JP2000080640A - 薬液注入工法およびこれに用いる注入装置 - Google Patents

薬液注入工法およびこれに用いる注入装置

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JP2000080640A
JP2000080640A JP11195521A JP19552199A JP2000080640A JP 2000080640 A JP2000080640 A JP 2000080640A JP 11195521 A JP11195521 A JP 11195521A JP 19552199 A JP19552199 A JP 19552199A JP 2000080640 A JP2000080640 A JP 2000080640A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】浸透注入による同心円筒状の改良体を造成する
こと、直径で約5m程度の大形の改良体を造成するこ
と。 【解決手段】対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔3
1を形成するとともに、軸方向に間隔を置いて複数のパ
ッカー6,6を外面部に有し、かつ隣接するパッカー
6,6間に注入口7を有する注入管10を挿入孔31内
に相対的に挿入し、隣接する両パッカー6,6を膨出さ
せて挿入孔31壁面に密着させ、このとき隣接パッカー
6,6と挿入孔31壁面と注入管10外面とで囲まれる
領域を空間とした状態で、注入口7から薬液を注入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤改良のための
薬液注入工法およびこれに用いる注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の工法および装置は、主に昭和4
0年代の後半から昭和50年代において多くの改良が加
えられてきた。現在も使用されている代表例はロッド注
入工法、ストレーナ注入工法、および二重管ダブルパッ
カー注入工法である。
【0003】このうち二重管ダブルパッカー注入工法
は、確実な浸透注入を行うことができる点で優れてい
る。
【0004】二重管ダブルパッカー注入においては、予
め対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔を形成し、そ
の挿入孔内に二重管ダブルパッカー注入用注入管(外管
と内管を備える)を挿入する。
【0005】しかし、挿入孔と注入管との間には、クリ
アランスが生じ、薬液を注入したとき、その薬液が地上
に流出してしまうので、予め、そのクリアランスにセメ
ントベントナイト充填材を充填しておき、薬液の圧送圧
によりそのセメントベントナイト充填材を割裂させなが
ら、地盤内に薬液を注入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、セメント
ベントナイト充填材を割裂した薬液は、挿入孔壁面に対
応した地盤と接したきわめて狭く広い面積の部位を通し
て浸透注入する。
【0007】このために注入速度を増大させると、地盤
が薬液も受け入れる浸透許容速度を上回り、地盤内にお
いて割裂が生じ、挿入孔の軸心を中心とした同心円筒状
の改良体を造成できず、地盤の緩み部分に多く注入され
る。その結果、改良体は一般的に楕円状となる。ちなみ
に、浸透許容速度は砂質土地盤では一般的に約10リッ
トル/分である。
【0008】本発明の主たる課題は、浸透注入による横
断面同心円状の改良体を造成すること、注入の各ステー
ジにおいて、直径で約5m程度の球状の大形の改良体を
造成できることにある。この改良体を軸方向に連結また
は連続させるようにすると、直径約5m程度の円筒状の
改良体を造成できる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の請求項1記載の発明は、対象地盤を所定深度まで掘
削して挿入孔を形成するとともに、軸方向に間隔を置い
て複数のパッカーを外面部に有し、かつ隣接するパッカ
ー間に注入口を有する注入管を前記挿入孔内に相対的に
挿入し、前記隣接する両パッカーを膨出させて前記挿入
孔壁面に密着させ、このとき前記隣接パッカーと挿入孔
壁面と注入管外面とで囲まれる領域を空間とした状態
で、前記注入口から薬液を注入することを特徴とする薬
液注入工法である。
【0010】請求項2記載の発明は、対象地盤を所定深
度まで掘削して挿入孔を形成するとともに、先端より基
部側にパッカーを外面部に有し、かつ前記パッカーより
先端側に注入口を有する注入管を前記挿入孔内に相対的
に挿入し、前記パッカーを膨出させて前記挿入孔壁面に
密着させ、このとき前記パッカーと挿入孔壁面と注入管
外面とで囲まれる領域を空間とした状態で、前記注入口
から薬液を注入することを特徴とする薬液注入工法であ
る。
【0011】請求項3記載の発明は、軸方向に間隔を置
いた複数の部位に注入口を有する注入管と、前記注入管
内に挿入し移動可能な注入内管とを用い、前記注入内管
を前記注入管内において軸方向に移動させて、異なる部
位において注入口から薬液を注入する請求項1または2
記載の薬液注入工法である。
【0012】請求項4記載の発明は、軸方向に間隔を置
いて複数のパッカーが外面部に装着され、隣接パッカー
