JP6652013B2 - 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムイオン二次電池の電解液としては、LiPF6、LiBF4、LiN(CF3SO2)2、LiCF3(CF2)3SO3等の電解質を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の低粘度溶媒との混合溶媒に溶解させた非水系電解液が代表例として挙げられる。
特許文献1には、アルキルニトリルを添加した電解液を用いることにより、電池の高温保存特性を向上させる技術が提案されている。
特許文献3には、エチレンカーボネート、鎖状炭酸エステル、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する環状炭酸エステルならびにニトリル化合物を特定の割合で混合して電解液の溶媒に用いることにより、電解液のイオン伝導度を向上させる技術が提案されている。
特許文献5および6には、炭素‐炭素不飽和結合を有するニトリル化合物を添加した電解液を用いることにより、電池高温保存時の膨れを抑制させる技術が提案されている。非特許文献1には、アリルシアニドを添加したプロピレンカーボネート含有電解液を用いることにより、負極上に保護被膜が形成され、プロピレンカーボネートによる負極での副反応を抑制できる技術が提案されている。
また、特許文献1〜6及び非特許文献1に記載されている発明では、ニトリル化合物を非水系電解液に添加した後に電池として使用している場合のみ着目していて、非水系電解液自体の安定性については何ら開示されていない。特許文献1〜6及び非特許文献1に記載されているニトリル化合物を添加しても非水系電解液の安定性は改善されず、非水系電解液の化学分解によって分解副生成物や分解ガスが発生し得る。そのため、非水系電解液保管時や輸送時に温度の管理を適切に行う必要があった。さらに、温度を適切に管理していても化学分解によるガス発生が起きることもあり、発生したガスに対する安全対策を施す必要があった。一方、非水系電解液中に生じた分解副生成物も電池内部の電極上で酸化還元を伴った反応を起こし、ガス発生や電極劣化を引き起こすため、電池の連続充電耐久試験や高温保存耐久試験における耐久特性改善効果が不十分であるという問題点があった。
本発明の第一の態様の要旨は、以下に示すとおりである。
(a)金属イオンを吸蔵・放出しうる正極及び負極を備える非水系電解液二次電池用の非水系電解液であって、該非水系電解液が電解質及び非水溶媒とともに、式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
(h)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液を具備する非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が(a)〜(g)のいずれか1つに記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
通常、特許文献1〜3に代表されるアルキルニトリルは、シアノ基が正極活物質中の金属酸化物に作用することで、ガスの副生を抑制し電池特性の向上をもたらす。しかし、アルキルニトリルは正極に対する作用力が弱く、連続耐久試験時や高温耐久試験時には十分な保護効果が発揮されない。
しかし、非水系電解液中で副生する電解液由来の活性ラジカル種を十分にトラップすることは出来ず、活性ラジカル種の発生を起点とした一連の後続化学反応を抑制することができず、該後続化学反応によって生成した分解副生成物によって電極上での酸化還元劣化反応が顕著に進行してしまう。そのような課題に対し、本発明の態様では、式(1)で表される化合物を非水系電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出した。
加えて、式(1)で表される化合物は、炭素−炭素不飽和結合とシアノ基が炭化水素基によって隔てられているため、炭素−炭素不飽和結合とシアノ基が近接している化合物に比べて、負極での耐還元性に優れている。そのため、式(1)で表される化合物は負極上での還元副反応が生じにくく、還元副反応による電池特性の低下を抑制することができる。
例えば、非水系電解液中のLiPF6が化学分解によってルイス酸PF5を発生したとしても、炭素‐炭素不飽和結合部位がPF5と錯形成することでPF5をトラップすることができる。その結果、PF5を起点とした一連の後続化学反応が抑制されるため、非水系電解液中の分解副生成物量を極限的にまで抑え込むことができ、電極上での分解物のさらなる酸化還元副反応を抑制することができる。
在し、かつ炭素‐炭素不飽和結合に炭素数1以上5以下の炭化水素基が置換された式(1)で表される化合物は、ニトリル基による正極活物質との作用、ニトリル基と炭素‐炭素不飽和結合がアルキル基を解することで得られる耐還元性、炭素‐炭素不飽和結合と飽和炭化水素基による電子密度と立体環境による効率的な活性ラジカルのトラップ作用によって、正極及び負極での各種副反応が抑制され、本発明の優れた効果が発揮されると推測される。
1−1.式(1)で表される化合物
本発明の態様は、式(1)で表される化合物を非水系電解液中に含有することを特徴とする。なお、式(1)で表される化合物においては光学異性体の区別はつけないものとし、異性体単独又はこれらの混合として適用することもできる。
ここで脂肪族炭化水素基とは、炭素原子及び水素原子から構成された非環式又は環式の炭化水素基であって、芳香族構造を有さない基を表す。
これらのうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等の炭素数2〜5のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の炭素数2〜5のアルキニル基等が好ましい。より好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル
基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等の炭素数2〜5のアルケニル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基であり、メチル基、エチル基が特に好ましい。これらの炭化水素基は、効率よくPF5と錯形成し、また、効率よく正極上に作用できる為である。
式(1)で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
3−ペンテンニトリル、3−ヘキセンニトリル、3−ヘプテンニトリル、3−オクテンニトリル、3−ノネンニトリル、5−メチル−3−ヘキセンニトリル、5、5−ジメチル−3−ヘキセンニトリル、3、6−ヘプタジエンニトリル、3−ヘプテン−6−インニトリル、5−フルオロ−3−ペンテンニトリル、5、5、5−トリフルオロ−3−ペンテンニトリル
4−ヘキセンニトリル、4−ヘプテンニトリル、4−オクテンニトリル、4−ノネンニトリル、4−デセンニトリル、6−メチル−4−ヘプテンニトリル、6、6−ジメチル−4−ヘプテンニトリル、4、7−オクタジエンニトリル、4−オクテン−7−インニトリル、6−フルオロ−4−ヘキセンニトリル、6、6、6−トリフルオロ−4−ヘキセンニトリル
5−ヘプテンニトリル、5−オクテンニトリル、5−ノネンニトリル、5−デセンニトリル、5−ウンデセンニトリル、7−メチル−5−オクテンニトリル、7、7−ジメチル−5−オクテンニトリル、5、8−ノナジエンニトリル、5−ノネン−8−インニトリル、7−フルオロ−5−ヘプテンニトリル、7、7、7−トリフルオロ−5−ヘプテンニトリル
6−オクテンニトリル、6−ノネンニトリル、6−デセンニトリル、6−ウンデセンニトリル、6−ドデセンニトリル、8−メチル−6−ノネンニトリル、8、8−ジメチル−6−ノネンニトリル、6、9−デカジエンニトリル、6−デセン−9−インニトリル、8−フルオロ−6−オクテンニトリル、8、8、8−トリフルオロ−6−オクテンニトリル
7−ノネンニトリル、7−デセンニトリル、7−ウンデセンニトリル、7−ドデセンニトリル、7−トリデセンニトリル、9−メチル−7−デセンニトリル、9、9−ジメチル−7−デセンニトリル、7、10−ウンデカジエンニトリル、7−ウンデセン−10−インニトリル、9−フルオロ−7−ノネンニトリル、9、9、9−トリフルオロ−7−ノネンニトリル
系電解液として実際に非水系電解液二次電池の作製に供すると、その電池を解体して再び抜き出した非水系電解液には上記化合物が極少量しか含有されていなかった場合であっても、非水系電解液二次電池の他の構成部材である正極、負極若しくはセパレータ上で検出される場合も多い。従って、正極、負極、セパレータから上記化合物が検出された場合は、その合計量を非水系電解液に含まれていたと仮定することができる。この仮定の下、特定化合物は後述で述べる範囲になるように含まれていることが好ましい。
本発明の態様は、上記式(1)で表される化合物とともに、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物及びイソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物((II)群の化合物)を含むことができる。これらを併用することで、式(1)で表される化合物が引き起こし得る正負極上での副反応を効率よく抑制できるためである。
フッ素含有環状カーボネートとしては、通常炭素数2以上6以下のアルキレン基を有する環状カーボネートのフッ素化物、及びその誘導体が挙げられ、例えばエチレンカーボネートのフッ素化物(以下、「フッ素化エチレンカーボネート」と記載する場合がある)、及びその誘導体が挙げられる。エチレンカーボネートのフッ素化物の誘導体としては、炭素数1以上4以下のアルキル基で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げら
れる。中でもフッ素数1以上8以下のフッ素化エチレンカーボネート及びその誘導体が好ましい。
フッ素数1〜8個のフッ素化エチレンカーボネート及びその誘導体としては、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。
フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。フッ素化環状カーボネートの量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上、最も好ましくは1.2質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下である。また、フッ素化環状カーボネートを非水溶媒として用いる場合の配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは10体積%以上であり、また、好ましくは50体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは25体積%以下である。
特に制限されない。フッ素数は6以下とすることができ、好ましくは4以下であり、1又は2がより好ましい。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
フッ素化不飽和環状カーボネート(2種以上の場合は合計量)の量は、電解液100質量%中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上で、特に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。この範囲内であれば、非水系電解液二次電池は十分なサイ
クル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
本発明の電解液は、更に硫黄含有有機化合物を含むことができる。硫黄含有有機化合物は、分子内に硫黄原子を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは分子内にS=O基を有している有機化合物であり、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル及び環状亜硫酸エステルが挙げられる。ただしフルオロスルホン酸塩に該当するものは、1−2−2.硫黄含有有機化合物ではなく、後述する電解質であるフルオロスルホン酸塩に包含されるものとする。
中でも、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル及び環状亜硫酸エステルが好ましく、より好ましくはS(=O)2基を有する化合物である。
より好ましい。
1−2−2−1.式(2−2−1)で表される鎖状スルホン酸エステル
A13は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、
n21は、1以上4以下の整数であり、
n21が2の場合、A12及びA13は、同一であっても、異なっていてもよい。)
式(2−2−1)において、A12及びA13は一緒になって環を形成しておらず、よって式(2−2−1)は鎖状スルホン酸エステルである。
A12における炭素数1以上12以下のn21価の炭化水素基としては、
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基等の1価の炭化水素基;
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の2価の炭化水素基;
アルカントリイル基、アルケントリイル基、アルキントリイル基及びアレーントリイル基等の3価の炭化水素基;
アルカンテトライル基、アルケンテトライル基、アルキンテトライル基及びアレーンテトライル基等の4価の炭化水素基;
等が挙げられる。
炭素数1以上12以下のn21価の炭化水素基のうち、1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等の炭素数2以上5以下のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の炭素数2以上5以下のアルキニル基が挙げられる。
ン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基;ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数2以上5以下のアルケニレン基;エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等の炭素数2以上5以下のアルキニレン基等が挙げられ、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1〜5のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3以上5以下のアルキレン基である。
A12における置換基を有していている炭素数1以上12以下のn21価の炭化水素基とは、上記置換基と上記炭素数1以上12以下のn21価の炭化水素基を組み合わせた基を意味する。A12としては、置換基を有さない炭素数1以上5以下のn21価の炭化水素基が好ましい。
炭素数1以上12以下の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基であり、更に好ましくはエチル基、n−プロピル基である。
1−2−2−2.式(2−2−2)で表される環状スルホン酸エステル
A14における炭素数1以上12以下の2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等が挙げられ、好ましくはアルキレン基、アルケニレン基である。
エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等の炭素数2〜5のアルキニレン基等が挙げられる。
硫黄含有有機化合物としては、以下を挙げることができる。
フルオロスルホン酸メチル及びフルオロスルホン酸エチル等のフルオロスルホン酸エステル;
メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸2−プロピニル、メタンスルホン酸3−ブチニル、ブスルファン、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸メチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸エチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸3−ブチニル、メタンスルホニルオキシ酢酸メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−プロピニル及びメタンスルホニルオキシ酢酸3−ブチニル等のメタンスルホン酸エステル;
ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニルスルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルスルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギル及び1,2−ビス(ビニルスルホニロキシ)エタン等のアルケニルスルホン酸エステル;
メタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、メタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,2−エタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,2−エタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−プロパンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−ブタン
ジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,3−ブタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル等のアルキルジスルホン酸エステル;
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン及び1,5−ペンタンスルトン等のスルトン化合物;
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネート等のジスルホネート化合物;
