WO2016002381A1

WO2016002381A1 - 洗浄装置

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Publication number: WO2016002381A1
Application number: PCT/JP2015/064751
Authority: WO
Inventors: 勝俣　和彦; 正敏三塚; 治坂本; 喬裕永田
Original assignee: 株式会社Ihi; 株式会社Ｉｈｉ機械システム
Priority date: 2014-06-30
Filing date: 2015-05-22
Publication date: 2016-01-07
Also published as: US20170056937A1; DE112015003079T5; JP6014630B2; CN106457321A; DE112015003079B4; US10118204B2; JP2016010776A

Abstract

　この洗浄装置は、被洗浄物を収容する洗浄室（１）と、この洗浄室に接続された乾燥室（４）と、洗浄室に設けられた第１開口（１ｃ）と乾燥室に設けられた第２開口（４ｊ）とを接続する接続部材（５）と、洗浄室内に位置し且つ第１開口（１ｃ）に対向する弁体（６ｂ）と、この弁体（６ｂ）に対向する弁座（１ｆ）と、弁体（６ｂ）を駆動するアクチュエータ（６ａ）と、を備える。

Description

洗浄装置

　本発明は、洗浄装置に関する。
　本願は、２０１４年６月３０日に日本に出願された特願２０１４－１３３９２９号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　特許文献１には、炭化水素系洗浄剤の蒸気を生成する蒸気室と、蒸気室から供給される炭化水素系洗浄剤の蒸気によって減圧下でワークを洗浄する洗浄室と、開閉バルブを介して洗浄室に接続されると共に減圧状態かつ低温状態に保持された乾燥室とを備え、洗浄室におけるワークの洗浄が終了すると、開閉バルブを開弁状態とすることにより洗浄室と乾燥室とを連通させてワークを乾燥させる真空洗浄装置が開示されている。

　すなわち、この真空洗浄装置では、減圧状態に保持された乾燥室が、洗浄時の蒸気供給によって乾燥室よりも高圧状態になっている洗浄室と連通して、この洗浄室が急速に減圧されることにより、ワークに付着した洗浄液（洗浄剤）が瞬間的に気化して洗浄室から乾燥室に移動して凝縮し、以ってワークの乾燥を実現する。なお、下記特許文献２にも、特許文献１と同様な乾燥室（凝縮室）を備えた真空洗浄装置が開示されている。

　また、下記特許文献３～６にも、洗浄液を用いてワークを洗浄する洗浄装置や洗浄方法が開示されている。

日本国特開２０１４－０７３４５３号公報国際公開第２０１３／０７７３３６号日本国特開２０１３－２０２５６６号公報日本国特開２０１１－１３１２１６号公報日本国特開平７－２５６２２１号公報日本国特開２００１－３２１４１７号公報

　上記特許文献１等に開示された従来技術では、洗浄室内を急速減圧することによりワークに付着した洗浄液を気化させているが、この急速減圧は洗浄室と乾燥室とを非連通状態から連通状態に切り替えることによって実現しているので、洗浄室の容積を可能な限り小さくすることが有効である。洗浄室の容積をより小さくすることによって、ワークをより確実に乾燥させることが可能となる。

　本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ワークを従来よりも容易に乾燥させることを目的とする。

　上記目的を達成するために、本発明の第１の態様に係る洗浄装置は、被洗浄物を収容する洗浄室と、この洗浄室に接続された乾燥室と、洗浄室に設けられた第１開口と乾燥室に設けられた第２開口とを接続する接続部材と、洗浄室内に位置し且つ第１開口に対向する弁体と、この弁体に対向する弁座と、弁体を駆動するアクチュエータと、を備える。

　本発明の第２の態様では、上記第１の態様に係る洗浄装置が、接続部材による洗浄室と乾燥室との接続状態を連通状態あるいは非連通状態に切り替える開閉機構をさらに備える。また、開閉機構は、弁体と、第１開口を備える弁座と、アクチュエータとを備え、弁体と弁座とを離間させることによって洗浄室と乾燥室とを連通させるように構成されている。

　本発明の第３の態様では、上記第１または第２の態様に係る洗浄装置が、第１開口に摺動可能に嵌合し且つ第１開口に対する弁体の位置を規定するサポート部材をさらに備える。

　本発明の第４の態様では、上記第１～第３のいずれか一つの態様に係る洗浄装置において、アクチュエータは、乾燥室に備えられ、接続部材の内部において弁体と接続されている。

