JP4774627B2 - エンボス加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホットメルトタイプ等の熱可塑性を呈する樹脂の接着剤を使用して、基材に化粧シートをラミネートすると同時にエンボス加工を行うエンボス加工技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、木質系基材等の各種基材の表面を、化粧シートをラミネートし、また、その表面にはエンボス加工による凹凸模様を設けて、化粧板等のエンボス加工物品を製造することが行われている。
【0003】
例えば、特公昭58−14312号公報等では、熱可塑性樹脂から成る化粧シートに予めエンボス加工を施し、而る後、基材にラミネートすることで、エンボス加工による凹凸模様付きの化粧板等とする方法を開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法の場合、ラミネート時の加熱及び加圧により、凹凸模様が変形乃至は消失する傾向があった。
そこで、未エンボスの化粧シートを先ず基材にラミネートし、而る後にエンボス加工する試みもなされて来た。
しかしながら、上記公報で開示される様なエンボス加工及びラミネート方法では、接着剤の塗工厚み、及びエンボスローラの凹凸の最高位の高さ(最大高低差)との関係には、特に基準は無く、これらの関係によっては、不具合が生ずることがあった。すなわち、エンボスローラの最大高低差Hが、接着剤塗工で形成された接着剤層の厚みよりも大きい場合は、エンボスローラが基材に当たって、それ以上のエンボスが入りずらく、凹凸感の意匠性は劣っていた。また、機械的にも、基材を含めてエンボスを入れる場合には、相当量の圧力が必要であり、この為、エンボスローラの回転は遅くなるので、生産性が低かった。また、エンボスローラの回転が重くなる不具合や、化粧シートが破れてしまう不具合等が発生することもあり、改良が必要であった。
【0005】
すなわち、本発明の課題は、エンボス加工による凹凸模様が高意匠で、しかも生産性も優れるエンボス加工方法と、その結果得られるエンボス加工物品を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明のエンボス加工方法では、平板もしくは柱状物上に裏側面に装飾層が形成された化粧シートがラミネートされ該化粧シート表面にエンボス加工による凹凸模様が形成されて成るエンボス加工物品を製造する為のエンボス加工方法において、化粧シート裏側面又は/及び基材面に、熱可塑性を呈する樹脂の接着剤層を形成した後、エンボスローラを化粧シート表側から押し付けることにより、化粧シートを基材にラミネートすると同時にエンボス加工を施す、エンボス加工方法であって、上記化粧シートと接着剤層の厚みの総厚Tと、エンボスローラの凹凸の最大高低差Hとが、総厚T≧最大高低差Hの関係になる様にして、ラミネート及びエンボス加工を行う様にした。
【0007】
この様に、化粧シートと接着剤層の厚みの総厚Tと最大高低差Hとを特定関係に規定する事によって、エンボスローラが基材に当たってエンボスローラの凹凸を十分賦形出来なかったり、エンボスローラの回転が重くなって生産性が低下したり、化粧シートが破れてしまう不具合を防いで、ラミネートと共に高意匠な凹凸模様が賦形できるエンボス加工を円滑に行える様になる
【0008】
しかも、接着剤層は熱可塑性を呈する樹脂からなるので、化粧シートを基材に押し付けて圧着するのと同時のエンボス加工にて、容易に凹凸模様を賦形できる
【0009】
また、ラミネートローラ(押圧ローラ)をエンボスローラが兼用する為に、ラミネートローラに代えてエンボスローラを取り付けてラミネートローラ部分を流用することで、装置的にも容易に、ラミネートとエンボス加工とを同時に行うことができる点でも、生産性が優れる
【0010】
また、本発明は、請求項1記載のエンボス加工方法において、上記化粧シートと接着剤層の厚みの総厚Tと、エンボスローラの凹凸の最大高低差Hとが、総厚T≧最大高低差Hの関係になる様にして、平板もしくは柱状物に凹凸模様が形成されないことを特徴とするものである
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面を参照しながら実施の形態を説明する。
【0012】
〔概要〕
図1は本発明のエンボス加工方法の或る一形態を示す概念図である。図1の形態では、化粧シートSに対して、その裏側の面(図面で下側)に、熱可塑性を呈する樹脂からなる接着剤を、ホットメルト形式等の接着剤塗工装置12によって塗工して接着剤層Aを形成する。一方、基材Bは、ラミネート及びエンボス加工の直前に、そのラミネート面側に対して、適宜、赤外線輻射ヒータ等による予熱装置13aによって予熱しておいても良い。また、同図では、化粧シートSも、予熱装置13b(同図は化粧シート表面側の場合を例示)によって適宜予熱し軟化させておくこともできる。そして、基材や化粧シートを適宜予熱した後、ラミネートローラ(押圧ローラ)も兼用するエンボスローラ11によって、間に熱可塑性を呈する樹脂の接着剤層Aを挟んで、化粧シートSを基材Bに押し付ける。なお、エンボスローラ11は、その内部又は外部のヒータ等によって、加熱状態で使用しても良い。或いは、その内部に冷却水を通すことによって、エンボスローラ11を冷却状態で使用しても良い。エンボスローラ11の温度設定は、化粧シート、及び接着剤層の予熱の程度、材質、厚み、エンボスローラの押圧力、凹凸模様の深さ、ラインスピード等を考慮して適正な値に設定すれば良い。
