JP2000090431A - 磁気テープ及びその製造方法 - Google Patents

磁気テープ及びその製造方法

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JP2000090431A
JP2000090431A JP10274309A JP27430998A JP2000090431A JP 2000090431 A JP2000090431 A JP 2000090431A JP 10274309 A JP10274309 A JP 10274309A JP 27430998 A JP27430998 A JP 27430998A JP 2000090431 A JP2000090431 A JP 2000090431A
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JP10274309A
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English (en)
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Kenichi Masuyama
健一 増山
Tatsuro Ishikawa
達郎 石川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間保存した場合でも走行耐久性や電磁変
換特性の低下が少なく、記録した情報の再生を安定して
行なうことが可能な特にコンピュータデータ記録用とし
て有利な磁気テープ及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 支持体の一方の側に強磁性粉末及び分子
構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層、
あるいは該磁性層を非磁性層を介して有し、そして他方
の側に分子構造中に塩素原子を持たない結合剤樹脂を含
むバックコート層を有する磁気テープであって、該バッ
クコート層中のナトリウム成分の量が110ppm以下
であり、かつカルシウム成分の量が60ppm以下であ
ることを特徴とする磁気テープ。この様な磁気テープを
製造するために、バックコート層の塗布液の調製にジル
コニウム粒子を分散用ビーズとして使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にコンピュータ
データを記録するために外部記録媒体として有利に用い
られる磁気テープ及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータデータを記録するた
めの磁気テープ(所謂、バックアップテープ)などの磁
気記録媒体用の磁気記録再生システムにおいて、より高
密度で記録できるように、記録波長を短波長化したり、
記録する際のトラック幅を狭くする傾向にあり、また大
量の情報をより速く処理できるように、記録再生などの
処理速度を高速化する傾向にある。一方、磁気テープ自
体は、より大きな記録容量を達成するために益々薄型化
する傾向にある。従って、このような薄型化された磁気
テープであっても従来に増して高い走行耐久性や良好な
電磁変換特性を示すことが求められる。特に、磁気テー
プは幅広い環境下(特に、変動の激しい温湿度条件下)
で使用される機会も増えており、このような環境下にお
いても安定してデータの記録及び再生ができることが望
まれている。
【0003】一般に磁気テープは、合成樹脂などの可撓
性の支持体上に磁性層が設けられた構成である。また、
より高い記録密度を達成させるために、支持体上に非磁
性層を設け、更にこの上に薄い磁性層を設けた構成の磁
気テープも提案されている。そして一般に良好な感度を
維持させるためには磁性層の表面は平滑であることが好
ましいが、この平滑化による巻き乱れや走行性の悪化を
防止するために、支持体の磁性層とは反対側の面にバッ
クコート層が設けられている。そして磁気テープは通常
カセットなどに収容された状態(テープが巻かれた状
態)で使用、保存されているため、バックコート層の表
面状態は磁性層側に移り易く、従ってバックコート層も
高い表面平滑性を有していることが必要になる。従来、
バックコート層として、高い表面平滑性が付与され、ま
た走行耐久性も向上するなどの理由で、非磁性粉末(カ
ーボンブラック、無機粉末)が結合剤中に分散した状態
で形成された構成が知られている(例えば、特開昭64
−14721号公報)。ここには、バックコート層の結
合剤として、ポリカーボネートポリウレタン樹脂を主成
分にして、フェノキシ樹脂及びポリイソシアネートを使
用し、塩素原子を分子中に含まない樹脂で構成したもの
が提案されている。
【0004】特開平1−267831号公報には、磁性
層表面上の付着物によるドロップアウトやヘッドの目詰
まりを防止し、高い走行耐久性や電磁変換特性を実現す
るために、塩化物系樹脂を含有する結合剤を含むバック
コート層中のナトリウム原子の含有量を100ppm以
下に抑えた磁気テープが提案されている。ナトリウム原
子の含有量が低減されたカーボンブラックを使用するこ
とでバックコート層の塩化物系樹脂に含まれる塩素原子
との反応により生成するNaCl(付着物)の発生を抑
制できるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】大量の情報が記録可能
なコンピュータデータ記録用の磁気テープでは、従来に
増して記録後の保存性が重要になる。即ち、記録した情
報が長期間にわたって安定して再生できるように高い保
存性を有していることが求められる。しかし、本発明者
の検討では、記録後の保存性についてはなお十分ではな
く、更に改良の余地があることが判明した。例えば、上
記公報に記載の磁気テープを長期間、特に、高温、高湿
下で長期間保存しておくと、磁性層の表面に析出物が現
れたり、またこれによって磁性層の摩擦係数が上昇し、
走行耐久性が低下したり、また出力低下が生じ易いこと
が判明した。
【0006】本発明の目的は、長期間保存した場合でも
走行耐久性や電磁変換特性の低下が少なく、記録した情
報の再生を安定して行なうことが可能な特にコンピュー
タデータ記録用として有利な磁気テープ及びその製造方
法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、分子構造中
に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層を有する
磁気テープの保存後の走行性能の低下や出力の低下を生
じさせる原因について検討を行った。その検討による
と、従来、バックコート層は、バックコート層形成成分
を溶剤と共に混合し、サンドミル(ビーズミル)などの
分散手段を用いて分散した後、得られた分散液(塗布
液)を支持体上に塗布、乾燥することにより形成してい
る。この時の分散液調製用ビーズはセラミックスやスチ
ール製のものに比べ高い分散性を示すとされるガラス製
ビーズが通常用いられている。しかし、ガラスビーズを
用いてバックコートの塗布液を調製する場合、バックコ
ート層の形成成分に、無機粉末、特に、モース硬度の比
較的高い無機粉末が含まれていると、分散時にガラスビ
ーズがこれらの無機粉末によって削られて、破損し、ガ
ラスビーズに含まれるナトリウム成分やカルシウム成分
が分散液中に混入し、その結果、上記のような性能の低
下が生じることが判明した。即ち、破損したガラスビー
ズ中のナトリウム成分やカルシウム成分が、バックコー
ト層と磁性層とが接触状態におかれた保存中に、磁性層
の結合剤樹脂中の塩素原子と反応して析出物(NaC
l、CaCl2 )が生成し、この析出物が主な原因でテ
ープの走行性能が低下したり、また出力低下が生じるこ
とを見出した。
【0008】本発明者の研究により、バックコート層の
塗布液を調製する際に、特にモース硬度の高い無機粉末
を含む場合に、これらによって削られにくく、かつ損傷
した場合でもナトリウム成分やカルシウム成分が混入す
ることがない、ジルコニア(ZrO2 )粒子を分散用ビ
ーズとして用いることにより、バックコート層中のナト
リウム成分やカルシウム成分の混在量を一定値以下に抑
制でき、従って、保存安定性の高い磁気テープを製造で
きることが見出された。
【0009】本発明は、支持体の一方の側に強磁性粉末
及び分子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む
