WO2024106504A1 - 蒸着フィルム、多層構造体、包装材、真空包装袋及び真空断熱体 - Google Patents

蒸着フィルム、多層構造体、包装材、真空包装袋及び真空断熱体 Download PDF

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Abstract

屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下が抑制されている蒸着フィルム、並びにこのような蒸着フィルムが用いられた多層構造体、包装材、真空包装袋及び真空断熱体の提供。樹脂製のバリア層(A)と、バリア層(A)に直接積層され、平均厚みが30nm以上100nm以下であるアルミニウム蒸着層(B)とを有し、アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(B1)及びアルミニウム層(B2)を連続して有する、蒸着フィルム。

Description

蒸着フィルム、多層構造体、包装材、真空包装袋及び真空断熱体
 本発明は、蒸着フィルム、多層構造体、包装材、真空包装袋及び真空断熱体に関する。
 樹脂製の基材フィルムに金属蒸着層を設けた蒸着フィルムが知られている。このような蒸着フィルムは、例えば、断熱性能を維持するためにガスバリア性が必要となる真空断熱体の真空包装袋、酸素によって変質しやすい物品(例えば、食品)を保護するための包装材等、様々な用途に用いられている。特許文献1には、ポリビニルアルコール系重合体を含む基材フィルムと、この基材フィルムに積層される金属蒸着層とを備える蒸着フィルムであって、上記金属蒸着層の電子顕微鏡で測定される平均粒径が、150nm以下であることを特徴とする蒸着フィルムが記載されている。
国際公開第2013/125564号
 蒸着フィルムから所定形状の包装材等を作製する場合、通常、折り曲げ等を含む加工工程を経て、包装材が完成される。また、完成後の包装材等においても、運搬、使用等の際に屈曲が生じることがある。しかし、従来の蒸着フィルムは、物理的ストレス、特に屈曲を受けた後のガスバリア性の維持が十分ではない。また、従来の蒸着フィルムは、長期間の保管に伴ってガスバリア性が低下する傾向にある。
 本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下が抑制されている蒸着フィルム、並びにこのような蒸着フィルムが用いられた多層構造体、包装材、真空包装袋及び真空断熱体を提供するものである。
 上記の目的は、
[1]樹脂製のバリア層(A)と、バリア層(A)に直接積層され、平均厚みが30nm以上100nm以下であるアルミニウム蒸着層(B)とを有し、アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(B1)及びアルミニウム層(B2)を連続して有し、酸化アルミニウム層(B1)の深さ方向の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが0.5以上2.0以下であり、アルミニウム層(B2)の深さ方向分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最小値(O/Al)MINが0.5未満である、蒸着フィルム;
[2]アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面とは反対側の面(S)を含む酸化アルミニウム層(B3)を有し、面(S)の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)が0.5以上2.0以下である、[1]の蒸着フィルム;
[3]バリア層(A)がビニルアルコール系重合体及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とする、[1]又は[2]の蒸着フィルム;
[4]バリア層(A)が二軸延伸されている、[1]~[3]のいずれかの蒸着フィルム;
[5]バリア層(A)の平均厚みが0.1μm以上20μm以下である、[1]~[4]のいずれかの蒸着フィルム;
[6]アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みが55nm以上90nm以下である、[1]~[5]のいずれかの蒸着フィルム;
[7]バリア層(A)のアルミニウム蒸着層(B)とは反対側の面に、接着性樹脂層(C)を介して積層されるポリオレフィン層(D)をさらに有する、[1]~[6]のいずれかの蒸着フィルム;
[8]バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)が少なくとも一軸方向に延伸されている、[7]の蒸着フィルム;
[9][7]又は[8]の蒸着フィルムと、上記蒸着フィルムの少なくとも一方の面に、直接又は他の層を介して積層されるポリオレフィン層(E)とを備える、多層構造体;
[10]上記蒸着フィルムの両面に、直接又は他の層を介してポリオレフィン層(E)がそれぞれ積層されており、それぞれのポリオレフィン層(E)が同種の樹脂を主成分として含む、[9]の多層構造体;
[11]バリア層(A)の上記多層構造体の総厚みに対する厚み比率が5%以下である、[9]又は[10]の多層構造体;
[12][1]~[6]のいずれかの蒸着フィルムと、上記蒸着フィルムに直接又は他の層を介して積層されるポリオレフィン層(E)とを備える、多層構造体;
[13]上記蒸着フィルムに直接又は他の層を介して積層される他の蒸着フィルムをさらに備え、上記他の蒸着フィルムが、樹脂製のバリア層(a)と、バリア層(a)に直接積層され、平均厚みが30nm以上100nm以下であるアルミニウム蒸着層(b)とを有する、[12]の多層構造体;
[14]アルミニウム蒸着層(b)は、バリア層(a)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(b1)及びアルミニウム層(b2)を連続して有し、酸化アルミニウム層(b1)の深さ方向の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが0.5以上2.0以下であり、アルミニウム層(b2)の深さ方向分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最小値(O/Al)MINが0.5未満である、[13]の多層構造体;
[15]上記蒸着フィルムに直接又は他の層を介して積層されるポリアミド層(F)をさらに備える、[12]~[14]のいずれかの多層構造体;
[16][1]~[8]のいずれかの蒸着フィルム又は[9]~[15]のいずれかの多層構造体を含む、包装材;
[17][16]の包装材から形成される包装袋を備え、上記包装袋の内部が減圧されている、真空包装袋;
[18][17]の真空包装袋と、上記真空包装袋の内部に配置された芯材とを備える真空断熱体;
を提供することで達成される。
 本発明によれば、屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下が抑制されている蒸着フィルム、並びにこのような蒸着フィルムが用いられた多層構造体、包装材、真空包装袋及び真空断熱体を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸着フィルムの模式的断面図である。
 本明細書において、「ガスバリア性」とは主に酸素バリア性を意味する。屈曲処理後のガスバリア性の低下が抑制されている性質を「耐屈曲性」と表現する場合がある。また、保管後のガスバリア性の低下が抑制されている性質を「保管性」と表現する場合がある。
 「主成分」とは、質量基準で最も含有量の多い成分をいう。
 「平均厚み」とは、任意の5カ所において測定される厚みの平均値をいう。
 また、本明細書において、層構成を表す際、「/」は直接積層されていることを表し、「//」は、直接又は接着剤層を介して積層されていることを表す。
 「最表層」とは、表と裏とを区別して、表側に存在する層のみに限定されるものではない。すなわち、二層以上の層からなる蒸着フィルム又は多層構造体は、一方の面側の最表層と、他方の面側との最表層との2つの最表層を有する。また、袋状、容器状等、内側と外側との区別がある構造の場合、内側の最表層を最内層といい、外側の最表層を最外層ということもある。
<蒸着フィルム>
 本発明の蒸着フィルムは、樹脂製のバリア層(A)と、バリア層(A)に直接積層され、平均厚みが30nm以上100nm以下であるアルミニウム蒸着層(B)とを有し、アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(B1)及びアルミニウム層(B2)を連続して有し、酸化アルミニウム層(B1)の深さ方向の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが0.5以上2.0以下であり、アルミニウム層(B2)の深さ方向分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最小値(O/Al)MINが0.5未満である。
 本発明の蒸着フィルムは、耐屈曲性及び保管性に優れる。この理由は定かではないが、以下の理由が推測される。当該蒸着フィルムにおいては、アルミニウム蒸着層(B)におけるバリア層(A)に接する領域が酸化アルミニウム層(B1)であることにより、バリア層(A)とアルミニウム蒸着層(B)との接着強度が高まっている。これにより、屈曲処理を行った場合、保管に伴って寸法変化が生じた場合等においても、アルミニウム蒸着層(B)がバリア層(A)と強く密着した状態が維持される。このため、当該蒸着フィルムにおいては、屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下が抑制されていると推測される。また、当該蒸着フィルムを用いて食品等を包装し保管した場合、食品等の内容物に含まれる成分等に起因する、バリア層(A)とアルミニウム蒸着層(B)との密着性の低下も抑制される。アルミニウム蒸着層(B)がバリア層(A)から剥離した部分は、白化し、外観の低下を招く。このため、当該蒸着フィルムが用いられた包装材は、保管後のガスバリア性の低下が抑制されると共に、外観の低下も抑制される。さらに、当該蒸着フィルムを用いて食品等を包装し保管した場合、食品等の内容物に含まれる成分等に起因するアルミニウム蒸着層(B)の急激な酸化による白化や透明化、酸化アルミニウム層(B1)の腐食によるガスバリア性の低下を抑制できる。特定比率で酸化されている酸化アルミニウム層(B1)が存在することでアルミニウム層(B2)の急激な酸化及び酸化アルミニウム層(B1)の腐食を抑制できるため、保管後のガスバリア性の低下が抑制されると共に、外観の低下も抑制される。
(バリア層(A))
 バリア層(A)は、樹脂製の層である。バリア層(A)は、蒸着により形成されるアルミニウム蒸着層(B)に対する基材層であってよい。バリア層(A)は、樹脂を主成分とする層であってよい。バリア層(A)を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
 バリア層(A)の主成分である樹脂としては、ガスバリア性の高い樹脂が好適に用いられる。例えば、樹脂のみからなる無延伸のフィルムを作製した場合、このフィルムの酸素透過度が100mL・20μm/(m・day・atm)以下である樹脂が好ましく、50mL・20μm/(m・day・atm)以下である樹脂がより好ましく、10mL・20μm/(m・day・atm)以下である樹脂がさらに好ましい。ここで、酸素透過度は、20℃、65%RH条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じて測定した値である。例えば酸素透過度が「50mL・20μm/(m・day・atm)」とは、平均厚み20μmに換算したときに、フィルム1m、酸素ガス1気圧の圧力差のもとで、1日当たり50mLの酸素が透過することを意味する。
