WO2020071487A1

WO2020071487A1 - フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物

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Publication number: WO2020071487A1
Application number: PCT/JP2019/039123
Authority: WO
Inventors: 直渡辺
Original assignee: ライオン株式会社
Priority date: 2018-10-05
Filing date: 2019-10-03
Publication date: 2020-04-09
Also published as: KR20210074270A; JP2020059654A; JP7333686B2; CN112770717A

Abstract

（Ａ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、（Ｂ）両性界面活性剤と、（Ｃ）ポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを含有し、前記（Ａ）成分の含有量及び前記（Ｂ）成分の含有量の合計量と、前記（Ｃ）成分の含有量との質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝が、２～１０であるフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物である。

Description

フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物

　本発明は、フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物に関する。

　フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物では、使用性の点から、泡のきめ細かさ（以下、「泡のキメ」と称することがある。）、泡の弾力、及び泡の保形性等の泡の性能は重要な因子であり、これまでに、各種活性剤の増量やその組合せなどの様々な検討が行われ、泡性能の向上が試みられている（例えば、特許文献１～２参照）。

　また、アニオン性界面活性剤に、両性界面活性剤を組み合わせることで、泡性能を向上させる技術も提案されている（例えば、特許文献３参照）。
　前記提案によれば、優れた泡性能を達成することができるものの、アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤との組合せにより製剤粘度が上昇し、これにより、ポンプから泡を出す際の押し圧の上昇及び泡性能（特に泡のキメ）の低下を引き起こし、フォーマー容器からの排出性が低下してしまうことがある。

　したがって、泡のきめ細かさ、泡の弾力、及び泡の保形性が良好であり、かつフォーマー容器からの排出性にも優れたフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物の速やかな開発が強く望まれているのが現状である。

特開２０１１－１４８７７２号公報特開２０１５－２２９７６１号公報特開２０１４－７６９７５号公報

　本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、泡のきめ細かさ、泡の弾力、及び泡の保形性（以下、これらをまとめて「泡の性能」と称することがある。）が良好であり、かつフォーマー容器からの排出性（以下、「泡の吐出性」と称することがある。）にも優れたフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。

　前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を重ねた結果、（Ａ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、（Ｂ）両性界面活性剤と、（Ｃ）ポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを配合し、かつ、前記（Ａ）成分の含有量及び前記（Ｂ）成分の含有量の合計量と、前記（Ｃ）成分の含有量との質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝が、２～１０となるように配合したところ、フォーマー容器から排出される良好な泡の性能と、良好なフォーマー容器からの排出性と両立することができることを知見した。

　本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
　＜１＞　（Ａ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、
　（Ｂ）両性界面活性剤と、
　（Ｃ）ポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを含有し、
　前記（Ａ）成分の含有量及び前記（Ｂ）成分の含有量の合計量と、前記（Ｃ）成分の含有量との質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝が、２～１０であることを特徴とするフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物である。
　＜２＞　前記（Ａ）成分の含有量が、１０質量％～１６質量％であり、
　前記（Ｂ）成分の含有量が、１質量％～２質量％であり、
　前記（Ｃ）成分の含有量が、２質量％～４質量％である前記＜１＞に記載のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物である。
　＜３＞　前記（Ａ）成分の含有量と、前記（Ｂ）成分の含有量との質量比（Ａ／Ｂ）が、３～１５である前記＜１＞から＜２＞のいずれかに記載のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物である。
　＜４＞　２５℃における粘度が、５ｍＰａ・ｓ～３５ｍＰａ・ｓである前記＜１＞から＜３＞のいずれかに記載のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物である。

　本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、泡の性能が良好であり、かつフォーマー容器からの排出性にも優れたフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。

（フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物）
　本発明のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物は、（Ａ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、（Ｂ）両性界面活性剤と、（Ｃ）ポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。

＜（Ａ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩＞
　前記（Ａ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、主に、泡の性能を向上させるために含有される。

