JP2000071691A - 木質化粧材の製造方法 - Google Patents

木質化粧材の製造方法

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JP2000071691A
JP2000071691A JP10244572A JP24457298A JP2000071691A JP 2000071691 A JP2000071691 A JP 2000071691A JP 10244572 A JP10244572 A JP 10244572A JP 24457298 A JP24457298 A JP 24457298A JP 2000071691 A JP2000071691 A JP 2000071691A
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Hirohisa Yoshikawa
浩久 吉川
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 扉等に用いる木質化粧材に於いて、転写で装
飾層を付与する場合でも、エンボスで木目導管溝等の凹
凸模様を深く形成できる様にする。 【解決手段】 支持体シート1に転写層2として、装飾
層3と少なくともエンボス時には熱可塑性であるエンボ
ス受容層4との少なくとも2層を有する転写シートS
を、木質基材に積層後、支持体シートを剥離しない状態
で、転写シートの上からエンボスにより、エンボス受容
層が熱可塑性状態に於いてエンボス受容層にまで達する
凹凸模様を施し、次いで支持体シートを剥離し転写を完
了する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉、窓枠、敷居等
の建具、壁等の内装材、或いは家具等の建材に使用し、
木目導管溝等のエンボスによる凹凸模様を有する、板状
や柱状等の木質化粧材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、MDF(中密度繊維板)や合板等
の木質基材を用いた化粧板等の化粧材が、例えば下記
〜等の如き、ラミネ−トや転写等の装飾技術により製
造され各種用途で使用されている。
【0003】塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂からな
る基材シートが装飾層等の印刷により装飾処理されたラ
ミネートタイプの化粧シートを、木質基材にラミネート
する方法(特公昭28−5036号公報、実公昭33−
14390号公報等参照)。なお、この方法では、木質
基材が板状物の他に、柱状物の場合等もある。後者は所
謂ラッピング法と呼ばれている(特公昭61−5895
号公報等参照)。 また、転写法では、特開昭52−146311号公報
等に開示される発明の様に板状の基材に対する方法もあ
るが、特開平5−330013号公報の如く、所謂ラッ
ピング転写法によって柱状の基材を装飾して化粧材を製
造する方法もある。しかし、いずれにしてもこれらは、
木目導管溝等の凹凸模様を表現できない。 そこで、更に木目導管溝等の凹凸模様をエンボス等で
付与する方法等もある。例えば、特開平8−39920
号公報では、支持体シートと転写層とからなる木目模様
用転写シートから、転写層を基材に転写完了後、別の着
色用転写シートを間に介した状態で、金属押型ローラ
(エンボスローラ)によりエンボスし、その後、着色用
転写シートの支持体シートを剥離して、凹凸模様の凹部
内に着色用転写シートによる被転写着色層を有する化粧
材を製造する方法を開示している。 また、基材の凹凸模様を生かす方法としては、特許第
2564231号では、MDF(中密度繊維板)からな
る木質基材を、凹凸ロールで機械的にエンボスして凹凸
を設けた後、転写シートにより転写層を転写して、転写
層表面に前記凹凸による凹凸模様を現出させる方法を開
示している。 また、前記ラミネ−トタイプの化粧シートでは、その
化粧シートに予めエンボスを施した後、基材に積層する
事で、エンボス付きの化粧材とする方法(特公昭58−
14312号公報等参照)もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
〜による化粧材の製造方法では次の様な問題があっ
た。先ず、前述の如く及びではエンボスによる凹凸
模様が得られず、意匠性に劣る。また、では、厚さ数
μmの薄膜の転写層(印刷インキ層)に対してエンボス
する為、凹凸模様として十分目視判別できる数10μm
〜数100μmの凹凸模様を賦形する事は、原理的にも
無理があった。従って、エンボスは深く入らなかった。
この為、一応のエンボスによりやよりは意匠性は向
上するが、ある程度の深さが必要な導管溝表現等は不可
能である。また、では、MDF基材はエンボス自体が
入り難い。また凹凸模様上に転写する為、深い凹凸模様
では、転写層が凹部内部まで入り難く通常のローラ転写
法では難しい。更に、やのラミネ−ト法では、転写
シートに比べて、化粧シート製造時の印刷適性やラミネ
−ト適性等の為に厚くする基材シートも、そのまま基材
に積層される。この為、本質的には装飾に寄与しない基
材シートが最終製品の化粧材に添付され省資源的ではな
い。これに対して転写シートの場合では、剥離した支持
体シート(前記基材シートに該当)は回収再利用が即座
に可能であるが、特にのラミネ−ト法では、熱可塑性
樹脂シートに凹凸模様を施した化粧シートを基材に貼着
する為、ラミネ−ト時の熱や圧力によって、凹凸模様が
浅くなったり、一部消失する現象が起き易いと言う問題
もあった。
【0005】そこで、本発明の課題は、木質基材を転写
装飾して化粧材とする場合でも、深いエンボスによる凹
凸模様を付与でき、意匠感に富んだ木目導管溝等が表現
できる様にする事である。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の木質化粧材の製造方法は、支持体シー
トに転写層として、装飾層及び少なくともエンボス時に
は熱可塑性であるエンボス受容層の少なくとも2層を有
する転写シートを用いて、該転写シートを木質基材に積
層後、支持体シートを剥離しない状態で、転写シートの
上からエンボスにより、エンボス受容層が熱可塑性状態
に於いて該エンボス受容層にまで達する凹凸模様を施
し、次いで、支持体シートを剥離して転写を完了する様
にした。その結果、エンボスは、転写シートの支持体シ
ート剥離前の状態で行うにもかかわらず、また、たとえ
装飾層自体が凹凸模様の深さよりも薄く、且つその下の
木質基材が硬質でエンボス出来ない物でも、転写層に設
けたエンボス受容層の存在により、深いエンボスによる
深い凹凸模様を付与できる。従って、高意匠の化粧材が
得られる。また、装飾層形成をラミネ−トでは無く転写
で形成するので、剥離した支持体シートは回収再利用も
出来、省資源的である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の木質化粧材の製造
方法について、図面を参照しながら実施の形態を説明す
る。なお、図1は本発明の木質化粧材の製造方法で使用
し得る転写シートを例示する断面図、図2は本発明の木
質化粧材の製造方法を、その一形態で概念的に説明する
概念図であり、図3は本発明で得られる木質化粧材を例
示する断面図、図4は本発明の木質化粧材の製造方法と
して、ラッピング転写法で行う場合を、その一形態で概
念的に説明する概念図(斜視図)である。
【0008】〔概要〕先ず、本発明で使用する転写シー
トの一例を図1(A)で説明する。該転写シートとして
は、図1(A)の転写シートSの如く、支持体シート1
上の転写層2として、最低限、装飾層3の他に、エンボ
ス受容層4も有する。エンボス受容層4の転写層2内で
の位置関係は特に限定は無い。図1(A)に例示の転写
シートSの場合は、エンボス受容層4は、転写層2に於
