JP2005314938A - 薬液注入装置およびそれを用いた地盤強化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 薬液の柱状浸透源を大きくとることができて、大きな吐出量を確保でき、短時間で一気に大きな改良体を作ることが可能となって施工性の向上が図れるだけでなく、経済的にも優れた施工ができる。
【解決手段】 軸方向に間隔をおいて削孔径よりも大きく膨出する複数の透水性のパッカー4となる袋体を備えた注入外管1と、注入外管1に挿入可能な注入内管2とで構成され、この注入内管2から固化材を袋体内に充填して袋体を膨張させ周辺地盤を圧密するとともにパッカー4を形成し、このパッカー4間に固化材を注入して所定領域を注入固化する薬液注入装置において、前記隣接パッカー4間で注入外管1に形成した注入口を、縦状のスリット7aを設けた可撓性スリーブ7で被覆した。
【選択図】 図3
【解決手段】 軸方向に間隔をおいて削孔径よりも大きく膨出する複数の透水性のパッカー4となる袋体を備えた注入外管1と、注入外管1に挿入可能な注入内管2とで構成され、この注入内管2から固化材を袋体内に充填して袋体を膨張させ周辺地盤を圧密するとともにパッカー4を形成し、このパッカー4間に固化材を注入して所定領域を注入固化する薬液注入装置において、前記隣接パッカー4間で注入外管1に形成した注入口を、縦状のスリット7aを設けた可撓性スリーブ7で被覆した。
【選択図】 図3
Description
本発明は、薬液注入装置およびそれを用いた地盤強化方法に関するものである。
大深度地下の周辺地盤や地下水の存在などにより流動性を帯びた不安定な地盤を安定させるための地盤強化方法として、目標とする所定領域の地盤中に固結材を注入する方法がある(例えば特許文献1参照)。
これは、所定領域の地盤中に固結材を地盤全体に亘って注入する工程と、この所定領域中に、あるいは所定領域を貫通して中空管とその先端に装着される膨張自在な袋体とからなるアンカー体を複数本埋設し、その中空管を通じて袋体の内部に固結材を充填し、袋体を膨張させてその周辺地盤を圧密強化する工程とを併用して所定領域の地盤を強化するものである。
前記袋体は、場合に応じて中空管の中間部にも装着されるものであり、袋体が挿入される削孔内の、中空管の回りの空隙には必要により袋体の膨張前または膨張後に固結材が充填される。この固結材の充填は、中空管の内部に挿入してある内管から中空管の周面に穿設した複数個の吐出孔を介して目標地盤に対して行われる。
ところで、地中にグラウトを注入するグラウト注入方法で、注入外管の外側に弾性体で形成された被覆膜を設け、その被覆膜に縦スリット状の吐出孔を設け、注入内管に注入したグラウトを注入外管の貫通孔から被覆膜に設けた縦スリットを介して吐出し、縦方向にグラウト脈を形成するようにしたものもある(例えば特許文献2参照)。
特許第2509005号公報
特許第2728363号公報
特許文献1に記載の方法は、中空管の周囲で袋体間に形成される空隙に固結材を吐出するものであるが、吐出孔からスポット的に吐出されるものであるため、浸透面積が小さく、吐出量を大きくできず、改良体を形成するのに長時間を要するだけでなく、大きな改良体を形成することが困難である。特に柱状の改良体を形成したい場合、鉛直方向への浸透面積を大きく確保することが難しい。
なお、特許文献2に記載のように吐出のための開口を縦方向に直線状に形成した切込みによる縦スリット状に形成すれば、縦方向への吐出量を大きくできないこともないが、特許文献2に記載の技術は、グラウト脈を縦方向に形成するために縦スリット形状にしたものであり、これだけでは吐出量を大きくして大きな改良体を一気に造成することは困難である。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、大きな空間に効率よく注入材を充填させ、削孔壁全周面を浸透源とした柱状浸透を可能とするため、例えば縦方向に吐出口を連続させた吐出孔を設けることで、施工性の向上が図れるだけでなく、経済的にも優れる薬液注入装置およびそれを用いた地盤強化方法を提供することにある。