 バリア層(A)の主成分である樹脂としては、ビニルアルコール系重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられ、ビニルアルコール系重合体及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ビニルアルコール系重合体がより好ましい。このような樹脂をバリア層(A)の主成分とすることで、ガスバリア性が高まり、また、屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下がより抑制される。バリア層(A)を構成する樹脂は、1種又は2種以上を用いることができる。
 ポリエステル系樹脂とは、エステル結合を有するポリマーである。ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸とポリオールとの重縮合等によって得ることができる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリグリコール酸(PGA)、芳香族系液晶ポリエステル等が挙げられ、PETが好ましい。
 ビニルアルコール系重合体とは、ビニルアルコール単位を有するポリマーである。ビニルアルコール系重合体は、例えば、ビニルエステル単独重合体、又はビニルエステルと他の単量体との共重合体を、アルカリ触媒等を用いてケン化して得られる。ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられ、酢酸ビニルが好ましい。他の単量体としては、例えば、エチレン;プロピレン、ブチレン、イソブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のα-オレフィン;(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸又はそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;N-ビニルピロリドン等のビニルピロリドン化合物等が挙げられる。これらの中でも、エチレンが好ましい。
 ビニルアルコール系重合体の製造は、公知の方法で行うことができる。製造の際に連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、アルキルチオール類等が挙げられる。
 ビニルアルコール系重合体のケン化度(ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の合計に対するビニルアルコール単位の割合(モル%))としては、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。ケン化度が上記上限以上であることにより、蒸着フィルムの高湿度下でのガスバリア性が向上する傾向にある。ビニルアルコール系重合体のケン化度の上限は100モル%であってよい。ビニルアルコール系重合体のケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
 ビニルアルコール系重合体における全構造単位に対するビニルアルコール単位の含有量としては、30モル%以上100モル%以下が好ましく、35モル%以上90モル%以上がより好ましく、40モル%以上80モル%以下がさらに好ましく、45モル%以上75モル%以下がよりさらに好ましい。
 ビニルアルコール系重合体としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」とも称する。)が好ましい。EVOHにおける全構造単位に対するエチレン単位の含有量としては、10モル%以上65モル%以下が好ましく、20モル%以上60モル%が好ましく、25モル%以上55モル%以下がさらに好ましい。
 EVOHは、ビニルアルコール単位、エチレン単位及びビニルエステル単位以外の他の構造単位を有していてもよい。EVOHが他の構造単位を有する場合、上記他の構造単位のEVOHの全構造単位に対する含有量としては、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がよりさらに好ましく、1モル%以下が特に好ましいこともある。また、EVOHが上記他の構造単位を有する場合、その含有量は0.05モル%以上であっても、0.1モル%以上であってもよい。
 EVOHのMFR(190℃、2.16kg荷重)としては、0.5g/10分以上12g/10分以下が好ましく、1.0g/10分以上8.0g/分以下がより好ましい。
 バリア層(A)における樹脂の含有量の下限としては、ガスバリア性等の観点から、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましく、95質量%、99質量%又は99.9質量%であってもよい。バリア層(A)における樹脂の含有量の上限は、100質量%であってもよく、99.99質量%であってもよい。
 バリア層(A)は、無機酸化物粒子を含有してもよい。無機酸化物粒子を構成する無機酸化物としては特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、これらの複合体等が挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素又は酸化ケイ素-酸化マグネシウムが好ましく、酸化ケイ素がより好ましい。
 バリア層(A)における無機酸化物粒子の含有量の下限としては、0.001質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましく、0.01質量%がさらに好ましい。また、無機酸化物粒子の含有量の上限としては、1質量%が好ましく、0.7質量%がより好ましく、0.5質量%がさらに好ましい。無機酸化物粒子の含有量が上記範囲であることで、ガスバリア性がより向上する傾向にある。
 無機酸化物粒子の平均粒子径としては、1μm以上10μm以下が好ましく、2μm以上5μm以下がより好ましい。無機酸化物粒子の平均粒子径が上記範囲内であることで、ガスバリア性がより向上する傾向にある。無機酸化物粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定される値とする。
 バリア層(A)は、その他、ホウ素化合物、カルボン酸類、リン化合物、金属イオン、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤等を含んでいてもよい。バリア層(A)は、これらの任意成分を2種以上含有してもよい。
 バリア層(A)は、延伸されていない層であってもよく、延伸されている層であってもよい。バリア層(A)は、一軸延伸されていてもよく、二軸延伸されていてもよい。バリア層(A)が延伸されている層である場合、特に二軸延伸されている層である場合、比較的薄いバリア層(A)であっても、良好なガスバリア性を発揮することができる。
 バリア層(A)が延伸されている層である場合、例えば少なくとも一軸方向に2倍以上12倍未満延伸されていることが好ましく、少なくとも一軸方向に3倍以上6倍未満延伸されていることがより好ましい。また、バリア層(A)は、二軸方向にそれぞれ2倍以上12倍未満延伸されていることも好ましく、二軸方向にそれぞれ3倍以上6倍未満延伸されていることもより好ましい。
 バリア層(A)の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1μmがさらに好ましく、2μm、4μm又は6μmであってもよい。バリア層(A)の平均厚みが上記下限以上であることで、ガスバリア性を高めること等ができる。バリア層(A)の平均厚みの上限としては、20μmが好ましく、15μmがより好ましく、10μm、5μm、3μm又は2μmであってもよい。バリア層(A)の平均厚みが上記上限以下であることで、蒸着フィルムの薄膜化及び軽量化を図ること等ができる。
 バリア層(A)の酸素透過度としては、50mL・20μm/(m・day・atm)以下が好ましく、10mL・20μm/(m・day・atm)以下がより好ましく、5mL・20μm/(m・day・atm)以下がさらに好ましく、1mL・20μm/(m・day・atm)以下が特に好ましい。ここで、酸素透過度は、20℃、65%RH条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じて測定した値である。
 バリア層(A)は、単層からなっていてもよく、複数の層からなっていてもよい。
 バリア層(A)は、樹脂フィルムを用いることができる。バリア層(A)を有する樹脂フィルムの製造方法としては特に限定されず、例えば溶融法、溶液法、カレンダー法等が挙げられ、これらの中で溶融法が好ましい。溶融法としては、キャスト法、インフレーション法が挙げられ、これらの中でキャスト法が好ましい。また、公知の方法で延伸された延伸フィルムを用いることもできる。
(アルミニウム蒸着層(B))
 アルミニウム蒸着層(B)は、蒸着により、バリア層(A)の表面に直接積層された層である。蒸着フィルムにアルミニウム蒸着層(B)が設けられていることにより、良好なガスバリア性を発揮することができる。
 アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(B1)及びアルミニウム層(B2)を連続して有する。アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面とは反対側の面(S)を含む酸化アルミニウム層(B3)をさらに有することが好ましい。
 図1に、本発明の一実施形態に係る蒸着フィルム10を示す。蒸着フィルム10は、樹脂製のバリア層(A)と、バリア層(A)に直接積層されるアルミニウム蒸着層(B)とを有する。アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(B1)、アルミニウム層(B2)及び酸化アルミニウム層(B3)の三層構造を有する。本発明の蒸着フィルムは、図1の構造の蒸着フィルム10の構造に限定されるものではない。本発明の蒸着フィルムは、後述する接着性樹脂層(C)、ポリオレフィン層(D)及びその他の層を有していてもよい。また、アルミニウム蒸着層(B)におけるバリア層(A)に接する面とは反対側の面(S)を被覆する他の層を有していてもよい。図1の蒸着フィルム10のように、アルミニウム蒸着層(B)における面(S)は、被覆されていない、すなわち露出していてもよい。
 面(S)を被覆する他の層としては、例えば、オーバーコート層が挙げられる。オーバーコート層は、例えば、溶剤溶解性又は水溶性の樹脂(ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、アルキルチタネート等)を含む溶液を塗工して設けることができる。オーバーコート層には、フィラーを添加してバリア性、摩耗性、滑り性等を向上させることもできる。フィラーとしては、例えばシリカゾル、アルミナゾル、粒子状無機フィラー、層状無機フィラー等が挙げられる。オーバーコート層は、前述の樹脂にフィラーを添加し、重合又は縮合させることにより形成することが好ましい。面(S)を被覆する他の層としては、溶液の塗工以外の方法により形成された熱可塑性樹脂層、その他後述する多層構造体で用いられる各層等であってもよい。
 酸化アルミニウム層(B1)とアルミニウム層(B2)との間、及びアルミニウム層(B2)と酸化アルミニウム層(B3)との間には、明確な界面が存在するものではない。また、酸化アルミニウム層(B1)、アルミニウム層(B2)及び酸化アルミニウム層(B3)の各層においては、通常、元素組成は一定ではない。酸化アルミニウム層(B1)からアルミニウム層(B2)にかけて、酸素元素の含有比率が徐々に低下している。また、アルミニウム層(B2)から酸化アルミニウム層(B3)にかけて酸素元素の含有比率が徐々に上昇している。換言すれば、アルミニウム蒸着層(B)においては、中間層部分(アルミニウム層(B2))が酸素元素の含有比率が相対的に低くなっている。そして、アルミニウム蒸着層(B)においては、バリア層(A)に接する面から所定厚さの領域(酸化アルミニウム層(B1))、及びバリア層(A)に接する面とは反対側の面(S)から所定厚さの領域(酸化アルミニウム層(B3))が、中間層部分(アルミニウム層(B2))と比べて相対的に酸素元素の含有比率が高くなっている。
