JP2011028860A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶媒の分解及び電池の変形を抑制し、高温サイクル時の電池特性が改善された電池を提供すること。
【解決手段】正極及び負極と、電解質と、セパレータを備えた非水電解質電池である。正極に水分が1000ppm〜50ppm含有される。電解質が、次式:X−R1−N=C=O…(I)、O=C=N−R2−N=C=O…(II)、O=C=N−R3−N=C=O…(III)(式中のXは水素原子又はハロゲン原子、R1及びR2はハロゲン、リン、珪素、酸素及び硫黄などのヘテロ原子を有していてもよいC1〜C22の脂肪族炭化水素基、R3は上記ヘテロ原子を有していてもよいC6〜C20の芳香族炭化水素基及び/又は上記ヘテロ原子を有していてもよいC6〜C20の脂環式炭化水素基を1〜4つ含み上記ヘテロ原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表されるイソシアナート化合物と、特定の芳香族化合物を、含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池などの非水電解質二次電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(Video Tape Recorder)、携帯電話やノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化及び長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
中でも、充放電反応にリチウム(Li)の吸蔵及び放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)は、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。このリチウムイオン二次電池は、正極及び負極と共に電解質を備えている。
非水電解質二次電池の種々の性能を向上させるために鋭意開発が進められている。
特に外装にアルミラミネートフィルムを使用するラミネート電池は、軽量なためエネルギー密度が大きいが、ラミネート電池では、電解液の分解によって生じるガスによって、電池膨れが生じる問題がある。この問題を解決するための方法として、鎖状カーボネートにジエチルカーボネートのような炭素数が比較的多い鎖状カーボネートを用いる方法があるが、粘度や導電率が増大し、繰り返し充放電における放電容量維持率の低下が生じてしまう。
例えば、黒鉛層間へのインターカレーション反応に例示されるような、リチウム(Li)イオンの吸脱蔵が可能とされた炭素質材料によって負極が構成される、リチウムイオン二次電池に関しては、電解質を構成する溶媒として、比較的高沸点かつ高誘電率であるプロピレンカーボネートやガンマブチロラクトン(γ―ブチロラクトン)をエチレンカーボネート及び鎖状カーボネート溶媒と併用させることにより、高温保存による電池の特性劣化を抑制する手法が知られている(特許文献1参照)。
しかし、負極活物質として黒鉛系材料を用いた場合、負極での還元分解反応が生じるため、電池の使用とともに特性が低下するのみならず、溶媒の分解気化によって電池の変形をも生じることが指摘され、問題となっている。
これに対し、電池の使用初期の充放電時に負極上にSEI(Solid Electrolyte Interface;固体電解質膜)と呼称される被膜を形成する化合物を、予め溶媒中に添加した電解質構成により、負極上における溶媒の還元分解及び電池の変形を抑制する手法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
しかし、特許文献2に記載の電解質構成による場合、使用に伴う特性劣化を抑制できず、高温保存時にガス発生及び電池の変形をも生じてしまう。
また、以下の化学式で示される構造で、イソシアネート基を有する芳香族系化合物を含んだ非水電解質及び電池が提案されている(例えば特許文献3参照)。
O=C=N−Ar−N=C=O
(式中のArはアリール基(芳香族系炭素鎖)を示す。)
また、リチウムイオン二次電池においては、正極、負極、セパレータ、非水電解質中に水分が含まれると、非水電解質の成分と水分とが反応して非水電解質の成分が分解し、電池内部におけるガス発生が顕著となることから、初期充放電特性、充放電サイクル特性、保存特性等が低下する。
したがって、電極、セパレータ及び非水電解質に含まれる水分を低減させるための検討がなされている。例えば、正極を構成する正極合剤に含有する水分量を、正極合剤1gに対して260ppm以下、負極を構成する負極合剤に含有する水分量を負極合剤1gに対して10ppm以下、非水電解質中の水分量を非水電解質全体に対して20ppm以下に低減することにより、リチウムイオン二次電池の初期充放電特性及び充放電サイクル特性を向上させる手法が提案されている(例えば特許文献4参照)。
特開平09−92329号公報 特開2003−151623号公報 特開2002−8719号公報 特開2001−297750号公報
しかしながら、特許文献3に記載の非水電解質や電池あっては、上記の化学式で表されるような添加物を含む電解質構成を採用することによって、高温保存特性の改善はみられるが、今後のさらなる高容量化を図る場合、充放電にともなうゆるやかな発熱も含めた高温時の電池特性の向上、すなわち、より一層の変形抑制、サイクル特性や容量についてのさらなる向上が求められている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶媒の分解及び電池の変形を抑制し、高温サイクル時の電池特性が改善された電池を提供することにある。
なお、このような電池の外装部材の変形、つまり膨張と、それに伴う電池特性の劣化の問題は、ラミネートフィルムによる外装部材による構成においてのみならず、金属缶による外装部材による構成においても、近年の容器の薄肉化に対応する上で有用と考えられる。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、正極中に意図的に特定量の水分を存在させ、且つ非水電解質に特定構造のイソシアナート化合物及び芳香族化合物を含有させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の非水電解質二次電池は、正極及び負極と、非水電解質と、セパレータを備えた非水電解質電池であって、
上記正極に水分が1000ppm〜50ppm含有されており、
上記電解質が、以下の式(I)〜(III)
X−R1−N=C=O…(I)
O=C=N−R2−N=C=O…(II)
O=C=N−R3−N=C=O…(III)
(式(I)〜(III)中のXは水素原子又はハロゲン原子を示し、R1及びR2はハロゲン、リン、珪素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれた少なくとも1種のヘテロ原子を有していてもよいC1〜C22の脂肪族炭化水素基を示し、R3は上記ヘテロ原子を有していてもよいC6〜C20の芳香族炭化水素基及び/又は上記ヘテロ原子を有していてもよいC6〜C20の脂環式炭化水素基を1〜4つ含み上記ヘテロ原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される少なくとも1種のイソシアナート化合物と、
式(IV)
Figure 2011028860
(式(IV)中のR4〜R9は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、脂肪族アルキル基、脂環式アルキル基、フェニル基又はアルコキシル基であり、水素原子の一部又は全てをハロゲン原子で置換してあってもよく、互いに環を形成していてもよい)で表される芳香族化合物を、含有する。
本発明によれば、正極中に意図的に特定量の水分を存在させ、且つ非水電解質に特定構造のイソシアナート化合物及び芳香族化合物を含有させることとしたため、溶媒の分解及び電池の変形を抑制し、高温サイクル時の電池特性が改善された電池を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る非水電解質を用いた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る非水電解質を用いた第2の二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った構成を表す断面図である。
以下、本発明の非水電解質電池について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の非水電解質電池においては、正極が水分を1000〜50ppm含有する。
即ち、正極中の水分含有量としては、正極活物質含有層を構成する材料1gに対して50ppm以上1000ppm以下の範囲内であり、100ppm以上500ppmの範囲内であることがより好ましい。この範囲であれば、本発明の所期の効果を発揮し得る。
また、本発明の非水電解質電池では、非水電解質が所定のイソシアナート化合物と、芳香族化合物とを含有する。
まず、イソシアナート化合物について説明すると、具体的には、非水電解質は、上記式(I)〜(III)で表されるイソシアナート化合物のうちの少なくとも1種を含有する。
即ち、非水電解質は、式(I)、(II)又は(III)のいずれかで表される化合物のみを含有するものでもよいし、これらの2種以上の組み合わせを含有するものでもよく、更に、各々の場合、同一一般式基準で1種以上を用いることもできる。
非水電解質中におけるイソシアナート化合物の含有量は0.01〜5質量%とすることが好ましく、0.1〜1質量%とすることが更に好ましい。
5質量%を超えると、負極被膜が厚くなり被膜抵抗が大きくなりすぎることがあり、0.01質量%未満では所期の効果が得られないことがある。