1,2,3−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、3H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、5H−1,2,3−オキサチアゾール−2,2−ジオキシド、1,2,4−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、1,2,5−オキサチアゾリジン−2,2−ジオキシド、1,2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、3−メチル−1,2,3−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド、5,6−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−2,2−ジオキシド及び1,2,4−オキサチアジナン−2,2−ジオキシド等の含窒素化合物。
ジメチルスルフェート、エチルメチルスルフェート及びジエチルスルフェート等のジアルキルスルフェート化合物。
1,2−エチレンスルフェート、1,2−プロピレンスルフェート、1,3−プロピレンスルフェート、1,2−ブチレンスルフェート、1,3−ブチレンスルフェート、1,4−ブチレンスルフェート、1,2−ペンチレンスルフェート、1,3−ペンチレンスルフェート、1,4−ペンチレンスルフェート及び1,5−ペンチレンスルフェート等のアルキレンスルフェート化合物。
ジメチルスルファイト、エチルメチルスルファイト及びジエチルスルファイト等のジアルキルスルファイト化合物。
1,2−エチレンスルファイト、1,2−プロピレンスルファイト、1,3−プロピレンスルファイト、1,2−ブチレンスルファイト、1,3−ブチレンスルファイト、1,4−ブチレンスルファイト、1,2−ペンチレンスルファイト、1,3−ペンチレンスルファイト、1,4−ペンチレンスルファイト及び1,5−ペンチレンスルファイト等のアルキレンスルファイト化合物。
硫黄含有有機化合物の含有量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、特に好ましくは0.6質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.5質量%以下、最も好ましくは1.0質量%以下である。この範囲にあると、電池の出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
本発明の電解液は、更にリン含有有機化合物を含むことができる。リン含有有機化合物は、分子内に少なくとも一つリン原子を有している有機化合物であれば、特に制限されない。リン含有有機化合物を含有する本発明の電解液を用いた電池は、耐久特性を改善する
ことができる。
1−2−3−1.式(2−3−1)で表されるリン酸エステル
炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等のアルキニル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ビニル基、2−プロペニル基(
アリル基)、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、3−ブチニル基及び4−ペンチニル基が好ましく、メチル基、エチル基、2−プロペニル基(アリル基)及び2−プロピニル基(プロパルギル基)がより好ましく、メチル基、エチル基及び2−プロペニル基(アリル基)が更に好ましい。
式(2−3−1)で表される化合物としては、以下を挙げることができる。
ジメチルビニルホスフェート、ジエチルビニルホスフェート、ジプロピルビニルホスフェート、ジブチルビニルホスフェート及びジペンチルビニルホスフェート等のビニル基を有する化合物;
アリルジメチルホスフェート、アリルジエチルホスフェート、アリルジプロピルホスフェート、アリルジブチルホスフェート及びアリルジペンチルホスフェート等のアリル基を有する化合物;
プロパルギルジメチルホスフェート、プロパルギルジエチルホスフェート、プロパルギルジプロピルホスフェート、プロパルギルジブチルホスフェート及びプロパルギルジペンチルホスフェート等のプロパルギル基を有する化合物;
2−アクリロイルオキシメチルジメチルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジプロピルホスフェート、2−アクリロイルオキシメチルジブチルホスフェート及び2−アクリロイルオキシメチルジペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシメチル基を有する化合物;
2−アクリロイルオキシエチルジメチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジプロピルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルジブチルホスフェート及び2−アクリロイルオキシエチルジペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシエチル基を有する化合物;
メチルジビニルホスフェート、エチルジビニルホスフェート、プロピルジビニルホスフェート、ブチルジビニルホスフェート及びペンチルジビニルホスフェート等のビニル基を有する化合物;
ジアリルメチルホスフェート、ジアリルエチルホスフェート、ジアリルプロピルホスフェート、ジアリルブチルホスフェート及びジアリルペンチルホスフェート等のアリル基を有する化合物;
ジプロパルギルメチルホスフェート、ジプロパルギルエチルホスフェート、ジプロパルギルプロピルホスフェート、ジプロパルギルブチルホスフェート及びジプロパルギルペンチルホスフェート等のプロパルギル基を有する化合物;
ビス(2−アクリロイルオキシメチル)メチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)エチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)プロピルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシメチル)ブチルホスフェート及びビス(2−アクリロイルオキシメチル)ペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシメチル基を有する化合物;
ビス(2−アクリロイルオキシエチル)メチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)エチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)プロピルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ブチルホスフェート及びビス(2−アクリロイルオキシエチル)ペンチルホスフェート等の2−アクリロイルオキシエチル基を有する化合物;
トリビニルホスフェート、トリアリルホスフェート、トリプロパルギルホスフェート、トリス(2−アクリロイルオキシメチル)ホスフェート及びトリス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート等
これらのうち、電池特性向上の観点から炭素−炭素不飽和結合を3つ有する化合物が好ましく、トリアリルホスフェート及びトリス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェートがより好ましい。
1−2−3−2.式(2−3−2)で表されるホスホン酸エステル
n32は、0〜6の整数である。)
炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等のアルキニル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ビニル基、2−プロペニル基(アリル基)、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、3−ブチニル基及び4−ペンチニル基が好ましく、メチル基、エチル基、2−プロペニル基(アリル基)及び2−プロピニル基(プロパルギル基)がより好ましく、メチル基、エチル基及び2−プロピニル基(プロパルギル基)が更に好ましい。
式(2−3−2)で表されるホスホン酸エステルとしては以下の化合物を挙げることができる。
トリメチル ホスホノフォルメート、メチル ジエチルホスホノフォルメート、メチル
ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ジブチルホスホノフォルメート、トリエチル ホスホノフォルメート、エチル ジメチルホスホノフォルメート、エチル ジプロピルホスホノフォルメート、エチル ジブチルホスホノフォルメート、トリプロピル ホスホノフォルメート、プロピル ジメチルホスホノフォルメート、プロピル ジエチルホス
ホノフォルメート、プロピル ジブチルホスホノフォルメート、トリブチル ホスホノフォルメート、ブチル ジメチルホスホノフォルメート、ブチル ジエチルホスホノフォルメート、ブチル ジプロピルホスホノフォルメート、メチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、プロピル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート、ブチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノフォルメート等。
トリメチル ホスホノアセテート、メチル ジエチルホスホノアセテート、メチル ジプロピルホスホノアセテート、メチル ジブチルホスホノアセテート、トリエチル ホスホノアセテート、エチル ジメチルホスホノアセテート、エチル ジプロピルホスホノアセテート、エチル ジブチルホスホノアセテート、トリプロピル ホスホノアセテート、プロピル ジメチルホスホノアセテート、プロピル ジエチルホスホノアセテート、プロピル ジブチルホスホノアセテート、トリブチル ホスホノアセテート、ブチル ジメチルホスホノアセテート、ブチル ジエチルホスホノアセテート、ブチル ジプロピルホスホノアセテート、メチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、エチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、プロピル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、ブチル ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノアセテート、アリル ジメチルホスホノアセテート、アリル ジエチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジメチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジエチルホスホノアセテート等。
トリメチル 3−ホスホノプロピオネート、メチル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリエチル 3−ホスホノプロピオネート、エチル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリプロピル 3−ホスホノプロピオネート、プロピル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ジブチルホスホノ)プロピオネート、トリブチル 3−ホスホノプロピオネート、ブチル 3−(ジメチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジエチルホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ジプロピルホスホノ)プロピオネート、メチル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、エチル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、プロピル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート、ブチル 3−(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスホノ)プロピオネート等。
トリメチル 4−ホスホノブチレート、メチル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、メチル 4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート、メチル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリエチル 4−ホスホノブチレート、エチル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、エチル 4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート、エチル 4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリプロピル 4−ホスホノブチレート、プロピル 4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、プロピル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、プロピル
4−(ジブチルホスホノ)ブチレート、トリブチル 4−ホスホノブチレート、ブチル
4−(ジメチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4−(ジエチルホスホノ)ブチレート、ブチル 4−(ジプロピルホスホノ)ブチレート等。
特にトリメチル ホスホノアセテート、トリエチル ホスホノアセテート、2−プロピニル ジメチルホスホノアセテート、2−プロピニル ジエチルホスホノアセテートが好ましい。
リン含有有機化合物の含有量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、特に好ましくは0.6質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.2質量%以下、最も好ましくは0.9質量%以下である。この範囲であると、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
本発明の電解液は、式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物を含むことができる。式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物としては、分子内にシアノ基を少なくとも1つ有している式(1)以外の有機化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは式(2−4−1)、式(2−4−2)及び式(2−4−3)で表される化合物であり、より好ましくは式(2−4−2)及び式(2−4−3)で表される化合物であり、更に好ましくは、式(2−4−2)で表される化合物である。なお、式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物が、複数のエーテル結合を有する環状化合物でもある場合、複数のエーテル結合を有する環状化合物に属してもよいものとする。
本発明の電解液において、式(1)で表される化合物と式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物とを併用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができる。
A1−CN (2−4−1)
(式中、A1は炭素数2以上20以下の炭化水素基を示す。)
式(2−4−1)で表される化合物の分子量は、特に制限されない。分子量は、好ましくは55以上であり、より好ましくは65以上、更に好ましくは80以上であり、また、好ましくは310以下であり、より好ましくは185以下であり、更に好ましくは155以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する式(2−4−1)で表される化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。式(2−4−1)で表される化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
式(2−4−1)で表される化合物としては、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ペンタンニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ペラルゴノニトリル、デカンニトリル、ウンデカンニトリル、ドデカンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル及び2−ヘキセンニトリル等が挙げられる。
式(2−4−1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。式(2−4−1)で表される化合物の量(2種以上の場合は合計量)は、非水系電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。上記範囲であれば、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
NC−A2−CN (2−4−2)
(式中、A2は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上10以下の有機基である。)
水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上10以下の有機基とは、炭素原子及び水素原子から構成される有機基の他に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基を包含する。窒素原子、酸素原子、硫
