JP6213468B2 - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 - Google Patents
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Description
特許文献1では、芳香族エステル化合物を非水電解液に含有させることで、電池の容量を低下させることなく高温保存時の電池膨れを抑制する技術が開示されている。
特許文献2には、リチウムイオン二次電池において芳香族化合物とイソシアナート化合物を共に含有する非水電解液ならびに所定量の水分を含む正極を用いることで、高温保存時の電池劣化を抑える技術が開示されている。
特許文献3には、LiBF4に代表される各種ホウ酸Li塩と芳香族化合物を共に非水電解液に含有させることで、ホウ酸Li塩による正極上の高抵抗膜形成が抑制され、高温保存時の電池膨れならびにサイクル特性が向上する技術が開示されている。
電池を高容量化する方法として、限られた電池体積の中にできるだけ多くの活物質を詰めることが検討されており、例えば、電極の活物質層を加圧して高密度化する方法や、電池内部の活物質以外の占める体積(例えば電解液量)を極力少なくする設計が一般的となっている。しかし、電極の活物質層を加圧して高密度化したり、電解液量を少なくしたりすると、活物質を均一に使用することができなくなる。これにより、不均一な反応により一部リチウムが析出したり、活物質の劣化が促進されたりして、十分な特性が得られないという問題が発生しやすくなる。
本発明は上記の課題に鑑みて為されたものであり、電池の諸特性、中でも高電流密度下の充放電特性、高温保存時の耐久性能ならびに過充電特性が共に著しく改善された非水系電解液電池を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は、下記に示すとおりである。
<1> 電解質および非水溶媒を含む非水系電解液において、
(I)下記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸エステル化合物と、
(II)フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、フルオロスルホン酸塩、SO2基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、シュウ酸塩、Si含有化合物、並びに一般式(1)以外の芳香族化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物
とを含有することを特徴とする非水系電解液。
<2> 前記(II)の化合物が、下記(i)〜(vii)の少なくとも1つを満たす、<1>に記載の非水系電解液。
(i)前記フッ素原子を有する環状カーボネートが、フッ素化エチレンカーボネートである。
(ii)SO2基を有する化合物が、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル並びに環状亜硫酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(iii)前記シアノ基を有する化合物が、少なくとも2つのシアノ基を有する化合物である。
(iv)前記イソシアネート基を有する化合物が、少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物である。
(v)前記シュウ酸塩が、一般式(2)で表される金属塩である。
(vi)前記Si含有化合物が、一般式(3)で表される化合物である。
(vii)前記一般式(1)以外の芳香族化合物が、ハロゲン化芳香族化合物または芳香族炭化水素化合物である。
<3> 前記非水系電解液において、非水溶媒がフッ素原子を有する環状カーボネート以外の環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを含み、
さらに非水系電解液中の、前記(I)群の化合物の合計含有量が0.001質量%以上10質量%以下および/または前記(II)群の化合物の合計含有量が0.001質量%以上20質量%以下である、<1>または<2>に記載の非水系電解液。
<4> 前記一般式(1)中、jまたはkのいずれかが2以上の整数である、<1>乃至<3>いずれかに記載の非水系電解液。
<5> さらに炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する、<1>乃至<4>のいずれかに記載の非水系電解液。
<6> リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が<1>乃至<5>のいずれかに記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液電池。
本発明の非水系電解液を用いて作製された非水系電解液二次電池、及び本発明の非水系電解液二次電池が、高電流密度下の充放電特性、高温保存時の耐久性能ならびに過充電特性が共に著しく改善できる作用・原理は明確ではないが、以下のように考えられる。ただし、本発明は、以下に記述する作用・原理に限定されるものではない。
通常、特許文献1などに記載されている一般式(1)で表される芳香族カルボン酸エステル(以下、これらを総じて(I)群の化合物と称する場合がある。)は、負極上において皮膜状の構造物を形成し、高温保存特性に代表される耐久性能低下を抑制する。しかし、その反面、負極上に形成される皮膜のLi+伝導性は低く、高電流密度下の充放電特性が低下する。さらに、芳香族カルボン酸エステルは耐酸化性が低く、正極上での電気化学的副反応によって電池劣化が進行する。
一方、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、フルオロスルホン酸塩、SO2基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、シュウ酸塩、Si含有化合物、並びに一般式(1)以外の芳香族化合物(以下、これらを総じて(II)群の化合物と称する場合がある。)は、いずれも正極上において皮膜状の構造物を形成し、耐久性能を向上させる。しかし、(II)群の化合物を用い場合、正負極上での電気化学的副反応による劣化も同時に進行する。そのため、それら添加剤単独での使用では耐久性能と高電流密度下の充放電特性の向上を両立させることは困難であり、未だ電池特性として満足しうるものではなかった。
そのような課題に対し、本発明では、(I)群の化合物と(II)群の化合物を同時に非水系電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できる。すなわち(I)群の化合物が負極上に皮膜を形成するときに、(II)群の化合物を取り込むことで高電流密度下の充放電特性ならびに耐久性能の優れた複合皮膜を形成し、特性の相乗効果をもたらす。さらに、(II)群の化合物が正極上に皮膜を形成することで、(I)群の化合物が引き起こす正極上での電気化学的副反応が抑制され、電池の耐久性能が向上する。さらに、負極で形成される複合皮膜により、電解液中の(I)群の化合物の消費量が極限的に減少し、過充電時の(I)群の化合物の反応がより顕著になると考えられる。
その結果、電池内部における(I)群の化合物と(II)群の化合物の効果を最大限発揮できるものと考えられる。
また、本明細書において“重量%”、“重量ppm”および“重量部”と“質量%”、“質量ppm”および“質量部”とは、それぞれ同義である。また、単にppmと記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
本発明の非水系電解液は、前記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸エステル化合物(以下、これらを総じて(I)群の化合物と称する場合がある。)と、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、フルオロスルホン酸塩、SO2基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、シュウ酸塩、Si含有化合物、並びに一般式(1)以外の芳香族化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物(以下、これらを総じて(II)群の化合物と称する場合がある。)を必須成分として含有する。
本発明の非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同様に、通常はその主成分として、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有し、更に下記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸エステル化合物を含有することを特徴とする。
(I)群の化合物は、本発明の非水電解液中に、1種単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。(I)群の化合物の非水系電解液中における含有量(2種以上の場合には合計含有量)は、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さら特に好ましくは2質量%以下の範囲である。上記範囲内であると、イオン伝導度、レート特性等の電池特性について、良好な性能を確保し易くなる。
なお、「j=1かつk=0の場合は除く」とは、「j=1かつk=0」となる芳香族カルボン酸エステル化合物は、本発明における「一般式(1)で表される芳香族カルボン酸エステル化合物」には含まれないことを意味する。
また、jまたはkのいずれかが0であることが好ましい。
なお、kが0の場合、jは1以上の整数であり、かつA1は−R1である。この場合、jの値が小さいと−O−CO−R1基とA2のベンゼン環の空軌道が重なり合ってしまう。その結果、化合物としてより還元されやすくなり、負極で還元副反応を起こすことで電池容量のロスを生じ、高抵抗な被膜を生じてしまう。よって、k=0の場合、jは2以上、好ましくは3以上の整数である。そうすることで、−O−CO−R1基とA2のベンゼン環の空軌道の重なりが小さくなり、還元副反応の電池容量ロスが抑制される。