 酸化アルミニウム層(B1)の深さ方向の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXは、0.5以上2.0以下であり、0.8以上1.8以下が好ましく、1.1以上1.5以下がより好ましい。酸化アルミニウム層(B1)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが上記範囲であることで、バリア層(A)に対するアルミニウム蒸着層(B)の密着性が高まり、蒸着フィルムの耐屈曲性及び保管性を高めることができる。
 酸化アルミニウム層(B1)の深さ方向の元素分析においてアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが観測される位置は、バリア層(A)に接する面から、0nm以上20nm以下の範囲に存在することが好ましく、0nm以上15nm以下の範囲に存在することがより好ましい。
 アルミニウム層(B2)の深さ方向分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最小値(O/Al)MINは0.5未満であり、0.001以上0.5未満が好ましく、0.003以上0.2未満がより好ましく、0.005以上0.10未満がさらに好ましく、0.01以上0.06未満がよりさらに好ましい。アルミニウム層(B2)におけるアルミニウム元素(Al)に対する酸素元素(O)のモル比の最小値(O/Al)MINが上記範囲であることで、蒸着フィルムのガスバリア性、耐屈曲性及び保管性等が高まる傾向にある。
 アルミニウム蒸着層(B)におけるバリア層(A)に接する面とは反対側の面(S)の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)が0.5以上2.0以下であることが好ましく、0.8以上1.8以下であることがより好ましく、1.1以上1.7以下であることがさらに好ましい。アルミニウム蒸着層(B)の面(S)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)が上記範囲であることで、耐屈曲性及び保管性等がより高まる傾向にある。
 酸化アルミニウム層(B1)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXと、アルミニウム蒸着層(B)の面(S)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)とは、どちらの値が大きくてもよい。すなわち、酸化アルミニウム層(B1)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXは、酸化アルミニウム層(B1)における最大値であり、アルミニウム蒸着層(B)における最大値と必ずしも一致するものではない。また、酸化アルミニウム層(B3)中の面(S)以外の部分に、アルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)が、(O/Al)MAX又は(O/Al)の値より高い部分があってもよい。
 アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みは、30nm以上100nm以下である。アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みの下限は、35nmが好ましく、45nmがより好ましく、55nmがさらに好ましく、65nmがよりさらに好ましい。アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みが上記下限以上であることで、蒸着フィルムのガスバリア性、耐屈曲性及び保管性等をより高めることができる。アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みの上限は、90nmが好ましく、80nm、70nm又は60nmであってもよい。
 アルミニウム蒸着層(B)は、例えば真空蒸着法を用いて効果的に設けることができる。例えば、バリア層(A)となる樹脂フィルムを搬送しながら、樹脂フィルムに対してアルミニウムの真空蒸着を行う際、蒸着がされる手前の樹脂フィルムに向けて微量の酸素ガスを供給しながら蒸着を行う。これにより、樹脂フィルム(バリア層(A))表面に、アルミニウム元素が酸化アルミニウムの形態で積層し、酸化アルミニウム層(B1)が形成される。酸化アルミニウム層(B1)におけるアルミニウム元素(Al)に対する酸素元素(O)のモル比の最大値(O/Al)MAXは、樹脂フィルムに吹き付ける酸素ガスの供給量等により制御することができる。樹脂フィルムへの酸素ガスの供給量としては、例えば20mL/分以上180mL/分とすることができる。酸素ガスを供給することで真空蒸着時の圧力が低下する。真空蒸着時の圧力が1.0×10-4Pa以上1.0×10-3Pa以下となるように酸素ガスを供給することが好ましい。但し、アルミニウムの蒸着速度等に応じ、好適な酸素ガスの供給量及び圧力は適宜調整される。
 なお、真空蒸着法によりアルミニウム蒸着層(B)が設けられた蒸着フィルムは、空気雰囲気に晒されることなどにより、通常表面に酸化被膜が形成され、この酸化被膜が酸化アルミニウム層(B3)となり得る。また、上記した以外の蒸着方法によりアルミニウム蒸着層(B)を設けてもよい。アルミニウム蒸着層(B)は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームミキシング法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、MO-CVD法、熱CVD法等により設けてもよい。
 蒸着を行う前に、蒸着を行うバリア層(A)の表面をプラズマ処理してもよい。プラズマ処理は公知の方法を用いることができ、大気圧プラズマ処理が好ましい。大気圧プラズマ処理における放電ガスとしては、例えば窒素ガス、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられる。
(接着性樹脂層(C))
 本発明の蒸着フィルムは、バリア層(A)のアルミニウム蒸着層(B)とは反対側の面に、接着性樹脂層(C)を介して積層されるポリオレフィン層(D)をさらに有することが好ましい。
 接着性樹脂層(C)は、通常、接着性樹脂を主成分として含む。接着性樹脂としては、接着性を有する樹脂であれば特に限定されず、酸変性ポリオレフィン(カルボン酸変性ポリオレフィン、スルホン酸変性ポリオレフィン等)、エポキシ変性ポリオレフィン等が挙げられる。接着性樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。接着性樹脂は、酸変性ポリオレフィン(酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等)が好ましく、酸変性ポリエチレンがより好ましい。また、接着性樹脂は、カルボン酸変性ポリオレフィンであることも好ましく、カルボン酸変性ポリエチレンがより好ましい。
 カルボン酸変性ポリオレフィンは、カルボキシ基又はその無水物基を有するポリオレフィンであってよい。カルボン酸変性ポリオレフィン(カルボキシ基又はその無水物基を有するポリオレフィン)は、例えば、未変性のポリオレフィンに、エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を、付加反応、グラフト反応等により化学的に結合させることで得ることができる。
 カルボン酸変性ポリオレフィンの製造に用いられる未変性のポリオレフィンとしては、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
 エチレン性不飽和カルボン酸及びその無水物としては、例えばモノカルボン酸、モノカルボン酸エステル、ジカルボン酸、ジカルボン酸モノエステル、ジカルボン酸ジエステル、ジカルボン酸無水物等が挙げられる。具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。これらのうち、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。すなわち、接着性樹脂は、無水マレイン酸変性ポリオレフィンであることも好ましく、無水マレイン酸変性ポリエチレンであることがより好ましい。
 カルボン酸変性ポリオレフィンは、例えばキシレン等の溶媒と、過酸化物等の触媒との存在下で、未変性のポリオレフィンに、エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を付加反応又はグラフト反応により導入することにより得られる。このときの未変性のポリオレフィンへのカルボン酸又はその無水物の付加量又はグラフト量(変性度)の下限としては、未変性のポリオレフィンに対して、0.01質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましい。一方、上記付加量又はグラフト量(変性度)の上限としては、未変性のポリオレフィンに対して、15質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。
 接着性樹脂層(C)における接着性樹脂の含有量としては、80質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、97質量%以上100質量%以下がより好ましい。接着性樹脂層(C)には、接着性樹脂以外の成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、接着性樹脂以外の他の樹脂等を含んでいてもよい。
 接着性樹脂層(C)は、延伸されていない層であってもよく、延伸されている層であってもよい。
 接着性樹脂層(C)の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1μmがさらに好ましく、2μmであってもよい。接着性樹脂層(C)の平均厚みが上記下限以上であることで、十分な接着性を発揮すること等ができる。接着性樹脂層(C)の平均厚みの上限としては、20μmが好ましく、10μmがより好ましく、5μmがさらに好ましく、3μmであってもよい。接着性樹脂層(C)の平均厚みが上記上限以下であることで、蒸着フィルムの薄膜化を図ること等ができる。
(ポリオレフィン層(D))
 蒸着フィルムがポリオレフィン層(D)を有する場合、水蒸気バリア性、耐屈曲性、保管性等を高めることができる。また、ポリオレフィン層(D)が最表層に位置する蒸着フィルムの場合、例えばポリオレフィン層(D)を熱融着層としてヒートシールすることなどにより、袋状等の形状に容易に成形することも可能となる。本発明の蒸着フィルムにおいては、袋状に形成した場合に最内層となる層がポリオレフィン層(D)であってもよい。
 ポリオレフィン層(D)は、ポリオレフィンを主成分として含む。ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン(炭素数4~20のα-オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又はその共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。ポリオレフィンは、1種又は2種以上を用いることができる。
 ポリオレフィン層(D)におけるポリオレフィンの含有量としては、80質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、97質量%以上100質量%以下がより好ましい。ポリオレフィン層(D)には、ポリオレフィン以外成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、ポリオレフィン以外の他の樹脂等を含んでいてもよい。
 ポリオレフィン層(D)は、延伸されていない層であってもよく、延伸されている層であってもよい。
 ポリオレフィン層(D)の平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、5μmがより好ましく、10μmがさらに好ましい。ポリオレフィン層(D)の平均厚みが上記下限以上であることで、十分な防湿性等を発揮することができる。ポリオレフィン層(D)の平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、50μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。ポリオレフィン層(D)の平均厚みが上記上限以下であることで、蒸着フィルムの薄膜化を図ること等ができる。