そして、エンボスローラ11で化粧シートSが基材Bに押し付けられることによって、化粧シート側に施した接着剤層Aは基材Bに接着して化粧シートSと基材Bとを接着させると共に、基材B上の(少なくとも)接着剤層Aが、化粧シートSを介したエンボスローラ11によって、圧縮され変形して、接着剤層A上の化粧シート或いは更に前記接着剤層Aも含めた層に、凹凸模様1を賦形すると同時に、化粧シートを基材にラミネートする事が可能となる。
【0013】
この際、本発明のエンボス加工方法では、図2で概念的に示す如く、化粧シートSと接着剤層Aの厚みの総厚Tと、エンボスローラ11の凹凸の最大高低差Hとが、総厚T≧最大高低差Hの関係になる様にする。つまり、総厚Tは最大高低差H以上の厚さとする。なお、前記総厚Tは、化粧シートSの厚みTsと、接着剤層Aの厚みTaとの和である。すなわち、T=Ts+Taである。
この様な総厚Tと最大高低差Hとの関係とすれば、エンボスローラのうちで最も高い凸部部分でも、基材Bの内部にまで到達することは無く、ラミネートとエンボス加工を同時に行い且つ高意匠な凹凸模様を賦形する事ができるのである。
【0014】
なお、上記厚み関係からも分かる様に、化粧シートSの厚みTsと、接着剤層の厚みTaとの相対的な関係には、本発明では特に限定は無い。とにかく、これらの和である総厚Tが、エンボスローラの凹凸の内で最も高い部分と最も低い部分との高低差である最大高低差H以上であれば良い。但し、化粧シートの材質及び加工条件(温度等)によっては、化粧シートはエンボスで変形はするが、厚みが減少せず圧縮されない非圧縮性のもの(例えば薄い紙等はこれに近い)もあるので、化粧シート如何によらずに良い結果を得ようとするならば、より好ましくは、Ta≧H、すなわち、接着剤層の厚みTaのみで最大高低差H以上となる様にしておくのが、エンボスローラの凹凸を十分に凹凸模様に反映できる点で望ましい。
【0015】
そして、図1に示す如く、エンボスローラ11を通過後、基材にラミネートされた化粧シートSの表面には、凹凸模様1がエンボス加工によって賦形されている。そして、基材B上に接着剤層Aを介して化粧シートSが積層され、且つ表面にはエンボス加工による凹凸模様1が賦形された化粧材等のエンボス加工物品Dが得られることになる。
【0016】
ここで、図5の断面図で本発明のエンボス加工方法で得られるエンボス加工物品(本発明のエンボス加工物品である)の一例を概念的に示せば、エンボス加工物品Dは、基材B上に(少なくとも化粧シートを基材に押し付けてラミネート及びエンボス加工時には熱可塑性を呈する樹脂の)接着剤層A、化粧シートSがこの順に積層され、化粧シート表面に凹凸模様1を有する構成の物である。
【0017】
なお、本発明のエンボス加工方法では、エンボスローラがいわゆるラミネートローラを兼用して、化粧シートの上からエンボス加工するので、既に化粧シートをラミネート済みの(ラミネート物品の)化粧シート表面に対してエンボス加工する方法に比べて、ラミネート加工とエンボス加工との2工程が1工程で完了してしまうので、生産性にも優れている。また、予め凹凸模様を賦形済みの化粧シートをラミネート加工で基材に積層する場合に比べて、凹凸模様が、化粧シートラミネート時の熱や圧力によって、浅くなったり、一部消失したりする事も無い点でも優れている。
【0018】
以下、更に、本発明のエンボス加工方法について、詳述する。
【0019】
〔化粧シート〕
本発明で用いる化粧シートSは、少なくとも何らかの装飾処理が施された基材シートから成り、なお且つ化粧シートの厚みが、その厚みと接着剤層Aとの総厚Tに於いて、エンボスローラの最大高低差H以上となる様な厚みであり、少なくとも接着剤層を化粧シートを介してエンボスできる程度に変形可能なものであれば、特に制限は無く、従来公知の各種構成の化粧シートを使用できる。また、化粧シートは、エンボスで変形はするが厚み変化しない非圧縮性の物でも良いが、より好ましくは、エンボスで変形し且つ厚みも薄くなる圧縮性(エンボス時のみでなく、エンボス後も圧縮された状態が残る性質)の物が、エンボスがより入り易い点で望ましい。
【0020】
図4は、化粧シートSの一例を示す断面図であり、同図の化粧シートSは、基材シート2の裏面側に、装飾処理として、印刷等により形成し絵柄を表現する装飾層3が形成された構成のものである。なお、装飾処理としては、基材シート自体への着色剤添加による着色等もあり、この場合は、装飾層は省略される事もある。
【0021】
化粧シートに用いる基材シート2としては、エンボス加工時の圧或いは熱圧で溶融や破断せずに、エンボスローラの凹凸を接着剤層Aにまで、伝達可能な可撓性を有するシートであれば特に制限は無く、従来公知の物の中から用途に応じて選択すれば良い。また、紙等の基材シートは非圧縮性のシートでも良いが、エンボスが入り易いという点では熱可塑性樹脂シート等の圧縮性のシートの方がより好ましい。但し、これらは、目的とする意匠表現、用途等によって適宜選択するものである。
【0022】
上記の如き可撓性を有する様な基材シート2としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレン−テレフタレート−イソフタレート共重合体、エチレングリコール−1,4−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂フィルム(シート)、或いは上質紙、薄葉紙等にポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂層を積層した塗工紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、等による単層体又は積層体を用いる。なお、紙は厚紙以外は通常圧縮性は乏しい為、紙又は他との積層体に於ける紙部分は、非圧縮性乃至はそれに近いものとなる。
