WO2015111676A1 - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記の問題を解決すべくされたものであり、非水系電解液二次電池において、初期の電池特性及び耐久試験後の電池特性を同時に改善させる非水系電解液と、この非水系電解液を用いた非水系電解液二次電池を提供することを課題とする。
また、特定の芳香族カルボン酸エステル及び特定の添加剤を電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(a)金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える非水系電解液二次電池用の非水系電解液であって、該非水系電解液が電解質及び非水溶媒とともに、式(1):
(式中、
A1は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
n1は、1以上の整数であり、
R2及びR3は、独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、これらは互いに結合して環を形成していてもよく、R2が複数存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよく、R3が複数存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよく、
a1は、1又は2の整数であり、
a1が1の場合、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
a1が2の場合、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基を表し、複数存在するA1は、同一であっても異なっていてもよく、
ただし、n1が1の場合、R2及びR3のうち少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
n1が2であり、かつ複数のR2及び複数のR3が全て水素原子の場合、R1は置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基である)
で表される芳香族カルボン酸エステルを含有することを特徴とする非水系電解液。
(b)前記式(1)中、a1が1である、(a)の非水系電解液。
(c)前記式(1)中、A1がフェニル基である、(a)又は(b)の非水系電解液。
(d)前記非水系電解液が、前記式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルを、0.001質量%以上10質量%以下で含有する、(a)~(c)のいずれかの非水系電解液。
(e)前記非水系電解液が、更に、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、前記式(1)以外の芳香族化合物、炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、前記式(1)以外のカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、(a)~(d)のいずれかの非水系電解液。
(f)前記非水系電解液が、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、前記式(1)以外の芳香族化合物、炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、前記式(1)以外のカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、(a)~(e)のいずれかの非水系電解液。
(f)金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える非水系電解液二次電池用の非水系電解液であって、該非水系電解液が電解質及び非水溶媒とともに、
(I)式(2):
(式中、
A2は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
n2は、1又は2の整数であり、
a2は、1又は2の整数であり、
a2が1の場合、R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基であり、ただし、n2が2の場合、R4は置換基を有していてもよいアリール基であり、
a2が2の場合、R4は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリーレン基であり、複数存在するA2は、同一であっても異なっていてもよく、ただし、n2が2の場合、R4は置換基を有していてもよいアリーレン基である)
で表される芳香族カルボン酸エステルと、
(II)フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(2)以外の芳香族化合物、式(3):
式中、
R5は、炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、
R6は、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基である
で表されるカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することを特徴とする非水系電解液。
(g)前記式(2)中、a2が1である、(f)の非水系電解液。
(h)前記式(2)中、A2がフェニル基である、(f)又は(g)の非水系電解液。
(i)前記非水系電解液が、前記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルを、0.001質量%以上10質量%以下で含有する、(f)~(h)のいずれかの非水系電解液。
(j)前記非水系電解液が、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、前記式(2)以外の芳香族化合物、前記式(3)で表されるカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、(f)~(i)のいずれかの非水系電解液。
(k)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液を具備する非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が(a)~(j)のいずれかの非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
本発明の非水系電解液を用いて作製された非水系電解液二次電池、及び本発明の非水系電解液二次電池が、初期の電池特性と耐久試験後の電池特性を同時に向上させる作用・原理は明確ではないが、以下のように考えられる。ただし、本発明は、以下に記述する作用・原理に限定されるものではない。
通常、特許文献1~13に代表される芳香族カルボン酸エステル及びカルボン酸芳香族エステルは、正極上で被膜状の構造物を形成することにより電池特性の向上をもたらす。しかし、特許文献1~10に記載されている芳香環に直接オキシカルボニル基が結合した芳香族カルボン酸エステルや芳香環に直接カルボニルオキシ基が結合したカルボン酸芳香族エステルは、芳香環とカルボニル基の空軌道が重なりあうことで負極での還元副反応が顕著に進行し、Li+伝導性の低い被膜が多量に形成される。その結果、高電流密度下の充放電特性や充放電効率が大きく低下しうる。更に、還元副反応が顕著に進行することで、放電容量が大きく低下しうる。
また、特許文献11及び12に記載されているフェニル酢酸エステルは、メチレン基を介してカルボニル基と芳香環が近距離に位置するため、前述の化合物と同様、空軌道が重なり合う。その結果、負極での還元副反応が進行し、特許文献1~10に記載されている化合物と同様に電池特性が低下しうる。
また、特許文献13では、耐還元性に劣る芳香族カルボン酸エステルと特定の添加剤を併用することで、前述の問題点を改善させようとしているが、記載されている芳香族カルボン酸エステルの耐酸化性が低く、通常使用電圧において正極上で副反応を起こし、電池特性が大きく低下しうる。
一方、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、上記式(2)以外の芳香族化合物、上記式(3)で表されるカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(「(II)群の化合物」ともいう)は、負極上において被膜を形成し、性能を向上させる。しかし、同時に正極上での酸化副反応による劣化も進行するため、これらを添加のみによる電池特性の向上は不十分であった。
そのような課題に対し、本発明の第一の態様では、式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルを非水系電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出した。
式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルは、前述のように、カルボン酸骨格の芳香環とカルボニル基の空軌道の重なりにより、それ単独使用では負極での還元副反応が進行し、Li+伝導性の低い被膜が多量に形成されると考えられる。それに対し、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルと(II)群の化合物を同時に用いた場合、(II)群の化合物が負極上に形成する被膜が式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルの還元副反応を抑制する。更に、(II)群の化合物が負極上に被膜を形成する際、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルの一部が取り込まれることで、Li+伝導性が高く安定な複合被膜を形成する。また、正極上においては、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルが被膜状の構造物を形成することにより、(II)群の化合物の酸化副反応を抑制する。その結果、電池特性を低下させることなく初期の電池特性と耐久試験後の電池特性を同時に向上させることができる。
<本発明の第一の態様>
1-1.式(1)で表される芳香族カルボン酸エステル
本発明の第一の態様は、式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルを非水系電解液中に含有することを特徴とする。なお、式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルにおいては光学異性体の区別はつけないものとし、異性体単独又はこれらの混合として適用することもできる。
(式中、
A1は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
n1は、1以上の整数であり、
R2及びR3は、独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、これらは互いに結合して環を形成していてもよく、R2が複数存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよく、R3が複数存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよく、
a1は、1又は2の整数であり、
a1が1の場合、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
a2が2の場合、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、複数存在するA1は、同一であっても異なっていてもよく、
ただし、n1が1の場合、R2及びR3のうち少なくとも1つは炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
n1が2であり、かつ複数のR2及び複数のR3が全て水素原子の場合、R1は炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基である。)
置換基としては、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子);アルコキシ基;ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されている、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアルコキシ基;シアノ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;カルボキシ基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アルキルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジアルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されているアルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子又はハロゲン原子で置換されているアルキル基である。上記置換基におけるアルキル基、アルコキシ基(これらは置換基の一部を構成するものも含む)としては、例えば炭素数1以上6以下のものが挙げられ、アルケニル基、アルキニル基としては、炭素数2以上6以下のものが挙げられ、アリール基としては、例えば炭素数6以上12以下のものが挙げられる。
これらのうち、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基等の炭素数2~5のアルケニル基;エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基等の炭素数2~5のアルキニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、i-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、i-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基等のアリール基;ベンジル基、α―メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、フェネチル基、2-フェニルプロピル基、2-メチル-2-フェニルプロピル基、3-フェニルプロピル基、3-フェニルブチル基、3-メチル-3-フェニルブチル基、4-フェニルブチル基、5-フェニルペンチル基、6-フェニルヘキシル基等の炭素数7~12のアラルキル基等が好ましい。より好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基等の炭素数1~5のアルキル基;及びベンジル基、α―メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、フェネチル基、2-フェニルプロピル基、2-メチル-2-フェニルプロピル基、3-フェニルプロピル基、3-フェニルブチル基、3-メチル-3-フェニルブチル基、4-フェニルブチル基、5-フェニルペンチル基、6-フェニルヘキシル基等の炭素数7~12のアラルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基であり、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基が特に好ましい。
≪a1=1の場合≫
a1=1の場合、具体例として挙げられる以下の化合物中、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、ベンジル基、α―メチルベンジル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、フェネチル基、2-フェニルプロピル基、2-メチル-2-フェニルプロピル基、3-フェニルプロピル基、3-フェニルブチル基、3-メチル-3-フェニルブチル基、4-フェニルブチル基、5-フェニルペンチル基、6-フェニルヘキシル基から選ばれる炭化水素基であり、R’は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基から選ばれる炭化水素基である。
a1=2の場合、具体例として挙げられる以下の化合物中、Rは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基、エチニレン基、プロピニレン基、1-ブチニレン基、2-ブチニレン基、1-ペンチニレン基及び2-ペンチニレン基から選ばれる炭化水素基である。
1-2.式(2)で表される芳香族カルボン酸エステル
本発明の第二の態様は、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルを非水系電解液中に含有することを特徴とする。なお、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルにおいては光学異性体の区別はつけないものとし、異性体単独又はこれらの混合として適用することもできる。
(式中、
A2は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
n2は、1又は2の整数であり、
a2は、1又は2の整数であり、
a2が1の場合、R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基であり、ただし、n2が2の場合、R4は置換基を有していてもよいアリール基であり、
a2が2の場合、R4は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリーレン基であり、複数のA2は同一であっても異なっていてもよく、ただし、n2が2の場合、R4は、置換基を有していてもよいアリーレン基である。)
これらのうち、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基等の炭素数1~5のアルキル基、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基等の炭素数2~5のアルケニル基、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基等の炭素数2~5のアルキニル基等が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基等の炭素数1~5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基が更に好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
≪a2=1の場合≫
a2=1の場合、具体例として挙げられる以下の化合物中、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、、フニル基、トリル基、tert-ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、モノフルオロフェニル基から選ばれる基であり、R’は、フェニル基、トリル基、tert-ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、モノフルオロフェニル基から選ばれるアリール基である。
a2=2の場合、具体例として挙げられる以下の化合物中、Rは、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ビニレン基、エチニレン基から選ばれる炭化水素基である。
本発明の第二の態様は、上記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとともに、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(2)以外の芳香族化合物、式(3)で表されるカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物((II)群の化合物)を非水系電解液中に含有することを特徴としている。これらを併用することで、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルが引き起こしうる副反応を効率よく抑制できるためである。
フッ素含有環状カーボネートとしては、炭素数2以上6以下のアルキレン基を有する環状カーボネートのフッ素化物、及びその誘導体が挙げられ、例えばエチレンカーボネートのフッ素化物(以下、「フッ素化エチレンカーボネート」と記載する場合がある)、及びその誘導体が挙げられる。エチレンカーボネートのフッ素化物の誘導体としては、アルキル基(例えば、炭素数1以上4以下のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられる。中でもフッ素数1以上8以下のフッ素化エチレンカーボネート、及びその誘導体が好ましい。