 ポリオレフィン層(D)は、単層からなっていてもよく、複数の層からなっていてもよい。
 バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)が少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましく、二軸方向に延伸されていることがより好ましい。このような場合、蒸着フィルムのガスバリア性、耐屈曲性及び保管性等をより高めることができる。バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)は、例えば少なくとも一軸方向に2倍以上12倍未満延伸されていることが好ましく、少なくとも一軸方向に3倍以上6倍未満延伸されていることがより好ましい。また、バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)は、二軸方向にそれぞれ2倍以上12倍未満延伸されていることも好ましく、二軸方向にそれぞれ3倍以上6倍未満延伸されていることもより好ましい。
 バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)は、一体となって延伸されていることが好ましい。例えば、バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)は、この順に積層された多層フィルムとして製膜され、延伸されたものであってもよい。また、バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)がこの順に積層された多層フィルムのバリア層(A)側表面に、蒸着によりアルミニウム蒸着層(B)を設けることで、蒸着フィルムを得ることができる。
 バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)を備える多層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、共押出法が好ましい。共押出法を採用することで、ガスバリア性及び柔軟性等のフィルム特性、工程通過性(膜厚斑の低減)並びに経済性(少ない工程で目的の構成(例えばバリア層(A)の薄膜化等)を達成しやすい)を高いレベルでバランスをとることができる。すなわち、バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)は共押出フィルムであることが好ましい。共押出法としては、共押出キャスト成形、共押出インフレーション成形、共押出コート成形等が挙げられる。
 本発明の蒸着フィルムは、バリア層(A)、アルミニウム蒸着層(B)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)以外の他の層を有していてもよい。他の層としては、上記したオーバーコート層、他の熱可塑性樹脂層、他の蒸着層、紙層、金属箔層等が挙げられる。他の層は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
(層構成等)
 本発明の蒸着フィルムの層構成としては、例えば、
(1)A/B、
(2)D/C/A/B、
(3)X//D/C/A/B、
(4)A/B//X、
(5)D/C/A/B//X、
(6)X//D/C/A/B//X、
等が挙げられる。なお、Aはバリア層、Bはアルミニウム蒸着層、Cは接着性樹脂層、Dはポリオレフィン層、Xは他の層である。
 本発明の蒸着フィルムの平均厚みは特に限定されず、下限は例えば5μm、10μm、又は15μmであってよい。一方、平均厚みの上限は例えば200μm、100μm、50μm、30μm又は20μmであってもよい。当該蒸着フィルムの形状は、積層構造を有するものであれば特に限定されるものではない。
 本発明の蒸着フィルムの酸素透過度は、1.0mL/(m・day・atm)未満であることが好ましく、0.10mL/(m・day・atm)未満であることがより好ましく、0.05mL/(m・day・atm)未満であることがさらに好ましく、0.01mL/(m・day・atm)未満であることが特に好ましい。酸素透過度が上記上限未満であることで、各種包装材等として特に好適に用いることができる。一方、この酸素透過度の下限は、0mL/(m・day・atm)であってもよく、0.001mL/(m・day・atm)であってもよい。蒸着フィルムの酸素透過度は、20℃、65%RH条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じて測定した値である。
 本発明の蒸着フィルムは、耐屈曲性及び保管性に優れる。また、当該蒸着フィルムは、ガスバリア性も良好である。このため、当該蒸着フィルムは、様々な用途に適用できる。当該蒸着フィルムの用途としては、例えば食品包装、医薬品包装、工業薬品包装、農薬包装等の各種包装材、真空断熱袋等が挙げられる。
<多層構造体>
 本発明の蒸着フィルムは、他の層がさらに積層された多層構造体としても好適に用いられる。
(ポリオレフィン層(E))
 本発明の一実施形態に係る多層構造体は、本発明の蒸着フィルムと、上記蒸着フィルムの少なくとも一方の面に、直接又は他の層を介して積層されるポリオレフィン層(E)とを備える。多層構造体が、蒸着フィルムと共にポリオレフィン層(E)を備える場合、ガスバリア性に加え、水蒸気バリア性等を高めることができる。また、ポリオレフィン層(E)が最表層の多層構造体の場合、例えばポリオレフィン層(E)を熱融着層としてヒートシールすることなどにより、袋状等の形状に容易に成形することも可能となる。本発明の多層構造体においては、袋状に形成した場合に最内層となる層がポリオレフィン層(E)であってもよい。
 本発明の多層構造体に備わる蒸着フィルムがポリオレフィン層(D)を有する場合、ポリオレフィン層(D)は共押出フィルムのうちの一層であり、ポリオレフィン層(E)は、例えば押出ラミネート等によって別途積層された層であることなどにより区別することができる。但し、ポリオレフィン層(E)の積層方法は特に限定されるものではない。
 ポリオレフィン層(E)は、本発明の蒸着フィルムに直接積層されていてもよく、他の層を介して積層されていてもよい。
 他の層としては、接着剤層等が挙げられる。接着剤層としては、上記した接着性樹脂層(C)と同様の接着性樹脂が用いられた層、硬化型の接着剤(二液反応型ポリウレタン系接着剤等)からなる層等が挙げられる。
 ポリオレフィン層(E)の組成の具体的形態は、ポリオレフィン層(D)と同様である。ポリオレフィン層(E)の主成分であるポリオレフィンとしては、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。
 ポリオレフィン層(E)は、延伸されていない層であってもよく、延伸されている層であってもよい。本発明の多層構造体において、袋状に形成した場合に最内層がポリオレフィン層(E)である場合、ヒートシール性が良好である観点から最内層のポリオレフィン層(E)は延伸されていない層であることが好ましい。本発明の多層構造体において、袋状に形成した場合に最外層がポリオレフィン層(E)である場合、機械強度が良好である観点から最外層のポリオレフィン(E)は延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがより好ましい。
 ポリオレフィン層(E)の平均厚みの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましく、20μm、30μm又は40μmであってもよい。ポリオレフィン層(E)の平均厚みが上記下限以上であることで、十分な防湿性を発揮すること等ができる。また、ポリオレフィン層(E)が最表層である場合、ポリオレフィン層(E)の平均厚みが上記下限以上であることで、十分なヒートシール性を発揮することもできる。ポリオレフィン層(E)の平均厚みの上限としては、200μmが好ましく、100μmがより好ましく、60μmであっても、40μmであってもよい。ポリオレフィン層(E)の平均厚みが上記上限以下であることで、多層構造体の薄膜化を図ること等ができる。
 ポリオレフィン層(E)がポリオレフィン層(D)に積層されている場合、保管後のガスバリア性低下を抑制する観点から、ポリオレフィン層(D)及びポリオレフィン層(E)の合計厚みは、40μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、55μm以上がさらに好ましく、60μm以上が特に好ましい。ポリオレフィン層(D)及びポリオレフィン層(E)の合計厚みは、例えば、200μm以下であってもよい。
 ポリオレフィン層(E)は、単層からなっていてもよく、複数の層からなっていてもよい。
 本発明の多層構造体においては、本発明の蒸着フィルムの両面に、直接又は他の層を介してポリオレフィン層(E)がそれぞれ積層されていてもよい。このような形態の多層構造体において、各ポリオレフィン層(E)は共に最表層であることが好ましい場合がある。
 本発明の蒸着フィルムの両面に直接又は他の層を介してポリオレフィン層(E)がそれぞれ積層されている場合、それぞれのポリオレフィン層(E)が同種の樹脂を主成分として含むことが好ましい。同種の樹脂とは、例えば共にポリエチレンであること、共にポリプロピレンであること等をいう。同種の樹脂において、密度、融点、延伸の有無等は異なっていてもよい。例えば、同一の材料を用いて、2つのポリオレフィン層(E)を積層してもよい。2つのポリオレフィン層(E)が同種の樹脂を主成分として含む場合、リサイクル性が高まる等の利点がある。例えば回収して溶融成形する際の相溶性に優れ、外観の優れるリサイクル品を成形することができる。
(他の蒸着フィルム)
 本発明の多層構造体は、本発明の蒸着フィルム(第1の蒸着フィルム)に直接又は他の層を介して積層される他の蒸着フィルム(第2の蒸着フィルム)をさらに備えていてもよい。換言すれば、本発明の多層構造体は、複数の蒸着フィルムを備え、複数の蒸着フィルムのうちの少なくとも一つが、本発明の蒸着フィルムであるものであってもよい。複数の蒸着フィルムを備える多層構造体は、ガスバリア性、耐屈曲性、保存性等により優れる。
 複数の蒸着フィルム同士は、直接積層されていてもよく、他の層を介して積層されていてもよい。他の層としては、接着剤層、ポリオレフィン層(E)、後述するポリアミド層(F)等が挙げられ、接着剤層が好ましい。複数の蒸着フィルムの間には、複数の層が存在していてもよい。
 他の蒸着フィルム(第2の蒸着フィルム)は、例えば、樹脂製のバリア層(a)と、バリア層(a)に直接積層され、平均厚みが30nm以上100nm以下であるアルミニウム蒸着層(b)とを有する。バリア層(a)及びアルミニウム蒸着層(b)の具体的形態及び好適形態は、本発明の蒸着フィルムのバリア層(A)及びアルミニウム蒸着層(B)の具体的形態及び好適形態と同様である。
 アルミニウム蒸着層(b)は、バリア層(a)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(b1)及びアルミニウム層(b2)を連続して有し、酸化アルミニウム層(b1)の深さ方向の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが0.5以上2.0以下であり、アルミニウム層(b2)の深さ方向分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最小値(O/Al)MINが0.5未満であることが好ましい。アルミニウム蒸着層(b)は、バリア層(a)に接する面とは反対側の面(s)を含む酸化アルミニウム層(b3)を有し、面(s)の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)が0.5以上2.0以下であることがより好ましい。酸化アルミニウム層(b1)、アルミニウム層(b2)及び酸化アルミニウム層(b3)の具体的形態及び好適形態は、本発明の蒸着フィルムのアルミニウム蒸着層(B)における酸化アルミニウム層(B1)、アルミニウム層(B2)及び酸化アルミニウム層(B3)の具体的形態及び好適形態と同様である。
