WO2021161955A1 - 腰部サポートベルト - Google Patents

Abstract

工業洗濯耐久性と伸縮性を両立した工業洗濯可能な腰部サポートベルトを提供するため、 本発明の腰部サポートベルトは、帯状である本体部を備え、　前記本体部は、ベース生地、面ファスナーの雄面部材および面ファスナーの雌面部材を備えており、　前記本体部の第１の面の第１の端部では、前記面ファスナーの雄面部材が前記ベース生地に縫着されており、　前記本体部の第２の面の両方の端部では、前記面ファスナーの雌面部材が前記ベース生地に縫着されており、　前記面ファスナーの雄面部材は、ポリエステルエラストマー樹脂を前記面ファスナーの雄面部材の質量に対し９５質量％以上含有し、　前記面ファスナーの雌面部材は、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる１種以上の樹脂を前記面ファスナーの雌面部材の質量に対し９５質量％以上含有し、　前記ベース生地は、ポリエステル捲縮繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる群より選ばれる１種以上の繊維から構成されており、　前記ベース生地の第１の指数［ベース生地の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）／ヒステリシスロス率（％）］×［腰部サポートベルトのせん断応力（Ｎ）］は、６０～３００である、腰部サポートベルトとする。

Description

腰部サポートベルト

　本発明は、腰部サポートベルトに関する。

　職業性疾病のうち、腰痛は労働者が仕事の中でかかりやすい病気のひとつであり、さまざまな職種に広がり発生している。腰痛発生のリスクが高い職業従事者として、重量物運搬や長距離ドライブに従事する運送業事業者、入院患者の介助や救急患者の対応が必要な医療従事者が挙げられるが、最近では、高齢者介護などの社会福祉施設での業務の従事者の腰痛発生件数が大幅に増加している。

　こうした腰痛は職業従事者の年齢が上がるにつれ増加する傾向にある。しかしながら、特に初期のうちに対策をとる人は少なく、腰痛の症状が進むまで何もしないという人が少なくない。また、日本は少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少という問題に直面しているが、社会を支えるという側面では、６５歳以上の働くシニアや働く女性が増加している。こうした中、貴重な労働者の健康維持・増進はこれまで以上に重要性を増している。職業衣においても、従来から安全性、動き易さ、識別性という機能に加え、労働者の健康をより積極的に保つという視点が重要となっている。

　そこで、骨盤を引き締め、固定することによって腰への負担を軽減する腰部サポートベルトや腰部サポーターが一般に知られている（特許文献１、２参照）。この腰部サポートベルトは、腰回りに巻回して止着し、骨盤を補強することができるベルト本体部と、一方はベルト本体のほぼ中央に固定し、他方はベルト本体の端部と取り外し可能に構成された右作動ベルトと、一方はベルト本体のほぼ中央に固定し、他方はベルト本体の端部と取り外し可能に構成された左作動ベルトとを具備する腰部サポートベルトである。また、腰部サポーターは、中央に幅広の腰保護区帯を有しその両側に止着可能な止着区帯を有するサポーター本体を設け、該サポーター本体の一側面に該サポーター本体より幅狭の補助バンドを設け、該補助バンドをサポーター本体の一側面から他側面に引き出すことができるように挿通孔を形成した腰部用サポーターである。そして、特許文献２記載の腰部サポーターのサポーター本体は、発泡ネオプレーンゴム、スポンジゴム、ウレタンフォームその他の縮性を有する伸縮性基材を有し、その両側面にナイロンを有する伸縮性基材を有し、その両側面にナイロン繊維その他の適宜の繊維材料で編織した表装布を一体的に接着してあり、一側面側の表装材は面ファスナーが係止するよう表面がループに形成され、周縁には縁取りの糸かがり等を設けて構成することが開示されている。

特開２０１７－１７９６６３号公報 特開平８－１８２７９４号公報

　ところで、従来の腰部サポートベルトは、一般的に面ファスナーの雄面部材が他の衣類を傷つけてしまうリスクがあったり、伸縮性に富んだ熱に影響を受けやすい素材を多く使われていたりすることから手洗いが推奨されているように、工業洗濯はもちろん、家庭用洗濯機での洗濯にも耐えられない構成になっている。

　例えば、特許文献１や特許文献２に開示されているような腰部サポートベルトを工業洗濯に出すと、腰部サポートベルトは縮み、また部材がそれぞれに縮んでしまうことから外観不良（波うち）が発生する。すなわち、工業洗濯では、通常、被洗物に対し、物理的、熱的、化学的、あるいはこれらの組み合わせによる力が働く。これにより、腰部サポートベルトを構成する部材は収縮し、縮みや外観変化が生じる。そのため腰部サポートベルトは通常、前述のとおり手洗いが推奨されるのである。

　これに対し、使用者からは腰部サポートベルトを手洗いするのは非常に手間がかかるため、洗濯機や工業洗濯施設等で自動洗浄したいという要望が出ている。

　そこで、本発明者らは腰部サポートベルトにおいて、工業洗濯施設等で自動洗浄しても縮みや外観変化が小さく抑えられる、工業洗濯耐久性のある腰部サポートベルトへの改良を考案した。

　ここで、工業洗濯耐久性のある腰部サポートベルトとは、工業洗濯を実施しても大幅な縮みや外観変形がないものを指す。また、腰部サポートベルトの性能を発現させるには伸縮性が求められる。また、腰部サポートベルトの性能とは着用者の腰部に対する負担の軽減をいう。また、伸縮性とは伸長した腰部サポートベルトの元の寸法に回復しようとする力である伸長回復性をいう。腰部サポートベルトの工業洗濯耐久性を向上させるための対策としては、寸法安定性に優れた材料を使うことが挙げられる。しかしながら、寸法安定性に優れた材料は一般的に伸縮性がなく、また、伸縮性に優れた材料は、一般的に寸法安定性に劣るため、伸縮性に特化した材料を多く使用すると、腰部サポートベルトを洗濯した際に大幅な縮みや外観変形が起こってしまう。

　したがって、本発明では工業洗濯耐久性と伸縮性（伸長回復性ともいう）を両立した腰部サポートベルトを提供することを課題とする。

　上記課題を解決するために、本発明は以下の構成およびさらに好ましい態様を開示する。
（１）帯状である本体部を備える腰部サポートベルトにおいて、前記本体部は、ベース生地、面ファスナーの雄面部材および面ファスナーの雌面部材を備えており、前記本体部の第１の面の第１の端部では、前記面ファスナーの雄面部材が前記ベース生地に縫着されており、前記本体部の第２の面の両方の端部では、前記面ファスナーの雌面部材が前記ベース生地に縫着されており、前記面ファスナーの雄面部材は、ポリエステルエラストマー樹脂を前記面ファスナーの雄面部材の質量に対し９５質量％以上含有し、前記面ファスナーの雌面部材は、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる１種以上の樹脂を前記面ファスナーの雌面部材の質量に対し９５質量％以上含有し、前記ベース生地は、ポリエステル捲縮繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる群より選ばれる１種以上の繊維から構成されており、前記ベース生地の第１の指数［ベース生地の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）／ヒステリシスロス率（％）］×［腰部サポートベルトのせん断応力（Ｎ）］は、６０～３００である、腰部サポートベルト、
（２）前記本体部の第１の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さを１とした場合の前記本体部の第１の面の第１の端部から０．０５～０．２の位置と前記本体部の第１の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雄面部材が露出しており、前記本体部の第２の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さを１とした場合の前記本体部の第２の面の第１の端部から０．２～０．３の位置と前記本体部の第２の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出しており、前記本体部の第２の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さを１とした場合の前記本体部の第２の面の第２の端部から０．２～０．３の位置と前記本体部の第２の面の第２の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出している、（１）に記載の腰部サポートベルト、
（３）帯状である補助部を備え、前記補助部の一方の面の両方の端部には、面ファスナーの雄面部材が位置しており、前記補助部の長手方向における前記補助部の中央部は、前記本体部の長手方向における前記本体部の中央部に縫着されており、前記補助部の第２の指数［補助部の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）×本体部の長さ（ｃｍ）］／［補助部の長さ（ｃｍ）×ヒステリシスロス率（％）］は、２．５～４．０である、（１）または（２）に記載の腰部サポートベルト、
（４）前記ベース生地が編地である、（１）～（３）のいずれかに記載の腰部サポートベルト、
（５）前記ベース生地は、ポリエステル捲縮繊維から構成されている、（１）～（４）のいずれかに記載の腰部サポートベルト、
（６）前記ポリエステル捲縮繊維が、固有粘度差が０．３０以上である２種類のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿って貼り合わされたバイメタル複合繊維である、（１）～（５）のいずれかに記載の腰部サポートベルト、
（７）前記ポリエステル捲縮繊維が、固有粘度差が０．３０以上である２種類のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされたバイメタル複合繊維である、（１）～（６）のいずれかに記載の腰部サポートベルト、
（８）前記２種類のポリエステル重合体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートから選ばれる２種類のポリエステル重合体である、（６）または（７）に記載の腰部サポートベルト、
（９）前記ポリエステル捲縮繊維が、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイド型の複合繊維である、（１）～（８）のいずれかに記載の腰部サポートベルト、
（１０）前記ポリエステル捲縮繊維の繊度が１００～４００ｄｔｅｘである、（１）～（９）のいずれかに記載の腰部サポートベルトである。

