WO2023032656A1 - 感光性組成物、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法 - Google Patents

感光性組成物、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、波長365nmの光を含む照射光による露光をした際に、解像性に優れ、且つ、形成されるパターンの低誘電性にも優れる感光性組成物を提供することにある。また、本発明の他の課題は、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法、及びタッチパネルの製造方法を提供することにある。 本発明の感光性組成物は、カルボキシ基を有する化合物Aと、 波長365nmにおけるモル吸光係数が1000(cm・mol/L)-1超である化合物Bと、を含み、 活性光線又は放射線の照射によって上記カルボキシ基の含有量が減少する。

Description

感光性組成物、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法、タッチパネルの製造方法
 本発明は、感光性組成物、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法、及びタッチパネルの製造方法に関する。
 静電容量型入力装置等のタッチパネルを備えた表示装置(表示装置としては、具体的には、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置等)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分、及び取り出し配線部分の配線等の導電パターンがタッチパネル内部に設けられている。
 一般的に、パターン化した層(以下、単に「パターン」ともいう。)の形成には感光性材料が使用されており、とりわけ、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといったことから、仮支持体上と上記仮支持体上に配置された感光性材料を用いて形成される感光性層とを有する転写フィルムを用いた方法が広く使用されている。転写フィルムを用いてパターンを形成する方法としては、転写フィルムから任意の基材上に転写された感光性層に対し、所定のパターン形状を有するマスクを介して露光及び現像を実施する方法が挙げられる。
 感光性材料及び転写フィルムとして、例えば、特許文献1では、「基材上に、酸価が75mgKOH/g以上のカルボキシル基を有するバインダーポリマーと、光重合性化合物と、光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物」及び「支持フィルムと、上記支持フィルム上に設けられた上記感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備えた感光性エレメント」が開示されている。
国際公開第2013/084886号公報
 本発明者らは、特許文献1に記載された感光性樹脂組成物(感光性組成物)及び感光性エレメント(転写フィルム)を用いてパターンを形成して検討したところ、解像性を更に改善するとともに、形成されるパターンの誘電率を更に低減する余地があることを知見した。
 ところで、例えば、μmオーダーの線幅のパターン形成においては、通常、i線(主波長が365nm)露光方式による露光処理が適用されている場合が多い。
 そこで、本発明は、波長365nmの光を含む照射光による露光をした際に、解像性に優れ、且つ、形成されるパターンの低誘電性にも優れる感光性組成物を提供することを課題とする。また、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法、及びタッチパネルの製造方法を提供することも課題とする。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
 〔1〕 カルボキシ基を有する化合物Aと、
 波長365nmにおけるモル吸光係数が1000(cm・mol/L)-1超である化合物Bと、を含み、
 活性光線又は放射線の照射によって上記カルボキシ基の含有量が減少する、感光性組成物。
 〔2〕 上記化合物Bの波長365nmにおけるモル吸光係数が3000(cm・mol/L)-1以上である、〔1〕に記載の感光性組成物。
 〔3〕 上記化合物Bの極大吸収波長が300~400nmの範囲にある、〔1〕又は〔2〕に記載の感光性組成物。
 〔4〕 上記化合物Bが、露光により上記化合物Aが含む上記カルボキシ基の量を減少させる構造を有する化合物である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔5〕 上記化合物Bが、光励起状態において、上記化合物Aが含む上記カルボキシ基から電子を受容できる構造を有する化合物である、〔4〕に記載の感光性組成物。
 〔6〕 上記化合物Bが、光励起状態において、上記化合物Aが含む上記カルボキシ基から電子を受容できる構造を有する化合物であり、
 上記化合物Bが含む上記電子を受容できる構造の合計数が、上記化合物Aが含むカルボキシ基の合計数に対して、5モル%以上である、〔3〕~〔5〕のいずれかに記載の転写フィルム。
 〔7〕 上記化合物Bが、置換基を有していてもよい芳香族化合物である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔8〕 上記化合物Bが、置換基を有していてもよい、多環芳香環化合物及び複素芳香環化合物からなる群から選ばれる1種以上である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔9〕 極大吸収波長を580~800nmに有する化合物Cを含まないか、又は、
 上記化合物Cを含む場合、上記化合物Cの含有量は、上記化合物Aの含有量に対して、10質量%未満である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔10〕 上記化合物Aが、アクリル酸に由来する繰り返し単位及びメタクリル酸に由来する繰り返し単位からなる群から選ばれる1種以上を含むポリマーである、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔11〕 エチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含まないか、又は、
 上記重合性化合物を含む場合、上記重合性化合物の含有量が、組成物の全固形分に対して、30質量%以下である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔12〕 エチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含まないか、又は、
 上記重合性化合物を含む場合、上記重合性化合物の含有量が、組成物の全固形分に対して、0.5質量%以下である、〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔13〕 上記化合物Aの含有量100質量部に対する上記化合物Bの含有量が、0質量部より大きく、50質量部以下である、〔1〕~〔12〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔14〕 上記化合物Aの含有量100質量部に対する上記化合物Bの含有量が、10~50質量部である、〔1〕~〔13〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 〔15〕 上記感光性組成物から形成される感光性層に対して下記パターン形成条件Aを実施してパターンを形成したとき、下記式(F1)で表される膜減り量が50%以下であり、且つ、
 上記感光性組成物から形成される感光性層に対して下記膜形成条件Bを実施して膜を形成したとき、上記膜の25℃50%RH環境下にて測定される28GHzにおける比誘電率が3.5以下である、〔1〕~〔14〕のいずれかに記載の感光性組成物。
 式(F1):膜減り量(%)={(露光前の感光性層の厚さ-形成されたパターンの凸部の厚さ)/露光前の感光性層の厚さ}×100
≪パターン形成方法A≫
 感光性組成物を基材上に乾燥後の厚さ3.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成する。次いで、感光性層を、ラインサイズが1μmであり且つライン/スペースが1/1であるラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光する。そして、露光後の感光性層に対して、液温23℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に35秒間浸漬して現像し、純水で20秒間リンスし、更に、エアを吹きかけて水分を除去する。
≪膜形成方法B≫
 感光性組成物を基材上に乾燥後の厚さ5.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成する。次いで、感光性層を、超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光する。
 〔16〕 仮支持体と、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の感光性組成物から形成された感光性層と、をこの順に有する転写フィルム。
 〔17〕 基材上に、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の感光性組成物又は請求項16に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
 上記感光性層をパターン露光する工程と、
 露光された上記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、をこの順に含む、パターン形成方法。
 〔18〕 導電層を有する基板上に、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の感光性組成物又は請求項16に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
 上記感光性層をパターン露光する工程と、
 露光された上記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、
 上記パターンが配置されていない領域における上記導電層に、エッチングする工程、又は、めっきする工程と、
 上記パターンを剥離する工程と、
 更に、上記めっきする工程を有する場合、上記パターンを剥離する工程によって露出した上記導電層を除去し、上記基板上に配線パターンを形成する工程と、をこの順に含む、回路配線の製造方法。
 〔19〕 導電層を有する基板上に、〔1〕~〔15〕のいずれかに記載の感光性組成物又は請求項16に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
 上記感光性層をパターン露光する工程と、
 露光された上記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された上記導電層の保護膜又は絶縁膜を形成する工程と、をこの順に含む、タッチパネルの製造方法。
 本発明によれば、波長365nmの光を含む照射光による露光をした際に、解像性に優れ、且つ、形成されるパターンの低誘電性にも優れる感光性組成物を提供できる。また、転写フィルム、パターン形成方法、回路配線の製造方法、及びタッチパネルの製造方法を提供できる。
実施形態に係る転写フィルムの層構成の一例を示す概略図である。
 以下、本発明について詳細に説明する。
 なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
 また、本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
 本明細書において、特段の断りがない限り、温度条件は25℃としてよい。例えば、上記各工程を行う際の温度は、特段の断りがない限り、25℃で行ってよい、
 本明細書において、「透明」とは、波長400~700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味し、90%以上であることが好ましい。従って、例えば、「透明樹脂層」とは、波長400~700nmの可視光の平均透過率が80%以上である樹脂層を指す。
 また、可視光の平均透過率は、分光光度計を用いて測定される値であり、例えば、日立製作所株式会社製の分光光度計U-3310を用いて測定できる。
 本明細書において、「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、g線、h線、i線等の水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、及び電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
 本明細書において、「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
 本明細書において、特に断わりのない限り、ポリマーの各構成単位(ポリマーの各繰り返し単位と同義である。)の含有比率はモル比である。
 また、本明細書において、特に断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターによって測定される値である。
 本明細書において、特に断りがない限り、分子量分布がある場合の分子量は重量平均分子量である。
 本明細書において、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量である。
 本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念である。
 本明細書において、化合物又は転写フィルムを構成する層等が「アルカリ可溶性」であるとは、以下の方法によって求められる溶解速度が0.01μm/秒以上であることをいう。
 対象物(例えば、樹脂)の濃度が25質量%であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液をガラス基板上に塗布し、次に、100℃のオーブンで3分間加熱することによって上記対象物の塗膜(厚み2.0μm)を形成する。上記塗膜を炭酸ナトリウム1質量%水溶液(液温30℃)に浸漬させることにより、上記塗膜の溶解速度(μm/秒)を求める。
 なお、対象物がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解しない場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート以外の沸点200℃未満の有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、又はエタノール)に対象物を溶解させる。
 本明細書において「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。したがって、例えば、水溶性樹脂とは、上述の溶解度条件を満たす樹脂を意図する。
 組成物の「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層(例えば、感光性層)を形成する成分を意味し、組成物が溶媒(例えば、有機溶媒及び水等)を含む場合、溶媒を除いた全ての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
 本明細書において、特に断りのない限り、層の厚み(膜厚)は、0.5μm以上の厚みについては走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定される平均厚みであり、0.5μm未満の厚みにつては透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定される平均厚みである。上記平均厚みは、ウルトラミクロトームを用いて測定対象の切片を形成し、任意の5点の厚みを測定して、それらを算術平均した平均厚みである。
[感光性組成物]
 本発明の感光性組成物は、
 カルボキシ基を有する化合物Aと、
 波長365nmにおけるモル吸光係数が1000(cm・mol/L)-1超である化合物B(以下「化合物B」ともいう。)と、を含み、
 活性光線又は放射線の照射(以下「露光」ともいう。)によって上記カルボキシ基の含有量が減少する。
 上記構成の本発明の感光性組成物は、波長365nmの光を含む照射光による露光がなされた場合、解像性に優れるとともに、形成されるパターンの低誘電性にも優れる。
 本発明の感光性組成物の詳細な作用機序は明らかではないが、推定される作用機序は以下のとおりである。
 本発明の感光性組成物により形成される感光性層は、露光部において、化合物Aのカルボキシ基の含有量が減少することによる極性の変化が生じて、現像液に対する溶解性が変化している。つまり、露光部は、アルカリ現像液に対する溶解性が低下し、有機溶剤系現像液に対する溶解性が増大する。一方で、未露光部においては現像液に対する溶解性は概ね変化していない。この結果として、感光性層は、優れたパターン形成性を有すると考えられる。本発明の感光性層から形成されるパターンは、現像液がアルカリ現像液である場合にはネガパターンであり、現像液が有機溶剤系現像液である場合にはポジパターンである。ネガパターンは、上記機構によりカルボキシ基の含有量が低く抑制されており、これに起因して低誘電性に優れる。一方で、ポジパターンにおいては、パターン形成後に再度露光してカルボキシ基の含有量を減少させることが可能であり、この結果として、低誘電性に優れたパターンとすることができる。
 また、本発明者らは今般の検討において、上記感光性組成物は、特許文献1に開示される重合性化合物及び光重合開始剤を使用した硬化性の感光性組成物と比較して、解像性により優れ、且つ、より低誘電性のパターンを形成可能であることも明らかとしている。
 このことは、後段部にて記載する実施例欄からも明らかである。
 更に、本発明の感光性組成物は、波長365nmにおけるモル吸光係数の高い化合物Bを含むことから、波長365nmの光を含む照射光による露光において高い感光性を有する。化合物Bの上記特徴点も、波長365nmの光を含む照射光による露光の際に化合物Aのカルボキシ基の減少過程に大きく寄与していると推測される。
 以下、感光性組成物について詳述する。
 なお、以下において、本発明の感光性組成物において、波長365nmの光を含む照射光による露光がなされた場合の解像性がより優れること、及び/又は、波長365nmの光を含む照射光による露光により形成されるパターンの低誘電性がより優れる(換言すると、誘電性がより一層低い)ことを、「本発明の効果がより優れる」ともいう。
 感光性組成物は、化合物Aと化合物Bを含み、露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量が減少する機構を有する。
 なお、感光性層における化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量の減少率は、露光前後における感光性層のIR(infrared)スペクトルを測定し、カルボキシ基に由来するピークの減少率を算出することで得られる。なお、カルボキシ基の含有量の減少率は、カルボキシ基のC=O伸縮のピーク(1700cm-1付近のピーク)の減少率を算出することで得られる。
 上記の露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量が減少する機構を発現する上では、化合物Bが、露光により化合物Aが含むカルボキシ基の量を減少させる構造(以下、「特定構造S0」ともいう。)を有する化合物であることが好ましい。
 上述の特定構造S0とは、露光されると、化合物A中に含まれるカルボキシ基の量を減少させる作用を示す構造である。特定構造S0としては、露光によって基底状態から励起状態へ遷移し、かつ、励起状態において化合物A中のカルボキシ基を減少させる作用を示す構造であることが好ましい。特定構造S0としては、例えば、露光されて光励起状態となって、化合物A中に含まれるカルボキシ基から電子を受容できる構造(後述する特定構造S1)等が挙げられる。
 また、以下において、感光性組成物の実施形態の一例を示す。
・実施形態X-1-a1の感光性組成物:
 化合物A及び化合物Bを含み、且つ、重合性化合物及び光重合開始剤を実質的に含まない感光性組成物である。
・実施形態X-1-a2の感光性組成物:
