WO2021085417A1 - プリント配線板およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents

Abstract

プリント配線板を切断する際に繊維クズが発生せず、毛羽立ちを防ぐことができるプリント配線板の製造方法およびプリント配線板を提供すること。　この発明にかかるプリント配線板の製造方法は、強化繊維２０によって縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度で織成された布状物２６を含むシート材１６を準備し、　前記布状物２６を構成する糸に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、シート材１６を切り出し装置に配置し、　傾斜させた前記シート材１６から、切断部が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸と交差してシート材を切り出し、シート材の周縁部が布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差するシート材を形成し、　前記シート材１６を内層基板ないしは絶縁基板として構成したマザー積層板５０を作成し、　前記マザー積層板５０の周縁部に沿ってマザー積層板の金属層に導体パターン８０を施す工程を含む。

Description

プリント配線板およびプリント配線板の製造方法

　本発明は、プリント配線板およびプリント配線板の製造方法に関し、特に強化繊維によって織成された布状物を含むプリント配線板およびプリント配線板の製造方法に関するものである。

　従来から、強化繊維として、例えばガラス繊維を織成し、作製したガラスクロスを補強材として、ガラスクロスを樹脂に含浸させたプリント配線板が製造されている。このようなガラスクロスを含むプリント配線板は、作業効率の関係から、プリント配線板を一括成形後、所望の大きさに切り出す加工がなされている。ガラス繊維は短繊維であり、短繊維を撚って糸状にしたものであるため、ガラス繊維の繊維方向と同方向に切断すると、ガラス繊維を完全に切断することができず、毛羽立ちや繊維クズの発生する原因となっていた。繊維クズがプリント配線板の表面に付着していると、はんだ付けする際に繊維クズによってはんだ付け不良が生じるという問題があった。

　そこで、プリント配線板を加工する際に生じる毛羽立ちや繊維クズの発生を抑制するために、特許文献１では、プリント配線板をガラス繊維の方向と直交しない角度で切り出す方法が開示されている。

特開２００３－３１９１２号公報

　しかしながら、一般的に製造されている加工前のプリント配線板は繊維方向が基板の周縁部に沿って形成されているものが多く、ガラス繊維の方向がバイアス方向（斜め方向）のプリント配線板を製造するためには、切り出すために特別な装置を使用しなければならず、コストがかかってしまうという問題があった。

　それゆえに、本発明の主たる目的は、プリント配線板を切断する際に繊維クズが発生せず、毛羽立ちを防ぐことができるプリント配線板の製造方法およびプリント配線板を提供することである。他の目的は、せん断装置などで切断しても、繊維くずの発生を抑え、使用できない基板のロスを少なくすることができる、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法を提供することである。

　この発明にかかるプリント配線板の製造方法は、
　強化繊維によって強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を含むシート材を準備する工程と、
　前記シート材の布状物を構成する糸に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部が切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、シート材を切り出し装置に配置する工程と、
　傾斜させた前記シート材から、切断部が切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差してシート材を切り出し、シート材の周縁部が布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差するシート材を形成する工程と、
　前記シート材を内層基板ないしは絶縁基板として構成したマザー積層板を作成する工程と、
　前記マザー積層板の表面に金属層を形成する工程と、
前記マザー積層板の周縁部に沿ってマザー積層板の金属層に導体パターンを施す工程とを含む。
　この発明にかかるプリント配線板は、
　強化繊維によって織成された布状物を含むシート材を備えるプリント配線板であって、
　前記シート材の強化繊維の縦糸と横糸との間の角度は、９０度で織成されており、
　前記シート材は、前記シート材の周縁部の一辺において５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ布状物を切断する切断刃を構成する上刃と下刃との間のクリアランスと切断刃に並ぶ布状物構成糸の太さとを合わせた長さより、切断刃に並ぶ布状物構成糸を前記切断刃によって切断されてなる切断部の長さの方が、０．３ｍｍ～６．３ｍｍ長くなるように、前記布状物を構成する糸が切断され、
　前記シート材は、内層基板ないしは絶縁基板を構成し、シート材の表面に金属層が形成され、金属層に導体パターンが形成されたことを特徴とする。
　この発明にかかるプリント配線板の製造方法は、
　強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を、縦糸及び横糸と直交する方向ないしは平行な方向に切断してなるシート材を準備する工程と、
　シート材の表面に金属層を形成する工程と、
　前記強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を有するシート材を内層基板ないしは絶縁基板として含むマザー積層板を準備する工程と、
　前記マザー積層板の布状物を構成する糸に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部が切断方向に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、マザー積層板を切り出し装置に配置する工程と、
　傾斜させた前記マザー積層板を、切断部がシート材の切断方向に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差するように切り出し、所望するサイズのプリントワークを作成する工程と、
　前記プリントワークの周縁部に沿って金属層に導体パターンを施す工程とを含む。
　この発明にかかるプリント配線板は、
　強化繊維によって織成された布状物を含むシート材を備えるプリント配線板であって、
　前記シート材は、強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成され、内層基板ないしは絶縁基板としてマザー積層板を構成し、
　前記マザー積層板は、前記マザー積層板の周縁部の一辺において５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ布状物を切断する切断刃を構成する上刃と下刃との間のクリアランスと切断刃に並ぶ布状物構成糸の太さとを合わせた長さより、切断刃に並ぶ布状物構成糸を前記切断刃によって切断されてなる切断部の長さの方が、０．３ｍｍ～６．３ｍｍ長くなるように、マザー積層板の周縁部が切断され且つ前記シート材の布状物を構成する糸が切断され、マザー積層板のシート材の表面に金属層が形成され、金属層に導体パターンが形成されたことを特徴とする。
　この発明にかかるプリント配線板の製造方法は、
　強化繊維によって強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を含むシート材を準備する工程と、
　シート材の表面に金属層を形成する工程と、
　前記強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を有するシート材を内層基板ないしは絶縁基板として含むマザー積層板を準備する工程と、
　前記マザー積層板のシート材の布状物を構成する糸に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部が切断刃に並ぶシート材の布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、マザー積層板をパターン形成用印刷装置に配置する工程と、
　傾斜させた前記マザー積層板に、切断部が切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差するようにパターン形成用印刷装置により金属層に導体パターンを施す工程と、
　導体パターンに沿ってマザー積層板を切り出し、切断部がシート材の切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差したプリントワークを作出する工程と、
前記プリントワークの周縁部に沿って金属層に導体パターンを施す工程とを含む。
　この発明にかかるプリント配線板は、
　強化繊維によって織成された布状物を含むシート材を備えるプリント配線板であって、
　前記シート材は、強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成され、内層基板ないしは絶縁基板としてマザー積層板を構成し、
　前記マザー積層板の布状物を構成する糸は、前記プリント配線板の導体パターンの周縁部の一辺において５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ前記マザー積層板の布状物を切断する切断刃を構成する上刃と下刃との間のクリアランスと切断刃に並ぶ布状物構成糸の太さとを合わせた長さより、切断刃に並ぶ布状物構成糸を前記切断刃によって切断されてなる切断部の長さの方が、０．３ｍｍ～６．３ｍｍ長くなるように、前記マザー積層板の金属層にプリント配線板の導体パターンが施され、
 前記導体パターンに沿って前記マザー積層板が切断されて、前記マザー積層板の切断部がシート材の切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して前記マザー積層板のシート材の布状物を構成する糸が切断されたことを特徴とする。

　この発明にかかるプリント配線板の製造方法によれば、プリント配線板を切断する際に繊維クズが発生せず、毛羽立ちを防ぐことができるプリント配線を提供することができる。
　この発明にかかるプリント配線板によれば、プリント配線板を切断する際に繊維クズが発生せず、毛羽立ちを防ぐことができるプリント配線を提供することができる。

　この発明にかかるプリント配線板の製造方法によれば、せん断装置などで切断しても、繊維くずの発生を抑え、使用できない基板のロス少なくすることができる、プリント配線板を提供することができる。
　この発明にかかるプリント配線板によれば、せん断装置などで切断しても、繊維くずの発生を抑え、使用できない基板のロスを少なくすることができる、プリント配線板を提供することができる。

