WO2019049584A1 - 有機化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、ホスゲン代替試薬をフロー式リアクターで用いる場合に、生成物の収率をさらに高めることにある。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 原料液A及び原料液Bを別々の供給流路から取り入れ、これらを混合部で混合した後、リアクター部で反応させる第1反応用フロー式リアクターと、
前記第1反応用フロー式リアクターから排出される第1反応液と、原料液Cとを別々の供給流路から取り入れ、混合部で混合した後、リアクター部で反応させる第2反応用フロー式リアクターとを用いて有機化合物を製造する方法であり、
前記原料液Aは、トリホスゲン及び/又はジホスゲンを溶解した溶液であり、
前記原料液Bは、N上に1つの置換基を有していてもよいアミノ基、N上に1つの置換基を有していてもよいアミド基、及びN上に1つの置換基を有していてもよい-OC(=O)NH2を有さない含窒素有機化合物、又は該含窒素有機化合物の溶液であり、
前記原料液Cは、N上に1つの置換基を有していてもよいアミノ基、N上に1つの置換基を有していてもよいアミド基、及びN上に1つの置換基を有していてもよい-OC(=O)NH2からなる群より選ばれるホスゲンと反応し得る官能基を少なくとも1つ有する反応基質、又は該反応基質の溶液であり、
前記第1反応の生成物がホスゲンである有機化合物の製造方法。
[2] 製造される有機化合物がクロロカルボニル化されたアミノ基(該アミノ基はN上に1つの置換基を有していてもよい)、クロロカルボニル化されたアミド基(該アミド基はN上に1つの置換基を有していてもよい)、及びクロロカルボニル化された-OC(=O)NH2(該-OC(=O)NH2はN上に1つの置換基を有していてもよい)からなる群より選ばれる官能基の少なくとも1つを有する化合物、アミノ酸N-カルボン酸無水物構造を有する化合物、イソシアネート又はウレア構造を有する化合物である前記[1]に記載の製造方法。
[3] 前記N上に1つの置換基を有していてもよいアミノ基、N上に1つの置換基を有していてもよいアミド基、及びN上に1つの置換基を有していてもよい-OC(=O)NH2を有さない含窒素有機化合物が、炭素数9~40のトリアルキルアミンであり、
前記トリホスゲン及び/又はジホスゲンを溶解した溶液は有機溶媒を含む前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 第1反応用フロー式リアクターのリアクター部から第1反応液を排出する流路が、第2反応用フロー式リアクターの混合部に直結している前記[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] リアクター部の流路の断面積が0.15mm2以上30cm2以下である前記[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
原料液A及び原料液Bを別々に取り入れるための2つの供給流路11,12と、これら供給流路11,12からの原料液A、Bを混合する第1の混合部15と、該混合部で調製された混合液を反応させる第1のリアクター部17とを有する第1反応用フロー式リアクター21と、
前記第1反応用フロー式リアクターから排出される第1反応液と、原料液Cとを別々に取り入れるための2つの供給流路13,14と、これら供給流路13,14からの第1反応液と原料液Cを混合する第2の混合部16と、該混合部で調製された混合液を反応させる第2のリアクター部18とを有する第2反応用フロー式リアクター22とを有している。なお第1反応用フロー式リアクター21のリアクター部17からの第1の反応液を排出する流路13が、第2のフロー式リアクター22の供給流路13を兼ねており、この排出流路13が混合部16に直結している。この様な2つのフロー式リアクター21、22を用いることで第1及び第2の2つの反応が可能になっている。
また含窒素有機化合物の使用量は、ジホスゲン1モルに対して、含窒素有機化合物の窒素原子が、例えば、0.5モル以上、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.5モル以上、さらに好ましくは1.8モル以上、よりさらに好ましくは2モル以上となる量である。含窒素有機化合物の使用量の上限は特に限定されないが、ジホスゲン1モルに対して、含窒素有機化合物の窒素原子が、例えば、15モル以下、好ましくは10モル以下、より好ましくは5モル以下となる量であってもよい。
(式中、R1a、R1b及びR1cは、反応基質のうち前記ホスゲンとの反応性基以外の部分を表す。R5a及びR5bは、水素原子又は有機基(ただし、ホスゲンとの反応性基を有さない)を表し、前記R1a又はR1cとR5aとは互いに結合していてもよい。R1b又はR1cとR5bは互いに結合していてもよい。R5a、R5bが複数ある場合、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。n、mは、それぞれ独立して1~3の整数を表す。n、mはそれらの合計が1~3であること、特に1又は2であることが好ましい。)
R5a、R5bとなるアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2~10の基が好ましく、炭素数2~4の基がより好ましい。
R5a、R5bとなるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3~10の基が好ましく、炭素数5~6の基がより好ましい。
R5a、R5bとなるアリール基としては、フェニル基、トルイル基、ナフチル基等の炭素数6~10の基が好ましく、炭素数6~8の基がより好ましい。
R5a、R5bとなるヘテロアリール基としては、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基等が挙げられる。
R5a、R5bとなるアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等の炭素数7~15の基が好ましく、炭素数7~10の基がより好ましい。
R5a、R5bとなるアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6~10の基が好ましく、炭素数6~8の基がより好ましい。
(式中、R2、R3、及びR4は、反応基質のうち前記ホスゲンとの反応性基以外の部分を表す。R6は水素原子にならない点を除いて前記R5aと同じであり、前記R2、R3、及びR4とR6とは互いに結合していてもよい。Y1はNHであり、Y1と、R4及び/又はR6とは互いに結合していてもよい。R6が複数ある場合、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。)
単純な構造のR3、R4としては、R1a、R1cとして例示した基のうち2価の基が挙げられる。該2価の基として好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基;シクロペンタン-1,2-ジイル基、シクロヘキサン-1,2-ジイル基などの炭素数4~10の置換基を有してもよいシクロアルカンジイル基(特にシクロアルカン-1,2-ジイル基);又はベンゼン-1,2-ジイル基などの置換基を有してもよい炭素数が6~10の2価の芳香族炭化水素基であるのが好ましい。前記アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基等の炭素数1~6の基がより好ましく、炭素数1~3の基がさらに好ましい。R3及びR4の置換基もR5a~R5bと同様の基が挙げられる。
