JPH07256221A - 洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗浄液による洗浄において、ノズルを洗浄槽
の下方だけに設け、洗浄液の流れを良くして洗浄を効果
的にする。 【構成】 洗浄槽１の蓋体２にアクチュエータ８を取り
付け、アクチュエータの回転軸に固着した支持板５に取
り付けた保持枠９で洗浄かご１０を保持させる。洗浄か
ご１０の下面に向けて洗浄液を噴出する洗浄液ノズル１
１と、洗浄かごの外周を囲む整流筒１３を設ける。整流
筒１３は洗浄槽１内に支持させ、又は保持枠９に取り付
ける。洗浄時はノズル１１からの洗浄液噴出とともにア
クチュエータ８で洗浄かご１０を往復回動させて洗浄液
の周方向の動きを生じさせる。 【効果】 整流筒１３で洗浄かご内を下降する洗浄液の
流れをなくして洗浄効果を増大させ、液面中央から外周
に向かう流れを生じて液面に上昇した油脂等が液面の外
周部に集められる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は洗浄液により機械加工部
品などの洗浄を行う洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、合成樹脂や金属材料部品とくに機
械加工された部品は、次工程に送る前に切削油や付着し
たゴミなどを洗浄除去する必要がある。このような洗浄
とくに凹凸の多い小形加工部品の洗浄は、洗浄液で外面
を流すだけでなく、撹拌羽根による撹拌洗浄や、超音波
洗浄が用いられており、洗浄液には主としてトリクロロ
エタンやフロンなどの洗浄液が用いられていた。

【０００３】しかし、オゾン層など地球環境への影響が
問題化し、代替洗浄液が用いられるようになり、代替洗
浄液としては水系洗浄液や石油溶剤系洗浄液あるいはア
ルコール系洗浄液が提供されているが、とくに水系洗浄
が推進されている。

【０００４】しかるに、撹拌羽根を用いる洗浄装置で
は、回転軸のシールが面倒であり、超音波洗浄では、洗
浄かご内に重なり合った被洗浄部品、とくに複雑な形状
の機械加工部品の孔や凹部内には洗浄液の置換が有効に
行われにくいため、洗浄効果が十分でなかった。

【０００５】また、従来の代替洗浄液として用いられて
いる大部分の水系洗浄剤は、洗浄時の泡立ちが多く、こ
のため本出願人らは、先に、減圧洗浄槽の液面と上蓋と
の間に昇降制御される仕切板（中蓋）を設け、洗浄かご
に入れた被洗浄部品の下方から洗浄液を噴出させるとと
もに、洗浄かごの外周にも斜め方向から洗浄液を噴出す
るノズルを設けて旋回方向の水流を加えて洗浄を行わ
せ、仕切板の昇降に合わせて大気を導入させることによ
り、液面上の泡を圧力差を利用して有効に排出させる洗
浄装置を提案した。（特願平５ー１６００５７号）

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、代替洗浄液の
研究が進んで発泡性の少ないものが提供されており、仕
切板を設けたり大気を導入するなどの手段で泡の処理を
しなくてもよい場合があるだけでなく、洗浄液ノズルを
洗浄かごの下方だけでなく側面にも複数個設けるため
に、構造が複雑になる。

【０００７】また、図５に示すように、洗浄槽１内に底
部の洗浄液ノズル４１と側方の洗浄液ノズル４２を設け
ると、保持枠９で保持した洗浄かご１０を洗浄槽１内に
挿入するときに、側方の洗浄液ノズル４２との接触を生
じないように、ノズル先端と洗浄かご側面との間隙を大
きくしておく必要があり、洗浄槽１の径が大形になるだ
けでなく、下方の洗浄液ノズル４１からの洗浄液の流れ
が、矢印で示すように洗浄かごの外周部で下向きにな
り、上向きの流れと衝突して停滞し、この部分の洗浄が
十分に行われないきらいがあった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の点にかん
がみ、昇降する蓋体にアクチュエータを取り付け、蓋体
の下方でアクチュエータの回転軸に支持板を固着し、こ
の支持板に取り付けた保持枠に洗浄かごを保持させ、こ
の洗浄かごの下面に向けて洗浄液を噴出する洗浄液ノズ
ルだけをそなえ、前記洗浄かごの外周を僅かな間隙を介
して囲む整流筒を設けるとともに、洗浄中にアクチュエ
ータで洗浄かごを適宜の角度で周方向に往復回動させる
ようにしてある。