本発明において、上記のイソシアナート化合物は、難燃性や導電性を付与する目的で、炭素上にハロゲン、リン、珪素、酸素、硫黄その他の元素を適宜置換することができる。
これらの元素はイソシアナート基の反応性を阻害しない範囲で置換されることが好ましい。
以下にイソシアナート化合物の具体例(式(1)〜式(12))を挙げるが、使用可能なイソシアナート化合物は、これらに限定されるものではない。
C−(CH−N=C=O…(1)
C−(CH−N=C=O…(2)
C−(CH−N=C=O…(3)
C−(CH11−N=C=O…(4)
C−(CH17−N=C=O…(5)
O=C=N−(CH−N=C=O…(6)
O=C=N−(CH−N=C=O…(7)
O=C=N−(CH−N=C=O…(8)
O=C=N−(CH12−N=C=O…(9)
O=C=N−(CH16−N=C=O…(10)
Figure 2011028860
式(1)〜式(12)の化合物としては、炭素鎖の炭素の数が6以上22以下であるものが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
更に、イソシアナート化合物を構成する炭素鎖が直鎖状であるものが好ましい。上記の中でも式(4)、(5)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)の化合物が好ましく、式(5)、(7)、(11)の化合物がより好ましい。
次に、芳香族化合物について説明する。
この芳香族化合物は、上記の式(IV)で表される構造を有し、その構造については詳細な説明を省略するが、ハロゲン原子としては、塩素、フッ素が好ましい。脂肪族アルキル基としては、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のもの、脂環式アルキル基としては、飽和又は不飽和の炭素数3〜8のもの、アルコキシル基としては、そのアルキル基部分が上記アルキル基であることが好ましい。
脂肪族アルキル基、脂環式アルキル基又はアルコキシル基は、水素の一部又は全てをハロゲンで置換してあってもよい。置換し得るハロゲンとしては、塩素又はフッ素が好ましい。また、R4〜R9は、互いに結合して環を形成していてもよい。
また、芳香族化合物としては、下記の式(V)で表されるものも好適に用いることができる。
Figure 2011028860
ここで、R10は脂肪族アルキル基、脂環式アルキル基又はフェニル基であり、水素の一部又は全てをハロゲン原子で置換してあってもよい。脂肪族アルキル基としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基が好ましく、脂環式アルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。R11〜R15は、各々独立して水素原子又はハロゲン原子であり、該ハロゲン原子としては、塩素、フッ素が好ましい。
式(V)の芳香族化合物としては、具体的には、シクロへキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−ペンチルベンゼン及びフルオロベンゼンが好ましい。
更に、芳香族化合物としては、下記の式(VI)で表されるものも好適に用いることができる。
Figure 2011028860
ここで、R16は脂肪族アルキル基、脂環式アルキル基又はフェニル基であり水素の一部又は全てをハロゲン原子で置換してあってもよい。脂肪族アルキル基としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びtert−ペンチル基が好ましく、脂環式アルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。R17〜R21は、各々独立して水素原子又はハロゲン原子であり、該ハロゲン原子としては、塩素、フッ素が好ましい。
式(VI)の化合物としては、1つ以上の水素原子がフッ素化されたアニソールを好適に用いることができる。
かかる芳香族化合物は、非水電解質に対して0.01〜10質量%で含まれることが好ましく、0.1〜1質量%が更に好ましい。この範囲であれば、所期の効果を奏することができる。
本実施形態では、正極中に意図的に特定量の水分を存在させ、非水電解質に特定構造のイソシアナート化合物と芳香族化合物を含有させ、これによって、非水電解質の高温での分解を抑制し、高温サイクル時の電池特性を改善するものである。
このような優れた特性が得られる理由は必ずしも明らかではないが、非水電解質が上記の式(I)〜(III)で表される鎖状イソシアナート化合物を含有することにより、使用初期の充放電によって負極上に安定なSEIが形成され、炭素質材料の剥離や、環状炭酸エステルの分解を抑制することが可能になると同時に、正極中に存在する水分とも反応することで、正極上においても安定なSEIを形成できるものと考えられる。
次に、非水電解質に含まれる溶媒について説明する。
溶媒としては、例えば、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、リン酸トリメチル及びジメチルスルホキシドなどを用いることができる。
非水電解質を備えた、電池などの電気化学デバイスにおいて、優れた容量、サイクル特性及び保存特性が得られるからである。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
中でも、溶媒としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル及び炭酸エチルメチルからなる群より選ばれた少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。十分な効果が得られるからである。
この場合には、特に、高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)である炭酸エチレン又は炭酸プロピレンと、低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)である炭酸ジメチル、炭酸ジエチル又は炭酸エチルメチルとを混合して含むものを用いることが好ましい。電解質塩の解離性及びイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
この溶媒は、下記の化5〜化7で表される不飽和結合を有する環状炭酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有しているのが好ましい。非水電解質の化学的安定性がより向上するからである。
Figure 2011028860
ここで、化5中のR22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよいアルキル基である。
Figure 2011028860
ここで、化6中のR24〜R27は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜12のハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素基、又は炭素数が2〜12のアルケニル基であり、そのうちの少なくとも一つは炭素数が2〜12のアルケニル基である。
Figure 2011028860
なお、化7中のR28はアルキレン基である。
化5に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニレン系化合物である。
この炭酸ビニレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オン、及び4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、炭酸ビニレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
また、化6に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニルエチレン系化合物である。
炭酸ビニルエチレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、及び4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、炭酸ビニルエチレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。もちろん、R6〜R9としては、全てがビニル基でもよいし、全てがアリル基でもよいし、ビニル基とアリル基とが混在していてもよい。
化7に示した不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸メチレンエチレン系化合物である。
炭酸メチレンエチレン系化合物としては、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、及び4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。この炭酸メチレンエチレン系化合物としては、1つのメチレン基を有するもの(化6に示した化合物)の他、2つのメチレン基を有するものであってもよい。
なお、不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、化4〜化6に示したものの他、ベンゼン環を有する炭酸カテコール(カテコールカーボネート)などであってもよい。
また、溶媒は、化8で表されるハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステル、及び化9で表されるハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含有しているのが好ましい。非水電解質の化学的安定性がより向上するからである。
Figure 2011028860