式(5)において1つのR6とR3が結合して形成される環としては、例えば、下記の環が例示される。
(式中、Rは有機基を示し、複数のRは互いに異なっていてよく、反応基質の部分構造となる。Rはホスゲンとの反応性基を有さない。)
(式中、R1a、R1b、R1c、R5a、R5b、m及びnは前記と同じである。)
(式中、R2、R3、R4、R6、Y1は前記と同じである。)
(式中、Rは、前記と同じである。)
本工程で副生する可能性のある不純物としては、例えば式(33)で表される構造を有する基質からは、式(44)で表される構造を有するものが挙げられる。
以下、反応装置1の変更例について、適宜、図2の反応装置2にも言及しながら説明する。リアクター部17、18に原料液を供給する時の送液手段34a、34b、34cとしては、通常、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ、プランジャーポンプなどのポンプを用いて行われる。なお図2の例では、シリンジポンプ35a、35b、35cが使われている。
図示例のリアクター部17、18は、図1、図2の例の様なコイル構造に限定されず、プレート状の板に微小な流路が刻まれた構造をしていたり、これらのプレート板が積層状に重なった構造をしていたり、直管構造であったり、多数回曲げ返された構造であったりしてもよく、様々な形状をとり得る。
以上のような装置を用いた本発明の方法によれば、副生成物が少なく、目的有機化合物を収率よく得ることができる。
カラム:CHIRALCEL OD-H(250×4.6mm)(株式会社ダイセル製)
移動相:ヘキサン/イソプロピルアルコール=98/2
流速:0.7ml/分
検出波長:UV220nm
カラム温度:35℃
保持時間:塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニル;10分
(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボン酸トリクロロメチル(以下、RRT0.81不純物という);8.1分
トリホスゲン1.70gにトルエンを13.0g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン3.20gにトルエンを10.2g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン3.00gにトルエンを23.8g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図2に示す反応装置2を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ1ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35a、35bで送液してT字型ミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で4分間通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。次に、原料液Cを2ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC製)35cで送液し、連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(2ml/分)と、もう1つのT字型ミキサー16内で混合し、続く滞留ライン18内で2分間通流して反応させた。原料液A、原料液B及び原料液Cが入ったシリンジが空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。尚、T字型ミキサー15、16(内径:2.0mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン17、18(チューブ内径:2.0mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。反応液はフラスコ33に入った2N塩酸水60g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニルを3.52g含有する有機層を61.23g取得した(収率:90%、RRT0.81不純物:0.2area% vs 生成物のarea)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
トリホスゲン2.84gにトルエンを7.88g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン5.31gにトルエンを3.39g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン5.00gにトルエンを15.0g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図2に示す反応装置2を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ1ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35a、35bで送液し、T字型ミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で5秒間通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。次に、原料液Cを2ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35cで送液し,連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(2ml/分)と、もう1つのT字型ミキサー16内で混合し、続く滞留ライン18内で10秒間通流して反応させた。原料液A、原料液B及び原料液Cが入ったシリンジが空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。尚、T字型ミキサー15、16(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン17、18(チューブ内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。反応液はフラスコ33に入った2N塩酸水100g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニルを6.10g含有する有機層を40.83g取得した(収率94%、RRT0.81不純物:不検出)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
