JP6965173B2 - 非水系電解液及びそれを用いた蓄電デバイス - Google Patents

非水系電解液及びそれを用いた蓄電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解液及びそれを用いた蓄電デバイスに関する。
携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器の急速な進歩に伴い
、その主電源やバックアップ電源に用いられる電池に対する高容量化への要求が高くなっ
ており、ニッケル・カドミウム電池やニッケル・水素電池に比べてエネルギー密度の高い
リチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスが注目されている。
リチウムイオン二次電池の電解液としては、LiPF、LiBF、LiN(CF
SO、LiCF(CFSO等の電解質を、エチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート等の高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート
、エチルメチルカーボネート等の低粘度溶媒との混合溶媒に溶解させた非水系電解液が代
表例として挙げられる。
また、リチウムイオン二次電池の負極活物質としては主にリチウムイオンを吸蔵・放出
することができる炭素質材料が用いられており、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質炭素等がそ
の代表例として挙げられる。更に高容量化を目指してシリコンやスズ等を用いた金属又は
合金系の負極も知られている。正極活物質としては主にリチウムイオンを吸蔵・放出する
ことができる遷移金属複合酸化物が用いられており、前記遷移金属の代表例としてはコバ
ルト、ニッケル、マンガン、鉄等が挙げられる。
このようなリチウムイオン二次電池は、活性の高い正極と負極を使用しているため、電
極と電解液との副反応により、充放電容量が低下することが知られており、電池特性を改
良するために、非水系有機溶媒や電解質について種々の検討がなされている。
特許文献1には、アルキルニトリルを添加した電解液を用いることにより、電池の高温
保存特性を向上させる技術が提案されている。
特許文献2には、溶媒としてアルコキシモノニトリルを用いた電解液を用いることによ
って、イオン伝導度を向上させる技術が提案されている。
特許文献3には、シアノエトキシ化合物を含んだ電解液を用いることによって、低温充
放電性能を向上させる技術が提案されている。
特許文献4には、炭素‐炭素不飽和結合を有するニトリル化合物を添加した電解液を用
いることにより、負極上での電解液の分解反応が抑制されることによって電池の充放電効
率を向上させる技術が提案されている。
特許文献5には、シアノ基を2個以上有する有機化合物を添加した電解液を用いること
により、シアノ基の分極による大きな双極子モーメントが高電圧での充電時における正極
上での電解液酸化分解を抑制し、これにより電池特性が向上することが提案されている。
特許文献6には、シアノエトキシ構造を有する特定の化合物を含んだ電解液を用いるこ
とによって、黒鉛などの高結晶性炭素を負極に用いた場合であっても、溶媒の還元分解反
応が抑制され、充放電効率、負荷特性及び低温特性が向上することが提案されている。
特開平10−189008号公報 特開2005―267857号公報 特開2000―77096号公報 特開2003−86248号公報 特開平7−176322号公報 特開2000−243444号公報
しかしながら、我々の検討によれば、特許文献1〜6に記載されているニトリル化合物
は、負極上で還元副反応も進行し、電池特性の改善効果が不十分であったという問題点が
あった。また、それらの正極での作用の効果は弱く、電池の連続充電耐久試験や高温保存
耐久試験における耐久特性改善効果が不十分であるという問題点があった。
本発明は、上記の問題を解決すべくされたものであり、蓄電デバイスにおいて、初期の
充放電効率や耐久試験後のレート特性に優れ、さらに耐久試験後のガス発生や連続充電容
量を抑制させる非水系電解液と、この非水系電解液を用いた蓄電デバイスを提供すること
を課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々の検討を重ねた結果、特定のニトリルを
電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成
させるに至った。
本発明の態様の要旨は、以下に示すとおりである。
(a) 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える蓄電デバイス用の非水系電
解液であって、該非水系電解液が電解質及び非水溶媒とともに、式(1)で表される化合
物を含有することを特徴とする非水系電解液。
Figure 0006965173
(式中、Xは、末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素
基、もしくは炭素原子の一部が酸素または窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘテ
ロ環式炭化水素基であり、Rは、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基であり、a
は2以上4以下の整数である。但し、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異な
っていてもよい。)
(b)前記式(1)中、Xが末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜8の脂肪
族炭化水素基である、前記(a)に記載の非水系電解液。
(c)前記式(1)中、Rが炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基である、前記(a
)又は(b)に記載の非水系電解液。
(d)前記式(1)中、aが2である、前記(a)〜(c)のいずれか1項に記載の非水
系電解液。
(e)前記非水系電解液が、前記式(1)で表される化合物を、0.001質量%以上1
0質量%以下で含有する、前記(a)〜(d)のいずれか1項に記載の非水系電解液。
(f)前記非水系電解液が、更に、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、
リン含有有機化合物、式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を
有する有機化合物、ケイ素含有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環
状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、式(1)以外の複数のエーテル結合
を有する環状化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフ
ルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれ
る少なくとも1種の化合物を含有する、前記(a)〜(e)のいずれか1項に記載の非水
系電解液。
(g)前記フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、式
(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ
素含有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素
非含有カルボン酸エステル、式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物、イ
ソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸
塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合
物の非水系電解液全量に対する合計含有量が、0.001質量%以上50質量%以下であ
る、前記(f)に記載の非水系電解液。
(h)非水系電解液二次電池用である前記(a)〜(g)のいずれか1項に記載の非水系
電解液。
更に、本発明は、以下にも関する。
(i)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに電解質及び非水溶媒を含
む非水系電解液を具備する蓄電デバイスであって、該非水系電解液が前記(a)〜(g)
のいずれか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
(j)蓄電デバイスが非水系電解液二次電池である前記(i)に記載の蓄電デバイス。
本発明によれば、初期の充放電効率や耐久試験後のレート特性に優れ、さらに耐久試験
後のガス発生や連続充電容量が抑制された電池特性と耐久試験後の電池特性に優れた蓄電
デバイスを実現するための非水系電解液を提供することができる。これにより、蓄電デバ
イスの小型化、高性能化及び高安全化を達成することができる。
本発明の非水系電解液を用いて作製された蓄電デバイスにおいて、初期の充放電効率や
連続充電試験後のレート特性が改善される、高温保存試験後や連続充電試験後のガス発生
や連続充電容量が抑制される作用・原理は明確ではないが、以下のように考えられる。た
だし、本発明は、以下に記述する作用・原理に限定されるものではない。
通常、特許文献1〜6に代表されるニトリル化合物は、シアノ基が正極活物質中の金属
酸化物に配位することで、電池特性の向上をもたらす。ただし、金属酸化物への結合エネ
ルギーが小さく、耐久試験時には容易に結合が外れてしまうため、正極を保護する効果は
小さかった。さらに、シアノ基を有する化合物は同時に負極での耐還元性が低いため、負
極上で還元副反応が顕著に進行する。また、それらの還元副反応は、負極被膜形成剤とし
て知られている添加剤を併用することでも抑制することができない。その結果、初回充電
時の容量ロスに代表されるように、負極保護能が低下してしまう。
そのような課題に対し、本発明の態様では、式(1)で表される化合物を非水系電解液
中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出した。
式(1)で表される化合物は、エーテル酸素とシアノ基が脂肪族炭化水素基を介して存
在する。この部位が複数個存在する為、エーテル酸素とシアノ基が正極金属に配位するこ
とでキレート構造を容易に取り得る。さらに、エーテル酸素は、末端に炭素−炭素不飽和
結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基、もしくは、炭素原子の一部が酸素ま
たは窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環式炭化水素基と結合することを特
徴としている。よって、正極上にキレートした状態から炭素−炭素不飽和結合または炭素
原子の一部が酸素または窒素で置換された環状炭化水素基が酸化されることで重合反応が
進行し、正極上に安定な保護被膜を形成することができる。
また、式(1)で表される化合物は、エーテル酸素とシアノ基によって、Liとも配
位キレート構造を取ることができる。その結果、カーボネートよりも溶媒和エネルギーが
高くなるため、負極表面近傍まで接近する。しかしながら、式(1)のXが炭素−炭素不
飽和結合や環状炭化水素基を有することで立体的に大きな構造を取りうるため、立体障害
因子により負極再表面近傍でのLiからの脱溶媒和反応が容易に起こる。その結果、初
回充放電効率に代表される負極での充放電効率が向上する。故に式(1)で表される化合
物は、電池特性を低下させることなく初期の電池特性と耐久試験後の電池特性を向上させ
ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらの形態に限定されず、
本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
1.非水系電解液
1−1.式(1)で表される化合物
本発明の態様は、式(1)で表される化合物を非水系電解液中に含有することを特徴と
する。なお、式(1)で表される化合物においては光学異性体の区別はつけないものとし
、異性体単独又はこれらの混合として適用することもできる。
Figure 0006965173
(式中、Xは、末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素
基、もしくは、炭素原子の一部が酸素または窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘ
テロ環式炭化水素基であり、Rは、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基であり、
aは2以上4以下の整数である。但し、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異
なっていてもよい。)
式(1)において、aは2以上4以下の整数である以外に本発明の効果を発現するため
には特に制限はないが、好ましくは2以上の整数であり、好ましくは3以下であり、より
好ましくは2である。上記範囲内にあることにより、シアノ基の負極での還元副反応を抑
制しつつ、特性改善効果が効率よくもたらすことができる。
の脂肪族炭化水素基における炭素数は、炭素数1以上10以下である以外に、本発
明の効果を発現するためには特に制限はなく、直鎖でも分岐でもよいが、キレート構造を
取り易いという点から直鎖が好ましい。上記炭素数は、好ましくは2以上であり、好まし
くは6以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下であり、特に好ましくは2
である。Rの炭素数が上記の範囲内であると、Liへ配位する際のキレート構造のひ
ずみが少なく、安定に作用することができる。
脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テト
ラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
Xは、末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基、も
しくは、炭素原子の一部が酸素または窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環
式炭化水素基である。
末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の炭化水素基は、式(1)にお
ける酸素原子と連結する部位以外の末端(以下、単に末端と称することがある)に炭素−
炭素不飽和結合を有する炭化水素基である。炭素−炭素不飽和結合は、二重結合と三重結
合の何れでもよいが、正極上に安定な保護被膜を形成する点から二重結合が好ましい。
Xが末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基は、末
端に炭素−炭素不飽和結合を有することにより、炭素−炭素不飽和結合部位の反応性が高
くなり、正極上に安定な保護被膜がより形成されやすくなる。
前記脂肪族炭化水素基に含まれる炭素−炭素不飽和結合の数に特に制限はないが、通常
1以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1で
ある。上記の範囲内であると、電極上での副反応が起こりにくい為である。
前記脂肪族炭化水素基の炭素数は4以上12以下である以外に、本発明の効果を発現す
るためには特に制限はないが、好ましくは8以下、より好ましくは7以下、さらに好まし
くは6以下であり、特に好ましくは4である。上記の範囲内であると、電解液に対する溶
解性に優れる。
Xが炭素原子の一部が酸素または窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環式
炭化水素基は、ヘテロ環式炭化水素構造を有することにより、正極上に安定な保護被膜が
形成されやすくなる。ヘテロ環式炭化水素基の酸素または窒素の数に特に制限はないが、
通常1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下
であり、特に好ましくは1である。上記の範囲内であると、電極上での副反応が起こりに
くい為である。
また、炭素原子の一部が酸素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環式炭化水素
基であることが好ましい。正極上に安定な保護被膜がより形成されやすくなるためである

ヘテロ環式炭化水素基の炭素数に特に制限はないが、通常3以上、好ましくは4以上、
通常12以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下であ
る。また、ヘテロ環構造が五員環または六員環であることが好ましい。上記の範囲内であ
ると、電解液中の安定性が高く、正極上に効率よく被膜を形成することができる。尚、環
構造中の炭素原子または窒素原子にアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピ
ル基等の炭素数1〜4のアルキル基が置換していてもよく、該アルキル基の炭素数は、ヘ
テロ環式炭化水素基の炭素数に含まれる。
また、環骨格の数は1以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であり、
単環構造でも縮合環構造でもよい。上記の範囲内であると、電解液に対する溶解性に優れ
る。
Xの具体例としては、以下のものが挙げられる。
≪末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基≫
Figure 0006965173
なお、*はエーテル酸素との結合部位を表す。以下も同様である。
≪炭素原子の一部が酸素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環式炭化水素基≫
Figure 0006965173
≪炭素原子の一部が窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環式炭化水素基≫
Figure 0006965173
式(1)で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
≪Xが末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素基であ
る場合≫
Figure 0006965173
≪Xが炭素原子の一部が酸素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環式炭化水素
基である場合≫
Figure 0006965173
≪Xが炭素原子の一部が窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘテロ環式炭化水素
基である場合≫
Figure 0006965173
これらのうち、電解液中での安定性の高さから、以下の化合物が好ましい。
Figure 0006965173
さらに、電解液への溶解度の高さから、以下の化合物が好ましい。
Figure 0006965173
特に、電極上での副反応が少なく、効率的に被膜を形成する観点から、以下の化合物が
好ましい。
Figure 0006965173
式(1)で表される化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。非水系電
解液全量(100質量%)中、式(1)で表される化合物の量(2種以上の場合は合計量
)は、本発明の効果を発現するためには特に制限はないが、通常0.001質量%以上、
好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.