　本発明により、工業洗濯耐久性と伸縮性を両立した腰部サポートベルトを提供することができる。

本発明の一実施形態例の腰部サポートベルトを本体部の第１の面側を正面から見た図である。 本発明の一実施形態例の腰部サポートベルトを本体部の第２の面側を正面から見たときに補助部の一方の端部を本体部から取り外した図である。 本発明の一実施形態例の腰部サポートベルトを本体部の第２の面側から見た時に補助部の両端を本体部に取り付けた図である。 図１に示す腰部サポートベルトのＡ－Ａ’断面図である。

　以下に本発明を、図を用いて説明するが、本発明は以下の開示のみに限定されるものではない。

　ここで、一実施形態例の腰部サポートベルトについて説明する。

　図１は、本発明の腰部サポートベルトの実施形態の一例を示す、腰部サポートベルトを本体部の第１の面側を正面から見た図である。図２は図１に示す腰部サポートベルトを本体部の第２の面側を正面から見た図である。また、図４は、図１に示す腰部サポートベルトのＡ－Ａ’断面図である。本発明の腰部サポートベルトは、帯状である本体部１と帯状である補助部２とを備えている。上記のように前記帯状である本体部に加え、前記帯状である補助部を備えることで、締め付け圧の調整が容易にでき、例えば、作業の強度によって必要な締め付け圧で着用者の腰を保護することができる。

　ここで、前記本体部は、ベース生地５、面ファスナーの雄面部材３、面ファスナーの雌面部材４を備えている。さらに、前記本体部の第１の面の第１の端部では、前記面ファスナーの雄面部材が、前記ベース生地に縫着されており、前記本体部の第２の面の両方の端部では、前記面ファスナーの雌面部材が前記ベース生地に縫着されている。上記のような構成にすることで、前記本体部の第１の面の第１の端部に配置された面ファスナーの雄面部材と、前記本体部の第２の面の両方の端部のうち、前記面ファスナーの雄面部材を有していない方の端部に配置された前記面ファスナーの雌面部材とが係止部を形成し、腰部サポートベルトにより着用者の腰部を締め付けることが可能となる。

　図３は本発明の一実施形態例の腰部サポートベルトを本体部の第２の面側から見た時に補助部の両端を本体部に取り付けた図である。ここで、前記本体部の第１の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さ（図３中のＬ１）を１とした場合の前記本体部の第１の面の第１の端部から０．０５～０．２の位置と、前記本体部の第１の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雄面部材が露出しており、前記本体部の第２の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さ（図３中のＬ１）を１とした場合の前記本体部の第２の面の第１の端部から０．２～０．３の位置と、前記本体部の第２の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出しており、前記本体部の第２の面であって、かつ、本体部の長手方向の長さ（図３中のＬ１）を１とした場合の前記本体部の第２の面の第２の端部から０．２～０．３の位置と前記本体部の第２の面の第２の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出している。上記のような構成にすることで、面ファスナーの雄面部材の露出面積が面ファスナーの雌面部材の露出面積よりも小さくなり、面ファスナーの雄面部材の面ファスナーの雌面部材への取り付け位置によって、本体部の締め付け圧の調節も可能となるため好ましい。さらに、前述したように前記本体部の第１の面の第１の端部に配置された面ファスナーの雄面部材と、前記本体部の第２の面の両方の端部のうち、前記面ファスナーの雄面部材を有していない方の端部に配置された前記面ファスナーの雌面部材とが係止部を形成した際には、面ファスナーの雄面部材が全く露出しない状態とすることが可能となる。これにより、本発明の腰部サポートベルトを洗濯する際に面ファスナーの雄面部材の雄面突起部分が他の衣類を傷つけることを抑制することができる。

　また、面ファスナーの雄面部材と面ファスナーの雌面部材との接着面積は大きい程しっかりと連結し、せん断応力が十分なものとなるため、面ファスナーの雄面部材は前記本体部の長手方向の長さ（図３中のＬ１）を１とした場合の前記本体部の第１の面の第１の端部から０．０７～０．２の位置と、前記本体部の第１の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雄面部材が露出していることが好ましく、面ファスナーの雄面部材は前記本体部の長手方向の長さ（図３中のＬ１）を１とした場合の前記本体部の第１の面の第１の端部から０．１～０．２の位置と、前記本体部の第１の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雄面部材が露出していることがより好ましい。

　ここで、本体部の長手方向の長さ（図３中のＬ１）は着用者の胴囲に対して１．０７～１．６０倍の長さであることが好ましい。商業的に製品設計する場合、胴囲の範囲毎にサイズ展開される場合がある。その場合、例えば、胴囲６５～８５ｃｍ、８５～１００ｃｍ、１００～１１０ｃｍのように３段階で展開する時、胴囲が６５～８５ｃｍであれば１００ｃｍ、胴囲が８５～１００ｃｍであれば１１０ｃｍ、胴囲が１００～１１０ｃｍであれば１２０ｃｍといったように設定するのが好ましい。ここで、胴囲とは、ウエストサイズのことをいい、肋骨の最下端と腰骨との中間の周囲長を示す。本体部の長手方向の長さを胴囲に対して１．０７倍以上の長さとすることで、着用者が腰部サポートベルトを着用した際に十分な重なり部分ができ無理なく締め付けることができる。また、本体部の長手方向の長さを胴囲に対して１．６０倍以下とすることで、着用者がサポートベルトを着用した際の重なり部分が適度なものとなり、適切な着圧で締め付けることが可能となる。以上のことから、本体部の長手方向の長さは着用者の胴囲に対して１．０７～１．６０倍の長さであることが好ましい。少なくともサイズ展開の上限×１．０７倍以上で、該当サイズの装着者が装着したとき雌面部材が雄面部材の露出面の全てを覆った状態で装着できる長さであることがより好ましい。上記のような理由から、一般的な体格の装着者の胴囲として５５～１３５ｃｍ程度の範囲を想定すると、本体部の長手方向の長さ（図３中のＬ１）は７５～１５０ｃｍ程度であることが、装着しやすい点で好ましい。また、商業的に設定される頻度の多い胴囲として６５～１１５ｃｍ程度の範囲を想定すると、９０～１３０ｃｍ程度とすることが好ましい。このような範囲に設定することで、一般に着用者が装着した際に適度な重なり部分ができ、無理なく締め付けることのできる腰部サポートベルトとなる。

　また、前記面ファスナーの雄面部材は、ポリエステルエラストマー樹脂を、前記面ファスナーの雄面部材の質量に対し、９５質量％以上含有している。前記ポリエステルエラストマー樹脂は、一般的に耐熱性に優れている。そのため、前記面ファスナーの雄面部材の質量に対し、９５質量％以上をポリエステルエラストマー樹脂とすることで、工業洗濯中の洗い工程や乾燥工程などの、高い温度の熱がかかる工程において、部材の収縮および外観変形の抑制に貢献することができる。したがって、前記面ファスナーの雄面部材はポリエステルエラストマー樹脂を、前記面ファスナーの雄面部材の質量に対し、９５質量％以上含有している。

　また、前記面ファスナーの雄面部材には前記ポリエステルエラストマー樹脂以外の成分が含まれていてもよく、たとえば顔料や難燃剤等の助剤が含まれていてもよい。

　前記面ファスナーの雄面部材の種類については特に制約はない。しかしながら、面ファスナーの雄面部材はその雄面突起部が他の衣類を傷つけることで他の衣類の表面にピリングが起きやすい。これを考慮すると、雄面突起部の先端部分が丸みを帯びている「きのこ型」の形態の成型体であることが好ましい。

