WO2017013797A1

WO2017013797A1 - 留め具

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Publication number: WO2017013797A1
Application number: PCT/JP2015/071006
Authority: WO
Inventors: 杉本　直樹
Original assignee: 株式会社パイオラックス
Priority date: 2015-07-23
Filing date: 2015-07-23
Publication date: 2017-01-26
Also published as: CN107850100A; US10641308B2; US20180209464A1; CN107850100B

Abstract

取付孔から取外しやすい留め具を提供する。　この留め具１０は、取付孔に挿入されて取付けられるものであって、取付孔の表側に配置される頭部２０と、頭部２０の裏面から延出して取付孔に挿入される脚部３０と、該脚部３０に設けられ、取付孔３の裏側に係合する係合部５５と、脚部３０の所定位置から脚部外方に向けて突出し、弾性変形可能とされた弾性突出部６０とを有し、脚部３０が取付孔に挿入され、かつ、係合部５５が取付孔の裏側に係合した状態で、弾性突出部６０は、取付孔の内周に当接して折れ曲がり、弾性突出部６０の取付孔の裏側に位置する部分の最外径が、取付孔の内径以下となるように構成されている。

Description

留め具

　本発明は、取付孔に挿入されて取付けられる留め具に関する。

　例えば、自動車の車体パネルや車体フレーム等の被取付部材に、インシュレータやガーニッシュ等の取付部材を取付ける際には、留め具が用いられている。

　従来のこの種のものとして、下記特許文献１には、基板の一方の面側に設けられた頭部と、基板の他方の面側に立設された柱部と、柱部に設けられて本固定用取付孔に係合する一対の本固定用係合凸部と、柱部先端から片持ち梁状に設けられ、基板側が拡開して本固定用取付孔よりも大きく開口した仮固定用取付孔に係合する一対の仮固定用弾性腕とを備えた、クリップが記載されている。また、一対の仮固定用弾性腕は、その基端部が、柱部の先端外周から突出すると共に、頭部に向けて錨足状に斜め外方に伸びる形状をなしており、更に、その先端部どうしが互いに近接するように、略くの字状に屈曲しており、該先端部は、肉薄の薄肉部をなしている（同公報の図１及び図２参照）。

　そして、上記クリップは、内装材に仮固定された状態では、その仮固定用取付孔の表側に頭部が当接すると共に、一対の仮固定用弾性腕の先端部が、仮固定用取付孔の裏側周縁に係合して、内装材にクリップが仮固定される（図５参照）。その状態でボディパネルの本固定用取付孔にクリップの柱部を挿入すると、本固定用取付孔の内周に、一対の仮固定用弾性腕の基部側が押圧されて縮径すると共に、その先端部が反り返るように変形して、本固定用取付孔の内周に配置され、更に、一対の本固定用係合凸部が本固定用取付孔の裏側周縁に係合するので、クリップを介してボディパネルに内装材が取付けられるようになっている（同公報の図６参照）。

特開２００６－１２５６２２号公報

　上記特許文献１のクリップは、ボディパネルの本固定用取付孔に一対の本固定用凸部が係合して、一対の仮固定用弾性腕が本固定用取付孔の内周に押圧されて変形した状態では、仮固定用弾性腕の基端部（柱部の先端外周との接続部分）の外周が、ボディパネルの本固定用取付孔の内径よりも大きく出っ張るようになっている。そのため、メンテナンスや交換等のためにボディパネルから内装材を取外したい場合や、ボディパネルの本固定用取付孔からクリップ自体を取外したい場合に、本固定用取付孔から柱部を引き抜くとき、仮固定用弾性腕の基端部が、本固定用取付孔の裏側に引っ掛かってしまって、クリップの取外し作業性に問題があった。

　したがって、本発明の目的は、取付孔から取外しやすい留め具を提供することにある。

　上記目的を達成するため、本発明の留め具は、取付孔に挿入されて取付けられるものであって、前記取付孔の表側に配置される頭部と、該頭部の裏面から延出して前記取付孔に挿入される脚部と、該脚部に設けられ、前記取付孔の裏側に係合する係合部と、前記脚部の所定位置から脚部外方に向けて突出し、弾性変形可能とされた弾性突出部とを有し、前記脚部が前記取付孔に挿入され、かつ、前記係合部が前記取付孔の裏側に係合した状態で、前記弾性突出部は、前記取付孔の内周に当接して折れ曲がり、前記弾性突出部の前記取付孔の裏側に位置する部分の最外径が、前記取付孔の内径以下となるように構成されていることを特徴とする。