トリホスゲン2.84gにトルエンを7.88g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン5.31gにトルエンを3.39g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン5.00gにテトラヒドロフランを15.0g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図2に示す反応装置2を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ1ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35a、35bで送液し、T字ミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で5秒間通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。次に、原料液Cを2ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35cで送液し、連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(2ml/分)と、もう1つのT字ミキサー16内で混合し、続く滞留ライン18内で10秒間通流して反応させた。原料液A、原料液B及び原料液Cが入ったシリンジが空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。尚、T字ミキサー15、16(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン17、18(チューブ内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。反応液はフラスコ33に入った2N塩酸水25g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニルを6.20g含有する有機層を45.98g取得した(収率96%、RRT0.81不純物:不検出)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
トリホスゲン28.4gにトルエンを78.0g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン53.1gにトルエンを32.5g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン50.0gにテトラヒドロフランを150.0g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図1に示す反応装置1を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ39.5ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)34a、34bで送液してT字ミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で5秒間通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。次に、原料液Cを79.0ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)34cで送液し、連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(79.0ml/分)と、もう1つのT字ミキサー16内で混合し、続く滞留ライン18内で10秒間通流して反応させた。原料液A、原料液B及び原料液Cが入った瓶が空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。尚、T字ミキサー15、16(内径:2.4mm、材質:ステンレス(SUS304))及び滞留ライン17、18(内径:3.0mm、外径4.0mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。反応液はフラスコ32に入った2N塩酸水250.0g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニルを63.6g含有する有機層を443.3g取得した(収率:98%、RRT0.81不純物:0area% vs 生成物のarea)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
トリホスゲン28.4gにトルエンを78.0g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン53.1gにトルエンを32.5g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン50.0gにテトラヒドロフランを150.0g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図1に示す反応装置1を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ39.5ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)34a、34bで送液してT字ミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で5秒間通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。次に、原料液Cを79.0ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)35cで送液し、連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(79.0ml/分)と、もう1つのT字ミキサー16内で混合し、続く滞留ライン18内で10秒間通流して反応させた。原料液A、原料液B及び原料液Cが入った瓶が空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。尚、T字ミキサー15、16(内径:2.4mm、材質:ステンレス(SUS304))及び滞留ライン17、18(内径:2.18mm、外径1/8インチ(約3.18mm)、材質:ステンレス(SUS304))は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。反応液はフラスコ33に入った2N塩酸水250.0g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニルを63.1g含有する有機層を465.4g取得した(収率:98%、RRT0.81不純物:0area% vs 生成物のarea)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
