WO2022091901A1

WO2022091901A1 - 月経随伴症状の予防、改善又は緩和のための組成物

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Publication number: WO2022091901A1
Application number: PCT/JP2021/038725
Authority: WO
Inventors: 克典佐々木; 惠子平野; 貴光吉田; 進前田; 侑樹北牧; 陽太島戸; 麻里柳瀬
Original assignee: 住友化学株式会社
Priority date: 2020-10-28
Filing date: 2021-10-20
Publication date: 2022-05-05
Also published as: US20230389591A1; JP2022071835A; CN116761617A; TW202233222A; EP4238611A1

Abstract

成分（１）：竜眼肉、胡芦巴、枸杞子、鎖陽、胡麻仁、続断、骨砕補、沙苑子、黒豆、九香虫、海馬及び阿膠からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬　成分（２）：女貞子、牡蠣、旱蓮草、桑椹、決明子、薄荷、桑葉、山梔子、茶葉、昆布、野菊花、百花蛇舌草、車前子、車前草、小麦、青霜子、菊花、蒲公英、大青葉、半枝蓮、金銭草、欝金、地楡及び番紅花からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬　成分（３）：莪朮、鶏血藤、姜黄、サンリョウ、絲瓜絡、紅花、劉寄奴、仙鶴草、棕櫚、降香、血竭、水蛭、三七、景天三七、花蕊石及び藕節からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬

Description

月経随伴症状の予防、改善又は緩和のための組成物

　本発明は、生薬成分を含む、月経随伴症状の予防、改善又は緩和に用いるための組成物に関する。

　月経に伴う症状、つまり月経随伴症状には、月経前に生じる症状（月経前症状）、月経中に生じる症状（月経時症状）及び月経前期から月経期にかけて生じる症状の３種類がある。先行研究によると、「２０００年以降の調査を見ると、月経前症状７３．９～８７．７％、月経時症状７９～９８．５％、月経前から月経時症状９８．４～９９．９％、日常生活への支障２７．１～３５．３％であった」と報告されている。また、月経随伴症状による社会経済的な損失は年間６，８２８億円にもなると推定されており、女性にとって日常生活・社会生活上の重大な問題であるだけでなく、解決が強く望まれる社会課題でもある(非特許文献１)。

　月経随伴症状の対処には一般に、市販薬や処方薬による薬物療法が用いられるが、医療費の適正化の観点から食品組成物による予防、改善又は緩和が図られることが望ましい。例えば、特許文献１では、月経随伴症状の１つである生理痛（月経痛）を緩和する食品として、スコウバイン及びラズベリーを中心として、これにアミノ酸、ビタミンＣ等の矯味成分、果糖又はキシリトール等の甘味成分、並びに整粒・賦型成分を加えてなる生理痛緩和食品が開示されている。

　生薬は、代表的な伝統医学体系である中国医学及びそれに端を発する漢方医学において、医薬品又は食品に用いられる薬用植物群であり、数千年という長い臨床経験の蓄積に基づきその効能や使用法が体系化されている。また、中国医学に根付く未病思想は、予防と親和性が高く、予防によるＱＯＬ向上を実現する食品素材として期待が高まっている。しかしながら、生薬の組み合わせによる効能の発現には未だ未解明な部分も多く、新規の組み合わせを見出し有益な食品組成物を構築する余地は十二分にある。

特開２００４－１２１１７４号公報

Doshisha ClinicalPsychology:Therapy and Research (2014) Vol.4, No.1, Pp.25-37

　本発明は、月経随伴症状の予防、改善又は緩和に用いることができる、生薬成分を含む新規組成物を提供することを目的とする。

　本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の帰経及び性味を有する３つの生薬群を選定して配合することで、月経随伴症状を予防、改善又は緩和することができることを見出した。本発明は、本知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、生薬成分を含む新規な組成物を提供するものである。

　すなわち、本発明は、以下のとおりである。

［１］
　有効成分として、下記の成分（１）、成分（２）及び成分（３）を含む、組成物。
　成分（１）：竜眼肉、胡芦巴、枸杞子、鎖陽、胡麻仁、続断、骨砕補、沙苑子、黒豆、九香虫、海馬及び阿膠からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬
　成分（２）：女貞子、牡蠣、旱蓮草、桑椹、決明子、薄荷、桑葉、山梔子、茶葉、昆布、野菊花、百花蛇舌草、車前子、車前草、小麦、青霜子、菊花、蒲公英、大青葉、半枝蓮、金銭草、欝金、地楡及び番紅花からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬
　成分（３）：莪朮、鶏血藤、姜黄、サンリョウ、絲瓜絡、紅花、劉寄奴、仙鶴草、棕櫚、降香、血竭、水蛭、三七、景天三七、花蕊石及び藕節からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬
［２］
　成分（２）が、女貞子、牡蠣、旱蓮草、桑椹及び決明子らなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬である、［１］に記載の組成物。
［３］
　月経随伴症状の予防、改善又は緩和に用いるための、［１］又は［２］に記載の組成物。
［４］
　月経随伴症状が、月経痛、下腹部痛、乳房の張り若しくは痛み、経血量の異常、帯下の異常、貧血症状、通常と異なる食欲増進、消化不良症状、冷え症、浮腫み、頭痛、便秘、下痢、腹部膨満感、並びに、陰部及びその周辺部症状からなる群より選択される少なくとも１つである、［１］～［３］のいずれかに記載の組成物。
［５］
　食品組成物又は医薬組成物である、［１］～［４］のいずれかに記載の組成物。

　本発明の組成物によれば、月経随伴症状の全般を予防、改善又は緩和することができ、特に月経痛、下腹部痛、乳房の張り若しくは痛み、経血量の異常、帯下の異常、貧血症状、通常と異なる食欲増進、消化不良症状、冷え症、浮腫み、頭痛、便秘、下痢、腹部膨満感、陰部及びその周辺部症状等を予防、改善又は緩和することができ、ＱＯＬの向上及び社会課題の解決に寄与しうる。

　本発明の組成物によれば、さらに、顔色・血色の悪さ、色艶のなさ、肌のくすみ・目の下のクマ、にきび・吹き出物、傷・あざの治りにくさ、肌荒れ・肌のかゆみ、性欲減退、腰痛、更年期様症状、慢性的疲労、抜け毛、耳鳴り、ドライアイ、眼精疲労、情緒不安定、精神不安・うつ様症状、眠気、寝つきの悪さ、睡眠の浅さ、風邪の引きやすさ、手の平の赤みなどの症状から選択される少なくとも１つの症状を予防、改善又は緩和することができる。

