JP2000045282A - 斜杭からなる組杭による山留め工法 - Google Patents
斜杭からなる組杭による山留め工法Info
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Abstract
辺環境の条件に影響されず、安価で、施工が容易であ
り、上記列挙した各従来技術と略同等の支持耐力を有す
る合理的で安全性の高い斜杭からなる組杭による山留め
工法を提供する。 【解決手段】 地盤の掘削部の周囲に山留め壁を構築
し、地盤の第一次掘削を行う工程と、第一次掘削の底面
から地盤中へ少なくとも2本の斜杭を各々の杭頭部が集
合する配置で打設し、集合した杭頭部を連結部材で接合
して組杭とする工程と、前記連結部材と前記山留め壁に
設けた腹起しとの間に切梁を架設することにより前記山
留め壁を支持せしめる工程と、地盤の第二次掘削を進め
る工程とから成る。
Description
して傾斜させた所謂斜杭からなる組杭による山留め工法
の技術分野に属する。
おける山留め工法としては、切梁工法、地盤アンカ
ー工法、アイランド工法が一般的に実施されている。
前記の切梁工法は、向かい合う山留め壁の間に切梁を
略水平に架設し、同山留め壁を押さえている腹起しを前
記切梁で支持せしめる工法である。しかし、大規模な平
面を有する掘削工事の場合、山留め壁の間隔が広くなる
ことより切梁の延べ長さが長くなり、それに伴い材料
費、施工費のコストが嵩むと云う問題があった。
アンカーを施工し、同地盤アンカーに緊張力を与えて山
留め壁に定着させ同山留め壁を支持せしめる工法であ
る。しかし、敷地境界の外側に地盤アンカーを打設する
場合には、山留め壁外側の既設埋設物に及ぼす障害や、
条例等の法的な条件により地盤アンカー打設の許可が得
られない場合があると云う問題があった。
部に地下躯体を施工し、該地下躯体と山留め壁との間に
切梁を架設し同山留め壁を支持せしめる工法である。し
かし、前記地下躯体が築造され、所定の強度が得られて
から切梁を架設して山留め壁を支持させるので、その間
は前記地下躯体外周部の掘削工事に着手することができ
ず、地下工事の工程の遅延につながると云う問題があっ
た。また、外周部の工事を先行したいような場合は工程
的に不適当であるという問題もあった。
公報に開示されている山留め工法が注目される。この山
留め工法は、図11に示したように、法面fで山留め壁
1を支持した状態で支持杭aを掘削底gから支持層へ到
達するまで打設し、同支持杭aの杭頭部をコンクリート
で一体的に固着して基礎部bを形成し、同基礎部bに斜
め切梁cに対して釣り合いを保つように地盤アンカーd
を施工し、同地盤アンカーdを緊張し定着させた後に、
前記斜め切梁cを架設し、その後法面fを掘削して山留
め壁1を支持せしめる工法である。図中の符号eは地
盤、符号2は腹起しを示している。
の問題点を解消しているので、一見、万全な山留め工法
を提供しているように見える。
特開平7−252835号公報に記載された山留め工法
は、下記するような問題点がある。 I) 地盤アンカーdを緊張したときに、支持杭aには
前記緊張力による水平力が図面中の右向きに作用し曲げ
モーメントが発生する。また、斜め切梁cを架設後に法
面fの掘削を行うと斜め切梁cに軸力が生じ、支持杭a
には水平力が図面中の左向きに作用する。地盤アンカー
dの鋼より線は細く剛性は小さいので、支持杭aは紙面
の左方向に変形し、前記右向きに作用する曲げモーメン
トとは逆向きの曲げモーメントが支持杭aに発生して支
持杭aが破壊し易くなる。即ち、力学上、前記支持杭a
を破壊しないようにするためには杭径を大きくする等の
対策が必須となり、仮設材としてのみ使用する支持杭a
としては余りにも不経済である。 II) 切梁cの支持点は掘削底gであり、切梁cは傾斜
させて山留め壁1を支持するほか無い。よって、斜め切
梁cの耐力をPとすればPcosωの力でしか山留め壁
1を支持できず、合理的とは到底云えない。 III) 少なくとも斜め切梁cの支持点となる掘削底まで
掘削する必要があり、法面fの部分の土が少ないことか
ら特に地盤条件が悪い場合は斜め切梁cを架設する前に
山留め壁1が大きく変位してしまう虞がある。
面を有する掘削工事において、周辺環境の条件に影響さ
れず、安価で、施工が容易であり、上記列挙した各従来
技術と略同等の支持耐力を有する合理的で安全性の高い