 化合物A及び化合物Bを含み、且つ、光重合開始剤を実質的に含まない感光性組成物である。
・実施形態X-1-a3の感光性組成物:
 化合物A、化合物B、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む感光性組成物である。
 なお、実施形態X-1-a1の感光性組成物において、「重合性化合物を実質的に含まない」とは、重合性化合物の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、3質量%未満であればよく、0~1質量%であることが好ましく、0~0.5質量%であることがより好ましく、0~0.1質量%であることが更に好ましい。
 また、実施形態X-1-a1及び実施形態X-1-a2の感光性組成物において、「光重合開始剤を実質的に含まない」とは、光重合開始剤の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%未満であればよく、0~0.05質量%であることが好ましく、0~0.01質量%であることがより好ましい。
 また、実施形態X-1-a2及び実施形態X-1-a3の感光性組成物において、「重合性化合物の含有量としては、本発明の効果がより優れる点で、感光性組成物の全固形分に対して、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
 本発明の効果がより優れる点で、なかでも、実施形態X-1-a1又は実施形態X-1-a2の感光性組成物が好ましく、実施形態X-1-a1の感光性組成物がより好ましい。
 露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量が減少する機構としては、例えば、脱炭酸による手法が挙げられる。脱炭酸により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量が減少するとは、カルボキシ基がCOとして脱離することをいい、エステル化等によってカルボキシ基がカルボキシ基以外に変化することは含めない。
 以下では、化合物Aとしてポリアクリル酸、化合物Bとしてアクリジンを含む形態を一例に挙げて、脱炭酸によって化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量が減少する推定機構について詳述する。
 以下に図示するように、ポリアクリル酸のカルボキシ基とアクリジンの窒素原子とは、共存下において水素結合を形成する。アクリジンは、露光されると電子の受容性が増大し、ポリアクリル酸が有するカルボキシ基から電子を受け渡される(step1:光励起)。ポリアクリル酸が有するカルボキシ基は、アクリジンに電子を受け渡すと不安定化し、二酸化炭素になって脱離する(step2:脱炭酸反応)。上述の脱炭酸反応を経るとポリアクリル酸の残基にはラジカルが発生し、ラジカル反応が進行する。ラジカル反応は、ポリアクリル酸の残基同士、ポリアクリル酸の残基と任意で含まれる重合性化合物(モノマー(M))、雰囲気中の水素原子との間で生じ得る(step3:極性変換・架橋・重合反応)。そして、ラジカル反応の終了後、化合物Bが再生されて、再度化合物Aの脱炭酸プロセスに寄与し得る(step4:化合物B(触媒)再生)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 上記機構により、感光性組成物により形成される感光性層は、露光部で化合物Aのカルボキシ基の含有量が減少することによる極性の変化が生じており、現像液に対する溶解性が変化している。つまり、露光部は、アルカリ現像液に対する溶解性が低下し、有機溶剤系現像液に対する溶解性が増大する。一方で、未露光部においては現像液に対する溶解性は概ね変化していない。この結果として、感光性層は、優れたパターン形成性を有すると考えられる。
〔感光性組成物の成分〕
 以下、感光性組成物の成分について説明する。
<化合物A>
 化合物Aは、カルボキシ基を有する化合物である。
 化合物Aは、低分子化合物であっても、高分子化合物(以下「ポリマー」ともいう。)であってもよいが、ポリマーであることが好ましい。つまり、化合物Aは、カルボキシ基を有するポリマーであることが好ましい。
 化合物Aが低分子化合物である場合、化合物Aの分子量としては、5,000未満が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,000以下が更に好ましく、500以下が特に好ましく、400以下が最も好ましい。
 化合物Aがポリマーである場合、化合物Aの重量平均分子量の下限値としては、感光性層の形成性に優れる点で、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、15,000以上が更に好ましい。上限値としては特に制限されないが、任意の基材との貼り合せる際の密着性(ラミネート密着性)がより優れる点で、50,000以下であることが好ましい。
 なお、化合物Aがポリマーである場合、上記ポリマーは、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
 また、化合物Aが有するカルボキシ基(-COOH)の一部又は全部は、感光性層中でアニオン化していてもアニオン化していなくてもよい。なお、本明細書においてカルボキシ基という場合、アニオン化したカルボキシ基(-COO)及びアニオン化していないカルボキシ基の両方を含む概念である。
 カルボキシ基を有する化合物Aとしては、カルボキシ基を有するモノマー(以下「カルボキシ基含有モノマー」ともいう。)又はカルボキシ基を有するポリマー(以下「カルボキシ基含有ポリマー」ともいう。)であることが好ましく、パターン形成能がより優れる点及び製膜性により優れる点で、カルボキシ基含有ポリマーであることがより好ましい。
 以下、カルボキシ基含有モノマー及びカルボキシ基含有ポリマーについて説明する。
(カルボキシ基含有モノマー)
 カルボキシ基含有モノマーとしては、カルボキシ基を有し、且つ、エチレン性不飽和基を1つ以上(例えば1~15個)有する重合性化合物が好ましい。
 エチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びスチリル基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
 カルボキシ基含有モノマーとしては、製膜性がより優れる点で、カルボキシ基を有する2官能以上のモノマーが好ましい。なお、2官能以上のモノマーとは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上(例えば2~15個)有する重合性化合物を意味する。
 カルボキシ基含有モノマーは、カルボキシ基以外の酸基を更に有してもよい。カルボキシ基以外の酸基としては、例えば、フェノール性水酸基、リン酸基、及びスルホン酸基が挙げられる。
 カルボキシ基を有する2官能以上のモノマーは特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
 カルボキシ基を有する2官能以上のモノマーとしては、例えば、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックスM-520(東亞合成(株)製)、及びアロニックスM-510(東亞合成(株)製)等が挙げられる。
 また、カルボキシ基を有する2官能以上のモノマーとしては、例えば、カルボキシ基を有する3~4官能の重合性化合物(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート[PETA]骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=80~120mgKOH/g))、及びカルボキシ基を有する5~6官能の重合性化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート[DPHA]骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=25~70mgKOH/g))等も挙げられる。なお、上述のカルボキシ基を有する3官能以上のモノマーを使用する場合、製膜性がより優れる点で、カルボキシ基を有する2官能以上のモノマーを併用するのも好ましい。
 カルボキシ基を有する2官能以上のモノマーとしては、特開2004-239942号公報の段落0025~0030に記載のカルボキシ基を有する重合性化合物も挙げられる。この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
(カルボキシ基含有ポリマー)
 カルボキシ基含有ポリマーは、通常、アルカリ可溶性樹脂である。
 以下、カルボキシ基含有ポリマーが有し得る繰り返し単位について説明する。
≪カルボキシ基を有する繰り返し単位≫
 カルボキシ基含有ポリマーは、カルボキシ基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
 カルボキシ基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(A)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 一般式(A)中、RA1は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表す。
 上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は1~5が好ましく、1がより好ましい。
 一般式(A)中、Aは、単結合又は2価の連結基を表す。
 上記2価の連結基としては、例えば、-CO-、-O-、-S―、-SO-、―SO-、-NR-(Rは、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基)、炭化水素基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、フェニレン基のようなアリーレン基等)、及びこれらの複数が連結した連結基が挙げられる。
 カルボキシ基を有する繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマル酸が挙げられる。なかでも、解像性により優れる点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。すなわち、カルボキシ基を有する繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位であることが好ましく、ポリマーは、(メタ)アクリル酸に由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマー中のカルボキシ基を有する繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全繰り返し単位に対して、5~95モル%が好ましく、15~65モル%がより好ましく、15~50モル%が更に好ましく、15~40モル%が特に好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマー中のカルボキシ基を有する繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全質量に対して、5~95質量%が好ましく、15~65質量%がより好ましく、15~50質量%が更に好ましく、15~40質量%が特に好ましい。
≪芳香環を有する繰り返し単位≫
 カルボキシ基含有ポリマーは、上記繰り返し単位以外に、芳香環を有する繰り返し単位を有することが好ましい。
 上記芳香環としては、芳香族炭化水素環が好ましい。
 例えば、芳香環を有する(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
 芳香環を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
 スチレン及び重合可能なスチレン誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー及びスチレントリマーが挙げられる。
 芳香環を有する繰り返し単位としては、例えば、式(C)で表される繰り返し単位も好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 式(C)中、RC1は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
 上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましく、1がより好ましい。
 Arは、フェニル基又はナフチル基を表す。上記フェニル基及び上記ナフチル基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子及びヒドロキシ基が挙げられる。
 Arとしては、フェニル基が好ましい。
 芳香環を有する繰り返し単位としては、例えば、以下の繰り返し単位が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 カルボキシ基含有ポリマーが芳香環を有する繰り返し単位を含む場合、カルボキシ基含有ポリマー中の芳香環を有する繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全繰り返し単位に対して、5~90モル%が好ましく、15~85モル%がより好ましく、30~80モル%が更に好ましく、50~80モル%が特に好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマーが芳香環を有する繰り返し単位を含む場合、カルボキシ基含有ポリマー中の芳香環を有する繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全質量に対して、5~90質量%が好ましく、15~85質量%がより好ましく、30~85質量%が更に好ましく、50~80質量%が特に好ましい。
≪脂環式構造を有する繰り返し単位≫
 カルボキシ基含有ポリマーは、上述の繰り返し単位以外に、脂環構造を有する繰り返し単位を有することも好ましい。
 脂環式構造は、単環でも多環でもよい。脂環式構造としては、例えば、ジシクロペンタニル環構造、ジシクロペンテニル環構造、イソボルニル環構造、アダマンタン環構造、及びシクロヘキシル環構造が挙げられる。
 脂環式構造を有する繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
 カルボキシ基含有ポリマーが脂環式構造を有する繰り返し単位を含む場合、カルボキシ基含有ポリマー中の脂環式構造を有する繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全繰り返し単位に対して、5~90モル%が好ましく、15~85モル%がより好ましく、30~80モル%が更に好ましく、50~80モル%が特に好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマーが脂環式構造を有する繰り返し単位を含む場合、カルボキシ基含有ポリマー中の脂環式構造を有する繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全質量に対して、5~90質量%が好ましく、15~85質量%がより好ましく、30~85質量%が更に好ましく、30~60質量%が特に好ましい。
≪重合性基を有する繰り返し単位≫
 カルボキシ基含有ポリマーは、上述の繰り返し単位以外に、重合性基を有する繰り返し単位を有することも好ましい。
 重合性基としては、例えば、エチレン性不飽和基(例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、及び、スチリル基等)、及び、環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基等)等が挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましく、アリル基、又は、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
 重合性基を有する繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(B)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 一般式(B)中、XB1及びXB2は、それぞれ独立に、-O-又は-NR-を表す。
 Rは水素原子又はアルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数は1~5が好ましい。
 Lは、アルキレン基、又はアリーレン基を表す。上記アルキレン基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、炭素数は1~5が好ましい。上記アリーレン基は、単環でも多環でもよく、炭素数は6~15が好ましい。上記アルキレン基及びアリーレン基は、置換基を有していてもよく、上記置換基としては、例えば、酸基が好ましい。
 RB1及びRB2は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。上記アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記アルキル基の炭素数は1~5が好ましく、1がより好ましい。
 また、重合性基を有する繰り返し単位としては、アリル基を有する化合物に由来する繰り返し単位であってもよい。上記単位としては、(メタ)アクリル酸アリルに由来する繰り返し単位が挙げられる。
 カルボキシ基含有ポリマーが、重合性基を有する繰り返し単位を含む場合、その含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全繰り返し単位に対して、3~60モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、10~30モル%が更に好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマーが、重合性基を有する繰り返し単位を含む場合、その含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全質量に対して、3~60質量%が好ましく、4~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
≪その他の繰り返し単位≫
 カルボキシ基含有ポリマーは、上述の繰り返し単位以外に、その他の繰り返し単位を有していてもよい。
 上記その他の繰り返し単位の由来となるモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステル中のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。上記アルキル基は、更にヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、1~50が好ましく、1~10がより好ましく、1~6が更に好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマーが他の繰り返し単位を含む場合、カルボキシ基含有ポリマー中の他の繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全繰り返し単位に対して、1~70モル%が好ましく、2~50モル%がより好ましく、3~20モル%が更に好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマーが他の繰り返し単位を含む場合、カルボキシ基含有ポリマー中、その他の繰り返し単位の含有量は、カルボキシ基含有ポリマーの全質量に対して、1~70質量%が好ましく、2~50質量%がより好ましく、2~45質量%が更に好ましい。
 化合物A中におけるカルボキシ基含有ポリマーの含有量としては、化合物Aの全質量に対して、75~100質量%が好ましく、85~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましく、95~100質量%が特に好ましい。
 化合物A中におけるカルボキシ基含有モノマーの含有量としては、化合物Aの全質量に対して、0~25質量%が好ましく、0~10質量%がより好ましく、0~5質量%が更に好ましい。
