WO2014087988A1

WO2014087988A1 - 筆記具

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Publication number: WO2014087988A1
Application number: PCT/JP2013/082442
Authority: WO
Inventors: 神谷　俊史; 聡坂西; 義春並木; 洋亮瀬田川; 仁志木野; 中島　徹; 鈴木　孝典
Original assignee: 三菱鉛筆株式会社
Priority date: 2012-12-04
Filing date: 2013-12-03
Publication date: 2014-06-12
Also published as: EP2933117A1; US9636940B2; EP2933117A4; CN104837642A; US20150298489A1; CN104837642B

Abstract

　ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具を提供する。　このような筆記具としては、インクタンク１０の前部にペン先２０を装着し、インクタンク１０内に収容したインク２５と、該インク２５後部にはフォロワ３０が充填された状態で、フォロワ３０の後部とインクタンク２５後端部との空間部１５に毛管力を付与した毛管多孔体４０を配置すると共に、キャップをした際、ペン先２０全体をシールする構成とする。

Description

筆記具

　本発明は、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具に関する。

　一般的に、ディスプレイ性に優れ、インク残量が分かりやすい、インク容器などの筆記具本体にインクと該インクの後端部に充填したフォロワ（追従体）という形態となる筆記具は、インクの直流を防ぐために、ボールペンチップや微小に可動するバルブ方式を付与している構造となるものが数多く採用されている。

　前者のようなボールペンチップを用いてインクの直流を防いでいる筆記具は、保管時等によりチップを下向きにして非筆記面に接触させ続けた時でもチップからインクが直流しにくようにインクを設計している場合が多く、インク設計の幅が狭くなってしまう。
　また、後者で採用するバルブ方式の筆記具では、筆記時にガタがあるため、書き味が悪く、バルブを開いている時間によって、インク流量が変わってしまうため、文字書きと直線書きでの描線濃度に差が出やすいという問題があった。

　このような問題の解決を試みようとした筆記具として、例えば、
１）　バルブ式の筆記具において、ポンピング感等の違和感を生じることなくスムーズな開弁操作を可能して、かつ、閉弁のためのスプリング力が十分でインクの漏れやボタオチを確実に防止できる筆記具を提供するために、ペン芯が一定のストロ－ク以上後退動作しかつ特定の抵抗荷重以上の押圧力が加わったときに開弁してインク収容部内のインクをペン芯に向けて流通させる弁機構を有するバルブ式の筆記具であって、バルブが開弁するまでのストロークの間、ペン芯の後退動作に応じてペン芯の押圧に対する抵抗荷重を増加させていく弾性部材からなるダミーポンピング部を軸筒先端部に設けた構造の筆記具（例えば、特許文献１参照）、
２）　内部に液体を収容し、該液体を吐出する吐出手段と接続され、吐出手段を通じて内容液体が消費されるに伴って消費された内容液体の体積に見合う空気を内部に取り込む空気流通手段を設けた液体吐出具の液体貯蔵容器において、前記空気流通手段として、常温で固体のオルガノポリシロキサンからなる空気交換壁を配置すると共に、前記容器の内外の連通に要する最小距離が１．０μｍ以上０．２ｍｍ以下であることを特徴とする液体吐出具の液体貯蔵容器（例えば、特許文献２参照）、

３）　自由状態でインクを収容するインクタンク内と連通する、インク消費に伴うインクタンク内のインクの体積変化に応じてインクタンク内圧を維持すべく外気を取り込むための空気流通路を形成してなる筆記具において、前記空気流通路に、接触する壁部材との接触角θが０＜θ≦９０°で、且つ表面張力αが１０ｄｙｎ／ｃｍ≦α≦７３ｄｙｎ／ｃｍ（２０℃）である粘性流体による粘性流体層を配置し、前記インクの体積変化に係るインクタンク内圧の減少に伴って一時的に前記粘性流体層に空気流通孔を形成することを特徴とした筆記具（例えば、特許文献３参照）、
４）　インクを流動的に直接収容し且つ後端を開口させた内筒と、この内筒との間に空気交換手段を介して外部と流通する所要の断面積の空間が確保されるように該内筒を同軸遊嵌状に内設し且つ後端を閉鎖させた外筒と、この外筒と前記内筒との前端開口に備えるペン先とを有し、内筒内空間のインクの界面から連ねた状態で該内筒内空間の後端開口を介して連絡する外筒内の前記空間の後部側に、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御するバランス液体を流動的に収容してなる事を特徴とする筆記具（例えば、特許文献４参照）、
５）　インク収容室に生インク状態で収容したインクをペン先に供給するようにした筆記具であって、インク収容室がインクの消費につれて容積減少するように、インク収容室を形成する壁部に可動壁部を設けたものにおいて、前記可動壁部を前記インク収容室との区画壁部に有するとともに弾性壁部と毛細管力による液膜形成壁部とを外界との区画壁部に有する空気室を設けたことを特徴とする筆記具（例えば、特許文献５参照）、などが知られている。

　これらの特許文献１～５に記載の各筆記具は、従来の構造のものよりは改良されて、その性能は向上しているが、未だインク直流現象がみられたりするので、不十分であった。
　また、本発明の近接技術を開示している上記特許文献５では、内圧変化対応のための弾性膜体を付与しているが、この弾性体に反力（戻る力）が無い場合、透過による加圧分を抑えることが出来なく、また、外気圧が大気圧よりも低くなった場合、内圧は加圧状態になり、外気圧の低下が大気圧以内であっても、その後加温されると、内圧は加圧状態となってしまうものであり、更に、弾性膜体に反力を付与すると、温度変化により、体積が増加した場合、反力分、加圧状態になってしまい、当該弾性膜体では、内圧変化には未だ十分に対応してないため、使用時にインクの漏れ出しを生じる場合があるなどの課題がある。

特開２００８－２６５２０３号公報（特許請求の範囲、図面等）特開２００１－９６９６９号公報（特許請求の範囲、図面等）特開２００１－１０２８０号公報（特許請求の範囲、図面等）特開平１１－９９７９０号公報（特許請求の範囲、図面等）特開平７－１９５８９１号公報（特許請求の範囲、図面等）

　本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具を提供することを目的とする。

　本発明者らは、上記従来の課題等を解決するために、鋭意検討した結果、インクタンク前部にペン先を装着し、インクタンク内に収容したインクと、該インク後部にはフォロワが充填された状態で、フォロワの後部とインクタンク後端部との空間部に特定構造の多孔体を配置すると共に、キャップをした際、ペン先をシールする構成などとすることにより、上記目的の筆記具が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。

　すなわち、本発明は、次の（１）～（３）に存する。
（１）　インクタンク前部にペン先を装着し、インクタンク内に収容したインクと、該インクの後部にはフォロワが充填された状態で、フォロワの後部とインクタンク後端部との空間部に液体を含浸させることにより毛管力を付与した毛管多孔体を配置すると共に、キャップをした際、ペン先をシールすることを特徴とする筆記具。
（２）　ペン先側に付与された毛管力がインクの自重と筆記具後部の毛管力との総和より大きいことを特徴とする上記（１）記載の筆記具。

（３）　毛管多孔体は、スリット部を有する部材と接触していることを特徴とする上記（１）又は（２）記載の筆記具。

　本発明によれば、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具が提供される。

本発明の第一の態様の実施形態の一例を示す筆記具の図面であり、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は要部を示す部分拡大縦断面図である。キャップ体を取り付けてペン先をシールした状態を示す縦断面図である。本発明の第一の態様の実施形態の他例を示す筆記具の図面であり、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は要部を示す部分拡大縦断面図である。本発明の第一の態様の実施形態の他例を示す筆記具の図面であり、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は要部を示す部分拡大縦断面図である。本発明の第一の態様の実施形態の他例を示す筆記具の図面であり、（ａ）は縦断面図、（ｂ）は平面図、（ｃ）は要部を示す部分拡大縦断面図である。本発明の第一の態様の実施形態の他例を示す筆記具の図面であり、（ａ）は縦断面図、（ｂ）はキャップ体を取り付けてペン先をシールした状態を示す縦断面図である。本発明の第一の態様の実施形態の他例を示す筆記具の図面であり、（ａ）は縦断面図、（ｂ）はキャップ体を取り付けてペン先をシールした状態を示す縦断面図である。

本発明の第二の態様の実施形態の一例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図である。（ａ）及び（ｂ）は、図１のキャップ体部分と筆記具本体後端側部分の各縦断面状態を示す部分拡大斜視図である。図１の筆記具からキャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。（ａ）及び（ｂ）は、図３のキャップ体部分と筆記具本体後端側部分の各縦断面状態を示す部分拡大斜視図である。本発明の第二の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。本発明の第二の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。本発明の第二の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。本発明の第二の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。

本発明の第三の態様の実施形態の一例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図である。（ａ）及び（ｂ）は、図１６のキャップ体部分と筆記具本体後端側部分の各縦断面状態を示す部分拡大斜視図である。図１６の筆記具からキャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。（ａ）及び（ｂ）は、図１８のキャップ体部分と筆記具本体後端側部分の各縦断面状態を示す部分拡大斜視図である。本発明の第三の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。本発明の第三の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。本発明の第三の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。本発明の第三の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。本発明の第三の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す正面図、（ｂ）は（ａ）の縦断面図、（ｃ）は（ａ）の要部を示す拡大縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、図２４の筆記具のキャップ体を取り外した状態を示すものであり、（ａ）は正面図、（ｂ）は縦断面図、（ｃ）は要部を示す拡大縦断面図である。（ａ）～（ｅ）は、図２４に示す筆記具の減圧部材を示すものであり、（ａ）は後方側からの斜視図、（ｂ）は前方側からの斜視図、（ｃ）は左側面図、（ｄ）は縦断面図、（ｅ）は右側面図である。（ａ）～（ｆ）は、図２４に示す筆記具の尾栓を示すものであり、（ａ）は後方側からの斜視図、（ｂ）は前方側からの斜視図、（ｃ）は左側面図、（ｄ）は正面図、（ｅ）は右側面図、（ｆ）は縦断面図である。本発明の第三の態様の実施形態の他例を示すノック式の筆記具であり、（ａ）は非筆記状態を示す正面図、（ｂ）は（ａ）の縦断面図、（ｃ）は（ａ）の要部を示す拡大縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、図２８のノック式の筆記具の筆記状態を示すものであり、（ａ）は正面図、（ｂ）は縦断面図、（ｃ）は要部を示す拡大縦断面図である。（ａ）～（ｇ）は、図２８に示すノック式の筆記具の減圧部材を示すものであり、（ａ）は後方側からの斜視図、（ｂ）は正面図、（ｃ）は前方側からの斜視図、（ｄ）は左側面図、（ｅ）は縦断面、（ｆ）は右側面図、（ｇ）は横縦断面図である。（ａ）～（ｆ）は、図２８に示すノック式の筆記具の尾栓を示すものであり、（ａ）は後方側からの斜視図、（ｂ）は横断面図、（ｃ）は前方側からの斜視図、（ｄ）は左側面図、（ｅ）は縦断面図、（ｆ）は右側面図である。（ａ）～（ｄ）は、図２８に示すノック式の筆記具の押圧部材を示すものであり、（ａ）は斜視図、（ｂ）は左側面図、（ｃ）は正面図、（ｄ）は右側面図である。