　前記（Ａ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式（１）で表される化合物などが挙げられる。前記（Ａ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。
　Ｒ^１－Ｏ（ＣＨ_２－ＣＨ_２Ｏ）ｎ－ＳＯ_３Ｘ　・・・　一般式（１）

　前記一般式（１）中、Ｒ^１はアルキル基を示し、前記アルキル基部分の炭素数としては、泡の性能の点から、１０～１４が好ましく、１２～１４がより好ましい。

　前記一般式（１）中、ｎはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、前記エチレンオキサイドの平均付加モル数としては、泡の性能の点から、１～５が好ましく、１～３がより好ましい。

　前記一般式（１）中、Ｘは、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを示す。
　前記アルカリ金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
　前記有機アンモニウムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の有機アンモニウムなどが挙げられる。
　これらの中でも、前記Ｘは、泡の性能の点から、アルカリ金属が好ましく、ナトリウムがより好ましい。

　前記（Ａ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、ポリオキシエチレン（１）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン（２）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム（別名：ＰＯＥ（２）ラウレス硫酸ナトリウム）、ポリオキシエチレン（３）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム（別名：ＰＯＥ（３）ラウレス硫酸ナトリウム）、ポリオキシエチレン（４）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン（５）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン（３）アルキル（Ｃ１２，１３）エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン（２）ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン（３）ラウリルエーテル硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
　なお、前記（　）内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数（ｎ）を表す。

　前記（Ａ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、市販品を使用することもできる。
　前記（Ａ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の市販品としては、例えば、テキサポンＮ２８ＡＳ　２７０Ｎ（ＢＡＳＦ社製）、エマール　２７０Ｊ、エマール２０Ｃ（以上、花王株式会社製）などが挙げられる。

　前記（Ａ）成分のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量としては、泡の性能、すすぎ後のぬるつきのなさ、及びフォーマー容器からの排出性の点から、フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物全量に対して、５質量％～１８質量％が好ましく、１０質量％～１６質量％がより好ましい。前記含有量が、５質量％以上であると、泡の性能が良好であり、１８質量％以下であると、すすぎ後のぬるつきのなさ、フォーマー容器からの排出性が良好である。

＜（Ｂ）両性界面活性剤＞
　前記（Ｂ）成分の両性界面活性剤は、主に、泡の性能を向上させるために含有される。

　前記（Ｂ）成分の両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。これらの中でも、泡の性能の点から、ベタイン型両性界面活性剤が好ましい。

　前記ベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　前記アルキルベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　前記アミドベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　前記スルホベタイン型両性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　前記イミダゾリン型両性界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Ｎ－ラウロイル－Ｎ’－カルボキシメチル－Ｎ’－ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、Ｎ－ヤシ油脂肪酸アシル－Ｎ’－カルボキシメチル－Ｎ’－ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　これらの中でも、泡の性能の点から、アルキルベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤が好ましく、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインがより好ましい。

　前記（Ｂ）成分の両性界面活性剤は、市販品を使用することもできる。
　前記（Ｂ）成分の両性界面活性剤の市販品としては、例えば、アルキルヒドロキシスルホベタインとしては、アンヒトール２０ＨＤ（花王株式会社製）、ソフタゾリンＬＳＢ（川研ファインケミカル株式会社製）、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、アンヒトール２４Ｂ（花王株式会社製）、ニッサンアノンＢＬ（日油株式会社製）、ＮＩＫＫＯＬ　ＡＭ－３０１（日光ケミカルズ株式会社製）、アモーゲンＳ（第一工業製薬株式会社製）、オバゾリンＬＢ（東邦化学工業株式会社製）、リカビオンＡ－１００（新日本理化株式会社製）、アミポールＮ（日華化学株式会社製）、ビスターＭＬ（松本油脂製薬株式会社製）、アンヒトール８６Ｂ（花王株式会社製）、リカビオンＡ－７００（新日本理化株式会社製）、ニッサンアノンＢＦ（日油株式会社製）などが挙げられる。

