WO2016199205A1 - 動力伝達装置、及び、動力伝達装置を備える作業車両 - Google Patents

動力伝達装置、及び、動力伝達装置を備える作業車両 Download PDF

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Abstract

動力伝達装置(25)は、ボス部(73)と、スプライン軸(80)と、回転力伝達部(71)と、筐体(90)とを含む。ボス部(73)は、内周面にスプライン溝(76)を有する。スプライン軸(80)は、スプライン溝と嵌合する。回転力伝達部(71)は、ボス部(73)またはスプライン軸(80)と結合する。筐体(90)は、潤滑油を貯留するための油溜め部(97)と、潤滑油を油溜め部(97)に注入するための注入油路(93)と、油溜め部(97)に溜まった潤滑油を排出するための排出油路(99)とを含む。油溜め部(97)は、スプライン軸(80)とスプライン溝(76)との嵌合部と連通する。排出油路(99)は、スプライン溝(76)の下端よりも上方に位置する。

Description

動力伝達装置、及び、動力伝達装置を備える作業車両
 本明細書は、作業車両における動力伝達装置を開示する。
 動力伝達装置には、エンジンなどの1つの動力発生源から発生された駆動力を複数の従動機器(例えば、減速機や油圧ポンプなど)に分配したり、複数の動力発生源から発生された駆動力を統合したりする機能を有するものがある。このような動力伝達装置では、複数の動力発生源、複数の従動機器の各回転部材を連結する部分には、スプライン嵌合が多く用いられている。スプライン嵌合部の摩耗や損傷を防ぐために、潤滑構造が採用されている。
 特許文献1は、モータ軸の内周面にスプライン溝を有し、油圧ポンプのポンプ軸が当該スプライン溝に嵌合するスプライン軸となっている連結部の潤滑構造の一例を示している。特許文献1に係る発明では、ポンプ軸及びモータ軸を中心とした環状の油溜め室が形成され、この油溜め室に充填された潤滑油によって、ポンプ軸とモータ軸とのスプライン嵌合部が潤滑される。
特開2013-241792号公報
 しかし、特許文献1にかかる構造では、油溜め室に充填された潤滑油の循環を考慮していないため、充填された潤滑油の劣化が生じ、潤滑性の低下を招く。
 本明細書は、スプライン嵌合部の潤滑性の低下を抑えることができる構造を有する動力伝達装置、及び、当該動力伝達装置を備える作業車両を開示する。
 本発明に係る動力伝達装置は、ボス部と、スプライン軸と、回転力伝達部と、筐体とを含む。ボス部は、内周面にスプライン溝を有する。スプライン軸は、スプライン溝と嵌合する。回転力伝達部は、ボス部またはスプライン軸と結合する。筐体は、潤滑油を貯留するための油溜め部と、潤滑油を油溜め部に注入するための注入油路と、油溜め部に溜まった潤滑油を排出するための排出油路とを含む。油溜め部は、スプライン軸とスプライン溝との嵌合部と連通する。排出油路は、スプライン溝の下端よりも上方に位置する。
 筐体またはボス部は、油溜め部の軸方向内側に位置する突起部を含むとよい。
 当該動力伝達装置は、ボス部を回転自在に支持する軸受をさらに備えるとよい。突起部は、軸受の回転軸方向に見て、軸受の内輪と外輪との間の領域と重畳するとよい。
 排出油路は、スプライン溝の上端よりも上方に位置するとさらによい。
 ボス部は、スプライン溝よりも軸方向奥側の内周面に位置する潤滑油取入口から、ボス部の外周面に位置する潤滑油排出口まで延びる排油孔を含むとよい。
 突起部が筐体に設けられるとよい。このとき、突起部とボス部との間に第1隙間が設けられるとよい。第1隙間の少なくとも一部は、注入油路の油吐出口及び排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置するとよい。排出油路は、突起部を軸方向に貫通するとよい。または、排出油路は、筐体に設けられ、突起部よりも軸方向外側に位置する排出口から径方向外方に延び、筐体を貫通するとよい。動力伝達装置は、第1隙間を封止する第1シールをさらに含むとよい。
 または、動力伝達装置は、突起部と軸受の内輪との間に第2隙間が設けられるとよい。第2隙間の少なくとも一部は、注入油路の油吐出口及び排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置するとよい。排出油路は、突起部を軸方向に貫通するとよい。または、排出油路は、筐体に設けられ、突起部よりも軸方向外側に位置する排出口から径方向外方に延び、筐体を貫通するとよい。動力伝達装置は、第2隙間を封止する第2シールをさらに含むとよい。
 突起部がボス部に設けられるとよい。このとき、突起部と筐体との間に第3隙間が設けられるとよい。第3隙間の少なくとも一部は、注入油路の油吐出口及び排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置するとよい。排出油路は、筐体に設けられ、突起部よりも軸方向外側に位置する排出口から径方向外方に延び、筐体を貫通するとよい。動力伝達装置は、第3隙間を封止する第3シールをさらに含むとよい。
 または、動力伝達装置は、突起部と軸受の外輪との間に第4隙間が設けられるとよい。第4隙間の少なくとも一部は、注入油路の油吐出口及び排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置するとよい。排出油路は、筐体に設けられ、突起部よりも軸方向外側に位置する排出口から径方向外方に延び、筐体を貫通するとよい。動力伝達装置は、第4隙間を封止する第4シールをさらに含むとよい。
 突起部がボス部及び筐体と別部品で形成されるとよい。突起部がボス部または筐体に固定されているとよい。
 注入油路から油溜め部に流入する潤滑油の単位時間あたりの油量は、油溜め部の排出油路以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量以上であるとよい。注入油路から油溜め部に流入する潤滑油の単位時間あたりの油量は、排出油路から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量と、排出油路以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計油量に等しいとよい。
 排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、スプライン軸とスプライン溝との嵌合部から流出する潤滑油を含むとよい。第1隙間が設けられる場合、排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、第1隙間から流出する潤滑油を含むとよい。第2隙間が設けられる場合、排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、第2隙間から流出する潤滑油を含むとよい。第3隙間が設けられる場合、排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、第3隙間から流出する潤滑油を含むとよい。第4隙間が設けられる場合、排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、第4隙間から流出する潤滑油を含むとよい。
 本発明に係る作業車両は、上述する動力伝達装置と、第1外部接続機器とを備えるとよい。第1外部接続機器は、筐体に固定されるとよい。第1外部接続機器は、スプライン軸を含むとよい。油溜め部は、第1外部接続機器、突起部、ボス部、及びスプライン軸に囲まれた領域内に形成されるとよい。
 当該作業車両は、第1外部接続機器が固定される筐体の側面の反対側の筐体の側面に固定され、ボス部の孔部に挿入される駆動軸を含む第2外部接続機器をさらに備えるとよい。
 当該作業車両は、駆動源と、トランスミッションと、伝動機構とをさらに備えるとよい。駆動源は、スプライン軸と異なる回転軸周りに回転する出力軸を有するとよい。トランスミッションは、出力軸と連結するとよい。伝動機構は、出力軸と連結し、駆動源からの駆動力の一部を回転力伝達部に伝達するとよい。
 上述する動力伝達装置では、スプライン溝とスプライン軸とのスプライン嵌合部の少なくとも一部は確実に潤滑油によって油浴され、確実に潤滑される。また、油溜め部において注入油路から供給される潤滑油が排出油路の高さまで溜まると、排出油路によって余分な潤滑油が排出される。このように、スプライン嵌合部の潤滑油は滞留することなく循環するので、良好な潤滑性を維持できる。したがって、潤滑不良によるスプライン嵌合部の摩耗や損傷、より具体的には、スプライン歯面の摩耗や損傷が防止される。
図1は、本発明の一実施形態による作業車両の側面図である。 図2は、作業車両の構成を示す模式図である。 図3は、動力伝達装置の潤滑系の一例を表す模式図である。 図4は、第1実施例における動力伝達装置の潤滑構造を示す断面図である。 図5は、第1実施例における筐体を軸方向外側から見た図である。 図6は、図5の切断面線II-II’から見た断面図である。 図7は、第2実施例における動力伝達装置の潤滑構造を示す断面図である。 図8は、第3実施例における動力伝達装置の潤滑構造を示す断面図である。 図9は、第3実施例における筐体を軸方向外側から見た図である。 図10は、第4実施例における動力伝達装置の潤滑構造を示す断面図である。 図11は、第5実施例における動力伝達装置の潤滑構造を示す断面図である。 図12は、第5実施例における筐体を軸方向外側から見た図である。 図13は、図12の切断面線V-V’から見た断面図である。 図14は、第6実施例における動力伝達装置の潤滑構造を示す断面図である。 図15は、第1変形例を示した図である。 図16は、第2変形例を示した図である。 図17は、第3変形例を示した図である。 図18は、第4変形例を示した図である。 図19は、第5変形例を示した図である。
 [作業車両の全体構成]
 本発明の一実施形態による潤滑構造を含む作業車両1の全体構成を図1に示している。当該作業車両1は、例えば、ホイールローダである。図1に示すように、作業車両1は、車体フレーム2と、作業機3と、走行輪4、5と、運転室6とを備えている。作業車両1は、走行輪4、5が回転駆動されることにより走行する。作業車両1は、作業機3を用いて掘削等の作業を行うことができる。
 車体フレーム2は、前フレーム16と後フレーム17とを有する。前フレーム16と後フレーム17とは互いに左右方向に傾動可能に取り付けられている。前フレーム16には、作業機3および走行輪4が取り付けられている。作業機3は、後述する作業機ポンプ23(図2参照)からの作動油によって駆動される。作業機3は、ブーム11とバケット12とを有する。ブーム11は、前フレーム16に装着されている。
 作業機3は、リフトシリンダ13とバケットシリンダ14とを有している。リフトシリンダ13とバケットシリンダ14とは、油圧シリンダである。リフトシリンダ13の一端は前フレーム16に取り付けられている。リフトシリンダ13の他端はブーム11に取り付けられている。リフトシリンダ13が作業機ポンプ23からの作動油によって伸縮することによって、ブーム11が上下に回動する。
 バケット12は、ブーム11の先端に取り付けられている。バケットシリンダ14の一端は前フレーム16に取り付けられている。バケットシリンダ14の他端はベルクランク15を介してバケット12に取り付けられている。バケットシリンダ14が、作業機ポンプ23からの作動油によって伸縮することによって、バケット12が上下に回動する。
 後フレーム17には、運転室6及び走行輪5が取り付けられている。運転室6内には、オペレータが着座するシート、オペレータに作業車両1内の各種状態を表示するモニタ、操作装置などが配置されている。
 作業車両1は、ステアリングシリンダ18を有している。ステアリングシリンダ18は、前フレーム16と後フレーム17とに取り付けられている。ステアリングシリンダ18は、油圧シリンダである。ステアリングシリンダ18が、後述するステアリングポンプ28からの作動油によって伸縮することによって、作業車両1の前フレーム16と後フレーム17が左右方向に傾動される。これによって、作業車両1の進行方向が左右に変更される。