の間にそれぞれ注入口が形成された注入外管と、この外
管に挿入可能であり、吐出口を有しその前後が注入外管
内面に液密に密着し、かつ内部に薬液を圧送する注入内
管とを用い、対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔を
形成するとともに、前記注入外管を前記挿入孔内に相対
的に挿入し、前記注入内管を軸方向に位置移動させなが
ら、次記の(1)および(2)の工程を繰り返すことを
特徴とする薬液注入工法である。 (1)隣接するパッカーのそれぞれについて、パッカー
位置に前記吐出口を位置させてそのパッカーと吐出口と
を連通させた状態で、前記注入内管流路を通して膨出用
流体をパッカー内部に送り込んで膨出させて前記挿入孔
壁面に密着させる工程。 (2)前記注入外管内に注入内管を挿入し、前記パッカ
ーを作用させた状態で、前記注入内管に薬液を圧送して
前記吐出口から吐出させ、前記注入口を通して薬液を注
入する工程。
【0013】請求項5記載の発明は、前記注入外管に透
孔が形成され、この透孔を軸方向に跨いで前記パッカー
が設けられ、そのパッカーの軸方向前後端部が注入外管
に液密に封止され、前記透孔を通して前記パッカー内に
膨出用流体が送り込まれる請求項4記載の薬液注入工法
である。
【0014】請求項6記載の発明は、前記注入外管に透
孔が形成され、この透孔を覆って変形可能なスリーブが
設けられ、このスリーブを軸方向に跨いで前記パッカー
が設けられ、そのパッカーの軸方向前後端部が注入外管
に液密に封止されたものを用い、前記膨出用流体を前記
透孔を通して送り込み、この送り込み時においてスリー
ブが変形させて膨出用流体をパッカー内に流入させ、流
入完了状態において、スリーブを復元させて前記透孔を
閉塞させる請求項4または5記載の薬液注入工法であ
る。
【0015】請求項7記載の発明は、壁面に透孔が形成
され、この透孔を跨ぐパッカーが、軸方向に間隔を置い
て複数外面部に装着され、隣接パッカーの間に注入口が
形成された注入外管と、この注入外管に挿入可能であ
り、注入外管内面に吐出口の前後が液密に密着し、かつ
内部に薬液を圧送する注入内管とを有することを特徴と
する薬液注入装置である。
【0016】請求項8記載の発明は、壁面に透孔が形成
され、透孔を覆って変形可能なスリーブが設けられ、こ
のスリーブを跨ぐ軸方向前後が注入外管に液密に封止さ
れたパッカーが、軸方向に間隔を置いて複数外面部に装
着され、隣接パッカーの間に注入口が形成された外管
と、この注入外管に挿入可能であり、注入外管内面に吐
出口の前後が液密に密着し、かつ内部に薬液を圧送する
注入内管とを有し、前記スリーブは前記透孔を通る膨出
用流体の送り込み圧力により変形可能であり、パッカー
内への膨出用流体流入完了状態において、スリーブが復
元されて前記透孔を閉塞させるように構成した、ことを
特徴とする薬液注入装置である。
【0017】請求項9記載の発明は、前記外管の注入口
が、可撓性スリーブで覆われるか、あるいは薬液の送給
圧により破断する被膜で覆われている請求項6〜8のい
ずれか1項に記載の薬液注入装置である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施の形
態によってさらに詳説する。
【0019】<注入装置例>まず、注入装置について説
明すると、図1は外管10を示し、第1管1の壁面に透
孔4が形成され、この透孔4を覆って変形可能なゴムな
どの可撓性スリーブ5が設けられ、このスリーブ5を跨
いで、軸方向前後がそれぞれ、第1管1と螺合した第2
管2および第3管3に液密に封止されたゴムなどの可撓
性のパッカー6が装着されている。
【0020】図3に示されているように、外管10は単
位管として用意され、単位管の第2管2と他の単位管の
第3管3とが螺合連設されて長尺の注入外管とされる。
【0021】連接注入外管とする場合、パッカー6は軸
方向に間隔を置いて複数、たとえば3個以上外面部に装
着される。さらに、隣接パッカー6,6の間にそれぞれ
注入口7が、図1に示すように、第3管3に形成されて
いる。注入口7は一つのほか、図1に示すように複数、
たとえば4段で各段において90度間隔で合計16個形
成することができる。これらの注入口7,7…は、周辺
地盤からの砂粒子の侵入防止手段を採用することが望ま
しく、この砂粒子の侵入防止手段としては、各段を図1
に示すように、ゴムなどの可撓性スリーブ8で覆う、あ
るいは薬液の送給圧により破断するたとえば塩化ビニル
製の被膜を各段もしくは全体にわたって被覆するなどの
態様を採用できる。
【0022】一方、図1に示すように、注入内管20が
用意される。この注入内管20は外管10に挿入可能で
あり、外管10内面に吐出口22の前後が液密に密着
し、かつ内部に薬液を圧送するものであれば限定されな
いが、その構造例として、単純に、薬液の送給路を有す
る内管主体21の吐出口22の前後に、ゴムなどのパッ
カー部材23,24を設けたもののほか、特公昭63−
44893号公報の第4図に図示されたものをそままま
利用することができる。
【0023】<第1の施工例>かかる注入装置を用いて
施工を行うに際しては、まず、図2に示すように、対象
地盤30を所定深度まで掘削して挿入孔31を形成す
る。この場合、挿入孔31の崩落防止のためにケーシン
グ50を用いて削孔することが望ましい。
