WO2017159459A1 - 間隔保持部材およびこれを備える重ね板ばね - Google Patents

Abstract

板ばね（１）間に設けられる間隔保持部材（４ａ）であって、隣接する板ばね（１ｂ）の中央部の湾曲した外面（１ｂ１）に沿った面（４ａ１）を有している。

Description

間隔保持部材およびこれを備える重ね板ばね

　本開示は、車両等の懸架装置に用いられる間隔保持部材およびこれを備える重ね板ばねに関する。

　従来から車両等の懸架装置の板ばね形状として、中央部に平坦部を有し、それ以外の部分が曲率を有する板ばねがあったが、製造が困難である等の問題があった。一方で、全体にＵ字を成す、すなわち中央部にも曲率を有する板ばねについては、下記の特許文献１に記載のような課題が生じていた。
　すなわち、特許文献１には、板ばねの中央部がＵ字状になっていることから、Ｕボルトを締め付けることにより、各板ばねの上面に引張応力が発生し、下面に圧縮応力が発生することが記載されている。
　特許文献２には、車両用リーフスプリングの間に設けられるスペーサ部材の形状を変えることで乗心地が改善されることが記載されている。

実開平０２－７１１３８号公報（２頁１６行目～３頁１行目等） 特開２０１０－０７６４８１号公報（段落００１０）

　従来の懸架装置の板ばねの間に設けられるスペーサは、薄い平板状の形状を有している。同様に、座金も平板状の形状を有している。
　板ばねは、下方に突出して湾曲する曲率をもつ形状に形成される。

　従来のスペーサは扁平な板状の形状を有している。そのため、スペーサの上面および下面はそれぞれ平面形状を有している。

　同様に、従来の座金は扁平な板状の形状を有している。そのため、座金の上面および下面もそれぞれ平面形状を有している。
　そのため、板ばねが平板状の座金や、平板状のスペーサに挟まれて、センターボルトやＵボルトで締結固定された場合、湾曲する形状をもつ板ばねの中央部は、平面形状になるように変形する。

　前記板ばね中央部の変形により、組み付け状態で板ばね中央部に高応力が分布することになり、応力腐食割れ等による折損が生じやすくなる。
　さらに、前記したように、板ばねの中央部には、ボルト挿通孔が形成されている。そのため、組み付け状態で板ばねの中央部近傍に高応力が生じた場合、応力集中が発生し、板ばねが中央部から破損しやすくなる。

　本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、板ばね中央部に高応力の発生が抑制され、長寿命化が可能な間隔保持部材、およびこれを備える重ね板ばねの提供を目的とする。

　前記課題を解決するため、第１の本発明の間隔保持部材は、板ばね間に設けられる間隔保持部材であって、隣接する前記板ばねの中央部の湾曲した外面に沿った面を有している。
　第１の本発明によれば、板ばねが固定された際に変形することが抑えられ、板ばねに応力が発生することが抑制される。

　第２の本発明の間隔保持部材は、第１の本発明において、前記間隔保持部材は、前記板ばねの下面に隣接し、前記間隔保持部材の上面が前記板ばねの下面に沿った面を有している。
　第２の本発明によれば、間隔保持部材の上面が板ばねの下面に沿った面を有しているので、板ばねが固定された際に変形することが抑えられ、板ばねに応力が発生することが抑制される。

　第３の本発明の間隔保持部材は、第１の本発明において、前記間隔保持部材は、前記板ばねの上面に隣接し、前記間隔保持部材の下面が前記板ばねの上面に沿った面を有している。
　第３の本発明によれば、間隔保持部材の下面が前記板ばねの上面に沿った面を有しているので、板ばねが固定された際に変形することが抑えられ、板ばねに応力が発生することが抑制される。

　第４の本発明の間隔保持部材は、第１の本発明において、前記間隔保持部材は、第１間隔保持部材と第２間隔保持部材とであり、前記第１間隔保持部材は、前記板ばねの下面に隣接し、前記第１間隔保持部材の上面が前記板ばねの下面に沿った面を有し、前記第２間隔保持部材は、前記板ばねの上面に隣接し、前記第２間隔保持部材の下面が前記板ばねの上面に沿った面を有している。