 図2は、本発明の実施形態に係る作業車両1の構成を示す模式図である。図2に示すように、作業車両1は、エンジン21、PTO22、トランスミッション24、走行装置26a、26bなどを備えている。なお、本実施形態では、PTO22と、トランスミッション24とを総称して動力伝達装置25と呼ぶ。
 エンジン21は、作業車両1の駆動源であり、例えばディーゼルエンジンである。エンジン21の出力は、エンジン21のシリンダ内に噴射する燃料量及び空気量を調整することにより制御される。
 作業車両1は、例えば、作業機ポンプ23と、ステアリングポンプ28と、トランスミッションポンプ29と、潤滑油ポンプ56とを有する。なお、本実施形態では、作業機ポンプ23と、ステアリングポンプ28と、トランスミッションポンプ29と、潤滑油ポンプ56とを外部接続装置と呼んでもよい。作業機ポンプ23と、ステアリングポンプ28と、トランスミッションポンプ29と、潤滑油ポンプ56とは、油圧ポンプである。PTO22は、これらの油圧ポンプ23、28、29、56に、エンジン21からの駆動力の一部を伝達する。すなわち、PTO22は、外部接続装置23、28、29、56と、トランスミッション24とにエンジン21からの駆動力を分配する。
 作業機ポンプ23は、エンジン21からの駆動力によって駆動される。作業機ポンプ23から吐出された油は、作業機制御弁41を介して、上述したリフトシリンダ13とバケットシリンダ14とに供給される。作業機ポンプ23は、例えば、可変容量型の油圧ポンプである。作業機ポンプ23の斜板或いは斜軸の傾転角が変更されることにより、作業機ポンプ23の吐出容量が変更される。
 ステアリングポンプ28は、エンジン21からの駆動力によって駆動される。ステアリングポンプ28から吐出された油は、ステアリング制御弁43を介して、上述したステアリングシリンダ18に供給される。ステアリングポンプ28は、例えば、可変容量型の油圧ポンプである。ステアリングポンプ28の斜板或いは斜軸の傾転角が変更されることにより、ステアリングポンプ28の吐出容量が変更される。
 トランスミッションポンプ29は、エンジン21からの駆動力によって駆動される。トランスミッションポンプ29は、例えば、固定容量型の油圧ポンプである。トランスミッションポンプ29から吐出された油は、クラッチ制御弁44を介してトランスミッション24のクラッチ24aに供給される。トランスミッションポンプ29から吐出された油は、動力伝達装置25に供給され、動力伝達装置25の各種のギヤ、軸受、摺動部品などを潤滑するために利用されてもよい。
 潤滑油ポンプ56は、エンジン21からの駆動力によって駆動される。潤滑油ポンプ56は、例えば、固定容量型の油圧ポンプである。潤滑油ポンプ56から吐出された油は、動力伝達装置25に供給され、動力伝達装置25の各種のギヤ、軸受、摺動部品などを潤滑する。以降の説明では、上述した各ポンプから吐出される油のうち、動力伝達装置25の各種のギヤ、軸受、摺動部品などを潤滑するために動力伝達装置25に供給される油を、潤滑油と呼ぶ。なお、トランスミッションポンプ29によって潤滑油が動力伝達装置25に供給される場合、潤滑油ポンプ56は省略されてもよい。
 PTO22は、エンジン21からの駆動力をトランスミッション24と後述する外部接続機器とに分配する。図2では、作業車両1が1つのPTO22を有する場合が図示されているが、作業車両1は複数のPTO22を有してもよい。PTO22は、駆動ギヤ62と、PTOギヤ70とを含む。駆動ギヤ62は、第1駆動軸80と第2駆動軸81と異なる回転軸周りに回転するエンジン21の出力軸61と連結している。PTOギヤ70は、駆動ギヤ62と噛み合う。駆動ギヤ62は、PTOギヤ70を介して、第1駆動軸80、及び、第2駆動軸81と連結している。駆動ギヤ62は、エンジン21からの駆動力の一部をPTOギヤ70に伝達する。以降の説明では、駆動ギヤ62を伝動機構と呼んでもよい。
 第1駆動軸80は、第1外部接続機器(例えば、作業機ポンプ23、ステアリングポンプ28)の回転駆動軸である。第2駆動軸81は、第2外部接続機器(例えば、トランスミッションポンプ29、潤滑油ポンプ56)の回転駆動軸である。第1駆動軸80及び第2駆動軸81は、PTOギヤ70と連結される。第1駆動軸80及び第2駆動軸81は、例えば、PTOギヤ70とスプライン嵌合によって結合している。エンジン21からの駆動力の一部は、第1駆動軸80及び第2駆動軸81に伝達され、第1駆動軸80及び第2駆動軸81は、それぞれ、第1外部接続機器及び第2外部接続機器を駆動する。
 なお、PTOギヤ70は、図示しないアイドラギヤを介して、駆動ギヤ62と噛み合ってもよい。図2では、第1外部接続機器が作業機ポンプ23及びステアリングポンプ28であって、第2外部接続機器がトランスミッションポンプ29及び潤滑油ポンプ56である場合を図示されている。しかし、第1外部接続機器がトランスミッションポンプ29と、潤滑油ポンプ56との少なくとも一方を含んでもよく、第2外部接続機器が作業機ポンプ23と、ステアリングポンプ28との少なくとも一方を含んでもよい。また、第1外部接続機器及び第2外部接続機器がファンポンプなどのその他の機器であってもよい。さらに、第2外部接続機器が省略されてもよい。
 トランスミッション24は、エンジン21の出力軸61と連結している。トランスミッション24は、エンジン21からの駆動力を前輪軸の走行装置26aと後輪軸の走行装置26bとに伝達する。トランスミッション24は、クラッチ24aの接合または切断により変速比を切り替えることによって、エンジン21からの駆動力を変速して出力する。
 前輪軸の走行装置26aは、前輪軸のアクスル45aと、前輪軸の走行輪4とを有する。後輪軸の走行装置26bは、後輪軸のアクスル45bと、後輪軸の走行輪5とを有する。走行装置26a及び26bは、トランスミッション24を介して、エンジン21によって駆動される。アクスル45a及び45bは、トランスミッション24からの駆動力を走行輪4、5に伝達する。これにより、走行輪4、5が回転駆動される。
 次に、動力伝達装置25の潤滑系63について説明する。図3は、動力伝達装置25の潤滑系63の構成の一例を示す模式図である。潤滑系63は、動力伝達装置25を潤滑するための潤滑油を循環させる。図3に示すように、潤滑系63は、トランスミッションポンプ29と、潤滑油ポンプ56と、オイルクーラ57と、配管58と、フィルタ59とを含む。トランスミッションポンプ29と、潤滑油ポンプ56と、オイルクーラ57と、フィルタ59とは、配管58を介して筐体90に接続されている。
 図3は、潤滑系63に、トランスミッションポンプ29と、潤滑油ポンプ56の2つの油圧ポンプが含まれる例を示しているが、トランスミッションポンプ29のみであってもよい。また、潤滑系63に、複数のトランスミッションポンプ29と潤滑油ポンプ56とが含まれてもよい。
 筐体90は、動力伝達装置25の各種ギヤ(PTO22の駆動ギヤ62、PTOギヤ70を含む)やトランスミッション24のクラッチ24aを初めとする動力伝達装置25の構成要素を収容するケースである。筐体90には、例えば、作業機ポンプ23、ステアリングポンプ28、トランスミッションポンプ29、潤滑油ポンプ56の少なくとも1つをそれぞれ含む第1外部接続機器64と第2外部接続機器66とが取り付けられている。すなわち、動力伝達装置25は、第1外部接続機器64と第2外部接続機器66と接続する。また、配管58においてトランスミッションポンプ29とクラッチ制御弁44との間には、フィルタ59が設けられている。
 筐体90内の油は、筐体90下端のタンク部65内に貯留されている。潤滑油ポンプ56は、タンク部65内の油を筐体90に送る。潤滑油ポンプ56から送られた潤滑油は、筐体90内の各種のギヤ、軸受、摺動部品などを潤滑した後、タンク部65に戻る。トランスミッションポンプ29は、油をフィルタ59に送る。フィルタ59は、油中の不純物を取り除く。その後、油は、オイルクーラ57において冷却され、トランスミッションクラッチ24a及び筐体90内に供給され、クラッチ24aの作動及び筐体90内の潤滑に利用される。
 [潤滑構造(第1実施例)]
 図4(a)(b)は、第1実施例における動力伝達装置25の潤滑構造を示す断面図である。図4(b)は、図4(a)において点線で囲んだ部分の拡大図である。図4(a)において、駆動ギヤ62またはアイドラギヤの図示は省略されている。図4(a)を参照すると、動力伝達装置25は、PTOギヤ70と、第1軸受82と、第2軸受83と、筐体90とを含む。
 第1外部接続機器64は、第1駆動軸80を含む。第1駆動軸80の表面は、スプライン溝と係合するために歯状に加工されている。つまり、第1駆動軸80はスプライン軸である。第2外部接続機器66は、第2駆動軸81を含む。PTOギヤ70は、一方の端部において第1駆動軸80と連結し、他方の端部において第2駆動軸81と連結する。つまり、第1外部接続機器64と第2外部接続機器66は、同じPTOギヤ70によって駆動される。そのため、第1外部接続機器64と第2外部接続機器66は、互いにPTOギヤ70を挟んで、筐体90の反対側に設置される。つまり、第2外部接続機器66は、第1外部接続機器64が固定される筐体90の側面の反対側の筐体90の側面に固定される。第1外部接続機器64の第1駆動軸80の回転中心軸と、第2外部接続機器66の第2駆動軸81の回転中心軸は、PTOギヤ70の回転中心軸と同軸に配置される。
 PTOギヤ70は、回転力伝達部71とボス部73とを含む。ボス部73は、第1外部接続機器64と連結する側の内周面にスプライン溝76を有している。スプライン溝76は、第1駆動軸80と噛み合う。つまり、第1駆動軸80は、ボス部73のスプライン溝76と嵌合するスプライン軸である。ボス部73は、さらに、第1ギヤ側軸受支持部74及び第2ギヤ側軸受支持部75を含む。第1ギヤ側軸受支持部74は、第1軸受82によって支持される。第2ギヤ側軸受支持部75は、第2軸受83によって支持される。
 第1ギヤ側軸受支持部74は、孔部74iを有する。孔部74iとスプライン溝76との間に連通孔73iが設けられている。孔部74iには第2駆動軸81が挿入される。第2駆動軸81は、例えば、スプライン軸であって、孔部74iに設けられたスプライン溝と嵌合することによって固定されてもよい。また、第2駆動軸81は、キーやネジなどの他の固定手段によって、孔部74iと固定されてもよい。
 筐体90は、第1ケース側軸受支持部91と第2ケース側軸受支持部92とを含む。第1軸受82は、第1ケース側軸受支持部91によって支持される。第2軸受83は、第2ケース側軸受支持部92によって支持される。したがって、PTOギヤ70は、第1軸受82と第2軸受83とを介して、筐体90によって回転自在に支持されている。また、第1軸受82及び第2軸受83は、ボス部73を回転自在に支持する。
 ここで、PTOギヤ70の回転中心軸線をC-C’とする。以降の説明において、方向の説明を中心軸線C-C’を基準に行う。例えば、軸方向とは、中心軸線C-C’に沿う方向であり、径方向とは、中心軸線C-C’に対して垂直な方向である。したがって、図4(a)においては、径方向とは、図の上下方向を意味する。
 さらに、軸方向外方とは、PTOギヤ70の軸方向中心(図4では中心軸線D-D’で図示する)から第1外部接続機器64または第2外部接続機器66に向かう方向である。軸方向内方とは、第1外部接続機器64または第2外部接続機器66からPTOギヤ70の軸方向中心D-D’に向かう方向である。したがって、「部材Aは部材Bよりも軸方向外側に位置する」とは、部材Aは、軸方向において部材Bよりも軸方向中心D-D’から遠いことを意味する。逆に、「部材Aは部材Bよりも軸方向内側に位置する」とは、部材Aは、軸方向において部材Bよりも軸方向中心D-D’に近いことを意味する。
 なお、本実施形態では、軸方向内側とは別の意味で軸方向奥側という用語も用いられる。軸方向奥側とは、孔部74iとスプライン溝76との間の連通孔73i側を意味する。