（ａ）及び（ｂ）は、本発明の第四の態様の実施形態の一例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態と、キャップ体を取り外した状態とを示す各縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、図３３の筆記具において、キャップ体に備えた減圧機構を説明するための説明図であって、そのキャップ体を筆記具本体に取り付ける過程を順次説明するための部分拡大縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、図３３の筆記具において、キャップ体に備えた減圧機構を説明するための説明図であって、そのキャップ体を筆記具本体から取り外す過程を順次説明するための部分拡大縦断面図である。（ａ）及び（ｂ）は、本発明の第四の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態と、キャップ体を取り外した状態とを示す縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、図３６の筆記具において、キャップ体に備えた減圧機構を説明するための説明図であって、そのキャップ体を筆記具本体に取り付ける過程を順次説明するための部分拡大縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、図３６の筆記具において、キャップ体に備えた減圧機構を説明するための説明図であって、そのキャップ体を筆記具本体から取り外す過程を順次説明するための部分拡大縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態、キャップ体を取り外す途中の状態、キャップ体を取り外した状態を示す各縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態、キャップ体を取り外す途中の状態、キャップ体を取り外した状態を示す各縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態、キャップ体を取り外す途中の状態、キャップ体を取り外した状態を示す各縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態、キャップ体を取り外す途中の状態、キャップ体を取り外した状態を示す各縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態、キャップ体を取り外す途中の状態、キャップ体を取り外した状態を示す各縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の実施形態の他例を示す筆記具であり、キャップ体を取り付けた状態、キャップ体を取り外す途中の状態、キャップ体を取り外した状態を示す各縦断面図である。

　以下に、本発明の第一の態様の実施形態を図面（図１～図７）を参照して詳しく説明する。
　図１及び図２は、本発明の第一の態様の実施形態の一例（第１実施形態）を示す筆記具の各図面である。
　本実施形態の筆記具Ａは、マーキングペンタイプの筆記具であり、図１及び図２に示すように、筆記具本体（軸部）となるインクタンク１０と、該インクタンク１０の前部に装着したペン先２０と、上記インクタンク１０内に収容したインク２５と、該インク２５後部に充填したフォロワ（追従体）３０と、該フォロワ（追従体）３０が充填された状態で、フォロワ３０の後部とインクタンク１０の後端部との空間部１２に配置した毛管力を付与した毛管多孔体４０と、ペン先２０全体をシールするキャップ体５０とを有している。

　このインクタンク１０としては、収容するインクに含有される原材料の経時的な悪影響を受けないものが好ましく、例えば、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレン（ＰＥ）などの樹脂や、アルミニウム等の金属などの材料を用いて構成することができる。本実施形態では、インクタンク１０は、ポリプロピレン（ＰＰ）を使用して円筒状に成形され、筆記具本体として機能する。
　得られるインクタンクの肉厚（厚さ）は、収容するインク種、用いる樹脂などの材料種、筆記具種などにより変動するが、好ましくは、強度、耐溶剤透過性、吸湿抑制、成形性、視認性、デザイン性などの点から、好ましくは、０．０５～２．０ｍｍ、更に好ましくは、０．３～１．５ｍｍとすることが望ましい。

　ペン先２０は、繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結芯（ポーラス体）などから構成される筆記部となるペン芯であり、インクタンク１０の先端部に取り付けられた先軸１５の貫通孔１５ａに固着される構造となっている。先軸１５の後端側は、インクタンク１０の前端開口部１０ａに嵌合等により固着される固着部１５ｂとなっている。
　本実施形態では、ペン先となるペン芯２０は、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）繊維からなる繊維束芯により構成されている。

　インクタンク１０に収容するインク２５としては、水性インク、油性インク、ゲルインクなど特に限定されるものでない。用いるインク組成としては、その用途（水性インク、油性インク、ゲルインク等）、筆記具種（マーキングペン、ボールペン等）に応じて顔料（樹脂顔料含む）、染料などの着色剤、主溶剤、樹脂、増粘剤及び筆記具用のインクに含有される任意成分などを用いることができる。
　任意成分としては、例えば、インクに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を含有することができる。ボールペン用のインクでは、脂肪酸などは潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も含有することができる。
　本実施形態では、インクは、水性サインペン用インクにより構成されている。

　フォロワ（追従体）３０は、筆記時にインクの消費に伴って追従するものであり、インクに使用する溶剤に対して低透過性、低拡散性となるものが好ましく、そのベースとしては不揮発性や難揮発性の流動体、具体的には、ポリブテンや流動パラフィンなどを使用することができる。
　これらの物質の粘度が低い場合には、増粘剤やゲル化剤を用いることが好ましい。具体的には、金属セッケン類、ベントナイト類、脂肪酸アマイド類、水添ヒマシ油類、酸化チタンやシリカやアルミナ等を含む金属微粒子類、セルロース類、エラストマー類等が挙げられる。本実施形態では、フォロワ（追従体）３０は鉱油と増粘剤により構成されている。

　この第一の態様の筆記具Ａでは、上記フォロワ（追従体）３０が充填された状態で、フォロワ３０の後部とインクタンク１０の後端側との間に空間部１２が形成され、該空間部１２に毛管力を付与した毛管多孔体４０が配置される構成となっている。具体的には、インクタンク１０の後端開口部１０ｂに、該開口部１０ｂを封止する尾栓となる部材３５が取り付けられている。この部材３５は、蓋部３５ａと、中央部に形成した貫通孔３５ｂと、該貫通孔３５ｂの周面に形成したスリット部３５ｃ，３５ｃ…と、貫通孔３５ｂの先端側に毛管多孔体４０の前端部を保持する段部３５ｄとリブ部３５ｅとから構成され、上記スリット部３５ｃ…を有する貫通孔３５ｂに毛管力を付与した毛管多孔体４０を接触状態で取り付けることにより、空間部１２に毛管力を付与した毛管多孔体４０が配置される構成となっている。

　この毛管多孔体４０は、毛管力が付与された多孔体から構成されるものであれば、特に限定されず、例えば、繊維束、焼結体、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、スポンジ等の発泡材などから選択される多孔体に、鉱油、プロセスオイル、シリコンオイル、イオン性液体などの液体を含芯させたものを挙げることができる。
　好ましくは、揮発防止の点から、蒸気圧の低いプロセスオイルなどから構成されるものが望ましい。
　この毛管多孔体４０により、インクがペン先２０から排出されると空気を取り込む為、筆記は可能であり、筆記を止めた場合は、空間内１２の減圧状態を保持することが可能となり、インクの直流を防止するものとなる。また、上記部材３５の貫通孔３５ｂの周面に形成したスリット部３５ｃ，３５ｃ…により、空気を取り込む際に多孔体中のオイルが移動してもスリット部３５ｃ，３５ｃ…で一時保持されるため、液体の液ダレを防止することができる。
　本実施形態では、繊維束芯とプロセスオイルとの組み合わせから構成されている。

　キャップ体５０は、筆記具本体（軸部）となるインクタンク１０の前端側に着脱自在に装着される本体部５１と、内部にペン先２０の突出部分全体をシールするニトリルゴム（ＮＢＲ）、ブチルゴム（ＩＩＲ）等のゴム、熱可塑性エラストマー、軟質樹脂などで構成されたシール部材５２を装着する内筒部５３とを有している。このキャップ体５０をインクタンク１０の前端側に装着することにより、先軸１５から突出したペン芯２０の部分全体がシール部材５２によりシールされて、インクタンクの内圧変化の際に、ペン先２０からの直流現象を防止するものとなる。本実施形態のシール部材は、ブチルゴム（ＩＩＲ）から構成されている。

　本実施形態では、上向き筆記をできるようにするために、ペン先２０側に付与された毛管力（Ｍ１）がインクの自重（Ｍ２）と筆記具後部の毛管力（Ｍ３）との総和より大きく設定〔Ｍ１＞（Ｍ２＋Ｍ３）〕に設定されている。このＭ１＞（Ｍ２＋Ｍ３）とすることにより、上向きに筆記した場合でもペン先から空気が混入するのを防止することができ、上向き筆記したときのインクの逆流を防止することができる。

　このように構成される本発明の第一の態様の第１実施形態の筆記具Ａでは、フォロワ３０の上部に空間部１２を設け、その空間部１２の上部に毛管多孔体４０を備えているので、筆記の際はインク排出により、フォロワ３０と毛管多孔体４０の間の空間部１２が減圧状態となり、減圧が毛管多孔体４０の毛管力以上になると、毛管多孔体４０へ空気（気泡）が侵入し、通常通り、筆記が可能となる。一方、筆記を終えると、上記で発生した気泡は、破泡し、毛管多孔体４０に液体が染み込み毛管力が復元し、インクの自重を支えることができる。このようなサイクルにより、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したマーキングペンに好適な筆記具が得られるものとなる。また、本第１実施形態の筆記具Ａでは、キャップ体５０の装着時には、ペン芯２０の突出部分全体がシール部材５２によりシールされているので、インクタンクの加温等の内圧変化の際にも、保管時におけるペン先２０からの直流現象を防止するものとなる。

　次に、図３～図７は、本発明の第一の態様の筆記具の他例（第２実施形態～第６実施形態）を示すものであり、上記図１及び図２の第１実施形態と比較して、図３～図５は、毛管力を付与した毛管多孔体４０の配置構造を代えた各構造であり、図６～図７は、ペン先の構造を代えた各構造であり、これらの各構造以外は、上記第１実施形態（図１及び図２）と同様であるので、同一の図示符号を示して、その説明を省略する。なお、図３～図５の各筆記具において、ペン先２０の突出部分全体をシールするキャップ体５０は、上記第１実施形態と同様であるので、その図示は省略する。

　図３の第２実施形態となる筆記具Ｂは、上記第１実施形態の筆記具Ａにおいて、毛管力を付与した毛管多孔体４０が貫通孔３５ｂの先端側に設けたリブ部３５ｅを介することなくなく、配置された構造となるものである。
　図４の第３実施形態となる筆記具Ｃは、上記第１実施形態の筆記具Ａにおいて、貫通孔３５ｂの先端側に形成した段部３５ｄとリブ部３５ｅを介することなく、毛管力を付与した毛管多孔体４０が貫通孔３５ｂの途中の周面に形成した凸状保持部３５ｆにより保持されるものであり、該凸状保持部３５ｆに嵌合により保持されるように、毛管力を付与した毛管多孔体４０にも凹状の保持部４１が形成されて、該毛管多孔体４０が貫通孔３５ｂ内に配置された構造となるものである。
　図５の第４実施形態となる筆記具Ｄは、上記第１実施形態の筆記具Ａにおいて、貫通孔３５ｂの周面に形成したスリット部３５ｃ，３５ｃ…、前端側のリブ部３５ｅを形成することなく、毛管力を付与した毛管多孔体４０が段部３５ｄにより保持されて、該毛管多孔体４０が貫通孔３５ｂ内に配置された構造となるものである。

　この図３～図５に示す第一の態様の第２実施形態～第４実施形態の各筆記具Ｂ～Ｄにおいても、上述の第１実施形態の筆記具Ａと同様に、筆記の際はインク排出により、フォロワ３０と毛管多孔体４０の間の空間部１２が減圧状態となり、減圧が毛管多孔体４０の毛管力以上になると、毛管多孔体４０が切れ空気が混入するため、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えると、再び毛管多孔体４０に液体が染み込み毛管力が復元し、液の自重を支えることができることとなるため、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したマーキングペンに好適な筆記具が得られるものとなる。

　図６の第５実施形態となる筆記具Ｅは、上記第１実施形態の筆記具Ａにおいて、ペン先（ペン芯）２０を、繊維芯、焼結芯（ポーラス体）等で構成する代わりに、先軸１５の固着部１５ｂ内に設けた中継芯１６を介して各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯で構成した点でのみ異なるものであり、上述の第１実施形態の筆記具Ａと同様に、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したペン先がプラスチック芯で構成した筆記具が得られるものとなる。