 カルボキシ基含有ポリマーは、カルボキシ基以外の酸基を更に有してもよい。カルボキシ基以外の酸基としては、例えば、フェノール性水酸基、リン酸基、及び、スルホン酸基が挙げられる。
 現像性の点から、カルボキシ基含有ポリマーの酸価は、60~300mgKOH/gが好ましく、60~275mgKOH/gがより好ましく、75~250mgKOH/gが更に好ましい。
 本明細書において、カルボキシ基含有ポリマーの酸価は、JIS K0070(1992)に規定される滴定方法で測定される値である。
 感光性組成物において、化合物Aの含有量の下限値としては、感光性組成物の全固形分に対して、1質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更により好ましく、30質量%以上が更に好ましく、45質量%以上が特に好ましく、50質量%以上が最も好ましい。化合物Aの含有量の上限値としては、感光性組成物の全固形分に対して、100質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましく、95質量%以下が特に好ましく、94質量%以下が最も好ましい。
 なかでも、実施形態X-1-a1の感光性組成物においては、化合物Aの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、20~98質量%が好ましく、50~95質量%がより好ましく、60~95質量%がより好ましく、60~94質量%が更に好ましい。
<化合物B>
 感光性組成物は、化合物Bを含む。
 化合物Bは、波長365nmにおけるモル吸光係数が1000(cm・mol/L)-1超である。本発明の効果がより優れる点で、化合物Bの波長365nmにおけるモル吸光係数としては、3000(cm・mol/L)-1以上であるのが好ましく、4500(cm・mol/L)-1以上であるのがより好ましい。上限値としては、例えば、50,000(cm・mol/L)-1以下が好ましく、15,000(cm・mol/L)-1以下がより好ましく、10,000(cm・mol/L)-1以下が更に好ましい。
 なお、上記波長365nmの光に対する吸光係数は、化合物Bをアセトニトリル中に溶解して測定する吸光係数である。化合物Bがアセトニトリルに溶解しない場合、化合物Bを溶解させる溶媒は適宜変更してよい。
 また、化合物Bの極大吸収波長としては、本発明の効果がより優れる点で、例えば、300~500nmの範囲にあるのが好ましく、300~400nmの範囲にあるのがより好ましい。
 なお、上記極大吸収波長は、化合物Bをアセトニトリル中に溶解して測定する吸光係数である。化合物Bがアセトニトリルに溶解しない場合、化合物Bを溶解させる溶媒は適宜変更してよい。
 化合物Bは、既述のとおり、露光により化合物Aが含むカルボキシ基の量を減少させる構造(特定構造S0)を有する化合物であるのが好ましい。なお、特定構造S0については既述のとおりである。
 化合物Bが有する特定構造S0は、化合物Bの全体を構成する全体構造であってもよく、化合物Bの一部分を構成する部分構造であってもよい。
 化合物Bは、高分子化合物でも低分子化合物でもよく、低分子化合物であることが好ましい。
 低分子化合物である化合物Bの分子量は、5,000未満が好ましく、1,000未満がより好ましく、65~400が更に好ましく、100~300が特に好ましい。
 特定構造S0としては、なかでも、光励起状態で化合物Aが含むカルボキシ基から電子を受容できる構造(特定構造S1)であることが好ましい。つまり、化合物Bとしては、光励起状態で化合物Aが含むカルボキシ基から電子を受容できる構造(特定構造S1)を有する化合物であることが好ましい。化合物Bによれば、化合物Aが含むカルボキシ基をCOとして脱離(脱炭酸)させることができると考えられる。
 パターン形成能がより優れる点で、化合物Bは、芳香族化合物であるのが好ましい。
 ここで、芳香族化合物とは、芳香環を有する化合物を意図する。
 化合物Bにおいて、芳香環は、上記光励起状態で化合物Aが含むカルボキシ基から電子を受容できる構造(特定構造)として使用できる。上記芳香環は、化合物Bの全体を構成する全体構造であってもよく、化合物Bの一部分を構成する部分構造であってもよい。
 化合物Bの上記芳香環としては、単環及び多環のいずれでもよく、環員原子数としては、5~20が好ましく、5~15がより好ましい。
 化合物Bの上記芳香環としては、なかでも、波長365nmでのモル吸光係数がより高い点で、多環(多環芳香環)であることが好ましい。つまり、化合物Bの好適な一態様として、多環芳香環を含む化合物(多環芳香環化合物)であるのが好ましい。
 多環芳香環とは、複数の芳香環が縮環した構造であり、多環芳香族炭化水素環及び多環芳香族複素環のいずれであってもよく、なかでも、多環芳香族複素環であるのが好ましい。
 多環芳香族複素環が含むヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子等が挙げられ、なかでも窒素原子が好ましい。
 また、環員原子として含まれるヘテロ原子の数としては特に制限されないが、例えば、1~4つが挙げられる。
 多環芳香環中の単環芳香環の数(縮環数)としては特に制限されず、例えば、2個以上であり、なかでも、波長365nmでのモル吸光係数がより高い点で、3個以上が好ましい。なお、上限値としては特に制限されないが、例えば、6個以下である。
 縮環数は、なかでも、本発明の効果がより優れる点で、3個であるのが好ましい。環数が3個の多環芳香環としては、例えば、アクリジン環、ベンゾ[f]キノリン環、ベンゾ[h]キノリン環、フェナントリジン環(ベンゾ[c]キノリン環)、ベンゾ[h]イソキノリン環、フェナントロリン環、及びフェナジン環等が挙げられる。
 化合物Bの上記芳香環は、1以上(例えば1~5個)の置換基を有していてもよく、上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。また、上記芳香環が2以上の置換基を有する場合、複数の置換基が互いに結合して非芳香環を形成していてもよい。
 また、上記芳香環がカルボニル基と直接結合して、化合物B中で、芳香族カルボニル基を形成していることも好ましい。複数の芳香環が、カルボニル基を介して結合していることも好ましい。
 上記芳香環がイミド基と結合して、化合物B中で、芳香族イミド基を形成していることも好ましい。なお、芳香族イミド基におけるイミド基は、芳香環と共にイミド環を形成していてもよいし、形成していなくてもよい。
 なお、複数の芳香環(例えば、2~5つの芳香環)が、単結合、カルボニル基、及び、多重結合(例えば、置換基を有してもよいビニレン基、-C≡C-、-N=N-等)からなる群から選択される構造で結合した一連の芳香環構造を形成している場合、上記一連の芳香環構造全体で1つの特定構造とみなす。
 また、上記一連の芳香環構造を構成する複数の芳香環のうちの1以上が複素芳香環であることが好ましい。
 化合物Bがポリマーである場合、特定構造(例えば、既述の芳香環)がポリマー主鎖と単結合又は連結基を介して結合しているポリマーでもよい。
 化合物Bの具体例としては、例えば、アクリジン、ベンゾ[f]キノリン、ベンゾ[h]キノリン、フェナントリジン、ベンゾ[h]イソキノリン、フェナントロリン、及びフェナジン等が挙げられる。また、上記化合物は、更に置換基を有していてもよい。上記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、シアノ基、又はニトロ基が好ましい。
 化合物Bは、一種単独で使用してもよく、二種以上使用してもよい。
 パターン形成能がより優れる点で、感光性組成物中、化合物Bの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1~80質量%が好ましく、1.0~60質量%がより好ましく、1.0~45質量%が更に好ましい。
 なかでも、実施形態X-1-a1の感光性組成物においては、化合物Bの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1.0~60質量%がより好ましく、1.0~45質量%が更に好ましい。
 化合物Aの含有量100質量部に対する化合物Bの含有量の下限値としては、本発明の効果がより優れる点で、0質量部より大きいことが好ましく、10質量部以上であるのがより好ましい。また、化合物Aの含有量100質量部に対する化合物Bの含有量の上限値としては、本発明の効果がより優れる点で、50質量部以下であるのが好ましい。
 パターン形成能がより優れる点で、感光性組成物中、化合物Bが有する電子を受容できる構造(特定構造)の合計数は、化合物Aが有するカルボキシ基の合計数に対して、1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が特に好ましい。
 化合物Bが有する電子を受容できる構造(特定構造)の合計数の上限に特に制限はないが、得られる膜の膜質の点から、化合物Aが有するカルボキシ基の合計数に対して、200モル%以下が好ましく、100モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましく、70モル%以下が特に好ましく、65モル%以下が最も好ましい。
<重合性化合物(エチレン性不飽和基を有する重合性化合物)>
 感光性組成物は、重合性化合物を含んでいてもよい。なお、この重合性化合物は、カルボキシ基を有する化合物Aとは異なる成分であり、カルボキシ基を含まない。
 重合性化合物は、化合物Aとは異なる成分であることが好ましく、例えば、分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が5,000未満の化合物であることが好ましく、重合性モノマーであることも好ましい。
 重合性化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を1個以上(例えば1~15個)有する重合性化合物である。
 重合性化合物は、2官能以上の重合性化合物を含むことが好ましい。
 ここで、2官能以上の重合性化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2個以上(例えば2~15個)有する重合性化合物を意味する。
 エチレン性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びスチリル基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
 重合性化合物としては、(メタ)アクリレートが好ましい。
 感光性組成物が重合性化合物を含む場合、重合性化合物としては、2官能の重合性化合物及び3官能の重合性化合物からなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましく、2官能の重合性化合物を含むのが好ましい。
 感光性組成物が重合性化合物を含む場合、2官能の重合性化合物の含有量は、感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物の合計質量に対して、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
 2官能の重合性化合物としては特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
 2官能の重合性化合物としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメナノールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
 2官能の重合性化合物としては、より具体的には、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP 新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP 新中村化学工業(株)製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N 新中村化学工業(株)製)、及び1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N 新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
 3官能以上の重合性化合物としては特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
 3官能以上の重合性化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、及びグリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物、等が挙げられる。
 ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
 他にも重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス製 EBECRYL(登録商標) 135等)、及びエトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製A-GLY-9E等)、等も挙げられる。
 重合性化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート)も挙げられる。官能基数の下限は、6官能以上が好ましく、8官能以上がより好ましい。官能基数の上限は、20官能以下が好ましい。
 3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製);UA-32P、U-15HA及びUA-1100H(いずれも新中村化学工業社製);共栄社化学社製のAH-600;UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H及びUX-5000(いずれも日本化薬社製)が挙げられる。
 重合性化合物の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、5,000未満が好ましく、200~3000がより好ましく、250~2600が更に好ましく、280~2200が特に好ましい。
 感光性組成物に含まれる全ての重合性化合物の分子量のうち、最小の分子量は、250以上が好ましく、280以上がより好ましい。
 重合性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
 感光性組成物は、本発明の効果がより優れる点で、重合性化合物を含まないか、又は、重合性化合物を含む場合においては、重合性化合物の含有量が、組成物の全固形分に対して、30質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
 本発明の効果がより優れる点では、感光性組成物は、なかでも、重合性化合物を実質的に含まないことが好ましい。ここで「重合性化合物を実質的に含まない」とは、重合性化合物の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、3質量%未満であればよく、0~1質量%であることが好ましく、0~0.5質量%であることがより好ましく、0~0.1質量%であることが更に好ましい。
<光重合開始剤>
 感光性組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよい。
 光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤でもよく、光カチオン重合開始剤でもよく、光アニオン重合開始剤でもよく、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
 光重合開始剤は、オキシムエステル化合物(オキシムエステル構造を有する光重合開始剤)及びアミノアセトフェノン化合物(アミノアセトフェノン構造を有する光重合開始剤)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、それらの両方の化合物を含むことがより好ましい。それらの両方の化合物を含む場合、オキシムエステル化合物の含有量は、それらの両方の化合物の合計含有量に対して、5~90質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましい。
 上記光重合開始剤以外に、その他の光重合開始剤を含んでいてもよい。
 その他の光重合開始剤としては、例えば、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アシルホスフィンオキシド化合物及びビストリフェニルイミダゾール化合物が挙げられる。
 また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落0031~0042及び特開2015-014783号公報の段落0064~0081に記載の重合開始剤も挙げられる。
 オキシムエステル化合物としては、例えば、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:IRGACURE OXE-01、IRGACUREシリーズ、BASF社製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-02、BASF社製)、[8-[5-(2,4,6-トリメチルフェニル)-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾイル][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メタノン-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-03、BASF社製)、1-[4-[4-(2-ベンゾフラニルカルボニル)フェニル]チオ]フェニル]-4-メチルペンタノン-1-(O-アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE-04、BASF社製、及び、商品名:Lunar 6、DKSHジャパン社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
 アミノアセトフェノン化合物としては、例えば、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(商品名:Omnirad 379EG、OmniradシリーズはIGM Resins B.V.社製品)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:Omnirad 907)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.製)が挙げられる。
 その他の光重合開始剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(商品名:Omnirad 127)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(商品名:Omnirad 369)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名:Omnirad 1173)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(商品名:Omnirad 184)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名:Omnirad 651)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド(商品名:Omnirad TPO H)、及び、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(商品名:Omnirad 819)が挙げられる。
 光重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
 感光性組成物が光重合開始剤を含む場合、その含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.1~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%が更に好ましい。
 なお、感光性組成物は、光重合開始剤を実質的に含まないことが好ましい。
 「光重合開始剤を実質的に含まない」とは、光重合開始剤の含有量が、感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%未満であればよく、0~0.05質量%であることが好ましく、0~0.01質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤>