　ポリエステルエラストマーとしては、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリトリメチレンテレフタレート（ＰＴＴ）、ポリブチレンテレフタレート（ＰＢＴ）等のポリエステル系の構造体を有するハードセグメントとソフトセグメントを有する熱可塑性のゴム弾性体が挙げられる。特にポリエステル樹脂の種類に制約はないが、耐熱性や耐久性に優れるという観点から、ポリブチレンテレフタレートのハードセグメントとポリエーテルのソフトセグメントとのブロック共重合体であることが好ましい。

　さらに、前記面ファスナーの雌面部材は、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる１種以上の樹脂を、前記面ファスナーの雌面部材の質量に対し、９５質量％以上含有している。

　ここで、前記ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂を挙げることができる。

　また、前記ポリアミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナイロン樹脂やアラミド樹脂などを挙げることができる。ここでナイロン樹脂は、ナイロン６，ナイロン６６等の脂肪族骨格を含むポリアミドをいい、アラミド樹脂は、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、メタフェニレンイソフタルアミドあるいはこれらを主骨格とする共重合体等の芳香族ポリアミドをいう。

　前記ポリアミド樹脂はポリエステル樹脂の寸法安定性には少し劣るものの、前記ポリエステル樹脂および前記ポリアミド樹脂はいずれも十分な寸法安定性を有する樹脂である。前記面ファスナーの雌面部材の素材にポリアミド樹脂を採用することで、工業洗濯中の洗い工程や乾燥工程などの、高い温度の熱がかかる工程において、十分に部材の収縮および外観変形の抑制に貢献することができる。さらに、ポリアミド樹脂は一般的に摩耗耐久性に優れており、前記面ファスナーの雌面部材に使用することで、面ファスナーの着脱を繰り返した際や工業洗濯中の洗い工程での他の衣服との摩擦が生じる際の劣化を抑制することができる。

　また、前記ポリエステル樹脂の成形体は寸法安定性に特に優れており、前記面ファスナーの雌面部材の素材にポリエステル樹脂を採用することで、工業洗濯中の洗い工程や乾燥工程などの、高い温度の熱がかかる工程において、部材の収縮および外観変形の抑制に大きく貢献することができる。

　ここで、前記面ファスナーの雌面部材には、前記ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる１種以上の樹脂を前記面ファスナーの雌面部材の質量に対し９５質量％以上含有していれば、前記ポリエステル樹脂および前記ポリアミド樹脂以外の成分が含まれていてもよく、たとえば顔料や難燃剤等の助剤が含まれていてもよい。より寸法安定性に優れた腰部サポートベルトを作成するには、面ファスナーの雌面部材はポリエステル樹脂を前記面ファスナーの雌面部材の質量に対し、９５質量％以上含有していることがより好ましい。

　上記のような面ファスナーの雌面部材を使用することで、工業洗濯中の洗い工程や乾燥工程中の部材の収縮および外観変化の抑制、および／または腰部サポートベルトを繰り返し使用した際、洗い工程での他の衣服との摩擦に対する耐久性の向上が可能となる。

　面ファスナーの雌面部材としては、編地や織物からなるものが挙げられる。例えば、編地であれば丸編地や緯編地、経編地によるものが挙げられるが、特に制約はない。また面ファスナーの雌面部材に用いられる編地としては、表面がプレーン状のものやメッシュ状のものが挙げられるが、メッシュ状であることがより好ましい。メッシュ状の布帛は同サイズ同素材のメッシュ状でない布帛に対し、体積が小さく、含まれる糸量も少ない。糸量が少なければ寸法変化の絶対値も小さくなる。よって、面ファスナーの雌面部材の寸法変化を小さく抑えるためにメッシュ状の面ファスナーの雌面部材を使用することがより好ましい。また、面ファスナーの雌面部材に用いる織物としては、表面がループ状になっている織物が好ましく挙げられる。一般に、織物は編物よりも寸法安定性に優れるため、腰部サポートベルトの面ファスナー雌面部材として使用した際、洗濯時の寸法変化率をより小さくすることが可能となる。したがって、より寸法安定性の優れた腰部サポートベルトとするには、面ファスナーの雌面部材としては、表面がループ状になっている織物からなるものがより好ましい。

　また、前記ベース生地は、ポリエステル捲縮繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる群より選ばれる１種以上の繊維から構成される。ここで、捲縮繊維は、一般に互いに融点の異なる高融点成分と低融点成分からなる複合繊維、互いに固有粘度が異なる高粘度成分と低粘度成分とからなる複合繊維、あるいは収縮率が異なる高収縮成分と低収縮成分とからなる複合繊維のことをいい、低融点成分、高収縮成分等の片方の成分を熱によって他方成分より、より強く活性化させる際に３次元のスパイラル状捲縮が顕在化した繊維であり、この３次元のスパイラル状捲縮により、繊維が伸縮性および弾性を有する。ここで、前記捲縮繊維はポリエステル捲縮繊維である。前述した通り、ポリエステルの樹脂は、工業洗濯中の洗いおよび乾燥工程で高い温度の熱にさらされても寸法安定性に優れるため生地や部材の収縮を抑制することができる。

　なお、上記のとおり、ポリエステル捲縮繊維は、熱により捲縮が顕在化し、捲縮繊維となるものである。捲縮の顕在化は、ベース生地とする前の段階、すなわち、繊維の形態で行っても、ベース生地とした後で行ってもよい。なお、本発明においては、捲縮顕在化前の原糸についても便宜上捲縮繊維と称する。

　特にストレッチ性の優れたものを得るために、ポリエステル捲縮繊維の高粘度成分（高収縮成分）と低粘度成分（低収縮成分）は固有粘度差が０．３０以上である２種類のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされたバイメタル複合繊維であることが好ましい。これらを複合することにより捲縮特性に優れた原糸となる。特に固有粘度差を、０．５０以上と大きくすると、さらに伸縮性の優れた原糸となるので好ましい。一方、固有粘度差が１．５０を越えると、得られる糸の捲縮特性は良好であるものの、紡糸糸条が高粘度成分側に過度に曲がるため、長時間にわたって安定して製糸することができず、好ましくない。したがって、安定した製糸性とストレッチ回復性の両方を満たすため、固有粘度差は０．３０以上１．５０以下とすることが望ましい。

　前記２種類のポリエステル重合体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートから選ばれる２種類のポリエステル重合体であることが好ましい。ここで、上記ポリエステル重合体の組合せについては特に制約はないが、固有粘度差のある２種類のポリエチレンテレフタレートを用いた場合、ある程度のストレッチ性を得ることはできるが、織物にした際のストレッチ性が不充分となり、満足なストレッチ性織物が得られにくいという問題がある。そのため、ポリエチレンテレフタレート／ポリトリメチレンテレフタレート、もしくは、ポリエチレンテレフタレート／ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート／ポリブチレンテレフタレートの組合せが好ましい。

　また、伸長回復性は前記３次元のスパイラル状捲縮の径および単フィラメントの捲縮数により決定するとされている。そして、前記３次元のスパイラル状捲縮の径および単フィラメントの捲縮数は、固有粘度差により生じる、高融点成分と低融点成分との収縮差（弾性回復率差を含む）によって決まるといってもよく、収縮差が大きいほどスパイラル状捲縮の径が小さく、単位フィラメントあたりの捲縮数が多くなる。ストレッチ素材としては、スパイラル状捲縮の径が小さいこと、単位フィラメントあたりの捲縮数が多いこと（すなわち、伸長特性に優れ、見映えがよいこと）、スパイラル状捲縮の耐へたり性がよいことが好ましい。

　以上の理由から、伸長特性に優れ、見映えのよいポリエステル捲縮繊維として、比較的収縮差の大きいポリエチレンテレフタレート／ポリトリメチレンテレフタレート等ポリマーのうち少なくとも１成分がポリトリメチレンテレフタレートである組み合わせ、もしくは、ポリエチレンテレフタレート／ポリブチレンテレフタレートの組合せをより好ましく挙げることができる。

　さらに、ポリマーのうち少なくとも１成分がポリトリメチレンテレフタレートであるポリエステル捲縮繊維がより好ましい。これは、ポリトリメチレンテレフタレートは、代表的なポリエステル長繊維であるポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートと同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性がきわめて優れているからである。

