JP2006289833A - ボールペン - Google Patents

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小林  清一
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Abstract

【目的】
インキの直流や目詰まりや筆記不可となる問題を解消可能とする。また、インキの流出量を変化させて筆記描線の太さや濃度を変化させ、多目的で便利な筆記具を提供する。
【構成】
前端にボールペンのチップと、その後方にインキ収容部を有し、インキ収容部にインキとインキの後端にインキの消耗に伴って移動するフォロアが設けられてなるボールペンに於いて、チップ内孔にインキを導通可能とする芯体とその外側にやはりインキを導通可能とする外郭体が形成されてなるインキ流量調節体が挿着され、そのインキ流量調節体の芯体の先端部が先端ボールの背面に当接し、インキ流量調節体の後端にコイル状のスプリングが敷設されて、前記芯体の先端部がスプリングの押圧によって先端ボールをチップ先端のボール抱持部の内縁に密接すると共に、筆記時に密接状態が解除されるにように設けられてなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、初期筆記でインキ切れしやすいインキを使用したボールペン、乾燥しやすいインキを使用したボールペンの改良に関する。また、インキに種々のフィラーが混入されたボールペン、紙面に筆記した筆跡が消しゴムでの擦過により容易に消去できるインキが充填されたボールペン、誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とするボールペンなど、加圧で支援して筆記性能を満足させるボールペンの改良に関する。
特開平8−52407 特表平7−506862 特開2001−150865 特願2003−180370 特開2001−096968
(特許文献1)従来、誤記等を修正するために白色顔料を用いた液体塗布具が知られている。また、白色顔料と溶剤が分離しやすい為にこの種の液体塗布具は可撓性のある容器にインキとボール等が封入されており、使用に際して振って攪拌する必要がある。また、インキを吐出する為に容器の側面を押圧して行うが、インキ残量が少なくなった時には容器の側壁を強く押してもインキが吐出されないという苛立たしさがある。
(特許文献2)
また、剪断減粘性を有するインキを使用して、攪拌しないですむものも知られているが、上向きで塗布したときにインキが逆流してインキ切れしやすい問題が存在する。
(特許文献3)
また、軸筒の後端にポンピング式の加圧機構部が設けられ、更にその前方で且つインキの後端に接触してインキの消耗と共に追随するよう配設されたフォロアの後端に位置して弁機構が配設され、加圧機構部の前進作動によって軸筒の後端孔に空気が押し込まれて、その際に所定圧で弁が開いてフォロアの後端が加圧されることによってインキのチップ側への流動性が支援されるように構成されたものが提案されている。
(特許文献4)
先端ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接し、筆記時に密接状態が解除されるように先端ボールの背面を押圧するスプリングの前端が突出したインキ流量調節体がチップ内孔に密装されて、その後方のインキ収容部にインキとインキの後端にインキの消耗に伴って移動するフォロアが設けられ、また、インキ流量調節体は撥インキ性を有し、フォロアの後方にはノック機構部と弁機構により構成されたポンピング式の加圧機構が設けられている。
(特許文献5)
ペン先本体における断面構造が、多孔質の芯体と、この芯体の外側の非透水性仕切り体と、この仕切り体の外側の多孔質の筒状外郭体とからなる内外3層構造で、チゼル状の筆先における筆先縁部が、芯体による内側筆先部と、外郭体による外側筆先部と、この内外の筆先部分間の仕切り部とからなる5層構造で、且つ、内側筆先部と外側筆先部とにより2色3層のラインを筆記可能にしてあることを特徴とする多色ペン用ペン先が示されている。