　帰経とは、中国医学（中医学）で用いられる概念の１つであり、生薬が人体のどの部分に作用するかを指し、薬効が現れる作用部位を示す。帰経はいわゆる「五臓」、すなわち、「肝・心・脾・肺・腎」で構成されるが、中国医学の五臓は解剖学的臓器とは一致せず、より人体の「機能」を意味する。肝は、自律経、情緒、運動神経、婦人科系、肝臓に関係し、血液を貯蔵し、気血がスムーズに流れるようにコントロールする。心は、脳、心臓を含む循環器系に関係し、血を全身にめぐらせ、滋養させる働きがある。脾は、消化器系、アレルギー、水分代謝の一部に関係し、飲食物を消化吸収し、体の基本となる「気血水」を作る。肺は、呼吸器系、皮膚、水分代謝の一部、アレルギーに関係し、脾と協力して「気」をつくり、全身に散布し、水のめぐりを調節し、身体を外邪から守る、免疫力と関係が深い。腎は、生殖器系、泌尿器系、内分泌系、老化や発育に関係し、生命エネルギーの源を蓄え、全身の水の代謝を司り、尿を生成し、再吸収する。中国医薬では、五臓は共同で人体の精気の生成や貯蔵を行い、精神活動もコントロールするとされている。

　性味（「気味」ともいう）とは、生薬の性質を示す分類体系の一類型であり、それぞれの味は五臓に関係し、また味自体にそれぞれ役割がある。最も一般的には、「寒・涼・平・温・熱」の五性により人体を冷やしたり、温めたりする性質を示し、また、「辛・甘・酸・苦・鹹」の五味により摂取時の味を示すとともに効能の指標ともなっている。五味にはさらに「淡・渋」が加えられることもある。「熱」及び「温」は寒さを退けて身体を温かくし、興奮させ、活発にする働きがあり、一方、「寒」及び「涼」は体の熱を冷まし、解毒し、気持ちを落ち着かせる働きがあり、「平」は、温めもせず冷やしもしない性質をいう。「寒」は程度によって「大寒」、「寒」、「微寒」にさらに分けることもある。「辛」は肺に関係し、発汗させ、気を巡らし、散らす作用がある。「甘」は脾に関係し、補う又は緩和する作用がある。「酸」は肝に関係し、ひきしめる作用がある。「苦」は心に関係し、熱を冷まし、湿を乾かし、下す作用がある。「鹹」は腎に関係し、堅いものを柔らかくし、潤して下す作用がある。性味は程度によって「大寒」、「微苦」等のように細分化されることもある。

　帰経及び性味は、ほぼ全ての生薬に設定されており、帰経及び／又は性味の一致する生薬はその効能も同様となる傾向が強く、膨大な生薬の効能・処方設計の体系化を助ける技術思想の代表的なものである。

　本発明の組成物は、有効成分として、成分（１）、成分（２）及び成分（３）を含む。成分（１）、成分（２）及び成分（３）は、表１に示すようにそれぞれ共通の帰経及び／又は性味を有する生薬群である。各生薬は、一般的に知られている由来及び部位を用いられる。

　成分（１）は帰経が「肝」又は「心」であり、かつ、五性が「温」又は「平」である生薬であり、血を増やす作用が期待される生薬である。具体的には、竜眼肉、胡芦巴、枸杞子、鎖陽、胡麻仁、続断、骨砕補、沙苑子、黒豆、九香虫、海馬及び阿膠からなる群より選ばれる少なくとも１種である。これらの生薬のうち、入手しやすさ（供給安定性）、味又は効能の観点から、竜眼肉、胡芦巴、枸杞子、鎖陽、胡麻仁、続断、骨砕補及び沙苑子からなる群より選ばれる少なくとも１種であることが好ましく、少ない原料生薬量で効果を奏する観点から、竜眼肉、胡芦巴、枸杞子及び鎖陽からなる群より選ばれる少なくとも１種であることがより好ましく、竜眼肉であることが特に好ましい。成分（１）としては、１種の生薬、２種の生薬、３種の生薬、又は４種以上の生薬であってよい。

　成分（２）は帰経が「肝」であり、かつ、五性が「寒」又は「涼」である生薬であり、具体的には、女貞子、牡蠣、旱蓮草、桑椹、決明子、薄荷、桑葉、山梔子、茶葉、昆布、野菊花、百花蛇舌草、車前子、車前草、小麦、青霜子、菊花、蒲公英、大青葉、半枝蓮、金銭草、欝金、地楡及び番紅花からなる群より選ばれる少なくとも１種である。成分（２）としては、１種の生薬、２種の生薬、３種の生薬、又は４種以上の生薬であってよい。

　成分（２）として、上述の生薬のうち、帰経が「肝」及び「腎」である女貞子、牡蠣、旱蓮草、桑椹及び決明子からなる群より選ばれる少なくとも１種であることが好ましく、少ない原料生薬量で効果を奏する観点から、女貞子、牡蠣、旱蓮草及び決明子からなる群より選ばれる少なくとも１種であることがより好ましく、味又は効能の観点から、女貞子及び／又は牡蠣であることが特に好ましい。

　また、成分（２）として、決明子、薄荷、車前子及び車前草からなる群より選ばれる少なくとも１種であることが好ましく、本発明の組成物がこれらの成分の少なくとも１つを含むことにより、これら生薬が有する整腸作用を増強して発揮させることができ、短期的に特徴的な効能を体感可能な組成物を得ることができる。

　また、成分（２）として、牡蠣、薄荷、茶葉、百花蛇舌草、車前子、車前草、半枝蓮及び金銭草からなる群より選ばれる少なくとも１種であることが好ましく、本発明の組成物がこれらの成分の少なくとも１つを含むことにより、これら生薬が有する代謝向上作用を増強して発揮させることができ、短期的に特徴的な効能を体感可能な組成物を得ることができる。

　成分（３）は帰経が「肝」又は「心」であり、かつ、五性が「温」又は「平」である生薬であり、血の巡りを活性化させる作用が期待される生薬である。具体的には、莪朮、鶏血藤、姜黄、サンリョウ、絲瓜絡、紅花、劉寄奴、仙鶴草、棕櫚、降香、血竭、水蛭、三七、景天三七、花蕊石及び藕節からなる群より選ばれる少なくとも１種である。これらの生薬のうち、味又は効能の観点から、莪朮、鶏血藤、姜黄、サンリョウ、絲瓜絡、紅花、劉寄奴、仙鶴草及び棕櫚からなる群より選ばれる少なくとも１種であることが好ましく、莪朮、鶏血藤、姜黄、サンリョウ及び絲瓜絡からなる群より選ばれる少なくとも１種であることがより好ましく、少ない原料生薬量で効果を奏する観点から、莪朮、鶏血藤及び姜黄であることが特に好ましい。成分（３）としては、１種の生薬、２種の生薬、３種の生薬、又は４種以上の生薬であってよい。