斜杭からなる組杭による山留め工法を提供することであ
る。
決するための手段として、請求項1の発明に係る斜杭か
らなる組杭による山留め工法は、地盤の掘削部の周囲に
山留め壁を構築し、地盤の第一次掘削を行う工程と、第
一次掘削の底面から地盤中へ少なくとも2本の斜杭を各
々の杭頭部が集合する配置で打設し、集合した杭頭部を
連結部材で接合して組杭とする工程と、前記連結部材と
前記山留め壁に設けた腹起しとの間に切梁を架設するこ
とにより前記山留め壁を支持せしめる工程と、地盤の第
二次掘削を進める工程と、から成ることを特徴とする。
る組杭による山留め工法は、請求項1に記載した切梁
は、連結部材と山留め壁に設けた腹起しとの間に略水平
に架設して山留め壁を支持せしめることを特徴とする。
請求項3の発明に係る斜杭からなる組杭による山留め工
法は、地盤の掘削部の周囲に山留め壁を構築する工程
と、斜杭を施工する深度まで、但し山留め壁側には斜め
切梁を架設するのに適切な傾斜の法面を残す形に地盤の
第一次掘削を行う工程と、第一次掘削の底面から地盤中
へ少なくとも2本の斜杭を各々の杭頭部が集合する配置
で打設し、集合した杭頭部を連結部材で接合して組杭と
する工程と、前記連結部材と前記山留め壁の上部に設け
た腹起しとの間に斜め切梁を架設する工程と、前記法面
を解消する掘削を行って第一次掘削を完成する工程と、
前記連結部材と前記山留め壁の中部に設けた腹起しとの
間に切梁を略水平に架設することにより前記山留め壁を
支持せしめる工程と、地盤の第二次掘削を進める工程
と、から成る。
る組杭による山留め工法は、請求項1又は3に記載した
斜杭を2本用い、同2本の斜杭は、山留め壁に対して直
交する線の鉛直面内に軸線が含まれ、平面方向に見ると
略180度向きを変えた対称的配置として同2本の斜杭
を各々の杭頭部が集合する配置で打設し、集合した杭頭
部を連結部材で互いに接合して組杭とすることを特徴と
する。
る組杭による山留め工法は、請求項1又は2又は3に記
載した架設した切梁にプレロードを導入することを特徴
とする。
本発明の実施形態及び実施例を説明する。図1〜図3
は、請求項1に記載した発明に係る斜杭からなる組杭に
よる山留め工法の異なる実施形態を示している。図1〜
図3に示した山留め工法は、先ず地盤8の掘削部の周囲
に山留め壁1を構築し、地盤8の第一次掘削を行い、第
一次掘削の底面D1から地盤中へ3本(図1、図2)又
は4本(図3)の斜杭3を各々の杭頭部が掘削底面D1
上に集合する配置で地盤中に十分に反力をとる深さまで
打設し、集合した杭頭部を連結部材5で接合して組杭7
とする。そして、前記山留め壁1には、同山留め壁1を
内側(掘削部側)から支持するために腹起し2を架設
し、前記連結部材5と腹起し2との間に切梁4を略水平
に架設して(請求項2)、山留め壁1を支持せしめてい
る。その後、所望の深度D2まで第二次、第三次の地盤
掘削作業を進め、斜杭からなる組杭による山留め工法の
施工を行う。
してコンクリートブロック5を打設することにより前記
3本又は4本の斜杭3の杭頭部を一体化させて組杭7と
している。前記切梁4を架設する際には、同切梁4と腹
起し2、組杭7の杭頭部(コンクリートブロック5)と
の接合に生ずるゆるみや切梁4自体の初期歪みを補完す
る大きさのプレロードを導入する(請求項5)。また、
各図示例の斜杭3の傾斜角度はこれに限定されない。山
留め壁1を十分に支持するに適正な傾斜角度に決定され
る。斜杭3の材質は、H形鋼杭、鋼管杭、PC杭等など
十分に支持力を伝達し得るものであれば特に限定はしな
い。以下に説明する実施形態及び実施例においても同様
の技術的思想とする。
1は、3本の斜杭3を、図1Aのように正面方向に見る
と水平面に対し約65度傾けた二又形状とし、図1Bの
ように平面方向に見ると連結部材5を中心として1本は
切梁4の直下位置に、他の2本は山留め壁1に対して踏
んばる形の二又形状に配置されている。図2は、3本の
斜杭を、山留め壁1に対して直交する線の鉛直面内に斜
杭3の軸線が含まれるようにそれぞれ異なる角度で配置
されている。図3は、4本の斜杭3を、図3Aのように
正面方向に見ると水平面に対し約65度傾けた二又形状
とし、図3Bのように平面方向に見ると右側2本の斜杭
は連結部材5を中心として山留め壁1に対して踏んばる
形の二又形状とし、左側の2本は同二又形状と対称配置
の二又形状に配置されている。