一般に粘性の低いインキまたは剪断減粘性を有したインキを使用したボールペンは、インキの流出量が多く(筆記濃度を上げるため)インキ収容管の径を太くしてインキの搭載量を多くしている。また、インキの粘度は油性ボールペンのインキに比べて小さいのでインキ収容管に対する流動抵抗は小さい。従って、インキの自重や落下あるいはノック衝撃が加わることによりインキ漏れ(インキ収容管の後端にインキが逆流する)が生じやすい。その為に、通常はインキの後端に筆記時のインキの消耗に追随して移動するが、インキの自重や衝撃に対してインキの逆流を抑制するグリース状のフォロアが、また、必要によりフォロア棒がフォロア内に浸漬されて設けられている。しかしながら、フォロアを設けても上向きにした時にインキのヘッドが直に加わる為に逆流が生じて手や衣服を汚す危険がある。また、チップ側を下向きにした場合に先端ボールとチップ抱持部の隙間が生じるとインキが滲みでる(直流)問題が存在する。また、即乾性の低粘度あるいは中粘度ゲルの油性インキは、インキやインキの油性分がチップの先端ボールとボール抱持部の内面との間の微小隙間を浸透して直流しやすい問題が存在する。
本発明は、初期筆記でインキ切れしやすいインキを使用したボールペン、乾燥しやすいインキを使用したボールペンの改良や、インキに種々のフィラーが混入されたボールペン、紙面に筆記した筆跡が消しゴムでの擦過により容易に消去できるインキが充填されたボールペン、誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とし、攪拌する必要が無く、容器の側面を押圧する煩わしさの無い誤記等修正用のボールペンなどの加圧作用を利用して正常に筆記可能とするボールペンの改良であって、安価に提供でき、且つ、加圧操作が面倒なく提供できることを課題とする。また、即乾性の低粘度あるいは中粘度ゲルの油性インキは、インキやインキの油性分がチップの先端ボールとボール抱持部の内面との間の微小隙間を浸透して直流しやすく、油性分が蒸発して隙間のインキが乾燥して目詰まりや筆記不可となる問題が起きやすい。インキの蒸発と筆記不可を防止するためには、非筆記時にチップ先端からインキが吸い出されないようにインキ流量調節体がインキをはじき、先端ボールがボール抱持部の内面に密接し、相互間の間隙を生じにくく、インキの蒸発や乾燥を防止することが必要であり、その実現を容易に可能とする。

また、インキの流出量を変化させて筆記描線の太さや濃度を変化させて多目的で便利な筆記具を提供可能とする。
本発明は、上記課題を達成する為に以下の構成を有する。
請求項1に記載の発明に係るボールペンは、前端にボールペンのチップと、その後方にインキ収容部を有し、インキ収容部にインキとインキの後端にインキの消耗に伴って移動するフォロアが設けられてなるボールペンに於いて、チップ内孔にインキを導通可能とする芯体とその外側にやはりインキを導通可能とする外郭体が形成されてなるインキ流量調節体が挿着され、そのインキ流量調節体の芯体の先端部が先端ボールの背面に当接し、インキ流量調節体の後端にコイル状のスプリングが敷設されて、前記芯体の先端部がスプリングの押圧によって先端ボールをチップ先端のボール抱持部の内縁に密接すると共に、筆記時に密接状態が解除されるにように設けられてなる。
請求項2に記載の発明に係るボールペンは、請求項1に記載のボールペンに於いて、フォロアの後方にポンピング式の加圧機構が設けられ、そのポンピング作動によってフォロアの後端が加圧されてインキのチップ側への流動性が支援されるように設けられたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明に係るボールペンは、請求項2に記載のボールペンに於いて、加圧機構は、軸筒内の略後端に配設され、軸筒を前後に振ることによってその慣性力で前後動する重りと、その重り前方でフォロアの後端に位置して設けられた弁体とで構成され、その重りの前進作動によって所定圧で弁体が開弁して前方に空気が押し込まれ、フォロアの後端が加圧されてインキのチップ側への流動性が支援されるように設けられてなる。
初期筆記でインキ切れしやすいインキや乾燥しやすいインキを使用したボールペンがインキ切れや掠れなどの問題なく筆記可能となる。