　本発明の留め具においては、前記記弾性突出部は、前記脚部の外面よりも脚部内方に位置する部分から、脚部外方に向けて突出するように構成されていることが好ましい。

　本発明の留め具においては、前記頭部の裏側及び／又は前記脚部には、前記取付孔の表側周縁に当接して前記脚部の所定以上の挿入を規制する規制部が設けられ、前記規制部が前記取付孔の表側周縁に当接した状態で、前記弾性突出部は、前記取付孔の内周に当接するように構成されていることが好ましい。

　本発明の留め具においては、前記頭部は、周方向複数箇所に切欠き部を有する固定フランジと、前記切欠き部の形状にほぼ整合する形状をなす可動フランジとを有し、前記脚部は、前記固定フランジの裏面から延出したステム部と、前記可動フランジの裏面から延出し、前記係合部を有する弾性係止片とを有し、前記弾性突出部は、前記ステム部の所定位置からステム部外方に向けて突出していることが好ましい。

　本発明の留め具においては、前記固定フランジは、その周方向に対向する箇所に前記切欠き部が形成され、前記可動フランジは、これらの切欠き部にほぼ整合した一対のものからなり、前記一対の可動フランジの裏面から前記弾性係止片がそれぞれ延出し、前記ステム部は、前記固定フランジの裏面から延出した一対の軸部を有しており、該一対の軸部が、前記固定フランジの中心に対して、互いに偏心した位置から伸びると共に、その先端側が連結された形状をなしており、前記弾性突出部は、前記一対の軸部に隣接して設けられた一対のものからなり、前記一対の軸部及び前記一対の弾性突出部を、前記脚部の軸心に沿った方向から見たとき、一方の弾性突出部は、一方の軸部の、前記固定フランジの中心に対する偏心方向とは反対側の側面からステム部外方に向けて突出し、前記取付孔の裏側に前記係合部が係合した状態で、他方の軸部に対向するように配置され、他方の弾性突出部は、他方の軸部の、前記固定フランジの中心に対する偏心方向とは反対側の側面からステム部外方に向けて突出し、前記取付孔の裏側に前記係合部が係合した状態で、一方の軸部に対向するように配置されるように構成されていることが好ましい。

　本発明の留め具によれば、留め具を取付孔から取り外したい場合には、何らかの手段であるいは強制的に取付孔に対する係合部の係合を解除して、脚部を引き抜くことになるが、その際、弾性突出部が取付孔に引っ掛かることなく引き抜くことができるので、取付孔からの留め具の取外し作業性を向上させることができる。また、弾性突出部は、留め具を取付孔に取付けた状態で、折れ曲がって取付孔の内周に当接するので、ガタ付き防止効果を発揮する。

本発明の留め具の一実施形態を示す斜視図である。同留め具を示しており、（ａ）はその拡大斜視図、（ｂ）は（ａ）とは異なる方向から見た場合の拡大斜視図である。同留め具の正面図である。同留め具の側面図である。同留め具の底面図である。同留め具を取付部材に仮保持した状態を示す説明図である。同留め具を取付孔に取付けた状態を示す説明図である。図７とは直交した状態での説明図である。同留め具を取付孔に取付けた状態を示す斜視図である。同留め具を取付孔から取外す際の状態を示す説明図である。本発明の留め具の、他の実施形態を示す斜視図である。

　以下、図面を参照して、本発明の留め具の一実施形態について説明する。

　この留め具は、所定部材に形成された取付孔に挿入されて固定されるものである。図１、図６及び図８に示すように、この実施形態における留め具１０は、例えば、取付部材５に形成された円形状の保持孔７に挿入されて仮保持されると共に、被取付部材１に形成された円形状の取付孔３に挿入されて固定されるようになっており、取付部材５を被取付部材１に取付けるために用いられるものである。