　本発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。

本発明に係るシート材の図解図であり、（Ａ）は平面図解図であり、（Ｂ）はプリプレグよりシート材を形成する過程を示す平面図解図である。 プリント配線板の断面図解図であり、（Ａ）はプリプレグの断面図解図であり、（Ｂ）はプリント配線板の断面図解図である。 プリプレグよりシート材を成形する過程を示す平面図解図である。 プリント配線板の図解図であり、（Ａ）はプリント配線板の平面図解図であり、（Ｂ）はプリント配線板の横断面図解図である。 逆バイアスとした複数層のプリプレグの成形方法を示す図解図である。 逆バイアスとした複数層のプリプレグの成形方法を示す図解図である。 逆バイアスとした複数層のプリプレグの成形方法を示す図解図である。 プリント配線板の製造方法を示す図解図である。 プリプレグよりシート材を成形する過程を示す図解図であり、（Ａ）は平面図解図であり、（Ｂ）はプリプレグを切断してシート材を成形する過程を示す断面図解図であり、(Ｃ)はプリプレグを切断してシート材を成形する過程を示す平面図解図であり、(Ｄ)はプリプレグを切断した状態を示す断面図解図である。 プリプレグを切断してシート材を成形する方法を示す斜視図解図である。 銅張積層板よりプリント配線板を形成する方法を示す斜視図解図である。 銅張積層板より複数のプリント配線板を成形する方法を示す斜視図解図である。 プリント配線板の製造方法を示す図解図である。 プリプレグよりシート材を成形する過程を示す図解図であり（Ａ）は平面図解図であり、（Ｂ）は斜視図解図である。 プリントワークより複数のプリント配線板の製造方法を示す図解図である。 プリプレグより複数のシート材を成形する過程を示す平面図解図である。 プリント配線板の製造方法を示す図解図である。 銅張積層板よりプリント配線板を形成する方法を示す斜視図解図である。 逆バイアスとしたプリプレグを用いてプリント配線板を製造する方法を示す図解図である。 逆バイアスとしたプリプレグを用いた銅張積層板よりプリント配線板を形成する方法を示す視図解図である。 切断刃の一例たる金型の正面図解図である。 強化繊維を切断したときに毛羽立ちを減少させることができる傾斜角度を示す図解図である。 切断刃と布状物の縦糸及び横糸との関係を示す図解図であり、（Ａ）は平面図解図であり、（Ｂ）はＡ－Ａ断面図解図であり、（Ｃ）はＢ－Ｂ 断面図解図である。 (A)は切断刃と布状物の縦糸及び横糸との関係を示す断面図解図であり、（Ｂ）は切断された布状物の拡大図解図である。 実施例１－１及び実施例１－６における切断刃の傾斜角度と布状物の縦糸及び横糸との関係を示す図解図、並びに切断された布状物の繊維の状態を示す拡大断面観察写真である。 実施例１－２及び実施例１－７における切断刃の傾斜角度と布状物の縦糸及び横糸との関係を示す図解図、並びに切断された布状物の繊維の状態を示す拡大断面観察写真である。 実施例１－３及び実施例１－８における切断刃の傾斜角度と布状物の縦糸及び横糸との関係を示す図解図、並びに切断された布状物の繊維の状態を示す拡大写真である。 実施例１－４及び実施例１－９における切断刃の傾斜角度と布状物の縦糸及び横糸との関係を示す図解図、並びに切断された布状物の繊維の状態を示す拡大断面観察写真である。 実施例１－５及び実施例１－１０における切断刃の傾斜角度と布状物の縦糸及び横糸との関係を示す図解図、並びに切断された布状物の繊維の状態を示す拡大断面観察写真である。 比較例の切断された布状物の繊維の状態を示す拡大断面観察写真である。 プリント配線板の繊維落ちを気にするメーカーの製品サイズの分布を示すグラフである。

１．プリント配線板
　本発明に係るプリント配線板１０について、主として図１および図２を用いて説明する。図１はプリント配線板の垂直方向の断面図である。図２は、プリプレグ層１２の水平方向における断面図である。
　プリント配線板１０とは、電気回路の配線を絶縁体からなる板の表面や内部にプリントした基板のことを言い、生板とも言われている。

（第１の実施の形態）
　本発明に係るプリント配線板１０は、強化繊維２０によって織成された布状物２６を含むプリプレグ層１２と、プリプレグ層１２の表面に形成された金属層１４とを有する。
　プリプレグ層１２は、強化繊維２０によって織成された布状物２６を含むプリプレグ３０で形成され、プリプレグ３０はシート材１６で形成されている。

　プリプレグ３０は、ガラスクロス、炭素繊維のような繊維状補強材に、硬化剤、接着剤などの添加物を混合したエポキシなどの熱硬化性樹脂を均等に含浸させ、加熱または乾燥して半硬化状態にしたシート状の強化プラスチック成形材料である。
　プリプレグ３０は、平面視正方形ないし長方形に形成されていることが多く、上端縁１２ａ、左端縁１２ｂ、下端縁１２ｃ、右端縁１２ｄ等の外縁を備えている。プリプレグ３０は、平面視方形のときは、上端縁１２ａと下端縁１２ｃとが平行であり、左端縁１２ｂと右端縁１２ｄとが平行である。
　前記シート材１６は、強化繊維２０で織った織物（布状物２６）のたて方向の糸である縦糸２２とヨコ方向の糸である横糸２４との間の角度が、９０度で織成され、内層基板ないしは絶縁基板としてマザー積層板（銅張積層板５０）を構成する。

　前記マザー積層板（銅張積層板５０）のシート材１６は、前記シート材１６の周縁部の一辺において５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ布状物２６を切断する切断刃１００を構成する上刃１０２と下刃１０４との間のクリアランスと切断刃１００に並ぶシート材１６の布状物構成糸（縦糸２２及び横糸２４）の太さとを合わせた長さより、切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２及び横糸２４）を前記切断刃１００によって切断されてなる切断部の長さの方が、０．３ｍｍ～６．３ｍｍ長くなるように、前記布状物２６を構成する糸が切断され、マザー積層板（銅張積層板５０）の周縁部が切断され且つ前記シート材１６の布状物２６を構成する糸が切断されている。そして、シート材１６の表面に金属層１４が形成され、金属層１４に導体パターンが形成されたことを特徴とする。

　マザー積層板（銅張積層板５０）とは、回路がプリントされる前の板を言う。
　マザー積層板（銅張積層板５０）は、プリプレグ３０に薄い導体材（銅箔）４０を密着させ、プレス(加圧)しながら硬化温度まで加熱し、プリプレグ３０を硬化させたＣＣＬ（銅張積層板５０）と、別の同様なＣＣＬ（銅張積層板５０）との間に、プリプレグ３０やコア材１８を挟み、加熱加圧し、プリプレグ３０を硬化させ、ＣＣＬを積層した積層体である。
　紙やガラスなどの基材に樹脂を含浸させたシート（プリプレグ３０）を重ね、加熱加圧処理して得た絶縁板を積層板といい、ＣＣＬ（銅張積層板５０）は、その積層板の両面に銅箔（金属層１４）を施したものである。

　プリプレグ層１２は絶縁シート（層）を構成し、金属層１４は導体シート（層）を構成する。
　プリプレグ層１２及び金属層１４並びに基板の両面に導体材（銅箔）４０（金属層１４）が積層されたコア材１８が積層され、導体材（銅箔）４０（金属層１４）の表面に導体パターン８０（配線パターンなど）が形成されている。

　プリプレグ層１２は、強化繊維２０で構成される縦糸２２を縦方向の糸とし且つ横糸２４をよこ方向の糸として織成して布状とした布状物２６と、布状物２６に樹脂を含浸させることにより形成した樹脂層２８とを有するシート材１６であるプリプレグ３０により構成されている。プリント配線板１０の強度を向上させるために、プリプレグ層３０は、複数層積層させても良い。

　プリプレグ層１２を構成するシート材１６であるプリプレグ３０は、平面視正方形ないし長方形に形成されていることが多く、上端縁１２ａ、左端縁１２ｂ、下端縁１２ｃ、右端縁１２ｄ等の外縁を備えている。
　プリプレグ３０により構成されるシート材１６は、平面視方形のときは、上端縁１６ａ、左端縁１６ｂ、下端縁１６ｃ及び右端縁１６ｄを備え、上端縁１６ａと下端縁１６ｃとが平行であり、左端縁１６ｂと右端縁１６ｄとが平行である。

　強化繊維２０は、大きく分けると、有機繊維と無機繊維という二種の繊維からできている。
　無機繊維としては、ガラス繊維や炭素繊維があり、有機繊維としてはアラミド繊維などがある。
　繊維の形態も色々あり、長い繊維をそのまま使う長繊維、数ミリから数十ミリに切断して使う短繊維という形態もある。
　強化繊維２０は、複数本の繊維を撚って糸状にしたものである。例えば、ガラス繊維の１本あたりの直径は９μｍであり、約４００本のガラス繊維をテンションによって撚ることにより、糸状にしている。補強材２６は強化繊維２０をたて方向の糸を縦糸２２および横方向の糸を横糸２４に使用して織成されたものである。縦糸２２および横糸２４は平織や綾織などに織成し、布状にして使用される。

　縦糸２２および横糸２４の強化繊維２０は、例えば長い繊維を織ったもの（平織り、綾織など）であるが、強化繊維２０からなる横糸２４は、上下方向（例えば垂直方向）に伸びる方向を備え、強化繊維からなる縦糸２２は、左右方向（例えば水平方向）に伸びる方向を備える。
　縦糸２２の伸びる方向と横糸２４の伸びる方向とは、直行ないし交差するように構成されている。

　樹脂層２８に用いられるレジン（樹脂）は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が使用される。補強材２６を上述の樹脂に含浸させることにより、樹脂層２８が形成される。

　プリプレグ層１２を構成するシート材１６は、平面から見ると（図２参照）、上端縁１６ａと縦糸２２との交点において、上端縁１６ａと縦糸２２とがなす角度が５度以上３０度以下である。
　また、プリプレグ層１２を構成するシート材１６は、平面から見ると（図２参照）、左端縁１６ｂと横糸２４との交点において、左端縁１６ｂと横糸２４とがなす角度が５度以上３０度以下である。
　この実施の形態においては、強化繊維２０を構成する縦糸２２及び横糸２４は、プリント配線板１０の形状に対応してプリプレグ層１２を構成するシート材１６を所定形状に成形するときに切断する切断刃１００の伸びる方向に対応する切断線に対する強化繊維２０の伸びる方向が５度以上３０度以下の角度となるように構成されている。

　すなわち、強化繊維２０を構成する縦糸２２及び横糸２４は、プリント配線板１０を所定形状に成形するときに切断する切断刃１００が、縦糸２２及び横糸２４を構成する繊維と所定角度（５度以上３０度以下）をもって交わるような方向で、せん断できるように形成されている。
　これにより、任意のサイズのプリント配線板を所定形状の外形及びそれに形成される貫通孔を成形するときに、横糸２４及び／又は縦糸２２を切断することが可能であり、切断のときの繊維クズの発生を抑制することができる。したがって、繊維クズによるはんだ付けの不良を抑制することができる。