磁性層を有し、そして他方の側に分子構造中に塩素原子
を持たない結合剤樹脂を含むバックコート層を有する磁
気テープであって、該バックコート層中のナトリウム成
分の量が110ppm以下であり、かつカルシウム成分
の量が60ppm以下であることを特徴とする磁気テー
プ(第一の態様)にある。
【0010】また本発明は、支持体の一方の側に非磁性
粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の非磁性層と強磁
性粉末及び分子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂
を含む磁性層とをこの順に有し、そして他方の側に分子
構造中に塩素原子を持たない結合剤樹脂を含むバックコ
ート層を有する磁気テープであって、該バックコート層
中のナトリウム成分の量が110ppm以下であり、か
つカルシウム成分の量が60ppm以下であることを特
徴とする磁気テープ(第二の態様)にもある。
【0011】更に本発明は、支持体の一方の側に強磁性
粉末及び分子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を
含む磁性層を形成する工程、あるいは該磁性層を、支持
体上に非磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の非
磁性層を介して形成する工程、及び該支持体の他方の側
に非磁性粉末及び分子構造中に塩素原子を持たない結合
剤樹脂を含むバックコート層を形成する工程を含む磁気
テープの製造方法であって、該バックコート層の塗布液
の調製を分散用ビーズとしてジルコニア粒子を用いて行
うことを特徴とする磁気テープの製造方法にもある。
【0012】本発明の磁気テープ及びその製造方法は以
下の態様であることが好ましい。 (1)バックコート層中のナトリウム成分の量が80p
pm以下(更に好ましくは、50ppm以下)で、かつ
カルシウム成分の量が50ppm以下(更に好ましく
は、40ppm以下)である。 (2)バックコート層がモース硬度4以上、更に好まし
くは、モース硬度4〜7の無機粉末を含有する。 (3)バックコート層が、更にカーボンブラックを含
み、該カーボンブラックが、10〜40mμ(更に好ま
しくは、10〜30mμ、特に好ましくは、10〜20
mμ)の微粒子状カーボンブラックと50〜500mμ
(更に好ましくは、150〜300mμ、特に好ましく
は、230〜300mμ)の粗粒子状カーボンブラック
の異なる平均粒子サイズを持つ二種類のカーボンブラッ
クを含む。 (4)上記(3)において、微粒子状カーボンブラック
と粗粒子状カーボンブラックとの含有重量比が微粒子状
カーボンブラック:粗粒子状カーボンブラック=90:
10〜50:50(更に好ましくは、80:20〜5
5:45、特に好ましくは、70:30〜60:40)
である。 (5)バックコート層がモース硬度4以上の無機粉末及
びカーボンブラックを含み、モース硬度4以上の無機粉
末とカーボンブラックとの含有重量比が、該無機粉末:
カーボンブラック=50:50〜90:10(更に好ま
しくは、60:40〜80:20、特に好ましくは、6
5:35〜75:25)の範囲にある。 (6)バックコート層の分子構造中に塩素原子を持たな
い結合剤樹脂がフェノキシ樹脂及び/又は極性基を有す
るポリウレタン樹脂である。 (7)バックコート層の厚みが0.1〜1.0μm(更
に好ましくは、0.2〜0.8μm、特に好ましくは、
0.2〜0.6μm)の範囲にある。 (8)磁気テープの全体の厚さが4.0〜12μm(更
に好ましくは、4.0〜9.5μm、特に好ましくは、
5.0〜9.0μm)の範囲にある磁気テープである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の磁気テープは、分子構造
中に塩素原子を持たない結合剤樹脂を含むバックコート
層中のナトリウム成分の量及びカルシウム成分の量が一
定値以下に調整されていることを特徴とするものであ
る。そして本発明の磁気テープには、このような特徴的
な構成要件からなるバックコート層を有する二つの態様
の磁気テープが含まれる。第一の態様の磁気テープは、
支持体の一方の側に強磁性粉末及び分子構造中に塩素原
子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層を有するものであ
り、第二の態様の磁気テープは、支持体の一方の側に非
磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の非磁性層と
強磁性粉末および分子構造中に塩素原子を含有する結合
剤樹脂を含む磁性層とをこの順に有するものである。
【0014】まず、第一の態様の磁気テープを説明す
る。以下に、支持体、磁性層、及び本発明の特徴的な構
成要件であるバックコート層を順に詳述する。支持体と
しては、従来から磁気テープの支持体材料として用いら
れているものを使用することができ、特に非磁性のもの
が好ましい。これらの例としては、ポリエステル類
(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタ
レートとポリエチレンナフタレートとの混合物、エチレ
ンテレフタレート成分とエチレンナフタレート成分を含
む重合物)、ポリオレフィン類(例、ポリプロピレ
ン)、セルロース誘導体類(例、セルロースジアセテー
ト、セルローストリアセテート)、ポリカーボネート、
ポリアミド(中でも芳香族ポリアミド、アラミド)、ポ
リイミド(中でも全芳香族ポリイミド)などの合成樹脂
フィルムを挙げることができる。これらの中では、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフ
タレート(PEN)、芳香族ポリアミド、及びアラミド
が好ましい。支持体の厚みは、特に制限はないが、2.
0〜8.0μm(更に好ましくは、3.0〜7.0μ
m、特に好ましくは、3.4〜6.5μm)の範囲にあ
ることが好ましい。
【0015】磁性層は強磁性粉末及び分子構造中に塩素
原子を含有する結合剤樹脂から形成されている。また、
磁性層には、通常、潤滑剤、導電性粉末(例、カーボン
ブラック)、及び研磨剤が含まれている。強磁性粉末と
しては、例えば、γ−Fe23 、Fe34 、FeOx
(x=1.33〜1.5)、CrO2 、Co含有γ−
Fe23 、Co含有FeOx (x=1.33〜1.
5)、強磁性金属粉末(強磁性合金粉末)、及び板状六
方晶フェライト粉末を挙げることができる。本発明にお
いては、強磁性粉末として、強磁性金属粉末、あるいは
板状六方晶フェライト粉末の使用が好ましい。特に好ま
しいものは、強磁性金属粉末である。
【0016】上記強磁性金属粉末は、その粒子の比表面
積が好ましくは30〜70m2 /gであって、X線回折
法から求められる結晶子サイズは、50〜300Åであ
る。比表面積が余り小さいと高密度記録に充分に対応で
きなくなり、又余り大き過ぎても分散が充分に行えず、
従って平滑な面の磁性層が形成できなくなるため同様に
高密度記録に対応できなくなる。
【0017】強磁性金属粉末は、少なくともFeを含む
ことが必要であり、具体的には、Fe、Fe−Co、F
e−Ni、Fe−Zn−Ni又はFe−Ni−Coを主
体とした金属単体あるいは合金である。なお、Fe単独
でも良い。またこれらの強磁性金属粉末の磁気特性につ
いては、高い記録密度を達成するために、その飽和磁化
量(飽和磁束密度)(σs )は110emu/g以上、
好ましくは120emu/g以上、170emu/g以
下である。又保磁力(Hc)は、1400〜2500エ
ルステッド(Oe)(好ましくは、1500〜2400
Oe)の範囲である。また透過型電子顕微鏡により求め
られる粉末の長軸長(すなわち、平均粒子径)は、0.
5μm以下、好ましくは、0.01〜0.3μmで軸比
(長軸長/短軸長、針状比)は、5〜20、好ましく
は、5〜15である。更に特性を改良するために、組成
中にB、C、Al、Si、P等の非金属、もしくはその
塩、酸化物が添加されることもある。通常、前記金属粉
末の粒子表面は、化学的に安定させるために酸化物の層
が形成されている。この場合、気相中で徐々に酸化した
ものが、特に保存安定性、分散性の点から好ましい。
【0018】上記板状六方晶フェライト粉末は、その比
表面積が25〜65m2 /g、板状比(板径/板厚)が
2〜15、そして粒子サイズ(板径)が0.02〜1.