 感光性組成物は、界面活性剤を含んでもいてもよい。
 界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、及び両性界面活性剤が挙げられ、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
 ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。
 界面活性剤としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0120~段落0125に記載の界面活性剤も使用できる。
 また、界面活性剤としては、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤も使用できる。
 フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC株式会社製)、フロラード FC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681、683(以上、(株)NEOS製)、U-120E(ユニケム株式会社)等が挙げられる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファック DS-21が挙げられる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。
 また、フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく使用できる。
 また、フッ素系界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体も使用できる。メガファック RS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K(以上、DIC株式会社製)等が挙げられる。
 フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤であることが好ましい。
 ノニオン性界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(以上、BASF社製)、テトロニック 304、701、704、901、904、150R1(以上、BASF社製)、ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニン D-6112、D-6112-W、D-6315(以上、竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
 シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、及び、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
 界面活性剤の具体例としては、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)並びに、X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001、KF-6002、KP-101KP-103、KP-104、KP-105、KP-106、KP-109、KP-109、KP-112、KP-120、KP-121、KP-124、KP-125、KP-301、KP-306、KP-310、KP-322、KP-323、KP-327、KP-341、KP-368、KP-369、KP-611、KP-620、KP-621、KP-626、KP-652(以上、信越シリコーン株式会社製)、F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、BYK300、BYK306、BYK307、BYK310、BYK320、BYK323、BYK330、BYK313、BYK315N、BYK331、BYK333、BYK345、BYK347、BYK348、BYK349、BYK370、BYK377、BYK378、BYK323(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
 界面活性剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
 界面活性剤の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、0.0001~10質量%が好ましく、0.001~5質量%がより好ましく、0.005~3質量%が更に好ましい。
<溶媒>
 溶媒としては、通常用いられる溶媒を特に制限なく使用できる。
 溶媒としては、有機溶媒が好ましい。
 有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:1-メトキシ-2-プロピルアセテート)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、乳酸エチル、乳酸メチル、カプロラクタム、n-プロパノール、2-プロパノール、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。
 感光性組成物が溶媒を含む場合、溶媒の含有量は、感光性組成物の全質量に対して、20~95質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、60~85質量%が更に好ましい。
 溶媒は、一種単独で使用してもよく、二種以上使用してもよい。
 溶媒としては、米国出願公開2005/282073号明細書の段落0054及び0055に記載のSolventを用いることもでき、この明細書の内容は本明細書に組み込まれる。
 また、溶媒として、必要に応じて沸点が180~250℃である有機溶媒(高沸点溶媒)を使用することもできる。
 なお、本発明の感光性組成物が後述する転写フィルム等における感光性層を形成している場合、感光性層は、実質的に溶媒を含まないことも好ましい。実質的に溶媒を含まないとは、溶媒の含有量が、感光性組成物(感光性層)全質量に対して、1質量%未満であればよく、0~0.5質量%であることが好ましく、0~0.001質量%であることがより好ましい。
<その他の添加剤>
 感光性組成物は、必要に応じて、その他の添加剤を含んでいてもよい。
 その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、増感剤、ヘテロ環状化合物、及びアルコキシシラン化合物等が挙げられる。
 可塑剤、増感剤、ヘテロ環状化合物、及びアルコキシシラン化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落0097~0119に記載されたものが挙げられる。
 また、感光性組成物は、その他の添加剤として、防錆剤、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び有機又は無機の沈殿防止剤等の公知の添加剤を更に含んでいてもよい。
 これらの成分の好ましい態様については特開2014-085643号公報の段落0165~0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
(化合物C)
 また、感光性組成物は、本発明の効果がより優れる点で、極大吸収波長を580~800nmに有する化合物C(以下「化合物C」ともいう。)を含まないか、又は、感光性組成物が化合物Cを含む場合、化合物Cの含有量は、化合物Aの含有量に対して、10質量%未満であるのが好ましく、3質量%未満であるのがより好ましく、実質的に含まないのが更に好ましい。
 「化合物Cを実質的に含まない」とは、化合物Cの含有量が、化合物Aの含有量に対して、0.1質量%未満であればよく、0~0.05質量%であることが好ましく、0~0.01質量%であることがより好ましい。
 なお、化合物Cの上記極大吸収波長は、化合物Cをアセトニトリル中に溶解して測定する吸光係数である。化合物Cがアセトニトリルに溶解しない場合、化合物Bを溶解させる溶媒は適宜変更してよい。
 化合物Cとしては、例えば、インジゴ、メチレンブルー、フタロシアニンブルー、アルカリブルー、インミンブルー、ウルトラマリン、セルリアンブルー、コバルトブルー、プルシャンブルー、及び、インダンスレン等の青色着色剤が挙げられる。
 感光性組成物は、不純物を含んでいてもよい。
 不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ、ハロゲン、及びこれらのイオンが挙げられる。なかでも、ハロゲン化物イオン、ナトリウムイオン、及びカリウムイオンは不純物として混入し易いため、下記の含有量にすることが特に好ましい。
 感光性組成物における不純物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。感光性組成物における不純物の含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、1質量ppb以上としてもよく、0.1質量ppm以上としてもよい。
 不純物を上記範囲内とする方法としては、例えば、感光性の成分の原料として不純物の含有量が少ないものを選択すること、感光性組成物の形成時に不純物の混入を防ぐこと、及び洗浄して除去することが挙げられる。このような方法により、不純物量を上記範囲内とすることができる。
 不純物は、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法、原子吸光分光法、及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法で定量できる。
 また、感光性組成物における、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びヘキサン等の化合物の含有量は、少ないことが好ましい。これら化合物の感光性組成物における含有量としては、感光性組成物の全固形分に対して、それぞれ、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。
 上記含有量の下限は、感光性組成物の全固形分に対して、それぞれ、10質量ppb以上としてもよく、100質量ppb以上としてもよい。これら化合物は、上記の金属の不純物と同様の方法で含有量を抑制できる。また、公知の測定法により定量できる。
 感光性組成物における水の含有量は、解像性を向上させる点から、感光性組成物の全固形分に対して、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
〔感光性組成物の物性〕
 感光性組成物は、以下の要件A及び要件Bを満たすことが好ましい。
 要件A:感光性組成物から形成される感光性層に対して下記パターン形成条件Aを実施してパターンを形成したとき、下記式(F1)で表される膜減り量が50%以下である。
 式(F1):膜減り量(%)={(露光前の感光性層の厚さ-形成されたパターンの凸部の厚さ)/露光前の感光性層の厚さ}×100
≪パターン形成方法A≫
 感光性組成物を基材上に乾燥後の厚さ3.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成する。次いで、感光性層を、ラインサイズが1μmであり且つライン/スペースが1/1であるラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光する。そして、露光後の感光性層に対して、液温23℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に35秒間浸漬して現像し、純水で20秒間リンスし、更に、エアを吹きかけて水分を除去する。
 基材としては、特に制限されないが、ガラス(例えば、コーニング社製イーグルXG)が好ましい。
 上記式(F1)で表される膜減り量としては、なかでも、30%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。
 要件B:感光性組成物から形成される感光性層に対して下記膜形成条件Bを実施して膜を形成したとき、膜の25℃50%RH環境下にて測定される28GHzにおける比誘電率が3.5以下である。
≪膜形成方法B≫
 感光性組成物を基材上に乾燥後の厚さ5.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成する。次いで、感光性層を、超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光する。
 比誘電率の測定は、例えば、(株)関東電子応用開発製の28GHzスプリットシリンダ型共振器を使用して測定できる。
 基材としては、特に制限されないが、シクロオレフィンフィルムが好ましい。
 また、比誘電率の測定においては、露光後の感光性層付き基材の比誘電率の値、及び、基材の比誘電率の値について、各々、面内の任意の箇所15点にて測定して得られた平均値を求め、露光後の感光性層付き基材の比誘電率の値(平均値)から基材の比誘電率の値(平均値)を差し引くことにより求めるのが好ましい。
 また、感光性組成物がシクロオレフィンを溶解し得る有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン等)を含む場合、感光性組成物中の有機溶媒を他の有機溶媒に置換した試験液を調製し、この試験液を用いて上述の比誘電率の測定を実施するのが好ましい。
 上記膜の25℃50%RH環境下にて測定される28GHzにおける比誘電率としては、なかでも、3.2以下がより好ましく、2.9以下が更に好ましい。
[転写フィルム]
 本発明の転写フィルムは、仮支持体と、本発明の感光性組成物を用いて形成された感光性層(以下、単に「感光性層」ともいう。)とを有する。
 以下において、本発明の転写フィルムについて詳述する。
 図1は、本発明の転写フィルムの実施形態の一例を示す断面模式図である。
 図1に示す転写フィルム100は、仮支持体12と、感光性層(本発明の感光性組成物を用いて形成された感光性のある層)14と、カバーフィルム16とがこの順に積層された構成である。
 カバーフィルム16は省略してもよい。
<<仮支持体>>
 仮支持体は、感光性層を支持し、感光性層から剥離可能な支持体である。
 仮支持体は、感光性層をパターン露光する際に仮支持体を介して感光性層を露光し得る点で、光透過性を有することが好ましい。
 ここで「光透過性を有する」とは、露光(パターン露光でも全面露光でもよい)に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味する。露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度がより優れる点で、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
 仮支持体としては、具体的には、ガラス基板、樹脂フィルム、及び、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等がより優れる点で、樹脂フィルムが好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及び、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
 仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の観点から、仮支持体に含まれる粒子や異物や欠陥の数は少ない方が好ましい。直径2μm以上の微粒子や異物や欠陥の数は、50個/10mm以下であることが好ましく、10個/10mm以下であることがより好ましく、3個/10mm以下であることが更に好ましい。下限は特に制限は無いが、1個/10mm以上とすることができる。
 仮支持体は、ハンドリング性をより向上させる点で、感光性層が形成される側とは反対側の面に、直径0.5~5μmの粒子が1個/mm以上存在する層を有することが好ましく、1~50個/mm存在するのがより好ましい。
 仮支持体の厚みは特に制限されず、取扱い易さ及び汎用性に優れる点で、5~200μmが好ましく、10~150μmがより好ましい。
 仮支持体の厚みは、支持体としての強度、回路配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性、及び、最初の露光工程で要求される光透過性等の点から、材質に応じて適宜選択し得る。
 仮支持体の好ましい態様としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落0017~0018、特開2016-027363号公報の段落0019~0026、WO2012/081680A1公報の段落0041~0057、及びWO2018/179370A1公報の段落0029~0040に記載があり、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
 仮支持体としては、例えば、東洋紡(株)製のコスモシャイン(登録商標)A4100、東レ株式会社製のルミラー(登録商標)16FB40、又は、東レ株式会社製のルミラー(登録商標)16QS62(16KS40)を使用してもよい。
 また、仮支持体の特に好ましい態様としては、厚さ16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び、厚さ9μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
<<感光性層>>
 転写フィルムにおける感光性層は、本発明の感光性組成物を用いて形成された層であり、例えば、感光性層は実質的に上述の感光性組成物の固形分成分のみからなる層であることが好ましい。すなわち、感光性層を構成する感光性組成物は、上述の感光性組成物が含み得る固形分成分(溶媒以外の成分)を、上述した含有量で含むことが好ましい。
 ただし、溶媒を含む感光性組成物を塗布、乾燥させて感光性層を形成した場合等において、乾燥後においても感光性層中に溶媒が残存すること等を理由として、感光性層が溶媒を含んでいてもよい。
<感光性層の平均厚さ>
 感光性層の平均厚さとしては、0.5~20μmが好ましい。感光性層の平均厚みが20μm以下であるとパターンの解像度がより優れ、感光性層の平均厚みが0.5μm以上であるとパターン直線性の点から好ましい。感光性層の平均厚さとしては、0.8~15μmがより好ましく、1.0~10μmが更に好ましい。感光性層の平均厚さの具体例として、1.5μm、2.0μm、3.0μm、5.5μm、及び8.0μmが挙げられる。
<感光性層の形成方法>
 感光性層は、本発明の感光性組成物を塗布及び乾燥して形成できる。なお、本発明の感光性組成物により感光性層を形成する場合、感光性組成物は、形成に供される前に、例えば、孔径0.2~30μmのフィルター等を用いて濾過されることが好ましい。
 感光性組成物を仮支持体又はカバーフィルム上に塗布し、乾燥させることで、感光性層を形成できる。
 塗布方法としては特に制限されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等の公知の方法が挙げられる。
 また、仮支持体又はカバーフィルム上に後述するその他の層を形成する場合、感光性層は、上記その他の層の上に形成されてもよい。
<<カバーフィルム>>
 本発明の転写フィルムは、更に、感光性層からみて仮支持体とは反対側に、カバーフィルムを有していてもよい。
 本発明の転写フィルムが後述の高屈折率層を備える場合には、カバーフィルムは、高屈折率層からみて仮支持体とは反対側(即ち、感光性層とは反対側)に配置されることが好ましい。この場合、転写フィルムは、例えば「仮支持体/感光性層/高屈折率層/カバーフィルム」の順で積層された積層体である。
 カバーフィルムは、カバーフィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が5個/m以下であることが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、及び/又は、2軸延伸及びキャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、及び/又は、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