 また、径方向外方は中心軸線C-C’から離れる方向を意味し、径方向内方は中心軸線C-C’に近づく方向を意味する。したがって、「部材Aは部材Bよりも径方向外側に位置する」とは、部材Aは、部材Bよりも中心軸線C-C’から遠いことを意味する。逆に、「部材Aは部材Bよりも径方向内側に位置する」とは、部材Aは、部材Bよりも中心軸線C-C’に近いことを意味する。
 第1ギヤ側軸受支持部74は、第1軸受82の内輪と当接し、第1軸受82が軸方向内方に移動しないように規制する第1ギヤ段部74aを含む。また、第1ケース側軸受支持部91は、第1軸受82の外輪と当接し、第1軸受82が軸方向外方に移動しないように規制する第1ケース段部91aを含む。図4(b)に示すように、第2ギヤ側軸受支持部75は、第2軸受83の内輪83aと当接し、第2軸受83が軸方向内方に移動しないように規制する第2ギヤ段部75aを含む。また、第2ケース側軸受支持部92は、第2軸受83の外輪83bと当接し、第2軸受83が軸方向外方に移動しないように規制する第2ケース段部92aを含む。
 ただし、図4(a)のように、2個の深溝玉軸受で支持する場合には、部品の寸法公差や熱膨張などを考慮して、第1軸受82の外輪と第1ケース段部91aとの間、もしくは、第2軸受83の外輪83bと第2ケース段部92aとの間には、通常、僅かな隙間が設けられる。
 回転力伝達部71は、例えば、駆動ギヤ62またはアイドラギヤと噛み合う歯を有している。回転力伝達部71は、ボス部73と接続する。具体的には、回転力伝達部71は、ボス部73と一体に形成されている。回転力伝達部71は、ボス部73から径方向外方に延びる。
 筐体90は、第2ケース側軸受支持部92の軸方向外側に突起部98を含む。突起部98は、第2ケース側軸受支持部92よりも径方向内方に突出している。このため、図4(b)に示すように、突起部98は、第2軸受83の回転軸C-C’方向に見て、第2軸受83の内輪83aと外輪83bとの間の領域Zm(内輪83aの外周と外輪83bの内周との間の領域)と重畳する。より具体的には、突起部98は、第2軸受83の回転軸C-C’方向に見て、第2軸受83の全領域Za(内輪83aの内周と外輪83bの外周との間の領域)と重畳する。突起部98とボス部73との間には、第1隙間110が設けられている。
 筐体90は、突起部98から突起部98の軸方向外方に延びる延出部95を含む。延出部95は、筐体90の側壁の一部である。筐体90は、延出部95の軸方向外端に第1外部接続機器64を取り付けるための取付面95aを含む。さらに、筐体90は、延出部95の軸方向外端且つ径方向内端に形成された外段部96を含む。外段部96は、後述するOリング101を挿入するための窪みである。筐体90には、図示しない外部接続機器固定用のねじ穴が加工されており、第1外部接続機器64は、取付面95aに当接して、図示しないボルトによって、筐体90に固定される。第1外部接続機器64、延出部95、突起部98、ボス部73、及び第1駆動軸80に囲まれた領域内には、油溜め部97が形成される。油溜め部97は、スプライン溝76と第1駆動軸80(スプライン軸)の嵌合部を潤滑するための潤滑油を貯留する。油溜め部97は、第1駆動軸80(スプライン軸)とスプライン溝76との嵌合部と連通している。
 筐体90は、油溜め部97に潤滑油を注入するための注入油路93をさらに含んでいる。注入油路93は、配管58と接続されている。したがって、潤滑油は、潤滑油ポンプ56、もしくは、トランスミッションポンプ29によって、注入油路93に供給される。図5は、第1実施例における筐体90を軸方向外側から見た図である。なお、図5では、外段部96よりも径方向外側の筐体90の図示を省略している。また、図4(a)は、第1外部接続機器64及び第2外部接続機器66を除き、図5に示した切断面線I-I’により切断された切断面を示している。
 図4(a)及び図5を参照すると、注入油路93は、第1有底孔93aと第2有底孔93bとを含む。第1有底孔93aは、筐体90上面から下方向に延びる。つまり、第1有底孔93aは、筐体90の外面から径方向内方に延びる。第1有底孔93aの下端は、突起部98の内部に形成されている。つまり、第1有底孔93aの内端は、突起部98の内部に形成されている。第2有底孔93bは、突起部98の内部に形成される。第2有底孔93bは、第1有底孔93aの内端から軸方向外方に延び、油溜め部97に至る。したがって、注入油路93によって、潤滑油が油溜め部97に注入される。なお、図4(b)に示すように、第1隙間110の少なくとも一部は、注入油路93の油吐出口EX1よりも軸方向内側に位置する。
 外段部96には、Oリング101が設けられている。Oリング101は、取付面95aと取付面95aに当接する第1外部接続機器64との間の隙間を封止し、潤滑油の外部への流出を防止する。
 図4(a)に示す実施例では、スプライン溝76と第1駆動軸80(スプライン軸)の嵌合部の潤滑をより確実にするために、第1隙間110に第1シール102が設けられている。第1シール102は、例えば、シールリングであるが、径方向に封止することができるのであれば、他の種類のシールでもよい。図4(b)に示すように、第1シール102の軸方向の移動が規制されるように、ボス部73には第1固定溝77が設けられている。すなわち、ボス部73は、第1固定溝77を含む。第1シール102は、第1隙間110を封止する。これによって、油溜め部97に溜まった潤滑油が第1隙間110を経由して第2軸受83の転動体83c間から流出するのが抑えられる。
 油溜め部97に貯留された潤滑油の一部は、スプライン溝76と第1駆動軸80(スプライン軸)の嵌合部のバックラッシ(backlash)から油溜め部97の外へ流出する。よって、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93から油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93から供給されることが望ましい。
 さらには、第1シール102が設けられていても、第1シール102から漏れ出る潤滑油の量が無視できない場合、注入油路93から流入される潤滑油の単位時間あたりの油量は、第1シール102から漏れ出る潤滑油の単位時間あたりの油量と、スプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計が注入油路93から流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93から供給されることが望ましい。
 軸方向から見た第1隙間110の面積S1は、図5にドットパターンで示される、第2軸受83の内輪83aと外輪83bとの間の領域Zmのうちの開口されている部分Zoを軸方向から見た面積Sbより小さいことが望ましい。また、第1隙間110の面積S1は、注入油路93の油吐出口EX1(図5では第2有底孔93bとして図示されている)の面積SEX1より小さいことが望ましい。
 さらには、注入油路93の油吐出口EX1の面積SEX1は、第1隙間110の面積S1と軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S1+Sbc)より大きいこと(SEX1>S1+Sbc)が望ましい。さらに詳細には、面積S1と面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S1’、面積Sbc’とすると、SEX1>S1’+Sbc’とすることが望ましい。
 第1シール102を設けた場合、第1シール102とその周辺部材との間に形成され、潤滑油の漏れの原因となる隙間の面積をSsealとする。通常、Ssealは極狭く、当該隙間からの漏れが無視できるほど少ないのであれば、SEX1>SbcもしくはSEX1>Sbc’とすれば十分である。しかし、Ssealからの漏れが無視できない場合には、SEX1>Sseal+Sbcとすることが望ましい。さらに詳細には、Ssealのうち、潤滑油に没している部分の面積をSseal’とすると、SEX1>Sseal’+Sbc’とすることが望ましい。
 なお、第1隙間110の面積S1を小さくするためには、図4(b)に示す距離d1(d1は、第1隙間110の最小隙間距離とする)を小さくすること、及び、図4(a)に示す半径ds1を小さくすることが有効である。第1シール102を設ける場合において、ds1を小さくすることは、第1シール102を小さくするのに有効である。
 図6は、図5の切断面線II-II’により切断された動力伝達装置25の一部を示している。図5と図6を参照すると、筐体90は、排出油路99をさらに含む。排出油路99は、油溜め部97に溜まった潤滑油を排出する。
 注入油路93から油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量が油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量以上となるように、潤滑油が注入油路93から供給されることが望ましい。注入油路93から油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量は、油溜め部97の排出油路99から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量と、油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量との合計油量と等しい。油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油は、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油と、第1シール102から漏れ出る潤滑油の単位時間あたりの油量とを含む。
 排出油路99は、突起部98の内部に形成される。排出油路99は、軸方向に伸び、突起部98を貫通する。第1隙間110の少なくとも一部は、排出油路99の排出口EX5よりも軸方向内側に位置する。
 図5を参照すると、排出油路99は、スプライン溝76の下端Bよりも上方に位置する。さらに、排出油路99は、スプライン溝76の上端Uよりも上方に位置するとよい。したがって、油溜め部97に注入された潤滑油は、少なくとも排出油路99の下端の高さまで貯留し、スプライン溝76及び第1駆動軸80(スプライン軸)の嵌合部の少なくとも一部を油浴させることで確実に潤滑し、余った潤滑油は排出油路99によってタンク部65に排出される。
 また、図4(a)に示すように、ボス部73は、スプライン溝76よりも軸方向奥側の内周面に位置する潤滑油取入口Iから、ボス部73の外周面に位置する潤滑油排出口Oまで排油孔79を含む。これによって、スプライン溝76と第1駆動軸80のスプライン歯との間の隙間(スプライン嵌合部のバックラッシ)を通過した潤滑油がタンク部65に回収される。なお、孔部74iに第2駆動軸81が取り付けられておらず孔部74iが開口されている場合、排油孔79は省略されてもよい。
 以上の構成によって、スプライン溝76と第1駆動軸80(スプライン軸)との嵌合部が確実に潤滑される。また、スプライン溝76と第1駆動軸80とのスプライン嵌合部を潤滑した潤滑油は循環する。したがって、スプラインの嵌合部、より具体的には、スプラインの歯面の摩耗や損傷が防止される。さらに、スプライン嵌合部に潤滑油が滞留しないので、劣化した潤滑油による潤滑不良も防止される。
 [潤滑構造(第2実施例)]
 第2実施例は、第1実施例において、第1シール102が省略された構造である。その他の構造は全て第1実施例と同じであるため、図4(b)に相当する構造のみを開示して本実施例の説明を行う。図7は、第2実施例における動力伝達装置25aの潤滑構造を示す断面図である。図7によると、第2実施例に係るボス部73aは、第1固定溝77を含まないことを除いて、第1実施例にかかるボス部73と同じ構造である。
 本実施例では、第1隙間110は、軸方向に延びる第1サブ隙間120と、径方向に延びる第2サブ隙間121とを含んでいる。この場合、第1隙間110のうちの軸方向に延びる第1サブ隙間120と、第1隙間110のうちの径方向に延びる第2サブ隙間121と、突起部98と第2軸受83の内輪83aとの間において径方向に延びる第2隙間112とのなかで最も面積が小さい隙間が油溜め部97に溜まった潤滑油の流出を抑える役割を主に果たしている。