　なお、本発明における「取付孔の裏側」とは、取付孔が形成された部材（ここでは被取付部材１）の厚さ方向の一側部であって、留め具の頭部配置側とは反対側を意味している。また、本発明における「取付孔の内周」とは、取付孔の径方向の内周面を意味している。

　前記被取付部材１としては、例えば、車体パネルや車体フレーム等が挙げられ、前記取付部材５としては、例えば、インシュレータ（防音材）、ガーニッシュ、トリムボード、カバー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、留め具は、上記用途のみならず、取付孔の閉塞用等（いわゆるホールプラグ）として用いてもよく、特に限定はされない。

　そして、図２～５に示すように、この留め具１０は、被取付部材１の取付孔３の表側に配置される頭部２０と、該頭部２０の裏面側（被取付部材１との対向面側）から延出された脚部３０とを有している。また、脚部３０は、取付孔３の裏側に係合する係合部５５と、脚部３０の所定位置から脚部外方に向けて突出し、弾性変形可能とされた弾性突出部６０とを有している。

　まず、頭部２０について説明すると、この実施形態における頭部２０は、周方向複数箇所に切欠き部２２を有する固定フランジ２１と、前記切欠き部２２の形状にほぼ整合する形状をなす可動フランジ２５とを有している。

　図２（ａ）及び図５に示すように、前記固定フランジ２１は、その中心Ｃ１（図２（ｂ）及び図５参照）から斜め外方に向けて緩やかなカーブを描きつつスカート状に広がって、外周縁が円弧状をなすと共に、その周方向に対向する箇所に、一対の切欠き部２２，２２を有している。これらの一対の切欠き部２２，２２は、内径側が互いに平行に切欠かれると共に、外径側に向けて次第に拡径した略台形状をなしている（図５参照）。一方、図２及び図５に示すように、前記可動フランジ２５は、固定フランジ２１の一対の切欠き部２２，２２にほぼ整合する、略台形状の一対のものからなる。

　なお、頭部としては、切欠き部を有するフランジ状とせず、円形傘型のフランジ状としたり（これについては後述の実施形態で説明する）、矩形状や長板状のフランジとしたり、複数のフランジを設けて、取付部材に設けた枠状部材に差し込む構造としたりしてもよく、特に限定はされない。

　次に脚部３０について説明すると、この実施形態の脚部３０は、前記固定フランジ２１の裏面から延出したステム部４０と、前記一対の可動フランジ２５，２５の裏面から延出すると共に、前記係合部５５を設けた一対の弾性係止片５０，５０とを有している。

　また、図２（ｂ）や図３～５に示すように、前記ステム部４０は、固定フランジ２１の裏面から延出した一対の軸部４１，４１を有している。図５に示すように、これらの一対の軸部４１，４１は、固定フランジ２１の中心Ｃ１に対して互いに偏心した位置から伸びると共に、その先端側が連結された形状をなしている。

　一方、図２（ｂ）に示すように、前記一対の弾性係止片５０，５０は、前記一対の可動フランジ２５，２５の裏面から延出し、前記一対の軸部４１，４１の先端側連結部分の両側に連結した形状をなしている。詳述すると、図２（ｂ）及び図３に示すように、一対の弾性係止片５０，５０は、一対の軸部４１，４１の先端側連結部分の両側から、固定フランジ２１側に向けて斜め外方に伸びると共に、折曲部５３を介して、可動フランジ２５に対して平行に近い角度で伸びる部分とからなる。また、各弾性係止片５０の斜め外方に伸びる部分には、その外面の所定箇所に、被取付部材１の取付孔３の裏側に係合する係合部５５が設けられている。

　更に、図５に示すように、脚部３０の軸心に沿った方向から見たとき、一対の弾性係止片５０，５０は、前記一対の軸部４１，４１に対してほぼ直交するように配置されている。また、一対の弾性係止片５０，５０は、取付孔３に挿入されていない自由状態では、図２や図３に示すように拡開し、取付孔３に挿入された状態では、取付孔内周に押圧されて縮径するようになっている（図８参照）。