基材シートの厚さは、用途、要求物性等に応じた厚さとすれば良いが、化粧シートを間に介して接着剤層までエンボス加工を及ぼすには、薄い方が好ましい。但し、薄すぎると化粧シートの機械的強度が低下するので、エンボスする凹凸模様の深さにもよるが、通常は20〜100μm程度とする。
【0023】
装飾層3としては、エンボス加工時に変形可能であれば特に限定は無く、従来公知のもので良い。なお、エンボス加工で圧縮され永久変形されるのは、接着剤層のみ、或いは、接着剤層及び化粧シートであるが、更に化粧シートのみの場合もあり得る。
【0024】
装飾層3としては、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、インキジェットプリント、手描き等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷した絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を公知の蒸着法等を用いて部分的或いは全面に形成した金属薄膜層等であり、用途に合わせたものが用いられる。なお、装飾層は、摩耗性の点からは基材シートの裏側面に形成するのが普通であるが(この場合、装飾層の絵柄は基材シートを透明として見える様にする)、基材シート表側面、或いは表裏両面に形成することもある。
絵柄は、例えば、木目模様、石目模様、布目模様、タイル貼り調模様、煉瓦積み調模様、皮絞模様、文字、幾何学模様、全面ベタ等の1種、又は2種以上の組合わせが用いられる。特に本発明ではエンボス加工による凹凸模様もラミネートと同時に形成できるので、それを導管溝柄とすれば、木目模様等は好適な絵柄模様の一つである。
【0025】
なお、絵柄層用のインキは、一般的なインキ同様に、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える各種添加剤からなる。バインダーの樹脂には、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂等を1種、又は2種以上の混合物として用いる。着色剤としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料、アルミニウム箔粉、二酸化チタン被覆雲母の箔粉等の光輝性顔料、或いはその他染料等を用いる。
【0026】
〔基材〕
化粧シートのラミネート対象である基材Bとしては、特に限定は無い。例えば、基材の材質は、木質系、無機非金属系、金属系、プラスチック系等である。具体的には、木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等がある。また、無機非金属系では、例えば、押し出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、ケイ酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス等の無機質材料等がある。また、金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料がある。また、プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料がある。
【0027】
また、基材の形状は、化粧シート積層面にラミネート及びエンボス加工できれば、特に制限は無く、平板、柱状物等と任意である。なお、柱状物の断面形状には、凸多角形状、凹多角形状、円形状、長円形状、方形形状等がある。この断面形状が長方形の一形態が板材である。
なお、基材には、必要に応じ適宜、公知の目止め処理、着色塗装処理等を施しておいても良い。もちろんこれらの処理は、熱可塑性を呈する樹脂の接着剤層を基材側に形成する場合には、この接着剤層形成前である。
【0028】
〔接着剤層〕
接着剤層Aとしては、少なくともエンボス加工時点に於いて、熱可塑性を呈する樹脂を使用する。該樹脂としては、熱可塑性樹脂が代表的であるが、硬化前に熱可塑性を呈するならば硬化性樹脂でも使用できる。熱可塑性を呈する樹脂は、接着させる基材及び化粧シートの材料に応じて、公知の樹脂の中から適宜選択すれば良い。
接着剤層を、少なくともエンボス加工時に熱可塑性の層とする事によって、接着剤層を加熱し、軟化させた状態で基材に融着させてラミネート加工を行う。また、同時に凹凸模様を受容することにより接着剤層に到達したエンボス加工を行う事も可能となり、これによって、より少ない圧でラミネート及びエンボス加工が出来、化粧シートや基材への負担を減らせる様になる。そして、該接着剤層を冷却固化させる事により、基材と接着させ、且つ凹凸模様を固定する。
【0029】
なお、上記熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が使用できる。また、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂等も使用できる。
【0030】