【０００９】

【作用】したがって、洗浄かごの下方に設けたノズルか
ら噴出する洗浄液が、洗浄かごの中央部を通るととも
に、上向きの洗浄液の流れが整流筒内に広く拡散され、
整流筒の外側を通って下向きに循環し、洗浄液の流れが
円滑になり、洗浄かご外周部の被洗浄部品にも中央部と
同様に上向きの洗浄液だけが流れ、洗浄液の停滞がな
く、泡の発生を押さえ、洗浄された油分やゴミを洗浄液
面に上昇させる。

【００１０】この上向きの流れに、洗浄かごの往復回動
による周方向の流れが加わり、被洗浄部品相互の隙間や
被洗浄部品自体の凹み、袋穴にも洗浄液が流れ込み、減
圧により気泡が膨らむ効果とあいまって、凹みや袋穴内
の油分や気泡と洗浄液との置換が十分に行われる。

【００１１】さらに、整流筒により液面中央から外周に
向かう流れが生じ、液面に上昇した油分やゴミが液面の
外周に集められ、洗浄かごを引き上げ、あるいは液面を
下げるときに被洗浄物への再付着を防ぐことができ、こ
の整流筒を保持枠に取り付けておけば、洗浄後に洗浄か
ごを液外で回転あるいは往復回動させ、水切りを行う時
に洗浄液の飛散を防止する。

【００１２】

【実施例】これを図１に示す実施例について説明する。
１は洗浄槽、２は蓋体で支持アーム３で支柱４に上昇下
降および旋回可能に支持されている。５は蓋体下方の支
持板、６は支持板５に固着した回動軸で、軸受７を介し
て蓋体２に設けたアクチュエータ８に連結してある。ア
クチュエータはサーボ用の電動機やエヤモータなどを用
い、あるいは往復動するラックで回動軸のピニオンを回
動させるなどの手段を使うこともできる。

【００１３】９は支持板５の両側に取り付けた保持枠
で、保持片９ａで洗浄かご１０を保持させる。１１は蓋
体２を下降させて洗浄槽１に装入した洗浄かご１０の下
方中央に設置した洗浄液ノズルで、洗浄かご１０の下面
に向けて洗浄液を噴出させる。１２は洗浄液供給管、１
３は洗浄かごの外周を囲む整流筒で、装入された洗浄か
ごの高さより上下に長くしており、洗浄槽内側の支持片
１４で支持させている。

【００１４】１５は空気吹込口、１６は空気排出口、１
７は過剰液排出口、１８は蓋体操作装置で、滑車１９を
介して蓋体２を支柱４に沿って昇降させ、上端で支柱を
旋回させ、保持枠９に保持した洗浄かごを洗浄槽外に送
り出す。

【００１５】洗浄液ノズル１１は図２に示すように、噴
出口２１の先にらっぱ管２２を取り付け、らっぱ管内に
中筒２３を支持バー２４で保持させ、中筒２３の上面に
洗浄液の噴出流を調整するメッシュ板２５を取り付けて
いる。

【００１６】洗浄かご１０に洗浄する機械加工部品を収
納して保持枠９に保持させ、蓋体２とともに下降させて
洗浄かご１０を洗浄液中の整流筒１３の内側に位置さ
せ、蓋体２で整流槽上部を閉じる。洗浄槽内を、たとえ
ばマイナス４００ｍｍＨｇ程度に減圧し、洗浄液ノズル
１１から洗浄かご１０の底部に向けて洗浄液を吹き付け
ると、洗浄液は中央部の流れがいくぶん強いが、メッシ
ュ板２５とらっぱ管２２によって洗浄かごの外側部分に
も拡散する液流を生じて、被洗浄部品の間を上向きに流
れる。