　なお、弾性係止片５０の形状は、可動フランジ２５と脚部３０とを連結可能な構造であれば、特に限定はされない。

　再び、脚部３０の説明に戻ると、図２、図３及び図５に示すように、脚部３０を構成する各軸部４１の延出方向の先端部４１ａは、固定フランジ２１の中心Ｃ１に対する偏心方向とは反対側に向けて突出した形状をなしており、これらの先端部４１ａ，４１ａどうしが、固定フランジ中央に配置された連結部４４（図７参照）を介して、互いに連結されて、一対の軸部４１，４１が一体化されている。また、図２（ｂ）及び図４に示すように、前記先端部４１ａの固定フランジ２１側の部分には、脚部内方（固定フランジ２１の中心Ｃ１に向く方向）に向けて、軸部４１の外面４１ｃよりも深く形成された凹部４６が設けられている。

　そして、脚部３０の所定位置から脚部外方に向けて突出した弾性突出部６０は、この実施形態の場合、次のような構造をなしている。

　図２及び図４に示すように、この実施形態における弾性突出部６０は、脚部３０のステム部４０を構成する軸部４１に隣接した位置であって、同軸部４１に設けられた凹部４６の底面４６ａから、細長く直線状に伸びるヒゲ状をなすように、ステム部外方に向けて突出している。すなわち、この弾性突出部６０は、脚部３０の外面４１ｃよりも脚部内方に位置する部分（ここでは凹部４６の底面４６ａ）から、脚部外方に向けて且つ脚部３０の外面４１ｃよりも長く突出した形状をなしている（図４参照）。また、図３に示すように、弾性突出部６０は、その基端部周囲に凹部４６が設けられて、軸部４１の軸方向に直交する方向において軸部４１と離間して設けられ、軸部４１に対して分離独立した片持ち梁状をなしており、柔軟な弾性変形が可能となっている。そのため、軸部４１は、弾性突出部６０の折れ曲がりの影響を受けにくく、頭部２０を取付部材５の保持孔７の表側に隙間なく配置することができ、ガタ付きを抑制することができる。なお、この実施形態における頭部２０は、取付部材５の保持孔７の表側に配置されているが、言い換えれば、頭部２０は、被取付部材１の取付孔３の表側に、取付部材５を介して間接的に配置されているものである。本発明における頭部は、このような態様も含むものである。なお、被取付部材１に取付部材５を取付けない場合には、頭部２０は、被取付部材１の取付孔３の表側に直接的に配置される。

　更に、図２（ｂ）、図４及び図５に示すように、この実施形態では、一対の軸部４１，４１に隣接して、一対の弾性突出部６０，６０が設けられている。具体的には、図５に示すように、一対の軸部４１，４１及び一対の弾性突出部６０，６０を、脚部３０の軸心に沿った方向から見たとき、一方の弾性突出部６０は、一方の軸部４１の、固定フランジ２１の中心Ｃ１に対する偏心方向とは反対側の側面４１ｂ（図２（ｂ）及び図３参照）からステム部外方に向けて突出し、取付孔３の裏側に係合部５５が係合した状態で、他方の軸部４１に対向するように配置され、他方の弾性突出部６０は、他方の軸部４１の、固定フランジ２１の中心Ｃ１に対する偏心方向とは反対側の側面４１ｂからステム部外方に向けて突出し、取付孔３の裏側に係合部５５が係合した状態で、一方の軸部４１に対向するように配置されている。

　そして、上記弾性突出部６０は、脚部３０が被取付部材１の取付孔３に挿入され、かつ、弾性係止片５０の係合部５５が取付孔３の裏側に係合した状態で（図８参照）、図７及び図９に示すように、取付孔３の内周に当接して折れ曲がり、弾性突出部６０の取付孔３の裏側に位置する部分の最外径が、取付孔３の内径以下となり、取付孔３の裏側に係合しないように構成されている。

　ここでは、図７に示すように、上記状態における弾性突出部６０の、取付孔３の裏側に位置する部分Ａの最外径Ｄ１（ここでは一対の弾性突出部６０，６０の最外径）が、取付孔３の内径Ｄ２以下となるように構成されている。なお、弾性突出部６０が１個の場合には、１個の弾性突出部６０と、該弾性突出部６０の対向箇所とにおける外径が、本発明における「最外径」をなすこととなる。

