値)と電磁変換特性を
測定した。 磁性層表面の動摩擦係数の測定 4mmφのSUS420Jにバックコート層面を接触さ
せるように180度の角度でテープを渡し、荷重20
g、秒速14mmの条件で摺動させて、オイラーの式に
基づいて磁性層の動摩擦係数を求めた。 μ=(1/π)ln(T2 /10)、T2 :摺動抵抗値
(g) 測定は繰り返し10パスまで行ない、10パス目の動摩
擦係数μ10を求めた。
【0086】電磁変換特性の測定 磁気テープにVTR(FUJIX8)を用いて7MHz
の信号を記録し、再生して出力を測定した。再生出力
は、実施例1の磁気テープ(第一の態様の磁気テープ)
の再生出力を0dBとした時の相対値で表した。
【0087】(4)バックコート層表面の表面電気抵抗
値の測定 下記の装置を用いて行った。 TAKEDA RIKEN デジタル High ME
GOHM METERTR−8611A
【0088】(5)繰り返し走行後のドロップアウト
(D.O) 評価は以下の基準で行なった。 A:D.Oが殆ど増加しなかった。 B:D.Oが増加したが許容範囲である。 C:D.Oがかなり増加した。 評価結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】上記の表2の結果から、無機粉末として、
水溶性ナトリウム成分を150ppmより多く含むこと
なく、かつ水溶性カルシウム成分を50ppmより多く
含むことのないpHが6以上のα−Fe23 を含有す
るバックコート層を有する本発明に従う磁気テープ(第
一の態様:実施例1、第二の態様:実施例2〜6)の場
合には、バックコート層の繰り返し走行後のμ値の上昇
が少なく、また擦り傷の発生もなく、更にドロップアウ
トの増加も少なく、バックコート層の電気抵抗値も安定
している。このことから、高い走行耐久性を有している
ことがわかる。更に保存後におけるμ値の上昇も少な
く、電磁変換特性の変化も殆どないことから、本発明に
従う磁気テープは、保存後においても良好な走行耐久性
を有し、かつ良好な電磁変換特性を示すことがわかる。
【0091】一方、水溶性ナトリウム成分及び水溶性カ
ルシウム成分を本発明で規定する量以上を含むα−Fe
23 を用いた磁気テープ(比較例1)の場合には、保
存後において、磁性層表面のμ値が上昇し、また電磁変
換特性も低下している。比較例2のように、α−Fe2
3 を使用しない場合(バックコート層の非磁性粉末を
カーボンブラックのみで構成した場合)には、繰り返し
走行後のバックコート層のμ値が上昇し、またバックコ
ート層の擦り傷がかなり発生した。α−Fe23 の代
わりに炭酸カルシウムを使用した場合(比較例3)に
は、水溶性のカルシウム成分が多量に発生し、これが保
存後において磁性層表面上で析出物(CaCl2 )を生
成するためか、保存後には磁性層表面のμ値が上昇し、
また電磁変換特性も低下している。
【0092】
【発明の効果】本発明の磁気テープのバックコート層に
は、水溶性ナトリウム成分及び水溶性カルシウム成分の
含有量が低減されたpH6以上の無機酸化物粒子が含ま
れているために、磁性層の結合剤として塩化物系の樹脂
を用いて構成した場合でも保存後に磁性層表面上にNa
ClやCaCl2 などの析出物が生じることがない。従
って、保存後においても高い走行耐久性や電磁変換特性
を示す磁気テープを得ることができる。特に、本発明の
無機酸化物粒子として、α−Fe23 を含むバックコ
ート層とすることで、保存安定性と共に、繰り返し走行
後の動摩擦係数の上昇が少なく、高い走行耐久性を示す
磁気テープを得ることができる。本発明の磁気テープ
は、特にコンピュータデータ記録用の磁気テープとして
有利である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の側に強磁性粉末及び分子
    構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層を
    有し、そして他方の側にバックコート層を有する磁気テ
    ープであって、該バックコート層が、水溶性ナトリウム
    成分を150ppmより多く含むことなく、かつ水溶性
    カルシウム成分を50ppmより多く含むことのないp
    H6以上の無機酸化物粒子及び結合剤樹脂を含み、かつ
    該無機酸化物粒子の含有量がバックコート層の重量当た
    り30〜60重量%の範囲にあることを特徴とする磁気
    テープ。
  2. 【請求項2】 支持体の一方の側に非磁性粉末及び結合
    剤を含む実質的に非磁性の非磁性層と強磁性粉末及び分
    子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層
    とをこの順に有し、そして他方の側にバックコート層を
    有する磁気テープであって、該バックコート層が、水溶
    性ナトリウム成分を150ppmより多く含むことな
    く、かつ水溶性カルシウム成分を50ppmより多く含
    むことのないpH6以上の無機酸化物粒子及び結合剤樹
    脂を含み、かつ該無機酸化物粒子の含有量がバックコー
    ト層の重量当たり30〜60重量%の範囲にあることを
    特徴とする磁気テープ。
  3. 【請求項3】 該無機酸化物粒子が、Al化合物及び/
    又はSi化合物によって表面処理されたα−Fe23
    である請求項1又は2に記載の磁気テープ。
  4. 【請求項4】 バックコート層が、更にカーボンブラッ
    クを含み、該無機酸化物粒子と該カーボンブラックとの
    含有重量比が、前者:後者=50:50〜90:10の
    範囲にある請求項1又は2に記載の磁気テープ。
  5. 【請求項5】 バックコート層中の水溶性ナトリウム成
    分の量が、50ppm以下で、水溶性カルシウム成分の
    量が15ppm以下である請求項1〜4のうちのいずれ
    かの項に記載の磁気テープ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6780531B2 (en) 2000-10-31 2004-08-24 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium comprising a magnetic layer having specific surface roughness and protrusions

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6921592B2 (en) 2000-10-31 2005-07-26 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium comprising a magnetic layer having specific thickness, surface roughness and friction coefficient
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US6936356B2 (en) 2000-10-31 2005-08-30 Hitachi Maxell, Ltd. Magnetic recording medium comprising a magnetic layer having specific thickness, surface roughness and projections

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