【００１７】この洗浄液の噴出とともにアクチュエータ
８で、回転軸６を介して支持板５とともに洗浄かご１０
を適宜の角度たとえば９０゜〜１８０゜の角度で毎分２
０〜３０回程度の速さで周方向に往復回動させる。

【００１８】したがって、洗浄液ノズル１１からの洗浄
液の流れは、外周側が整流筒１３の内面に沿って洗浄か
ご１０内の全面を一方向に上昇し、整流筒１３の上部か
ら外側に下降する。このため、洗浄かごの外周部分で下
降する洗浄液の流れがなくなり、洗浄液の停滞を生じる
ことがないとともに、洗浄かごの回動によって洗浄かご
１０内の洗浄液に周方向に反復する流れを生じさせ、被
洗浄部品の全面に洗浄液を接触流通させることができ、
減圧による効果とあいまって被洗浄部品の凹み内にたま
った気泡や液を引き出して洗浄液を置換させ、油分やゴ
ミを有効に排出させる。

【００１９】洗浄液ノズル１１から噴出して拡散された
洗浄液は、整流筒１３の内側に広がって上昇し、図１の
点線で示すように液面の中央部を押し上げ、液面上の油
分やゴミが液面外周に片寄って集められる。このため、
洗浄後に洗浄かご１０を引き上げるとき、または液面を
下げるときに、洗浄かごが油分やゴミのない部分を通
り、液面で油分などが再付着することを防止できる。こ
の液面外周部は整流筒外側を下降する流れから外れた位
置になるので、洗浄槽の下方に引き込まれることがな
く、必要に応じてバルブを開き、必要に応じて過剰液排
出口１７から排出させる。

【００２０】なお、液面に泡を生じたときは、空気吹込
口１５から大気を送り込むと、液面上の気圧が急激に回
復し、再び減圧するときに泡を空気排出口１６から空気
とともに吸引排出させる。

【００２１】図１の実施例では、整流筒１３を洗浄槽１
内に固定して設置してあるが、図３および図４は、別の
取付構造を示すもので、整流筒１３を洗浄かご１０とと
もに保持枠９に保持させるようにしており、図１と同じ
部分に同一の符号を付してある。

【００２２】整流筒１３を保持枠９の外側あるいは内側
（図では内側）に嵌合させ、上端は洗浄かご１０の上縁
より高くし、下部は保持枠９の保持片９ａより下に延長
させて取り付けてある。なお、洗浄かご１０を装入する
ために、保持枠９から外れた位置で整流筒を分割し、ヒ
ンジ２６で開閉できるように連結し、止め金２７で必要
な時以外は開かないようにしている。図では分割された
整流筒がヒンジ２６で片側に開くようにしているが、両
側にヒンジを設けて観音開きに開くようにし、あるいは
円周方向にスライドさせるようにしてもよい。

【００２３】洗浄時は、整流筒１３を開いて洗浄かご１
０を保持枠９に保持させ、図１の場合と同様に洗浄を行
うが、整流筒１３を保持枠９とともに上下させるので、
洗浄かご１０との間隙を小さくでき、洗浄液ノズル１１
からの拡散範囲が少なく、洗浄液の流れが強く、洗浄か
ご１０の外周部分を流れる洗浄液の量も多くなって、洗
浄効果が増大する。

【００２４】また、洗浄後に洗浄かご１０を上昇させる
と、保持枠９に保持された整流筒１３が洗浄かご１０と
ともに上昇するので、洗浄かごを液面から引き上げた後
に、アクチュエータ８で支持板５を洗浄液中で回動させ
る場合よりも急速に回転あるいは回動させると、洗浄か
ご１０内の洗浄液を振り切り、飛散する洗浄液は整流筒
内面に当たって洗浄槽内に落下する。この振り切りによ
って後工程の乾燥時間を短縮することができる。