【0024】そして、注入外管10を挿入孔31内に挿
入する。
【0025】その後、ケーシング50を用いて挿入孔3
1を形成した場合には、これを撤去する。これにより、
注入外管10を挿入孔31内に相対的に挿入されること
となる。注入外管10は直接またはケーシング50とと
もに建込むことができるので、この意味で注入外管10
を挿入孔31内に「相対的に挿入する」との文言を本発
明において使用するものである。
【0026】しかる後に、パッカー6位置に吐出口22
を位置させてそのパッカー6の透孔4と吐出口22とを
連通させた状態で、注入内管20内の流路を通して膨出
用流体40、好適には固結性材料たとえばセメントもし
くはセメントベントナイトなどを圧送し、隣接するパッ
カー6,6のそれぞれの内部に送り込んでこれらのパッ
カー6,6を膨出させて挿入孔31壁面に密着させる。
【0027】この膨出用流体40の送り込みに際して
は、前述のように、注入内管20を用いてその内部流路
を通して吐出口22から吐出させるほか、他の適宜の手
段を用いることができる。いすれにしても、膨出用流体
40は透孔4を通り、その送給圧によりスリーブ5が変
形し、たとえばそのスリーブ5両端部を第1管1の外面
と離間させながらパッカー6内に送り込まれる。パッカ
ー6が十分に膨出した時点で、膨出用流体40の送り込
みを停止する。すると、スリーブ5は復元して、透孔4
を封止する。このパッカー6の膨出は、少なくとも隣接
パッカー6,6において行えばよいが、必要ならば対象
のパッカーの全てを順次膨出させておいてもよい。
【0028】かかる段取りが終了したならば、あるいは
注入内管20を膨出用流体40の送り込みに用いるので
あればそのまま、注入外管10内に注入内管20を挿入
し、パッカー6,6を作用させた状態で、注入内管20
に膨出用流体40に代えて薬液を圧送して吐出口22か
らから吐出させ、注入口7,7…を通して、可撓性スリ
ーブ8を変形させつつもしくは被膜を破断させて、薬液
を周辺地盤に向かって浸透注入させる。
【0029】薬液の注入に際しては、好適には注入内管
20を外管10の最深部まで挿入し、隣接パッカーをま
たは前述のように全てのパッカーを膨出させた後に、注
入内管20を対応する注入口7,7…形成部位に対応す
る1スナップごと引き上げて順次注入することが望まし
い。逆に、上部から最深部に向かうステップダウン方式
や適宜の選択位置順で上下させる方式を採用できる。
【0030】この場合、従来のように予めセメントベン
トナイト充填材を充填し、薬液の圧送圧によりそのセメ
ントベントナイト充填材を割裂させながら、地盤内に薬
液を注入する方法とは異なり、図5に示すように、隣接
パッカー6,6と挿入孔31壁面と注入外管10外面と
で囲まれる領域は充填材が存在しない空間であるから、
注入口7,7…を通して注入された薬液Gは、隣接パッ
カー6,6間において、比較的広い空間に満たされた状
態で、地盤30内に注入される。
【0031】したがって、その空間に面する挿入孔31
の全体から地盤30内に浸透するので、仮に高い注入速
度であっても割裂を生じることなく浸透することが実験
の結果から判明した。その結果、一つの注入ゾーンから
大量の薬液を注入することが可能となり、地盤内に浸透
した薬液は遠くまで浸透注入されることが判明した。実
験の結果では、注入径として約5mを得ることができ
た。
【0032】薬液として、水ガラス系の薬液、特にシリ
カゾル系薬液を用いることが浸透注入の点で好ましい。
土中のゲルタイムとしては1〜10時間程度が望まし
い。注入速度としては、40リットル/分程度まで注入
できる。
【0033】パッカーの膨出用流体としては、セメント
ベントナイトのほか、水や空気を用いることもできる
が、セメントベントナイトであると、これがやがて硬化
し、強固にパッカー6を挿入孔31の孔壁面に密着させ
ることができる点で好ましい。パッカー6,6間の寸法
としては、10cm〜2m、特に好ましくは25〜50cm
程度とすることができる。
【0034】図7に示すように、パッカー6とパッカー
6,6間寸法の合計長は、目標の改良体Zの直径(たと
えば5〜6m程度)にほぼ一致させるのが好ましい。
【0035】<第2の施工例>本発明は、臨海地区のほ
ぼ均一の砂地盤において液状化対策や地盤強化のための
工法として特に有効であるが、その地盤が、たとえば図
8に示すように、砂礫層などを含んでいる場合には、透
水係数がより大きい当該砂礫層を通して薬液が逸走する
可能性がある。そこで、主パッカー6長の中間または中
央を挟んで、分割パッカー6A,6Aに分割し、その間
に副注入口7Aを形成し、この副注入口7Aを砂礫層に
位置させ、分割パッカー6A,6Aを膨出した後に、副
注入口7Aからセメントベントナイトや数秒〜数分のゲ
ルタイムを示す瞬結材などを注入し、砂礫層に荒詰め
し、続いて、主注入口7から薬液を注入すると、薬液に
逸走を生じることなく、均一な改良体を造成できる。
【0036】<第3の施工例>改良体は、図6に示すよ
うに、軸方向に連続的にほか、図9に示すように、不連
続的に造成するものでもよい。この場合、同図のよう
に、隣接パッカー6,6間を飛ばして次の隣接パッカー
6,6間において薬液を注入するとき、飛ばそうとする
隣接パッカー6,6間に、予めセメントベントナイトな
どのシールグラウト材Xを注入して孔壁との間に充填し
ておくのが望ましい。これにより、次の隣接パッカー