本発明の電解液において、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとフッ素含有環状カーボネートとを併用することによって、この電解液を用いた電池において、初期ガス量が抑制できる一方で、過充電ガス量が増加することで電池安全性を一層向上させることができる。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4-フルオロビニレンカーボネート、4-フルオロ-5-メチルビニレンカーボネート、4-フルオロ-5-フェニルビニレンカーボネート、4-アリル-5-フルオロビニレンカーボネート、4-フルオロ-5-ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
本発明の電解液は、更に硫黄含有有機化合物を含むことができる。硫黄含有有機化合物は、分子内に硫黄原子を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは分子内にS=O基を有している有機化合物であり、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル及び環状亜硫酸エステルが挙げられる。ただしフルオロスルホン酸塩に該当するものは、1-3-2.硫黄含有有機化合物ではなく、後述する電解質であるフルオロスルホン酸塩に包含されるものとする。
本発明の電解液において、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルと硫黄含有有機化合物とを併用することによって、この電解液を用いた電池において、初期効率を向上させることができる一方で、過充電ガス量が増加することで電池安全性を一層向上させることができる。
これらのエステルは、置換基を有していてもよい。ここで置換基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1以上の原子で構成された基であり、好ましくは、炭素原子、水素原子、酸素原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1以上の原子で構成された基であり、より好ましくは、炭素原子、水素原子及び酸素原子からなる群から選ばれる1以上の原子で構成された基である。置換基としては、ハロゲン原子;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はアルコキシ基;シアノ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;カルボキシ基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アルキルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジアルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、好ましくはハロゲン原子;アルコキシ基;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基;イソシアナト基;シアノ基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、非置換アルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;アルコキシカルボニル基又はアシルオキシ基であり、より好ましくは、ハロゲン原子、非置換アルキル基及びアルコキシカルボニル基である。これらの置換基に関する例示及び好ましい例は、後述する式(3-2-1)におけるA12及びA13、ならびに式(3-2-2)におけるA14の定義中の置換基に適用される。
(式中、
A12は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下のn21価の炭化水素基であり、
A13は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
n21は、1以上4以下の整数であり、
n21が2の場合、A12及びA13は、同一であっても、異なっていてもよい。)
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基等の1価の炭化水素基;
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の2価の炭化水素基;
アルカントリイル基、アルケントリイル基、アルキントリイル基及びアレーントリイル基等の3価の炭化水素基;
アルカンテトライル基、アルケンテトライル基、アルキンテトライル基及びアレーンテトライル基等の4価の炭化水素基;
等が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基;ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基等の炭素数2以上5以下のアルケニレン基;エチニレン基、プロピニレン基、1-ブチニレン基、2-ブチニレン基、1-ペンチニレン基及び2-ペンチニレン基等の炭素数2以上5以下のアルキニレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1~5のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3以上5以下のアルキレン基である。
3価及び4価の炭化水素基としては、上記1価の炭化水素基に対応する、3価及び4価の炭化水素基が挙げられる。
炭素数1以上12以下の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1~5のアルキレン基;ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基等の炭素数2~5のアルケニレン基;
エチニレン基、プロピニレン基、1-ブチニレン基、2-ブチニレン基、1-ペンチニレン基及び2-ペンチニレン基等の炭素数2~5のアルキニレン基等が挙げられる。
これらのうち、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1~5のアルキレン基及びビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基等の炭素数2~5のアルケニレン基であり、より好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3~5のアルキレン基及び1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基等の炭素数3~5のアルケニレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基である。
なお、A14における置換基を有していいる炭素数1以上12以下の2価の炭化水素基とは、上記置換基と上記炭素数1以上12以下の2価の炭化水素基を組み合わせた基のことを意味する。A14は、好ましくは置換基を有さない炭素数1以上5以下の2価の炭化水素基である。
フルオロスルホン酸メチル及びフルオロスルホン酸エチル等のフルオロスルホン酸エステル;
メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸2-プロピニル、メタンスルホン酸3-ブチニル、ブスルファン、2-(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸メチル、2-(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸エチル、2-(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2-プロピニル、2-(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸3-ブチニル、メタンスルホニルオキシ酢酸メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2-プロピニル及びメタンスルホニルオキシ酢酸3-ブチニル等のメタンスルホン酸エステル;
ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニルスルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルスルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギル及び1,2-ビス(ビニルスルホニロキシ)エタン等のアルケニルスルホン酸エステル;
メタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸1-メトキシカルボニルエチル、メタンジスルホン酸1-エトキシカルボニルエチル、1,2-エタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,2-エタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,2-エタンジスルホン酸1-メトキシカルボニルエチル、1,2-エタンジスルホン酸1-エトキシカルボニルエチル、1,3-プロパンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3-プロパンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3-プロパンジスルホン酸1-メトキシカルボニルエチル、1,3-プロパンジスルホン酸1-エトキシカルボニルエチル、1,3-ブタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3-ブタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3-ブタンジスルホン酸1-メトキシカルボニルエチル、1,3-ブタンジスルホン酸1-エトキシカルボニルエチル等のアルキルジスルホン酸エステル;
1,3-プロパンスルトン、1-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、2-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、3-フルオロ-1,3-プロパンスルトン、1-メチル-1,3-プロパンスルトン、2-メチル-1,3-プロパンスルトン、3-メチル-1,3-プロパンスルトン、1-プロペン-1,3-スルトン、2-プロペン-1,3-スルトン、1-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、2-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、3-フルオロ-1-プロペン-1,3-スルトン、1-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、2-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、3-フルオロ-2-プロペン-1,3-スルトン、1-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、2-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、3-メチル-1-プロペン-1,3-スルトン、1-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、2-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、3-メチル-2-プロペン-1,3-スルトン、1,4-ブタンスルトン及び1,5-ペンタンスルトン等のスルトン化合物;
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネート等のジスルホネート化合物;
ジメチルスルフェート、エチルメチルスルフェート及びジエチルスルフェート等のジアルキルスルフェート化合物。
1,2-エチレンスルフェート、1,2-プロピレンスルフェート、1,3-プロピレンスルフェート、1,2-ブチレンスルフェート、1,3-ブチレンスルフェート、1,4-ブチレンスルフェート、1,2-ペンチレンスルフェート、1,3-ペンチレンスルフェート、1,4-ペンチレンスルフェート及び1,5-ペンチレンスルフェート等のアルキレンスルフェート化合物。
ジメチルスルファイト、エチルメチルスルファイト及びジエチルスルファイト等のジアルキルスルファイト化合物。
1,2-エチレンスルファイト、1,2-プロピレンスルファイト、1,3-プロピレンスルファイト、1,2-ブチレンスルファイト、1,3-ブチレンスルファイト、1,4-ブチレンスルファイト、1,2-ペンチレンスルファイト、1,3-ペンチレンスルファイト、1,4-ペンチレンスルファイト及び1,5-ペンチレンスルファイト等のアルキレンスルファイト化合物。
式(2)で表される芳香族カルボン酸エステル:硫黄含有有機化合物が、1:99~99:1であることが好ましく、5:95~95:5がより好ましく、10:90~90:10が更に好ましく、20:80~80:20が特に好ましく、30:70~70:30が極めて好ましい。この範囲であれば、電池特性、特に初期特性を著しく向上させることができる。この原理については定かではないが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に抑えられるためと考えられる。
本発明の電解液は、更にホスホン酸エステルを含むことができる。ホスホン酸エステルは、分子内に少なくともホスホン酸エステル構造を有している有機化合物であれば、特に制限されない。
本発明の電解液において、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとホスホン酸エステルとを併用することによって、この電解液を用いた電池において、初期レート特性が向上できる一方で、保存後の電池容量を向上させることができる。
(式中、
A9、A10及びA11は、独立して、非置換又はハロゲン置換の、炭素数1~5のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基であり、
n32は、0~6の整数である。)
トリメチル ホスホノフォルメート、メチル ジエチルホスホノフォルメート、メチル ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ジブチルホスホノフォルメート、トリエチル ホスホノフォルメート、エチル ジメチルホスホノフォルメート、エチル ジプロピルホスホノフォルメート、エチル ジブチルホスホノフォルメート、トリプロピル ホスホノフォルメート、プロピル ジメチルホスホノフォルメート、プロピル ジエチルホスホノフォルメート、プロピル ジブチルホスホノフォルメート、トリブチル ホスホノフォルメート、ブチル ジメチルホスホノフォルメート、ブチル ジエチルホスホノフォルメート、ブチル ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、エチル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、プロピル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、ブチル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート等。
トリメチル ホスホノアセテート、メチル ジエチルホスホノアセテート、メチル ジプロピルホスホノアセテート、メチル ジブチルホスホノアセテート、トリエチル ホスホノアセテート、エチル ジメチルホスホノアセテート、エチル ジエチルホスホノアセテート、エチル ジプロピルホスホノアセテート、エチル ジブチルホスホノアセテート、トリプロピル ホスホノアセテート、プロピル ジメチルホスホノアセテート、プロピル ジエチルホスホノアセテート、プロピル ジブチルホスホノアセテート、トリブチル ホスホノアセテート、ブチル ジメチルホスホノアセテート、ブチル ジエチルホスホノアセテート、ブチル ジプロピルホスホノアセテート、メチル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、エチル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、プロピル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、ブチル ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、アリル ジメチルホスホノアセテート、アリル ジエチルホスホノアセテート、2-プロピニル ジメチルホスホノアセテート、2-プロピニル ジエチルホスホノアセテート等。
トリメチル 3-ホスホノプロピオネート、メチル 3-(ジエチルホスホノ)プロピオネート、メチル 3-(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3-(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリエチル 3-ホスホノプロピオネート、エチル 3-(ジメチルホスホノ)プロピオネート、エチル 3-(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、エチル 3-(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリプロピル 3-ホスホノプロピオネート、プロピル 3-(ジメチルホスホノ)プロピオネート、プロピル 3-(ジエチルホスホノ)プロピオネート、プロピル 3-(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリブチル 3-ホスホノプロピオネート、ブチル 3-(ジメチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3-(ジエチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3-(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3-(ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、エチル 3-(ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、プロピル 3-(ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、ブチル 3-(ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート等。
トリメチル 4-ホスホノブチレート、メチル 4-(ジエチルホスホノ)ブチレート、メチル 4-(ジプロピルホスホノ)ブチレート、メチル 4-(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリエチル 4-ホスホノブチレート、エチル 4-(ジメチルホスホノ)ブチレート、エチル 4-(ジプロピルホスホノ)ブチレート、エチル 4-(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリプロピル 4-ホスホノブチレート、プロピル 4-(ジメチルホスホノ)ブチレート、プロピル 4-(ジエチルホスホノ)ブチレート、プロピル 4-(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリブチル 4-ホスホノブチレート、ブチル 4-(ジメチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4-(ジエチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4-(ジプロピルホスホノ)ブチレート等。
本発明の電解液は、シアノ基を有する有機化合物を含むことができる。シアノ基を有する有機化合物としては、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは式(3-4-1)、式(3-4-2)及び式(3-4-3)で表される化合物であり、より好ましくは式(3-4-1)及び式(3-4-2)で表される化合物であり、更に好ましくは、式(3-4-2)で表される化合物である。なお、シアノ基を有する有機化合物が、複数のエーテル結合を有する環状化合物でもある場合、複数のエーテル結合を有する環状化合物に属するものとする。