　さらに、スパイラル状捲縮の伸縮特性は、低融点成分（低収縮成分）を支点とした高融点成分（高収縮成分）の伸縮特性が支配的となるため、高融点成分に用いる重合体には高い伸長性と回復性を有することが好ましい。具体的には、低融点成分としてポリエチレンテレフタレート、高融点成分としてポリトリメチレンテレフタレートを採用することが好ましい。

　また、本発明で使用されるポリエステル捲縮繊維の単繊維断面形状はサイドバイサイド型または偏心芯鞘型であることが好ましい。これは断面形状がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型であることで、糸条に熱が付与された際に、スパイラル状捲縮が発現し、糸条に伸縮性を付与することができる。このうち、サイドバイサイド型の構造の方が単純であり紡糸性に優れるという理由から、本発明で使用されるポリエステル捲縮繊維の単繊維断面形状はサイドバイサイド型であることがより好ましい。以上のことから、前記ポリエステル捲縮繊維は固有粘度差が０．３０以上である２種類のポリエステル重合体が長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされたバイメタル複合繊維であることが好ましい。

　また、樹脂種としては、前記２種類のポリエステル重合体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートから選ばれる２種類のポリエステル重合体であることが好ましい。なかでもポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドのバイメタル複合繊維であることが最も好ましい。

　また、ポリウレタン弾性繊維とは、ウレタン結合を有し、柔軟性のある「ソフト」セグメントと、硬い「ハード」セグメントが結合した構造からなり、持続的で非常に高い伸縮性を備えている繊維である。また、ポリウレタン弾性繊維は、ヒートセット工程を経ることで高い寸法安定性が得られることが知られている。したがって、ポリウレタン弾性繊維をベース生地に採用する際には、ベース生地作成時にヒートセットを行うことで、ベース生地に十分な寸法安定性を付与することができる。

　上記のように、前記ポリエステル捲縮繊維およびポリウレタン弾性繊維は、ともに伸縮性および弾性を有する弾性繊維であり、これらを用いてベース生地を作成することによりベース生地にも伸縮性および弾性が発現する。この伸縮性および弾性により、ベース生地を左右もしくは上下に引きのばすとベース生地を元の形状に戻そうとする伸長回復力が生じる。この現象を利用して、前記ベース生地を少し引き伸ばした状態で前述の係止部にて固定して腰部に巻き付けると、腰部を一定の圧力で締め付けることが可能となる。

　上記のような理由から、前記ベース生地はポリエステル捲縮繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる群より選ばれる１種以上の繊維から構成される。ここで、前記ポリエステル捲縮繊維と前記ポリウレタン弾性繊維はどちらか１種のみを用いても良いし、両者を複合的に用いていても良い。また、前記ポリエステル捲縮繊維と前記ポリウレタン弾性繊維以外の繊維を使用していても良く、その場合、前記ポリエステル捲縮繊維および／または前記ポリウレタン弾性繊維を、ベース生地の質量に対し、２０質量％以上含んでいることが好ましい。前記ポリエステル捲縮繊維および／または前記ポリウレタン弾性繊維をベース生地の全質量に対し、２０質量％以上含むことにより、ベース生地の伸縮性および弾性がより優れたものとなる。

　また、前記ポリエステル捲縮繊維のみを前記ベース生地に使用する場合は、使用量の上限は特になく、１００質量％ポリエステル捲縮繊維であっても良い。一方で、前記ポリウレタン弾性繊維を使用する場合には、ポリウレタン弾性繊維の含有量の上限は８０質量％が好ましい。一般にポリウレタン弾性繊維は過度な張力を加えると破断してしまう。したがって、２０質量％以上をポリウレタン弾性繊維以外の繊維で構成することによりベース生地に十分な強度が出るため好ましい。以上のような理由から、前記ポリウレタン弾性繊維を使用する場合、ポリウレタン弾性繊維の含有量は８０質量％以下とすることが好ましい。

　さらに、前記ポリエステル捲縮繊維の繊度は１００～４００ｄｔｅｘであることが好ましく、前記ポリウレタン弾性繊維の繊度は１０００～１５００ｄｔｅｘであることが好ましい。

　前記ポリエステル捲縮繊維の繊度を１００ｄｔｅｘ以上とすることで、本体部に用いられるベース生地の伸長時応力や伸長回復性が十分なものとなり、前記ベース生地を採用した腰部サポートベルトを少し引き伸ばした状態で前述の係止部にて固定して腰部に巻き付けた場合に、腰部を十分な圧力で締め付けることが可能となる。また、前記ポリエステル捲縮繊維の繊度を４００ｄｔｅｘ以下とすることで、適度な剛性と身体への密着性を得ることが可能となる。さらに、前記ポリエステル捲縮繊維の繊度を２００ｄｔｅｘ以下とすることで、本体部に用いられるベース生地の伸長時応力および後述する回復時応力が高くなりすぎず、十分な伸縮性を付与することができる。

　前記ポリウレタン弾性繊維の繊度を１０００ｄｔｅｘ以上とすることで、本体部に用いられるベース生地の伸長時応力や伸長回復性が十分なものとなり、前記ベース生地を採用した腰部サポートベルトを少し引き伸ばした状態で前述の係止部にて固定して腰部に巻き付けた場合に、腰部を十分な圧力で締め付けることが可能となる。また、前記ポリウレタン弾性繊維の繊度を１５００ｄｔｅｘ以下とすることで、本体部に用いられるベース生地の伸長時応力および後述する回復時応力が高くなりすぎず、また、編成時の工程通過性も良好に保つことができる。

　上記のような理由から、前記ポリエステル捲縮繊維の繊度は１００～４００ｄｔｅｘであることが好ましく、前記ポリウレタン弾性繊維の繊度は１０００～１５００ｄｔｅｘであることが好ましい。

　また、前記ベース生地は編地であることが好ましい。工業洗濯可能な腰部サポートベルトに使用される前記ベース生地には、前述の通り、寸法安定性と伸縮性とが必要とされる。寸法安定性については、ベース生地に前述の素材を使用することで必要な寸法安定性を得ることができる。一方で、伸縮性については、前述の素材の特性だけでも発現するが、より、着用者の身体にフィットする腰部サポートベルトとするためには前記ベース生地が編地であることが好ましい。前記ベース生地が編地であることでベース生地の構造的な伸縮性も加わって、より伸縮性に優れた腰部サポートベルトとなる。また、編地の種類については特に制約はないが、横編地、丸編地、経編地等が挙げられる。中でも、ベース生地の伸縮の方向を比較的自由に設計できる観点から、経編地であることがより好ましい。

　ここで、前記ベース生地の第１の指数［ベース生地の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）／ヒステリシスロス率（％）］×［腰部サポートベルトのせん断応力（Ｎ）］は、６０～３００である。

　ここで、ベース生地の２５％伸長時応力とは、腰部サポートベルトの本体部の長手方向と平行な方向がベース生地の長手方向となるように試験片をサンプリングし、後述する２５％伸長時応力の測定により得られる値のことである。この値が大きいと、ベース生地が伸びにくくベース生地を引き伸ばすのにかかる力が大きいことを示し、反対にこの値が小さいと、ベース生地が伸びやすく、ベース生地を引き伸ばすのにかかる力が小さいものであることを示す。

　そのため、ベース生地の２５％伸長時応力は５Ｎ／５０ｍｍ以上３５Ｎ／５０ｍｍ以下であることが好ましい。ベース生地の２５％伸長時応力が５Ｎ／５０ｍｍ以上であることで、腰部サポートベルト伸長力をより優れたものとすることができる。また、ベース生地の２５％伸長時応力が３５Ｎ／５０ｍｍ以下であることで、ベース生地の伸長力が高くなりすぎず、着用感が優れるものとなる。ここで、２５％伸長時応力は小さいほど生地が伸びやすく着用した際のフィット性が優れるため、２５Ｎ／５０ｍｍ以下がより好ましい。