また、インキに種々のフィラーが混入されたボールペン、紙面に筆記した筆跡が消しゴムでの擦過により容易に消去できるインキが充填されたボールペン、誤記等を白色のインキで隠蔽することで修正可能とし、攪拌する必要が無く、容器の側面を押圧する煩わしさの無い誤記等修正用のボールペンなどが、加圧作用によってインキがとぎれたり、目詰まりする問題が無く筆記可能となる。
また、即乾性の低粘度あるいは中粘度ゲルの油性インキを使用したボールペンで、インキやインキの油性分がチップの先端ボールとボール抱持部の内面との間の微小隙間を浸透して直流しやすく、油性分が蒸発し隙間のインキが乾燥して目詰まりや筆記不可となる問題が解消可能となる。
また、インキの流出量を変化させて筆記描線の太さや濃度が変化可能となり、多目的な便利な筆記具が提供可能となる。
また、加圧操作が面倒なく、安価に提供できる。
図1乃至図9は本発明の実施形態を示している。先ず、図に示すように実施形態のボールペンは、軸筒1、チップ2、インキ6、フォロア7、フォロア後端に設けられる弁体12、更にその後方に設けられ重り9、そして軸筒の後端に固着される尾栓11とで構成され、筆記具の最終形態としては先軸部1cにキャップが被嵌される。また、ノック式筆記具や複式筆記具などに搭載されるリフィールとなすことが可能である。
軸筒1は樹脂成形品(通常は透明樹脂)で、先方に先細状の先軸部1cを一体に有し、その後方にインキとフォロアが充填されるインキ収容部を有している。また、インキ収容部の後方に後述する加圧機構を有している。
また、インキ収容部の後方に接合部(雌螺子部)を設け、加圧機構を有した軸筒部の前方を着脱可能に螺着するように設けることもできる。
チップ2は、インキ流入可能なチャンネル部2dを有したボール受け座2eに先端ボール3が略当接した状態で、先端ボール3が回転自在に抱持されるようカシメられている。(ボール抱持部2c)また、チップ内孔2bにインキ流量調節体4が密装され、そのインキ流量調節体4の後方からチップ内孔2bにコイル状のスプリング5が内挿され、インキ流量調節体4の前端が先端ボール3の背面を押圧し、チップ後方の軸部2aの後端が適宜カシメられて、スプリング5の捲線部の後端が抜出不能に設けられている。尚、チップの後方に段部を設けてスプリングの捲線部の後端を当接させて設けることもできる。
また、前記インキ流量調節体4は、軸心の芯体4b、芯体4bの外周に外郭体4aを有した二重の芯部で形成されており、芯体4bと外郭体4aはインキが浸透しインキを軸方向に導通する作用を有する。
また、必要により芯体4bと外郭体4aとの間にインキが浸透しない隔膜状のものが設けられる。また、インキ流量調節体4の芯体4bと外郭体4aは、軸方向に連続した微細な気孔を有する芯体で、押し出し成形、樹脂、金属、セラミック等の焼結体、繊維束をバインダー等で固化したもの、ゴム状の弾性体などで得られる。また、加圧作用を利用する場合には、必要に応じてインキの流出機能としての毛管作用に依存しないものとする。すなわち、インキの濡れを低下させ、例えば、インキの表面張力より小さく、インキをはじく状態(撥インキ性を有する)となるようにインキ流量調節体の材質選定や表面処理が施される。そして、インキは所定の加圧以上の状態で疎通する。
先端ボール3がボール抱持部の内面に密接することはインキが高粘度であっても筆記先端の乾燥、インキの直流防止に対し極めて重要である。また、必要に応じて先端ボール3を抱持するチップ内面の表面粗さ、カシメによる密接精度を改善する為に内面の研削仕上げ、カシメ精度を上げる為の二次的な塑性加工などが配慮される。また、必要によっては先端ボールとの密接面に表面処理などが配慮される。
軸筒1は、孔部1dの後方にインキ収容部を有しており、そのインキ収容部内に低粘度のインキや剪断減粘性を有するインキが充填され、そのインキの後端にインキの消耗と共にインキと追随するグリース状のフォロア7が充填されている。また、フォロア7はインキと相溶性が無く、インキの蒸発を防止する性能を有している。また、必要に応じてフォロア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒8が浸漬される。尚、フォロアは例えばシリコンゴム等の追従体とすることも可能である。