3質量%以上、特に好ましくは0.6質量%以上であり、また、通常10質量%以下、好
ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特
に好ましくは1.5質量%以下、最も好ましくは1.0質量%以下である。この範囲にあ
ると、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
なお、本発明の電解液に、上記化合物を配合する方法は、特に制限されない。上記化合
物を直接電解液に添加する方法の他に、電池内又は電解液中において上記化合物を発生さ
せる方法が挙げられる。上記化合物を発生させる方法としては、これらの化合物以外の化
合物を添加し、電解液等の電池構成要素を酸化又は加水分解等して発生させる方法が挙げ
られる。更には、電池を作製して、充放電等の電気的な負荷をかけることによって、発生
させる方法も挙げられる。
また、上記化合物は、非水系電解液に含有させ実際に蓄電デバイスの作製に供すると、
その蓄電デバイスを解体して再び非水系電解液を抜き出しても、その中の含有量が著しく
低下している場合が多い。従って、蓄電デバイスから抜き出した非水系電解液から、上記
化合物が極少量でも検出できるものは本発明に含まれるとみなされる。また、上記化合物
は、非水系電解液として実際に蓄電デバイスの作製に供すると、その電池を解体して再び
抜き出した非水系電解液には上記化合物が極少量しか含有されていなかった場合であって
も、蓄電デバイスの他の構成部材(たとえば正極、負極若しくはセパレータ)上で検出さ
れる場合も多い。従って、構成部材から上記化合物が検出された場合は、その合計量を非
水系電解液に含まれていたと仮定することができる。この仮定の下、以下の1−2.に記
載の特定化合物が含まれるのが好ましく、その含有量は特に限定されないが、通常、非水
系電解液全量に対する合計含有量が、0.001質量%以上50質量%以下である。
1−2.フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、式
(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ
素含有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素
非含有カルボン酸エステル、式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物、イ
ソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸
塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩
本発明の態様は、上記式(1)で表される化合物とともに、フッ素含有環状カーボネー
ト、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、式(1)以外のシアノ基を有する有機化
合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、芳香族化合物、炭素−
炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、式(1)
以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物、
モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホ
ン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物((II)群の化合物)を含むこ
とができる。これらを併用することで、式(1)で表される化合物が引き起こし得る正負
極上での副反応を効率よく抑制できるためである。
中でも、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、式
(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有す
る環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、及び式(1)以外の複数のエー
テル結合を有する環状化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物は、負極上
に良質な複合被膜を形成し、初期の電池特性と耐久試験後の電池特性がバランスよく向上
するため好ましく、フッ素含有環状カーボネート、式(1)以外のシアノ基を有する有機
化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート及びフッ素非含
有カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましく、
フッ素含有環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート及びフッ
素非含有カルボン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が更に好ま
しく、フッ素含有環状カーボネートまたは炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネー
トから選ばれる少なくとも1種の化合物が特に好ましい。理由としては、比較的低分子量
の被膜を負極上に形成するこれら化合物は、形成される負極被膜が緻密であることから、
効率良く式(1)で表される化合物の副反応による劣化を抑制し得ることが挙げられる。
このように副反応を効果的に抑制し、また抵抗上昇を抑制し、初期や高温耐久時の副反応
抑制による体積変化抑制と高温耐久後の安全性を確保するとともに、レート特性を向上さ
せ得る。
本発明の電解液に、上記化合物を配合する方法は、特に制限されない。上記化合物を直
接電解液に添加する方法の他に、電池内又は電解液中において上記化合物を発生させる方
法が挙げられる。上記化合物を発生させる方法としては、これらの化合物以外の化合物を
添加し、電解液等の電池構成要素を酸化又は加水分解等して発生させる方法が挙げられる
。更には、電池を作製して、充放電等の電気的な負荷をかけることによって、発生させる
方法も挙げられる。
また、上記化合物は、非水系電解液に含有させ実際に蓄電デバイスの作製に供すると、
その蓄電デバイスを解体して再び非水系電解液を抜き出しても、その中の含有量が著しく
低下している場合が多い。従って、蓄電デバイスから抜き出した非水系電解液から、上記
化合物が極少量でも検出できるものは本発明に含まれるとみなされる。また、上記化合物
は、非水系電解液として実際に蓄電デバイスの作製に供すると、その電池を解体して再び
抜き出した非水系電解液には上記化合物が極少量しか含有されていなかった場合であって
も、蓄電デバイスの他の構成部材(たとえば正極、負極若しくはセパレータ)上で検出さ
れる場合も多い。従って、構成部材から上記化合物が検出された場合は、その合計量を非
水系電解液に含まれていたと仮定することができる。この仮定の下、特定化合物は後述で
述べる範囲になるように含まれていることが好ましい。
以下に、(II)群の化合物について説明をする。ただし、モノフルオロリン酸塩、ジ
フルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩に関しては、1−4
.電解質における説明が適用される。また、上記化合物と組み合わせる式(1)で表され
る化合物に関しては、式(1)で表される化合物に関する上記の記載が、例示及び好まし
い例も含めて適用される。また、ある化合物を含む態様において、上記化合物におけるそ
れ以外の化合物が含まれていてもよい。
1−2−1.フッ素含有環状カーボネート
フッ素含有環状カーボネートとしては、炭素数2以上6以下のアルキレン基を有する環
状カーボネートのフッ素化物、及びその誘導体が挙げられ、例えばエチレンカーボネート
のフッ素化物(以下、「フッ素化エチレンカーボネート」と記載する場合がある)、及び
その誘導体が挙げられる。エチレンカーボネートのフッ素化物の誘導体としては、アルキ
ル基(例えば、炭素数1以上4以下のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートの
フッ素化物が挙げられる。中でもフッ素数1以上8以下のフッ素化エチレンカーボネート
、及びその誘導体が好ましい。
本発明の電解液において、式(1)で表される化合物とフッ素含有環状カーボネートと
を併用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することが
できる。
フッ素数1〜8個のフッ素化エチレンカーボネート及びその誘導体としては、モノフル
オロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフル
オロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−
ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカー
ボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチ
ル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−
(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオ
ロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート
、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5
−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカー
ボネート等が挙げられる。
中でも、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネー
ト、4,5−ジフルオロエチレンカーボネートが、電解液に高イオン伝導性を与え、かつ
安定な界面保護被膜を容易に形成しやすい点で好ましい。
フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わ
せ及び比率で併用してもよい。フッ素化環状カーボネートの量(2種以上の場合は合計量
)は、電解液100質量%中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.0
1質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.5質量%以上
、特に好ましくは1質量%以上、最も好ましくは1.2質量%以上であり、また、好まし
くは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に
好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。また、フッ素化環状カー
ボネートを非水溶媒として用いる場合の配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは
1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは10体積%以上であり、ま
た、好ましくは50体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは25体
積%以下である。
また、フッ素含有環状カーボネートとして、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カ
ーボネート(以下、「フッ素化不飽和環状カーボネート」と記載する場合がある)を用い
ることもできる。フッ素化不飽和環状カーボネートが有するフッ素数は1以上であれば、
特に制限されない。フッ素数は6以下とすることができ、好ましくは4以下であり、1又
は2がより好ましい。
フッ素化不飽和環状カーボネートとしては、フッ素化ビニレンカーボネート誘導体、芳
香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート
誘導体等が挙げられる。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、
4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレン
カーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビ
ニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネ
ート誘導体としては、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−
4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4
−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレ
ンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフ
ルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカ
ーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4
,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレン
カーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−フル
オロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボ
ネート、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ
−4−フェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。
中でも、フッ素化不飽和環状カーボネートとしては、4−フルオロビニレンカーボネー
ト、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレ
ンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−4−
ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フ
ルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネ
ート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4
−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート
、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビ
ニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4
,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,
5−ジアリルエチレンカーボネートが、安定な界面保護被膜を形成するので好ましい。
フッ素化不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組
み合わせ及び比率で併用してもよい。
フッ素化不飽和環状カーボネート(2種以上の場合は合計量)の量は、電解液100質
量%中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好
ましくは0.1質量%以上で、特に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましく
は10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、特に好
ましくは3質量%以下である。この範囲内であれば、非水系電解液二次電池は十分なサイ
クル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり
、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
上記式(1)で表される化合物とフッ素含有環状カーボネートの質量比は、式(1)で
表される化合物:フッ素含有環状カーボネートが、1:100以上であることができ、好
ましくは10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは25:1
00以上であり、10000:100以下であることができ、好ましくは500:100
以下、より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:100以下、特に
好ましくは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲であれ
ば、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定か
ではないが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に抑えら
れるためと考えられる。
1−2−2.硫黄含有有機化合物
本発明の電解液は、更に硫黄含有有機化合物を含むことができる。硫黄含有有機化合物
は、分子内に硫黄原子を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されな
いが、好ましくは分子内にS=O基を有している有機化合物であり、鎖状スルホン酸エス
テル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エス
テル及び環状亜硫酸エステルが挙げられる。ただしフルオロスルホン酸塩に該当するもの
は、1−2−2.硫黄含有有機化合物ではなく、後述する電解質であるフルオロスルホン
酸塩に包含されるものとする。
本発明の電解液において、式(1)で表される化合物と硫黄含有有機化合物とを併用す
ることによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができる。
中でも、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状
硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル及び環状亜硫酸エステルが好ましく、より好ましくは
S(=O)基を有する化合物であり、さらに好ましくは鎖状スルホン酸エステル及び環
状スルホン酸エステルであり、特に好ましくは環状スルホン酸エステルである。
硫黄含有有機化合物としては、以下を挙げることができる。
≪鎖状スルホン酸エステル≫
フルオロスルホン酸メチル及びフルオロスルホン酸エチル等のフルオロスルホン酸エス
テル;
メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸2−プロピニル
、メタンスルホン酸3−ブチニル、ブスルファン、2−(メタンスルホニルオキシ)プロ
ピオン酸メチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸エチル、2−(メタンス
ルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピ
オン酸3−ブチニル、メタンスルホニルオキシ酢酸メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸
エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−プロピニル及びメタンスルホニルオキシ酢酸3
−ブチニル等のメタンスルホン酸エステル;
ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニル
スルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルス
ルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギル及び1,2−ビス(ビニルスルホニロキ
シ)エタン等のアルケニルスルホン酸エステル;
メタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸エトキシカルボニ
ルメチル、メタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、メタンジスルホン酸1−
エトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1
,2−エタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,2−エタンジスルホン酸1−
メトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル
、1,3−プロパンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホ
ン酸エトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−メトキシカルボニル
エチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−ブタン
ジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸エトキシカルボニ
ルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,3−ブタン
ジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル等のアルキルジスルホン酸エステル;
≪環状スルホン酸エステル≫
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ
−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−
1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,
3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スル
トン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−
1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2
−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−
フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スル
トン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,
3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペ
ン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタン
スルトン及び1,5−ペンタンスルトン等のスルトン化合物;
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネート等のジスルホネート化
合物;
1,2,3−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オ
キサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、3H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2
−ジオキシド、5H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、1,2,4
−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、1,2,5−オキサチアゾリジン−2,2
−ジオキシド、1,2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,
2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、5,6−ジヒドロ−1,2,3−オキ
サチアジン−2,2−ジオキシド及び1,2,4−オキサチアジナン−2,2−ジオキシ
ド等の含窒素化合物。
1,2,3−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オ
キサチアホスラン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オキサチアホスラン
−2,2,3−トリオキシド、3−メトキシ−1,2,3−オキサチアホスラン−2,2
,3−トリオキシド、1,2,4−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、1,2,
5−オキサチアホスラン−2,2−ジオキシド、1,2,3−オキサチアホスフィナン−
2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオ
キシド、3−メチル−1,2,3−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド
、3−メトキシ−1,2,3−オキサチアホスフィナン−2,2,3−トリオキシド、1
,2,4−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオキシド、1,2,5−オキサチアホス
フィナン−2,2−ジオキシド及び1,2,6−オキサチアホスフィナン−2,2−ジオ
キシド等の含リン化合物。
≪鎖状硫酸エステル≫
ジメチルスルフェート、エチルメチルスルフェート及びジエチルスルフェート等のジア
ルキルスルフェート化合物。
≪環状硫酸エステル≫
1,2−エチレンスルフェート、1,2−プロピレンスルフェート、1,3−プロピレ
ンスルフェート、1,2−ブチレンスルフェート、1,3−ブチレンスルフェート、1,
4−ブチレンスルフェート、1,2−ペンチレンスルフェート、1,3−ペンチレンスル
フェート、1,4−ペンチレンスルフェート及び1,5−ペンチレンスルフェート等のア
ルキレンスルフェート化合物。
≪鎖状亜硫酸エステル≫
ジメチルスルファイト、エチルメチルスルファイト及びジエチルスルファイト等のジア
ルキルスルファイト化合物。
≪環状亜硫酸エステル≫
1,2−エチレンスルファイト、1,2−プロピレンスルファイト、1,3−プロピレ
ンスルファイト、1,2−ブチレンスルファイト、1,3−ブチレンスルファイト、1,
4−ブチレンスルファイト、1,2−ペンチレンスルファイト、1,3−ペンチレンスル
ファイト、1,4−ペンチレンスルファイト及び1,5−ペンチレンスルファイト等のア
ルキレンスルファイト化合物。
これらのうち、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸メチル、2−(メタンス
ルホニルオキシ)プロピオン酸エチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2
−プロピニル、プロパンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、プロパンジスルホ
ン酸1−エトキシカルボニルエチル、ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル
、ブタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−プロパンスルトン、1−
プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、1,2−エチレンスルフェート
、1,2−エチレンスルファイト、メタンスルホン酸メチル及びメタンスルホン酸エチル
が初期効率向上の点から好ましく、プロパンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル
、プロパンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、ブタンジスルホン酸1−メトキ
シカルボニルエチル、ブタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−プロ
パンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、1,2−エチレンスルフェート、1,
2−エチレンスルファイトがより好ましく、1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−
1,3−スルトンが更に好ましい。
硫黄含有有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び
比率で併有してもよい。
硫黄含有有機化合物の含有量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、
0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましく
は0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、特に好ましくは0.6質
量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、よ
り好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.5質量%
以下、最も好ましくは1.0質量%以下である。この範囲にあると、出力特性、負荷特性
、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物と硫黄含有有機化合物の質量比は、式(1)で表される
化合物:硫黄含有有機化合物が、1:100以上であることができ、好ましくは10:1
00以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは25:100以上であり、
10000:100以下であることができ、好ましくは500:100以下、より好まし
くは300:100以下、さらに好ましくは100:100以下、特に好ましくは75:
100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲であれば、電池特性、特
に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定かではないが、この
比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に抑えられるためと考えら
れる。
1−2−3.リン含有有機化合物
本発明の電解液は、更にリン含有有機化合物を含むことができる。リン含有有機化合物
は、分子内に少なくとも一つリン原子を有している有機化合物であれば、特に制限されな
い。リン含有有機化合物を含有する本発明の電解液を用いた電池は、耐久特性を改善する
ことができる。
リン含有有機化合物としては、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エ
ステル、亜リン酸エステルが好ましく、より好ましくはリン酸エステル及びホスホン酸エ
ステルであり、更に好ましくはホスホン酸エステルである。
リン含有有機化合物としては、以下を挙げることができる。
≪リン酸エステル≫
ジメチルビニルホスフェート、ジエチルビニルホスフェート、ジプロピルビニルホスフ
ェート、ジブチルビニルホスフェート、ジペンチルビニルホスフェート、メチルジビニル
ホスフェート、エチルジビニルホスフェート、プロピルジビニルホスフェート、ブチルジ
ビニルホスフェート、ペンチルジビニルホスフェート及びトリビニルホスフェート等のビ
ニル基を有する化合物;
アリルジメチルホスフェート、アリルジエチルホスフェート、アリルジプロピルホスフ
ェート、アリルジブチルホスフェート、アリルジペンチルホスフェート、ジアリルメチル
ホスフェート、ジアリルエチルホスフェート、ジアリルプロピルホスフェート、ジアリル
ブチルホスフェート、ジアリルペンチルホスフェート及びトリアリルホスフェート等のア
リル基を有する化合物;
プロパルギルジメチルホスフェート、プロパルギルジエチルホスフェート、プロパルギ
ルジプロピルホスフェート、プロパルギルジブチルホスフェート、プロパルギルジペンチ
ルホスフェート、ジプロパルギルメチルホスフェート、ジプロパルギルエチルホスフェー
ト、ジプロパルギルプロピルホスフェート、ジプロパルギルブチルホスフェート、ジプロ
パルギルペンチルホスフェート及びトリプロパルギルホスフェート等のプロパルギル基を
有する化合物;
2−アクリロイルオキシメチルジメチルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチル
ジエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジプロピルホスフェート、2−ア
クリロイルオキシメチルジブチルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジペンチ
ルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)メチルホスフェート、ビス(2
−アクリロイルオキシメチル)エチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチ
ル)プロピルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)ブチルホスフェート
、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)ペンチルホスフェート及びトリス(2−アクリ
ロイルオキシメチル)ホスフェートの2−アクリロイルオキシメチル基を有する化合物;
2−アクリロイルオキシエチルジメチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチル
ジエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジプロピルホスフェート、2−ア
クリロイルオキシエチルジブチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジペンチ
ルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)メチルホスフェート、ビス(2
−アクリロイルオキシエチル)エチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチ
ル)プロピルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ブチルホスフェート
及びビス(2−アクリロイルオキシエチル)ペンチルホスフェート及びトリス(2−アク
リロイルオキシエチル)ホスフェート
≪ホスホン酸エステル≫
トリメチル ホスホノフォルメート、メチル ジエチルホスホノフォルメート、メチル
ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ジブチルホスホノフォルメート、トリエチル
ホスホノフォルメート、エチル ジメチルホスホノフォルメート、エチル ジプロピル
ホスホノフォルメート、エチル ジブチルホスホノフォルメート、トリプロピル ホスホ
ノフォルメート、プロピル ジメチルホスホノフォルメート、プロピル ジエチルホスホ
ノフォルメート、プロピル ジブチルホスホノフォルメート、トリブチル ホスホノフォ
ルメート、ブチル ジメチルホスホノフォルメート、ブチル ジエチルホスホノフォルメ
ート、ブチル ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ビス(2,2,2−トリフル
オロエチル)ホスホノフォルメート、エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)
ホスホノフォルメート、プロピル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフ
ォルメート、ブチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、
トリメチル ホスホノアセテート、メチル ジエチルホスホノアセテート、メチル ジプ
ロピルホスホノアセテート、メチル ジブチルホスホノアセテート、トリエチル ホスホ
ノアセテート、エチル ジメチルホスホノアセテート、エチル ジプロピルホスホノアセ
テート、エチル ジブチルホスホノアセテート、トリプロピル ホスホノアセテート、プ
ロピル ジメチルホスホノアセテート、プロピル ジエチルホスホノアセテート、プロピ
ル ジブチルホスホノアセテート、トリブチル ホスホノアセテート、ブチル ジメチル
ホスホノアセテート、ブチル ジエチルホスホノアセテート、ブチル ジプロピルホスホ
ノアセテート、メチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、
エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、プロピル ビス
(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、ブチル ビス(2,2,2−
トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、アリル ジメチルホスホノアセテート、アリ
ル ジエチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジメチルホスホノアセテート、2−
プロピニル ジエチルホスホノアセテート、トリメチル 3−ホスホノプロピオネート、
メチル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ジプロピルホスホノ
)プロピオネート、メチル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリエチル 3
−ホスホノプロピオネート、エチル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、エチル
3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ジブチルホスホノ)プロ
ピオネート、トリプロピル 3−ホスホノプロピオネート、プロピル 3−(ジメチルホ
スホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、プロピ
ル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリブチル 3−ホスホノプロピオネー
ト、ブチル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジエチルホスホ
ノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3
−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、エチル 3−
(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−
(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(
ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、トリメチル 4−
ホスホノブチレート、メチル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、メチル 4−(ジ
プロピルホスホノ)ブチレート、メチル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリエ
チル 4−ホスホノブチレート、エチル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、エチル
4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート、エチル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレー
ト、トリプロピル 4−ホスホノブチレート、プロピル 4−(ジメチルホスホノ)ブチ
レート、プロピル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、プロピル 4−(ジブチルホ
スホノ)ブチレート、トリブチル 4−ホスホノブチレート、ブチル 4−(ジメチルホ
スホノ)ブチレート、ブチル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4−(ジ
プロピルホスホノ)ブチレート等。
これらのうち、電池特性向上の観点から、トリアリルホスフェート及びトリス(2−ア
クリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリメチル ホスホノアセテート、トリエチル
ホスホノアセテート、2−プロピニル ジメチルホスホノアセテート、2−プロピニル
ジエチルホスホノアセテートが好ましい。
リン含有有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び
比率で併有してもよい。
リン含有有機化合物の含有量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、
0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましく
は0.1質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、特に好ましくは0.6質量%以
上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ま
しくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.2質量%以下、
最も好ましくは0.9質量%以下である。この範囲であると、出力特性、負荷特性、低温
特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物とリン含有有機化合物の質量比は、式(1)で表される
化合物:リン含有有機化合物が、1:100以上であることができ、好ましくは10:1
00以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは25:100以上であり、
10000:100以下であることができ、好ましくは500:100以下、より好まし
くは300:100以下、さらに好ましくは100:100以下、特に好ましくは75:
100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲であれば、電池特性、特
に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定かではないが、この
比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に抑えられるためと考えら
れる。
1−2−4.式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物
本発明の電解液は、式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物を含むことができる。
式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物としては、分子内にシアノ基を少なくとも1
つ有している式(1)以外の有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは式(
2−4−1)、式(2−4−2)及び式(2−4−3)で表される化合物であり、より好
ましくは式(2−4−2)及び式(2−4−3)で表される化合物であり、更に好ましく
は、式(2−4−2)で表される化合物である。なお、式(1)以外のシアノ基を有する
有機化合物が、式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物でもある場合、式
(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物に属してもよいものとする。
本発明の電解液において、式(1)で表される化合物と式(1)以外のシアノ基を有す
る有機化合物とを併用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を
改善することができる。
1−2−4−1.式(2−4−1)で表される化合物
−CN (2−4−1)
(式中、Aは炭素数2以上20以下の炭化水素基を示す。)
式(2−4−1)で表される化合物の分子量は、特に制限されない。分子量は、好まし
くは55以上であり、より好ましくは65以上、更に好ましくは80以上であり、また、
好ましくは310以下であり、より好ましくは185以下であり、更に好ましくは155
以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する式(2−4−1)で表される化合
物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。式(2−4−1)で表され
る化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可
能である。
式(2−4−1)中、炭素数2以上20以下の炭化水素基としては、アルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基及びアリール基等が挙げられ、エチル基、n−プロピル基、is
o−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチ
ル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、tert−アミル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テ
トラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシ基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナ
デシル基、イコシル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基
、1−ブテニル、1−ペンテニル基等のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、
1−ブチニル基、1−ペンチニル基等のアルキニル基;フェニル基、トリル基、エチルフ
ェニル基、n−プロピルフェニル基、i−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、
sec−ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、トリ
フルオロメチルフェニル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基、メトキシフェニル
基、エトキシフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基等のアリール基等が好ましい
中でも、分子全体に対するシアノ基の割合が多く、電池特性向上効果が高いという観点
から、炭素数2以上15以下の直鎖又は分岐状のアルキル基及び炭素数2以上4以下のア
ルケニル基がより好ましく、炭素数2以上12以下の直鎖又は分岐状のアルキル基が更に
好ましく、炭素数4以上11以下の直鎖又は分岐状のアルキル基が特に好ましい。
式(2−4−1)で表される化合物としては、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ペ
ンタンニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ペラルゴノ
ニトリル、デカンニトリル、ウンデカンニトリル、ドデカンニトリル、シクロペンタンカ
ルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、
2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテン
ニトリル及び2−ヘキセンニトリル等が挙げられる。
中でも、化合物の安定性、電池特性、製造面の観点から、ペンタンニトリル、オクタン
ニトリル、デカンニトリル、ドデカンニトリル及びクロトノニトリルが好ましく、ペンタ
ンニトリル、デカンニトリル、ドデカンニトリル及びクロトノニトリルがより好ましく、
ペンタンニトリル、デカンニトリル及びクロトノニトリルが好ましい。
式(2−4−1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の
組み合わせ及び比率で併有してもよい。式(2−4−1)で表される化合物の量(2種以
上の場合は合計量)は、非水系電解液100質量%中、0.001質量%以上であること
ができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、また、10
質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、
更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.5質量
%以下である。上記範囲であれば、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温
保存特性等を制御しやすい。
1−2−4−2.式(2−4−2)で表される化合物
NC−A−CN (2−4−2)
(式中、Aは、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハ
ロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上10以下の
有機基である。)
水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子から
なる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上10以下の有機基とは、炭
素原子及び水素原子から構成される有機基の他に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン
原子、又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基を包含する。窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、リン原子又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基には、炭素原子及び水素原
子から構成される基における骨格の炭素原子の一部が、これらの原子に置換されている有
機基、又はこれらの原子で構成された置換基を有する有機基を包含する。
式(2−4−2)で表される化合物の分子量は、特に制限されない。分子量は、好まし
くは、65以上であり、より好ましくは80以上、更に好ましくは90以上であり、また
、好ましくは270以下であり、より好ましくは160以下であり、更に好ましくは13
5以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する式(2−4−2)で表される化
合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。式(2−4−2)で表さ
れる化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが
可能である。
式(2−4−2)で表される化合物におけるAとしては、アルキレン基又はその誘導
体、アルケニレン基又はその誘導体、シクロアルキレン基又はその誘導体、アルキニレン
基又はその誘導体、シクロアルケニレン基又はその誘導体、アリーレン基又はその誘導体
、カルボニル基又はその誘導体、スルホニル基又はその誘導体、スルフィニル基又はその
誘導体、ホスホニル基又はその誘導体、ホスフィニル基又はその誘導体、アミド基又はそ
の誘導体、イミド基又はその誘導体、エーテル基又はその誘導体、チオエーテル基又はそ
の誘導体、ボリン酸基又はその誘導体、ボラン基又はその誘導体等が挙げられる。
中でも、電池特性向上の点から、アルキレン基又はその誘導体、アルケニレン基又はそ
の誘導体、シクロアルキレン基又はその誘導体、アルキニレン基又はその誘導体、アリー
レン基又はその誘導体が好ましい。また、Aが置換基を有してもよい炭素数2以上5以
下のアルキレン基であることがより好ましい。
式(2−4−2)で表される化合物としては、マロノニトリル、スクシノニトリル、グ
ルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、
セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、
エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル
、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスク
シノニトリル、2,3,3−トリメチルスクシノニトリル、2,2,3,3−テトラメチ
ルスクシノニトリル、2,3−ジエチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−
ジエチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、ビシクロヘキシル−1,1−ジカルボニ
トリル、ビシクロヘキシル−2,2−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−3,3−ジ
カルボニトリル、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,3−ジイ
ソブチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジイソブチル−3,3−ジメチ
ルスクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,3−ジメチルグルタロニトリル
、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,3,3−テトラメチルグルタロニトリル
、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,3,4−テトラメチルグル
タロニトリル、2,3,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、マレオニトリル、フマ
ロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノ
オクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカン、1,2−ジジアノベンゼ
ン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、3,3’−(エチレンジオ
キシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル及び3,
9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウン
デカン等が挙げられる。
これらのうち、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリ
ル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジ
ニトリル、ドデカンジニトリル及び3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,1
0−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、フマロニトリルが高温保存耐久特性向上
の点から好ましい。更に、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメ
ロニトリル、スベロニトリル、グルタロニトリル及び3,9−ビス(2−シアノエチル)
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンは、高温保存耐久特性向
上効果が特に優れ、また電極での副反応による劣化が少ないためにより好ましい。通常、
ジニトリル化合物は、分子量が小さいほど一分子におけるシアノ基の量割合が大きくなり
、分子の粘度が上昇する一方、分子量が大きくなるほど、化合物の沸点が上昇する。よっ
て、作業効率の向上の点から、スクシノスクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニ
トリル及びピメロニトリルが更に好ましい。
式(2−4−2)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の
組み合わせ及び比率で併有してもよい。式(2−4−2)で表される化合物の量(2種以
上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ
、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0
.3質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以
下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させる。上記範囲を満たした場合は、出力
特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等の効果がより向上する。
1−2−4−3.式(2−4−3)で表される化合物
Figure 0006965173
(式中、Aは、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハ
ロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の
有機基であり、n43は0以上5以下の整数である。)
水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、及びハロゲン原子か
らなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基とは、
炭素原子及び水素原子から構成される有機基の他に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リ
ン原子又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基を包含する。窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、リン原子又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基には、炭素原子及び水素原
子から構成される基における骨格の炭素原子の一部が、これらの原子に置換されている有
機基、又はこれらの原子で構成された置換基を有する有機基を包含する。
上記n43は0以上5以下、好ましくは0以上3以下、より好ましくは0以上1以下の
整数であり、特に好ましくは0である。
また、上記Aは、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群
より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であることが好
ましく、水素原子、炭素原子及び酸素原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成
された炭素数1以上12以下の有機基であることがより好ましく、置換基を有していても
よい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
ここで置換基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及
びハロゲン原子からなる群より選ばれる1以上の原子で構成された基のことを表す。
置換基としては、ハロゲン原子;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニル
オキシ基;アシル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アル
キルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジア
ルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられ、好ましくはハ
ロゲン原子;アルコキシ基又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、より好
ましくはハロゲン原子又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、更に好まし
くは非置換のアルキル基である。
上記脂肪族炭化水素基は、特に制限されないが、炭素数は1以上であることができ、好
ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、12以下であることができ、好ま
しくは8以下、より好ましくは6以下である。
脂肪族炭化水素基としては、n43に応じて、アルカントリイル基、アルカンテトライ
ル基、アルカンペンタイル基、アルカンテトライル基、アルケントリイル基、アルケンテ
トライル基、アルケンペンタイル基、アルケンテトライル基、アルキントリイル基、アル
キンテトライル基、アルキンペンタイル基及びアルキンテトライル基等が挙げられる。
これらのうち、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、アルカンペンタイル基及
びアルカンテトライル基等の飽和炭化水素基がより好ましく、アルカントリイル基が更に
好ましい。
更に、上記式(2−4−3)で表される化合物は式(2−4−3’)で示される化合物
であることがより好ましい。
Figure 0006965173
(式中、A及びAは、上記Aと同義である。)
また、上記A及びAは、置換基を有していていもよい炭素数1以上5以下の炭化水
素基であることがより好ましい。
炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラエチレン基、
ペンタメチレン基、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニ
レン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、エチニレン基、
プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペ
ンチニレン基等が挙げられる。
これらのうち、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラエチレン基、ペンタ
メチレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基がより好ましい。
上記A及びAは、互いに同一でなく、異なることが好ましい。
式(2−4−3)で表される化合物の分子量は、特に制限されない。分子量は、好まし
くは、90以上であり、より好ましくは120以上、更に好ましくは150以上であり、
また、好ましくは450以下であり、より好ましくは300以下であり、更に好ましくは
250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する式(2−4−3)で表され
る化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。式(2−4−3)で
表される化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造するこ
とが可能である。
式(2−4−3)で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
これらのうち、
Figure 0006965173
が保存特性向上の点から好ましい。
式(2−4−3)で表される化合物の量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100
質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、よ
り好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、また、10質
量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特
に好ましくは2質量%以下の濃度で含有させる。この範囲にあると、出力特性、負荷特性
、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上
を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
上記式(1)で表される化合物と式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物の質量比
は、式(1)で表される化合物:式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物が、1:1
00以上であることができ、好ましくは10:100以上、より好ましくは20:100
以上、更に好ましくは25:100以上であり、10000:100以下であることがで
き、好ましくは500:100以下、より好ましくは300:100以下、さらに好まし
くは100:100以下、特に好ましくは75:100以下、最も好ましくは50:10
0以下である。この範囲であれば、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることがで
きる。この原理については定かではないが、この比率で混合させることで、電極上での添
加剤の副反応を最小限に抑えられるためと考えられる。
1−2−5.イソシアネート基を有する有機化合物
本発明の電解液は、イソシアネート基を有する有機化合物を含むことができる。イソシ
アネート基を有する有機化合物は、分子内に少なくとも1つのイソシアネート基を有する
有機化合物であれば、特に制限されないが、イソシアネート基の数は、一分子中、好まし
くは1以上4以下、より好ましくは2以上3以下、更に好ましくは2である。
本発明の電解液において、式(1)で表される化合物とイソシアネート基を有する化合
物とを併用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善するこ
とができる。
イソシアネート基を有する有機化合物としては、以下を挙げることができる。
メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、イソプロピ
ルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ターシャルブチルイソシアネート、ペンチル
イソシアネートヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ビニルイソシ
アネート、アリルイソシアネート、エチニルイソシアネート、プロパルギルイソシアネー
ト、フェニルイソシアネート、フロロフェニルイソシアネート等のイソシアネート基を1
個有する有機化合物;
モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシ
アネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシ
アネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチ
レンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,4−ジイソシアナト−2
−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2
,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシア
ナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシ
アナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイ
ソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソ
シアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘ
キサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシア
ナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソ
シアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメ
タン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−
4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(
メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチ
ルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、カルボニルジイソシアネート、1,4
−ジイソシアナトブタン−1,4−ジオン、1,5−ジイソシアナトペンタン−1,5−
ジオン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメ
チルヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアネート基を2個有する有機化合物;
等が挙げられる。
これらのうち、モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメ
チレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメ
チレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネー
ト、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキ
サン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]
ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプ
タン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、2,
2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメ
チレンジイソシアナート等のイソシアネート基を2個有する有機化合物が保存特性向上の
点から好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル
)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[
2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.
2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソ
ホロン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメ
チルヘキサメチレンジイソシアナートがより好ましく、1,3−ビス(イソシアナトメチ
ル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ
[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2
.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)が更に好ましい。
イソシアネート基を有する有機化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアネート基
を有する化合物から誘導される三量体化合物、又はそれに多価アルコールを付加した脂肪
族ポリイソシアネートであってもよい。例えば、式(2−5−1)〜(2−5−4)の基
本構造で示されるビウレット、イソシアヌレート、アダクト及び二官能のタイプの変性ポ
リイソシアネート等が挙げられる。
Figure 0006965173
(式中、R51〜R54及びR54’は、独立して、2価の炭化水素基(例えば、テトラ
メチレン基、ヘキサメチレン基)であり、R53’は、独立して、3価の炭化水素基であ
る。)
分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物には、ブロック剤でブ
ロックして保存安定性を高めた、いわゆるブロックイソシアネートも含まれる。ブロック
剤には、アルコール類、フェノール類、有機アミン類、オキシム類、ラクタム類を挙げる
ことができ、具体的には、n−ブタノール、フェノール、トリブチルアミン、ジエチルエ
タノールアミン、メチルエチルケトキシム、ε−カプロラクタム等を挙げることができる
イソシアネート基を有する有機化合物に基づく反応を促進し、より高い効果を得る目的
で、ジブチルスズジラウレート等のような金属触媒や、1,8-ジアザビシクロ[5.4
.0]ウンデセン-7のようなアミン系触媒等を併用することも好ましい。
イソシアネート基を有する有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意
の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
イソシアネート基を有する有機化合物の量(2種以上の場合は合計量)は、電解液10
0質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.1質量%以上、よ
り好ましくは0.3質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好まし
くは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、出力特性、
負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物とイソシアネート基を有する有機化合物の質量比は、式
(1)で表される化合物:イソシアネート基を有する有機化合物が、1:100以上であ
ることができ、好ましくは10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好
ましくは25:100以上であり、10000:100以下であることができ、好ましく
は500:100以下、より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:
100以下、特に好ましくは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である
。この範囲であれば、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原
理については定かではないが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応
を最小限に抑えられるためと考えられる。
1−2−6.ケイ素含有化合物
本発明の電解液は、ケイ素含有化合物を含むことができる。ケイ素含有化合物は、分子
内に少なくとも1つのケイ素原子を有する化合物であれば、特に制限されない。本発明の
電解液において、式(1)で表される化合物とケイ素含有化合物を併用することによって
、耐久特性を改善することができる。
ケイ素含有化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメトキシシリル)、ホウ酸ト
リス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエトキシシリル)、ホウ酸トリス(ジメ
チルビニルシリル)及びホウ酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のホウ酸化合物; リ
ン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(
トリプロピルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)、リン酸トリス(トリメト
キシシリル)、リン酸トリス(トリエトキシシリル)、リン酸トリス(トリフエノキシシ
リル)、リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)及びリン酸トリス(ジエチルビニルシリ
ル)等のリン酸化合物;
亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリエチルシリル)、亜リン
酸トリス(トリプロピルシリル)、亜リン酸トリス(トリフェニルシリル)、亜リン酸ト
リス(トリメトキシシリル)、亜リン酸トリス(トリエトキシシリル)、亜リン酸トリス
(トリフエノキシシリル)、亜リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)及び亜リン酸トリ
ス(ジエチルビニルシリル)等の亜リン酸化合物;
メタンスルホン酸トリメチルシリル、テトラフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリ
ル等のスルホン酸化合物;
ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシラ
ン、1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン
及び1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等のジシラン化合物;
等が挙げられる。
これらのうち、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル
)、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、メタンスルホン酸トリメチルシリル、テトラ
フルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシ
ラン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン及び1,1,2,2−テトラフェニルジ
シランが好ましく、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリ
ル)、亜リン酸トリス(トリメチルシリル)及びヘキサメチルジシランがより好ましい。
なお、これらケイ素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み
合わせ及び比率で併用してもよい。
ケイ素含有化合物(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001
質量%以上であることができ、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量
%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より
好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、出力特性、負荷特性、低温特性、サ
イクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物とケイ素含有化合物(2種以上の場合は合計量)の質量
比は、式(1)で表される化合物:ケイ素含有化合物が、1:100以上であることがで
き、好ましくは10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは2
5:100以上であり、10000:100以下であることができ、好ましくは500:
100以下、より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:100以下
、特に好ましくは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲
であれば、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理について
は定かではないが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に
抑えられるためと考えられる。
1−2−7.芳香族化合物
本発明の電解液は、芳香族化合物を含むことができる。芳香族化合物としては、分子内
に芳香環を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されないが、好まし
くは式(2−7−1)及び式(2−7−2)で表される芳香族化合物である。
1−2−7−1.式(2−7−1)で表される芳香族化合物
Figure 0006965173
(式中、置換基X71はハロゲン原子、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有していてもよい
有機基を表す。ヘテロ原子を有していてもよい有機基とは、炭素数1以上12以下の直鎖
又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基、カルボン酸エステル構造を有する基、カーボネー
ト構造を有する基、リン原子を有する基、硫黄原子を有する基、ケイ素原子を有する基を
示す。また、それぞれの置換基は更にハロゲン原子、炭化水素基、芳香族基、ハロゲン含
有炭化水素基、ハロゲン含有芳香族基等で置換されていてもよい。また置換基X71の数
71は1以上6以下であり、複数の置換基を有する場合それぞれの置換基は同一でも異
なっていてもよく、また環を形成していてもよい。)
中でも、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基、カルボン
酸エステル構造を有する基、カーボネート構造を有する基が電池特性の観点から好ましい
。より好ましくは炭素数3以上12以下の直鎖又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基、カ
ルボン酸エステル構造を有する基である。
置換基X71の数n71は好ましくは1以上5以下であり、より好ましくは1以上3以
下であり、更に好ましくは1以上2以下であり、特に好ましくは1である。
71はハロゲン原子、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す

ハロゲン原子として、塩素、フッ素等が挙げられ、好ましくはフッ素である。
ヘテロ原子を有さない有機基として、炭素数3以上12以下の直鎖状、分岐状、環状の
飽和炭化水素基が挙げられ、直鎖状、分岐状のものは環構造を持つものも含まれる。炭素
数1以上12以下の直鎖状、分岐状、環状の飽和炭化水素基として具体的には、メチル基
、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル
基、ペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ブチル
シクロヘキシル基、等が挙げられる。炭素数は好ましくは3以上12以下、より好ましく
は3以上10以下、更に好ましくは3以上8以下、更により好ましくは3以上6以下、最