　この実施の形態においては、図１に示すように、プリプレグ３０は平面視正方形であり、２直線が交わるときは両直線を含む平面上で考えることにより、シート材１６であるプリプレグ３０を構成する縦糸２２とシート材１６であるプリプレグ３０の下端縁１２ｃとのなす角度、即ち縦糸２２の繊維方向と平行に伸びる直線を、プリプレグ３０の下端縁１２ｃと平行に伸びる直線と交わる位置まで平行移動して交わる２直線を作り、その交わる２直線のなす角度を元の２直線のなす角度としたとき、１３．０５度となるように形成している。

　また、この実施の形態においては、図３に示すように、シート材１６であるプリプレグ３０は平面視長方形であり、２直線が交わるときは両直線を含む平面上で考えることにより、プリプレグ３０を構成する横糸２４とシート材１６であるプリプレグ３０の下端縁１２ｃとのなす角度、即ち横糸２４の繊維方向と平行に伸びる直線を、シート材１６であるプリプレグ３０の下端縁１２ｃと平行に伸びる直線と交わる位置まで平行移動して交わる２直線を作り、その交わる２直線のなす角度を元の２直線のなす角度としたとき、１３．３９度となるように形成している。
　これにより、任意のサイズのプリント配線板を切り出すときに、横糸２４及び縦糸２２を切断することが可能であり、繊維クズの発生を抑制することができる。したがって、繊維クズによるはんだ付けの不良を抑制することができる。

　金属層１４は、例えば、銅箔等の導体材４０によって形成されている。銅箔は、通常１８ないし７０μｍほどの厚さである。
　通常銅箔には粗面化処理を施されており、銅箔の片面（接着面）に５ないし７μｍ程度の凹凸が形成されている。
　前記プリプレグ３０は、補強材２６を構成する縦糸２２と横糸２４との間や縦糸２２及び横糸２４を構成する繊維の中に、前記銅箔の表面の凹凸が入り込み、補強材２６と銅箔とが密着することができるように構成されている。

　プリント配線板１０の配線パターンを、マザー積層板５０の金属層（銅箔層）面にスクリーン印刷等により印刷し、エッチングすることによって、導体パターン８０が形成される。
　配線パターンが形成されたプリント配線板１０は、導体パターン８０に電子部品（図示せず）等をはんだ付けして導通させることができる。

　前記絶縁シート材であるプリプレグ３０に金属層（銅箔層）１４を構成する導体材４０を貼り合わせたマザー積層板５０の金属層（銅箔層）１４面に、スクリーン印刷やフォトレジストで耐食膜の回路パターンを形成し、腐食液で非画像部の銅を溶解除去し、次に耐食膜をアルカリ水溶液などで取り除いて電気回路等の導体パターン８０を作成する。

　このプリント配線板１０は、図４で示すように、銅張積層板（マザー積層板）５０の外形が外側の縁より内側に入り込んだような凹凸形状５２ｅや比較的大きな貫通孔５２ｆや隘路状の細長い穴５２ｇが形成されるなど複雑な形状を備えることがある。
　このような複雑な形状を備えるプリント配線板１０であっても、銅張積層板（マザー積層板）５０の外形を構成する端縁（上端縁５２ａ、左端縁５２ｂ、下端縁５２ｃ、右端縁５２ｄ及び凹凸形状５２ｅ）及び貫通孔（５２ｆ、５２ｇ）を形成するための切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４により切断するときに、強化繊維を構成する縦糸２２及び横糸２４の伸びる方向ではなく、縦糸２２及び横糸２４の伸びる方向と直交ないしは交差する方向に切断することができるので、繊維くずの発生を抑制することができる。

　図１５において示すように、シート材を構成する布状物の縦糸及び横糸に対して切断刃を傾斜させて切断すると、強化繊維の繊維を確実に切断しすることができ毛羽立ちを防ぐことができる。
　横糸に対して５.３８度以上３０度以下傾斜させて切断すると、強化繊維の繊維（横糸）を確実に切断できる。
　又、縦糸に対して５.２２度以上３０度以下傾斜させて切断すると、強化繊維の繊維（縦糸）を確実に切断できる。

（第２の実施の形態）

　次に、第２の実施の形態のプリント配線板１０について、主として図５～７に基づいて説明する。
　このプリント配線板１０は、プリプレグ層１２を構成する強化繊維が、２種の繊維方向を有するシート材１６を、強化繊維の繊維方向を異ならしめて逆バイアスとして積層したことを、特徴とするものである。
　プリプレグ３０を積層してなるプリプレグ層１２の構成が、前記第１の実施の形態のプリント配線板１０とは異なる。
　積層されるシート材１６Ａとシート材１６Ｂとは、プリプレグ３０の布状物２６の縦糸２２及び横糸２４の伸びる方向が、逆バイアスとなるように、積層されている。

　このプリント配線板１０は、前記シート材１６は、第１のシート材１６Ａと、第２のシート材１６Ｂとを有し、前記第１のシート材１６Ａは、前記強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度となるように織成され、前記縦糸２２または前記横糸２４は、前記第１のシート材１６Ａの周縁部の一辺において６度以上４５度以下で前記強化繊維２０が切断されており、
　前記第２のシート材１６Ｂは、前記強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度となるように織成され、前記縦糸２２または前記横糸２４は、前記第２のシート材１６Ｂの周縁部の一辺において６度以上４５度以下で前記強化繊維２０が切断されており、
　このプリント配線板は、前記第１のシート材１６Ａおよび前記第２のシート材１６Ｂが繊維方向を異ならしめて交互に積層されていることを特徴とする。

　第１のシート材１６Ａを構成する布状物２６の第１の縦糸２２と第１の横糸２４とを、平面視において反時計回りに５度以上３０度以下の角度で回転させた奇数層３２と、第２のシート材１６Ｂを構成する布状物２６の第２の縦糸２２と第２の横糸２４とを、平面視において時計回りに５度以上３０度以下の角度で回転させた偶数層３４とが、積層されている。
　第１のシート材１６Ａの布状物２６の第１の縦糸２２と第１の横糸２４とは直交し、第２のシート材１６Ｂの布状物２６の第２の縦糸２２と第２の横糸２４とは直交し、このような第１のシート材１６Ａと第２のシート材１６Ｂと積層するときに、第１のシート材１６Ａの布状物２６の第１の縦糸２２と第１の横糸２４との交点Ｏ１と第２のシート材１６Ｂの布状物２６の第２の縦糸２２と第２の横糸２４との交点Ｏ２を合わせて、第１のシート材１６Ａを反時計方向に所定の角度を回転させ、且つ第２のシート材１６Ｂを時計方向に所定の角度を回転させる。

　この実施の形態においては、２直線が交わるときは両直線を含む平面上で考えることにより、第１のシート材１６Ａを構成する布状物２６の第１の縦糸２２と第１のシート材１６Ａの下端縁１６ｃとのなす角度、即ち第１のシート材１６Ａの布状物２６の第１の縦糸２２の伸びる方向と平行に伸びる直線を、第１のシート材１６Ａの下端縁と平行に伸びる直線と交わる位置まで平行移動して交わる２直線を作り、その交わる２直線のなす角度を元の２直線のなす角度としたとき、１３．０５度となるように形成している。
　この実施の形態においては、第２のシート材１６Ｂを構成する布状物２６の第２の縦糸２２と第２のシート材１６Ｂの下端縁とのなす角度、即ち第２のシート材１６Ｂの布状物２６の第２の縦糸２２の伸びる方向と平行に伸びる直線を、第２のシート材１６Ｂの下端縁１６ｃと平行に伸びる直線と交わる位置まで平行移動して交わる２直線を作り、その交わる２直線のなす角度を元の２直線のなす角度としたとき、１３．０５度となるように形成している。

２．プリント配線板の製造方法
　本発明に係るプリント配線板１０は、例えば、以下の実施例１ないし実施例４に係る製造方法を用いて、製造される。

　以下、本発明に係るプリント配線板１０の第１の実施の形態の製造方法について、主として図８Ａないし図１０を用いて説明する。
　本発明にかかるプリント配線板の製造方法は、
　強化繊維２０によって強化繊維の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度で織成された布状物２６を含むシート材１６を準備する工程（Ｓ１１）と、
　前記シート材１６の布状物２６を構成する糸（縦糸２２又は横糸２４）に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部１１０が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、シート材１６を切り出し装置１２０に配置する工程（Ｓ１２）と、
　傾斜させた前記シート材１６から、切断部１１０が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差してシート材１６を切り出し、シート材１６の周縁部が布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差するシート材１６を形成する工程（Ｓ１３）と、
　前記シート材１６を内層基板ないしは絶縁基板として構成したマザー積層板５０を作成する工程（Ｓ１４）と、
　前記マザー積層板５０の表面に金属層１４を形成する工程（Ｓ１５）と、
　前記マザー積層板５０の周縁部に沿ってマザー積層板５０の金属層１４に導体パターン８０を施す工程（Ｓ１６）とを含む。