　図７の第６実施形態となる筆記具Ｆは、上記第１実施形態の筆記具Ａにおいて、ペン先（ペン芯）２０を、繊維芯、焼結芯（ポーラス体）等で構成する代わりに、先軸１５の固着部１５ｂ内に設けた中継芯１６を介して筆記ボールを内蔵するボールペンチップで構成した点でのみ異なるものであり、上述の第１実施形態の筆記具Ａと同様に、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペンックからなる筆記具が得られるものとなる。

　本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の形態に変更することができる。

　図８～１５は、本発明の第二の態様の実施形態を示す筆記具である。
　この第二の態様の筆記具では、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止すると共に、筆記具保管時にインクを収容するインクタンク内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具に関するものである。

　この第二の態様の筆記具の構成としては、次の（１）～（３）の構成が挙げられる。
（１）　筆記具本体後部にインクタンクに充填したインクの直流を抑制する抑制機構を備えた筆記具であって、筆記具本体前部には、ペン先と、該ペン先をシールするキャップ体とを装着すると共に、筆記具本体後部には、キャップ体の開放に伴いインクタンク内を減圧する減圧機構を備えたことを特徴とする筆記具。
（２）　キャップ開放に伴い、筆記具本体内に備えたインクタンクとなるリフィールが前方に可動することを特徴とする上記（１）に記載の筆記具。
（３）　減圧機構内には、弾性部材を有し、弾性部材の弾性力は、キャップ体引抜力以下であることを特徴とする上記（１）又は（２）に記載の筆記具。
　この第二の態様の筆記具によれば、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止すると共に、筆記具保管時に筆記具本体内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具が提供される。

　以下に、本発明の第二の態様の実施形態を図面（図８～図１５）を参照して詳しく説明する。
　図８～図１１は、本発明の第二の態様の実施形態の一例（第１実施形態）を示す筆記具の各図面である。
　本実施形態の筆記具Ｇは、図８及び図１０に示すように、軸部となる該筆記具本体１０の前部には、ペン先２０と、該ペン先２０をシールするキャップ体３０とを装着すると共に、筆記具本体１０内に備えたインクタンクであるリフィール１１に充填したインク２５を有し、上記筆記具本体１０の後部にインクの直流を抑制する抑制機構４０と、インクを充填した状態で、キャップ体３０の開放に伴いリフィール１１内を減圧する減圧機構５０とを備えたものである。

　筆記具本体１０は、軸部となるものであり、樹脂や、金属などを用いて構成することができ、本実施形態では、筆記具本体１０は、アクリロニトリルスチレン（ＡＳ）を使用して円筒状に成形されている。
　この筆記具本体１０内には、インク２５を収容するリフィール１１を備え、後述するように、キャップ体３０の開放に伴い、筆記具本体１０内でリフィール１１が前方に可動する構造となっている。
　リフィール１１としては、収容するインクに含有される原材料の経時的な悪影響を受けないものが好ましく、例えば、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレン（ＰＥ）などの樹脂や、アルミニウム等の金属などの材料を用いて構成することができる。本実施形態では、インクタンクとなるリフィール１１は、ポリプロピレン（ＰＰ）を使用して円筒状に成形されている。

　ペン先２０は、各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯から構成される筆記部となるペン芯から構成されている。
　このペン芯２０は、リフィール１１の先端開口部１１ａ内に取り付けられた筒状の継手部材１５で固着される構造となっている。継手部材１５は、リフィール１１の先端開口部１１ａに嵌合等により固着される筒状の固着部１５ａと、蓋部となるフランジ部１５ｂと、ペン芯２０を保持する段部１５ｃを有する保持部１５ｄとから構成され、上記筒状の固着部１５ａ内に多孔体からなる中継芯１６が保持されており、インクタンクとなるリフィール１１に充填したインク２５を上記多孔体からなる中継芯１６を介してプラスチック芯から構成される筆記部となるペン芯２０へ供給する構成となっている。

　この継手部材１５によりペン芯２０を先端に固着したリフィール１１は、筆記具本体１０内に摺動できるように収容されている。このリフィール１１の継手部材１５は、筆記具本体１０の先端開口部に嵌合等により取り付けられた筒状の先軸１７に保持される。
　先軸１７は、筆記具本体１０の先端開口部に嵌合等により取り付けられる取付部１７ａと、内部に、後述摺るように、キャップ体３０の開放に伴い筆記具本体１０内でリフィール１１が前方に可動した際に継手部材１５が前方へ可動できる可動空間部１７ｂが形成されており、この可動空間部１７ｂを有する先軸１７の内周面には、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる段部１７ｃ、１７ｄが設けられている。この先軸１７に設けた段部１７ｃ、１７ｄで、前記継手部材１５のフランジ部１５ｂと段部１５ｃが当接してリフィール１１の前方への可動が停止するものとなる。

　インクタンクとなるリフィール１１に収容するインク２５としては、水性インク、油性インク、ゲルインクなど特に限定されるものでない。用いるインク組成としては、その用途（水性インク、油性インク、ゲルインク等）、筆記具種（マーキングペン、ボールペン等）に応じて顔料（樹脂顔料含む）、染料などの着色剤、主溶剤、樹脂、増粘剤及び筆記具用のインクに含有される任意成分などを用いることができる。
　任意成分としては、例えば、インクに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を含有することができる。ボールペン用のインクでは、脂肪酸などは潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も含有することができる。
　本実施形態では、インク２５は、水性サインペン用インクにより構成されている。

　リフィール１１に充填したインク２５の後部には、筆記時にインクの消費に伴って追従するフォロワ（追従体）２６が設けられ、その後方側は空気室となる空間部２７となっている。
　フォロワ（追従体）２６としては、インクに使用する溶剤に対して低透過性、低拡散性となるものが好ましく、そのベースとしては不揮発性や難揮発性の流動体、具体的には、ポリブテンや流動パラフィン、鉱油、プロセスオイルなどを使用することができる。
　これらの物質の粘度が低い場合には、増粘剤やゲル化剤を用いることが好ましい。具体的には、金属セッケン類、ベントナイト類、脂肪酸アマイド類、水添ヒマシ油類、酸化チタンやシリカやアルミナ等を含む金属微粒子類、セルロース類、エラストマー類等が挙げられる。本実施形態では、フォロワ（追従体）２６は鉱油と増粘剤により構成されている。

　キャップ体３０は、筆記具本体（軸部）１０の前端側に着脱自在に装着される取付部となる筒状の本体部３１と、該本体部３１の開口部３１ａに取り付けた天冠部３２と、該天冠部３２内部にペン先２０の突出部分全体をシールするニトリルゴム（ＮＢＲ）、ブチルゴム（ＩＩＲ）等のゴム、熱可塑性エラストマー、軟質樹脂などで構成されたシール部材３３を装着する凹状の装着部３４と、前記天冠部３２に一体に有するクリップ部３５とを有している。
　このキャップ体３０を筆記具本体１０の前端側に装着することにより、継手部材１５を保持した先軸１６から突出したペン芯２０の先端全体がシール部材３３によりシールされて、インクタンク１１の内圧変化の際に、ペン先２０からの直流現象を防止するものとなる。本実施形態のシール部材は、ブチルゴム（ＩＩＲ）から構成されている。

　この第二の態様の筆記具Ｇでは、筆記具本体１０の後部にインクの直流を抑制する抑制機構４０と、インクを充填した状態で、キャップ体３０の開放、すなわち、筆記具本体１０からのキャップ体３０の取り外しに伴い、インクタンク１１内を減圧する減圧機構５０とを備えている。
　また、筆記具本体１０の後端側の開口部１０ｂには、尾栓６０が固着されている。尾栓６０は、筆記具本体外となる大気と連通する連通孔６１を有する蓋部６２と、筆記具本体１０の開口部１０ｂに嵌合により固着される筒状の固着部６３と、インクタンク側に伸びる棒状部材６４とを有している。

　上記インクの直流を抑制する抑制機構４０は、インクの直流を抑制する毛管力を付与した毛管多孔体４１を備えている。この毛管多孔体４１は、本実施形態では、減圧機構５０内に収容される構造となっている。
　毛管多孔体４１は、毛管力が付与された多孔体から構成されるものであれば、特に限定されず、例えば、繊維束、焼結体、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、スポンジ等の発泡材などから選択される多孔体に、鉱油、プロセスオイル、シリコンオイル、イオン性液体などの液体を含浸させたものを挙げることができる。
　好ましくは、揮発防止の点から、蒸気圧の低いプロセスオイルなどから構成されるものが望ましい。
　この毛管多孔体４１により、インクがペン先２０から排出されると空気を取り込む為、筆記は可能であり、筆記を止めた場合は、空間内１２の減圧状態を保持することが可能となり、インクの直流を防止するものとなる。

　本実施形態の減圧機構５０は、図９（ｂ）に示すように、フォロワ（追従体）２６の後端側に空間部２７を有するインクタンク１１の後端開口部１１ｂに固着される筒状の本体部５１と、毛管多孔体４１を収容する筒状の収容部材５５と、該収容部材５５を保持して上記本体部５１の一方の開口部５１ａに固着される保持部材５６とを備えている。
　減圧機構５０の本体部５１は、コイル状のスプリングからなる弾性部材５２を収容する小径の第１筒状部５３と、上記収容部材５５を収容する大径の第２筒状部５４とを有し、該収容部材５５のインクタンク側の端部は上記弾性部材５２より後端側に附勢されると共に、尾栓側の端部は上記尾栓６０に設けた棒状部材６４の先端部に当接する構造となっている。また、毛管多孔体４１を収容する筒状の収容部材５５の外周にはＯリング５５ａが取り付けられて、第２筒状部５４内に気密に保持されている。

　上記減圧機構５０内に収容した弾性部材５２の弾性力は、Ｏリング５５ａを摺動させる必要があり、さらに筆記時は筆記荷重でリフィール１１が後退しないようにする必要がある為、それ以上の荷重にする必要がある。さらにキャップＯＮ時にはキャップ体３０が外れないようにする必要があることから、ペン芯２０の座屈荷重以上、キャップ体引抜力以下となっている。
　本実施形態では、筆記荷重は、通常、２Ｎ程度であり、キャップ体引抜力は本実施形態では２５Ｎ、ペン芯２０の座屈荷重は７Ｎとなっている。

　このように構成される本第二の態様の第１実施形態の筆記具Ｇでは、筆記具保管時に筆記具本体１０内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンクとなるリフィール１１内を減圧にすることができ、使用時にペン先２０からのインク２５の漏れ出しを防止することができるものとなる。すなわち、取り付けたキャップ体３０を取り外（開放）した際に、リフィール１１の後端部は固定したまま、リフィール１１全体がシールしながら前進することで、インクタンクとなるリフィール１１の空間部２７を体積膨張（空間部の体積を増加）させる。一方、キャップ体３０の取り付け時は体積収縮するが、リフィール１１の後端部に設けた毛管多孔体４１により、加圧分を逃がす構造とした。詳述すると、図９及び図１１に示すように、キャップ体３０を差し込むと、ペン芯２０がシール部材３３にあたりシールする。さらにキャップ３０体を差し込むと、リフィール１１が後退し、収容部材５５は動かずに減圧機構本体部５１が摺動することで、インクタンク内は加圧状態となる。一方、キャップ３０体を外した場合は、リフィール１１が前進し、収容部材５５は動かずに減圧機構本体部５１が摺動する為、インクタンク内は減圧状態となる。このようにすることで、筆記具保管時に筆記具本体１０内のインクタンクとなるリフィール１１内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にはリフィール１１内を強制的に減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止することができる。
　また、通常の筆記の際や、筆記を終了の際には、リフィール１１の後端部に設けたインクの直流を抑制する上述の毛管多孔体４１の抑制機構のサイクルにより、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したものとなる。すなわち、リフィール１１の後端部に毛管多孔体４１を備えているので、筆記の際はインク排出により、フォロワ３０と毛管多孔体４０の間の空間部２７が減圧状態となり、減圧が毛管多孔体４１の毛管力以上になると、毛管多孔体４１の毛管力が破れて、空気（気泡）が侵入し、通常通り、筆記が可能となる。一方、筆記を終えると、上記で発生した気泡は、破泡し、毛管多孔体４１に液体が染み込み毛管力が復元し、インクの自重を支えることができる。
　更に、本第二の態様の第１実施形態の筆記具Ｇでは、キャップ体３０の装着時には、ペン芯２０の突出部分全体がシール部材３３によりシールされているので、インクタンクの加温等の内圧変化の際にも、ペン先２０からの直流現象を防止するものとなる。

