WO2016204188A1

WO2016204188A1 - ノイズ対策部材

Info

Publication number: WO2016204188A1
Application number: PCT/JP2016/067834
Authority: WO
Inventors: 祐貴安西; 中村　達哉
Original assignee: 北川工業株式会社
Priority date: 2015-06-19
Filing date: 2016-06-15
Publication date: 2016-12-22
Also published as: CN107710355B; US20180158590A1; EP3312854A1; CN107710355A; EP3312854B1; JP2017011061A; EP3312854A4; US10381150B2; JP6606681B2

Abstract

本開示の一局面のノイズ対策部材は、第一コア部品及び第二コア部品と、第一ケース部品及び第二ケース部品とを含む。第一ケース部品及び第二ケース部品には係合機構が設けられる。係合機構は、係合部及び被係合部を有し、係合部と被係合部とが係合することにより、第一ケース部品と第二ケース部品とを固定可能に構成される。係合機構によって第一ケース部品と第二ケース部品とを固定すると、第一コア部品と第二コア部品が環状の磁性体コアを形成する状態で保持される。係合部と被係合部とを係合させる際には、係合部と被係合部との係合が完了する前に第一コア部品と第二コア部品が当接し、その当接後に係合部と被係合部との係合が完了するように構成されている。

Description

ノイズ対策部材

関連出願の相互参照

　本国際出願は、２０１５年６月１９日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第２０１５－１２３８７２号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第２０１５－１２３８７２号の全内容を参照により本国際出願に援用する。

　本発明は、ノイズ対策部材に関する。

　ノイズ電流を減衰させるために電線に装着されるノイズ対策部材として、第一コア部品及び第二コア部品と、第一ケース部品及び第二ケース部品とを備えるノイズ対策部材が知られている（例えば、特許文献１参照。）。第一コア部品及び第二コア部品は、第一コア部品と第二コア部品とを当接させると環状の磁性体コアを形成する。第一ケース部品及び第二ケース部品は、第一コア部品及び第二コア部品によって環状の磁性体コアが形成される状態で第一コア部品及び第二コア部品を保持する。

　下記特許文献１に記載されたノイズ対策部材（特許文献１でいうノイズ吸収部材。）の場合、第一ケース部品に第一コア部品が収納され、第二ケース部品に第二コア部品が収納される。第一ケース部品及び第二ケース部品には、弾性係止片を有するスナップフィット方式の係合機構が設けられる。弾性係止片と被係合部とを係合させると係合機構が係合状態となる。係合機構を係合状態とすることにより、第一ケース部品と第二ケース部品が互いに固定される。

登録実用新案３０４５４２６号公報

　上述のようなノイズ対策部材は、係合機構を係合状態とする際に、弾性係止片が被係合部と係合する位置に達したときに、第一コア部品と第二コア部品が互いに当接する構造とされていた。また、上述のようなノイズ対策部材は、ある程度の外力を受けても係合機構における係合状態が解除されないようにする都合上、ある程度以上の大きな力を加えないと弾性係止片が変形しないように構成されていた。

　上述のような構造を採用していると、係合機構が係合状態に至るまでは、係合機構が係合状態に至るのを妨げるような抵抗力が生じる。ただし、係合機構が係合状態に至るときには、抵抗力が急激に低下する。特に、弾性係止片が被係合部に対してより強固に係合するような構造にすると、上述のような抵抗力は増大する。よって、抵抗力が最大になったときと抵抗力が急激に低下したときの抵抗力の差は大きくなる。

　そのため、作業者が抵抗力を上回るような大きな力を加えて係合機構を係合状態にしようとすると、上述のように抵抗力が急激に低下したときには、作業者からの力が全て第一コア部品及び第二コア部品へと作用する。したがって、第一コア部品と第二コア部品が強く衝突する。その結果、第一コア部品と第二コア部品の衝突による衝撃が作業者の指先にも伝わるので、作業者に余計な負荷がかかる。

　また、第一コア部品と第二コア部品が衝突するときに発生する音（以下、衝突音ともいう。）と、係合機構が係合状態になったときに発生する音（以下、係合音ともいう。）は、ほぼ同時に発生する。そのため、係合機構が確実に係合状態になったことを作業者が係合音で確認したくても、第一コア部品と第二コア部品との衝突音だけが聞こえたのか、第一コア部品と第二コア部品の衝突音とともに係合機構における係合音が聞こえたのかを判別することが容易ではない。