黄原子、リン原子又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基には、炭素原子及び水素原子から構成される基における骨格の炭素原子の一部が、これらの原子に置換されている有機基、又はこれらの原子で構成された置換基を有する有機基を包含する。
式(2−4−2)で表される化合物としては、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,3,3−トリメチルスクシノニトリル、2,2,3,3−テトラメチルスクシノニトリル、2,3−ジエチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジエチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、ビシクロヘキシル−1,1−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−2,2−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−3,3−ジカルボニトリル、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,3−ジイソブチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジイソブチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,3−ジメチルグルタロニトリル、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,3,3−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,3,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、マレオニトリル、フマロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノオクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカン、1,2−ジジアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル及び3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
の点から好ましい。更に、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、グルタロニトリル及び3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンは、高温保存耐久特性向上効果が特に優れ、また電極での副反応による劣化が少ないためにより好ましい。通常、ジニトリル化合物は、分子量が小さいほど一分子におけるシアノ基の量割合が大きくなり、分子の粘度が上昇する一方、分子量が大きくなるほど、化合物の沸点が上昇する。よって、作業効率の向上の点から、スクシノスクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル及びピメロニトリルが更に好ましい。
1−2−4−3.式(2−4−3)で表される化合物
水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基とは、炭素原子及び水素原子から構成される有機基の他に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基を包含する。窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子又はハロゲン原子を含んでいてもよい有機基には、炭素原子及び水素原子から構成される基における骨格の炭素原子の一部が、これらの原子に置換されている有機基、又はこれらの原子で構成された置換基を有する有機基を包含する。
また、上記A3は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であることが好ましく、水素原子、炭素原子及び酸素原子からなる群より選ばれる1種以上の原子で構成された炭素数1以上12以下の有機基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の脂肪族炭化水素基であることが更に好ましい。
置換基としては、ハロゲン原子;非置換又はハロゲン置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基;イソシアナト基;アルコキシカルボニルオキシ基;アシル基;カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;アシルオキシ基;アル
キルスルホニル基;アルコキシスルホニル基;ジアルコキシホスファントリイル基;ジアルコキシホスホリル基及びジアルコキシホスホリルオキシ基等が挙げられ、好ましくはハロゲン原子;アルコキシ基又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、より好ましくはハロゲン原子又は非置換もしくはハロゲン置換のアルキル基であり、更に好ましくは非置換のアルキル基である。
脂肪族炭化水素基としては、n43に応じて、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、アルカンペンタイル基、アルケントリイル基、アルケンテトライル基、アルケンペンタイル基、アルキントリイル基、アルキンテトライル基、アルキンペンタイル基及びアルキンテトライル基等が挙げられる。
更に、上記式(2−4−3)で表される化合物は式(2−4−3’)で示される化合物であることがより好ましい。
また、上記A4及びA5は、置換基を有していていもよい炭素数1以上5以下の炭化水素基であることがより好ましい。
炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラエチレン基、ペンタメチレン基、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等が挙げられる。
上記A4及びA5は、互いに同一でなく、異なることが好ましい。
式(2−4−3)で表される化合物の分子量は、特に制限されない。分子量は、好ましくは、90以上であり、より好ましくは120以上、更に好ましくは150以上であり、また、好ましくは450以下であり、より好ましくは300以下であり、更に好ましくは250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する式(2−4−3)で表される化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。式(2−4−3)で表される化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
式(2−4−3)で表される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
式(2−4−3)で表される化合物の量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下の濃度で含有させる。この範囲にあると、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
上記式(1)で表される化合物と式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物の質量比は、式(1)で表される化合物:式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物が、1:100以上であることができ、好ましくは10:100以上、より好ましくは20:100以上、更に好ましくは25:100以上であり、10000:100以下であることができ、好ましくは500:100以下、より好ましくは300:100以下、さらに好ましくは100:100以下、特に好ましくは75:100以下、最も好ましくは50:100以下である。この範囲であれば、電池特性、特に耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定かではないが、この比率で混合させることで、電極上での添
加剤の副反応を最小限に抑えられるためと考えられる。
本発明の電解液は、イソシアネート基を有する有機化合物を含むことができる。イソシアネート基を有する有機化合物は、分子内に少なくとも1つのイソシアネート基を有する有機化合物であれば、特に制限されないが、イソシアネート基の数は、一分子中、好ましくは1以上4以下、より好ましくは2以上3以下、更に好ましくは2である。
イソシアネート基を有する有機化合物は、好ましくは、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基とアルキレン基が連結した構造、芳香族炭化水素基、芳香族炭化水素基とアルキレン基が連結した構造、エーテル構造(−O−)、エーテル構造(−O−)とアルキレン基が連結した構造、カルボニル基(−C(=O)−)、カルボニル基とアルキレン基とが連結した構造、スルホニル基(−S(=O)−)、スルホニル基とアルキレン基とが連結した構造又はこれらがハロゲン化された構造等を有する化合物にイソシアネート基が結合した化合物であり、より好ましくは、直鎖状或いは分岐状のアルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキレン基とアルキレン基が連結した構造、芳香族炭化水素基又は芳香族炭化水素基とアルキレン基が連結した構造にイソシアネート基が結合した化合物であり、更に好ましくは、シクロアルキレン基とアルキレン基が連結した構造にイソシアネート基が結合した化合物である。イソシアネート基を有する有機化合物の分子量は特に制限されない。分子量は、好ましくは80以上であり、より好ましくは115以上、更に好ましくは170以上であり、また、300以下であり、より好ましくは230以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対するイソシアネート基を有する有機化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。イソシアネート基を有する有機化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。また、市販品を用いてもよい。
モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−
4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(
メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、カルボニルジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン−1,4−ジオン、1,5−ジイソシアナトペンタン−1,5−ジオン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアネート基を2個有する有機化合物;
等が挙げられる。
ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアネート基を2個有する有機化合物が保存特性向上の点から好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[
2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートがより好ましく、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ
[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)が更に好ましい。
分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物には、ブロック剤でブロックして保存安定性を高めた、いわゆるブロックイソシアネートも含まれる。ブロック剤には、アルコール類、フェノール類、有機アミン類、オキシム類、ラクタム類を挙げることができ、具体的には、n−ブタノール、フェノール、トリブチルアミン、ジエチルエタノールアミン、メチルエチルケトキシム、ε−カプロラクタム等を挙げることができる。
.0]ウンデセン-7のようなアミン系触媒等を併用することも好ましい。
イソシアネート基を有する有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
本発明の電解液は、ケイ素含有化合物を含むことができる。ケイ素含有化合物は、分子内に少なくとも1つのケイ素原子を有する化合物であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、式(1)で表される化合物とケイ素含有化合物を併用することによって、耐久特性を改善することができる。
X61は、酸素原子、窒素原子及びケイ素原子からなる群より選ばれる少なくとも1個の原子を含む有機基である。)
炭化水素基については、式(1)における炭化水素基の例示及び好ましい例が適用される。R61、R62及びR63は、好ましくは水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tertert−ブチル基、フェニル基であり、より好ましくはメチル基である。
び亜リン酸基が好ましい。
ケイ素含有化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメトキシシリル)、ホウ酸トリス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエトキシシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルビニルシリル)及びホウ酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のホウ酸化合物; リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(トリプロピルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)、リン酸トリス(トリメトキシシリル)、リン酸トリス(トリエトキシシリル)、リン酸トリス(トリフエノキシシリル)、リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)及びリン酸トリス(ジエチルビニルシリル)等のリン酸化合物;
亜リン酸トリス(トリメチルシリル)、亜リン酸トリス(トリエチルシリル)、亜リン酸トリス(トリプロピルシリル)、亜リン酸トリス(トリフェニルシリル)、亜リン酸トリス(トリメトキシシリル)、亜リン酸トリス(トリエトキシシリル)、亜リン酸トリス(トリフエノキシシリル)、亜リン酸トリス(ジメチルビニルシリル)及び亜リン酸トリス(ジエチルビニルシリル)等の亜リン酸化合物;
メタンスルホン酸トリメチルシリル、テトラフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のスルホン酸化合物;
ヘキサメチルジシラン、ヘキサエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン及び1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等のジシラン化合物;
等が挙げられる。
ケイ素含有化合物(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
本発明の電解液は、芳香族化合物を含むことができる。芳香族化合物としては、分子内に芳香環を少なくとも1つ有している有機化合物であれば、特に制限されないが、好まし
くは式(2−7−1)及び式(2−7−2)で表される芳香族化合物である。
1−2−7−1.式(2−7−1)で表される芳香族化合物
置換基X71の有機基として、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基;芳香族基等のヘテロ元素を有さない有機基や、ハロゲン原子又はヘテロ原子を有している有機基として、カルボン酸エステル構造を有する基、カーボネート構造を有する基等の酸素原子を有する基;リン酸エステル構造を有する基、ホスホン酸エステル構造を有する基等のリン原子を有する基;スルホン酸エステル構造を有する基等の硫黄原子を有する基;ケイ素―炭素構造を有する基等のケイ素原子を有する基が挙げられる。また、それぞれの置換基は更にハロゲン原子、ハロゲン含有炭化水素基、ハロゲン含有芳香族基等で置換されていてもよい。
ハロゲン原子として、塩素、フッ素等が挙げられ、好ましくはフッ素である。
また置換基X71の数n71は1以上6以下であり、複数の置換基を有する場合それぞれの置換基は同一でも異なっていてもよく、また環を形成していてもよい。
置換基X71は炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基、カルボン酸エステル構造を有する基、カーボネート構造を有する基が電池特性の観点から好ましい。より好ましくは炭素数3以上12以下の直鎖又は分岐鎖又は環状の飽和炭化水素基、カルボン酸エステル構造を有する基である。
X71がハロゲン原子又はハロゲン原子を有していてもよい有機基であるものとして、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等が挙げられ、好ましくはフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼンである。より好ましくはフルオロベンゼンである。
2,2−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルシクロヘキサン、シクロペンチルベン
ゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン等が挙げられ、好ましくは2,2−ジフェニルプロパン、1,4−ジフェニルシクロヘキサン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンであり、より好ましくは2,2−ジフェニルプロパン、シクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンであり、更に好ましくはシクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼンである。