　本発明の第５の態様では、上記第１～第４のいずれか一つの態様に係る洗浄装置において、接続部材は蛇腹である。

　本発明の第６の態様では、上記第１～第５のいずれか一つの態様に係る洗浄装置において、弁体は、洗浄室内に収容された被洗浄物と相対移動可能に構成されている。

　本発明によれば、洗浄室内に位置する弁体を第１開口の弁座から離間させることによって洗浄室と乾燥室とを連通させるので、ワークを容易に乾燥させることができる。

本発明の一実施形態に係る真空洗浄装置の全体的な概要構成を示す斜視図である。本発明の一実施形態に係る真空洗浄装置の概要構成を示す正面図である。本発明の一実施形態に係る真空洗浄装置における開閉機構の詳細構成を示す断面図である。

　以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
　本実施形態に係る真空洗浄装置１００は、図１～図３に示すように、洗浄室１、蒸気発生部２、フロントドア３、乾燥室４、接続部材５、開閉機構６、真空ポンプ７、冷媒供給源８及び再生濃縮器９を備えている。

　この真空洗浄装置１００の概要について最初に説明すると、この真空洗浄装置１００は、汚れ成分が付着したワーク（被洗浄物）に洗浄剤の蒸気（洗浄蒸気）を作用させることによりワークを洗浄する装置である。すなわち、この真空洗浄装置１００は、洗浄蒸気を所定期間（洗浄期間）に亘って連続的に洗浄室に供給することにより、洗浄室内に収容されたワークの表面で洗浄蒸気の付着と凝縮とを連続的に行わせ、以ってワークの表面に付着した汚れ成分を洗浄剤の凝縮液とともにワークの表面から洗い落す。なお、ワークは、例えば加工によって表面に切削油等が汚れ成分として付着した金属部品である。

　このような真空洗浄装置１００は、図１に直交座標軸として示すＸ軸、Ｙ軸及びＺ軸のうち、Ｚ軸が鉛直方向となるように所定の台座（図示略）上に設置される。なお、この図１では、本実施形態に係る真空洗浄装置１００の特徴点に直接関係しない構成要素、例えば各種の配管や弁については、便宜的に省略している。実際の真空洗浄装置（実機）は、上述した各構成要素の周囲に複数の配管や弁が実装され、さらにその外側に外装品が実装されている。

　洗浄室１は、全体として中空の直方体形状（略箱型）に形成されており、内部空間がワークを収容する。この洗浄室１には、一側面（フロント面（図１の左手前側の面））に開口（ワーク挿通口１ａ）が設けられている。このワーク挿通口１ａは、洗浄室１と外部との間でワークを出し入れするための鉛直姿勢の開口であり、図示するように矩形形状である。すなわち、ワーク挿通口１ａは、その開口方向が水平方向に平行となるように形成されている。なお、このようなワーク挿通口１ａの周囲外側には、フロントドア３と密着するためのシール材が全周に亘って設けられている。

　また、このような洗浄室１の上部且つリヤ面（図１の右奥側の面）近傍部位には、排気ポート１ｂが設けられている。この排気ポート１ｂは、上記洗浄室１内の空気（気体）を外部に排気するための開口であり、図示しない配管によって真空ポンプ７に接続されている。また、洗浄室１の側部（図１の右手前側の側部）には、乾燥室用開口１ｃ（第１開口、図３参照）、排液ポート１ｄ及び蒸気取入ポート１ｅが設けられている。

　乾燥室用開口１ｃは、図３に示すように、乾燥室４に対向するように設けられており、洗浄室１を乾燥室４と連通させるための円形開口である。乾燥室用開口１ｃの形状は円形以外（例えば多角形）であってもよい。この乾燥室用開口１ｃは、乾燥室４に対向するように洗浄室１に設けられた所定厚（所定深さ）のリング状部材１ｆ（弁座）の内側面（洗浄室１の内側に対向する面、図３の紙面左側の面）に開口している。洗浄室１の内部空間は、乾燥室用開口１ｃを介して乾燥室４の内部空間と連通する。

　なお、上記リング状部材１ｆは、乾燥室用開口１ｃを備えると共に、後述する開閉機構６の弁体６ｂと対向する弁座としても機能する。すなわち、弁体６ｂとリング状部材１ｆ（弁座）とは、一体として開閉バルブを構成している。