 カバーフィルムに含まれる直径3μm以上の粒子の数が30個/mm以下が好ましく、10個/mm以下がより好ましく、5個/mm以下が更に好ましい。これにより、カバーフィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性樹脂層に転写されることにより生じる欠陥を抑制できる。
 カバーフィルムの表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。Raがこのような範囲内であれば、例えば、転写フィルムが長尺状である場合に、転写フィルムを巻き取る際の巻き取り性を良好にできる。
 また、転写時の欠陥抑制の点から、Raは、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
 カバーフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。
 カバーフィルムとしては、例えば、特開2006-259138号公報の段落0083~0087及び0093に記載のものを用いてもよい。
 カバーフィルムとしては、例えば、王子エフテックス(株)製のアルファン(登録商標)FG-201、王子エフテックス(株)製のアルファン(登録商標)E-201F、東レフィルム加工(株)製のセラピール(登録商標)25WZ、又は東レ(株)製のルミラー(登録商標)16QS62(16KS40)を使用してもよい。
<<その他の層>>
 転写フィルムは上述した以外のその他の層を有していてもよい。
 その他の層としては、例えば高屈折率層が挙げられる。
 また、仮支持体又はカバーフィルム上に高屈折率層を形成する場合、感光性層は、上記高屈折率層の上に形成されてもよい。
<高屈折率層>
 高屈折率層は、感光性層に隣接して配置されることが好ましく、感光性層からみて仮支持体とは反対側に配置されることも好ましい。
 高屈折率層は、波長550nmにおける屈折率が1.50以上である層であること以外は特に制限はない。
 高屈折率層の上記屈折率は、1.55以上が好ましく、1.60以上がより好ましい。
 高屈折率層の屈折率の上限は特に制限されないが、2.10以下が好ましく、1.85以下がより好ましく、1.78以下が更に好ましく、1.74以下が特に好ましい。
 また、高屈折率層の屈折率は、感光性層の屈折率よりも高いことが好ましい。
 高屈折率層は、光硬化性(即ち、感光性)を有してもよいし、熱硬化性を有していてもよいし、光硬化性及び熱硬化性の両方を有してもよい。
 高屈折率層が感光性を有する態様は、転写後において、基材上に転写された感光性層及び高屈折率層を、一度のフォトリソグラフィによってまとめてパターニングできるという利点を有する。
 高屈折率層は、アルカリ可溶性(例えば、弱アルカリ水溶液に対する溶解性)を有することが好ましい。
 また、高屈折率層は、透明層であることが好ましい。
 高屈折率層の膜厚としては、500nm以下が好ましく、110nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。
 また、高屈折率層の膜厚は、20nm以上が好ましく、55nm以上がより好ましく、60nm以上が更に好ましく、70nm以上が特に好ましい。
 高屈折率層は、転写後において、透明電極パターン(好ましくはITOパターン)と感光性層との間に挟まれることにより、透明電極パターン及び感光性層とともに積層体を形成する場合がある。この場合、透明電極パターンと高屈折率層との屈折率差、及び高屈折率層と感光性層との屈折率差を小さくすることにより、光反射がより低減される。これにより、透明電極パターンの隠蔽性がより向上する。
 例えば、透明電極パターン、高屈折率層、及び感光性層をこの順に積層した場合において、透明電極パターン側からみた時に、この透明電極パターンが視認されにくくなる。
 高屈折率層の屈折率は、透明電極パターンの屈折率に応じて調整することが好ましい。
 透明電極パターンの屈折率が、例えばIn及びSnの酸化物(ITO)を用いて形成した場合のように1.8~2.0の範囲である場合は、高屈折率層の屈折率は、1.60以上が好ましい。この場合の高屈折率層の屈折率の上限は特に制限されないが、2.1以下が好ましく、1.85以下がより好ましく、1.78以下が更に好ましく、1.74以下が特に好ましい。
 透明電極パターンの屈折率が、例えばIn及びZnの酸化物(IZO;Indium Zinc Oxide)を用いて形成した場合のように2.0を超える場合は、高屈折率層の屈折率は、1.70以上1.85以下が好ましい。
 高屈折率層の屈折率を制御する方法は特に制限されず、例えば、所定の屈折率の樹脂を単独で用いる方法、樹脂と金属酸化物粒子又は金属粒子とを用いる方法、及び金属塩と樹脂との複合体を用いる方法、等が挙げられる。
 金属酸化物粒子又は金属粒子の種類としては、特に制限はなく、公知の金属酸化物粒子又は金属粒子を使用できる。金属酸化物粒子又は金属粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、及びTe等の半金属も含まれる。
 粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)の平均一次粒子径は、例えば、透明性の点から、1~200nmであることが好ましく、3~80nmであることがより好ましい。
 粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
 金属酸化物粒子としては、具体的には、酸化ジルコニウム粒子(ZrO粒子)、Nb粒子、酸化チタン粒子(TiO粒子)、及び二酸化珪素粒子(SiO粒子)、及びこれらの複合粒子よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
 これらの中でも、金属酸化物粒子としては、例えば、高屈折率層の屈折率を1.6以上に調整しやすいという点から、酸化ジルコニウム粒子及び酸化チタン粒子よりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
 高屈折率層が金属酸化物粒子を含む場合、高屈折率層は、金属酸化物粒子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
 粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)の含有量は、電極パターン等の被隠蔽物の隠蔽性が良好になり、被隠蔽物の視認性を効果的に改善できる点で、高屈折率層の全質量に対し、1~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、40~85質量%であることが更に好ましい。
 金属酸化物粒子として酸化チタンを用いる場合、酸化チタン粒子の含有量は、高屈折率層の全質量に対し、1~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、40~85質量%であることが更に好ましい。
 金属酸化物粒子の市販品としては、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F04)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F74)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F75)、焼成酸化ジルコニウム粒子(CIKナノテック株式会社製、製品名:ZRPGM15WT%-F76)、酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30M、日産化学工業(株)製)酸化ジルコニウム粒子(ナノユースOZ-S30K、日産化学工業(株)製)が挙げられる。
 高屈折率層は、屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上)である無機粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子)、屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上)である樹脂、及び屈折率が1.50以上(より好ましくは1.55以上、更に好ましくは1.60以上)である重合性化合物からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
 この態様であると、高屈折率層の屈折率を1.50以上(より好ましくは1.55以上、特に好ましくは1.60以上)に調整し易い。
 また、高屈折率層は、バインダーポリマー、重合性モノマー、及び粒子を含むことが好ましい。
 高屈折率層の成分については、特開2014-108541号公報の段落0019~0040及び0144~0150に記載されている硬化性透明樹脂層の成分、特開2014-010814号公報の段落0024~0035及び0110~0112に記載されている透明層の成分、国際公開第2016/009980号の段落0034~段落0056に記載されているアンモニウム塩を有する組成物の成分、等を参照できる。
 また、高屈折率層は、金属酸化抑制剤を含むことも好ましい。
 高屈折率層が金属酸化抑制剤を含む場合には、高屈折率層を基材(即ち、転写対象物)上に転写する際に、高屈折率層と直接接する部材(例えば、基材上に形成された導電性部材)を表面処理できる。この表面処理は、高屈折率層と直接接する部材に対し金属酸化抑制機能(保護性)を付与する。
 金属酸化抑制剤は、窒素原子を含む芳香環を有する化合物であることが好ましい。窒素原子を含む芳香環を有する化合物は、置換基を有してもよい。
 窒素原子を含む芳香環としては、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、又はこれらのいずれか1つと他の芳香環との縮合環が好ましく、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環又はこれらのいずれか1つと他の芳香環との縮合環であることがより好ましい。
 縮合環を形成する「他の芳香環」は、単素環でも複素環でもよいが、単素環が好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましく、ベンゼン環が更に好ましい。
 金属酸化抑制剤としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、メルカプトチアジアゾール、又はベンゾトリアゾールが好ましく、イミダゾール、ベンズイミダゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール又はベンゾトリアゾールがより好ましい。
 金属酸化抑制剤としては市販品を用いてもよく、市販品としては、例えばベンゾトリアゾールを含む城北化学工業(株)製BT120を好ましく使用できる。
 高屈折率層が金属酸化抑制剤を含む場合、金属酸化抑制剤の含有量は、高屈折率層の全固形分に対し、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~5質量%が更に好ましい。
 高屈折率層は、上述した成分以外のその他の成分を含有していてもよい。
 高屈折率層が含み得るその他の成分としては、感光性層が含み得る得るその他の成分と同様の成分が挙げられる。
 高屈折率層は、界面活性剤を含むことも好ましい。
 高屈折率層の形成方法には特に限定はない。
 高屈折率層の形成方法としては、例えば、仮支持体上に形成された上述の感光性層上に、水系溶媒を含む態様の高屈折率層形成用組成物を塗布し、必要に応じ乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
 高屈折率層形成用組成物は、上述した高屈折率層の各成分を含有し得る。
 高屈折率層形成用組成物は、例えば、バインダーポリマー、重合性モノマー、粒子、及び水系溶媒を含む。
 また、高屈折率層形成用組成物としては、国際公開第2016/009980号の段落0034~0056に記載されている、アンモニウム塩を有する組成物も好ましい。
 感光性層及び高屈折率層は無彩色であることが好ましい。具体的には、全反射(入射角8°、光源:D-65(2°視野))が、CIE1976(L、a、b)色空間において、L値は10~90であることが好ましく、a値は-1.0~1.0であることが好ましく、b値は-1.0~1.0であることが好ましい。
<他の層>
 転写フィルムは、上述した層以外の他の層(以下、「他の層」ともいう。)を含んでいてもよい。他の層としては、例えば、中間層、及び熱可塑性樹脂層等が挙げられ、公知のものを適宜採用できる。
 熱可塑性樹脂層の好ましい態様については特開2014-085643号公報の段落0189~0193、及び上記以外の他の層の好ましい態様については特開2014-085643号公報の段落0194~0196にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
[パターン形成方法]
 本発明に関するパターン形成方法(「本発明のパターン形成方法」ともいう)は特に制限されず、本発明の感光性組成物又は転写フィルムを使用したパターン形成方法であればよく、基材上に感光性層を形成する工程と、上記感光性層をパターン露光する工程と、露光された上記感光性層を現像(特に、アルカリ現像)する工程と、をこの順に含むことが好ましい。なお、上記現像が有機溶剤現像である場合、得られたパターンを更に露光する工程を含むことが好ましい。
 本発明のパターン形成方法の具体的な実施形態としては、実施形態1及び 実施形態2のパターン形成方法が挙げられる。
 以下において、実施形態1及び実施形態2のパターン形成方法の各工程について詳述する。
〔実施形態1のパターン形成方法〕
 実施形態1のパターン形成方法は、工程X1~工程X3を有する。なお、下記工程X2は、露光により、感光性層中の化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。但し、工程X3の現像液が有機溶剤系現像液である場合、工程X3の後に更に工程X4を有するのが好ましい。
 工程X1:基材上に感光性層を形成する工程
 工程X2:感光性層をパターン露光する工程
 工程X3:感光性層を、現像液(例えばアルカリ現像液又は有機溶剤系現像液)を用いて現像する工程
 工程X4:工程X3の現像工程の後に、更に、現像により形成されたパターンを露光する工程
 工程X3の現像液としてアルカリ現像液を使用する場合は、上記感光性層は実施形態X-1-a1及び実施形態X-1-a2の感光性組成物から形成された感光性層であることが好ましい。工程X3の現像液として有機溶剤系現像液を使用する場合は、上記感光性層は実施形態X-1-a1の感光性組成物から形成された感光性層であることが好ましい。
 実施形態1のパターン形成方法は、上述した実施形態X-1-a1及び実施形態X-1-a2の感光性組成物から形成された感光性層に適用されるのが好ましい。
 また、実施形態1のパターン形成方法は、工程X1と工程X2との間、工程X2と工程X3との間に、仮支持体を剥離する工程を有するのが好ましい。
<<<工程X1>>>
 実施形態1のパターン形成方法は、基材上に感光性層を形成する工程を有する。
<<基材>>
 基材としては特に制限されず、例えば、ガラス基板、シリコン基板、及び樹脂基板、並びに、導電層を有する基板が挙げられる。導電層を有する基板が含む基板としては、ガラス基板、シリコン基板、及び樹脂基板が挙げられる。
 上記基材は、透明であることが好ましい。
 上記基材の屈折率は、1.50~1.52であることが好ましい。
 上記基材は、ガラス基板等の透光性基板で構成されていてもよく、例えば、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラス等も使用できる。また、上記基材に含まれる材料としては、特開2010-086684号公報、特開2010-152809号公報、及び特開2010-257492号公報に用いられている材料も好ましい。
 上記基材が樹脂基板を含む場合、樹脂基板としては、光学的な歪みが小さい及び/又は透明度が高い樹脂フィルムを使用することがより好ましい。具体的な素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、及びシクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
 導電層を有する基板が含む基板としては、ロールツーロール方式で製造する点から、樹脂基板が好ましく、樹脂フィルムがより好ましい。
 導電層としては、一般的な回路配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電層が挙げられる。
 導電層としては、導電性及び細線形成性の点から、金属層(金属箔等)、導電性金属酸化物層、グラフェン層、カーボンナノチューブ層、及び導電ポリマー層からなる群より選ばれる1種以上の層が好ましく、金属層がより好ましく、銅層又は銀層が更に好ましい。
 また、導電層を有する基板中の導電層は、1層であっても、2層以上であってもよい。
 導電層を有する基板が、導電層を2層以上含む場合、各導電層は、互いに異なる材質の導電層であることが好ましい。
 導電層の材料としては、金属単体及び導電性金属酸化物等が挙げられる。
 金属単体としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo、Ag、及びAu等が挙げられる。
 導電性金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、及びSiO等が挙げられる。なお、「導電性」とは、体積抵抗率が1×10Ωcm未満であることをいい、体積抵抗率が1×10Ωcm未満が好ましい。
 導電層を有する基板中の導電層が2層以上である場合、導電層のうち少なくとも一つの導電層は導電性金属酸化物を含むことが好ましい。
 導電層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
 また、導電層は、透明層であることが好ましい。
<<工程X1の手順>>
 工程X1は、基材上に上記感光性組成物又は上記転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程であることが好ましい。
 感光性層を用いて感光性層を形成する方法としては、基材上に感光性組成物を塗布して、必要に応じて塗膜を乾燥させて、基材上に感光性層を形成する方法が挙げられる。このような基材上に感光性層を形成する方法としては、例えば、転写フィルムの説明中で上述した感光性層の形成方法と同様の方法が挙げられる。
 また、転写フィルムを用いて感光性層を形成する方法としては、工程X1は、転写フィルム中の感光性層の仮支持体側とは反対側の表面を基材に接触させて、転写フィルムと基材とを貼り合わせる工程であることが好ましい。このような工程を特に工程X1bともいう。
 上記工程X1bは、ロール等による加圧及び加熱による貼り合わせ工程であるのが好ましい。貼り合わせには、ラミネーター、真空ラミネーター、及びオートカットラミネーター等の公知のラミネーターを使用できる。
 工程X1b工程は、ロールツーロール方式により行われることが好ましく、このため、転写フィルムを貼り合わせる対象となる基材は、樹脂フィルム、又は導電性層を有する樹脂フィルムであるのが好ましい。
 以下において、ロールツーロール方式について説明する。
 ロールツーロール方式とは、基材として、巻き取り及び巻き出しが可能な基材を用い、本発明のパターン形成方法に含まれるいずれかの工程の前に、基材を巻き出す工程(「巻き出し工程」ともいう。)と、いずれかの工程の後に、基材を巻き取る工程(「巻き取り工程」ともいう。)と、を含み、少なくともいずれかの工程(好ましくは、全ての工程、又は加熱工程以外の全ての工程)を、基材を搬送しながら行う方式をいう。
 巻き出し工程における巻き出し方法、及び巻き取り工程における巻取り方法としては、特に制限されず、ロールツーロール方式を適用する製造方法において、公知の方法を用いればよい。
<<工程X2>>
 実施形態1のパターン形成方法は、上記工程X1の後、感光性層をパターン露光する工程(工程X2)を含む。工程X2は、露光により、感光性層中の化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。より具体的には、感光性層中の化合物B中の特定構造を励起させる波長の光を用いて、感光性層をパターン露光することが好ましい。
 露光工程において、パターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に制限されない。