0μmである。板状六方晶フェライト粉末は、強磁性金
属粉末と同じ理由からその粒子サイズが大きすぎても小
さすぎても高密度記録が難しくなる。板状六方晶フェラ
イトとしては、平板状でその平板面に垂直な方向に磁化
容易軸がある強磁性体であって、具体的には、バリウム
フェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライ
ト、カルシウムフェライト、及びそれらのコバルト置換
体等を挙げることができる。これらの中では、特にバリ
ウムフェライトのコバルト置換体、ストロンチウムフェ
ライトのコバルト置換体が好ましい。板状六方晶フェラ
イトには、更に必要に応じてその特性を改良するために
In、Zn、Ge、Nb、V等の元素を添加してもよ
い。またこれらの板状六方晶フェライト粉末の磁気特性
については、高い記録密度を達成するために、前記のよ
うな粒子サイズが必要であると同時に飽和磁化(σs )
は少なくとも50emu/g以上、好ましくは53em
u/g以上である。又保磁力(Hc)は、700〜20
00エルステッド(Oe)の範囲であり、900〜16
00Oeの範囲であることが好ましい。
【0019】強磁性粉末の含水率は0.01〜2重量%
とすることが好ましい。また結合剤の種類によって含水
率を最適化することが好ましい。強磁性粉末のpHは用
いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ま
しく、そのpHは通常4〜12の範囲であり、好ましく
は5〜10の範囲である。強磁性粉末は、必要に応じ
て、Al、Si、P又はこれらの酸化物などでその表面
の一部が被覆されているものが好ましい。表面処理を施
す場合のその使用量は、通常強磁性粉末に対して、0.
1〜10重量%である。このように被覆された強磁性粉
末は、脂肪酸などの潤滑剤の吸着を100mg/m2
下に抑えらえるので、潤滑剤の磁性層への添加量を少な
くしても所望の効果が達成できる。強磁性粉末には可溶
性のNa、Ca、Fe、Ni、及びSrなどが無機イオ
ンとして含まれる場合があるが、その含有量はできるだ
け少ないことが好ましい。通常は5000ppm以下で
あれば特性に影響を与えることはない。
【0020】潤滑剤は、磁性層表面ににじみ出ることに
よって、磁性層表面と磁気ヘッドとの摩擦を緩和し、摺
接状態を円滑に維持させるために添加される。潤滑剤と
しては、例えば、脂肪酸及び脂肪酸エステルを挙げるこ
とができる。脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオ
ン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アラキン
酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン
酸、及びパルミトレイン酸等の脂肪族カルボン酸又はこ
れらの混合物を挙げることができる。
【0021】また脂肪酸エステルとしては、例えば、ブ
チルステアレート、sec-ブチルステアレート、イソプロ
ピルステアレート、ブチルオレエート、アミルステアレ
ート、3−メチルブチルステアレート、2−エチルヘキ
シルステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、
ブチルパルミテート、2−エチルヘキシルミリステー
ト、ブチルステアレートとブチルパルミテートとの混合
物、オレイルオレエート、ブトキシエチルステアレー
ト、2−ブトキシ−1−プロピルステアレート、ジプロ
ピレングリコールモノブチルエーテルをステアリン酸で
アシル化したもの、ジエチレングリコールジパルミテー
ト、ヘキサメチレンジオールをミリスチン酸でアシル化
してジオールとしたもの、そしてグリセリンのオレエー
ト等の種々のエステル化合物を挙げることができる。上
記のような脂肪酸、及び脂肪酸エステルは、単独である
いは二以上の化合物を組み合わせて使用することができ
る。特に少なくとも1種の脂肪酸と少なくとも1種の脂
肪酸エステルとを組み合わせて使用することが好まし
い。潤滑剤の通常の含有量は、強磁性粉末100重量部
に対して、0.2〜20重量部(好ましくは、0.5〜
10重量部)の範囲にある。
【0022】カーボンブラックは磁性層の表面電気抵抗
(RS )の低減、動摩擦係数(μK値)の低減、走行耐
久性の向上、及び磁性層の平滑な表面性を確保する等の
種々の目的で添加される。カーボンブラックは、その平
均粒子径が5〜350mμ(更に好ましくは、10〜3
00mμ)の範囲にあることが好ましい。またその比表
面積は、5〜500m2 /g(更に好ましくは、50〜
300m2 /g)であることが好ましい。カーボンブラ
ックは平均粒子径の異なるものを二種以上使用すること
ができる。DBP吸油量は、10〜1000ml/10
0g(更に好ましくは、50〜300ml/100g)
の範囲にあることが好ましい。またpHは、2〜10、
含水率は、0.1〜10%、そしてタップ密度は、0.
1〜1g/ccであることが好ましい。
【0023】カーボンブラックは様々な製法で得たもの
が使用できる。使用できるカーボンブラックの例として
は、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレ
ンブラック、チャンネルブラックおよびランプブラック
を挙げることができる。カーボンブラックの具体的な商
品例としては、BLACK PEARLS 2000、
1300、1000、900、800、700、VUL
CAN XC−72(以上、キャボット社製)、#3
5、#50、#55、#60及び#80(以上、旭カ−
ボン(株)製)、#3950B、#3750B、#32
50B、#2400B、#2300B、#1000、#
900、#40、#30、及び#10B(以上、三菱化
学(株)製)、CONDUCTEX SC、RAVEN
150、50、40、15(以上、コロンビアカーボ
ン社製)、ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラッ
クECDJ−500およびケッチェンブラックECDJ
−600(以上、ライオンアグゾ(株)製)を挙げるこ
とができる。
【0024】カーボンブラックの通常の添加量は、強磁
性粉末100重量部に対して、0.1〜30重量部(好
ましくは、0.2〜15重量部)の範囲にある。
【0025】上記研磨剤としては、例えば、溶融アルミ
ナ、炭化珪素、酸化クロム(Cr23 )、コランダ
ム、人造コランダム、ダイアモンド、人造ダイアモン
ド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄
鉱)を挙げることができる。これらの研磨剤は、モース
硬度5以上(好ましくは、6以上)であり、平均粒子径
が、0.05〜1μmの大きさのもの(更に好ましく
は、0.2〜0.8μm、特に0.2〜0.5μm)が
好ましい。研磨剤の添加量は、通常強磁性粉末100重
量部に対して、3〜25重量部(好ましくは、3〜20
重量部)の範囲である。
【0026】磁性層の結合剤樹脂には分子構造中に塩素
原子を含有する樹脂が用いられる。分子構造中に塩素原
子を含有する樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩化
ビニリデンのような塩素原子を含むモノマーを構成単位
として含む重合体、あるいは共重合体を挙げることがで
きる。共重合体としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−
酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エス
テル−塩化ビニリデン共重合体、メタアクリル酸エステ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩ビニリデン−アクリロ
ニトリル共重合体、クロロビニルエーテル−アクリル酸
エステル共重合体を挙げることができる。特に好ましい
ものは、米国特許第4707411号明細書に記載され
ているエポキシ基、スルホン酸カリウム基、及び水酸基
を有する塩化ビニル共重合体である。
【0027】磁性層の結合剤には、上記分子構造中に塩
素原子を含有する樹脂以外の樹脂を使用することができ
る。これらの樹脂としては、例えば、分子構造中に塩素
原子を持たない、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型
樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。熱可塑性
樹脂の例としては、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マ
レイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロ
ニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチ
レン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニ
ルアセタール、及びビニルエーテルを構成単位として含
む重合体、あるいは共重合体を挙げることができる。共
重合体としては、例えば、アクリル酸エステル−アクリ
ロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共
重合体、メタアクリル酸エステル−アクリロニトリル共
重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、クロロビニルエーテル−ア
クリル酸エステル共重合体を挙げることができる。
【0028】上記の他に、フェノキシ樹脂、ポリアミド
樹脂、繊維素系樹脂(セルロースアセテートブチレー
ト、セルロースダイアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロースなど)、ポリ弗化ビニル、ポリ
エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂など
も利用することができる。
【0029】また熱硬化性樹脂または反応型樹脂として
は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹
脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリ
コーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリ
エステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポ
リウレタンとポリイソシアネートの混合物を挙げること
ができる。
【0030】上記ポリイソシアネートとしては、例え
ば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネートなどのイソシアネート類、これらの
イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、及びイ
ソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネ
ートを挙げることができる。
【0031】上記ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、及
びポリカプロラクトンポリウレタンなどの構造を有する
公知のものが使用できる。
【0032】本発明において、磁性層の結合剤樹脂は、
塩素ビニル系樹脂(例、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール共重合体、及び塩化ビニル−酢酸ビニル−無
水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹
脂)と、ポリウレタン樹脂との組合せ、あるいはこれら
に更に硬化剤としてのポリイソシアネートを加えた組み
合わせで構成されていることが好ましい。
【0033】結合剤としては、より優れた分散性と得ら
れる層の耐久性を得るために必要に応じて、−COO
M、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2 (Mは水素原子、またはアルカ
リ金属を表わす。)、−OH、−NR2 、−N+3
(Rは炭化水素基を表わす。)、エポキシ基、−SH、
−CNなどから選ばれる少なくともひとつの極性基を共
重合または付加反応で導入して用いることが好ましい。
このような極性基は、結合剤に10-1〜10-8モル/g
(更に好ましくは、10-2〜10-6モル/g)の量で導
入されていることが好ましい。
【0034】磁性層中の結合剤樹脂は、強磁性粉末10
0重量部に対して、通常5〜50重量部(好ましくは1
0〜30重量部)の範囲で用いられる。なお、磁性層に
結合剤として塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、及
びポリイソシアネートを組み合わせて用いる場合は、全
結合剤中に、塩化ビニル系樹脂が40〜70重量%、ポ
リウレタン樹脂が2〜50重量%、そしてポリイソシア
ネートが2〜50重量%の範囲の量で含まれるように用
いることが好ましい。
【0035】磁性層を形成するための塗布液には、磁性
粉末を結合剤中に良好に分散させるために分散剤を添加
することができる。また必要に応じて、可塑剤、カーボ
ンブラック以外の導電性粒子(帯電防止剤)、防黴剤な
どを添加することができる。分散剤としては、例えば、
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、
エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール
酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸(RCOOH、Rは
炭素数11〜17個のアルキル基、又はアルケニル
基)、前記脂肪酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属
からなる金属石けん、前記の脂肪酸エステルのフッ素を
含有した化合物、前記脂肪酸のアミド、ポリアルキレン
オキサイドアルキルリン酸エステル、レシチン、トリア
ルキルポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩(ア
ルキルは炭素数1〜5個、オレフィンは、エチレン、プ
ロピレンなど)、硫酸塩、及び銅フタロシアニン等を使
用することができる。これらは、単独でも組み合わせて
使用しても良い。分散剤は、磁性層の結合剤100重量
部に対して0.5〜20重量部の範囲で添加される。
【0036】バックコート層は、分子構造中に塩素原子
を持たない結合剤樹脂と共に、無機粉末やカーボンブラ
ックなどの非磁性粉末が含有されていることが好まし
い。そしてバックコート層中のナトリウム成分の量やカ
ルシウム成分の量を本発明で規定する範囲に制限するた
めに、バックコート層はこれらの成分の含有量ができる
限り少ない材料を選択して形成されていることが好まし
い。本発明では、モース硬度が4以上、更に好ましくは
モース硬度4〜7の範囲にある無機粉末、特に無機酸化
物粒子が含有されていることが好ましい。そして無機粉
末は、水溶性ナトリウム成分を150ppm(好ましく
は、80ppm、更好ましくは、70ppm)より多く
含むことなく、かつ水溶性カルシウム成分を50ppm
(好ましくは、40ppm、更好ましくは、30pp
m)より多く含むことがないものであることが好まし
い。また無機粉末のpHは、6以上(好ましくは、7以
上、更に好ましくは、8以上、特に好ましくは、9以
上)であることが好ましい。この様に、水溶性ナトリウ
ム成分及びカルシウム成分の含有量が低減され、かつア
ルカリ側にある無機粉末を使用することでテープの高い
保存安定性を得ることができる。上記のような性状を持
つ無機粉末としては、例えば、α−Fe23 、α−A
23 を挙げることができる。本発明で用いる無機粉
末の平均粒子サイズは、80〜250mμ(更に好まし
くは、100〜210mμ)の範囲にあることが好まし
い。このような無機粉末の添加により、保存性の向上と
共に、バックコート層の強度が強化され、走行耐久性が
向上する。またこれらの無機粉末を後述するカーボンブ
ラックと共に使用すると、繰り返し摺動に対しても劣化
が少なく、強いバックコート層となる。更にこの無機粉
末の添加により、適度の研磨力が付与され、テープガイ
ドポール等への削り屑の付着が低減する。上記無機粉末
は、バックコート層に該層の重量当たり30〜60重量
%、更に好ましくは、35〜55重量%、特に好ましく
は35〜50重量%含まれていることが好ましい。
【0037】バックコート層にはカーボンブラックが含
まれていることが好ましい。カーボンブラックは、平均
粒子サイズの異なる二種類のものを組み合わせて使用す
ることが好ましい。この場合、平均粒子サイズが好まし
くは10〜40mμ(更に好ましくは、10〜30m
μ、特に好ましくは、10〜20mμ)の微粒子状カー
ボンブラックと平均粒子サイズが好ましくは50〜50
0mμ(更に好ましくは、150〜300mμ、特に好
ましくは、230〜300mμ)の粗粒子状カーボンブ
ラックを組み合わせて使用することが好ましい。一般
に、上記のような微粒子状のカーボンブラックの添加に
より、バックコート層の表面電気抵抗を低く設定でき、
また光透過率も低く設定できる。磁気記録装置によって
は、テープの光透過率を利用し、動作の信号に使用して
いるものが多くあるため、このような場合には特に微粒
子状のカーボンブラックの添加は有効になる。また微粒
子状カーボンブラックは一般に液体潤滑剤の保持力に優
れ、潤滑剤併用時、摩擦係数の低減化に寄与する。一
方、上記粗粒子状カーボンブラックは、固体潤滑剤とし
ての機能を有しており、またバック層の表面に微小突起
を形成し、接触面積を低減化して、摩擦係数の低減化に
寄与する。