　成分（１）、成分（２）及び成分（３）の生薬の帰経及び五性を下記表１に纏めた。

　成分（１）の各生薬について簡単に説明する。竜眼肉（リュウガンニク）は、ムクロジ科リュウガン（Ｄｉｍｏｃａｒｐｕｓ　ｌｏｎｇａｎ　Ｌｏｕｒ．）の仮種皮を半乾燥したものである。胡芦巴（コロハ）は、Ｔｒｉｇｏｎｅｌｌａ　ｆｏｅｎｕｍ－ｇｒａｅｃｕｍ　Ｌ．の種子を乾燥したものである。枸杞子（クコシ）は、Ｌｙｃｉｕｍ　ｃｈｉｎｅｎｓｅ　Ｍｉｌｌ．又はＬｙｃｉｕｍ　ｂａｒｂａｒｕｍ　Ｌ．の果実を乾燥したものである。鎖陽（サヨウ）は、Ｃｙｎｏｍｏｒｉｕｍ　ｃｏｃｃｉｎｅｕｍ　Ｌ．の全草を乾燥したものである。胡麻仁（ゴマニン）は、Ｓｅｓａｍｕｍ　ｉｎｄｉｃｕｍ　Ｌ．の種子を乾燥したものである。続断（ゾクダン）は、Ｄｉｐｓａｃｕｓ　ａｓｐｅｒ　Ｗａｌｌ．　ｅｘ　Ｃ．ｂ．Ｃｌａｒｋｅの根を乾燥したものである。骨砕補（コツサイホ）は、Ｄｒｙｎａｒｉａ　ｆｏｒｔｕｎｅｉ　（Ｋｕｎｚｅ　ｅｘ　Ｍｅｔｔ．）　Ｊ．Ｓｍ．の根茎を乾燥したものである。沙苑子（サエンシ）は、Ａｓｔｒａｇａｌｕｓ　ｃｏｍｐｌａｎａｔｕｓ　Ｒ．　Ｂｒ．の種子を乾燥したものである。黒豆（コクトウ）は、Ｇｌｙｃｉｎｅ　ｍａｘ　（Ｌ．）　Ｍｅｒｒ．の種子を乾燥したものである。九香虫（キュウコウチュウ）は、Ａｓｐｏｎｇｏｐｕｓ　ｃｈｉｎｅｎｓｉｓ　Ｄａｌｌａｓの全体を乾燥したものである。海馬（カイマ）は、Ｈｉｐｐｏｃａｍｐｕｓ　ｋｅｌｌｏｇｇｉ　Ｊｏｒｄａｎ　ｅｔ　Ｓｎｙｄｅｒ又はＨｉｐｐｏｃａｍｐｕｓ　ｈｉｓｔｒｉｘ　Ｋａｕｐ又はＨｉｐｐｏｃａｍｐｕｓ　ｋｕｄａ　Ｂｌｅｅｋｅｒ．又はＨｉｐｐｏｃａｍｐｕｓ　ｔｒｉｍａｃｕｌａｔｕｓ　Ｌｅａｃｈの全体を乾燥したものである。阿膠（アキョウ）は、Ｅｑｕｕｓ　ａｓｉｎｕｓ　Ｌ．の毛を去った皮、骨、けん又はじん帯を水で加熱抽出し、脂肪を去り、濃縮乾燥したものである。