6,6間において注入する薬液が、パッカー6と孔壁を
通って、飛ばした隣接パッカー6,6間に回り込むこと
を防止できる。
【0037】<第4の施工例>本発明において、一つの
注入場所当り1つの改良体を造成するものでもよい。こ
のとき、図10に示すように、先端より基部側にパッカ
ー6を外面部に有し、かつこのパッカー6より先端側に
注入口7を有する注入管10を挿入孔31内に相対的に
挿入し、パッカー6を膨出させて挿入孔31壁面に密着
させ、このときパッカー6と挿入孔31壁面と注入管1
0外面とで囲まれる領域を空間とした状態で、注入口7
から薬液を注入するようにしてもよい。
【0038】(本発明の注入原理)前述の利点をもたら
す本発明の注入原理を改めて説明すると、図11(A)
に示すように、従来の二重管ダブルパッカー注入工法
は、予め孔壁との間にセメントベントナイト充填材Sを
充填し、薬液の圧送圧によりそのセメントベントナイト
充填材Sを割裂させながら、地盤内に薬液Gを注入する
方法ものである。したがって、充填材Sの割裂部位はご
く少数であり、その割裂部位からのみ薬液Gが注入され
るため、地盤に対する浸透面積は割裂部位に面する面積
の合計であり、浸透面積はきわめて小さい。
【0039】これに対して、本発明では、図11(B)
に示すように、充填材Sを充填していない空間全体から
薬液Gを注入するものであるために、薬液Gがその広い
空間に満たされつつ地盤30内に注入される。したがっ
て、その空間に面する挿入孔31の全体を浸透対象面積
として浸透注入されるので、一つの注入ゾーンから大量
の薬液を注入することが可能となり、地盤内に浸透した
薬液は遠くまで浸透注入される。
【0040】実際に、従来の二重管ダブルパッカー注入
工法と本発明の注入工法とを、吐出量と注入圧力との関
係を比較すると、表1及び図12の結果が得られた。こ
の結果からも、上記の本発明の注入原理が確認できた。
【0041】
【表1】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、浸透注
入による同心円筒状の改良体を造成することができると
ともに、たとえば直径で約5m程度の大形の改良体を造
成できるなどの利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】注入装置例の縦断面図である。
【図2】本発明方法の第1段階の説明図である。
【図3】本発明方法の第2段階の説明図である。
【図4】本発明方法の第3段階の説明図である。
【図5】注入部分及び注入状態の要部説明図である。
【図6】改良体の造成終了段階の説明図である。
【図7】パッカー長と改良体の直径との関係の説明図で
ある。
【図8】第2の施工例の説明図である。
【図9】第3の施工例の説明図である。
【図10】第4の施工例の説明図である。
【図11】従来例との対比の下で本発明の注入原理の説
明図である。
【図12】従来の二重管ダブルパッカー注入工法と本発
明の注入工法とを、吐出量と注入圧力との関係での比較
結果のグラフである。
【符号の説明】
1…第1管、2…第2管、3…第3管、4…透孔、5…
スリーブ、6…パッカー 7…注入口、8…皮膜、10…外管、20…注入内管、
21…内管主体、22…突出口、23、24…パッカー
部材、30…対象地盤、31…挿入孔、40…膨張用流
体、50…ケーシング、G…薬液、Z…改良体。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年7月30日(1999.7.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】薬液注入工法およびこれに用いる注入装
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤改良のための
薬液注入工法およびこれに用いる注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の工法および装置は、主に昭和4
0年代の後半から昭和50年代において多くの改良が加
えられてきた。現在も使用されている代表例はロッド注
入工法、ストレーナ注入工法、および二重管ダブルパッ
カー注入工法である。
【0003】このうち二重管ダブルパッカー注入工法
は、確実な浸透注入を行うことができる点で優れてい
る。
【0004】二重管ダブルパッカー注入においては、予
め対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔を形成し、そ
の挿入孔内に二重管ダブルパッカー注入用注入管(外管
と内管を備える)を挿入する。
【0005】しかし、挿入孔と注入管との間には、クリ
アランスが生じ、薬液を注入したとき、その薬液が地上
に流出してしまうので、予め、そのクリアランスにセメ
ントベントナイト充填材を充填しておき、薬液の圧送圧
によりそのセメントベントナイト充填材を割裂させなが
ら、地盤内に薬液を注入する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、セメント
ベントナイト充填材を割裂した薬液は、挿入孔壁面に対
応した地盤と接したきわめて狭い面積の部位のみを通し
て浸透注入する。
【0007】このために注入速度を増大させると、地盤
が薬液も受け入れる浸透許容速度を上回り、地盤内にお
