WO2020162522A1 - 脱落防止具 - Google Patents

Abstract

ナット（Ｎ）が取り付けられたボルト（Ｂ）に設置される前記ナット（Ｎ）の脱落防止具（１）であって、前記ボルト（Ｂ）が挿入されるボルト保持部（２ｂ）と、前記ボルト保持部（２ｂ）と一体として設けられると共に、前記ナット（Ｎ）の外周に設けられると共に復元力により前記ナット（Ｎ）の回転を阻止するナット保持部（３）とを有する。

Description

脱落防止具

　本発明は、脱落防止具に関する。
本願は、２０１９年２月７日に日本国に出願された特願２０１９－０２０６７３号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　ボルトに取り付けられたナットの脱落を防止するため、脱落防止具をボルトに取り付けることがある。例えば、特許文献１には、環状の第１コイルバネ部と、上記第１コイルバネ部に配置されると共にボルトに巻き付けられる第２コイルバネ部と、上記第１コイルバネ部と上記第２コイルバネ部とを接続する接続部とを備える脱落防止具が開示されている。上記脱落防止具は、ナットと同様の要領でボルトに取り付けることが可能である。これにより、上記脱落防止具は、ボルトに対して巻き付くことで、ナットのボルト軸方向における移動を阻止している。

日本国特許第５２００１９０号公報

　上記のような脱落防止具においては、ボルトに巻き付けることでナットの緩みを阻止しているため、ボルトに対して強い力で固定する必要がある。したがって、例えば、メンテナンスや解体時等において、ナットをボルトから取り外す際に、脱落防止具がナットに食い込む等により脱落防止具をボルトから取り外すことが難しい。したがって、従来の脱落防止具を取り外す際には、工具等により脱落防止具を破壊して取り外している。

　本発明は、上述する事情に鑑みてなされ、脱落防止具の取り外しを容易とすることを目的とする。

　本発明の第１の態様は、ナットが取り付けられたボルトに設置される前記ナットの脱落防止具であって、前記ボルトが挿入されるボルト保持部と、前記ボルト保持部と一体として設けられると共に、前記ナットの外周に設けられると共に復元力により前記ナットの回転を阻止するナット保持部とを有する。

　本発明の第２の態様は、上記第１の態様において、前記ボルト保持部に接続されると共に前記ボルト保持部の径を変更可能とする持ち手部を有する。

　本発明の第３の態様は、上記第２の態様において、前記持ち手部は、前記ナット保持部よりも、前記ボルトの径方向において外側に突出している。

　本発明の第４の態様は、上記第１～３のいずれかの態様において、前記ボルト保持部及び前記ナット保持部は、１本の金属線により形成される。

　本発明の第５の態様は、上記第１～４のいずれかの態様において、前記ナット保持部は、前記ナットの外周面に接触すると共に、多角形形状とされる。

　本発明の上記態様に係る脱落防止具によれば、ナット保持部がナットを保持することにより、復元力を用いてナットの回転を阻止している。これにより、ボルトに対して大きな力を加えることなくナットの脱落を防止することが可能である。したがって、本発明の上記態様に係る脱落防止具は、破壊することなくボルトから取り外すことができ、ボルトからの取り外しが容易である。

本発明の一実施形態に係る脱落防止具の非ボルト取付時における正面図である。 本発明の一実施形態に係る脱落防止具のボルト取付時における正面図である。 本発明の一実施形態に係る脱落防止具の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る脱落防止具のボルト取付時における側面図である。

以下、図面を参照して、本発明に係る脱落防止具の一実施形態について説明する。

本実施形態に係る脱落防止具１は、１本の金属線６を屈曲することにより形成されており、図１～３に示すように、可動部２と、ナット保持部３とを有している。

可動部２は、持ち手部２ａと、ボルト保持部２ｂと、巻回部２ｃとを有している。持ち手部２ａは、Ｖ字状に屈曲された２つの凸部４が、互いに交差するように配置された部位である。また、持ち手部２ａの２つの凸部４は、ボルト保持部２ｂ及び巻回部２ｃを介して連続している。これにより、持ち手部２ａは、連続して設けられるボルト保持部２ｂにおける後述する湾曲部５同士の幅（ボルト軸方向と直角な方向の距離）を変更することで、ボルト保持部２ｂの内径を変更可能としている。なお、持ち手部２ａは、ボルト軸方向から見た際に、ナット保持部３よりも径方向において外側に突出している。ここで、ボルト軸方向とは、図４に示すボルトＢの延びる方向を意味する。