　前記（Ｂ）成分の両性界面活性剤の含有量としては、泡の性能、及びフォーマー容器からの排出性の点から、フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物全量に対して、０．５質量％～３質量％が好ましく、１質量％～２質量％がより好ましい。前記含有量が、０．５質量％以上であると、泡の性能が良好であり、３質量％以下であると、フォーマー容器からの排出性が良好である。

＜質量比（Ａ／Ｂ）＞
　前記（Ａ）成分の含有量（質量％）と、前記（Ｂ）成分の含有量（質量％）との質量比（Ａ／Ｂ）は、泡の性能の点から、３～１５が好ましく、５～１０がより好ましい。

＜（Ｃ）ポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油＞
　前記（Ｃ）成分のポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、主に、フォーマー容器からの排出性を向上させるために含有される。

　前記（Ｃ）成分のポリオキシエチレン平均付加モル数は、泡の性能、及びフォーマー容器からの排出性の点から、１０～３０であり、１０～２０が好ましい。前記ポリオキシエチレン平均付加モル数が、１０未満であると、泡の性能が不十分となり、３０を超えると、泡の性能、及びフォーマー容器からの排出性が不十分となる。
　前記（Ｃ）成分のポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。

　前記（Ｃ）成分のポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、市販品を使用することもできる。
　前記（Ｃ）成分のポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の市販品としては、例えば、ポリオキシエチレン（１０）硬化ヒマシ油として、ＮＩＫＫＯＬ　ＨＣＯ－１０（日光ケミカルズ株式会社製）、ＥＭＡＬＥＸ　ＨＣ－１０（日本エマルジョン株式会社製）、ＢＬＡＵＮＯＮ　ＣＷ－１０（青木油脂株式会社製）、ポリオキシエチレン（２０）硬化ヒマシ油として、ＮＩＫＫＯＬ　ＨＣＯ－２０（日光ケミカルズ株式会社製）、ＥＭＡＬＥＸ　ＨＣ－２０（日本エマルジョン株式会社製）、ＢＬＡＵＮＯＮ　ＲＣＷ－２０（青木油脂株式会社製）、ポリオキシエチレン（３０）硬化ヒマシ油として、ＮＩＫＫＯＬ　ＨＣＯ－３０（日光ケミカルズ株式会社製）、ＥＭＡＬＥＸ　ＨＣ－３０（日本エマルジョン株式会社製）などが挙げられる。
　なお、（　）内の数値は、前記ポリオキシエチレンの平均付加モル数を表す。

　前記（Ｃ）成分のポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量としては、泡の性能、すすぎ後のぬるつきのなさ、及びフォーマー容器からの排出性の点から、フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物全量に対して、１質量％～６質量％が好ましく、２質量％～４質量％がより好ましい。前記含有量が、１質量％以上であると、フォーマー容器からの排出性が良好であり、６質量％以下であると、泡の性能、すすぎ後のぬるつきのなさが良好である。

＜質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝＞
　前記（Ａ）成分の含有量（質量％）及び前記（Ｂ）成分の含有量（質量％）の合計量と、前記（Ｃ）成分の含有量（質量％）との質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝は、泡の性能、及びフォーマー容器からの排出性の点から、２～１０であり、３～６が好ましい。前記質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝が、２未満であると、泡の性能が不十分となることがあり、１０を超えると、フォーマー容器からの排出性が不十分となることがある。

＜その他の成分＞
　前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物は、前記（Ａ）～（Ｃ）の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。
　前記その他の成分としては、特に制限はなく、フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、前記（Ｂ）成分を除く両性界面活性剤、低級又は高級アルコール等のアルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、ｐＨ調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物、及びその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体、水などが挙げられる。これらは、１種単独で使用してもよいし、２種以上を併用してもよい。
　前記その他の成分は、市販品を使用することもできる。
　前記その他の成分の前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