前記従来例の不都合を解消するため、請求項1記載の本発明は、薬液注入装置として、軸方向に間隔をおいて削孔径よりも大きく膨出する複数の透水性の袋体を備えた注入外管と、注入外管に挿入可能な注入内管とで構成され、この注入内管から固化材を袋体内に充填して袋体を膨張させ周辺地盤を圧密するとともにパッカーを形成し、このパッカー間に固化材を注入して所定領域を注入固化する薬液注入装置において、前記隣接袋体間で注入外管に形成した注入口を、縦状のスリットを設けた可撓性スリーブで被覆したことを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、薬液は縦状のスリットをから効率よく削孔壁と注入孔の空間に充填されるから、柱状浸透源を大きくとることができ、吐出量を大きくしても単位面積当たりの浸透速度は見かけ上小さくなり、注入圧力も小さくなるから、ゆっくりとしっかりした浸透注入ができ、大きな改良体を一気に確実に作ることができる。
請求項2記載の発明は、前記縦状のスリットは、縦方向に直線状に形成した切込みによるものであることを要旨とするものである。
請求項2記載の本発明によれば、スリーブに切込みを入れるだけの簡単な構造で縦状のスリットが形成できる。
請求項3記載の発明は、前記縦状のスリットは、横方向の小さな切込みの複数を縦方向に並列させた集合によるものであることを要旨とするものである。
請求項3記載の本発明によれば、横方向の長さの短い切込みを縦方向に複数並列させることで、全体とては縦状のスリットが形成でき、この場合は、横方向にもある程度の長さを確保できるから、所定の吐出量を確実に得ることができる。
請求項4記載の本発明は、地盤強化方法として、軸方向に間隔をおいて削孔径よりも大きく膨出する複数の透水性の袋体を備えた注入外管と、注入外管に挿入可能な注入内管とで構成され、この注入内管から固化材を袋体内に充填して袋体を膨張させ周辺地盤を圧密するとともにパッカーを形成し、このパッカー間に固化材を注入して所定領域を注入固化する薬液注入装置を用いて、対象地盤を所定深度までケーシング削孔して挿入孔を形成した後、前記注入外管を前記挿入孔内に挿入し、注入内管に設けた吐出口からパッカーグラウト材を袋体内に注入し、袋体を膨出させて前記挿入孔壁面に密着させた後、注入内管を軸方向に移動させて注入内管の複数の吐出口を隣接する複数の袋体間にそれぞれ位置させ、注入内管に薬液を圧送して前記吐出口から吐出させ、注入外管の注入口を通して複数の縦状のスリットから薬液を周囲の地盤に同時注入し、鉛直方向で複数箇所に同時に改良体を作成することを要旨とするものである。
請求項4記載の本発明によれば、薬液はスポット的な吐出口ではなく、これより大きな面積を有する空間に縦状のスリットを通って充填され周囲の地盤に注入されるから、柱状浸透源を大きくとることができ、吐出量を大きくしても単位面積当たりの浸透速度は見かけ上小さくなり、注入圧力も小さくなるから、ゆっくりとしっかりした浸透注入ができ、しかも吐出方向が縦方向であるから鉛直方向の浸透面積を大きく確保できて、大きな縦の柱状の改良体を一気に確実に作ることができる。これに加えて、複数の袋体間の空隙に同時に薬液を注入することで、鉛直方向で同時に改良体を作成でき、さらに大きな柱状の改良体を一度で作ることができる。