　本開示の一局面においては、係合機構を係合状態にする際に発生する衝撃を抑制可能で、衝突音の確認も容易なノイズ対策部材を提供することが望ましい。

　本開示の一局面のノイズ対策部材は、第一コア部品及び第二コア部品と、第一ケース部品及び第二ケース部品とを有し、第一コア部品及び第二コア部品は、第一コア部品と第二コア部品とを当接させることによって環状の磁性体コアを形成可能に構成され、第一ケース部品及び第二ケース部品は、第一ケース部品に第一コア部品を収容可能、かつ、第二ケース部品に第二コア部品を収容可能に構成され、第一ケース部品及び第二ケース部品には、係合機構が設けられ、係合機構は、係合部及び被係合部を有し、係合部と被係合部とが係合して係合機構が係合状態となることにより、第一ケース部品と第二ケース部品とを固定可能に構成され、係合機構によって第一ケース部品と第二ケース部品とを相互に固定すると、第一ケース部品及び第二ケース部品によって第一コア部品及び第二コア部品が環状の磁性体コアを形成する状態で保持されて、当該環状の磁性体コアの内周側に電線を配設可能となるように構成されており、係合機構を係合状態にする際には、係合機構が係合状態になる前に第一コア部品と第二コア部品が互いに当接し、第一コア部品と第二コア部品の当接後に係合機構が係合状態になるように構成されている。

　このように構成されたノイズ対策部材によれば、係合機構を係合状態にする際には、係合機構が係合状態に至る前に第一コア部品と第二コア部品が互いに当接する。そのため、この時点では、係合機構が係合状態に至るのを妨げるような抵抗力が作用している。したがって、その抵抗力によって第一コア部品と第二コア部品が勢いよく衝突するのを抑制できる。よって、第一コア部品と第二コア部品との当接に起因する衝撃が発生するのを抑制することができる。また、第一コア部品と第二コア部品とが当接したあとには係合機構が係合状態に至る。ただし、この段階では第一コア部品と第二コア部品が既に当接している。そのため、この段階で第一コア部品と第二コア部品が衝突するものとは異なり、大きな衝撃が発生することはない。

　したがって、作業者がある程度以上の大きな力を加えて係合機構を係合状態にする場合であっても、作業者の指先に強い衝撃が伝わることはない。よって、作業者に余計な負荷がかかるのを抑制することができる。

　また、第一コア部品と第二コア部品が当接するときに発生する衝突音と、係合機構が係合状態になったときに発生する係合音は、時差があるタイミングで発生する。そのため、係合機構が確実に係合状態になったことを作業者が音で確認したい場合には、第一コア部品と第二コア部品との衝突音が聞こえたあとに、係合機構から係合音が聞こえたか否かを確認すればよい。よって、係合状態になったか否かの確認を音によって容易に行うことができる。

図１Ａはノイズ対策部材の斜視図である。図１Ｂはノイズ対策部材の分解図である。図２Ａはノイズ対策部材の平面図である。図２Ｂはノイズ対策部材の左側面である。図２Ｃはノイズ対策部材の正面図である。図２Ｄはノイズ対策部材の右側面図である。図２Ｅはノイズ対策部材の背面図である。図２Ｆはノイズ対策部材の底面図である。図３はノイズ対策部材がステイ等の取り付け対象箇所に取り付けられた状態を示す斜視図である。図４Ａは係合機構が係合状態になる前の段階で二つのコア部品が互いに当接した状態にあるノイズ対策部材の正面図である。図４Ｂは図４Ａ中にＩＶＢ－ＩＶＢ線で示した切断箇所における断面図である。図４Ｃは図４Ａ中にＩＶＣ－ＩＶＣ線で示した切断箇所における断面図である。図４Ｄは図４Ｃ中に示したＩＶＤ部を拡大して示す断面図である。

　１…ノイズ対策部材、１Ａ…分割部品、２…電線、３…磁性体コア、３Ａ…コア部品、５…ケース、５Ａ…ケース部品、１１…係合機構、１３…係合部、１５…被係合部、２１…固定部、２１Ａ…貫通孔、２３…樹脂部、２５…金属部、２７…ボス、３１…弾性押圧片、３３…孔、３５…孔、３７…凹部、３９…爪、４１…固定具、４３…固定対象箇所、４５…孔、Ａ１…第一範囲、Ａ２…第二範囲、Ａ３…第三範囲。

