JP3178211B2 - 筆記具 - Google Patents
筆記具Info
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- JP3178211B2 JP3178211B2 JP35208393A JP35208393A JP3178211B2 JP 3178211 B2 JP3178211 B2 JP 3178211B2 JP 35208393 A JP35208393 A JP 35208393A JP 35208393 A JP35208393 A JP 35208393A JP 3178211 B2 JP3178211 B2 JP 3178211B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、インキ収容室に生イン
キ状態で収容したインキをペン先に供給するようにした
筆記具であって、インキ収容室がインキの消費とともに
容積減少するように、インキ収容室を形成する壁部の一
部を可動壁部としたものに関する。
キ状態で収容したインキをペン先に供給するようにした
筆記具であって、インキ収容室がインキの消費とともに
容積減少するように、インキ収容室を形成する壁部の一
部を可動壁部としたものに関する。
【０００２】
【従来の技術とその課題】インキ収容室に生インキ状態
で収容したインキをペン先に供給するようにした筆記具
の一つのタイプは、インキの消費と置換的に空気をイン
キ収容室に侵入させる構造となっているものである。代
表的一例としては、一般的な万年筆を挙げられる。ま
た、インキ収容室とペン先との間に後端ノック構造とか
先端ノック構造とかの適宜ノック構造により開放できる
ようにした弁機構を配したものも、多くはこのタイプに
属するものとなっている。
で収容したインキをペン先に供給するようにした筆記具
の一つのタイプは、インキの消費と置換的に空気をイン
キ収容室に侵入させる構造となっているものである。代
表的一例としては、一般的な万年筆を挙げられる。ま
た、インキ収容室とペン先との間に後端ノック構造とか
先端ノック構造とかの適宜ノック構造により開放できる
ようにした弁機構を配したものも、多くはこのタイプに
属するものとなっている。
【０００３】また、もう一つのタイプは、インキを消費
しても積極的に空気をインキ収容室に侵入させない構造
となっているものである。そして、この一例となるの
が、上述したところの、インキ収容室がインキの消費と
ともに容積減少するように、インキ収容室を形成する壁
部の一部を可動壁部としたものである。以下、「この種
筆記具」と呼ぶが、例えば、インキ収容室を変形容易な
軟質の袋体で形成したものとかインキの後部にスライド
栓などと称されるものを配したものとかがある。因み
に、この後者の極めて身近な一例は、通常の油性インキ
ボ−ルペンである。即ち、インキ収容筒体に収容したイ
ンキの後部にインキ逆流防止用のグリス状の粘稠液体、
例えばポリプテン、を配しているものである。この粘稠
液体が可動壁部となっている。また、近年は、成形物、
従って、固体の部材を全体もしくは主体とする可動壁部
の検討もなされるようになっている（例えば、特公平２
−９９６０号公報、特公平２−３６３９８号公報、特公
平２−３６３９９号公報、特公平５−５４３９１号公
報、特開昭６１−１７９７９９号公報、特開昭６２−１
９９４９２号公報、特開昭６２−２３８７９９号公報、
特開平３−１３３９６号公報、特開平４−３３２６９７
号公報、特開平４−３３２６９８号公報参照）。
しても積極的に空気をインキ収容室に侵入させない構造
となっているものである。そして、この一例となるの
が、上述したところの、インキ収容室がインキの消費と
ともに容積減少するように、インキ収容室を形成する壁
部の一部を可動壁部としたものである。以下、「この種
筆記具」と呼ぶが、例えば、インキ収容室を変形容易な
軟質の袋体で形成したものとかインキの後部にスライド
栓などと称されるものを配したものとかがある。因み