ここで、R29〜R34は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基である。
Figure 2011028860
ここで、R35〜R38は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン原子又はハロゲン化アルキル基である。
なお、化8中のR29〜R34は、同一でもよいし異なってもよい。このことは、化9中のR35〜R38についても同様である。
ハロゲンの種類は、特に限定されないが、例えば、フッ素、塩素及び臭素からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられ、中でもフッ素が好ましい。高い効果が得られるからである。もちろん、他のハロゲンであってもよい。
ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上であってもよい。二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、電極表面において保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、非水電解質の分解反応がより抑制されるからである。
化8に示したハロゲンを有する鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)又は炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
化9に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルとしては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、の4,5−ジクロロ−1,3−オキソラン−2−オン、テトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−(1,1−ジフルオロエチル)−4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、及び4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンがより好ましい。
特に、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
本発明においては、非水電解質が、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルを、それぞれ30〜80質量%、10〜50質量%、及び0.01〜5質量%の割合で含むことが好ましい。
これらのエステルが上記の範囲を逸脱すると、導電率の低下などにより電池特性が悪化することがある。
また、非水電解質としては、ハロゲン化炭酸エチレンを0.1〜40質量%の割合で含むことが好ましい。
ハロゲン化炭酸エチレンの含有量が上記の範囲を逸脱すると、電極表面において保護膜を形成する能力が十分でなく、目的とする効果が得られないことがある。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩の1種又は2種以上を含有している。
このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C)、メタンスルホン酸リチウム(LiCHSO)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl)、六フッ化ケイ酸二リチウム(LiSiF)、塩化リチウム(LiCl)及び臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。
中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム及び六フッ化ヒ酸リチウムからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。非水電解質の抵抗が低下するからである。
特に、六フッ化リン酸リチウムと一緒に四フッ化ホウ酸リチウムを用いるのが好ましい。高い効果が得られるからである。
本実施形態に係る電池において、この非水電解質は、非水溶媒(有機溶媒)に、前述した式(I)〜(III)表される構造を有するイソシアナート化合物、及び式(IV)で表される構造を有する芳香族化合物が溶解された構成を有している。
このイソシアナート化合物は、式(I)〜(III)で表されるように脂肪族炭素鎖Rを主鎖とする構造を有しており、イソシアナート基が結合した主鎖の炭素数を6以上に選定することにより、高温保存時の溶媒の分解及び電池の変形を抑制することができる。
さらに式(IV)で表される芳香族化合物を同時に含有することで、高温サイクル時の電池特性が改善された電池を得ることが可能となる。
このような、電池の外装部材の変形つまり膨張と、それに伴う電池特性の劣化の問題は、ラミネートフィルムによる外装部材による構成においてのみならず、金属缶による外装部材による構成においても、近年の容器の薄肉化に対応する上で有用と考えられる。
(第1の二次電池)
図1及び図2は、第1の非水電解質電池(二次電池)の断面構成を表しており、図2では、図1に示した巻回電極体の一部を拡大して示している。この電池は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵及び放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、主にほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、セパレータ23を介して正極21と負極22とが巻回された巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されたものである。この円柱状の電池缶11を用いた電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶11は、例えば、一端部が閉鎖されると共に他端部が開放された中空構造を有しており、鉄、アルミニウム及びそれらの合金などの金属材料によって構成されている。
なお、電池缶11が鉄によって構成される場合には、例えば、ニッケルなどの鍍金が施されてもよい。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を上下から挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、その内側に設けられた安全弁機構15及び熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめて取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の金属材料によって構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構16では、内部短絡や外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上になると、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続が切断されるようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じた抵抗の増大によって電流を制限し、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。この巻回電極体20では、アルミニウムなどの金属材料によって構成された正極リード25が正極21に接続されていると共に、ニッケルなどの金属材料によって構成された負極リード26が負極22に接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接されて電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は、電池缶11に溶接されて電気的に接続されている。
正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層21Bは、正極集電体21Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体21あは、例えば、アルミニウム、ニッケル及びステンレスなどの金属材料によって構成されている。
正極活物質層21Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。
中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガン及び鉄からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、LixM1O又はLiyMPOで表される。式中、M1及びM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。x及びyの値は、充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1−zCo(z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi(1−v−w)CoMn(v+w<1))、又はスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)若しくはリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiMn2−tNi(t<2))などが挙げられる。中でも、コバルトを含む複合酸化物が好ましい。高い容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。
