JP2012162848A - 山留め支保工の構造およびその施工方法 - Google Patents
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【解決手段】掘削した地盤の土圧を支える山留め壁と、前記山留め壁から適宜距離を離して地盤に打設する第一控え杭との間に、梁材を介在させる山留め支保工の構造であって、前記第一控え杭から適宜距離を離して地盤に打設する第二控え杭と、前記第一控え杭と前記第二控え杭間に渡設し、各々の控え杭と剛接合する少なくとも一本のつなぎ梁と、を有し、前記第一控え杭及び前記第二控え杭は、前記梁材の延長方向に直列に立設することを特徴とする、山留め支保工の構造。
【選択図】図1
Description
山留め支保工にはさまざまな施工方法があるが、その一つとして、山留め壁Aから離れた位置に控え杭3を打設し、控え杭3及びそれに連結した梁材である斜梁5によって山留め壁Aを支持するとともに、斜梁5にジャッキ6を設けてプレロードを行い、山留め壁の土圧の増加に対応する、斜梁杭工法(図9)がある。
<1>控え杭3は単純な片持梁構造となるため(図10)、斜梁5と控え杭3との接合点を高くすることができず、控え杭3の自立高さは2m程度に制限される。
<2>控え杭3の高さが制限されると、斜梁5が躯体9に干渉し、躯体9に大きな駄目開口が残ってしまう。
<3>斜梁5の躯体9への干渉を避けるために控え杭3の自立高さを増すためには、控え杭3を大径とする必要があり、控え杭3及びその打設費用が高額となる。
<4>その他、控え杭3の自立高さを増すためには、土圧が小さいことや控え杭3の支持地盤が強固である等、現場が好条件である必要がある。
<5>隣地が道路等の場合、交通量によって山留め壁Aにかかる土圧が変化するため、土圧が増加した際に土留め壁Aの変位を抑制することができない。
本願の第2発明は、掘削した地盤の土圧を支える山留め壁と、前記山留め壁から適宜距離を離して地盤に打設する第一控え杭との間に、梁材を介在させる山留め支保工の構造であって、前記第一控え杭から適宜距離を離して地盤に打設する第二控え杭と、前記第一控え杭と前記第二控え杭間に渡設し、各々の控え杭と接合する少なくとも一本のつなぎ梁と、前記第一控え杭と前記第二控え杭間に配置する垂直ブレスと、を有し、前記第一控え杭及び前記第二控え杭は、前記梁材の延長方向に直列に立設することを特徴とする、山留め支保工の構造を提供する。
本願の第3発明は、第1発明又は第2発明の山留め支保工の構造であって、前記梁材は、ジャッキによってその長さが伸縮可能であり、前記ジャッキよって与えたプレロードによって、前記梁材が土圧の増加に対応可能であることを特徴とする、山留め支保工の構造を提供する。
本願の第4発明は、地中に下部を埋設した矢板や控え杭などによって周辺地盤の荷重を支える山留め支保工の施工方法において、前記山留め壁から離れた地盤に、前記山留め壁に対して直交するように、第一控え杭及び第二控え杭を所定の間隔を設けて並列して打設し、前記第一控え杭及び前記第二控え杭間につなぎ梁を渡設して各々の控え杭と剛接合し、前記第一控え杭と、前記山留め壁との間に、伸縮可能な梁材を介在させ、前記山留め壁内部の地盤を掘削する前に、前記山留め壁に作用する土圧の増加分を、プレロードとして前記梁材に付与したことを特徴とする、山留め支保工の施工方法を提供する。
本願の第5発明は、地中に下部を埋設した矢板や控え杭などによって周辺地盤の荷重を支える山留め支保工の施工方法において、前記山留め壁から離れた地盤に、前記山留め壁に対して直交するように、第一控え杭及び第二控え杭を所定の間隔を設けて並列して打設し、前記第一控え杭及び前記第二控え杭間につなぎ梁を渡設して各々の控え杭と接合し、前記第一控え杭と前記第二控え杭間に垂直ブレスを設け、前記第一控え杭と、前記山留め壁との間に、伸縮可能な梁材を介在させ、前記山留め壁内部の地盤を掘削する前に、前記山留め壁に作用する土圧の増加分を、プレロードとして前記梁材に付与したことを特徴とする、山留め支保工の施工方法を提供する。
<1>控え杭が、第一控え杭、第二控え杭及び各々と剛接合するつなぎ梁又はつなぎ梁と垂直ブレスとより構成することにより高剛性となり、第一控え杭の自立高さを増すことができる。
<2>第一控え杭の自立高さを上げて、山留め壁との間に梁材をかけるため、躯体への干渉を小さくし、躯体の駄目開口を小さくすることができる。
<3>控え杭を高剛性とすることにより、現場の条件に関わらず、自立高さを増すことができる。