　第４の本発明によれば、間隔保持部材の第１間隔保持部材は、板ばねの下面に隣接し、第１間隔保持部材の上面が板ばねの下面に沿った面を有し、第２間隔保持部材は、板ばねの上面に隣接し、第２間隔保持部材の下面が板ばねの上面に沿った面を有するので、板ばねが固定された際に変形することが抑えられ、板ばねに応力が発生することが抑制される。

　第５の本発明の間隔保持部材は、第１の本発明において、前記間隔保持部材は、第１の前記板ばねの上面に隣接し、前記間隔保持部材の下面が前記第１の板ばねの上面に沿った面を有し、第２の前記板ばねの下面に隣接し、前記間隔保持部材の上面が前記第２の板ばねの下面に沿った面を有している。

　第５の本発明によれば、間隔保持部材の上下面から、第１の板ばねおよび第２の板ばねが固定された際に変形することが抑えられ、板ばねに応力が発生することが抑制される。

　第６の本発明の間隔保持部材は、板ばね間に設けられる間隔保持部材であって、隣接する前記板ばねの外面の中央部の曲率と同じ曲率、または、平らな面の曲率より大きく当該外面の曲率より小さい曲率をもった箇所を有する面で、前記外面に対向している。

　第６の本発明によれば、間隔保持部材は、隣接する板ばねの外面の曲率と同じ曲率、または、平らな面の曲率より大きく当該外面の曲率より小さい曲率をもった箇所を有する面で、外面に対向するので、板ばねが固定された際に変形することが抑えられる。そのため、板ばねの発生応力を低下させることができる。

　第７の本発明の間隔保持部材は、板ばね間に設けられる間隔保持部材であって、隣接する前記板ばねの外面から離隔して対向する箇所をもつ面を有している。

　第７の本発明によれば、間隔保持部材が隣接する板ばねの外面から離隔して対向する箇所をもつ面を有するので、板ばねが固定された際に変形することが抑えられ、板ばねに応力が発生することが抑制される。

　第８の本発明の間隔保持部材は、第１から第７のうちの何れかの本発明において、前記間隔保持部材は、スペーサまたは座金である。

　第８の本発明によれば、第１から第７のうちの何れかの本発明の間隔保持部材の効果を奏するスペーサまたは座金が得られる。

　第９の本発明の重ね板ばねは、板ばねと、前記板ばねの間に設けられ、第１から第８のうちの何れかの本発明の間隔保持部材とを備えている。
　第９の本発明によれば、第１から第７のうちの何れかの本発明の効果を奏する間隔保持部材を備える重ね板ばねが得られる。

　本発明によれば、板ばねの応力の発生が抑制され、長寿命化が可能な間隔保持部材、およびこれを備える重ね板ばねを提供することができる。

本発明の実施形態１に係る懸架装置を正面から見た図。 懸架装置の板ばねの中央近傍を示す正面拡大図。 スペーサを示す斜視図。 図３ＡのI方向矢視図。 比較例の応力低減効果の検証法を示す図。 実施例の応力低減効果の検証法を示す図。 実施形態２の懸架装置の板ばねの中央近傍を示す正面拡大図。 第１スペーサを斜め下方から見た斜視図。 図６ＡのII方向矢視図。 実施形態２の板ばねが締結固定された状態を示す拡大模式図。

　以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
＜＜実施形態１＞＞
　図１は、本発明の実施形態１に係る懸架装置を正面から見た図である。
　実施形態１の懸架装置Ｓは、車両の車体に備えられ車軸１１を支持する。車体とは例えば、シャーシ１０である。