【0038】微粒子状カーボンブラックの具体的な商品
としては、以下のものを挙げることができる。RAVE
N2000B(18mμ)、RAVEN1500B(1
7mμ)(以上、コロンビアカーボン社製)、BLAC
K PEARLS800(17mμ)(キャボット社
製)、PRINTEX90(14mμ)、PRINTE
X95(15mμ)、PRINTEX85(16m
μ)、PRINTEX75(17mμ)(以上、デグサ
社製)、#3950(16mμ)(三菱化学(株)
製)。また粗粒子状カーボンブラックの具体的な商品の
例としては、サーマルブラック(270mμ)(キャン
カルブ社製)、RAVEN MTP(275mμ)(コ
ロンビアカーボン社製)を挙げることができる。
【0039】バックコート層において、平均粒子サイズ
の異なる二種類のものを使用する場合、10〜40mμ
の微粒子状カーボンブラックと50〜500mμの粗粒
子状カーボンブラックの含有比率(重量比)は、前者:
後者=98:2〜75:25の範囲にあることが好まし
く、更に好ましくは、95:5〜85:15の範囲であ
る。バックコート層中のカーボンブラック(その全量)
の含有量は結合剤100重量部に対して、20〜80重
量部の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、3
0〜70重量部、特に好ましくは、35〜60重量部の
範囲である。また、上記無機粉末とカーボンブラックと
の重量比は、無機粉末:カーボンブラック=50:50
〜90:10(更に好ましくは、60:40〜80:2
0、特に好ましくは、65:35〜75:25)の範囲
にあることが好ましい。前述のように、カーボンブラッ
クには、水溶性のナトリウム成分や水溶性のカルシウム
成分ができる限り含有されていないものを使用すること
が好ましい。カーボンブラック中の水溶性のナトリウム
成分は、100ppm以下、更に好ましくは、80pp
m以下であることが好ましい。また水溶性のカルシウム
成分は、50ppm以下、更に好ましくは、40ppm
以下であることが好ましい。なお、バックコート層に
は、上記のようなモース硬度4以上の硬い無機粉末以外
の従来から用いられている無機粉末を含有させてもよ
い。但し、炭酸カルシウムなどの水溶性カルシウム成分
を溶出させる無機粉末は含まれていないことが好まし
い。
【0040】バックコート層には、潤滑剤を含有させる
ことができる。潤滑剤は、磁性層に記載した潤滑剤の中
から適宜選択して使用できる。バックコート層におい
て、潤滑剤は結合剤100重量部に対して通常1〜5重
量部の範囲で添加される。またバックコート層に、磁性
層に記載した分散剤を添加することもできる。分散剤の
添加量は、磁性層に添加する量と同様な量とすることが
できる。
【0041】バックコート層の結合剤樹脂は、分子構造
中に塩素原子を持たない結合剤樹脂である。このような
樹脂としては、前記磁性層にて記載した結合剤樹脂のう
ち、分子構造中に塩素原子を持たない結合剤樹脂を使用
することができる。好ましく使用できる結合剤として
は、ニトロセルロース樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレ
タン樹脂、ポリエステル樹脂、及び硬化剤としてのポリ
イソシアネートを挙げることができる。本発明では、特
に、バックコート層の結合剤として、フェノキシ樹脂及
び/又は極性基を有するポリウレタン樹脂を使用するこ
とが好ましい。そしてこれらの樹脂と硬化剤としてのポ
リイソシアネートを組み合わせて使用することが好まし
い。フェノキシ樹脂は、全結合剤中に、40〜70重量
%含有されていることが好ましく、更に好ましくは、4
5〜65重量%である。バックコート層の結合剤はカー
ボンブラック100重量部に対して、通常100〜50
0重量部(好ましくは、150〜400重量部、更に好
ましくは200〜300重量部)である。
【0042】次に、本発明の第二の態様である、支持体
の一方の側に非磁性粉末及び結合剤を含む実質的に非磁
性である非磁性層、及び強磁性粉末及び分子構造中に塩
素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層をこの順に有
し、そして他方の側に本発明の特徴的な構成要件である
バックコート層を有する構成の磁気テープについて説明
する。第二の態様の磁気テープは、基本的に、前述した
第一の態様の磁気テープにおいて、その支持体と磁性層
との間に、更に非磁性層が設けられた構成を有する。従
って、非磁性層以外は、第一の態様の磁気テープと同様
に構成することができるため、非磁性層を以下に詳述す
る。
【0043】非磁性層は、非磁性粉末及び結合剤を含む
実質的に非磁性の層である。この非磁性層は、その上の
磁性層の電磁変換特性に影響を与えないように実質的に
非磁性であることが必要であるが、磁性層の電磁変換特
性に悪影響を与えなければ磁性粉末が含まれていても特
に問題とはならない。また非磁性層には通常、これらの
成分以外に潤滑剤が含まれている。
【0044】非磁性層で用いられる非磁性粉末として
は、例えば、非磁性無機粉末、カーボンブラックを挙げ
ることができる。非磁性無機粉末は、比較的硬いものが
好ましく、モース硬度が5以上(更に好ましくは、6以
上)のものが好ましい。これらの非磁性無機粉末の例と
しては、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、
炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、
コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化チタ
ン、二酸化珪素、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム、及び硫酸バリウムを挙げることが
できる。これらは単独でまたは組合せて使用することが
できる。これらのうちでは、二酸化チタン、α−アルミ
ナ、α−酸化鉄又は酸化クロムが好ましく、特に球状の
二酸化チタン又は紡錘状のα−酸化鉄が更に好まし
い。。非磁性無機粉末の平均粒子径は、0.01〜1.
0μm(好ましくは、0.01〜0.5μm、特に、
0.02〜0.1μm)の範囲にあることが好ましい。
【0045】カーボンブラックは、磁性層に導電性を付
与して帯電を防止すると共に、非磁性層上に形成される
磁性層の平滑な表面性を確保する目的で添加される。非
磁性層で用いるカーボンブラックとしては前述の磁性層
に記載したカーボンブラックを使用することができる。
但し、非磁性層で使用するカーボンブラックは、その平
均粒子径が35mμ以下(更に好ましくは、10〜35
mμ)であることが好ましい。カーボンブラックの通常
の添加量は、全非磁性無機粉末100重量部に対して、
3〜20重量部であり、好ましくは、4〜18重量部、
更に好ましくは、5〜15重量部である。
【0046】潤滑剤としては、前述した第一の態様の磁
気テープの磁性層にて記載した脂肪酸、あるいは脂肪酸
エステルを使用することができる。潤滑剤の通常の添加
量は、非磁性層の全非磁性粉末100重量部に対して、
0.2〜20重量部の範囲である。
【0047】非磁性層の結合剤としては、前述した磁性
層にて記載した結合剤を用いることができる。結合剤
は、非磁性層の非磁性粉末100重量部に対して、通常
5〜50重量部(好ましくは、10〜30重量部)の範
囲である。なお、非磁性層に結合剤として塩化ビニル系
樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソシネートを組み
合わせて用いる場合は、全結合剤中に、塩化ビニル系樹
脂が5〜70重量%、ポリウレタン樹脂が2〜50重量
%、そしてポリイソシアネートが2〜50重量%の範囲
の量で含まれるように用いることが好ましい。なお、非
磁性層においても前述した磁性層に添加することができ
る任意成分を添加することができる。
【0048】次に、本発明の磁気テープの製造方法を説
明する。本発明の第一の態様の磁気テープは、通常の方
法に従って支持体の一方の面に磁性層(非磁性層を有す
る第二の態様においては、非磁性層及び磁性層)を、そ
して他方の面にバックコート層を順にそれぞれ形成する
ことにより、製造することができる。そして本発明にお
いては、バックコート層の形成に際して、その塗布液
(分散液)の調製をジルコニア(ZrO2 )ビーズを用
いて行うことを特徴とする。ジルコニアビーズを用いる
ことにより、バックコート層中のナトリウム成分の量を
110ppm以下で、かつカルシウム成分の量を60p
pm以下にすることができる。特に好ましいジルコニア
ビーズは、特開昭58−156578号公報に記載され
ている結晶構造を有するものである。ジルコニアビーズ
は比重が重く(5.73)、かつ硬さも硬いために(モ
ース硬度:9)、優れた分散性と共に耐摩耗性を有す
る。しかも、該ビーズはナトリウム成分及びカルシウム
成分を含有しないため、分散液中にモース硬度の高い無
機粉末が含有され、分散中にビーズが損傷した場合でも
分散液中にナトリウム成分及びカルシウム成分が混入す