いて支持体シートに接する側となる層構成の例である
が、図1(B)は両層が図1(A)とは逆順関係の構成
の例である。なお、転写層は、装飾層及びエンボス受容
層以外に、剥離層や接着剤層等のその他の層を有する事
もある。
【0009】装飾層3は印刷等による絵柄等を有する層
である。エンボス受容層4は、例えば熱可塑性樹脂から
なる層が代表的であるが、この他、熱等によって硬化す
る硬化性樹脂からなりエンボス後は完全硬化させて熱可
塑性では無くなる層等であっても良い。また、エンボス
受容層は、木質化粧材の用途に応じてエンボス形成する
凹部の深さを実現するに必要な厚みの層とする。従っ
て、装飾層が薄くても、エンボス受容層を装飾層よりも
厚くしておけば、容易にエンボスを形成できる事にな
る。但し、必要以上に厚くしても材料の無駄となる為、
エンボス加工に必要十分な厚さとする。なお、エンボス
で形成する凹凸模様は木目導管溝柄等である。なお、エ
ンボス受容層は木質基材側に形成しておき、これに装飾
層を転写形成する事も考えられるが、エンボス受容層を
装飾層と共に転写形成すれば、木質基材が柱状形状の場
合でも、比較的均一な厚みのエンボス受容層を転写形成
でき、安定的にエンボスできる利点が享受できる。
【0010】そして、転写及びエンボスは、例えば、図
2の或る一形態の概念図で示す如く、先ず、上記の様な
転写シートSを、押圧ローラ11等により木質基材Bに
積層し、次いでその支持体シートを剥離する前の状態
で、エンボスローラ12で転写シートSを間に介して該
転写シートの上からエンボスし、この後で、剥離ローラ
13で転写シートSの支持体シート1のみを剥離して、
エンボスにより凹凸模様5が賦形された転写層を木質基
材B上に残す。これで転写が完了する。この結果、エン
ボスによる凹凸模様5を有する木質化粧材Dが得られる
事になる。
【0011】図3(A)は、得られた木質化粧材Dの一
例を示す断面図である。図3(A)の木質化粧材Dは、
木質基材B上に、装飾層3、少なくともエンボス時には
熱可塑性であるエンボス受容層4の2層がこの順に積層
され、エンボス受容層の表面に凹凸模様5が賦形された
構成である。この様な最外層となるエンボス受容層と装
飾層との位置関係では、もちろんのこと、エンボスは転
写シートの支持体シートを介して、少なくともエンボス
受容層にまで達して、凹凸模様5がエンボス受容層表面
に賦形される。一方、図3(B)は、得られる木質化粧
材Dの他の例を示す断面図であり、装飾層3とエンボス
受容層4との位置関係が逆の構成を示すものである。す
なわち、図3(B)の木質化粧材Dは、木質基材B上
に、少なくともエンボス時には熱可塑性であるエンボス
受容層4、装飾層3の2層がこの順に積層され、エンボ
スによって賦形された凹凸模様5が、装飾層表面に賦形
されているのに止まらず、更にエンボス受容層5にまで
達している構成である。
【0012】なお、エンボス受容層にまで達する凹凸模
様をエンボスによって施すとは、得られる凹凸模様が、
図3(A)や図3(B)の凹凸模様5aの如くエンボス
(の先端)が木質基材Bにまで達していても良い。もち
ろん、凹凸模様5bの如くエンボス(の先端)がエンボ
ス受容層内に止まっていても良い。もちろん、本発明で
は、エンボス受容層4は、装飾層3のみでは入らない様
な深い凹凸模様を形成できる様にする為に設ける層であ
って、装飾層等の他層のみがエンボスを吸収して、エン
ボス受容層自体の厚み変化は何ら生じ無い場合は、除外
する。但し、この様な現象は、通常は起こり得ない。な
ぜならば、エンボス受容層が支持体シートに接する層と
して形成されている場合では、上記の様な現象は、支持
体シートがエンボスを完全に吸収しない限り有り得な
い。また、エンボス受容層が支持体シートから最も遠い
層として形成されている場合でも、非現実的な程度に極
端に厚い装飾層がエンボスを吸収する様な、通常は起こ
りえない層構成の場合でしかあり得ない。
【0013】以上の様に本発明の木質化粧材の製造方法
では、装飾層は転写シートから転写形成し、凹凸模様は
(転写シートを間に介して)、木質基材上の転写層に直
接形成する。従って、装飾層や凹凸模様を形成済みの化
粧シートを、ラミネ−トする方法に比べて、剥離した転
写シートの支持体シートは回収再利用も出来、省資源的
である。転写シートはその転写層として少なくとも装飾
層及びエンボス受容層を有する構成であれば良い。ま
た、凹凸模様が、化粧シートラミネ−ト時の熱や圧力に
よって、浅くなったり、一部消失する現象は起き無い。
そして、エンボス受容層の厚み次第で、深い凹凸模様も
形成できる。しかも、エンボスは転写シートの支持体シ
ート剥離前の状態で行うので、支持体シート剥離後の転
写済みの転写層面に対して行う方法に比べて、転写層面
にエンボス版で凹凸模様を賦形する時に、凹部以外の部
分が傷付いたり、塵で汚れたりする事も無い。また、エ
ンボス後の木質化粧材表面に支持体シートを残留させた
まま、木質化粧材に後加工(切断、切削、組み立て、施
工等)を行い、建具等の最終製品を得た後、支持体シー
トを剥離する様にすれば、支持体シートが表面の保護層
として機能し、後加工の際の汚れや傷の発生を防止出来
る。
【0014】以下、更に、本発明の木質化粧材の製造方
法について、詳述する。
【0015】〔木質基材〕木質基材Bとしては、木質か
らなる基材であれば良く特に限定はない。木材種は例え
ば、杉、松、檜、樫、ラワン、チーク、メラピー等であ
る。形態は、単板、合板、木質中密度繊維板(MDF)
等の木質繊維板、パーティクルボード、集成材等であ
る。基材形状は、平板、柱状体等である。なお、木質基
材には、必要に応じ、転写シートの積層に先立って、公
知の目止め処理、着色塗装処理等を施しても良い。
【0016】〔転写シート〕本発明で用いる転写シート
Sは、図1(A)及び図1(B)の如く、支持体シート
1と転写移行する転写層2とからなり、且つ転写層2は
少なくとも装飾層3及びエンボス受容層4を有する。エ
ンボス受容層4は、転写層2の支持体シートに接する層
とする構成でも良いし〔図1(A)参照〕、転写層の内
部の層として有っても良いし〔図1(C)参照〕、転写
シートに於ける転写層の最外層とする構成でも良い〔図
1(B)参照〕。
【0017】(支持体シート)支持体シート1は、該シ
ート上に支持する転写層との剥離性が良く、且つエンボ
ス時の熱で溶融や破断せずに押型の凹凸をエンボス受容
層まで伝達可能な可撓性を有するシートであれば特に制
限は無く、従来公知の物の中から用途に応じて選択すれ
ば良い。例えば、支持体シートには、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンテ
レフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレー
ト等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラス
トマー等のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン
66等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体
等の合成樹脂フィルム(シート)、或いは上質紙、薄葉
紙等にポリオレフィン樹脂やシリコーン樹脂の離型層を
積層した塗工紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、等による
単層体又は積層体を用いる。支持体シートの厚さは、転
写シートを間に介してエンボスする事から、薄い方が好
ましい。しかし、薄過ぎると支持体シートの機械的強度
が低下するので、賦形する凹凸模様の深さにもよるが、
通常は20〜50μm程度である。
【0018】なお、支持体シートには必要に応じ、転写
層側に転写層との剥離性を向上させる為、支持体シート
の構成要素として離型層を設けても良い。離型層として