なお、A2が置換基を有するフェニル基である場合、オルト体、メタ体およびパラ体すべてが本発明に含まれ、好ましくは、メタ体およびパラ体である。
≪j=2かつk=0≫
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2−トリフルオロメチルフェニルエチルアセテート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルプロピオネート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルブチレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルイソブチレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルバレレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルイソバレレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルメチルブチレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルピバレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルアクリレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−3−ブテノエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルクロトネート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルメタクリレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルプロピオレート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−3−ブチノエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−2−ブチノエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルメチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルエチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−n−プロピルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−i−プロピルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−n−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−sec−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−i−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチル−tert−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルトリフルオロメチルベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルメトキシベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルエトキシベンゾエート、2−トリフルオロメチルフェニルエチルトリフルオロメトキシベンゾエート、
2−キシリルエチルアセテート、2−キシリルエチルプロピオネート、2−キシリルエチルブチレート、2−キシリルエチルイソブチレート、2−キシリルエチルバレレート、2−キシリルエチルイソバレレート、2−キシリルエチルメチルブチレート、2−キシリルエチルピバレート、2−キシリルエチルアクリレート、2−キシリルエチル−3−ブテノエート、2−キシリルエチルクロトネート、2−キシリルエチルメタクリレート、2−キシリルエチルプロピオレート、2−キシリルエチル−3−ブチノエート、2−キシリルエチル−2−ブチノエート、2−キシリルエチルベンゾエート、2−キシリルエチルメチルベンゾエート、2−キシリルエチルエチルベンゾエート、2−キシリルエチル−n−プロピルベンゾエート、2−キシリルエチル−i−プロピルベンゾエート、2−キシリルエチル−n−ブチルベンゾエート、2−キシリルエチル−sec−ブチルベンゾエート、2−キシリルエチル−i−ブチルベンゾエート、2−キシリルエチル−tert−ブチルベンゾエート、2−キシリルエチルトリフルオロメチルベンゾエート、2−キシリルエチルメトキシベンゾエート、2−キシリルエチルエトキシベンゾエート、2−キシリルエチルトリフルオロメトキシベンゾエート、
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2−トリフルオロメトキシフェニルエチルアセテート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルプロピオネート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルブチレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルイソブチレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルバレレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルイソバレレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルメチルブチレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルピバレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルアクリレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−3−ブテノエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルクロトネート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルメタクリレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルプロピオレート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−3−ブチノエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−2−ブチノエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルメチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルエチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−n−プロピルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−i−プロピルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−n−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−sec−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−i−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチル−tert−ブチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルトリフルオロメチルベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルメトキシベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルエトキシベンゾエート、2−トリフルオロメトキシフェニルエチルトリフルオロメトキシベンゾエート。
3−フェニル−n−プロピルアセテート、3−フェニル−n−プロピルプロピオネート、3−フェニル−n−プロピルブチレート、3−フェニル−n−プロピルバレレート、3−トリル−n−プロピルアセテート、3−トリル−n−プロピルプロピオネート、3−トリル−n−プロピルブチレート、3−トリル−n−プロピルバレレート、3−tert−ブチルフェニル−n−プロピルアセテート、3−tert−ブチルフェニル−n−プロピルプロピオネート、3−tert−ブチルフェニル−n−プロピルブチレート、3−tert−ブチルフェニル−n−プロピルバレレート。
4−フェニル−n−ブチルアセテート、4−フェニル−n−ブチルプロピオネート、4−フェニル−n−ブチルブチレート、4−フェニル−n−ブチルバレレート、4−トリル−n−ブチルアセテート、4−トリル−n−ブチルプロピオネート、4−トリル−n−ブチルブチレート、4−トリル−n−ブチルバレレート、4−tert−ブチルフェニル−n−ブチルアセテート、4−tert−ブチルフェニル−n−ブチルプロピオネート、4−tert−ブチルフェニル−n−ブチルブチレート、4−tert−ブチルフェニル−n−ブチルバレレート。