　次に、図１２～図１５は、本発明の第二の態様の筆記具の他例（第２実施形態～第５実施形態）を示すものである。なお、図１２～図１５において、上記第二の態様の第１実施形態（図８～図１１）と同様の構造は、同一の図示符号を示して、その説明を省略する。

　図１２は、本発明の第二の態様の第２実施形態を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。
　この第２実施形態となる筆記具Ｈは、上記第１実施形態の筆記具Ｇにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結芯（ポーラス体）などから構成される筆記部となるペン芯、本実施形態ではポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）繊維からなる繊維束芯から構成されるペン芯に代えた点、中継芯１６を省略した点、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる先軸１７に形成した段部を傾斜状段部１７ｅに代えた点、キャップ体３０を、筆記具本体（軸部）１０の前端側に着脱自在に装着される取付部となる有底筒状の本体部３６とし、該本体部３６の内部にペン芯２０の突出部分全体をシールするＢＲ、ＳＢＲ等のゴム、熱可塑性エラストマー、軟質樹脂などで構成されたシール部材３３を装着する凹状の装着部３４と簡単な構成とした点で、上記実施形態の筆記具Ｇと相違するものである。
　本実施形態の筆記具Ｈによれば、上記実施形態の筆記具Ｇと同様に作用するものであり、キャップ体３０を開放した際に、リフィール１１の後端部は固定したまま、リフィール１１全体がシールしながら前進することで、インクタンクとなるリフィール１１の空間部を体積膨張させ、キャップ体３０の取り付け時は体積収縮するが、リフィール１１の後端部に設けたヘッドバルブとなる毛管多孔体４１により、加圧分を逃がす構造としたので、キャップ体３０の開放時にインクタンク１１内を減圧にすることができ、使用時にペン先２０からのインクの漏れ出しを防止することができ、しかも、通常の筆記では毛管多孔体４１の作用により、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したものとなる。

　図１３は、本発明の第二の態様の第３実施形態を示す筆記具である。
　この第３実施形態となる筆記具Ｉは、図１３（ａ）及び（ｂ）に示すように、上記第１実施形態の筆記具Ｇにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結芯（ポーラス体）などから構成される筆記部となるペン芯である。本実施形態ではポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）繊維からなる繊維束芯から構成されるペン芯とした。リフィール１１からペン芯２０へのインク２５の供給機構は中継芯１６を省略してバルブ体７０により行う点、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる先軸１７に形成した段部を傾斜状段部１７ｅに代えた点、筆記時にインクの消費に伴って追従するフォロワ（追従体）２６を省略した点、キャップ体３０を、上記第２実施形態のキャップ体に代えた点で、上記実施形態の筆記具Ｇと相違するものである。
　上記バルブ体７０は、上記ペン芯２０の後端部に当接し、該ペン芯の後退に連動して後退可能な弁棒７１と、該弁棒７１を上記ペン芯２０の方向に付勢するスプリング部材７２と、これらの弁棒７１、スプリング部材７２を収容する本体部７３と、リフィール１１からペン芯２０へのインク流路を閉鎖・開放する弁座体７４とを備え、上記ペン芯２０を押圧することにより弁棒７１が後退して弁棒７１に形成した弁体７１ａが弁座体７４の弁座７４ａから離れ、リフィール１１内のインク２５をペン芯２０に供給せしめるものである。また、図示符号７５は、ペン芯２０の後端側に設けたスポンジ等の多孔質体で構成される一時貯留部である。
　本実施形態の筆記具Ｉによれば、上記実施形態の筆記具Ｇ、Ｈと同様に、本発明の効果を発揮できるものである。

　図１４は、本発明の第二の態様の第４実施形態を示す筆記具である。
　この第４実施形態となる筆記具Ｊは、図１４（ａ）及び（ｂ）に示すように、上記第１実施形態の筆記具Ｇにおいて、インクの直流を抑制する抑制機構となる毛管力を付与した毛管多孔体４１を該毛管多孔体４１と同様の作用を行う可撓性部材からなる逆止弁８０で構成した点で、上記第３実施形態の筆記具Ｃと相違するものである。
　この逆止弁８０は、キャップをし、リフィール１１が後退した時に内圧を逃がし、キャップを外した時に内圧を減らすことが出来る。
　本実施形態の筆記具Ｊによれば、上記実施形態の筆記具Ｇ～Ｉと同様に、本発明の効果を発揮できるものである。

　図１５は、本発明の第二の態様の第５実施形態を示すボールペンに適用した筆記具である。
　この第５実施形態となる筆記具Ｋは、図１５（ａ）及び（ｂ）に示すように、上記第１実施形態の筆記具Ｇにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、筆記ボールを有するボールペンチップから構成される筆記部となるペン芯、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる先軸１７に形成した段部を傾斜状段部１７ｅに代えた点で、上記実施形態の筆記具Ａと相違するものである。
　本実施形態のボールペンに適用した筆記具Ｋによれば、上記第二の態様の実施形態の筆記具Ｇ～Ｊと同様に、本発明の効果を発揮できるものである。

　図１６～図３２は、本発明の第三の態様の実施形態を示す筆記具である。
　この第三の態様の筆記具では、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止すると共に、筆記具保管時にインクを収容するインクタンク内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具に関するものである。

　この第三の態様の筆記具の構成としては、次の（１）～（３）の構成が挙げられる。
（１）　筆記具本体後部にインクタンクに充填したインクの直流を抑制する抑制機構を備えた筆記具であって、筆記具本体前部には、ペン先と、該ペン先をシールするキャップ体とを装着すると共に、筆記具本体後部には、キャップ体の開放に伴いインクタンク内を減圧する可撓性を有する減圧部材を備えたことを特徴とする筆記具。
（２）　キャップ開放に伴い、筆記具本体内に備えたインクタンクとなるリフィールが前方に可動することを特徴とする上記（１）に記載の筆記具。
（３）　筆記具本体後部にインクタンクに充填したインクの直流を抑制する抑制機構を備えたノック式の筆記具であって、筆記具本体前部には、ペン先を装着すると共に、筆記具本体後部には、ノック操作に伴いインクタンク内を減圧する可撓性を有する減圧部材を備えたことを特徴とするノック式の筆記具。
　この第三の態様の筆記具によれば、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止すると共に、筆記具保管時に筆記具本体内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時又はノック操作時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止したキャップ式のボールペン、マーキングペンや、ノック式のボールペンなどに好適な筆記具が提供される。

　以下に、本発明の第三の態様の実施形態を図面（図１６～図３２）を参照して詳しく説明する。
　図１６～図１９は、本発明の第三の態様の実施形態の一例（第１実施形態）を示す筆記具の各図面である。
　本実施形態の筆記具Ｌは、図１６及び図１８に示すように、軸部となる該筆記具本体１０の前部には、ペン先２０と、該ペン先２０をシールするキャップ体３０とを装着すると共に、筆記具本体１０内に備えたインクタンクとなるリフィール１１に充填したインク２５を有し、上記筆記具本体１０の後部にインクの直流を抑制する抑制機構４０と、インクを充填した状態で、キャップ体３０の開放に伴いインクタンクとなるリフィール１１内を減圧する可撓性を有する減圧部材５０とを備えたものである。

　この継手部材１５によりペン芯２０を先端に固着したリフィール１１は、筆記具本体１０内に摺動できるように収容されている。このリフィール１１の継手部材１５は、筆記具本体１０の先端開口部に嵌合等により取り付けられた筒状の先軸１７に保持される。
　先軸１７は、筆記具本体１０の先端開口部に嵌合等により取り付けられる取付部１７ａと、内部に、後述するように、キャップ体３０の開放に伴い筆記具本体１０内でリフィール１１が前方に可動した際に継手部材１５が前方へ可動できる可動空間部１７ｂが形成されており、この可動空間部１７ｂを有する先軸１７の内周面には、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる段部１７ｃ、１７ｄが設けられている。この先軸１７に設けた段部１７ｃ、１７ｄで、前記継手部材１５のフランジ部１５ｂと段部１５ｃが当接してリフィール１１の前方への可動が停止するものとなる。

　この筆記具Ｌでは、筆記具本体１０の後部にインクの直流を抑制する抑制機構４０と、インクを充填した状態で、キャップ体３０の開放、すなわち、筆記具本体１０からのキャップ体３０の取り外しに伴い、インクタンク１１内を減圧する可撓性を有する減圧部材５０を備えている。
　また、筆記具本体１０の後端側の開口部１０ｂには、尾栓６０が固着されている。尾栓６０は、筆記具本体外となる大気と連通する連通孔６１を有する蓋部６２と、筆記具本体１０の開口部１０ｂに嵌合により固着される筒状の固着部６３と、インクタンク側に伸びる棒状部材６４とを有している。

　上記インクの直流を抑制する抑制機構４０は、インクの直流を抑制する毛管力を付与した毛管多孔体４１を備えている。この毛管多孔体４１は、本実施形態では、減圧機構５０内に収容される構造となっている。
　毛管多孔体４１は、毛管力が付与された多孔体から構成されるものであれば、特に限定されず、例えば、繊維束、焼結体、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、スポンジ等の発泡材などから選択される多孔体に、鉱油、プロセスオイル、シリコンオイル、イオン性液体などの液体を含浸させたものを挙げることができる。
　好ましくは、揮発防止の点から、蒸気圧の低いプロセスオイルなどから構成されるものが望ましい。
　この毛管多孔体４１により、インクが排出されると空気を取り込む為、筆記は可能であり、筆記を止めた場合は、空間部２７の減圧状態を保持することが可能となり、インクの直流を防止するものとなる。

　本実施形態の可撓性を有する減圧部材５０は、フォロワ（追従体）２６の後端側に空間部２７を有するインクタンク１１の後端開口部１１ｂに固着される本体部５１と、毛管多孔体４１を収容する筒状の収容部材５２と、上記本体部５１と収容部材５２とを連結する連結部５３と、上記収容部材５２の上部に形成した連通孔５４とを有するものであり、ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質樹脂などを用いて一体成形等で構成することができる。
　この可撓性を有する減圧部材５０を固着したリフィール１１をペン先２０側へ附勢させるコイル状のスプリングからなる弾性部材５５を上記尾栓６０の固着部６３と本体部５１との間で介装させて、キャップ体３０の開放に伴いインクタンクとなるリフィール１１内を減圧する構成とするものである。

　上記減圧機構５０内に収容した弾性部材５５の弾性力は、筆記時に筆圧でリフィール１１が後退しないようにする必要がある為、筆記圧以上の荷重にする必要があり、さらにキャップＯＮ時にはキャップ体３０が外れないようにする必要があることから、ペン芯２０の座屈荷重以上、キャップ体引抜力以下となっている。
　本実施形態では、筆記荷重は、通常、２Ｎ程度であり、キャップ体引抜力は本実施形態では２５Ｎ、ペン芯２０の座屈荷重は７Ｎとなっている。