また、誤字修正用のボールペンの場合、インキ6は、酸化チタン、高分子中空微粒子等の白色顔料とゲル化剤を含み、顔料の沈降が防止されると共に流動性が極力損なわれないように配合された白色顔料インキである。また、インキは剪断減粘性を有しているので先端ボールの回転で粘度が低下するのと相まって隠蔽性の高い塗布が可能である。
次に、加圧機構について説明する。加圧機構は、図3に示すように軸筒1内にフォロア7の後端に対接してゴム等の弾性体よりなる弁体12が配設され、更に後方で、軸筒の後端から脱出しない状態で軸筒内を前後動可能な重り9が配設されてなり、軸筒1を振ったときの慣性で、重り9が前進したときに重り9の前端と弁体12との間の空間が圧縮・加圧されると共に、適宜圧力で弁体12が開弁してフォロア7の後端に加圧空気が流入してインキ6のチップ3側への流動性が支援されるようになされている。また、重り9が軸筒1の後端側に移動したときには、重り9の前端とフォロアの後端との間の空間が外気と連通した状態となるようになされている。
弁体12は、シリコンゴムや他のゴム等の弾性体あるいは軟質樹脂成形品などからなる筒状体で、その内孔部に前方側に膨出した略球面状の薄肉部が形成され、その中央部にはスリット状の弁部12aが形成されてなる。この弁体は前記薄肉部の後方からの加圧空気に対して弾性変形でスリットが開口し、反対に薄肉部の前方側からの加圧空気に対してはスリットが閉じるように構成されている。尚、弁体は実施例の形態に限定されず設けることが可能である。
重り9は、前方外周部に周状の凹部9aが形成され、また、重り9の前端から軸心に孔9bが形成され、その孔9bの側面から前記凹部9aの後方側に連通した孔9cが形成されている。また、凹部9a内には一例としてゴム等の弾性体や弾性のある成形樹脂などより成るシールリング10装着されている。シールリング10は、機密性、滑り性のよいものが選択される。また、他潤滑剤を介在させるなど配慮される。
また、軸筒1の略後端の側面には窓部1bが穿設されており、尾栓11は、その外周部に形成された突状の係止部11aを窓部1bに弾性的に係合させて固着されている。
尚、尾栓の固着手段は上記に限定されず設けることが可能である。
(作用)
先ず、筆記しない状態ではスプリング5の押圧で先端ボール3がインキ流量調節体4の前端によってチップ抱持部2cの内縁に密接されるのでインキ6の直流及び逆流が防止される。また、先端ボール3は、常時ボール抱持部の内縁に密接しているので先端部位の乾燥による筆記掠れが防止される。
また、筆圧により先端ボール3が微小に後退するので隙間を生じてインキが流出可能となり、筆記により先端ボール3の回転と共にインキが流出する。
また、フォロア棒8はインキ収容部が大径である場合に使用される。即ち、グリース状のフォロア7は、インキ収容部が大径の場合に衝撃などの影響で変形を受け破壊されやすいという問題がある。フォロア内にフォロアと略同等の比重を有する樹脂製のフォロア棒を浸漬させることにより剛性を上げることが可能となる。
次に、加圧機構の作用を以下に説明する。
軸筒1を振ったときの慣性で、重り9は軸筒の弁体12と尾栓11の前端との間で前後動可能となる。重り9の外周と軸筒1の内周との間には適宜隙間が設けられ、シールリング10の外周と軸筒の内周とが気密状に僅かに密接した状態となされている。
重り9が弁体12側に前進したときには、シールリング10が軸筒内面との摩擦によって凹部9aの後端側に寄った状態となり、シールリング10によって孔9cが閉塞された状態で重り9が摺動し、重り9の前端とフォロア7の後端との間の空間が圧縮・加圧される。そのとき、所定の加圧力で弁体12の弁部12aが微小に開弁してフォロア7の後端に加圧空気が流入すると共に重り9の前端部が弁体12の後端に略当接した状態で加圧が終了する。(図3参照)また、重り9が軸筒1の後端側に移動したときには、シールリング10が軸筒内面との摩擦によって凹部9aの前端側に寄った状態となり、そのとき、孔9cの閉塞状態が開放されて、重り9の前端と弁体12の後端との間の空間が外気と連通した状態となるので、重り9の前端とフォロア7の後端との間の空間が減圧されること無く重り9が後退し、また、弁部12aは閉じた状態でフォロア7の後端の加圧状態は維持され、重り9の後端部が尾栓の前端に当接した状態で後退が終了する。(図4参照)