いて割裂が生じ、挿入孔の軸心を中心とした同心円筒状
の改良体を造成できず、地盤の緩み部分に多く注入され
る。その結果、改良体は一般的に楕円状となる。ちなみ
に、浸透許容速度は砂質土地盤では一般的に約10リッ
トル/分である。
【0008】本発明の主たる課題は、浸透注入による横
断面同心円状の改良体を造成すること、注入の各ステー
ジにおいて、直径で約5m程度の球状の大形の改良体を
造成することにある。この改良体を軸方向に連結または
連続させるようにすると、直径約5m程度の円筒状の改
良体を造成できる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の請求項1記載の発明は、対象地盤を所定深度まで掘
削して挿入孔を形成するとともに、軸方向に間隔を置い
て複数のパッカーを外面部に有し、かつ隣接するパッカ
ー間に注入口を有する注入管を前記挿入孔内に相対的に
挿入し、前記隣接する両パッカーを膨出させて前記挿入
孔壁面に密着させ、このとき前記隣接パッカーと挿入孔
壁面と注入管外面とで囲まれる領域を空間とした状態
で、前記注入口から薬液を注入することを特徴とする薬
液注入工法である。
【0010】請求項2記載の発明は、対象地盤を所定深
度まで掘削して挿入孔を形成するとともに、先端より基
部側にパッカーを外面部に有し、かつ前記パッカーより
先端側に注入口を有する注入管を前記挿入孔内に相対的
に挿入し、前記パッカーを膨出させて前記挿入孔壁面に
密着させ、このとき前記パッカーと挿入孔壁面と注入管
外面とで囲まれる領域を空間とした状態で、前記注入口
から薬液を注入することを特徴とする薬液注入工法であ
る。
【0011】請求項3記載の発明は、軸方向に間隔を置
いた複数の部位に注入口を有する注入管と、前記注入管
内に挿入し移動可能な注入内管とを用い、前記注入内管
を前記注入管内において軸方向に移動させて、異なる部
位において注入口から薬液を注入する請求項1または2
記載の薬液注入工法である。
【0012】請求項4記載の発明は、軸方向に間隔を置
いて複数のパッカーが外面部に装着され、隣接パッカー
の間にそれぞれ注入口が形成された注入外管と、この外
管に挿入可能であり、吐出口を有しその前後が注入外管
内面に液密に密着し、かつ内部に薬液を圧送する注入内
管とを用い、対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔を
形成するとともに、前記注入外管を前記挿入孔内に相対
的に挿入し、前記注入内管を軸方向に位置移動させなが
ら、次記の(1)および(2)の工程を繰り返すことを
特徴とする薬液注入工法である。 (1)隣接するパッカーのそれぞれについて、パッカー
位置に前記吐出口を位置させてそのパッカーと吐出口と
を連通させた状態で、前記注入内管流路を通して膨出用
流体をパッカー内部に送り込んで膨出させて前記挿入孔
壁面に密着させる工程。 (2)前記注入外管内に注入内管を挿入し、前記パッカ
ーを作用させた状態で、前記注入内管に薬液を圧送して
前記吐出口から吐出させ、前記注入口を通して薬液を注
入する工程。
【0013】請求項5記載の発明は、前記注入外管に透
孔が形成され、この透孔を軸方向に跨いで前記パッカー
が設けられ、そのパッカーの軸方向前後端部が注入外管
に液密に封止され、前記透孔を通して前記パッカー内に
膨出用流体が送り込まれる請求項4記載の薬液注入工法
である。
【0014】請求項6記載の発明は、前記注入外管に透
孔が形成され、この透孔を覆って変形可能なスリーブが
設けられ、このスリーブを軸方向に跨いで前記パッカー
が設けられ、そのパッカーの軸方向前後端部が注入外管
に液密に封止されたものを用い、前記膨出用流体を前記
透孔を通して送り込み、この送り込み時においてスリー
ブが変形させて膨出用流体をパッカー内に流入させ、流
入完了状態において、スリーブを復元させて前記透孔を
閉塞させる請求項4または5記載の薬液注入工法であ
る。
【0015】請求項7記載の発明は、注入速度を10リ
ットル/分を超え40リットル/分以下とする請求項1
〜6のいずれか1項記載の薬液注入工法である。
【0016】請求項8記載の発明は、壁面に透孔が形成
され、この透孔を跨ぐパッカーが、軸方向に間隔を置い
て複数外面部に装着され、隣接パッカーの間に注入口が
形成された注入外管と、この注入外管に挿入可能であ
り、注入外管内面に吐出口の前後が液密に密着し、かつ
内部に薬液を圧送する注入内管とを有することを特徴と
する薬液注入装置である。
【0017】請求項9記載の発明は、壁面に透孔が形成
され、透孔を覆って変形可能なスリーブが設けられ、こ
のスリーブを跨ぐ軸方向前後が注入外管に液密に封止さ
れたパッカーが、軸方向に間隔を置いて複数外面部に装
着され、隣接パッカーの間に注入口が形成された外管
と、この注入外管に挿入可能であり、注入外管内面に吐
出口の前後が液密に密着し、かつ内部に薬液を圧送する
注入内管とを有し、前記スリーブは前記透孔を通る膨出
用流体の送り込み圧力により変形可能であり、パッカー
内への膨出用流体流入完了状態において、スリーブが復
元されて前記透孔を閉塞させるように構成した、ことを
特徴とする薬液注入装置である。
【0018】請求項10記載の発明は、前記外管の注入
口が、可撓性スリーブで覆われるか、あるいは薬液の送
給圧により破断する被膜で覆われている請求項8または
