WO2019059068A1

WO2019059068A1 - 移植ツール

Info

Publication number: WO2019059068A1
Application number: PCT/JP2018/033847
Authority: WO
Inventors: 哲東田; 浩二河野; 拓郎森
Original assignee: 株式会社椿本チエイン
Priority date: 2017-09-22
Filing date: 2018-09-12
Publication date: 2019-03-28
Also published as: JP2019054778A; JP6458840B1; TW201919469A

Abstract

移植ツール（２０）は、苗（Ｓ）が植え付けられた苗床片（Ｎ）を保持可能に設けられた保持部材（３１）と、苗床片（Ｎ）の下側となる位置で苗床片（Ｎ）の下面を通って鉛直方向に延びる軸線（Ｐ）を中心とする周方向へ移動可能に設けられた移動部材（３１）とを備える。

Description

移植ツール

　本発明は、苗の移植装置に設けられる移植ツールに関する。

　従来から、苗の移植装置に設けられる移植ツールとして、例えば特許文献１に記載の苗床把持ユニットが知られている。この苗床把持ユニットは、鉛直方向に延びる軸線の周りに相対回転する第１把持部材と第２把持部材とを備えている。第１把持部材の上端部には第１爪部が設けられている。第２把持部材の上端部には、第１把持部材と第２把持部材との相対回転に伴い周方向に移動して第１爪部に当接する第２爪部が設けられている。そして、上記苗床把持ユニットにおいては、移植対象となる苗床片の直下で第１把持部材と第２把持部材とを相対回転させることにより、第１爪部と第２爪部とで苗床片の下部を挟み込み、その状態から第１把持部材と第２把持部材とを下降させることにより、移植先となる穴に苗床片が移植される。

特開２０１６－７６８６号公報

　ところで、移植対象となる苗床片の下面からは、苗の根が外方へ放射状に広がるように延びていることがある。そのため、第１爪部と第２爪部とで苗床片の下部を挟み込みつつ第１把持部材と第２把持部材とを下降させて苗床片を移植先の穴に上方から挿入したときに、苗の根の先端が穴の内周面と苗床片の側面との間に挟まり、穴の下側に導かれない虞があった。

　本発明の目的は、苗床片を移植先の穴に上方から挿入して移植するときに苗床片の下面から外方へ広がるように延びる苗の根を移植先の穴の下側に導くことができる移植ツールを提供することにある。

　以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
　上記課題を解決する移植ツールは、苗の移植装置に設けられる移植ツールであって、苗が植え付けられた苗床片を保持可能に設けられた保持部材と、前記苗床片の下側となる位置で前記苗床片の下面を通って鉛直方向に延びる軸線を中心とする周方向へ移動可能に設けられた移動部材と、を備える。

　この構成によれば、保持部材に保持された苗床片を移植先の穴に上方から挿入した状態で移動部材を周方向に移動させると、その移動部材に苗の根が絡む。そのため、仮に苗の根の先端が穴の内周面と苗床片の側面との間に挟まっていたとしても、その根の先端よりも基端側の部分が周方向に移動する移動部材に絡むことにより、苗床片の下面の中央寄りに引き寄せられ、その結果、その根が穴の下側に導かれる。

　上記移植ツールにおいて、前記移動部材は、前記保持部材に保持された前記苗床片が移植先の穴に上方から挿入された状態において、先ず前記周方向に移動した後に、下降することが好ましい。

　この構成によれば、移動部材は、周方向への移動により絡ませた苗の根を下方への移動により穴の下側へ効率良く引き寄せて導くことができる。
　上記移植ツールにおいて、前記移動部材は複数の移動部材のうちの一つであり、前記複数の移動部材は前記周方向に間隔をおいて設けられていることが好ましい。

　この構成によれば、複数の移動部材が周方向に移動することにより、苗の根が絡まる確率を高くすることができる。
　上記移植ツールにおいて、前記保持部材は、前記移動部材を兼用するように構成されており、かつ針状の爪部を有し、前記爪部は前記軸線を中心とする半径方向と交差する方向であって且つ斜め上向きとなる方向に向いた先端を有し、前記保持部材は前記爪部が前記周方向に移動するように回転することが好ましい。