また、例えば前記硬化性樹脂としては、例えば、1液湿気硬化型ウレタン樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を使用できる。また、熱硬化型ウレタン樹脂でも、基材や化粧シートの予熱条件を調節したり、イソシアネートにブロックイソシアネートを使用する等して、エンボス加工時に熱可塑性を呈する様にすれば、使用する事ができる。接着剤として硬化性樹脂を使用し、未硬化で熱可塑性を呈する間にエンボス加工を行い、而る後、経時的に硬化させることにより、良好なエンボス適性と、エンボスされた凹凸模様の耐久性の両方を両立可能である。また、エンボス加工物品に於いて、接着剤層の耐熱性、密着性等を向上させることもできる。
【0031】
上記1液湿気硬化型ウレタン樹脂は、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分とする組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソシアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、その結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が反応して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起こす。
分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウレタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を有するポリエステル骨格、ポリブタジエン骨格等である。適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用する。なお、分子鎖中にウレタン結合がある場合は、このウレタン結合とも末端イソシアネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、このアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0032】
なお、前記熱硬化型ウレタン樹脂は、通常、2液硬化型ウレタン樹脂として、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂を使用する。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或いはまた、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。
【0033】
また、これらのイソシアネートをブロック化したブロックイソシアネートとして用い、加熱によりブロックを解除して反応を開始させても良い。
ブロックイソシアネートは、上記イソシアネートを、アルコール類、フェノール類、アミン類等のブロック剤と一時的に反応させ、イソシアネート基の反応性を阻止(ブロック)した化合物である。通常、ブロック剤の解離温度を適度な温度領域まで低下させる為に、解離触媒として、金属石鹸、アミン類等の公知の物を用いる。
【0034】
また、前記電離放射線硬化性樹脂としては、未硬化時に常温で固体状態を呈し、電離放射線で架橋硬化する樹脂(組成物)を使用できる。例えば、次の(I)や(II)の電離放射線硬化性樹脂を使用できる。
【0035】
(I)ラジカル重合性不飽和基を有する、熱可塑性の次の(1)又は(2)の2種類の樹脂。
(1)ガラス転移温度が0〜250℃のポリマー中にラジカル重合性不飽和基を有するもの。更に具体的には以下の(1-1)〜(1-8)を重合、もしくは共重合させたものに対し、後述する方法(a)〜(d)によりラジカル重合性不飽和基を導入したものを用いることができる。なお、以下において、例えば(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味で用いる。
(1-1)水酸基を有するモノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなど。
(1-2)カルボキシル基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネートなど。
(1-3)エポキシ基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレートなど。
(1-4)アジリジニル基を有するモノマー;2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−アジリジニルプロピオン酸アリルなど。
(1-5)アミノ基を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど。
(1-6)スルフォン基を有するモノマー;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸など。
(1-7)イソシアネート基を有するモノマー;2,4−トルエンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの1モル対1モルの付加物などのジイソシアネートと活性水素を有するラジカル重合性モノマーとの付加物など。