酢酸フェニル、酢酸ベンジル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、酢酸4−フェニルブチル、プロピオン酸フェニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸2−フェニルエチル、プロピオン酸3−フェニルプロピル、プロピオン酸4−フェニルブチル、酪酸フェニル、酪酸ベンジル、酪酸2−フェニルエチル、酪酸3−フェニルプロピル、酪酸4−フェニルブチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸プロピル、フェニル酢酸ブチル、フェニル酢酸フェニル、フェニル酢酸ベンジル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、フェニル酢酸3−フェニルプロピル、フェニル酢酸4−フェニルブチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸メチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸エチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸プロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸ブチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸フェニル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸ベンジル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸2−フェニルエチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸3−フェニルプロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸4−フェニルブチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、3−フェニルプロピオン酸プロピル、3−フェニルプロピオン酸ブチル、3−フェニルプロピオン酸フェニル、3−フェニルプロピオン酸ベンジル、3−フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸3−フェニルプロピル、3−フェニルプロピオン酸4−フェニルブチル、4−フェニル酪酸メチル、4−フェニル酪酸エチル、4−フェニル酪酸プロピル、4−フェニル酪酸ブチル、4−フェニル酪酸フェニル、4−フェニル酪酸ベンジル、4−フェニル酪酸2−フェニルエチル、4−フェニル酪酸3−フェニルプロピル、4−フェニル酪酸4−フェニルブチル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フェニル吉草酸エチル、5−フェニル吉草酸プロピル、5−フェニル吉草酸ブチル、5−フェニル吉草酸フェニル、5−フェニル吉草酸ベンジル、5−フェニル吉草酸2−フェニルエチル、5−フェニル吉草酸3−フェニルプロピル、5−フェニル吉草酸4−フェニルブチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸エチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸プロピル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸ブチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸フェニル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸ベンジル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸3−フェニルプロピル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸4−フェニルブチル、2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパン等が挙げられ、好ましくは、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、酢酸4−フェニルブチル、プロピオン酸2−フェニルエチル、プロピオン酸3−フェニルプロピル、プロピオン酸4−フェニルブチル、酪酸2−フェニルエチル、酪酸3−フェニルプロピル、酪酸4−フェニルブチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸プロピル、フェニル酢酸ブチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、フェニル酢酸3−フェニルプロピル、フェニル酢酸4−フェニルブチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸メチル
、2,2−ジメチル−フェニル酢酸エチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸プロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸ブチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸2−フェニルエチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸3−フェニルプロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸4−フェニルブチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、3−フェニルプロピオン酸プロピル、3−フェニルプロピオン酸ブチル、3−フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸3−フェニルプロピル、3−フェニルプロピオン酸4−フェニルブチル、4−フェニル酪酸メチル、4−フェニル酪酸エチル、4−フェニル酪酸プロピル、4−フェニル酪酸ブチル、4−フェニル酪酸2−フェニルエチル、4−フェニル酪酸3−フェニルプロピル、4−フェニル酪酸4−フェニルブチル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フェニル吉草酸エチル、5−フェニル吉草酸プロピル、5−フェニル吉草酸ブチル、5−フェニル吉草酸2−フェニルエチル、5−フェニル吉草酸3−フェニルプロピル、5−フェニル吉草酸4−フェニルブチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸エチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸プロピル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸ブチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸3−フェニルプロピルであり、より好ましくは、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、フェニル酢酸3−フェニルプロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸メチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸エチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸2−フェニルエチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸3−フェニルプロピル、3−フェニルプロピオン酸メチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、3−フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸3−フェニルプロピル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フェニル吉草酸エチル、5−フェニル吉草酸2−フェニルエチル、5−フェニル吉草酸3−フェニルプロピル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸エチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸3−フェニルプロピルであり、更に好ましくは、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3−フェニルプロピル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、フェニル酢酸3−フェニルプロピル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸メチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸エチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸2−フェニルエチル、2,2−ジメチル−フェニル酢酸3−フェニルプロピル、3−フェニルプロピオン酸メチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、3−フェニルプロピオン酸2−フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸3−フェニルプロピル、5−フェニル吉草酸メチル、5−フェニル吉草酸エチル、5−フェニル吉草酸2−フェニルエチル、5−フェニル吉草酸3−フェニルプロピル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸メチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸エチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸2−フェニルエチル、1−フェニルシクロペンタンカルボン酸3−フェニルプロピルである。
2,2−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)シクロヘキサン、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、2−tert−ブチルフェニルメチルカーボネート、2−tert−ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(2−tert−ブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニルメチルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルエチルカーボネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ベンジルメチルカーボネート、ベンジルエチルカーボネート、ジベンジルカーボネート等が挙げられ、好ましくは2,2−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−メトキシカルボニルオキシフェニル)シクロヘキサン体、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、より好ましくはジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネートであり、更に好ましくは
メチルフェニルカーボネートである。
メチルフェニルスルホネート、エチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、フェニルメチルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネート等が挙げられ、好ましくはメチルフェニルスルホネート、ジフェニルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネートであり、より好ましくはメチルフェニルスルホネート、2−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、4−tert−ブチルフェニルメチルスルホネート、シクロヘキシルフェニルメチルスルホネートである。
トリメチルフェニルシラン、ジフェニルシラン、ジフェニルテトラメチルジシラン等が挙げられ、好ましくはトリメチルフェニルシランである。
X71がリン酸エステル構造を有する基であるものとして、
トリフェニルホスフェート、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、ジエチル(4−メチルベンジル)ホスホネート等が挙げられ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、であり、より好ましくはトリス(2−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェートである。
ジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、メチルフェニルフェニルホスホネート、エチルフェニルフェニルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロフェニル)−ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、メチルフェニルベンジルホスホネート、エチルフェニルベンジルホスホネート、ジフェニルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート等が挙げられ、好ましくはジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロフェニル)-ホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネートであり、より好ましくはジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジメチルベンジルホスホネート、ジエチルベンジルホスホネート、ジメチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネート、ジエチル−(4−フルオロベンジル)ホスホネートである。
化体も含まれる。具体的には、
トリフルオロメチルベンゼン、2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、トリフルオロメチルベンゼン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルベンゼン、2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン2−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等であり、より好ましくは2−フルオロトルエン、3−フルオロトルエン、4−フルオロトルエン、等の炭化水素基を有するものの部分フッ素化物;2−フルオロフェニルアセテート、4−フルオロフェニルアセテート等のカルボン酸エステル構造を有するものの部分フッ素化物;トリフルオロメトキシベンゼン、2−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、4−トリフルオロメトキシアニソール等のエーテル構造を有するものの部分フッ素化物等である。
1−2−7−2.式(2−7−2)で表される芳香族化合物
(A)R11〜R15のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R11〜R17の炭素数の合計は、3以上20以下である、のうち少なくとも一方の条件を満たす
で表される芳香族化合物である。R11〜R17のうち少なくとも2つが一緒になって環を形成している場合、R11〜R17のうち2つが一緒になって環を形成していることが好ましい。
はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基であるか、R16とR17が一緒になって形成した炭化水素基である5〜8員の環式基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、R16とR17が一緒になって形成したシクロヘキシル基、シクロペンチル基、であり、最も好ましくはメチル基、エチル基、R16とR17が一緒になって形成したシクロヘキシル基である。
(A)R11〜R15のうち少なくとも1つは、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基である、
(B)R11〜R17の炭素数の合計は、3以上20以下である、
のうち少なくとも一方の条件を満たす。
(A)について、R11〜R15のうち少なくとも1つが、ハロゲン又は非置換もしくはハロゲン置換の炭素数1以上20以下の炭化水素基であれば、他は水素原子であっても、環を形成していてもよい。電解液への溶解性の観点から、非置換もしくはハロゲン置換の炭化水素基の炭素数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、更に好ましくは1以上3以下、更により好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。