（実施例１）
　本発明に係るプリント配線板１０は、主として図８Ａ及び８Ｂ図示の以下の「シート材を傾斜させて切断する方法」により製造される。

　本発明にかかるプリント配線板の製造方法は、
強化繊維２０によって強化繊維の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度で織成された布状物２６を含むシート材１６を準備する工程（Ｓ１１）と、
　前記シート材１６の布状物２６を構成する糸（縦糸２２又は横糸２４）に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部１１０が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、シート材１６を切り出し装置１２０に配置する工程（Ｓ１２）と、
　傾斜させた前記シート材１６から、切断部１１０が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差してシート材１６を切り出し、シート材１６の周縁部が布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差するシート材１６を形成する工程（Ｓ１３）と、
　前記シート材１６を内層基板ないしは絶縁基板として構成したマザー積層板５０を作成する工程（Ｓ１４）と、
　前記マザー積層板５０の表面に金属層１４を形成する工程（Ｓ１５）と、
　前記マザー積層板５０の周縁部に沿ってマザー積層板５０の金属層１４に導体パターン８０を施す工程（Ｓ１４）とを含む。

　まず、プリプレグ３０を構成する布状物２６となる布状物原反２６Ａにレジン（樹脂、例えばエポキシ樹脂）を塗布含浸させ、レジンを半硬化まで硬化させた樹脂層２８を有するプリプレグ３０を形成する。プリプレグ３０は、プリプレグ層１２を形成するシート状に作製する（Ｓ１１）。
　布状物原反２６Ａは、布状物２６の移送方向に長く伸び、布状物２６の移送方向に伸びる上端縁２６Ａａと下端縁２６Ａｃとは、平行である帯状である。
　布状物原反２６Ａ（布状物）にレジンを浸透させ、その上下を薄いレジンで覆ったシート状物（布状物）は、帯状で、直線状の上端縁２６Ａａ及び下端縁２６Ａｃを備えている。
　このとき、布状物原反２６Ａを構成する強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４とは直交ないしは交差している。

　次に、シート状物（布状物）を含むプリプレグ３０を所定の大きさに切断し、シート材１６を形成する（Ｓ１２）。
　このとき、打ち抜き装置に設けた切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４とプリプレグ３０との位置関係を調整して、切断刃１００の切断刃（上刃１０２及び下刃１０４）の長手方向にのびる刃の直線部分と縦糸２２または横糸２４の伸びる方向とのなす角度が５度以上３０度以下になるように、プリプレグ３０を構成するシート状物（布状物）を切り出し装置１２０にセットする（Ｓ１２）。

　更に、シート状物（布状物）を打ち抜き、プリプレグ３０により構成されるシート材１６を製造するときについて説明する。

　この発明にかかる「シート材を傾斜させて切断する方法」は、傾斜させた前記シート材１６から、切断部１１０が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差してシート材１６を切り出し、シート材１６の周縁部が布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差するシート材１６を形成する工程を含み、以下それについて説明する。

　布状物原反２６Ａ（布状物）にレジンを浸透させ、その上下を薄いレジンで覆ったシート状物（すなわちプリプレグ３０）を、切断するときには、シート状物（すなわちプリプレグ３０）直線状の上端縁３０ａ及び下端縁３０ｃに対し、方形に切断する切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４を５度以上３０度以下の角度に傾斜させてシート状物（すなわちプリプレグ３０）を切断し、プリプレグ３０で構成されるシート材１６を成形するように構成する。
　更に、前記切断されたシート状物（すなわちプリプレグ３０）を打ち抜き、シート材１６を方形に成形するときについて説明する。
　布状物原反２６Ａ（強化繊維２０）にレジンを浸透させ、その上下を薄いレジンで覆った前記シート状物（すなわちプリプレグ３０）を、方形切断するときには、前記シート材１６の直線状の右端縁３０ｄ及び左端縁３０ｂに対して直交するようにシート状物（すなわちプリプレグ３０）を切断し、右端縁３０ｄ及び左端縁３０ｂに対し直交する上端縁３０ａ及び下端縁３０ｃを備えた方形のシート材１６を成形する（Ｓ１３）。
　この実施の形態において、正方形のプリプレグ３０となるシート材１６を成形するときには、布状物原反２６Ａの移送方向に伸びる上端縁３０ａと下端縁１２ｃに対し、切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４に対し１３．０５度の角度をもって斜交するように配置して切断し、又、長方形のプリプレグ３０となるシート材１６を成形するときには、切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４に対し１０．３９度の角度をもって斜交するように配置して切断する。

　次に、シート材１６を積層して銅張積層板（マザー積層板）５０を形成する方法について説明する。
　プリント配線板１０の強度の向上を目的として、プリプレグ層１２を構成するシート材１６は複数枚積層される（Ｓ１４）。
　また、図２に示すように銅張積層板（マザー積層板）５０を形成するコア材１８の上下両面に、絶縁材料であるプリプレグ３０を積層してコア材１８を挟み、その上に導体材（銅箔）４０を構成する銅箔を積層することもある（Ｓ１５）。
　基板内層となるコア材１８には、最初から銅箔が上下面に張り付いており、エッチングを行い内層パターンが形成されている。

　次に、プリプレグ層１２を構成するシート材１６の片面または両面に金属（例えば銅箔）で構成された導体材（銅箔）４０を載せて、プレスしながら熱硬化させる（Ｓ１４）。
　シート材１６と導体材（銅箔）４０とを積層した状態で真空オーブン１８０に入れて、加熱加圧をすると、レジンが固まり、シート材１６及び導体材（銅箔）４０とを含む積層構造の積層板となる。これにより、銅張積層板５０を得ることができる。

　次に、得られた銅張積層板５０をサーボプレス等の切り出し装置１２０にセットする（Ｓ１４）。
　最後に、切り出し装置１２０によって打ち抜く。これにより、プリント配線板１０を所望のサイズのプリント配線板１０を得ることができるように、不要部分を取り除き整形する。

　銅張積層板５０からプリント配線板１０を形成する方法としては、図８Ａ～８Ｄに示すような方法がある。

　プレス機で加熱加圧して形成された銅張り積層板（マザー積層板）５０から、複数のプリント配線板１０を作成できるように、プレス機で加熱加圧して形成された銅張り積層板（マザー積層板）５０をプリント配線板の形状に切断してプリントワーク５２を形成し、その後、プリントワーク５２にプリント配線板に必要な導体パターン８０等の印刷を施す。（図８Ａ及び８D参照）

　プリントワーク５２に導体パターン８０を形成するときについて、主として図８Dに基づいて説明する。
　プリントワーク５２に導体パターン８０を形成するためのスクリーン印刷版１３２は、枠体１３４にスクリーン紗１３６をテンションかけて張ったものである。
　印刷するときは、その枠体１３４の端縁とプリントワーク５２の端縁と平行に、プリントワーク５２の印刷面にスクリーン印刷版１３２を配設してスクリーン印刷を行う（Ｓ１６）。
　これによって、プリントワーク５２の表面に、導体パターン８０が印刷された配線板ワーク７０が形成される。

　銅張り積層板（マザー積層板）５０に電気回路を印刷する方法としては、次のような製版・印刷技術を利用して作成する。
　前記絶縁材たるプリプレグ３０に金属層（銅箔層）１４を形成する導体材（銅箔）４０を貼り合わせた銅張り積層板（マザー積層板）５０の導体材（銅箔）４０面に、スクリーン印刷やフォトレジストで耐食膜の回路パターンを形成し、腐食液で非画像部の銅を溶解除去し、次に耐食膜をアルカリ水溶液などで取り除いて電気回路を作る。

　次に、ソルダーレジストを、必要に応じて形成する。
　ソルダーレジストは、エッチング工程が完了して導体パターン８０が形成された後、必要な部分の銅だけを露出させるために、表面をコートして形成する。
　ソルダーレジストは、不要な部分への半田の付着を防ぐ役割を果たす。
　工法によって、インクや液状レジスト、ドライフィルムなどを使用して、形成する。

　次に、配線板ワーク７０を切断してプリント配線板１０を成形するときについて、主として図８Ｄに基づいて説明する。
　配線板ワーク７０の端縁と切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４の伸びる方向とは直交するように切断刃１００の上刃１０２と下刃１０４との間に配線板ワーク７０を配設して、配線板ワーク７０の端縁と直交する方向において、切断刃１００により配線板ワーク７０を切断する。
　プリントワーク５２の上端縁５２ａ及び下端縁５２ｃと直交する方向に切断し、更にプリントワーク５２の左端縁５２ｂおよび右端縁５２ｄと直交する方向に切断して、ほぼ方形のプリント配線板１０を形成する。

　ここにおいて、実施例１について、図１６（比較例）において示すように切断刃１００と横糸２４の繊維方向と平行にかつ縦糸２２の繊維方向と直交する方向ではなく、図８Ｃに示すように、５度ないし３０度傾斜させた傾斜角度の下記実施例１－１ないし１－１０について説明する。
　比較例においては、図１７において示すように、切断刃と平行な繊維の部分で段差が発生し、切断刃と垂直な繊維部分で繊維が断面から突出する部分が見られる（図１７及び図１８Ｆ参照）。

　断面観察写真（図１８Ａないし１８Ｅ）は、せん断断式の切断機で角度を変えて切断された布状物の拡大写真である。
　これを観察すると、実施例１－１及び１－６においては、両端が切断された繊維片は発生していないが、繊維の剥離は若干発生している。
　実施例１－２及び１－７、１－３及び１－８、１－４及び１－９、１－５及び１－１０においては、切断された繊維の断面を観察すると、繊維の剥離が起こらず安定している。
　実施例１－１ないし１－１０においては、比較例のような段差や繊維の突出する部分が見られない（図１８Ａ，１８Ｂ，１８Ｃ，１８Ｄ及び１８Ｅ参照）。

