JP6389649B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
また、後者で採用するバルブ方式の筆記具では、筆記時にガタがあるため、書き味が悪く、バルブを開いている時間によって、インク流量が変わってしまうため、文字書きと直線書きでの描線濃度に差が出やすいという問題があった。
1) バルブ式の筆記具において、ポンピング感等の違和感を生じることなくスムーズな開弁操作を可能して、かつ、閉弁のためのスプリング力が十分でインキの漏れやボタオチを確実に防止できる筆記具を提供するために、ペン芯が一定のストロ−ク以上後退動作しかつ特定の抵抗荷重以上の押圧力が加わったときに開弁してインク収容部内のインクをペン芯に向けて流通させる弁機構を有するバルブ式の筆記具であって、バルブが開弁するまでのストロークの間、ペン芯の後退動作に応じてペン芯の押圧に対する抵抗荷重を増加させていく弾性部材からなるダミーポンピング部を軸筒先端部に設けた構造の筆記具(例えば、特許文献1参照)、
2) 内部に液体を収容し、該液体を吐出する吐出手段と接続され、吐出手段を通じて内容液体が消費されるに伴って消費された内容液体の体積に見合う空気を内部に取り込む空気流通手段を設けた液体吐出具の液体貯蔵容器において、前記空気流通手段として、常温で固体のオルガノポリシロキサンからなる空気交換壁を配置すると共に、前記容器の内外の連通に要する最小距離が1.0μm以上0.2mm以下であることを特徴とする液体吐出具の液体貯蔵容器(例えば、特許文献2参照)、
4) インキを流動的に直接収容し且つ後端を開口させた内筒と、この内筒との間に空気交換手段を介して外部と流通する所要の断面積の空間が確保されるように該内筒を同軸遊嵌状に内設し且つ後端を閉鎖させた外筒と、この外筒と前記内筒との前端開口に備えるペン先とを有し、内筒内空間のインキの界面から連ねた状態で該内筒内空間の後端開口を介して連絡する外筒内の前記空間の後部側に、ペン先に掛かるインキの流動圧を一定圧に制御するバランス液体を流動的に収容してなる事を特徴とする筆記具(例えば、特許文献4参照)、
5) インキ収容室に生インキ状態で収容したインキをペン先に供給するようにした筆記具であって、インキ収容室がインキの消費につれて容積減少するように、インキ収容室を形成する壁部に可動壁部を設けたものにおいて、前記可動壁部を前記インキ収容室との区画壁部に有するとともに弾性壁部と毛細管力による液膜形成壁部とを外界との区画壁部に有する空気室を設けたことを特徴とする筆記具(例えば、特許文献5参照)、などが知られている。
特に、本発明の近接技術を開示している上記特許文献5では、内圧変化対応のための弾性膜体を付与しているが、この弾性膜体に反力(戻る力)が無い場合、透過による加圧分を抑えることが出来なく、また、外気圧が大気圧分よりも低くなった場合、内圧は加圧状態になり、外気圧の低下が大気圧以内であっても、その後加温されると、内圧は加圧状態となってしまうものであり、更に、弾性膜体に反力を付与すると、温度変化により、体積が増加した場合、反力分加圧状態になってしまい、当該弾性膜体では、内圧変化には未だ十分に対応してないため、使用時にインクの漏れ出しを生じる場合があるなどの課題がある。
(1) インクタンク前部にペン先を装着し、インクタンク内に収容したインクと、該インクの後部には追従体が充填された状態で、追従体の後部側に設けられる空間部に液体を含侵させることにより毛管力を付与した毛管多孔体を配置すると共に、ペン先に筆圧がかかると筆記部の弁を開放し、かつ、ノックした際、インクタンク内を減圧することを特徴とする筆記具。
(2) 初期は開放状態であることを特徴とする上記(1)に記載の筆記具。
(3) インクが剪断減粘性を有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の筆記具。
(4) 複式筆記具であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の筆記具。