　また、この実施形態における細長ヒゲ状をなした弾性突出部６０は、図４に示すように、取付孔３に挿入されていない自由状態では、固定フランジ２１の裏面からほぼ垂直に延出した軸部４１の延出方向に対して、ほぼ直角となるように突出している。ただし、弾性突出部６０は、軸部４１の延出方向に対して傾斜していてもよく、特に限定はされない。

　なお、上記弾性突出部６０は、この実施形態の場合、細長ヒゲ状をなしているが、例えば、細長い帯状や、フラップ状等をなしていてもよく、取付孔内周に当接して折れ曲がるように弾性変形可能で、取付孔裏側に位置する部分の最外径が取付孔３の内径以下となる構造であれば、特に限定はされない。また、この実施形態では、軸部４１に凹部４６を設けて、その底面４６ａから直線状の弾性突出部６０を設けたが、例えば、軸部４１に切欠きやスリットを設けて、これらの内方から弾性突出部を突出させたり、更には、弾性突出部の基端部側をＬ字状に屈曲させて、軸部４１の側面に連結して、弾性突出部を脚部外方に向けて突出させたりしてもよい。更に、この実施形態では、一対の軸部４１，４１に対応して、その隣接した位置に一対の弾性突出部６０，６０が設けられているが、弾性突出部６０は１つでも、３つ以上であってもよい。

　また、図２（ｂ）に示すように、頭部２０の裏側及び脚部３０には、被取付部材１の取付孔３の表側周縁に当接して脚部３０の所定以上の挿入を規制する規制部４３が設けられており、規制部４３が取付孔３の表側周縁に当接した状態で、弾性突出部６０は、取付孔３の内周に当接するように構成されている（図７参照）。

　この実施形態における規制部４３は、図２（ｂ）に示すように、脚部３０を構成するステム部４０の、各軸部４１の基端部（固定フランジ２１との連結部）から、固定フランジ２１の外径側に向かってリブ状に伸びて、固定フランジ２１の裏面側に配設された第１規制部４３ａと、各軸部４１の基端部の外面側であって、軸部４１の軸方向に沿って設けられたリブ状の第２規制部４３ｂとから構成されている。また、前記第２規制部４３ｂは、取付部材５の保持孔７を通過可能で、かつ、被取付部材１の取付孔３を通過不可能となるように構成されている。

　そして、図７に示すように、取付孔３に脚部３０を挿入して、係合部５５を取付孔３の裏側に係合させるべく、脚部３０を押し込んだときに、固定フランジ２１が変形して必要以上に深く押し込まれても、図７の想像線に示すように、規制部４３の第２規制部４３ｂが、取付孔３の表側周縁に当接し、その状態で弾性突出部６０が取付孔３の内周に当接して、弾性突出部６０の先端が取付孔３の裏側に抜け出ないようになっている。また、この際には、前記第１規制部４３ａは、取付部材１の保持孔７の表側周縁に当接するため、脚部３０の挿入規制に寄与する。

　また、規制部としては、上記第１規制部４３ａを設けなくても、取付孔３に当接する部分を有していればよく、特に限定はされない。更に、この実施形態の規制部は、頭部２０の裏側及び脚部３０に設けられているが、頭部２０の裏側のみ、又は、脚部３０側のみに設けてもよい。

　次に、上記構成からなる留め具１０の使用方法及び作用効果について説明する。

　まず、取付部材５の保持孔７に、その表側から留め具１０の脚部３０を挿入していく。すると、保持孔７の内周に一対の弾性係止片５０，５０が押圧されて脚部内方に向けて撓むと共に、保持孔７の内周に一対の弾性突出部６０，６０の先端部が押圧されて弾性変形する。その後、一対の弾性突出部６０，６０が保持孔７の裏側へ抜け出ると、弾性復帰して保持孔７に対して離間した状態で、保持孔７の裏側に配置され、更に、弾性係止片５０の係合部５５が保持孔７の裏側へ抜け出ると、一対の弾性係止片５０，５０が弾性復帰して、それらの係合部５５，５５が保持孔７の裏側に係合し、かつ、頭部２０の可動フランジ２５，２５が保持孔７の表側に当接して、図６に示すように、保持孔７に留め具１０が仮保持される。