5−フェニル−n−ペンチルアセテート、5−フェニル−n−ペンチルプロピオネート、5−フェニル−n−ペンチルブチレート、5−フェニル−n−ペンチルバレレート、5−トリル−n−ペンチルアセテート、5−トリル−n−ペンチルプロピオネート、5−トリル−n−ペンチルブチレート、5−トリル−n−ペンチルバレレート、5−tert−ブチルフェニル−n−ペンチルアセテート、5−tert−ブチルフェニル−n−ペンチルプロピオネート、5−tert−ブチルフェニル−n−ペンチルブチレート、5−tert−ブチルフェニル−n−ペンチルバレレート。
6−フェニル−n−ヘキシルアセテート、7−フェニル−n−ヘプチルアセテート、8−フェニル−n−オクチルアセテート、9−フェニル−n−ノニルアセテート、10−フェニル−n−デシルアセテート。
メチルフェノキシアセテート、エチルフェノキシアセテート、n−プロピルフェノキシアセテート、i−プロピルフェノキシアセテート、n−ブチルフェノキシアセテート、sec−ブチルフェノキシアセテート、tert−ブチルフェノキシアセテート、フェニルフェノキシアセテート、ベンジルフェノキシアセテート。
メチルフェノキシプロピオネート、エチルフェノキシプロピオネート、n−プロピルフェノキシプロピオネート、i−プロピルフェノキシプロピオネート、n−ブチルフェノキシプロピオネート、sec−ブチルフェノキシプロピオネート、tert−ブチルフェノキシプロピオネート、フェニルフェノキシプロピオネート、ベンジルフェノキシプロピオネート。
メチルフェノキシブチレート、エチルフェノキシブチレート、n−プロピルフェノキシブチレート、i−プロピルフェノキシブチレート、n−ブチルフェノキシブチレート、s−ブチルフェノキシブチレート、t−ブチルフェノキシブチレート、フェニルフェノキシブチレート、ベンジルフェノキシブチレート。
メチル ベンジロキシアセテート、エチル ベンジロキシアセテート、n−プロピル ベンジロキシアセテート、i−プロピル ベンジロキシアセテート、n−ブチル ベンジロキシアセテート、s−ブチル ベンジロキシアセテート、t−ブチル ベンジロキシアセテート、フェニル ベンジロキシアセテート、ベンジル ベンジロキシアセテート。
メチル フェニルエトキシアセテート、エチル フェニルエトキシアセテート、n−プロピル フェニルエトキシアセテート、i−プロピル フェニルエトキシアセテート、n−ブチル フェニルエトキシアセテート、s−ブチル フェニルエトキシアセテート、t−ブチル フェニルエトキシアセテート、フェニル フェニルエトキシアセテート、ベンジル フェニルエトキシアセテート。
メチル フェニルプロポキシアセテート、エチル フェニルプロポキシアセテート、n−プロピル フェニルプロポキシアセテート、i−プロピル フェニルプロポキシアセテート、n−ブチル フェニルプロポキシアセテート、s−ブチル フェニルプロポキシアセテート、t−ブチル フェニルプロポキシアセテート、フェニル フェニルプロポキシアセテート、ベンジル フェニルプロポキシアセテート。
メチル ベンジロキシプロピオネート、エチル ベンジロキシプロピオネート、n−プロピル ベンジロキシプロピオネート、i−プロピル ベンジロキシプロピオネート、n−ブチル ベンジロキシプロピオネート、s−ブチル ベンジロキシプロピオネート、t−ブチル ベンジロキシプロピオネート、フェニル ベンジロキシプロピオネート、ベンジル ベンジロキシプロピオネート。
メチル ベンジロキシブチレート、エチル ベンジロキシブチレート、n−プロピル ベンジロキシブチレート、i−プロピル ベンジロキシブチレート、n−ブチル ベンジロキシブチレート、s−ブチル ベンジロキシブチレート、t−ブチル ベンジロキシブチレート、フェニル ベンジロキシブチレート、ベンジル ベンジロキシブチレート。
メチル フェニルエトキシプロピオネート、エチル フェニルエトキシプロピオネート、n−プロピル フェニルエトキシプロピオネート、i−プロピル フェニルエトキシプロピオネート、n−ブチル フェニルエトキシプロピオネート、s−ブチル フェニルエトキシプロピオネート、t−ブチル フェニルエトキシプロピオネート、フェニル フェニルエトキシプロピオネート、ベンジル フェニルエトキシプロピオネート。
本発明の非水系電解液は、上記(I)群の化合物で表される芳香族エステル化合物に加えて、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、フルオロスルホン酸塩、SO2基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、シュウ酸塩、Si含有化合物、並びに一般式(1)以外の芳香族化合物からなる(II)群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする。
(II)群の化合物は、本発明の非水電解液中に、1種単独で含まれていても、2種以上が含まれていてもよい。(II)群の化合物の非水系電解液中における含有量(2種以上の場合には合計含有量量)は、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、また、通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さら特に好ましくは1質量%以下の範囲である。この濃度が低過ぎると、皮膜の化学的及び物理的安定性が不十分となる場合があり、濃度が高過ぎると、皮膜の絶縁性が高まり、抵抗増加により放電容量が低下する場合がある。(II)群の化合物の含有量が前記範囲であると、(I)群の化合物との相乗効果が得られ易く、充電時に起こる非水溶媒の還元分解反応をより低く抑えることができ、高温保存時の耐久性能や過充電特性などの電池特性の向上、電池の充放電効率の向上、および高電流密度下の充放電特性の改善を図ることができる。
フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、「フッ素化環状カーボネート」と記載する場合がある)としては、フッ素原子を有する環状カーボネートであれば、特に制限はされない。
モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
フッ素化不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。分子量は、より好ましくは100以上であり、また、より好ましくは200以下である。
本発明に用いられるモノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩としては、分子内に少なくとも1つのモノフルオロリン酸およびジフルオロリン酸構造を有している塩であれば特にその種類は限定されない。
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び、NR11R12R13R14(式中、R11〜R14は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表わす。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。
本発明に用いられるホウ酸塩としては、分子内に少なくとも1つのホウ素原子を有している塩であれば特にその種類は限定されない。
ホウ酸塩としては、ホウ酸Li塩が好ましく、例えばLiBF4、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含ホウ酸Li塩等が挙げられる。
中でも、LiBF4が出力特性やハイレート充放電特性、高温保存特性、サイクル特性等を向上させる効果がある点から特に好ましい。
本発明に用いられるフルオロスルホン酸塩としては、分子内に少なくとも1つのフルオロスルホン酸構造を有している塩であれば特にその種類は限定されない。
フルオロスルホン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、及び、NR11R12R13R14(式中、R11〜R14は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表わす。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。
SO2基を有する化合物としては、分子内にSO2基を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、好ましくは、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル並びに環状亜硫酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
これらのうち、環状スルホン酸エステル、環状硫酸エステルおよび環状亜硫酸エステル等の環状化合物がより好ましく、環状スルホン酸エステルおよび環状硫酸エステルがさらに好ましく、環状スルホン酸エステルが特に好ましい。
フルオロスルホン酸メチルおよびフルオロスルホン酸エチルなどのフルオロスルホン酸エステル;
メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸2−プロピニル、メタンスルホン酸3−ブチニル、ブスルファン、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸メチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸エチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸3−ブチニル、メタンスルホニルオキシ酢酸メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−プロピニルおよびメタンスルホニルオキシ酢酸3−ブチニルなどのメタンスルホン酸エステル;
ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニルスルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルスルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギルおよび1,2−ビス(ビニルスルホニロキシ)エタンどのアルケニルスルホン酸エステル。