図1〜図4は、本発明の筆記具を複式筆記具に適用した実施形態を示すものであり、図1(a)は、複式筆記具の全体の縦断面図、(b)はその右側面図、図2(a)〜(c)は、それぞれ図1の複式筆記具のノック前、ノック途中、ノック後の状態を示す各部分拡大断面図、図3(a)〜(d)は、それぞれインクタンクとして用いるリフィールの正面図、背面図、縦断面図、ペン先の部分拡大縦断面図、図4(a)〜(c)は、それぞれ摺動パイプの斜視図、正面図、縦断面図である。
この筆記体の少なくとも一つは、図1(a)、(b)及び図3に示すように、インクタンクとなるリフィール20の前部にペン先30を装着し、インクタンク20内に収容したインク25と、該インク25の後部には追従体26が充填された状態で、追従体26の後部側に設けられる空間部27に液体を含侵させることにより毛管力を付与した毛管多孔体50を配置すると共に、ペン先30に筆圧がかかると筆記部32の弁34を開放し、かつ、ノックした際、インクタンクとなるリフィール20内を減圧することを特徴とするものである。
また、後軸部12の後端内には、筆記体が摺動パイプ60を介して繰り出しボタン15のノック操作によって繰り出すスプリング部材16aを有する繰り出し機構16が設けられている。この繰り出し機構16は、周知のものを各種用いることができる。符号17は、クリップである。
用いるインク組成としては、その用途(水性インク、油性インク、ゲルインク、修正液等)、筆記具種(マーキングペン、修正ペンなど)に応じて顔料(樹脂顔料含む)、染料などの着色剤、主溶剤、樹脂、増粘剤及び筆記具用のインクに含有される任意成分などを用いることができる。
フォロワ(追従体)26としては、インクに使用する溶剤に対して低透過性、低拡散性となるものが好ましく、そのベースとしては不揮発性や難揮発性の流動体、具体的には、ポリブテンや流動パラフィン、鉱油、プロセスオイルなどを使用することができる。
これらの物質の粘度が低い場合には、増粘剤やゲル化剤を用いることが好ましい。具体的には、金属セッケン類、ベントナイト類、脂肪酸アマイド類、水添ヒマシ油類、酸化チタンやシリカやアルミナ等を含む金属微粒子類、セルロース類、エラストマー類等が挙げられる。本実施形態では、フォロワ(追従体)26は鉱油と増粘剤により構成されている。
上記摺動パイプ60の後端側の開口部にはノック操作によって繰り出す繰り出し機構16の繰り出しボタン15の先端部材15aが嵌合されてノック操作に連動できる構造となっている。
また、摺動パイプ60の先端側の先端口部63は、リフィール20の後端口20aに嵌合により連結され、後端側の筒状収納部62の後端口62aには繰り出しボタン15の先端部材15aが嵌合により連結されている。上記摺動パイプ60の先端口部63の後方側には、外周面にOリング70を固着するための凹状部64が設けられると共に、摺動パイプ60の中央部付近にもOリング71を固着するための凹状部65が設けられている。更に、摺動パイプ60の凹状部64の後方側となる外周面には、内部の連通孔61に通気する通気孔66が貫通しており、また、摺動パイプ60の筒状収納部62の外周にも筒状収納部62内に通気する通気孔67,67が貫通している。この摺動パイプ60及びリフィール20の後方側は、軸筒10内に取り付けられる円筒部材80内を摺動自在に配置される構造となっている。
この毛管多孔体50により、ペン先30に筆圧がかかると筆記部の弁34を開放し、かつ、ノックした際、インクタンク内を減圧するものであり、インクが排出されると空気を取り込むため、筆記は可能であり、筆記を止めた場合は、空間部の減圧状態を保持することが可能となり、インクの直流を防止するものとなる。
次に、繰り出しボタン15によりノックすると、図2(b)に示すように、摺動パイプ60が前方へ摺動することにより、摺動パイプ60の後端側のOリング71が円筒部材80と接触し、シールを開始し、前方側のOリング70も前方側に摺動し、追従体(フォロア)26と毛管多孔体50の間の空間27を遮断し、更にノックを進めると、図2(c)に示すように、前方のOリング70が動いた分だけ空間が膨張し(符号27a)、減圧となる。この減圧分をヘッドバルブとなる毛管多孔体50が維持することで、空間内が減圧に保たれ、インク25の直流を防ぐ構造となっている。
なお、上記ノック後は、ペン先30が前軸部11の先端口13から出て、ペン先30に筆圧がかかると筆記部32の弁34を開放し筆記に供されるものとなる。