　また、取付部材５の搬送中や作業中等において、一対の可動フランジ２５，２５が内方に撓んで、係合部５５が取付孔３の裏側から外れてしまった場合でも、図６の想像線で示すように、一対の弾性突出部６０，６０が保持孔７の裏側に係合するので、留め具１０の仮保持状態を維持することができる。

　すなわち、この留め具１０においては、その脚部３０をインシュレータ等の取付部材５の孔（保持孔７）に挿入して、一対の弾性係止片５０，５０を保持孔７の裏側に係合させると共に、一対の弾性突出部６０，６０を保持孔７の裏側に配置することで、留め具を取付部材から抜け外れないように仮保持させることができる。

　上記のように、保持孔７に留め具１０を仮保持した状態で、図６に示すように、脚部３０を、被取付部材１の取付孔３に挿入していく。すると、取付孔３の内周に一対の弾性係止片５０，５０が押圧されて脚部内方に向けて撓むと共に、取付孔３の内周に一対の弾性突出部６０，６０の先端部が押圧されて、脚部内方に向けて折れ曲がるように弾性変形する（図７及び図９参照）。その後、弾性係止片５０の係合部５５が保持孔７の裏側へ抜け出ると、一対の弾性係止片５０，５０が弾性復帰して、それらの係合部５５，５５が取付孔３の裏側に係合すると共に、固定フランジ２１の切欠き部２２，２２に一対の可動フランジ２５，２５が入り込んで、頭部２０の固定フランジ２１及び可動フランジ２５，２５が取付部材５の保持孔７の表側に当接する（図８参照）。その結果、留め具１０の頭部２０と脚部３０の係合部５５とによって、被取付部材１及び取付部材５が挟み込まれるので、留め具１０を介して被取付部材１に取付部材５を取付けることができる（図７及び図８参照）。

　このとき、図７及び図９に示すように、一対の弾性突出部６０，６０は、取付孔３の内周に当接して折れ曲がり、その先端部が取付孔３の裏側から抜け出ないように保持されている。このように、一対の弾性突出部６０，６０は、留め具１０を取付孔３に取付けた状態で、折れ曲がって取付孔３の内周に当接するので、取付孔３に対して留め具１０を、ガタ付きを抑制して取付けることができる。

　更にこの実施形態においては、前述したように、頭部２０の裏側及び脚部３０には、被取付部材１の取付孔３の表側周縁に当接して脚部３０の所定以上の挿入を規制する規制部４３が設けられており、規制部４３が取付孔３の表側周縁に当接した状態で、弾性突出部６０は、取付孔３の内周に当接するように構成されている。そのため、留め具１０の脚部３０を取付孔３に挿入して、係合部５５を取付孔３の裏側に係合させる際に、脚部３０を勢いよく押し込んでも、頭部２０の裏側及び脚部３０に設けた規制部４３（ここでは第２規制部４３ｂ）が、取付孔３の表側周縁に当接した状態で、弾性突出部６０が取付孔３の内周に当接して（図７の想像線参照）、脚部３０の挿入位置が規制されるので、弾性突出部６０の先端部が取付孔３の裏側に抜け出てしまわないようにすることができる（図７の想像線参照）。その結果、弾性突出部６０が折れ曲がって取付孔３の内周に当接した状態が維持されるので、後述するように、脚部３０を取付孔３から引き抜くときに、弾性突出部６０を取付孔３の裏側に引っ掛かることを確実に防止することができ、留め具１０の取外し作業性をより一層向上させることができる。

　そして、車両のメンテナンスや、取付部材５の交換等の理由で、取付部材５を被取付部材１から取外したい場合や、留め具１０自体を取付孔３から取外したい場合には、次の作業を行う。

　すなわち、図１０に示すように、一対の可動フランジ２５，２５を互いに近づくように、固定フランジ２１の内径側に寄せるように可動させる。すると、可動フランジ２５，２５が固定フランジ２１の表面側に乗り上がると共に、可動フランジ２５から延出した一対の弾性係止片５０，５０が脚部内方へ撓んでいき、係合部５５，５５が、取付孔３の裏側から外れる（図１０参照）。この状態を維持しつつ、取付孔３から脚部３０を引き抜いていく。