に、この後者の極めて身近な一例は、通常の油性インキ
ボ−ルペンである。即ち、インキ収容筒体に収容したイ
ンキの後部にインキ逆流防止用のグリス状の粘稠液体、
例えばポリプテン、を配しているものである。この粘稠
液体が可動壁部となっている。また、近年は、成形物、
従って、固体の部材を全体もしくは主体とする可動壁部
の検討もなされるようになっている（例えば、特公平２
−９９６０号公報、特公平２−３６３９８号公報、特公
平２−３６３９９号公報、特公平５−５４３９１号公
報、特開昭６１−１７９７９９号公報、特開昭６２−１
９９４９２号公報、特開昭６２−２３８７９９号公報、
特開平３−１３３９６号公報、特開平４−３３２６９７
号公報、特開平４−３３２６９８号公報参照）。
【０００４】この種筆記具において、留意しておかなけ
ればならないのは、ペン先からのインキ漏れである。こ
の点、上述した油性インキボ−ルペンの場合は、インキ
自体の粘稠性とともにボ−ルペン先部における強い毛細
管力（ボ−ルとチップによる弁性の存在と言えるかも知
れない）によってインキ漏れが克服されているが、イン
キが通常の水性インキのように低粘性のものであった
り、ボ−ルペンとは異なるペン先を有するものとする場
合など、必ずしも、ペン先の部分だけではインキ漏れを
克服できないこともある。
ればならないのは、ペン先からのインキ漏れである。こ
の点、上述した油性インキボ−ルペンの場合は、インキ
自体の粘稠性とともにボ−ルペン先部における強い毛細
管力（ボ−ルとチップによる弁性の存在と言えるかも知
れない）によってインキ漏れが克服されているが、イン
キが通常の水性インキのように低粘性のものであった
り、ボ−ルペンとは異なるペン先を有するものとする場
合など、必ずしも、ペン先の部分だけではインキ漏れを
克服できないこともある。
【０００５】そのため、ペン先に到るインキ通路の途中
にインキ漏れに対する抵抗構造を付加するようにしたも
のもある。インキの流れに関する考え方としては、「前
（ペン先）」で克服できなければ、「途中」で手当てし
ようというものであり、例えば、特公平２−１４２００
号公報に記載されたものは、基本的には、部材の弾性的
当接によってインキ通路の遮断をする弁構造を有するも
のであるが、意識的なノック操作を必要としない利点を
原理的に有している。
にインキ漏れに対する抵抗構造を付加するようにしたも
のもある。インキの流れに関する考え方としては、「前
（ペン先）」で克服できなければ、「途中」で手当てし
ようというものであり、例えば、特公平２−１４２００
号公報に記載されたものは、基本的には、部材の弾性的
当接によってインキ通路の遮断をする弁構造を有するも
のであるが、意識的なノック操作を必要としない利点を
原理的に有している。
【０００６】同様に、「後」にインキ前進の抵抗となる
ものを配するという考え方も成り立つ。例えば、前掲公
報中に幾つも見られるように、可動壁部によるインキ前
進の抵抗力付与である。抵抗力を付与し過ぎてもいけな
いので、随分と工夫が施されている。
ものを配するという考え方も成り立つ。例えば、前掲公
報中に幾つも見られるように、可動壁部によるインキ前
進の抵抗力付与である。抵抗力を付与し過ぎてもいけな
いので、随分と工夫が施されている。
【０００７】本発明も、この種筆記具における上述した
様々の従来技術と同様に、インキ漏れに対する一つの手
段を提供せんとするものである。考え方としては、
「後」にインキ前進の抵抗となるものを配するというも
のに属するが、より細かく分けると、抵抗となるものを
「可動壁部の後」に配するようにしたものの一種であ
る。
様々の従来技術と同様に、インキ漏れに対する一つの手
段を提供せんとするものである。考え方としては、
「後」にインキ前進の抵抗となるものを配するというも
のに属するが、より細かく分けると、抵抗となるものを
「可動壁部の後」に配するようにしたものの一種であ
る。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は、着想的には可