　次に、上述のノイズ対策部材について、例示的な実施形態を挙げて説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じて図中に併記した上下左右前後の各方向を利用して説明を行う。ただし、これらの各方向は、ノイズ対策部材を構成する各部の相対的な位置関係を簡潔に説明するために規定した方向にすぎない。実際にノイズ対策部材を利用するに当たって、ノイズ対策部材がどのような方向に向けられるかは任意である。よって、例えば、図中に示す上下方向が重力との関係で鉛直方向とは一致しない状態でノイズ対策部材が使用されてもかまわない。

　図１Ａ及び図１Ｂに示すように、ノイズ対策部材１は、電線２を流れるノイズ電流を減衰させるために電線２の外周に装着される。ノイズ対策部材１は、磁性体コア３と、ケース５とを備えている。磁性体コア３は、フェライト製である。ケース５は、ポリアミド樹脂製である。磁性体コア３は、環状に形成されている。ケース５は、磁性体コア３を収容可能に構成されている。磁性体コア３は、対をなす二つのコア部品３Ａ，３Ａによって構成されている。二つのコア部品３Ａ，３Ａは、同一形状に形成されている。一方のコア部品３Ａは、本開示でいう第一コア部品の一例に相当し、他方のコア部品３Ａは、本開示でいう第二コア部品の一例に相当する。ケース５は、対をなす二つのケース部品５Ａ，５Ａによって構成されている。二つのケース部品５Ａ，５Ａは、同一形状に形成されている。一方のケース部品５Ａは、本開示でいう第一ケース部品の一例に相当し、他方のケース部品５Ａは、本開示でいう第二ケース部品の一例に相当する。一方のコア部品３Ａは、一方のケース部品５Ａに収納され、他方のコア部品３Ａは、他方のケース部品５Ａに収納されている。これにより、同一の構造とされた二つの分割部品１Ａ，１Ａが構成されている。

　ケース５には、図２Ａ～図２Ｆに示すように、四組の係合機構１１，１１，１１，１１が設けられている。各係合機構１１は、係合部１３と、係合部１３が係合する被係合部１５とを有する。各ケース部品５Ａには、二つの係合部１３，１３と二つの被係合部１５，１５が設けられている。二つの分割部品１Ａ，１Ａを相互に固定する際には、四つの係合部１３，１３，１３，１３それぞれを四つの被係合部１５，１５，１５，１５に係合させる。係合部１３と被係合部１５が係合することにより、係合機構１１は係合状態になる。

　二つの分割部品１Ａ，１Ａを相互に固定すると、二つのコア部品３Ａ，３Ａが環状の磁性体コア３を形成する。二つのコア部品３Ａ，３Ａは、二つのケース部品５Ａ，５Ａによって保持される。これにより、磁性体コア３の内周側に電線２を配設可能となる。なお、磁性体コア３の内周側に電線２を配設するに当たっては、分割された二つの分割部品１Ａ，１Ａの間に電線２を配置してから、二つの分割部品１Ａ，１Ａを互いに対して固定すればよい。あるいは、分割された二つの分割部品１Ａ，１Ａを互いに対して固定してから、電線２を挿通してもよい。

　各ケース部品５Ａには、貫通孔２１Ａを有する固定部２１が設けられている。固定部２１は、樹脂部２３と、金属部２５とを有する。樹脂部２３は、ケース部品５Ａに一体成形されている。金属部２５は、樹脂部２３に対して固定されている。本実施形態において、金属部２５は、管状に形成された鋼鉄製の金属カラーによって構成されている。金属カラーで上述の貫通孔２１Ａを形成することにより、貫通孔２１Ａが金属部２５に形成された構造とされている。

　固定部２１において、樹脂部２３にはボス２７が設けられている。ボス２７は、円柱状に形成され、貫通孔２１Ａの貫通方向と同方向に向かって突出している。
　また、各ケース部品５Ａには、四つの弾性押圧片３１，３１，３１，３１が形成されている。これら各弾性押圧片３１を三方から囲む位置において、各ケース部品５Ａには、四つの孔３３，３３，３３，３３が形成されている。各弾性押圧片３１は、孔３３に囲まれていない一端においてケース部品５Ａに連設されている。さらに、各ケース部品５Ａには、四つの孔３５，３５，３５，３５が形成されている。