本発明の薬液注入装置およびそれを用いた地盤強化方法は、薬液はスポット的な吐出口ではなく、これより大きな面積を有する空間に縦状のスリットを通って充填され周囲の地盤に注入されるから、柱状浸透源を大きくとることができて、大きな吐出量を確保でき、吐出量を大きくしても単位面積当たりの浸透速度は見かけ上小さくなり、注入圧力も小さくなるから、ゆっくりとしっかりした浸透注入ができ、しかも吐出方向が縦方向であることに加えて、複数の袋体間の複数の空隙箇所を同時に改良できるから、短時間で一気に大きな改良体を作ることが可能となって施工性の向上が図れるだけでなく、経済的にも優れる。
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の薬液注入装置の実施形態を示す分解正面図で、本発明の薬液注入装置は、注入外管1と、この注入外管1内にスライド自在に挿入される注入内管2とで構成され、注入外管1は、中空管3の軸方向に間隔をおいて複数の袋体であるパッカー4が外面部に装着され、隣接パッカー4間およびパッカー4内にそれぞれ注入口(図1においては図示せず)が形成される。
パッカー4は、図2に示すように例えば長さ1mに形成して少なくとも中間部を締め付けた複数(図2に示す例では二連)の袋体とし、上下の区分内にそれぞれ中空管3の注入口5が開口するように構成する。なお、1mの袋体を一連ものとしてそのまま使用することもある。また、材質としては、固化材の一部が通過する透水性のものとし、この透水性の袋体として織布、不織布、網体などが使用され、後述の削孔径よりも大きく膨出するような径に形成する。
パッカー4間に形成する注入口は、注入外管1を形成する中空管3の周方向に例えば2〜4箇所、放射状の配置で円形のものを設け、この注入口の外側を図2に示すように、ゴムなどを材質とする可撓性スリーブであるスリット盤7で覆う。このスリット盤7には薬液の吐出口となる縦状のスリット7aを設けた。このスリット盤7は、例えばパッカー4間の間隔が1mの場合、300mmのものを上下に位置させて2個取付ける。縦状のスリット7aの長さは、縦方向に100〜200mm程度の直線状に形成した切込みによるもの、または、図5に示すような横方向の小さな切込みの複数を縦方向に並列させた集合によるものとする。
注入内管2は、図1に示すように、吐出口9を有しその前後をパッカー部10としてこのパッカー部10が注入外管1の中空管3内面に液密に密着し、薬液を圧送するもので、図1(b)に示すトリプルパッカータイプ、図1(c)(d)に示すダブルトリプルパッカータイプなどがある。
次に前記薬液注入装置を使用して地盤強化を行う方法を図3について説明する。まず、対象地盤を所定深度までケーシング削孔して、挿入孔11を削孔し、この挿入孔11のケーシング内に、注入外管1を挿入し、その後ケーシングのみを引き抜き、注入外管1内に注入内管2を挿入する。
注入外管1の挿入時、パッカー4が挿入孔11の孔壁、またはケーシングの周壁に引っ掛かるのを防止するため、例えばプラスチックなどの合成樹脂製で半円の固定バンドでパッカー4を中空管3に固定しておく。この固定バンドは後述のようにパッカーグラウト材の注入圧で簡単に外れる構造であれば、前記の形状に限定されるものではない。
注入内管2に形成してある吐出口9を、注入外管1のパッカー4位置に合致させ、注入内管2の吐出口9からパッカーグラウト材を中空管3内に吐出すれば、パッカーグラウト材はここからさらに注入口5を通ってパッカー4内に吐出される。パッカーグラウト材としては、例えば、注入当初は粘性が低く、5分後くらいから粘性が急激に増加する低アルカリ型の注入材料を使用する。
なお、パッカー4は二連の袋体とすることで、上下に区分された袋体内にそれぞれ別個にパッカーグラウト材が注入されるから、注入途中で下方部分のパッカーグラウト材が固化して注入が途中で停止するおそれもなく、パッカー4の上部まで確実に注入される。なお、袋体は1mのものを一連ものとしてそのまま使用することもある。