(1-8)上記(1-1)〜(1-7)のモノマーと共重合可能で上記(1-1)〜(1-7)以外のモノマー;このモノマーは得られる共重合体のガラス転移温度や物性を調節する共重合成分として使用する。例えば、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど。
【0036】
次に、上述のようにして得られた重合体又は共重合体を、以下に述べる方法(a)〜(d)により反応させてラジカル重合性不飽和基を導入する。
(a)水酸基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述した(1-2)の(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマーなどを縮合反応させる。
(b)カルボキシル基、スルフォン基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述(1-1)の水酸基を有するモノマーを縮合反応させる。
(c)エポキシ基、イソシアネート基、或いはアジリジニル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述(1-1)の水酸基を有するモノマーもしくは前述(1-2)のカルボキシル基を有するモノマーを付加反応させる。
(d)水酸基あるいはカルボキシル基を有するモノマーの重合体又は共重合体の場合には、前述(1-3)のエポキシ基を有するモノマーあるいは前述(1-4)のアジリジニルを有するモノマーあるいは前述(1-7)のジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステルモノマーとの1モル対1モルの付加物等のイソシアネート基を有するモノマーを、付加反応させる。
なお、上記反応を行うには、微量のハイドロキノンなどの重合禁止剤を加え、乾燥空気を送りながら行うことが望ましい。
【0037】
(2)融点が20℃〜250℃であり、ラジカル重合性不飽和基を有する化合物。具体的には、トリアジン(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリアクリルイソシアヌレート、シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、スピログリコールジアクリレート、スピログリコール(メタ)アクリレートなどである。
【0038】
また、上記(1)及び(2)を混合して用いることもできる。
更に、上記(1)又は(2)、又は(1)及び(2)の混合物に対して、反応性希釈剤としてラジカル重合性モノマーを加えることもできる。このラジカル重合性モノマーは、電離放射線照射による架橋密度を上げて耐熱性を向上させる。該モノマーとしては、例えば、前述の(1-1)〜(1-8)のモノマーの他に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポレエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテルテトラ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。配合量は、前記(1)又は(2)の単独又は混合物の樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部で用いることが好ましい。
また、後述(ロ)の非架橋型樹脂を加えることもできる。
【0039】
(II)常温で液状の電離放射線硬化性樹脂に、常温で熱可塑性固体である非架橋型樹脂を混合して得られる電離放射線硬化性樹脂。
(イ)常温で液状の電離放射線硬化性樹脂;分子中にラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマー又はモノマーの、単体又は混合物からなる組成物である。或いはカチオン重合性官能基を有するプレポリマーやモノマーからなる組成物である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどである。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどがある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。
【0040】
(ロ)非架橋型樹脂は、電離放射線による架橋硬化反応に寄与しない常温固体の熱可塑性樹脂であり、例えば、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、或いは、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂等のビニル系樹脂である。中でもアクリル系樹脂であって、平均分子量が50,000〜600,000、ガラス転移温度が50〜130℃であるものが、室温未硬化時の非接着性(指触乾燥性)、熱融着による接着性、ラミネート時(未硬化時)の可撓性(成形性)、エンボス加工適性及び硬化後の応力の吸収緩和性の点で好ましい。
【0041】
なお、上記電離放射線硬化性樹脂にて「常温」とは、化粧シートや基材への接着剤層の形成、その結果物の一時保存、ラミネート及びエンボス加工等を行う室内(或いは室外)の雰囲気温度を意味する。具体的値は、気候や作業環境によって異るが、通常は10〜40℃の範囲、より一般的には15〜25℃の範囲である。そして、接着剤は、その活性化(接着力発現)温度が、常温即ち雰囲気温度よりも高い物を選択するのが、迅速な化粧シート固着ができる為、生産性の点で好ましい。活性化温度は通常100〜150℃程度に設定する。