　以上のように構成されたノイズ対策部材１は、図３に示すように、固定具４１（本実施形態においてはボルト及びナット。）を利用して、固定対象箇所４３（本実施形態においては金属板によって構成されたステイ。）に対して固定することができる。すなわち、固定具４１に設けられた軸部（図示略。）を、固定部２１が有する貫通孔２１Ａに挿通し、固定具４１及びノイズ対策部材１を固定対象箇所４３に固定することができる。

　したがって、上述のような固定部２１が設けられていないノイズ対策部材１とは異なり、容易にノイズ対策部材１を固定対象箇所４３に固定することができる。また、電線２以外の固定対象箇所には固定されないノイズ対策部材１とは異なり、ノイズ対策部材１が固定対象箇所近傍に配置された状態を安定的に維持することができる。

　また、本実施形態の場合、金属部２５に貫通孔２１Ａが形成されている。そのため、樹脂製の箇所に貫通孔２１Ａが形成される場合に比べ、貫通孔２１Ａ内周面の耐摩耗性や貫通孔２１Ａ周辺の剛性を向上させることができる。したがって、固定具４１の有する軸部が金属製であっても、樹脂製の箇所に貫通孔２１Ａが形成される場合に比べ、軸部との摩擦で貫通孔２１Ａの内周面が摩耗するのを抑制できる。また、軸部から受ける力で貫通孔２１Ａの内周面が変形するのを抑制できる。

　固定対象箇所４３には、固定具４１が有する軸部を通すための孔（図示略。）と、ボス２７が挿し込まれる孔４５が形成されている。そのため、ノイズ対策部材１を固定対象箇所４３に固定する際には、例えば、先にボス２７を孔４５に挿し込んで大まかな位置決めを行うことができる。その上で、ボス２７を中心にノイズ対策部材１を回動させることにより、固定部２１の貫通孔２１Ａと固定対象箇所４３の孔の位置を一致させる。その後は、固定具４１の軸部を挿し込み、ノイズ対策部材１と固定対象箇所４３との相対位置を適正化することができる。

　あるいは、別の手順でノイズ対策部材１を固定対象箇所４３に固定することもでき、例えば、先に固定具４１の軸部を固定部２１の貫通孔２１Ａと固定対象箇所４３の孔に挿し込んで大まかな位置決めを行ってもよい。この場合は、固定具４１の軸部を中心にノイズ対策部材１を回動させることにより、ボス２７が孔４５に嵌まり込む位置までノイズ対策部材１を回動させ、ノイズ対策部材１と固定対象箇所４３との相対位置を適正化することができる。

　したがって、いずれの手順でノイズ対策部材１と固定対象箇所４３との相対位置を適正化するとしても、ボス２７が設けられていない場合に比べ、ノイズ対策部材１を適正な位置に固定する際の作業性が向上する。

　また、ノイズ対策部材１を固定対象箇所４３に固定する際、固定具４１に対しては、図３中に矢印Ｆ１で示す向きにトルクがかけられる。このとき、固定部２１に対しても同方向に一時的にトルクがかかる状態になることがある。ただし、そのような場合には、トルクをボス２７で受けることにより、係合機構１１に余計な負荷がかかるのを抑制することができる。したがって、ボス２７が設けられていない場合に比べ、固定具４１を締め付ける際に、係合機構１１付近に歪みが生じるのを抑制できる。よって、係合機構１１を設計通りに機能させることができる。そのため、一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａとの間に隙間が生じたり、当接位置がずれたりするのを抑制できる。よって、磁性体コア３のインピーダンス特性を安定して確保することが可能となる。

　また、本実施形態の場合、各ケース部品５Ａは、電線２の挿通方向を軸とする軸周りの周方向について、図３に示すように、第一範囲Ａ１、第二範囲Ａ２、及び第三範囲Ａ３を有する。これらの範囲のうち、第一範囲Ａ１は、係合機構１１が設けられた範囲である。また、第二範囲Ａ２は、固定部２１が設けられた範囲である。第三範囲Ａ３は、第一範囲Ａ１と第二範囲Ａ２との間にある範囲である。第三範囲Ａ３には、上述の孔３３及び孔３５が形成される。よって、これにより、各ケース部品５Ａは、第三範囲Ａ３において第一範囲Ａ１及び第二範囲Ａ２よりも剛性が低下するように構成されている。