も好ましくは3以上5以下である。
ヘテロ原子を有する有機基を構成するヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子、リン原
子、ケイ素原子等が挙げられる。酸素原子を有するものとして、カルボン酸エステル構造
を有する基、カーボネート構造を有する基等が挙げられる。硫黄原子を有するものとして
、スルホン酸エステル構造を有する基等が挙げられる。リン原子を有するものとして、リ
ン酸エステル構造を有する基、ホスホン酸エステル構造を有する基等が挙げられる。ケイ
素原子を有するものとして、ケイ素―炭素構造を有する基等が挙げられる。
式(2−7−1)で表される芳香族化合物としては、例えば以下が挙げられる。
71がハロゲン原子又はハロゲン原子を有していてもよい有機基であるものとして、
クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、テト
ラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフ
ルオライド等が挙げられ、好ましくはフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼンである
。より好ましくはフルオロベンゼンである。
71が炭素数1以上12以下の炭化水素基であるものとして、
2,2−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルシクロヘキサン、シクロペンチルベン
ゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、ト
ランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニル
シクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、プロピルベンゼ
ン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン等が挙げら
れ、好ましくは2,2−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルシクロヘキサン、シク
ロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシク
ロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル
−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、
トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベン
ゼン、tert−アミルベンゼンであり、より好ましくは2,2−ジフェニルプロパン、
シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン
、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンであり、更に好ましくはシクロ
ヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンである。
71がカルボン酸エステル構造を有する基であるものとして、
酢酸フェニル、酢酸ベンジル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、酢
酸4−フェニルブチル、プロピオン酸フェニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸2
−フェニルエチル、プロピオン酸3−フェニルプロピル、プロピオン酸4−フェニルブチ
ル、酪酸フェニル、酪酸ベンジル、酪酸2−フェニルエチル、酪酸3−フェニルプロピル
、酪酸4−フェニルブチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸プ
ロピル、フェニル酢酸ブチル、フェニル酢酸フェニル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル
酢酸2−フェニルエチル、フェニル酢酸3−フェニルプロピル、フェニル酢酸4−フェニ
ルブチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸メチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸エ
チル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸プロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸ブチ
ル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸フェニル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸ベンジ
ル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸2−フェニルエチル、2,2−ジメチル−フェニル
酢酸3−フェニルプロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸4−フェニルブチル、3−
フェニルプロピオン酸メチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、3−フェニルプロピオ
ン酸プロピル、3−フェニルプロピオン酸ブチル、3−フェニルプロピオン酸フェニル、
3−フェニルプロピオン酸ベンジル、3−フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル、3
−フェニルプロピオン酸3−フェニルプロピル、3−フェニルプロピオン酸4−フェニル
ブチル、4−フェニル酪酸メチル、4−フェニル酪酸エチル、4−フェニル酪酸プロピル
、4−フェニル酪酸ブチル、4−フェニル酪酸フェニル、4−フェニル酪酸ベンジル、4
−フェニル酪酸2−フェニルエチル、4−フェニル酪酸3−フェニルプロピル、4−フェ
ニル酪酸4−フェニルブチル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フェニル吉草酸エチル、
5−フェニル吉草酸プロピル、5−フェニル吉草酸ブチル、5−フェニル吉草酸フェニル
、5−フェニル吉草酸ベンジル、5−フェニル吉草酸2−フェニルエチル、5−フェニル
吉草酸3−フェニルプロピル、5−フェニル吉草酸4−フェニルブチル、1−フェニルシ
クロペンタンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸エチル、1−フ
ェニルシクロペンタンカルボン酸プロピル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸ブチ
ル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸フェニル、1−フェニルシクロペンタンカル
ボン酸ベンジル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル、1−フェ
ニルシクロペンタンカルボン酸3−フェニルプロピル、1−フェニルシクロペンタンカル
ボン酸4−フェニルブチル、2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパン等が挙げ
られ、好ましくは、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、酢酸4−フェ
ニルブチル、プロピオン酸2−フェニルエチル、プロピオン酸3−フェニルプロピル、プ
ロピオン酸4−フェニルブチル、酪酸2−フェニルエチル、酪酸3−フェニルプロピル、
酪酸4−フェニルブチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸プロ
ピル、フェニル酢酸ブチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、フェニル酢酸3−フェニ
ルプロピル、フェニル酢酸4−フェニルブチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸メチル
、2,2−ジメチル−フェニル酢酸エチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸プロピル、
2,2−ジメチル−フェニル酢酸ブチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸2−フェニル
エチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸3−フェニルプロピル、2,2−ジメチル−フ
ェニル酢酸4−フェニルブチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、3−フェニルプロピ
オン酸エチル、3−フェニルプロピオン酸プロピル、3−フェニルプロピオン酸ブチル、
3−フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸3−フェニル
プロピル、3−フェニルプロピオン酸4−フェニルブチル、4−フェニル酪酸メチル、4
−フェニル酪酸エチル、4−フェニル酪酸プロピル、4−フェニル酪酸ブチル、4−フェ
ニル酪酸2−フェニルエチル、4−フェニル酪酸3−フェニルプロピル、4−フェニル酪
酸4−フェニルブチル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フェニル吉草酸エチル、5−フ
ェニル吉草酸プロピル、5−フェニル吉草酸ブチル、5−フェニル吉草酸2−フェニルエ
チル、5−フェニル吉草酸3−フェニルプロピル、5−フェニル吉草酸4−フェニルブチ
ル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロペンタンカルボ
ン酸エチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸プロピル、1−フェニルシクロペン
タンカルボン酸ブチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル、1
−フェニルシクロペンタンカルボン酸3−フェニルプロピルであり、より好ましくは、酢
酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸
エチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、フェニル酢酸3−フェニルプロピル、2,2
−ジメチル−フェニル酢酸メチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸エチル、2,2−ジ
メチル−フェニル酢酸2−フェニルエチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸3−フェニ
ルプロピル、3−フェニルプロピオン酸メチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、3−
フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸3−フェニルプロ
ピル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フェニル吉草酸エチル、5−フェニル吉草酸2−
フェニルエチル、5−フェニル吉草酸3−フェニルプロピル、1−フェニルシクロペンタ
ンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸エチル、1−フェニルシク
ロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸3−
フェニルプロピルであり、更に好ましくは、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニル
プロピル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル
、フェニル酢酸3−フェニルプロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸メチル、2,2
−ジメチル−フェニル酢酸エチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸2−フェニルエチル
、2,2−ジメチル−フェニル酢酸3−フェニルプロピル、3−フェニルプロピオン酸メ
チル、3−フェニルプロピオン酸エチル、3−フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル
、3−フェニルプロピオン酸3−フェニルプロピル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フ
ェニル吉草酸エチル、5−フェニル吉草酸2−フェニルエチル、5−フェニル吉草酸3−
フェニルプロピル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロ
ペンタンカルボン酸エチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル
、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸3−フェニルプロピルである。
71がカーボネート構造を有する基であるものとして、
2,2−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−
メトキシカルボニルオキシフェニル)シクロヘキサン、ジフェニルカーボネート、メチル
フェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、2−tert−ブチルフェニルメ
チルカーボネート、2−tert−ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(2−te
rt−ブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニルメチルカーボネー
ト、4−tert−ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(4−tert−ブチルフ
ェニル)カーボネート、ベンジルメチルカーボネート、ベンジルエチルカーボネート、ジ
ベンジルカーボネート等が挙げられ、好ましくは2,2−ビス(4−メトキシカルボニル
オキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)シ
クロヘキサン体、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、より好
ましくはジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、更に好ましくは
メチルフェニルカーボネートである。
71がスルホン酸エステル構造を有する基であるものとして、
メチルフェニルスルホネート、エチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、
フェニルメチルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−
tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネ
ート等が挙げられ、好ましくはメチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、
2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−tert−ブチルフェニルメチ
ルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネートであり、より好ましくはメ
チルフェニルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−t
ert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネー
トである。
71がケイ素−炭素構造を有する基であるものとして、
トリメチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルテトラメチルジシラン等が挙
げられ、好ましくはトリメチルフェニルシランである。
71がリン酸エステル構造を有する基であるものとして、
トリフェニルホスフェート、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ト
リス(3−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフ
ェニル)ホスフェート、トリス(2−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス
(3−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−アミルフェニ
ル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−
シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフ
ェート、ジエチル(4−メチルベンジル)ホスホネート等が挙げられ、好ましくはトリフ
ェニルホスフェート、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(
3−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフェニル
)ホスフェート、トリス(2−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−
tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−アミルフェニル)ホ
スフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロ
ヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート
、であり、より好ましくはトリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリ
ス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニ
ル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェートである。
71がホスホン酸エステル構造を有する基であるものとして、
ジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、メチルフェニルフェニ
ルホスホネート、エチルフェニルフェニルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネー
ト、ジメチル−(4−フルオロフェニル)−ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネー
ト、ジエチルベンジルホスホネート、メチルフェニルベンジルホスホネート、エチルフェ
ニルベンジルホスホネート、ジフェニルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオ
ロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート等が挙げ
られ、好ましくはジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメ
チル−(4−フルオロフェニル)-ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチ
ルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル
−(4−フルオロベンジル)ホスホネートであり、より好ましくはジメチルフェニルホス
ホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベ
ンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(
4−フルオロベンジル)ホスホネートである。
また、式(2−7−1)で表される芳香族化合物としては、上記芳香族化合物のフッ素
化体も含まれる。具体的には、
トリフルオロメチルベンゼン、2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フル
オロトルエン、トリフルオロメチルベンゼン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p
−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−
フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル
構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン、2−フルオロアニ
ソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソ
ール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフル
オロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの
部分フッ素化物等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルベンゼン、2−フルオロト
ルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、o−シクロヘキシルフルオロベ
ンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素
化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン
酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン2−フル
オロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、4−トリフ
ルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等であり、よ
り好ましくは2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、等
の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フ
ルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;
トリフルオロメトキシベンゼン、2−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2
,4−ジフルオロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を
有するものの部分フッ素化物等である。
1−2−7−2.式(2−7−2)で表される芳香族化合物
Figure 0006965173
(式中、R11〜R15は、独立して、水素、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換
の炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、R16及びR17は、独立して、炭素数1
以上12以下の炭化水素基であり、R11〜R17のうち少なくとも2つが一緒になって
環を形成していてもよく、ただし、式(2−7−2)は、(A)及び(B):
(A)R11〜R15のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置
換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R11〜R17の炭素数の合計は、3以上20以下である、のうち少なくとも一方
の条件を満たす)
で表される芳香族化合物である。R11〜R17のうち少なくとも2つが一緒になって環
を形成している場合、R11〜R17のうち2つが一緒になって環を形成していることが
好ましい。
16及びR17は、独立して、炭素数1以上12以下の炭化水素基(例えば、アルキ
ル基、アリール基)であり、R16とR17は一緒になって環(例えば、炭化水素基であ
る環式基)を形成していてもよい。初期効率及び溶解性や保存特性向上の観点から、R
及びR17は、好ましくは炭素数1以上12以下の炭化水素基であるか、R16とR
が一緒になって形成した炭化水素基である環式基であり、より好ましくはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基であるか、R16とR17が一緒に
なって形成した炭化水素基である5〜8員の環式基であり、更に好ましくはメチル基、エ
チル基、R16とR17が一緒になって形成したシクロヘキシル基、シクロペンチル基、
であり、最も好ましくはメチル基、エチル基、R16とR17が一緒になって形成したシ
クロヘキシル基である。
11〜R15は、独立して、水素、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素
数1以上20以下の炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基)であ
り、これらのうち2つは一緒になって環(例えば、炭化水素基である環式基)を形成して
いてもよい。初期効率及び溶解性や保存特性向上の観点から、好ましくは水素、フッ素、
非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、より好ましく
は水素、フッ素、非置換もしくはフッ素置換の炭素数1以上10以下の炭化水素基であり
、更に好ましくは水素、フッ素、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert
−ヘキシル基、tert−ヘプチル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ト
リフルオロメチル基、ノナフルオロtert−ブチル基、1−メチル−1−フェニル−エ
チル基、1−エチル−1−フェニル−プロピル基であり、特に好ましくは水素、フッ素、
tert−ブチル基、1−メチル−1−フェニル−エチル基であり、最も好ましくは水素
、tert−ブチル基、1−メチル−1−フェニル−エチル基である。
11〜R15のいずれか1つとR16が一緒になって環(例えば、炭化水素基である
環式基)を形成してもよい。好ましくはR11とR16とが一緒になって環(例えば、炭
化水素基である環式基)を形成している。この場合、R17は、アルキル基であることが
好ましい。R17がメチル基で、R11とR16が一緒になって環を形成した化合物とし
て、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン、2,3−ジヒドロ1,3−ジメチ
ル−1−(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3−フェニル−1H−インダン等が挙
げられる。
式(2−7−2)は、(A)及び(B):
(A)R11〜R15のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置
換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R11〜R17の炭素数の合計は、3以上20以下である、
のうち少なくとも一方の条件を満たす。
式(2−7−2)は、通常の電池動作電圧範囲内における正極上での酸化抑制の点から
、(A)を満たしていることが好ましく、電解液への溶解性の点から、(B)を満たして
いることが好ましい。式(2−7−2)は、(A)と(B)の両方を満たしていてもよい

(A)について、R11〜R15のうち少なくとも1つが、ハロゲン又は非置換もしく
はハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基であれば、他は水素原子であっても
、環を形成していてもよい。電解液への溶解性の観点から、非置換もしくはハロゲン置換
の炭化水素基の炭素数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、更に
好ましくは1以上3以下、更により好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
(B)について、R11〜R17の炭素数の合計は3以上20以下であれば、R11
17のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成していてもよい。R11〜R17
うち少なくとも2つが一緒になって環を形成している場合、炭素数の合計の算出にあたっ
ては、環を形成する炭素のうち、R11〜R17に相当しない炭素(R11〜R15につ
いては、これらが結合しているベンゼン環を構成する炭素、R16及びR17については
、ベンジル位の炭素)はカウントしないこととする。炭素数の合計は、電解液への溶解度
の点から、好ましくは3以上14以下であり、より好ましくは3以上10以下である。例
えば、R17がメチル基で、R11とR16が一緒になって環を形成している化合物とし
て1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン、2,3−ジヒドロ1,3−ジメチル
−1−(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3−フェニル−1H−インダン等が挙げ
られるが、これは(B)の条件を満たす。
式(2−7−2)で表される芳香族化合物としては、以下が挙げられる。
16及びR17が、独立して、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり(ただし、
16及びR17の合計は炭素数3以上20以下である)、R11〜R15が水素である
化合物((B)を満たす)。
2,2−ジフェニルブタン、3,3−ジフェニルペンタン、3,3−ジフェニルヘキサ
ン、4,4−ジフェニルヘプタン、5,5−ジフェニルオクタン、6,6−ジフェニルノ
ナン、1,1−ジフェニル−1,1−ジtert−ブチル−メタン。
Figure 0006965173
16及びR17が一緒になって環を形成しており、R11〜R15が水素である化合
物((B)を満たす)。
1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニルシクロペンタン、1,1−ジ
フェニル−4−メチルシクロヘキサン。
下記の化合物であってもよい(上記例示の化合物と重複する場合があるが、構造式で示
すこととする)。
Figure 0006965173
11〜R15のうち少なくとも1つがハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭
素数1以上20以下の炭化水素基である化合物((A)を満たす)。
1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メ
チル−1−フェニルエチル)−ベンゼン。
下記の化合物であってもよい(上記例示の化合物と重複する場合があるが、構造式で示
すこととする)。
Figure 0006965173
17が炭素数1以上20以下の炭化水素基(例えば、炭素数1以上20以下のアルキ
ル基であり、好ましくはメチル基)であり、R11とR16が一緒になって環を形成して
いる化合物((B)を満たす)。
1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン。
下記の化合物であってもよい(上記例示の化合物と重複する場合があるが、構造式で示
すこととする)。
Figure 0006965173
中でも、初期の負極上での還元性の観点から好ましいのは、
2,2−ジフェニルブタン、3,3−ジフェニルペンタン、1,1−ジフェニル−1,
1−ジtert−ブチル−メタン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェ
ニルシクロペンタン、1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス(
1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニ
ルエチル)−ベンゼン、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンである。
下記の化合物も好ましいものとして挙げられる(上記好ましい化合物と重複する場合が
あるが、構造式で示すこととする)。
Figure 0006965173
より好ましいのは、
2,2−ジフェニルブタン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニル
−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベン
ゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1−フェニル−1
,3,3−トリメチルインダンである。
下記の化合物もより好ましいものとして挙げられる(上記より好ましい化合物と重複す
る場合があるが、構造式で示すこととする)。
Figure 0006965173
更に好ましいのは1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニル−4−メチ
ルシクロヘキサン、1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,
4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1−フェニル−1,3,3−
トリメチルインダンである。
下記の化合物も更に好ましいものとして挙げられる(上記更に好ましい化合物と重複す
る場合があるが、構造式で示すこととする)。
Figure 0006965173
特に好ましいのは1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,3−ビス(1−メチル−1
−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベ
ンゼン、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンであり、下記の構造式で表され
る。
Figure 0006965173
最も好ましくは1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン化合物であり、以下の
構造式で表される。
Figure 0006965173
芳香族化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。非水系電解液全量(1
00質量%)中、芳香族化合物の量(2種以上の場合は合計量)は、0.001質量%以
上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以
上、更に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上であり、また、
10質量%以下であることができ、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以
下、更に好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である。上記範囲内
にあることにより、本発明の効果が発現しやすく、また、電池の抵抗増大を防ぐことがで
きる。
上記式(1)で表される化合物と芳香族化合物(2種以上の場合は合計量)の質量比は
、式(1)で表される化合物:芳香族化合物が、1:100以上であることができ、好ま
しくは10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは25:10
0以上であり、10000:100以下であることができ、好ましくは500:100以
下、より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:100以下、特に好
ましくは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲であれば
、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定かで
はないが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に抑えられ
るためと考えられる。
1−2−8.炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」
と記載する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する
環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の不飽和カーボネートを用いることが
できるが、好ましくは炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートである。なお、芳香
環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。
不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環又は炭素−炭素二
重結合又は炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フ
ェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類、カテコールカー
ボネート類等が挙げられる。
ビニレンカーボネート類としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネー
ト、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−
ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ジビニルビニ
レンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネー
ト、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネー
ト、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニ
レンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート等が挙げられる。
芳香環又は炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエ
チレンカーボネート類の具体例としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニ
ルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−
5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニル
エチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−ビニル−
5−エチニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−エチニルエチレンカーボネート、
フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4−フェニ
ル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−フェニルエチレンカーボネート
、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−
5−アリルエチレンカーボネート等が挙げられる。
中でも、特に併用するのに好ましい不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボ
ネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニル
ビニレンカーボネート、4,5−ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネ
ート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,5−
ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、アリル
エチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリ
ルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチ
レンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニ
ルエチレンカーボネート、4−ビニル−5−エチニルエチレンカーボネートが挙げられる
。また、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボ
ネートは更に安定な界面保護被膜を形成するので好ましく、ビニレンカーボネート、ビニ
ルエチレンカーボネーがより好ましく、ビニレンカーボネートがさらに好ましい。
不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して
製造することが可能である。
不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び
比率で併用してもよい。また、不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本