 第2サブ隙間121と、第2隙間112の面積は以下のように求められる。第2サブ隙間121の面積S1rは、中心軸C-C’からの径方向の距離ds1r(ds1rは、突起部98の内半径と第2軸受83の内半径との間の任意の半径位置である)における突起部98とボス部73とに挟まれる円筒面の面積の最小値として求められる。
 第2隙間112の面積S2は、中心軸C-C’からの径方向の距離ds2(ds2は、第2軸受83の内輪83aの内半径と外半径との間の任意の半径位置である)における、突起部98と第2軸受83の内輪83aとに挟まれる円筒面の面積の最小値として求められる。
 ここで、第1サブ隙間120の面積S1aまたは第2サブ隙間121の面積S1rが第2隙間112の面積S2より小さいとき、第1隙間110が油溜め部97に溜まった潤滑油の流出を抑える役割を主に果たしている。油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油が第1隙間110から流出する潤滑油とスプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油とを含むとすれば、排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93から流入する潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、注入油路93から流入する潤滑油の単位時間あたりの油量が調整されることが望ましい。これによって、油溜め部97に十分な量、すなわち、排出油路99の下端に達する量だけ潤滑油を貯留することができる。
 なお、第1サブ隙間120の面積S1aは、(式1)によって求められる。
S1a=π×{(ds1+d1)-(ds1)} …(式1)
 この場合も、第1実施例と同様に、面積S1aと面積S1rのうちの小さい方の面積である第1隙間110の面積S1は、図5にドットパターンで示される第2軸受83の内輪83aと外輪83bとの間の領域Zmのうち、開口されている部分Zoを軸方向から見た面積Sbより小さいことが望ましい。これによって、第1隙間110は、油溜め部97に溜まった潤滑油が第2軸受83の転動体83c間から流出するのが抑えられる。
 さらに、第1隙間110の面積S1は、注入油路93の油吐出口EX1(図5では第2有底孔93bとして図示されている)の面積SEX1より小さいことが望ましい。第1隙間110の面積S1と軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S1+Sbc)は、注入油路93の油吐出口EX1の面積SEX1より小さいことが望ましい。さらに詳細には、面積S1と面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S1’、面積Sbc’とすると、S1’+Sbc’<SEX1とすることが望ましい。これにより、第1隙間110から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量を、注入油路93から流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下とすることが容易となる。
 一方、S2がS1a及びS1rよりも小さい場合、第2隙間112が油溜め部97に溜まった潤滑油の流出を抑える役割を主に果たしている。このとき、第2隙間112の少なくとも一部は、注入油路93の油吐出口EX1及び排出油路99の排出口EX5よりも軸方向内側に位置する。油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油が第2隙間112から流出する潤滑油とスプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油を含むとすれば、排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93から流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、注入油路93から流入される潤滑油の単位時間あたりの油量が調整されることが望ましい。
 この場合、第2隙間112の面積S2は、上述する面積Sbより小さいことが望ましい。これによって、第2隙間112は、油溜め部97に溜まった潤滑油が第2軸受83の転動体83c間から流出するのを抑えられる。
 第2隙間112の面積S2は、上述する面積SEX1より小さいことが望ましい。さらには、第2隙間112の面積S2と軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S2+Sbc)は、注入油路93の油吐出口EX1の面積SEX1より小さいこと(S2+Sbc<SEX1)が望ましい。さらに詳細には、面積S2と面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S2’、面積Sbc’とすると、S2’+Sbc’<SEX1とすることが望ましい。これにより、第2隙間112から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量を、注入油路93から流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下とすることが容易となる。
 [潤滑構造(第3実施例)]
 図8(a)(b)は、第3実施例における動力伝達装置25bの潤滑構造を示す断面図である。図8(b)は、図8(a)において点線で囲んだ部分の拡大図である。図9は、第3実施例における筐体90bを軸方向外側から見た図である。なお、図8(a)は、第1外部接続機器64及び第2外部接続機器66を除き、図9に示した切断面線III-III’により切断された切断面を示している。第3実施例では、突起部98bを第2軸受83よりも軸方向内側に設けた点が第1実施例と主に相違する。第3実施例では、第1実施例と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
 図8(a)を参照すると、突起部98bが第2軸受83よりも軸方向内側に位置している。このため、図8(b)に示すように、第2ケース側軸受支持部92は、第2軸受83の外輪83bと当接し、第2軸受83が軸方向内方に移動しないように規制する第3ケース段部92bを含む。また、第2ギヤ段部75aに代えて、第2軸受83が軸方向外方に移動しないように規制する止め輪175が第3実施例に係るボス部73bに挿入される。従って、ボス部73bは、止め輪175を挿入するための第2固定溝78を有している。
 第3実施例に係る注入油路93xは、筐体90b上面から下方向に延び、筐体90bを貫通する。注入油路93xの油吐出口EX2は、突起部98bよりも軸方向外側に位置する。したがって、後述する第1隙間110bの少なくとも一部は、油吐出口EX2よりも軸方向内側に位置する。
 図8(a)を参照すると、排出油路99bは、軸方向に伸び、突起部98bを貫通する。第1隙間110bの少なくとも一部は、排出油路99bの排出口EX6よりも軸方向内側に位置する。図9を参照すると、排出油路99bは、スプライン溝76の下端Bよりも上方に位置する。さらに、排出油路99bは、スプライン溝76の上端Uよりも上方に位置するとよい。排出油路99bは、軸方向に見て第1駆動軸80の回転中心Cと排出油路99bと注入油路93xとが一直線上に並ぶ位置に配置されている。ただし、排出油路99bと注入油路93xとの位置関係は、この例に限られない。
 図8(a)を参照すると、第3実施例に係る排油孔79bは、第1実施例に係る排油孔79に比べて、第1ギヤ側軸受支持部74により近い位置に設けられる。具体的には、排油孔79bは、軸方向において、PTOギヤ70の軸方向中心D-D’よりも第1ギヤ側軸受支持部74に近い位置に設けられる。この場合も、排油孔79bの潤滑油取入口Iは、スプライン溝76よりも軸方向奥側の内周面に位置する。ただし、排油孔79bと軸方向中心D-D’との位置関係は、この例に限られない。
 図8(b)を参照すると、突起部98bとボス部73bとの間には、第1隙間110bが設けられており、突起部98bと第2軸受83の内輪83aとの間には、第2隙間112bが設けられている。第2隙間112bの少なくとも一部は、注入油路93xの油吐出口EX2よりも軸方向内側に位置する。突起部98bは、第2軸受83の回転軸C-C’方向に見て、第2軸受83の内輪83aと外輪83bとの間の領域Zmと重畳する。
 動力伝達装置25bは、第1隙間110bを封止する第1シール102を含む。これによって、油溜め部97に溜まった潤滑油が第2軸受83の転動体83cの間を通って第1隙間110bから流出するのが抑えられる。
 なお、第1実施例と同様に、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93xから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93xから供給されることが望ましい。
 さらには、第1シール102が設けられていても、第1シール102から漏れ出る潤滑油の量が無視できない場合、第1シール102から漏れ出る潤滑油の単位時間あたりの油量と、スプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計が注入油路93xから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93xから供給されることが望ましい。
 したがって、注入油路93xから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量が油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量以上となるように、潤滑油が注入油路93xから供給されることが望ましい。注入油路93xから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量は、油溜め部97の排出油路99から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量と、油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量との合計油量と等しい。油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油は、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油と、第1シール102から漏れ出る潤滑油の単位時間あたりの油量とを含む。
 また、第1実施例と同様に、第1隙間110bの面積S1bは、図9にドットパターンで示される第2軸受83の開口部分Zoの面積Sbより小さいことが望ましい。第1隙間110bの面積S1bは、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2より小さいことが望ましい。
 さらには、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2は、第1隙間110bの面積S1bと軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S1b+Sbc)より大きいこと(SEX2>S1b+Sbc)が望ましい。さらに詳細には、面積S1bと面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S1b’、面積Sbc’とすると、SEX2>S1b’+Sbc’とすることが望ましい。
 第1シール102を設けた場合、第1シール102とその周辺部材との間に形成され、潤滑油の漏れの原因となる隙間の面積をSsealとする。通常、Ssealは極狭く、当該隙間からの漏れが無視できるほど少ないのであれば、SEX2>SbcもしくはSEX2>Sbc’とすれば十分である。しかし、Ssealからの漏れが無視できない場合には、SEX2>Sseal+Sbcとすることが望ましい。さらに詳細には、Ssealのうち、潤滑油に没している部分の面積をSseal’とすると、SEX2>Sseal’+Sbc’とすることが望ましい。