 例えば、実施形態1のパターン形成方法を回路配線の製造に適用する場合、実施形態1のパターン形成方法により製造される回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくできる点から、パターンの少なくとも一部(特に、タッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分に相当する部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
 露光に使用する光源としては、感光性層中の化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させることが可能な波長域の光(感光性層中の化合物B中の特定構造を励起させる波長の光。例えば、254nm、313nm、365nm、405nm等の波長域の光(好ましくは、波長365nmの光)を照射するものであれば、適宜選定し得る。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及びLED(Light Emitting Diode)等が挙げられる。
 露光量としては、10~10000mJ/cmが好ましく、50~3000mJ/cmがより好ましい。
 工程X1が工程X1bであった場合、工程X2においては、感光性層から仮支持体を剥離した後にパターン露光してもよく、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介してパターン露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。感光性層とマスクとの接触によるマスク汚染の防止、及びマスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずにパターン露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたダイレクト露光でもよい。
 なお、工程X1が工程X1bであった場合、後述する工程X3の前には、感光性層から仮支持体は剥離する。
<<工程X3>>
 実施形態1のパターン形成方法は、上記工程X2の後、パターン露光された感光性層を、現像液(アルカリ現像液又は有機溶剤系現像液)を用いて現像する工程(工程X3)を含む。
 工程X2を経た感光性層は、露光部の感光性層中のカルボキシ基の含有量が減少することにより、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差(溶解コントラスト)が生じている。感光性層に溶解コントラストが形成されることで、工程X3においてパターンの形成が可能となる。なお、上記工程X3の現像液がアルカリ現像液である場合、上記工程X3を実施することで、未露光部が除去されてネガパターンが形成される。一方、上記工程X3の現像液が有機溶剤系現像液である場合、上記工程X3を実施することで露光部が除去されてポジパターンが形成される。得られたポジパターンに対しては、後述する工程X4により、化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させる処理を実施する必要がある。
(アルカリ現像液)
 アルカリ現像液としては、感光性樹脂層の未露光部を除去することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5-072724号公報に記載の現像液等、公知の現像液を使用できる。
 アルカリ現像液としては、例えば、pKa=7~13の化合物を0.05~5mol/L(リットル)の濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。
 また、アルカリ現像液は、更に、水溶性の有機溶媒及び界面活性剤等を含んでいてもよい。アルカリ現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が好ましい。
 アルカリ現像液における水の濃度は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、85質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。なお、上限値としては、例えば、100質量%未満である。
(有機溶剤系現像液)
 有機溶剤系現像液としては、感光性樹脂層の露光部を除去することができれば特に制限はなく、例えば、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、及び炭化水素系溶媒等の有機溶媒を含む現像液を使用できる。
 有機溶剤系現像液において、有機溶媒は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶媒又は水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、有機溶剤系現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。有機溶剤系現像液における有機溶媒(複数混合の場合は合計)の濃度は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、85質量%以上が更に好ましく、90質量%以上が特に好ましく、95質量%以上が最も好ましい。なお、上限値としては、例えば、100質量%以下である。
 現像方式としては特に制限はなく、パドル現像、シャワー現像、スピン現像、及びディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、不要部分を除去できる。また、現像の後に、洗浄剤等をシャワーにより吹き付け、ブラシ等で擦りながら、現像残渣を除去することも好ましい。現像液の液温度としては、20~40℃が好ましい。
 実施形態1のパターン形成方法は、更に、現像して得られた感光性層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよいし、有していなくてもよい。
 ポストベークは8.1~121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、50.66kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、111.46kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが更に好ましい。
 ポストベークの温度は、80~250℃が好ましく、110~170℃がより好ましく、130~150℃が更に好ましい。
 ポストベークの時間は、1~60分が好ましく、2~50分がより好ましく、5~40分が更に好ましい。
 ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
<<工程X4>>
 上記工程X3の現像液が有機溶剤系現像液である場合、得られたポジパターンに対して工程X4を実施する。工程X4は、工程X3で得られたポジパターンを露光し、化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させる工程に該当する。より具体的には、感光性層中の化合物B中の特定構造を励起させる波長の光を用いて、感光性層をパターン露光することが好ましい。
 露光に使用する光源及び露光量としては、工程X1にて述べた光源及び露光量と同じであり、好適態様も同じである。
〔実施形態2のパターン形成方法〕
 実施形態2のパターン形成方法は、工程Y1、工程Y2P、及び工程Y3をこの順で有し、更に、工程Y2Q(工程Y2Pにおいて露光された感光性層を、更に、露光する工程)を、工程Y2Pと工程Y3との間、又は工程Y3の後に有する。
 工程Y1:基材上に感光性層を形成する工程
 工程Y2P:感光性層を、露光する工程
 工程Y3:感光性層を、現像液を用いて現像する工程
 実施形態2のパターン形成方法としては、感光性層が、更に、光重合開始剤及び重合性化合物を含む場合に適用可能な態様に該当する。したがって、実施形態2のパターン形成方法は、上述した実施形態X-1-a3の感光性組成物から形成された感光性層に適用されるのが好ましい。
 以下において、実施形態2のパターン形成方法について説明するが、工程Y1及び工程Y3については、工程X1及び工程X3とそれぞれ同様であり、説明を割愛する。
 なお、工程Y3は、少なくとも工程Y2Pよりも後に実施されていればよく、工程Y2Pと工程Y2Qとの間に工程Y3が実施されていてもよい。
 なお、実施形態2のパターン形成方法は、工程Y3の後、更に、現像して得られた感光性層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していても、有していなくてもよい。ポストベーク工程については、上述した実施形態1のパターン形成方法が有していてもよいポストベーク工程と同様の方法により実施できる。工程Y2Pと工程Y2Qとの間に工程Y3が実施される場合、ポストベーク工程は、工程Y3の後に実施されていれば、工程Y2Qの前に実施されていてもよいし、工程Y2Qの後に実施されていてもよい。
 また、実施形態2のパターン形成方法は、工程Y1と工程Y2Pとの間、工程Y2Pと工程Y3との間に、仮支持体を剥離する工程を有するのが好ましい。
<<工程Y2P、工程Y2Q>>
 実施形態2のパターン形成方法は、工程Y1を経た感光性層を露光する工程(工程Y2P)と、露光された感光性層を、更に、露光する工程(工程Y2Q)とを含む。
 露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)のうち一方は、主に、露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光であり、露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)のうち他方は、主に、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光に該当する。また、露光処理(工程Y2P及び工程Y2Q)は、それぞれ、全面露光及びパターン露光のいずれであってもよいが、露光処理のうちのいずれかはパターン露光である。
 例えば、工程Y2Pが露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液はアルカリ現像液であってもよく有機溶剤系現像液であってもよい。ただし、有機溶剤系現像液で現像をする場合、工程Y2Qは、通常、工程Y3の後に実施され、現像された感光性層(パターン)において、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起されるとともに、化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量が減少する。
 また、例えば、工程Y2Pが光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するためのパターン露光である場合、工程Y3で使用される現像液は通常アルカリ現像液である。この場合、工程Y2Qは、工程Y3の前後のいずれで実施されてもよく、工程Y3の前に実施される場合の工程Y2Qは、通常パターン露光である。
 工程Y2P及び工程Y2Qにおいて、露光に使用する光源としては、感光性層中の化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させることが可能な波長域の光(感光性層中の化合物B中の特定構造を励起させる波長の光。例えば、254nm、313nm、365nm、405nm等の波長域の光(好ましくは、波長365nmの光)が挙げられる。)、又は感光性層中の光重合開始剤に基づく重合性化合物の反応を生起させることが可能な波長域の光(光重合開始剤を感光させる波長の光。例えば、254nm、313nm、365nm、405nm等)を照射するものであれば、適宜選定し得る。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及びLED(Light Emitting Diode)等が挙げられる。
 感光性層中の化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光において、露光量としては、10~10000mJ/cmが好ましく、50~3000mJ/cmがより好ましい。
 感光性層中の光重合開始剤に基づく重合性化合物の反応を生起させるための露光において、露光量としては、5~200mJ/cmが好ましく、10~150mJ/cmがより好ましい。
 工程Y1が転写フィルムを用いる場合、工程Y2P及び工程Y2Qにおいては、感光性層から仮支持体を剥離した後にパターン露光してもよく、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介してパターン露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。感光性層とマスクとの接触によるマスク汚染の防止、及びマスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずにパターン露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたダイレクト露光でもよい。
 露光工程において、パターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に制限されない。
 例えば、実施形態2のパターン形成方法を回路配線の製造に適用する場合、実施形態2のパターン形成方法により製造される回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくできる点から、パターンの少なくとも一部(特に、タッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分に相当する部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
〔好適態様〕
 パターン形成方法としては、工程Y1、工程Y2A、及び工程Y3をこの順に有しているのも好ましい。また、工程Y3の後に、更に、工程Y2Bをこの順に有しているのも好ましい。なお、工程Y2A及び工程Y2Bは、一方が、露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光工程であり、他方が、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光工程であるのも好ましい。
 工程Y1:基材上に感光性層を形成する工程
 工程Y2A:感光性層をパターン露光する工程
 工程Y3:感光性層を、アルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された感光性層を形成する工程
 工程Y2B:パターン化された感光性層を露光する工程
 また、上記パターン形成方法は、工程Y1と工程Y2Aとの間、工程Y2Aと工程Y3との間に、仮支持体を剥離する工程を有するのが好ましい。
 上記工程Y2Aは、光重合開始剤に基づく重合性化合物の重合反応を生起するための露光工程であるのが好ましく、上記工程Y2Bは、露光により化合物Aに由来するカルボキシ基の含有量を減少させるための露光工程であるのが好ましい。
〔パターン形成方法が有していてもよい任意の工程〕
 パターン形成方法(実施形態1、実施形態2、又は、上記好適態様のパターン形成方法等)は、上述した以外の任意の工程(その他の工程)を含んでもよい。例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に制限されない。
<<カバーフィルム剥離工程>>
 上記パターン形成方法は、転写フィルムがカバーフィルムを有する場合、上記転写フィルムのカバーフィルムを剥離する工程(以下、「カバーフィルム剥離工程」ともいう。)を含むことが好ましい。カバーフィルムを剥離する方法は特に制限されず、公知の方法を適用できる。
<<可視光線反射率を低下させる工程>>
 基板が導電層を有する基板である場合、上記パターン形成方法は、更に、導電層の可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。なお、上記基板が複数の導電層を有する基板である場合、可視光線反射率を低下させる処理は、一部の導電層に対して実施してもよいし、全ての導電層に対して実施してもよい。
 可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理が挙げられる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
 可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<<エッチング工程>>
 基板が導電層を有する基板である場合、上記パターン形成方法は、工程X3(又は工程X4)及び工程Y3(又は工程Y2B)により形成されたパターンをエッチングレジスト膜として、このエッチングレジスト膜が配置されていない領域における導電層をエッチング処理する工程(エッチング工程)を含むことが好ましい。
 エッチング処理の方法としては、特開2010-152155号公報の段落0048~0054等に記載のウェットエッチングによる方法、及び公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法等を適用できる。
 例えば、エッチング処理の方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
 酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、及びリン酸等の酸性成分単独の水溶液、並びに、酸性成分と塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、又は過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
 アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、並びに、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
 エッチング液の温度は特に制限されないが、45℃以下が好ましい。本発明の回路配線の製造方法において、エッチングレジスト膜として使用される、工程X3(又は工程X4)及び工程Y3により形成されたパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。上記構成により、エッチング工程中にエッチングレジスト膜が剥離することが防止され、エッチングレジスト膜の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
 エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、エッチング処理された基板を洗浄する洗浄工程、及び洗浄された基板を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。
<<その他の実施形態>>
 上記パターン形成方法は、両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有する基板を用い、両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時にパターン形成することも好ましい。
 このような構成により、基板の一方の表面に第一の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成できる。ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
[回路配線の製造方法]
 本発明の回路配線の製造方法は、上述の感光性組成物又は転写フィルムを使用した回路配線の製造方法であれば特に制限されないが、導電層を有する基板上に、感光性組成物又は転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程(感光性層形成工程)と、感光性層をパターン露光する工程(第1の露光工程)と、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程(現像工程)と、パターンが配置されていない領域における上記導電層に、エッチングする工程(エッチング工程)、又は、めっきする工程(めっき工程)と、パターンを剥離する工程(剥離工程)と、更に、めっきする工程を有する場合、パターンを剥離する工程によって露出した導電層を除去し、基板上に配線パターンを形成する工程(除去工程)とを有することが好ましい。