発明の効果を著しく損なわない限り任意である。不飽和環状カーボネートの配合量は、非
水系電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.0
1質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であ
り、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは
4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、とくに好ましくは2質量%以下である。こ
の範囲内であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく
、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するとい
った事態を回避しやすい。
上記式(1)で表される化合物と炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(2
種以上の場合は合計量)の質量比は、式(1)で表される化合物:炭素−炭素不飽和結合
を有する環状カーボネートが、1:100以上であることができ、好ましくは10:10
0以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは25:100以上であり、1
0000:100以下であることができ、好ましくは500:100以下、より好ましく
は300:100以下、さらに好ましくは100:100以下、特に好ましくは75:1
00以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲であれば、電池特性、特に
耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定かではないが、この比
率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に抑えられるためと考えられ
る。
1−2−9.フッ素非含有カルボン酸エステル
本発明の電解液は、フッ素非含有カルボン酸エステルを含むことができる。本発明の電
解液において、式(1)で表される化合物とフッ素非含有カルボン酸エステルを併用する
ことにより、耐久特性を改善することができる。フッ素非含有カルボン酸エステルは、分
子内にフッ素原子を有さないカルボン酸エステルであれば、特に制限されないが、好まし
くはフッ素非含有の鎖状カルボン酸エステルであり、より好ましくはフッ素非含有の飽和
鎖状カルボン酸エステルである。フッ素非含有の鎖状カルボン酸エステルの総炭素数は、
好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上であり、好ましくは7
以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。
フッ素非含有鎖状カルボン酸エステルとしては、以下が挙げられる。
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢
酸イソブチル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プ
ロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピ
オン酸イソブチル、プロピオン酸−tert−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n
−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル、酪酸−tert−ブ
チル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル
、イソ酪酸n−ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸−tert−ブチル、吉草酸メチ
ル、吉草酸エチル、吉草酸n−プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸n−ブチル、吉草
酸イソブチル、吉草酸−tert−ブチル、ヒドロアンゲリカ酸メチル、ヒドロアンゲリ
カ酸エチル、ヒドロアンゲリカ酸n−プロピル、ヒドロアンゲリカ酸イソプロピル、ヒド
ロアンゲリカ酸n−ブチル、ヒドロアンゲリカ酸イソブチル、ヒドロアンゲリカ酸−te
rt−ブチル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸n−プロピル、イソ吉
草酸イソプロピル、イソ吉草酸n−ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸−ter
t−ブチル、ピバル酸メチル、ピバル酸エチル、ピバル酸n−プロピル、ピバル酸イソプ
ロピル、ピバル酸n−ブチル、ピバル酸イソブチル、ピバル酸−tert−ブチル等の飽
和鎖状カルボン酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロ
ピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリ
ル酸−tert−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−
プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸−tert−ブチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン
酸n−プロピル、クロトン酸イソプロピル、クロトン酸n−ブチル、クロトン酸イソブチ
ル、クロトン酸−tert−ブチル、3−ブテン酸メチル、3−ブテン酸エチル、3−ブ
テン酸n−プロピル、3−ブテン酸イソプロピル、3−ブテン酸n−ブチル、3−ブテン
酸イソブチル、3−ブテン酸−tert−ブチル、4−ペンテン酸メチル、4−ペンテン
酸エチル、4−ペンテン酸n−プロピル、4−ペンテン酸イソプロピル、4−ペンテン酸
n−ブチル、4−ペンテン酸イソブチル、4−ペンテン酸−tert−ブチル、3−ペン
テン酸メチル、3−ペンテン酸エチル、3−ペンテン酸n−プロピル、3−ペンテン酸イ
ソプロピル、3−ペンテン酸n−ブチル、3−ペンテン酸イソブチル、3−ペンテン酸−
tert−ブチル、2−ペンテン酸メチル、2−ペンテン酸エチル、2−ペンテン酸n−
プロピル、2−ペンテン酸イソプロピル、2−ペンテン酸n−ブチル、2−ペンテン酸イ
ソブチル、2−ペンテン酸−tert−ブチル、2−プロピン酸メチル、2−プロピン酸
エチル、2−プロピン酸n−プロピル、2−プロピン酸イソプロピル、2−プロピン酸n
−ブチル、2−プロピン酸イソブチル、2−プロピン酸−tert−ブチル、3−ブチン
酸メチル、3−ブチン酸エチル、3−ブチン酸n−プロピル、3−ブチン酸イソプロピル
、3−ブチン酸n−ブチル、3−ブチン酸イソブチル、3−ブチン酸−tert−ブチル
、2−ブチン酸メチル、2−ブチン酸エチル、2−ブチン酸n−プロピル、2−ブチン酸
イソプロピル、2−ブチン酸n−ブチル、2−ブチン酸イソブチル、2−ブチン酸−te
rt−ブチル、4−ペンチン酸メチル、4−ペンチン酸エチル、4−ペンチン酸n−プロ
ピル、4−ペンチン酸イソプロピル、4−ペンチン酸n−ブチル、4−ペンチン酸イソブ
チル、4−ペンチン酸−tert−ブチル、3−ペンチン酸メチル、3−ペンチン酸エチ
ル、3−ペンチン酸n−プロピル、3−ペンチン酸イソプロピル、3−ペンチン酸n−ブ
チル、3−ペンチン酸イソブチル、3−ペンチン酸−tert−ブチル、2−ペンチン酸
メチル、2−ペンチン酸エチル、2−ペンチン酸n−プロピル、2−ペンチン酸イソプロ
ピル、2−ペンチン酸n−ブチル、2−ペンチン酸イソブチル、2−ペンチン酸−ter
t−ブチル等の不飽和鎖状カルボン酸エステル。
これらのうち、負極での副反応が少ない点から、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プ
ロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−
プロピル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸
n−ブチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸n−プロピル、吉草酸n−ブチル、ピ
バル酸メチル、ピバル酸エチル、ピバル酸n−プロピル、ピバル酸n−ブチルが好ましく
、電解液粘度低下によるイオン伝導度の向上の点から、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n
−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸
n−プロピル、プロピオン酸n−ブチルがより好ましく、プロピオン酸メチル、プロピオ
ン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸n−ブチルが更に好ましく、プロ
ピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピルが特に好ましい。
フッ素非含有カルボン酸エステルは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組
み合わせ及び比率で併用してもよい。
フッ素非含有カルボン酸エステルの量(二種以上の場合は合計量)は、電解液100質
量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より
好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.6
質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下で
、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%
以下である。また、フッ素非含有カルボン酸エステルを非水溶媒として用いる場合の配合
量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上
、更に好ましくは10体積%以上、更により好ましくは20体積%以上であり、また、5
0体積%以下で含有させることができ、より好ましくは45体積%以下、更に好ましくは
40体積%以下である。このような範囲であれば、負極抵抗の増大を抑制し、出力特性、
負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物とフッ素非含有カルボン酸エステルの質量比は、式(1
)で表される化合物:フッ素非含有カルボン酸エステルが、1:100以上であることが
でき、好ましくは10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは
25:100以上であり、10000:100以下であることができ、好ましくは500
:100以下、より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:100以
下、特に好ましくは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範
囲であれば、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理につい
ては定かではないが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限
に抑えられるためと考えられる。
1−2−10.式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物
式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物としては、分子内に式(1)以
外の複数のエーテル結合を有する環状化合物であれば、特に限定されないが、好ましくは
式(2−10)で表される化合物である。式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環
状化合物は、電池の高温保存特性の向上に寄与するものであり、本発明の電解液において
は、式(1)で表される化合物と併用することによって、この電解液を用いた電池におい
て、耐久特性を改善することができる。
Figure 0006965173
(式中、A15〜A20は、独立して、水素原子、フッ素原子又は置換基を有していても
よい炭素数1以上5以下の炭化水素基を表す。n101は1以上4以下の整数であり、n
101が2以上の整数の場合は、複数のA17及びA18は同一であっても異なっていて
もよい。)
尚、A15〜A20から選ばれる2つが互いに結合して環を形成してもよい。この場合
、A17及びA18で環構造を形成することが好ましい。また、A15〜A20の炭素数
の総和が、好ましくは0以上8以下、より好ましくは0以上4以下、更に好ましくは0以
上2以下、特に好ましくは0以上1以下である。
置換基としては、ハロゲン原子、フッ素原子で置換されていてもよい、アルキル基、ア
ルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、そして、シアノ基、イソシアナ
ト基、エーテル基、カーボネート基、カルボニル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニ
ル基、アシルオキシ基、スルホニル基、ホスファントリイル基及びホスホリル基等が挙げ
られる。これらのうち、好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、フッ素原子で置換され
ていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、そして、イソシアナト基、シ
アノ基、エーテル基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基であり、
より好ましくは、フッ素原子で置換されていないアルキル基、シアノ基及びエーテル基で
ある。
式(2−10)中、n101は1以上3以下の整数であることが好ましく、1以上2以
下の整数であることがより好ましく、n101が2であることが更に好ましい。
15〜A20における炭素数1以上5以下の炭化水素基としては、アルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基及びアリール基等の1価の炭化水素基;
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の2価の炭化水素
基;等が挙げられる。これらのうち、アルキル基、アルキレン基が好ましく、アルキル基
がより好ましい。具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチ
ル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−
ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメ
チルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1以上5以下のアルキル基;
ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、
2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニ
ル基、4−ペンテニル基等の炭素数2以上5以下のアルケニル基;
エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基
、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペン
チニル基等の炭素数2以上5以下のアルキニル基;
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の
炭素数1以上5以下のアルキレン基;
ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテ
ニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数2以上5以下のアルケニ
レン基;
エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニ
レン基及び2−ペンチニレン基等の炭素数2以上5以下のアルキニレン基等が挙げられる
。これらのうち、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン
基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、より好ましくはエ
チレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数2以上5以
下のアルキレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメ
チレン基等の炭素数3以上5以下のアルキレン基である。
15〜A20における水素原子、フッ素原子又は炭素数1以上5以下の炭化水素基と
は、水素原子、フッ素原子又は上記置換基と上記炭素数1以上5以下の炭化水素基を組み
合わせた基のことを表し、好ましくは水素原子、置換基を有さない炭素数1以上5以下の
炭化水素基及びアルキレン基の炭素鎖の一部がエーテル基で置換されたエーテル構造を有
するアルキレン基であり、より好ましくは水素原子である。
式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物としては、例えば以下の化合物
を挙げることができる。
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
中でも、
Figure 0006965173
等の化合物が好ましい。
Figure 0006965173
がより好ましい。
式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物は、1種を単独で用いてもよく
、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。式(1)以外の複数のエーテ
ル結合を有する環状化合物の量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、
0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましく
は0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、また、10質量%以下で
あることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましく
は2質量%以下である。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サ
イクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物と式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合
物(2種以上の場合は合計量)の質量比は、式(1)で表される化合物:式(1)以外の
複数のエーテル結合を有する環状化合物が、1:100以上であることができ、好ましく
は10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは25:100以
上であり、10000:100以下であることができ、好ましくは500:100以下、
より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:100以下、特に好まし
くは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲であれば、電
池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定かではな
いが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最小限に抑えられるた
めと考えられる。
1−2−11.イソシアヌル酸骨格を有する化合物
本発明の電解液は、更にイソシアヌル酸骨格を有する化合物を含むことができる。イソ
シアヌル酸骨格を有する化合物は、分子内に少なくとも一つイソシアヌル酸骨格を有して
いる有機化合物であれば、特に制限されない。イソシアヌル酸骨格を有する化合物を含有
する本発明の電解液を用いた電池は、耐久特性を改善することができる。
イソシアヌル酸骨格を有する化合物としては以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0006965173
Figure 0006965173
Figure 0006965173
好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0006965173
Figure 0006965173
更に好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0006965173
特に好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0006965173
最も好ましくは、以下の構造の化合物が挙げられる。
Figure 0006965173
また、これら最も好ましい化合物の中でも、負極被膜形成能の観点から以下の構造の化
合物が好ましい。
Figure 0006965173
イソシアヌル酸骨格を有する化合物に関して、製造方法にも特に制限はなく、公知の方
法を任意に選択して製造することが可能である。
イソシアヌル酸骨格を有する化合物で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、
2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。イソシアヌル酸骨格を有する化
合物の量(2種以上の場合合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上で
あることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更
に好ましくは0.2質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好まし
くは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好
ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。上記範囲内にあると、
還元生成物が負極表面を過剰に覆ってしまうことによる、電極反応の阻害を防ぐ。また、
電極界面での作用がより好適に進行するため、電池特性を最適にすることが可能となる。
上記式(1)で表される化合物とイソシアヌル酸骨格を有する化合物の質量比は、式(
1)で表される化合物:イソシアヌル酸骨格を有する化合物が、1:100以上であるこ
とができ、好ましくは10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好まし
くは25:100以上であり、10000:100以下であることができ、好ましくは5
00:100以下、より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:10
0以下、特に好ましくは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である。こ
の範囲であれば、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理に
ついては定かではないが、この比率で混合させることで、電極上での添加剤の副反応を最
小限に抑えられるためと考えられる。
1−3.電解質
電解質は特に制限なく、電解質として公知のものを任意に用いることができる。リチウ
ム二次電池の場合は、通常リチウム塩が用いられる。具体的には、LiPF、LiBF
4、LiClO、LiAlF、LiSbF、LiTaF、LiWF等の無機リ
チウム塩;LiWOF等のタングステン酸リチウム類;HCOLi、CHCO
i、CHFCOLi、CHFCOLi、CFCOLi、CFCHCO
Li、CFCFCOLi、CFCFCFCOLi、CFCFCF
COLi等のカルボン酸リチウム塩類;FSOLi、CHSOLi、CH
FSOLi、CHFSOLi、CFSOLi、CFCFSOLi、CF
CFCFSOLi、CFCFCFCFSOLi等のスルホン酸リチウ
ム塩類;LiN(FCO)、LiN(FCO)(FSO)、LiN(FSO
LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、LiN(C
、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状
1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CFSO)(C
SO)等のリチウムイミド塩類;LiC(FSO、LiC(CFSO
LiC(CSO等のリチウムメチド塩類;リチウムビス(マロナト)ボレー
ト、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート等のリチウム(マロナト)ボレート塩類;
リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフ
ェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート等のリチウム(マロナト)ホ
スフェート塩類;その他、LiPF(CF、LiPF(C、LiP
(CFSO、LiPF(CSO、LiBFCF、LiB
、LiBF、LiBF(CF、LiBF(C
、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機
リチウム塩類;リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボ
レート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラ
ト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラト
ホスフェート塩類;等が挙げられる。
中でも、LiPF、LiSbF、LiTaF、FSOLi、CFSOLi
、LiN(FSO、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO
、LiN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホ
ニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(
FSO、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiBF
、LiBF、LiPF(CF、LiPF(C3、リチ
ウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジ
フルオロビス(オキサラト)ホスフェート、等が出力特性やハイレート充放電特性、高温
保存特性、サイクル特性等を向上させる効果がある点から好ましい。また、LiPF
FSOLi、LiN(FSO、LiN(CFSO、リチウムジフルオロ
オキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロビス(
オキサラト)ホスフェートがより好ましく、LiPF、FSOLi、LiN(FSO
、リチウムビス(オキサラト)ボレートが出力特性やハイレート充放電特性、高温
保存特性、サイクル特性等をさらに向上させる効果がある点からさらに好ましく、電解質
の耐酸化還元安定性の観点からLiPFが最も好ましい。特に、LiPFは系中で分
解してルイス酸PFを生じ、電解液安定性や電解液物性、電池特性の低下をもたらす。
よって、式(1)で表される化合物と同時に用いることで、ルイス酸起因の悪影響を抑制
しつつ電解質としての優れた特性を発揮することができる。
非水系電解液中に含まれる電解質のモル含有量に対する式(1)で表される化合物のモ
ル含有量の比は、本発明の効果を発現するためには特に制限はないが、通常0.043以
上、好ましくは0.050以上、より好ましくは0.075以上、更に好ましくは0.0
80以上、特に好ましくは0.100以上であり、通常0.935以下であり、好ましく
は0.850以下、より好ましくは0.760以下、更に好ましくは0.300以下、特
に好ましくは0.200以下である。この範囲であれば、電池特性、特に連続充電耐久特
性を著しく向上させることができる。この原理については定かではないが、この比率で混
合させることで、電解質の分解生成物と効率よく錯形成しやすいためと考えられる。なお
、電解質のモル含有量に対する式(1)で表される化合物のモル含有量の比とは、式(1
)で表される化合物のモル含有量を電解質のモル含有量で除した値を表し、電解質一分子
に対する式(1)で表される化合物の分子数を表す指標である。
非水系電解液中のこれらの電解質の濃度は、本発明の効果を損なわない限り、その含有
量は特に制限されないが、電解液の電気伝導率を良好な範囲とし、良好な電池性能を確保
する点から、非水系電解液中のリチウムの総モル濃度は、好ましくは0.25mol/L
以上、より好ましくは0.5mol/L以上、更に好ましくは1.1mol/L以上であ
り、また、好ましくは3.0mol/L以下、より好ましくは2.5mol/L以下、更
に好ましくは2.0mol/L以下である。この範囲であれば、荷電粒子であるリチウム
が少なすぎず、また粘度を適切な範囲とすることができるため、良好な電気伝導度を確保
しやすくなる。
2種以上の電解質を併用する場合、少なくとも1種は、モノフルオロリン酸塩、ジフル
オロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる
塩であることも好まく、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、シュウ酸塩及びフ
ルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる塩であることもより好ましい。これらのうち
リチウム塩が好ましい。モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ
酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる塩は、0.01質量%以上である
ことができ、好ましくは0.1質量%以上であり、また、20質量%以下であることがで
き、好ましくは10質量%以下である。
電解質として、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及
びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる1種以上と、それ以外の塩の1種以上を
含むことが好ましい。それ以外の塩としては、上記で例示したリチウム塩が挙げられ、特
に、LiPF、LiN(FSO)(CFSO)、LiN(CFSO、L
iN(CSO、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミ
ド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO
、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiBFCF、L
iBF、LiPF(CF、LiPF(Cが好ましく、L
iPFが更に好ましい。それ以外の塩は、電解液の電導度と粘度の適切なバランスを確
保する観点から0.01質量%以上であることができ、好ましくは0.1質量%以上であ
り、また、20質量%以下であることができ、好ましくは15質量%以下、より好ましく
は10質量%以下である。
1−3−1.モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩は、それぞれ、分子内に少なくとも1つ
のモノフルオロリン酸又はジフルオロリン酸構造を有する塩であれば、特に制限されない
。本発明の電解液において、上記式(1)で表される化合物とモノフルオロリン酸塩及び
ジフルオロリン酸塩から選ばれる1種以上とを併用することにより、この電解液を用いた
電池において、耐久特性を改善することができる。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩におけるカウンターカチオンは、特に制
限されず、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、NR121
122123124(式中、R121〜R124は、独立して、水素原子又は炭素数
1以上12以下の有機基である)で表されるアンモニウム等が挙げられる。上記アンモニ
ウムのR121〜R124で表わされる炭素数1以上12以下の有機基は特に制限されず
、例えば、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基
で置換されていてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されてい
てもよいアリール基、置換基を有していてもよい窒素原子含有複素環基等が挙げられる。
中でもR121〜R124は、独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は
窒素原子含有複素環基等が好ましい。カウンターカチオンとしては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウムが好ましく、中でもリチウムが好ましい。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩としては、モノフルオロリン酸リチウム
、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸リチ
ウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム等が挙げられ、モノフル
オロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが好ましく、ジフルオロリン酸リチウム
がより好ましい。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以
上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩から選ばれる1種以上の量(2種以上の
場合は合計量)は、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%
以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、特に好まし
くは0.3質量%以上であり、また、5質量%以下であることができ、好ましくは3質量
%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、特に好ましく
は1質量%以下である。この範囲内であると、初期不可逆容量向上の効果が顕著に発現さ
れる。
上記式(1)で表される化合物とモノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩から選
ばれる1種以上(2種以上の場合は合計量)の質量比は、式(1)で表される化合物:モ
ノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩が、1:99〜99:1が好ましく、10:
90〜90:10がより好ましく、20:80〜80:20が特に好ましい。この範囲で
あると、他の電池特性を低下せずに目的である特性を向上させることができる。
1−3−2.ホウ酸塩
ホウ酸塩は、分子内にホウ素原子を少なくとも1つ有している塩であれば、特に制限さ
れない。ただしシュウ酸塩に該当するものは、1−3−2.ホウ酸塩ではなく、後述する
1−3−3.シュウ酸塩に包含されるものとする。本発明の電解液において、式(1)で
表される化合物とホウ酸塩とを併用することによって、この電解液を用いた電池において
、耐久特性を改善することができる。
ホウ酸塩におけるカウンターカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マ
グネシウム、カルシウム、ルビジウム、セシウム、バリウム等が挙げられ、中でもリチウ
ムが好ましい。
ホウ酸塩としては、リチウム塩が好ましく、含ホウ酸リチウム塩も好適に使用すること
ができる。例えばLiBF、LiBFCF、LiBF、LiBF
、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO
、LiBF(CSO等が挙げられる。中でも、LiBFが初期充放
電効率と高温サイクル特性等を向上させる効果がある点からより好ましい。
ホウ酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用
してもよい。
ホウ酸塩の量(2種以上の場合は合計量)は、0.05質量%以上であることができ、
好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3
質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上であり、また、10.0質量%以下である
ことができ、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ま
しくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以下である。この範囲内であると
、電池負極の副反応が抑制され抵抗を上昇させにくい。
上記式(1)で表される化合物とホウ酸塩の質量比は、式(1)で表される化合物:ホ
ウ酸塩が、1:99〜99:1が好ましく、10:90〜90:10がより好ましく、2
0:80〜80:20が特に好ましい。この範囲であると、電池中での正負極上副反応を
抑制し、電池の抵抗を上昇させにくい。
また、電解質としてホウ酸塩とLiPFを用いた場合、非水電解液中のLiPF
モル含有量に対するホウ酸塩のモル含有量の比は、0.001以上12以下が好ましく、
0.01〜1.1がより好ましく、0.01〜1.0が更に好ましく、0.01〜0.7
がより好ましい。この範囲であると、電池中での正負極上副反応を抑制し、電池の充放電
効率が向上する。
1−3−3.シュウ酸塩
シュウ酸塩は、分子内に少なくとも1つのシュウ酸構造を有する化合物であれば、特に
制限されない。本発明の電解液において、式(1)で表される化合物とシュウ酸塩とを併
用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができ
る。
シュウ酸塩としては、式(9)で表される金属塩が好ましい。この塩は、オキサラト錯
体をアニオンとする塩である。
Figure 0006965173
(式中、Mは、周期表における1族、2族及びアルミニウム(Al)からなる群より選
ばれる元素であり、
は、遷移金属、周期表の13族、14族及び15族からなる群より選ばれる元素で
あり、
91は、ハロゲン、炭素数1以上11以下のアルキル基及び炭素数1以上11以下の
ハロゲン置換アルキル基からなる群より選ばれる基であり、
a及びbは正の整数であり、
cは0又は正の整数であり、
dは1〜3の整数である。)
は、本発明の電解液をリチウム二次電池に用いたときの電池特性の点から、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが好ましく、リチウムが特に好ま
しい。
は、リチウム二次電池に用いる場合の電気化学的安定性の点で、ホウ素及びリンが
特に好ましい。
91としては、フッ素、塩素、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタ
フルオロエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ter
t−ブチル基等が挙げられ、フッ素、トリフルオロメチル基が好ましい。
式(9)で表される金属塩としては、以下が挙げられる。
リチウムジフルオロオキサラトボレート及びリチウムビス(オキサラト)ボレート等の
リチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラ
ト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラト
ホスフェート塩類;
これらのうち、リチウムビス(オキサラト)ボレート及びリチウムジフルオロビス(オ
キサラト)ホスフェートが好ましく、リチウムビス(オキサラト)ボレートがより好まし
い。
シュウ酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併
用してもよい。
シュウ酸塩の量(2種以上の場合は合計量)は、0.001質量%以上であることがで
き、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは
0.3質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%
以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質
量%以下である。この範囲にあると、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高
温保存特性等を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物とシュウ酸塩の質量比は、式(1)で表される化合物:
シュウ酸塩が、1:99〜99:1が好ましく、10:90〜90:10がより好ましく
、20:80〜80:20が特に好ましい。この範囲であると、電池の正負極上での副反
応をバランスよく抑制し、電池特性を向上させやすい。
1−3−4.フルオロスルホン酸塩
フルオロスルホン酸塩としては、分子内に少なくとも1つのフルオロスルホン酸構造を