　このとき、この留め具１０の弾性突出部６０は、弾性係止片５０の係合部５５が取付孔３の裏側に係合した状態で、取付孔３の内周に当接して折れ曲がり、弾性突出部６０の取付孔３の裏側に位置する部分Ａの最外径Ｄ１が、取付孔３の内径Ｄ２以下となるように構成されているので（図７参照）、弾性突出部６０が取付孔３の裏側に引っ掛かることなく、脚部３０を取付孔３から引き抜くことができ、取付孔３からの留め具１０の取外し作業性を向上させることができる。

　また、この実施形態においては、弾性突出部６０は、脚部３０の外面４１ｃよりも脚部内方に位置する部分（ここでは凹部４６の底面４６ａ）から、脚部外方に向けて突出した構造をなしている（図２（ｂ）及び図４参照）。そのため、係合部５５が取付孔３の裏側に係合した状態で、弾性突出部６０の、脚部外面から突出する部分である基端部側の外周を、取付孔３の内径よりも出っ張りにくくすることができ、取付孔３からの脚部３０の引き抜き時に、弾性突出部６０が取付孔３の裏側に引っ掛かることを効果的に防止して、留め具１０の取外し作業性をより向上させることができる。また、弾性突出部６０の突出長さを長くすることができるので、弾性突出部６０を折れ曲がりやすくすることができ、取付孔３に挿入しやすくすることができる。

　更にこの実施形態においては、頭部２０として、切欠き部２２を有する固定フランジ２１と、切欠き部２２の形状にほぼ整合する形状をなす可動フランジ２５とを有し、脚部３０は、固定フランジ２１の裏面から延出したステム部４０と、可動フランジ２５の裏面から延出した弾性係止片５０とを有しているので、取付孔３の裏側に係合部５５が係合して、取付孔３に留め具１０が取付けられた状態で、留め具１０を取付孔３から取外したい場合には、可動フランジ２５を固定フランジ２１の内径側に寄せるように可動させるだけの簡単な作業で、弾性係止片５０を弾性変形させて、係合部５５を取付孔３の裏側から外すことができ、そして、この状態を維持しつつ取付孔３から脚部３０を引き抜けばよいため、取付孔３からの留め具１０の取外し作業性を、より一層向上させることができる。

　また、固定フランジ２１の裏面から延出したステム部４０側に弾性突出部６０が設けられているので、可動フランジ２５を可動させて脚部３０を取付孔３から引き抜くときに、弾性突出部６０が取付孔３の裏側に引っ掛かることを防止して、弾性突出部６０が取付孔３から抜き出しやすくなり、可動フランジ２５の変形を抑制して、留め具１０の再利用が図りやすくなる。

　更に、弾性突出部６０が、固定フランジ２１の裏面から延出されたステム部４０に設けられているので、留め具１０の脚部３０を取付部材５の保持孔７に挿入して、弾性突出部６０が保持孔７の裏側に係合させて仮保持させた状態で、可動フランジ２５が可動して弾性係止片５０が変形したとしても、その影響を受けることがなく、留め具１０の仮保持力を高めることができる。

　また、この実施形態においては、図５に示すように、ステム部４０は、互いに偏心する一対の軸部４１，４１を有し、これらの軸部４１，４１の偏心方向反対側の側面４１ｂ，４１ｂ（図２（ｂ）及び図３参照）から、一対の弾性突出部６０，６０が設けられているので、取付孔３から脚部３０を引き抜くべく、一対の可動フランジ２５，２５を固定フランジ２１の内径側に寄せて、一対の弾性係止片５０，５０を撓み変形させるときに、一対の弾性突出部６０，６０に干渉することを防止することができ、留め具１０の取外し作業性を向上させることができる。また、一対の弾性突出部６０，６０を、脚部３０の外面４１ｃよりも脚部内方に位置する部分から、ステム部外方に向けて突出しやすい構造とすることができる。