 本発明の回路配線の製造方法において、感光性層形成工程、第1の露光工程、及び、アルカリ現像工程は、いずれも上述した実施形態1のパターン形成方法の工程X1、工程X2、及び、工程X3と同様の手順により実施できる。
 また、感光性層が実施形態X-1-a3の感光性組成物から形成された感光性層の場合、現像処理の前後において、パターンを露光する処理(第2の露光処理)を更に実施してもよい。第2の露光処理は、上述した実施形態2のパターン形成方法の工程Y2Qと同様の手順により実施できる。
 また、本発明の回路配線の製造方法において使用される導電層を有する基板は、上述した工程X1で使用される導電層を有する基板と同様である。また、本発明の回路配線の製造方法は、上述の工程以外のその他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、第1実施形態及び第2実施形態のパターン形成方法が有していてもよい任意の工程と同様のものが挙げられる。
 本発明の回路配線の製造方法は、上記貼り合わせ工程、上記第1の露光工程、上記現像工程、上記第2の露光工程、及び上記エッチング工程の4工程を1セットとして、複数回繰り返す態様であることも好ましい。
 エッチングレジスト膜として使用した膜は、形成された回路配線の保護膜(永久膜)としても使用できる。
 以下、エッチング工程、めっき工程、剥離工程、及び、除去工程について詳述する。
<<エッチング工程>>
 エッチング工程は、パターンが配置されていない領域における上記導電層に、エッチングする工程である。
 エッチング処理の方法としては、特開2010-152155号公報の段落0048~0054等に記載のウェットエッチングによる方法、及び公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法等を適用できる。
 例えば、エッチング処理の方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
 酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、及びリン酸等の酸性成分単独の水溶液、並びに、酸性成分と塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、又は過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
 アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及びテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、並びに、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩との混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
 エッチング液の温度は特に制限されないが、45℃以下が好ましい。本発明の回路配線の製造方法において、エッチングレジスト膜として使用される、工程X3(又は工程X4)及び工程Y3により形成されたパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。上記構成により、エッチング工程中にエッチングレジスト膜が剥離することが防止され、エッチングレジスト膜の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
 エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、エッチング処理された基板を洗浄する洗浄工程、及び洗浄された基板を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。
<<めっき工程>>
 めっき工程は、パターンが配置されていない領域にある導電層(現像工程によって表面に露出した導電層)上に、めっき処理によってめっき層を形成する工程である。
 めっき処理の方法としては、例えば、電解めっき法及び無電解めっき法が挙げられ、生産性の点から、電解めっき法が好ましい。
 めっき工程を実施すると、導電層を有する基板上に、パターンが配置されていない領域(パターンの開口部)と同様のパターン形状を有するめっき層が得られる。
 めっき層に含まれる金属としては、例えば、公知の金属が挙げられる。
 具体的には、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず及び亜鉛等の金属、並びに、これらの金属の合金が挙げられる。
 なかでも、めっき層は、銅又はその合金を含むことが好ましい。また、めっき層は、主成分として銅を含むことが好ましい。
 めっき層の厚みは、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。上限は、20μm以下が好ましい。
<<保護層形成工程>>
 めっき処理工程と後述の剥離工程との間に、保護層形成工程を有することも好ましい。
 保護層積層工程は、めっき層の上に保護層を形成する工程である。
 保護層の材料としては、剥離工程及び/又は除去工程における剥離液及び/又はエッチング液に対する耐性を有する材料が好ましい。例えば、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、マグネシウム、金、銀等の金属、これらの合金及び樹脂が挙げられ、ニッケル又はクロムが好ましい。
 保護層の形成方法としては、例えば、無電解めっき法、電気めっき法等が挙げられ、電気めっき法が好ましい。
 保護層の厚みは、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。上限は、3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましい。
<<剥離工程>>
 剥離工程は、パターンを剥離する工程である。
 パターンを剥離する方法としては、例えば、薬品処理により除去する方法が挙げられ、剥離液を用いて除去する方法が好ましい。
 パターンを剥離する方法としては、例えば、剥離液を用いて、スプレー法、シャワー法及びパドル法等の公知の方法により除去する方法が挙げられる。
 剥離液としては、例えば、アルカリ性化合物を、水、ジメチルスルホキシド及びN-メチルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つに溶解させた剥離液が挙げられる。
 アルカリ性化合物(水に溶解してアルカリ性を示す化合物)としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ性無機化合物、並びに、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物等のアルカリ性有機化合物が挙げられる。
 剥離方法の好適態様としては、液温が50~80℃である撹拌中の剥離液に、除去対象のパターンを有する基板を1~30分間浸漬する方法が挙げられる。
<<除去工程>>
 めっき工程を有する場合、除去工程を有することが好ましい。
 除去工程は、剥離工程によって露出した導電層を除去して、基板上に配線パターンを得る工程である。
 なお、除去工程では、めっき工程によって形成されためっき層をエッチングレジストとして使用し、非パターン形成領域(換言すると、めっき層で保護されていない領域)に位置する導電層のエッチング処理を行う。
 導電層の一部を除去する方法としては特に制限されないが、公知のエッチング液を使用するのが好ましい。
 公知のエッチング液の一態様としては、例えば、塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液、アンモニアアルカリ溶液、硫酸-過酸化水素混合液、及び、リン酸-過酸化水素混合液等が挙げられる。
 除去工程を行うと、基板上から表面に露出していた導電層が除去されるとともに、パターン形状を有するめっき層(配線パターン)が残存し、配線パターンを有する積層体が得られる。
 形成される配線パターンの線幅は、8μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましい。下限は、1μm以上の場合が多い。
 上述したパターン形成方法により形成されるパターンの用途としては特に制限されず、各種の保護膜又は絶縁膜として使用できる。
 具体的には、導電パターンを保護する保護膜(永久膜)としての用途、導電パターン間の層間絶縁膜としての用途、及び、回路配線の製造の際のエッチングレジスト膜としての用途等が挙げられる。上記パターンは解像性に優れ、比誘電率が低いことから、なかでも、導電パターンを保護する保護膜(永久膜)又は導電パターン間の層間絶縁膜としての用途が好ましい。導電パターンとしては、表示装置の配線、撮像装置の配線、入力装置の配線、各種プリント配線、及び、半導体パッケージの配線等が挙げられる。
 なお、上記パターンは、例えば、タッチパネル内部に設けられた、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分、及び取り出し配線部分の配線等の導電パターンを保護する保護膜(永久膜)又は導電パターン間の層間絶縁膜としての用途として使用できる。
[タッチパネルの製造方法]
 本発明のタッチパネルの製造方法は、上述の感光性組成物又は転写フィルムを使用したタッチパネルの製造方法であれば特に制限されないが、導電層(好ましくはパターン化された導電層であり、具体的には、タッチパネル電極パターン又は配線等の導電パターン)を有する基板上に、感光性組成物又は転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程(感光性層形成工程)と、感光性層をパターン露光する工程(第1の露光工程)と、露光された感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された導電層の保護膜又は絶縁膜を形成する工程(アルカリ現像工程)と、を有することが好ましい。
 保護膜は、導電層の表面を保護する膜としての機能を有する。また、絶縁膜は、導電層間の層間絶縁膜としての機能を有する。
 本発明のタッチパネルの製造方法において、感光性層形成工程、第1の露光工程、及び、アルカリ現像工程は、いずれも上述した実施形態1のパターン形成方法の工程X1、工程X2、及び、工程X3と同様の手順により実施できる。
 また、感光性層が実施形態X-1-a3の感光性組成物から形成された感光性層の場合、現像処理の前後において、パターンを露光する処理(第2の露光処理)をさらに実施してもよい。第2の露光処理は、上述した実施形態2のパターン形成方法の工程Y2Qと同様の手順により実施できる。
 なお、上記第2の露光処理を実施する場合、本発明のタッチパネルの製造方法は、更に、形成された絶縁膜上に導電層(好ましくはパターン化された導電層であり、具体的には、タッチパネル電極パターン又は配線等の導電パターン)を形成する工程を有するのが好ましい。
 また、本発明のタッチパネルの製造方法において使用される導電層を有する基板は、上述した工程X1で使用される導電層を有する基板と同様である。その他の工程としては、第1実施形態及び第2実施形態のパターン形成方法が有していてもよい任意の工程と同様のものが挙げられる。
 本発明のタッチパネルの製造方法としては、上述した態様以外の構成は、公知のタッチパネルの製造方法を参照できる。
 本発明のタッチパネルの製造方法により製造されたタッチパネルは、透明基板と、電極と、保護層(保護膜)とを有することが好ましい。
 上記タッチパネルにおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び光学方式等公知の方式いずれでもよい。なかでも、静電容量方式が好ましい。
 タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012-517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013-168125号公報の図19に記載のもの、特開2012-089102号公報の図1及び図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch-on-Lens)型(例えば、特開2013-054727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013-164871号公報の図6に記載のもの)、及び各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1F等)等が挙げられる。
 以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
 以下の実施例において、特段の断りがない限り、「部」及び「%」は、それぞれ、「質量部」及び「質量%」を意味する。
 また、以下において記載される各略号の意味は以下の通りである。
 St:スチレン
 AA:アクリル酸
 DCPMA:メタクリル酸ジシクロペンタニル
 MAA:メタクリル酸
 MMA:メタクリル酸メチル
 BzMA:メタクリル酸ベンジル
 PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
 PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
 MEK:メチルエチルケトン
 MFG:1-メトキシ-2-プロパノール
 また、以下の実施例において、超高圧水銀灯としては、特に断りのない限り、USHIO電気社製 USH-2004MBを使用した。上記超高圧水銀灯は、313nm、365nm、405nm、及び、436nmに強い線スペクトルを有する。
[化合物Aの合成]
〔重合体A1の合成〕
 容量2000mLのフラスコに、PGMEA(60部)及びPGME(240部)を導入した。得られた液体を、撹拌速度250rpm(round per minute;以下同じ。)で撹拌しつつ90℃に昇温した。
 滴下液(1)の調製として、スチレン(71部)及びアクリル酸(29部)を混合し、PGMEA(60部)で希釈することにより、滴下液(1)を得た。
 滴下液(2)の調製として、V-601(ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(9.637部)をPGMEA(136.56g)で溶解させることにより、滴下液(2)を得た。
 滴下液(1)と滴下液(2)とを同時に3時間かけて、上述した容量2000mLのフラスコ(詳細には、90℃に昇温された液体が入った容量2000mLのフラスコ)に滴下した。滴下終了後、1時間おきにV-601(2.401g)を上記フラスコに3回添加した。その後90℃で更に3時間撹拌した。
 その後、上記フラスコ中の得られた溶液(反応液)をPGMEAで希釈し、重合体A1の溶液を得た(固形分36.3質量%)
〔重合体A2の合成〕
 容量2000mLのフラスコに、PGMEA(60部)及びPGME(240部)を導入した。得られた液体を、撹拌速度250rpm(round per minute;以下同じ。)で撹拌しつつ90℃に昇温した。
 滴下液(1)の調製として、メタクリル酸メチル(40部)、ジシクロペンタニルメタクリレート(40部)、及び、メタクリル酸(20部)を混合し、PGMEA(60部)で希釈することにより、滴下液(1)を得た。
 滴下液(2)の調製として、V-601(ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(9.637部)をPGMEA(136.56g)で溶解させることにより、滴下液(2)を得た。
 滴下液(1)と滴下液(2)とを同時に3時間かけて、上述した容量2000mLのフラスコ(詳細には、90℃に昇温された液体が入った容量2000mLのフラスコ)に滴下した。滴下終了後、1時間おきにV-601(2.401g)を上記フラスコに3回添加した。その後90℃で更に3時間撹拌した。
 その後、上記フラスコ中の得られた溶液(反応液)をPGMEAで希釈し、重合体A2の溶液を得た(固形分36.3質量%)
〔重合体A3の合成〕
 原料モノマーとしてMMA、DCPMA、及びMAAを使用し、各原料モノマーの配合比を変えた以外は上述の(重合体A2の合成)に準ずる方法により、重合体A3の溶液を得た(固形分36.3質量%)
〔重合体A1~A3の各構造〕
 以下、重合体A1~A3の各構造を示す。
 重合体A1:Stに由来する繰り返し単位/AAに由来する繰り返し単位が71質量%/29質量%の重合体(Mw:1,5000)
 重合体A2:MMAに由来する繰り返し単位/DCPMAに由来する繰り返し単位/MAAに由来する繰り返し単位が40質量%/40質量%/20質量%の重合体(Mw:20,000)
 重合体A3:MMAに由来する繰り返し単位/DCPMAに由来する繰り返し単位/MAAに由来する繰り返し単位が30質量%/30質量%/40質量%の重合体(Mw:18,000)
[感光性組成物の調製]
 表1に記載される成分を同表に記載の配合量(質量部)で混合した後、固形分:MEK:PGMEA=36質量%/32質量%/32質量%の配合比率となるように希釈し、実施例及び比較例の各感光性組成物を調製した。
 なお、化合物Aの配合量は、重合体の固形分量を意図する。
〔各種成分〕
 以下、表1中に記載される各成分を説明する。
<化合物A>
 ・重合体A1:上段部にて合成したものを使用した。
 ・重合体A2:上段部にて合成したものを使用した。
 ・重合体A3:上段部にて合成したものを使用した。
<化合物B>
・9-メチルアクリジン:富士フイルム和光純薬株式会社製
・アクリジン:富士フイルム和光純薬株式会社製
・9-フェニルアクリジン:富士フイルム和光純薬株式会社製
(化合物Bの波長365nmでのモル吸光係数及び極大吸収波長)
 以下、化合物Bの波長365nmでのモル吸光係数〔(cm・mol/L)-1〕及び極大吸収波長を測定する手順について説明する。
 まず、アセトニトリル500mLに対して、化合物Bを10mg秤量・添加し、500rpmで20分間攪拌したものを測定溶液とした。
 次に、測定溶液を適当量使用し、分光光度計UV-2400PC(島津製作所社製)による測定を行った。吸光度から極大吸収波長を算出し、ランベルトベールの法則に則って、モル吸光係数を算出した。このとき、ブランクとしてアセトニトリルのみの吸光度を測定し、測定溶液の吸光度から差し引くことで、化合物Bの極大吸収波長及びモル吸光係数を算出した。
 なお、化合物Bがアセトニトリルに溶解しない場合、化合物Bを溶解させる溶媒は、適宜変更できる。
 化合物Bに該当する各化合物の波長365nmモル吸光係数及び極大吸収波長については、表1に示す。
<重合開始剤>
 ・OXE-01:BASF社製(商品名「IRGACURE OXE-02」、オキシムエステル系重合開始剤)
<化合物C>
 ・インジゴ(下記構造の化合物:TCI社製)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
(化合物Cの極大吸収波長)
 化合物Cの極大吸収波長は、既述の(化合物Bの波長365nmモル吸光係数及び極大吸収波長)における化合物Bの極大吸収波長と同様の手法により測定した。
 化合物Cに該当する化合物の極大吸収波長については、表1に示す。
<重合性化合物>
 ・A-NON-N:新中村化学工業社製(商品名「A-NON-N」、1,9-ノナンジオールジアクリレート)
<界面活性剤>
 ・BYK-330:ビックケミー・ジャパン株式会社製(商品名「BYK-330」)
[感光性組成物の各種測定及び評価]
〔脱炭酸反応の反応率〕
 シリコンウエハ基材上に、実施例及び比較例の各感光性組成物を乾燥後の厚さが3.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成した。
 次いで、シリコンウエハ基材上の感光性層に対して、超高圧水銀灯を用いて波長365nmの照度計で計測した積算露光量が1000mJ/cmとなる条件で全面露光を実施した。次いで、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(液温:23℃)で35秒間の現像を行った。
 そして、露光前及び現像後の各感光性層についてIR(infrared)スペクトルを測定し、1700cm-1付近にある極大吸収ピークの減少率からカルボキシ基減少率を算出した。なお、カルボキシ基のC=O伸縮の極大吸収ピークは、通常、1700cm-1付近の波長帯域に現れる。
 カルボキシ基減少率は、以下の式で求められる。なお、以下の式においてピーク高さとは、極大吸収ピークのピークトップの高さを意図する。