 なお、第3実施例において、第2実施例のように、第1シール102が省略されてもよい。この場合、油溜め部97の排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油が第1隙間110bから流出する潤滑油とスプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油を含むとすれば、排出油路99以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93xから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、注入油路93xから流入される潤滑油の油量が調整されるとよい。
 また、第2実施例で説明されたように、第1隙間110bの面積S1b、または、径方向に見た第2隙間112bの面積S2bが設計されるとよい。これによって、油溜め部97に溜まった潤滑油が第2軸受83の転動体83cの間を通って第1隙間110bから流出するのが抑えられる。
 [潤滑構造(第4実施例)]
 図10は、第4実施例における動力伝達装置25cの潤滑構造を示す断面図である。第4実施例では、第3実施例における注入油路93xを第2軸受83よりも軸方向内側に設けた点が第3実施例と相違する。第4実施例では、第3実施例と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する。
 第4実施例に係る注入油路93yは、第3実施例に係る注入油路93xと同じ形状を有している。しかし、第2軸受83よりも軸方向内側に油吐出口EX3を有している。ただし、油吐出口EX3は、突起部98bよりも軸方向外側に位置する。第1隙間110bの少なくとも一部は、油吐出口EX3及び排出油路99bの排出口EX6よりも軸方向内側に位置する。
 油吐出口EX3から吐出された潤滑油の一部は、排出油路99bから排出されるが、他の潤滑油は、第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97に至る。したがって、このような潤滑構造によっても、スプライン溝76と第1駆動軸80のスプライン歯の嵌合部の少なくとも一部は油浴され、確実に潤滑される。ただし、本実施例では、油吐出口EX3から吐出された潤滑油の一部が排出油路99bから流出してしまうことを考慮に入れ、注入油路93yから油溜め部97に流入する潤滑油の単位時間あたりの油量が設計されることが望ましい。
 第1隙間110bの面積S1bは、出来る限り小さくすることが好ましい。第1隙間110bからの潤滑油の流出量を減らすことで、第2軸受83の転動体83cを通って油溜め部97に至る潤滑油の流量を増やすことができる。第1シール102を設けた場合、第1シール102とその周辺部材との間に形成され、潤滑油の漏れの原因となる隙間をSsealとすると、SsealはS1bと比較してかなり小さく、潤滑油の流量をさらに減らすことができる。その結果、第2軸受83の転動体83cを通って油溜め部97に至る潤滑油の流量をさらに増やすことができる。
 第1実施例、第3実施例と同様に、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が、注入油路93yから第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93yから供給されることが望ましい。さらには、第1シール102が設けられていても、第1シール102から漏れ出る潤滑油の量が無視できない場合、第1シール102から漏れ出る潤滑油の単位時間あたりの油量と、スプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計が、注入油路93yから第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93yから供給されることが望ましい。
 したがって、注入油路93yから第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量が油溜め部97の排出油路99b以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量以上となるように、潤滑油が注入油路93yから供給されることが望ましい。注入油路93yから第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量は、油溜め部97の排出油路99bから流出する潤滑油の単位時間当たりの油量と、油溜め部97の排出油路99b以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量との合計油量と等しい。油溜め部97の排出油路99b以外の箇所から流出する潤滑油は、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油と、第1シール102から漏れ出る潤滑油とを含む。
 [潤滑構造(第5実施例)]
 第5実施例は、第4実施例において、突起部がPTOギヤ70に設けられた構造である。図11(a)(b)は、第5実施例における動力伝達装置25dの潤滑構造を示す断面図である。図11(b)は、図11(a)において点線で囲んだ部分の拡大図である。第5実施例では、一部の構造が第1実施例、第4実施例と同じ構造を有しているため、そのような構造については、第1実施例と第4実施例に使用された符号をそのまま使用している。第1実施例、第4実施例と同じ構造に関する詳細な説明は省略する。
 第5実施例に係るPTOギヤ70dは、回転力伝達部71とボス部73dに加えて、突起部72をさらに含む。突起部72は、回転力伝達部71及びボス部73dと別部品であり、例えば、圧入によってボス部73dに固定される。したがって、突起部72は、ボス部73dに設けられている。ボス部73dは、突起部72が軸方向内方に移動しないように規制する第2ギヤ段部75aを含む。ボス部73dは、第1固定溝77と第2固定溝78とを含まない点と第1実施例の排油孔79を含む点を除いて、第4実施例のボス部73bと実質的に同じである。
 突起部72は、第2軸受83よりも軸方向内側において、ボス部73dから径方向外方に延びている。図11(b)を参照すると、突起部72は、第2軸受83の回転軸C-C’方向に見て、第2軸受83の内輪83aと外輪83bとの間の領域Zmと重畳する。
 突起部72は、第5実施例に係る筐体90dと離隔している。突起部72と筐体90dとの間には、第3隙間114が設けられている。第3隙間114の少なくとも一部は、油吐出口EX3よりも軸方向内側に位置する。そして、本実施例に係る動力伝達装置25dは、第3隙間114内部で且つ油吐出口EX3よりも軸方向内側に第3シール106を含む。第3シール106は、例えば、シールリングであるが、径方向に封止することができるのであれば、他の種類のシールでもよい。図11(b)に示すように、第3シール106の軸方向の移動が規制されるように、突起部72には第3固定溝72bが設けられている。すなわち、突起部72は、第3固定溝72bを含む。第3シール106は、第3隙間114を封止する。したがって、注入油路93yから注入される潤滑油及び油溜め部97に溜まった潤滑油が第3隙間114から流出するのが抑えられる。
 なお、第1、第3、第4実施例と同様に、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が、注入油路93yから第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93yから供給されることが望ましい。さらには、第3シール106が設けられていても、第3シール106から漏れ出る潤滑油の量が無視できない場合、第3シール106から漏れ出る潤滑油の単位時間あたりの油量と、スプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計が、注入油路93yから第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93yから供給されることが望ましい。
 突起部72の軸方向の外端に、第2軸受83が軸方向内方に移動しないように規制する第3ギヤ段部72aが設けられる。つまり、突起部72は、第3ギヤ段部72aを含む。突起部72は、第2軸受83の内輪83aのみと接している。突起部72は、第2軸受83の外輪83bと離隔している。突起部72と外輪83bとの間には、第4隙間116が設けられている。注入油路93yから注入される潤滑油が第4隙間116と第2軸受83の転動体83c間を経由して油溜め部97に至る。第4隙間116は、注入油路93yからの潤滑油の流入を必要以上に妨げないように設計されることが望ましい。
 図12は、第5実施例における筐体90を軸方向外側から見た図である。なお、図12では、外段部96よりも径方向外側の筐体90の図示を省略している。また、図11(a)は、第1外部接続機器64及び第2外部接続機器66を除き、図12に示した切断面線IV-IV’により切断された切断面を示している。図13は、図12の切断面線V-V’により切断された動力伝達装置25dの一部を示している。
 なお、図12に示される、軸方向から見た第3隙間114の面積S3は、図12にドットパターンで示される、第2軸受83の内輪83aと外輪83bとの間の領域Zmのうちの開口されている部分Zoを軸方向から見た面積Sbより小さいことが望ましい。
 さらには、注入油路93yの油吐出口EX3の面積SEX3は、第3隙間114の面積S3と軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S3+Sbc)より大きいこと(SEX3>S3+Sbc)が望ましい。さらに詳細には、面積S3と面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S3’、面積Sbc’とすると、SEX3>S3’+Sbc’とすることが望ましい。
 第3隙間114の面積S3は、できるだけ小さくすることが望ましい。第3隙間114からの潤滑油の流出量を減らすことで、第2軸受83の転動体83cを通って油溜め部97に至る潤滑油の流量を増やすことができる。第3シール106を設けた場合、第3シール106とその周辺部材との間に形成され、潤滑油の漏れの原因となる隙間をSsealとすると、SsealはS3と比較してかなり小さく、潤滑油の流量をさらに減らすことができる。その結果、第2軸受83の転動体83cを通って油溜め部97に至る潤滑油の流量をさらに増やすことができる。
 第3シール106を設けた場合、第3シール106とその周辺部材との間に形成され、潤滑油の漏れの原因となる隙間の面積をSsealとする。通常、Ssealは極狭く、当該隙間からの漏れが無視できるほど少ないのであれば、注入油路93yの油吐出口EX3の面積SEX3は、SEX3>SbcもしくはSEX3>Sbc’を満たせば十分である。しかし、Ssealからの漏れが無視できない場合には、SEX3>Sseal+Sbcとすることが望ましい。さらに詳細には、Ssealのうち、潤滑油に没している部分の面積をSseal’とすると、SEX3>Sseal’+Sbc’とすることが望ましい。
 なお、第3隙間114の面積S3を小さくするためには、図11(b)に示す距離d3(d3は、第3隙間114の最小隙間距離とする)を小さくすること、及び、図11(a)に示す半径ds3を小さくすることが有効である。第3シール106を設ける場合において、ds3を小さくすることは、第3シール106を小さくするのに有効である。
 図12及び図13を参照すると、筐体90dは、第4実施例に係る筐体90bにおける突起部98bと排出油路99bとを含まない代わりに、排出油路99dを含んでいる。図12を参照すると、排出油路99dは、スプライン溝76の下端Bよりも上方に位置する。さらに、排出油路99dは、スプライン溝76の上端Uよりも上方に位置するとよい。これにより、油溜め部97に注入された潤滑油は、スプライン溝76及び第1駆動軸80(スプライン軸)の嵌合部の少なくとも一部を油浴させることで確実に潤滑し、余った潤滑油は排出油路99dによってタンク部65に排出される。