（実施例１－１）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．５５ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
１. 縦糸または横糸の直径：０．５５ｍｍ
１．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：５度
１．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：６．３ｍｍ
１．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：１１．４７倍
（実施例１－２）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．５５ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
２. 縦糸または横糸の直径：０．５５ｍｍ
２．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：１０度
２．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：２．６２ｍｍ
２．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：５．７６倍
（実施例１－３）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．５５ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
３. 縦糸または横糸の直径：０．５５ｍｍ
３．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：１５度
３．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：１．５８ｍｍ３．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：３．８７倍
（実施例１－４）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．５５ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
４. 縦糸または横糸の直径：０．５５ｍｍ
４．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：２０度
４．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：１．０６ｍｍ４．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：２．９２倍
（実施例１－５）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．５５ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
５. 縦糸または横糸の直径：０．５５ｍｍ
５．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：３０度
５．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：０．３ｍｍ
５．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：１．５４倍
（実施例１－６）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．６０ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
６. 縦糸または横糸の直径：０．６０ｍｍ
６．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：５度
６．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：６．２８ｍｍ６．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：１１．４６倍
（実施例１－７）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．６０ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
７. 縦糸または横糸の直径：０．６０ｍｍ
７．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：１０度
７．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：２．８６ｍｍ７．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：５．７７倍
（実施例１－８）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．６０ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
８. 縦糸または横糸の直径：０．６０ｍｍ
８．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：１５度
８．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：１．８ｍｍ
８．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：４．００倍
（実施例１－９）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．６０ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
９. 縦糸または横糸の直径：０．６０ｍｍ
９．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：２０度
９．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：１．１５ｍｍ９．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：２．９２倍
（実施例１－１０）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．６０ｍｍの場合、切断刃を次のように傾斜させて切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
１０. 縦糸または横糸の直径：０．６０ｍｍ
１０．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：３０度
１０．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：０．５ｍｍ１０．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：１．８３倍
（比較例１）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．５５ｍｍの場合、切断刃と繊維の長手端縁とを直交する方向に切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さと同じで、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
１. 縦糸または横糸の直径：０．５５ｍｍ
１．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：０度
１．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：０ｍｍ
１．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：０倍
（比較例２）
　シート材を構成する布状物の縦糸又は横糸の直径が０．６０ｍｍの場合、切断刃と繊維の長手端縁とを直交する方向に切断すると、以下のように、縦糸または横糸の直径に対し切断部の長さの方が長くなり、縦糸と横糸の直径に対し切断部の長さが次のような倍率となった。
６. 縦糸または横糸の直径：０．６０ｍｍ
６．１　切断刃と縦糸または横糸との傾斜角度：０度
６．２　切断部分の長さの方が縦糸または横板の直径より長くなった長さ：０ｍｍ
６．３　切断部分の長さの方が縦糸と横糸の直径より長くなった倍率：０倍

３．プリント配線板の他の製造方法
　本発明に係るプリント配線板１０の第１の実施の形態の別の製造方法について、主として図９に基づいて説明する。

（実施例２）
　本発明に係るプリント配線板１０は、主として図９図示の以下の、「銅張積層板（マザー積層板）５０を整形したプリントワーク５２を形成し、プリントワーク５２を切断して小片のプリントワーク５４を形成し、小片のプリントワーク５４に印刷する方法」により製造される。

　図９の実施例は、図８の実施例の銅張積層板（マザー積層板）５０と同じ構成を備えた銅張積層板（マザー積層板）５０を用いている。図８の実施例においては銅張積層板（マザー積層板）５０に導体パターン８０を形成した後に最終のプリント配線板１０の大きさに切断したが、図９の実施例においては、銅張積層板（マザー積層板）５０を最終のプリント配線板１０の大きさに切断した後に、プリントワーク５２の小片である小片のプリントワーク５４に導体パターン８０を形成すると言う相違がある。

　前記実施例１と同じ方法によって得られた銅張積層板（マザー積層板）５０を整形したプリントワーク５２を、切り出し装置１２０、例えばサーボプレス等の打ち抜き装置にセットする。
　切断刃１００の長手方向にのびる刃（上刃１０２及び下刃１０４）の直線部分が、銅張積層板（マザー積層板）５０を成形したプリントワーク５２の上端縁５２ａ及び下端縁５２ｃに直交する方向に伸びるように、銅張積層板（マザー積層板）５０を形成したプリントワーク５２を上刃１０２と下刃１０４との間に配置して、切断刃１００により銅張積層板（マザー積層板）５０を成形したプリントワーク５２を幅方向に切断する。
　このとき、銅張積層板（マザー積層板）５０を構成するシート材１６の縦糸２２または横糸２４の伸びる方向と切断刃１００の長手方向に延びる上刃１０２及び下刃１０４の直線部分とは、斜めに交差するように、上刃１０２と下刃１０４との間に銅張積層板（マザー積層板）５０を成形したプリントワーク５２が配置され、上刃１０２と下刃１０４とにより縦糸２２及び横糸２４と斜めに交差するように切断される。
　すなわち、切り出し装置１２０に設けた切断刃１００の位置決めガイドを調整して、切断刃１００の長手方向にのびる刃（上刃１０２及び下刃１０４）の直線部分と、銅張積層板（マザー積層板）５０の縦糸２２または横糸２４の伸びる方向とのなす角度が５度以上３０度以下になるように、プリントワーク５２を、切断刃１００の上刃１０２と下刃１０４との間にセットする。

　更に、プリントワーク５２を打ち抜き、配線板ワーク７０を成形するときについて説明する。
　プリントワーク５２を切断するときには、銅張積層板（マザー積層板）５０を整形したプリントワーク５２の直線状の右端縁５２ｄ及び左端縁５２ｂに対し、プリントワーク５２を切断する切断刃１００の刃（上刃１０２及び下刃１０４）を直交する方向に配設する。このときシート材１６の横糸２４とは５度以上３０度以下の角度で傾斜して布状物２６の縦糸２２及び横糸２４を切断し、配線板ワーク７０となる小片のプリントワーク５４を成形するように構成する。
　そして、プリントワーク５２を打ち抜き、プリントワーク５２の左端縁５２ｂ及び右端縁５２ｄに平行に切断した小片のプリントワーク５４を成形する。
　このとき、銅張積層板（マザー積層板）５０を切断して方形のプリントワーク５２を形成するときには、直線状の右端縁５２ｄ及び左端縁５２ｂと直交する方向に切断するように、小片のプリントワーク５４を切断する切断刃１００の刃（上刃１０２及び下刃１０４）に向けて位置させ、横糸２４に対して５度以上３０度以下の角度で傾斜して布状物２６の縦糸２２及び横糸２４を切断し、小片のプリントワーク５４を成形するように構成する。
　この実施の形態においては、正方形のプリントワーク５２を成形するときには、プリントワーク５２の縦糸２２及び横糸２４に対し、１３．０５度の角度をなすように傾斜させ、長方形のプリントワーク５２を成形するときには、縦糸２２及び横糸２４に対し、１０．３９度の角度をなすように傾斜させる。

　次に、小片のプリントワーク５４に導体パターン８０を印刷して配線板ワーク７０を形成する。
　最後に、打ち抜き装置によって、配線板ワーク７０を打ち抜く。これにより、銅張積層板（マザー積層板）５０から所望のサイズのプリント配線板１０を得ることができる。

　銅張積層板（マザー積層板）５０からプリント配線板１０を形成する方法としては、図８Ａ～９に示すような方法がある。

　前記実施例の説明においては、プレス機で加熱加圧して形成された銅張積層板（マザー積層板）５０をプリント配線板の形状に切断してプリントワーク５２を形成し、プリントワーク５２にプリント配線板に必要な印刷を施した（図９参照）。
　プレス機で加熱加圧して形成された銅張積層板（マザー積層板）５０から、複数のプリント配線板１０を作成できるように、区画された複数のプリント配線板１０の印刷をプリントワーク５２に施し、その後プリントワーク５２を切断加工することもできる（図８Ａ参照）。

　銅張積層板（マザー積層板）５０に電気回路を印刷する方法としては、次のような製版・印刷技術を利用して作成する。
　前記絶縁材たるプリプレグ３０に金属層（銅箔層）１４を形成する銅箔を貼り合わせた銅張積層板（マザー積層板）５０の銅箔面に、スクリーン印刷やフォトレジストで耐食膜の回路パターンを形成し、腐食液で非画像部の銅を溶解除去し、次に耐食膜をアルカリ水溶液などで取り除いて電気回路を作る。

４．プリント配線板１０の他の製造方法
　本発明に係るプリント配線板１０の第１の実施の形態の更に別の製造方法について、主として図１０Ａ及び１０Bないし図１１Ａ及び図１１Ｂに基づいて説明する。

（実施例３）
　本発明にかかるプリント配線板の製造方法は、「マザー積層板を傾斜させてプリントワークを作成する方法」であり、
強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度で織成された布状物２６を、縦糸２２及び横糸２４と直交する方向ないしは平行な方向に切断してなるシート材１６を準備する工程（Ｓ１１）と、
　シート材１６の表面に金属層１４を形成する工程（Ｓ１５）と、前記強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度で織成された布状物２６を有するシート材１６を内層基板ないしは絶縁基板として含むマザー積層板５０を準備する工程（Ｓ１４）と、
　前記マザー積層板５０の布状物２６を構成する糸（縦糸２２又は横糸２４）に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部１１０が切断方向に並ぶ布状物構成糸２６と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、マザー積層板５０を切り出し装置１２０に配置する工程（Ｓ１２）と、
　傾斜させた前記マザー積層板５０を、切断部１１０がシート材１６の切断方向に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差するように切り出し、所望するサイズの配線板ワーク７０を作成する工程（Ｓ１３）と、
　配線板ワーク７０の周縁部に沿って金属層１４に導体パターン８０を施す工程（Ｓ１６）とを含む。