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトンおよび1,5−ペンタンスルトンなどのスルトン化合物;
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネートなどのジスルホネート化合物;
1,2,3−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、3H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、5H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、1,2,4−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、1,2,5−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、1,2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、5,6−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−2,2−ジオキシドおよび1,2,4−オキサチアジナン−2,2−ジオキシドなどの含窒素化合物。
ジメチルスルフェート、エチルメチルスルフェートおよびジエチルスルフェートなどのジアルキルスルフェート化合物。
1,2−エチレンスルフェート、1,2−プロピレンスルフェート、1,3−プロピレンスルフェート、1,2−ブチレンスルフェート、1,3−ブチレンスルフェート、1,4−ブチレンスルフェート、1,2−ペンチレンスルフェート、1,3−ペンチレンスルフェート、1,4−ペンチレンスルフェートおよび1,5−ペンチレンスルフェートなどのアルキレンスルフェート化合物。
ジメチルスルファイト、エチルメチルスルファイトおよびジエチルスルファイトなどのジアルキルスルファイト化合物。
1,2−エチレンスルファイト、1,2−プロピレンスルファイト、1,3−プロピレンスルファイト、1,2−ブチレンスルファイト、1,3−ブチレンスルファイト、1,4−ブチレンスルファイト、1,2−ペンチレンスルファイト、1,3−ペンチレンスルファイト、1,4−ペンチレンスルファイトおよび1,5−ペンチレンスルファイトなどのアルキレンスルファイト化合物。
シアノ基を有する化合物としては、分子内にシアノ基を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、少なくとも2つのシアノ基を有する化合物が好ましい。
シアノ基を有する化合物の具体例としては、例えば、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、2−メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル、2−ヘキセンニトリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2−フルオロプロピオニトリル、3−フルオロプロピオニトリル、2,2−ジフルオロプロピオニトリル、2,3−ジフルオロプロピオニトリル、3,3−ジフルオロプロピオニトリル、2,2,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル
等のシアノ基を1つ有する化合物;
シクロヘキサントリカルボニトリル、トリスシアノエチルアミン、トリスシアノエトキシプロパン、トリシアノエチレン、ペンタントリカルボニトリル、プロパントリカルボニトリル、ヘプタントリカルボニトリル等のシアノ基を3つ有する化合物;
等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、分子内にイソシアネート基を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物が好ましい。
イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ターシャルブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネートヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、エチニルイソシアネート、プロピニルイソシアネート、フェニルイソシアネート、フルオロフェニルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物;
モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアナトブテン、ジイソシアナトペンテン、ジイソシアナトヘキセン、フェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、カルボニルジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン−1,4−ジオンおよび1,5−ジイソシアナトペンタン−1,5−ジオンなどのジイソシアネート化合物;
等が挙げられる。
本発明に用いられるシュウ酸塩としては、分子内に少なくとも1つのシュウ酸構造を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、好ましくは、下記一般式(2)で表される金属塩が好ましい。
リチウムジフルオロオキサラトボレートおよびリチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;
これらのうち、リチウムビス(オキサラト)ボレートおよびリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートが好ましく、リチウムビス(オキサラト)ボレートがより好ましい。
なお、これら一般式(2)で表される金属塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に用いられるSi含有化合物としては、分子内に少なくとも1つのSi原子を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
また、X3は、酸素原子、窒素原子並びにケイ素原子よりなる群から選ばれる少なくとも1つの原子を含む有機基であり、好ましくは、酸素原子またはケイ素原子を少なくとも含む有機基である。
ここで、有機基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、リン原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれる1以上の原子で構成された基のことを表す。具体例としては、1価の有機基としてアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、CN基、イソシアナト基、フルオロ基、アルキルスルホン酸基およびトリアルキルシリル基などが、2価の有機基としてアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、エーテル基、カーボネート基、カルボニル基、スルホニル基および硫酸基などが、3価の有機基として炭化水素基、ホウ酸基、ホスホリル基、ホスファントリイル基、リン酸基および亜リン酸基、4価の有機基として炭化水素基(ただし、水素を含まなくてもよい)などが挙げられる。なお、1価の有機基の一部はハロゲン原子で置換されていてもよく、2価、3価および4価の有機基の一部がハロゲン原子に置換または結合していてもよい。また、有機基の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、通常15以下、好ましくは12以下、より好ましくは8以下である。
これらのうち、アルキルスルホン酸基、トリアルキルシリル基、ホウ酸基、リン酸基および亜リン酸基が好ましい。
ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメトキシシリル)、ホウ酸トリス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエトキシシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルビニルシリル)およびホウ酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のホウ酸化合物;
リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(トリプロピルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)、リン酸トリス(トリメトキシシリル)、リン酸トリス(トリエトキシシリル)、リン酸トリス(トリフエノキシシリル)、リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)およびリン酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のリン酸化合物;
亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリエチルシリル)、亜リン酸トリス(トリプロピルシリル)、亜リン酸トリス(トリフェニルシリル)、亜リン酸トリス(トリメトキシシリル)、亜リン酸トリス(トリエトキシシリル)、亜リン酸トリス(トリフエノキシシリル)、亜リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)および亜リン酸トリス(ジエチルビニルシリル)等の亜リン酸化合物;
メタンスルホン酸トリメチルシリル、テトラフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のスルホン酸化合物;
ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシランおよび1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等のジシラン化合物;