 注入油路93yから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量が油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量以上となるように、潤滑油が注入油路93yから供給されることが望ましい。注入油路93yから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量は、油溜め部97の排出油路99dから流出する潤滑油の単位時間当たりの油量と、油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量との合計油量と等しい。排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油は、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油と、第3シール106から漏れ出る潤滑油とを含む。
 図13を参照すると、排出油路99dは、延出部95と第2ケース側軸受支持部92との内部に形成される。排出油路99dは、排出口EX4から径方向外方に延び、筐体90dを貫通する。排出口EX4は、第2軸受83よりも軸方向外側、且つ、突起部72よりも軸方向外側に位置している。したがって、第3隙間114の少なくとも一部は、排出口EX4よりも軸方向内側に位置する。排出口EX4は、延出部95と第2ケース側軸受支持部92との間に形成されている。
 以上の構成によっても、スプライン溝76と第1駆動軸80(スプライン軸)との嵌合部が確実に潤滑される。また、スプライン溝76と第1駆動軸80との嵌合部を潤滑した潤滑油は循環する。
 なお、第5実施例において、第2実施例のように、第3シール106が省略されてもよい。この場合、油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油が第3隙間114から流出する潤滑油とスプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油とを含むとすれば、排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93yから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、注入油路93yから流入される潤滑油の油量が調整されるとよい。
 この場合も、第2実施例と同様に、第3隙間114の面積S3は、第2軸受83の開口部分Zoを軸方向から見た面積Sbより小さいことが好ましい。これによって、突起部72によって注入油路93yから注入される潤滑油及び油溜め部97に溜まった潤滑油が第3隙間114から流出するのが抑えられる。
 さらに、第3隙間114の面積S3は、注入油路93yの油吐出口EX3の面積SEX3より小さいことが好ましい。第3隙間114の面積S3と軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S1+Sbc)は、注入油路93yの油吐出口EX3の面積SEX3より小さい(S1+Sbc<SEX3)ことが望ましい。さらに詳細には、面積S3と面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S3’、面積Sbc’とすると、S3’+Sbc’<SEX3とすることが望ましい。これにより、第3隙間114から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量を、注入油路93yから流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下とすることが容易となる。
 [潤滑構造(第6実施例)]
 第6実施例は、第5実施例における突起部72が第2軸受83よりも軸方向外側に設けられた構造である。突起部72がギヤ側に設けられ、しかも、第2軸受83よりも軸方向外側に設けられる場合、第2軸受83の取り付けのために、突起部72または回転力伝達部71が取り外し可能でなければならない。第6実施例は、突起部72がボス部と一体になっており、回転力伝達部71がボス部から取り外し可能である例を示す。
 図14(a)(b)は、第6実施例における動力伝達装置25eの潤滑構造を示す断面図である。図14(b)は、図14(a)において点線で囲んだ部分の拡大図である。第6実施例では、一部の構造が第1実施例、第3実施例、第5実施例と同じ構造を有しているため、そのような構造については、第1実施例と第3実施例と第5実施例に使用された符号をそのまま使用している。第1実施例、第3実施例、第5実施例と同じ構造に関する詳細な説明は省略する。
 第6実施例に係るPTOギヤ70eは、回転力伝達部71eとボス部73eとを含む。回転力伝達部71eとボス部73eとは、それぞれ別部品であり、スプライン嵌合等の固定手段によって結合している。ボス部73eは、突起部72eを含む。突起部72eは、ボス部73eと一体に形成されている。突起部72eは、第2軸受83の軸方向外側において、第2ギヤ側軸受支持部75から径方向外方に突出する。突起部72eは、第2軸受83の回転軸C-C’方向に見て、第2軸受83の内輪83aと外輪83bとの間の領域Zmと重畳する。
 本実施例に係る筐体90eは、第5実施例に係る筐体90dと、注入油路の位置のみが実質的に異なる。筐体90eは、第3実施例に係る注入油路93xを含む。注入油路93xは、突起部72eよりも軸方向外側に位置する。突起部72eは、筐体90eと離隔している。突起部72eと筐体90eとの間には、第3隙間114eが設けられている。第3隙間114eの少なくとも一部は、注入油路93xの油吐出口EX2及び排出油路99dの排出口EX4よりも軸方向内側に位置する。
 本実施例に係る動力伝達装置25eは、第3隙間114eに設けられた第3シール106を含む。図14(b)に示すように、第3シール106の軸方向の移動が規制されるように、突起部72eには第3固定溝72bが設けられている。第3シール106は、第3隙間114eを封止する。したがって、注入油路93xから注入される潤滑油及び油溜め部97に溜まった潤滑油が第3隙間114eから流出するのが抑えられる。
 なお、本実施例においても、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93xから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93xから供給されることが望ましい。さらには、第3シール106が設けられていても、第3シール106から漏れ出る潤滑油の量が無視できない場合、第3シール106から漏れ出る潤滑油の単位時間あたりの油量と、スプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計が、注入油路93xから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、潤滑油が注入油路93xから供給されることが望ましい。
 したがって、注入油路93xから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量が油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量以上となるように、潤滑油が注入油路93xから供給されることが望ましい。注入油路93xから油溜め部97へ流入する潤滑油の単位時間当たりの油量は、油溜め部97の排出油路99dから流出する潤滑油の単位時間当たりの油量と、油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量との合計油量と等しい。油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油は、スプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油と、第3シール106から漏れ出る潤滑油とを含む。
 本実施例においても、第3隙間114eの面積S3eは、第2軸受83の開口部分Zoを軸方向から見た面積Sbより小さいことが好ましい。第3隙間114eの面積S3eは、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2より小さいことが好ましい。さらに、第3隙間114eの面積S3eと軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S3e+Sbc)は、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2より小さいこと(S3e+Sbc<SEX2)が望ましい。さらに詳細には、面積S3eと面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S3e’、面積Sbc’とすると、S3e’+Sbc’<SEX2とすることが望ましい。
 なお、第3隙間114eの面積S3eは、(式2)によって求められる。
S3e=π×{(ds3+d3)-(ds3)} …(式2)
 第3シール106を設けた場合、第3シール106とその周辺部材との間に形成され、潤滑油の漏れの原因となる隙間の面積をSsealとする。通常、Ssealは極狭く、当該隙間からの漏れが無視できるほど少ないのであれば、SEX2>SbcもしくはSEX2>Sbc’とすれば十分である。しかし、Ssealからの漏れが無視できない場合には、SEX2>Sseal+Sbcとすることが望ましい。さらに詳細には、Ssealのうち、潤滑油に没している部分の面積をSseal’とすると、SEX2>Sseal’+Sbc’とすることが望ましい。
 以上の構成によっても、スプライン溝76と第1駆動軸80(スプライン軸)との嵌合部が確実に潤滑される。また、スプライン溝76と第1駆動軸80の嵌合部を潤滑した潤滑油は循環する。
 なお、第6実施例において、第2実施例のように、第3シール106が省略されてもよい。この場合、軸方向に延びる第3隙間114eの面積S3eが、突起部98と第2軸受83の外輪83bとの間で径方向に延びる第4隙間116eの面積S4eよりも小さい場合、第3隙間114eが油溜め部97に溜まった潤滑油の流出を抑える役割を主に果たしている。面積S4eは、第2実施例の第2隙間112の面積S2と同様に算出することができる。つまり、面積S4eは、中心軸C-C’からの径方向の距離ds4r(ds4rは、突起部72eの外半径と第2軸受83の外輪83bの内半径との間の任意の半径位置である)における、突起部72eと第2軸受83の外輪83bとに挟まれる円筒面の面積の最小値として求められる。
 このとき、油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油が第3隙間114eから流出する潤滑油とスプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油とを含むとすれば、排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量が注入油路93xから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、注入油路93xから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量が調整されることが望ましい。
 この場合も、第3隙間114eの面積S3eは、第2軸受83の開口部分Zoを軸方向から見た面積Sbより小さいことが好ましい。これによって、注入油路93xから注入される潤滑油及び油溜め部97に溜まった潤滑油が第3隙間114eから流出するのが抑えられる。