　この構成によれば、保持部材及び移動部材を同一の部材で兼用できるので、移植ツールの構成を簡素化することができる。
　上記移植ツールにおいて、前記爪部が前記周方向の一方側に移動して前記苗床片に対して突き刺し可能に回転するときの前記保持部材の回転角度は、前記爪部が前記苗床片に突き刺さった状態から前記周方向の他方側に移動して前記苗床片から抜けるように回転するときの前記保持部材の回転角度よりも小さく設定されていることが好ましい。

　この構成によれば、移植対象となる苗床片の下面に保持部材の爪部を下側から押し当てた状態で爪部が周方向の一方側に移動するように保持部材を回転させると、針状で上向きの爪部が苗床片の内部に向けて下面から突き刺さる。これにより、苗床片は、保持部材により保持された状態となる。その一方、苗床片に突き刺さった状態にある爪部を周方向の他方側に移動させて苗床片から抜く方向に保持部材を回転させるときの回転角度は相対的に大きいため、苗床片の下面から外方へ広がるように延びる苗の根は周方向に移動する爪部に絡み易い。そのため、仮に苗の根の先端が穴の内周面と苗床片の側面との間に挟まっていたとしても、移植先の穴の下側で保持部材を爪部が苗床片から抜ける方向に回転させれば、爪部に絡ませた苗の根を移植先の穴の下側へ効率良く導くことができる。

　本発明によれば、苗床片を移植先の穴に上方から挿入して移植するときに苗床片の下面から外方へ広がるように延びる苗の根を移植先の穴の下側に導くことができる。

一実施形態の移植ツールを備える移植装置の全体概要を示す一部破断正面図。移植ツールの斜視図。移植ツールの平面図。移植ツールが保持位置まで上昇した状態を示す正面図。図４における移植ツールの要部を拡大して示す断面図。図５の状態から保持部材が保持方向に回転した状態を示す断面図。図６における７－７線に沿った側面図。図６の状態における移植ツールの平面図。移植位置まで下降した移植ツールの要部を拡大して示す断面図。図９の状態から保持部材が保持解除方向に回転した状態を示す断面図。図１０の状態から移植ツールが更に下降した状態を示す断面図。第１変形例の移植ツールの平面図。第２変形例の移植ツールの平面図。第３変形例の移植ツールの平面図。

　以下、植物の苗を移植する移植装置に設けられる移植ツールの一実施形態について図を参照して説明する。
　図１に示すように、移植装置１１は、苗床支持部１２と定植パネル支持部１３と移植機構１４とを備えている。苗床支持部１２及び定植パネル支持部１３は、移植装置１１の幅方向（Ｘ方向）及び奥行方向（Ｙ方向）の少なくとも一方向に沿って移動可能なコンベヤ機構やチェーン機構等を備えている。定植パネル支持部１３は苗床支持部１２の下方となる位置に設けられている。苗床支持部１２上には苗Ｓを植え付けた苗床片Ｎの集合体であるマット状の苗床１５が支持されている。定植パネル支持部１３上には、苗床１５から移植機構１４により分離された苗床片Ｎが移植される定植パネル１６が支持されている。なお、苗床１５は、例えばウレタン等の発泡樹脂からなる弾性変形可能なマット体であり、平面視で幅方向及び奥行方向に交差して延びる多数の切目１７により、複数個の苗床片Ｎがマトリクス状に区分されている。各苗床片Ｎの下面からは、苗Ｓの根Ｎｅが外方へ放射状に広がるように延びている。

　定植パネル１６は、苗床片Ｎの高さ（Ｚ方向の寸法）と対応した厚みを有する板体である。定植パネル１６には各々が苗床片Ｎの移植先となる複数の穴１８が形成されている。これらの穴１８は定植パネル１６を貫通している。図１には５つの穴１８が示されている。各穴１８は、円形の平面視形状を有している。穴１８の内周面に沿う円は、略立方体形状をなす苗床片Ｎの一つの面（例えば、底面）の形状である正方形の内接円に相当する。そのため、穴１８内に苗床片Ｎを上方から挿入した場合、その苗床片Ｎは平面視での四隅部分が弾性変形して穴１８の内周面に圧接することで、穴１８内に保持される。