動壁部の後に外界よりも圧力が低い空気室を設けたもの
である。即ち、可動壁部をインキ収容室との区画壁部に
有する吸引力を働かせる空気室を設ければ可動壁部の前
進に対する抵抗力を働かせることができる。勿論、この
抵抗力が大きくなり過ぎてはならないので、空気室には
外界の空気が程よく入り得るようにする。そのための手
段が、空気室と外界とを区画する壁部に弾性壁部及び毛
細管力による液膜形成壁部を設けることである。従っ
て、本発明は、インキ収容室に生インキ状態で収容した
インキをペン先に供給するようにした筆記具であって、
インキ収容室がインキの消費につれて容積減少するよう
に、インキ収容室を形成する壁部に可動壁部を設けたも
のにおいて、前記可動壁部を前記インキ収容室との区画
壁部に有するとともに弾性壁部と毛細管力による液膜形
成壁部とを外界との区画壁部に有する空気室を設けたこ
とを特徴とする筆記具を要旨とする。
動壁部の後に外界よりも圧力が低い空気室を設けたもの
である。即ち、可動壁部をインキ収容室との区画壁部に
有する吸引力を働かせる空気室を設ければ可動壁部の前
進に対する抵抗力を働かせることができる。勿論、この
抵抗力が大きくなり過ぎてはならないので、空気室には
外界の空気が程よく入り得るようにする。そのための手
段が、空気室と外界とを区画する壁部に弾性壁部及び毛
細管力による液膜形成壁部を設けることである。従っ
て、本発明は、インキ収容室に生インキ状態で収容した
インキをペン先に供給するようにした筆記具であって、
インキ収容室がインキの消費につれて容積減少するよう
に、インキ収容室を形成する壁部に可動壁部を設けたも
のにおいて、前記可動壁部を前記インキ収容室との区画
壁部に有するとともに弾性壁部と毛細管力による液膜形
成壁部とを外界との区画壁部に有する空気室を設けたこ
とを特徴とする筆記具を要旨とする。
【０００９】
【作用】「毛細管力による液膜形成壁部」については、
例えば、スリットに毛細管力で液体が保持されていると
きのことを考えると理解し易いであろう。液体は、普通
にはスリットの全体にあって（膜を張っていて）、スリ
ットの一方側と他方側とを分離している。そして、もし
も、一方側の圧力が他方側の圧力よりも膜張り力以上に
大きくなれば、膜としての状態が破れ、圧力の高い方か
ら低い方へと空気がスリットを通って侵入し、膜を張る
ことのできる程度まで圧力差が小さくなったところで再
び膜を形成して両側を分離するものとなる。勿論、スリ
ットでなくてもよいので、単に、「毛細管力による液膜
形成壁部」としている。但し、この「壁部」だけでは、
空気室側が外界よりも圧力の大きなものとなる場合の考
慮が不足している。これを補うのが弾性壁部である。空
気室内の圧力が小さい分だけ弾性壁部が変形状態にあ
り、空気室内の圧力が高くなろうとすれば、変形量が減
ることによって、この圧力上昇を緩和する。
例えば、スリットに毛細管力で液体が保持されていると
きのことを考えると理解し易いであろう。液体は、普通
にはスリットの全体にあって（膜を張っていて）、スリ
ットの一方側と他方側とを分離している。そして、もし
も、一方側の圧力が他方側の圧力よりも膜張り力以上に
大きくなれば、膜としての状態が破れ、圧力の高い方か
ら低い方へと空気がスリットを通って侵入し、膜を張る
ことのできる程度まで圧力差が小さくなったところで再
び膜を形成して両側を分離するものとなる。勿論、スリ
ットでなくてもよいので、単に、「毛細管力による液膜
形成壁部」としている。但し、この「壁部」だけでは、
空気室側が外界よりも圧力の大きなものとなる場合の考
慮が不足している。これを補うのが弾性壁部である。空
気室内の圧力が小さい分だけ弾性壁部が変形状態にあ
り、空気室内の圧力が高くなろうとすれば、変形量が減
ることによって、この圧力上昇を緩和する。
【００１０】
【実施例】添付図面に基づき一例の説明をする。ペン先
１が軸筒２の先端から突出している。図示のものは、テ
−パ−先端形状を有する繊維収束体からなるものを意識
して描いてあるが、例えば、筆毛の収束体よりなる筆