は、例えば、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス
等の単体又はこれらを含む混合物が用いられる。また、
剥離性の調整の為に、支持体の転写層側の面にコロナ放
電処理、オゾン処理等を行っても良い。
【0019】(装飾層)装飾層3としては特に限定は無
い。従来公知の物で良い。例えば、グラビア印刷、シル
クスクリーン印刷、オフセット印刷等の従来公知の方
法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、単なる着色層、透
明樹脂層、或いはアルミニウム、クロム等の金属を公知
の蒸着法等で部分又は全面に形成した金属薄膜層等であ
る。絵柄は、木目模様、大理石や御影石等の石目模様、
タイル調模様、煉瓦調模様、布目模様、文字、幾何学模
様など任意である。特に本発明で得られる木質化粧材は
エンボスによる凹凸模様を有するので、それを導管溝柄
とすれば、木目模様等は好適な模様の一つである。
【0020】なお、絵柄層用インキは、バインダー等か
らなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加
える各種添加剤からなる。バインダーの樹脂には、例え
ば、アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化
ポリプロピレン、酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等の
熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の常
温又は熱硬化性樹脂等を、これら樹脂の単体、又は混合
物の形で用いる。着色剤の顔料は、チタン白、カーボン
ブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブ
ラック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシア
ニンブルー等の有機顔料、アルミニウム箔粉等の金属顔
料、二酸化チタン被覆雲母箔粉等の真珠光沢(パール)
顔料等である。
【0021】(エンボス受容層)エンボス受容層4は、
支持体シート側からの機械的な押圧によるエンボスを受
け入れて、装飾層のみでは入りきらない様な(通常は装
飾層の厚みよりも)深いエンボスによる凹凸模様を、容
易に形成できる様にする為の層である。従って、エンボ
ス受容層は、少なくともエンボス時は熱可塑性を呈する
材料から構成する。また、エンボス受容層が転写層の中
で支持体シートに接する層として設けられている場合、
この様なエンボス受容層は、支持体シートとの剥離性を
調整する為の剥離層を兼用させる事も出来る。また、エ
ンボス受容層が転写シートに於ける転写層の最外層とし
て設けられている場合、この様なエンボス受容層は、転
写層を木質基材に接着させる為の接着剤層を兼用させる
事もできる。なお、エンボス受容層の厚みは、深さ等の
エンボス形状にもよるが5〜100μm程度の範囲、好
ましくは20〜100μm、より好ましくは40〜10
0μmの範囲とすれば、十分に高意匠性の凹凸模様を付
与できる。厚さの下限は、目視可能な凹凸模様の深さ程
度として設定される。また、厚さの上限は、凹凸模様の
凹部の最深部の深さに合わせて設定されるが、通常は1
00μm程度で十分である。
【0022】エンボス受容層の材料としては、熱可塑性
樹脂が第一に挙げられる。この他、特にエンボス受容層
を転写シートに於ける転写層の最外層とする場合は、転
写シートの積層時にエンボス受容層を設ける事もできる
ので、硬化性樹脂も未硬化の熱可塑性状態でエンボス
し、エンボス後に完全硬化させる形態で使用できる。も
ちろん、硬化性樹脂でも、材料及び使用法を選ぶ事によ
って、転写層の内部層や支持体シートに接する層として
も使用出来る。硬化性樹脂の硬化形態としては、熱、湿
気(水)、紫外線や電子線等の電離放射線等がある。熱
の場合は熱硬化性樹脂、湿気の場合は1液硬化型ウレタ
ン樹脂等、電離放射線の場合は紫外線硬化性樹脂や電子
線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等である。硬化
性樹脂はエンボス時には、未硬化或いは半硬化(つまり
一部硬化)状態としておき、エンボスによる凹凸が完全
に復元してしまわない様な熱可塑性状態とする。従っ
て、硬化性樹脂は完全未硬化時は液状の組成物でも良
い。熱可塑性樹脂や硬化性樹脂は、加熱軟化温度(硬化
性樹脂ではその未硬化組成物に対する温度)を選ぶ事で
熱融着型接着剤として使用でき、また加熱軟化温度が高
い樹脂でも、溶剤溶液(含む分散液)等とすれば、溶剤
揮散型接着剤として使用できる。
【0023】なお、エンボス受容層を接着剤層と兼用す
る場合では、専用の接着剤層が省略できる点で好まし
い。その接着機構は熱融着型、溶剤揮散型等で良い。後
述の硬化性樹脂は、最終的には硬化型接着だが初期接着
は熱融着型や溶剤揮散型等で接着させる。溶剤揮散型で
は、溶剤の未乾燥(完全乾燥前)の状態で接触させ溶剤
の揮発や木質基材等への吸収で接着させるので、エンボ
ス受容層は転写シートを木質基材に積層する時に施す事
になる。
【0024】上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチ
レン−プロピレン−ブテン3元共重合体、オレフィン系
熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂を使用で
きる。また、この他、上記熱可塑性樹脂としては、例え
ば、特公平7−436号公報等に開示されるダイマー酸
とエチレンジアミンとの縮重合により得られる重合物等
のポリアミド樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル
樹脂、スチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂
等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂
等も使用できる。なお、エンボス受容層を接着剤層と兼
用させる場合は、前記ダイマー酸とエチレンジアミンと
の縮合物からなるポリアミドとしては、例えば融点が1
50〜170℃のポリアミドと、融点が180〜230
℃のポリアミドとの混合物が好ましい一例である。これ
らのポリアミドの具体例としては、ナイロン6、ナイロ
ン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1
1、ナイロン12、共重合ナイロン、ナイロンMXD、
ナイロン46等が挙げられ、特にバーサロン型ポリアミ
ドが、木質基材に対する接着性の点で好ましい。
【0025】前記熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬
化性ウレタン樹脂等を使用できる。この様な熱硬化型ウ
レタン樹脂は、未硬化時に常温固体の樹脂組成物として
も使用できる。この場合、エンボス時に熱可塑性の固体
とすべくその時点で完全硬化させない為には、転写シー
ト押圧時やエンボス時の加熱条件を調整し、流動性を失
う程度に不完全硬化させるか、或いは、イソシアネート
にブロックイソシアネートを用いても良い。この様な性
質を有する熱硬化性ウレタン樹脂を構成するイソシアネ
ート及び該イソシアネートと反応する活性水素含有化合
物としては、例えば下記の化合物を使用できる。
【0026】イソシアネートとしては、2価以上の脂肪
族又は芳香族イソシアネートを用いることができる。例
えば、脂肪族(乃至は脂環式)系としては、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
水素添加トリレンジイソシアネート等の2価のイソシア