<4>隣地が道路等の場合、交通量によって山留め壁にかかる土圧が変化するが、控え杭を高剛性とすることにより、土圧が増加した際の土留め壁の変位を抑制することができる。
本発明の山留め支保工は、山留め壁Aに作用する土圧を梁材5を介して控え杭3によって支持するものである。
控え杭3としては梁材5と連結する第一控え杭31、第一控え杭31と所定の間隔を設けて立設する第二控え杭32および第一控え杭31と第二控え杭32との間に渡設するつなぎ梁33からなる(図1、図2)。
控え杭3及び梁材5は、山留め壁Aの長さ方向に亘って複数設けて、山留め壁Aに作用する土圧を分散して支持する。
隣り合う控え杭3及び梁材5は互いに独立していても良いし、第一、第二控え杭31、32の頂部間やつなぎ梁33間に水平梁34や水平ブレスを設けても良い(図1)。
以下、本発明の山留め支保工の各構成部材について詳述する。
山留め壁Aは、H型鋼からなる親杭1を所定の間隔を設けて複数打設し、親杭1と親杭1との間に山留め板2を差し込んで、地盤の崩壊を防ぐものである。
この他にも、シートパイルを連続して打ち込む方法、穿孔機械によって地中に穿孔し、場所打ちコンクリートの柱、壁材を造り、構築するなど、様々な方法が採用可能である。
控え杭3は、山留め壁Aから適宜距離を離した位置に配置するものである。
控え杭3は、地盤に打設した第一控え杭31及び第二控え杭32と、第一控え杭31、第二控え杭32間に渡設するつなぎ梁33とからなる。
第一控え杭31,第二控え杭32及びつなぎ梁33はH型鋼や鋼管杭(角型、丸型)により構成する。
第一控え杭31と第二控え杭32は、山留め壁Aに対して直列に配置する。
つなぎ梁33は第一控え杭31と第二控え杭32とに剛接合する。これにより、第一控え杭31、第二控え杭32及びつなぎ梁33とは、門型ラーメン構造を構成する。
つなぎ梁33は複数本設けても良い。
梁材5は、山留め壁Aに設けた腹起し材4と、第一控え杭31との間に渡設する。
梁材5及び腹起し材4はH型鋼により構成する。
梁材5は、一端部近傍に介在させたジャッキ6によって、長さが伸縮可能となる。
ジャッキ6は、メカニカル式のものや油圧式等、様々な形式のものが採用できる。
また、ジャッキ6を使用せずに、梁材5そのものが伸縮するように構成しても良い。
梁材5は、山留め壁Aに対して、平面視して直交するように配置する。第一控え杭31と第二控え杭32は、山留め壁Aに対して直列に配置してあるため、梁材5、第一控え杭31、つなぎ梁33及び第二控え杭32は、平面視して山留め壁Aに対して直交するように直線上に直列する。これにより山留め壁Aの土圧が水平方向に分散されることなく、門型ラーメン構造によって土圧を支持する。
控え杭3の自立高さによっては、梁材5を水平にすることもできる(図4)。
梁材5が水平になると、控え杭3が鉛直方向の力に対抗する必要がないため、控え杭3の構造を単純化することができる。
梁材5の両端には、調整ピース7をそれぞれ取り付ける。
調整ピース7の両端面は、梁材5と、腹起し材4、8とに当接するため、梁材5と腹起し材4、8の角度差に合わせて両端面を形成する。
また、調整ピース7は、回転して角度を調整可能としてもよい。角度調整を可能にすることにより、梁材5をジャッキ6によって伸ばしたり、第一控え杭31が反り返るなどの変位を生じたとき、梁材5の長さの変化や、梁材5と腹起し材4、8との角度の変化に追従可能である。
次に、本発明にかかる山留め支保工の構築方法について説明する。
掘削境界位置に、親杭1を所定の間隔を設けて複数打設し、親杭1と親杭1との間に山留め板2を差し込んで打設し、山留め壁Aを構築する。
そして山留め壁Aの周囲の地盤を残して、中央部の掘削を行う。
中央部の掘削後、山留め壁Aから適宜距離を離した位置に第一控え杭31及び第二控え杭32を打設する。
第一控え杭31と第二控え杭32は所定の間隔を設けるとともに、山留め壁Aに対して直交する位置に並列して打設する。
そして、打設した第一控え杭31と第二控え杭32との間に、つなぎ梁33を渡設する。
つなぎ梁33と第一控え杭31、第二控え杭32とは剛接合し、門型ラーメン構造とする。
門型ラーメン構造で支持するため、第一控え杭31及び第二控え杭32のサイズダウンや杭の根入れ長さを減少でき、低コストで構築することができる。
山留め壁Aと第一控え杭31とにそれぞれ腹起し材4、8を設ける。
そして山留め壁A側の腹起し材4と、第一控え杭31側の腹起し材8との間に梁材5を架設する。
山留め壁Aの周囲には未掘削の地盤が残っている。この山留め壁A周囲の地盤を掘削すると、山留め壁Aから梁材5を介して第一控え杭31に作用する土圧が増加する。