－ｐＨ－
　前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物の２５℃におけるｐＨは、泡のきめ細かさの点から、４～６が好ましい。前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物のｐＨは、すべての成分を混合した後に最後にｐＨを確認しながら水酸化カリウム、及びクエン酸等の少なくともいずれかを加えることで調整できる。より詳しくは、水酸化カリウム、及びクエン酸等の少なくともいずれか以外の成分の合計が約９０質量％となるように精製水をバランスして混合攪拌する。必要なら加温してもよい。混合攪拌中に水酸化カリウム、及びクエン酸等の少なくともいずれかの水溶液を徐々に添加し、それぞれｐＨを測定しながら目標とするｐＨまで添加する。目標ｐＨとなったところで、最後に残りの精製水を加えて、全体で１００質量％となるように水を加え、最終ｐＨを測定する。

－粘度－
　前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物の粘度としては、２５℃において、例えば、２００メッシュを２枚有するフォーマー容器を使用する場合、フォーマー容器からの排出性の点から、３５ｍＰａ・ｓ以下が好ましく、５ｍＰａ・ｓ～３５ｍＰａ・ｓがより好ましく、５ｍＰａ・ｓ～２５ｍＰａ・ｓが特に好ましい。

　前記粘度は、前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物を２５℃に保管し、例えば、ＢＬ型粘度計（ローターＮｏ．１、東京計器株式会社製）にセットし、ローターを回転数６０ｒｐｍで回転させ、ローターの回転開始から１分間後に測定することができる。

－フォーマー容器－
　前記フォーマー容器としては、前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポンプ部を押し下げることによって泡を吐出できるフォーマー容器などが挙げられる。このようなフォーマー容器としては、例えば、株式会社吉野工業所製などを使用することができる。

　前記フォーマー容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜体を有し、前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物が前記多孔質膜体を通過することにより泡が形成される。前記多孔質膜体の材質としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が挙げられる。前記多孔質膜体のメッシュは、フォーマー容器のポンプの押しやすさ、及び泡のきめ細かさの点から、１００メッシュ～４００メッシュが好ましい。前記多孔質膜体のメッシュが、１００メッシュ以上であると、泡のきめ細かさが良好であり、４００メッシュ以下であると、フォーマー容器のポンプが押しやすさが良好になる。

　前記多孔質膜体の枚数は、フォーマー容器のポンプの押しやすさ、及び泡のきめ細かさの点から、２枚～４枚が好ましい。前記多孔質膜体の枚数が、２枚以上であると、泡のきめ細かさが良好であり、４枚以下であると、フォーマー容器のポンプの押しやすさが良好である。より具体的には、特開平７－３１５４６３号公報、特開平８－２３０９６１号公報、及び特開２００５－１９３９７２号公報に記載された容器を好適に使用することができる。また、皮膚洗浄剤組成物と空気との体積比（皮膚洗浄剤組成物／空気）は、１／５～１／２０が好ましい。

－用途－
　前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物は、例えば、ハンドソープ、ボディソープ、洗顔フォームなどの製品として好適である。前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物を、これらの用途に応じた通常の用量や通常の洗浄方法で使用すると、良好な泡性能と、良好なフォーマー容器からの排出性を実現できる点で有利である。また、前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物は、使用した際のすすぎ後のぬるつきのなさも良好である。

－製造方法－
　前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物は、例えば、前記（Ａ）～（Ｃ）成分、前記その他の成分、及び水（皮膚洗浄剤組成物の全体が１００質量％となるように残量配合）を混合して製造することができる。前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物を作製する装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力と全体混合できるプロペラ、タービン、ディスパー等の複数の攪拌羽根を備えた攪拌装置が挙げられる。なお、前記（Ａ）～（Ｃ）成分、及び前記その他の成分は、前記フォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物を作製するにあたり、それぞれ単独で使用してもよく、また、２種以上の成分を含む混合物の状態で使用してもよい。