　本発明に係るプリント配線板１０は、主として図１１Ａ及び１１Ｂ図示の以下の「マザー積層板を傾斜させてプリントワークを作成する方法」により製造される。

　まず、プリプレグ３０を構成する布状物２６となる布状物原反２６Ａにレジン（樹脂、例えばエポキシ樹脂）を塗布含浸させ、レジンを半硬化まで硬化させた樹脂層２８を有するプリプレグ３０を形成する。プリプレグ３０は、プリプレグ層１２を形成するシート状に作製する（Ｓ１１）。
　布状物原反２６Ａは、布状物２６の移送方向に長く伸び、布状物２６の移送方向に伸びる上端縁２６Ａａと下端縁２６Ａｃとは、平行である帯状である。
　布状物原反２６Ａ（布状物）にレジンを浸透させ、その上下を薄いレジンで覆ったシート状物（布状物）は、帯状で、直線状の上端縁２６Ａａ及び下端縁２６Ａｃを備えている。
　このとき、布状物原反２６Ａを構成する強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４とは直交ないしは交差している。

　次に、シート状物（布状物）を含むプリプレグ３０を所定の大きさに切断し、シート材１６を形成する（Ｓ１１）。
　この布状物原反２６Ａの上端縁２６Ａａ及び下端縁２６Ａｃと直交する方向において、切断刃１００により布状物原反２６Ａを切断する。
　更に、この切断された布状物原反２６Ａの小片を、上下方向に延びる切断部（すなわちシート材１６の左端縁１６ｂ及び右端縁１６ｄを構成する切断部）と直交する方向において、切断刃１００により切断して、左端縁１６ｂ及び右端縁１６ｄと直交する上端縁１６ａ及び下端縁１６ｃを備えるシート材１６を形成する。

　シート材１６を構成する布状物２６の強化繊維２０の横糸２４は、シート材１６の上端縁１６ａ及び下端縁１６ｃと直行する方向にのび、横糸２４は右端縁１６ｄ及び左端縁１６ｂと平行な方向に伸びる。
　このとき、切り出し装置１２０（打ち抜き装置）に設けた切断刃１００の位置を調整して、切り出し装置１２０の切断刃１００の長手方向にのびる刃（上刃１０２及び下刃１０４）の直線部分と強化繊維２０の縦糸２２または横糸２４の伸びる方向とのなす角度が直角になるように、切断刃１００の上刃１０２と下刃１０４との間にセットする。

　次に、シート材１６を積層して銅張積層板（マザー積層板）５０を形成する方法について、主として図１０A及び１０Bに基づいて説明する。
　プリント配線板１０の強度の向上を目的として、プリプレグ層１２を構成するシート材１６は複数枚積層される（Ｓ１４）。
　また、図２に示すように、銅張積層板（マザー積層板）５０を形成するコア材１８の上下両面に、絶縁材料であるプリプレグ３０を積層してコア材１８を挟み、その上に導体材（銅箔）４０を構成する銅箔を積層することもある（Ｓ１５）。
　基板内層となるコア材１８には、最初から銅箔が上下に張り付いており、エッチングを行い内層パターンが形成されている。

　次に、プリプレグ層１２を構成するシート材１６の片面または両面に金属（例えば銅箔）で構成された導体材（銅箔）４０を載せて、プレスしながら熱硬化させる（Ｓ１４）。
　シート材１６と導体材（銅箔）４０とを積層した状態で真空オーブン１８０に入れて、加熱加圧をすると、レジンが固まり、コア材１８及び導体材（銅箔）４０とを含む４層構造の積層板となる。これにより、銅張積層板５０を得ることができる。

　次に、得られた銅張積層板５０を切り出し装置１２０すなわちサーボプレス等の打ち抜き装置にセットする。
　最後に、切り出し装置１２０によって打ち抜く。これにより、プリント配線板１０を所望のサイズのプリント配線板１０を得ることができるように、不要部分を取り除き整形する。

　銅張積層板５０からプリント配線板１０を形成する方法としては、図１１Ａ～１１Ｂに示すような方法がある。
　プレス機で加熱加圧して形成された銅張積層板（マザー積層板）５０をプリント配線板１０に近い形状に切断してプリントワーク５２を形成し、プリントワーク５２にプリント配線板に必要な印刷を施し、導体パターン８０が形成された配線板ワーク７０を形成する。（図１１A及び１１B参照）

　まず、銅張積層板（マザー積層板）５０を打ち抜き、プリントワーク５２を成形するときについて、主として図１１Ａ及び１１Ｂに基づいて説明する。

　プレス機で加熱加圧して形成された銅張り積層板（マザー積層板）５０をプリント配線板の形状に切断してプリントワーク５２を形成するときには、銅張積層板（マザー積層板）５０の直線状の右端縁５０ｄ及び左端縁５０ｂに対し、方形に切断する切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４を直交させて銅張り積層板（マザー積層板）５０を切断し、右端縁５０ｄ及び左端縁５０ｂに直交する上端縁５０ａ及び下端縁５０ｃを備える銅張り積層板（マザー積層板）５０を成形して、プリントワーク５２を形成するように構成する。

　引き続き、プリントワーク５２を打ち抜き、プリント配線板１０となる配線板ワーク７０を成形するときについて説明する。
　プリントワーク５２を切断して配線板ワーク７０を成形するときには、プリントワーク５２の直線状の上端縁５２a及び下端縁５２ｃを、方形に切断する切断刃１００の上刃１０２又は下刃１０４に対して５度以上３０度以下の角度に傾斜させてプリントワーク５２を切断して小片のプリントワーク５４の左端縁５４ｂ及び右端縁５４ｄを形成し、且つ小片のプリントワーク５４の左端縁５４ｂ及び右端縁５４ｄに対して直交する方向に小片のプリントワーク５４を切断刃１００により切断して上端縁５４ａ及び下端縁５４ｃを形成して、小片のプリントワーク５４を成形する。
　切断刃１００の上刃１０２及び下刃１０４を、前記銅張り積層板（マザー積層板）５０とそれを形成する布状物２６を構成する糸（縦糸２２又は横糸２４）に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部１１０が切断方向に並ぶ布状物構成糸２６と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、銅張り積層板（マザー積層板）５０を切り出し装置１２０に配置し（Ｓ１２）、傾斜させた前記銅張り積層板（マザー積層板）５０を、切断部１１０がシート材１６の切断方向に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差するように切り出し、所望するサイズの配線板ワーク７０を作成する（Ｓ１３）。

　この実施の形態においては、正方形のプリントワーク５２を切断して小片のプリントワーク５４を成形するときには、右端縁５２ｄと左端縁５２ｂに対しシート材１６の横糸２４が１３．０５度の角度をなすように傾斜させ（図１参照）、長方形のプリントワーク５２を切断して小片のプリントワーク５４を成形するときには、右端縁５２ｄと左端縁５２ｂに対しシート材１６の横糸２４が１０．３９度の角度をなすように傾斜させる。
　又、１枚のプリントワーク５２から４枚の小片のプリントワーク５４を切り取るときは、上端縁５２a及び下端縁５２ｃに対し２０．１度の角度をもって切断するときと、上端縁５２a及び下端縁５２ｃに対し５．９度の角度をもって切断するときとがある（図１１Ｂ参照）。

　小片のプリントワーク５４に電気回路を印刷する方法としては、次のような製版・印刷技術を利用して作成する。
　前記絶縁材たるプリプレグ３０に金属層（銅箔層）１４を形成する銅箔を貼り合わせた銅張積層板（マザー積層板）５０の銅箔面に、スクリーン印刷やフォトレジストで耐食膜の回路パターンを形成し、腐食液で非画像部の銅を溶解除去する。
　次に耐食膜をアルカリ水溶液などで取り除いて電気回路を作る。
　この実施例においては、金属層１４に印刷をするスクリーン印刷版１３２は、その上下端縁が小片のプリントワーク５４の上下端縁（上端縁５４ａ及び下端縁５４ｃ）に沿って、小片のプリントワーク５４の上に配設される。
　スクリーン印刷版１３２によって印刷された画線（電気回路）の上下端縁は、小片のプリントワーク５４の上下端縁（上端縁５４ａ及び下端縁５４ｃ）に沿って形成される。
　なお、スクリーン印刷のスクリーン印刷版１３２は、枠体１３４にスクリーン紗１３６をテンションをかけて張った物であり、通常、枠体１３４は、製版枠と呼称される金属枠体である。

５．プリント配線板の製造方法
　本発明に係るプリント配線板１０は、例えば、以下の実施例４に係る製造方法を用いて、製造される。

（実施例４）
　本発明に係るプリント配線板１０の製造方法について、主として図１２Ａないし図１２Ｂを用いて説明する。

　本発明にかかる配線板ワーク７０の製造方法は、「印刷によって形成される画線部をマザー積層板の布状物に対して傾斜させて形成する方法」であり、
　強化繊維２０によって強化繊維の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度で織成された布状物２６を含むシート材１６を準備する工程（Ｓ１１）と、
　シート材１６の表面に金属層１４を形成する工程（Ｓ１５）と、
　前記強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４との間の角度が９０度で織成された布状物２６を有するシート材１６を内層基板ないしは絶縁基板として含むマザー積層板５０を準備する工程（Ｓ１４）と、
　前記マザー積層板５０のシート材１６の布状物２６を構成する糸（縦糸２２又は横糸２４）に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部１１０が切断刃１００に並ぶシート材１６の布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、マザー積層板５０をパターン形成用印刷装置１３０に配置する工程（Ｓ１７）と、
　傾斜させた前記マザー積層板５０に、切断部１１０が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差するようにパターン形成用印刷装置１３０により金属層１４に導体パターン８０を施す工程（Ｓ１８）と、
　導体パターン８０に沿ってマザー積層板５０を切り出し、切断部１１０がシート材１６の切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差した配線板ワーク７０を作出する工程（Ｓ１９）と、
　前記配線板ワーク７０の周縁部に沿って金属層１４に導体パターン８０を施す工程（Ｓ１６）とを含む。