等が挙げられる。
本発明に用いられる一般式(1)以外の芳香族化合物としては、一般式(1)で表される芳香族化合物以外の化合物であれば特にその種類は限定されないが、好ましくは芳香族エーテル化合物、芳香族エステル化合物、ハロゲン化芳香族化合物または芳香族炭化水素化合物あり、より好ましくはハロゲン化芳香族化合物または芳香族炭化水素化合物である。
ベンゼン、ビフェニル、2−メチルビフェニル、2−エチルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、ジフェニルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物;ジフェニルエーテル、ジベンゾフランなどの芳香族エーテル化合物;フェニルアセテート、ベンジルアセテート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、2−t−ブチルフェニルメチルカーボネート、4−t−ブチルフェニルメチルカーボネート、メチルフェニルスルホネート、エチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、2−t−ブチルフェニルメチルスルボネート、4−t−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネート、トリフェニルホスフェート、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、等の芳香族エステル化合物;フルオロベンゼン、2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、トリフルオロメチルベンゼン、2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート、2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
電解質は特に制限なく、電解質として公知のものを任意に用いることができる。リチウム二次電池の場合は、通常リチウム塩が用いられる。
具体的には、LiPF6、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiTaF6、LiWF7等の無機リチウム塩;LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;FSO3Li、CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li等のスルホン酸リチウム塩類;LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート等のリチウム(マロナト)ボレート塩類;リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート等のリチウム(マロナト)ホスフェート塩類;その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;等が挙げられる。
本発明における非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。具体的には、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル系化合物、スルホン系化合物等が挙げられる。
なお、これら非水溶媒としては、前述の(I)群および(II)群の化合物は含まれないものとする。
また、本明細書において、非水溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有する環状カーボネートが挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレン基を有する、フッ素原子を有していない環状カーボネートの具体的な例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートが挙げられる。中でも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7の鎖状カーボネートが好ましく、炭素数3〜7のジアルキルカーボネートがより好ましい。
鎖状カーボネートの具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と記載する場合がある)も好適に用いることができる。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
環状カルボン酸エステルとしては、炭素原子数が3〜12のものが好ましい。
具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
鎖状カルボン酸エステルとしては、炭素数が3〜7のものが好ましい。具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等が挙げられる。
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていてもよい炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、
ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、
ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
炭素数3〜6の環状スルホンとしては、
モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;
ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と記載する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、t−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−t−ブチルスルホン等が挙げられる。
本発明の非水溶媒として、上記例示した非水溶媒1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
中でも、非水溶媒に占めるフッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートとの合計が、好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、かつ環状カーボネートと鎖状カーボネートとの合計に対するフッ素原子を有していない環状カーボネートの割合が好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上であり、また、好ましくは50体積%以下、より好ましくは35体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下、特に好ましくは25体積%以下である。
これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなることがある。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、非対称鎖状カーボネート類がエチルメチルカーボネートであるのが好ましく、又、鎖状カーボネートのアルキル基は炭素数1〜2が好ましい。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは2体積%以上、また、好ましくは20体積%以下、より好ましくは8体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下である。
この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れることがあるので好ましい。
中でも、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを含有し、ジメチルカーボネートの含有割合をエチルメチルカーボネートの含有割合よりも多くすることにより、電解液の電気伝導度を維持できながら、高温保存後の電池特性が向上することがあり好ましい。
上記フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せにおいては、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒、芳香族含フッ素溶媒等、他の溶媒を混合してもよい。
本発明の非水系電解液電池において、(I)群の化合物および(II)群の化合物以外に、目的に応じて適宜助剤を用いてもよい。助剤としては、以下に示される炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、およびその他助剤等が挙げられる。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の不飽和環状カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環もしくは炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類、カテコールカーボネート類等が挙げられる。
本発明の非水系電解液には、公知の助剤を用いることができる。助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジメチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジメチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド等の含燐化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
本発明の非水系電解液電池は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液電池について説明する。