えば、R17がメチル基で、R11とR16が一緒になって環を形成している化合物として1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン、2,3−ジヒドロ1,3−ジメチル−1−(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3−フェニル−1H−インダン等が挙げられるが、これは(B)の条件を満たす。
R16及びR17が、独立して、炭素数1以上20以下の炭化水素基であり(ただし、R16及びR17の合計は炭素数3以上20以下である)、R11〜R15が水素である化合物((B)を満たす)。
2,2−ジフェニルブタン、3,3−ジフェニルペンタン、3,3−ジフェニルヘキサン、4,4−ジフェニルヘプタン、5,5−ジフェニルオクタン、6,6−ジフェニルノナン、1,1−ジフェニル−1,1−ジtert−ブチル−メタン。
1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニルシクロペンタン、1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサン。
下記の化合物であってもよい(上記例示の化合物と重複する場合があるが、構造式で示すこととする)。
1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン。
下記の化合物であってもよい(上記例示の化合物と重複する場合があるが、構造式で示すこととする)。
1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダン。
下記の化合物であってもよい(上記例示の化合物と重複する場合があるが、構造式で示すこととする)。
2,2−ジフェニルブタン、3,3−ジフェニルペンタン、1,1−ジフェニル−1,1−ジtert−ブチル−メタン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニルシクロペンタン、1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンである。
2,2−ジフェニルブタン、1,1−ジフェニルシクロヘキサン、1,1−ジフェニル−4−メチルシクロヘキサン、1,3−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)−ベンゼン、1−フェニル−1,3,3−トリメチルインダンである。
下記の化合物もより好ましいものとして挙げられる(上記より好ましい化合物と重複する場合があるが、構造式で示すこととする)。
下記の化合物も更に好ましいものとして挙げられる(上記更に好ましい化合物と重複する場合があるが、構造式で示すこととする)。
にあることにより、本発明の効果が発現しやすく、また、電池の抵抗増大を防ぐことができる。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と記載する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。
ビニレンカーボネート類としては、 ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ジビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート等が挙げられる。
5−エチニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−エチニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4−フェニル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−フェニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート等が挙げられる。
不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。不飽和環状カーボネートの配合量は、非水系電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であ
り、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、とくに好ましくは2質量%以下である。この範囲内であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特耐久性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
本発明の電解液は、フッ素非含有カルボン酸エステルを含むことができる。本発明の電解液において、式(1)で表される化合物とフッ素非含有カルボン酸エステルを併用することにより、耐久特性を改善することができる。フッ素非含有カルボン酸エステルは、分子内にフッ素原子を有さないカルボン酸エステルであれば、特に制限されないが、好ましくはフッ素非含有の鎖状カルボン酸エステルであり、より好ましくはフッ素非含有の飽和鎖状カルボン酸エステルである。フッ素非含有の鎖状カルボン酸エステルの総炭素数は、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上であり、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−tert−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、酪酸イソブチル、酪酸−tert−ブチル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸n−ブチル、イソ酪酸イソブチル、イソ酪酸−tert−ブチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸n−プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸n−ブチル、吉草酸イソブチル、吉草酸−tert−ブチル、ヒドロアンゲリカ酸メチル、ヒドロアンゲリカ酸エチル、ヒドロアンゲリカ酸n−プロピル、ヒドロアンゲリカ酸イソプロピル、ヒドロアンゲリカ酸n−ブチル、ヒドロアンゲリカ酸イソブチル、ヒドロアンゲリカ酸−tert−ブチル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸n−プロピル、イソ吉草酸イソプロピル、イソ吉草酸n−ブチル、イソ吉草酸イソブチル、イソ吉草酸−tert−ブチル、ピバル酸メチル、ピバル酸エチル、ピバル酸n−プロピル、ピバル酸イソプロピル、ピバル酸n−ブチル、ピバル酸イソブチル、ピバル酸−tert−ブチル等の飽和鎖状カルボン酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸n−プロピル、クロトン酸イソプロピル、クロトン酸n−ブチル、クロトン酸イソブチル、クロトン酸−tert−ブチル、3−ブテン酸メチル、3−ブテン酸エチル、3−ブテン酸n−プロピル、3−ブテン酸イソプロピル、3−ブテン酸n−ブチル、3−ブテン酸イソブチル、3−ブテン酸−tert−ブチル、4−ペンテン酸メチル、4−ペンテン酸エチル、4−ペンテン酸n−プロピル、4−ペンテン酸イソプロピル、4−ペンテン酸n−ブチル、4−ペンテン酸イソブチル、4−ペンテン酸−tert−ブチル、3−ペンテン酸メチル、3−ペンテン酸エチル、3−ペンテン酸n−プロピル、3−ペンテン酸イソプロピル、3−ペンテン酸n−ブチル、3−ペンテン酸イソブチル、3−ペンテン酸−tert−ブチル、2−ペンテン酸メチル、2−ペンテン酸エチル、2−ペンテン酸n−プロピル、2−ペンテン酸イソプロピル、2−ペンテン酸n−ブチル、2−ペンテン酸イソブチル、2−ペンテン酸−tert−ブチル、2−プロピン酸メチル、2−プロピン酸エチル、2−プロピン酸n−プロピル、2−プロピン酸イソプロピル、2−プロピン酸n−ブチル、2−プロピン酸イソブチル、2−プロピン酸−tert−ブチル、3−ブチン酸メチル、3−ブチン酸エチル、3−ブチン酸n−プロピル、3−ブチン酸イソプロピル、3−ブチン酸n−ブチル、3−ブチン酸イソブチル、3−ブチン酸−tert−ブチル、2−ブチン酸メチル、2−ブチン酸エチル、2−ブチン酸n−プロピル、2−ブチン酸イソプロピル、2−ブチン酸n−ブチル、2−ブチン酸イソブチル、2−ブチン酸−tert−ブチル、4−ペンチン酸メチル、4−ペンチン酸エチル、4−ペンチン酸n−プロピル、4−ペンチン酸イソプロピル、4−ペンチン酸n−ブチル、4−ペンチン酸イソブチル、4−ペンチン酸−tert−ブチル、3−ペンチン酸メチル、3−ペンチン酸エチ
ル、3−ペンチン酸n−プロピル、3−ペンチン酸イソプロピル、3−ペンチン酸n−ブチル、3−ペンチン酸イソブチル、3−ペンチン酸−tert−ブチル、2−ペンチン酸メチル、2−ペンチン酸エチル、2−ペンチン酸n−プロピル、2−ペンチン酸イソプロピル、2−ペンチン酸n−ブチル、2−ペンチン酸イソブチル、2−ペンチン酸−tert−ブチル等の不飽和鎖状カルボン酸エステル。
フッ素非含有カルボン酸エステルの量(二種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.6質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下で、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。また、フッ素非含有カルボン酸エステルを非水溶媒として用いる場合の配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、更に好ましくは10体積%以上、更により好ましくは20体積%以上であり、また、50体積%以下で含有させることができ、より好ましくは45体積%以下、更に好ましくは40体積%以下である。このような範囲であれば、負極抵抗の増大を抑制し、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性を制御しやすい。
複数のエーテル結合を有する環状化合物としては、分子内に複数のエーテル結合を有する環状化合物であれば、特に限定されないが、好ましくは式(2−10)で表される化合物である。複数のエーテル結合を有する環状化合物は、電池の高温保存特性の向上に寄与するものであり、本発明の電解液においては、式(1)で表される化合物と併用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができる。
尚、A15〜A20から選ばれる2つが互いに結合して環を形成してもよい。この場合、A17及びA18で環構造を形成することが好ましい。また、A15〜A20の炭素数の総和が、好ましくは0以上8以下、より好ましくは0以上4以下、更に好ましくは0以上2以下、特に好ましくは0以上1以下である。
A15〜A20における炭素数1以上5以下の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基等の1価の炭化水素基;
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の2価の炭化水素基;等が挙げられる。これらのうち、アルキル基、アルキレン基が好ましく、アルキル基がより好ましい。具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基等の炭素数1以上5以下のアルキル基;
ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基等の炭素数2以上5以下のアルケニル基;
エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基等の炭素数2以上5以下のアルキニル基;
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基;
ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基等の炭素数2以上5以下のアルケニ
レン基;
エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基、1−ペンチニレン基及び2−ペンチニレン基等の炭素数2以上5以下のアルキニレン基等が挙げられる。これらのうち、好ましくはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数1以上5以下のアルキレン基であり、より好ましくはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数2以上5以下のアルキレン基であり、更に好ましくはトリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数3以上5以下のアルキレン基である。
複数のエーテル結合を有する環状化合物としては、例えば以下の化合物を挙げることができる。
複数のエーテル結合を有する環状化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。複数のエーテル結合を有する環状化合物の量(2種以上の場合は合計量)は、電解液100質量%中、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
電解質は特に制限なく、電解質として公知のものを任意に用いることができる。リチウム二次電池の場合は、通常リチウム塩が用いられる。具体的には、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiTaF6、LiWF7等の無機リチウム塩;LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;FSO3Li、CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li等のスルホン酸リチウム塩類;LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;リチウムビス(マロナト)ボレート、リチウムジフルオロ(マロナト)ボレート等のリチウム(マロナト)ボレート塩類;リチウムトリス(マロナト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(マロナト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(マロナト)ホスフェート等のリチウム(マロナト)ホスフェート塩類;その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;等が挙げられる。
上、好ましくは0.050以上、より好ましくは0.075以上、更に好ましくは0.080以上、特に好ましくは0.100以上であり、通常0.935以下であり、好ましくは0.850以下、より好ましくは0.760以下、更に好ましくは0.300以下、特に好ましくは0.200以下である。この範囲であれば、電解液の安定性に優れ、電池とした際も高温保存耐久性及び連続充電耐久特性を著しく向上させることができる。この原理については定かではないが、この比率で混合させることで、電解質の分解生成物と効率よく錯形成しやすいためと考えられる。なお、電解質のモル含有量に対する式(1)で表される化合物のモル含有量の比とは、式(1)で表される化合物のモル含有量を電解質のモル含有量で除した値を表し、電解質一分子に対する式(1)で表される化合物の分子数を表す指標である。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩は、それぞれ、分子内に少なくとも1つのモノフルオロリン酸又はジフルオロリン酸構造を有する塩であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(1)で表される化合物とモノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩から選ばれる1種以上とを併用することにより、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができる。
限されず、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、NR121R122R123R124(式中、R121〜R124は、独立して、水素原子又は炭素数1以上12以下の有機基である)で表されるアンモニウム等が挙げられる。上記アンモニウムのR121〜R124で表わされる炭素数1以上12以下の有機基は特に制限されず、例えば、フッ素原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基、置換基を有していてもよい窒素原子含有複素環基等が挙げられる。中でもR121〜R124は、独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又は窒素原子含有複素環基等が好ましい。カウンターカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、中でもリチウムが好ましい。
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩から選ばれる1種以上の量(2種以上の場合は合計量)は、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、また、5質量%以下であることができ、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。この範囲内であると、初期不可逆容量向上の効果が顕著に発現される。
ホウ酸塩は、分子内にホウ素原子を少なくとも1つ有している塩であれば、特に制限されない。ただしシュウ酸塩に該当するものは、1−3−2.ホウ酸塩ではなく、後述する1−3−3.シュウ酸塩に包含されるものとする。本発明の電解液において、式(1)で表される化合物とホウ酸塩とを併用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができる。
ホウ酸塩としては、リチウム塩が好ましく、含ホウ酸リチウム塩も好適に使用することができる。例えばLiBF4、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等が挙げられる。中でも、LiBF4が初期充放電効率と高温サイクル特性等を向上させる効果がある点からより好ましい。
してもよい。