ることがない。ジルコニアビーズの粒子径は特に制限は
なく、従来用いられているガラスビーズと同様な粒子径
とすることができる。一般に、0.3〜3.0mmの範
囲にあり、好ましくは、0.5〜2.0mmの範囲であ
る。尚、最終的に形成されるバックコート層中のナトリ
ウム成分及びカルシウム成分の量が本発明で規定される
範囲内であれば、バックコート層の塗布液の調製にガラ
スビーズを用いてもよい。但し、得られる磁気テープの
より高い保存安定性を達成するために、バックコート層
の塗布液の調製はジルコニアビーズのみで行うことが好
ましい。
【0049】第二の態様の磁気テープを製造する際に
は、その磁性層は、非磁性層が湿潤状態にあるうちにこ
の上に設けられたものであることが好ましい。すなわ
ち、磁性層は、非磁性層用塗布液を塗布後、形成された
塗布層(非磁性層)が湿潤状態にあるうちにこの上に磁
性層用塗布液を塗布する、所謂ウエット・オン・ウエッ
ト方式による塗布方法を利用して形成されたものである
ことが好ましい。
【0050】上記ウエット・オン・ウエット方式による
塗布方法としては、例えば以下の方法を挙げることがで
きる。 (1)グラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ある
いはエクストルージョン塗布装置などを用いて、支持体
上にまず非磁性層を形成し、該非磁性層が湿潤状態にあ
るうちに、支持体加圧型エクストルージョン塗布装置に
より、磁性層を形成する方法(特開昭60−23817
9号、特公平1−46186号、特開平2−26567
2号公報参照)。 (2)塗布液用スリットを二つ備えた単一の塗布ヘッド
からなる塗布装置を用いて支持体上に磁性層及び非磁性
層をほぼ同時に形成する方法(特開昭63−88080
号、特開平2−17921号、特開平2−265672
号各公報参照)。 (3)バックアップローラ付きエクストルージョン塗布
装置を用いて、支持体上に磁性層及び非磁性層をほぼ同
時に形成する方法(特開平2−174965号公報参
照)。本発明において、非磁性層及び磁性層は、同時重
層塗布法を利用して形成することが好ましい。
【0051】上記の方法を利用して形成した磁性層を、
磁性層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理した後に
乾燥する。磁場配向処理は、当業者に周知の方法によっ
て適宜行うことができる。次いで、乾燥後の磁性層をス
ーパーカレンダーロールなどを用いて表面平滑化処理す
る。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の
除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末
の充填率が向上するため、電磁変換特性の高い磁気記録
テープを得ることができる。カレンダー処理ロールとし
てはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイ
ミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することが好
ましい。また金属ロールで処理することもできる。
【0052】本発明の磁気記録媒体の磁性層表面は、良
好な平滑性を有していることが好ましい。平滑性の向上
には、例えば上述したように特定のバインダーを選んで
形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効で
ある。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を6
0〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好まし
くは80〜100℃にし、圧力を100〜500kg/
cm、好ましくは200〜450kg/cm、特に好ま
しくは300〜400kg/cmにして行う。得られた
磁気記録テープは、スリッターなどを使用して所望の幅
のテープに裁断して使用することができる。カレンダー
処理を経た磁気記録テープは、熱処理するのが一般的で
ある。また、スリッターにより所望の幅のテープに裁断
されたテープは、更に磁性層表面を研磨することが好ま
しい。この研磨は、磁気テープに適当なテンション(通
常5g〜500g/テープ幅)をかけた状態で磁性層の
表面をカミソリの刃、サファイヤー製の刃などの固定ブ
レード、研磨テープ、ダイヤモンドホイールなどで擦る
ことにより、行われる。
【0053】第一の態様の磁気テープの磁性層の厚み
は、1.0〜3.0μm(更に好ましくは、1.2〜
2.5μm、特に好ましくは、1.5〜2.5μm)の
範囲にあることが好ましい。バックコート層の厚みは、
0.1〜1.0μm(更に好ましくは、0.2〜0.8
μm、特に好ましくは、0.2〜0.6μm)の範囲に
あることが好ましい。また磁気テープの全体の厚みは、
4.0〜12μm(更に好ましくは、4.0〜9.5μ
m、特に好ましくは、5.0〜9.0μm)の範囲にあ
ることが好ましい。
【0054】第二の態様の磁気テープの磁性層の厚み
は、0.05〜1.5μm(さらに好ましくは、0.0
5〜1.0μm、特に好ましくは、0.1〜0.5μ
m、最も好ましくは、0.1〜0.4μm)の範囲にあ
ることが好ましい。また非磁性層の厚みは、1.0〜
3.0μm(更に好ましくは、1.2〜2.5μm、特
に好ましくは、1.5〜2.0μm、最も好ましくは
1.5〜1.8μm)の範囲にあることが好ましい。磁
性層の厚みと非磁性層の厚みとの比は、1:2〜1:1
5(更に好ましくは、1:3〜1:10)の範囲にある
ことが好ましい。第二の態様の磁気テープのバックコー
ト層の厚み及び磁気テープの全体の厚みは、前記第一の
態様の磁気テープと同じであることが好ましい。
【0055】本発明の磁気テープは、そのいずれの態様
においてもバックコート層は、その表面粗さRa(3D
−MIRAU法に従う中心線平均粗さ)が、3〜60n
mの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは、3〜
30nm、特に好ましくは、3〜20nmの範囲であ
る。この範囲以外では、バックコート層の表面状態が、
磁気テープが巻かれた状態で磁性層の表面に転写され、
再生出力に影響を与えたり、ガイドポールに対する摩擦
係数に影響を与え易くなる。なお、この表面粗さRaの
調整は、通常バックコート層を塗布形成後、カレンダー
ロールによる表面処理工程において、用いるカレンダー
ロールの材質、その表面性、圧力等の調整により行われ
る。
【0056】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。尚、下記の「部」は、「重量
部」を表わす。
【0057】 [磁性層形成用塗布液の調製] (磁性層形成用塗布液組成) 強磁性金属粉末(Fe−Co合金) 100部 (Coの含有量:10重量%、Alの含有量:5重量% Yの含有量:2重量%、 Hc:1850Oe、σs :130emu/g、 SBET :55m2 /g) 塩化ビニル共重合体樹脂 9部 [MR−110、日本ゼオン(株)製] ポリウレタン樹脂 4.5部 (ネオペンチルグリコール/ヒドロキシカプロン酸/フタル酸 /ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレート・Na塩 /ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート =2.5/3.1/2.7/0.1/1.0(モル比)、 数平均分子量=4万、Tg=38℃) カーボンブラック(平均粒子径:80nm) 1部 アルミナ(平均粒子サイズ:200nm) 5部 フェニルホスホン酸 3部 ステアリン酸 0.5部 ブチルステアレート 1.2部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0058】上記磁性層を形成する各成分を連続ニーダ
で混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得られ
た分散液にポリイソシアネート[コロネートL、日本ポ
リウレタン工業(株)製]を4.5部加え、更に酢酸ブ
チル40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルタ
ーを用いて濾過し、磁性層形成用塗布液を調製した。
【0059】 [バックコート層形成用塗布液の調製] (バックコート層形成用塗布液組成) α−Fe23 (針状ヘマタイト) 100部 (平均粒子サイズ:0.12μm、 針状比:8、pH:9、モース硬度:5、 水溶性Na成分:60ppm/1g、 水溶性Ca成分:25ppm/1g) 微粒子状カーボンブラック粉末 25部 (平均粒子サイズ:17nm、 水溶性Na成分の含有量:25、 水溶性Ca成分の含有量:0) 粗粒子状カーボンブラック粉末 15部 (平均粒子サイズ:270nm、 水溶性Na成分の含有量:20、 水溶性Ca成分の含有量:5) フェノキシ樹脂(PKHH、ユニオンカーバイト社製) 50部 ポリウレタン樹脂 35部 (スルホン酸ナトリウム基を6.0×10-5モル/g含有) メチルエチルケトン 1000部 トルエン 300部 シクロヘキサノン 200部