　懸架装置Ｓは、板ばね１（１ａ、１ｂ、１ｃ）、間隔保持部材（スペーサ４ａ、４ｂおよび座金５）で構成される。
　間隔保持部材の一例である、座金５は板ばね１ａの下方に設けられる。また、同じく、間隔保持部材の一例である、スペーサ４ａは板ばね１ａ、１ｂ間に設けられる。スペーサ４ｂは板ばね１ｂ、１ｃ間に固定される。
　板ばね１は下方に突出して湾曲した形状を有している。つまり、板ばね１は下方に突出した曲率をもつ曲面の上下面をもって形成されている。

　懸架装置Ｓは、ばね装置２の両端にカール状に巻かれた目玉部２０ａを有する。懸架装置Ｓは目玉部２０ａを介してシャーシ１０に固定される。
　シャーシ１０は、前後方向に延伸するフレームで構成され、懸架装置Ｓを取り付ける前方取付部１２と後方取付部１３とを有する。

　前方取付部１２の前方支軸１２ａに懸架装置Ｓの一方の目玉部２０ａが嵌合固定される。後方取付部１３の腕部１３ｂに固定される後方支軸１３ａに他方の目玉部２０ａが嵌合固定される。
　車輪Ｗが取り付けられる車軸１１は、ハウジング１１ａに回転自在に支持される。ハウジング１１ａは、一対のＵボルト１１ｂで懸架装置Ｓに懸架されている。

　板ばね１、スペーサ４、および座金５の各中央には、挿通孔（図示せず）が形成されている。板ばね１、スペーサ４、および座金５の各挿通孔に、挿通されたセンターボルトｂ１がナットｎ１に締結され、板ばね１、スペーサ４、および座金５が固定される。
　Ｕボルト１１ｂは、板ばね１、スペーサ４、および座金５を、センターボルトｂ１を挟んだ両側で束ねて固定している。
　板ばね1の中央部とは、板ばね長手方向においてＵボルト１１ｂの有する一対の軸部の間を含む領域である。
　なお、板ばね1の中央部は、板ばね長手方向においてＵボルト１１ｂより外側方を含む領域であってもよい。

　図２は懸架装置の板ばねの中央近傍を示す正面拡大図である。
　最下方に配置される板ばね１ａの下方には座金５が設けられる。座金５は、懸架装置Ｓに対する車体（図示せず）の高さ調整用の部材である。
　板ばね１ａの上方には第１スペーサ４ａが配置される。下から２番目と３番目の板ばね１ｂ、１ｃの間には、第２スペーサ４ｂが配置される。第１・第２スペーサ４ａ、４ｂは、板ばね１が直接摺動することによる表面層（メッキ層、塗膜等）の剥離を防止する。

　図３Ａはスペーサを示す斜視図であり、図３Ｂは図３ＡのI方向矢視図である。
　第１・第２スペーサ４ａ、４ｂは板ばね１が延在する方向に長い扁平な略板状の形状を有している。第１・第２スペーサ４ａ、４ｂは、例えば、亜鉛めっき鋼板（ＳＧＣＣ）等の金属、ＰＯＭ（polyoxymethylene）等の樹脂で形成される。
　第１・第２スペーサ４ａ、４ｂには、それぞれセンターボルトｂ１の挿通孔４ａ３、４ｂ３が貫設されている。

　第１スペーサ４ａの上面４ａ１は、板ばね１ｂの中央部の下方に突出して湾曲した形状の下面１ｂ１に沿って、下方に突出した湾曲した形状を有している。特に、板ばね１ｂの中央部の下面１ｂ１の曲率にほぼ同一の曲率を有していてもよい。なお、第１スペーサ４ａの上面４ａ１が板ばね１ｂの中央部の下面１ｂ１の曲率に近い曲率であっても、一定の応力低減効果がある。
　第１スペーサ４ａの下面４ａ２は、平らな面を有している。第１スペーサ４ａは、図３Ｂに示すように、端部から中央部に向かって板厚が漸減する。
　第２スペーサ４ｂの上面４ｂ１と下面４ｂ２は、ともに平面形状を有している。