本発明の電解液において、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとシアノ基を有する有機化合物とを併用することによって、この電解液を用いた電池において、初期の充放電効率が向上する一方で、保存後の充放電効率を向上させることができる。
A1-CN (3-4-1)
(式中、A1は炭素数2以上20以下の炭化水素基を示す。)
中でも、分子全体に対するシアノ基の割合が多く、電池特性向上効果が高いという観点から、炭素数2以上15以下の直鎖又は分岐状のアルキル基及び炭素数2以上4以下のアルケニル基がより好ましく、炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐状のアルキル基が更に好ましく、炭素数4以上11以下の直鎖又は分岐状のアルキル基が特に好ましい。
中でも、化合物の安定性、電池特性、製造面の観点から、ペンタンニトリル、オクタンニトリル、デカンニトリル、ドデカンニトリル及びクロトノニトリルが好ましく、ペンタンニトリル、デカンニトリル、ドデカンニトリル及びクロトノニトリルがより好ましく、ペンタンニトリル、デカンニトリル及びクロトノニトリルが好ましい。
NC-A2-CN (3-4-2)
(式中、
A2は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上10以下の有機基である。)
(式中、
A3は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であり、n43は0以上5以下の整数である。)
上記n43は0以上5以下、好ましくは0以上3以下、より好ましくは0以上1以下の整数であり、特に好ましくは0である。
また、上記A3は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であることが好ましく、水素原子、炭素原子及び酸素原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
ここで置換基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子で構成された基のことを表す。
置換基としては、ハロゲン原子;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アルキルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジアルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子;アルコキシ基又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、更に好ましくは非置換のアルキル基である。
上記脂肪族炭化水素基は、特に制限されないが、炭素数は1以上であることができ、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、12以下であることができ、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。
脂肪族炭化水素基としては、n43に応じて、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、アルカンペンタイル基、アルカンテトライル基、アルケントリイル基、アルケンテトライル基、アルケンペンタイル基、アルケンテトライル基、アルキントリイル基、アルキンテトライル基、アルキンペンタイル基及びアルキンテトライル基等が挙げられる。
これらのうち、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、アルカンペンタイル基及びアルカンテトライル基等の飽和炭化水素基がより好ましく、アルカントリイル基が更に好ましい。
(式中、A4及びA5は、上記A3に対応する2価の基である。)
また、上記A4及びA5は、置換基を有していていもよい炭素数1以上5以下の炭化水素基であることがより好ましい。
炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラエチレン基、ペンタメチレン基、ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基、エチニレン基、プロピニレン基、1-ブチニレン基、2-ブチニレン基、1-ペンチニレン基及び2-ペンチニレン基等が挙げられる。
これらのうち、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラエチレン基、ペンタメチレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基がより好ましい。
上記A4及びA5は、互いに同一でなく、異なることが好ましい。
本発明の電解液は、イソシアネート基を有する有機化合物を含むことができる。イソシアネート基を有する有機化合物は、分子内に少なくとも1つのイソシアネート基を有する有機化合物であれば、特に制限されないが、イソシアネート基の数は、一分子中、好ましくは1以上4以下、より好ましくは2以上3以下、更に好ましくは2である。
イソシアネート基を有する有機化合物は、好ましくは、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基とアルキレン基が連結した構造、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基とアルキレン基が連結した構造、エーテル構造(-O-)、エーテル構造(-O-)とアルキレン基が連結した構造、カルボニル基(-C(=O)-)、カルボニル基とアルキレン基とが連結した構造、スルホニル基(-S(=O)-)、スルホニル基とアルキレン基とが連結した構造又はこれらがハロゲン化された構造等を有する化合物にイソシアネート基が結合した化合物であり、より好ましくは、直鎖状或いは分岐状のアルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基とアルキレン基が連結した構造、芳香族炭化水素基又は芳香族炭化水素基とアルキレン基が連結した構造にイソシアネート基が結合した化合物であり、更に好ましくは、シクロアルキレン基とアルキレン基が連結した構造にイソシアネート基が結合した化合物である。イソシアネート基を有する有機化合物の分子量は特に制限されない。分子量は、好ましくは80以上であり、より好ましくは115以上、更に好ましくは170以上であり、また、300以下であり、より好ましくは230以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対するイソシアネート基を有する有機化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。イソシアネート基を有する有機化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。また、市販品を用いてもよい。
等が挙げられる。
本発明の電解液は、ケイ素含有化合物を含むことができる。ケイ素含有化合物は、分子内に少なくとも1つのケイ素原子を有する化合物であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステル絵とケイ素含有化合物を併用することによって、初期ハイレート放電容量を向上させる一方で、保存後の容量を向上させることができる。
R61、R62及びR63は、独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数10以下の炭化水素基であり、
X61は、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子からなる群より選ばれる少なくとも1個の原子を含む有機基である。)
ケイ素含有化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメトキシシリル)、ホウ酸トリス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエトキシシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルビニルシリル)及びホウ酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のホウ酸化合物;リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(トリプロピルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)、リン酸トリス(トリメトキシシリル)、リン酸トリス(トリエトキシシリル)、リン酸トリス(トリフエノキシシリル)、リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)及びリン酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のリン酸化合物;
メタンスルホン酸トリメチルシリル、テトラフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のスルホン酸化合物;
ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシラン、1,1,2,2-テトラメチルジシラン、1,1,2,2-テトラエチルジシラン、1,2-ジフェニルテトラメチルジシラン及び1,1,2,2-テトラフェニルジシラン等のジシラン化合物;
等が挙げられる。
本発明の電解液は、式(2)以外の芳香族化合物を含むことができる。式(2)以外の芳香族化合物としては、分子内に芳香環を少なくとも1つ有している式(2)以外の有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは式(3-7-1)及び式(3-7-2)で表される芳香族化合物である。
(式中、置換基X71はハロゲン原子、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい有機基とは、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基、カルボン酸エステル構造を有する基、カーボネート構造を有する基、リン原子を有する基、硫黄原子を有する基、ケイ素原子を有する基を示す。また、それぞれの置換基は更にハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、ハロゲン含有炭化水素基、ハロゲン含有芳香族基等で置換されていてもよい。また置換基X71の数n71は1以上6以下であり、複数の置換基を有する場合それぞれの置換基は同一でも異なっていてもよく、また環を形成していてもよい。)
置換基X71の数n71は好ましくは1以上5以下であり、より好ましくは1以上3以下であり、更に好ましくは1以上2以下であり、特に好ましくは1である。
ハロゲン原子として、塩素、フッ素等が挙げられ、好ましくはフッ素である。
ヘテロ原子を有さない有機基として、炭素数3以上12以下の直鎖状、分岐状、環状の飽和炭化水素基が挙げられ、直鎖状、分岐状のものは環構造を持つものも含まれる。炭素数1以上12以下の直鎖状、分岐状、環状の飽和炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、等が挙げられる。炭素数は好ましくは3以上12以下、より好ましくは3以上10以下、更に好ましくは3以上8以下、更により好ましくは3以上6以下、最も好ましくは3以上5以下である。
ヘテロ原子を有する有機基を構成するヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子等が挙げられる。酸素原子を有するものとして、カルボン酸エステル構造を有する基、カーボネート構造を有する基等が挙げられる。硫黄原子を有するものとして、スルホン酸エステル構造を有する基等が挙げられる。リン原子を有するものとして、リン酸エステル構造を有する基、ホスホン酸エステル構造を有する基等が挙げられる。ケイ素原子を有するものとして、ケイ素-炭素構造を有する基等が挙げられる。
X71がハロゲン原子又はハロゲン原子を有していてもよい有機基であるものとして、
クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等が挙げられ、好ましくはフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼンである。より好ましくはフルオロベンゼンである。
2,2-ジフェニルプロパン、1,4-ジフェニルシクロヘキサン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス-1-プロピル-4-フェニルシクロヘキサン、トランス-1-プロピル-4-フェニルシクロヘキサン、シス-1-ブチル-4-フェニルシクロヘキサン、トランス-1-ブチル-4-フェニルシクロヘキサン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、tert-アミルベンゼン等が挙げられ、好ましくは2,2-ジフェニルプロパン、1,4-ジフェニルシクロヘキサン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス-1-プロピル-4-フェニルシクロヘキサン、トランス-1-プロピル-4-フェニルシクロヘキサン、シス-1-ブチル-4-フェニルシクロヘキサン、トランス-1-ブチル-4-フェニルシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、tert-アミルベンゼンであり、より好ましくは2,2-ジフェニルプロパン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,1-ジフェニルシクロヘキサン、tert-ブチルベンゼン、tert-アミルベンゼンであり、更に好ましくはシクロヘキシルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、tert-アミルベンゼンである。
酢酸フェニル、酢酸ベンジル、酢酸2-フェニルエチル、酢酸3-フェニルプロピル、酢酸4-フェニルブチル、プロピオン酸フェニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸2-フェニルエチル、プロピオン酸3-フェニルプロピル、プロピオン酸4-フェニルブチル、酪酸フェニル、酪酸ベンジル、酪酸2-フェニルエチル、酪酸3-フェニルプロピル、酪酸4-フェニルブチル、フェニル酢酸フェネチル、2,2-ビス(4-アセトキシフェニル)プロパン等が挙げられ、好ましくは酢酸2-フェニルエチル、酢酸3-フェニルプロピル、プロピオン酸2-フェニルエチル、プロピオン酸3-フェニルプロピル、2,2-ビス(4-アセトキシフェニル)プロパンであり、より好ましくは酢酸2-フェニルエチル、酢酸3-フェニルプロピルである。
2,2-ビス(4-メトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-メトキシカルボニルオキシフェニル)シクロヘキサン、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、2-tert-ブチルフェニルメチルカーボネート、2-tert-ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(2-tert-ブチルフェニル)カーボネート、4-tert-ブチルフェニルメチルカーボネート、4-tert-ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)カーボネート、ベンジルメチルカーボネート、ベンジルエチルカーボネート、ジベンジルカーボネート等が挙げられ、好ましくは2,2-ビス(4-メトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-メトキシカルボニルオキシフェニル)シクロヘキサン体、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、より好ましくはジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、更に好ましくはメチルフェニルカーボネートである。
メチルフェニルスルホネート、エチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、フェニルメチルスルホネート、2-tert-ブチルフェニルメチルスルホネート、4-tert-ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネート等が挙げられ、好ましくはメチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、2-tert-ブチルフェニルメチルスルホネート、4-tert-ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネートであり、より好ましくはメチルフェニルスルホネート、2-tert-ブチルフェニルメチルスルホネート、4-tert-ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネートである。
トリメチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルテトラメチルジシラン等が挙げられ、好ましくはトリメチルフェニルシランである。
トリフェニルホスフェート、トリス(2-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2-tert-アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3-tert-アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4-tert-アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2-シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3-シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4-シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、ジエチル(4-メチルベンジル)ホスホネート等が挙げられ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリス(2-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2-tert-アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3-tert-アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4-tert-アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2-シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3-シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4-シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、であり、より好ましくはトリス(2-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2-シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4-シクロヘキシルフェニル)ホスフェートである。
ジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、メチルフェニルフェニルホスホネート、エチルフェニルフェニルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネート、ジメチル-(4-フルオロフェニル)-ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、メチルフェニルベンジルホスホネート、エチルフェニルベンジルホスホネート、ジフェニルベンジルホスホネート、ジメチル-(4-フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル-(4-フルオロベンジル)ホスホネート等が挙げられ、好ましくはジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメチル-(4-フルオロフェニル)-ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、ジメチル-(4-フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル-(4-フルオロベンジル)ホスホネートであり、より好ましくはジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、ジメチル-(4-フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル-(4-フルオロベンジル)ホスホネートである。