　排液ポート１ｄは、ワークの洗浄によって発生した洗浄液及び汚れ成分の混合液を洗浄室１の外部に排出するための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器９に接続されている。蒸気取入ポート１ｅは、再生濃縮器９で生成された洗浄剤の蒸気を洗浄室１内へ取り入れるための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器９に接続されている。

　蒸気発生部２は、洗浄室１の上部に備えられており、洗浄剤の蒸気を発生させる。この蒸気発生部２は、例えば洗浄液を加熱して洗浄蒸気を発生させる加熱部（図示略）と、洗浄蒸気を一時的に貯留する蒸気タンク（図示略）とを備えており、加熱部で発生させた蒸気を蒸気タンクに一時的に貯留し、この蒸気タンクを介して洗浄蒸気を洗浄室１に供給する。このような蒸気発生部２によれば、蒸気タンクを備えているので、洗浄室に対して所定流量の洗浄蒸気を洗浄期間に亘って安定的に供給することができる。

　なお、上記洗浄剤は、炭化水素系の洗浄剤、例えばノルマルパラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系、芳香族系の炭化水素系洗浄剤である。さらに具体的には、クリーニングソルベントと呼ばれるテクリーン（登録商標）Ｎ２０、クリーンソルＧ、ダフニーソルベント等、第３石油類の洗浄剤である。

　フロントドア３は、洗浄室１のフロント面に備えられ、上記ワーク挿通口１ａを閉鎖あるいは開放する板状部材である。このフロントドア３は、例えばスライドドアであり、鉛直姿勢のワーク挿通口１ａに同じく鉛直姿勢（鉛直方向に延びる姿勢）で対向配置され、この鉛直姿勢のまま左右方向（Ｘ軸方向）に移動することによってワーク挿通口１ａを閉鎖あるいは開放する。なお、フロントドア３は、ワーク挿通口１ａの周囲外側（フロントドア３側）に設けられたシール材と接触することにより、洗浄室１を密閉する。

　乾燥室４は、図１に示すように丸みを帯びた箱型であり、上記洗浄室１から取り込んだ蒸気（残留蒸気）を凝縮（液化）させる凝縮器である。洗浄室１でのワークの洗浄が終了した状態では、ワークの表面や洗浄室１の内面は洗浄液で濡れた状態である。詳細については後述するが、乾燥室４は、このようなワークの洗浄後において洗浄室１に残留する洗浄剤の蒸気（残留蒸気）を洗浄室１から取り込んで凝縮（液化）させる。

　このような乾燥室４は、図２及び図３にも示すように、第１平面部４ａ、第２平面部４ｂ、周面部４ｃ、窪み部４ｄ、排気ポート４ｅ、排液ポート４ｆ、蒸気取入ポート４ｇ、冷媒取入ポート４ｈ、冷媒排液ポート４ｉ、蒸気取入口４ｊ（第２開口）、複数のフィン４ｋ及び温度保持装置４ｍを備えている。

　第１平面部４ａは、乾燥室４の内部側の面に複数のフィン４ｋが設けられ、外周が長円状の板状部位である。この第１平面部４ａは、図３に示すように、所定距離を隔てた状態で対向する外壁４ａ１と内壁４ａ２とからなる二重殻構造を備えており、外壁４ａ１と内壁４ａ２との間が冷媒が流通する流路（冷媒流路Ｒ）になっている。

　第２平面部４ｂは、その厚さ方向で貫通する蒸気取入口４ｊが設けられ、上記第１平面部４ａに平行な板状部位である。すなわち、この第２平面部４ｂは、第１平面部４ａと同様に外周が長円形な板状部位である。なお、互いに平行な関係にある第１平面部４ａ及び第２平面部４ｂは、いずれも鉛直姿勢（鉛直方向に延びる姿勢）で配置されている。

　周面部４ｃは、上記第１平面部４ａの外周と上記第２平面部４ｂの外周とを接続する無端状（環状）の板状部位である。この周面部４ｃは、図３に示すように、所定距離を隔てた状態で対向する外周壁４ｃ１と内周壁４ｃ２とからなる二重殻構造を備えており、外周壁４ｃ１と内周壁４ｃ２との間が冷媒が流通する流路（冷媒流路Ｒ）になっている。