　成分（２）の各生薬について簡単に説明する。女貞子（ジョテイシ）は、Ｌｉｇｕｓｔｒｕｍ　ｌｕｃｉｄｕｍ　Ａｉｔｏｎの果実を乾燥したものである。牡蛎（ボレイ）は、Ｏｓｔｒｅａ　ｇｉｇａｓ　Ｔｈｕｎｂ．の貝殻である。旱蓮草（カンレンソウ）は、Ｅｃｌｉｐｔａ　ｐｒｏｓｔｒａｔａ　Ｌ．の全草を乾燥したものである。桑椹（ソウジン）は、Ｍｏｒｕｓ　ａｌｂａ　Ｌ．又はＭｏｒｕｓ　ａｕｓｔｒａｌｉｓ　Ｐｏｉｒ．の果実を乾燥したものである。決明子（ケツメイシ）は、Ｃａｓｓｉａ　ｏｂｔｕｓｉｆｏｌｉａ　Ｌ．又はＣａｓｓｉａｔｏｒａ　Ｌ．の種子を乾燥したものである。薄荷（ハッカ）は、Ｍｅｎｔｈａ　ａｒｖｅｎｓｉｓ　Ｌ．　ｖａｒ．　ｐｉｐｅｒａｓｃｅｎｓ　Ｍａｌｉｎｖ．の地上部を乾燥したものである。桑葉（ソウヨウ）は、Ｍｏｒｕｓ　ａｌｂａ　Ｌ．の葉を乾燥したものである。山梔子（サンシシ）は、Ｇａｒｄｅｎｉａ　ｊａｓｍｉｎｏｉｄｅｓ　Ｅｌｌｉｓの果実を乾燥したものである。茶葉（チャヨウ）は、Ｃａｍｅｌｌｉａ　ｓｉｎｅｎｓｉｓ　Ｋｕｎｔｚｅの葉を乾燥したものである。昆布（コンブ）は、Ｓａｃｃｈａｒｉｎａ　ｊａｐｏｎｉｃａ（Ａｒｅｓｃｈｏｕｇ）　Ｃ．　Ｅ．　Ｌａｎｅ，　Ｃ．　Ｍａｙｅs，　Ｏｒｕｅｈｌ　ｅｔ　Ｇ．　Ｗ．Ｓａｕｎｄｅｒｓ又はｓ　ａｃｃｈａｒｉｎａ　ｒｅｌｉｇｉｏｓａ（Ｍｉｙａｂｅ）　Ｃ．　Ｅ．　Ｌａｎｅ，　Ｃ．　Ｍａｙｅｓ，　Ｏｒｕｅｈｌ　ｅｔ　Ｇ．　Ｗ．　Ｓａｕｎｄｅｒｓ又はＳａｃｃｈａｒｉｎａ　ｏｃｈｏｔｅｎｓｉｓ（Ｍｉｙａｂｅ）　Ｃ．　Ｅ．　Ｌａｎｅ，　Ｃ．　Ｍａｙｅｓ，　Ｏｒｕｅｈｌ　ｅｔ　Ｇ．　Ｗ．　Ｓａｕｎｄｅｒｓ又はＳａｃｃｈａｒｉｎａ　ｌｏｎｇｉｓｓｉｍａ（Ｍｉｙａｂｅ）　Ｃ．　Ｅ．　Ｌａｎｅ，　Ｃ．　Ｍａｙｅｓ，　Ｏｒｕｅｈｌ　ｅｔ　Ｇ．　Ｗ．　Ｓａｕｎｄｅｒｓ、その他Ｓａｃｃｈａｒｉｎａ属植物の葉を乾燥したものである。野菊花（ノギッカ）は、Ｃｈｒｙｓａｎｔｈｅｍｕｍ　ｉｎｄｉｃｕｍ　Ｌ．の頭花を乾燥したものである。百花蛇舌草（ビャッカジャゼツソウ）は、Ｈｅｄｇｏｔｉｓ　ｄｉｆｆｕｓａ　ＷＩＬＬＤ．の全草を乾燥したものである。車前子（シャゼンシ）は、Ｐｌａｎｔａｇｏ　ａｓｉａｔｉｃａ　Ｌ．の種子を乾燥したものである。車前草（シャゼンソウ）は、Ｐｌａｎｔａｇｏ　ａｓｉａｔｉｃａ　Ｌ．の花期の全草を乾燥したものである。小麦（ショウバク）は、Ｔｒｉｔｉｃｕｍ　ａｅｓｔｉｖｕｍ　Ｌ．の種子を乾燥したものである。青霜子（セイソウシ）は、Ｃｅｌｏｓｉａ　ａｒｇｅｎｔａｅ　Ｌ．の種子を乾燥したものである。菊花（キッカ）は、Ｃｈｒｙｓａｎｔｈｅｍｕｍ　ｍｏｒｉｆｏｌｉｕｍ　Ｒａｍａｔ．の頭花を乾燥したものである。蒲公英（ホコウエイ）は、Ｔａｒａｘａｃｕｍ　ｍｏｎｇｏｌｉｃｕｍ　Ｈａｎｄ．－Ｍａｚｚ．又はＴａｒａｘａｃｕｍ　ｓｉｎｉｃｕｍ　Ｋｉｔａｇ．又はＴａｒａｘａｃｕｍ　ｐｌａｎｔｙｐｅｃｉｄｕｍ　Ｄｉｅｌｓ又はＴａｒａｘａｃｕｍ　ｐｕｓｅｕｄｏ－ａｌｂｉｄｕｍ　Ｋｉｔａｇ．又はＴａｒａｘａｃｕｍ　ｃｕｓｐｉｄａｔｕｍ　Ｄａｈｌｓｔ．その他Ｔａｒａｘａｃｕｍ属植物の根を含む全草を乾燥したものである。大青葉（ダイセイヨウ）は、Ｂａｐｈｉｃａｃａｎｔｈｅｓ　ｃｕｓｉａ　Ｂｒｅｍｅｋ．又はＩｓａｔｉｓ　ｔｉｎｃｔｏｒｉａ　Ｌ．の葉を乾燥したものである。半枝蓮（ハンシレン）は、Ｓｃｕｔｅｌｌａｒｉａ　ｂａｒｂａｔａ　ｄ．　Ｄｏｎの全草を乾燥したものである。金銭草（キンセンソウ）は、Ｄｅｓｍｏｄｉｕｍ　ｓｔｙｒａｃｉｆｏｌｉｕｍ　（Ｏｓｂｅｃｋ）　Ｍｅｒｒ．の全草を乾燥したものである。欝金（ウコン）は、Ｃｕｒｃｕｍａ　ｌｏｎｇａ　Ｌ．又はＣｕｒｃｕｍａ　ａｒｏｍａｔｉｃａ　Ｓａｌｉｓｂ．の塊根を乾燥したものである。地楡（チユ）は、Ｓａｎｇｕｉｓｏｒｂａ　ｏｆｆｉｃｉｎａｌｉｓ　Ｌ．の根及び根茎を乾燥したものである。番紅花（バンコウカ）は、Ｃｒｏｃｕｓ　ｓａｔｉｖｕｓ　Ｌ．の柱頭を乾燥したものである。

　成分（３）の各生薬について簡単に説明する。莪朮（ガジュツ）は、Ｃｕｒｃｕｍａ　ｚｅｄｏａｒｉａ　Ｒｏｓｃｏｅの根茎を，通例，湯通しし乾燥したものであるである。鶏血藤（ケイケットウ）は、Ｓｐａｔｈｏｌｏｂｕｓ　ｓｕｂｅｒｅｃｔｕｓ　Ｄｕｎｎ又はＭｕｃｕｎａ　ｂｉｒｄｗｏｏｄｉａｎａ　Ｔｕｔｃｈｅｒの茎を乾燥したものである。姜黄（ウコン又はキョウオウ）は、Ｃｕｒｃｕｍａ　ｌｏｎｇａ　Ｌ．の根茎をそのまま又はコルク層を除いたものを、通例、湯通しし乾燥したものである。サンリョウは、Ｓｐａｒｇａｎｉｕｍ　ｓｔｏｌｏｎｉｆｅｒｕｍ　Ｂｕｃｈａｎａｎ－Ｈａｍｉｌｔｏｎの根茎を乾燥したものである。絲瓜絡（シカラク）は、Ｌｕｆｆａ　ｃｙｌｉｎｄｒｉｃａ　Ｒｏｅｍ．の網状繊維を乾燥したものである。紅花（コウカ）は、Ｃａｒｔｈａｍｕｓ　ｔｉｎｃｔｏｒｉｕｓ　Ｌ．の管状花をそのまま又は黄色色素の大部分を除き乾燥したもので，ときに圧搾して板状とし乾燥したものである．である。劉寄奴（リュウキド）は、Ｓｉｐｈｏｎｏｓｔｅｇｉａ　ｃｈｉｎｅｎｓｉｓ　Ｂｅｎｔｈ．又はＡｒｔｃｍｉｓｉａ　ａｎｏｍａｌａ　ｓ．　Ｍｏｏｒｅの全草を乾燥したものである。仙鶴草（センカクソウ）は、Ａｇｒｉｍｏｎｉａ　ｐｉｌｏｓａ　Ｌｅｄｅｂ．の全草を乾燥したものである。棕櫚（シュロ）は、Ｔｒａｃｈｙｃａｒｐｕｓ　ｆｏｒｔｕｎｅｉ（Ｈｏｏｋ．ｆ．）Ｈ．Ｗｅｎｄｌ．の葉柄を乾燥したものである。降香（コウコウ）は、Ａｃｒｏｎｉｃｈｉａ　ｐｅｄｕｎｃｕｌａｔａ　（Ｌ）　Ｍｉｑ．の木部を乾燥したものである。血竭（ケッケツ）は、Ｄａｅｍｏｎｏｒｏｐｓ　ｄｒａｃｏ　Ｂｌｕｍｅの樹脂を乾燥したものである。水蛭（スイテツ）は、Ｗｈｉｔｍａｎｉａ　ｐｉｇｒａ　Ｗｈｉｔｍａｎの全体を乾燥したものである。三七（サンシチ）は、Ｐａｎａｘ　ｎｏｔｏｇｉｎｓｅｎｇ　Ｆｅｎｇ　Ｈｗａｉ　Ｃｈｅｎの細根を除いた根を乾燥したものであるである。景天三七（ケイテンサンシチ）は、Ｓｅｄｕｍ　ａｉｚｏｏｎ　Ｌ．の根を付けた全草を乾燥したものである。花蕊石（カズイセキ）は、蛇紋石を含む大理石Ｏｐｈｉｃａｌｃｉｔｅである。藕節（グウセツ）は、Ｎｅｌｕｎｂｏ　ｎｕｃｉｆｅｒａ　Ｇａｅｒｔｎ．の根茎の節部を乾燥したものである。