トリフルオロメチルベンゼン、2-フルオロトルエン、3-フルオロトルエン、4-フルオロトルエン、トリフルオロメチルベンゼン、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2-フルオロフェニルアセテート、4-フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン、2-フルオロアニソール、3-フルオロアニソール、4-フルオロアニソール、2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール、4-トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルベンゼン、2-フルオロトルエン、3-フルオロトルエン、4-フルオロトルエン、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2-フルオロフェニルアセテート、4-フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン2-フルオロアニソール、4-フルオロアニソール、2,4-ジフルオロアニソール、4-トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等であり、より好ましくは2-フルオロトルエン、3-フルオロトルエン、4-フルオロトルエン、等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2-フルオロフェニルアセテート、4-フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン、2-フルオロアニソール、4-フルオロアニソール、2,4-ジフルオロアニソール、4-トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等である。
(式中、R11~R15は、独立して、水素、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、R16及びR17は、独立して、炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、R11~R17のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成していてもよく、ただし、式(3-7-2)は、(A)及び(B):
(A)R11~R15のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R11~R17の炭素数の合計は、3以上20以下である、のうち少なくとも一方の条件を満たす)
で表される芳香族化合物である。R11~R17のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成している場合、R11~R17のうち2つが一緒になって環を形成していることが好ましい。
(A)R11~R15のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R11~R17の炭素数の合計は、3以上20以下である、
のうち少なくとも一方の条件を満たす。
式(3-7-2)は、通常の電池動作電圧範囲内における正極上での酸化抑制の点から、(A)を満たしていることが好ましく、電解液への溶解性の点から、(B)を満たしていることが好ましい。式(3-7-2)は、(A)と(B)の両方を満たしていてもよい。
(B)について、R11~R17の炭素数の合計は3以上20以下であれば、R11~R17のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成していてもよい。R11~R17のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成している場合、炭素数の合計の算出にあたっては、環を形成する炭素のうち、R11~R17に相当しない炭素(R11~R15については、これらが結合しているベンゼン環を構成する炭素、R16及びR17については、ベンジル位の炭素)はカウントしないこととする。炭素数の合計は、電解液への溶解度の点から、好ましくは3以上14以下であり、より好ましくは3以上10以下である。例えば、R17がメチル基で、R11とR16が一緒になって環を形成している化合物として1-フェニル-1,3,3-トリメチルインダン、2,3-ジヒドロ1,3-ジメチル-1-(2-メチル-2-フェニルプロピル)-3-フェニル-1H-インダン等が挙げられるが、これは(B)の条件を満たす。
R16及びR17が、独立して、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり(ただし、R16及びR17の合計は炭素数3以上20以下である)、R11~R15が水素である化合物((B)を満たす)。
2,2-ジフェニルブタン、3,3-ジフェニルペンタン、3,3-ジフェニルヘキサン、4,4-ジフェニルヘプタン、5,5-ジフェニルオクタン、6,6-ジフェニルノナン、1,1-ジフェニル-1,1-ジtert-ブチル-メタン。
1,1-ジフェニルシクロヘキサン、1,1-ジフェニルシクロペンタン、1,1-ジフェニル-4-メチルシクロヘキサン。
1,3-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-ベンゼン、1,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-ベンゼン。
1-フェニル-1,3,3-トリメチルインダン。
2,2-ジフェニルブタン、3,3-ジフェニルペンタン、1,1-ジフェニル-1,1-ジtert-ブチル-メタン、1,1-ジフェニルシクロヘキサン、1,1-ジフェニルシクロペンタン、1,1-ジフェニル-4-メチルシクロヘキサン、1,3-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-ベンゼン、1,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-ベンゼン、1-フェニル-1,3,3-トリメチルインダンである。
2,2-ジフェニルブタン、1,1-ジフェニルシクロヘキサン、1,1-ジフェニル-4-メチルシクロヘキサン、1,3-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-ベンゼン、1,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)-ベンゼン、1-フェニル-1,3,3-トリメチルインダンである。
上記R6はエチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基であり、好ましくはエチル基、n-プロピル基、より好ましくはエチル基である。
上記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルと式(3)で表されるカルボン酸エステルの質量比は、負極上での複合的な界面保護被膜形成の点から、1:99~99:1であることが好ましく、5:95~95:5がより好ましく、10:90~90:10が更に好ましく、20:80~80:20が特に好ましく、30:70~70:30が極めて好ましい。この範囲で配合した場合、各添加剤の正負極での副反応を効率よく抑制でき、電池特性が向上する。特に、初期抑制及び過充電時の安全性向上に有用である。
複数のエーテル結合を有する環状化合物としては、分子内に複数のエーテル結合を有する環状化合物であれば、特に限定されないが、好ましくは式(3-9)で表される化合物である。複数のエーテル結合を有する環状化合物は、電池の高温保存特性の向上に寄与するものであり、本発明の電解液においては、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルと併用することで、良好な初期特性を保持することができる。
(式中、
A15~A20は、独立して、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1以上5以下の炭化水素基を表す。n101は1以上4以下の整数であり、n101が2以上の整数の場合は、複数のA17及びA18は同一であっても異なっていてもよい。)
尚、A15~A20から選ばれる2つが互いに結合して環を形成してもよい。この場合、A17及びA18で環構造を形成することが好ましい。また、A15~A20の炭素数の総和が、好ましくは0以上8以下、より好ましくは0以上4以下、更に好ましくは0以上2以下、特に好ましくは0以上1以下である。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の2価の炭化水素基;等が挙げられる。これらのうち、アルキル基、アルキレン基が好ましく、アルキル基がより好ましい。具体例としては、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基等の炭素数1以上5以下のアルキル基;
ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基等の炭素数2以上5以下のアルケニル基;
エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基等の炭素数2以上5以下のアルキニル基;
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基;
ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基等の炭素数2以上5以下のアルケニレン基;
エチニレン基、プロピニレン基、1-ブチニレン基、2-ブチニレン基、1-ペンチニレン基及び2-ペンチニレン基等の炭素数2以上5以下のアルキニレン基等が挙げられる。これらのうち、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3以上5以下のアルキレン基である。
電解質は特に制限なく、電解質として公知のものを任意に用いることができる。リチウム二次電池の場合は、通常リチウム塩が用いられる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiTaF6、LiWF7等の無機リチウム塩;LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;FSO3Li、CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li等のスルホン酸リチウム塩類;LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2-パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3-パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート等のリチウム(マロナト)ボレート塩類;リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート等のリチウム(マロナト)ホスフェート塩類;その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;等が挙げられる。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩は、それぞれ、分子内に少なくとも1つのモノフルオロリン酸又はジフルオロリン酸構造を有する塩であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとモノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩から選ばれる1種以上とを併用することにより、電池の初期充放電後の体積変化を著しく抑制し、過充電時安全性の一層の向上を図ることができる。また、併用によって、電池の初期不可逆容量を小さくし、放電保存特性を向上させることもできる。これと同時に、電池は優れた高温サイクル特性を有することができる。
ホウ酸塩は、分子内にホウ素原子を少なくとも1つ有している塩であれば、特に制限されない。ただしシュウ酸塩に該当するものは、1-4-2.ホウ酸塩ではなく、後述する1-4-3.シュウ酸塩に包含されるものとする。本発明の電解液において、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとホウ酸塩とを併用することによって、初期特性及び保存特性も改善され、更に、過充電時安全性に優れた電池が得られる。
また、電解質としてホウ酸塩とLiPF6を用いた場合、非水電解液中のLiPF6のモル含有量に対するホウ酸塩のモル含有量の比は、0.001以上12以下が好ましく、、0.01~1.1がより好ましく、0.01~1.0が更に好ましく、0.01~0.7がより好ましい。この範囲であると、電池中での正負極上副反応を抑制し、電池の充放電効率が向上する。
シュウ酸塩は、分子内に少なくとも1つのシュウ酸構造を有する化合物であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとシュウ酸塩とを併用することによって、初期特性及び保存特性も改善された電池が得られる。
(式中、
M1は、周期表における1族、2族及びアルミニウム(Al)からなる群より選ばれる元素であり、
M2は、遷移金属、周期表の13族、14族及び15族からなる群より選ばれる元素であり、
R91は、ハロゲン、炭素数1以上11以下のアルキル基及び炭素数1以上11以下のハロゲン置換アルキル基からなる群より選ばれる基であり、
a及びbは正の整数であり、
cは0又は正の整数であり、
dは1~3の整数である。)
M2は、リチウム二次電池に用いる場合の電気化学的安定性の点で、ホウ素及びリンが特に好ましい。
R91としては、フッ素、塩素、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、フッ素、トリフルオロメチル基が好ましい。
リチウムジフルオロオキサラトボレート及びリチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;
これらのうち、リチウムビス(オキサラト)ボレート及びリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートが好ましく、リチウムビス(オキサラト)ボレートがより好ましい。
フルオロスルホン酸塩としては、分子内に少なくとも1つのフルオロスルホン酸構造を有している塩であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルとフルオロスルホン酸塩とを併用することにより、初期特性及び保存特性も改善された電池が得られる。
本発明における非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。具体的には、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル系化合物、スルホン系化合物等が挙げられる。
また、本明細書において、非水溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートとしては、炭素数2~4のアルキレン基を有する環状カーボネートが挙げられる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
鎖状カーボネートとしては、炭素数3~7の鎖状カーボネートが好ましく、炭素数3~7のジアルキルカーボネートがより好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n-プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、n-ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、tert-ブチルメチルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート、n-ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、tert-ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と記載する場合がある)も好適に用いることができる。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体としては、2-フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2-ジフルオロエチルメチルカーボネート、2-フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2-ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2-フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
環状カルボン酸エステルとしては、炭素数が3~12のものが好ましい。
具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲であれば、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルの配合量は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。このように上限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていてもよい炭素数3~10の鎖状エーテル、及び炭素数3~6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3~10の鎖状エーテルとしては、