本発明の非水系電解液電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能な負極及び正極と、上記の本発明の非水系電解液とを備える。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。また、(1)〜(4)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記金属酸化物が、一般式(A)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、一般式(A)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
[一般式(A)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
上記の一般式(A)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下がさらに好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることがさらに好ましい。
炭素質材料の質量基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、25μm以下が特に好ましい。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下がさらに好ましく、0.5以下が特に好ましい。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上がさらに好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下がさらに好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど、充填性が向上し、粒子間の抵抗を抑えることができるため、高電流密度充放電特性は向上する。従って、円形度が上記範囲のように高いほど好ましい。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上がさらに好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下がさらに好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、粒子間の抵抗の増大を抑制することができる。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上がさらに好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲であると、優れた高密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がさらに好ましい。上記範囲であると、極板化時のスジ引きを抑制し、さらに均一な塗布が可能となるため、優れた高電流密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上がさらに好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、高電流密度充放電時における集電体の発熱を抑制することができる。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がさらに好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下がさらに好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲であると、負極活物質粒子の破壊を防止して、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を抑制することができる一方、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
また、上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
(形状)
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成していてもよい。
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、さらに好ましくは1.0g/cm3以上である。該正極活物質のタップ密度が上記範囲であると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量及び導電材や結着剤の必要量を抑えることができ、結果正極活物質の充填率及び電池容量を確保することができる。タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.7g/cm3以下、さらに好ましくは3.5g/cm3以下である。上記範囲であると負荷特性の低下を抑制することができる。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、さらに好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記範囲であると、高タップ密度品が得られ、電池性能の低下を抑制できる一方、電池の正極作製、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化して薄膜状に塗布する際に、スジ引き等の問題を防止することができる。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種類以上混合することで、正極作製時の充填性をさらに向上させることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記範囲であると、粉体充填性及び比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制することができる一方、適度な結晶性が得られることによって、充放電の可逆性を確保することができる。
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.2m2/g以上、さらに好ましくは0.3m2/g以上であり、上限は50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、さらに好ましくは30m2/g以下である。BET比表面積が上記範囲であると、電池性能を確保できるとともに、正極活性物質の塗布性を良好に保つことができる。
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることにより正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。上記範囲であると、十分な導電性と電池容量を確保することができる。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系媒体としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、下限は、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。上記範囲であると、高電流密度充放電時の集電体の発熱を抑制し、電池容量を確保することができる。
本発明の非水系電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、さらに40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の質量が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲であると、電池容量を確保できるとともに内部圧力の上昇に伴う充放電繰り返し性能や高温保存等の特性低下を抑制し、さらにはガス放出弁の作動を防止することができる。
集電構造は、特に制限されないが、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(PositiveTemperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本実施例に使用した前記一般式(1)で表される化合物を以下に示す。
<実施例1−1>
<試験操作の説明>
[正極の製造]
正極活物質としてのリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)84質量%とリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)10質量%と、導電材としてアセチレンブラック3質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質であるグラファイト粉末94質量%とPVdF6質量%とを混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の片面に塗布・乾燥して負極を得た。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(以下、適宜、「EC」という)、エチルメチルカーボネート(以下、適宜、「EMC」という)およびジメチルカーボネート(以下、適宜、「DMC」という)からなる混合溶媒(混合体積比3:3:4)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。さらにかかる基本電解液に、添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート1.0質量%とモノフルオロエチレンカーボネート(以下、適宜、「MFEC」という)1.0質量%を添加して実施例1−1の非水系電解液を調製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、前述の非水系電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