　＜座金５＞
　座金５は板ばね１が延在する方向に長い扁平な略板状の形状を有している。座金５は、例えば、軟鋼（Cが０．２５％以下の鋼）、ばね鋼（S50C-CSP、SK85‐CSP、SUS301‐CSP等）等で形成される。
　座金５の上面５ｕは、板ばね１ａの下方に突出した湾曲した形状の下面１ａ１（図２参照）に沿って、下方に突出した湾曲した形状を有している。座金５の下面５ｓは、平面形状をもつ。座金５は、端部から中央部に向かって板厚が漸減する。

　上述のスペーサ４、座金５の構成により、最下方の板ばね１ａは、図２に示すように、座金５における板ばね１ａの下方に突出した湾曲した形状の下面１ａ１に沿って下方に突出した湾曲した形状の上面５ｕと、第１スペーサ４ａの平面形状の下面４ａ２とに挟持される。

　最下方の板ばね１ａは、センターボルトｂ１とＵボルト１１ｂとで締結固定された場合、板ばね１ａの下面１ａ１は座金５の板ばね１ａの下方に突出して湾曲した形状の下面１ａ１に沿った形状の上面５ｕに当接する。一方、板ばね１ａの上面１ａ２は、第１スペーサ４の平面形状の下面４ａ２に当接する。

　これにより、最下方の板ばね１ａは、センターボルトｂ１とＵボルト１１ｂとで締結固定された場合にも、引張り応力や圧縮応力の発生が抑制される。

　同様に、板ばね１ｂ（図２参照）は、センターボルトｂ１とＵボルト１１ｂとで締結固定された場合、板ばね１ｂの下面１ｂ１は第１スペーサ４の板ばね１ｂの下方に突出して湾曲した形状の下面１ｂ１に沿った形状の上面４ａ１（図２参照）に当接する。一方、板ばね１ｂの上面１ｂ２は、第２スペーサ４ｂの平面形状の下面４ｂ２（図２参照）に当接する。

　これにより、板ばね１ｂは、センターボルトｂ１とＵボルト１１ｂとで締結固定された場合にも、引張り応力や圧縮応力の発生が抑制される。

＜板ばね１の下面形状に沿った座金５、第１スペーサ４ａによる応力低減効果の検証＞
　次に、上述の座金５、第１スペーサ４ａを用いた場合の板ばね１の発生応力の低減効果について検証する。
　図４Ａは比較例の応力低減効果の検証法を示す図であり、図４Ｂは実施例の応力低減効果の検証法を示す図である。

　検証には、ばね鋼（ＳＵＰ９等）で形成された厚さ寸法９ｍｍ、幅寸法６０ｍｍ、長さ寸法１１５５ｍｍの板ばね１ｔを供試材として用いた。
　比較例としては、平面形状の上面１０２ｕ、下面１０２ｓをもつ板状のスペーサ１０２で、板ばね１ｔを挟んだものとした（図４Ａ参照）。

　実施例１、２、３としては、図２に示す第１スペーサ４ａと同様な形状の供試材の板ばね１ｔの下方に突出して湾曲した形状の下面１ｔ１に沿って、下方に突出した湾曲した形状を有する上面４ｔ１と平面形状の下面４ｔ２を有するスペーサ４ｔと平板状のスペーサ４ｔｈで、供試材の板ばね１ｔを挟んだものを３種類行った（図４Ｂ参照）。

　上述の比較例と実施例１、２、３において、「センターボルトｂ１の締め付け時」と、「センターボルトｂ１の締め付け時」＋「Ｕボルト１１ｂの締め付け時」との２つの状態の圧縮荷重を印加し（図４Ａ、図４Ｂの矢印α１）、板ばね１ｔのセンターボルトｂ１の近傍の発生応力を評価した。

　表１は、比較例と実施例１、２、３とにおいて、「センターボルトｂ１の締め付け時」
（状態１）の発生応力、「センターボルトｂ１の締め付け時」＋「Ｕボルト１１ｂの締め付け時」（状態２）の発生応力、（状態１）の発生応力に対する（状態２）の発生応力の増加量、およびその平均の発生応力の増加量を表した表である。