また、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)や、リチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−uMnuPO(u<1))などが挙げられる。
更にまた、より高い電極充填性とサイクル特性が得られるという観点から、下記の[1]〜[5]に示したリチウム含有化合物のいずれかより成る芯粒子の表面を他のリチウム含有化合物のいずれかより成る微粒子で被覆した複合粒子としてもよい。
LiCo(1−g)M1O(2−h)…[1]
ここで、式中のM1は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)から成る群より選ばれた少なくとも1種を表す。f、g、h及びjは、0.8≦f≦1.2、0≦g<0.5、−0.1≦h≦0.2、0≦j≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。
LiMn(1−m−n)NiM2(2−p)…[2]
ここで、式中のM2は、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)から成る群より選ばれた少なくとも1種を表す。k、m、n、p及びqは、0.8≦k≦1.2、0<m<0.5、0≦n≦0.5、m+n<1、−0.1≦p≦0.2、0≦q≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、kの値は完全放電状態における値を表している。
LiNi(1−s)M3(2−t)…[3]
ここで、式中のM3は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)から成る群より選ばれた少なくとも1種を表す。r、s、t及びuは、0.8≦r≦1.2、0.005≦s≦0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。
LiMn2−wM4…[4]
ここで、式中のM4は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びタングステン(W)から成る群より選ばれた少なくとも1種を表す。v、w、x及びyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。
LiPO…[5]
ここで、式中のM5は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)及びジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。
この他、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム及び二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化チタン及び硫化モリブデンなどの二硫化物や、セレン化ニオブなどのカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリン及びポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
もちろん、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されてもよい。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック及びケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料や導電性高分子などであってもよい。
結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴム及びエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
負極22は、例えば、一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。ただし、負極活物質層22Bは、負極集電体22Aの片面だけに設けられていてもよい。
負極集電体22Aは、例えば、銅、ニッケル及びステンレスなどの金属材料によって構成されている。この負極集電体22Aの表面は、粗面化されているのが好ましい。いわゆるアンカー効果によって負極集電体22Aと負極活物質層22Bとの間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層22Bと対向する領域において、負極集電体22Aの表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理によって微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法によって負極集電体の表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。この電解処理によって粗面化された銅箔を含め、電解法によって作製された銅箔は、一般に「電解銅箔」と呼ばれている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。なお、結着剤及び導電剤に関する詳細は、例えば、正極について説明した場合と同様である。また、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料の充電容量は、正極活物質による充電容量よりも大きくなっているのが好ましい。満充電時においても、負極にリチウムがデンドライトとなって析出する可能性が低くなるからである。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。この炭素材料とは、例えば、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭及びカーボンブラック類などがある。
このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵及び放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られ、さらに導電剤としても機能するので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状及び鱗片状のいずれでもよい。
上記の他、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵及び放出することが可能であると共に金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。
このような負極材料は、金属元素又は半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、それらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、ここで言う「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、及びそれらの2種以上が共存するものがある。
上述の金属元素又は半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素又は半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)などである。
これらの金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料としては、例えば、これらの金属元素、半金族元素の合金及び化合物が挙げられ、具体的には、MaMbLi(s、t及びuの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0である。)や、MaqMcqMdr(p、q及びrの値はそれぞれp>0、q>0、r≧0である。)の化学式で表されるものなどが挙げられる。ただし、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mbはリチウム及びMa以外の金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を表わしている。また、Mcは非金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を表している。これらの材料は結晶質であってもよく、非晶質(アモルファス)であってもよい。
リチウムと合金を形成することが可能な金属元素又は半金属元素により構成された負極材料としては、長周期型周期表における14族の金属元素及び半金族元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が好ましく、ケイ素及びスズのうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が特に好ましい。リチウムを吸蔵及び放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素及びスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金及び化合物や、スズの単体、合金及び化合物や、それらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)及びクロムからなる群より選ばれた少なくとも1種を有するものが挙げられる。
ケイ素の化合物としては、例えば、酸素又は炭素(C)を有するものが挙げられ、ケイ素に加えて、上記した第2の構成元素を有していてもよい。