上記加圧作用によって、フォロア7の後端が加圧されてインキ6のチップ側への流動性が支援される。そのことは、落下衝撃やインキの流動性の悪さ等に起因して先端ボールの周面からインキが離れてしまい連続的なインキの流出がとぎれるのを防止する作用ととぎれた時に回復する作用となる。
上述したが、即乾性の低粘度あるいは中粘度ゲルの油性インキを使用した場合には、インキやインキの油性分(アルコール系)がチップの先端ボールとボール抱持部の内面との間の微小隙間を浸透して直流しやすい問題が存在し、特に先端ボール径が大きい場合など先端ボールの周面とチップのボール抱持部の内面との間の隙間が大きいので直流しやすく、非筆記時に於いて先端ボールとチップのボール抱持部との密接状態やインキの浸透性による直流対策が重要となる。本発明は、上述したようにチップの内孔に撥インキ性を有するインキ流量調節体4を設けることによって、インキ収容部からインキ流量調節体4に浸入するインキが遮断(はじかれる)され、従って、先端ボールとボール抱持部の内面との間の微小隙間への連続的な浸透が抑制されると共に、先端ボールとチップのボール抱持部の内面との間からインキが吸い出されるが防止される。また、先端ボールがチップのボール抱持部の内面に密接するのでインキの直流が防止され、非筆記状態に比較的長時間置かれてもインキの蒸発や先端ボール背面のインキの乾燥が抑止され、掠れを生じず筆記をすることが可能である。また、落下、ノック衝撃や過酷な筆記状態で万一先端ボールがチップから脱落してしまった場合でも、インキ流量調節体4の撥インキ性などの作用によりインキのボタ落ちが防止されるのでインキがたれて周囲を汚すなどの危険が最小限に回避される。インキ流量調節体4に撥インキ性を設けるか否かは必要に応じて選択される。
インキ6は芯体4bと外郭体4aを導通して先端ボール3に誘導されるが、加圧作用によってインキの流出量が決定される。フォロアの後端を押圧する加圧力を増加すると、先端ボールからのインキの流出量が増加し、筆記描線の濃度や線幅がやや太くなり、加圧力を段階的に選ぶことを可能とすれば、筆記描線が細字、中字、太字にイメージングされることになる。
また必要に応じて、芯体4b及び外郭体4aは、撥インキ性、即ちインキの濡れを低下させる、例えば、インキの表面張力より小さく、インキをはじく状態となるように材質選定や表面処理を施して、筆記に伴うインキの導通は加圧作用に支援されて可能とすることで、インキ流量調節体4に詰まりを生じない気孔を有した状態となすことが可能となる。 また、上述した芯体4b、外郭体4aは、加圧力の変化と組合わせて気孔率を変えて設けたり、一方のみに撥インキ性を持たせたりすることで特徴のある筆記性能を発現させることが可能となる。
また、図5及び図6は加圧機構の別の実施形態を示している。
重り13は、前方外周部に周状の凹部13aが形成され、また、凹部13aの前端側所要箇所に溝13bが形成されて、重り13の前進で、シールリング10が凹部13aの後端側に寄ったときには重り13の前端と弁体12の後端との間の空間が加圧可能となり、(図5参照)また、重り13の後退で、シールリング10が凹部13aの前端側に寄ったときには溝13bを通じて、重り13の前端と弁体12の後端との間の空間が外気と連通した状態となるので、重り13の前端とフォロア7の後端との間の空間が減圧されること無く重り13が後退する。(図6参照)
また、加圧機構は、実施形態で示された重りの慣性力を利用したものに限らずフォロアの後方にノック機構部と弁機構により構成されたポンピング式の加圧機構を設けて行うことが可能である。また、弁機構部とノック機構部とで構成されるポンピング式の加圧機構は、弁機構部やノック機構部は設計都合によって種々の形態が採用可能である。また、軸筒は一体となすだけでなく、インキが充填された筆記部からなる前軸筒に加圧機構を備えた後軸筒を接合して設けることができ、また更に、後端に加圧機構を備えた軸筒内に筆記部(前軸筒側)を替え芯として搭載するように構成することも可能である。
図7は、上述したようにチップ内孔2bに、芯体4bと外郭体4aからなるインキ流量調節体4が密装され、先端ボール3の背面に外郭体4aの前端に対して適宜突出した芯体4bの前端が略当接状態に設けられ、インキ流量調節体4の後方からチップ内孔2bにコイル状のスプリング5が内挿され、インキ流量調節体4の芯体4aの前端が先端ボール3の背面を押圧し、チップ後方の軸部2aの後端が適宜カシメられて、スプリング5の捲線部の後端が抜出不能に設けられている。尚、チップ2は、金属製または樹脂成形品で形成することが可能である。