　表１から分るように、「センターボルトｂ１の締め付け時」（状態１）において、比較例（１回目）、（２回目）の発生応力３２７～３３６ＭＰａであるのに対し、実施例１、２、３の発生応力２６３～２９３ＭＰａであった。
　従って、「センターボルトｂ１の締め付け時」（状態１）において、比較例に対し、実施例１、２、３で約４０～６０ＭＰａの応力低下が観察され、明確な応力低減効果が確認された。

　表１から分るように、「センターボルトｂ１」＋「Ｕボルト１１ｂの締め付け時」（状態２）において、比較例（１回目）、（２回目）の発生応力１０９２～１１６１Ｐａであるのに対し、実施例１、２、３の発生応力７３８～８８７ＭＰａであった。
　従って、「センターボルトｂ１」＋「Ｕボルト１１ｂの締め付け時」（状態２）において、比較例に対し、実施例１、２、３で約２８０～３６０ＭＰａの応力低下が観察され、明確な応力低減効果が確認された。

　表１から分るように、「センターボルトｂ１の締め付け時」（状態１）の発生応力に対する「センターボルトｂ１の締め付け時」＋「Ｕボルト１１ｂの締め付け時」（状態２）の発生応力の増加量は、比較例（１回目）、（２回目）は７６５～８２５ＭＰａの増加量（平均７９５ＭＰａの応力増加量）であるのに対し、実施例１、２、３では４７５～５９５ＭＰａの増加量（平均５２０ＭＰａの応力増加量）であった。

　従って、「センターボルトｂ１の締め付け時」（状態１）の発生応力に対する「センターボルトｂ１の締め付け時」＋「Ｕボルト１１ｂの締め付け時」（状態２）の発生応力の増加量においても、比較例に対し、実施例１、２、３で約２７０ＭＰａの応力増加量の低下が観察された。
　以上の評価から、実施例１、２、３（実施形態１の構成）の比較例に対する応力低下の明確な優位性が確認された。

＜板ばね１の締め付け（発生）応力とその寿命＞
　湾曲したまたは曲面箇所をもつ形状の板ばね１がセンターボルトｂ１、Ｕボルト１１ｂで固定され、中央部が平面状に変形した場合、変形量が大きいほど、すなわち発生応力が大きいほど、板ばね１の寿命が短くなる。一方、板ばね１の変形量が小さいほど、すなわち発生応力が小さいほど、板ばね１の寿命が長くなる。
　従って、実施形態１の座金５、第１スペーサ４ａを用いた場合、板ばね１の発生応力が低下することから板ばね１が長寿命化する。

　以上のことから、懸架装置Ｓの板ばね１ｂの下方に、板ばね１ｂの下方に突出して湾曲した形状の下面１ｂ１に沿って、下方に突出して湾曲した形状の上面４ａ１をもつ間隔保持部材である第１スペーサ４ａや座金５を配置することで、板ばね１ｂがセンターボルトｂ１、Ｕボルト１１ｂで締結固定された際、板ばね１ｂの中央部の変形が低減され、当該部分の高応力化を抑制することができ、板ばね中央部での疲労破壊を未然に防止できるから、懸架装置Ｓの板ばね１ｂの長寿命化を図ることができる。

　従って、懸架装置Ｓの長寿命化が可能なスペーサ（４ａ、４ｂ）および座金５、およびこれを備える懸架装置Ｓを実現できる。

　なお、前記実施形態１では、懸架装置Ｓの板ばね１ａの下方に、板ばね１ａの下方に突出して湾曲した形状の下面１ａ１に沿って、下方に突出して湾曲した形状を有する上面５ｕをもつ座金５を設け、かつ、板ばね１ｂの下方に突出した湾曲した形状の下面１ｂ１に沿って、下方に突出して湾曲した形状を有する上面４ａ１をもつ第１スペーサ４ａを設けた場合を説明したが、上記構成に限定されず、座金やスペーサを配することができる。