ケイ素の合金又は化合物の一例としては、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)及びLiSiOなどが挙げられる。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群より選ばれた少なくとも1種を有するものが挙げられる。スズの化合物としては、例えば、酸素又は炭素を有するものが挙げられ、スズに加えて、上記した第2の構成元素を有していてもよい。スズの合金又は化合物の一例としては、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSnO及びMgSnなどが挙げられる。
特に、ケイ素及びスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、スズを第1の構成元素とし、それに加えて第2及び第3の構成元素を有するものが好ましい。第2の構成元素は、コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム(V)、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ(Nb)、モリブデン、銀、インジウム、セリウム(Ce)、ハフニウム、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素、炭素、アルミニウム及びリン(P)からなる群より選ばれた少なくとも1種である。第2及び第3の構成元素を有することにより、サイクル特性が向上するからである。
リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料として、ケイ素の単体、合金及び化合物や、スズの単体、合金及び化合物や、それらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有する材料を用いた負極活物質層は、例えば、気相法、液相法、溶射法、塗布法若しくは焼成法、又はそれらの2種以上の方法を用いて形成される。
この場合には、負極集電体と負極活物質層とが界面の少なくとも一部において合金化しているのが好ましい。詳細には、両者の界面において、負極集電体の構成元素が負極活物質層に拡散していてもよいし、負極活物質層の構成元素が負極集電体に拡散していてもよいし、それらの構成元素が互いに拡散し合っていてもよい。充放電時における負極活物質層の膨張及び収縮に起因する破壊が抑制されると共に、負極集電体と負極活物質層との間の電子伝導性が向上するからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法や化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法及びプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。
液相法としては、電解鍍金又は無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、溶剤に分散させて塗布する方法である。焼成法とは、例えば、塗布法によって塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法及びホットプレス焼成法が挙げられる。
また、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な金属酸化物や高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウム及び酸化モリブデンなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリン及びポリピロールなどが挙げられる。
もちろん、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の負極材料は、任意の組み合わせで2種以上混合されもよい。
セパレータ23は、正極と負極とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡(ショート)を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。
このセパレータは、例えば、平均孔径が5μm程度又はそれ以下の多孔質膜であってもよく、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜、セラミックからなる多孔質膜や、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものなどが挙げられる。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は、ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による二次電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下でシャットダウン効果を得ることができると共に、電気化学的安定性が優れているので好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であれば、ポリエチレンやポリプロピレンと共重合させたものや、ブレンド化したものであってもよい。
上記その他の材料としては、例えばポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アラミド、ポリイミド及びポリアクリロニトリルなどを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合ないし重合させて用いることもできる。なお、ポリオレフィン性の多孔質膜は、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。
また、特に限定されるものではないが、典型的にはポリエチレン層を中間層とし、その片面若しくは両面に上記その他の材料から成り同一組成である層を設けることが好ましい。
セパレータには、液状の非水電解質として上記した電解液が含浸されている。サイクル特性が向上するからである。
この二次電池は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、正極を作製する。最初に、正極活物質と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードやバーコータなどによって正極集電体の両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して正極活物質層を形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
次に、負極を作製する。最初に、電解銅箔などからなる負極集電体を準備したのち、蒸着法などの気相法によって負極集電体の両面に負極材料を堆積させて、複数の負極活物質粒子を形成する。最後に、必要に応じて、液相析出法などの液相法によって酸化物含有膜を形成し、又は電解鍍金法などの液相法によって金属材料を形成して、負極活物質層を形成する。
次に、正極集電体に正極リードを溶接などして取り付けると共に、負極集電体に負極リードを溶接などして取り付けたのち、セパレータを介して正極と負極とを積層させてから、長手方向において巻回させて巻回電極体を作製する。
二次電池の組み立ては、以下のようにして行う。
最初に、巻回電極体20の巻回中心部にセンターピン24を挿入する。続いて、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟みながら電池缶11の内部に収納すると共に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接し、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接する。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させる。最後に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15及び熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1及び図2に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極からリチウムイオンが放出され、セパレータに含浸された電解液を介して負極に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極からリチウムイオンが放出され、セパレータに含浸された電解液を介して正極に吸蔵される。
この円筒型の二次電池によれば、負極の容量がリチウムの吸蔵及び放出に基づいて表される場合に、上記した非水電解質を備えているので、充放電を繰り返しても、その電解液の分解反応が抑制される。したがって、電池特性を向上させることができる。
この二次電池に関する他の効果は、上記した非水電解質について説明した場合と同様である。
(第2の二次電池)
図3は、第2の二次電池の分解斜視構成を表している。この二次電池は、主に、正極リード31及び負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収容したものである。このフィルム状の外装部材40を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31及び負極リード32は、例えば、それぞれ外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって構成されている。また、負極リード32は、例えば、銅、ニッケル及びステンレスなどの金属材料によって構成されている。正極リード31及び負極リード32を構成するそれぞれの金属材料は、例えば、薄板状又は網目状とされている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔及びポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされた矩形状のアルミラミネートフィルムによって構成されている。この外装部材では、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体と対向していると共に、各外縁部が融着又は接着剤によって互いに密着されている。