　このように構成される第三の態様の第１実施形態の筆記具Ｌでは、筆記具保管時に筆記具本体１０内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンクとなるリフィール内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止することができるものとなる。すなわち、取り付けたキャップ体３０を取り外（開放）した際に、リフィール１１の後端部は固定したまま、リフィール１１全体がシールしながら前進することで、インクタンクとなるリフィール１１の空間部２７を体積膨張（空間部の体積を増加）させる。一方、キャップ取り付け時は体積収縮するが、リフィール１１の後端部に設けた毛管多孔体４１により、加圧分を逃がす構造とした。詳述すると、図１７及び図１９に示すように、キャップ体３０を差し込むと、ペン先２０がシール部材３３にあたりシールし、さらにキャップ体３０を差し込むと、リフィール１１が後退し、可撓性の減圧部材５０がリフィール１１内に押し込まれることで、リフィール１１内は加圧状態となる。ただし、毛管体以上の加圧量は保持出来ない為、圧が抜けていく。一方、キャップ体３０を外した場合は、リフィール１１が前進し、可撓性の減圧部材５０が初期状態に戻る為、リフィール１１内は体積膨張することで、減圧状態となる。このようにすることで、筆記具保管時に筆記具本体１０内のインクタンクとなるリフィール１１内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にはリフィール１１内を強制的に減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止することができる。
　また、通常の筆記の際や、筆記を終了の際には、リフィール１１の後端部に設けたインクの直流を抑制する上述の毛管多孔体４１の抑制機構のサイクルにより、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したものとなる。すなわち、リフィール１１の後端部に毛管多孔体４１を備えているので、筆記の際はインク排出により、フォロワ３０と毛管多孔体４０の間の空間部２７が減圧状態となり、減圧が毛管多孔体４１の毛管力以上になると、毛管多孔体４１の毛管力が破れて、空気（気泡）が侵入し、通常通り、筆記が可能となる。一方、筆記を終えると、上記で発生した気泡は、破泡し、毛管多孔体４１に液体が染み込み毛管力が復元し、インクの自重を支えることができる。
　更に、本第三の態様の第１実施形態の筆記具Ｌでは、キャップ体３０の装着時には、ペン芯２０の突出部分全体がシール部材３３によりシールされているので、インクタンクの加温等の内圧変化の際にも、ペン先２０からの直流現象を防止するものとなる。

　次に、図２０～図３２は、本発明の第三の態様の筆記具の他例（第２実施形態～第７実施形態）を示すものである。なお、図２０～図３２において、上記第三の態様の第１実施形態（図１６～図１９）と同様の構造は、同一の図示符号を示して、その説明を省略する。

　図２０は、本発明の第三の態様の第２実施形態を示す筆記具であり、（ａ）はキャップ体を取り付けた状態を示す縦断面図、（ｂ）は、キャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。
　この第２実施形態となる筆記具Ｍは、上記第１実施形態の筆記具Ｌにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結芯（ポーラス体）などから構成される筆記部となるペン芯、本実施形態ではポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）繊維からなる繊維束芯から構成されるペン芯に代えた点、中継芯１６を省略した点、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる先軸１７に形成した段部を傾斜状段部１７ｅに代えた点、キャップ体３０を、筆記具本体（軸部）１０の前端側に着脱自在に装着される取付部となる有底筒状の本体部３６とし、該本体部３６の内部にペン芯２０の突出部分全体をシールするＢＲ、ＳＢＲ等のゴム、熱可塑性エラストマー、軟質樹脂などで構成されたシール部材３３を装着する凹状の装着部３４と簡単な構成とした点で、上記実施形態の筆記具Ｌと相違するものである。
　本実施形態の筆記具Ｍによれば、上記実施形態の筆記具Ｌと同様に作用するものであり、キャップ体３０を開放した際に、リフィール１１の後端部は固定したまま、リフィール１１全体がシールしながら前進することで、インクタンクとなるリフィール１１の空間部２７を体積膨張させ、キャップ体３０の取り付け時は体積収縮するが、リフィール１１の後端部に設けたヘッドバルブとなる毛管多孔体４１により、加圧分を逃がす構造としたので、キャップ体３０の開放時にインクタンク１１内を減圧にすることができ、使用時にペン先２０からのインクの漏れ出しを防止することができ、しかも、通常の筆記では毛管多孔体４１の作用により、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したものとなる。

　図２１は、本発明の第三の態様の第３実施形態を示す筆記具である。
　この第３実施形態となる筆記具Ｎは、図２１（ａ）及び（ｂ）に示すように、上記第１実施形態の筆記具Ｌにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結芯（ポーラス体）などから構成される筆記部となるペン芯である。本実施形態ではポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）繊維からなる繊維束芯から構成されるペン芯とした。リフィール１１からペン芯２０へのインク２５の供給機構が中継芯１６を省略してバルブ体７０により行う点、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる先軸１７に形成した段部を傾斜状段部１７ｅに代えた点、筆記時にインクの消費に伴って追従するフォロワ（追従体）２６を省略した点、キャップ体３０を、上記第２実施形態のキャップ体に代えた点で、上記実施形態の筆記具Ｌと相違するものである。
　上記バルブ体７０は、上記ペン芯２０の後端部に当接し、該ペン芯の後退に連動して後退可能な弁棒７１と、該弁棒７１を上記ペン芯２０の方向に付勢するスプリング部材７２と、これらの弁棒７１、スプリング部材７２を収容する本体部７３と、リフィール１１からペン芯２０へのインク流路を閉鎖・開放する弁座体７４とを備え、上記ペン芯２０を押圧することにより弁棒７１が後退して弁棒７１に形成した弁体７１ａが弁座体７４の弁座７４ａから離れ、リフィール１１内のインク２５をペン芯２０に供給せしめるものである。また、図示符号７５は、ペン芯２０の後端側に設けたスポンジ等の多孔質体で構成される一時貯留部である。
　本実施形態の筆記具Ｎによれば、上記第三の態様の実施形態の筆記具Ｌ、Ｍと同様に、本発明の効果を発揮できるものである。

　図２２は、本発明の第三の態様の第４実施形態を示す筆記具である。
　この第４実施形態となる筆記具Ｏは、図２２（ａ）及び（ｂ）に示すように、上記第１実施形態の筆記具Ｌにおいて、インクの直流を抑制する抑制機構となる毛管力を付与した毛管多孔体４１を該毛管多孔体４１と同様の作用を行う逆止弁８０で構成した点で、上記第３実施形態の筆記具Ｃと相違するものである。
　この逆止弁８０は、上記可撓性の減圧部材５０と共に一体に設けたものであり、キャップをし、リフィール１１が後退した時に内圧を逃がし、キャップ体６０を外した時に内圧を減らすことが出来る。
　本実施形態の筆記具Ｏによれば、上記第三の態様の実施形態の筆記具Ｌ～Ｎと同様に、本発明の効果を発揮できるものである。

　図２３は、本発明の第三の態様の第５実施形態を示すボールペンに適用した筆記具である。
　この第５実施形態となる筆記具Ｐは、図２３（ａ）及び（ｂ）に示すように、上記第１実施形態の筆記具Ｌにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、筆記ボールを有するボールペンチップから構成される筆記部となるペン芯、リフィール１１が前方へ可動した際に可動終点となる先軸１７に形成した段部を傾斜状段部１７ｅに代えた点で、上記実施形態の筆記具Ｌと相違するものである。
　本実施形態のボールペンに適用した筆記具Ｐによれば、上記第三の態様の実施形態の筆記具Ｌ～Ｏと同様に、本発明の効果を発揮できるものである。

　図２４～図２７は、本発明の第三の態様の第６実施形態を示す筆記具である。
　この第６実施形態となる筆記具Ｑは、図２４～図２７に示すように、上記第１実施形態の筆記具Ｌにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結芯（ポーラス体）などから構成される筆記部となるペン芯、本実施形態では繊維束を樹脂加工した繊維芯となるペン芯に代えた点、中継芯１６を省略した点、筆記具本体１０の外周面に熱可塑性エラストマー等の軟質の樹脂材等からなる把持部１２を有する点で異なると共に、可撓性の減圧部材５０及び尾栓６０の構造を下記のように若干変更した点で上記実施形態の筆記具Ｌと相違するものである。
　この実施形態の可撓性を有する減圧部材５０は、図２６（ａ）～（ｅ）に示すように、本体部５１と、底部に毛管多孔体４１を収容する収容段部５２ａを有する筒状の収容部材５２と、上記本体部５１と収容部材５２とを連結する伸縮自在となる連結部５３とが筒状に一体に構成されている。この減圧部材５０は、本形態ではゴム系材料（ブチルゴム、ＩＩＲ）から構成されており、連結部５３が伸縮自在となっている。
　尾栓６０は、図２７（ａ）～（ｆ）に示すように、蓋部６２と、筆記具本体１０の開口部１０ｂに嵌合により固着される筒状の固着部６３と、インクタンク側に伸びる拡径部６４ａと縮径部６４ｂからなる棒状部材６４とを有し、蓋部６２、筒状の固着部６３及び棒状部材６４内には筆記具本体外となる大気と連通する連通孔６１が形成されている。上記減圧部材５０の本体部５１及び連結部５３内の内空間部５１ａ及び５３ａに尾栓６０の棒状部材６４が挿入される構造となっており、棒状部材６４の縮径部６４ｂの先端部が筒状の収容部材５２の収容段部５２ａ面に当接する構造となっている。

　本実施形態では、図２４及び図２５に示すように、減圧機構である減圧部材５０の連結部５３が伸縮することによって、空間部２７の減圧を調整することができ、上述の各実施形態の筆記具Ｌ～Ｐと同様に作用し、キャップ体３０を開放した際に、リフィール１１の後端部は固定したまま、リフィール１１全体がシールしながら前進することで、インクタンクとなるリフィール１１の空間部２７を体積膨張させ、キャップ体３０の取り付け時は体積収縮するが、リフィール１１の後端部に設けたヘッドバルブとなる毛管多孔体４１により、加圧分を逃がす構造としたので、キャップ体３０の開放時にインクタンク１１内を減圧にすることができ、使用時にペン先２０からのインクの漏れ出しを防止することができ、しかも、通常の筆記では毛管多孔体４１の作用により、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したものとなる。

　図２８～図３２は、本発明の第三の態様の第７実施形態を示すノック式のボールペンに適用した筆記具である。
　この第７実施形態となる筆記具Ｒは、キャップ体がないノック式のボールペンタイプの筆記具であり、ノック式とするために、ノック機構７０、押圧部材５６などの各部材を取り付けると共に、尾栓６０の構造を若干変更した点以外で、上記第６の実施形態の筆記具と同様である。本形態の減圧機構である減圧部材５０は、図３０に示すように、上記第６の実施形態と同様に、連結部５３が伸縮することによって、空間部２７の減圧を調整することができるものである。
　押圧部材５６は、図３２（ａ）～（ｄ）に示すように、略筒状体に形成されており、長さ方向に切り欠き部５６ａ，５６ａが形成されて、押圧部材は二分割された分割押圧部材５６ｂ，５６ｂとなっている。この押圧部材５６の後方側はノック機構の前端と当接する当接部５６ｃを有し、上記分割押圧部材５６ｂ，５６ｂの先端で減圧部材５０の後端面を押圧する構成となっている。
　尾栓６０は、図３１（ａ）～（ｆ）に示すように、筒状体に形成されており、該筒状体６０ａ内の中央部に更に連通孔６１を有する筒状の棒状部材６４を押圧部材側の開口部に形成した連結体６５で連結すると共に、該連結体６５により尾栓６０内を２分割して上記押圧部材５６の分割押圧部材５６ｂ，５６ｂが挿入される挿入孔６６，６６となっている。