＜＜実施形態２＞＞
　図５は実施形態２の懸架装置の板ばねの中央近傍を示す正面拡大図である。
　実施形態２の懸架装置２Ｓは、板ばね１ａの上方に配置されるスペーサ２４ａに、板ばね１ａの下方に突出して湾曲した形状の上面１ａ２に沿った形状の下面２４ａ２を形成したものである。

　その他の構成は、実施形態１と同様であるから、同一の構成要素には、同一の符号を付して示し詳細な説明は省略する。
　実施形態２の懸架装置２Ｓは、板ばね１（１ａ、１ｂ、１ｃ）、第１・第２スペーサ２４ａ、２４ｂおよび座金２５で構成される。

　　＜第１・第２スペーサ２４ａ、２４ｂ＞
　図６Ａは第１スペーサを斜め下方から見た斜視図であり、図６Ｂは図６ＡのII方向矢視図である。
　第１・第２スペーサ２４ａ、２４ｂは板ばね１が延在する方向に長い扁平な略板状の形状を有している。第１・第２スペーサ２４ａ、２４ｂは、実施形態１の第１・第２スペーサ４ａ、４ｂと同様な材料で形成される。第１・第２スペーサ２４ａ、２４ｂには、それぞれセンターボルトｂ１の挿通孔２４ａ３、２４ｂ３が貫設されている。

　図６Ａに示す第１スペーサ２４ａの下面２４ａ２は、板ばね１ａの下方に突出して湾曲した形状の上面１ａ２（図５参照）に沿って、下方に突出した湾曲した形状を有している。スペーサ２４の上面２４ａ１は、平面形状を有している。
　図６Ｂに示すように、第１スペーサ２４ａは、端部から中央部に向かって板厚が漸増する。
　第２スペーサ２４は、その上面２４ｂ１と下面２４ｂ２と、ともに平らな面に形成されている。

＜座金２５＞
　座金２５は板ばね１が延在する方向に長い扁平な略板状の形状を有している。座金２５は、実施形態１の座金５と同様な材料で形成される。
　座金２５は、上面２５ｕ、下面２５ｓとも平らな面に形成されている。

　図７は、実施形態２の板ばね１ａが締結固定された状態を示す拡大模式図である。
　板ばね１ａは、平らな面の上面２５ｕをもつ座金２５の上方に配置され、板ばね１ａの上方に、板ばね１ａの下方に突出した湾曲した形状の上面１ａ２に沿って、下方に突出した湾曲した形状の下面２４ａ２をもつ第１スペーサ２４ａが配置される。この状態で、センターボルトｂ１とＵボルト１１ｂとで、板ばね１ａ等が締結固定される。

　そのため、図７に示すように、センターボルトｂ１とＵボルト１１ｂとで締結固定された状態で、板ばね１ａの変形が抑制される。よって、重ね板ばねとして組み付けた状態での板ばね１ａに過度の引張応力（図７の矢印α２）や圧縮応力（図７の矢印α３）が発生することが抑制または解消される。
　従って、板ばね１ａの応力集中が緩和され疲労破壊が抑制され、板ばね１ａの長寿命化が可能である。そのため、懸架装置２Ｓの長寿命化が果たせる。

　なお、実施形態２では、板ばね１ａの上方に、板ばね１ａの下方に突出した湾曲した形状の上面１ａ２に沿って、下方に突出した湾曲した形状の下面２４ａ２をもつ第１スペーサ２４ａを配置した場合を説明したが、板ばね１の何れか一つの下方に、下方に突出して湾曲した形状の下面２４ａ２をもつ第１スペーサ２４ａを配置してもよい。

　或いは、板ばね１の何れか２つに、下方に突出した湾曲した形状の下面２４ａ２をもつ第１スペーサ２４ａを配置してもよい。或いは、板ばね１の全てに板ばね１の下方に、下方に突出して湾曲した形状の下面２４ａ２をもつ第１スペーサ２４ａを配置する構成としてもよい。
　なお、懸架装置２Ｓにおいて、最下方の板ばね１ａが、荷重が最も大きくなるので、板ばね１ａに第１スペーサ２４ａを適用することが最も効果的である。