9記載の薬液注入装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に示す実施の形
態によってさらに詳説する。
【0020】<注入装置例>まず、注入装置について説
明すると、図1は外管10を示し、第1管1の壁面に透
孔4が形成され、この透孔4を覆って変形可能なゴムな
どの可撓性スリーブ5が設けられ、このスリーブ5を跨
いで、軸方向前後がそれぞれ、第1管1と螺合した第2
管2および第3管3に液密に封止されたゴムなどの可撓
性のパッカー6が装着されている。
【0021】図3に示されているように、外管10は単
位管として用意され、単位管の第2管2と他の単位管の
第3管3とが螺合連設されて長尺の注入外管とされる。
【0022】連設注入外管とする場合、パッカー6は軸
方向に間隔を置いて複数、たとえば3個以上外面部に装
着される。さらに、隣接パッカー6,6の間にそれぞれ
注入口7が、図1に示すように、第3管3に形成されて
いる。注入口7は一つのほか、図1に示すように複数、
たとえば4段で各段において90度間隔で合計16個形
成することができる。これらの注入口7,7…は、周辺
地盤からの砂粒子の侵入防止手段を採用することが望ま
しく、この砂粒子の侵入防止手段としては、各段を図1
に示すように、ゴムなどの可撓性スリーブ8で覆う、あ
るいは薬液の送給圧により破断するたとえば塩化ビニル
製の被膜を各段もしくは全体にわたって被覆するなどの
態様を採用できる。
【0023】一方、図1に示すように、注入内管20が
用意される。この注入内管20は外管10に挿入可能で
あり、外管10内面に吐出口22の前後が液密に密着
し、かつ内部に薬液を圧送するものであれば限定されな
いが、その構造例として、単純に、薬液の送給路を有す
る内管主体21の吐出口22の前後に、ゴムなどのパッ
カー部材23,24を設けたもののほか、特公昭63−
44893号公報の第4図に図示されたものをそままま
利用することができる。
【0024】<第1の施工例>かかる注入装置を用いて
施工を行うに際しては、まず、図2に示すように、対象
地盤30を所定深度まで掘削して挿入孔31を形成す
る。この場合、挿入孔31の崩落防止のためにケーシン
グ50を用いて削孔することが望ましい。
【0025】そして、注入外管10を挿入孔31内に挿
入する。
【0026】その後、ケーシング50を用いて挿入孔3
1を形成した場合には、これを撤去する。これにより、
注入外管10を挿入孔31内に相対的に挿入されること
となる。注入外管10は直接またはケーシング50とと
もに建込むことができるので、この意味で注入外管10
を挿入孔31内に「相対的に挿入する」との文言を本発
明において使用するものである。
【0027】しかる後に、パッカー6位置に吐出口22
を位置させてそのパッカー6の透孔4と吐出口22とを
連通させた状態で、注入内管20内の流路を通して膨出
用流体40、好適には固結性材料たとえばセメントもし
くはセメントベントナイトなどを圧送し、隣接するパッ
カー6,6のそれぞれの内部に送り込んでこれらのパッ
カー6,6を膨出させて挿入孔31壁面に密着させる。
【0028】この膨出用流体40の送り込みに際して
は、前述のように、注入内管20を用いてその内部流路
を通して吐出口22から吐出させるほか、他の適宜の手
段を用いることができる。いすれにしても、膨出用流体
40は透孔4を通り、その送給圧によりスリーブ5が変
形し、たとえばそのスリーブ5両端部を第1管1の外面
と離間させながらパッカー6内に送り込まれる。パッカ
ー6が十分に膨出した時点で、膨出用流体40の送り込
みを停止する。すると、スリーブ5は復元して、透孔4
を封止する。このパッカー6の膨出は、少なくとも隣接
パッカー6,6において行えばよいが、必要ならば対象
のパッカーの全てを順次膨出させておいてもよい。
【0029】かかる段取りが終了したならば、あるいは
注入内管20を膨出用流体40の送り込みに用いるので
あればそのまま、注入外管10内に注入内管20を挿入
し、パッカー6,6を作用させた状態で、注入内管20
に膨出用流体40に代えて薬液を圧送して吐出口22か
らから吐出させ、注入口7,7…を通して、可撓性スリ
ーブ8を変形させつつもしくは被膜を破断させて、薬液
を周辺地盤に向かって浸透注入させる。
【0030】薬液の注入に際しては、好適には注入内管
20を外管10の最深部まで挿入し、隣接パッカーをま
たは前述のように全てのパッカーを膨出させた後に、注
入内管20を対応する注入口7,7…形成部位に対応す
る1スナップごと引き上げて順次注入することが望まし
い。逆に、上部から最深部に向かうステップダウン方式
や適宜の選択位置順で上下させる方式を採用できる。
【0031】この場合、従来のように予めセメントベン
トナイト充填材を充填し、薬液の圧送圧によりそのセメ
ントベントナイト充填材を割裂させながら、地盤内に薬
液を注入する方法とは異なり、図5に示すように、隣接
パッカー6,6と挿入孔31壁面と注入外管10外面と
で囲まれる領域は充填材が存在しない空間であるから、
注入口7,7…を通して注入された薬液Gは、隣接パッ
カー6,6間において、比較的広い空間に満たされた状
態で、地盤30内に注入される。
【0032】したがって、その空間に面する挿入孔31
の全体から地盤30内に浸透するので、仮に高い注入速
度であっても割裂を生じることなく浸透することが実験