 さらに、第3隙間114eの面積S3は、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2より小さいことが好ましい。第3隙間114eの面積S3と軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S3+Sbc)は、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2より小さいこと(S3+Sbc<SEX2)が望ましい。さらに詳細には、面積S3と面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S3’、面積Sbc’とすると、S3’+Sbc’<SEX2とすることが望ましい。これにより、第3隙間114eから流出する潤滑油の単位時間当たりの油量を、注入油路93xから流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下とすることが容易となる。
 一方、第4隙間116eの面積S4eが第3隙間114eの面積S3eよりも小さい場合、第4隙間116eが注入油路93xから注入される潤滑油及び油溜め部97に溜まった潤滑油の流出を抑える役割を主に果たしている。第4隙間116eの少なくとも一部は、注入油路93xの油吐出口EX2及び排出油路99dの排出口EX4よりも軸方向内側に位置する。このとき、油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油が第4隙間116eから流出する潤滑油とスプライン嵌合部のバックラッシから油溜め部97の外へ流出する潤滑油とを含むとすれば、排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間当たりの油量との合計が注入油路93xから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量以下となるように、注入油路93xから流入される潤滑油の単位時間あたりの油量が調整されることが望ましい。
 この場合、第4隙間116eの面積S4は、第2軸受83の開口部分Zoを軸方向から見た面積Sbより小さいことが好ましい。これによって、突起部72によって注入油路93xから注入される潤滑油及び油溜め部97に溜まった潤滑油が第4隙間116eから流出するのが抑えられる。
 さらに、第4隙間116eの面積S4は、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2より小さいことが好ましい。第4隙間116eの面積S4と軸方向から見たスプライン嵌合部のバックラッシの面積Sbcの和(S4+Sbc)は、注入油路93xの油吐出口EX2の面積SEX2より小さいこと(S4+Sbc<SEX2)が望ましい。さらに詳細には、面積S4と面積Sbcのうち、油溜め部97の内部において貯留した潤滑油に没している部分の面積をそれぞれ面積S4’、面積Sbc’とすると、S4’+Sbc’<SEX2とすることが望ましい。これにより、第4隙間116eから流出する潤滑油の単位時間当たりの油量を、注入油路93xから流入する潤滑油の単位時間当たりの油量以下とすることが容易となる。
 [特徴]
 上述する動力伝達装置25,25a~25eは、以下の特徴を有する。
 (1)動力伝達装置25,25a~25eは、スプライン溝76と第1駆動軸80とのスプライン嵌合部と連通する油溜め部97と、潤滑油を油溜め部97に注入するための注入油路93,93x,93yと、油溜め部97に溜まった潤滑油を排出するための排出油路99,99b,99dとを含む。排出油路99,99b,99dは、ボス部73,73b,73d,73eのスプライン溝76の下端Bよりも上方に位置する。
 これらの動力伝達装置では、スプライン溝76の下端、すなわち、スプライン嵌合部の少なくとも一部は確実に潤滑油によって油浴され、確実に潤滑される。また、油溜め部97において、排出油路99,99b,99dの高さまで潤滑油が溜まると、排出油路99,99b,99dを通って余分な潤滑油が排出され、潤滑油は循環する。したがって、長期間使用したとしても、潤滑不良を抑えることができる。したがって、スプライン嵌合部の摩耗や損傷、より具体的には、スプライン歯面の摩耗や損傷が防止される。
 (2)突起部98,98b,72,72eは、油溜め部97の軸方向内側に位置する。さらに、突起部98,98b,72,72eは、第2軸受83の回転軸C-C’方向に見て内輪83aと外輪83bとの間の領域Zmと重畳する。これによって、油溜め部97に溜まった潤滑油が第2軸受83の転動体83c間から流出するのが抑えられる。
 (3)排出油路99,99b,99dは、スプライン溝76の上端Uよりも上方に位置する。これによって、スプライン嵌合部の全体は確実に潤滑油によって油浴することができる。
 (4)ボス部73,73b,73d,73eは、スプライン溝76よりも軸方向奥側に位置する潤滑油取入口Iから、ボス部73,73b,73d,73eの外周面に位置する潤滑油排出口Oまで延びる排油孔79,79b,79eを含む。これによって、たとえ孔部74iが第2第2駆動軸81によって塞がれたとしても、スプライン嵌合部を油浴した潤滑油は、スプライン嵌合部のバックラッシを通って、排油孔79、79b、79eから排出される。よって、スプライン嵌合部には潤滑油が滞留することなく、循環する。その結果、潤滑不良をさらに抑えることができる。
 (5)第1隙間~第4隙間の少なくとも一部は、注入油路93,93x,93yの油吐出口EX1~EX3及び排出油路99,99b,99dの排出口EX4~EX6よりも軸方向内側に位置する。このため、注入油路93,93x,93yから注入される潤滑油が油溜め部97以外の場所に流出することが抑えられる。
 (6)突起部98,98bが筐体90,90b,90cに設けられるとき、油溜め部97の排出油路99,99b以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量は、注入油路93,93x,93yから流入する潤滑油の単位時間あたりの油量以下である。より詳細には、第1隙間110,110bまたは第2隙間112,112bから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量と、スプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計が、注入油路93,93x,93yから流入する潤滑油の単位時間あたりの油量以下である。これによって、油溜め部97には、排出油路99,99bが設けられたレベルまで潤滑油が確実に溜められる。
 (7)(6)の場合において、動力伝達装置25,25b,25cは、第1隙間110,110bを封止する第1シール102をさらに含む。これによって、油溜め部97に溜まった潤滑油が第1隙間110,110bから流出することをさらに抑制することができる。
 (8)突起部72,72eがボス部73d,73eに設けられるとき、油溜め部97の排出油路99d以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量は、注入油路93x,93yから流入する潤滑油の単位時間あたりの油量以下である。より詳細には、第3隙間114,114e、または、第4隙間116eから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量と、スプライン嵌合部のバックラッシから流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計が、注入油路93x,93yから流入する潤滑油の単位時間あたりの油量以下である。これによって、油溜め部97には、排出油路99dが設けられたレベルまで潤滑油が確実に溜められる。
 (9)(8)の場合において、動力伝達装置25d,25eは、第3隙間114,114eを封止する第3シール106をさらに含む。これによって、油溜め部97に溜まった潤滑油が第3隙間114,114eから流出することをさらに抑制することができる。
 [変形例]
 本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
 (a)上述した実施形態では、作業車両1としてホイールローダを例示したが、上述した実施形態に係る動力伝達装置は、ホイールローダ以外の、例えば、油圧ショベル、ブルドーザ、ダンプトラック、モータグレーダ等の建設機械やその他の作業車両にも広く適用することができる。
 (b)上述する実施形態は、PTOギヤ内部のスプライン構造を潤滑する例を示しているが、動力伝達装置25内の他のポンプ、モータと連結する部分に同様の潤滑構造を適用してもよい。例えば、第1外部接続機器64、第2外部接続機器66は、油圧モータであってもよい。さらに、第1外部接続機器64、第2外部接続機器66は、電動モータや発電機であってもよい。また、動力伝達装置25内の他のスプライン嵌合部にも適用可能である。つまり、外部接続機器との結合部分以外のスプライン嵌合部に対して上述する実施形態の潤滑構造が適用されてもよい。
 (c)上述する実施形態において、回転力伝達部71、71eは、歯車の歯である例を示しているが、チェーンと嵌合するスプロケット、ベルトが巻回されたプーリなどの他の回転力伝達機構によって形成されてもよい。
 (d)上述する実施形態では、スプライン軸(第1駆動軸80)とスプライン溝76とが嵌合するスプライン嵌合部は、強制潤滑される例を示しているが、スプライン嵌合部は、はねかけ潤滑されてもよい。この場合、注入油路93,93x,93yが油溜め部97の上方に設けられ、注入油路93,93x,93yの少なくとも一部に、PTOギヤ70、駆動ギヤ62等が跳ね上げた潤滑油を受ける受け口が設けられるとよい。
 (e)第5、第6実施例において、第2実施例と同様に、第3隙間114、114eは、軸方向に延びるサブ隙間と径方向に延びるサブ隙間を含んでもよい。これらのサブ隙間のうち、面積が狭い方の隙間において潤滑油の流出が抑えられるように、隙間の大きさが定められればよい。
 (f)また、第1実施例、第3実施例、第4実施例のように、第1隙間110、110bに第1シール102を設けるのではなく、第2隙間112、112bにシールを設けてもよい。図15は、第2実施例において第2隙間112にシールを設けた第1変形例を示している。第1変形例では、第1シール102に代えて、第2隙間112を封止する第2シール104が設けられている。つまり、本変形例に係る動力伝達装置25yは、第2シール104を含む。図15では、第2シール104として、V型端面シールが図示されているが、軸方向に封止することができるのであれば、他の種類のシールでもよい。第2シール104は、突起部98の軸方向内側面に配置されている。図15では、第2シール104は第2軸受83の内輪83aの端面と当接しているが、第2シール104は第2ギヤ側軸受支持部75の第4ギヤ段部75bの端面と当接してもよい。この変形例でも、第1シール102を設けたのと同じ効果が生じている。
 さらに、第2変形例とは反対にギヤ側にシールが設けられても良い。図16は、第2変形例において、第2サブ隙間121をシールする第1シール103がギヤ側に設けられた第2変形例を示した図である。図16では、第1シール103として、V型端面シールが図示されているが、軸方向に封止することができるのであれば、他の種類のシールでもよい。第1シール103は、第2軸受83の軸方向外側に配置されている。この変形例でも、第1実施例において第1シール102を設けたのと同じ効果が生じている。
 なお、第5、第6実施例においても、第1変形例と同様のことが言える。すなわち、第4隙間116,116eに第2シールと同様の第4シールが設けられてもよい。図17は、第6実施例において第4隙間116eにシールを設けた第3変形例を示している。第3変形例では、第3シール106に代えて、第4隙間116eを封止する第4シール108が設けられている。つまり、本変形例に係る動力伝達装置25uは、第4シール108を含む。図17では、第4シール108として、V型端面シールが図示されているが、軸方向に封止することができるのであれば、他の種類のシールでもよい。第4シール108は、突起部72uの軸方向内側面に設けられた第4固定溝72cに配置されている。この変形例でも、第3シール106を設けたのと同じ効果が生じている。