　また、ヒステリシスロス率とは、ベース生地の２５％伸長時応力を測定した後に同速度で元の長さにしていった際の伸長時の応力と回復時の応力から算出できるひずみ度合いを示すものである。このヒステリシスロス率は、０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）の積分値から２５％伸長時から０％伸長時までの応力（回復時応力）の積分値を引いた値を、０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）の積分値で除した値に１００をかけることにより算出できる。ベース生地のヒステリシスロス率が大きいと、ベース生地がへたりやすいことを示し、反対に、ベース生地のヒステリシスロス率が小さいと、ベース生地がへたりにくく、伸長回復性（伸縮性）に優れたものであることを示す。以上のような観点から、ベース生地のヒステリシスロス率は２０％以上７０％以下であることが好ましい。ベース生地のヒステリシスロス率が２０％以上であることで、腰部サポートベルトを着用した際に少しだけ生地が伸びてなじむため締め付け圧が上がりすぎず、着用感が良好なものとなる。また、ベース生地のヒステリシスロス率が７０％以下であることで、ベース生地がへたり過ぎず、繰り返し腰部サポートベルトを使用しても一定の圧で着用者の身体を締め付けることができる。前述の通り、ヒステリシスロス率は小さいほど伸長回復性に優れるため、５０％以下であることがより好ましく、３０％以下であることがさらに好ましい。

　また、腰部サポートベルトのせん断応力は、腰部サポートベルト本体部の面ファスナーの雌面部材により、腰部サポートベルト本体部の面ファスナーの雄面部材の露出面を全て覆った状態で後述するＪＩＳ　Ｌ３４１６（２０１０年）に準じた面ファスナーのせん断応力測定により得られる値である。この腰部サポートベルトのせん断応力の値が大きいと、腰部サポートベルトの係止部が外れにくく、しっかりと着用者の身体を締め付けられることを示し、反対に、腰部サポートベルトのせん断応力の値が小さいと、腰部サポートベルトの係止部が外れやすく、着用者の身体を締め付ける力が小さくなってしまうことを示す。上記のような観点から、腰部サポートベルトのせん断応力は２００Ｎ以上４００Ｎ以下であることが好ましい。腰部サポートベルトのせん断応力が２００Ｎ以上であることで、腰部サポートベルト係止部の接着強度をより優れたものとすることができる。また、腰部サポートベルトのせん断応力が４００Ｎ以下であることで、着用者が腰部サポートベルトを外す際に力を入れずに操作でき、腰部サポートベルトの着脱時の作業性を良好に保つことができる。

　以上のことから、ベース生地の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）が上記範囲にあることで適度な伸長力で着用感に優れた腰部サポートベルトとなり、ヒステリシスロス率（％）が上記範囲にあることで腰部サポートベルトがへたらず一定の締め付け圧を保てるものとなり、また腰部サポートベルトのせん断応力（Ｎ）が上記範囲にあることで、腰部サポートベルトが外れることなく、また着脱時の作業性も良好に保つことができるものとなるといえる。したがって、前記ベース生地の第１の指数［ベース生地の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）／ヒステリシスロス率（％）］×［腰部サポートベルトのせん断応力（Ｎ））］は、適度な張力で一定の張力を保ち、ベルトが外れることなく長時間着用が可能な腰部サポートベルトであるかどうかを示す。

　ここで、着用者の身体への負荷を軽減し保護する腰部サポートベルトの最低限の性能を担保するためには、上記の値を用いて示す前記ベース生地の第１の指数の下限は６０である。また、ベース生地の２５％伸長時応力の値が大きすぎると着用者の着用感に悪影響を及ぼし、また腰部サポートベルトのせん断応力の値が大きすぎると腰部サポートベルト係止部の付け外しがしづらくなるため、前記ベース生地の第１の指数の上限は３００である。以上のような理由から、前記ベース生地の第１の指数は６０～３００である。

　また、本発明の腰部サポートベルトは補助部を備えていることが好ましい。図２中の符号３に示した通り、前記補助部の一方の面の両方の端部には、面ファスナーの雄面部材が位置している。このような構成にすることで、前記補助部の両方の端部を腰部サポートベルトの本体部の第２の面に配置された面ファスナーの雌面部材に取り付けることが可能となり、その取り付け位置を調整することで前記補助部の伸長度が変わり、これにより、着用者の身体への締め付け圧を調整することができる。ここで、前記補助部の長手方向における前記補助部の中央部は、前記本体部の長手方向における前記本体部の中央部に縫着されている。このような構成にすることで、前記補助部の長手方向における前記補助部の中央部にて前記補助部を引き伸ばす際の起点が形成される。この起点により、腰部サポートベルトの中央部を支点として補助部を引き伸ばし、面ファスナーの雌面部材に取り付けることができ、着用者の身体を、よりしっかりと締め付けることが可能となる。

　ここで、前記補助部の第２の指数［補助部の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）×本体部の長さ（ｃｍ）］／［補助部の長さ（ｃｍ）×ヒステリシスロス率（％）］は、２．５～４．０であることが好ましい。ここで、前記補助部の第２の指数とは、補助部２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）を補助部の長さ（ｃｍ）と本体部の長さ（ｃｍ）の比（補助部の長さ（ｃｍ）/本体部の長さ（ｃｍ））で除した値を、さらにヒステリシスロス率（％）で除した値のことをいう。

　ここで、補助部の２５％伸長時応力とは、腰部サポートベルトの本体部の長手方向と平行な方向が補助部の長手方向となるように試験片をサンプリングし、後述する２５％伸長時応力測定により得られる値のことである。この値が大きいと、補助部が伸びにくくパワーが大きいことを示し、反対にこの値が小さいと、補助部が伸びやすく、パワーが小さいものであることを示す。以上のような観点から、補助部の２５％伸長時応力は１０Ｎ／５０ｍｍ以上３０Ｎ／５０ｍｍ以下であることが好ましい。補助部の２５％伸長時応力が１０Ｎ／５０ｍｍ以上であることで、補助部を引き伸ばして本体部の面ファスナーの雌面部材に取り付けた際に最低限の締め付け圧を付与することができる。さらに、十分な締め付け圧を付与することができるため、１５Ｎ／５０ｍｍ以上であることがより好ましい。また、補助部の２５％伸長時応力が３０Ｎ／５０ｍｍ以下であることで、補助部を引き伸ばして本体部の面ファスナーの雌面部材に取り付ける際に着用者があまり力を入れずに簡単に取り付けることが可能となる。

　補助部の長さは図３中のＬ２で示しているが、本体部の長手方向に平行な方向の補助部の長さのことをいう。本体部の長さは、図３中のＬ１で示しており、本体部の長手方向の長さのことをいう。補助部の長さと本体部の長さの比（補助部の長さ／本体部の長さ）は０．４５以上０．６５以下であることが好ましい。補助部の長さと本体部の長さの比（補助部の長さ／本体部の長さ）が０．４５以上であることで、着用者が補助部を引き伸ばして本体部の面ファスナーの雌面部材に取り付ける際に引き伸ばしやすくなる。また、補助部の長さと本体部の長さの比（補助部の長さ／本体部の長さ）が０．６５以下であることで、着用者が補助部を引き伸ばして本体部の面ファスナーの雌面部材に取り付ける際に補助部を引き伸ばす伸度の調整領域が確保でき、着用者の体型や作業の強度に合わせた締め付け圧の調整が可能となる。

　また、補助部のヒステリシスロス率とは、補助部の２５％伸長時応力を測定した後に同速度で元の長さにしていった際の伸長時の応力と回復時の応力から算出できるひずみ度合いを示すものである。この補助部のヒステリシスロス率は、０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）の積分値から２５％伸長時から０％伸長時までの応力（回復時応力）の積分値を引いた値を、０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）の積分値の総和で除した値に１００をかけることにより算出できる。この補助部のヒステリシスロス率が大きいと、補助部がへたりやすいことを示し、反対に、補助部のヒステリシスロス率が小さいと、補助部がへたりにくく、伸長回復性に優れたものであることを示す。

　以上のような観点から、補助部のヒステリシスロス率は５％以上２０％以下であることが好ましい。補助部のヒステリシスロス率が５％以上であることで、補助部を引き伸ばして本体部の面ファスナーの雌面部材に取り付けた際に締め付け圧が上がりすぎず、着用感が良好なものとなる。

　また、補助部のヒステリシスロス率が２０％以下であることで、補助部がへたり過ぎず、繰り返し腰部サポートベルトを使用しても一定の圧で着用者の身体を締め付けることができる。前述の通り、ヒステリシスロス率は小さいほど伸長回復性に優れるため、１５％以下であることがより好ましい。