ボルト保持部２ｂは、持ち手部２ａの端部と連続して形成され、半円状に湾曲した２つの湾曲部５を有している。２つの湾曲部５は、２つの凸部４のそれぞれに連なって形成されており、凸部４の交差角度が変更されることによりボルト軸方向に互いに重なり合うことで、ボルト軸方向から見て円環状となる。そして、ボルト保持部２ｂの中心の空洞にボルトＢが挿入され、ネジ溝Ｇに歯合した状態でボルトＢを保持する。すなわち、ボルト保持部２ｂは、２つの湾曲部５がボルトＢを挟み込んでボルトＢを保持する。

巻回部２ｃは、金属線６が複数回同軸上で巻回されることにより形成されたコイルバネ状の部位である。このような巻回部２ｃは、持ち手部２ａと反対側においてボルト保持部２ｂと隣接（連続）して形成されており、巻回部２ｃの両端が２つの湾曲部５と連続している。そして、巻回部２ｃは、持ち手部２ａの端部に力が加えられた際に、縮径方向に弾性変形することで、持ち手部２ａの位置を変更可能とする。

ナット保持部３は、持ち手部２ａの一端と連続して形成され、六角形形状（多角形形状）に屈曲されると共に、図３に示すように複数回巻回された部位である。このようなナット保持部３は、持ち手部２ａに力が加えられることによりボルト軸方向から見て円環状となったボルト保持部２ｂ（湾曲部５）と同軸上に配される。ナット保持部３は、図２に示すように、脱落防止具１がボルトＢに取り付けられた際に、ナットＮの外周に配置される。このとき、ナット保持部３の内側が六角形のナットＮの外周の各面と接触した状態で固定される。すなわち、ナット保持部３は、ナットＮの外周面に接触した状態で固定される。

脱落防止具１のボルト保持部２ｂは、図１の状態において、凸部４の交差角度を減少させる方向に、持ち手部２ａに作業者が両側から力を加えることで、ボルト保持部２ｂの湾曲部５がボルト軸方向に重なり合う。そのため、ボルト保持部２ｂの湾曲部５は、ボルト軸方向から見て円環状となる。この状態で、作業者は、図１及び図４に示すように、脱落防止具１のナット保持部３が形成されている側からボルトＢに脱落防止具１を挿入する。さらに、作業者が持ち手部２ａを解放することで、持ち手部２ａには元に戻る方向に力（復元力）が生じる。そのため、ボルトＢは、ボルト保持部２ｂの湾曲部５が両側からボルトＢを挟み込む方向へと力がかかった状態となる。ここで、図１に示す脱落防止具１の凸部４の交差角度を減少させる方向に、持ち手部２ａの両側から作業者が持ち手部２ａに力を加えると、凸部４の交差角度が減少することで、脱落防止具１は図２に示す状態となる。

このような脱落防止具１がボルトＢに取り付けられると、図２に示すように、ボルト軸方向から見て、ボルト保持部２ｂとナット保持部３とが同軸上に配された状態となる。このとき、ナット保持部３は、ナットＮが締まる方向（回転方向）へとナットＮを付勢した状態で固定している。

この状態で、ナット保持部３に振動等によりナットＮが緩む方向（締まる方向と反対の回転方向）に荷重がかかると、ナット保持部３には、拡径方向（緩み方向）へと撓みが発生する。このとき、ナット保持部３には撓み復元力が発生し、ナット保持部３は、元の位置、すなわち、脱落防止具１がナットＮに取り付けられた際の位置へと戻る。これにより、ナットＮは、ナット保持部３により回転が阻止された状態となる。したがって、本実施形態に係る脱落防止具１は、ナット保持部３がナットＮの回転を阻止することで、ナットＮの脱落を防止することが可能である。

このような本実施形態に係る脱落防止具１によれば、ナットＮの回転を付勢力（ナット保持部３の撓み復元力）により阻止することで、ボルトＢに対して脱落防止具１を強固に取り付ける必要がなく、さらにボルトＢに対して大きな力が加わることがない。したがって、例えば、メンテナンス時や解体時等に、ナットＮをボルトＢから取り外す際にも、脱落防止具１を容易に取り外すことが可能である。脱落防止具１は、取り外す際に破壊されることがないため、再利用することも可能である。