　図１１には、本発明の留め具の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。

　図１１に示すように、この実施形態の留め具１０Ａは、前記実施形態とは、頭部２０Ａの構造が異なっている。すなわち、この実施形態の頭部２０Ａは、可動フランジ２５，２５を有しない、円形傘状をなしている。また、一対の弾性係止片５０Ａ，５０Ａは、その先端が自由端とされた碇足状をなしている。

　この実施形態の留め具１０Ａにおいても、前記実施形態と同様に、弾性突出部６０は、弾性係止片５０Ａの係合部５５が取付孔３の裏側に係合した状態で、取付孔３の内周に当接して折れ曲がって、弾性突出部６０の取付孔３の裏側に位置する部分の最外径が、取付孔３の内径以下となるため、取付孔３からの脚部３０の引き抜き時に、弾性突出部６０が取付孔３の裏側に引っ掛かることを防止して、取付孔３からの留め具１０Ａの取外し作業性を向上させることができる。

　なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。

１　被取付部材
５　取付部材
７　保持孔
１０，１０Ａ　留め具
２０，２０Ａ　頭部
２１　固定フランジ
２２　切欠き部
２５　可動フランジ
３０　脚部
４０　ステム部
４１　軸部
４１ａ　先端部
４１ｂ　側面
４１ｃ　外面（脚部の外面）
４３　規制部
５０，５０Ａ　弾性係止片
５５　係合部
６０　弾性突出部

Claims

　取付孔に挿入されて取付けられる留め具であって、
　前記取付孔の表側に配置される頭部と、
　該頭部の裏面から延出して前記取付孔に挿入される脚部と、
　該脚部に設けられ、前記取付孔の裏側に係合する係合部と、
　前記脚部の所定位置から脚部外方に向けて突出し、弾性変形可能とされた弾性突出部とを有し、
　前記脚部が前記取付孔に挿入され、かつ、前記係合部が前記取付孔の裏側に係合した状態で、前記弾性突出部は、前記取付孔の内周に当接して折れ曲がり、前記弾性突出部の前記取付孔の裏側に位置する部分の最外径が、前記取付孔の内径以下となるように構成されていることを特徴とする留め具。
　前記弾性突出部は、前記脚部の外面よりも脚部内方に位置する部分から、脚部外方に向けて突出するように構成されている請求項１記載の留め具。
　前記頭部の裏側及び／又は前記脚部には、前記取付孔の表側周縁に当接して前記脚部の所定以上の挿入を規制する規制部が設けられ、前記規制部が前記取付孔の表側周縁に当接した状態で、前記弾性突出部は、前記取付孔の内周に当接するように構成されている請求項１又は２記載の留め具。
　前記頭部は、周方向複数箇所に切欠き部を有する固定フランジと、前記切欠き部の形状にほぼ整合する形状をなす可動フランジとを有し、
　前記脚部は、前記固定フランジの裏面から延出したステム部と、前記可動フランジの裏面から延出し、前記係合部を有する弾性係止片とを有し、
　前記弾性突出部は、前記ステム部の所定位置からステム部外方に向けて突出している請求項１～３のいずれか１つに記載の留め具。
　前記固定フランジは、その周方向に対向する箇所に前記切欠き部が形成され、前記可動フランジは、これらの切欠き部にほぼ整合した一対のものからなり、
　前記一対の可動フランジの裏面から前記弾性係止片がそれぞれ延出し、
　前記ステム部は、前記固定フランジの裏面から延出した一対の軸部を有しており、該一対の軸部が、前記固定フランジの中心に対して、互いに偏心した位置から伸びると共に、その先端側が連結された形状をなしており、
　前記弾性突出部は、前記一対の軸部に隣接して設けられた一対のものからなり、
　前記一対の軸部及び前記一対の弾性突出部を、前記脚部の軸心に沿った方向から見たとき、一方の弾性突出部は、一方の軸部の、前記固定フランジの中心に対する偏心方向とは反対側の側面からステム部外方に向けて突出し、前記取付孔の裏側に前記係合部が係合した状態で、他方の軸部に対向するように配置され、他方の弾性突出部は、他方の軸部の、前記固定フランジの中心に対する偏心方向とは反対側の側面からステム部外方に向けて突出し、前記取付孔の裏側に前記係合部が係合した状態で、一方の軸部に対向するように配置されるように構成されている請求項４記載の留め具。