外装部材40と正極リード31及び負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31及び負極リード32に対して密着性を有する材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂によって構成されている。
なお、外装部材40は、上記した3層構造のアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルムにより構成されていてもよいし、また、ポリプロピレンなどの高分子フィルムや金属フィルムによって構成されていてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体のIV−IV線に沿った断面構成を表している。この巻回電極体40は、正極33と負極34とがセパレータ35及び電解質36を介して積層されたのちに巻回されたものであり、その最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものであり、その負極活物質層34Bが正極活物質層33Bと対向するように配置されている。
正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34B及びセパレータ35の構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体、正極活物質層、負極集電体、負極活物質層及びセパレータの構成と同様である。
電解質は、上記した電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状になっている。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。なお、ポリマーを若干含み全体としてゲル状をなす電解質も使用可能なことは言うまでもない。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン及びポリカーボネートなどが挙げられる。
これらは、単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。特に、電気化学的安定性の点から、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン及びポリエチレンオキサイドなどを用いることが好ましい。電解液中における高分子化合物の添加量は、両者の相溶性によっても異なるが、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
電解液の組成は、上記した第1の電池における電解液の組成と同様である。ただし、ここで言う溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解液を高分子化合物に保持させた電解質に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータに含浸される。
この二次電池は、例えば、以下の3種類の製造方法によって製造される。
第1の製造方法では、最初に、例えば、第1の電池の製造方法と同様の手順により、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製すると共に、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bを形成して負極34を作製する。
続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製して正極33及び負極34に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質36を形成する。続いて、正極集電体33A及び負極集電体34Aにそれぞれ正極リード31及び負極リード32を取り付ける。続いて、電解質36が設けられた正極33と負極34とをセパレータを介して積層させてから長手方向に巻回し、その最外周部に保護テープ37を接着させて巻回電極体30を形成する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体30を封入する。その際、正極リード31及び負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図3及び図4に示した二次電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極に正極リードを取り付けると共に負極に負極リードを取り付けたのち、セパレータを介して正極と負極とを積層して巻回させると共に最外周部に保護テープを接着させて、巻回電極体の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材の内部に注入したのち、外装部材の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質を形成する。これにより、二次電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータを用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材の内部に収納する。このセパレータに塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体及び多元共重合体などが挙げられる。
具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン及びクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種又は2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材の内部に注入したのち、その外装部材の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材に加重をかけながら加熱し、高分子化合物を介してセパレータを正極及び負極に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質が形成されるため、二次電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法と比較して、二次電池の膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法と比較して、高分子化合物の原料であるモノマーや溶媒などが電解質中にほとんど残らず、しかも高分子化合物の形成工程が良好に制御されるため、正極、負極及びセパレータと電解質との間において十分な密着性が得られる。
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、上記した電解液を備えているので、電池特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の二次電池と同様である。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例等で使用したイソシアナート化合物及び芳香族化合物は以下の通りである。
イソシアナート化合物において、化Aは上記のイソシアナート化合物(5)、化Bは上記のイソシアナート化合物(4)、化Cは上記のイソシアナート化合物(7)、化Dは上記のイソシアナート化合物(6)、化Eは上記のイソシアナート化合物(11)である。
芳香族化合物において、CHB:シクロヘキシルベンゼン、tBB:tert−ブチルベンゼン、tPB:tert−ペンチルベンゼン、FB:フルオロベンゼン、DFA:2,4−ジフルオロアニソールである。それぞれの構造式は以下の通りである。
Figure 2011028860
Figure 2011028860
(実施例1−1〜1−7、比較例1−1〜1−3(円筒型電池))
まず、正極活物質としてコバルト酸リチウム91質量部と、導電剤としてグラファイト6質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して、N−メチルピロリドンを添加し正極合剤スラリーを得た。次に、この正極合剤スラリーを、厚み12μmのアルミニウム箔上の両面に均一に塗布し、乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型し、正極活物質層を形成した。こののち、正極集電体の一端に、アルミニウム製の正極リードを溶接して取り付けた。
得られた正極活物質層に含まれる水分量は、以下の方法により求めた。同じ条件で真空乾燥させた正極活物質層の一部を分析試料として採取し、この試料中の水分量をカールフィッシャー水分測定計(平沼産業社製)により測定した。乾燥時間を調節することで、正極活物質層中の水分濃度を520ppmとした。
また、負極活物質として人造黒鉛粉末97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して、N−メチルピロリドンを添加し負極合剤スラリーを得た。次に、この負極合剤スラリーを、負極集電体となる厚み15μmの銅箔上の両面に均一に塗布し、乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型し、負極活物質層を形成した。こののち、負極集電体の一端に、ニッケル製の負極リードを取り付けた。