また、本実施形態に係る脱落防止具１によれば、持ち手部２ａを用いてボルト保持部２ｂの内径の大きさを変更することが可能である。これにより、脱落防止具１をボルトＢに取り付ける際に、例えばボルト軸方向からネジ溝Ｇに沿って回転させることによりナットＮが設けられている位置まで脱落防止具１を移動させる必要がない。すなわち、ボルト保持部２ｂの内径をボルト外径より大きく撓ませることで、ナットＮが設けられている位置に脱落防止具１を直接取り付けることが可能である。したがって、脱落防止具１の取り付けが容易である。

また、本実施形態に係る脱落防止具１によれば、ナット保持部３は、ナットＮの外形形状と同一の六角形形状である。これにより、ナット保持部３は、ナットＮに取り付けられた際に、ナットＮから外れることがなく、確実にナットＮを保持することが可能である。したがって、脱落防止具１は、確実にナットＮの脱落を防止することが可能である。

また、本実施形態に係る脱落防止具１によれば、１本の金属線６を加工することにより、可動部２とナット保持部３とを形成している。したがって、形成が容易であると共に、各部位への力の伝達が容易である。

　また、本実施形態によれば、持ち手部２ａは、ナット保持部３よりも径方向外側へと突出している。これにより、作業者は、容易に持ち手部２ａを把持することが可能であり、脱落防止具１の取り付けが容易である。

以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、請求項に定義される本発明の権利範囲から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。

上記実施形態においては、ナット保持部３の形状を六角形としたが、本発明はこれに限定されない。ナット保持部３は、ナットＮの外形形状に合わせ、様々な形状（多角形形状）とすることが可能である。また、例えば、ナット保持部３が四角形形状であれば、六角形形状のナットＮの場合でも、ナット保持部３が六角形形状の場合と同様にナットＮを保持することが可能である。

また、上記実施形態においては、脱落防止具１は、持ち手部２ａが形成されるとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、持ち手部２ａを有さず、保持部２ｂの内径の大きさが変更できない場合に、ボルトＢのネジ溝Ｇに沿って回転させることによりナットＮが設けられている位置まで脱落防止具１を移動させて、脱落防止具１をナットＮに取り付けてもよい。

また、上記実施形態においては、脱落防止具１は、持ち手部２ａがナット保持部３よりも径方向外側に突出しているが、本発明はこれに限定されない。持ち手部２ａは、ナット保持部３よりも径方向内側に形成されてもよい。この場合、脱落防止具１がナットＮから径方向外側に大きく飛び出すことがなく、ナットＮ及びボルトＢの周囲構造物を阻害することがない。

本発明の実施形態に係る脱落防止具によれば、脱落防止具を破壊することなくボルトから取り外すことができ、脱落防止具のボルトからの取り外しが容易である。

１　脱落防止具
２　可動部
２ａ　持ち手部
２ｂ　ボルト保持部
２ｃ　巻回部
３　ナット保持部

Claims (6)

1. 　ナットが取り付けられたボルトに設置される前記ナットの脱落防止具であって、
   　前記ボルトが挿入されるボルト保持部と、
   　前記ボルト保持部と一体として設けられると共に、前記ナットの外周に設けられると共に復元力により前記ナットの回転を阻止するナット保持部と
   　を有する脱落防止具。
2. 　前記ボルト保持部に接続されると共に前記ボルト保持部の径を変更可能とする持ち手部を有する請求項１記載の脱落防止具。
3. 　前記持ち手部は、前記ナット保持部よりも、前記ボルトの径方向において外側に突出している請求項２記載の脱落防止具。
4. 　前記ボルト保持部及び前記ナット保持部は、１本の金属線により形成される請求項１～３のいずれか一項に記載の脱落防止具。
5. 　前記ナット保持部は、前記ナットの外周面に接触すると共に、多角形形状とされる請求項１～３のいずれか一項に記載の脱落防止具。
6. 　前記ナット保持部は、前記ナットの外周面に接触すると共に、多角形形状とされる請求項４に記載の脱落防止具。 
    
    
    
    

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