　成分（１）、成分（２）及び成分（３）の生薬は、作用が比較的緩和なものであり、食品として日常的に摂取できるものである。各生薬群の生薬は任意に組み合わせることができるが、特に好ましい組み合わせとして以下の表２に示す。

　本発明の組成物に含まれる成分（１）、成分（２）及び成分（３）としての生薬は、生薬のままであってもよく、生薬を細断又は粉砕したものであってもよく、或いは、生薬のエキスであってもよい。本願明細書において、生薬のエキスとは、生薬を製薬上許容される水性溶媒、例えば、水（熱水を含む）、エタノール又は水とエタノールとの混合溶媒によって抽出されたものであることが好ましい。生薬エキスは、公知の抽出方法によって作製されるものであってよく、一般的な軟エキス又はエキス末・エキス顆粒であってよい。

　本発明の組成物は、月経随伴症状の予防、改善又は緩和に用いるための組成物である。月経随伴症状は、月経前症状、月経時症状及び月経前期から月経期にかけて生じる症状の３種類がある。月経前症状は、主に月経前症候群（ｐｒｅｍｅｎｓｔｒｕａｌ　ｓｙｎｄｒｏｍｅ；ＰＭＳ）を指し、ＰＭＳとは、月経前３～１０日間から始まる精神的，身体的症状で月経開始とともに減退あるいは消失するものをいう。月経時症状は、主に月経困難症又は月経痛症を指し、月経困難症又は月経痛症は月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状のことであり、下腹痛、腰痛、腹部膨満感、吐気、頭痛、疲労、脱力感、食欲不振、イライラ、下痢及び憂うつの順に多く見られる。月経前期から月経期にかけて生じる症状は、主に周経期症候群（ｐｅｒｉｍｅｎｓｔｒｕａｌ　ｓｙｎｄｒｏｍｅ；ＰＥＭＳ）を指し、ＰＥＭＳの症状は、イライラ、無気力、不安が高まる、憂うつ等の精神症状と、１人でいたい、月経が嫌になるという社会的症状等が該当する。

　本発明の組成物は、特定の帰経及び性味の生薬を配合することによって、様々な月経随伴症状の予防、改善又は緩和に用いることができる組成物である。すなわち、成分（１）が婦人科系に関係する肝に働きかけて血を増やすと共に、成分（３）が血の巡りを活性化させ、さらに成分（２）によって寒／温のバランスと取ることで女性の気血（血の巡り）を整え、様々な月経随伴症状を予防、改善又は緩和することができる。特に、月経痛、下腹部痛、乳房の張り若しくは痛み、経血量の異常（経血量が多い又は少ない）、帯下（おりもの）の異常（おりものが多い若しくは少ない、又はおりものの粘り気が強いなど）、貧血症状、通常と異なる食欲増進、消化不良症状、冷え症、浮腫み、頭痛、便秘、下痢、腹部膨満感、陰部及びその周辺部症状等の月経随伴症状に有効であり、例えば、これらの月経随伴症状から選択される少なくとも１つ、少なくとも３つ、少なくとも５つ、少なくとも７つ、少なくとも９つ、少なくとも１１、少なくとも１３、又は全部の症状に有効である。なお、通常と異なる食欲増進とは、月経期特有に普段と異なる食欲増進が認められる現象を意味し、ホルモンバランスの変動による影響が指摘されている。陰部及びその周辺部症状は、陰部及びその周辺部（いわゆるデリケートゾーン）における痛み、痒み、炎症、ムズムズ感、匂いなどを意味する。

　本発明の組成物は、さらに、顔色・血色の悪さ、色艶のなさ、肌のくすみ・目の下のクマ、にきび・吹き出物、傷・あざの治りにくさ、肌荒れ・肌のかゆみ、性欲減退、肩凝り、腰痛、更年期様症状、慢性的疲労、抜け毛、耳鳴り、ドライアイ、眼精疲労、情緒不安定（感情の起伏が激しく、怒りやすいなど）、精神不安（気分が落ち込みやすいなど）・うつ様症状、眠気、寝つきの悪さ、睡眠の浅さ、風邪の引きやすさ、手の平の赤みなどの症状から選択される少なくとも１つの症状（例えば、少なくとも２つ、少なくとも３つ、少なくとも４つ、少なくとも５つ、少なくとも６つ、少なくとも７つ、少なくとも８つ、少なくとも９つ以上の症状）を予防、改善又は緩和することができる。これらの症状・状態は、必ずしも月経随伴症状ではないが、女性特有の悩み（女性ホルモン関連）又は血の巡りに関連する症状であり、本発明の組成物は、気血（血の巡り）を整えることで、女性特有の悩みや血の巡りに関連する症状全般をも広く予防、改善又は緩和することができると考えられる。前記女性特有の悩みや血の巡りに関連する症状全般は、顔色・血色の悪さ、色艶のなさ、肌のくすみ・目の下のクマ、にきび・吹き出物、傷・あざの治りにくさ、肌荒れ・肌のかゆみなどからなる美容関係症状；性欲減退、肩凝り、腰痛、更年期様症状、慢性的疲労、抜け毛、耳鳴り、ドライアイ、眼精疲労などからなる更年期関係症状；情緒不安定、精神不安・うつ様症状、眠気、寝つきの悪さ、睡眠の浅さなどからなる精神関係症状；風邪の引きやすさ、手のひらの赤みなどからなるその他関連症状に分類することができる。