25℃の恒温槽中、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)した後、0.2Cで3Vまで放電した。これを3回繰り返した。次いで、0.2Cで4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電した。さらに0.2Cで4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、1.0Cで3Vまで再度放電し、初期ハイレート容量とした。電池の初期容量評価終了後、電池をエタノール浴中に浸して質量を測定し、容量評価試験前後の質量変化から発生したガス量を求めた。これを初期ガス量とする。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期容量評価試験を行った後の非水系電解液電池を、再度、0.2Cで4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、24時間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して質量を測定し、保存前後の質量変化から発生したガス量を求めた。これを保存ガス量とした。次に、25℃において0.2Cで3Vまで放電させた。その後、0.2Cで4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)を行い、0.2Cで3Vまで放電させ、高温保存特性試験後の0.2C放電容量を測定し、これを保存後0.2C容量とした。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期容量評価試験ならびに高温保存特性評価試験を実施した。評価結果を表1に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート1.0質量%とリチウムビス(オキサラト)ボレート(以下、適宜、「LiBOB」という)1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート1.0質量%とLiPO2F20.5質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート1.0質量%とヘキサメチレンジイソシアネート(以下、適宜、「HMDI」という)0.5質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート1.0質量%とMFEC 1.0質量%とLiBOB 1.0質量%とHMDI 1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤としてエチルフェノキシプロピオネート1.0質量%とMFEC 1.0質量%とLiBOB 1.0質量%とHMDI 1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤を添加しなかった他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤としてMFEC 1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤としてLiBOB 1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤としてLiPO2F2 0.5質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤としてHMDI 0.5質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤としてMFEC 1.0質量%とLiBOB 1.0質量%とHMDI 1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート1.0質量%とビニレンカーボネート(以下、適宜、「VC」という)1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
添加剤としてシクロヘキシルベンゼン1.0質量%とMFEC 1.0質量%とLiBOB 1.0質量%とHMDI 1.0質量%を添加した他は実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
また、(I)群の化合物が単独で添加されている場合(比較例1−2)には、初期ハイレート容量の若干の向上は見られるものの、保存後0.2C容量、及び保存ガス量が悪化するため、不十分である。
また、(II)群の化合物が単独で添加されている場合(比較例1−2〜1−7)には、一部初期ハイレート容量、保存後0.2C容量または保存ガス量の向上効果が見られるものの、その効果は小さく、不十分であることがわかる。
さらに、(I)群または(II)群に含まれない化合物を用いた場合も(比較例1−8及び1−9)、初期ハイレート容量、保存後0.2C容量および保存ガス量の向上効果が不十分であることがわかる。
このことから、(I)群の化合物、及び(II)群の化合物を同時に用いることで、特異的な特性向上効果を確認することができる。
<実施例2−1>
<試験操作の説明>
[正極の製造]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)90質量%と、導電材としてカーボンブラック7質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=97.5:1.5:1の質量比となるように作製した。
乾燥アルゴン雰囲気下、EC、EMCおよびDMCからなる混合溶媒(混合体積比3:3:4)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。さらにかかる基本電解液に、添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート4.0質量%と1,3−プロパンスルトン(以下、適宜、「PS」という)1.0質量%を添加して実施例2−1の非水系電解液を調製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素を袋状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、前述の非水系電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
25℃の恒温槽中、1/3Cに相当する電流で4.1VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.3Cで3Vまで放電した。これを3回繰り返し行なった。次いで、1/3Cで4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、1/3CCで3Vまで再度放電し、電池の初期コンディショニングを行った。
初期コンディショニングの終了した電池を、再度25℃において1/3Cの定電流で4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸して体積を測定した。その後、45℃において1C電流を0.8時間印加した。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電特性評価試験の前後の体積変化から発生した過充電ガス量を求めた。
なお、過充電ガス量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇したときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることができる。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、過充電特性評価試験を実施した。評価結果を表2に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート4.0質量%と、LiBF4 0.5質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート4.0質量%と、フルオロスルホン酸リチウム(FSO3Li)0.25質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート4.0質量%と、ヘキサメチルジシラン(以下、適宜、「HMDS」という)0.5質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤を添加しなかった他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート4.0質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤としてPS 1.0質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤としてLiBF4 0.5質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤としてフルオロスルホン酸リチウム(FSO3Li)0.25質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
添加剤としてHMDS 0.5質量%を添加した他は実施例2−1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
また、(I)群の化合物が単独で添加されている場合(比較例2−2)には、過充電ガス量の増加は見られるものの、その量は少なく、過充電特性としては不十分であることがわかる。
また、(II)群の化合物が単独で添加されている場合(比較例2−3〜2−6)には、過充電ガス量が減少してしまい、過充電特性としては不十分であることがわかる。
このことから、(I)群の化合物、及び(I)群の化合物を同時に用いることで、特異的な過充電特性向上効果を確認することができ、電池安全性に著しく優れていることがわかる。
<実施例3−1>