　ノック機構７０は、図２８及び図２９に示すように、クリップ部３５を有する筆記具本体１０の後端開口部１０ｂに取り付けられる内筒７１内に前後方向に移動可能に配置された回転子７２と、内筒７１内に後端から突出して且つ前後方向に移動可能な操作部であるノック体７３とを有する公知の機構である。ノック機構７０は、リフィール１１と共に、継手部材１５と先軸１７の間に保持されるスプリング部材１３によって後方へ付勢されている。ノック操作は、ノック体７３を前方に向かって押圧することによって行われる。
　ノック操作を行うと、ノック体７３の移動によって回転子７２が前方へ押圧され、回転子７２と内筒のカム部７４の前端面とが係止し、筆記状態を維持する。再びノック操作を行うと、ノック体７３の移動によって回転子７２が前方へ押圧され、回転子７２と内筒のカム部７４の前端面との係止が解除される。このため、スプリング部材１３の付勢力によってノック機構７０が後方へ移動し、筆記具は非筆記状態となる。

　本実施形態では、減圧機構である減圧部材５０の連結部５３が伸縮することによって、空間部２７の減圧を調整することができ、非筆記状態では尾栓６０が毛管体４１を介して減圧部材５０を伸ばした状態にしているが、筆記時に、ペン先を出すためにノック操作をすることにより、リフィール１１に固定された毛管体４１を含む減圧部材５０は前進するが、その際に軸に固定された尾栓６０と毛管体４１とが、離れることによって、伸縮部材５０の連結部５３が縮み、空間部２７は体積膨張することで、空間部２７は減圧状態となる。また、非筆記時はペン先をしまうために再度ノック操作をすることで、毛管体４１と減圧部材５０を含むリフィール１１が後退するため、軸に固定された尾栓６０と当接し、減圧部材５０が伸びることになり、空間部２７が体積収縮することで加圧状態となるが、毛管体４１から加圧分を逃す構造としたので、ノック操作による筆記時にインクタンク１１内を減圧にすることができ、使用時にペン先となるボールペン体２０からのインクの漏れ出しを防止することができ、しかも、通常の筆記では毛管多孔体４１の作用により、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したものとなる。

　図３３～４４は、本発明の第四の態様の実施形態を示す筆記具である。
　この第四の態様の筆記具では、筆記具保管時にインクを収容するインクタンク内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具に関するものである。

　この第四の態様の筆記具の構成としては、次の（１）～（３）の構成が挙げられる。
（１）　筆記具本体内にインクを充填したインクタンクを備えた筆記具であって、筆記具本体前部には、ペン先と、該ペン先をシールするキャップ体とを装着すると共に、キャップ体には、該キャップ体の開放に伴いインクタンク内を減圧する減圧機構を備えたことを特徴とする筆記具。
（２）　インクタンクには、インクの直流を抑制する抑制機構を備えたことを特徴とする上記（１）に記載の筆記具。
（３）　インクの後部にはフォロワが充填された状態で、フォロワの後部とインクタンク内部の後端部との空間部には、液体を含浸させることにより毛管力を付与した毛管多孔体を配置したインクの直流を抑制する抑制機構を備えたことを特徴とする上記（２）に記載の筆記具。
　この第四の態様の筆記具によれば、筆記具保管時に筆記具本体内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止したボールペン、マーキングペンなどに好適な筆記具が提供される。この筆記具において、更に、インクタンクにインクの直流を抑制する抑制機構を備えたものによれば、ペン先に掛かるインクの流動圧を更に一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止することができる筆記具が提供される。

　以下に、本発明の第四の態様の実施形態を図面（図３３～図４４）を参照して詳しく説明する。
　図３３～図３５は、本発明の第四の態様の実施形態の一例（第１実施形態）を示す筆記具の各図面である。
　本実施形態の筆記具Ｓは、図３３（ａ）及び（ｂ）に示すように、軸部となる該筆記具本体１０の前部には、ペン先２０と、該ペン先２０をシールするキャップ体３０とを装着すると共に、筆記具本体１０内に備えたリフィールからなるインクタンク１１に充填したインク２５を有し、上記キャップ体３０には該キャップ体３０の開放に伴いインクタンク１１内を減圧する減圧機構４０を備えると共に、インクタンク１１の後部にはインクの直流を抑制する抑制機構５０を備えたものである。

　筆記具本体１０は、軸部となるものであり、樹脂や、金属などを用いて構成することができ、本実施形態では、筆記具本体１０は、アクリロニトリルスチレン（ＡＳ）を使用して成形されている。
　この筆記具本体１０内には、インク２５を収容するリフィール１１が収容されている。
　リフィール１１としては、収容するインクに含有される原材料の経時的な悪影響を受けないものが好ましく、例えば、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレン（ＰＥ）などの樹脂や、アルミニウム等の金属などの材料を用いて構成することができる。本実施形態では、インクタンクとなるリフィール１１は、ポリプロピレン（ＰＰ）を使用して円筒状に成形されている。

　ペン先２０は、各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯から構成される筆記部となるペン芯から構成されている。
　このペン芯２０は、図３３及び図３４に示すように、リフィール１１の先端開口部１１ａ内に取り付けられた筒状の継手部材１５で固着される構造となっている。継手部材１５は、リフィール１１の先端開口部１１ａに嵌合等により固着される筒状の固着部１５ａと、フランジ部１５ｂと、ペン芯２０の筒状保持部を嵌合により固着する固着部１５ｃとから構成され、インクタンクとなるリフィール１１に充填したインク２５は上記筆記部となるペン芯２０へ供給される構造となっている。

　ペン芯２０を先端に継手部材１５により取り付けたリフィール１１は、継手部材１５の固着部１５ｃとフランジ部１５ｂを、先端に形成した先細となる先軸部１０ａ、筆記具本体１０の内部に形成した段部１０ｂに取り付けることによりリフィール１１が筆記具本体１０内に収容され、ペン芯２０は筆記具本体１０の先軸部１０ａより突出した形態となっている。また、筆記具本体１０のキャップ体３０が装着される外周面には、キャップ体３０を気密に保持するためにＯリング１２が取り付けられている。

　リフィール１１に充填したインク２５の後部には、図３３に示すように、筆記時にインクの消費に伴って追従するフォロワ（追従体）２６が設けられ、その後方側は空気室となる空間部２７となっている。
　フォロワ（追従体）２６としては、インクに使用する溶剤に対して低透過性、低拡散性となるものが好ましく、そのベースとしては不揮発性や難揮発性の流動体、具体的には、ポリブテンや流動パラフィン、鉱油、プロセスオイルなどを使用することができる。
　これらの物質の粘度が低い場合には、増粘剤やゲル化剤を用いることが好ましい。具体的には、金属セッケン類、ベントナイト類、脂肪酸アマイド類、水添ヒマシ油類、酸化チタンやシリカやアルミナ等を含む金属微粒子類、セルロース類、エラストマー類等が挙げられる。本実施形態では、フォロワ（追従体）２６は鉱油と増粘剤により構成されている。

　本実施形態のキャップ体３０は、ペン芯２０をシールすると共に、該キャップ体の開放に伴いインクタンク１１内を減圧する減圧機構４０を備えたものである。
　このキャップ体３０は、筆記具本体（軸部）１０の先軸側の外周面に着脱自在に装着される取付部となる筒状の外キャップ部３１と、該外キャップ部３１内に軸方向に摺動自在で、かつ、ペン芯２０側へスプリング部材からなる弾性部材３２で附勢された有底形状となる内キャップ部３３とを有している。該内キャップ部３３には、その内部にペン先２０の突出部分全体をシールするニトリルゴム（ＮＢＲ）、ブチルゴム（ＩＩＲ）等のゴム、熱可塑性エラストマー、軟質樹脂などで構成されたシール部材３４が設けられ、外周面に弾性部材３２の一端を当接保持する通気孔３３ａを有する環状の保持部３３ｂを有すると共に、ペン先側の反対方向に延設される筒状部３５とを有している。また、この内キャップ部３３は、外キャップ部３１の内周面に設けられた通気孔３１ａを有する環状の保持部３１ｂに保持される構造となっている。

　このキャップ体３０に備えた減圧機構４０は、可撓性の減圧部材４１を外キャップ部３１内に有するものである。この減圧部材４１は、環状の本体部４２と、中央部に、通常の状態では封止し、設定された圧力以上になった際に開く薄肉状の開放片４３とを一体に有している。
　この減圧部材４１は、可撓性（弾性）を有する材料から構成することができ、例えば、ニトリルゴム（ＮＢＲ）、エチレンプロピレンジエンゴム（ＥＰＤＭ）、ブチルゴム（ＩＩＲ）、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー（ＴＰＥ）、フィルム等で構成することができる。本実施形態では、ブチルゴム（ＩＩＲ）から構成されている。

　また、この減圧部材４１は、その本体部４２の外周側を外キャップ部３１の内周面に設けた取り付け面部３１ｃに取り付けられると共に、外キャップ３１の開口部３１ｄに嵌合等により固着される通気孔を有する蓋体４５により外キャップ３１内に固着される。
　上記内キャップ部３３をペン芯２０側へ附勢させる弾性部材３２は、その両端が、前記内キャップ部３３の環状の保持部３１ｂと上記減圧部材４１の環状の本体部４２とで保持され、内キャップ部３３と外キャップ部３１との間で、かつ、外キャップ部３１と内キャップ部３３との間に介装されるものとなる。

　上記蓋体４５は、筒状の固着部４６と、有底状の蓋体４７とを有し、該固着部４６と蓋体４７とは外気（大気）側に連通する通気孔４８ａを有する連結部４８とで一体構成となっている。
　上記キャップ体３０を筆記具本体１０の前端側に装着することにより、継手部材１５で保持したペン芯２０の先端全体が内キャップ部３３のシール部材３４によりシールされて、インクタンク１１の内圧変化の際に、ペン先２０からの直流現象を防止するものとなる。本実施形態のシール部材３４は、ブチルゴム（ＩＩＲ）から構成されている。本実施形態では、上記シールの状態は、図３４（ｃ）に示すように、内キャップ部３３が弾性部材３２の附勢力に抗して内キャップ部３３は後方に下がりながら先端側は継手部材１５の固着部１５ｃに嵌合して、内キャップ部３３内は密閉空間となり、ペン芯２０の先端全体がシール部材３４によりシールされるものである。

　上記インクタンク１１のインク２５の直流を抑制する抑制機構５０は、インクの直流を抑制する抑制部材５１を備えている。この抑制部材５１としては、例えば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの１種又は２種以上の組み合わせからなる平行繊維束、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種プラスチック粉末などを焼結したポーラス体（焼結体）などから構成することができ、本実施形態では、アクリル繊維からなる繊維束芯から構成されている。この抑制部材５１により、インクが排出されると空気を取り込む為、筆記は可能であり、筆記を止めた場合は、インクタンク内の減圧状態を保持することが可能となり、インクの直流を防止するものとなる。