このようにしてパッカー4を膨出させ、挿入孔11の孔壁に密着させた後、注入内管2をスライドさせて吐出口9を注入外管1のパッカー4間に位置させ、吐出口9から薬液を中空管3内に吐出する。中空管3内に注入された薬液は、図3に示すように、ここに形成してある注入口5から吐出し、スリット盤7に設けた縦状のスリット7aを押し開いて挿入孔11の空隙部分に吐出する。
この場合、薬液は縦状のスリット7aから吐出するから、例えば円形の孔などからスポット的に注入する場合に比較して、これより大きな開口面積を通って周囲の地盤に注入され、よって、広い注入孔間隔(2〜4m)で鉛直方向の柱状浸透源を大きくとることができ、吐出量を大きくし吐出速度を大きくしても(20〜30L/分)単位面積当たりの浸透速度は見かけ上小さくなり、注入圧力も小さくなるから、ゆっくりとしっかりした浸透注入ができ、しかも吐出方向が縦方向であるから大きな縦の柱状の改良体を一気に確実に作ることができる。
特に、スリット7aを横方向の小さな切込みを縦方向に複数並列させた形状とした場合は、全体形状としては縦方向のスリットであっても横方向にもある程度の長さを確保できるから、所定の吐出量を確実に得ることができ、大きな縦の柱状の改良体を一気に確実に作ることができる。
また、注入内管2にダブルトリプルパッカータイプのものを使用すれば、図3に示すようにパッカー4間の2箇所(2ステージ)を同時に薬液注入でき、例えば縦2m、直径2〜5mの柱状の大きな改良体を連続して同時施工できる。
前記のようにゆっくりとした速度で大きな改良体を作るためには、薬液は、例えばイオン交換法によって水ガラスのアルカリを除去して得られた活性シリカをベースとした活性複合シリカグラウトのようにゲルタイムが数時間から十数時間の長いものを使用する。なお、ゲルタイムの調整は、図4に示すように添加剤の配合量を変えることで行う。
1 注入外管 2 注入内管
3 中空管 4 パッカー
5 注入口 7 スリット盤
7a スリット 9 吐出口
10 パッカー部 11 挿入孔
3 中空管 4 パッカー
5 注入口 7 スリット盤
7a スリット 9 吐出口
10 パッカー部 11 挿入孔
Claims (4)
- 軸方向に間隔をおいて削孔径よりも大きく膨出する複数の透水性の袋体を備えた注入外管と、この注入外管に挿入可能な注入内管とで構成され、この注入内管から固化材を袋体内に充填して袋体を膨張させ周辺地盤を圧密するとともにパッカーを形成し、このパッカー間に固化材を注入して所定領域を注入固化する薬液注入装置において、前記隣接袋体間で注入外管に形成した注入口を、縦状のスリットを設けた可撓性スリーブで被覆したことを特徴とする薬液注入装置。
- 前記縦状のスリットは、縦方向に直線状に形成した切込みであることを特徴とする請求項1記載の薬液注入装置。
- 前記縦状のスリットは、横方向の小さな切込みの複数を縦方向に並列させた集合によるものであることを特徴とする請求項1記載の薬液注入装置。
- 軸方向に間隔をおいて削孔径よりも大きく膨出する複数の透水性の袋体を備えた注入外管と、注入外管に挿入可能な注入内管とで構成され、この注入内管から固化材を袋体内に充填して袋体を膨張させ周辺地盤を圧密するとともにパッカーを形成し、このパッカー間に固化材を注入して所定領域を注入固化する薬液注入装置を用いて、対象地盤を所定深度までケーシング削孔して挿入孔を形成した後、前記注入外管を前記挿入孔内に挿入し、注入内管に設けた吐出口からパッカーグラウト材を袋体内に注入し、袋体を膨出させて前記挿入孔壁面に密着させた後、注入内管を軸方向に移動させて注入内管の複数の吐出口を隣接する複数の袋体間にそれぞれ位置させ、注入内管に薬液を圧送して前記吐出口から吐出させ、注入外管の注入口を通して複数の縦状のスリットから薬液を周囲の地盤に同時注入し、鉛直方向で複数箇所に同時に改良体を作成することを特徴とする地盤強化方法。
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