　このような構成を採用することにより、図３中に矢印Ｆ１で示す向きにトルクがかけられて、固定部２１に対しても同方向にトルクがかかった際に、ケース部品５Ａに負荷がかかったとしても、ケース部品５Ａは剛性の低い第三範囲Ａ３において変形しやすくなる。そのため、このような構成も、第二範囲Ａ２における変形を抑制する効果があり、これにより、係合機構１１付近に歪みが生じるのを抑制できる。したがって、係合機構１１を設計通りに機能させることができ、一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａとの間に隙間が生じるのを抑制できる。また、一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａとの当接位置がずれるのを抑制できる。よって、磁性体コア３のインピーダンス特性を安定して確保することが可能となる。

　上述のようなボス２７と、上述のような剛性の低い第三範囲Ａ３は、いずれか一方を採用するだけでも、係合機構１１付近に歪みが生じるのを抑制する効果が相応に発現する。したがって、固定部２１に対してかかるトルクが過大にならないと見込まれるのであれば、上述のようなボス２７、又は上述のような剛性の低い第三範囲Ａ３のいずれか一方だけを採用してもよい。また、固定部２１に対してかかるトルクが過大になる可能性がある場合は、上述のようなボス２７、及び上述のような剛性の低い第三範囲Ａ３の双方を採用すると好ましい。

　図４Ａ～図４Ｄに示すように、コア部品３Ａには凹部３７が形成され、ケース部品５Ａには爪３９が形成されている。爪３９は、凹部３７に引っ掛かり、これにより、ケース部品５Ａに収容されたコア部品３Ａがケース部品５Ａから脱落しないように構成されている。

　凹部３７内において爪３９の周囲には遊びとなる空間がある。この遊びの範囲内においてコア部品３Ａはケース部品５Ａに対して変位可能となっている。コア部品３Ａには、図４Ａ及び図４Ｂ等に示すように、上述の弾性押圧片３１が当接している。そのため、二つのコア部品３Ａ，３Ａは、上述の遊びの範囲内において互いに接近する方向へ変位した状態で保持されている。

　以上のような構造とされているため、係合機構１１を係合状態にする際には、図４Ｄに示すように、係合部１３が被係合部１５に係合する前に、一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａとが当接する。そして、この状態から更に分割部品１Ａ，１Ａを互いに押し付け合うと、二つのコア部品３Ａ，３Ａは互いに当接する位置から変位しない。ただし、弾性押圧片３１が弾性変形することにより、二つのケース部品５Ａ，５Ａが変位し、その結果、係合機構１１が係合状態になる。

　二つのコア部品３Ａ，３Ａが互いに当接する時点では、図４Ｄに示すように、係合部１３が被係合部１５を弾性変形させつつ変位する状態にある。係合部１３と被係合部１５との間には、係合機構１１が係合状態に至るのを妨げるような抵抗力が作用している。そのため、このような抵抗力が作用しなくなった直後にコア部品３Ａ，３Ａが当接する場合とは異なり、一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａが勢いよく衝突するのを抑制できる。一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａが当接したことに起因する衝撃が発生するのを抑制することができる。

　また、一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａが当接したあとには係合機構１１が係合状態に至るが、この段階では一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａが既に当接している。そのため、この段階で二つのコア部品３Ａ，３Ａが互いに衝突する構造とされたノイズ対策部材とは異なり、大きな衝撃が発生することはない。

　したがって、作業者がある程度以上の大きな力を加えて係合機構１１を係合状態にする場合であっても、作業者の指先にコア部品３Ａ，３Ａの当接に起因する強い衝撃が伝わることはない。よって、作業者に余計な負荷がかかるのを抑制することができる。

　また、一方のコア部品３Ａと他方のコア部品３Ａが当接するときに発生する衝突音と、係合機構１１が係合状態になるときに発生する係合音は、時差があるタイミングで発生する。そのため、係合機構１１が確実に係合状態になったことを作業者が音で確認したい場合には、コア部品３Ａ，３Ａの衝突音が聞こえたあとに、係合機構１１から係合音が聞こえたか否かを確認すればよく、係合状態になったことを音によって容易に確認することができる。