ネート、芳香族としては、2,4−トリレンジイソシア
ネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン
ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の
2価のイソシアネート、或いは、デスモシュールR(Ba
yer 社製、トリレンジイソイアネートの付加体の商品
名)、デスモシュールL(Bayer 社製、トリレンジイソ
イアネートの付加体の商品名)等の3価のイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネートの三量体の重合体等の4
価以上のイソシアネート等が使用できる。また、デスモ
シュールL等の様に各種の付加体(アダクト)も使用で
きる。なお、外装用途等の耐候性を必要とする場合に
は、脂肪族(乃至は脂環式)系が好ましい。
【0027】また、上記イソシアネートはそれ単体でも
良いが、下記のブロック剤をイソシアネート基に付加反
応させて、架橋硬化時は適宜解離触媒を併用して加熱し
て、ブロッキングを解除させる形式で用いる、ブロック
イソシアネートとして用いても良い。また、イソシアネ
ート単体では常温液体のものでも固体化して用いる事も
出来る。ブロックイソシアネートとして用いる事によっ
て、エンボス前に架橋硬化して熱可塑性が消失すること
を防ぐ。
【0028】ブロック剤としては、例えば、フェノー
ル、クレゾール、キシレノール、p−エチルフェノー
ル、o−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチ
ルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、チ
モール、p−ナフトール、p−ニトロフェノール、p−
クロロフェノール等のフェノール系ブロッキング剤、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エ
チレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニ
ルセロソルブ、フルフリルアルコール、シクロヘキサノ
ール等のアルコール系ブロッキング剤、マロン酸ジメチ
ル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル等の活性メチ
レン系、ブチルメルカプタン、チオフェノール、ter
t−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系ブロッキ
ング剤、アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミ
ド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロッキング剤、コハ
ク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系ブロッキン
グ剤、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、ア
ニリン、カルバゾール等のアミン系ブロッキング剤、イ
ミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール
系ブロッキング剤、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の
尿素系ブロッキング剤、N−フェニルカルバミン酸フェ
ニル、2−オキサゾリドン等のカルバミン酸塩系ブロッ
キング剤、エチレンイミン等のイミン系ブロッキング
剤、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、メ
チルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等
のオキシム系ブロッキング剤、重亜硫酸ソーダ、重亜硫
酸カリ等の亜硫酸系ブロッキング剤等が挙げられる。
【0029】イソシアネートと反応する前記活性水素含
有化合物としては、水酸基、カルボキシル基、等を分子
中に含有する化合物が用いられ、その中でも、分子中に
2個以上の水酸基を有するポリオールが代表的である。
常温で固体の熱可塑性未硬化物となる様に構成する為に
は、好ましくは常温で固体のポリオールを用いる。例え
ばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペ
ート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキ
サメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエー
ト)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクト
ン等のポリエステルポリオール、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(テトラメチレン
エーテル)等のポリエーテルポリオール、ポリ(ブチレ
ンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネー
ト)等のポリカーボネートポリオール、或いは、アクリ
ルポリオール、ウレタンポリオール等が挙げられる。こ
れらポリオールの数平均分子量は例えば600〜500
0の範囲である。
【0030】また、上記イソシアネートと活性水素含有
化合物とを含有するポリウレタン接着剤には、従来公知
の金属塩等の硬化触媒、ブロック剤を用いる場合は解離
温度を低温化させる為の金属石鹸、アミン等の解離触媒
を含有させる。
【0031】次に、前記湿気硬化性樹脂としての1液硬
化型ウレタン樹脂は、自然放置時に空気中水分で硬化反
応が進むので、作業安定性の点で転写シートの積層直前
に接着剤層と兼用する形態でエンボス受容層を転写シー
トに形成する場合に適する。該1液硬化型ウレタン樹脂
は、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマー
を必須成分とする組成物である。前記プレポリマーは、
通常は分子両末端に各々イソシアネート基を1個以上有
するポリイソシアネートプレポリマーであり、室温で固
体の熱可塑性樹脂の状態にあるものである。イソシアネ
ート基同士が空気中の水分により反応して鎖延長反応を
起こして、その結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応
物を生じて、この尿素結合に更に分子末端のイソシアネ
ート基が反応して、ビウレット結合を起こして分岐し、
架橋反応を起こす。上記ポリイソシアネートプレポリマ
ーは、例えば前記熱硬化性ウレタン樹脂で列記した様な
ポリオールに、過剰の前記列記した様なポリイソシアネ
ートを反応させた化合物であり、又、その骨格構造は、
ポリウレタン骨格、ポリエステル骨格、ポリブタジエン
骨格等がある。これら1種又は2種以上の骨格構造を適
宜採用する事で、物性を調整できる。なお、ウレタン骨
格の場合は、分子鎖中のウレタン結合とも末端イソシア
ネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、こ
のアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0032】次に、前記電離放射線硬化性樹脂として
は、未硬化時に熱可塑性で常温で固体状態を呈し、電離
放射線照射で架橋硬化する樹脂(組成物)を使用でき
る。該樹脂は、エンボス受容層を転写後の最外層とする
場合には、エンボスで賦形された後、架橋硬化させて硬
質な表面保護層とする事もできる。また、エンボス受容
層を接着剤層と兼用する場合には、該樹脂は、エンボス