ホウ酸塩の量(2種以上の場合は合計量)は、0.05質量%以上であることができ、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上であり、また、10.0質量%以下であることができ、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、特に好ましくは1.0質量%以下である。この範囲内であると、電池負極の副反応が抑制され抵抗を上昇させにくい。
また、電解質としてホウ酸塩とLiPF6を用いた場合、非水電解液中のLiPF6のモル含有量に対するホウ酸塩のモル含有量の比は、0.001以上12以下が好ましく、0.01〜1.1がより好ましく、0.01〜1.0が更に好ましく、0.01〜0.7がより好ましい。この範囲であると、電池中での正負極上副反応を抑制し、電池の充放電効率が向上する。
シュウ酸塩は、分子内に少なくとも1つのシュウ酸構造を有する化合物であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、式(1)で表される化合物とシュウ酸塩とを併用することによって、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができる。
シュウ酸塩としては、式(9)で表される金属塩が好ましい。この塩は、オキサラト錯体をアニオンとする塩である。
M2は、遷移金属、周期表の13族、14族及び15族からなる群より選ばれる元素であり、
R91は、ハロゲン、炭素数1以上11以下のアルキル基及び炭素数1以上11以下のハロゲン置換アルキル基からなる群より選ばれる基であり、
a及びbは正の整数であり、
cは0又は正の整数であり、
dは1〜3の整数である。)
M1は、本発明の電解液をリチウム二次電池に用いたときの電池特性の点から、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが好ましく、リチウムが特に好ましい。
R91としては、フッ素、塩素、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、ペンタフルオロエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、フッ素、トリフルオロメチル基が好ましい。
リチウムジフルオロオキサラトボレート及びリチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;
これらのうち、リチウムビス(オキサラト)ボレート及びリチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェートが好ましく、リチウムビス(オキサラト)ボレートがより好ましい。
シュウ酸塩の量(2種以上の場合は合計量)は、0.001質量%以上であることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質
量%以下である。この範囲にあると、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等を制御しやすい。
フルオロスルホン酸塩としては、分子内に少なくとも1つのフルオロスルホン酸構造を有している塩であれば、特に制限されない。本発明の電解液において、上記式(1)で表される化合物とフルオロスルホン酸塩とを併用することにより、この電解液を用いた電池において、耐久特性を改善することができる。
フルオロスルホン酸塩の含有量(2種以上の場合は合計量)は、0.05質量%以上であることができ、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.4質量%以上であり、また、10質量%以下であることができ、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に
好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。この範囲内であると、電池中での副反応が少なく、抵抗を上昇させにくい。
本発明における非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。具体的には、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル系化合物、スルホン系化合物等が挙げられる。
また、本明細書において、非水溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有する環状カーボネートが挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレン基を有する、フッ素原子を有していない環状カーボネートの具体的な例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートが挙げられる。中でも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
フッ素原子を有していない環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7の鎖状カーボネートが好ましく、炭素数3〜7のジアルキルカーボネートがより好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、tert−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、tert−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と記載する場合がある)も好適に用いることができる。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
環状カルボン酸エステルとしては、炭素数が3〜12のものが好ましい。
具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲であれば、非水系電解液の電
気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルの配合量は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。このように上限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていてもよい炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、
ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタ
ンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
エーテル系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上、また、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、更に好ましくは50体積%以下である。この範囲であれば、鎖状エーテルのリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質が炭素質材料の場合、鎖状エーテルがリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
炭素数3〜6の環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;
ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも
含めて「スルホラン類」と記載する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、tert−ブチルメチルスルホン、tert−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−tert−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−tert−ブチルスルホン等が挙げられる。
スルホン系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは5体積%以上であり、また、好ましくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは30体積%以下である。この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液二次電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
本発明の非水溶媒として、上記例示した非水溶媒1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、非水溶媒の好ましい組合せの1つとして、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せが挙げられる。
例えば、フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組み合わせとしては、
エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。
これらのエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカー
ボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは2体積%以上、また、好ましくは20体積%以下、より好ましくは8体積%以下、更に好ましくは5体積%以下である。
非水溶媒中にジメチルカーボネートを含有する場合は、全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートの割合が、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは25体積%以上、特に好ましくは30体積%以上であり、また、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは75体積%以下、特に好ましくは、70体積%以下となる範囲で含有させると、電池の負荷特性が向上することがある。
全非水溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、電解液の電気伝導度の向上と保存後の電池特性を向上させる点で、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。上記体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、低温での電池特性を向上の点で、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。
本発明の電解液電池において、上記化合物以外に、目的に応じて適宜助剤を用いてもよい。助剤としては、以下に示されるその他の助剤等が挙げられる。
本発明の電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、ジメチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド等の含燐化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含
窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、1−メチル−2−プロピ
ニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、1,1−ジメチル−2−プロピニル 2−(ジエトキシホスホリル)アセテート、ペンタフルオロフェニルメタンスルホネート、ペンタフルオロフェニルトリフルオロメタンスルホネート、酢酸ペンタフルオロフェニル、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル、メチルペンタフルオロフェニルカーボネート、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−メチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−プロピニル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−エチル、リチウム エチル メチルオキシカルボニルホスホネート、リチウム エチル エチルオキシカルボニルホスホネート、リチウム エチル 2−プロピニルオキシカルボニルホスホネート、リチウム エチル 1−メチル−2−プロピニルオキシカルボニルホスホネート、リチウム エチル 1,1−ジメチル−2−プロピニルオキシカルボニルホスホネート、リチウム メチル スルフェート、リチウム エチル スルフェート、リチウム 2−プロピニル スルフェート、リチウム 1−メチル−2−プロピニル スルフェート、リチウム 1,1−ジメチル−2−プロピニル スルフェート、リチウム 2,2,2−トリフルオロエチル スルフェート、メチル トリメチルシリル スルフェート、エチル トリメチルシリル スルフェート、2−プロピニル トリメチルシリル スルフェート、ジリチウム エチレン ジスルフェート、2−ブチン−1,4−ジイル ジメタンスルホネート、2−ブチン−1,4−ジイル ジエタンスルホネート、2−ブチン−1,4−ジイル ジホルメート、2−ブチン−1,4−ジイル ジアセテート、2−ブチン−1,4−ジイル ジプロピオネート、4−ヘキサジイン−1,6−ジイル ジメタンスルホネート、2−プロピニル メタンスルホネート、1−メチル−2−プロピニル メタンスルホネート、1,1−ジメチル−2−プロピニル メタンスルホネート、2−プロピニル エタンスルホネート、2−プロピニル ビニルスルホネート、メチル 2−プロピニル カーボネート、エチル 2−プロピニル カーボネート、ビス(2−プロピニル) カーボネート、メチル 2−プロピニル オギザレート、エチル 2−プロピニル オギザレート、ビス(2−プロピニル) オギザレート、2−プロピニル アセテート、2−プロピニル ホルメート、2−プロピニル メタクリレート、ジ(2−プロピニル) グルタレート、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル アセテート、2,2−ジオキシド−1,2−オキサチオラン−4−イル プロピオネート、5−メチル−1,2−オキサチオラン−4−オン 2,2−ジオキシド、5、5−ジメチル−1,2−オキサチオラン−4−オン 2,2−ジオキシド、2−イソシアナトエチル アクリレート、2−イソシアナトエチル メタクリレート、2−イソシアナトエチル クロトネート、2−(2−イソシアナトエトキシ)エチル アクリレート、2−(2−イソシアナトエトキシ)エチル メタクリレート、2−(2−イソシアナトエトキシ)エチル クロトネート、2−アリル無水こはく酸、2−(1−ペンテン−3−イル)無水こはく酸、2−(1−ヘキセン−3−イル)無水こはく酸、2−(1−ヘプテン−3−イル)無水こはく酸、2−(1−オクテン−3−イル)無水こはく酸、2−(1−ノネン−3−イル)無水こはく酸、2−(3−ブテン−2−イル)無水こはく酸、2−(2−メチルアリル)無水こはく酸、2−(3−メチル−3−ブテン−2−イル)無水こはく酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
本発明の電解液電池は、非水系電解液二次電池の中でも二次電池用、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の電解液を用いた非水系電解液二次電池について説明する。
本発明の電解液電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能な負極及び正極と、上記の本発明の電解液とを備える。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的に金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質及び人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。また、(1)〜(4)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記金属酸化物が、式(A)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、式(A)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
[式(A)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。]
上記の式(A)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
上記化合物の特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3O4、(b)ではLi1Ti2O4、(c)ではLi4/5Ti11/5O4である。また、Z≠0の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3O4が好ましいものとして挙げられる。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ま
しい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下が更に好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることが更に好ましい。
炭素質材料の質量基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