　移植機構１４は、ボックス状をなすベース部１９と、ベース部１９上に設けられた移植ツール２０と、ベース部１９を介して移植ツール２０を移動させる移動機構２１とを有している。移動機構２１は、第１駆動部２２と第２駆動部２３と第３駆動部２４とを有している。第１駆動部２２は、ベース部１９よりも下方位置でＸ方向に延びるように配置されている。第１駆動部２２はＸ方向にスライド移動する第１スライダー２５を有している。第２駆動部２３は、第１駆動部２２に設けられた第１スライダー２５に連結された状態でＹ方向に延びるように配置されている。第２駆動部２３はＹ方向にスライド移動する第２スライダー２６を有している。第３駆動部２４は、第２駆動部２３に設けられた第２スライダー２６に連結された状態でＺ方向に延びるように配置されている。第３駆動部２４はＺ方向にスライド移動する第３スライダー２７を有している。そして、この第３駆動部２４に設けられた第３スライダー２７にベース部１９が連結されている。

　図２及び図３に示すように、移植ツール２０は、ベース部１９の上面に鉛直方向であるＺ方向に延びるように固定された円筒部２８と、円筒部２８の内側に配置された状態で、円筒部２８の中心を通って鉛直方向に延びる軸線Ｐの周りに回転する円柱形状の回転部材２９とを有している。なお、円筒部２８の外径は定植パネル１６に形成された穴１８の内径よりも小さい。円筒部２８の上端面２８ａにおいて、軸線Ｐを基準として点対称となる二箇所には、針状の先端を有する直棒状の回転規制部材３０がＺ方向に延びるように固定されている。同様に、回転部材２９の上端面２９ａにおいて、軸線Ｐを基準として点対称となる二箇所には、針状の先端を有する保持部材３１が固定されている。すなわち、保持部材３１は、回転部材２９の上端面２９ａにおいて軸線Ｐから半径方向に離れた位置であって、軸線Ｐを中心とする周方向に間隔をおいた複数箇所（本実施形態では二箇所）に固定されている。

　保持部材３１の長さ方向の中間部から基端側の部分はＺ方向に延びる直棒部３２により構成されている。保持部材３１の上記中間部から先端側の部分は湾曲して延びるフック状の爪部３３により構成されている。そして、保持部材３１は、爪部３３における針状の先端が軸線Ｐを中心とする半径方向と交差する方向であって且つ斜め上向きとなる方向に向く姿勢となるように回転部材２９に固定されている。そのため、回転部材２９が回転したとき、保持部材３１は、回転部材２９と一体的に回転し、その爪部３３が軸線Ｐを中心とする周方向に移動する。なお、回転規制部材３０の上端と保持部材３１の上端である爪部３３の先端とは、Ｚ方向の高さ位置が同じである。また、回転部材２９は、ベース部１９に設けられたモーター等からなる回転駆動部３４（図１参照）が駆動されることにより回転される。

　次に、上記のように構成された移植装置１１の作用について、移植ツール２０が苗床片Ｎを保持して定植パネル１６の穴１８に移植するときの作用に着目して以下説明する。
　苗床１５から苗床片Ｎを分離して定植パネル１６に移植する際には、まず、移植対象となる苗床片Ｎが特定され、その苗床片Ｎの真下となる位置に定植パネル１６において移植先となる穴１８が位置させられる。この場合には、苗床支持部１２及び定植パネル支持部１３における図示しないコンベヤ機構等が作動する。また、その穴１８の真下となる位置に移植機構１４の移植ツール２０が位置させられる。この場合には、移動機構２１における第１駆動部２２と第２駆動部２３とが駆動される。図１は、苗床１５において幅方向（Ｘ方向）に並ぶ５つの苗床片Ｎのうち真ん中に位置する苗床片Ｎが、定植パネル１６において幅方向（Ｘ方向）に並ぶ５つの穴１８のうち真ん中に位置する穴１８に移植される場合の初期状態を例示している。

　以下、この初期状態からの移植手順を説明する。
　まず、図４に示すように、移植ツール２０が、図１に示す位置から苗床片Ｎを保持可能となる保持位置まで上昇する。すなわち、移動機構２１における第３駆動部２４の駆動に基づき、移植ツール２０がベース部１９と共に上昇する。すると、移植ツール２０の円筒部２８及び回転部材２９が定植パネル１６の穴１８を下方から上方に通過する。そして、円筒部２８の上端面２８ａに固定された回転規制部材３０と回転部材２９の上端面２９ａに固定された保持部材３１とが苗床片Ｎの下面に接触する。