　また、筆記具本体１０の後端側の開口部１０ｃには、筆記具本体１０を封止する尾栓６０が取り付けられている。この尾栓６０、上記キャップ体３０の装着などにより、インクタンク１１を収容した筆記具本体１０は密封される状態となるが、キャップ体３０の第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂはインクタンク１１と連通する状態となっている。すなわち、インクタンク１１の空間部２７から、抑制部材５１、インクタンク１１の後方側の空間部１３、筆記具本体１０とインクタンク１１との隙間１４、筆記具本体１０と継手部材１５との隙間１６、キャップ体３０の第１空間部３６ａ、キャップ体３０の外キャップ部３１の連通孔３１ａを介して、キャップ体３０の第２空間部３６ｂへと連通する状態となっている。このキャップ体３０の空間部３６ｂは、減圧部材４１、キャップの蓋体４５の通気孔４８ａを介して外気（大気）と連通する。

　このように構成される本第四の態様の第１実施形態の筆記具Ｓでは、キャップ体３０の取り付け時は、図３４（ａ）～（ｃ）に示すように、キャップ体３０でシールしながら、キャップ体３０の第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂは体積収縮する。具体的には、キャップ体３０の取り付けの際は、始めに、図３４（ａ）に示すように、キャップ体３０の外キャップ部３１を筆記具本体１０の先端側の装着を始めると、筆記具本体１０の先端側を包囲した後、次に、図３４（ｂ）及び（ｃ）に示すように、外キャップ部３１がＯリング１２により摺動シールしながら、キャップ体３０の内キャップ部３３の先端側が継手部材１５の固着部１５ｃに嵌合して、内キャップ部３３内を密閉し、ペン芯２０の先端全体をシール部材３４によりシールするものであり、この取り付けと同時に、キャップ体３０の第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂは体積収縮するが、キャップ体３０に備えた減圧機構４０における減圧部材４１の開放片４３により、加圧分を開放する（設定された圧力以上になると逃がす）構造となるものである。一方、キャップ体３０の開放時（取り外し時）は、図３５（ａ）～（ｃ）に示すように、キャップ体３０のシールを維持しながら、キャップ体３０を開放するようにすることで、第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂは体積膨張する。具体的には、キャップ体３０の開放時は、始めに、図３５（ａ）及び（ｂ）に示すように、キャップ体３０の外キャップ部３１を筆記具本体１０の先端側から取り外し始めると、キャップ体３０の第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂは体積膨張するが、第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂはインクタンク１１の空間部２７に連通しているため、間接的に当該空間部を減圧することができる。また、筆記具保管時に筆記具本体１０のインクタンク１１内の圧力が高くなったとしても、減圧部材４０により圧力は開放され、僅かに残った加圧分はキャップ体３０の開放時にインクタンク１１内をキャップ体３０に備えた減圧機構４０により、強制的に減圧にすることができる。そのため、使用時にペン先２０からのインクの漏れ出しを防止した筆記具が得られるものとなる。
　また、通常の筆記の際や、筆記を終了の際には、リフィール１１の後端部に設けたインクの直流を抑制する上述の抑制機構における抑制部材５１のサイクルにより、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止したものとなる。すなわち、リフィール１１の後端部に抑制部材５１を備えているので、筆記の際はインク排出により、空間部２７が減圧状態となり、減圧が抑制部材５１の設定力以上になると、抑制部材５１より空気が侵入して、通常通り、筆記が可能となる。一方、筆記を終えると、抑制部材５１は初期の復元し、インクの自重を支えることができる。
　更に、本第四の態様の第１実施形態の筆記具Ｓでは、キャップ体３０の装着時には、ペン芯２０の突出部分全体がシール部材３４によりシールされているので、インクタンクの加温等の内圧変化の際にも、ペン先２０からの直流現象を防止するものとなる。

　次に、図３６～図４４は、本発明の第四の態様の筆記具の他例（第２実施形態～第８実施形態）を示すものである。なお、図３６～図４４において、上記第四の態様の第１実施形態（図３３～図３５）と同様の構造は、同一の図示符号を示して、その説明を省略する。

　図３６～図３８は、本発明の第四の態様の第２実施形態を示す筆記具であり、上記第１実施形態の図３３～図３５に沿う各図面である。
　この第２実施形態となる筆記具Ｔは、上記第１実施形態の筆記具Ｓにおいて、キャップ体３０に設けた減圧機構４０の減圧部材４１を抑制機構５０の抑制部材５１と同様の材料を使用して構成した減圧部材４４である。本実施形態では、アクリル繊維からなる繊維束芯から構成されている点、この減圧部材４４をキャップ体３０の開口部に取り付ける筒状の取付体４９で取り付けた点で、上記第１実施形態の筆記具Ｓと相違するものである。
　本第２実施形態の筆記具Ｔでは、上記第１実施形態の筆記具Ｓと同様に、キャップ体３０の取り付け時は、図３７（ａ）～（ｃ）に示すように、キャップ体３０でシールしながら、キャップ体３０の第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂは体積収縮するが、キャップ体３０に備えた減圧機構４０における減圧部材４４により、加圧分を開放する（設定された圧力以上になると逃がす）構造となるものである。一方、キャップ体３０の開放時（取り外し時）は、図３８（ａ）～（ｃ）に示すように、キャップ体３０のシールを維持しながら、キャップ体３０を開放するようにすることで、第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂは体積膨張するが、第１空間部３６ａ、第２空間部３６ｂはインクタンク１１の空間部２７に連通しているため、間接的に当該空間部を減圧することができる。また、筆記具保管時に筆記具本体１０のインクタンク１１内の圧力が高くなったとしても、減圧部材４０により圧力は開放され、僅かに残った加圧分はキャップ体３０の開放時にインクタンク１１内をキャップ体３０に備えた減圧部材４４により、強制的に減圧にすることができる。そのため、使用時にペン先２０からのインクの漏れ出しを防止した筆記具が得られるものとなる。また、上記第四の態様の第１実施形態の筆記具Ｓと同様に、当該筆記具Ｔにおいても、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止することができる。

　図３９（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の第３実施形態を示す筆記具である。
　この第３実施形態となる筆記具Ｕは、上記第四の態様の第１実施形態の筆記具Ｓにおいて、インクタンク１１の後方側に備えた抑制機構５０の抑制部材５１を毛管力が付与された多孔体５２から構成した点で、上記第１実施形態の筆記具Ｓと相違するものである。
　毛管力が付与された多孔体５２としては、例えば、繊維束、焼結体、フェルト等の繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種プラスチック粉末などを焼結したポーラス体（焼結体）などから選択される多孔体に、鉱油、プロセスオイル、シリコンオイル、イオン性液体などの液体を含浸させたものなどを挙げることができる。本実施形態では、繊維束芯とプロセスオイルとの組み合わせから構成したものである。
　この毛管力が付与された多孔体５２は、インクタンク１１の開口部に取り付けられた取付体５５の貫通孔５６に保持されて、上記第２実施形態の筆記具Ｔの抑制部材５１と同様に機能を有するものである。
　本第四の態様の実施形態の筆記具Ｕによれば、上記各実施形態の筆記具Ｓ、Ｔと同様に作用するものであり、筆記具保管時に筆記具本体内の圧力が高くなったとしても、キャップ開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しを防止でき、しかも、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止することができる。

　図４０（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の第４実施形態を示す筆記具である。
　この第４実施形態となる筆記具Ｖは、上記第２実施形態の筆記具Ｔにおいて、キャップ体３０に設けた減圧機構４０の減圧部材４１を抑制機構５０の抑制部材５１と同様の材料を使用して構成した減圧部材４４であり、本実施形態では、アクリル繊維からなる繊維束芯から構成されている点で、上記第１実施形態の筆記具Ｓと相違するものであり、上記各実施形態の筆記具Ｓ、Ｔ、Ｕと同様に機能するものである。

　図４１（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の第５実施形態を示す筆記具である。
　この第５実施形態となる筆記具Ｗは、上記第３実施形態の筆記具Ｕにおいて、ペン先を各種のプラスチック材の軸方向にインク溝を形成したプラスチック芯２０に代えて、繊維束を加工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、または、各種のプラスチック粉末などを焼結した焼結芯（ポーラス体）などから構成される筆記部となるペン芯、本実施形態ではポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）繊維から構成されるペン芯とした点で、上記第３実施形態の筆記具Ｕと相違するものであり、上記各実施形態の筆記具Ｓ、Ｔ、Ｕ及びＶと同様に機能するものである。

　図４２（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の第６実施形態を示す筆記具である。
　この第６実施形態となる筆記具Ｘは、上記第５実施形態の筆記具Ｗにおいて、キャップ体３０に設けた減圧機構４０の減圧部材４１を抑制機構５０の抑制部材５１と同様の材料を使用して構成した減圧部材４４であり、本実施形態では、アクリル繊維からなる繊維束芯から構成されている点で、上記第５実施形態の筆記具Ｗと相違するものであり、上記各実施形態の筆記具Ｓ、Ｔ、Ｕ、Ｖ及びＷと同様に機能するものである。

　図４３（ａ）～（ｃ）、並びに、図４４（ａ）～（ｃ）は、本発明の第四の態様の第７実施形態、第８実施形態を示す筆記具である。
　この第７実施形態となる筆記具Ｙは、上記第５実施形態の筆記具Ｗにおいて、リフィール１１から繊維芯等からなるペン芯２０へのインク２５の供給機構をバルブ体７０により行う点、筆記時にインクの消費に伴って追従するフォロワ（追従体）２６を省略した点で、上記実施形態の筆記具Ｗと相違するものである。
　また、第８実施形態となる筆記具Ｚは、上記第７実施形態の筆記具Ｙにおいて、キャップ体３０に設けた減圧機構４０の減圧部材４１を抑制機構５０の抑制部材５１と同様の材料を使用して構成した減圧部材４４であり、本実施形態では、ブチルゴム（ＩＩＲ）から構成されている点で、上記第７実施形態の筆記具Ｗと相違するものである。
　上記各実施形態におけるバルブ体７０は、上記ペン芯２０の後端部に当接し、該ペン芯の後退に連動して後退可能な弁棒７１と、該弁棒７１を上記ペン芯２０の方向に付勢するスプリング部材７２と、これらの弁棒７１、スプリング部材７２を収容する本体部７３と、リフィール１１からペン芯２０へのインク流路を閉鎖・開放する弁座体７４とを備え、上記ペン芯２０を押圧することにより弁棒７１が後退して弁棒７１に形成した弁体７１ａが弁座体７４の弁座７４ａから離れ、リフィール１１内のインク２５をペン芯２０に供給せしめるものである。また、図示符号７５は、ペン芯２０の後端側に設けたスポンジ等の発泡材で構成されるインクの一時貯留部である。
　本第７及び第８実施形態の筆記具Ｙ、Ｚによれば、上記各実施形態の筆記具Ｓ、Ｔ、Ｕ、Ｖ、Ｗ及びＸと同様に機能するものである。

　次に、実施例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

〔実施例１：マーキングペン、図１及び図２準拠〕
（筆記具本体１０、先軸１５の構成）
　筆記具本体（インクタンク）、先軸の構成：ＰＰ製
　筆記具本体（インクタンク）：肉厚（厚さ）０．７ｍｍ、長さ１００ｍｍ、直径５．５ｍｍ
（ペン先２０の構成）
　筆記部ペン芯：ＰＥ製焼結芯、気孔率６０％、長さ８ｍｍ、直径３ｍｍ
（部材３５の構成）
　部材（尾栓）：ＰＰ製、貫通孔：直径３ｍｍ、スリット孔：３．３ｍｍ、長さ５ｍｍ
（毛管多孔体４０の構成）
　毛管多孔体：アクリル繊維束芯製、気孔率６０％、長さ５ｍｍ、直径３ｍｍ
　液体：松村石油株式会社製：バーレルプロセス油　Ｐ－２６
（キャップ体５０の構成）
本体：ポリプロピレン製、シール部材：ブチルゴム製