　本発明の組成物に含まれる成分（１）、成分（２）及び成分（３）としての生薬の配合量は、摂取者の体重、年齢、症状等の種々の条件に応じて適宜設定することができ、月経随伴症状の予防、改善又は緩和を発揮するのに十分な量であればよく、１日量あたりの生薬の重量（エキスの場合、使用した生薬の重量（生薬換算重量））（ｇ／日）で規定される。組成物の摂取は１日１回であってもよく、複数回、例えば２回、３回又は４回に分けて摂取してもよい。複数回摂取する場合は、１日の合計量が１日量となるように摂取すればよい。

　各生薬の１日量としては、成分（１）として、竜眼肉３～１２ｇ、胡芦巴３～９ｇ、枸杞子３～９ｇ、鎖陽３～９ｇ、胡麻仁９～３０ｇ、続断９～１５ｇ、骨砕補９～１５ｇ、沙苑子９～１５ｇ、黒豆３０～６０ｇ、九香虫３～６ｇ、海馬３～９ｇ、阿膠６～１５ｇが挙げられ、成分（２）として、女貞子２～１５ｇ、牡蛎２～３０ｇ、旱蓮草２～１５ｇ、桑椹３～３０ｇ、決明子２～１５ｇ、薄荷１．５～６ｇ、桑葉３～９ｇ、山梔子３～９ｇ、茶葉３～１５ｇ、昆布１０～１５ｇ、野菊花９～１５ｇ、白花蛇舌草１５～６０ｇ、車前子３～９ｇ、車前草９～１５ｇ、小麦３０～６０ｇ、青霜子３～１５ｇ、菊花６～１２ｇ、蒲公英６～３０ｇ、大青葉６～１５ｇ、半枝蓮１５～３０ｇ、金銭草１５～３０ｇ、欝金３～９ｇ、地楡９～１５ｇ、番紅花１～３ｇが挙げられ、成分（３）として、莪朮１．５～９ｇ、鶏血藤３～６０ｇ、姜黄１．５～９ｇ、サンリョウ１．５～９ｇ、絲瓜絡３～１５ｇ、紅花３～１５ｇ、劉寄奴９～６０ｇ、仙鶴草９～６０ｇ、棕櫚６～１５ｇ、降香３～６ｇ、血竭１～１．５ｇ、水蛭３～６ｇ、三七３～９ｇ、景天三七１５～３０ｇ、花蕊石３～９ｇ、藕節１０～３０ｇが挙げられる。成分（１）、（２）又は（３）として、複数の生薬が用いられる場合、各生薬の１日量は適宜に減量してもよい。

　本発明の組成物は、食品組成物又は医薬組成物であることが好ましい。食品組成物は、食品としてあり得る任意の形態であってよい。例えば、乳製品；発酵食品(ヨーグルト、チーズ等)；飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、炭酸飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳酸菌入り飲料、ヨーグルト飲料、日本酒、果実酒、洋酒のような酒等)；スプレッド類(カスタードクリーム等)；ペースト類(フルーツペースト等)；洋菓子類(ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、キャンデー、ゼリー、クッキー、ケーキ、チョコレート、プリン等)；和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等)；氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等)；食品類(カレー、牛丼、雑炊、粥、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等)；調味料類(ドレッシング、旨味調味料、ふりかけ、スープの素等)等が挙げられる。かかる食品組成物は、業務店舗で料理として提供することもでき、また、惣菜、レトルト食品、冷凍食品、その他一般的な食品組成物の包装形態等を取って一般流通形態で提供することもできる。

　上記各種形態の食品組成物は、有効成分としての成分（１）、成分（２）及び成分（３）の他に、有効成分の作用に影響を与えなければ、食品として許容される成分を含んでもよい。例えば、各種一般食材、デンプン、ゼラチン、植物油脂、動物油脂、加工油脂等、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、カラヤガム、コンニャクグルコマンナン、キサンタンガム、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、カロブビーンガム、アルギン酸、シクロデキストリン等のゲル化剤、調味料、甘味料、香辛料、着色料、保存料、酸化防止剤、水、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等が挙げられる。

　本発明の食品組成物は、さらに複合的な効果を奏することを目的として、機能性を有する食品材料を適宜任意に配合することができる。例えば、成分（１）、成分（２）及び成分（３）以外の各種生薬、各種プロバイオティクス、各種オリゴ糖、ビタミン、ミネラル等の栄養成分、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、その他公知の機能性食品材料を適宜任意に配合することができる。

　各種形態の食品組成物の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。また、生薬の特有の味及び匂いを低減できる成分を添加したり、処理を行ったりしてもよい。

　本発明の食品組成物は、また、保健、健康維持、健康増進等を目的とする食品、例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品又は栄養機能食品等であってよい。本発明の食品組成物は、サプリメントである場合、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤、ドリンク剤、ゼリー等の形態であってもよい。

　本発明の食品組成物における有効成分としての成分（１）、成分（２）及び成分（３）の含有量は、特に限定されず、また、食品組成物の形態によっても異なる。例えば、食品組成物の形態が、錠剤・カプセル剤・顆粒剤・液剤・散剤・スティックゼリー等のサプリメント形態である場合、食品組成物における各生薬の総重量は典型的には当該食品組成物の１０～８０質量％であることを挙げられる。また、食品組成物の形態が、各種飲料・ゼリー、食品類・レトルト食品類等の一般食品形態である場合、食品組成物における各生薬の総重量は、典型的には当該食品組成物の０．０５～２５質量％であることを挙げられる。味や量を考慮すれば、食品組成物中における有効成分の配合量最小限に抑えることが好ましく、その場合、生薬のままで配合するよりも、生薬エキスを用いることが好ましい。本発明の食品組成物に含まれる生薬は、通常食品として用いられる作用が緩和なものであるため、その摂取量は特に限定されない。本発明の食品組成物の摂取量が、上述の生薬の１日量を含む量であれば、所望の月経随伴症状の予防、改善又は緩和効果を得ることができる。