ラマンR値及びラマン半値幅は、炭素質材料表面の結晶性を示す指標であるが、炭素質材料は、化学的安定性の観点から適度な結晶性が有し、かつ充放電によってLiが入り込む層間のサイトを消失しない、即ち充電受入性が低下しない程度の結晶性であることが好ましい。なお、集電体に塗布した後のプレスによって負極を高密度化する場合には、電極板と平行方向に結晶が配向しやすくなるため、それを考慮することが好ましい。ラマンR値又はラマン半値幅が上記範囲であると、負極表面に好適な被膜を形成して保存特性やサイクル特性、負荷特性を向上させることができるとともに、非水系電解液との反応に伴う効率の低下やガス発生を抑制することができる。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上が更に好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下が更に好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど、充填性が向上し、粒子間の抵抗を抑えることができるため、高電流密度充放電特性は向上する。従って、円形度が上記範囲のように高いほど好ましい。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上が更に好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、粒子間の抵抗の増大を抑制することができる。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲であると、優れた高密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下が更に好ましい。上記範囲であると、極板化時のスジ引きを抑制し、更に均一な塗布が可能となるため、優れた高電流密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等
の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
集電体の厚さは、電池容量の確保、取扱い性の観点から、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上が更に好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、高電流密度充放電時における集電体の発熱を抑制することができる。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレンブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、ならびに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤等を含有させ、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下が更に好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲であると、負極活物質粒子の破壊を防止して、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を抑制することができる一方、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
また、上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
正極活物質としては、電気化学的に金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
ト複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をNa、K、B、F、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、W等の他の元素で置換したもの等が挙げられる。置換されたものとしては、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiNi0.45Co0.10Al0.45O2、LiMn1.8Al0.2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
本発明においては、正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものも「正極活物質」ともいう。
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成していてもよい。
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、更に好ましくは1.0g/cm3以上である。該正極活物質のタップ密度が上記範囲であると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量及び導電材や結着剤の必要量を抑えることができ、結果正極活物質の充填率及び電池容量を確保することができる。タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.7g/cm3以下、更に好ましくは3.5g/cm3以下である。上記範囲であると負荷特性の低下を抑制することができる。
なお、本発明では、タップ密度は、正極活物質粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)g/ccとして求める。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、更に好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記範囲であると、高タップ密度品が得られ、電池性能の低下を抑制できる一方、電池の正極作製、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化して薄膜状に塗布する際に、スジ引き等の問題を防止することができる。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種以上混合することで、正極作製時の充填性を更に向上させることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記範囲であると、粉体充填性及び比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制することができる一方、適度な結晶
性が得られることによって、充放電の可逆性を確保することができる。
なお、本発明では、一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、10000倍の倍率の写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.2m2/g以上、更に好ましくは0.3m2/g以上であり、上限は50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、更に好ましくは30m2/g以下である。BET比表面積が上記範囲であると、電池性能を確保できるとともに、正極活性物質の塗布性を良好に保つことができる。
なお、本発明では、BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、ならびに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることにより正極を得ることができる。
。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。上記範囲であると、十分な導電性と電池容量を確保することができる。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤及び必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系媒体としては、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、下限は、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。上記範囲であると、高電流密度充放電時の集電体の発熱を抑制し、電池容量を確保することができる。
本発明の電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さ
を差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上が更に好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下が更に好ましい。空孔率が、上記範囲であると、絶縁性及び機械的強度を確保できる一方、膜抵抗を抑え良好なレート特性を得ることができる。
。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤として多孔層を形成させることが挙げられる。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の質量が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲であると、電池容量を確保できるとともに内部圧力の上昇に伴う充放電繰り返し性能や高温保存等の特性低下を抑制し、更にはガス放出弁の作動を防止することができる。
集電構造は、特に制限されないが、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。電極群が上記の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。一枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が上記の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(PositiveTemperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本実施例に使用した式(1)で表される化合物の構造を以下に示す。
[実施例1−1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)に、電解質であるLiPF6を0.25mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。更に、基本電解液に対して化合物(1−1)1.00質量%を配合して実施例1−1の非水系電解液を調製した。
アルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に、上記の非水系電解液を袋内に注入し、封止を行ない、評価サンプルを作製した。
[電解液高温保存試験]
評価サンプルをエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から評価サンプル初期体積を求めた。その後、85℃、3日間の条件で高温保存を行った。十分に冷却させた評価サンプルをエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期体積からの変化分を電解液からの発生ガス量とした。
上記作製した評価サンプルを用いて、電解液高温保存試験を実施した。評価結果を、比較例1−9を100.0%としたときの相対値で表1に示す。なお、実施例1−1に示される抑制率とは、比較例1−1の発生ガス量に対する実施例1−1の発生ガス量の割合である。以下も同様とする。
実施例1−1の電解液において、LiPF6を0.50mol/Lの割合で溶解させた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例1−2に示される抑制率とは、比較例1−2の発生ガス量に対する実施例1−2の発生ガス量の割合である。
実施例1−1の電解液において、LiPF6を0.75mol/Lの割合で溶解させた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例1−3に示される抑制率とは、比較例1−3の発生ガス量に対する実施例1−3の発生ガス量の割合である。
実施例1−1の電解液において、LiPF6を1.25mol/Lの割合で溶解させた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例1−4に示される抑制率とは、比較例1−4の発生ガス量に対する実施例1−4の発生ガス量の割合である。
実施例1−1の電解液において、LiPF6を1.50mol/Lの割合で溶解させた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例1−5に示される抑制率とは、比較例1−5の発生ガス量に対する実施例1−5の発生ガス量の割合である。
実施例1−1の電解液において、LiPF6を1.75mol/Lの割合で溶解させた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、
実施例1−6に示される抑制率とは、比較例1−6の発生ガス量に対する実施例1−6の発生ガス量の割合である。
実施例1−1の電解液において、LiPF6を2.00mol/Lの割合で溶解させた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例1−7に示される抑制率とは、比較例1−7の発生ガス量に対する実施例1−7の発生ガス量の割合である。
実施例1−1の電解液において、LiPF6を3.00mol/Lの割合で溶解させた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例1−8に示される抑制率とは、比較例1−8の発生ガス量に対する実施例1−8の発生ガス量の割合である。
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
[比較例1−2]
実施例1−2の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−2と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
実施例1−3の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−3と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
[比較例1−4]
実施例1−4の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−4と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
実施例1−5の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−5と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
[比較例1−6]
実施例1−6の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−6と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
実施例1−7の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−7と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
[比較例1−8]
実施例1−8の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例1−8と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
比較例1−1の電解液において、LiPF6を含まない電解液を用いた以外、比較例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
[比較例1−10]
実施例1−1の電解液において、LiPF6を含まない電解液を用いた以外、実施例1−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
なお、比較例1−9ならびに1−10より、LiPF6が含まれていない場合は非水系電解液からのガス発生が見られなかったことから、式(1)で表される化合物がLiPF6の分解反応を抑制していることがわかる。
[実施例2−1]
実施例1−1の電解液において、LiPF6を1.00mol/Lの割合で溶解させ、更に、基本電解液に対して化合物(1−1)0.75質量%を配合した以外、実施例1−
1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例2−1に示される抑制率とは、比較例2−1の発生ガス量に対する実施例2−1の発生ガス量の割合である。
実施例2−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例2−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。
実施例2−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−1)1.03質量%を配合した以外、実施例2−1と同様にして評価サンプルを作製し、上記の評価を実施した。なお、比較例2−2に示される抑制率とは、比較例2−1の発生ガス量に対する比較例2−2の発生ガス量の割合である。また、実施例2−1で添加した化合物(1−1)と比較例2−2で添加した化合物(2−1)は等物質量である。
なお、式(1)の範囲に含まれない化合物を用いた場合(比較例2−2)、発生ガス量が増加したことから、式(1)で表される化合物が特異的にLiPF6の分解反応を抑制していることがわかる。
[実施例3−1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比EC:EMC:DEC=3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、ビニレンカーボネート(VC)2.0質量%ならびにモノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)2.0質量%を配合させて基本電解液とした。更に、基本電解液に対して化合物(1−1)0.5質量%を配合して実施例3−1の非水系電解液を調製した。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.