　以上のことから、補助部の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）が上記範囲にあることで、適度な締め付け圧の腰部サポートベルトとなり、また、補助部の長さ（ｃｍ）／本体部の長さ（ｃｍ）が上記範囲にあることで、着用者の体型や作業の強度に合わせた締め付け圧の調整時の作業性が優れ、締め付け圧の調整範囲も最適な腰部サポートベルトとなり、補助部のヒステリシスロス率が上記範囲にあることで、適度な締め付け圧を一定に保つことのできる腰部サポートベルトであるといえる。したがって、前記補助部の第２の指数［補助部の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）×本体部の長さ（ｃｍ）］／［補助部の長さ（ｃｍ）×ヒステリシスロス率（％）］は、適度な締め付け圧であり、締め付け圧の調整も最適な範囲ででき、締め付け圧を一定に保つことが可能な腰部サポートベルトであるかどうかを示す。

　ここで、着用者の身体への負荷を軽減し保護する腰部サポートベルトの最低限の性能を担保するためには、上記の値を用いて示す前記補助部の第２の指数が２．５以上であることが好ましい。また、補助部の２５％伸長時応力の値が大きすぎると補助部を本体部の第２の面に配置された面ファスナーの雌面部材に取り付ける際に補助部を引っ張りながら取り付けることが困難となり、また、腰部サポートベルトの補助部の長さと本体部の長さの比（補助部の長さ／本体部の長さ）の値が小さすぎても同様に補助部を本体部の第２の面に配置された面ファスナーの雌面部材に取り付ける際に補助部を引っ張りながら取り付けることが困難となるため、前記補助部の第２の指数は４．０以下であることが好ましい。以上のような理由から、前記補助部の第２の指数は２．５～４．０であることが好ましい。

　また、本発明の腰部サポートベルトは帯状である本体部と帯状である補助部の他に、副資材を備えていてもよい。ここで、副資材としては、図１の符号７で示されるようなボーン資材や、図２の符号６で示されるようなテープ資材、図３の符号８で示されるようなパイピング資材などが挙げられる。ここで、上記副資材を用いる場合は、工業洗濯耐久性を考慮し、以下のような資材であることが好ましい。

　ボーン資材としては、耐熱性に優れ、熱変形が抑えられるという観点から、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなる樹脂板を用いるのが好ましい。

　また、テープ資材としては、寸法安定性に優れる素材を寸法安定性に優れる織物で作成することが好ましく、具体的にはポリエステル繊維１００％の織物を用いるのが好ましい。

　そして、パイピング資材としては、図４に示したように腰部サポートベルト本体の端部周囲を覆うため、使用素材としては耐摩耗性に優れるポリアミド繊維もしくは寸法安定性に優れるポリエステル繊維が好ましく、ポリアミド繊維およびポリエステル繊維のうち少なくともどちらか一方の繊維を使っていることが好ましい。さらに腰部サポートベルト本体部に伸縮性があるため、パイピング資材にも本体部の伸縮へ追従すべく伸縮性を持たせることが好ましく、その観点から、ポリウレタン弾性繊維も使用することが好ましい。さらに、工業洗濯時の寸法安定性を維持するために前記パイピング資材は織物であることが好ましく、パイピング資材はポリアミド繊維または／およびポリエステル繊維、およびポリウレタン弾性繊維を用いた織物であることが好ましい。このうち、特にパイピング資材には、寸法安定性に優れるポリエステル繊維を用いることで、腰部サポートベルト全体の寸法変化率を小さくすることができるため、ポリエステル繊維１００％の織物であることがより好ましい。

　ここで、上記の副資材の配置については特に制約はないが、図４に示した通り、ベース生地の第１の面および第２の面に積層し、ミシン目９で示されるようにミシン等で縫着することが好ましい。ただし、ミシン目が入ることにより腰部サポートベルト本体部の伸縮性が損なわれる可能性があるため、前記副資材のパーツ数は１０以下に抑えることが好ましい。

　以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明する。

　（測定方法）
　（２５％伸長時応力）
　ベース生地および補助部サンプルの２５%伸長時の応力を島津製作所社製　オートグラフＡＧ－５０ｋＮＧを用いて測定した。具体的には、幅５０ｍｍ、長さ２２０ｍｍに裁断した試験片を５枚用意した。次に、５枚の試験片の内の１枚の試験片を、チャック間距離１００ｍｍにて上記の測定機器に取り付け、引っ張り速度３００ｍｍ／ｍｉｎで試験片が２５％伸長する点まで引っ張り、元の長さに戻した。同様のことを他の４枚の試験片に対しても行い、５枚の試験片、それぞれについて２５％伸長時の応力を測定した。ここでいう、「２５％伸長時の応力」とは、上記の方法で測定した５枚の布帛の伸度が２５％のときの伸長応力の平均値をいう。ここで、ベース生地の２５％伸長時応力を測定する際には試験片の長さ方向が前記腰部サポートベルトの本体部の長手方向と平行な方向と同じであるように、試験片をベース生地からサンプリングすることとし、補助部の２５％伸長時応力を測定する際には試験片の長さ方向が前記腰部サポートベルトの本体部の長手方向と平行な方向と同じであるように、試験片を補助部からサンプリングすることとする。

　（ヒステリシスロス率）
　ベース生地および補助部サンプルの２５%伸長時の応力を島津製作所社製　オートグラフＡＧ－５０ｋＮＧを用いて測定した。具体的には、幅５０ｍｍ、長さ２２０ｍｍに裁断した試験片を５枚用意した。次に、５枚の試験片の内の１枚の試験片を、チャック間距離１００ｍｍにて上記の測定機器に取り付け、引っ張り速度３００ｍｍ／ｍｉｎで試験片が２５％伸長する点まで引っ張り、同速度で元の長さに戻した。同様のことを他の４枚の試験片に対しても行い、５枚の試験片、それぞれについて０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）と２５％伸長時から０％伸長時までの応力（回復時応力）を０．２秒毎に経時的に測定した。測定値について、０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）の積分値の総和と２５％伸長時から０％伸長時までの応力（回復時応力）の積分値の総和を算出し、０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）の積分値の総和から２５％伸長時から０％伸長時までの応力（回復時応力）の積分値の総和を引き、０％伸長時から２５％伸長時までの応力（伸長時応力）の積分値の総和の値で除した値に１００をかけることでヒステリシスロス率を算出した。ここでいう、「ヒステリシスロス率」とは、上記の方法で測定した５枚の布帛のヒステリシスロス率の平均値をいう。ここで、ベース生地のヒステリシスロス率を測定する際には試験片の長さ方向が前記腰部サポートベルトの本体部の長手方向と平行な方向と同じであるように、試験片をベース生地からサンプリングすることとし、補助部のヒステリシスロス率を測定する際には試験片の長さ方向が前記腰部サポートベルトの本体部の長手方向と平行な方向と同じであるように、試験片を補助部からサンプリングすることとする。

　（腰部サポートベルトのせん断応力）
　腰部サポートベルト本体部の面ファスナー接着時最大せん断応力を「腰部サポートベルトのせん断応力」としてＪＩＳ　Ｌ３４１６（２０１０年）に準じて島津製作所社製オートグラフＡＧ－５０ｋＮＧを用いて測定した。具体的には、腰部サポートベルトを製品の状態で本体部の面ファスナーの雌面部材により、腰部サポートベルト本体部の雄面部材の露出面を全て覆った状態になるように接着し、この試験片をチャック間距離１３０ｍｍにて上記の測定機器に取り付け、引っ張り速度３００ｍｍ／ｍｉｎで試験片の接着面が離れるまで引っ張った。同様のことを同じ腰部サポートベルトで４回繰り返し、５回それぞれについて最大応力を測定した。ここでいう、「腰部サポートベルトのせん断応力」とは、上記の方法で測定した５回の最大応力の平均値をいう。

　（固有粘度）
　オルソクロロフェノール（以下ＯＣＰと略記する）１０ｍｌ中に試料ポリマーを０．８ｇ溶かし、２５℃にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηｒを下式により求め、ＩＶを算出した。
ηｒ＝η／η0＝（ｔ×ｄ）／（ｔ0×ｄ0）
ＩＶ＝０．０２４２ηｒ＋０．２６３４
ここで、η：ポリマ溶液の粘度、η0：ＯＣＰの粘度、ｔ：溶液の落下時間（秒）、ｄ：溶液の密度（ｇ／ｃｍ^３）、ｔ0：ＯＣＰの落下時間（秒）、ｄ０：ＯＣＰの密度（ｇ／ｃｍ^３）である。