本実施形態の筆記具Bの作用機構を上記筆記具A〔図2(a)〜(c)〕と同様に、ノック前となる初期状態は、図5(c)に示すように、リフィール20内は、摺動パイプ60の連通孔61、通気孔66を通じて外気と連通しているので、保管時等は内圧変化しない状態となっている。次に、ノック部材91によりノックすると、連動部材92により、摺動パイプ60が前方へ摺動することにより、摺動パイプ60の後端側のOリング71が円筒部材80と接触し、シールを開始し、前方側のOリング70も前方側に摺動し、追従体(フォロア)26と毛管多孔体50の間の空間27を遮断し、更にノックを進めると、図6(c)に示すように、前方のOリング70が動いた分だけ空間が膨張し(符号27a)、減圧となる。この減圧分をヘッドバルブとなる毛管多孔体50が維持することで、空間内が減圧に保たれ、インク25の直流を防ぐ構造となっている。なお、上記ノック後は、ペン先30が前軸部11の先端口13から出て、ペン先30に筆圧がかかると筆記部32の弁を開放し筆記に供されるものとなる。
このように構成される本実施形態の筆記具Bは、上記複式筆記具Aと同様に、ノック操作によるインクタンク20内を減圧にすることができ、使用時にペン先30からのインクの漏れ出しを防止することができ、しかも、通常の筆記では毛管多孔体50の作用により、ペン先に掛かるインクの流動圧を一定圧に制御して、インク直流現象・逆流現象を防止することができる。
以下に、実施例1に用いた複式筆記具の主要部の構成を示す。
(軸筒、リフィールの各構成)
軸筒10(前軸部、後軸部):AS製
リフィール(インクタンク)20:PP製、肉厚(厚さ)0.8mm、長さ100mm、直径φ5.6mm
(ペン先の構成)
弁棒:POM製、先端直径φ1.0mm
(毛管多孔体50の構成)
毛管多孔体:アクリル製繊維芯、気孔率60%、長さ5mm、直径φ2.0mm
液体:松村石油株式会社製:バーレルプロセス油 P−26
インクとして、下記組成の剪断減粘性を有するインクを使用した。
溶剤:60〜95質量部
色材:5〜30質量部
樹脂:1〜10質量部
フォロアとして、松村石油株式会社製:バーレルプロセス油 P−26を使用した。
また、図5及び図6の筆記具Bについても、上記実施例1の構成部品、インクに準拠して、作製して、評価を行ったところ、上記筆記具Aと同様に、ノックの際のインクタンクとなるリフィールの空間部が体積膨張するが、液体を含浸させた毛管多孔体により、使用時にペン先からのインクの漏れ出しがないことが確認された。
10 軸筒
20 リフィール(インクタンク)
25 インク
26 フォロア(追従体)
27 空間部
30 ペン先
50 毛管多孔体
60 摺動パイプ
80 円筒部材
Claims (4)
- インクタンク前部にペン先を装着し、インクタンク内に収容したインクと、該インクの後部には追従体が充填された状態で、追従体の後部側に設けられる空間部に液体を含浸させることにより毛管力を付与した毛管多孔体を配置すると共に、ペン先に筆圧がかかると筆記部の弁を開放し、かつ、インクタンク内は外気と連通し、保管時は内圧変化しない状態からノックした際、インクタンク内を減圧することを特徴とする筆記具。
- インクタンクの後端側にインクの直流を抑制する機能を有する摺動パイプが取り付けられると共に、該摺動パイプ内にはペン先に筆圧がかかると筆記部の弁を開放し、かつ、ノックした際、インクタンク内を減圧する減圧部材となる毛管多孔体を備え、摺動パイプの後端側の開口部にはノック操作によって繰り出す繰り出し機構の繰り出しボタンの先端部材が嵌合され、ノックにより、摺動パイプが前方へ摺動することにより、摺動パイプの後端側でシールを開始し、追従体(フォロア)と毛管多孔体の間の空間を遮断し、更にノックを進めると、減圧となることを特徴とする請求項1記載の筆記具。
- インクが剪断減粘性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具。
- 複式筆記具であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具。
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