 なお、図17では、第4シール108は、第2軸受83の外輪83bの端面と当接しているが、第4シール108は筐体90の端面と当接してもよい。図18では、第4シール108は筐体90の端面と当接する第4変形例を示している。本変形例に係る動力伝達装置25vでは、第3隙間114eが軸方向に延びる第3サブ隙間124と径方向に延びる第4サブ隙間125とを含む。本変形例では、第4サブ隙間125は、第4シール108と、筐体90の端面90vとの間に設けられている。第4シール108は、第4サブ隙間125を封止する。この変形例でも、第3シール106を設けたのと同じ効果が生じている。
 (g)第1~第4実施例は、突起部98、98bが筐体90~90cの他の部分と一体的に形成された例を示しているが、突起部98、98bが別部品であってもよい。その場合、突起部98、98bが筐体90~90cに圧入されて固定されてもよい。もしくは、ボルト・ナットなど他の固定方法によって、突起部98、98bが筐体90~90cに固定されてもよい。
 第5実施例において、突起部72がボス部73dと一体的に形成されてもよい。この場合、第5実施例に係るボス部73dには、第3実施例に係る排油孔79bの位置に排油孔が設けられてもよい。また、第6実施例において、突起部72eがボス部73eと別の部品として形成され、突起部72eがボス部73eに圧入によって固定されてもよい。その場合、回転力伝達部71eとボス部73eとが一体的に形成されてもよい。第4、第5実施例において、突起部とボス部が別部品である場合、圧入以外の固定方法によって、突起部がボス部に固定されてもよい。
 (h)第3、第4実施例において排出油路99bの代わりに、第1、第2実施例の排出油路99と同じ位置に排出油路が設けられてもよい。また、第1~第4実施例において排出油路99,99bに代えて、排出油路99dが設けられてもよい。また、排油孔79,79b,79eの形状は任意であって、位置もスプライン溝76よりも軸方向内側であれば、上述の実施例の位置に限定されない。
 (i)上述する実施形態において、第1軸受82、第1ギヤ側軸受支持部74、第1ケース側軸受支持部91が省略されてもよい。同様に、第2軸受83、第2ギヤ側軸受支持部75、第2ケース側軸受支持部92が省略されてもよい。ただし、この場合は、PTOギヤの支持軸受として複列アンギュラ軸受、もしくは、背面合わせのテーパローラ軸受を用いるなど、PTOギヤの支持構造に関する十分な考慮が必要となる。
 (j)回転力伝達部71、71eとボス部73との位置関係は上述の例に限られない。回転力伝達部71、71eは、ボス部73の軸方向中心から外れた位置に形成されてもよい。また、回転力伝達部71は、ボス部73の表面に形成されてもよい。
 (k)上述した実施形態では、第1外部接続機器64、第2外部接続機器66は、それぞれ、第1駆動軸80、第2駆動軸81を含む構成を示したが、第1外部接続機器64、第2外部接続機器66は、ボス部を含むものであって、ボス部と嵌合するスプライン軸に回転力伝達部71、71eが結合されたものであってもよい。図19は、第1外部接続機器64がボス部を含む第5変形例を示す。第5変形例は、第4実施例の一部を変形したものである。図19において、第4実施例と同じ構成には、同じ符号を付しており、当該構成に係る説明を省略する。また、図19では破断線を利用して、第1外部接続機器64zの内部構造を示している。
 第5実施例において、PTOギヤ70zは、回転力伝達部71と軸部73zとを含む。軸部73zは、第1ギヤ側軸受支持部74(図示せず)と、第2ギヤ側軸受支持部75と、スプライン軸80zとを含む。第1外部接続機器64zは、ボス部85を含む。ボス部85は、スプライン軸80zと連結する側の内周面にスプライン溝86を有している。スプライン溝86は、スプライン軸80zと噛み合う。ボス部85は、スプライン溝86の軸方向外側に、孔部85iを有する。孔部85iの内周面から径方向外方に延び、ボス部85を貫通する排油孔87が設けられている。筐体90zは、第4実施例の延出部95よりも長い延出部95zを有している。
 注入油路93yから供給される潤滑油は、第2軸受83の転動体83cの間を通って油溜め部97zに至る。油溜め部97zに溜まった潤滑油は、スプライン軸80zとスプライン溝86とのスプライン嵌合部を通って、孔部85iに流入する。孔部85iに流入した潤滑油は、排油孔86を通って油溜め部97zに戻る。油溜め部97zにおいて、所定量以上の潤滑油が溜まったとき、排出油路99bを経由して潤滑油が流出する。このような構成によっても、スプライン軸80zとスプライン溝86とのスプライン嵌合部を潤滑する潤滑油は循環する。
 スプライン嵌合部の潤滑性の低下を抑えることができる構造を有する動力伝達装置、及び、当該動力伝達装置を備える作業車両が提供される。

Claims (26)

  1.  内周面にスプライン溝を有するボス部と、
     前記スプライン溝と嵌合するスプライン軸と、
     前記ボス部または前記スプライン軸と結合する回転力伝達部と、
     前記スプライン軸と前記スプライン溝との嵌合部と連通する、潤滑油を貯留するための油溜め部、前記潤滑油を前記油溜め部に注入するための注入油路、及び前記スプライン溝の下端よりも上方に位置し、前記油溜め部に溜まった潤滑油を排出するための排出油路を含む筐体と、
    を備える、
    動力伝達装置。
  2.  前記筐体または前記ボス部は、前記油溜め部の軸方向内側に位置する突起部を含む、請求項1に記載の動力伝達装置。
  3.  前記ボス部を回転自在に支持する軸受をさらに備え、
     前記突起部は、前記軸受の回転軸方向に見て、前記軸受の内輪と外輪との間の領域と重畳する、
    請求項2に記載の動力伝達装置。
  4.  前記排出油路は、前記スプライン溝の上端よりも上方に位置する、
    請求項1から3のいずれかに記載の動力伝達装置。
  5.  前記ボス部は、前記スプライン溝よりも軸方向奥側の前記内周面に位置する潤滑油取入口から、前記ボス部の外周面に位置する潤滑油排出口まで延びる排油孔を含む、
    請求項1から4のいずれかに記載の動力伝達装置。
  6.  前記突起部が前記筐体に設けられており、
     前記突起部と前記ボス部との間に第1隙間が設けられ、
     前記第1隙間の少なくとも一部は、前記注入油路の油吐出口及び前記排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置する、
    請求項2、3、請求項2または3に従属する、請求項4、5のいずれかに記載の動力伝達装置。
  7.  前記動力伝達装置は、前記第1隙間を封止する第1シールをさらに含む、請求項6に記載の動力伝達装置。
  8.  前記突起部が前記筐体に設けられており、
     前記突起部と前記軸受の前記内輪との間に第2隙間が設けられ、
     前記第2隙間の少なくとも一部は、前記注入油路の油吐出口及び前記排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置する、
    請求項2、3、請求項2または3に従属する請求項4、5のいずれかに記載の動力伝達装置。
  9.  前記動力伝達装置は、前記第2隙間を封止する第2シールをさらに含む、請求項8に記載の動力伝達装置。
  10.  前記突起部が前記ボス部に設けられており、
     前記突起部と前記筐体との間に第3隙間が設けられ、
     前記第3隙間の少なくとも一部は、前記注入油路の油吐出口及び前記排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置する、
    請求項1から5のいずれかに記載の動力伝達装置。
  11.  前記動力伝達装置は、前記第3隙間を封止する第3シールをさらに含む、請求項10に記載の動力伝達装置。
  12.  前記突起部が前記ボス部に設けられており、
     前記突起部と前記軸受の前記外輪との間に第4隙間が設けられ、
     前記第4隙間の少なくとも一部は、前記注入油路の油吐出口及び前記排出油路の排出口よりも軸方向内側に位置する、
    請求項3、請求項3に従属する請求項4、5のいずれかに記載の動力伝達装置。
  13.  前記動力伝達装置は、前記突起部と前記軸受の前記外輪との間の第4隙間を封止する第4シールをさらに含む、請求項12に記載の動力伝達装置。
  14.  前記排出油路は、前記突起部を前記軸方向に貫通する、
    請求項6から9のいずれかに記載の動力伝達装置。
  15.  前記排出油路は、前記筐体に設けられ、前記突起部よりも軸方向外側に位置する排出口から径方向外方に延び、前記筐体を貫通する、
    請求項2、請求項2に従属する請求項3から14のいずれかに記載の動力伝達装置。
  16.  前記突起部が前記ボス部及び前記筐体と別部品で形成されており、
     前記突起部が前記ボス部または前記筐体に固定されている、
    請求項2から15のいずれかに記載の動力伝達装置。
  17.  前記注入油路から前記油溜め部に流入する潤滑油の単位時間あたりの油量は、前記油溜め部の前記排出油路以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量以上である、
    請求項1から16のいずれかに記載の動力伝達装置。
  18.  前記注入油路から前記油溜め部に流入する潤滑油の単位時間あたりの油量は、前記排出油路から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量と、前記排出油路以外の箇所から流出する潤滑油の単位時間あたりの油量との合計油量に等しい、
    請求項17に記載の動力伝達装置。
  19.  前記排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、前記嵌合部から流出する潤滑油を含む、請求項17または18に記載の動力伝達装置。
  20.  前記排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、前記第1隙間から流出する潤滑油を含む、
    請求項6に従属する、請求項17から19のいずれかに記載の動力伝達装置。
  21.  前記排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、前記第2隙間から流出する潤滑油を含む、
    請求項8に従属する、請求項17から19のいずれかに記載の動力伝達装置。
  22.  前記排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、前記第3隙間から流出する潤滑油を含む、
    請求項10に従属する請求項から19のいずれかに記載の動力伝達装置。
  23.  前記排出油路以外の箇所から流出する潤滑油は、前記第4隙間から流出する潤滑油を含む、請求項12に従属する、請求項17から19のいずれかに記載の動力伝達装置。
  24.  請求項2及び、請求項2に従属する請求項3から23に記載の動力伝達装置と、 前記筐体に固定される第1外部接続機器と、
    を備え、
     前記第1外部接続機器は、前記スプライン軸を含み、
     前記油溜め部は、前記第1外部接続機器、前記突起部、前記ボス部、及び前記スプライン軸に囲まれた領域内に形成される、
    作業車両。
  25.  前記第1外部接続機器が固定される前記筐体の側面の反対側の前記筐体の側面に固定され、前記ボス部の孔部に挿入される駆動軸を含む第2外部接続機器をさらに備える、
    請求項24に記載の作業車両。
  26.  前記スプライン軸と異なる回転軸周りに回転する出力軸を有する駆動源と、
     前記出力軸と連結するトランスミッションと、
     前記出力軸と連結し、前記駆動源からの駆動力の一部を前記回転力伝達部に伝達する伝動機構と、
    をさらに備える、請求項24または25に記載の作業車両。
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