の結果から判明した。その結果、一つの注入ゾーンから
大量の薬液を注入することが可能となり、地盤内に浸透
した薬液は遠くまで浸透注入されることが判明した。実
験の結果では、注入径として約5mを得ることができ
た。
【0033】薬液として、水ガラス系の薬液、特にシリ
カゾル系薬液を用いることが浸透注入の点で好ましい。
土中のゲルタイムとしては1〜10時間程度が望まし
い。注入速度(地盤からみれば浸透許容速度)として
は、40リットル/分程度まで注入できる。
【0034】パッカーの膨出用流体としては、セメント
ベントナイトのほか、水や空気を用いることもできる
が、セメントベントナイトであると、これがやがて硬化
し、強固にパッカー6を挿入孔31の孔壁面に密着させ
ることができる点で好ましい。パッカー6,6間の寸法
としては、10cm〜2m、特に好ましくは25〜50cm
程度とすることができる。
【0035】図7に示すように、パッカー6とパッカー
6,6間寸法の合計長は、目標の改良体Zの直径(たと
えば5〜6m程度)にほぼ一致させるのが好ましい。
【0036】<第2の施工例>本発明は、臨海地区のほ
ぼ均一の砂地盤において液状化対策や地盤強化のための
工法として特に有効であるが、その地盤が、たとえば図
8に示すように、砂礫層などを含んでいる場合には、透
水係数がより大きい当該砂礫層を通して薬液が逸走する
可能性がある。そこで、主パッカー6長の中間または中
央を挟んで、分割パッカー6A,6Aに分割し、その間
に副注入口7Aを形成し、この副注入口7Aを砂礫層に
位置させ、分割パッカー6A,6Aを膨出した後に、副
注入口7Aからセメントベントナイトや数秒〜数分のゲ
ルタイムを示す瞬結材などを注入し、砂礫層に荒詰め
し、続いて、主注入口7から薬液を注入すると、薬液に
逸走を生じることなく、均一な改良体を造成できる。
【0037】<第3の施工例>改良体は、図6に示すよ
うに、軸方向に連続的にほか、図9に示すように、不連
続的に造成するものでもよい。この場合、同図のよう
に、隣接パッカー6,6間を飛ばして次の隣接パッカー
6,6間において薬液を注入するとき、飛ばそうとする
隣接パッカー6,6間に、予めセメントベントナイトな
どのシールグラウト材Xを注入して孔壁との間に充填し
ておくのが望ましい。これにより、次の隣接パッカー
6,6間において注入する薬液が、パッカー6と孔壁を
通って、飛ばした隣接パッカー6,6間に回り込むこと
を防止できる。
【0038】<第4の施工例>本発明において、一つの
注入場所当り1つの改良体を造成するものでもよい。こ
のとき、図10に示すように、先端より基部側にパッカ
ー6を外面部に有し、かつこのパッカー6より先端側に
注入口7を有する注入管10を挿入孔31内に相対的に
挿入し、パッカー6を膨出させて挿入孔31壁面に密着
させ、このときパッカー6と挿入孔31壁面と注入管1
0外面とで囲まれる領域を空間とした状態で、注入口7
から薬液を注入するようにしてもよい。
【0039】(本発明の注入原理)前述の利点をもたら
す本発明の注入原理を改めて説明すると、図11(A)
に示すように、従来の二重管ダブルパッカー注入工法
は、予め孔壁との間にセメントベントナイト充填材Sを
充填し、薬液の圧送圧によりそのセメントベントナイト
充填材Sを割裂させながら、地盤内に薬液Gを注入する
方法ものである。したがって、充填材Sの割裂部位はご
く少数であり、その割裂部位からのみ薬液Gが注入され
るため、地盤に対する浸透面積は割裂部位に面する面積
の合計であり、浸透面積はきわめて小さい。
【0040】これに対して、本発明では、図11(B)
に示すように、充填材Sを充填していない空間全体から
薬液Gを注入するものであるために、薬液Gがその広い
空間に満たされつつ地盤30内に注入される。したがっ
て、その空間に面する挿入孔31の全体を浸透対象面積
として浸透注入されるので、一つの注入ゾーンから大量
の薬液を注入することが可能となり、地盤内に浸透した
薬液は遠くまで浸透注入される。
【0041】実際に、従来の二重管ダブルパッカー注入
工法と本発明の注入工法とを、吐出量と注入圧力との関
係を比較すると、表1及び図12の結果が得られた。こ
の結果からも、上記の本発明の注入原理が確認できた。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、浸透注
入による同心円筒状の改良体を造成することができると
ともに、たとえば直径で約5m程度の大形の改良体を造
成できるなどの利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】注入装置例の縦断面図である。
【図2】本発明方法の第1段階の説明図である。
【図3】本発明方法の第2段階の説明図である。
【図4】本発明方法の第3段階の説明図である。
【図5】注入部分及び注入状態の要部説明図である。
【図6】改良体の造成終了段階の説明図である。
【図7】パッカー長と改良体の直径との関係の説明図で
ある。
【図8】第2の施工例の説明図である。
【図9】第3の施工例の説明図である。
【図10】第4の施工例の説明図である。
【図11】従来例との対比の下で本発明の注入原理の説
明図である。
【図12】従来の二重管ダブルパッカー注入工法と本発
明の注入工法とを、吐出量と注入圧力との関係での比較
結果のグラフである。
【符号の説明】 1…第1管、2…第2管、3…第3管、4…透孔、5…