　本発明に係るプリント配線板１０は、主として図１２Ａ及び１２Ｂ図示の以下の「印刷によって形成される画線部をマザー積層板の布状物に対して傾斜させて形成する方法」により製造される。
　まず、プリプレグ３０を構成する布状物２６となる布状物原反２６Ａにレジン（樹脂、例えばエポキシ樹脂）を塗布含浸させ、レジンを半硬化まで硬化させた樹脂層２８を有するプリプレグ３０を形成する。プリプレグ３０は、プリプレグ層１２を形成するシート状に作製する（Ｓ１１）。
　布状物原反２６Ａは、布状物２６の移送方向に長く伸び、布状物２６の移送方向に伸びる上端縁２６Ａａと下端縁２６Ａｃとは、平行である帯状である。
　布状物原反２６Ａ（布状物）にレジンを浸透させ、その上下を薄いレジンで覆ったシート状物（布状物）は、帯状で、直線状の上端縁２６Ａａ及び下端縁２６Ａｃを備えている。
　このとき、布状物原反２６Ａを構成する強化繊維２０の縦糸２２と横糸２４とは直交ないしは交差している。

　次に、シート状物（布状物）を含むプリプレグ３０を所定の大きさに切断し、シート材１６を形成する（Ｓ１２）。
　この布状物原反２６Ａの上端縁２６Ａａ及び下端縁２６Ａｃと直交する方向において、切断刃１００により布状物原反２６Ａを切断する。
　更に、この切断された布状物原反２６Ａの小片を、上下方向に延びる切断部（すなわちシート材１６の左端縁１６ｂ及び右端縁１６ｄ）と直交する方向において、切断刃１００により切断して、左端縁１６ｂ及び右端縁１６ｄと直交する上端縁１６ａ及び下端縁１６ｃを備えるシート材１６を形成する。

　シート材１６を構成する布状物２６の強化繊維２０の縦糸２２及び横糸２４は、シート材１６の上端縁１６ａ及び下端縁１６ｃと直行する方向ないしは平行な方向に伸びる。
　このとき、切り出し装置１２０（打ち抜き装置）に設けた切断刃１００の位置を調整して、切り出し装置１２０の切断刃１００の長手方向にのびる刃（上刃１０２及び下刃１０４）の直線部分と強化繊維２０の縦糸２２または横糸２４の伸びる方向とのなす角度が直角になるように、切断刃１００の上刃１０２と下刃１０４との間にセットする（Ｓ１２）。

　更に、銅張積層板（マザー積層板）５０を打ち抜き、プリントワーク５２を成形するときについて説明する。
　銅張積層板（マザー積層板）５０を切断するときには、銅張積層板（マザー積層板）５０の直線状の右端縁５０ｄ及び左端縁５０ｂと直交する方向に切断刃１００により切断し、プリントワーク５２を成形するように構成する。

　更に、プリントワーク５２に導体パターン８０を形成するために銅張積層板５０を成形したプリントワーク５２に導体パターン８０を印刷する方法について説明する。
　プリントワーク５２にスクリーン印刷版１３２を配設するときには、プリントワーク５２の直線状の右端縁５２ｄ及び左端縁５２ｂに対し、スクリーン印刷版１３２を５度以上３０度以下の角度に傾斜させてスクリーン版１３２を配設することができるようにする。

　このときプリントワーク５２の外周縁（上端縁５２ａ及び下端縁５２ｃ）に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させるようにガイド穴９０，９２を形成し、前記ガイド穴９０，９２を結んだ線に沿ってパターン形成用印刷装置１３０のスクリーン版１３２を配置する。

　この実施例の製法においては、前記銅張積層板（マザー積層板）５０にプリント配線の導体パターン８０を印刷するパターン形成用のスクリーン版１３２を上下または左右のいずれか一方に傾斜させる工程を含む。
　この実施例においては、正方形の配線板ワーク７０を成形するときには、プリントワーク５２の上端縁５２ａと下端縁５２ｃに対し１３．０５度の角度をなすようにスクリーン印刷版１３２を傾斜させ、長方形の配線板ワーク７０を成形するときには、プリントワーク５２の上端縁５２ａと下端縁５２ｃに対し１０．３９度の角度をなすようにスクリーン印刷版１３２を傾斜させる。

　スクリーン版１３２を前記プリントワーク５２のシート材１６の布状物２６を構成する糸（縦糸２２又は横糸２４）に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部１１０が切断刃１００に並ぶシート材１６の布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、プリントワーク５２をパターン形成用印刷装置１３０に配置する（Ｓ１７）。
　傾斜させた前記プリントワーク５２に、切断部１１０が切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差するようにパターン形成用印刷装置１３０により金属層１４に導体パターン８０を施す（Ｓ１８）。
　導体パターン８０に沿ってプリントワーク５２を切り出し、切断部１１０がシート材１６の切断刃１００に並ぶ布状物構成糸（縦糸２２又は横糸２４）と５度以上３０度以下の角度で交差した配線板ワーク７０を作出する（Ｓ１９）。

　最後に、配線板ワーク７０を切り出し装置１２０(打ち抜き装置)によって打ち抜く。これにより、配線板ワーク７０から所望のサイズのプリント配線板１０を得ることができる。

　銅張積層板５０からプリント配線板１０を形成する方法をしては、図１２Ａ～１２Ｂに示すような方法がある。

　プレス機で加熱加圧して形成された銅張り積層板５０を整形したプリントワーク５２をプリント配線板１０の形状に切断して配線板ワーク７０を形成し、配線板ワーク７０にプリント配線板１０に必要な印刷を施すこともある。

　銅張積層板（マザー積層板）５０に電気回路を印刷する方法としては、次のような製版・印刷技術を利用して作成する。
　前記絶縁材たるプリプレグ３０に金属層（銅箔層）１４を形成する銅箔を貼り合わせた銅張積層板（マザー積層板）５０の銅箔面に、スクリーン印刷やフォトレジストで耐食膜の回路パターンを形成し、腐食液で非画像部の銅を溶解除去し、次に耐食膜をアルカリ水溶液などで取り除いて電気回路を作る。

６．変形例
　本発明に係るプリント配線板１０の第２の実施の形態を製造する方法は、逆バイアスとしたプリプレグを複数積層する積層方法が、実施例１とは異なる変形例である。
　本発明に係る第２の実施の形態のプリント配線板１０´の変形例の製造方法について、主として、図１３Ａ及び１３Ｂに基づいて説明する。

　この第２の実施の形態のプリント配線板１０´は、図５～７に示すように、プリプレグ層１２を構成するシート材１６が、２種の第１のシート材１６Ａと第２のシート材１６Ｂから構成され、２種の繊維方向を有する第１のシート材１６Ａと第２のシート材１６Ｂとを逆バイアスとして積層したことを、特徴とするものである。
　プリプレグ３０を積層してなるプリプレグ層１２の構成が、前記第１の実施の形態のプリント配線板１０とは異なる。
　この変形例の製造方法により積層される第１のシート材１６Ａの縦糸２２及び横糸２４の伸びる方向が、第２のシート材１６Ｂの縦糸２２及び横糸２４の伸びる方向とは、逆バイアスとなるように、積層される。

　第１のシート材１６Ａを構成する第１の縦糸２２と第１の横糸２４とを、平面視において反時計回りに５度以上３０度以下の角度で回転させてプリプレグ層１２の奇数層３２を形成し、第２のシート材１６Ｂを構成する第２の縦糸２２と第２の横糸２４とを、平面視において時計回りに５度以上３０度以下の角度で回転させてプリプレグ層１２の偶数層３４を形成して、第１のシート材１６Ａと第２のシート材１６Ｂを逆バイアスに積層する。
　第１の縦糸２２と第１の横糸２４とは直交し、第２の縦糸２２と第２の横糸２４とは直交し、このような第１のシート材１６Ａと第２のシート材１６Ｂと積層するときに、第１のシート材１６Ａの第１の縦糸２２と第１の横糸２４との交点Ｏ１と第２のシート材１６Ｂの第２の縦糸２２と第２の横糸２４との交点Ｏ２を合わせて、第１のシート材１６Ａを反時計方向に所定の角度を回転させ、かつ第２のシート材１６Ｂを時計方向に所定の角度を回転させる。

　この実施の形態においては、２直線が交わるときは両直線を含む平面上で考えることにより、第１のシート材１６Ａを構成する第１の縦糸２２と第１のプリプレグの下端縁とのなす角度、即ち第１の縦糸２２の伸びる方向と平行に伸びる直線を、第１のシート材１６Ａの下端縁と平行に伸びる直線と交わる位置まで平行移動して交わる２直線を作り、その交わる２直線のなす角度を元の２直線のなす角度としたとき、１３．０５度となるように形成している。
　この実施の形態においては、第２のシート材１６Ｂを構成する第２の縦糸２２と第２のプリプレグの下端縁とのなす角度、即ち第２の縦糸２２の伸びる方向と平行に伸びる直線を、第２のシート材１６Ｂの下端縁と平行に伸びる直線と交わる位置まで平行移動して交わる２直線を作り、その交わる２直線のなす角度を元の２直線のなす角度としたとき、１３．０５度となるように形成している。