　以上、ノイズ対策部材について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本発明の一態様にすぎない。すなわち、本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されない。本発明は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。

　例えば、上記実施形態では、４組の係合機構１１を設けてあったが、係合機構１１相当の構造を何組設けるかは任意である。また、上記実施形態では、二つの固定部２１を設けてあったが、固定部２１相当の構造をいくつ設けるかは任意である。

　また、上記実施形態では、ケース５をポリアミド樹脂製とする例を示したが、他の樹脂材料でケース５を形成してもよい。他の樹脂材料としては、例えば、ＡＢＳ樹脂、ポリプロピレン樹脂、あるいは各種エンジニアリングプラスチック類などを利用できる。また、金属部２５を鋼鉄製の金属カラーによって構成する例を示したが、鋼鉄以外の金属材料を利用してもよい。

　なお、上記実施形態においては、ノイズ対策部材１の装着対象物として電線２を例示したが、この電線２は電力線、通信線のいずれであってもよい。ノイズ電流の伝播が考えられるもの全てを、上記ノイズ対策部材１の装着対象とすることができる。

　なお、以上説明した例示的な実施形態から明らかなように、本明細書で説明したノイズ対策部材は、更に以下に挙げるような構成を備えていてもよい。
　まず、本明細書で説明したノイズ対策部材において、少なくとも一方のケース部品には、ノイズ対策部材を固定具によって固定対象箇所に固定する際に当該固定具に設けられた軸部が挿通される貫通孔を有する固定部が設けられていてもよい。

　まず、本明細書で説明したノイズ対策部材は、固定具によって固定対象箇所に固定されるように構成され、第一ケース部品及び第二ケース部品のうちの、少なくとも一方には、固定部が設けられ、固定部は貫通孔を有し、固定具には軸部が設けられ、軸部が貫通孔に挿通されるように構成されていてもよい。

　このように構成されたノイズ対策部材によれば、固定具に設けられた軸部を固定部が有する貫通孔に挿通し、固定具を利用して固定具及びノイズ対策部材を固定対象箇所に固定することができる。したがって、上述のような固定部が設けられていないノイズ対策部材とは異なり、軸部を有する固定具（例えば、ねじ、ボルト、リベット、ピンなど。）を利用して容易にノイズ対策部材を固定対象箇所に固定することができる。また、電線以外の固定対象箇所には固定されないノイズ対策部材とは異なり、ノイズ対策部材が固定対象箇所近傍に配置された状態を安定的に維持することができる。

　また、本明細書で説明したノイズ対策部材において、固定部は、樹脂部と、金属部とを有し、樹脂部は、ケース部品に一体成形され、金属部は、樹脂部に対して固定され、金属部に貫通孔が形成されていてもよい。

　このように構成されたノイズ対策部材によれば、金属部に貫通孔が形成されている。そのため、樹脂製の箇所に貫通孔が形成される場合に比べ、貫通孔内周面の耐摩耗性や貫通孔周辺の剛性を向上させることができる。したがって、固定具の有する軸部が金属製であっても、樹脂製の箇所に貫通孔が形成される場合に比べ、軸部との摩擦で貫通孔内周面が摩耗するのを抑制できる。また、軸部から受ける力で貫通孔内周面が変形するのを抑制できる。

　また、本明細書で説明したノイズ対策部材において、固定部には、ボスが設けられ、ボスは、貫通孔の貫通方向と同方向に向かって突出していてもよい。
　このように構成されたノイズ対策部材によれば、上述のボスが嵌め込まれる孔又は凹部を固定対象箇所に設けておく。そして、その孔又は凹部にボスを嵌め込む。これにより、ノイズ対策部材と固定対象箇所とを大まかに位置決めすることができる。そして、孔又は凹部にボスを嵌め込んだ状態を維持したままノイズ対策部材と固定対象箇所との相対位置を調節する。このようにすれば、固定対象箇所に設けられた孔又は凹部と固定部が有する貫通孔とを容易に重ね合わせることができる。さらに、固定対象箇所に設けられた孔又は凹部と固定部が有する貫通孔に固定具が有する軸部を挿し込む。このようにすれば、その固定具で固定部を固定対象箇所に対して固定する際に、固定部が軸部を中心に固定対象箇所に対して相対的に回動するのをボスが抑制する。したがって、上述のようなボスが設けられていない場合に比べ、取り付け作業時には、固定部の位置決め作業を効率よく実施することができる。しかも、取り付け作業時及び取り付け後には、固定部が軸部を中心に固定対象箇所に対して相対的に回動するのを抑制することができる。