　すなわち、乾燥室４では、第１平面部４ａと周面部４ｃとが二重殻構造を備えており、この二重殻構造によって形成される冷媒流路Ｒ（冷媒流路Ｒを流れる冷媒）によって内壁４ａ２と内周壁４ｃ２とが効果的に冷却される。なお、この冷媒流路Ｒは、冷媒取入ポート４ｈ及び冷媒排液ポート４ｉと連通している。このような乾燥室４は、第１平面部４ａ、第２平面部４ｂ及び周面部４ｃによって形成された内部空間が凝縮室として構成されている。

　窪み部４ｄは、図１に示すように、第１平面部４ａの中心から若干下に変位した部位が所定面積に亘って陥没した部位である。このような窪み部４ｄの底部（第１平面部４ａの一部）には、開閉機構６の一部（エアーシリンダー６ａ等）が取り付けられている。

　排気ポート４ｅは、乾燥室４内の空気（気体）を外部に排気するための開口であり、図示しない配管によって真空ポンプ７に接続されている。排液ポート４ｆは、残留蒸気が乾燥室４内で凝縮して発生する凝縮液（残留凝縮液）を外部に排液するための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器９に接続されている。

　蒸気取入ポート４ｇは、再生濃縮器９で発生させた洗浄剤の蒸気（再生蒸気）を乾燥室４内に取り込むための開口であり、図示しない配管によって再生濃縮器９に接続されている。冷媒取入ポート４ｈは、冷媒を上記冷媒流路Ｒ内に取り入れるための開口であり、図示しない配管によって冷媒供給源８に接続されている。冷媒排液ポート４ｉは、上記冷媒流路Ｒ内の冷媒を乾燥室４の外部に排出するための開口であり、図示しない配管によって排液タンク（図示略）に接続されている。

　蒸気取入口４ｊは、図３に示すように、上記第２平面部４ｂに設けられた所定サイズの円形開口である。蒸気取入口４ｊの形状は円形以外（例えば多角形）であってもよい。この蒸気取入口４ｊは、上記第１平面部４ａに設けられた窪み部４ｄの位置に相当する位置、つまり長円形状の第２平面部４ｂの中心から下側に若干変位した位置に設けられている。本実施形態の蒸気取入口４ｊは、第１平面部４ａの窪み部４ｄと水平方向で対向するように形成されている。

　複数のフィン４ｋは、図３に示すように、乾燥室４の内部に向けて突出するように第１平面部４ａの内壁４ａ２に設けられた矩形の板状部材である。より具体的には、これらフィン４ｋは、第１平面部４ａにおいて窪み部４ｄの上方側のみに設けられており、また鉛直方向（Ｚ軸方向）に延在すると共に鉛直方向及び水平方向に所定間隔を空けて設けられている。

　温度保持装置４ｍは、乾燥室温度（乾燥室内の温度）を洗浄室温度（洗浄室内の温度）よりも低い所定温度に保持する装置であり、図１に示すように窪み部４ｄ（第１平面部４ａ）に設けられている。この温度保持装置４ｍは、より具体的には乾燥室４内に延在する冷却管によって乾燥室温度を洗浄室温度よりも低い温度に保持する。この温度保持装置４ｍによって設定・保持される乾燥室温度は、例えば５～５０℃である。なお、乾燥室温度は、温度保持装置４ｍに加えて、上述した冷媒流路Ｒに冷媒供給源８から所定の冷媒が供給されることによって所定温度に設定・保持される。

　接続部材５は、洗浄室１の乾燥室用開口１ｃと乾燥室４の蒸気取入口４ｊとを接続する円筒状部材であり、軸線方向（中心軸線方向）が水平方向（Ｘ軸方向）と平行になるように設定されている。この接続部材５は、例えば円筒状の金属製蛇腹であり、乾燥室用開口１ｃと蒸気取入口４ｊとの間に介装される。本実施形態に係る真空洗浄装置１００では、接続部材５を金属製蛇腹とすることにより、洗浄室１の熱変形（特に水平方向での変形）が乾燥室４に影響を与えることを軽減している。

　開閉機構６は、上記接続部材５によって接続された洗浄室１と乾燥室４とを連通状態あるいは非連通状態に切り替える機構であり、図３に示すように、エアーシリンダー６ａ（アクチュエータ）、弁体６ｂ、連結軸部材６ｃ、サポート部材６ｄ及びリング状部材１ｆ等から構成されている。なお、リング状部材１ｆは、洗浄室１の構成要素であると共に、開閉機構６の構成要素でもある。