ジエチルエーテル、ジ(2-フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2-ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2-フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)エーテル、(2-フルオロエチル)(2,2,2-トリフルオロエチル)エーテル、(2-フルオロエチル)(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)エーテル、エチル-n-プロピルエーテル、エチル(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、エチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、2-フルオロエチル-n-プロピルエーテル、(2-フルオロエチル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(2-フルオロエチル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2-フルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2-フルオロエチル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、2,2,2-トリフルオロエチル-n-プロピルエーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,2-トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-n-プロピルエーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(1,1,2,2-テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ-n-プロピルエーテル、(n-プロピル)(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(n-プロピル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(n-プロピル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(3-フルオロ-n-プロピル)エーテル、(3-フルオロ-n-プロピル)(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3-フルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3-フルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)エーテル、(2,2,3,3-テトラフルオロ-n-プロピル)(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-n-プロピル)エーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2-フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2-フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2-フルオロエトキシ)メタン、(2-フルオロエトキシ)(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタン、(2-フルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2-トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2-フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2-フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2-フルオロエトキシ)エタン、(2-フルオロエトキシ)(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、(2-フルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2-トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2-トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
エーテル系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上、また、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、更に好ましくは50体積%以下である。この範囲であれば、鎖状エーテルのリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質が炭素質材料の場合、鎖状エーテルがリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。
スルホン系化合物としては、炭素数3~6の環状スルホン、及び炭素数2~6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
炭素数3~6の環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;
ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と記載する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n-プロピルメチルスルホン、n-プロピルエチルスルホン、ジ-n-プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n-ブチルメチルスルホン、n-ブチルエチルスルホン、tert-ブチルメチルスルホン、tert-ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル-n-プロピルスルホン、ジフルオロメチル-n-プロピルスルホン、トリフルオロメチル-n-プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル-n-プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル-n-プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル-n-ブチルスルホン、トリフルオロエチル-tert-ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル-n-ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル-tert-ブチルスルホン等が挙げられる。
スルホン系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは5体積%以上であり、また、好ましくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは30体積%以下である。この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液二次電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
本発明の非水溶媒として、上記例示した非水溶媒1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、非水溶媒の好ましい組合せの1つとして、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せが挙げられる。
例えば、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組み合わせとしては、
エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
これらのエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、99:1~40:60が好ましく、特に好ましくは95:5~50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは2体積%以上、また、好ましくは20体積%以下、より好ましくは8体積%以下、更に好ましくは5体積%以下である。
非水溶媒中にジメチルカーボネートを含有する場合は、全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートの割合が、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは25体積%以上、特に好ましくは30体積%以上であり、また、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは75体積%以下、特に好ましくは、70体積%以下となる範囲で含有させると、電池の負荷特性が向上することがある。
全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、電解液の電気伝導度の向上と保存後の電池特性を向上させる点で、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。上記体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、低温での電池特性を向上の点で、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。
本発明の電解液電池において、上記化合物以外に、目的に応じて適宜助剤を用いてもよい。助剤としては、以下に示される炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネート及びその他の助剤等が挙げられる。
炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と記載する場合がある)としては、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。
ビニレンカーボネート類としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5-ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5-ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5-ジビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5-ジアリルビニレンカーボネート、4-フルオロビニレンカーボネート、4-フルオロ-5-メチルビニレンカーボネート、4-フルオロ-5-フェニルビニレンカーボネート、4-フルオロ-5-ビニルビニレンカーボネート、4-アリル-5-フルオロビニレンカーボネート等が挙げられる。
不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
本発明の電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ-ビス-ジメチレンカーボネート、メトキシエチル-メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;N,N-ジメチルメタンスルホンアミド、N,N-ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、ジメチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド等の含燐化合物;1-メチル-2-ピロリジノン、1-メチル-2-ピペリドン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン及びN-メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
本発明の電解液電池は、非水系電解液二次電池の中でも二次電池用、例えばリチウム
二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の電解液を用いた非水系電解液二次電池について説明する。
本発明の電解液電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能な負極及び正極と、上記の本発明の電解液とを備える。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的に金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が
挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質及び人造黒鉛質物質を400~3200℃の範囲で1回以上熱処
理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ
/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性を有する炭素質からなり、かつ
/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。また、(1)~(4)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記金属酸化物が、式(A)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、式(A)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
[式(A)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
上記の式(A)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下が更に好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることが更に好ましい。
炭素質材料の質量基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA-700)を用いて行なう。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
ラマンR値及びラマン半値幅は、炭素質材料表面の結晶性を示す指標であるが、炭素質材料は、化学的安定性の観点から適度な結晶性が有し、かつ充放電によってLiが入り込む層間のサイトを消失しない、即ち充電受入性が低下しない程度の結晶性であることが好ましい。なお、集電体に塗布した後のプレスによって負極を高密度化する場合には、電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなるため、それを考慮することが好ましい。ラマンR値又はラマン半値幅が上記範囲であると、負極表面に好適な被膜を形成して保存特性やサイクル特性、負荷特性を向上させることができるとともに、非水系電解液との反応に伴う効率の低下やガス発生を抑制することができる。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15~25mW
・分解能 :10~20cm-1
・測定範囲 :1100cm-1~1730cm-1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g-1以上であり、0.7m2・g-1以上が好ましく、1.0m2・g-1以上が更に好ましく、1.5m2・g-1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g-1以下であり、25m2・g-1以下が好ましく、15m2・g-1以下が更に好ましく、10m2・g-1以下が特に好ましい。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。炭素質材料の粒径が3~40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど、充填性が向上し、粒子間の抵抗を抑えることができるため、高電流密度充放電特性は向上する。従って、円形度が上記範囲のように高いほど好ましい。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm-3以上であり、0.5g・cm-3以上が好ましく、0.7g・cm-3以上が更に好ましく、1g・cm-3以上が特に好ましく、また、2g・cm-3以下が好ましく、1.8g・cm-3以下が更に好ましく、1.6g・cm-3以下が特に好ましい。タップ密度が上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、粒子間の抵抗の増大を抑制することができる。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲であると、優れた高密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下が更に好ましい。上記範囲であると、極板化時のスジ引きを抑制し、更に均一な塗布が可能となるため、優れた高電流密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
集電体の厚さは、電池容量の確保、取扱い性の観点から、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上が更に好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、高電流密度充放電時における集電体の発熱を抑制することができる。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、ならびに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm-3以上が好ましく、1.2g・cm-3以上が更に好ましく、1.3g・cm-3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm-3以下が好ましく、2.1g・cm-3以下がより好ましく、2.0g・cm-3以下が更に好ましく、1.9g・cm-3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲であると、負極活物質粒子の破壊を防止して、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を抑制することができる一方、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
また、上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
正極活物質としては、電気化学的に金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
(形状)
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成していてもよい。
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、更に好ましくは1.0g/cm3以上である。該正極活物質のタップ密度が上記範囲であると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量及び導電材や結着剤の必要量を抑えることができ、結果正極活物質の充填率及び電池容量を確保することができる。タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.7g/cm3以下、更に好ましくは3.5g/cm3以下である。上記範囲であると負荷特性の低下を抑制することができる。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、更に好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記範囲であると、高タップ密度品が得られ、電池性能の低下を抑制できる一方、電池の正極作製、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化して薄膜状に塗布する際に、スジ引き等の問題を防止することができる。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種以上混合することで、正極作製時の充填性を更に向上させることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記範囲であると、粉体充填性及び比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制することができる一方、適度な結晶性が得られることによって、充放電の可逆性を確保することができる。
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.2m2/g以上、更に好ましくは0.3m2/g以上であり、上限は50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、更に好ましくは30m2/g以下である。BET比表面積が上記範囲であると、電池性能を確保できるとともに、正極活性物質の塗布性を良好に保つことができる。
なお、本発明では、BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、ならびに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることにより正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。上記範囲であると、十分な導電性と電池容量を確保することができる。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤及び必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系媒体としては、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、下限は、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。上記範囲であると、高電流密度充放電時の集電体の発熱を抑制し、電池容量を確保することができる。