　以下に、本発明を実施例、及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。

　実施例、及び比較例に記載の各成分の含有量は、質量％で示し、全て純分換算した値である。
　また、（Ａ）成分の含有量（質量％）と、（Ｂ）成分の含有量（質量％）との質量比（Ａ／Ｂ）、並びに（Ａ）成分の含有量（質量％）及び前記（Ｂ）成分の含有量（質量％）の合計量（質量％）と、（Ｃ）成分の含有量（質量％）との質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝は、小数点以下第２位を四捨五入し、小数点以下第１位まで求め、記載した。
　なお、ｐＨは、クエン酸で５．２に調整した。ｐＨの測定方法は、日本薬局法に定められている汎用方法で、２５℃で測定した。
　粘度は、硬質ガラス製の容量１００ｍＬバイアル瓶（商品名：「ＳＶ－１００Ａ」、日電理化硝子社製）に充填した皮膚洗浄剤組成物を２５℃に恒温してＢＬ型粘度計（東京計器社製、１００ｍＰａ・ｓ以下の場合はローターＮｏ．１、１００ｍＰａ・ｓ～５００ｍＰａ・ｓの場合はローターＮｏ．２を用いた）にセットし、ローターを回転数６０ｒｐｍで回転させ、ローターの回転開始から１分間後に測定した粘度である。

［実施例１～１９、及び比較例１～７］
　下記表１～表４に示す組成、及び含有量の皮膚洗浄剤組成物を以下の方法で調製した。まず（Ａ）成分、（Ｂ）成分、（Ｃ）成分（又は（Ｃ）成分の比較成分）、及び共通成分を、パドル式攪拌機を用いて２５℃で均一に混合した。この時、全体の９０質量％となるように精製水の量を調整した。続いて、ｐＨメーターＨＭ－３０Ｖ（東亜ディーケーケー株式会社製）を用いてｐＨを測定し、クエン酸を用いてｐＨを５．２に調整した。ｐＨ５．２となったところで最後に残りの精製水を加えて、全体で１００質量％とした。最終ｐＨを測定した結果、すべての実施例及び比較例でｐＨは５．２であった。

　フォーマー容器（２００メッシュ２枚、株式会社吉野工業所製（特開２００５－１９３９７２号公報の実施例２で使用したフォーマー容器と同じ））に、調製した実施例１～１９、及び比較例１～７の各皮膚洗浄剤組成物を充填し、各フォーマー容器（以下「泡ディスペンサー容器」と称することもある。）入り皮膚洗浄剤組成物を作製した。なお、皮膚洗浄剤組成物と空気との体積比（皮膚洗浄剤組成物／空気）は、１／１３とした。

　作製した実施例１～１９、及び比較例１～７のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物について、以下のようにして、「泡のきめ細かさ（泡のキメ）」、「泡の弾力」、「泡の保形性」、「すすぎ後のぬるつきのなさ」、及び「フォーマー容器からの排出性」を評価した。結果を表１～表４に示した。

＜泡のキメ、泡の弾力、泡の保形性＞
　作製した実施例１～１９、及び比較例１～７の皮膚洗浄剤組成物１ｇ（１プッシュ）を２５℃の条件において、フォーマー容器から泡を５回連続で吐出させた。評価は、下記の基準に基づき専門パネラー２０名で行った。
［評価基準］
－「泡のキメ」の評価基準－
　　◎　：　２０名中１７名以上が、泡のきめ細かさが良いと回答。
　　○　：　２０名中１３名～１６名が、泡のきめ細かさが良いと回答。
　　△　：　２０名中８名～１２名が、泡のきめ細かさが良いと回答。
　　×　：　２０名中７名以下が、泡のきめ細かさが良いと回答。
－「泡の弾力」の評価基準－
　　◎　：　２０名中１７名以上が、泡の弾力が良いと回答。
　　○　：　２０名中１３名～１６名が、泡の弾力が良いと回答。
　　△　：　２０名中８名～１２名が、泡の弾力が良いと回答。
　　×　：　２０名中７名以下が、泡の弾力が良いと回答。
－「泡の保形性」の評価基準－
　　◎　：　２０名中１７名以上が、泡の保形性が良いと回答。
　　○　：　２０名中１３名～１６名が、泡の保形性が良いと回答。
　　△　：　２０名中８名～１２名が、泡の保形性が良いと回答。
　　×　：　２０名中７名以下が、泡の保形性が良いと回答。