有している塩であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(1)で表
される化合物とフルオロスルホン酸塩とを併用することにより、この電解液を用いた電池
において、耐久特性を改善することができる。
フルオロスルホン酸塩におけるカウンターカチオンは、特に制限されず、リチウム、ナ
トリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及び
、NR131132133134(式中、R131〜R134は、各々独立に、水
素原子又は炭素数1以上12以下の有機基である)で表されるアンモニウム等が挙げられ
る。R131〜R134に関する例示及び好ましい例については、上記1−2−2におけ
るR131〜R134が適用される。カウンターカチオンとしては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウムが好ましく、中でもリチウムが好ましい。
フルオロスルホン酸塩としては、フルオロスルホン酸リチウム、フルオロスルホン酸ナ
トリウム、フルオロスルホン酸カリウム、フルオロスルホン酸ルビジウム、フルオロスル
ホン酸セシウム等が挙げられ、フルオロスルホン酸リチウムが好ましい。リチウムビス(
フルオロスルホニル)イミド等のフルオロスルホン酸構造を有するイミド塩もフルオロス
ルホン酸塩として使用することができる。
フルオロスルホン酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及
び比率で併用してもよい。
フルオロスルホン酸塩の含有量(2種以上の場合は合計量)は、0.05質量%以上で
あることができ、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に
好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上であり、また、10質量
%以下であることができ、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に
好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。この範囲内であると、電
池中での副反応が少なく、抵抗を上昇させにくい。
上記式(1)で表される化合物とフルオロスルホン酸塩の質量比は、式(1)で表され
る化合物:フルオロスルホン酸塩が、1:99〜99:1が好ましく、10:90〜90
:10がより好ましく、20:80〜80:20が特に好ましい。この範囲であると、電
池中での副反応を適切に抑制し、高温耐久特性を低下させにくい。
1−4.非水溶媒
本発明における非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能
である。具体的には、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、
環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル系化合物、スルホン系化合物等が挙げられる

また、本明細書において、非水溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカー
ボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
1−4−1.フッ素原子を有していない環状カーボネート
フッ素原子を有していない環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を
有する環状カーボネートが挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレン基を有する、フッ素原子を有していない環状カーボネートの
具体的な例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボ
ネートが挙げられる。中でも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがリチウ
ムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
フッ素原子を有していない環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上
を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
フッ素原子を有していない環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効
果を著しく損なわない限り任意であるが、1種を単独で用いる場合の配合量は、非水溶媒
100体積%中、5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲とする
ことで、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解
液二次電池の大電流放電特性、負極に対する安定性、サイクル特性を良好な範囲としやす
くなる。また、95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、更に好ましくは85体
積%以下である。この範囲とすることで、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン
伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液二次電池の負荷特性を良好な範囲としやす
くなる。
1−4−2.鎖状カーボネート
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7の鎖状カーボネートが好ましく、炭素数3〜
7のジアルキルカーボネートがより好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−
プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボ
ネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメ
チルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、tert−ブチルメチルカーボネー
ト、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエ
チルカーボネート、tert−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネー
ト、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチ
ルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネートが好ましく、特に好ましくはジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」
と記載する場合がある)も好適に用いることができる。
フッ素化鎖状カーボネートが有するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されな
いが、通常6以下であり、好ましくは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数の
フッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素
に結合していてもよい。 フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボ
ネート及びその誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化ジ
エチルカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体としては、フルオロメチルメチルカーボ
ネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート
、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、ビス
(トリフルオロメチル)カーボネート等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体としては、2−フルオロエチルメチ
ルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチル
カーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチ
ルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフル
オロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネ
ート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体としては、エチル−(2−フルオロエチ
ル)カーボネート、エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フ
ルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネー
ト、2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジ
フルオロエチル)カーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチ
ルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカー
ボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。
鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比
率で併用してもよい。鎖状カーボネートの配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましく
は5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上である
。このように下限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン
伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲と
しやすくなる。また、鎖状カーボネートは、非水溶媒100体積%中、90体積%以下、
より好ましくは85体積%以下であることが好ましい。このように上限を設定することに
より、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液
二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
1−4−3.環状カルボン酸エステル
環状カルボン酸エステルとしては、炭素数が3〜12のものが好ましい。
具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、
イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイ
オン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カルボン酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ
及び比率で併用してもよい。
環状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体
積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲であれば、非水系電解液の電
気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また
、環状カルボン酸エステルの配合量は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40
体積%以下である。このように上限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な
範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池
の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
1−4−4.エーテル系化合物
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていてもよい炭素数3〜1
0の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、
ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチ
ル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロ
エチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,
1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−
トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフル
オロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラ
フルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n
−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、
エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,
3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロ
ピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2
−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フル
オロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フル
オロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2
,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル
)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3
,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル
)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフ
ルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,
1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラ
フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラ
フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2
,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エー
テル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオ
ロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フル
オロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プ
ロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル
)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)
エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル
)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピ
ル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n
−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3
,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−
プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3
−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル
)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2
,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n
−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エー
テル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ
(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタ
ンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エ
トキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ
)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フル
オロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ
)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタ
ンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラ
フルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2
−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、
メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エト
キシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)
エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオ
ロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)
エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン
、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキ
シ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラ
フルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレング
リコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられ
る。
炭素数3〜6の環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロ
フラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等、及びこれらのフッ素化
化合物が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレング
リコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解
離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与え
ることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
エーテル系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比
率で併用してもよい。
エーテル系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以
上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上、また、好ましくは
70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、更に好ましくは50体積%以下である
。この範囲であれば、鎖状エーテルのリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来する
イオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質が炭素質材料の場合、鎖状エーテル
がリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。
1−4−5.スルホン系化合物
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状ス
ルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
炭素数3〜6の環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホ
ン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;
ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘ
キサメチレンジスルホン類等が挙げられる。
中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホ
ン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラ
メチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも
含めて「スルホラン類」と記載する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては
、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキ
ル基で置換されたものが好ましい。
中でも、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−フルオロスルホラン、3
−フルオロスルホラン、2,2−ジフルオロスルホラン、2,3−ジフルオロスルホラン
、2,4−ジフルオロスルホラン、2,5−ジフルオロスルホラン、3,4−ジフルオロ
スルホラン、2−フルオロ−3−メチルスルホラン、2−フルオロ−2−メチルスルホラ
ン、3−フルオロ−3−メチルスルホラン、3−フルオロ−2−メチルスルホラン、4−
フルオロ−3−メチルスルホラン、4−フルオロ−2−メチルスルホラン、5−フルオロ
−3−メチルスルホラン、5−フルオロ−2−メチルスルホラン、2−フルオロメチルス
ルホラン、3−フルオロメチルスルホラン、2−ジフルオロメチルスルホラン、3−ジフ
ルオロメチルスルホラン、2−トリフルオロメチルスルホラン、3−トリフルオロメチル
スルホラン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−フルオロ−3
−(トリフルオロメチル)スルホラン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スル
ホラン、5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン等が、イオン伝導度が高
く、入出力特性が高い点で好ましい。
また、炭素数2〜6の鎖状スルホンとしては、
ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルス
ルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチル
スルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルス
ルホン、n−ブチルエチルスルホン、tert−ブチルメチルスルホン、tert−ブチ
ルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホ
ン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオ
ロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメ
チルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、
エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフ
ルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル
)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、
ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン
、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリ
フルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ト
リフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン
、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホ
ン、トリフルオロエチル−tert−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチ
ルスルホン、ペンタフルオロエチル−tert−ブチルスルホン等が挙げられる。
中でも、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピル
メチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、tert−
ブチルメチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルス
ルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフ
ルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチ
ルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホ
ン、エチルトリフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペ
ンタフルオロエチルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオ
ロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオ
ロエチル−tert−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−n−ブチルスルホン、トリ
フルオロメチル−tert−ブチルスルホン等はイオン伝導度が高く、入出力特性が高い
点で好ましい。
スルホン系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比
率で併用してもよい。
スルホン系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積
%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは5体積%以上であり、また、好ま
しくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは30体積%以下
である。この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやす
く、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することがで
き、非水系電解液二次電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下
するといった事態を回避しやすい。
1−4−6.非水溶媒の組成
本発明の非水溶媒として、上記例示した非水溶媒1種を単独で用いてもよく、2種以上
を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、非水溶媒の好ましい組合せの1つとして、フッ素原子を有していない環状カー
ボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せが挙げられる。
中でも、非水溶媒に占めるフッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネ
ートとの合計が、好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、更に好ま
しくは90体積%以上であり、かつ環状カーボネートと鎖状カーボネートとの合計に対す
るフッ素原子を有していない環状カーボネートの割合が好ましくは5体積%以上、より好
ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上であり、また、好ましくは50
体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは30体積%以下、特に好ま
しくは25体積%以下である。
これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特
性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良く
なることがある。
例えば、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組
み合わせとしては、
エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカー
ボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートと
ジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボ
ネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエ
チルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカー
ボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートとの組み合わせの中で
、鎖状カーボネートとして非対称鎖状アルキルカーボネート類を含有するものが更に好ま
しく、特に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート
、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレン
カーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネー
トといったエチレンカーボネートと対称鎖状カーボネート類と非対称鎖状カーボネート類
を含有するものが、サイクル特性と大電流放電特性のバランスが良いので好ましい。
中でも、非対称鎖状カーボネート類がエチルメチルカーボネートであるのが好ましく、
又、鎖状カーボネートのアルキル基は炭素数1〜2が好ましい。
これらのエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレ
ンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカー
ボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50
:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、好ましく
は0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは2体積%以上、また
、好ましくは20体積%以下、より好ましくは8体積%以下、更に好ましくは5体積%以
下である。
この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートと鎖状カ
ーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れることがあるので
好ましい。
非水溶媒中にジメチルカーボネートを含有する場合は、全非水溶媒中に占めるジメチル
カーボネートの割合が、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更
に好ましくは25体積%以上、特に好ましくは30体積%以上であり、また、好ましくは
90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは75体積%以下、特に
好ましくは、70体積%以下となる範囲で含有させると、電池の負荷特性が向上すること
がある。
中でも、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを含有し、ジメチルカーボ
ネートの含有割合をエチルメチルカーボネートの含有割合よりも多くすることにより、電
解液の電気伝導度を維持できながら、高温保存後の電池特性が向上することがあり好まし
い。
全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する体積
比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、電解液の電気伝導度の向上
と保存後の電池特性を向上させる点で、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好まし
く、2.5以上が更に好ましい。上記体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカー
ボネート)は、低温での電池特性を向上の点で、40以下が好ましく、20以下がより好
ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。
上記フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合
せにおいては、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、環状エーテル類
、鎖状エーテル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒、芳香族含フッ素溶媒等、他の溶媒を
混合してもよい。
1−5.助剤
本発明の電解液電池において、上記化合物以外に、目的に応じて適宜助剤を用いてもよ
い。助剤としては、以下に示されるその他の助剤等が挙げられる。
1−5−1.その他の助剤
本発明の電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤として
は、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチ
ル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水
マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール
酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及び
フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;3,9−ジビニル−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;N,N−ジメチルメタンス
ルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;亜リン酸トリ
メチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエ
チル、リン酸トリフェニル、ジメチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル
、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド等の含燐化合物;1−
メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリ
ジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含
窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物
2−プロピニル2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、1−メチル−2−プロピニ
ル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、1,1−ジメチル−2−プロピニル 2
−(ジエトキシホスホリル)アセテート、ペンタフルオロフェニルメタンスルホネート、
ペンタフルオロフェニルトリフルオロメタンスルホネート、酢酸ペンタフルオロフェニル
、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル、メチルペンタフルオロフェニルカーボネー
ト、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、2−(メタンスルホ
ニルオキシ)プロピオン酸2−メチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2
−エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−プロピニル、メタンスルホニルオキシ酢酸2
−メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−エチル、リチウム エチル メチルオキシカ
ルボニルホスホネート、リチウム エチル エチルオキシカルボニルホスホネート、リチ
ウム エチル 2−プロピニルオキシカルボニルホスホネート、リチウム エチル 1−
メチル−2−プロピニルオキシカルボニルホスホネート、リチウム エチル 1,1−ジ
メチル−2−プロピニルオキシカルボニルホスホネート、リチウム メチル スルフェー
ト、リチウム エチル スルフェート、リチウム 2−プロピニル スルフェート、リチ
ウム 1−メチル−2−プロピニル スルフェート、リチウム 1,1−ジメチル−2−
プロピニル スルフェート、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチル スルフェート
、メチル トリメチルシリル スルフェート、エチル トリメチルシリル スルフェート
、2−プロピニル トリメチルシリル スルフェート、ジリチウム エチレン ジスルフ
ェート、2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、2−ブチン−1,4−ジ
イル ジエタンスルホネート、2−ブチン−1,4−ジイル ジホルメート、2−ブチン
−1,4−ジイル ジアセテート、2−ブチン−1,4−ジイル ジプロピオネート、4
−ヘキサジイン−1,6−ジイル ジメタンスルホネート、2−プロピニル メタンスル
ホネート、1−メチル−2−プロピニル メタンスルホネート、1,1−ジメチル−2−
プロピニル メタンスルホネート、2−プロピニル エタンスルホネート、2−プロピニ
ル ビニルスルホネート、メチル 2−プロピニル カーボネート、エチル 2−プロピ
ニル カーボネート、ビス(2−プロピニル) カーボネート、メチル 2−プロピニル
オギザレート、エチル 2−プロピニル オギザレート、ビス(2−プロピニル) オ
ギザレート、2−プロピニル アセテート、2−プロピニル ホルメート、2−プロピニ
ル メタクリレート、ジ(2−プロピニル) グルタレート、2,2−ジオキシド−1,
2−オキサチオラン−4−イル アセテート、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオ
ラン−4−イル プロピオネート、5−メチル−1,2−オキサチオラン−4−オン 2
,2−ジオキシド、5、5−ジメチル−1,2−オキサチオラン−4−オン 2,2−ジ
オキシド、2−イソシアナトエチル アクリレート、2−イソシアナトエチル メタクリ
レート、2−イソシアナトエチル クロトネート、2−(2−イソシアナトエトキシ)エ
チル アクリレート、2−(2−イソシアナトエトキシ)エチル メタクリレート、2−
(2−イソシアナトエトキシ)エチル クロトネート、2−アリル無水こはく酸、2−(
1−ペンテン−3−イル)無水こはく酸、2−(1−ヘキセン−3−イル)無水こはく酸
、2−(1−ヘプテン−3−イル)無水こはく酸、2−(1−オクテン−3−イル)無水