　また、座金２５は、上面２５ｕ、下面２５ｓとも平面形状を有する場合を例示したが、座金２５に、第１スペーサ２４ａと同様、端部から中央部に向かって板厚が漸増する構成を適用することも可能である。この場合、座金２５は板ばね１の上方に配置されることとなる。

＜＜変形例＞＞
　変形例は、懸架装置Ｓのスペーサ４ａ、４ｂまたは座金５が、それぞれ隣接する板ばね１の湾曲する外面に対向して、平らな面の曲率より大きく当該外面より小さい曲率をもつ面を有する構成としたものである。

　或いは、懸架装置Ｓのスペーサ４ａ、４ｂまたは座金５が、それぞれ隣接する板ばね１の曲面箇所を有する外面に対向して、平らな面より大きく当該曲面箇所の曲率より小さい曲率をもつ面を有する構成としたものである。

　変形例においては、センターボルトｂ１、Ｕボルト１１ｂで板ばね１が締結固定された場合も、スペーサ４ａ、４ｂまたは座金５が平面の場合に比較して板ばね１の変形量が少ない。そのため、板ばね１の応力集中が緩和され疲労破壊が抑えられ、板ばね１の信頼性を高めることができる。
　従って、懸架装置Ｓの信頼性を向上させ、長寿命化を図ることができる。

＜＜その他の実施形態＞＞
１．前記実施形態１、２、変形例では、スペーサ（４ａ、４ｂ等）の何れか一面が隣接する板ばね１に沿う形状の場合を説明したが、スペーサの上下面の両面を上方の第１の板ばね１の下面と下方の第２の板ばね１の上面とに沿う構成とし、第１の板ばね１と第２の板ばね１との間に当該スペーサを配置する構成としてもよい。

２．同様に、前記実施形態１、２、変形例では、座金（５、２５）等の上面が隣接する板ばね１に沿う形状の場合を説明したが、座金の上下面の両面を上方の第１の板ばね１と下方の第２の板ばね１とに沿う構成とし、第１の板ばね１と第２の板ばね１との間に当該座金を配置する構成としてもよい。

３．前記実施形態１、２、変形例では、板ばね１が下方に湾曲した形状の場合を説明したが、板ばね１が凹凸等の曲面もつ外面を有する場合も、スペーサ、座金が当該凹凸等の曲面に沿う面としてもよい。これにより、実施形態１、２、変形例と同様な効果を奏する。

４．前記実施形態１、２、変形例では様々な構成を説明したが、各構成を適宜選択して組み合わせて構成してもよい。

５．前記実施形態１、２変形例は、特許請求の範囲に記載した本発明の一例を記載したものであり、特許請求の範囲に記載した範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。

　本発明は以下のように理解される。
　第１の態様において、スペーサ板（４ａ）は一対の湾曲した板ばね（１ａ、１ｂ）の間に保持される。スペーサ板（４ａ）は対向する板面（４ａ１、４ａ２）を有する。対向する板面の一方は凹面（４ａ１）である。
　スペーサ板（４ａ）の凹面（４ａ１）は、一方の板ばね（１ｃ）の凸面と接触する。スペーサ板（４ａ）の凹面（４ａ１）の曲率は、一方の板ばねの凸面の曲率と等しい又はより小さい。スペーサ板（４ａ）の凹面（４ａ１）は、曲率において一方の板ばね（１ｃ）の凸面と等しい場合、両者は面接触する。
　一方、対向する板面の他方は平面（４ａ２）である。スペーサ板（４ａ）の平面（４ａ２）は、他方の板ばね（１ｂ）の凹面（１ｂ２）と線接触する。