本発明の電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、更に好ましくはポリオレフィン、特に好ましくはポリプロピレンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用したり、積層されたものを使用してもよい。2種以上を任意の組み合わせで積層したものの具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンの順で積層された三層セパレータ等が挙げられる。
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上が更に好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下が更に好ましい。空孔率が、上記範囲であると、絶縁性及び機械的強度を確保できる一方、膜抵抗を抑え良好なレート特性を得ることができる。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の質量が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲であると、電池容量を確保できるとともに内部圧力の上昇に伴う充放電繰り返し性能や高温保存等の特性低下を抑制し、更にはガス放出弁の作動を防止することができる。
集電構造は、特に制限されないが、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。電極群が上記の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。一枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が上記の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(PositiveTemperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本実施例に使用した式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルの構造を以下に示す。
[実施例1-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(「EC」ともいう)、エチルメチルカーボネート(「EMC」ともいう)及びジメチルカーボネート(「DMC」ともいう)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(1-1)1.0質量%を添加して実施例1-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてリチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、1/3Cで3.0Vまで定電流放電を行った。その後、1/3Cに相当する電流で4.1VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、60℃、12時間の条件下で放置した。電池を十分に冷却させた後、1/3Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、1/3Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、1/3Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、1/3Cで3.0Vまで放電し、これを初期1/3C容量とした。その後、電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を初期ガス量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において1/3Cの定電流で4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した。その後、45℃において1Cで48分間、定電流による過充電を行った。その後、十分に冷却させた電池の開回路電圧(OCV)を測定し、これを過充電後OCVとした。
なお、過充電試験後の電池のOCVは、主に正極の電位を反映している。すなわち、過充電時後のOCVが低いと、正極の充電深度が低い状態であることを表す。通常、正極の充電深度が深くなると正極からの金属溶出や酸素放出が起こり、電池の熱暴走の起点となる。よって、過充電後のOCVを低くすることで、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例1-1の電解液において、化合物(1-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例1-1の電解液において、化合物(1-1)の代わりに化合物(3-2)1.0質量%用いた以外、実施例1-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(1)のエステルの範囲に含まれない芳香族化合物を用いた場合(比較例1-2)、初期レート1/3容量は比較例1-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例1-1に比べて劣る。また、初期ガス量は比較例1-1よりも増加する。更に、過充電後OCVは比較例1-1よりも低下するが、実施例1-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
[実施例2-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(1-1)4.5質量%を添加して実施例2-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてリチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)90質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、1/3Cで3.0Vまで定電流放電を行い、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを初回効率(%)とした。その後、1/3Cに相当する電流で4.1VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、60℃、12時間の条件下で放置した。電池を十分に冷却させた後、1/3Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、1/3Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、1/3Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において1/3Cの定電流で4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から過充電前電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、45℃において1Cで48分間、定電流による過充電を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電前電池体積からの変化分を過充電ガス量とした。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例2-1の電解液において、化合物(1-1)の代わりに化合物(1-2)4.1質量%用いた以外、実施例2-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例2-1で添加した化合物(1-1)と実施例2-2で添加した化合物(1-2)は等物質量である。
実施例2-1の電解液において、化合物(1-1)の代わりに化合物(1-3)4.8質量%用いた以外、実施例2-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例2-1で添加した化合物(1-1)と実施例2-2で添加した化合物(1-2)は等物質量である。
実施例2-1の電解液において、化合物(1-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例2-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例2-1の電解液において、化合物(1-1)の代わりに(3-3)4.1質量%用いた以外、実施例2-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例2-1で添加した化合物(1-1)と比較例2-2で添加した化合物(3-3)は等物質量である。
実施例2-1の電解液において、化合物(1-1)の代わりに化合物(3-4)3.4質量%用いた以外、実施例2-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例2-1で添加した化合物(1-1)と比較例2-3で添加した化合物(3-4)は等物質量である。
なお、式(1)以外の芳香族化合物を単独で用いた場合(比較例2-2~2-3)、過充電ガス量は比較例2-1よりも増加するが、初期効率は比較例2-1に比べて大幅に劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
[実施例3-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(混合体積比15:5:80)に、電解質であるLiPF6を1.4mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(1-4)1.5質量%を添加して実施例3-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてニッケル含有遷移金属酸化物97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で4時間定電流充電した後、0.2Cで2.5Vまで定電流放電を行った。更に、0.1Cに相当する電流で4.1Vまで定電流充電した後、0.2Cの定電流で2.5Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.1VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で2.5Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.1VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、25℃において0.2Cで2.5Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。ここまで充放電における全4回の充電容量の総和と、全4回の放電容量の総和の差を初期容量ロスとした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から過充電前電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、45℃において1Cの定電流で15分充電した。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電前電池体積からの変化分を過充電ガス量とした。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例3-1の電解液において、化合物(1-4)1.5質量%の代わりに化合物(1-4)2.5質量%を用いた以外、実施例3-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、初期の電池特性評価及び過充電特性評価を実施した。評価結果を、比較例3-1を100.0%としたときの相対値で表3に示す。以下も同様とする。
実施例3-1の電解液において、化合物(1-4)を含まない電解液を用いた以外、実施例3-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[実施例4-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(「DEC」ともいう)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、添加剤としてモノフルオロエチレンカーボネート(「MP2」ともいう)2.0質量%及びビニレンカーボネート(「VC」ともいう)2.0質量%を溶解させて基本電解液とした。更に、化合物(1-1)0.5質量%を添加して実施例4-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、これを初期1C容量とした。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から高温保存耐久試験前電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、高温保存耐久試験前後の体積変化から保存ガス量を求めた。
実施例4-1の電解液において、化合物(1-1)0.5質量%の代わりに、化合物(1-1)1.0質量%を用いた以外、実施例4-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例4-1の電解液において、化合物(1-1)0.5質量%の代わりに、化合物(1-1)1.0質量%及び1-フェニル-1,3,3-トリメチルインダン(「MP12」ともいう)3.0質量%を用いた以外、実施例4-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例4-1の電解液において、化合物(1-1)含まない電解液を用いた以外、実施例4-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例4-3の電解液において、化合物(1-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例4-3と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例4-1の電解液において、化合物(1-1)0.5質量%の代わりに化合物(3-2)1.0質量%を用いた以外、実施例4-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
また、式(1)以外の芳香族化合物及び式(2)のエステルの範囲に含まれない芳香族化合物を単独で用いた場合(比較例4-2及び比較例4-3)、初期0.2C容量は比較例4-1よりも向上するが、保存ガス量は比較例4-1よりも増加する。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
[実施例5-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、化合物(1-1)1.0質量%を添加して実施例5-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ21μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、これを初期0.2C容量とした。更に、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3.0Vまで放電し、これを初期0.5C容量とした。そして、初期0.2C容量に対する初期0.5C容量の割合を求め、これを初期レート特性(%)とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した。その後、45℃において0.2Cで5.0Vまで定電流による過充電を行った。その後、十分に冷却させた電池の開回路電圧(OCV)を測定し、これを過充電後OCVとした。
なお、過充電試験後の電池のOCVは、主に正極の電位を反映している。すなわち、過充電時後のOCVが低いと、正極の充電深度が低い状態であることを表す。通常、正極の充電深度が深くなると正極からの金属溶出や酸素放出が起こり、電池の熱暴走の起点となる。よって、過充電後のOCVを低くすることで、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例5-1の電解液において、化合物(1-1)に加えて更にモノフルオロエチレンカーボネート(「MP2」ともいう)2.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例5-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例5-1の電解液において、化合物(1-1)及びMP2に加えてビニレンカーボネート(「VC」ともいう)2.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例5-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例5-3の電解液において、化合物(1-1)の代わりに化合物(1-4)1.0質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例5-3と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例5-1の電解液において、化合物(1-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例5-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例5-2の電解液において、化合物(1-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例5-2と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例5-4の電解液において、化合物(1-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例5-4と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
また、式(1)のエステルとフッ素含有環状カーボネートまたは炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを同時に用いた場合(実施例5-2~5-4)、式(1)のエステルが添加されていない場合(比較例5-2~5-3)に比べ、初期0.2C容量および初期レート特性に優れる。また、高温保存耐久試験後の過充電後OCVは比較例5-2~5-3に比べて低いことから、より安全性に優れている。すなわち、初期の電池特性及び高温保存耐久試験後の電池特性・安全性に優れた電池を提供することができる。
このことから、式(1)のエステルとフッ素含有環状カーボネートまたは炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例6-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びトリエチルホスホノアセテート(「MP1」ともいう)0.5質量%を添加して実施例6-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.40VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を初期ガス量とした。その後、0.2Cで4.40VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで放電し、これを初期0.2C容量とした。更に、0.2Cで4.40VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3Vまで放電し、これを初期0.5C容量とした。そして、初期0.2C容量に対する初期0.5C容量の割合を求め、これを初期レート特性(%)とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.40VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、これを回復0.2C容量とした。