　本発明の医薬組成物は、ドリンク剤、シロップ、ゼリー、凍結乾燥粉末、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等の剤形であってもよく、また、有効成分としての成分（１）、成分（２）及び成分（３）の他に、例えば、薬学的に許容される成分、例えば、賦形剤、結合材、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤、界面活性剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤を含んでいてもよい。

　本発明の組成物は、他の組成物と併用することもできる。例えば、本発明の組成物を、月経随伴症状の対処に用いる市販薬、例えば、非ステロイド性抗炎症剤、低用量経口避妊薬等と併用することで、最低限の市販薬の使用により不快症状をなくすことができる。

　本発明の組成物の摂取タイミングはとくに限定されず、１日１回の摂取の場合、起床後、食前、食間、食後、就寝前等任意の時間で摂取してもよく、１日複数回の摂取の場合、起床後、食前、食間、食後、就寝前のうちの２つ、３つ又は４つ以上のタイミングで摂取してもよい。また、食事と同時に摂取してもよい。本発明の食品組成物は１週間以上、好ましくは２週間以上、より好ましくは４週間以上継続して摂取することができる。

　以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。しかし、本発明はこれら実施例等に何ら限定されるものではない。

＜実施例１＞
　原料生薬として竜眼肉、胡芦巴、枸杞子、女貞子、莪朮を重量比６：３：３：４．５：３にて配合し、常水にて沸騰抽出し、ろ過、濃縮、殺菌を行い、デキストリンを適量添加した後スプレードライヤーにて乾燥し、混合植物エキス末を得た。得られたエキスの内、原料生薬として竜眼肉６ｇ、胡芦巴３ｇ、枸杞子３ｇ、女貞子４．５ｇ、莪朮３ｇに相当するエキス末６．３ｇを１日分の食品組成物とした。

＜実施例２＞
　原料生薬として鎖陽、枸杞子、牡蛎、紅花、棕櫚を重量比３：３：４．５：３：６にて配合し、常水にて沸騰抽出し、ろ過、濃縮、殺菌を行い、デキストリンを適量添加した後スプレードライヤーにて乾燥し、混合植物エキス末を得た。得られたエキスの内、原料生薬として鎖陽３ｇ、枸杞子３ｇ、牡蛎４．５ｇ、紅花３ｇ、棕櫚６ｇに相当するエキス末６．０ｇを１日分の食品組成物とした。

＜実施例３＞
　原料生薬として竜眼肉、旱蓮草、女貞子、姜黄、鶏血藤を重量比３：３：４．５：３：９にて配合し、常水にて沸騰抽出し、ろ過、濃縮、殺菌を行い、デキストリンを適量添加した後スプレードライヤーにて乾燥し、混合植物エキス末を得た。得られたエキスの内、原料生薬として竜眼肉３ｇ、旱蓮草３ｇ、女貞子４．５ｇ、姜黄３ｇ、鶏血藤９ｇに相当するエキス末７．５ｇを１日分の食品組成物とした。

＜比較例１＞
　原料生薬として決明子、桑椹、十薬、山梔子を重量比３：３：３：３にて配合し、常水にて沸騰抽出し、ろ過、濃縮、殺菌を行い、デキストリンを適量添加した後スプレードライヤーにて乾燥し、混合植物エキス末を得た。得られたエキスの内、決明子３ｇ、桑椹３ｇ、十薬３ｇ、山梔子３ｇに相当するエキス末５．４ｇを１日分の食品組成物とした。

＜比較例２＞
　原料生薬として竜眼肉、棕櫚、緑豆を重量比３：６：１５にて配合し、常水にて沸騰抽出し、ろ過、濃縮、殺菌を行い、デキストリンを適量添加した後スプレードライヤーにて乾燥し、混合植物エキス末を得た。得られたエキスの内、原料生薬として竜眼肉３ｇ、棕櫚６ｇ、緑豆１５ｇに相当するエキス末６．０ｇを１日分の食品組成物とした。

　実施例１～３及び比較例１、２の生薬配合量並びに各生薬の帰経及び五性の一覧を表３に示す。

＜試験例１＞
（月経随伴症状をはじめとする身体の不調に与える影響の評価試験１）
　月経随伴症状あるいは日常的な身体トラブルを自覚する２０歳以上４９歳以下の日本人女性１１０名を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施し、本発明の効果を検討した。５４名には実施例１のエキス末１日量２．１ｇを、１日１回食間に、約１５０ｃｃのぬるま湯に溶かして４週間（２８日間）連続で摂取させた。また、他の５６名には比較例１のエキス末１日量１．８ｇを、１日１回食間に、約１５０ｃｃのぬるま湯に溶かして４週間（２８日間）連続で摂取させた。摂取前及び４週間の摂取完了時に、全被験者を対象とした不快症状アンケートを実施し、症状の改善度を評価した。不快症状アンケートは、表４に記載の症状群それぞれにつき、「大変気になる（１）」、「少し気になる（２）」、「どちらとも言えない（３）」、「ほとんど気にならない（４）」、「全く気にならない（５）」の５段階のスコアを設定し、摂取前後での各症状に対するスコアの変動により改善度を評価した。より具体的には、アンケート項目（不快症状）毎に、摂取前アンケートのスコアが１又は２であった対象者のうち、摂取完了時アンケートのスコアが４又は５になった対象者の割合を改善率とし、改善率３０％以上の不快症状を当該エキスの改善効果ありと判定した。

（結果）
　結果を表４に示す。表４から、実施例１のエキスの摂取によって、月経痛、下腹部痛、乳房の張り若しくは痛み、経血量の異常、帯下（おりもの）の異常、貧血症状、通常と異なる食欲増進、消化不良の症状、冷え症、浮腫み、頭痛、便秘・下痢・腹部膨満感、陰部及びその周辺部（デリケートソーン）症状等の月経随伴症状の全てにおいて改善が認められ、また、顔色・血色の悪さ、色艶のなさ、肌のくすみ・目の下のクマ、にきび・吹き出物、傷・あざの治りにくさ、肌荒れ・肌のかゆみ、性欲減退、腰痛、更年期様症状、耳鳴り、情緒不安定（感情の起伏）、精神不安・うつ様症状、風邪の引きやすさ、手の平の赤みなどの女性特有の悩み（女性ホルモン関連）又は血の巡りに関連する症状の改善も認められた。なお、比較例１のエキスの摂取によっても、一部の月経随伴症状の改善がみられていたが、実施例１のように月経随伴症状及び女性特有の悩みや血の巡りに関係する症状全般における改善が認められなかった。これは比較例１に含まれる、成分（２）の生薬による限定的な効果であったと考えられる。