【0060】針状ヘマタイトと微粒子状カーボンブラッ
ク粉末、粗粒子状カーボンブラック粉末、及びフェノキ
シ樹脂、ポリウレタン樹脂をメチルエチルケトン300
部、シクロヘキサノン200部と共に混練した後、サン
ドミルを用いて分散した。分散用ビーズとしては、平均
粒子径1.2mmのジルコニア製のビーズを使用した。
得られた分散液にポリイソシアネート[コロネートL、
日本ポリウレタン工業(株)製]25部と残りのメチル
エチルケトン、トルエンを加え、平均孔径1μmのフィ
ルターを用いて濾過することにより、バックコート層形
成用塗布液を調製した。
【0061】[磁気テープの作製]厚さ6.0μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)製支持体の表面
に、上記の磁性層形成用塗布液をその乾燥後の厚みが
2.0μmとなるように塗布し、次いで、磁性層塗布液
が未乾燥の状態で3000ガウスの磁石を用いて磁場配
向を行なった。その後、支持体の反対面に上記のバック
コート層形成用塗布液をその乾燥後の厚みが0.5μm
となるように塗布し、乾燥した。このようにして支持体
の一方の面に磁性層を、もう一方の面にバックコート層
をそれぞれ有する磁気記録積層体ロールを得た。得られ
た磁気記録積層体ロールに対してカレンダー処理を施し
た。次いで、カレンダー処理後、磁気記録積層体ロール
を8mm幅にスリットし、その後、テープの表面研磨処
理を行い、本発明に従う磁気テープを得た。得られた磁
気テープを所定のカートリッジに巻き込んだ。
【0062】 [実施例2] [非磁性層形成用塗布液の調製] (非磁性層形成用塗布液の組成) 非磁性粉末 二酸化チタン(ルチル型) 100部 [TiO2 含有量:90%以上 平均一次粒子径:0.035μm BET法による比表面積:40m2 /g pH:7.5 DBP吸油量:27〜38g/100g モース硬度:6.0 表面被覆化合物(A123 )] フェニルホスホン酸 3部 カーボンブラック(三菱カーボン(株)製) 15部 (平均一次粒子径:20mμ DBP吸油量:80ml/100g pH:8.0 BET法による比表面積:250m2 /g 揮発分:1.5%) 極性基(−SO3 K基、エポキシ基)含有 12部 塩化ビニル樹脂 [MR−110、日本ゼオン(株)製] ポリウレタン樹脂 6部 (ネオペンチルグリコール/ヒドロキシカプロン酸/フタル酸 /ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフタレート・Na塩 /ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート =2.5/3.1/2.7/0.1/1.0(モル比)、 数平均分子量=4万、Tg=38℃) ステアリン酸 0.5部 ブチルステアレート 1.2部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部
【0063】上記非磁性層を形成する各成分を連続ニー
ダで混練した後、サンドミルを用いて分散させた。得ら
れた分散液にポリイソシアネート[コロネートL、日本
ポリウレタン工業(株)製]を6.0部加え、更に酢酸
ブチル40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィル
ターを用いて濾過し、非磁性層形成用塗布液を調製し
た。
【0064】[磁気テープの作製]厚さ6.0μmのポ
リエチレンテレフタレート(PET)製支持体の表面
に、上記組成の非磁性層形成用塗布液を、乾燥後の非磁
性層の厚さが1.7μmとなるように、またこの上に前
記実施例1で用いた磁性層形成用塗布液を乾燥後の磁性
層の厚さが0.3μmとなるように同時重層塗布した。
次いで、磁性層塗布液が未乾燥の状態で3000ガウス
の磁石を用いて磁場配向を行なった。その後、支持体の
他方の側(磁性層とは反対側)に、上記実施例1で用い
たバックコート層形成用塗布液を乾燥後の厚さが0.5
μmとなるように塗布し、乾燥してバックコート層を設
けた。このようにして支持体の一方の面に非磁性層と磁
性層とが、そして他方の面にバックコート層がそれぞれ
設けられた磁気記録積層体ロールを得た。次いで、カレ
ンダー処理後、磁気記録積層体ロールを8mm幅にスリ
ットし、本発明に従う磁気テープを得た。得られた磁気
テープを所定のカートリッジに組み込んだ。
【0065】[実施例3]実施例1において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ガラスビーズA
(平均粒子径:1.2mm、NaO含有率:15%、C
aO含有率:9%)で5分間分散後、該分散液からガラ
スビーズを除き、更に分散液を平均粒子径1.2mmの
ジルコニア製のビーズを用いて55分間分散したこと以
外は同様にして本発明に従う磁気テープを作成した。
【0066】[実施例4]実施例3において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ガラスビーズAを
用いて10分間分散後、該分散液からガラスビーズを除
き、更に分散液を平均粒子径1.2mmのジルコニア製
のビーズを用いて50分間分散したこと以外は同様にし
て本発明に従う磁気テープを作成した。
【0067】[実施例5]実施例3において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ガラスビーズAを
用いて15分間分散後、該分散液からガラスビーズを除
き、更に分散液を平均粒子径1.2mmのジルコニア製
のビーズを用いて45分間分散したこと以外は同様にし
て本発明に従う磁気テープを作成した。
【0068】[比較例1]実施例3において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ガラスビーズAを
用いて20分間分散後、該分散液からガラスビーズを除
き、更に分散液を平均粒子径1.2mmのジルコニア製
のビーズを用いて40分間分散したこと以外は同様にし
て比較用の磁気テープを作成した。
【0069】[比較例2]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、バックコート層の
分散液をガラスビーズAのみを用いて60分間分散した
こと以外は同様にして比較用の磁気テープを作成した。
【0070】[比較例3]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ガラスビーズB
(平均粒子径:1.2mm、NaO含有率:0%、Ca
O含有率:5%)のみを用いて60分間分散したこと以
外は同様にして比較用の磁気テープを作成した。
【0071】[比較例4]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ガラスビーズC
(平均粒子径:1.2mm、NaO含有率:5%、Ca
O含有率:13%)のみを用いて60分間分散したこと
以外は同様にして比較用の磁気テープを作成した。
【0072】[比較例5]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、ガラスビーズAの
代わりに同じ粒子径のスチール製ビーズのみを用いて6
0分間分散したこと以外は同様にして比較用の磁気テー
プを作成した。
【0073】[比較例6]実施例2において、バックコ
ート層形成用塗布液の調製に際して、無機粉末として、
針状ヘマタイトを炭酸カルシウム(白石工業(株)製、
白艶華O、平均粒子サイズ:35mμ、モース硬度:
3.0、pH:8.5)に同量で置き換えたこと以外は
同様にして比較用の磁気テープを作成した。
【0074】得られた実施例および比較例の磁気テープ
について、そのバックコート層中のNa成分及びCa成
分の含有量を下記の方法で測定した。NaClとCaC
3 をバックコート層の塗布液の固形分に対して それ
ぞれNa原子、及びCa原子が100ppm、20
0ppm、及び300ppmの濃度となるように添加
してそれぞれの液を0.5μmの厚みで塗布し、乾燥す
ることにより検量線を作成するためのサンプルを作成し
た。得られたサンプル〜に対して蛍光X線を使用し
てNa原子、及びCa原子の含有量に対する蛍光X線の
出力の傾きを求めた。得られた検量線を使用して実施例
及び比較例のバックコート層の蛍光X線の出力からバッ
クコート層中のNa成分及びCa成分の含有量を求め
た。また、各磁気テープのバックコート層の表面粗さR
a(3D−MIRAU法に従う中心線平均粗さ)を求め
た。磁気テープのバックコート層の特徴を下記の表1に
示す。
【0075】