こはく酸、2−(1−ノネン−3−イル)無水こはく酸、2−(3−ブテン−2−イル)
無水こはく酸、2−(2−メチルアリル)無水こはく酸、2−(3−メチル−3−ブテン
−2−イル)無水こはく酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を
併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイ
クル特性を向上させることができる。
その他の助剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意
である。その他の助剤は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以
上であり、また、5質量%以下である。この範囲であれば、その他助剤の効果が十分に発
現させやすく、高負荷放電特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。
その他の助剤の配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量
%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である

上述の非水系電解液は、金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える蓄電デバ
イス用に用いられるものであり、蓄電デバイスの詳細については後述するが、非水系電解
液二次電池用として特に有用である。
<2.非水系電解液を用いた蓄電デバイス>
本発明の非水系電解液を用いた蓄電デバイスは、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負
極及び正極、並びに電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液を具備し、該非水系電解液が
電解質及び非水溶媒とともに、前述の式(1)で表される化合物を含有することを特徴と
する。
本発明の非水系電解液を用いた蓄電デバイスは、非水系電解液二次電池、リチウム電池
、多価カチオン電池、金属空気二次電池、上記以外のs-ブロック金属を用いた二次電池、
リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタが好ましく、リチウム電池とリチウム
イオンキャパシタがより好ましく、非水系電解液二次電池、リチウム電池が更に好ましい

尚、これらの蓄電デバイスに用いられる非水系電解液は、高分子やフィラー等で疑似的
に固体化された、所謂ゲル電解質であることも好ましい。また、本発明のリチウム塩は固
体電解質の電解質塩としても使用することができる。
<2−1.リチウム電池>
本発明の非水系電解液を用いたリチウム電池は、集電体及び該集電体上に設けられた正
極活物質層を有する正極と、集電体及び該集電体上に設けられた負極活物質層を有しかつ
イオンを吸蔵及び放出し得る負極と、上述した本発明の非水系電解液とを備えるものであ
る。尚、本発明におけるリチウム電池とは、リチウム一次電池とリチウム二次電池の総称
である。
<2−1−1.電池構成>
本発明のリチウム電池は、上述した本発明の非水系電解液以外の構成については、従来
公知のリチウム電池と同様である。通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔
膜(セパレータ)を介して正極と負極とが積層され、これらがケース(外装体)に収納さ
れた形態を有する。従って、本発明のリチウム電池の形状は特に制限されるものではなく
、円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
2−1−2.非水系電解液
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を
逸脱しない範囲において、本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を配合し
て用いることも可能である。
2−1−3.負極
負極は、集電体上に負極活物質層を有するものであり、負極活物質層は負極活物質を含
有する。以下、負極活物質について述べる。
リチウム一次電池に用いられる負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを放
出可能なものであれば特に制限はない。その具体例としては金属リチウムが挙げられる。
リチウム二次電池に用いられる負極活物質としては、電気化学的に金属イオン(例えば
、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては
、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは
1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
<負極活物質>
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が
挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質及び人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理
した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ
/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性を有する炭素質からなり、かつ
/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい
。また、(1)〜(4)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の
組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記(2)の人造炭素質物質及び人造黒鉛質物質としては、天然黒鉛、石炭系コークス
、石油系コークス、石炭系ピッチ、石油系ピッチ及びこれらピッチを酸化処理したもの、
ニードルコークス、ピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラ
ック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等の有機物の熱分解物、炭化可能な有機物
及びこれらの炭化物、又は炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレン、キノリン
、n−へキサン等の低分子有機溶媒に溶解させた溶液及びこれらの炭化物等が挙げられる
負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば
、リチウム単体、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化
物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよく、特
に制限されない。リチウム合金を形成する単体金属及び合金としては、13族及び14族
の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料であることが好ましく、より好ましく
はアルミニウム、ケイ素及びスズ(以下、「特定金属元素」と略記する場合がある)の単
体金属及びこれら原子を含む合金又は化合物である。これらは、1種を単独で用いてもよ
く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
特定金属元素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する負極活物質としては、いずれ
か1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素からなる合金、1種又は2種
以上の特定金属元素とその他の1種又は2種以上の金属元素とからなる合金、ならびに、
1種又は2種以上の特定金属元素を含有する化合物、及びその化合物の酸化物、炭化物、
窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の複合化合物が挙げられる。負極活物質と
してこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能であ
る。
また、これらの複合化合物が、金属単体、合金又は非金属元素等の数種の元素と複雑に
結合した化合物も挙げられる。具体的には、例えばケイ素やスズでは、これらの元素と負
極として動作しない金属との合金を用いることができる。例えば、スズの場合、スズとケ
イ素以外で負極として作用する金属と、更に負極として動作しない金属と、非金属元素と
の組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。
これらの負極活物質の中でも、電池にしたときに単位質量当りの容量が大きいことから
、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素の合金、特定金属元
素の酸化物、炭化物、窒化物等が好ましく、特に、ケイ素及び/又はスズの金属単体、合
金、酸化物や炭化物、窒化物等が、単位質量当りの容量及び環境負荷の観点から好ましい
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸
蔵・放出可能であれば、特に制限されないが、高電流密度充放電特性の点からチタン及び
リチウムを含有する材料が好ましく、より好ましくはチタンを含むリチウム含有複合金属
酸化物材料が好ましく、更にリチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複
合酸化物」と略記する場合がある)である。即ちスピネル構造を有するリチウムチタン複
合酸化物を、非水系電解液二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大き
く低減するので特に好ましい。
また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンが、他の金属元素、例えば、Na
、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より
選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
上記金属酸化物が、式(A)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、式(A)中
、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイ
オンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
LiTi (A)
[式(A)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Z
n及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
上記の式(A)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
上記化合物の特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3、(
b)ではLiTi、(c)ではLi4/5Ti11/5である。また、Z≠
0の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3が好ましいものとし
て挙げられる。
<炭素質材料の物性>
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ま
しい。
(X線パラメータ)
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が
、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0
.350nm以下が好ましく、0.345nm以下が更に好ましい。また、学振法による
X線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好
ましく、中でも1.5nm以上であることが更に好ましい。
(体積基準平均粒径)
炭素質材料の質量基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均
粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上
が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μ
m以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μ
m以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径が上記範囲を下回ると、不可逆容量が増大して、初期の電池容量の損
失を招くことになる場合がある。また、上記範囲を上回ると、塗布により電極を作製する
際に、不均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましくない場合がある。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタン
モノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー
回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。
(ラマンR値、ラマン半値幅)
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定
した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上が更に好
ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下が更に好ましく、
0.5以下が特に好ましい。
また、炭素質材料の1580cm−1付近のラマン半値幅は特に制限されないが、通常
10cm−1以上であり、15cm−1以上が好ましく、また、通常100cm−1以下
であり、80cm−1以下が好ましく、60cm−1以下が更に好ましく、40cm−1
以下が特に好ましい。
ラマンR値及びラマン半値幅は、炭素質材料表面の結晶性を示す指標であるが、炭素質
材料は、化学的安定性の観点から適度な結晶性が有し、かつ充放電によってLiが入り込
む層間のサイトを消失しない、即ち充電受入性が低下しない程度の結晶性であることが好
ましい。なお、集電体に塗布した後のプレスによって負極を高密度化する場合には、電極
板と平行方向に結晶が配向しやすくなるため、それを考慮することが好ましい。ラマンR
値又はラマン半値幅が上記範囲であると、負極表面に好適な被膜を形成して保存特性やサ
イクル特性、負荷特性を向上させることができるとともに、非水系電解液との反応に伴う
効率の低下やガス発生を抑制することができる。
ラマンスペクトルの測定は、ラマン分光器(日本分光社製ラマン分光器)を用いて、試
料を測定セル内へ自然落下させて充填し、セル内のサンプル表面にアルゴンイオンレーザ
ー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させることにより行なう。得
られるラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1
360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA
)を算出する。
また、上記のラマン測定条件は、次のとおりである。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
(BET比表面積)
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常
0.1m・g−1以上であり、0.7m・g−1以上が好ましく、1.0m・g
以上が更に好ましく、1.5m・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m
・g−1以下であり、25m・g−1以下が好ましく、15m・g−1以下が更に好
ましく、10m・g−1以下が特に好ましい。
BET比表面積の値が上記範囲であると、電極表面へのリチウムの析出を抑制すること
ができる一方、非水系電解液との反応によるガス発生を抑制することができる。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用
いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対
する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用い
て、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。
(円形度)
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ま
しい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/
(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、ま
た、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、
0.85以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円
形度が大きいほど、充填性が向上し、粒子間の抵抗を抑えることができるため、高電流密
度充放電特性は向上する。従って、円形度が上記範囲のように高いほど好ましい。
円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA)を用いて行う
。試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウ
レートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60
Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が3〜40μmの
範囲の粒子について測定する。
円形度を向上させる方法は、特に制限されないが、球形化処理を施して球形にしたもの
が、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うので好ましい。球形化処理の例としては
、せん断力、圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子を
バインダーもしくは、粒子自身の有する付着力によって造粒する機械的・物理的処理方法
等が挙げられる。
(タップ密度)
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3
以上が好ましく、0.7g・cm−3以上が更に好ましく、1g・cm−3以上が特に好
ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく
、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が上記範囲であると、電池容量を
確保することができるとともに、粒子間の抵抗の増大を抑制することができる。
タップ密度の測定は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセ
ルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セ
イシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを100
0回行なって、その時の質量と試料の質量からタップ密度を算出する。
(配向比)
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.0
15以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲であると
、優れた高密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の上限は、炭素質材
料の配向比の理論上限値である。
配向比は、試料を加圧成型してからX線回折により測定する。試料0.47gを直径1
7mmの成型機に充填し58.8MN・m−2で圧縮して得た成型体を、粘土を用いて測
定用試料ホルダーの面と同一面になるようにセットしてX線回折を測定する。得られた炭
素の(110)回折と(004)回折のピーク強度から、(110)回折ピーク強度/(
004)回折ピーク強度で表わされる比を算出する。
X線回折測定条件は次のとおりである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
(アスペクト比(粉))
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ま
しく、5以下が更に好ましい。上記範囲であると、極板化時のスジ引きを抑制し、更に均
一な塗布が可能となるため、優れた高電流密度充放電特性を確保することができる。なお
、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
アスペクト比の測定は、炭素質材料の粒子を走査型電子顕微鏡で拡大観察して行う。厚
さ50μm以下の金属の端面に固定した任意の50個の黒鉛粒子を選択し、それぞれにつ
いて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、3次元的に観察した時の炭素質
材料粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bを測定し、A/Bの平均値
を求める。
<負極の構成と作製法>
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いるこ
とができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材
、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることに
よって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、
上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
(集電体)
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負
極の集電体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等
の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属
コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げら
れる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法
による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることがで
きる。
集電体の厚さは、電池容量の確保、取扱い性の観点から、通常1μm以上、好ましくは
5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
(集電体と負極活物質層との厚さの比)
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の
片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以
下が更に好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上
が更に好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲
であると、電池容量を確保することができるとともに、高電流密度充放電時における集電
体の発熱を抑制することができる。
(結着剤)
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に
対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
メチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース
等の樹脂系高分子;SBR(スチレンブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレン
ゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素
添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン
・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又
はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポ
リブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレ
フィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチ
レン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体
等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有す
る高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組
み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質に対するバインダーの割合は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%
以上が更に好ましく、0.6質量%以上が特に好ましく、また、20質量%以下が好まし
く、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、8質量%以下が特
に好ましい。負極活物質に対するバインダーの割合が、上記範囲であると、電池容量と負
極電極の強度を十分に確保することができる。
特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に
対するバインダーの割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく
、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好
ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素
系高分子を主要成分に含有する場合には負極活物質に対する割合は、通常1質量%以上で
あり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、通常15質量%以
下であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
(スラリー形成溶媒)
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、ならびに必要に応
じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種
類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN−メチルピロ
リドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン
、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジ
メチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジ
エチルエーテル、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キ
シレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤等を含有させ、SBR等のラテック
スを用いてスラリー化することが好ましい。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いて
も、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(増粘剤)
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に
制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロ
キシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン
酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いて
も、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に増粘剤を用いる場合には、負極活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%
以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通
常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。負極活
物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲であると、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制で
きるとともに、良好な塗布性を確保することができる。
(電極密度)
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している
負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好
ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ま
しく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下が更に好ましく
、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が
、上記範囲であると、負極活物質粒子の破壊を防止して、初期不可逆容量の増加や、集電
体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化
を抑制することができる一方、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。
(負極板の厚さ)
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されない
が、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μ
m以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μ
m以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
(負極板の表面被覆)
また、上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい
。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム
、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の
酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシ
ウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
等の炭酸塩等が挙げられる。
2−1−4.正極
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
リチウム一次電池に用いられる負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸
蔵可能なものであれば特に制限はない。その具体例としてはフッ化黒鉛、二酸化マンガン
、塩化チオニル、二硫化鉄、酸化銅が挙げられる。
リチウム二次電池に用いられる正極活物質としては、電気化学的に金属イオン(例えば
、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチ
ウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム
遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO等のリチウム・コバルト複合酸
化物、LiNiO等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO、LiMn
、LiMnO等のリチウム・マンガン複合酸化物、LiNi1/3Mn1/3Co
/3、LiNi0.5Mn0.3Co0.2等のリチウム・ニッケル・マンガン・コバル
ト複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部を
Na、K、B、F、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn
、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、W等の他の元素で置換したもの等が挙げ
られる。置換されたものとしては、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85
0.10Al0.05、LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiN
0.45Co0.10Al0.45、LiMn1.8Al0.2、LiMn
.5Ni0.5等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe
、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiFePO、LiFe(P
、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、こ
れらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V
、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等
の他の元素で置換したもの等が挙げられる。
また、正極活物質にリン酸リチウムを含ませると、連続充電特性が向上するので好まし
い。リン酸リチウムの使用に制限はないが、上記の正極活物質とリン酸リチウムを混合し
て用いることが好ましい。使用するリン酸リチウムの量は上記正極活物質とリン酸リチウ
ムの合計に対し、下限が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以
上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、上限が、好ましくは10質量%以下、より
好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
(表面被覆)
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いても
よい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス
等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カ
ルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加、
乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加
後、加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等に
より該正極活物質表面に付着させることができる。なお、炭素を付着させる場合には、炭
素質を、例えば、活性炭等の形で後から機械的に付着させる方法も用いることもできる。
表面付着物質の量としては、該正極活物質に対して質量で、下限として好ましくは0.
1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、上限とし
て、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下で用い
られる。表面付着物質により、正極活物質表面での電解液の酸化反応を抑制することがで
き、電池寿命を向上させることができるが、その付着量が少なすぎる場合その効果は十分
に発現せず、多すぎる場合には、リチウムイオンの出入りを阻害するため抵抗が増加する
場合がある。
本発明においては、正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものも
「正極活物質」ともいう。
(形状)
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状
、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成してい
てもよい。
(タップ密度)
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm以上、より好ましくは0.8
g/cm以上、更に好ましくは1.0g/cm以上である。該正極活物質のタップ密
度が上記範囲であると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量及び導電材や結着剤の必要
量を抑えることができ、結果正極活物質の充填率及び電池容量を確保することができる。
タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成する
ことができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、好ましくは
4.0g/cm以下、より好ましくは3.7g/cm以下、更に好ましくは3.5g
/cm以下である。上記範囲であると負荷特性の低下を抑制することができる。
なお、本発明では、タップ密度は、正極活物質粉体5〜10gを10mlのガラス製メ
スシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タ
ップ密度)g/ccとして求める。
(メジアン径d50)
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場
合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に
好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、上限は、好ましくは
30μm以下、より好ましくは27μm以下、更に好ましくは25μm以下、最も好まし
くは22μm以下である。上記範囲であると、高タップ密度品が得られ、電池性能の低下
を抑制できる一方、電池の正極作製、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリ
ー化して薄膜状に塗布する際に、スジ引き等の問題を防止することができる。ここで、異
なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種以上混合することで、正極作製時の充填
性を更に向上させることができる。
なお、本発明では、メジアン径d50は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装
置によって測定される。粒度分布計としてHORIBA社製LA−920を用いる場合、
測定の際に用いる分散媒として、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い
、5分間の超音波分散後に測定屈折率1.24を設定して測定される。
(平均一次粒子径)
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径
としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましく
は0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、
更に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記範囲であると、粉体
充填性及び比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制することができる一方、適度な結晶
性が得られることによって、充放電の可逆性を確保することができる。
なお、本発明では、一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定
される。具体的には、10000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の
左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値を
とることにより求められる。
(BET比表面積)
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.