　すなわち、この開閉機構６は、乾燥室４に対向するように洗浄室１に形成された乾燥室用開口１ｃを閉鎖あるいは開放することにより、上記接続部材５による洗浄室１と乾燥室４との接続状態を連通状態あるいは非連通状態に切り替える機構である。エアーシリンダー６ａは、弁体６ｂを駆動するアクチュエータであり、可動ロッドの突出方向が接続部材５の軸線方向（Ｘ軸方向）と一致するように窪み部４ｄ（第１平面部４ａ）に設けられている。

　弁体６ｂは、乾燥室用開口１ｃよりも若干大きな形状を備えた円形部材（円形板部材）であり、乾燥室用開口１ｃよりも洗浄室１の内側つまり洗浄室１内に位置すると共に乾燥室用開口１ｃに対向する。この弁体６ｂには、連結軸部材６ｃが乾燥室用開口１ｃの接続部材５側（乾燥室４側）に突出するように連結軸部材６ｃの先端が取り付けられている。また、この弁体６ｂには、乾燥室用開口１ｃ側の面（リング状部材１ｆと対向する面）にシール部材（Ｏリング、図示略）が設けられている。なお、このシール部材はリング状部材１ｆに設けられていてもよい。
　この弁体６ｂは、洗浄室１内に収容されたワーク（被洗浄物）と相対移動可能に構成されている。すなわち、洗浄室１内にワークが配置されている状態で、弁体６ｂの移動により、洗浄室１と乾燥室４との接続状態が連通状態と非連通状態とで切り替えられる。また、後述するように、洗浄室１内に収容されたワークの洗浄中において、弁体６ｂはリング状部材１ｆに当接するように構成されており、言い換えれば、弁体６ｂが乾燥室用開口１ｃを閉鎖しているときに、弁体６ｂとワークは共に洗浄室１内に配置されている。

　連結軸部材６ｃは、図３に示すように接続部材５の内部に設けられると共にエアーシリンダー６ａの可動ロッドと弁体６ｂとの間に介装された所定長の棒状部材であり、可動ロッドと弁体６ｂとを連結する。すなわち、エアーシリンダー６ａは、接続部材５の内部において連結軸部材６ｃを介して弁体６ｂと接続されている。
　サポート部材６ｄは、弁体６ｂに隣接するように連結軸部材６ｃに設けられた円形部材であり、リング状部材１ｆ（乾燥室用開口１ｃ）に対する弁体６ｂの位置（Ｙ－Ｚ平面における位置）を規定する。すなわち、サポート部材６ｄは、所定深さを有する乾燥室用開口１ｃ内に摺動可能に嵌合することにより、リング状部材１ｆよりも洗浄室１の内側に位置する弁体６ｂの全周がリング状部材１ｆの内側面に確実に当接するように案内する。サポート部材６ｄの外形は、乾燥室用開口１ｃの形状と略同一に形成されていると共に、サポート部材６ｄの乾燥室４寄りの部分には、乾燥室４に向けて次第に縮径する縮径部が形成されている。この縮径部が形成されていることでサポート部材６ｄは乾燥室用開口１ｃに容易且つ適切に挿入でき、サポート部材６ｄの外形が乾燥室用開口１ｃに嵌合することで、弁体６ｂの乾燥室用開口１ｃに対する位置決めが行われる。本実施形態ではサポート部材６ｄは連結軸部材６ｃを介して弁体６ｂに連結されているが、サポート部材６ｄが弁体６ｂへ直接に取り付けられていてもよい。

　このような開閉機構６は、エアーシリンダー６ａが可動ロッドを引き込むように作動することによって、弁体６ｂがリング状部材１ｆの内側面に当接して乾燥室用開口１ｃを閉鎖する。一方、開閉機構６は、エアーシリンダー６ａが可動ロッドを突出させるように作動することによって、弁体６ｂがリング状部材１ｆの内側面（洗浄室１の側面）から離間して乾燥室用開口１ｃを開放する。