＜試験例２＞
（月経随伴症状をはじめとする身体の不調に与える影響の評価試験２）
　以下の設計で単盲検前後比較試験を実施し、本発明の効果を検討した。月経随伴症状あるいは日常的な身体トラブルを自覚する１９歳以上４７歳以下の日本人女性１３名を対象とし、実施例３のエキス末１日量２．５ｇを１日１回食間に、約１５０ｃｃのぬるま湯に溶かして４週間（２８日間）連続で摂取させた。摂取前及び４週間の摂取完了時に、全被験者を対象とした不快症状アンケートを実施し、症状の改善度を評価した。摂取前の不快症状アンケートは、表５に記載の症状群それぞれにつき、「とても気になる（１）」、「少し気になる（２）」、「気にならない（３）」の３段階のスコアを設定し、摂取前の有訴者を判定した。摂取完了時の不快症状アンケートは、表５に記載の症状群それぞれにつき、「とても良くなった（１）」、「良くなった（２）」、「変わらない（３）」、「悪くなった（４）」、「とても悪くなった（５）」の５段階のスコアを設置し、摂取前後での各症状に対する改善度を評価した。摂取完了後４週間以上のウォッシュアウト期間を置いた後、同様にして、同じ被験者に実施例１のエキス末１日量２．１ｇを１日１回、４週間連続で摂取させ、摂取前及び摂取完了時に不快症状アンケートを実施した。以降も同様に、比較例２のエキス末１日量２．０ｇ、比較例１のエキス末１日量１．８ｇを順に用いて、それぞれ４週間以上のウォッシュアウト期間を置いた後、同じ被験者に１日１回、４週間連続でエキスを摂取させ、摂取前及び摂取完了時に不快症状アンケートを実施した。また、別途、異なる被験者、すなわち、月経随伴症状あるいは日常的な身体トラブルを自覚する２４歳以上５３歳以下の日本人女性１３名を対象として、実施例２のエキス末１日量２．０ｇを同様に１日１回、４週間連続で摂取させ、摂取前及び摂取完了時に不快症状アンケートを実施した。

　各症状の改善度を評価する指標には、アンケート項目（不快症状）毎に、摂取前アンケートのスコアが１又は２であった対象者（有訴者）に占める、摂取完了時アンケートのスコアが１又は２であった対象者の割合を改善率として用いた。試験例２においては試験例１と比して被験者数が限られており、改善率の定量比較は困難であることから、改善度の定性的な比較を目的として、改善率が正の値であった不快症状を当該エキスの改善効果あり（〇）と判定した。なお、表５中の人数は、試験開始前に不快症状を訴えた人数（有訴者数）であり、有訴者数が被験者総数の２０％以下であった不快症状については無効データ（－）として評価から除外した。

（結果）
　結果を表５に示す。表５から、比較例１又は比較例２のエキスの摂取によって、月経痛、乳房の張り若しくは痛み、経血量の異常、帯下の量の異常、手足の冷え、便秘といった一部の月経随伴症状の改善がそれぞれみられ、また、にきび・吹き出物の改善も認められた。これは比較例１に含まれる成分（２）の生薬、又は比較例２に含まれる成分（１）及び成分（３）の生薬による限定的な効果であったと考えられる。一方で、実施例１～３のエキスの摂取によっては、比較例１及び２のエキスの摂取によって認められた症状の改善に加えて、帯下の粘り気の異常、下痢、腹部膨満感、陰部及びその周辺部症状といった、比較例１及び２のエキスの摂取では改善が認められなかった月経随伴症状についても改善が認められた。更に、実施例１～３のエキスの摂取によって、顔色・血色の悪さ、色艶のなさ、肌荒れ・肌のかゆみ、肩凝り・腰痛、慢性的疲労、抜け毛、耳鳴り、ドライアイ、眼精疲労、眠気、寝つきの悪さ、睡眠の浅さといった、女性特有の悩みや血の巡りに関連する症状全般に広く改善が認められた。

　試験例１及び試験例２の結果から、成分（２）を含むが成分（１）及び成分（３）を含まない比較例１又は成分（１）及び成分（３）を含むが成分（２）を含まない比較例２のエキスの摂取によっては、月経随伴症状の一部においてしか予防、改善又は緩和効果を確認できなかったのに対して、本発明の組成物である、成分（１）、成分（２）及び成分（３）を含む実施例１、実施例２又は実施例３のエキスの摂取により、月経随伴症状及び女性特有の悩みや血の巡りに関係する症状の全般において広く予防、改善又は緩和効果が確認できた。

Claims

　有効成分として、下記の成分（１）、成分（２）及び成分（３）を含む、組成物。
　成分（１）：竜眼肉、胡芦巴、枸杞子、鎖陽、胡麻仁、続断、骨砕補、沙苑子、黒豆、九香虫、海馬及び阿膠からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬
　成分（２）：女貞子、牡蠣、旱蓮草、桑椹、決明子、薄荷、桑葉、山梔子、茶葉、昆布、野菊花、百花蛇舌草、車前子、車前草、小麦、青霜子、菊花、蒲公英、大青葉、半枝蓮、金銭草、欝金、地楡及び番紅花からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬
　成分（３）：莪朮、鶏血藤、姜黄、サンリョウ、絲瓜絡、紅花、劉寄奴、仙鶴草、棕櫚、降香、血竭、水蛭、三七、景天三七、花蕊石及び藕節からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬
　成分（２）が、女貞子、牡蠣、旱蓮草、桑椹及び決明子からなる群より選ばれる少なくとも１種の生薬である、請求項１に記載の組成物。
　月経随伴症状の予防、改善又は緩和に用いるための、請求項１又は２に記載の組成物。
　月経随伴症状が、月経痛、下腹部痛、乳房の張り若しくは痛み、経血量の異常、帯下の異常、貧血症状、通常と異なる食欲増進、消化不良症状、冷え症、浮腫み、頭痛、便秘、下痢、腹部膨満感、並びに、陰部及びその周辺部症状からなる群より選択される少なくとも１つである、請求項１～３のいずれか一項に記載の組成物。
　食品組成物又は医薬組成物である、請求項１～４のいずれか一項に記載の組成物。