このため、ジャッキ6によって梁材5を伸ばし、増加する分の土圧を予めプレロードとして与えておく(図5)。
プレロードの後、山留め壁Aの周囲の地盤を掘削する(図6)。
梁材5には土圧の増加分が予めプレロードとして与えられているため、山留め壁Aを梁材5が支持し、せり出してくるようなことがない。
特に、隣地が道路等の場合、交通量によって山留め壁Aにかかる土圧が変化するが、控え杭3を高剛性とすることにより、土圧が増加した際の土留め壁Aの変位を抑制することができる。
掘削した地盤上に構造物の躯体9を構築する(図7)。
控え杭3が門型ラーメン構造であるため、梁材5の位置が高くなり、作業空間を広く確保することができ、施工効率が向上する。
また、梁材5の位置が高く、躯体9への干渉が小さくなり、躯体9の駄目開口を最小限とすることができる。
躯体9が山留め壁Aを支持できる構造となったら、控え杭3や梁材5を撤去する。
上記実施例においては、控え杭3を第一控え杭31、第二控え杭32及びつなぎ梁33によって構築したが、一本又は複数本のつなぎ梁33と垂直ブレス35によって構成しても良い。このとき、第一、第二控え杭31、32とつなぎ梁33との接合はピン接合でも良い。(図8)
このように構成することにより、つなぎ梁33と垂直ブレス35が合わさって剛構造となり、容易に剛接合とすることができる。
作業構台と兼用することにより、現場で使用する鋼材量を減少することができる。
1 親杭
2 山留め板
3 控え杭
31 第一控え杭
32 第二控え杭
33 つなぎ梁
34 水平梁
35 垂直ブレス
4 腹起し材
5 梁材
6 ジャッキ
7 調整ピース
8 腹起し材
9 躯体
Claims (5)
- 掘削した地盤の土圧を支える山留め壁と、前記山留め壁から適宜距離を離して地盤に打設する第一控え杭との間に、梁材を介在させる山留め支保工の構造であって、
前記第一控え杭から適宜距離を離して地盤に打設する第二控え杭と、
前記第一控え杭と前記第二控え杭間に渡設し、各々の控え杭と剛接合する少なくとも一本のつなぎ梁と、を有し、
前記第一控え杭及び前記第二控え杭は、前記梁材の延長方向に直列に立設することを特徴とする、山留め支保工の構造。 - 掘削した地盤の土圧を支える山留め壁と、前記山留め壁から適宜距離を離して地盤に打設する第一控え杭との間に、梁材を介在させる山留め支保工の構造であって、
前記第一控え杭から適宜距離を離して地盤に打設する第二控え杭と、
前記第一控え杭と前記第二控え杭間に渡設し、各々の控え杭と接合する少なくとも一本のつなぎ梁と、前記第一控え杭と前記第二控え杭間に配置する垂直ブレスと、を有し、
前記第一控え杭及び前記第二控え杭は、前記梁材の延長方向に直列に立設することを特徴とする、山留め支保工の構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の山留め支保工の構造であって、前記梁材は、ジャッキによってその長さが伸縮可能であり、前記ジャッキよって与えたプレロードによって、前記梁材が土圧の増加に対応可能であることを特徴とする、山留め支保工の構造。
- 地中に下部を埋設した矢板や控え杭などによって周辺地盤の荷重を支える山留め支保工の施工方法において、
前記山留め壁から離れた地盤に、前記山留め壁に対して直交するように、第一控え杭及び第二控え杭を所定の間隔を設けて並列して打設し、
前記第一控え杭及び前記第二控え杭間につなぎ梁を渡設して各々の控え杭と剛接合し、
前記第一控え杭と、前記山留め壁との間に、伸縮可能な梁材を介在させ、前記山留め壁内部の地盤を掘削する前に、前記山留め壁に作用する土圧の増加分を、プレロードとして前記梁材に付与したことを特徴とする、山留め支保工の施工方法。 - 地中に下部を埋設した矢板や控え杭などによって周辺地盤の荷重を支える山留め支保工の施工方法において、
前記山留め壁から離れた地盤に、前記山留め壁に対して直交するように、第一控え杭及び第二控え杭を所定の間隔を設けて並列して打設し、
前記第一控え杭及び前記第二控え杭間につなぎ梁を渡設して各々の控え杭と接合し、
前記第一控え杭と前記第二控え杭間に垂直ブレスを設け、
前記第一控え杭と、前記山留め壁との間に、伸縮可能な梁材を介在させ、前記山留め壁内部の地盤を掘削する前に、前記山留め壁に作用する土圧の増加分を、プレロードとして前記梁材に付与したことを特徴とする、山留め支保工の施工方法。
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