　真空ポンプ７は、図示しない配管を介して排気ポート１ｂ、４ｅに接続されており、洗浄室１内及び乾燥室４内の空気（気体）を外部に排気する。冷媒供給源８は、図示しない配管を介して冷媒取入ポート４ｈに接続されており、乾燥室４に冷媒を供給する。この冷媒は、例えば水である。再生濃縮器９は、図示しない配管を介して排液ポート１ｄ、４ｆ及び蒸気取入ポート１ｅ、４ｇに接続されており、洗浄室１及び乾燥室４から回収した洗浄剤及び汚れ成分の凝縮液のうち、洗浄剤のみを再蒸気化して洗浄室１及び乾燥室４に供給すると共に凝縮液から汚れ成分を分離・濃縮する。

　次に、このように構成された本実施形態に係る真空洗浄装置１００の動作について詳しく説明する。

　この真空洗浄装置１００でワークを洗浄する場合、ワークはワーク挿通口１ａから洗浄室１に収容される。このワークの表面には切削油等の汚れ成分が付着している。そして、フロントドア３が作動して洗浄室１及び乾燥室４が密閉空間とされる。そして、真空ポンプ７が作動して洗浄室１及び乾燥室４が徐々に減圧されて、各内部空間が例えば１０ｋＰａ以下の圧力（初期圧力）に圧力設定される。

　また、このような減圧処理に平行して、蒸気発生部２が作動して洗浄蒸気が生成される。この洗浄蒸気は、圧力が飽和蒸気圧、また温度が洗浄液の沸点近傍、例えば８０～１４０℃である。また、上記減圧処理に平行して開閉機構６が作動することにより洗浄室１と乾燥室４とが個別の部屋として分離され、さらに温度保持装置４ｍ及び冷媒供給源８が作動することにより乾燥室温度が洗浄終了後の洗浄室温度よりも低温な状態（例えば５～５０℃）に温度設定される。

　そして、このような状態で蒸気発生部２から洗浄室１に洗浄蒸気が所定の洗浄期間に亘って順次供給されることによって、洗浄室１のワークが洗浄される。すなわち、洗浄期間において、ワークの表面では洗浄蒸気の付着と凝縮とが連続的に繰り返され、ワークの表面に付着した汚れ成分が洗浄蒸気の凝縮液と共にワークの表面から流下して除去（洗浄）される。

　上記洗浄処理が終了した時点において、洗浄室１の圧力は洗浄蒸気の飽和蒸気圧にほぼ等しい圧力、また洗浄蒸気の温度にほぼ等しい温度（８０～１４０℃程度）になっている。すなわち、洗浄室１の圧力及び温度は、予め設定・保持された乾燥室内の圧力及び温度よりもかなり高い値になっている。

　上記洗浄処理に引き続いて洗浄室内のワークの乾燥処理が行われるが、この乾燥処理では、開閉機構６を作動させることにより上記圧力関係及び温度関係にある洗浄室１と乾燥室４とを連通させる。すなわち、エアーシリンダー６ａが作動することによって、弁体６ｂの外周部がリング状部材１ｆの内側面（洗浄室側面）に当接している状態から離間する状態に急峻に変位させることにより、洗浄室１と乾燥室４とを短時間かつ比較的大きな面積で接続させる。すなわち、弁体６ｂがリング状部材１ｆから離間することによって、乾燥室用開口１ｃが開放され、洗浄室１内と乾燥室４内とが互いに連通する。

　この結果、洗浄室１の圧力は急速に減圧され、この急速減圧に起因してワークの表面に付着している洗浄蒸気の凝縮液（残留液）が瞬間的に沸騰（突沸）して気化し、残留蒸気が生成される。また、洗浄室１と乾燥室４とを短時間かつ比較的大きな面積で接続することによって、ワークの表面から発生した残留液の蒸気（残留蒸気）は洗浄室１（高圧側）から弁体６ｂと乾燥室用開口１ｃとの隙間と接続部材５と蒸気取入口４ｊとを経由して乾燥室４（低圧側）に高速移動する。ワーク表面の残留液が残留蒸気となって乾燥室４に移動するため、ワークは短時間で乾燥される。

　そして、乾燥室４（低圧側）に移動した残留蒸気は、乾燥室温度が洗浄室温度よりも低温かつ洗浄液の沸点以下に保持されているので凝縮する。また、乾燥室４における残留蒸気の凝縮は、乾燥室４内における部材の表面積が大きいほど残留蒸気が上記部材に接触して低温化され易くなるので効率的に行われる。