　第２の態様において、スペーサ板（２４ａ）は対向する板面（２４ａ１、２４ａ２）を有する。対向する板面の一方は凸面（２４ａ１）である。
　スペーサ板（２４ａ）の凸面（２４ａ２）は、一方の板ばね（１ａ）の凹面（２４ａ１）と向き合う。スペーサ板（２４ａ）の凸面（２４ａ２）の曲率は、一方の板ばね（１ａ）の凹面（１ａ２）の曲率と等しい又はより大きい。スペーサ板（２４ａ）の凸面（２４ａ２）の曲率が一方の板ばね（１ａ）の凹面の曲率と等しい場合、両者は面接触する。
　対向する板面の他方は平面（２４ａ１）である。スペーサ板（２４ａ）の平面（２４ａ１）は、他方の板ばね（１ｂ）の凸面と線接触する。

　第３の態様として、スペーサ板の対向する板面の一方は凹面（４ａ１）とし、対向する板面の他方は凸面（２４ａ２）としてもよい。

　１、１ａ、１ｂ、１ｃ　板ばね
　１ａ１、１ｂ１　下面（板ばねの湾曲した外面）
　１ａ２、１ｂ２　上面（板ばねの湾曲した外面）
　４ａ、２４ａ　第１スペーサ（スペーサ）
　４ａ１　上面（板ばねの湾曲した外面に沿った面、板ばねの下面に沿った面、板ばねの外面の曲率と同じ曲率をもった箇所を有する面）
　４ｂ、２４ｂ　第２スペーサ（第２スペーサ）
　５、２５　座金
　５ｕ　上面（板ばねの湾曲した外面に沿った面、板ばねの下面に沿った面、板ばねの外面の曲率と同じ曲率をもった箇所を有する面）
　２４ａ２　下面（板ばねの上面に沿った面）
　Ｓ、２Ｓ　懸架装置（重ね板ばね）

Claims (9)

1. 　板ばね間に設けられる間隔保持部材であって、
   　隣接する前記板ばねの中央部の湾曲した外面に沿った面を有する
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
2. 　請求項１に記載の間隔保持部材において、
   　前記間隔保持部材は、
   　前記板ばねの下面に隣接し、前記間隔保持部材の上面が前記板ばねの下面に沿った面を有する
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
3. 　請求項１に記載の間隔保持部材において、
   　前記間隔保持部材は、
   　前記板ばねの上面に隣接し、前記間隔保持部材の下面が前記板ばねの上面に沿った面を有する
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
4. 　請求項１に記載の間隔保持部材において、
   　前記間隔保持部材は、
   　第１間隔保持部材と第２間隔保持部材とであり、
   　前記第１間隔保持部材は、前記板ばねの下面に隣接し、前記第１間隔保持部材の上面が前記板ばねの下面に沿った面を有し、
   　前記第２間隔保持部材は、前記板ばねの上面に隣接し、前記第２間隔保持部材の下面が前記板ばねの上面に沿った面を有する
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
5. 　請求項１に記載の間隔保持部材において、
   　前記間隔保持部材は、
   　第１の前記板ばねの上面に隣接し、前記間隔保持部材の下面が前記第１の板ばねの上面に沿った面を有し、
   　第２の前記板ばねの下面に隣接し、前記間隔保持部材の上面が前記第２の板ばねの下面に沿った面を有する
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
6. 　板ばね間に設けられる間隔保持部材であって、
   　隣接する前記板ばねの外面の中央部の曲率と同じ曲率、または、平らな面の曲率より大きく当該外面の曲率より小さい曲率をもった箇所を有する面で、前記外面に対向する
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
7. 　板ばね間に設けられる間隔保持部材であって、
   　隣接する前記板ばねの外面から離隔して対向する箇所をもつ面を有する
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
8. 　請求項１から請求項７のうちの何れか一項に記載の間隔保持部材において、
   　前記間隔保持部材は、スペーサまたは座金である
   　ことを特徴とする間隔保持部材。
9. 　板ばねと、
   　前記板ばねの間に設けられ、請求項１から請求項８のうちの何れか一項に記載の間隔保持部材とを
   　備えることを特徴とする重ね板ばね。

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