　（繊度）
　ＪＩＳ　Ｌ１０１３（２０１０年）８．３．１　Ｂ法に則して、繊度を測定した。算出された繊度（ｔｅｘ）の値を１０倍し、繊度（ｄｔｅｘ）とした。なお、ベース生地に含まれる繊維の繊度を測定する際は、構成糸を抜き出して測定するものとする。ここで、生地から取り出した糸が既定の長さに足りない場合は、取り出した糸の長さ（ｍ）とその重さ（ｇ）から１００００ｍあたりの重さ(ｇ)を算出し、繊度（ｄｔｅｘ）とする。

　（評価方法）
　（腰部サポートベルトの締め付け圧）
　室温２０℃、相対湿度５０％にコントロールされた試験室内で、エアパック衣服圧測定器（ＡＭＩ社製、ＡＭＩ３０３７－５Ｓ－ＩＩ）を使用し、測定用ダミー（ダミードールＫＤＭＤ－１００（大人）；カトーテック社製）に腰部サポートベルトを装着し、測定に供した。着圧測定には本体部の長手方向の長さが１００ｃｍのものを使用し、本体部が１６ｃｍ重なるように第１の面に配置された面ファスナー雄面と第２の面に配置された面ファスナー雌面を接着し、その後、補助ベルトを左右５ｃｍずつ引き伸ばして留めた。また、腰部サポートベルトの装着は、腰部サポートベルトの後中心を測定用ダミーの後中心に合わせ、そこから、左右に均等に伸長させて後述の着圧センサー貼付箇所を全て覆うように装着させた。測定は、測定用ダミーの腹側にある左右の上前腸骨棘上の２か所、および測定用ダミーの後ろ側にある左右の上後腸骨棘上とその中点の３か所、計５か所に着圧センサーを貼付し、腰部サポートベルトを測定用ダミーの腰部に装着した際の立位姿勢時の衣服圧を計測し、左右の上前腸骨棘上の２か所、および測定用ダミーの後ろ側にある左右の上後腸骨棘上とその中点の３か所、計５か所の着圧の値を平均し着圧値を算出した。ここで、「腰部サポートベルトの締め付け圧」とは、測定用ダミーを用いて上記の測定を３回繰り返した際の着圧値の平均をいう。

　（腰部サポートベルトの寸法変化率および寸法安定性）
　腰部サポートベルト本体部の係止部を係止した状態で、ＪＩＳ　Ｌ１０９６（２０１０年）Ｆ－２法およびＩ－２法に則して、１０回洗濯を実施した。前述の洗濯試験実施前後での、図３中に示した腰部サポートベルト本体部の長手方向の長さＬ１の長さを計測した。洗濯試験実施前後での腰部サポートベルト本体部の長手方向の長さＬ１の変化率（［（洗濯後のＬ１-洗濯前のＬ１）／洗濯前のＬ１］×１００（％））を求め、これを腰部サポートベルトの寸法変化率（％）とし、腰部サポートベルトの寸法安定性を評価した。ここで、「腰部サポートベルトの寸法安定性」は、腰部サポートベルトの寸法変化率が±３％以内であれば「Ａ」、±３％よりも大きく±５％以内であれば「Ｂ」、±５％よりも大きければ「Ｃ」として評価した。

　（洗濯後の腰部サポートベルトの外観変化）
　上述の通り、腰部サポートベルト本体部の係止部を係止した状態で、ＪＩＳ　Ｌ１０９６（２０１０年）Ｆ－２法およびＩ－２法に則して、１０回洗濯を実施した。次に洗濯後の腰部サポートベルトの外観を確認し、波うちやほつれがないか確認し、洗濯後の腰部サポートベルトの外観変化を評価した。ここで、「洗濯後の腰部サポートベルトの外観変化」は、洗濯後の腰部サポートベルトの外観を確認し、波うちおよびほつれの等級判定結果を総合して判定した。まずは波うちおよびほつれそれぞれについて、洗濯前後で変化なしを「５級」、洗濯後にわずかな、もしくは部分的な表面毛羽立ち又は波うちがみられる場合は「４級」、洗濯後に中程度の表面毛羽立ち又は波うちがみられる場合を「３級」、洗濯後に明瞭な毛羽立ち又は波うちがみられる場合を「２級」、洗濯後に密集したもしくは甚だしい毛羽立ち又は全体的な波うちがみられる場合は「１級」として等級判定を行った。ここで、各等級の中間の程度であった場合には、例えば４級と５級の間の程度と判断した場合には「４－５級」と判定することとした。「洗濯後の腰部サポートベルトの外観変化」は、波うちおよびほつれの等級判定結果から、外観変化の特に小さいものを「Ａ」、外観変化の小さいものを「Ｂ」、外観変化の大きいものを「Ｃ」として総合的に評価した。

　（ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドの複合繊維）
　固有粘度１．４３のポリトリメチレンテレフタレート、固有粘度０．５１のポリエチレンテレフタレートについてそれぞれエクストルーダーを用いて２８５℃、２６０℃にて溶融後、複合比がポリトリメチレンテレフタレート：ポリエチレンテレフタレート＝５０：５０の割合となるようにポンプ計量を行い口金に流入させ複合紡糸装置を用いて、紡糸し、繊度１６５ｄｔｅｘ６８ｆのサイドバイサイド型の複合繊維を得た。

　（実施例）
　（実施例１）
　ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドの複合繊維である１６５ｄｔｅｘのポリエステル系捲縮繊維を用い、コース方向密度４２本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度４０本／２．５４ｃｍの経編生地を編成し、ポリエステル１００質量％、のベース生地用の生地Ａを得た。

　なお、ポリエステル系捲縮繊維の捲縮顕在化は生地編成後の仕上げセットの段階で行った。

　続いて、面ファスナーの雄面部材として押出し成型タイプのモールドマジック（登録商標）（クラレファスニング株式会社製）（ポリエスエルエラストマー製１００質量％）である雄面部材Ａを得た。

　さらに、面ファスナーの雌面部材としてナイロン１００質量％（ナイロン６繊維）であるメッシュ状の編地からなる雌面部材Ａを得た。また、補助部資材としてはポリエステル繊維およびナイロン繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる織物である平ゴムＡを得た後、これらを用いて外観が図１、図２に示されるような形態の腰部サポートベルトを作成した。

　ここで、腰部サポートベルトの長さ方向と、生地Ａのウェル方向が平行となるように生地を裁断し、縫製した。このとき、腰部サポートベルトの長手方向の長さを１とした場合に、本体部の第１の面の第１の端部から０．１０の位置と本体部の第１の面の第１の端部との間の面の全面に面ファスナー雄面部材が露出しており、本体部の第２の面の第１の端部から０．２６の位置と本体部の第２の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出しており、本体部の第２の面の第２の端部から０．２６の位置と本体部の第２の面の第２の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出するように全長１００ｃｍの腰部サポートベルトを作成した。

　上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表１に示す。

　（実施例２）
　補助部材をナイロン繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる平ゴムＢとした以外は実施例１と同じ部材からなる腰部サポートベルトを得た。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表１に示す。

　（実施例３）
　１２４０ｄｔｅｘのポリウレタン弾性繊維および２３５ｄｔｅｘのナイロン繊維（ナイロン６繊維）を用い、コース方向密度４２本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度３０本／２．５４ｃｍの経編生地を編成し、ポリウレタン２３質量％、ナイロン７７質量％のベース生地用の生地Ｂを得た。ベース生地を生地Ｂとした以外は実施例１と同じ部材からなる腰部サポートベルトを得た。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表１に示す。

　（実施例４）
　面ファスナーの雌面部材としてナイロン１００質量％（ナイロン６繊維）であるプレーン状の編地からなる雌面部材Ｂを得た。面ファスナーの雌面部材に雌面部材Ｂを用いた以外は実施例１と同じ部材からなる腰部サポートベルトを得た。上記サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表１に示す。

　（実施例５）
　ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドの複合繊維である１６５ｄｔｅｘのポリエステル系捲縮繊維を用い、コース方向密度４２本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度４０本／２．５４ｃｍの経編生地を編成し、ポリエステル１００質量％、のベース生地用の生地Ａを得た。

　続いて、面ファスナーの雄面部材として押出し成型タイプのモールドマジック（登録商標）（クラレファスニング株式会社製）（ポリエステルエラストマー１００質量％含有）である雄面部材Ａを得た。