　具体的には、図５に示すように、回転規制部材３０は、針状の先端が苗床片Ｎの下面に突き刺さった接触状態となる。保持部材３１は、斜め上向きの先端を有する爪部３３が苗床片Ｎの下面を上方に押し上げる接触状態となる。そのため、苗床片Ｎは、下面に突き刺さった回転規制部材３０により軸線Ｐ周りの回転が規制されるとともに、保持部材３１の押し上げにより下面の中央部分が上側となる苗床片Ｎの内側に向けて凹んだ状態となる。そして、この状態から、回転部材２９が回転駆動部３４の駆動に基づき回転させられる。本実施形態の場合、図３に示す状態から保持方向となる反時計方向に一例として９０度の回転角度だけ、回転部材２９は回転させられる。

　すると、図６、図７、及び図８に示すように、この回転部材２９の回転に伴い、保持部材３１も、反時計方向に９０度だけ回転するように動作し、その結果、爪部３３が軸線Ｐを中心とする周方向の一方側（すなわち、反時計方向側）に円弧を描くように移動する。そして、このときに、保持部材３１の爪部３３が苗床片Ｎの下面における凹面状の部分に突き刺さる。なお、苗床片Ｎの下面を凹面状に押し上げていた爪部３３の先端が斜め下方から苗床片Ｎの内部に向けて突き刺さると、苗床片Ｎは、爪部３３による押し上げがなくなって凹面状の部分が僅かに下方へ復元するように弾性変形する。そのため、例えば図７及び図８に示すように、保持部材３１における針状の斜め上向きの爪部３３が軸線Ｐを中心とする周方向に先端を向けて苗床片Ｎに対して食い込むことで、苗床片Ｎは保持部材３１に対して上下方向に移動しても保持部材３１が抜けないように保持された状態となる。

　すると次に、図９に示すように、移動機構２１における第３駆動部２４の駆動により移植ツール２０が定植パネル１６よりも下方となる位置まで下降する。具体的には、保持部材３１により保持された苗床片Ｎが定植パネル１６の穴１８に上方から挿入される移植位置まで、移植ツール２０は下降する。そして、その状態から、回転部材２９が回転駆動部３４の駆動に基づき回転させられる。今度は、苗床片Ｎに突き刺さっている保持部材３１の爪部３３が苗床片Ｎから抜ける保持解除方向となる時計方向に回転部材２９は回転させられる。

　すると、図１０に示すように、保持部材３１は、爪部３３が苗床片Ｎの内部から下面側に抜けた状態となる。なお、図１０は、図９の状態から時計方向に９０度の回転角度だけ回転部材２９が回転した時点の状態、すなわち、保持部材３１の爪部３３が苗床片Ｎから抜けた直後の状態を示しているが、最終的には、時計方向に一例として１８０度の回転角度だけ回転部材２９は回転させられる。そして、このように保持部材３１が周方向に移動した場合でも、固定配置の円筒部２８から上方に延びた回転規制部材３０は、その先端が苗床片Ｎに下面から突き刺さった状態を維持している。そのため、苗床片Ｎは、周方向に移動する保持部材３１により押されたり引っ張られたりしても保持部材３１と供回りすることはない。

　ところで、移植対象である苗床片Ｎに植え付けられた苗Ｓの根Ｎｅは、苗床片Ｎの下面から外方へ放射状に広がるように延びていることがある。そのため、定植パネル１６の穴１８に苗床片Ｎを上方から挿入させたとき、図９に示すように、その苗Ｓの根Ｎｅの一部が苗床片Ｎの側面と穴１８の内周面との間に挟まれてしまう虞がある。こうして挟まれた苗Ｓの根Ｎｅは、定植パネル１６の下側に垂れないため、苗Ｓの栽培のために定植パネル１６の下側に供給される養液に浸ることができなくなる。そのため、こうした事態は回避することが好ましい。

　この点、本実施形態では、図８及び図９の状態から、回転部材２９が時計方向に回転したとき、保持部材３１が苗床片Ｎの下側となる位置で軸線Ｐを中心とする周方向へ移動する移動部材として機能し、その周方向への移動途中に、苗床片Ｎの下面から外方に広がっている苗Ｓの根Ｎｅを絡ませる。すなわち、苗床片Ｎの側面と穴１８の内周面との間に先端が挟まれている苗Ｓの根Ｎｅの先端よりも基端側の部分を、周方向に移動する移動部材を兼用する保持部材３１に絡ませる。すると、周方向に移動する保持部材３１に絡まった苗Ｓの根Ｎｅは、苗床片Ｎの下面の中央寄りに引き寄せられ、その結果、穴１８の下側に導かれる。