実施例6-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP1を含まない電解液を用いた以外、実施例6-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例6-1の電解液において、MP1を含まない電解液を用いた以外、実施例6-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例6-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例6-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例6-2)、初期レート特性は比較例6-1よりも向上するが、初期ガス量が実施例6-1よりも増加する。更に、回復0.2C容量は比較例6-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例6-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、ホスホン酸エステルを単独で用いた場合(比較例6-3)、初期レート特性は比較例6-1よりも向上するが、初期ガス量が実施例6-1よりも増加する。更に、回復0.2C容量は比較例6-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例6-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとホスホン酸エステルを同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例7-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びモノフルオロエチレンカーボネート(「MP2」ともいう)0.5質量%を添加して実施例7-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を初期ガス量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から過充電前電池体積を求めた。その後、45℃において0.2Cで5.0Vまで定電流による過充電を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電前電池体積からの変化分を過充電ガス量とした。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例7-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP2を含まない電解液を用いた以外、実施例7-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例7-1の電解液において、MP2を含まない電解液を用いた以外、実施例7-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例7-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例7-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例7-2)、初期ガス量は比較例7-1よりも増加する。更に、過充電ガス量は比較例7-1よりも増加するが、その改善効果は小さく、実施例7-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、フッ素含有環状カーボネートを単独で用いた場合(比較例7-3)、初期ガス量は比較例7-1よりも減少するが、その改善効果は小さく、実施例7-1に比べて劣る。更に、過充電ガス量は、比較例7-1よりも減少する。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとフッ素含有環状カーボネートを同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例8-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びフルオロスルホン酸リチウム(「MP3」ともいう)0.5質量%を添加して実施例8-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、1Cで3.0Vまで放電し、これを初期1C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、これを回復0.2C容量とした。
実施例8-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP3を含まない電解液を用いた以外、実施例8-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例8-1の電解液において、MP3を含まない電解液を用いた以外、実施例8-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例8-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例8-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例8-2)、初期1C容量は比較例8-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例8-1に比べて劣る。更に、回復0.2C容量は比較例8-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例8-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、フルオロスルホン酸塩を単独で用いた場合(比較例8-3)、初期1C容量は比較例8-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例8-1に比べて劣る。更に、回復0.2C容量は比較例8-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例8-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとフルオロスルホン酸塩を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例9-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及び1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(「MP4」ともいう)0.5質量%を添加して実施例9-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を初期ガス量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、これを回復0.2C容量とした。
実施例9-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP4を含まない電解液を用いた以外、実施例9-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例9-1の電解液において、MP4を含まない電解液を用いた以外、実施例9-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例9-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例9-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例9-2)、初期ガス量は比較例9-1よりも増加する。更に、回復0.2C容量は比較例9-1よりも増加するが、その改善効果は小さく、実施例9-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、イソシアネート基を有する有機化合物を単独で用いた場合(比較例9-3)、初期ガス量は比較例9-1よりも減少するが、実施例9-1に比べて劣る。更に、回復0.2C容量は比較例9-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例9-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとイソシアネート基を有する有機化合物を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例10-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びアジポニトリル(「MP5」ともいう)0.5質量%を添加して実施例10-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3.0Vまで放電し、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを初期0.5C効率(%)とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.05Cで3.0Vまで再度放電し、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを回復0.05C効率(%)とした。
実施例10-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP5を含まない電解液を用いた以外、実施例10-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例10-1の電解液において、MP5を含まない電解液を用いた以外、実施例10-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例10-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例10-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例10-2)、初期0.5C効率は比較例10-1よりも低下する。更に、回復0.05C効率は比較例10-1よりも低下する。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、シアノ基を有する有機化合物を単独で用いた場合(比較例10-3)、初期0.5C効率は比較例10-1よりも低下する。更に、回復0.05C効率は比較例10-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例10-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとシアノ基を有する有機化合物を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例11-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びヘキサメチルジシラン(「MP6」ともいう)0.5質量%を添加して実施例11-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、1Cで3.0Vまで放電し、これを初期1C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.05Cで3.0Vまで再度放電し、これを回復0.05C容量とした。また、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを回復0.05C効率(%)とした。
実施例11-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP6を含まない電解液を用いた以外、実施例11-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例11-1の電解液において、MP6を含まない電解液を用いた以外、実施例11-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例11-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例11-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例11-2)、初期1C容量は比較例11-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例11-1に比べて劣る。更に、回復0.05C容量は比較例11-1よりも向上するが、実施例11-1に比べて劣る。また、回復0.05C効率は比較例11-1よりも低下する。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、ケイ素含有化合物を単独で用いた場合(比較例11-3)、初期1C容量は比較例11-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例11-1に比べて劣る。更に、回復0.05C容量は比較例11-1よりも低下する。また、回復0.05C効率は比較例11-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例11-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとケイ素含有化合物を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例12-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びリチウムテトラフルオロボレート(「MP7」ともいう)0.5質量%を添加して実施例12-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.40VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、1Cで3.0Vまで放電し、これを初期1C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを回復0.2C効率(%)とした。
高温保存耐久試験後の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した。その後、45℃において0.2Cで5.0Vまで定電流による過充電を行った。その後、十分に冷却させた電池の開回路電圧(OCV)を測定し、これを過充電後OCVとした。
なお、過充電試験後の電池のOCVは、主に正極の電位を反映している。すなわち、過充電時後のOCVが低いと、正極の充電深度が低い状態であることを表す。通常、正極の充電深度が深くなると正極からの金属溶出や酸素放出が起こり、電池の熱暴走の起点となる。よって、過充電後のOCVを低くすることで、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例12-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP7を含まない電解液を用いた以外、実施例12-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例12-1の電解液において、MP7を含まない電解液を用いた以外、実施例12-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例12-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例12-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例12-2)、初期1C容量は比較例12-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例12-1に比べて劣る。更に、過充電後OCVは比較例12-1よりも低下するが、実施例12-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、ホウ酸塩を単独で用いた場合(比較例12-3)、初期1C容量は比較例12-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例12-1に比べて劣る。更に、回復0.2C効率は比較例12-1よりも低下する。また、過充電後OCVは比較例12-1よりも低下するが、実施例12-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとホウ酸塩を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例13-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及び1,3-プロパンスルトン(「MP8」ともいう)0.5質量%を添加して実施例13-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを初期0.2C効率(%)とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から過充電前電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、45℃において0.5Cで5.0Vまで定電流による過充電を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電前電池体積からの変化分を過充電ガス量とした。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例13-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP8を含まない電解液を用いた以外、実施例13-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例13-1の電解液において、MP8を含まない電解液を用いた以外、実施例13-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例13-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例13-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例13-2)、初期0.2C効率は比較例13-1と変化は無い。更に、過充電ガス量は比較例13-1よりも増加するが、その改善効果は小さく、実施例13-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、硫黄含有有機化合物を単独で用いた場合(比較例13-3)、初期0.2C効率は比較例13-1よりも増加するが、その改善効果は小さく、実施例13-1に比べて劣る。更に、過充電ガス量は比較例13-1よりも増加するが、その改善効果は小さく、実施例13-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルと硫黄含有有機化合物を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例14-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びプロピオン酸エチル(「MP9」ともいう)0.5質量%を添加して実施例14-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、これを初期0.2C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から過充電前電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、45℃において0.5Cで5.0Vまで定電流による過充電を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電前電池体積からの変化分を過充電ガス量とした。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例14-1の電解液において、MP9の代わりにプロピオン酸n-プロピル(「MP9’」ともいう)0.5質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例14-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例14-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP9を含まない電解液を用いた以外、実施例14-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例14-1の電解液において、MP9を含まない電解液を用いた以外、実施例14-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例14-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例14-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例14-2の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例14-2と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例14-1の電解液において、MP9の代わりにプロピオン酸メチル(「MP」ともいう)0.5質量%を添加した電解液を用いた以外、実施例9-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