図8はチップの別の実施形態を示している。
このチップ14は、チップ後方の軸部14aの周面に内方に突出した凸部14bを形成し、スプリング5の捲線部の後端を当接させている。尚、凸部14bは周状に設けることも可能であるが、通常は周面の所定箇所に数カ所で設け、スプリング5の後端を弾性的に凸部14bに係止することを容易とする。尚、チップ14は、金属製または樹脂成形品で形成することが可能である。
また、図9はチップの更に別の実施形態を示している。
このチップ15は、チップ後方の軸部15aの後方周面に所要箇所でスリット部15bを設け、また、内面に突出した段部15cを形成し、
スプリング5の捲線部の後端を当接させている。尚、凸部14bは周状に設けることも可能であるが、通常は周面の所定箇所に数カ所で設け、スプリング5の後端を弾性的に凸部14bに係止することを容易とする。尚、チップ14は、通常樹脂成形品で形成される。
本発明の実施形態である加圧式のボールペンの前方部を示す縦断面図である。 チップ先端内部の部分拡大図である。 本発明の実施形態ある加圧式のボールペンの後方部を示す縦断面図で、重りが前進した状態を示している。 本発明の実施形態ある加圧式のボールペンの後方部を示す縦断面図で、重りが後退した状態を示している。 加圧機構の別の実施形態を示したボールペン後方部の縦断面図で、重りが前進した状態を示している。 加圧機構の別の実施形態を示したボールペン後方部の縦断面図で、重りが後退した状態を示している。 本発明に使用されるチップの実施形態を示す縦断面図である。 本発明に使用されるチップの別の実施形態を示す縦断面図である。 本発明に使用されるチップの更に別の実施形態を示す縦断面図である。
符号の説明
1 軸筒
1a 段部
1b 窓部
1c 先軸部
1d 孔部
1e 内孔
2 チップ
2a 軸部
2b チップ内孔
2c ボール抱持部
2d チャンネル部
2e ボール受け座
2f カシメ部
3 先端ボール
4 インキ流量調節体
4a 外郭体
4b 芯体
5 スプリング
6 インキ
7 フォロア
8 フォロア棒
9 重り
9a 凹部
9b 孔
9c 孔
10 シールリング
11 尾栓
11a 係止部
12 弁体
12a 弁部
13 重り
13a 凹部
13b 溝
14 チップ
14a 軸部
14b 凸部
15 チップ
15a 軸部
15b スリット部
15c 段部


Claims (3)

  1. 前端にボールペンのチップと、その後方にインキ収容部を有し、インキ収容部にインキとインキの後端にインキの消耗に伴って移動するフォロアが設けられてなるボールペンに於いて、チップ内孔にインキを導通可能とする芯体とその外側にやはりインキを導通可能とする外郭体が形成されてなるインキ流量調節体が挿着され、そのインキ流量調節体の芯体の先端部が先端ボールの背面に当接し、インキ流量調節体の後端にコイル状のスプリングが敷設されて、前記芯体の先端部がスプリングの押圧によって先端ボールをチップ先端のボール抱持部の内縁に密接すると共に、筆記時に密接状態が解除されるにように設けられてなるボールペン。
  2. フォロアの後方にポンピング式の加圧機構が設けられ、そのポンピング作動によってフォロアの後端が加圧されてインキのチップ側への流動性が支援されるように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のボールペン。
  3. 加圧機構は、軸筒内の略後端に配設され、軸筒を前後に振ることによってその慣性力で前後動する重りと、その重り前方でフォロアの後端に位置して設けられた弁体とで構成され、その重りの前進作動によって所定圧で弁体が開弁して前方に空気が押し込まれ、フォロアの後端が加圧されてインキのチップ側への流動性が支援されるように設けられたことを特徴とする請求項2に記載のボールペン。

























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