【００２５】なお、整流筒１３を分割させることなく保
持枠９の外側面に摺動できるように嵌合させ、保持枠の
下方に下げた状態で保持枠９内に洗浄かご１０を装入
し、整流筒１３を洗浄かご１０外周の所定位置に引き上
げて、保持枠９に止めねじなどによって留めるようにす
ることもできる。

【００２６】

【発明の効果】このように、本発明の洗浄装置は、蓋体
にアクチュエータを取り付け、このアクチュエータの回
転軸に固着した支持板に保持枠を設けて洗浄かごを保持
させ、保持枠に保持される洗浄かごの底面に向けて洗浄
液を噴出する洗浄液ノズルをそなえ、前記洗浄かごの外
周を囲む整流筒を設けているので、洗浄液ノズルは洗浄
槽の底部だけに設ければよく、洗浄槽を小形にすること
ができる。

【００２７】また、洗浄液ノズルから噴出する洗浄液の
流れが、洗浄筒内の全面を円滑に上昇するので、洗浄か
ごの外周部で下向きの流れを生じることがなく、泡の発
生を押さえ、洗浄かご外周部での洗浄液の停滞を生じさ
せないとともに、液面の中央部を押し上げて液面に浮か
んでいる油分やゴミを外周部に集めることができ、洗浄
かごの引き上げ時または液面を下げるときに再付着する
ことを防止できる。

【００２８】さらに、洗浄ノズルによる上向きの流れに
加えて、洗浄中にアクチュエータで洗浄かごを往復回動
させることにより、周方向の流れが加わり、被洗浄部品
の全面に洗浄液を接触流通させ、減圧による効果とあい
まって被洗浄部品の凹みにも洗浄液の置換を有効に行わ
せ、洗浄効果を増大させることができる。

【００２９】また、洗浄かごをアクチュエータで回転あ
るいは往復回動できるので、洗浄後に洗浄かごを液面か
ら引き上げ、または液面を下げた後に、アクチュエータ
で支持板とともに洗浄かごを回動させ、洗浄かご内の洗
浄液を振り切ることができ、後工程の乾燥時間を短縮す
ることができる。

【００３０】なお、整流筒を保持枠に取り付けることに
よって、洗浄かごと整流筒との間隙を小さくでき、洗浄
液の流れを良好にし、洗浄後に洗浄かごを回動させ、洗
浄かご内の洗浄液を振り切る場合に、洗浄液を整流筒内
面で受け、飛散を防止して洗浄槽内に滴下させる利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す側断面図である。

【図２】洗浄液ノズルの実施例断面図である。

【図３】他の実施例を示す側断面図で、一部を省略して
ある。

【図４】図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図５】従来の例における洗浄液の流れを示す側断面図
である。

【符号の説明】

１ 洗浄槽 ２ 蓋体 ３ 支持アーム ４ 支柱 ５ 支持板 ６ 回動軸 ７ 軸受 ８ アクチュエータ ９ 保持枠 １０ 洗浄かご １１ 洗浄液ノズル １３ 整流筒 １４ 支持片 １８ 蓋体操作装置 ２１ 噴出口 ２２ らっぱ管 ２３ 中筒 ２４ 支持バー ２５ メッシュ板

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上昇下降させる蓋体をそなえた洗浄槽
   と、蓋体に取り付けたアクチュエータと、蓋体の下方で
   前記アクチュエータの回転軸に固着した支持板と、支持
   板に取り付けられ洗浄かごを保持する保持枠をそなえ、
   洗浄かごの下面に向けて洗浄液を噴出する洗浄液ノズル
   と、前記洗浄かごの外周を囲む整流筒を設け、洗浄中に
   前記アクチュエータで洗浄かごを往復回動させることを
   特徴とする洗浄装置。
2. 【請求項２】 前記整流筒が、洗浄時の洗浄かごの位置
   を囲んで、洗浄槽内側に取り付けられている請求項１の
   洗浄装置。
3. 【請求項３】 前記整流筒が、保持枠に取り付けられて
   いる請求項１の洗浄装置。
4. 【請求項４】 整流筒が保持枠のに近い位置で分割さ
   れ、分割部が開閉可能に連結されている請求項３の洗浄
   装置。