トリホスゲン28.4gにトルエンを78.0g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン53.1gにトルエンを32.5g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン50.0gにテトラヒドロフランを150.0g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図1に示す反応装置1を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ39.5ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)35a、35bで送液してT字ミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で5秒間通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。次に、原料液Cを79.0ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)35cで送液し、連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(79.0ml/分)と、もう1つのT字ミキサー16内で混合し、続く滞留ライン18内で10秒間通流して反応させた。原料液A、原料液B及び原料液Cが入った瓶が空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。尚、T字ミキサー15、16(内径:4.8mm、材質:ステンレス(SUS304))及び滞留ライン17、18(チューブ内径:4.0mm、外径6.0mm、材質:ステンレス(SUS304))は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。反応液はフラスコ33に入った2N塩酸水250.0g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニルを63.9g含有する有機層を457.4g取得した(収率:97%、RRT0.81不純物:0area% vs 生成物のarea)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
トリホスゲン7.37gにトルエンを49.4g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン13.81gにトルエンを42.9g入れて均一溶液とし、原料液B(図3中の原料液Dに相当)とした。図3に示す反応装置3を用い、以下の様にして、これらを反応させた。なお、反応装置3は、2つ目のフロー式リアクター22を備えていない以外は、図2の反応装置2と同じであり、同一の構成部分については同一の符号を付して説明を省略する。また、反応チューブの出口とReact IR15を繋ぎ、反応変換率をインライン分析にて実施した。
原料液A及び原料液B(図3中の原料液Dに相当)をシリンジポンプ(YMC社製)35a、35dで送液してT字ミキサー15(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))内で混合し、滞留ライン17(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))内で通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。尚、T字ミキサー15及び滞留ライン17は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。各流路の流速を1.0~9.0ml/分で変化させることで滞留時間を0.5~4.9秒に調整した。各滞留時間におけるトリホスゲンからホスゲンへの変換率は以下表1の様になった。
<特徴的なピーク>トリホスゲン:1836cm-1、ホスゲン:1809cm-1
トリホスゲン7.37gにトルエンを49.4g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン13.81gにトルエンを42.9g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン13.00gにトルエンを101.4g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図2に示す反応装置2を用い、以下の様にして、これらを反応させた。また、反応チューブの出口とReact IR15を繋ぎ、反応収率をインライン分析にて実施した。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ1ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35a、35bで送液してT字ミキサー15(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))内で混合し、滞留ライン17(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))内で通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した(滞留時間5秒)。次に、原料液Cを2ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35cで送液し、連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(2ml/分)と、もう1つのT字ミキサー16(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))内で混合し、滞留ライン18(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))内で通流し、反応させた。尚、T字ミキサー15、16及び滞留ライン17、18は10℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。滞留ライン18を19~289cmに変化させることで滞留時間を0.6~8.5秒に調整した。各滞留時間における生成物(塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニル)の収率は以下表2の様になった。
トリホスゲン283.7mgにトルエン4.25gを入れて均一溶液とし、原料液Aとした。また、(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン500mgにトルエン3.21gとトリブチルアミン531.6mgを入れて均一溶液とし、原料液Dとした。図3に示す反応装置3を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
T字型ミキサー15(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン17(チューブ内径:1.0mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を10℃の恒温バス31に入れた後、原料液A及び原料液Dをそれぞれ0.5ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35a、35dで送液し、マイクロミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で2分間通流して反応させた。原料液A及び原料液Dが入ったシリンジが空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。反応液はフラスコ33に入った2N塩酸水10g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、塩化(S)-1-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンカルボニルを272.7mg含有する有機層を12.71g取得した(収率42%、RRT0.81不純物:72area% vs 生成物のarea)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