非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=3:7(質量比)に炭酸ビニレン(VC)を1質量%加えた混合溶液を作成し、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.2mol/kgとなるように溶解させたものを比較例1−1として用いるか、この比較例1−1に、表1に記載のように、0.5質量%のイソシアナート化合物(A)及び/又は0.5質量%の芳香族化合物を溶解させものを用いた。
続いて、正極と、微多孔性ポリプロピレンフィルム(25μm厚)からなるセパレータと、負極とをこの順に積層してから渦巻状に多数回巻回させたのち、巻き終わり部分を粘着テープで固定することにより、巻回電極体を形成した。続いて、ニッケルめっきが施された鉄製の電池缶を準備したのち、巻回電極体を一対の絶縁板で挟み、負極リードを電池缶に溶接すると共に正極リードを安全弁機構に溶接して、その巻回電極体を電池缶の内部に収納した。続いて、電池缶の内部に、減圧方式により電解液を注入した。
(実施例1−8(円筒型電池))
表1に記載のように、正極活物質層中の水分濃度を1000ppmとした以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。
(比較例1−4、1−5(円筒型電池))
表1に記載のように、イソシアナート化合物(A)の濃度を0.005質量%と5質量%とした以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。
(比較例1−6、1−7(円筒型電池))
表1に記載のように、正極活物質層中の水分濃度を1200ppmと20ppmとした以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。
(実施例2−1〜2−5、比較例2−1〜2−3(円筒型電池))
表2に記載のように、イソシアナート化合物(A)をイソシアナート化合物(B)に換えた以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表2に示す。また、比較例2−1は比較例1−1、比較例2−3は比較例1−3と各々同じである。
(実施例3−1〜3−5、比較例3−1〜3−3(円筒型電池))
表3に記載のように、イソシアナート化合物(A)をイソシアナート化合物(C)に換えた以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表3に示す。また、比較例3−1は比較例1−1、比較例3−3は比較例1−3と各々同じである。
(実施例4−1〜4−5、比較例4−1〜4−3(円筒型電池))
表4に記載のように、イソシアナート化合物(A)をイソシアナート化合物(D)に換えた以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表4に示す。また、比較例4−1は比較例1−1、比較例4−3は比較例1−3と各々同じである。
(実施例5−1〜5−5、比較例5−1〜5−3(円筒型電池))
表5に記載のように、イソシアナート化合物(A)をイソシアナート化合物(E)に換えた以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表5に示す。また、比較例5−1は比較例1−1、比較例5−3は比較例1−3と各々同じである。
(実施例6−1〜6−5、比較例6−1〜6−3(円筒型電池))
表6に記載のように、イソシアナート化合物(A)をイソシアナート化合物(F)に換えた以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表6に示す。また、比較例6−1は比較例1−1、比較例6−3は比較例1−3と各々同じである。
(実施例7−1〜7−6(円筒型電池))
実施例1〜6の炭酸ビニレン(VC)に換えて、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を用いた混合溶液を作成し、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.2mol/kgとなるように溶解させたものに、表7に記載のように、0.5質量%のイソシアナート化合物(A)〜(F)及び0.5質量%の芳香族化合物(CHB)を溶解させた。この電解質を用いて各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表7に示す。
(実施例8−1〜8−7、比較例8−1〜8−3(ラミネートフィルム型電池))
まず、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)94質量部と、導電剤としてグラファイト3質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し、正極合剤スラリーを得た。
次に、この正極合剤スラリーを、厚み10μmのアルミニウム箔上の両面に、均一に塗布し、乾燥させ圧縮成型し、片面あたりの厚さが30μmの正極活物質層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を得た。
得られた正極活物質層に含まれる水分量は、円筒型電池と同様の方法により求めた。同じ条件で真空乾燥させた正極活物質層の一部を分析試料として採取し、この試料中の水分量をカールフィッシャー水分測定計(平沼産業社製)により測定した。乾燥時間を調節することで、正極活物質層中の水分濃度を380ppmとした。
また、負極活物質としてMCMB(メソカーボンマイクロビーズ)系黒鉛97質量部と、結着剤としてPVdF3質量部とを均質に混合してN−メチルピロリドンを添加し負極合剤スラリー得た。
次に、この負極合剤スラリーを、負極集電体となる厚み10μmの銅箔上の両面に、均一に塗布し、乾燥後にプレスし、片面当たり30μmの負極活物質層を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して負極を得た。
セパレータとしては、厚さ7μmの微多孔性ポリエチレンフィルムの両面にポリフッ化ビニリデンを2μmずつ塗布したものを用いた。
非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)=3:7(質量比)に炭酸ビニレン(VC)を1質量%加えた混合溶液を作成し、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.0mol/kgとなるように溶解させたものを比較例8−1として用いるか、この比較例8−1に、表8に記載のように、0.5質量%のイソシアナート化合物(A)及び/又は0.5質量%の芳香族化合物を溶解させものを用いた。
正極と負極とを、セパレータを介して巻回した後、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋状の外装部材に入れたのち、電解液を2g注液し、その後、袋を熱融着して実施例5のラミネートフィルム型電池を作製した。
(比較例8−8(ラミネートフィルム型電池))
表8に記載のように、正極活物質層中の水分濃度1000ppmとした以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。
(比較例8−4、8−5(ラミネートフィルム型電池))
表8に記載のように、イソシアナート化合物(A)の濃度を0.005質量%と10質量%とした以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。
(比較例8−6、8−7(ラミネートフィルム型電池))
表8に記載のように、正極活物質層中の水分濃度を1160ppmと10ppmとした以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。
(実施例9−1〜9−5、比較例9−1〜9−3(ラミネートフィルム型電池))
表6に記載のように、イソシアナート化合物(A)をイソシアナート化合物(C)に換えた以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表9に示す。また、比較例9−1は比較例8−1、比較例9−3は比較例8−3と各々同じである。
(実施例10−1〜10−5、比較例10−1〜10−3(ラミネートフィルム型電池))
表10に記載のように、イソシアナート化合物(A)をイソシアナート化合物(E)に換えた以外は上記と同様にして各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表10に示す。また、比較例10−1は比較例8−1、比較例10−3は比較例8−3と各々同じである。
(実施例11−1〜11−3(ラミネートフィルム型電池))
実施例8〜10の炭酸ビニレン(VC)に換えて、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を用いた混合溶液を作成し、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0mol/kgとなるように溶解させたものに、表11に記載のように、0.5質量%のイソシアナート化合物(A)、(C)、(E)及び0.5質量%の芳香族化合物(CHB)を溶解させた。この電解質を用いて各々の電池を作製し、同様に評価した。結果を表11に示す。
(評価)
実施例1−1〜実施例7−6及び比較例1−1〜比較例6−3の円筒型電池について、高温保存後の放電容量維持率を測定した。
実施例8−1〜実施例11−3及び比較例8−1〜比較例10−3のラミネートフィルム型電池について、高温保存時の膨れ及び保存後の放電容量維持率を測定した。
(高温保存時の膨れの測定)
最初に、各電池を23℃環境下1Cの電流で1サイクル充放電させて、保存前の放電容量を測定した。高温保存特性を調べる際には、再度23℃の雰囲気中において、4.2Vを上限として3時間充電した後、4.2Vの充電状態において85℃の恒温槽中に24時間保存し、保存後の電池厚さと保存前の電池厚さとの差を高温保存時の膨れとして求めた。この「1C」とは、理論容量を1時間で放電しきる電流値である。