　本実施形態に係る真空洗浄装置１００は、弁体６ｂが乾燥室用開口１ｃよりも洗浄室１の内側（洗浄室１内）から乾燥室用開口１ｃを閉鎖するように構成されているので、弁体６ｂが洗浄室１外に設けられた場合、例えば弁体６ｂが乾燥室４に設けられた蒸気取入口４ｊを閉鎖するように構成した場合に比較して、ワークを容易に乾燥させることができる。

　すなわち、弁体６ｂが乾燥室４に設けられた蒸気取入口４ｊを閉鎖するように構成した場合には、接続部材５の内部空間が乾燥対象（洗浄室の容積）に含まれることになり、より広い空間を乾燥させる必要がある。洗浄室の容積が大きくなれば洗浄室内に供給可能な洗浄液の量が増大し、この洗浄液を十分に気化させるために大きな容積の乾燥室が必要となったり、洗浄室と乾燥室との圧力差を増大させる必要が生じたりする。しかしながら、本実施形態では、接続部材５の内部空間が乾燥対象に含まれないので、乾燥対象が縮小され、洗浄室１も含めてワークを容易に乾燥させることができる。

　また、例えば接続部材５内に弁体６ｂを設けた場合には、弁体６ｂが抵抗（流動抵抗）となって蒸気（残留蒸気）の洗浄室１（高圧側）から乾燥室４（低圧側）への高速移動の妨げになる場合があるが、本実施形態では乾燥室用開口１ｃよりも洗浄室１の内側（洗浄室１内）に設けられているので、蒸気（残留蒸気）の高速移動を妨げない。また、接続部材５内に弁体６ｂを設けた場合には、エアーシリンダー６ａが図３の右側に延びることになるので、装置が大きくなる可能性があるが、本実施形態ではこのような装置の大型化を防止できる。
　また、弁体６ｂを乾燥室４に設けた場合には、乾燥室４の容積が減るので凝縮性能を低下させる可能性があるが、本実施形態では弁体６ｂが乾燥室用開口１ｃよりも洗浄室１の内側（洗浄室１内）に設けられているので、凝縮性能の低下を防止できる。

　また、本実施形態に係る真空洗浄装置１００によれば、弁体６ｂが洗浄室１内に位置する、つまりリング状部材１ｆ（弁座）よりも洗浄室１の内側（洗浄室１内）に設けられているので、弁体６ｂが洗浄室１外に位置する場合、つまりリング状部材１ｆ（弁座）よりも洗浄室１の外側（乾燥室４側）に設けられている場合に比較して、ワークの洗浄時において洗浄室１を確実に密閉状態とすることができる。

　すなわち、ワークの洗浄時の初期圧力は洗浄室１及び乾燥室４ともに同圧であるが、時間の経過と共に洗浄室１の圧力は洗浄蒸気の供給に伴って徐々に上昇する。一方、乾燥室４の圧力は初期圧力に維持されるので、洗浄室圧力（洗浄室内の圧力）はワークの洗浄が進むに従って乾燥室圧力（乾燥室内の圧力）よりも高くなる。

　本実施形態では、弁体６ｂが洗浄室１の内側に位置するので、上述した洗浄室圧力と乾燥室圧力との圧力差によって、弁体６ｂをリング状部材１ｆ（弁座）に押圧する圧力が作用する。すなわち、エアーシリンダー６ａの引き込み力だけでなく、上記圧力差に基づく圧力も弁体６ｂをリング状部材１ｆに押し付けるために用いられ、洗浄室１を確実且つ容易に密閉できる。一方、弁体６ｂが洗浄室１の外側に位置する場合には、弁体６ｂをリング状部材１ｆ（弁座）から離間させる方向の圧力が作用するので、この圧力より高い押圧力を弁体６ｂと接続されたエアーシリンダー６ａが発生する必要があり、エアーシリンダー６ａが大型化する場合や、洗浄室１を確実に密閉状態とすることが難しくなる場合がある。

　また、本実施形態に係る真空洗浄装置１００によれば、弁体６ｂに隣接して連結軸部材６ｃに設けられ、乾燥室用開口１ｃに摺動可能に嵌合するサポート部材６ｄを備えるので、弁体６ｂの乾燥室用開口１ｃに対する位置を最適位置に維持することが可能であり、よって洗浄室１におけるワークの洗浄時において乾燥室用開口１ｃを弁体６ｂによって確実に閉塞させることができる。