＜すすぎ後のぬるつきのなさ＞
　作製した実施例１～１９、及び比較例１～７の皮膚洗浄組成物を泡ディスペンサー容器から約６ｇ取り、全身を洗浄した後、前記皮膚洗浄組成物をすすぎ流し、前記皮膚洗浄組成物をすすぎ流した直後に「肌のぬるつきのなさ」を下記評価基準に基づき評価した。「肌のぬるつきのなさ」とは、すすぎ終わった際に、組成物が皮膚に残らず、ぬるぬるした感触がない状態を指す。評価は、下記の基準に基づき専門パネラー２０名で行った。
［評価基準］
－「すすぎ後のぬるつきのなさ」の評価基準－
　　◎　：　２０名中１７名以上が、すすぎ後のぬるつきのなさが良好と回答。
　　○　：　２０名中１３名～１６名が、すすぎ後のぬるつきのなさが良好と回答。
　　△　：　２０名中８名～１２名が、すすぎ後のぬるつきのなさが良好と回答。
　　×　：　２０名中７名以下が、すすぎ後のぬるつきのなさが良好と回答。

＜フォーマー容器からの排出性＞
　作製した実施例１～１９、及び比較例１～７の皮膚洗浄組成物を２５℃の条件において泡ディスペンサー容器から吐出させる操作を５回繰返し、下記基準に基づいてフォーマー容器からの排出性（泡の吐出性）を評価した。
［評価基準］
－「フォーマー容器からの排出性」の評価基準－
　　◎　：　きめの細かい泡で排出できる。
　　○　：　粗い泡が混在するが、ややきめの細かい泡で排出できる。
　　△　：　やや粗い泡が混在し、きめの細かい泡で排出できず、品質上問題がある。
　　×　：　泡が形成せず、きめの細かい泡で排出できず、品質上問題がある。

　前記実施例及び比較例で使用した各成分の詳細について、下記表５に示す。

　表５中の（　）内の数値は、エチレンオキサイド（ポリオキシエチレン）の平均付加モル数を表す。

　本発明のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物は、泡性能とフォーマー容器からの排出性に優れ、また、すすぎ後のぬるつきのなさが良好であり、例えば、ハンドソープ、ボディソープ、洗顔フォームなどに幅広く用いることができる。

Claims

　（Ａ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、
　（Ｂ）両性界面活性剤と、
　（Ｃ）ポリオキシエチレン平均付加モル数が１０～３０のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを含有し、
　前記（Ａ）成分の含有量及び前記（Ｂ）成分の含有量の合計量と、前記（Ｃ）成分の含有量との質量比｛（Ａ＋Ｂ）／Ｃ｝が、２～１０であることを特徴とするフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物。
　前記（Ａ）成分の含有量が、１０質量％～１６質量％であり、
　前記（Ｂ）成分の含有量が、１質量％～２質量％であり、
　前記（Ｃ）成分の含有量が、２質量％～４質量％である請求項１に記載のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物。
　前記（Ａ）成分の含有量と、前記（Ｂ）成分の含有量との質量比（Ａ／Ｂ）が、３～１５である請求項１から２のいずれかに記載のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物。
　２５℃における粘度が、５ｍＰａ・ｓ～３５ｍＰａ・ｓである請求項１から３のいずれかに記載のフォーマー容器入り皮膚洗浄剤組成物。