　さらに面ファスナーの雌面部材としてナイロン１００質量％（ナイロン６繊維）であるプレーン状の編地からなる雌面部材Ｂを得た。また、補助部材としてはポリエステル系捲縮繊維からなるポリエステル１００質量％の編地である平ゴムＣを得た後、これらを用いて外観が図１、図２に示されるような形態の腰部サポートベルトを作成した。ここで、腰部サポートベルトの長さ方向と、生地Ａのウェル方向が平行となるように生地を裁断し、縫製した。このとき、腰部サポートベルトの構成は、実施例１と同様とした。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表１に示す。

　（実施例６）
　面ファスナーの雌面部材としてポリエステル１００質量％（ポリエチレンテレフタレート繊維）である表面がループ状になった織物からなる雌面部材Ｄを得た。面ファスナーの雌面部材に雌面部材Ｄを用いた以外は実施例１と同じ部材からなる腰部サポートベルトを得た。上記サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表２に示す。

　（実施例７）
　ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドの複合繊維である１６５ｄｔｅｘのポリエステル系捲縮繊維を用い、コース方向密度４２本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度４０本／２．５４ｃｍの経編生地を編成し、ポリエステル１００質量％、のベース生地用の生地Ａを得た。

　続いて、面ファスナーの雄面部材として押出し成型タイプのモールドマジック（登録商標）（クラレファスニング株式会社製）（ポリエステルエラストマー１００質量％）である雄面部材Ａを得た。

　さらに、面ファスナーの雌面部材としてポリエステル１００質量％（ポリエチレンテレフタレート繊維）である表面がループ状の織物からなる雌面部材Ｄを得た。また、補助部資材としてはポリエステル繊維およびナイロン繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる織物である平ゴムＡを得た後、これらを用いて外観が図１、図２に示されるような形態の腰部サポートベルトを作成した。ここで、腰部サポートベルトの長さ方向と、生地Ａのコース方向が平行となるように生地を裁断し、縫製した。このとき、腰部サポートベルトの長手方向の長さを１とした場合に、本体部の第１の面の第１の端部から０．０８の位置と本体部の第１の面の第１の端部との間の面の全面に面ファスナー雄面部材が露出しており、本体部の第２の面の第１の端部から０．２６の位置と本体部の第２の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出しており、本体部の第２の面の第２の端部から０．２６の位置と本体部の第２の面の第２の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出するように全長１００ｃｍの腰部サポートベルトを作成した。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表２に示す。

　（実施例８）
　ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドの複合繊維である３３０ｄｔｅｘのポリエステル系捲縮繊維を用い、コース方向密度４２本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度４０本／２．５４ｃｍの経編生地を編成し、ポリエステル１００質量％、のベース生地用の生地Ｅを得た。ベース生地を生地Ｅとした以外は実施例７と同様にして腰部サポートベルトを得た。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表２に示す。

　（実施例９）
　ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドの複合繊維である８４ｄｔｅｘのポリエステル系捲縮繊維を用い、コース方向密度４７本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度６６本／２．５４ｃｍの織物生地を編成し、ポリエステル１００質量％、のベース生地用の生地Ｆを得た。ベース生地を生地Ｆとした以外は実施例７と同様にして腰部サポートベルトを得た。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表２に示す。

　（実施例１０）
　ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイドの複合繊維である８４ｄｔｅｘのポリエステル系捲縮繊維を用い、コース方向密度４７本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度６６本／２．５４ｃｍの織物生地を編成し、ポリエステル１００質量％、のベース生地用の生地Ｇを得た。ベース生地を生地Ｇとした以外は実施例７と同様にして腰部サポートベルトを得た。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表２に示す。

　（比較例１）
　７００ｄｔｅｘのポリエステル繊維（ポリエチレンテレフタレート繊維（延伸糸））を用い、コース方向密度１７本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度２０本／２．５４ｃｍの経編生地を編成し、ポリエステル１００質量％、のベース生地用の生地Ｃを得た。

　ベース生地に上記の生地Ｃを用いた以外は実施例４と同じ部材からなる腰部サポートベルトを作成した。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表３に示す。

　（比較例２）
　１５６ｄｔｅｘのナイロン繊維を用い、コース方向密度３３本／２．５４ｃｍ、ウェル方向密度４１本／２．５４ｃｍの経編生地を編成し、ナイロン１００質量％、のベース生地用の生地Ｄを得た。

　ベース生地に上記の生地Ｄを用いた以外は実施例４と同じ部材からなる腰部サポートベルトを作成した。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表３に示す。

　（比較例３）
　面ファスナーの雌面部材として、ナイロン６繊維からなる表面がプレーン状の編地と厚さ３ｍｍのポリウレタンフォームとの積層構造の布帛からなる雌面部材Ｃ（ナイロン７１．９質量％）を得た。この雌面部材Ｃを面ファスナーの雌面部材に使用した以外は実施例１と同じ部材からなる腰部サポートベルトを作成した。上記腰部サポートベルトについて、ベース生地の第１の指数、補助部の第２の指数、締め付け圧、工業洗濯耐久性（寸法安定性、外観変化）の評価結果を表３に示す。

１：本体部
２：補助部
３：面ファスナーの雄面部材
４：面ファスナーの雌面部材
５：ベース生地
６：テープ資材
７：ボーン資材
８：パイピング資材
９：ミシン目

Claims (9)

1. 　帯状である本体部を備える腰部サポートベルトにおいて、
   　前記本体部は、ベース生地、面ファスナーの雄面部材および面ファスナーの雌面部材を備えており、
   　前記本体部の第１の面の第１の端部では、前記面ファスナーの雄面部材が前記ベース生地に縫着されており、
   　前記本体部の第２の面の両方の端部では、前記面ファスナーの雌面部材が前記ベース生地に縫着されており、
   　前記面ファスナーの雄面部材は、ポリエステルエラストマー樹脂を前記面ファスナーの雄面部材の質量に対し９５質量％以上含有し、
   　前記面ファスナーの雌面部材は、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる１種以上の樹脂を前記面ファスナーの雌面部材の質量に対し９５質量％以上含有し、
   　前記ベース生地は、ポリエステル捲縮繊維およびポリウレタン弾性繊維からなる群より選ばれる１種以上の繊維から構成されており、
   　前記ベース生地の第１の指数［ベース生地の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）／ヒステリシスロス率（％）］×［腰部サポートベルトのせん断応力（Ｎ）］は、６０～３００である、腰部サポートベルト。
2. 　前記本体部の第１の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さを１とした場合の前記本体部の第１の面の第１の端部から０．０５～０．２の位置と前記本体部の第１の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雄面部材が露出しており、
   　前記本体部の第２の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さを１とした場合の前記本体部の第２の面の第１の端部から０．２～０．３の位置と前記本体部の第２の面の第１の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出しており、
   　前記本体部の第２の面であって、かつ、前記本体部の長手方向の長さを１とした場合の前記本体部の第２の面の第２の端部から０．２～０．３の位置と前記本体部の第２の面の第２の端部との間の面の全面に前記面ファスナーの雌面部材が露出している、請求項１に記載の腰部サポートベルト。
3. 帯状である補助部を備え、
   　前記補助部の一方の面の両方の端部には、面ファスナーの雄面部材が位置しており、
   　前記補助部の長手方向における前記補助部の中央部は、前記本体部の長手方向における前記本体部の中央部に縫着されており、
   　前記補助部の第２の指数［補助部の２５％伸長時応力（Ｎ／５０ｍｍ）×本体部の長さ（ｃｍ）］／［補助部の長さ（ｃｍ）×ヒステリシスロス率（％）］は、２．５～４．０である、請求項１または２に記載の腰部サポートベルト。
4. 　前記ベース生地が編地である、請求項１～３のいずれかに記載の腰部サポートベルト。
5. 　前記ベース生地は、ポリエステル捲縮繊維から構成されている、請求項１～４のいずれかに記載の腰部サポートベルト。
6. 　前記ポリエステル捲縮繊維が、固有粘度差が０．３０以上である２種類のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされたバイメタル複合繊維である、請求項１～５のいずれかに記載の腰部サポートベルト。
7. 　前記２種類のポリエステル重合体が、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートから選ばれる２種類のポリエステル重合体である、請求項６に記載の腰部サポートベルト。
8. 　前記ポリエステル捲縮繊維が、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるサイドバイサイド型の複合繊維である、請求項1～７のいずれかに記載の腰部サポートベルト。
9. 　前記ポリエステル捲縮繊維の繊度が１００～４００ｄｔｅｘである、請求項１～８のいずれかに記載の腰部サポートベルト。

Images