(高温保存後の放電容量維持率の測定)
85℃の恒温槽中に24時間保存した後の各電池を、23℃の雰囲気中で放電させて、保存後の放電容量を測定した。高温保存放電容量維持率(%)を、(保存後の放電容量/保存前の放電容量)×100として算出した。充放電条件としては、0.2Cの電流で上限電圧4.2Vまで定電流定電圧充電したのち、0.2Cの電流で終止電圧3.0Vまで定電流放電した。この「0.2C」とは、理論容量を5時間で放電しきる電流値である。
Figure 2011028860
Figure 2011028860
表1及び表2から、長鎖アルキル基をもつイソシアナート化合物と芳香族化合物の併用により、それぞれを単独で用いる場合に比べて、高温保存後の放電容量維持率において、充分な特性が得られることがわかった。1官能のイソシアナート化合物としてはより長鎖のものが好ましく、芳香族化合物としては、容量維持率の観点から、DFAが好ましいことが分かる。
正極活物質層中の水分濃度が1000ppm以上である場合、水分量が過剰となり、イソシアナート化合物を添加しても充分な放電容量維持率が得られなくなる。一方、正極活物質層中の水分濃度が50ppm以下である場合、水分量が不十分となり、イソシアナート化合物の効果が低くなる。
Figure 2011028860
Figure 2011028860
表3及び表4から、ジイソシアナート化合物と芳香族化合物の併用でも同様の効果が得られることが分かる。このとき、2官能のジイソシアナート化合物では、1官能のイソシアナート化合物に比べて、放電容量維持率が低下する傾向がみられたが、これはイソシアナート基の濃度が相対的に高くなることで、負極においてSEIが過剰に生成して、表面抵抗が増大することによるものと考えられる。したがって、放電容量の低下を抑制するためには、イソシアネート化合物のアルキル鎖の炭素数を6以上にすることがより好ましいと考えられる。
Figure 2011028860
表5から、主鎖に脂環式炭素鎖をもつイソシアナート化合物と芳香族化合物の併用でも同様の効果が得られることが分かる。
Figure 2011028860
表6から、主鎖に芳香環をもつイソシアナート化合物と芳香族化合物の併用でも同様の効果が得られることが分かる。
Figure 2011028860
表7から、溶媒として、化7に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルを用いれば、高温保存特性がより向上することが分かる。
Figure 2011028860
表8から、ラミネートフィルム型電池の場合、長鎖アルキル基をもつイソシアナート化合物と芳香族化合物の併用により、それぞれを単独で用いる場合に比べて、高温保存時の膨れ抑制に作用しながら、高温保存後の放電容量維持率において、充分な特性が得られることがわかった。芳香族化合物としては、膨れ抑制又は容量維持率の観点から、FB若しくはDFAが好ましいことが分かる。
正極活物質中の水分濃度についても実施例1と同様の効果が見られた。これはイソシアナート化合物が、正極及び負極においてSEIを生成して、セルの変形と共に電解質中の溶媒の分解を抑制しているためと考えられる。
Figure 2011028860
表9から、ジイソシアナート化合物と芳香族化合物の併用でも同様の効果が得られることが分かる。ラミネートフィルム型電池の場合も、イソシアナート基濃度の観点から、アルキル鎖の炭素数を6以上にすることが好ましい。
Figure 2011028860
表10から、主鎖に脂環式炭素鎖をもつイソシアナート化合物と芳香族化合物の併用でも同様の効果が得られることが分かる。
Figure 2011028860
表11から、溶媒として、化7に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルを用いれば、ラミネートフィルム型電池の膨れを抑制しながら高温保存特性がより向上することが分かる。
本発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述の実施形態及び実施例では、巻回構造を有する二次電池を具体例に挙げて説明したが、本発明は、正極と負極とを積層しつづら折りにした電池素子を備える場合、又は正極及び負極を積層した他の積層構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。
また、上述の実施形態及び実施例では、フィルム状の外装部材を用いる場合について説明したが、缶の外装部材を用いてもよい。その場合形状は円筒型、角型、コイン型又はボタン型などのようなものでもよい。
さらに、上述の実施形態及び実施例では、電極反応にリチウムを用いる場合を説明したが、ナトリウム(Na)やカリウム(K)などの他のアルカリ金属、マグネシウムやカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、又はアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。また、負極活物質としてリチウム金属を用いてもよい。
以上の実施の形態及び実施例で説明したように、本発明の非水電解質電池においては、SEI形成剤となる電解質添加物として、アルキル鎖を有するイソシアナート化合物及び芳香族化合物を用いることにより、高温サイクル時に高い充放電容量を維持したまま、電池の変形を抑制することができる。
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム

Claims (10)

  1. 正極及び負極と、電解質と、セパレータを備えた非水電解質電池であって、
    上記正極に水分が1000ppm〜50ppm含有されており、
    上記電解質が、以下の式(I)〜(III)
    X−R1−N=C=O…(I)
    O=C=N−R2−N=C=O…(II)
    O=C=N−R3−N=C=O…(III)
    (式(I)〜(III)中のXは水素原子又はハロゲン原子を示し、R1及びR2はハロゲン、リン、珪素、酸素及び硫黄から成る群より選ばれた少なくとも1種のヘテロ原子を有していてもよいC1〜C22の脂肪族炭化水素基を示し、R3は上記ヘテロ原子を有していてもよいC6〜C20の芳香族炭化水素基及び/又は上記ヘテロ原子を有していてもよいC6〜C20の脂環式炭化水素基を1〜4つ含み上記ヘテロ原子を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)で表される少なくとも1種のイソシアナート化合物と、
    式(IV)
    Figure 2011028860
    (式(IV)中のR4〜R9は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、脂肪族アルキル基、脂環式アルキル基、フェニル基又はアルコキシル基であり、水素原子の一部又は全てをハロゲン原子で置換してあってもよく、互いに環を形成していてもよい)で表される芳香族化合物を、含有する非水電解質電池。
  2. 上記イソシアナート化合物を非水電解質に対して0.01〜5質量%含有する請求項1に記載の非水電解質電池。
  3. 上記芳香族化合物が、次の式(V)
    Figure 2011028860
    (式(V)中のR10は脂肪族アルキル基、脂環式アルキル基又はフェニル基であり、水素原子の一部又は全てをハロゲン原子で置換してあってもよい。R11〜R15は、各々独立して水素原子又はハロゲン原子である。)で表される化合物である請求項1に記載の非水電解質電池。
  4. 式(V)で表される芳香族化合物が、シクロへキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−ペンチルベンゼン又はフルオロベンゼンである請求項3に記載の非水電解質電池。
  5. 上記芳香族化合物が、次の式(VI)
    Figure 2011028860
    (式(VI)中のR16は脂肪族アルキル基、脂環式アルキル基又はフェニル基であり、水素原子の一部又は全てをハロゲンで置換してあってもよい。R17〜R21は各々独立して水素原子又はハロゲン原子であり、少なくとも一つはハロゲンを含む。)で表される化合物である請求項1に記載の非水電解質電池。
  6. 式(VI)で表される芳香族化合物が、1つ以上の水素原子がフッ素化されたアニソールである請求項5に記載の非水電解質電池。
  7. 上記非水電解質が、鎖状炭酸エステル、飽和環状炭酸エステル、及び不飽和環状炭酸エステルを、それぞれ30〜80質量%、10〜50質量%、及び0.01〜5質量%含む請求項1に記載の非水電解質電池。
  8. 上記非水電解質が、ハロゲン化炭酸エチレンを0.1〜40質量%含む請求項1に記載の非水電解質電池。
  9. 上記非水電解質が、電解質塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)及び六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)から成る群より選ばれた少なくとも1種のものを含有する請求項1に記載の非水電解質電池。
  10. 非水電解質電池がリチウム二次電池であり、正極活物質が、リチウム遷移金属複合酸化物材料から成り、
    負極活物質が、(a)X線回折における格子面(002)面のd値が0.340nm以下の炭素質材料、(b)Sn、Si及びAlから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属酸化物、(c)Sn、Si及びAlから成る群より選ばれた少なくとも1種、又は(a)の炭素材料、(b)の金属酸化物及び(c)の金属の少なくとも1種の組み合わせ、とリチウムとの合金である請求項1に記載の非水電解質電池。
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