　そして、図１１に示すように、その状態から移植ツール２０が更に下降すると、苗床片Ｎは、保持部材３１に絡まった苗Ｓの根Ｎｅが、下方へ移動する保持部材３１との接触により垂れ下がるように揃えられる。そして、苗Ｓの根Ｎｅを定植パネル１６の穴１８の下側に垂れ下がらせた状態で、移植先の穴１８に対する苗床片Ｎの移植が完了する。そして以後は、その状態から、次の移植対象となる苗床片Ｎと移植先となる穴１８とが上下方向で一致するように苗床支持部１２及び定植パネル支持部１３が作動される。また、その穴１８の真下となる位置に移植ツール２０が位置するように、移動機構２１における第１駆動部２２と第２駆動部２３とが駆動される。そして、上記の場合と同様の移植手順が繰り返される。

　上記の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
　（１）保持部材３１の先端が針状の爪部３３により構成されているため、苗床片Ｎを保持するときに保持部材３１と他の部材との間に苗床片Ｎから出ている苗Ｓの根Ｎｅを挟み込む虞がない。そして、苗Ｓを移植するために苗床片Ｎを保持するときには、その苗床片Ｎに対して先端の針状の爪部３３が突き刺さるように保持部材３１を動作させれば、苗Ｓの根Ｎｅをちぎり取ることなくその苗床片Ｎを容易に保持することができる。

　（２）移植対象となる苗床片Ｎの下面に保持部材３１の爪部３３を下側から押し当てた状態で保持部材３１を回転させると、苗床片Ｎの下面を通って鉛直方向に延びる軸線Ｐを中心とする周方向に針状の爪部３３が移動する。すると、その移動に伴い針状で上向きの爪部３３が苗床片Ｎの内部に向けて下面から突き刺さるため、苗床片Ｎは、保持部材３１により苗Ｓの根Ｎｅをちぎり取られることなく、保持部材３１に対して上下方向に移動しても保持部材３１が抜けないように保持された状態となる。

　（３）回転部材２９を回転させると、保持部材３１が周方向に移動するため、その保持部材３１が有する爪部３３も周方向に移動する。したがって、移植対象となる苗床片Ｎを簡単な構成で苗Ｓの根Ｎｅをちぎり取ることなく保持して移植することができる。

　（４）保持部材３１の回転に伴い爪部３３が周方向に移動したときに、その苗床片Ｎが周方向に移動する爪部３３に押されたり引っ張られたりして保持部材３１と供回りすることを回転規制部材３０により抑制できる。

　（５）保持部材３１は移動部材としても機能し、保持部材３１に保持された苗床片Ｎを移植先の穴１８に上方から挿入した状態で保持部材３１を周方向に移動させると、その保持部材３１に苗Ｓの根Ｎｅが絡む。そのため、仮に苗床片Ｎの下面から外方へ広がるように延びる苗Ｓの根Ｎｅの先端が移植先の穴１８の内周面と苗床片Ｎの側面との間に挟まれていたとしても、その根Ｎｅの先端よりも基端側の部分が周方向に移動する保持部材３１に絡むことにより、その根Ｎｅは苗床片Ｎの下面の中央寄りに引き寄せられ、その結果、穴１８の下側に導かれる。

　（６）移動部材としても機能する保持部材３１は、周方向への移動により絡ませた苗Ｓの根Ｎｅを、その後に移植ツール２０が更に下方へ移動することにより、移植先の穴１８の下側へ効率良く引き寄せて導くことができる。

　（７）移動部材としても機能する複数の保持部材３１が周方向に移動することにより、一つの保持部材３１を設けた場合よりも、保持部材３１に苗Ｓの根Ｎｅが絡まる確率を高くすることができる。

　（８）保持部材３１が、同一の部材で移動部材を兼用する構成であるので、移植ツール２０の構成を簡素化することができる。
　（９）移植対象となる苗床片Ｎに突き刺さった状態にある爪部３３を苗床片Ｎから抜く保持解除方向に保持部材３１を回転させるときの回転角度は相対的に大きい。そのため、苗床片Ｎの下面から外方へ広がるように延びる苗Ｓの根Ｎｅは、周方向に移動する爪部３３に絡み易い。そのため、仮に根Ｎｅの先端が穴１８の内周面と苗床片Ｎの側面との間に挟まっていたとしても、移植先の穴１８の下側で保持部材３１を爪部３３が苗床片Ｎから抜ける方向に回転させれば、爪部３３に絡ませた根Ｎｅを移植先の穴１８の下側へ効率良く導くことができる。