移動相:ヘキサン/エタノール=90/10
流速:0.8ml/分
検出波長:UV220nm
カラム温度:35℃
保持時間:N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニル-N-カルボン酸無水物;10分
トリホスゲン0.64gにトルエンを3.38g入れて均一溶液とし、原料液Aとした。次に、トリブチルアミン0.40gにトルエンを3.62g入れて均一溶液とし、原料液Bとした。また、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニン1.50g、トリブチルアミン1.09gにテトラヒドロフランを13.50g入れて均一溶液とし、原料液Cとした。図1に示す反応装置1を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
原料液A及び原料液Bをそれぞれ1.0ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)35a、35bで送液してT字ミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で1分間通流し、ホスゲンのトルエン溶液を調製した。次に、原料液Cを2.0ml/分の速度にてダイヤフラムポンプ(KNF社製)35cで送液し、連続的に流れてくる該ホスゲンのトルエン溶液(2.0ml/分)と、もう1つのT字ミキサー16内で混合し、続く滞留ライン18内で3分間通流して反応させた。原料液A、原料液B及び原料液Cが入った瓶が空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。尚、T字ミキサー15、16(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン17、18(チューブ内径:2.0mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))は35℃の恒温バス31内に入れて本検討を実施した。反応液はフラスコ32に入った18%リン酸水75.0g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニル-N-カルボン酸無水物を1.31g含有する有機層を100.14g取得した(収率:80%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
トリホスゲン0.64gにトルエン15.50gを入れて均一溶液とし、原料液Aとした。また、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニン1.50gにテトラヒドロフラン13.50gとトリブチルアミン1.09gを入れて均一溶液とし、原料液Dとした。図3に示す反応装置3を用い、以下の様にして、これらを反応させた。
T字ミキサー15(内径:0.5mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))及び滞留ライン17(チューブ内径:2mm、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))を35℃の恒温バス31に入れた後、原料液A及び原料液Dをそれぞれ2ml/分の速度にてシリンジポンプ(YMC社製)35a、35dで送液し、マイクロミキサー15内で混合し、滞留ライン17内で4分間通流して反応させた。原料液A及び原料液Dが入ったシリンジが空になった後、流路内の試剤をトルエンを用いて同速度にて洗浄、フラッシングした。反応液はフラスコ33に入った18%リン酸水75.0g中に撹拌下、連続的にクエンチすることで、分液後、N-[1-(S)-エトキシカルボニル-3-フェニルプロピル]-L-アラニル-N-カルボン酸無水物を1.13g含有する有機層を45.00g取得した(収率69%)。尚、反応中に結晶は析出せず、反応液はクリアーな溶液であった。
15,16…混合部
17,18…リアクター部
21,22…フロー式リアクター
Claims (5)
- 原料液A及び原料液Bを別々の供給流路から取り入れ、これらを混合部で混合した後、リアクター部で反応させる第1反応用フロー式リアクターと、
前記第1反応用フロー式リアクターから排出される第1反応液と、原料液Cとを別々の供給流路から取り入れ、混合部で混合した後、リアクター部で反応させる第2反応用フロー式リアクターとを用いて有機化合物を製造する方法であり、
前記原料液Aは、トリホスゲン及び/又はジホスゲンを溶解した溶液であり、
前記原料液Bは、N上に1つの置換基を有していてもよいアミノ基、N上に1つの置換基を有していてもよいアミド基、及びN上に1つの置換基を有していてもよい-OC(=O)NH2を有さない含窒素有機化合物、又は該含窒素有機化合物の溶液であり、
前記原料液Cは、N上に1つの置換基を有していてもよいアミノ基、N上に1つの置換基を有していてもよいアミド基、及びN上に1つの置換基を有していてもよい-OC(=O)NH2からなる群より選ばれるホスゲンと反応し得る官能基を少なくとも1つ有する反応基質、又は該反応基質の溶液であり、
前記第1反応の生成物がホスゲンである有機化合物の製造方法。 - 製造される有機化合物がクロロカルボニル化されたアミノ基(該アミノ基はN上に1つの置換基を有していてもよい)、クロロカルボニル化されたアミド基(該アミド基はN上に1つの置換基を有していてもよい)、及びクロロカルボニル化された-OC(=O)NH2(該-OC(=O)NH2はN上に1つの置換基を有していてもよい)からなる群より選ばれる官能基の少なくとも1つを有する化合物、アミノ酸N-カルボン酸無水物構造を有する化合物、イソシアネート又はウレア構造を有する化合物である請求項1に記載の製造方法。
- 前記N上に1つの置換基を有していてもよいアミノ基、N上に1つの置換基を有していてもよいアミド基、及びN上に1つの置換基を有していてもよい-OC(=O)NH2を有さない含窒素有機化合物が、炭素数9~40のトリアルキルアミンであり、
前記トリホスゲン及び/又はジホスゲンを溶解した溶液は有機溶媒を含む請求項1または2に記載の製造方法。 - 第1反応用フロー式リアクターのリアクター部から第1反応液を排出する流路が、第2反応用フロー式リアクターの混合部に直結している請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
- リアクター部の流路の断面積が0.15mm2以上30cm2以下である請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
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