 本発明の多層構造体は、2つの本発明の蒸着フィルムを備えるものであってよい。本発明の多層構造体は、3つ以上の本発明の蒸着フィルムを備えるものであってもよい。本発明の多層構造体が、2つ以上の本発明の蒸着フィルムを備える場合、これらの蒸着フィルムは同一であってもよく、異なっていてもよい。
(ポリアミド層(F))
 本発明の多層構造体は、蒸着フィルムに直接又は他の層を介して積層されるポリアミド層(F)をさらに備えていてもよい。当該多層構造体がポリアミド層(F)を備えることにより、ガスバリア性等をより高めることができる。
 蒸着フィルムとポリアミド層(F)とは、直接積層されていてもよく、他の層を介して積層されていてもよい。他の層としては、接着剤層、ポリオレフィン層(E)等が挙げられる。複数の蒸着フィルムの間には、複数の層が存在していてもよい。
 ポリアミド層(F)は、多層構造体における少なくとも一方の最表層であることが好ましい。本発明の多層構造体においては、袋状に形成した場合に最外層となる層がポリアミド層(F)であってもよい。本発明の多層構造体の一実施形態において、一方の最表層がポリオレフィン層(E)であり、他方の最表層がポリアミド層(F)であってもよい。
 ポリアミド層(F)は、通常、ポリアミドを主成分として含む。ポリアミドとは、アミド結合を含む樹脂である。ポリアミドは、例えば3員環以上のラクタムの開環重合、重合可能なω-アミノ酸の重縮合、二塩基酸とジアミンとの重縮合等によって得られる。ポリアミドとしては、例えばポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ-ω-アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ-ω-アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω-アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体(ナイロン6I/6T)等が挙げられる。
 ポリアミド層(F)におけるポリアミドの含有量としては、80質量%以上100質量%以下が好ましく、90質量%以上100質量%以下がより好ましく、97質量%以上100質量%以下がより好ましい。ポリアミド層(F)には、ポリアミド以外の成分として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、熱安定剤、ポリアミド以外の他の樹脂等を含んでいてもよい。
 ポリアミド層(F)は、延伸されていない層であってもよく、延伸されている層であってもよい。
 ポリアミド層(F)の平均厚みの下限としては、1μmが好ましく、3μmがより好ましく、5μmがさらに好ましく、10μmがよりさらに好ましい。ポリアミド層(F)の平均厚みが上記下限以上であることで、ガスバリア性、耐屈曲性、保管性等を高めることができる。ポリアミド層(F)の平均厚みの上限としては、100μmが好ましく、50μmがより好ましく、30μmであってもよい。ポリアミド層(F)の平均厚みが上記上限以下であることで、多層構造体の薄膜化を図ること等ができる。
 ポリアミド層(F)は、単層からなっていてもよく、複数の層からなっていてもよい。
(その他の層)
 本発明の多層構造体は、上記した蒸着フィルム、ポリオレフィン層(E)及びポリアミド層(F)以外の他の層を有していてもよい。他の層としては、接着剤層、他の熱可塑性樹脂層、紙層、金属箔層等が挙げられる。
 本発明の多層構造体が接着剤層を有する場合、接着剤層の平均厚みとしては、例えば0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.3μm以上5μm以下がより好ましく、0.5μm以上3μm以下がさらに好ましい。接着剤層の平均厚みを上記範囲とすることで、十分な接着性を発揮しつつ、多層構造体の軽量化を図ること等ができる。
(層構成等)
 本発明の多層構造体の層構成としては、例えば、
(1)蒸着フィルム//E、
(2)蒸着フィルム//F/E、
(3)E//蒸着フィルム//E、
(4)E//蒸着フィルム//E//E
(5)F//蒸着フィルム//E、
(6)E//蒸着フィルム//F//E、
(7)F//蒸着フィルム//F//E、
(8)E//蒸着フィルム//蒸着フィルム//E、
(9)F//蒸着フィルム//蒸着フィルム//E
(10)蒸着フィルム//蒸着フィルム//蒸着フィルム//E
(11)F/蒸着フィルム//蒸着フィルム//蒸着フィルム//E
等が挙げられる。なお、Eはポリオレフィン層、Fはポリアミド層である。上記例示した層構成において、任意の位置に他の層が配置されているものも、本発明の多層構造体の一例である。上記例示した層構成における蒸着フィルムの層構成は、上記にて例示した通りである。また、蒸着フィルムの向きは、特に限定されない。例えば、上記(1)の多層構造体の層構成「蒸着フィルム//E」が、「A/B」の層構成を有する蒸着フィルムを備える場合、「A/B//E」の層構成であってもよく、「B/A//E」の層構成であってもよい。
 本発明の多層構造体においては、バリア層(A)の当該多層構造体の総厚みに対する厚み比率(多層構造体全体の平均厚みに対するバリア層(A)の平均厚み)は、例えば10%以下であってもよいが、5%以下であることが好ましく、4%以下、3%以下又は2%以下であることがより好ましい場合もある。バリア層(A)の厚み比率が上記上限以下であることで、リサイクル性が高まる等の利点がある。例えば回収して溶融成形する際の相溶性に優れ、外観の優れるリサイクル品を成形することができる。バリア層(A)の厚み比率の下限としては、0.1%が好ましく、0.2%、0.5%又は1%がより好ましい場合もある。バリア層(A)の厚み比率が上記下限以上であることで、ガスバリア性を高めること等ができる。
 本発明の多層構造体の平均厚み(多層構造体全体の平均厚み)の下限としては、10μmが好ましく、20μm、30μm又は50μmであってもよい。当該多層構造体の平均厚みが上記下限以上であることで、ガスバリア性、耐屈曲性、保管性等をより高めることができる。当該多層構造体の平均厚みの上限としては、1,000μmが好ましく、500μm、300μm、200μm又は100μmであってもよい。当該多層構造体の平均厚みが上記上限以下であることで、軽量化を図ること、成形性を高めること等ができる。
 本発明の多層構造体は、再使用の目的で粉砕し、溶融成形材料として用いることも可能である。当該多層構造体は、他の溶融成形材料(他の再利用樹脂、未使用の樹脂等)と混合して用いることができる。当該多層構造体は全部を溶融成形材料として再利用してもよく、当該多層構造体を分離し、一部のみを溶融成形材料として再利用してもよい。
 本発明の多層構造体を製造する方法は特に限定されない。例えば、蒸着フィルムに対して、ポリオレフィン層(E)のフィルム、ポリアミド層(F)のフィルム、他の蒸着フィルム等を、ドライラミネート等の公知の手段により積層させることにより多層構造体を得ることができる。その他、蒸着フィルムに対して、例えば溶融押出によりポリオレフィン層(E)、ポリアミド層(F)等を積層させることにより多層構造体を得てもよい。
 本発明の多層構造体の用途としては、例えば食品包装、医薬品包装、工業薬品包装、農薬包装等の各種包装材、真空断熱袋等が挙げられる。
<包装材>
 本発明の包装材は、本発明の蒸着フィルム又は本発明の多層構造体を含む。当該包装材は、包装の用途に用いられるものであり、その形状は限定されない。当該包装材は、シート状であってもよく、袋状等の所定の形状に成形されたものであってもよい。ヒートシール性等の観点から、熱融着層として最表層にポリオレフィン層(D)又はポリオレフィン層(E)が位置することが好ましい。また、ヒートシール性等の観点からは、最表層に位置するポリオレフィン層(D)又はポリオレフィン層(E)は、延伸されていないことが好ましい。袋状等の内側と外側とを有する形状に成形された包装材の場合、少なくとも最内層にポリオレフィン層(D)又はポリオレフィン層(E)が位置することが好ましい。包装材の保管後のガスバリア性低下をより抑制する観点からは、アルミニウム蒸着層(B)はバリア層(A)よりも外側に配置されていることが好ましい。包装材として具体的に好ましい層構成としては、外層側(E)//(B)/(A)/(C)/(D)//(E)内層側等が挙げられる。特に、(A)/(C)/(D)が延伸されており、(E)が延伸されていないと、包装材の機械強度とヒートシールが両立できる傾向となるため好ましい。また、内側層の(D)//(E)の合計厚みが55μm以上であると、特定の内容物(水分活性が0.9以上、塩分が0.5g/g以上または油分を含む内容物)である場合であっても保管後のガスバリア性の低下を抑制することができる。
 本発明の包装材は、例えば食品、飲料物、薬品、医療器材、機械部品、衣料等を包装するために使用される。特に、当該包装材は、酸素に対するバリア性が必要となる用途、包装材の内部が各種の機能性ガスによって置換される用途に好ましく使用される。当該包装材は、本発明の蒸着フィルムを備えることから、屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下が抑制されており、長期に渡り高いガスバリア性を維持することが可能である。また、本発明の包装材は、アルミニウム蒸着層(B)がバリア層(A)から剥離しにくいため、保管後の外観の低下も抑制される。
 当該包装材は、用途に応じて種々の形態、例えば縦製袋充填シール袋、スパウト付パウチ、ラミネートチューブ容器、容器用蓋材、真空包装袋等に形成される。
 縦製袋充填シール袋は、例えば液体、粘稠体、粉体、固形バラ物、これらを組み合わせた形態の食品、飲料物等を包装するために使用される。縦製袋充填シール袋は、蒸着フィルム又は多層構造体をヒートシールすることで形成される。ヒートシールが行われる場合、通常、蒸着フィルム又は多層構造体における縦製袋充填シール袋の内側となる層、又は縦製袋充填シール袋の内側となる層及び外側となる層の両方として、ヒートシール可能な層(例えば、ポリオレフィン層(D)又はポリオレフィン層(E))を配置することが必要である。ヒートシール可能な層が縦製袋充填シール袋の内側のみにある場合、通常、胴体部は合掌貼りよりシールされる。ヒートシール可能な層が縦製袋充填シール袋の内側及び外側の両方にある場合、通常、胴体部は封筒貼りによりシールされる。
 スパウト付パウチは、液状物質、例えば清涼飲料等の液体飲料、ゼリー飲料、ヨーグルト、フルーツソース、調味料、機能性水、流動食などを包装するために使用される。ラミネートチューブ容器は、例えば化粧品、薬品、医薬品、食品、歯磨等を包装するために使用される。容器用蓋材は、畜肉加工品、野菜加工品、水産加工品、フルーツ等の食品などが充填される容器の蓋材である。
<真空包装袋>
 本発明の真空包装袋は、本発明の包装材から形成される包装袋を備え、上記包装袋の内部が減圧されている。当該真空袋は、真空状態で包装することが望まれる用途、例えば食品、飲料物等の保存、真空断熱体の外装材等が挙げられる。このような真空包装袋は、本発明の蒸着フィルムを備えることから、屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下が抑制されており、長期に渡り高い真空状態を維持することが可能である。真空包装袋に好適に用いられる多層構造体は、複数の蒸着フィルムを備える構成であることが好ましい。また、高い機械強度が必要になるケースにおいてはポリアミド層(F)を備える構成であることが好ましい。真空包装袋に好適に用いられる多層構造体の層構成としては、外側(F)//(A)/(B)//(A)/(B)//(E)内側、外側(F)//(A)/(B)//(B)/(A)//(E)内側などが挙げられ、バリア層(A)の一方がEVOHであり、他方がPETであることがより好ましい。
<真空断熱体>