スリーブ、6…パッカー 7…注入口、8…皮膜、10…外管、20…注入内管、
21…内管主体、22…吐出口、23、24…パッカー
部材、30…対象地盤、31…挿入孔、40…膨張用流
体、50…ケーシング、G…薬液、Z…改良体。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔を
    形成するとともに、軸方向に間隔を置いて複数のパッカ
    ーを外面部に有し、かつ隣接するパッカー間に注入口を
    有する注入管を前記挿入孔内に相対的に挿入し、前記隣
    接する両パッカーを膨出させて前記挿入孔壁面に密着さ
    せ、このとき前記隣接パッカーと挿入孔壁面と注入管外
    面とで囲まれる領域を空間とした状態で、前記注入口か
    ら薬液を注入することを特徴とする薬液注入工法。
  2. 【請求項2】対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔を
    形成するとともに、先端より基部側にパッカーを外面部
    に有し、かつ前記パッカーより先端側に注入口を有する
    注入管を前記挿入孔内に相対的に挿入し、前記パッカー
    を膨出させて前記挿入孔壁面に密着させ、このとき前記
    パッカーと挿入孔壁面と注入管外面とで囲まれる領域を
    空間とした状態で、前記注入口から薬液を注入すること
    を特徴とする薬液注入工法。
  3. 【請求項3】軸方向に間隔を置いた複数の部位に注入口
    を有する注入管と、前記注入管内に挿入し移動可能な注
    入内管とを用い、前記注入内管を前記注入管内において
    軸方向に移動させて、異なる部位において注入口から薬
    液を注入する請求項1または2記載の薬液注入工法。
  4. 【請求項4】軸方向に間隔を置いて複数のパッカーが外
    面部に装着され、隣接パッカーの間にそれぞれ注入口が
    形成された注入外管と、この外管に挿入可能であり、吐
    出口を有しその前後が注入外管内面に液密に密着し、か
    つ内部に薬液を圧送する注入内管とを用い、 対象地盤を所定深度まで掘削して挿入孔を形成するとと
    もに、前記注入外管を前記挿入孔内に相対的に挿入し、 前記注入内管を軸方向に位置移動させながら、次記の
    (1)および(2)の工程を繰り返すことを特徴とする
    薬液注入工法。 (1)隣接するパッカーのそれぞれについて、パッカー
    位置に前記吐出口を位置させてそのパッカーと吐出口と
    を連通させた状態で、前記注入内管流路を通して膨出用
    流体をパッカー内部に送り込んで膨出させて前記挿入孔
    壁面に密着させる工程。 (2)前記注入外管内に注入内管を挿入し、前記パッカ
    ーを作用させた状態で、前記注入内管に薬液を圧送して
    前記吐出口から吐出させ、前記注入口を通して薬液を注
    入する工程。
  5. 【請求項5】前記注入外管に透孔が形成され、この透孔
    を軸方向に跨いで前記パッカーが設けられ、そのパッカ
    ーの軸方向前後端部が注入外管に液密に封止され、前記
    透孔を通して前記パッカー内に膨出用流体が送り込まれ
    る請求項4記載の薬液注入工法。
  6. 【請求項6】前記注入外管に透孔が形成され、この透孔
    を覆って変形可能なスリーブが設けられ、このスリーブ
    を軸方向に跨いで前記パッカーが設けられ、そのパッカ
    ーの軸方向前後端部が注入外管に液密に封止されたもの
    を用い、 前記膨出用流体を前記透孔を通して送り込み、この送り
    込み時においてスリーブが変形させて膨出用流体をパッ
    カー内に流入させ、流入完了状態において、スリーブを
    復元させて前記透孔を閉塞させる請求項4または5記載
    の薬液注入工法。
  7. 【請求項7】壁面に透孔が形成され、この透孔を跨ぐパ
    ッカーが、軸方向に間隔を置いて複数外面部に装着さ
    れ、隣接パッカーの間に注入口が形成された注入外管
    と、 この注入外管に挿入可能であり、注入外管内面に吐出口
    の前後が液密に密着し、かつ内部に薬液を圧送する注入
    内管とを有することを特徴とする薬液注入装置。
  8. 【請求項8】壁面に透孔が形成され、透孔を覆って変形
    可能なスリーブが設けられ、このスリーブを跨ぐ軸方向
    前後が注入外管に液密に封止されたパッカーが、軸方向
    に間隔を置いて複数外面部に装着され、隣接パッカーの
    間に注入口が形成された外管と、 この注入外管に挿入可能であり、注入外管内面に吐出口
    の前後が液密に密着し、かつ内部に薬液を圧送する注入
    内管とを有し、 前記スリーブは前記透孔を通る膨出用流体の送り込み圧
    力により変形可能であり、パッカー内への膨出用流体流
    入完了状態において、スリーブが復元されて前記透孔を
    閉塞させるように構成した、 ことを特徴とする薬液注入装置。
  9. 【請求項9】前記外管の注入口が、可撓性スリーブで覆
    われるか、あるいは薬液の送給圧により破断する被膜で
    覆われている請求項6〜8のいずれか1項に記載の薬液
    注入装置。
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