比較例14-5の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、比較例14-5と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルを単独で用いた場合(比較例14-2)、初期0.2C容量は比較例14-1よりも低下する。更に、過充電ガス量は比較例14-1よりも増加するが、その改善効果は小さく、実施例14-1~14-2に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、式(3)で表されるカルボン酸エステルを単独で用いた場合(比較例14-3~14-4)、過充電ガス量は比較例14-1よりも減少してしまい、実施例14-1に比べて明らかに劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
なお、式(3)で表されるカルボン酸エステルの範囲に含まれない芳香族化合物及び式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルを同時に添加した場合(比較例14-5)、初期0.2C容量は比較例14-1よりも減少してしまい、実施例14-1~14-2に比べて明らかに劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルと式(3)で表されるカルボン酸エステルを同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例15-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びジフルオロリン酸リチウム(「MP10」ともいう)0.5質量%を添加して実施例15-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を初期ガス量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から過充電前電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、45℃において0.5Cで5.0Vまで定電流による過充電を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電前電池体積からの変化分を過充電ガス量とした。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。その結果、過充電時の電池安全性を担保できる。
実施例15-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP10を含まない電解液を用いた以外、実施例15-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例15-1の電解液において、MP10を含まない電解液を用いた以外、実施例15-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例15-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例15-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例15-2)、初期ガス量は比較例15-1よりも増加する。更に、過充電ガス量は比較例15-1よりも増加するが、その改善効果は小さく、実施例15-1に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、ジフルオロリン酸リチウムを単独で用いた場合(比較例15-3)、初期ガス量は比較例15-1よりも減少するが、その改善効果は小さく、実施例15-1に比べて劣る。更に、過充電ガス量は比較例15-1よりも減少する。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとジフルオロリン酸リチウムを同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例16-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、かかる基本電解液に対して、添加剤として化合物(2-1)0.5質量%及びリチウムビス(オキサラト)ボレート(「MP11」ともいう)0.5質量%を添加して実施例16-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを初期0.2C効率(%)とした。その後、0.2Cで4.4VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を初期ガス量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.20VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.2VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを回復0.2C効率(%)とした。
実施例16-1の電解液において、化合物(2-1)及びMP11を含まない電解液を用いた以外、実施例16-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例16-1の電解液において、MP11を含まない電解液を用いた以外、実施例16-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例16-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例16-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、式(2)のエステルを単独で用いた場合(比較例16-2)、初期0.2C効率は比較例16-1と変化は無い。更に、回復0.2C効率は比較例16-1と変化は無い。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、シュウ酸塩を単独で用いた場合(比較例16-3)、初期0.2C効率は比較例16-1と変化は無い。更に、回復0.2C効率は比較例16-1と変化は無い。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルとシュウ酸塩を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例17-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、添加剤としてモノフルオロエチレンカーボネート(MP2)5.0質量%を溶解させて基本電解液とした。更に、化合物(2-1)1.0質量%を添加して実施例17-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、これを初期0.2C容量とした。更に、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3.0Vまで放電し、これを初期0.5C容量とした。そして、初期0.2C容量に対する初期0.5C容量の割合を求め、これを初期レート特性(%)とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させた。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、これを回復0.2C容量とした。更に、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3.0Vまで放電し、これを回復0.5C容量とした。そして、回復0.2C容量に対する回復0.5C容量の割合を求め、これを保存後レート特性(%)とした。
実施例17-1の電解液において、更に1-フェニル-1,3,3-トリメチルインダン(「MP12」ともいう)3.0質量%を加えた電解液を用いた以外、実施例17-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例17-1の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例17-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例17-2の電解液において、化合物(2-1)を含まない電解液を用いた以外、実施例17-2と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例17-1の電解液において、化合物(2-1)の代わりに化合物(3-1)1.0質量%用いた以外、実施例17-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例17-2の電解液において、化合物(2-1)の代わりに化合物(3-1)1.0質量%用いた以外、実施例17-2と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
更に、本発明にかかる実施例17-2の非水系電解液を用いると、式(2)のエステル及び式(2)以外の芳香族化合物が同時に添加されていない場合(比較例17-1)に比べ、初期レート特性に優れており、かつ高温保存耐久試験後の保存後レート特性も優れる。また、その改善効果は実施例17-1よりも優れている。すなわち、初期の電池特性及び高温保存耐久試験後の電池特性が更に優れた電池を提供することができる。
なお、式(2)以外の芳香族化合物を単独で用いた場合(比較例17-2)、初期レート特性は比較例17-1よりも低下する。更に、保存後レート特性は比較例17-1よりも向上するが、その改善効果は小さく、実施例17-2に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
また、式(2)のエステルの範囲に含まれない芳香族化合物を単独及び式(2)以外の芳香族化合物と同時に用いた場合(比較例17-3)、初期レート特性は比較例17-1よりも向上するが、保存後のレート特性が低下する。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
このことから、式(2)のエステルと式(2)以外の芳香族化合物を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例18-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、添加剤としてモノフルオロエチレンカーボネート(MP2)5.0質量%を溶解させて基本電解液とした。更に、化合物(2-2)3.0質量%を添加して実施例18-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ21μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで放電し、これを初期0.2C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から高温保存耐久試験前電池体積を求めた。(アルキメデスの原理)その後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、高温保存耐久試験前後の体積変化から保存ガス量を求めた。次に、25℃において0.2Cで3.0Vまで放電させ、高温保存耐久試験後に残存している容量を測定し、初期0.2C容量に対する割合を求め、これを残存率(%)とした。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、この時の充電容量に対する放電容量の割合を求め、これを回復0.2C効率(%)とした。
実施例18-1の電解液において、化合物(2-2)を含まない電解液を用いた以外、実施例18-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
このことから、式(2)のエステルとフッ素含有環状カーボネート同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
[実施例19-1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、添加剤としてモノフルオロエチレンカーボネート(MP2)5.0質量%、1,3-プロパンスルトン(MP8)2.0質量%及びアジポニトリル(MP5)3.0質量%を溶解させて基本電解液とした。更に、化合物(2-2)2.0質量%を添加して実施例19-1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ21μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC-CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。その後、0.2Cで4.35VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで放電し、これを初期0.2C容量とした。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.35VまでCC-CV充電(0.05Cカット)を行った後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cで3Vまで放電させ、高温保存耐久試験後に残存している容量を測定し、初期0.2C容量に対する割合を求め、これを残存率(%)とした。
高温保存耐久試験後の非水系電解液二次電池を、25℃において0.2Cの定電流で4.35VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、高温保存耐久試験後の電池容量を測定し、初期0.2C容量に対する割合を求め、これを回復率(%)とした。
実施例19-1の電解液において、化合物(2-2)の代わりに化合物(3-1)2.4質量%用いた以外、実施例19-1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例19-1で添加した化合物(2-2)と比較例19-1で添加した化合物(3-1)は等物質量である。
このことから、式(2)のエステルとフッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物又はシアノ基を有する有機化合物を同時に用いることで、その相乗効果により電池特性が特異的に改善されることが確認できる。
Claims (12)
- 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える非水系電解液二次電池用の非水系電解液であって、該非水系電解液が電解質及び非水溶媒とともに、式(1):
(式中、
A1は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
n1は、1以上の整数であり、
R2及びR3は、独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、これらは互いに結合して環を形成していてもよく、R2が複数存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよく、R3が複数存在する場合、それらは、同一であっても異なっていてもよく、
a1は、1又は2の整数であり、
a1が1の場合、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
a1が2の場合、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基を表し、複数存在するA1は、同一であっても異なっていてもよく、
ただし、n1が1の場合、R2及びR3のうち少なくとも1つは置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
n1が2であり、かつ複数のR2及び複数のR3が全て水素原子の場合、R1は置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基である)
で表される芳香族カルボン酸エステルを含有することを特徴とする非水系電解液。 - 前記式(1)中、a1が1である、請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記式(1)中、A1がフェニル基である、請求項1又は2に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、前記式(1)で表される芳香族カルボン酸エステルを、0.001質量%以上10質量%以下で含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、更に、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、前記式(1)以外の芳香族化合物、炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、前記式(1)以外のカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、前記式(1)以外の芳香族化合物、炭素-炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、前記式(1)以外のカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える非水系電解液二次電池用の非水系電解液であって、該非水系電解液が電解質及び非水溶媒とともに、
(I)式(2):
(式中、
A2は、置換基を有していてもよいアリール基であり、
n2は、1又は2の整数であり、
a2は、1又は2の整数であり、
a2が1の場合、R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基であり、ただし、n2が2の場合、R4は置換基を有していてもよいアリール基であり、
a2が2の場合、R4は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリーレン基であり、複数存在するA2は、同一であっても異なっていてもよく、ただし、n2が2の場合、R4は置換基を有していてもよいアリーレン基である)
で表される芳香族カルボン酸エステルと、
(II)フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、式(2)以外の芳香族化合物、式(3):
式中、
R5は、炭素数1以上4以下の炭化水素基であり、
R6は、エチル基、n-プロピル基又はn-ブチル基である
で表されるカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することを特徴とする非水系電解液。 - 前記式(2)中、a2が1である、請求項7に記載の非水系電解液。
- 前記式(2)中、A2がフェニル基である、請求項7又は8に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、前記式(2)で表される芳香族カルボン酸エステルを、0.001質量%以上10質量%以下で含有する、請求項7~9のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、ホスホン酸エステル、シアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、前記式(2)以外の芳香族化合物、前記式(3)で表されるカルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、0.001質量%以上20質量%以下で含有する、請求項7~10のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液を具備する非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が請求項1~11のいずれか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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