 本発明の真空断熱体は、本発明の真空包装袋と、上記真空包装袋の内部に配置された芯材とを備える。真空断熱体において、上記真空包装袋は外包材とも称される。真空断熱体は、保冷、保温透が必要な用途に使用されるものである。芯材としては、ガラスファイバー、ポリウレタンフォーム等が挙げられる。真空断熱体において、芯材は真空包装袋(外包材)内に真空状態で封入されている。真空包装袋(外包材)は、例えば、蒸着フィルム又は多層構造体をヒートシールすることで形成される。
 本発明の真空断熱体は、真空包装袋(外包材)が当該蒸着フィルムを備えるために、屈曲処理後及び保管後におけるガスバリア性の低下が抑制されており、長期に渡り高い断熱効果を保持できる。当該真空断熱体は、冷蔵庫、給湯設備、炊飯器等の家電製品用の断熱材;壁部、天井部、屋根裏部、床部等に用いられる住宅用断熱材;車両屋根材;自動販売機等の断熱パネルなどに利用できる。
 以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
 なお、以下、アルミニウム蒸着層を「Al蒸着層」、ポリオレフィンを「PO」、ポリアミドを「PA」と略記する場合がある。
<使用した材料1>
(バリア層(A))
・EVOH-1:EVOH、エチレン単位含有量32モル%、ケン化度99.9モル%、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分
・OPET:「ルミラー(登録商標)P60」(東レ株式会社製、二軸延伸PETフィルム、平均厚み12μm)
<評価方法1>
(1)アルミニウム蒸着層(B)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)
 実施例及び比較例で得られた蒸着フィルムのアルミニウム蒸着層(B)について、アルバック・ファイ株式会社製走査型X線光電子分光分析装置「PHIQuntera SXM」を用いて、アルゴンにて厚み(深さ)方向にスパッタリングを行いながら、アルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)の測定を行った。なお、X線源はAlKα(1486.6eV)、X線ビーム径は100μmφ(25W、15kV)、測定範囲は横300μm×縦300μm、信号の取り込み角は45°、圧力は1×10-6Paの条件で測定を行った。
 バリア層(A)側に観測される(すなわち、酸化アルミニウム層(B1)に観測される)酸素元素のモル比が最大値となる測定点におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比を(O/Al)MAXとし、酸素元素のモル比が最小値となる測定点(すなわち、アルミニウム層(B2))におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比を(O/Al)MINとした。また、アルミニウム蒸着層(B)におけるバリア層(A)と接する面とは反対側の面(S)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)も測定した。
(2)酸素透過度(OTR)
 実施例及び比較例で得られた蒸着フィルムから一部を切り取り、MOCON INC.製酸素透過率測定装置OX-TRAN2/21型(検出限界値0.01mL/(m・day・atm))を用いて20℃、65%RHの条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じてOTRを測定し、以下の基準で評価した。
(判定基準)
A:0.01mL/(m・day・atm)未満(検出限界値以下)
B:0.01mL/(m・day・atm)以上0.05mL/(m・day・atm)未満
C:0.05mL/(m・day・atm)以上0.10mL/(m・day・atm)未満
D:0.10mL/(m・day・atm)以上1.0mL/(m・day・atm)未満
E:1.0mL/(m・day・atm)以上
(3)屈曲試験前後OTR差
 実施例及び比較例で得られた蒸着フィルムから21cm×30cmサンプルを切り出し、テスター産業株式会社製ゲルボフレックステスター(BE-1005)を用い、ASTM F 392に準拠してゲルボフレックス試験(屈曲試験)を行った。具体的には、切り出した蒸着フィルムを23℃、50%RH雰囲気下で、直径3.5インチの円筒状にして、ゲルボフレックステスターに両端を固定し、初期間隔7インチ、最大屈曲時の間隔1インチ、ストロークの最初の3.5インチで440度の角度のひねりを加え、その後の2.5インチは直線水平動である動作の繰り返し往復動を3回行った。屈曲試験後に、屈曲試験後の蒸着フィルムの屈曲部の一部を切り取り、MOCON INC.製酸素透過率測定装置OX-TRAN2/21型(検出限界値0.01mL/(m・day・atm))を用いて20℃、65%RHの条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じてOTRを測定した。屈曲試験前後のOTR差(試験後のOTR-試験前のOTR)を算出し、OTR差について、下記基準で評価した。A~D判定であれば耐屈曲性が良好であると判断した。
(判定基準)
A:0.05mL/(m・day・atm)未満
B:0.05mL/(m・day・atm)以上0.10mL/(m・day・atmm・day・atm)未満
C:0.10mL/(m・day・atm)以上0.15mL/(m・day・atm)未満
D:0.15mL/(m・day・atm)以上0.20mL/(m・day・atm)未満
E:0.20mL/(m・day・atm)以上
(4)保管試験前後OTR差
 実施例及び比較例で得られた蒸着フィルムから一部を切り取ったサンプルを用いて、20℃、65%RH雰囲気下で20日間保管試験を行い、保管試験後のサンプルについてMOCON INC.製酸素透過率測定装置OX-TRAN2/21型(検出限界値0.01mL/(m・day・atm))を用いて20℃、65%RHの条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じて、酸素透過度を測定した。保管試験前後のOTR差(試験後のOTR-試験前のOTR)を算出し、下記基準で評価した。A~D判定であれば保管性が良好であると判断した。
(判定基準)
A:0.05mL/(m・day・atm)未満
B:0.05mL/(m・day・atm)以上0.10mL/(m・day・atm)未満
C:0.10mL/(m・day・atm)以上0.15mL/(m・day・atm)未満
D:0.15mL/(m・day・atm)以上0.20mL/(m・day・atm)未満
E:0.20mL/(m・day・atm)以上
[実施例1]
 EVOH-1を単軸の押出機を用いて240℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押し出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹付け、平均厚み170μmの未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを80℃の温水に10秒接触させ、テンター式同時二軸延伸設備により90℃にて縦方向に3.2倍、横方向に3.0倍延伸し、さらに170℃に設定したテンター内にて5秒間熱処理を行い、平均厚み12μm、全幅3.6mのEVOH二軸延伸フィルム(バリア層(A))を得た。得られたEVOH二軸延伸フィルムを巻き返しながら、フィルム全幅における中央位置を中心にして幅80cmをスリットし、4000m長のEVOH二軸延伸フィルムを得た。
 得られたEVOH二軸延伸フィルム(蒸着基材)に対して、搬送室と蒸着室を有する日本真空技術社製の巻取式真空蒸着装置「EWA-105」を用いてアルミニウム層(B)を下記方法で形成した。「EWA-105」には、搬送室側にはアンワインダーとワインダーがあり、蒸着室内はアルミニウムを加熱するためのるつぼとフィルムを搬送しながら冷却するクーリングキャンとがあり、クーリングキャンに沿わせてフィルムが搬送される。クーリングキャンを-30℃に冷却し、得られたEVOH二軸延伸フィルムを150m/分の搬送速度で搬送させた。さらに蒸着室内に、蒸着前のEVOH二軸延伸フィルムに直接酸素を吹き付けるノズルを設置し(ノズル隙間2mm、ノズル幅21cm、フィルム-ノズル間距離2cm、フィルムに対する角度30度)、酸素を80mL/分で吹き付けながらアルミニウムの真空蒸着を行い、EVOH二軸延伸フィルム上に平均厚み40nmのアルミニウム蒸着層(B)が形成された蒸着フィルムを作製した。なお、蒸着室内の圧力は5×10-4Pa~9×10-4Paであった。アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みは適宜るつぼにかかる電圧をコントロールすることで調整した。
 得られた蒸着フィルムに関し、上記評価方法1の(1)~(4)に記載の方法に従い各評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2~7、比較例1~3]
 蒸着時に吹き付ける酸素供給量を表1に記載の通り変更した以外は実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
 蒸着時のEVOH二軸延伸フィルムの搬送速度を75m/分に変更して、アルミニウム蒸着層の平均厚みを80nmとなるように蒸着した以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
 平均厚みを12μmとした以外は、実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムをそのまま蒸着基材として用いた以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[実施例10]
 EVOH二軸延伸フィルムの代わりにOPETを用いた以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
 EVOH二軸延伸フィルムの代わりにOPETを用いた以外は、比較例3と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[比較例5]
 蒸着室内に、蒸着後のEVOH二軸延伸フィルムの蒸着層に直接酸素を吹き付けるノズルを設置し(ノズル隙間2mm、ノズル幅21cm、フィルム-ノズル間距離2cm、フィルムに対する角度90度)、蒸着層に直接酸素を吹き付けるノズルから、酸素ガスを5000mL/分以上の条件で導入し、蒸着室内の圧力を1.0×10-2Pa~5.0×10-2Paとなるように酸素ガスを導入した以外は、比較例3と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[比較例6]
 蒸着時に吹き付ける酸素供給量を5000mL/分以上とし、蒸着室内の圧力が1.0×10-2Pa~5.0×10-2Paとなるように酸素ガスを導入した以外は、実施例1と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
[比較例7]
 蒸着室内のアルミニウムを加熱するためのるつぼと、搬送されるEVOH二軸延伸フィルムとの間に酸素を吹き込みできるように酸素を吹き付けるノズルを設置し(ノズル隙間2mm、ノズル幅21cm)、酸素を3000~5000mL/分で吹き付けながら酸化アルミニウムの真空蒸着を行った以外は、比較例3と同様の方法で蒸着フィルムを作製し評価した。結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
<使用した材料2>
(バリア層(A)、バリア層(a))
・EVOH-1:EVOH、エチレン単位含有量32モル%、ケン化度99.9モル%、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分
・OPET:「ルミラー(登録商標)P60」(東レ株式会社製、二軸延伸PETフィルム、平均厚み12μm)
(PO層(E))
・LLDPE:「ユニラックス(登録商標)LS760C」(出光ユニテック株式会社製、LLDPEフィルム、平均厚み50μm)
(PA層(F))
・OPA:「エンブレム(登録商標)ONM15」二軸延伸ポリアミドフィルム、平均厚み15μm
<評価方法2>
(5)熱伝導率