穂、ウレタンなどの連通多孔質弾性体を筆穂状にした、
所謂、筆ペンのペン先、ボ−ルとチップとよりなるボ−
ルペンのペン先、小管と針体とよりなる小管式筆記具の
ペン先とかといったように適宜であってよい。また、軸
筒２も、必要に応じて透明性を有する合成樹脂を射出成
形によって得たものを意識して描いてあるが、アルミニ
ウムのような金属製であったり、軸本体とペン先ホルダ
−との２部品よりなるものなどであったりしてもよい。
材質や部品構成は適宜である。
１が軸筒２の先端から突出している。図示のものは、テ
−パ−先端形状を有する繊維収束体からなるものを意識
して描いてあるが、例えば、筆毛の収束体よりなる筆
穂、ウレタンなどの連通多孔質弾性体を筆穂状にした、
所謂、筆ペンのペン先、ボ−ルとチップとよりなるボ−
ルペンのペン先、小管と針体とよりなる小管式筆記具の
ペン先とかといったように適宜であってよい。また、軸
筒２も、必要に応じて透明性を有する合成樹脂を射出成
形によって得たものを意識して描いてあるが、アルミニ
ウムのような金属製であったり、軸本体とペン先ホルダ
−との２部品よりなるものなどであったりしてもよい。
材質や部品構成は適宜である。
【００１１】軸筒２の中には筆書液、化粧液、修正液な
ど適宜の筆記用インキ３が生インキ状態で入っている。
例えば、２００ｃｐｓ．程度以下といった低粘性のもの
でも勿論構わない。また、軸筒１に対して直接入れてあ
るが、一般的万年筆におけるようなインキカ−トリッジ
構造となっていてもよい。
ど適宜の筆記用インキ３が生インキ状態で入っている。
例えば、２００ｃｐｓ．程度以下といった低粘性のもの
でも勿論構わない。また、軸筒１に対して直接入れてあ
るが、一般的万年筆におけるようなインキカ−トリッジ
構造となっていてもよい。
【００１２】インキ３の後部（図面上部）には、例えば
ポリブテンなど、グリス状の粘稠液体４が入っている。
前述した可動壁部としての一例である。即ち、インキ収
容室の主たる壁部を構成している軸筒２とともに、粘稠
液体４もインキ収容室としての壁部の一部となってい
る。シリンダ−に対するピストンのようなもので、前述
のように成形物を全体もしくは主体としたものとするこ
ともできるが、粘稠液体４であれば充填作業で済ませら
れるので簡便である。また、可動壁部としては、インキ
３に対して「後」から前進の抵抗となるものであっても
よいが、一般に、軸筒２の内径が大きければ、粘稠液体
４はインキ３とともに自重を働かせるものとなり、しか
も、本発明によればそれでも構わないことを示すもので
ある。
ポリブテンなど、グリス状の粘稠液体４が入っている。
前述した可動壁部としての一例である。即ち、インキ収
容室の主たる壁部を構成している軸筒２とともに、粘稠
液体４もインキ収容室としての壁部の一部となってい
る。シリンダ−に対するピストンのようなもので、前述
のように成形物を全体もしくは主体としたものとするこ
ともできるが、粘稠液体４であれば充填作業で済ませら
れるので簡便である。また、可動壁部としては、インキ
３に対して「後」から前進の抵抗となるものであっても
よいが、一般に、軸筒２の内径が大きければ、粘稠液体
４はインキ３とともに自重を働かせるものとなり、しか
も、本発明によればそれでも構わないことを示すもので
ある。
【００１３】この粘稠液体４と距離を隔てるようにし
て、軸筒２の後部には尾栓体５が取り付けてある。ここ
で、図示の尾栓体５は、弾性膜体６、前固定体７、前尾
栓８、後尾栓９、液膜形成体１０、後固定体１１とより
なっている。順に説明する。弾性膜体６はゴム風船のよ
うなものである。但し、僅かの圧力によっても大きく弾
性変形できるようなものが好ましい。前固定体７は、こ
の弾性膜体６を前尾栓８に気密的に取り付けるためのも
のである。即ち、前尾栓８は、中央貫通状態の第１の空
気通路１２と、後述する側壁溝状態の第２の空気通路１
３とを有しているが、第１の空気通路１２による通路性
は、この弾性膜体６によって分離されている。尚、弾性