　また、本実施形態に係る真空洗浄装置１００によれば、弁体６ｂを駆動するエアーシリンダー６ａが乾燥室４に備えられ、接続部材５の内部において弁体６ｂと接続されているので、洗浄室１の内側に位置する弁体６ｂを確実に駆動することができる。
　さらには、本実施形態に係る真空洗浄装置１００によれば、接続部材５が蛇腹として構成されている。このため、洗浄室１及び乾燥室４の少なくとも一方が熱変形し、洗浄室１と乾燥室４の相対位置が変更された場合でも、接続部材５が変形することで上記相対位置の変更を吸収して、そのお互いに対する影響を軽減することが可能である。

　以上、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で設計要求等に基づき、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。例えば以下のような変形例が考えられる。
（１）上記実施形態では、乾燥室用開口１ｃに対する弁体６ｂの位置を規定するサポート部材６ｄを設けたが、本発明はこれに限定されない。乾燥室用開口１ｃに対して弁体６ｂの外径が十分に大きい場合には、サポート部材６ｄを設けずともよい。
（２）上記実施形態では、弁体６ｂをサポート部材６ｄとを別部材としたが、両者を一体化させてもよい。

（３）上記実施形態では、接続部材５を蛇腹としたが、本発明はこれに限定されない。洗浄室１及び乾燥室４の両者の熱変形を無視できる場合には、接続部材５を一般的な直管状の配管としてもよい。
（４）上記実施形態では、二重殻構造を有する第１平面部４ａの内壁４ａ２に複数のフィン４ｋを付け、洗浄蒸気（残留蒸気）をフィン４ｋ及び内壁４ａ２にて凝縮させたが、第１平面部４ａ（及び周面部４ｃ）を１重構造にし、フィン４ｋに代えて、冷媒が流動する銅チューブにフィンの付いた熱交換器を乾燥室４内に配置した構成としてもよい。

　本発明は、洗浄室内に収容された被洗浄物を、洗浄剤を用いて洗浄する洗浄装置に適用できる。

１　洗浄室
１ａ　ワーク挿通口
１ｂ　排気ポート
１ｃ　乾燥室用開口（第１開口）
１ｄ　排液ポート
１ｅ　蒸気取入ポート
１ｆ　リング状部材（弁座）
２　蒸気発生部
３　フロントドア
４　乾燥室
４ａ　第１平面部
４ｂ　第２平面部
４ｃ　周面部
４ｄ　窪み部
４ｅ　排気ポート
４ｆ　排液ポート
４ｇ　蒸気取入ポート
４ｈ　冷媒取入ポート
４ｉ　冷媒排液ポート
４ｊ　蒸気取入口（第２開口）
４ｋ　フィン
４ｍ　温度保持装置
５　接続部材
６　開閉機構
６ａ　エアーシリンダー（アクチュエータ）
６ｂ　弁体
６ｃ　連結軸部材
６ｄ　サポート部材
７　真空ポンプ
８　冷媒供給源
９　再生濃縮器

Claims

　被洗浄物を収容する洗浄室と、
　前記洗浄室に接続された乾燥室と、
　前記洗浄室に設けられた第１開口と前記乾燥室に設けられた第２開口とを接続する接続部材と、
　前記洗浄室内に位置し、前記第１開口に対向する弁体と、
　前記弁体に対向する弁座と、
　前記弁体を駆動するアクチュエータと、
を備える洗浄装置。
　前記接続部材による前記洗浄室と前記乾燥室との接続状態を連通状態あるいは非連通状態に切り替える開閉機構をさらに備え、
　前記開閉機構は、前記弁体と、前記第１開口を備える前記弁座と、前記アクチュエータとを備え、前記弁体と前記弁座とを離間させることによって前記洗浄室と前記乾燥室とを連通させるように構成されている請求項１に記載の洗浄装置。
　前記第１開口に摺動可能に嵌合し、前記第１開口に対する前記弁体の位置を規定するサポート部材をさらに備える請求項１または２に記載の洗浄装置。
　前記アクチュエータは、前記乾燥室に備えられ、前記接続部材の内部において前記弁体と接続されている請求項１～３のいずれか一項に記載の洗浄装置。
　前記接続部材は蛇腹である請求項１～４のいずれか一項に記載の洗浄装置。
　前記弁体は、前記洗浄室内に収容された前記被洗浄物と相対移動可能に構成されている請求項１～５のいずれか一項に記載の洗浄装置。