 実施例及び比較例で得られた真空断熱体を23℃、50%RHで1週間保管した後、熱伝導率測定装置(英弘精機株式会社製、FOX314型)を用い、真空断熱体の一方の側を38℃とし、他方の面側を12℃として真空断熱体の熱伝導率(mW/(m・k))を測定した。評価を2回実施し、2回の評価結果の平均値を試験前の熱伝導率として、下記の基準で評価した。評価結果がA又はBであれば、断熱性能が良好であると判断した。
(試験前の熱伝導率(判定基準))
A:2.5mW/m・K以下
B:2.5mW/m・Kより大きく2.8mW/m・K以下
C:2.8mW/m・Kより大きい
 実施例及び比較例で得られた真空断熱体をR115mmの半弧に沿わせて屈曲させた。屈曲した真空断熱体を、23℃、50%RHで1週間保管した後、水平の板に押し付けて平板状に戻した後、上記と同様に真空断熱体の熱伝導率を測定した。評価を2回実施し、2回の評価結果の平均値を屈曲試験後の熱伝導率として、屈曲試験前後の熱伝導率の差(屈曲試験後-屈曲試験前)を算出し、下記の基準で評価した。評価結果がA~Cであれば耐屈曲性が良好であると判断した。すなわち、屈曲処理後におけるガスバリア性の低下が抑制される結果、屈曲による熱伝導率の低下が抑制されると考えられる。
(屈曲試験前後の熱伝導率の差(判定基準))
A:0.1mW/m・K以下
B:0.1mW/m・Kより大きく0.3mW/m・K以下
C:0.3mW/m・Kより大きく0.5mW/m・K以下
D:0.5mW/m・Kより大きい
 実施例及び比較例で得られた真空断熱体をR115mmの半弧に沿わせて屈曲させた。屈曲した真空断熱体を、23℃、50%RHで1週間保管した後、80℃の乾燥機にて60日保管し、水平の板に押し付けて平板状に戻した後、23℃、50%RHで1週間保管し、上記と同様に熱伝導率測定装置にて熱伝導度を測定した。評価を2回実施し、2回の評価結果の平均値を保管試験後の熱伝導率として、保管試験前後の差(保管試験後-屈曲試験後)を算出し、下記基準で評価した。評価結果がA~Cであれば、保管性が良好であると判断した。すなわち、保管後のガスバリア性の低下が抑制される結果、保管後の熱伝導率の低下が抑制されると考えられる。
(保管試験前後の熱伝導率の差(判定基準))
A:7.0mW/m・K以下
B:7.0mW/m・Kより大きく11.0mW/m・K以下
C:11.0mW/m・Kより大きく15.0mW/m・K以下
D:15.0mW/m・Kより大きく15.0mW/m・K以下
[実施例11]
 実施例8で得られた蒸着フィルムを第1の蒸着フィルムとして用意した。
 蒸着時のPETの搬送速度を94m/分に変更して、アルミニウム蒸着層の平均厚みが50nmとなるように蒸着した以外は、実施例10と同様の操作を行い、第2の蒸着フィルム(OPET/Al=12μm/50nm)を作製した。得られた第2の蒸着フィルムについて、上記評価方法1の(1)に記載の方法に従い、アルミニウム蒸着層におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)の測定を行った。結果を表3に示す。また、実施例8で得られた蒸着フィルム(第1の蒸着フィルム)における上記モル比測定の結果も表3に再掲する。なお、実施例8の蒸着フィルム(第1の蒸着フィルム)におけるアルミニウム蒸着層をアルミニウム蒸着層(B)、第2の蒸着フィルムのアルミニウム蒸着層をアルミニウム蒸着層(b)とする。
 第2の蒸着フィルムのアルミニウム蒸着層表面、OPAの片面、及びLLDPEの片面のそれぞれに2液型のウレタン系接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(商標)A-520」及び「タケネート(商標)A-50」)を乾燥後の平均厚みが1.0μmになるように塗布し乾燥させた。第1の蒸着フィルムも使用し、OPA/tie/PET/Al/tie/Al/EVOH-1/tie/LLDPE(tieは接着剤層を意味し、Alはアルミニウム蒸着層を意味する)という構成になるようにラミネートし、多層構造体を作製した。
 得られた多層構造体を用い、真空断熱体を作製した。具体的には、多層構造体を20cm×40cmに裁断して2枚の被覆材を作製し、かかる2枚の被覆材をLLDPE層同士が内面となるように重ね合わせ、3方を10mm幅でヒートシールして3方袋である包装袋を作製した。得られた包装袋の開口部から低熱伝導性の芯材として160℃の雰囲気下で4時間乾燥したガラスファイバーを、吸着剤として酸化カルシウム入り小袋をそれぞれ充填し、真空断熱パネル製造装置(株式会社エヌ・ピー・シー製、KT-500RD型)を用いて温度20℃で内部圧力1.0Paの状態で包装袋を密封し、真空断熱体を作製した。得られた真空断熱体について、上記評価方法2の(5)に記載の方法に従い、熱伝導率の評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例12、13]
 蒸着時に吹き付ける酸素供給量を表2に記載の通り変更した以外は実施例8と同様の方法で蒸着フィルムを作製し、第1の蒸着フィルムとして用いた以外は、実施例11と同様の方法で蒸着フィルム、多層構造体及び真空断熱体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
[実施例14]
 平均厚みを12μmとした以外は、実施例8と同様の方法で未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムをそのまま蒸着基材として用いた以外は、実施例8と同様の方法で蒸着フィルムを作製し、得られた蒸着フィルムを第1の蒸着フィルムとして用いた以外は、実施例11と同様の方法で蒸着フィルム、多層構造体及び真空断熱体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
[実施例15]
 実施例1で得られた蒸着フィルムを第1の蒸着フィルムとして用いた以外は、実施例11と同様の方法で蒸着フィルム、多層構造体及び真空断熱体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
[比較例8]
 比較例1で得られた蒸着フィルムを第1の蒸着フィルムとして用いたこと、及び第2の蒸着フィルム作成の際に酸素の吹き付けを行わなかったこと以外は、実施例11と同様の方法で蒸着フィルム、多層構造体及び真空断熱体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
[比較例9]
 比較例2で得られた蒸着フィルムを第1の蒸着フィルムとして用いた以外は、比較例8と同様の方法で蒸着フィルム、多層構造体及び真空断熱体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
[比較例10]
 比較例3で得られた蒸着フィルムを第1の蒸着フィルムとして用いた以外は、比較例8と同様の方法で蒸着フィルム、多層構造体及び真空断熱体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
<使用した材料3>
(バリア層(A))
・EVOH-2:EVOH、エチレン単位含有量48モル%、ケン化度99.9モル%、MFR(190℃、2.16kg荷重)6.4g/10分
・EVOH-3:EVOH、エチレン単位含有量32モル%、ケン化度99.9モル%、MFR(190℃、2.16kg荷重)1.6g/10分
・OPET:「ルミラー(登録商標)P60」(東レ株式会社製、二軸延伸PETフィルム、平均厚み12μm)
(接着性樹脂層(C))
・Ad:「アドマー(登録商標)NF528」(三井化学株式会社製、無水マレイン酸変性ポリエチレン)
(PO層(D))
・PP:「Novatec(登録商標)FL203D」(日本ポリプロ株式会社製、ポリプロピレン)
(PO層(E))
・OPP:「FOR」(フタムラ化学株式会社製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、平均厚み20μm)
・CPP30:「GLC」(三井化学東セロ株式会社、無延伸ポリプロピレンフィルム、平均厚み30μm)
・CPP50:「GLC」(三井化学東セロ株式会社、無延伸ポリプロピレンフィルム、平均厚み50μm)
<評価方法3>
(6)保管試験前のOTR
 実施例及び比較例で得られた多層構造体から11cm×11cmを切り取り、切り取られた測定サンプルについて20℃、65%RHで1週間静置した後、MOCON INC.製酸素透過率測定装置OX-TRAN2/21型(検出限界値0.01mL/(m・day・atm))を用いて20℃、65%RHの条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じて、酸素透過度を測定し、以下の基準で評価した。
(判定基準)
A:0.01mL/(m・day・atm)未満
B:0.01mL/(m・day・atm)以上0.05mL/(m・day・atm)未満
C:0.05mL/(m・day・atm)以上0.10mL/(m・day・atm)未満
D:0.10mL/(m・day・atm)以上0.2mL/(m・day・atm)未満
E:0.2mL/(m・day・atm)以上
(7)保管試験後のOTR及び外観
 実施例及び比較例で得られたケチャップ入りのパウチを、43℃、50%RHに設定した恒温恒湿器内で、150日間保管する保管試験を行った。保管試験後、パウチ上部をカットし、ケチャップを抜きとり付着物を純水で洗浄しティッシュで付着した純水を拭き取った後、パウチの中央部から11cm×11cmの正方形を切り取り(シール部は含まない)、切り取られた測定サンプルについて20℃、65%RHで1週間調整し、MOCON INC.製酸素透過率測定装置OX-TRAN2/21型(検出限界値0.01mL/(m・day・atm))を用いて20℃、65%RHの条件下でISO14663-2 Annex C(1999)に記載の方法に準じて、酸素透過度を測定し、以下の基準で評価した。
(OTRの判定基準)
A:0.1mL/(m・day・atm)未満
B:0.1mL/(m・day・atm)以上0.5mL/(m・day・atm)未満
C:0.5mL/(m・day・atm)以上1.0mL/(m・day・atm)未満
D:1.0mL/(m・day・atm)以上2.0mL/(m・day・atm)未満
E:2.0mL/(m・day・atm)以上
 また、保管試験後の外観を以下の基準で評価した。
(外観の判定基準)
A:保管試験前と同等
B:最大長さが0.1mm以上5mm未満の白化が見られた 
C:最大長さが5mm以上25以上10mm未満の白化が見られた
D:最大長さが10以上20mm未満の白化が見られた
E:最大長さが20mm以上の白化が見られた
[実施例16]
 バリア層(A)の材料としてEVOH-2を、接着性樹脂層(C)の材料としてAdを、PO層(D)の材料としてPPを用いて、3種3層共押出キャスト成形法によりダイからキャスティングロール上に押し出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹付け、下記条件にて未延伸多層フィルム(EVOH-2/Ad/PP=10μm/10μm/180μm)を作製した。
(多層フィルム作製条件)
装置:3種3層キャストフィルム共押出成形機
バリア層(A):EVOH-2
 押出機:単軸押出機(東洋精機株式会社 ラボ機ME型CO-EXT)
 スクリュー:口径20mmφ、L/D20、フルフライトスクリュー 
 押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=175/200/220/220℃
接着性樹脂層(C):Ad
 押出機:単軸押出機(株式会社テクノベル SZW20GT-20MG)
 スクリュー:口径20mmφ、L/D20、フルフライトスクリュー 
 押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=175/200/220/220℃
PO層(D):PP
 押出機:単軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所 GT-32-A)
 スクリュー:口径32mmφ、L/D28、フルフライトスクリュー 
 押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=175/200/220/220℃