膜体６を接着などにより前尾栓８に直接取り付ける場合
など、前固定体７を省略することもできる。後尾栓９
は、前尾栓８と嵌合している。射出成形による場合のこ
とを考慮したものであり、本質的には前尾栓８と一体品
であってよい。ちなみに、前述した、軸本体とペン先ホ
ルダ−との２部品よりなる軸筒２とする場合などは、軸
本体に一体に尾栓部を設けることもできるので、尾栓体
５という別部材を軸筒２に対して用いなければならない
訳でもない。後尾栓９は前尾栓８を嵌合するための第１
の貫通孔１４とともに前尾栓８の第２の空気通路１３と
連通する第２の貫通孔１５を有し、この第２の貫通孔１
５内に液膜形成体１０が配置してある。液膜形成体１０
は繊維束や連通多孔質体などよりなり、図示は省略する
が液体を毛細管力によって保持している。ここで、液体
としては、例えば、ジペンチルベンゼン、ドデシルベン
ゼン、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、１−ク
ロロナフタレン、２，２’−チオジエタノ−ル、２−フ
ェノキシエチルアセテ−トなど比較的低粘性で高沸点の
ものが好ましい。保持量は、必ずしも飽和量でなくても
よい。但し、少なくとも、第２の貫通孔１５を分離す
る、即ち、前述した「液膜」を形成できるだけの量であ
る。必要があれば、液体を液膜形成体１０の外側にも付
着させてよい。尚、後固定体１１は、この液膜形成体１
０を固定するためのもので、例えば、液膜形成体１０を
十分な嵌合力で第２の貫通孔１５内に配置できる場合な
どは省略できる。また、液膜形成体１０が前述したスリ
ットのようなものであって、後尾栓９に一体形成した場
合なども省略できる。
て、軸筒２の後部には尾栓体５が取り付けてある。ここ
で、図示の尾栓体５は、弾性膜体６、前固定体７、前尾
栓８、後尾栓９、液膜形成体１０、後固定体１１とより
なっている。順に説明する。弾性膜体６はゴム風船のよ
うなものである。但し、僅かの圧力によっても大きく弾
性変形できるようなものが好ましい。前固定体７は、こ
の弾性膜体６を前尾栓８に気密的に取り付けるためのも
のである。即ち、前尾栓８は、中央貫通状態の第１の空
気通路１２と、後述する側壁溝状態の第２の空気通路１
３とを有しているが、第１の空気通路１２による通路性
は、この弾性膜体６によって分離されている。尚、弾性
膜体６を接着などにより前尾栓８に直接取り付ける場合
など、前固定体７を省略することもできる。後尾栓９
は、前尾栓８と嵌合している。射出成形による場合のこ
とを考慮したものであり、本質的には前尾栓８と一体品
であってよい。ちなみに、前述した、軸本体とペン先ホ
ルダ−との２部品よりなる軸筒２とする場合などは、軸
本体に一体に尾栓部を設けることもできるので、尾栓体
５という別部材を軸筒２に対して用いなければならない
訳でもない。後尾栓９は前尾栓８を嵌合するための第１
の貫通孔１４とともに前尾栓８の第２の空気通路１３と
連通する第２の貫通孔１５を有し、この第２の貫通孔１
５内に液膜形成体１０が配置してある。液膜形成体１０
は繊維束や連通多孔質体などよりなり、図示は省略する
が液体を毛細管力によって保持している。ここで、液体
としては、例えば、ジペンチルベンゼン、ドデシルベン
ゼン、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、１−ク
ロロナフタレン、２，２’−チオジエタノ−ル、２−フ
ェノキシエチルアセテ−トなど比較的低粘性で高沸点の
ものが好ましい。保持量は、必ずしも飽和量でなくても
よい。但し、少なくとも、第２の貫通孔１５を分離す
る、即ち、前述した「液膜」を形成できるだけの量であ
る。必要があれば、液体を液膜形成体１０の外側にも付
着させてよい。尚、後固定体１１は、この液膜形成体１
０を固定するためのもので、例えば、液膜形成体１０を
十分な嵌合力で第２の貫通孔１５内に配置できる場合な
どは省略できる。また、液膜形成体１０が前述したスリ
ットのようなものであって、後尾栓９に一体形成した場
合なども省略できる。