【0042】
なお、紫外線で硬化させる場合には、上記(I)又は(II)の電離放射線硬化性樹脂に、更に光重合開始剤を添加する。光重合開始剤は、ラジカル重合系ではアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合使用し、カチオン重合系では芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合使用する。
【0043】
なお、電離放射線としては、電離放射線硬化性樹脂中の分子を硬化させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子線である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用される。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0044】
上記の様な熱可塑性を呈する樹脂から接着剤層を形成する形成方法は、特に限定は無い。接着剤層の形成は、上記樹脂を、水や有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態(具体的には例えば、有機溶剤溶液や水分散エマルション等)で、或いはホットメルトの形態で形成すれば良い。接着剤層を形成する対象物は、化粧シート、基材、或いは化粧シート及び基材である。
接着剤層の形成法は、対象物及びその形成面(化粧シートや板状の基材での単一平坦面、柱状の基材での凹凸面等)に応じて、従来公知の形成法によれば良い。例えば、ロールコート、スプレーコート、カーテンフローコート、グラビアコート、コンマコート等である。或いは、シルクスクリーン印刷等の印刷法である。また、接着剤層にポリオレフィン樹脂等の溶液(分散液等も含む)化が困難な樹脂を用いる場合には、Tダイ等による溶融押出塗工法等で形成すれば良い。
なお、接着剤層の形成時期は、化粧シートを基材に押し付ける直前の他に、その前に予め形成しておいても良い。例えば、予めオフラインで接着剤層を形成し、形成物(化粧シートや基材)を一時保存する等しても良い。
【0045】
接着剤層の厚みTaは、接着剤層の厚みTaと化粧シートの厚みTsとの総厚Tが、エンボスローラの凹凸の最大高低差H以上とする以外、特に限定は無い。但し、接着機能発現の意味からは、通常は5μm以上である。また、化粧シート自体がエンボス加工で厚み低下が少ない化粧シートを用いる場合には、エンボスによる凹凸は専ら接着剤層がその深さを主体的に受け持つ事になるので、接着剤層の厚みTaは、該厚みTa自身を最大高低差H以上とするのが良い。もちろん、この厚み条件は、化粧シートがエンボスで厚み減少する圧縮性を有する場合に採用しても良い。
以上のことより、接着剤層の厚みは、通常、賦形する凹凸模様の深さ等にもよるが5〜100μm程度の範囲である。
【0046】
なお、図1にて、基材の予熱装置13aは、基材側に接着剤層を形成する場合には、加熱手段が熱風等であれば、接着剤中の溶剤等の揮発成分の乾燥装置として使用しても良い。同様に、化粧シート側の予熱装置13bも接着剤中の揮発成分の乾燥装置として使用しても良い。
なお、予熱装置13a、13b(或いは後述の予熱装置13)としては、熱風、赤外線ヒータ、誘電加熱ヒータ等の公知の加熱手段による装置で良い。接着剤中の有機溶剤の乾燥も兼ねる場合、該予熱装置は、防爆、防火の点から、赤外線ヒータでは無く、熱風を用いることが望ましい。
【0047】
また、接着剤層の樹脂に硬化性樹脂を使用する場合には、化粧シートを基材に押し付けて、化粧シートの圧着によるラミネート加工とエンボス加工とが同時に行われた後に、硬化性樹脂の硬化反応を進めて完結させれば良い。なお、硬化反応の進行は前記ラミネート及びエンボス加工時に一部進行、或いは進行中であっても、そのときに熱可塑性を呈すれば良い。この熱可塑性によって、接着剤層をエンボス加工で変成させて、少なくとも接着剤層を使って凹凸模様を賦形できる。また、迅速な熱融着による接着もできる
【0048】
〔ラミネート及びエンボス加工〕
ラミネート及びエンボス加工は、(1)ラミネート面が平面の場合には、(通常は)一本の押圧ローラ(ラミネートローラ)で化粧シートを基材に押圧し貼り付ける所謂ローラ法に於いて、押圧ローラをエンボスローラに置き換えて行うエンボス加工方法でも良いし、(2)ラミネート面が複数の側面からなる柱状の基材に対して複数の押圧ローラ(ラミネートローラ)を用いて対応する所謂ラッピング法(特公昭61−5895号公報等参照)に於いて、押圧ローラをエンボスローラに置き換えて行うエンボス加工方法等でも良い。
【0049】
ここで、斜視図で示す図3の概念図を参照して、ラッピング法に本発明のエンボス加工方法を適用した或る一例よって、更に説明する。
【0050】
図3に於いては、柱状の基材Bを、複数の送りローラ14上に載置して、基材の長手方向(矢印方向)に搬送し、基材の搬送速度に同調した速度で、化粧シートSを基材に対して供給し、エンボスローラ(兼ラミネートローラ)11a〜11dによって、化粧シートを基材へ押し付け圧着させるラミネートと、凹凸模様を化粧シート表面に賦形するエンボス加工とを同時に、基材の長手方向に略直交又は直交する方向に向かって、小面積毎に段階的に行う。同図では基材のラミネートすべき各側面は、断面が折れ線形状となる様な面であり、各側面は各々単一の平面を成すので、各側面毎にぞれぞれ専用のエンボスローラを用いる。エンボスローラによる化粧シートの基材へのラミネート(及びエンボス加工)は、エンボスローラ11a、エンボスローラ11b、エンボスローラ11c、エンボスローラ11dの順に行う事で、隣接する側面に対して小面積毎に順番に段階的に押し付けて、ラミネートとエンボス加工とを同時に行う様にしてある。なお、エンボスローラは、基材に対し図面手前側に設けた分のみを図示簡略化の為に表示してある。