受容層(兼接着剤層)が木質基材に熱融着で初期密着
し、その後エンボスで賦形された後、架橋硬化させて硬
質で且つ最終的な高い密着力を得る事もできる。この様
な、電離放射線硬化性樹脂は無溶剤で溶融塗工できる
が、溶剤希釈して溶液塗工もできる。なお、本発明で言
う「常温」とは、転写シートを製造、保存し、エンボス
加工し、また支持体シートの剥離作業を行う室内(或い
は室外)の雰囲気温度を意味する。具体的値は、気候や
作業環境によって異るが、通常は10〜40℃の範囲、
より一般的には15〜25℃の範囲である。又、室温は
支持体の剥離を行う最低の温度でもある。このような性
質を有する樹脂としては、例えば、次の(I)や(I
I)の電離放射線硬化性樹脂を使用できる。
【0033】(I)ラジカル重合性不飽和基を有する、
熱可塑性の次の(1) 又は(2) の2種類の樹脂。 (1) ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジ
カル重合性不飽和基を有するもの。更に具体的には以下
の〜を重合、もしくは共重合させたものに対し、後
述する方法(a) 〜(d) によりラジカル重合性不飽和基を
導入したものを用いることができる。なお、以下におい
て、例えば(メタ)アクリレートとはアクリレート又は
メタクリレートの意味で用いる。 水酸基を有するモノマー;N−メチロール(メタ)ア
クリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート
など。 カルボキシル基を有するモノマー;(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネー
トなど。 エポキシ基を有するモノマー;グリシジル(メタ)ア
クリレートなど。 アジリジニル基を有するモノマー;2−アジリジニル
エチル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルプロピ
オン酸アリルなど。 アミノ基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミ
ド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレートなど。 スルフォン基を有するモノマー;2−(メタ)アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸など。 イソシアネート基を有するモノマー;2,4−トルエ
ンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートの1モル対1モルの付加物などのジイソシア
ネートと活性水素を有するラジカル重合性モノマーとの
付加物など。 上記〜のモノマーと共重合可能で上記〜以外
のモノマー;このモノマーは得られる共重合体のガラス
転移温度や物性を調節する共重合成分として使用する。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソ
ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレートなど。
【0034】次に、上述のようにして得られた重合体又
は共重合体を、以下に述べる方法(a) 〜(d) により反応
させてラジカル重合性不飽和基を導入する。 (a) 水酸基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場
合には、前述したの(メタ)アクリル酸などのカルボ
キシル基を有するモノマーなどを縮合反応させる。 (b) カルボキシル基、スルフォン基を有するモノマーの
重合体又は共重合体の場合には、前述の水酸基を有す
るモノマーを縮合反応させる。 (c) エポキシ基、イソシアネート基、或いはアジリジニ
ル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合に
は、前述の水酸基を有するモノマーもしくは前述の
カルボキシル基を有するモノマーを付加反応させる。 (d) 水酸基あるいはカルボキシル基を有するモノマーの
重合体又は共重合体の場合には、前述のエポキシ基を
有するモノマーあるいは前述のアジリジニルを有する
モノマーあるいは前述のジイソシアネート化合物と水
酸基含有アクリル酸エステルモノマーとの1モル対1モ
ルの付加物等のイソシアネート基を有するモノマーを、
付加反応させる。なお、上記反応を行うには、微量のハ
イドロキノンなどの重合禁止剤を加え、乾燥空気を送り
ながら行うことが望ましい。
【0035】(2) 融点が20℃〜250℃であり、ラジ
カル重合性不飽和基を有する化合物。具体的には、ステ
アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルイソシアヌ
レート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、スピログリコールジアクリレート、スピログリコー
ル(メタ)アクリレートなどである。
【0036】また、上記(1) 及び(2) を混合して用いる
こともできる。更に、上記(1) 又は(2) 、又は(1) 及び
(2) の混合物に対して、反応性希釈剤としてラジカル重
合性のモノマーを加えることもできる。このラジカル重
合性モノマーは、紫外線や電子線等の電離放射線の照射
による架橋密度を上げて耐熱性や表面物性を向上させ
る。該モノマーとしては、例えば、前述の〜のモノ
マーの他に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグ
リシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポレエチレ
ングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレ
ート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジグ
リシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ソルビトー
ルテトラグリシジルエーテルテトラ(メタ)アクリレー
トなどを用いることができる。配合量は、前記(1)又は
(2) の単独又は混合物の樹脂100重量部に対して、
0.1〜100重量部で用いることが好ましい。
【0037】(II)室温で液状の電離放射線硬化性樹
脂に、室温で熱可塑性固体である非架橋型樹脂を混合し
て得られる電離放射線硬化性樹脂。 (イ) 室温で液状の電離放射線硬化性樹脂;分子中にラジ
カル重合性不飽和基を有するプレポリマー又はモノマー
の、単体又は混合物からなる組成物である。或いはカチ
オン重合性官能基を有するプレポリマーやモノマーから
なる組成物である。ラジカル重合性不飽和基を有するプ
レポリマーには、例えば、ポリエステル(メタ)アクリ
レート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メ
タ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ト
リアジン(メタ)アクリレートなどである。ラジカル重
合性不飽和基を有するモノマーには、例えば、メチル
(メタ)アクリレートなどの単官能モノマーや、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレートなど多官能モノマー
がある。カチオン重合性官能基を有するプレポリマーに
は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラッ
ク型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニ
ルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテ
ル系樹脂のプレポリマーがある。
【0038】(ロ) 非架橋型樹脂は、電離放射線による架
橋硬化反応に寄与しない室温で固体の熱可塑性樹脂であ
り、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、或いは、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂等のビニル系樹
脂である。中でもアクリル系樹脂であって、平均分子量
が50,000〜600,000、ガラス転移温度が5
0〜130℃であるものが、室温未硬化時の非接着性
(指触乾燥性)、熱融着による接着性、転写時(未硬化
時)の可撓性(成形性)、エンボス適性及び硬化後の応
力の吸収緩和性の点で好ましい。
【0039】なお、紫外線で硬化させる場合には、上記
(I)又は(II)の電離放射線硬化性樹脂に、更に光
重合開始剤を添加する。光重合開始剤は、ラジカル重合
系ではアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサ
ントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を
単独又は混合使用し、カチオン重合系では芳香族ジアゾ
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル
等を単独又は混合使用する。なお、電離放射線として
は、接着剤中の分子を架橋させ得るエネルギーを有する
電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常用いられるもの
は、紫外線又は電子線である。紫外線源としては、超高
圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク
灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が
使用される。電子線源としては、コッククロフトワルト
ン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧
器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等
の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、
好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ
電子を照射するものが使用される。
【0040】なお、エンボス受容層を構成する上記した
各種樹脂中には、更に、必要に応じて、各種添加剤を添
加することもできる。例えば、転写シートの箔切れ性を
向上させる等の目的では、無機顔料を添加する事が好ま
しい。該無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の微粉
末である。粒径は、0.1〜10μmの範囲が、上記効
果の点で好ましい。また、添加量は樹脂分100重量部
に対して1〜25重量部の範囲が上記効果の点で好まし
い。また、エンボス受容層が転写後に於いて装飾層より
も外側(例えば最外層)となる場合には、エンボス受容
層中に、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の
光安定剤を含有させても良く、更に転写後の最外層とな
る場合には、シリカ、球状α−アルミナ等の粒子からな
る減摩剤、滑剤等を含有させても良い。また、エンボス
受容層には、この他、染料、顔料等の着色剤等を添加し
ても良い。着色剤によって、エンボス受容層は着色ベタ
層として、装飾層と共に装飾の一部を担わせることもで
きる。着色は木質基材表面の光沢(照り)や木目を意匠
外観として活かしたい場合は無色透明や透明着色でも良
いが、転写後に装飾層よりも内側となる場合で、木質基
材の色や表面の木目を隠蔽したいときは不透明着色(白
色も含む)とすれば着色隠蔽層としても使用でき、装飾
層の一部として着色隠蔽層を設ける事を省略できる。ま
た、エンボス受容層は半透明でも良い。
【0041】エンボス受容層の形成は、上記樹脂を、水
や有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)に溶解(又は分散)
した溶液(又は分散液)の形態で、或いは無溶剤液状物
やホットメルトの形態で施す。形成法には特に限定は無
く、従来公知の塗工法、例えば、ロールコート、リバー
スロールコート、ナイフコート、グラビアコート、ロッ
ドコート等で行えば良い。或いは、シルクスクリーン印
刷等の印刷法でも良い。また、また、エンボス受容層に
ポリオレフィン樹脂等の溶液(分散液等も含む)化が困
難な樹脂を用いる場合には、Tダイ等による溶融押出塗
工法等で形成すれば良い。
【0042】エンボス受容層を転写シート使用時に形成
する場合は、例えば図2の概念図で例示する様に、塗工
装置や印刷装置からなるエンボス受容層形成手段14
で、巻出ロールRaから巻き出された連続帯状の転写シ
ートSが、押圧ローラ11で木質基材Bに圧接されるま
での間に形成すれば良い。この際、溶剤分を転写シート
積層までに必要量乾燥させる場合は、更にエンボス受容
層形成手段14に続いて、熱風等の公知手段による乾燥
装置15を設けると良い。また、木質基材側に設ける場
合も同様である。なお、乾燥装置15は、転写シートの
予熱の為の加熱装置として使用しても良い。なお、エン
ボス受容層は、本発明では転写シートから木質基材に対
して転写形成するが、更に木質基材側にも形成しておい
ても良い。
【0043】(剥離層)また、転写層としては、エンボ
ス受容層とは兼用しない剥離層〔図1(C)の符号6)
や、エンボス受容層とは兼用しない接着剤層が有っても
良い。剥離層は支持体シートとの剥離性の調整や、装飾
層を保護したり、塗装感等の意匠感を付与する等の為の
装飾層の一種として形成される。剥離層は装飾層同様に
従来公知の印刷法やロールコート等塗工法で形成する。
【0044】〔接着剤層〕また、転写層を木質基材に接
着させる為に、少なくとも装飾層及びエンボス受容層か
らなる転写層自体では木質基材に対する接着性が不足す
る場合は、必要に応じて接着剤層を転写層の一部とし
て、或いは木質基材側に、或いはこれら両方に設けても
良い。ちなみに、図3(C)に例示する木質化粧材D
は、少なくとも装飾層及びエンボス受容層からなる転写
層2と木質基材Bとの間に接着剤層7を有する構成であ
る。なお、同図に於いて、その接着剤層7は転写層2に
は含めていないが、接着剤層7は転写層2の一部として
木質化粧材Dに付与される事もある。エンボス受容層を
接着剤層と兼用する構成は一つの好ましい構成だが、接
着剤層を設ける事によって、エンボス受容層は専らエン
ボス適性を主体に選定する事も可能となり、またエンボ
ス受容層を転写後の最外層等として、転写後に装飾層よ
りも外側となる層とした構成の転写シートを用いる事も
可能となる。接着剤層は、転写シート使用時或いは予
め、転写シート、木質基材の何方か片方又は両方に設け
る。例えば、転写シート使用時に転写シートに接着剤層
を形成する場合は、図2の概念図に於いて、エンボス受
容層形成手段14に代えて接着剤層形成手段を用いれば
良い。
【0045】接着剤層の樹脂としては、例えばエンボス
受容層で列記した熱可塑性樹脂、各種硬化性樹脂等の
他、公知の接着剤が使用でき、木質化粧材の用途に応じ
て適宜選択すれば良い。接着剤層は、エンボス受容層同
様に、従来公知の塗工法等で形成すれば良い。接着剤層
の厚さは0.1〜50μm程度である。なお、転写層に
於ける層間密着力を向上させる為の公知の易接着層等が
有っても良い。
【0046】〔転写〕木質基材に転写シートを積層し、
(転写シートが積層された状態でエンボスし)そして、
転写層を木質基材側に残して支持体シートのみを剥離出