【表1】 表1 ─────────────────────────────────── バックコート層の塗布液調製時 バックコート層の特徴 の分散条件 Na の Caの 表面性 ビーズ 分散 ビーズ 分散 含有量 含有量 (Ra値) の種類 時間 の種類 時間 (ppm) (ppm) (nm) ─────────────────────────────────── 実施例1 ─ ZrO2 60分 28 13 5.1 ─────────────────────────────────── 実施例2 ─ ZrO2 60分 26 12 5.1 実施例3 ガラスA 5分 ZrO2 55分 48 26 5.2 実施例4 ガラスA 10分 ZrO2 50分 78 41 5.3 実施例5 ガラスA 15分 ZrO2 45分 102 53 5.5 ─────────────────────────────────── 比較例1 ガラスA 20分 ZrO2 40分 122 70 6.3 比較例2 ガラスA 60分 ─ 310 172 7.0 比較例3 ガラスB 60分 ─ 32 87 7.5 比較例4 ガラスC 60分 ─ 130 320 7.2 比較例5 スチール 60分 ─ 26 15 9.0 比較例6 ─ ZrO2 60分 56 ∝ 6.2 ─────────────────────────────────── 注1)実施例1は、第一の態様(単層構成)の磁気テープを示し、実施例2は、 第二の態様(二層構成)の磁気テープを示す。
【0076】[磁気テープとしての性能評価]得られた
実施例及び比較例の磁気テープついて下記の保存性テス
トを行い、評価した。磁気テープを所定のカートリッジ
に組み込んだまま、60℃、90%RHの環境下で7日
間保存した。保存の前後で磁性層表面の摩擦係数(μ
値)と電磁変換特性を測定した。 (1)磁性層表面の摩擦係数の測定 4mmφのSUS420Jにバックコート層面を接触さ
せるように180度の角度でテープを渡し、荷重20
g、秒速14mmの条件で摺動させて、オイラーの式に
基づいて磁性層の摩擦係数を求めた。 μ=(1/π)ln(T2 /10)、T2 :摺動抵抗値
(g) 測定は、繰り返し10パスまで行ない、10パス目の摩
擦係数μ10を求めた。
【0077】(2)電磁変換特性の測定 磁気テープにVTR(FUJIX8)を用いて7MHz
の信号を記録し、再生して出力を測定した。再生出力
は、実施例1の磁気テープ(第一の態様の磁気テープ)
の再生出力を0dBとした時の相対値で表した。評価結
果を表2に示す。
【0078】
【表2】 表2 ────────────────────────────────── 60℃、90%RHの条件下の保存前後の特性 磁性層表面のμ値 電磁変換特性 保存前 保存後 評価 保存前(dB)保存後(dB)評価 ────────────────────────────────── 実施例1 0.23 0.23 AA 0 0 AA 実施例2 0.21 0.22 AA +0.6 +0.5 AA 実施例3 0.21 0.22 AA +0.6 +0.5 AA 実施例4 0.22 0.28 BB +0.5 +0.3 BB 実施例5 0.22 0.32 CC +0.4 +0.1 BB ────────────────────────────────── 比較例1 0.21 0.42 DD +0.5 −0.5 CC 比較例2 0.22 0.55 DD +0.3 −1 DD 比較例3 0.21 0.48 DD +0.3 −2 DD 比較例4 0.22 0.56 BB +0.2 −3 DD 比較例5 0.21 0.23 EE +0.2 +0.1 DD 比較例6 0.21貼り付きが生じた +0.3 −7 EE ────────────────────────────────── 注1)AA: 非常に良好である。BB: 良好である。CC: 許容範囲である。 DD: 悪い。EE: 非常に悪い。
【0079】上記の表2の結果から、分散用ビーズとし
て、ジルコニアビーズを用いて調製した塗布液で形成さ
れたバックコート層を有する本発明に従う磁気テープ
(第一の態様:実施例1、第二の態様:実施例2〜5)
の場合には、バックコート層中のNa原子、及びCa原
子の含有量が少なく、従って、保存後におけるμ値の上
昇も少なく、電磁変換特性の変化も殆どないことが示さ
れており、優れた保存安定性を有していることがわか
る。
【0080】一方、分散用ビーズとして、ガラスビーズ
を用いることにより調製された塗布液で形成されたバッ
クコート層を有する比較用の磁気テープ(第二の態様:
比較例2〜4)の場合には、いずれの場合にもバックコ
ート層中のNa原子、及びCa原子の含有量が多く、従
って、これが保存後において磁性層表面上で析出物(N
aClやCaCl2 )を生成するため、保存後の磁性層
表面のμ値が大きく上昇し、また電磁変換特性も大きく
低下していることがわかる。比較例1のように、ガラス
ビーズとジルコニアビーズを組み合わせた場合でも、ガ
ラスビーズをあまり長時間使用すると、ガラスビーズの
損傷が大きくなり、それに伴って塗布液中のNa原子、
及びCa原子の混在量が多くなり、保存後には十分な走
行性や電磁変換特性が得られなくなることがわかる。ま
た、分散用ビーズとして、スチール製のビーズを用いた
場合には、分散性が劣り、十分高い表面性を得ることが
できず、従って、繰り返し走行による耐久性が低下し
た。比較例6のように、バックコート層の成分に、無機
粉末として炭酸カルシウムを含む場合には、炭酸カルシ
ウムが分散時に削られるため、カルシウム成分が多量に
分散液中に混在することになり、従って、保存後の磁性
層表面上での析出物(CaCl2 )も大量に生成するた
め、磁気テープの磁性層とバックコート層との間で貼り
付きが生じ、また電磁変換特性も大きく低下している。
【0081】
【発明の効果】本発明の磁気テープのバックコート層
は、その塗布液の調製に際してジルコニアビーズが用い
られているため、従来ガラスビーズを用いて行っていた
場合のようにナトリウム成分及びカルシウム成分が塗布
液中に混じることはない。また好ましくは、バックコー
ト層の形成成分にこれらの成分の含有量の少ないものを
選択的に用いることにより、バックコート層中のナトリ
ウム成分及びカルシウム成分の含有量が極めて少ない量
に調整されるため、従って、磁性層の結合剤として塩化
物系の樹脂を用いて構成した場合でも保存後に磁性層表
面上にNaClやCaCl2 などの析出物が殆ど生じる
ことがない。その結果、保存安定性の高い磁気テープを
得ることができる。本発明の磁気テープは、特にコンピ
ュータデータ記録用の磁気テープとして有利である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の側に強磁性粉末及び分子
    構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層を
    有し、そして他方の側に分子構造中に塩素原子を持たな
    い結合剤樹脂を含むバックコート層を有する磁気テープ
    であって、該バックコート層中のナトリウム成分の量が
    110ppm以下であり、かつカルシウム成分の量が6
    0ppm以下であることを特徴とする磁気テープ。
  2. 【請求項2】 支持体の一方の側に非磁性粉末及び結合
    剤を含む実質的に非磁性の非磁性層と強磁性粉末及び分
    子構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層
    とをこの順に有し、そして他方の側に分子構造中に塩素
    原子を持たない結合剤樹脂を含むバックコート層を有す
    る磁気テープであって、該バックコート層中のナトリウ
    ム成分の量が110ppm以下であり、かつカルシウム
    成分の量が60ppm以下であることを特徴とする磁気
    テープ。
  3. 【請求項3】 バックコート層がモース硬度4以上の無
    機粉末とカーボンブラックとを含み、該無機粉末とカー
    ボンブラックとの重量比が、前者:後者=50:50〜
    90:10の範囲にある請求項1又は2に記載の磁気テ
    ープ。
  4. 【請求項4】 バックコート層の分子構造中に塩素原子
    を持たない結合剤樹脂がフェノキシ樹脂及び/又は極性
    基を有するポリウレタン樹脂である請求項1乃至3のう
    ちのいずれかの項に記載の磁気テープ。
  5. 【請求項5】 支持体の一方の側に強磁性粉末及び分子
    構造中に塩素原子を含有する結合剤樹脂を含む磁性層を
    形成する工程、あるいは該磁性層を、支持体上に非磁性
    粉末及び結合剤を含む実質的に非磁性の非磁性層を介し
    て形成する工程、及び該支持体の他方の側に非磁性粉末
    及び分子構造中に塩素原子を持たない結合剤樹脂を含む
    バックコート層を形成する工程を含む磁気テープの製造
    方法であって、該バックコート層の塗布液の調製を分散
    用ビーズとしてジルコニア粒子を用いて行うことを特徴
    とする磁気テープの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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