（インク２５、フォロア３０の組成）
　インクとして、下記組成の蛍光桃インクを使用した。
　色材　：ＶＣトナー桃（御国色素社製）　　　　　　　３０質量部
　湿潤剤：グリセリン　　　　　　　　　　　　　　　　２５質量部
　防腐剤：バイオエース（ケイアイ化成社製）　　　　０．７質量部
　イオン交換水　　　　　　　　　　　　　　　　　４４．３質量部
　フォロアとして、下記組成の配合で加熱攪拌を１時間行い、フォロアを得た。
　鉱油（ＰＷ－９０：出光興産社製）　　　　　　　　　９５質量部
　増粘剤（ＴＰＯ５：日本プラス工業社製）　　　　　　　５質量部

　このように構成される実施例１のマーキングペンタイプの筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止したマーキングペンが得られることが分かった。

〔実施例２：ボールペン、図７準拠〕
（実施例１と異なる筆記具部材の構成）
　下記中継芯、ペン先、インク以外の構成（筆記具本体、先軸、部材、毛管多孔体、キャップ体、フォロア）は上記実施例１の構成と同様。
　中継芯：ＰＥＴ繊維束、気孔率６０％、φ５×５ｍｍ
　ペン先（ボールペンチップ）：ステンレス製チップ（超硬合金ボール、ボール径０．５ｍｍ
　インクとして、下記組成のボールペン用インク（全量１００質量部）を使用した。
　色材：カーボンブラック　　　　　　　　　　　　　　　８．０質量部
　分散剤：スチレンマレイン酸樹脂アンモニウム塩　　　　３．０質量部
　潤滑剤：カリ石鹸　　　　　　　　　　　　　　　　　　０．５質量部
　液体媒体：プロピレングリコール　　　　　　　　　　２０．０質量部
　防腐剤：1、2－ベンズイソチアゾロン塩　　　　　　　　０．３質量部
　ｐＨ調整剤：アミノメチルプロパノール　　　　　　　　０．３質量部
　防錆剤：ベンゾトリアゾール　　　　　　　　　　　　　０．２質量部
　粘度調整剤：架橋型アクリル酸重合体　　　　　　　　　０．４質量部
　イオン交換水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　残　部
　このように構成される実施例２のボールペンタイプの筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペンが得られることが分かった。

〔実施例３：図８～図１１準拠〕
（筆記具本体、リフィール、先軸、継手部材の各構成）
　筆記具本体１０：ＡＳ製、肉厚（厚さ）１．５ｍｍ、長さ１２０ｍｍ、直径φ１０ｍｍ
　リフィール（インクタンク）１１：ＰＰ製、肉厚（厚さ）０．８ｍｍ、長さ１００ｍｍ、直径φ５．６ｍｍ
　先軸：ＳＵＳ製、継手部材：ＰＰ製
（ペン先の構成）
　筆記部ペン芯２０：ＰＯＭ製、長さ１０ｍｍ、直径φ１．０ｍｍ
（毛管多孔体４１の構成）
　毛管多孔体：アクリル製繊維芯、気孔率６０％、長さ５ｍｍ、直径φ２．０ｍｍ
　液体：松村石油株式会社製：バーレルプロセス油　Ｐ－２６
（尾栓の構成）
　ＰＰ製、連通孔：直径φ０．８ｍｍ
（キャップ体の構成）
　本体：ＰＰ製、シール部材：ＩＩＲ製
（減圧機構）
　弾性部材：ＳＵＳ製コイル状スプリング、弾性（バネ）荷重：１０Ｎ、キャップ体引抜力：２５Ｎ、ペン芯２０の座屈荷重：７Ｎ

（インク２５、フォロア２６の組成）
　インク、フォロアとして、上記実施例１で用いた組成の蛍光桃インク、フォロアを使用した。

　このように構成される第二の態様の実施例３の筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止した筆記具が得られることが判った。
　また、キャップ体を開放した際にも、インクタンクとなるリフィールの空間部が体積膨張するが、液体を含浸させた毛管多孔体により、加圧分を逃がす構造となっており、さらにキャップ体の開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。

〔実施例４：ボールペン、図１５準拠〕
（実施例３と異なる筆記具部材の構成）
　下記中継芯、ペン先、インク以外の構成（筆記具本体、リフィール、先軸、継手部材、毛管多孔体、キャップ体、フォロア、減圧機構）は上記実施例３の構成と同様。
　中継芯：ＰＥＴ繊維束、気孔率６０％、φ５．０×５ｍｍ
　ペン先（ボールペンチップ）：ステンレス製チップ（超硬合金ボール、ボール径０．５ｍｍ
　インクとして、上記実施例２で用いた組成のボールペン用インク（全量１００質量部）を使用した。

　このように構成される実施例４のボールペンタイプの筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペンが得られることが分かった。また、上記実施例３と同様に、キャップ体の開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。

〔実施例５：図１６～図１９準拠〕
（筆記具本体、リフィール、先軸の各構成）
　筆記具本体１０：ＡＳ製、肉厚（厚さ）１．５ｍｍ、長さ１２０ｍｍ、直径φ１０ｍｍ
　リフィール（インクタンク）１１：ＰＰ製、肉厚（厚さ）０．８ｍｍ、長さ１００ｍｍ、直径φ５．６ｍｍ
　先軸：ＳＵＳ製
（ペン先の構成）
　筆記部ペン芯：ＰＯＭ製、長さ１０ｍｍ、直径φ１．０ｍｍ
（毛管多孔体４１の構成）
　毛管多孔体：アクリル製繊維芯、気孔率６０％、長さ５ｍｍ、直径φ２．０ｍｍ
　液体：松村石油株式会社製：バーレルプロセス油　Ｐ－２６
（尾栓の構成）
　ＰＰ製、連通孔：直径φ０．８ｍｍ
（キャップ体の構成）
　本体：ＰＰ製、シール部材：ＩＩＲ製
（減圧部材等）
　弾性部材：ＳＵＳ製コイル状スプリング、弾性（バネ）荷重：１０Ｎ、キャップ体引抜力：２５Ｎ、ペン芯２０の座屈荷重：７Ｎ
可撓性の減圧部材５０の構成：ＮＢＲ製

（インク２５、フォロア２６の組成）
　インクとして、上記実施例１で用いた組成の蛍光桃インクを使用した。
　フォロアとして、松村石油株式会社製：バーレルプロセス油　Ｐ－２６を使用した。

　このように構成される第三の態様の実施例５の筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止した筆記具が得られることが判った。
　また、キャップ体を開放した際にも、インクタンクとなるリフィールの空間部が体積膨張するが、液体を含浸させた毛管多孔体により、加圧分を逃がす構造となっているので、キャップ体の開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。
　また、図２０～２３、図９～１４の各筆記具Ｍ～Ｏ、Ｑについても、上記実施例５の構成部品、インクに準拠して、各筆記具Ｍ～Ｏ、Ｑ（４本）を作製して、評価を行ったところ、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止した各筆記具Ｍ～Ｏ、Ｑが得られ、また、キャップ体を開放した際にも、インクタンクとなるリフィールの空間部が体積膨張するが、液体を含浸させた毛管多孔体により、加圧分を逃がす構造となっているので、キャップ体の開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。

〔実施例６：ボールペン、図２３準拠〕
（実施例５と異なる筆記具部材の構成）
　下記ペン先、インク以外の構成（筆記具本体、先軸、部材、毛管多孔体、キャップ体）は上記実施例５の構成と同様。
　ペン先（ボールペンチップ）：ステンレス製チップ（超硬合金ボール、ボール径０．５ｍｍ
　インク、フォロアとして、上記実施例２で用いた組成のボールペン用インク、フォロアを使用した。

　このように構成される実施例６のボールペンタイプの筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止したボールペンが得られることが分かった。また、上記実施例１と同様に、キャップ体の開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。

〔実施例７：ノック式のボールペン、図２８～図３２準拠〕
　三菱鉛筆社製のノック式ボールペン体（ＳＸＮ－１５０－０５）のノック機構、外軸およびインク収容管（リフィールチューブ、内径４ｍｍ）に、実施例２のインク、押圧部材としてポリアセタール製を用いると共に、その他の構成部品は実施例５に準拠して図２８～図３２に準拠したノック式のボールペンを作製した。

　このように構成される実施例７のノック式のボールペンタイプの筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止したノック式ボールペンが得られることが判った。また、ノック操作時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。

〔実施例８：図３３～図３５準拠〕
（筆記具本体、リフィール、継手部材の各構成）
　筆記具本体：ＡＳ製、肉厚（厚さ）１．０ｍｍ、長さ　１２０ｍｍ、直径φ１０ｍｍ
　リフィール（インクタンク）：ＰＰ製、肉厚（厚さ）０．８ｍｍ、長さ　１００ｍｍ、直径φ５．６ｍｍ
　筆記部ペン芯：ＰＥＴ製繊維束芯、気孔率６０％、長さ５ｍｍ、直径φ２．０ｍｍ
（尾栓の構成）
　部材（尾栓）：ＰＰ製
（減圧部材４１の構成）
　減圧部材：ＩＩＲ製、外径φ６．０ｍｍ
（抑制部材５１の構成）
　抑制部材：アクリル製、気孔率７０％、長さ５ｍｍ、直径φ２．０ｍｍ
（尾栓の構成）
　ＰＰ製：直径φ１０ｍｍ
（キャップ体の構成）
　本体：ＰＰ製、シール部材：ＩＩＲ製
（インク２５、フォロア２６の組成）
　インク、フォロアとして、上記実施例１で用いた蛍光桃インク、フォロアを使用した。

　このように構成される実施例８の筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止した筆記具が得られることが判った。
　また、キャップ体を開放した際にも、インクタンクとなるリフィールの空間部が体積膨張するが、液体を含浸させた毛管多孔体により、加圧分を逃がす構造となっているので、キャップ体の開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。

〔実施例９：ボールペン、図３３～図３５準拠〕
（実施例８と異なる筆記具部材の構成）
　下記ペン先、インク以外の構成は上記実施例８の構成と同様。
　ペン先（ボールペンチップ）：ステンレス製チップ（超硬合金ボール、ボール径０．５ｍｍ
　インクとして、上記実施例２で用いた組成のボールペン用インクを使用した。

　このように構成される実施例９のボールペンタイプの筆記具を用いて、筆記の際は、通常通り、筆記が可能となり、また、筆記を終えても、インクの直流もなく、ペン先に掛かるインクの流動圧が一定圧に制御でき、インク直流現象・逆流現象を防止したマーキングペンが得られることが分かった。また、上記実施例８と同様に、キャップ体の開放時にインクタンク内を減圧にすることができ、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。

　本発明の筆記具では、ボールペンや、アンダーラインペン、油性マーカー、水性マーカーなどのマーキングペンに好適に使用することができる。

　　Ａ　筆記具
　１０　筆記具本体（インクタンク）
　１５　先軸
　２０　ペン先
　３０　フォロア（追従体）
　４０　毛管多孔体
　５０　キャップ体

Claims

　インクタンク前部にペン先を装着し、インクタンク内に収容したインクと、該インクの後部にはフォロワが充填された状態で、フォロワの後部とインクタンク後端部との空間部に液体を含浸させることにより毛管力を付与した毛管多孔体を配置すると共に、キャップをした際、ペン先をシールすることを特徴とする筆記具。
　ペン先側に付与された毛管力がインクの自重と筆記具後部の毛管力との総和より大きいことを特徴とする請求項１記載の筆記具。
　毛管多孔体は、スリット部を有する部材と接触していることを特徴とする請求項１又は２記載の筆記具。