 カルボキシ基減少率(%):{(露光前のIRスペクトルにおける1700cm-1付近の波長帯域に存在する極大吸収ピークのピーク高さ-現像後のIRスペクトルにおける1700cm-1付近の波長帯域に存在する極大吸収ピークのピーク高さ)/(露光前のIRスペクトルにおける1700cm-1付近の波長帯域に存在する極大吸収ピークのピーク高さ)}×100(%)
 カルボキシ基減少率が高いほど脱炭酸反応が進行していることを表す。
 その結果を以下の評価基準に従って分類した。結果を表2に示す。
<評価基準>
 「A」:露光前に対する現像後のピークの変化率が5%以上
 「B」:露光前に対する現像後のピークの変化率が5%未満
〔評価〕
<解像性評価>
 厚さ0.1mmのガラス(コーニング社製イーグルXG)10×10cm基材上に、実施例及び比較例の各感光性組成物を乾燥後の厚さが3.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成した。
 次いで、ガラス基材上の感光性層に対して、ラインアンドスペースパターンを有するマスク(ラインサイズ=1.0μmであり且つライン:スペース=1:1)を介して、超高圧水銀灯を用いて、365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光を実施した。
 そして、露光後の感光性層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(液温:23℃)で35秒間のディップ現像を実施し、純水で20秒間リンスし、更に、エアを吹きかけて水分を除去し、パターンを作製した。
 このように作製された、ライン幅及びスペース幅が1.0μmのラインアンドスペースパターンを観察し、以下の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
 「A」:ラインアンドスペースパターンが解像しており(スペース部の感光性層が除去できており)、パターンの膜減りが10%以下である。
 「B」:ラインアンドスペースパターンが解像しており(スペース部の感光性層が除去できており)、パターンの膜減りが30%以下である。
 「C」:ラインアンドスペースパターンが解像しており(スペース部の感光性層が除去できており)、パターンの膜減りが50%以下である。
 「D」:ラインアンドスペースパターンは解像していなかった(スペース部の感光性層が残っているか、又は、パターンがすべて溶解して消失していた)。
<低誘電性評価>
 誘電率評価用の試験用組成物として、実施例及び比較例の各組成物において、溶媒成分を他の溶媒に置換した組成物を調製した。具体的には、実施例及び比較例の各組成物において、溶媒以外の成分(感光性組成物の固形分)/MFG/PGMEAが36質量%/32質量%/32質量%で調製された試験用組成物を調製した。次いで、COP(シクロオレフィン)基材(JSR社アートンR(R5000))上に、実施例及び比較例の各試験用組成物を乾燥後の厚さが5.0μmとなるように塗布して塗膜を形成した後、得られた塗膜を100℃にて20分間乾燥し、感光性層を得た。
 次いで、得られた感光性層に対して超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光を実施した。
 そして、28GHzスプリットシリンダ型共振器(関東電子応用開発製)を用いて、25℃50%RH環境下にて、露光後の感光性層の比誘電率を測定した。具体的には、露光後の感光性層付き基材の比誘電率の値から別途同様の条件・方法により測定したCOP基材の比誘電率の値を差し引くことで、感光性層の比誘電率を求めた。また、COP基材の膜厚分布が結果に強く影響を及ぼすため、面内の任意の箇所15点にて測定し、平均値・標準偏差を算出した。つまり、上記の露光後の感光性層付き基材の比誘電率の値、及び、上記のCOP基材の比誘電率の値は、各々、面内の任意の箇所15点にて測定して得られた平均値とした。
 得られた28GHzでの比誘電率を以下の評価基準に基づいて分類した。結果を表2に示す。
(評価基準)
 「A」:2.9以下
 「B」:2.9より大きく3.2以下
 「C」:3.2より大きく3.5以下
 「D」:3.5より大きい
 以下、表1及び表2を示す。
 なお、表1は、実施例及び比較例の各感光性組成物の組成を示し、表2は、表1で示される実施例の各感光性組成物の特徴部、並びに、表1で示される各感光性組成物の測定結果及び評価結果を示す。
 表1及び表2中、「化合物A」は、カルボキシ基を有する化合物を意図する。
 表1及び表2中、「化合物B」は、波長365nmにおけるモル吸光係数が1000(cm・mol/L)-1超である化合物を意図する。また、化合物Bは、露光により化合物Aが含むカルボキシ基の量を減少させる構造を有する化合物(光励起状態において、化合物Aが含むカルボキシ基から電子を受容できる構造を有する化合物)である。
 また、表1及び表2中、「波長365nmでのモル吸光係数」の単位は、(cm・mol/L)-1である。
 また、表1及び表2中、「化合物C」とは、極大吸収波長を580nm~800nmに有する化合物を意図する。
 また、表1及び表2中、「含有量比X」とは、化合物Aが含むカルボキシ基の合計数に対する、化合物Bが含む電子を受容できる構造の合計数(モル%)を意図する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
 表1及び表2の結果から、実施例の感光性組成物は、波長365nmの光を含む照射光による露光がなされた場合、解像性が優れ、且つ、形成されるパターンの低誘電性が優れる(換言すると、誘電性がより一層低い)ことが明らかである。
 また、実施例1~5、7の対比から、化合物Aの含有量100質量部に対する化合物Bの含有量が、10~50質量部である場合、波長365nmの光を含む照射光による露光がなされた場合、解像性がより一層優れ、且つ、形成されるパターンの低誘電性がより一層優れることが明らかである。
 実施例2、8、9の対比から、化合物Aに対する化合物Cの含有量(質量%)が、3質量%未満である場合、波長365nmの光を含む照射光による露光がなされた場合、解像性がより一層優れ、且つ、形成されるパターンの低誘電性がより一層優れることが明らかである。
 実施例2、10、11の対比から、エチレン性不飽和基を有する重合性化合物の含有量が、組成物の全固形分に対して、30質量%以下(好ましくは、0.5質量%以下)である場合、波長365nmの光を含む照射光による露光がなされた場合、解像性がより一層優れ、且つ、形成されるパターンの低誘電性がより一層優れることが明らかである。
<その他の評価>
(転写フィルム形態におけるパターン形成性1)
 仮支持体(東レ製PETフィルム、ルミラー16FB40、厚さ16μm)の上に、表1に示す実施例の各感光性組成物を使用して厚さ3.0μmの感光性層を形成した。感光性層は、感光性組成物の塗布及び乾燥によって形成された。次いで、感光性層の上にカバーフィルム(王子エフテックス社製、ポリプロピレンフィルム、FG-201、厚さ30μm)を設け、転写フィルムを得た。
 基材(厚み0.1mmのガラス(コーニング社製イーグルXG)10×10cm)に対して転写フィルムをラミネートした。具体的には、転写フィルムからカバーフィルムを剥離し、転写フィルムのカバーフィルムを剥離して露出する面が上記基材と対向するようにラミネートすることにより、積層体を得た。なお、ラミネートの条件は、基材の温度40℃、ゴムローラー温度110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件とした。
 得られた積層体から仮支持体を剥離した後、超高圧水銀灯を用いて、ラインサイズ=1.0μmであり、ライン:スペース=1:1であるマスクを介して、365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて感光性層を露光した。
 次に露光後の積層体に対して、現像液として炭酸ナトリウム1質量%水溶液(液温:23℃)を用いて35秒間の現像を実施した。現像後、純水で20秒間リンスし、更に、エアを吹きかけて水分を除去し、パターンを作製した。
 このように作製されたパターンを観察し、上記の<解像性評価>に記載された評価基準に基づいて分類したところ、上段部の評価結果(換言すると、感光性組成物を基材へ直接塗設することで感光性層を形成した実施例の評価結果)と同様であった。
(転写フィルム形態におけるパターン形成性2-各膜厚での評価)
《厚さ3.0μmの感光性層でのパターン形成性》
 仮支持体(東レ製PETフィルム、ルミラー16KS40、厚さ16μm)の上に、表1に示す実施例の各感光性組成物を使用して厚さ3.0μmの感光性層を形成した。各実施例の組成物で厚さ3.0μmの感光性層を形成した。感光性層は、感光性組成物の塗布及び乾燥によって形成された。次いで、感光性層の上にカバーフィルム(王子エフテックス社製、ポリプロピレンフィルム、E-201F、厚さ30μm)を設け、転写フィルムを得た。
 基材(表面に厚さ50nmのITO透明電極を有するCOP基材(厚さ30μm)に対して転写フィルムをラミネートした。具体的には、転写フィルムからカバーフィルムを剥離し、転写フィルムのカバーフィルムを剥離して露出する面が上記基材と対向するようにラミネートすることにより、積層体を得た。なお、ラミネートの条件は、基材の温度40℃、ゴムローラー温度110℃、線圧3N/cm、搬送速度2m/分の条件とした。
 得られた積層体から仮支持体を剥離した後、超高圧水銀灯を用いて、ラインサイズ=9.0μmであり、ライン:スペース=1:1であるマスクを介して、365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて感光性層を露光した。
 次に露光後の積層体に対して、現像液として炭酸ナトリウム1.0質量%水溶液(液温:26℃)を用いて35秒間の現像を実施した。現像後、純水で20秒間リンスし、更に、エアを吹きかけて水分を除去し、パターンを作製した。
 得られたパターンを観察したところ、きれいにラインアンドスペースパターンが形成されていることを確認した。
《厚さ5.5μm、8.0μmの感光性層でのパターン形成性》
 また、転写フィルムの作製時に、感光性層の膜厚を5.5μm又は8.0μmとしたこと以外は上記の《厚さ3.0μmの感光性層でのパターン形成性》と同様の手順によりパターンを形成した。
 得られたパターンを観察したところ、きれいにラインアンドスペースパターンが形成されていることを確認した。
(感光性組成物形態におけるパターン形成性3-各膜厚での評価)
《厚さ0.9μmの感光性層でのパターン形成性》
 厚さ0.1mmのガラス(コーニング社製イーグルXG)10×10cm基材上に、実施例の各感光性組成物を乾燥後の厚さが0.9μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成した。
 次いで、ガラス基材上の感光性層に対して、ラインアンドスペースパターンを有するマスク(ラインサイズ=5.0μmであり且つライン:スペース=1:1)を介して、超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光を実施した。
 そして、露光後の感光性層を、1質量%炭酸ナトリウム水溶液(液温:26℃)で35秒間のディップ現像を実施し、純水で20秒間リンスし、更に、エアを吹きかけて水分を除去し、パターンを作製した。
 得られたパターンを観察したところ、きれいにラインアンドスペースパターンが形成されていることを確認した。
《厚さ1.5μm又は2.0μmの感光性層でのパターン形成性》
 また、感光性層の膜厚を1.5μm又は2.0μmとしたこと以外は上記の《厚さ0.9μmの感光性層でのパターン形成性》と同様の手順によりパターンを形成した。
 得られたパターンを観察したところ、きれいにラインアンドスペースパターンが形成されていることを確認した。
 12 仮支持体
 14 感光性層
 16 カバーフィルム
 100 転写フィルム

Claims (22)

  1.  カルボキシ基を有する化合物Aと、
     波長365nmにおけるモル吸光係数が1000(cm・mol/L)-1超である化合物Bと、を含み、
     活性光線又は放射線の照射によって前記カルボキシ基の含有量が減少する、感光性組成物。
  2.  前記化合物Bの波長365nmにおけるモル吸光係数が3000(cm・mol/L)-1以上である、請求項1に記載の感光性組成物。
  3.  前記化合物Bの極大吸収波長が300~400nmの範囲にある、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  4.  前記化合物Bが、露光により前記化合物Aが含む前記カルボキシ基の量を減少させる構造を有する化合物である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  5.  前記化合物Bが、光励起状態において、前記化合物Aが含む前記カルボキシ基から電子を受容できる構造を有する化合物である、請求項4に記載の感光性組成物。
  6.  前記化合物Bが、光励起状態において、前記化合物Aが含む前記カルボキシ基から電子を受容できる構造を有する化合物であり、
     前記化合物Bが含む前記電子を受容できる構造の合計数が、前記化合物Aが含むカルボキシ基の合計数に対して、5モル%以上である、請求項3に記載の転写フィルム。
  7.  前記化合物Bが、置換基を有していてもよい芳香族化合物である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  8.  前記化合物Bが、置換基を有していてもよい多環芳香環化合物である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  9.  極大吸収波長を580~800nmに有する化合物Cを含まないか、又は、
     前記化合物Cを含む場合、前記化合物Cの含有量は、前記化合物Aの含有量に対して、10質量%未満である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  10.  前記化合物Aが、アクリル酸に由来する繰り返し単位及びメタクリル酸に由来する繰り返し単位からなる群から選ばれる1種以上を含むポリマーである、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  11.  エチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含まないか、又は、
     前記重合性化合物を含む場合、前記重合性化合物の含有量が、組成物の全固形分に対して、30質量%以下である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  12.  エチレン性不飽和基を有する重合性化合物を含まないか、又は、
     前記重合性化合物を含む場合、前記重合性化合物の含有量が、組成物の全固形分に対して、0.5質量%以下である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  13.  前記化合物Aの含有量100質量部に対する前記化合物Bの含有量が、0質量部より大きく、50質量部以下である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  14.  前記化合物Aの含有量100質量部に対する前記化合物Bの含有量が、10~50質量部である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  15.  前記感光性組成物から形成される感光性層に対して下記パターン形成条件Aを実施してパターンを形成したとき、下記式(F1)で表される膜減り量が50%以下であり、且つ、
     前記感光性組成物から形成される感光性層に対して下記膜形成条件Bを実施して膜を形成したとき、前記膜の25℃50%RH環境下にて測定される28GHzにおける比誘電率が3.5以下である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
     式(F1):膜減り量(%)={(露光前の感光性層の厚さ-形成されたパターンの凸部の厚さ)/露光前の感光性層の厚さ}×100
    ≪パターン形成方法A≫
     感光性組成物を基材上に乾燥後の厚さ3.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成する。次いで、感光性層を、ラインサイズが1μmであり且つライン/スペースが1/1であるラインアンドスペースパターンを有するマスクを介して、超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光する。そして、露光後の感光性層に対して、液温23℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液に35秒間浸漬して現像し、純水で20秒間リンスし、更に、エアを吹きかけて水分を除去する。
    ≪膜形成方法B≫
     感光性組成物を基材上に乾燥後の厚さ5.0μmになるように塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を100℃で2分間乾燥して感光性層を形成する。次いで、感光性層を、超高圧水銀灯を用いて365nmの照度計で計測した積算露光量が500mJ/cmとなる条件にて露光する。
  16.  仮支持体と、請求項1又は2に記載の感光性組成物から形成された感光性層と、をこの順に有する転写フィルム。
  17.  基材上に、請求項1又は2に記載の感光性組成物を用いて感光性層を形成する工程と、
     前記感光性層をパターン露光する工程と、
     露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、をこの順に含む、パターン形成方法。
  18.  導電層を有する基板上に、請求項1又は2に記載の感光性組成物を用いて感光性層を形成する工程と、
     前記感光性層をパターン露光する工程と、
     露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、
     前記パターンが配置されていない領域における前記導電層に、エッチングする工程、又は、めっきする工程と、
     前記パターンを剥離する工程と、
     更に、前記めっきする工程を有する場合、前記パターンを剥離する工程によって露出した前記導電層を除去し、前記基板上に配線パターンを形成する工程と、をこの順に含む、回路配線の製造方法。
  19.  導電層を有する基板上に、請求項1又は2に記載の感光性組成物を用いて感光性層を形成する工程と、
     前記感光性層をパターン露光する工程と、
     露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された前記導電層の保護膜又は絶縁膜を形成する工程と、をこの順に含む、タッチパネルの製造方法。
  20.  基材上に、請求項16に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
     前記感光性層をパターン露光する工程と、
     露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、をこの順に含む、パターン形成方法。
  21.  導電層を有する基板上に、請求項16に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
     前記感光性層をパターン露光する工程と、
     露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターンを形成する工程と、
     前記パターンが配置されていない領域における前記導電層に、エッチングする工程、又は、めっきする工程と、
     前記パターンを剥離する工程と、
     更に、前記めっきする工程を有する場合、前記パターンを剥離する工程によって露出した前記導電層を除去し、前記基板上に配線パターンを形成する工程と、をこの順に含む、回路配線の製造方法。
  22.  導電層を有する基板上に、請求項16に記載の転写フィルムを用いて感光性層を形成する工程と、
     前記感光性層をパターン露光する工程と、
     露光された前記感光性層をアルカリ現像液を用いて現像して、パターン化された前記導電層の保護膜又は絶縁膜を形成する工程と、をこの順に含む、タッチパネルの製造方法。
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