<試験操作の説明>
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ21μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末の混合物、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=100:1:1の質量比となるように作製した。
乾燥アルゴン雰囲気下、MFEC、DMCからなる混合溶媒(混合体積比3:7)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。さらにかかる基本電解液に、添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート2.0質量%とアジポニトリル(以下、適宜、「AdpCN」という)1.0質量%を添加して実施例3−1の非水系電解液を調製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層した。こうして得られた電池要素を袋状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、前述の非水系電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。その後、0.2Cに相当する電流で4.1VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.33VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期容量を求めた。
初期容量評価試験の終了した電池を、再度25℃において0.2Cの定電流で4.33VまでCCCV充電した後、エタノール浴中に浸して体積を測定した。その後、45℃において0.2C電流を2.5時間印加した。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電特性評価試験の前後の体積変化から発生した過充電ガス量を求めた。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期容量評価試験ならびに過充電特性評価試験を実施した。評価結果を表3示す。
添加剤としてAdpCN 1.0質量%を添加した他は実施例3−1と同様にして評価した。結果を表3に示す。
添加剤として3−フェニル−n−プロピルアセテート 2.0質量%を添加した他は実施例3−1と同様にして評価した。結果を表3に示す。
添加剤を添加しなかった他は実施例3−1と同様にして評価した。結果を表3に示す。
また、実験3ではMFECを非水溶媒として用いている。そのため、実施例3−2においても、比較例3−2に比べて過充電ガス量に優れていることが分かる。
ここで、実施例3−1と3−2の過充電ガス量を比べてみると、実施例3−1の方がその増加量が多く、過充電特性として優れた効果を奏している。
このことから、(II)群の化合物としてシアノ基を有する化合物を(I)群の化合物と併せて用いることで、特異的な過充電特性向上効果を確認することができ、電池安全性に著しく優れていることがわかる。
<実施例4−1>
<試験操作の説明>
[正極の製造]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ21μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として非晶質被覆黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョンを加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、非晶質被覆黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
乾燥アルゴン雰囲気下、EC、EMCおよびDMCからなる混合溶媒(混合体積比3:3:4)に、電解質であるLiPF6を1.0mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。さらにかかる基本電解液に、添加剤としてエチルフェノキシプロピオネート0.5質量%とMFEC 2.0質量%を添加して実施例4−1の非水系電解液を調製した。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製セパレータを、乾燥アルゴン雰囲気下で正極、セパレータ、負極の順に積層し、得られた電池要素をコイン状のSUS製容器に入れ、前述の非水系電解液を注入した後でカシメて封止し、コイン状の非水系電解液二次電池を作製した。
25℃の恒温槽中、0.2Cに相当する電流で4.1VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで放電した。これを3回繰り返し行なった。次いで、0.2Cで4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期0.2C容量を求めた。さらに0.2Cで4.2VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、1.0Cで3Vまで再度放電し、初期ハイレート容量を求めた。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期容量評価試験を実施した。評価結果を表4示す。
添加剤として2−フェニルエチルアセテート0.5質量%と、MFEC 2.0質量%を添加した他は実施例4−1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
添加剤としてMFEC 2.0質量%を添加した他は実施例4−1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
添加剤としてベンジルアセテート0.5質量%と、MFEC 2.0質量%を添加した他は実施例4−1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
添加剤として1,3−ジアセトキシベンゼン0.5質量%と、MFEC 2.0質量%を添加した他は実施例4−1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
添加剤としてp−クレジルアセテート0.5質量%と、MFEC 2.0質量%を添加した他は実施例4−1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
また、(I)群の化合物に含まれないベンジルアセテート(前記一般式(1)中、j=1、k=0)、1,3−ジアセトキシベンゼン(前記一般式(1)中、j=0、k=0)またはp−クレジルアセテート(前記一般式(1)中、j=0、k=0)と(II)群の化合物を同時に用いた場合、初期0.2C容量ならびに初期ハイレート容量を同時に向上させることはできず、不十分であることがわかる。この要因については、上述したように化合物における−O−CO−R1基とベンゼン環の空軌道が重なり合ってしまい、負極で還元副反応を起こすことで電池容量のロスならびに高抵抗な被膜を生じてしまったためと考えられる。
このことから、(I)群の化合物、及び(II)群の化合物を同時に用いることで、特異的な初期容量向上効果を確認することができる。
Claims (4)
- 電解質および非水溶媒を含む非水系電解液において、
(I)下記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸エステル化合物と、
(II)フッ素原子を有する環状カーボネート化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、フルオロスルホン酸塩、SO2基を有する化合物、シアノ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、シュウ酸塩、Si含有化合物、並びに一般式(1)以外の芳香族化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有し、
前記(II)の化合物が、下記(i)〜(vii)の少なくとも1つを満たし、
前記非水系電解液において、非水溶媒がフッ素原子を有する環状カーボネート以外の環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを含み、
非水系電解液中の、前記(I)群の化合物の合計含有量が0.001質量%以上10質量%以下および前記(II)群の化合物の合計含有量が0.001質量%以上20質量%以下であることを特徴とするリチウム二次電池用非水系電解液。
(i)前記フッ素原子を有する環状カーボネートが、フッ素化エチレンカーボネートである。
(ii)SO2基を有する化合物が、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル並びに環状亜硫酸エステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(iii)前記シアノ基を有する化合物が、少なくとも2つのシアノ基を有する化合物である。
(iv)前記イソシアネート基を有する化合物が、少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物である。
(v)前記シュウ酸塩が、一般式(2)で表される金属塩である。
(vi)前記Si含有化合物が、一般式(3)で表される化合物である。
(vii)前記一般式(1)以外の芳香族化合物が、ハロゲン化芳香族化合物または芳香族炭化水素化合物である。
- 前記一般式(1)中、jまたはkのいずれかが2以上の整数である、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水系電解液。
- さらに炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液リチウム二次電池。
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