ダイ:300mm幅3種3層用コートハンガーダイ(株式会社プラスチック工学研究所製)
 得られた未延伸多層フィルムをテンター式同時二軸延伸設備により160℃にて縦方向に3.2倍、横方向に3.0倍延伸し、EVOH-2/Ad/PP=1μm/1μm/18μmの二軸延伸多層フィルムを得た。
 得られた二軸延伸多層フィルムのバリア層(A)上に、実施例1と同様の方法でアルミニウムの真空蒸着を行い、バリア層(A)上に平均厚み40nmのアルミニウム蒸着層が形成された蒸着フィルム(アルミニウム蒸着層/EVOH-2/Ad/PP=40nm/1μm/1μm/18μm)を作製した。得られた蒸着フィルムに関し、上記評価方法1の(1)に記載の方法に従い、アルミニウム蒸着層(B)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)を測定した。結果を表5に示す。
 OPPの片面及びCPP50の片面にそれぞれ、2液型のウレタン系接着剤(三井化学株式会社製「タケラック(商標)A-520」及び「タケネート(商標)」A-50」)を乾燥後の平均厚みが2μmとなるように塗工して乾燥させ接着剤層を設けた。その後、上記で作製した蒸着フィルムのアルミニウム蒸着側に、接着剤層を設けたOPP(PO層(E1))を、PO層(D)側に、接着剤層を設けたCPP50(PO層(C2))をそれぞれ積層させ、70℃でニップロール圧着しながらラミネートした。その後、40℃で4日間エージングすることで、多層構造体(OPP/tie/Al/EVOH-2/Ad/PP/tie/CPP=20μm/2μm/40nm/1μm/1μm/18μm/2μm/50μm(tieは接着剤層を意味し、Alはアルミニウム蒸着層を意味する))を得た。得られた多層構造体について、上記評価方法3の(6)に記載の方法に従い保管試験前のOTRを評価した。結果を表5に示す。
 得られた多層構造体を裁断し、サイズが横15cm×縦20cmである被覆材を2枚作製しCPP層同士が内面となるように重ね合わせ、3方を10mm幅でヒートシールして3方袋である包装袋を作製した。カゴメ株式会社製トマトケチャップ50gを入れ、Frimrk Gmbh社製真空包装機VAC-STAR 2500GSLを用いて縦15cmのところ(ヒートシールされていない残りの1方)を幅10mm幅でヒートシールし、ケチャップ50gを真空包装した横15cm×縦15cmのパウチを作製した。得られたパウチについて、上記評価方法3の(7)に記載の方法に従って、保管試験後のOTR及び外観を評価した。結果を表5に示す。
[実施例17~22、比較例11~13]
 実施例16における蒸着フィルム作製の際、酸素供給量を表4に記載の通りに変更した以外は同様の方法で二軸延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例23]
 多層構造体作成時にPO層(E2)(CPP50)を積層しなかった以外は、実施例20と同様の方法で二軸延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例24]
 多層構造体作成時にPO層(E2)(CPP50)を積層しなかった以外は、実施例17と同様の方法で二軸延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例25]
 蒸着時の二軸延伸多層フィルムの搬送速度を75m/分に変更して、アルミニウム蒸着層の平均厚みが80nmとなるように蒸着した以外は、実施例23と同様の方法で二軸延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例26]
 蒸着時の二軸延伸多層フィルムの搬送速度を75m/分に変更して、アルミニウム蒸着層の平均厚みが80nmとなるように蒸着した以外は、実施例24と同様の方法で二軸延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例27]
 多層構造体作成時にPO層(E2)としてCPP50の代わりにCPP30を用いた以外は、実施例16と同様の方法で二軸延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例28]
 未延伸多層フィルムの各層の平均厚みが、EVOH-2/Ad/PP=30μm/30μm/108μmとなるように調整して作製し、得られた未延伸多層フィルムを160℃に加熱後、ロール式延伸機にて縦方向(MD方向)に6倍延伸して一軸延伸多層フィルム(EVOH-2/Ad/PP=5μm/5μm/18μm)を作製した。得られた一軸多層フィルムをそのまま蒸着基材として用いた。上記の点以外は、実施例27と同様の方法で蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例29]
 バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びPO層(D)の平均厚みが表3に記載の平均厚みとなるように未延伸多層フィルム(EVOH-2/Ad/PP=5μm/5μm/18μm)を作製し、得られた未延伸多層フィルムをそのまま蒸着基材として用いた以外は、実施例27と同様の方法で未延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例30]
 バリア層(A)としてEVOH-3を用いた以外は実施例29と同様の方法で、未延伸多層フィルム、蒸着フィルム、多層構造体及びパウチを作製し、評価した。結果を表5に示す。
[実施例31]
 蒸着フィルムとして、実施例10で作製した蒸着フィルムを用いた以外は実施例30と同様の方法で多層構造体及びパウチを作製し、評価した。なお、CPP30はOPET側に積層させた。結果を表5に示す。
[比較例14]
 蒸着フィルムとして、比較例4で作製した蒸着フィルムを用いた以外は実施例30と同様の方法で多層構造体及びパウチを作製し、評価した。なお、CPP30はOPET側に積層させた。結果を表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表1に示されるように、実施例1~10の蒸着フィルムは、耐屈曲性及び保管性が良好であった。表2、3に示されるように、実施例11~15の多層構造体から得られた真空断熱体は、断熱性能、耐屈曲性及び保管性が良好であった。表4、5に示されるように、実施例16~31の多層構造体から得られたパウチは、保管前後のガスバリア性が共に良好であり、保管後の外観も良好であった。また、アルミニウム蒸着を行う際に、蒸着基材(バリア層(A))に対して微量の酸素の吹き付けを行い、この酸素供給量を調整することで、酸化アルミニウム層(B1)におけるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXを制御できることが確認できた。なお、実施例23~26はCPP層を含まなかったため、パウチ作製のヒートシール時にパウチの外観が悪化していた。
10 蒸着フィルム
A  バリア層(A)
B  アルミニウム蒸着層(B)
B1 酸化アルミニウム層(B1)
B2 アルミニウム層(B2)
B3 酸化アルミニウム層(B3)
S  アルミニウム蒸着層(B)におけるバリア層(A)に接する面とは反対側の面

Claims (18)

  1.  樹脂製のバリア層(A)と、
     バリア層(A)に直接積層され、平均厚みが30nm以上100nm以下であるアルミニウム蒸着層(B)と
     を有し、
     アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(B1)及びアルミニウム層(B2)を連続して有し、
     酸化アルミニウム層(B1)の深さ方向の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが0.5以上2.0以下であり、
     アルミニウム層(B2)の深さ方向分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最小値(O/Al)MINが0.5未満である、蒸着フィルム。
  2.  アルミニウム蒸着層(B)は、バリア層(A)に接する面とは反対側の面(S)を含む酸化アルミニウム層(B3)を有し、
     面(S)の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比(O/Al)が0.5以上2.0以下である、請求項1に記載の蒸着フィルム。
  3.  バリア層(A)がビニルアルコール系重合体及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とする、請求項1又は2に記載の蒸着フィルム。
  4.  バリア層(A)が二軸延伸されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
  5.  バリア層(A)の平均厚みが0.1μm以上20μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
  6.  アルミニウム蒸着層(B)の平均厚みが55nm以上90nm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
  7.  バリア層(A)のアルミニウム蒸着層(B)とは反対側の面に、接着性樹脂層(C)を介して積層されるポリオレフィン層(D)をさらに有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
  8.  バリア層(A)、接着性樹脂層(C)及びポリオレフィン層(D)が少なくとも一軸方向に延伸されている、請求項7に記載の蒸着フィルム。
  9.  請求項7又は8に記載の蒸着フィルムと、
     上記蒸着フィルムの少なくとも一方の面に、直接又は他の層を介して積層されるポリオレフィン層(E)と
     を備える、多層構造体。
  10.  上記蒸着フィルムの両面に、直接又は他の層を介してポリオレフィン層(E)がそれぞれ積層されており、それぞれのポリオレフィン層(E)が同種の樹脂を主成分として含む、請求項9に記載の多層構造体。
  11.  バリア層(A)の上記多層構造体の総厚みに対する厚み比率が5%以下である、請求項9又は10に記載の多層構造体。
  12.  請求項1~6のいずれか1項に記載の蒸着フィルムと、
     上記蒸着フィルムに直接又は他の層を介して積層されるポリオレフィン層(E)と
     を備える、多層構造体。
  13.  上記蒸着フィルムに直接又は他の層を介して積層される他の蒸着フィルムをさらに備え、
     上記他の蒸着フィルムが、樹脂製のバリア層(a)と、バリア層(a)に直接積層され、平均厚みが30nm以上100nm以下であるアルミニウム蒸着層(b)とを有する、請求項12に記載の多層構造体。
  14.  アルミニウム蒸着層(b)は、バリア層(a)に接する面側から順に、酸化アルミニウム層(b1)及びアルミニウム層(b2)を連続して有し、
     酸化アルミニウム層(b1)の深さ方向の元素分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最大値(O/Al)MAXが0.5以上2.0以下であり、
     アルミニウム層(b2)の深さ方向分析において、走査型X線光電子分光分析装置で測定されるアルミニウム元素に対する酸素元素のモル比の最小値(O/Al)MINが0.5未満である、請求項13に記載の多層構造体。
  15.  上記蒸着フィルムに直接又は他の層を介して積層されるポリアミド層(F)をさらに備える、請求項12~14のいずれか1項に記載の多層構造体。
  16.  請求項1~8のいずれか1項に記載の蒸着フィルム又は請求項9~15のいずれか1項に記載の多層構造体を含む、包装材。
  17.  請求項16に記載の包装材から形成される包装袋を備え、
     上記包装袋の内部が減圧されている、真空包装袋。
  18.  請求項17に記載の真空包装袋と、
     上記真空包装袋の内部に配置された芯材と
     を備える真空断熱体。
     
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