　第２の実施の形態のプリント配線板１０´は、複数層のプリプレグ層１２を有する。例えば、プリプレグ層１２の補強材２６の縦糸２２または横糸２４とプリプレグ層１２の端縁とのなす角度が５度以上３０度以下であるプリプレグ層１２を奇数層３２とする。また、前記プリプレグ層１２を左右方向に９０度回転させたプリプレグ層を偶数層３４とする。補強繊維２０の方向はプリプレグ層１２の奇数層３２および偶数層３４によって異なっているため、奇数層３２と偶数層３４とを積層させることにより、第２の実施の形態のプリント配線板１０´を所望のサイズに切り出したとしても、いずれか一方の補強繊維２０は確実に切断することができる。したがって、第２の実施の形態のプリント配線板１０´の切断に伴う繊維クズや毛羽立ちを抑制することができる。さらに、プリプレグ層１２を積層しているため、強度が高くなり、信頼性の高いプリント配線板１０´を製造することができる。

　以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
　すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。

　前記実施の形態においては、切断刃は、せん断装置の切断刃について説明したが、図１４において示すような、適正なクリアランスある上刃（パンチ）と下刃（ダイ）を有する金型をもって切断してもよい。図１４において示すような、シート材１６を構成する布状物２６の縦糸２２及び横糸２４に対して金型の切断刃をクリアランスを考慮して傾斜させて切断すると、強化繊維２０の繊維を確実に切断することができ毛羽立ちを防ぐことができる。

　１０　　１０´　プリント配線板
　１２　　プリプレグ層
　１２ａ　上端縁
　１２ｂ　左端縁
　１２ｃ　下端縁
　１２ｄ　右端縁
　１２ｅ　凹凸形状
　１２ｆ　貫通孔（比較的大きな貫通孔）
　１２ｇ　貫通孔（隘路状の細長い穴）
　１４　　金属層（銅箔層）
　１６　　シート材
　１６ａ　上端縁
　１６ｂ　左端縁
　１６ｃ　下端縁
　１６ｄ　右端縁
　１６ｅ　凹凸形状
　１６Ａ　第１のシート材
　１６Ｂ　第２のシート材
　１８　　コア材
　２０　　強化繊維
　２２　　縦糸
　２４　　横糸
　２６　　布状物
　２６Ａ　布状物原反
　２６Ａａ　上端縁
　２６Ａｃ　下端縁
　２８　　樹脂層
　３０　　プリプレグ
　３０ａ　上端縁
　３０ｂ　左端縁
　３０ｃ　下端縁
　３０ｄ　右端縁
　３２　　奇数層
　３４　　偶数層
　４０　　導体材（銅箔）
　５０　　銅張積層板（マザー積層板）
　５０ａ　上端縁
　５０ｂ　左端縁
　５０ｃ　下端縁
　５０ｄ　右端縁
　５２　　プリントワーク
　５２ａ 上端縁
　５２ｂ 左端縁
　５２ｃ 下端縁
　５２ｄ 右端縁
　５４　　小片のプリントワーク
　５４ａ 上端縁
　５４ｂ 左端縁
　５４ｃ 下端縁
　５４ｄ 右端縁
　７０　　配線板ワーク
　８０　　導体パターン
　９０　　ガイド穴
　１００　切断刃
　１０２　上刃
　１０４　下刃
　１１０　切断部
　１２０　切り出し装置
　１３０　パターン形成用印刷装置
　１３２　スクリーン印刷版
　１３４　枠体
　１３６　スクリーン紗
　１８０　　真空オーブン

Claims (9)

1. 　強化繊維によって強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を含むシート材を準備する工程と、
   　前記シート材の布状物を構成する糸に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部が切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、シート材を切り出し装置に配置する工程と、
   　傾斜させた前記シート材から、切断部が切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差してシート材を切り出し、シート材の周縁部が布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差するシート材を形成する工程と、
   　前記シート材を内層基板ないしは絶縁基板として構成したマザー積層板を作成する工程と、
   　前記マザー積層板の表面に金属層を形成する工程と、
   前記マザー積層板の周縁部に沿ってマザー積層板の金属層に導体パターンを施す工程とを含む、
   プリント配線板の製造方法。
2. 　強化繊維によって織成された布状物を含むシート材を備えるプリント配線板であって、
   　前記シート材の強化繊維の縦糸と横糸との間の角度は、９０度で織成されており、
   　前記シート材は、前記シート材の周縁部の一辺において５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ布状物を切断する切断刃を構成する上刃と下刃との間のクリアランスと切断刃に並ぶ布状物構成糸の太さとを合わせた長さより、切断刃に並ぶ布状物構成糸を前記切断刃によって切断されてなる切断部の長さの方が、０．３ｍｍ～６．３ｍｍ長くなるように、前記布状物を構成する糸が切断され、
   　前記シート材は、内層基板ないしは絶縁基板を構成し、シート材の表面に金属層が形成され、金属層に導体パターンが形成されたことを特徴とする、プリント配線板。
3. 　強化繊維によって織成された布状物を含むシート材を備えるプリント配線板であって、
   　前記シート材は、第１のシート材と、第２のシート材とを有し、
   　　前記第１のシート材は、前記強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度となるように織成され、前記縦糸または前記横糸は、前記第１のシート材の周縁部の一辺において６度以上４５度以下で前記強化繊維が切断されており、
   　　前記第２のシート材は、前記強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度となるように織成され、前記縦糸または前記横糸は、前記第２のシート材の周縁部の一辺において６度以上４５度以下で前記強化繊維が切断されており、
   　前記プリント配線板は、前記第１のシート材および前記第２のシート材が繊維方向を異ならしめて交互に積層されていることを特徴とする、請求項２に記載のプリント配線板。
4. 　強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を、縦糸及び横糸と直交する方向ないしは平行な方向に切断してなるシート材を準備する工程と、
   　シート材の表面に金属層を形成する工程と、
   　前記強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を有するシート材を内層基板ないしは絶縁基板として含むマザー積層板を準備する工程と、
   　前記マザー積層板の布状物を構成する糸に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部が切断方向に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、マザー積層板を切り出し装置に配置する工程と、
   　傾斜させた前記マザー積層板を、切断部がシート材の切断方向に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差するように切り出し、所望するサイズのプリントワークを作成する工程と、
   　前記プリントワークの周縁部に沿って金属層に導体パターンを施す工程とを含む、プリ
   ント配線板の製造方法。
5. 　強化繊維によって織成された布状物を含むシート材を備えるプリント配線板であって、
   　前記シート材は、強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成され、内層基板ないしは絶縁基板としてマザー積層板を構成し、
   　前記マザー積層板は、前記マザー積層板の周縁部の一辺において５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ布状物を切断する切断刃を構成する上刃と下刃との間のクリアランスと切断刃に並ぶ布状物構成糸の太さとを合わせた長さより、切断刃に並ぶ布状物構成糸を前記切断刃によって切断されてなる切断部の長さの方が、０．３ｍｍ～６．３ｍｍ長くなるように、マザー積層板の周縁部が切断され且つ前記シート材の布状物を構成する糸が切断され、マザー積層板のシート材の表面に金属層が形成され、金属層に導体パターンが形成されたことを特徴とする、プリント配線板。
6. 　強化繊維によって強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を含むシート材を準備する工程と、
   　シート材の表面に金属層を形成する工程と、
   　前記強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成された布状物を有するシート材を内層基板ないしは絶縁基板として含むマザー積層板を準備する工程と、
   　前記マザー積層板のシート材の布状物を構成する糸に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ切断部が切断刃に並ぶシート材の布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して切断されるように、マザー積層板をパターン形成用印刷装置に配置する工程と、
   　傾斜させた前記マザー積層板に、切断部が切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差するようにパターン形成用印刷装置により金属層に導体パターンを施す工程と、
   　導体パターンに沿ってマザー積層板を切り出し、切断部がシート材の切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差したプリントワークを作出する工程と、
   前記プリントワークの周縁部に沿って金属層に導体パターンを施す工程とを含む、プリント配線板の製造方法。
7. 　前記マザー積層板の外周縁に対して５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させるようにガイド穴を形成し、前記ガイド穴を結んだ線に沿ってパターン形成用印刷装置を配置する工程を含む、請求項６に記載のプリント配線板の製造方法。
8. 　前記マザー積層板にプリント配線の導体パターンを印刷するパターン形成用のスクリーン版を左右のいずれか一方に傾斜させる工程を含む、請求項６に記載のプリント配線板の製造方法。
9. 　強化繊維によって織成された布状物を含むシート材を備えるプリント配線板であって、
   　前記シート材は、強化繊維の縦糸と横糸との間の角度が９０度で織成され、内層基板ないしは絶縁基板としてマザー積層板を構成し、
   　前記マザー積層板の布状物を構成する糸は、前記プリント配線板の導体パターンの周縁部の一辺において５度以上３０度以下の角度で左右のいずれか一方に傾斜させ且つ前記マザー積層板の布状物を切断する切断刃を構成する上刃と下刃との間のクリアランスと切断刃に並ぶ布状物構成糸の太さとを合わせた長さより、切断刃に並ぶ布状物構成糸を前記切断刃によって切断されてなる切断部の長さの方が、０．３ｍｍ～６．３ｍｍ長くなるように、前記マザー積層板の金属層にプリント配線板の導体パターンが施され、
   前記導体パターンに沿って前記マザー積層板が切断されて、前記マザー積層板の切断部がシート材の切断刃に並ぶ布状物構成糸と５度以上３０度以下の角度で交差して前記マザー積層板のシート材の布状物を構成する糸が切断されたことを特徴とする、プリント配線板
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