　また、本明細書で説明したノイズ対策部材において、第一ケース部品及び第二ケース部品のうちの、少なくとも一方は、電線の挿通方向を軸とする軸周りの周方向について、第一範囲と、第二範囲と、第三範囲とを有し、第一範囲には、係合機構が設けられ、第二範囲には、固定部が設けられ、第三範囲は、第一範囲と第二範囲との間に設けられ、第三範囲には、孔が形成され、第三範囲に孔が形成されることにより、ケース部品の剛性が第三範囲において第一範囲及び第二範囲よりも低下するように構成されていてもよい。

　このように構成されたノイズ対策部材によれば、固定部を利用して固定対象箇所に対する固定を行った際、固定具側から固定部に対して負荷がかかった場合に、ケース部品は、第一範囲及び第二範囲よりも第三範囲において変形しやすくなる。そのため、仮に第三範囲においてケース部品が変形したとしても、第一範囲における変形は抑制される。よって、ケース部品の変形が係合機構による係合に影響するのを抑制することができる。

Claims

　第一コア部品及び第二コア部品と、
　第一ケース部品及び第二ケース部品と
　を有し、
　前記第一コア部品及び前記第二コア部品は、前記第一コア部品と前記第二コア部品とを当接させることによって環状の磁性体コアを形成可能に構成され、
前記第一ケース部品及び前記第二ケース部品は、前記第一ケース部品に前記第一コア部品を収容可能、かつ、前記第二ケース部品に前記第二コア部品を収容可能に構成され、
　前記第一ケース部品及び前記第二ケース部品には、係合機構が設けられ、
　前記係合機構は、係合部及び被係合部を有し、前記係合部と前記被係合部とが係合して前記係合機構が係合状態となることにより、前記第一ケース部品と前記第二ケース部品とを固定可能に構成され、
　前記係合機構によって前記第一ケース部品と前記第二ケース部品とを相互に固定すると、前記第一ケース部品及び前記第二ケース部品によって前記第一コア部品及び前記第二コア部品が前記環状の磁性体コアを形成する状態で保持されて、当該環状の磁性体コアの内周側に電線を配設可能となるように構成されており、
　前記係合機構を係合状態にする際には、前記係合機構が係合状態になる前に前記第一コア部品と前記第二コア部品が互いに当接し、前記第一コア部品と前記第二コア部品の当接後に前記係合機構が係合状態になるように構成されている
　ノイズ対策部材。
　請求項１に記載のノイズ対策部材であって、
　前記ノイズ対策部材は、固定具によって固定対象箇所に固定されるように構成され、
　前記第一ケース部品及び前記第二ケース部品のうちの、少なくとも一方には、固定部が設けられ、
　前記固定部は貫通孔を有し、
　前記固定具には軸部が設けられ、
　前記軸部が前記貫通孔に挿通されるように構成されている
　ノイズ対策部材。
　請求項２に記載のノイズ対策部材であって、
　前記固定部は、樹脂部と、金属部とを有し、
　前記樹脂部は、前記ケース部品に一体成形され、
　前記金属部は、前記樹脂部に対して固定され、
　前記金属部に前記貫通孔が形成されている
　ノイズ対策部材。
　請求項２又は請求項３に記載のノイズ対策部材であって、
　前記固定部には、ボスが設けられ、　前記ボスは、前記貫通孔の貫通方向と同方向に向かって突出している
　ノイズ対策部材。
　請求項２から請求項４までのいずれか一項に記載のノイズ対策部材であって、
　前記第一ケース部品及び前記第二ケース部品のうちの、少なくとも一方は、前記電線の挿通方向を軸とする軸周りの周方向について、第一範囲と、第二範囲と、第三範囲とを有し、
　前記第一範囲には、前記係合機構が設けられ、
　前記第二範囲には、前記固定部が設けられ、
　前記第三範囲は、前記第一範囲と前記第二範囲との間に設けられ、
　前記第三範囲には、孔が形成され、
　前記第三範囲に前記孔が形成されることにより、前記ケース部品の剛性が前記第三範囲において前記第一範囲及び前記第二範囲よりも低下するように構成されている
　ノイズ対策部材。