【0051】
なお、エンボスローラ(兼ラミネートローラ)としては、通常、鉄(合金)、銅等の金属、或いはセラミックス等からなる公知のエンボスローラを用いることができる。
【0052】
また、エンボスローラは、加熱状態で用いても良い。こうすれば、エンボス加工により凹凸模様が形成され易い様に、接着剤層や基材等を予め予熱しておく事を省略したり、予熱温度をより低い温度で行う事もできる。また、逆に、接着剤層や基材等の十分な予熱を行えば、エンボスローラは加熱せずに冷却して使用する事もできる。エンボスローラを押し付けて凹凸模様を形成すると同時に、熱可塑性を呈する接着剤層に形成された凹凸形状を、該接着剤層等を冷却して速やかに固定する為である。なおここで、冷却とか加熱とか言うのは、エンボスローラに到達する直前の化粧シート、及び/又は接着剤層の温度に比べて高い場合を加熱、低い場合を冷却と呼称する。
【0053】
そして、化粧シートを、基材にラミネートすると同時にエンボス加工するべくエンボスローラを通過させた後は、化粧シートが基材上に積層され該且つ化粧シート表面にエンボスによる凹凸模様が賦形された化粧材等のエンボス加工物品Dが得られる事になる。
【0054】
なお、図3で概念的に示す如く、ラミネート及びエンボス加工装置では、化粧シートを基材に押圧しラミネートする時に、接着剤塗工装置12によって接着剤層を化粧シートSに形成(適宜行う該層中の溶剤分の乾燥、或いは化粧シートの予熱等の為の予熱装置は図示略)できる様にしてある。また、基材Bは、熱風や赤外線ヒータ等による予熱装置13で予熱して供給できる様にしても良い。なお、これらのことは、ラッピング法への適用時以外に平板へのラミネートで多用されるローラ法に対して適用する場合も同様である。
【0055】
〔凹凸模様〕
ところで、エンボス加工で形成する凹凸模様1としては〔図5参照〕、特に限定は無い。凹凸模様は、例えば、木目導管溝、砂目、タイル貼りやレンガ積み等の目地溝、皮絞、花崗岩の劈開面の凹凸模様、梨地、ヘアライン、万線状溝、木目年輪模様、布目の表面テクスチュア、文字、幾何学模様等である。凹凸模様の深さは、化粧シートと接着剤層との総厚Tにもよるが、例えば30〜200μm程度である。
【0056】
また、更に凹凸模様の凹部には、公知のワイピング法等によって着色インキを充填して固化させて着色部を形成しても良い。特に木目導管等とする凹部に黒褐色系の着色インキを充填し固化させて着色部とすれば、より意匠感に富んだ木目導管溝等を表現できる。
また、エンボス加工物品の最表面には、樹脂塗装等によって公知の表面保護層を形成しても良い。
【0057】
〔エンボス加工物品〕
本発明によるエンボス加工物品は、上述した如き本発明のエンボス加工方法によって製造された物であり、図5の断面図でその一例を示した如く、基材B上に、少なくとも化粧シートを基材にラミネート及びエンボス加工時には熱可塑性を呈する樹脂による接着剤層Aを介して化粧シートSがに積層され、且つ該化粧シートS表面に上述エンボス加工による凹凸模様1を有する構成の物品である。同図に於ける化粧シートSの詳細は、例えば図4で例示した如き、基材シート2の裏側面に絵柄表現等をする為の装飾層3を印刷等で形成したシート等である。
【0058】
〔エンボス加工物品の用途〕
本発明によるエンボス加工物品の用途は特に制限は無い。例えば、窓枠、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、壁面、天井、床等の建築物内装材、外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装材、箪笥等の家具、或いはテレビ受像機等の弱電・OA機器のキャビネット、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材、小物入れ等の容器等として用いる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって、更に具体的に説明する。
【0060】
〔実施例1〕
図4の如き化粧シートSを、厚さ60μmのポリプロピレン系の熱可塑性エラストマーのフィルムからなる基材シート2の裏側とする面に、装飾層3として、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーの樹脂とし、カーボンブラック、弁柄、黄鉛及びフタロシアニンブルーを着色剤主成分とする着色インキで木目柄の厚さ4μmの絵柄層を、多色グラビア輪転印刷法にて形成して、用意した。化粧シートの厚みTsは64μmであった。
【0061】
そして、ラミネート及びエンボス加工は、図3の概念的で示す如きラッピング法によって行った。先ず、上記化粧シートSを基材Bに積層時にインラインで、その裏側の面にホットメルト型の接着剤を接着剤塗工装置12にて溶融塗工して接着剤層(接着剤層の厚みTa=60μm)を形成した。接着剤には1液湿気硬化型ウレタン樹脂系の接着剤(未硬化時は室温で熱可塑性の固体のもの。日本エヌエスシー株式会社製、70−7310)を用い、塗工温度60℃で溶融塗工した。なお、化粧シートと接着剤層との総厚Tは124μmである。