5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジエンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC−CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた。その後、60℃において、4.4Vの定電圧充電を14日間行い、この時の充電電流容量を連続充電容量とした。さらに、十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を連続充電ガス量とした。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び連続充電耐久試験を実施した。評価結果を、比較例3−1を100.0%としたときの相対値で表3に示す。以下も同様とする。
実施例3−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[比較例3−2]
実施例3−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−2)1.68質量%用いた以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例3−1で添加した化合物(1−1)と比較例3−2で添加した化合物(2−2)は等物質量である。
実施例3−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−3)0.74質量%用いた以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例3−1で添加した化合物(1−1)と比較例3−3で添加した化合物(2−3)は等物質量である。
実施例3−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−4)0.62質量%用いた以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例3−1で添加した化合物(1−1)と比較例3−4で添加した化合物(2−4)は等物質量である。
実施例3−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−5)0.75質量%用いた以外、実施例3−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例3−1で添加した化合物(1−1)と比較例3−5で添加した化合物(2−5)は等物質量である。
[実施例4−1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比EC:EMC:DEC=3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させて基本電解液とした。そして、基本電解液に対してモノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)5.0質量%および化合物(1−1)0.5質量%を配合して実施例4−1の非水系電解液を調製した。
実施例3−1と同様にして作製した。
[負極の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
[二次電池の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC−CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた。その後、60℃において、4.4Vの定電圧充電を7日間行い、この時の充電電流容量を連続充電容量とした。さらに、十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を連続充電ガス量とした。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び連続充電耐久試験を実施した。評価結果を、比較例4−1を100.0%としたときの相対値で表4に示す。以下も同様とする。
実施例4−1の電解液において、EMCの代わりにプロピオン酸エチル(EP)を用いた以外、実施例4−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[比較例4−1]
実施例4−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例4−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例4−2の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例4−2と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[実施例5−1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比EC:EMC:DEC=3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、ビニレンカーボネート(VC)2.0質量%ならびにモノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)2.0質量%を配合させて基本電解液とした。更に、基本電解液に対して化合物(1−1)0.5質量%を配合して実施例5−1の非水系電解液を調製した。
実施例3−1と同様にして作製した。
[負極の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
[二次電池の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC−CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から保存前電池体積を求めた。その後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前電池体積からの変化分を保存ガス量とした。その後、25℃において0.2Cで3Vまで放電させ、さらに、25℃において0.2Cの定電流で4.40VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3Vまで再度放電し、これを保存後電池容量とした。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び高温保存耐久試験を実施した。評価結果を、比較例5−1を100.0%としたときの相対値で表5に示す。以下も同様とする。
実施例5−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
実施例5−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−6)0.83質量%用いた以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例5−1で添加した化合物(1−1)と比較例5−2で添加した化合物(2−6)は等物質量である。
実施例5−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−7)1.00質量%用いた以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例5−1で添加した化合物(1−1)と比較例5−3で添加した化合物(2−7)は等物質量である。
実施例5−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−8)1.32質量%用いた以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の
評価を実施した。なお、実施例5−1で添加した化合物(1−1)と比較例5−4で添加した化合物(2−8)は等物質量である。
実施例5−1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−9)1.54質量%用いた以外、実施例5−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。なお、実施例5−1で添加した化合物(1−1)と比較例5−5で添加した化合物(2−9)は等物質量である。
なお、式(1)の範囲に含まれない化合物を用いた場合(比較例5−2〜5−5)、保存ガス量が減少するものもあるがその改善効果は小さく、実施例5−1に比べて大幅に劣る。さらに保存後容量も全て減少する。よって、本発明にかかる非水系電解液を用いた電池の方が優れた耐久特性であることは明らかである。
[実施例6−1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、プロピオン酸エチル(EP)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比EC:EP:DEC=3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、ビニレンカーボネート(VC)2.0質量%、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)2.0質量%を配合させて基本電解液とした。更に、基本電解液に対して1,3−プロパンスルトン(PS)2.0質量%ならびに化合物(1−1)0.5質量%を配合して実施例6−1の非水系電解液を調製した。
実施例3−1と同様にして作製した。
[負極の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
[二次電池の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC−CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から保存前電池体積を求めた。その後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前電池体積からの変化分を保存ガス量とした。また、電池の開回路電圧(OCV)を測定し、これを保存後OCVとした。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び高温保存耐久試験を実施した。評価結果を、比較例6−1を100.0%としたときの相対値で表6に示す。なお、保存後OCVは、比較例6−1からの増加分で示す。以下も同様とする。
実施例6−1の電解液において、化合物(1−1)含まない電解液を用いた以外、実施例6−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[実施例7−1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、プロピオン酸エチル(EP)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比EC:EP:DEC=3:4:3)に、電解質であるLiPF6を1.2mol/Lの割合で溶解させた。そして、ビニレンカーボネート(VC)2.0質量%、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)2.0質量%を配合させて基本電解液とした。更に、基本電解液に対してスクシノニトリル3.0質量%、1,3−プロパンスルトン(PS)2.0質量%、1−プロペン1,3−スルトン0.5質量%ならびに化合物(1−1)0.5質量%を配合して実施例7−1の非水系電解液を調製した。
実施例3−1と同様にして作製した。
[負極の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
[二次電池の作製]
実施例3−1と同様にして作製した。
非水系電解液二次電池をエタノール浴中に浸し、そのときの浮力から初期電池体積を求めた(アルキメデスの原理)。その後、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行った。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流―定電圧充電(「CC−CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、45℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した。次いで、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
初期の電池特性評価後の非水系電解液二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力から保存前電池体積を求めた。その後、60℃、7日間の条件で高温保存を行った。十分に冷却させた電池をエタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前電池体積からの変化分を保存ガス量とした。また、電池の開回路電圧(OCV)を測定し、これを保存後OCVとした。
の特性が優れた電池を提供できる。
上記作製した非水系電解液二次電池を用いて、初期の電池特性評価及び高温保存耐久試験を実施した。評価結果を、比較例7−1を100.0%としたときの相対値で表7に示す。なお、保存後OCVは、比較例7−1からの増加分で示す。
実施例7−1の電解液において、化合物(1−1)含まない電解液を用いた以外、実施例7−1と同様にして非水系電解液二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
Claims (8)
- 前記非水系電解液中に含まれる電解質濃度の合計が0.25mol/L以上3.0mol/L以下である、請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が電解質としてLiPF6を含有し、かつ、非水系電解液中に含まれる電解質のモル含有量に対する式(1)で表される化合物のモル含有量の比が、0.043以上0.935以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解液。
- 前記式(1)におけるR1がメチル基、エチル基およびn−プロピル基からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、前記式(1)で表される化合物を、0.001質量%以上10質量%以下で含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系電解液が、更に、フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、前記式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記フッ素含有環状カーボネート、硫黄含有有機化合物、リン含有有機化合物、前記式(1)以外のシアノ基を有する有機化合物、イソシアネート基を有する有機化合物、ケイ素含有化合物、芳香族化合物、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素非含有カルボン酸エステル、複数のエーテル結合を有する環状化合物、イソシアヌル酸骨格を有する化合物、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、ホウ酸塩、シュウ酸塩及びフルオロスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の非水系電解液全量に対する合計含有量が、0.001質量%以上30質量%以下である、請求項6に記載の非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに電解質及び非水溶媒を含む非水系電解液を具備する非水系電解液二次電池であって、該非水系電解液が請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
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