　上記実施形態は、以下のように変更してもよい。また、以下の変更例は、適宜組み合わせてもよい。
　・図１２に示す第１変形例のように、移植ツール２０の保持部材３１における爪部３３の形状は、上方からの平面視において軸線Ｐを中心とする周方向に沿う円弧状に湾曲した形状であってもよい。

　・図１３に示す第２変形例のように、移植ツール２０の保持部材３１における爪部３３の形状は、上方からの平面視において軸線Ｐを中心とする渦巻き状に湾曲した形状であってもよい。

　・移植ツール２０の保持部材３１の数は、実施形態における２以外の数であってもよい。例えば、図１４に示す第３変形例のように、保持部材３１の数は４であってもよい。なお、保持部材３１の数は、１及び３等の奇数であってもよい。

　・苗床片Ｎの回転を規制するように苗床片Ｎの下面に先端を突き刺す回転規制部材３０の数は実施形態における２以外の数であってもよい。すなわち、回転規制部材３０の数は１や３以上であってもよい。あるいは、回転規制部材３０を省略してもよい。

　・一対の保持部材３１が回転部材２９の上端面２９ａから上方へ延びるように回転部材２９に一体化される構成以外に、各々の保持部材３１が別々に軸線Ｐを中心として周方向に移動するように構成されていてもよい。

　・軸線Ｐを中心として爪部３３が周方向に移動するように回転するときの保持部材３１の回転角度について、爪部３３を苗床片Ｎに突き刺すときの保持方向となる一方側への回転角度と、爪部３３を苗床片Ｎから抜くときの保持解除方向となる他方側への回転角度とが同じであってもよい。さらに、その場合の回転角度は９０度や１８０度以外の他の任意の角度でもよい。

　・保持部材３１の動作は、爪部３３が周方向に移動するように保持部材３１が回転する動作以外に、例えば、爪部３３が半径方向の外側から半径方向の内側に移動して苗床片Ｎに突き刺さるように、保持部材３１が揺動する動作であってもよい。

　・実施形態では、移植時に苗床片Ｎを保持する保持部材３１が、その爪部３３を苗床片Ｎから抜くときに苗Ｓの根Ｎｅを絡ませるように周方向に移動する移動部材としても機能するように構成したが、保持部材３１と移動部材とを別々の部材により構成しても良い。例えば、従来技術の移植装置が移植ツールとして備える苗床把持ユニットにおける第１把持部材と第２把持部材とは別に、苗床片Ｎの下側で周方向に移動して苗Ｓの根Ｎｅを絡ませる移動部材を別途に設けても良い。

　１１…移植装置、１８…穴、２０…移植ツール、２９…回転部材、３０…回転規制部材、３１…移動部材を兼用する保持部材、３３…爪部、Ｎ…苗床片、Ｎｅ…根、Ｐ…軸線、Ｓ…苗。

Claims

　苗の移植装置に設けられる移植ツールであって、
　苗が植え付けられた苗床片を保持可能に設けられた保持部材と、
　前記苗床片の下側となる位置で前記苗床片の下面を通って鉛直方向に延びる軸線を中心とする周方向へ移動可能に設けられた移動部材と、を備えることを特徴とする移植ツール。
　前記移動部材は、前記保持部材に保持された前記苗床片が移植先の穴に上方から挿入された状態において、先ず前記周方向に移動した後に、下降することを特徴とする請求項１に記載の移植ツール。
　前記移動部材は複数の移動部材のうちの一つであり、
　前記複数の移動部材は前記周方向に間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の移植ツール。
　前記保持部材は、前記移動部材を兼用するように構成されており、かつ針状の爪部を有し、
　前記爪部は前記軸線を中心とする半径方向と交差する方向であって且つ斜め上向きとなる方向に向いた先端を有し、
　前記保持部材は前記爪部が前記周方向に移動するように回転することを特徴とする請求項１～請求項３のうち何れか一項に記載の移植ツール。
　前記爪部が前記周方向の一方側に移動して前記苗床片に対して突き刺し可能に回転するときの前記保持部材の回転角度は、前記爪部が前記苗床片に突き刺さった状態から前記周方向の他方側に移動して前記苗床片から抜けるように回転するときの前記保持部材の回転角度よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項４に記載の移植ツール。