2m/g以上、更に好ましくは0.3m/g以上であり、上限は50m/g以下、
好ましくは40m/g以下、更に好ましくは30m/g以下である。BET比表面積
が上記範囲であると、電池性能を確保できるとともに、正極活性物質の塗布性を良好に保
つことができる。
なお、本発明では、BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測
定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、
大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合
ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
(正極活物質の製造法)
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。
特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷
移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節
して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、LiCO
、LiNO等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
正極の製造のために、上記の正極活物質を単独で用いてもよく、異なる組成の1種以上
を、任意の組み合わせ又は比率で併用してもよい。この場合の好ましい組み合わせとして
は、LiCoOとLiNi0.33Co0.33Mn0.33等のLiMn
若しくはこのMnの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせ、あるいは、L
iCoO若しくはこのCoの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせが挙
げられる。
<正極の構成と作製法>
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤と
を含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用
いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、ならびに
必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧
着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正
極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることによ
り正極を得ることができる。
正極活物質の、正極活物質層中の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましく
は82質量%以上、特に好ましくは84質量%以上である。また上限は、好ましくは99
質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。上記範囲であると、正極活物質層中
の正極活物質の電気容量を確保できるとともに、正極の強度を保つことができる。塗布、
乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプ
レス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、下限
として好ましくは1.5g/cm以上、より好ましくは2g/cm、更に好ましくは
2.2g/cm以上であり、上限としては、好ましくは5g/cm以下、より好まし
くは4.5g/cm以下、更に好ましくは4g/cm以下の範囲である。上記範囲で
あると、良好な充放電特性が得られるとともに、電気抵抗の増大を抑制することができる
(導電材)
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニ
ッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラッ
ク等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる
。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で
併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0
.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下
、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる
。上記範囲であると、十分な導電性と電池容量を確保することができる。
(結着剤)
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極
製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリ
レート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分
子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム
)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム
状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EP
DM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン
・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添
加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン
、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合
体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチ
レン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体
等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有す
る高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2
種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、
更に好ましくは1.5質量%以上であり、上限は、通常80質量%以下、好ましくは60
質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。結
着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サ
イクル特性等の電池性能を悪化させてしまう場合がある。一方で、高すぎると、電池容量
や導電性の低下につながる場合がある。
(スラリー形成溶媒)
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤及び必要に応じ
て使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限
はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系媒体としては、水、アルコ
ールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素
類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン
、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N
−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド
、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミ
ド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
特に水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のラテ
ックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製す
るために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチ
ルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポ
リビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙
げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併
用してもよい。更に増粘剤を添加する場合には、活物質に対する増粘剤の割合は、0.1
質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、ま
た、上限としては5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下
の範囲である。上記範囲であると、良好な塗布性が得られるとともに、電池容量の低下や
抵抗の増大を抑制することができる。
(集電体)
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。
具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の
金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材
料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金
属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素材料の場合
、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。な
お、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。薄膜の厚さは任意であるが、集電体として
の強度及び取扱い性の観点から、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましく
は5μm以上、また上限は、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましく
は50μm以下である。
また、集電体の表面に導電助剤が塗布されていることも、集電体と正極活物質層の電子
接触抵抗を低下させる観点で好ましい。導電助剤としては、炭素や、金、白金、銀等の貴
金属類が挙げられる。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の
正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好
ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、下限は、0.5以上が好ましく、よ
り好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高
電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。上記範囲である
と、高電流密度充放電時の集電体の発熱を抑制し、電池容量を確保することができる。
(電極面積)
本発明の電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物
質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的に
は、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とする
ことが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは
、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の
縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突
起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である
。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面
積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を
別々に算出する面積の総和をいう。
(正極板の厚さ)
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さ
を差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以
上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好
ましくは450μm以下である。
(正極板の表面被覆)
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい
。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム
、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の
酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシ
ウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
2−3.セパレータ
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この
場合、本発明の電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない
限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の電解液に対し安定な
材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シー
ト又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、
ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオ
レフィンであり、更に好ましくはポリオレフィン、特に好ましくはポリプロピレンである
。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併
用したり、積層されたものを使用してもよい。2種以上を任意の組み合わせで積層したも
のの具体例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンの順で積層された
三層セパレータ等が挙げられる。
セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく、8
μm以上が更に好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、3
0μm以下が更に好ましい。上記範囲であると、絶縁性及び機械的強度を確保できる一方
、レート特性等の電池性能及びエネルギー密度を確保することができる。
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレ
ータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以
上が更に好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下が
更に好ましい。空孔率が、上記範囲であると、絶縁性及び機械的強度を確保できる一方、
膜抵抗を抑え良好なレート特性を得ることができる。
また、セパレータの平均孔径も任意であるが、通常0.5μm以下であり、0.2μm
以下が好ましく、また、通常0.05μm以上である。平均孔径が、上記範囲を上回ると
、短絡が生じ易くなる。平均孔径が、上記範囲であると、短絡を防止ししつつ、膜抵抗を
抑え良好なレート特性を得ることができる。一方、無機物の材料としては、アルミナや二
酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシ
ウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄
膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。
上記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着剤を用いて上記無機物の粒子を含有する複
合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる
。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤
として多孔層を形成させることが挙げられる。
2−4.電池設計
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、
及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもの
のいずれでもよい。電極群の質量が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称す
る)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、
80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲であると、電池容量を確保できるとと
もに内部圧力の上昇に伴う充放電繰り返し性能や高温保存等の特性低下を抑制し、更には
ガス放出弁の作動を防止することができる。
<集電構造>
集電構造は、特に制限されないが、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にするこ
とが好ましい。電極群が上記の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子
に溶接して形成される構造が好適に用いられる。一枚の電極面積が大きくなる場合には、
内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用
いられる。電極群が上記の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構
造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
<外装ケース>
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限され
ない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合
金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネート
フィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属
、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士
を溶着して封止密閉構造とするもの、若しくは、樹脂製ガスケットを介して上記金属類を
用いてかしめ構造とするものが挙げられる。上記ラミネートフィルムを用いる外装ケース
では、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シー
ル性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹
脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合
には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基
を導入した変成樹脂が好適に用いられる。また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒
型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
<保護素子>
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Posit
iveTemperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスタ
ー、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断す
る弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動
しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至
らない設計にすることがより好ましい。
<2−2.多価カチオン電池>
正極に酸化物材料等を用い、負極にマグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属
や、これらの金属を含む化合物等を用いる。電解質には、負極の反応活物質種と同じ元素
、すなわちマグネシウムイオンやカルシウムイオン、アルミニウムイオンを与えるように
、マグネシウム塩やカルシウム塩、アルミニウム塩等を非水溶媒に溶解させた非水系電解
液を用い、そこに式(1)で表される化合物を溶解させることにより、多価カチオン電池
用非水系電解液を調製することができる。
<2−3.金属空気電池>
負極に亜鉛、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウムなどの
金属や、これらの金属を含む化合物等を用いる。正極活物質は酸素であるため、正極は多
孔質のガス拡散電極を用いる。多孔質材料は炭素が好ましい。電解質には、負極活物質種
と同じ元素、すなわちリチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム
などを与えるように、リチウム塩やナトリウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、カ
ルシウム塩等を非水溶媒に溶解させた非水系電解液を用い、そこに(1)で表される化合
物を溶解させることにより、金属空気電池用非水系電解液を調製することができる。
<2−4.上記以外のs-ブロック金属を用いた二次電池>
s- ブロック元素とは、第1 族元素(水素、アルカリ金属)、第2 族元素(ベリリウム
、マグネシウム及びアルカリ土類金属)及びヘリウムのことで、s-ブロック金属二次電池
とは、前記s-ブロック金属を負極及び又は電解質に用いた二次電池をあらわす。上記以外
のs-ブロック金属二次電池は、具体的には、正極に硫黄を用いたリチウム硫黄電池やナト
リウム硫黄電池、またナトリウムイオン電池等が挙げられる。
<2−5.リチウムイオンキャパシタ>
正極に電気二重層を形成できる材料を用い、負極にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な材
料を用いる。正極材料としては活性炭が好ましい。また負極材料としては、炭素質材料が
好ましい。非水系電解液には、(1)で表される化合物を含有した非水系電解液を用いる
<3−6.電気二重層キャパシタ>
正極および負極に電気二重層を形成できる材料を用いる。正極材料および負極材料とし
ては活性炭が好ましい。非水系電解液には、(1)で表される化合物を含有した非水系電
解液を用いる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これ
らの実施例に限定されるものではない。
本実施例に使用した式(1)で表される化合物の構造を以下に示す。
Figure 0006965173
また、その他使用した化合物の構造を以下に示す。
Figure 0006965173
<実施例1−1及び比較例1−1〜1−5>
[実施例1−1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(
EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比EC:EM
C:DEC=3:4:3)に、電解質であるLiPFを1.2mol/Lの割合で溶解
させた。そして、得られた混合液に対して、ビニレンカーボネート(VC)2.0質量%
ならびにモノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)2.0質量%を配合させて基本
電解液とした。更に、基本電解液に対して化合物(1−1)0.87質量%を配合して実
施例1−1の非水系電解液を調製した。
[正極の作製]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)97質量%と、導電材としてア
セチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.
5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化し
た。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして
正極とした。
[負極の作製]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム
の水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結
着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの
濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚
さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥
後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジ
エンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[リチウム二次電池の作製]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、
セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚
さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端
子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シー
ト状のリチウム二次電池を作製した。
[初期の電池特性評価]
リチウム二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに
相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行い、こ
の時の充放電効率を初期充放電効率とした。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vま
で定電流―定電圧充電(「CC−CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、4
5℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した
。次いで、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2
Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2C
とはその1/5の電流値を表す。
[高温保存耐久試験]
初期の電池特性評価後のリチウム二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4Vま
でCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力
から保存前電池体積を求めた。その後、85℃、1日間の条件で高温保存を行った。十分
に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前電池体積からの変化分
を保存ガス量とした。
上記作製したリチウム二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び連続充電耐久試験を
実施した。評価結果を、比較例1−1を100.0%としたときの相対値で表1に示す。
以下も同様とする。
[比較例1−1]
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実
施例1−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[比較例1−2]
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−1)0.7
6質量%用いた以外、実施例1−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価
を実施した。なお、実施例1−1で添加した化合物(1−1)と比較例1−2で添加した
化合物(2−1)は等物質量である。
[比較例1−3]
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−2)0.3
6質量%用いた以外、実施例1−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価
を実施した。なお、実施例1−1で添加した化合物(1−1)と比較例1−3で添加した
化合物(2−2)は等物質量である。
[比較例1−4]
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−3)0.4
9質量%用いた以外、実施例1−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価
を実施した。なお、実施例1−1で添加した化合物(1−1)と比較例1−4で添加した
化合物(2−3)は等物質量である。
[比較例1−5]
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−4)0.5
0質量%用いた以外、実施例1−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価
を実施した。なお、実施例1−1で添加した化合物(1−1)と比較例1−5で添加した
化合物(2−4)は等物質量である。
Figure 0006965173
表1より、本発明にかかる実施例1−1の非水系電解液を用いると、式(1)で表され
る化合物が添加されていない場合(比較例1−1)に比べ、初期充電効率が向上し、かつ
保存ガス量が減少する。すなわち、式(1)で表される化合物を添加することにより、電
極上での電気化学的副反応が抑制されていることが示唆された。
なお、式(1)の範囲に含まれない化合物を用いた場合(比較例1−2乃至1−5)、
保存ガス量は減少するがその改善効果は小さく、さらに、初期充放電効率も実施例1−1
に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用いた電池の方が優れた特性であること
は明らかである。
<実施例2−1〜2−2及び比較例2−1〜2−3>
[実施例2−1]
[非水系電解液の調製]
実施例1−1と同様にして調整した。
[正極の作製]
実施例1−1と同様にして作製した。
[負極の作製]
実施例1−1と同様にして作製した。
[リチウム二次電池の作製]
実施例1−1と同様にして作製した。
[初期の電池特性評価]
実施例1−1と同様に実施した。
[連続充電耐久試験]
初期の電池特性評価後のリチウム二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4Vま
でCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力
から初期電池体積を求めた。その後、60℃において、4.4Vの定電圧充電を14日間
行い、この時の充電電流容量を連続充電容量とした。さらに、十分に冷却させた電池をエ
タノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を連続充電ガス量とした
。さらに、25℃において、0.2Cで3.0Vまで定電流放電させた。その後、25℃
において0.2Cの定電流で4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、
0.2Cで3.0Vまで再度放電し、これを回復0.2C容量とした。更に、0.2Cで
4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3.0Vまで放電
し、これを回復0.5C容量とした。そして、回復0.2C容量に対する回復0.5C容
量の割合を求め、これを連続充電後レート特性(%)とした。
なお、連続充電容量は、連続充電耐久試験時の電極上での電気化学的副反応量を反映し
ている。すなわち、連続充電容量が少ないほど、連続充電耐久試験時の電極上での電気化
学的副反応が抑制されていることを表す。
上記作製したリチウム二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び連続充電耐久試験を
実施した。評価結果を、比較例2−1を100.0%としたときの相対値で表2に示す。
以下も同様とする。
[実施例2−2]
実施例2−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(1−2)0.9
5質量%用いた以外、実施例2−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価
を実施した。なお、実施例2−1で添加した化合物(1−1)と実施例2−2で添加した
化合物(1−2)は等物質量である。
[比較例2−1]
実施例2−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実
施例2−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[比較例2−2]
実施例2−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−2)0.3
6質量%用いた以外、実施例2−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価
を実施した。なお、実施例2−1で添加した化合物(1−1)と比較例2−2で添加した
化合物(2−2)は等物質量である。
[比較例2−3]
実施例2−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−4)0.5
0質量%用いた以外、実施例2−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価
を実施した。なお、実施例2−1で添加した化合物(1−1)と比較例2−3で添加した
化合物(2−4)は等物質量である。
Figure 0006965173
表2より、本発明にかかる実施例2−1および2−2の非水系電解液を用いると、式(
1)で表される化合物が添加されていない場合(比較例2−1)に比べ、初期充放電効率
が向上し、かつ連続充電ガス量並び連続充電容量が減少する。さらに連続充電後のレート
特性も向上する。すなわち、式(1)で表される化合物を添加することにより、電極上で
の電気化学的副反応が抑制されていることが示唆された。
なお、式(1)の範囲に含まれない化合物を用いた場合(比較例2−2および2−3)
、連続充電ガス量並びに連続充電容量は減少するがその改善効果は小さく、さらに、初期
充放電効率も実施例2−1及び2−2に比べて劣る。よって、本発明にかかる電解液を用
いた電池の方が優れた特性であることは明らかである。
<実施例3−1〜3−2及び比較例3−1>
[実施例3−1]
[非水系電解液の調製]
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(1−2)1.9
質量%用いた以外、実施例1−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価を
実施した。
[正極の作製]
実施例1−1と同様にして作製した。
[負極の作製]
実施例1−1と同様にして作製した。
[リチウム二次電池の作製]
実施例1−1と同様にして作製した。
[初期の電池特性評価]
実施例1−1と同様に実施した。
[連続充電耐久試験]
実施例2−1において、4.4Vの定電圧充電を7日間行った以外、実施例2−1と同
様に実施した。
上記作製したリチウム二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び連続充電耐久試験を
実施した。評価結果を、比較例3−1を100.0%としたときの相対値で表2に示す。
以下も同様とする。
[実施例3−2]
実施例3−1の電解液において、化合物(1−2)の代わりに化合物(1−3)1.0
質量%用いた以外、実施例3−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価を
実施した。
[比較例3−1]
実施例3−1の電解液において、化合物(1−2)を含まない電解液を用いた以外、実
施例3−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
Figure 0006965173
表3より、本発明にかかる実施例3−1および3−2の非水系電解液を用いると、式(
1)で表される化合物が添加されていない場合(比較例3−1)に比べ、初期充放電効率
が向上し、かつ連続充電ガス量並び連続充電容量が減少する。さらに連続充電後のレート
特性も向上する。すなわち、式(1)で表される化合物を添加することにより、電極上で
の電気化学的副反応が抑制されていることが示唆された。
本発明の非水系電解液によれば、非水系電解液を含む蓄電デバイスのサイクル容量維持
率や、サイクル後の入出力特性を改善でき、有用である。そのため、本発明の非水系電解
液及び蓄電デバイスは、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、
例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー
、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビ
デオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、ト
ランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バッ
クアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、
ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ、家庭用バックアップ電源、事業所用バ
ックアップ電源、負荷平準化用電源、自然エネルギー貯蔵電源等が挙げられる。

Claims (10)

  1. 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える蓄電デバイス用の非水系電解液で
    あって、該非水系電解液が電解質及び非水溶媒とともに、式(1)で表される化合物を含
    有することを特徴とする非水系電解液。
    Figure 0006965173
    (式中、Xは、末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜12の脂肪族炭化水素
    基、もしくは炭素原子の一部が酸素または窒素で置換された炭素数3以上12以下のヘテ
    ロ環式炭化水素基であり、Rは、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基であり、a
    は2以上4以下の整数である。但し、複数存在するRは、それぞれ同一であっても異な
    っていてもよい。)
  2. 前記式(1)中、Xが末端に炭素−炭素不飽和結合を有する総炭素数4〜8の脂肪族炭
    化水素基である、請求項1に記載の非水系電解液。
  3. 前記式(1)中、Rが炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基である、請求項1又は
    2に記載の非水系電解液。
  4. 前記式(1)中、aが2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解液。
  5. 前記非水系電解液が、前記式(1)で表される化合物を、0.001質量%以上10質
    量%以下で含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系電解液。
  6. 前記非水系電解液が、更に、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン
    含有有機化合物、式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有す
    る有機化合物、ケイ素含有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カ
    ーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、式(1)以外の複数のエーテル結合を有
    する環状化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオ
    ロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少
    なくとも1種の化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系電解液。
  7. 前記フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、式(1
    )以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含
    有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含
    有カルボン酸エステル、式(1)以外の複数のエーテル結合を有する環状化合物、イソシ
    アヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、
    シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の
    非水系電解液全量に対する合計含有量が、0.001質量%以上50質量%以下である、
    請求項6に記載の非水系電解液。
  8. 非水系電解液二次電池用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系電解液。
  9. リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに電解質及び非水溶媒を含む非
    水系電解液を具備する蓄電デバイスであって、該非水系電解液が請求項1〜7のいずれか
    1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする蓄電デバイス。
  10. 蓄電デバイスが非水系電解液二次電池である請求項9に記載の蓄電デバイス。
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