【0062】
一方、基材Bとしては、柱状のMDF(木質中密度繊維板)を用いた。そして、この基材を予熱装置で予め被転写面の表面温度を80℃に予熱しながら、基材のラミネートすべき複数の側面に、上記の接着剤層形成済みの化粧シートを、複数のエンボスローラにて順番に押し付けて圧着しラミネートすると共に、エンボス加工した。エンボスローラは、多数の木目導管溝状の凹部を賦形する為の凸部(最大高低差H=110μm)が形成された金属製のローラで、内部空洞に冷却水を通して表面温度20℃に調整して用いた。エンボス加工後、接着剤層の樹脂は、相対湿度65%の雰囲気中に湿気により完全硬化させて硬化物とした。
【0063】
以上の結果、エンボス加工物品Dとして、装飾層による木目柄のみならず、木質意匠に特徴的な導管溝の凹凸模様もエンボス加工でラミネートと同時に形成された、高意匠な導管溝の立体感を有する木質化粧材(板)が得られた。
【0064】
〔比較例1〕
実施例1に於いて、接着剤層の厚みTaを60μmから30μmに変更した他は、実施例と同様にして、エンボス加工物品を得る事を試みた。なお、化粧シートと接着剤層との総厚Tは94μmである。
【0065】
〔評価結果〕
実施例1は、総厚T(124μm)はエンボスローラの最大高低差H(110μm)に対して大きい。この実施例1では、ラミネート及びエンボス加工時に、化粧シートの破れ、ローラ回転が重くなるといった不具合は特に発生せず、加工は良好で生産性は良好であった。そして、凹凸模様は、エンボスローラの持つ凹凸高低差を良好に再現し、高意匠な凹凸感を有するエンボス加工物品が得られた。
しかしながら、比較例1では、総厚T(94μm)が最大高低差H(110μm)に対して小さい為、ラミネート及びエンボス加工時に、化粧シートの破れが発生した他、エンボスローラが基材に当たって回転が重くなる不具合が発生し、生産性が低下した。しかも、凹凸模様は、エンボスローラの持つ凹凸高低差に対して入りが悪く、不十分な凹凸感のエンボス加工物品となった。
【0066】
【発明の効果】
(1)本発明のエンボス加工方法によれば、化粧シートと接着剤層の厚みの総厚Tをエンボスローラの凹凸の最大高低差H以上と規定する事によって、凹凸模様の賦形が不十分となったり、エンボスローラが平板もしくは柱状物に当たってその回転が重くなったり、化粧シートが破れてしまう不具合を防いで、ラミネートと同時にエンボス加工を円滑に行える。その結果、生産性が大幅に向上し、且つ高意匠の立体感を表現できる凹凸模様を付与できる
【0067】
(2)また、平板もしくは柱状物表面は、転写では無く、厚みを厚くできる化粧シートのラミネートによって装飾される事になるので、転写の場合に比べて、傷付きで基材露出して外観を損なう事が少ない。しかも、接着剤層は少なくともエンボス加工時に於いては熱可塑性を呈する樹脂を用いるので、化粧シートを平板もしくは柱状物に押し付けて圧着してラミネートすると同時のエンボス加工にて、容易に凹凸模様を賦形できる
【0068】
(3)また、押圧ローラ(ラミネートローラ)をエンボスローラが兼用する為に、押圧ローラに代えてエンボスローラを使用して押圧ローラ部分を流用することで、装置的にも容易に、ラミネートとエンボス加工とを同時に行うこともできる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンボス加工方法を概念的に説明する概念図。
【図2】本発明のエンボス加工方法にて、総厚Tと最大高低差Hとの関係を概念的に説明する概念図。
【図3】本発明のエンボス加工方法の一形態として、ラッピング法で行う場合を概念的に説明する概念図(斜視図)。
【図4】本発明のエンボス加工方法で使用し得る化粧シートの一例を示す断面図。
【図5】本発明のよるエンボス加工物品の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 凹凸模様
2 基材シート
3 装飾層
11、11a〜11d エンボスローラ(兼ラミネートローラ)
12 接着剤塗工装置
13、13a、13b 予熱装置
14 送りローラ
A 接着剤層
B 基材
D エンボス加工物品
H エンボスローラの凹凸の最大高低差
S 化粧シート
T 化粧シートと接着剤層の厚みの総厚
Ta 接着剤層の厚み
Ts 化粧シートの厚み

Claims (2)

  1. 平板もしくは柱状物上に裏側面に装飾層が形成された化粧シートがラミネートされ該化粧シート表面にエンボス加工による凹凸模様が形成されて成るエンボス加工物品を製造する為のエンボス加工方法において、
    化粧シート裏側面又は/及び基材面に、熱可塑性を呈する樹脂の接着剤層を形成した後、エンボスローラを化粧シート表側から押し付けることにより、化粧シートを基材にラミネートすると同時にエンボス加工を施す、エンボス加工方法であって、
    上記化粧シートと接着剤層の厚みの総厚Tと、エンボスローラの凹凸の最大高低差Hとが、総厚T≧最大高低差Hの関係になる様にして、ラミネート及びエンボス加工を行う、エンボス加工方法。
  2. 上記化粧シートと接着剤層の厚みの総厚Tと、エンボスローラの凹凸の最大高低差Hとが、総厚T≧最大高低差Hの関係になる様にして、平板もしくは柱状物に凹凸模様が形成されないことを特徴とする請求項1記載のエンボス加工方法。
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