係る斜杭からなる組杭による山留め工法の実施例を示し
ている。この実施例は、斜杭3を2本用い、同2本の斜
杭3,3は、図4Bに示したように、山留め壁1に対し
て直交する線の鉛直面内に軸線が含まれ、平面方向に見
ると略180度向きを変えた対称的配置として同2本の
斜杭3,3を各々の杭頭部が集合する配置で打設し、集
合した杭頭部を連結部材5で互いに接合して組杭7とし
ている。
た山留め工法と略同様の工程で行う。即ち、図5Aに示
したように、先ず地盤8の掘削部の周囲に山留め壁1を
構築し、地盤8の第一次掘削を行い、第一次掘削の底面
D1′から地盤中へ2本の斜杭3を前記した配置で地盤
中に十分に反力をとる深さまで打設する。そして、図5
Bに示したように、集合した杭頭部が露出し同杭頭部を
連結部材5で接合するのに適した深度D1まで掘削を進
めて第一次掘削を完成する。そして、斜杭3,3の杭頭
部を連結部材5で接合して組杭7とし、前記山留め壁1
には、同山留め壁1を内側(掘削部側)から支持するた
めに腹起し2を架設し、前記連結部材5と腹起し2との
間に切梁4を略水平に架設して(請求項2)、山留め壁
を支持せしめている。その後、所望の深度D2まで第二
次、第三次の地盤掘削作業を進め、斜杭からなる組杭に
よる山留め工法の施工を行う。
部材5で接合して組杭7を施工するに際し、一般的に
は、この山留め工法のように深度D1′から深度D1へ掘
削を進めて斜杭3,3の杭頭部を十分に露出させてから
組杭7を施工することが通例であるが、これに限定され
ない。斜杭3,3の杭頭部の周辺の地盤のみを掘削して
組杭7を施工しても良いし、斜杭3,3の杭頭部を予め
露出するよう型枠を使用する等して施工した後、組杭7
を施工しても良い。図1〜図3に例示した異なる実施形
態及び以下に説明する実施形態及び実施例においても同
様の技術的思想とする。
図6に基づいて説明すると、各斜杭3,3の周面摩擦抵
抗力(R)に対して、F=2Rsinθの式で求められ
る水平方向の抵抗力(F)を期待できることを応用して
いる。組杭7を構成する2本の斜杭3,3を平面方向に
見て対称的配置としていることから、2本の斜杭3,3
に作用する軸力は圧縮力Pと引張力Tという逆向きの負
荷として相殺され、構造的に安定した架構を形成する。
各斜杭3,3に発生する応力は引張り応力や圧縮応力が
主で、組杭7の構造上の特性により、曲げモーメント
(近似的にはM≒0)やせん断応力が小さいという利点
がある。
までも力学上理想的な配置としているだけであり、これ
に限定されない。図7〜図9に例示したように、2本の
斜杭3,3の角度を対称的配置に揃えない構成でも、山
留め壁1を十分に支持できる。ちなみに図7及び図8
は、一本の斜杭3を大きく傾斜させ、他の斜杭3を略鉛
直に近い角度に配置した実施例である。図9は、2本の
斜杭3,3を山留め壁側に対し、図7とは反対の傾斜角
度で配置した実施例である。
に係る斜杭からなる組杭による山留め工法の実施例を示
している。この実施例は、山留め壁1の支持力を更に増
大させるべく、水平な切梁4と斜め切梁9とを上下2段
に架設したことを特徴とする。この山留め工法は、図1
0Aに示したように、先ず地盤8の掘削部の周囲に山留
め壁1を構築し、斜杭3,3を施工する深度D1′ま
で、但し、山留め壁1側には斜め切梁9を架設するのに
適切な傾斜の法面10を残す形に地盤8の第一次掘削を
行う。この第一次掘削の底面D1′から地盤中へ2本の
斜杭3を前記請求項4に記載した配置で地盤中に十分に
反力をとる深さまで打設する。そして、図10Bに示し
たように、斜杭3,3の集合した杭頭部が露出し同杭頭
部を連結部材5で接合するのに適した深度D1まで掘削
を進め、斜杭3,3の杭頭部を連結部材5で接合して組
杭7とする。前記山留め壁1の上部に同山留め壁1を内
側(掘削部側)から支持するために腹起し2′を架設
し、前記連結部材5と腹起し2′との間に斜め切梁9を
架設した後、前記法面10を解消する掘削を行って第一
次掘削を完成する。その後、第一次掘削の底面D1を作
業床として、前記山留め壁1の中部に腹起し2を架設
し、前記連結部材5と腹起し2との間に切梁4を略水平
に架設して、山留め壁を支持せしめている。その後、所
望の深度D2まで第二次、第三次の地盤掘削作業を進
め、斜杭からなる組杭による山留め工法の施工を行う。
る組杭による山留め工法は、組杭を設置する位置の選択
によって切梁の延べ長さを短くできる。また、地盤アン