来る程度まで転写層が木質基材に接着後、支持体シート
を剥離する事で、転写層を木質基材に転写する転写法と
しては、特に限定は無い。従来公知の転写法の中から適
宜選定すれば良い。木質基材の被転写面が平面の板材等
に対しては、代表的にはローラ転写法がある。ローラ転
写法は、例えば特公昭60−59876号公報、特開平
5−270199号公報、特開平5−139097号公
報に記載される様に、転写シートを、転写層を基材側に
向けて、支持体シート側から転写ローラを押圧ローラと
して用いて加圧し、転写層が基材に圧着後、支持体シー
トを剥離する転写法である。転写ローラには弾性体ロー
ラを通常使用し、少なくとも表面がゴムからなるゴムロ
ーラを使用する。もちろん、支持体シートの剥離は、図
2及び図4の様に、転写ローラ(押圧ローラ)で積層
し、更にエンボスした後に行う。また、木質基材が柱状
物の場合は、複数の転写ローラにより段階的に小面積毎
に転写して行く所謂ラッピング転写法によれば良い(特
公昭59−51900号公報、特開平5−330013
号公報、特公平3−2666号公報等参照)。また、木
質基材が平板等の場合では、ローラによる円圧、平プレ
スによる平圧による転写圧でも良い。なお、図2及び図
4では、押圧ローラ11(或いは11a〜11d)で転
写シートを木質基材に積層し、エンボスローラ12(或
いは12a〜12d)でエンボス後、剥離ローラ13
(或いは13a〜13c)で支持体シートを剥離する様
に図示したが、例えば特に熱融着で転写層を接着させる
場合等では、支持体シートの剥離はエンボスローラを剥
離ローラと兼用して、エンボス直後に剥離しても良い。
また、剥離は手作業で行っても良い。
【0047】〔エンボス〕本発明ではエンボスは転写シ
ートが木質基材に積層され、支持体シート剥離前の転写
未了状態で行う。また、エンボス受容層が硬化性樹脂の
場合、エンボス時はそれが完全未硬化状態、或いは一部
硬化の半硬化状態で、まだ熱可塑性を有する状態の時と
する。エンボス法としては特に限定は無く、従来公知の
エンボス法で良い。通常は、エンボス受容層(通常は更
に装飾層も)を加熱軟化させてから、エンボス版で押圧
し、賦形する。エンボス版には、木質基材の形状に応じ
て、金属製ローラや平板状の版を使用すれば良い。
【0048】〔ラッピング転写とエンボス〕図2で示す
本発明の木質化粧材の製造方法の一形態は、木質基材の
形状は特に限定せずに、転写とエンボスとの関係を中心
に説明する概念図であったが、その形状が柱状の場合の
一形態を、図4の斜視図で概念的に示す。同図に示す方
法は、ラッピング転写法による転写と、該ラッピング転
写法と同様にしてエンボスを連続的に行う方法の一形態
を示す図面である。
【0049】図4に於いては、柱状の木質基材Bを、複
数の送りローラ16上に載置して、長手方向に搬送し、
木質基材の搬送速度に同調した速度で、転写シートSを
木質基材に対して供給し、押圧ローラ11a〜11dに
よって転写シートの木質基材への積層を、木質基材の長
手方向に略直交又は直交する方向に向かって、小面積毎
に段階的に行う。同図では木質基材の転写すべき各側面
は、断面が折れ線形状となる様な面であり、各側面は各
々単一の平面を成すので、各側面毎にぞれぞれ専用の押
圧ローラを用いる。またエンボスローラ12a〜12d
も同様である。押圧ローラによる転写シートの積層は、
押圧ローラ11a、押圧ローラ11b、押圧ローラ11
c、押圧ローラ11dの順で転写シートを積層する事
で、隣接する側面に対して小面積毎に順番に段階的に積
層する様にしてある。なお、押圧ローラ(或いはエンボ
スローラ等も)は、木質基材に対し図面手前側に設けた
分のみを図示簡略化の為に表示してある。
【0050】そして、転写シート積層後、同図では、エ
ンボスローラ12a〜12dで各側面にエンボスし、こ
の後、剥離ローラ13a〜13cによって、転写シート
Sの支持体シート1のみを剥離すれば、木質化粧材Dが
得られる。なお、エンボスローラの配置は、押圧ローラ
の様に、隣接する側面に対して順番にエンボスする事は
必ずしも必要ない。
【0051】なお、同図では、転写時にエンボス受容層
を転写シートに形成する場合の該層中の溶剤分の乾燥、
或いは転写シートの予熱は、熱風等を使用した乾燥装置
或いは加熱装置15aで、押圧ローラに転写シートを供
給直前に出来る様にしてある。また、同様に、木質基材
Bについても転写時に木質基材に形成する接着剤層中の
溶剤分の乾燥、或いは木質基材の予熱は、上記同様な乾
燥装置或いは加熱装置15aで、押圧ローラに供給直前
に出来る様にしてある。
【0052】なお、転写及びエンボスは、図2及び図4
の概念図で例示の如く、連続して行っても良いが、独立
してオフラインで行っても良い。また、転写シートは、
連続帯状の他に、枚葉で使用しても良い。例えば平プレ
スの場合である。
【0053】〔凹凸模様〕エンボスで形成する凹凸模様
5としては、特に限定は無い。凹凸模様は、例えば、砂
目、梨地、ヘアライン、万線状溝、花崗岩の劈開面の凹
凸模様、木目導管溝、木目年輪模様、布目の表面テクス
チュア、皮絞、文字、幾何学模様等である。特に本発明
では、深い凹凸模様が得られるので、高意匠な凹凸模様
が可能である。凹凸模様の深さは、設けるエンボス受容
層及び支持体シートの厚さにもよるが、例えば30〜1
00μm程度である。
【0054】〔凹凸模様の凹部への着色インキの付与〕
エンボスで形成された転写層の凹凸模様の凹部には、図
3(C)に例示する木質化粧材Dの如く、更に着色イン
キを充填して、固化させて着色部8を形成しても良い。
特に木目導管等とする凹部に着色インキを充填し固化さ
せて着色部とすれば、より意匠感に富んだ木目導管等を
表現できる。
【0055】この為には、後加工として、従来公知のワ
イピング法を利用できる。ワイピング法では、例えばド
クターブレードコート法やナイフコート法等によって、
凹部を含む表面全面に着色インキを塗布した後、凹部以
外の表面から着色インキを除去する事により、凹部内部
のみに着色インキを充填する。充填後は、凹部内の着色
インキを固化する。固化は、溶剤等の揮発成分が有る場
合は乾燥し、揮発成分が無い無溶剤の場合は熱や紫外線
等の電離放射線による硬化反応により硬化し、またこれ
ら乾燥及び硬化の両方により行う。なお、充填は凹部内
の全部でなくても良い。また、着色インキとしては、ビ
ヒクルのバインダーとしてアクリル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹
脂、2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化
性樹脂、不飽和アクリレート系、エポキシ系等の電離放
射線硬化型樹脂等の従来公知の樹脂を用い、これに着色
剤としてキナクリドン、イソインドリノン等の有機顔
料、カーボンブラック、弁柄等の無機顔料、二酸化チタ
ン被覆雲母箔粉等の光輝性顔料等を配合し、さらに必要
に応じてその他添加剤を配合したインキ、或いはエマル
ション型の水系インキ等を使用する。凹部が木目導管溝
の場合、一般には黒褐色、茶褐色系の色のインキを用い
る。
【0056】以上の様にして、エンボスで得られる凹凸
模様の凹部内に着色インキを付与すれば、エンボスによ
る凹部のみが他と区別されて着色した装飾模様が得られ
為に、導管等の表現に於いてより優れた意匠感が得られ
る。
【0057】〔上塗り層〕また、図3(C)に例示の木
質化粧材Dの如く、凹凸模様が賦形され、更に必要に応
じ着色部8等が形成された転写層2の上に、必要に応じ
て上塗り層9を塗工形成しても良い。上塗り層は無色又
は着色層であり、装飾層を保護する等の為の機能層とし
てや、塗装感等の意匠感を付与する等の為の装飾層の一
種として形成する。上塗り層には、前記装飾層の絵柄層
用インキで列記したバインダーの樹脂等が使用される。
また、上塗り層中には、ベンゾトリアゾール系、ベンゾ
フェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジ
カル捕捉剤等の光安定剤、シリカ、球状α−アルミナ等
の粒子からなる減摩剤、着色顔料、体質顔料、滑剤等を
含有させても良い。上塗り層は従来公知のロールコート
等の塗工法で形成する。上塗り層の厚さは1〜100μ
m程度である。
【0058】〔木質化粧材の用途〕木質化粧材の用途は
特に制限は無い。例えば、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居
等の建具、壁面、天井、床等の建築物の内装材、外壁、
塀、屋根、門扉、破風板等の外装材、箪笥等の家具、或
いはテレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネットの
表面化粧材、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装
材、小物入れ等の容器等として用いる。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、更に具体的
に説明する。
【0060】〔実施例1〕図1(A)の如き転写シート
Sとして、厚さ26μmの2軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムからなる支持体シート1の片面に、マ
レイン酸をグラフト重合して極性官能基を付与したポリ
プロピレンからなる厚さ30μmのエンボス受容層4
を、Tダイによる熔融押出法によって積層した。次い
で、このエンボス受容層の上に、バインダーは2液硬化
型ウレタン樹脂、着色顔料はカーボンブラック、キナク
リドン、イソインドリノン及びフタロシアニンブルーか
らなる着色インキで、オーク柄の木目模様の装飾層3を
グラビア印刷で形成して、エンボス受容層4及び装飾層
3からなる転写層2とした。なお、柄には二酸化チタン
被覆雲母箔粉のパール顔料を含有するインキも使用し
て、木肌の照りも表現できる様にした。
【0061】次に、この転写シートの積層時に、その転
写層として更に接着剤を、ロールコートして厚み5μm
の接着剤層を塗工形成した。接着剤には2液硬化型ウレ
タン樹脂からなる接着剤を用い、60℃の温風で2分
間、揮発溶剤分を乾燥した。そして、鉄芯の表面をシリ
コーンゴムで被覆し表面温度60℃に加熱した押圧ロー
ラを備えたゴムローララミネータを用いて、接着剤層形
成後の転写シートを、MDFからなる平板状の厚み5m
mの木質基材に対して貼り合わせて積層した。次いで、
多数の導管溝状の凸部(最大高さが70μm)が形成さ
れた金属製のエンボスローラ(表面温度80℃)にて、
支持体シート剥離前の転写シートの上からエンボス受容
層にまで達するエンボス加工を、圧力10kg/c
2 、送り速度4m/分で行った。この後、剥離ローラ
によって、支持体シートを剥離した。その結果、装飾層
による木目柄のみならず、木質意匠に特徴的な導管溝の
凹凸模様もエンボスで形成されており、リアルで高意匠
な木質化粧材(板)が得られた。さらに、この木質化粧
材の凹凸模様の凹部内に、ブラシ法によるワイピング加
工で、2液硬化型ウレタン樹脂系の黒色の着色インキを
充填した。更に、表面物性の確保と表面艶の調整の為
に、2液硬化型ウレタン樹脂系の塗液をスプレー塗装と
して上塗り層を全面に形成した。その結果、より高意匠
で表面耐久性に優れた木質化粧材(板)が得られた。
【0062】〔実施例2〕転写シートには、実施例1で
用いた転写シートに対して、支持体シートとエンボス受
容層との間に、更に転写層の一部として厚さ4μmの剥
離層を設けた以外は同様の構成の転写シートを用いた。
この剥離層は、アクリル樹脂からなるものであり、ポリ
プロピレンからなるエンボス受容層とTダイから2層熔
融共押出ししたものを支持体シートに積層して形成し
た。
【0063】そして、この転写シートを用いて、実施例
1同様に、接着剤層を転写層として形成した後、転写シ
ートを木質基材に積層後、エンボス加工し、その後、支
持体シートを剥離して、木質化粧材を得た。更に、実施
例1同様に、ワイピング加工、上塗り層形成を行った。
その結果、装飾層による木目柄のみならず、木質意匠に
特徴的な導管溝の凹凸模様もエンボスで形成されてお
り、リアルで高意匠な木質化粧材(板)が得られた。更
にワイピング加工及び上塗り層によって、より高意匠で
表面耐久性に優れた木質化粧材(板)が得られた。
【0064】
【発明の効果】本発明の木質化粧材の製造方法によれ
ば、転写層中のエンボス受容層の存在によって深い凹凸
模様をエンボスで形成できる。また、エンボスは、転写
シートが積層された状態で転写シートの支持体シート剥
離前の状態で行うにもかかわらず、また、たとえ装飾層
自体が凹凸模様の深さよりも薄く、且つその下の木質基
材が硬質でエンボス出来ない物でも、転写層に設けたエ
ンボス受容層の存在により、深いエンボスによる深い凹
凸模様を付与できる。従って、高意匠の化粧材が得られ
る。しかも、支持体シート剥離前にエンボスするので、
転写後の転写層面がエンボス時に傷付いたり塵等が付着
して汚れる事も無い。また、装飾層形成をラミネ−トで
は無く転写で形成するので、剥離した支持体シートは回
収再利用も出来、省資源的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木質化粧材の製造方法で使用し得る転
写シートを例示する断面図。
【図2】本発明の木質化粧材の製造方法を概念的に説明
する概念図。
【図3】本発明の木質化粧材の製造方法で得られる木質
化粧材を例示する断面図。
【図4】本発明の木質化粧材の製造方法として、ラッピ
ング転写法で行う場合を概念的に説明する概念図(斜視
図)。
【符号の説明】
1 支持体シート 2 転写層 3 装飾層 4 エンボス受容層 5、5a、5b 凹凸模様 6 剥離層 7 接着剤層 8 着色部 9 上塗り層 11、11a〜11d 押圧ローラ 12、12a〜12d エンボスローラ 13、13a〜13c 剥離ローラ 14 エンボス受容層形成手段(塗工装置等) 15、15a、15b 加熱装置、乾燥装置 16 送りローラ B 木質基材 D 木質化粧材 Ra 巻出ロール Rb 巻取ロール S 転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B44C 3/02 B44C 3/02 A Fターム(参考) 2H113 AA04 BA03 BA05 BA09 BB18 BB22 BB32 CA08 DA47 DA49 DA50 DA57 DA63 DA64 3B005 EB09 FB22 FB61 4F100 AK07 AK42 AK51 AL04 AP00D AP03 AR00C AT00A BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C BA10D CA13 CB00 CC00 DD07 EC042 EJ303 EJ392 GB07 GB08 HB00 HB00B HB01 HB31 JB16C JL01 JL02 JL05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体シートに転写層として、装飾層及
    び少なくともエンボス時には熱可塑性であるエンボス受
    容層の少なくとも2層を有する転写シートを用いて、該
    転写シートを木質基材に積層後、支持体シートを剥離し
    ない状態で、転写シートの上からエンボスにより、エン
    ボス受容層が熱可塑性状態に於いて該エンボス受容層に
    まで達する凹凸模様を施し、次いで、支持体シートを剥
    離して転写を完了する、木質化粧材の製造方法。
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