カーは一切使用せず、掘削底の中央部に地下躯体を施工
する必要も無いので、上記[従来の技術]で説明した前
記、、の山留め工法の問題点を全て解消してい
る。加えて、斜杭(支持杭)が構造的に安定した架構を
形成しているので、斜杭3の杭径を必要以上に大きくす
る必要は全くなく、切梁4を略水平に架設することがで
きるので、上記[本発明が解決しようとする課題]で説
明した特開平7−252835号公報記載の山留め工法
の問題点をも全て解消している。よって、周辺環境の条
件に影響されず、安価で、施工が容易であり、前記各従
来技術と略同等の支持耐力を有する合理的で安全性の高
い斜杭からなる組杭による山留め工法を達成することが
できる。また、切梁を簡単に二段設けることができるの
で、支持耐力を更に増大させた山留め工法を達成するこ
ともできる。
よる山留め工法は、大規模な平面を有する掘削工事にお
いて、周辺環境の条件に影響されず、安価で、施工が容
易であり、従来一般の山留め工法と略同等の支持耐力を
有する合理的で安全性の高い斜杭からなる組杭による山
留め工法を達成することができる。また、切梁を簡単に
二段設けることができるので、支持力を更に増大させた
山留め工法を達成することもできる。更に、斜杭の打設
角度、打設本数を様々に組み合わせで実施できるので山
留め設計の自由度を高めることができる。
り、Bは、同平面図である。
り、Bは、同平面図である。
り、Bは、同平面図である。
Bは、同平面図である。
示した立面図である。
である。
り、Bは、同平面図である。
り、Bは、同平面図である。
り、Bは、同平面図である。
的に示した立面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】地盤の掘削部の周囲に山留め壁を構築し、
地盤の第一次掘削を行う工程と、 第一次掘削の底面から地盤中へ少なくとも2本の斜杭を
各々の杭頭部が集合する配置で打設し、集合した杭頭部
を連結部材で接合して組杭とする工程と、 前記連結部材と前記山留め壁に設けた腹起しとの間に切
梁を架設することにより前記山留め壁を支持せしめる工
程と、 地盤の第二次掘削を進める工程と、から成ることを特徴
とする斜杭からなる組杭による山留め工法。 - 【請求項2】切梁は、連結部材と山留め壁に設けた腹起
しとの間に略水平に架設して山留め壁を支持せしめるこ
とを特徴とする、請求項1に記載した斜杭からなる組杭
による山留め工法。 - 【請求項3】地盤の掘削部の周囲に山留め壁を構築する
工程と、 斜杭を施工する深度まで、但し山留め壁側には斜め切梁
を架設するのに適切な傾斜の法面を残す形に地盤の第一
次掘削を行う工程と、 第一次掘削の底面から地盤中へ少なくとも2本の斜杭を
各々の杭頭部が集合する配置で打設し、集合した杭頭部
を連結部材で接合して組杭とする工程と、 前記連結部材と前記山留め壁の上部に設けた腹起しとの
間に斜め切梁を架設する工程と、 前記法面を解消する掘削を行って第一次掘削を完成する
工程と、 前記連結部材と前記山留め壁の中部に設けた腹起しとの
間に切梁を略水平に架設することにより前記山留め壁を
支持せしめる工程と、 地盤の第二次掘削を進める工程と、から成ることを特徴
とする斜杭からなる組杭による山留め工法。 - 【請求項4】2本の斜杭は、山留め壁に対して直交する
線の鉛直面内に軸線が含まれ、平面方向に見ると略18
0度向きを変えた対称的配置として同2本の斜杭を各々
の杭頭部が集合する配置で打設し、集合した杭頭部を連
結部材で互いに接合して組杭とすることを特徴とする、
請求項1又は3に記載した斜杭からなる組杭による山留
め工法。 - 【請求項5】架設した切梁にプレロードを導入すること
を特徴とする、請求項1又は2又は3に記載した斜杭か
らなる組杭による山留め工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21084098A JP3680294B2 (ja) | 1998-07-27 | 1998-07-27 | 斜杭からなる組杭による山留め工法 |
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Publication Number | Publication Date |
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