【００１４】このようにして、軸筒２内の粘稠液体４の
後部に形成された空間（この空間が空気室である）１６
は、弾性膜体６と液膜形成体１０により外界と分離され
ている。しかも、ペン先１を下向けにした図示の状態
で、重力の影響でインキ３や粘稠液体４が下がろうとす
ることによって空気室１６には減圧力が働いており、弾
性膜体６は弾性変形している。空気室１６の内圧は外界
の圧力に比べると少し低くなっている訳である。そし
て、液膜形成体１０の液膜はこの状態でも確保されてい
る。即ち、図示したものにおいて、弾性膜体６によって
形成されているのが外界との区画壁部における弾性壁部
であり、液膜形成体１０によって形成されているのが同
じく外界との区画壁部における毛細管力による液膜形成
壁部である。
後部に形成された空間（この空間が空気室である）１６
は、弾性膜体６と液膜形成体１０により外界と分離され
ている。しかも、ペン先１を下向けにした図示の状態
で、重力の影響でインキ３や粘稠液体４が下がろうとす
ることによって空気室１６には減圧力が働いており、弾
性膜体６は弾性変形している。空気室１６の内圧は外界
の圧力に比べると少し低くなっている訳である。そし
て、液膜形成体１０の液膜はこの状態でも確保されてい
る。即ち、図示したものにおいて、弾性膜体６によって
形成されているのが外界との区画壁部における弾性壁部
であり、液膜形成体１０によって形成されているのが同
じく外界との区画壁部における毛細管力による液膜形成
壁部である。
【００１５】この状態で、ペン先１からのインキ漏れは
防止されているが、ペン先１のところでインキ３が消費
されると、それだけ空気室１６内の圧力は低下するよう
になり、これを緩和するために弾性膜体６はより大きく
弾性変形する。しかし、筆記を継続し、インキ３の消費
量が多くなり、空気室１６内の圧力が大きく低下しよう
とすると、液膜形成体１０における液体の膜が破れる。
即ち、液膜形成体１０の中の比較的毛細管力の弱いとこ
ろを通って空気が空気室１６内へと侵入する。これによ
って、空気室１６内の圧力が低下し過ぎて、インキ３が
ペン先１に供給されなくなるのを防止している。尚、例
えば、温度上昇などによる空気室１６内の体積増加に対
しては、弾性膜体６の弾性変形量が少なくなることで少
なからず補償できる。また、例えば、ペン先１を上向き
にしたとき、インキ３や粘稠液体４が後退しようとする
ことに対しては、ペン先１に空気が侵入するのに対して
ペン先１が働かせる抵抗力がペン先１からインキ３が漏
れ出すのに対してペン先１が働かせる抵抗力よりも大き
いことを利用して、やはり少なからず補償できる。常に
向きを同じくしておかれる専用筆記具としてだけではな
く、通常の筆記具としても、各部の毛細管力を設定する
とか、あるいは、軸筒２の内径は基本的に任意であるの
で、同じインキ量であってもインキ３の収容高さを調整
するなどすることによって、十分に実用に供し得るもの
となる訳である。必要があれば、前述したインキの流れ
における「途中」での手当てについての技術も併用して
よい。
防止されているが、ペン先１のところでインキ３が消費
されると、それだけ空気室１６内の圧力は低下するよう
になり、これを緩和するために弾性膜体６はより大きく
弾性変形する。しかし、筆記を継続し、インキ３の消費
量が多くなり、空気室１６内の圧力が大きく低下しよう
とすると、液膜形成体１０における液体の膜が破れる。
即ち、液膜形成体１０の中の比較的毛細管力の弱いとこ
ろを通って空気が空気室１６内へと侵入する。これによ
って、空気室１６内の圧力が低下し過ぎて、インキ３が
ペン先１に供給されなくなるのを防止している。尚、例
えば、温度上昇などによる空気室１６内の体積増加に対
しては、弾性膜体６の弾性変形量が少なくなることで少
なからず補償できる。また、例えば、ペン先１を上向き
にしたとき、インキ３や粘稠液体４が後退しようとする
ことに対しては、ペン先１に空気が侵入するのに対して
ペン先１が働かせる抵抗力がペン先１からインキ３が漏
れ出すのに対してペン先１が働かせる抵抗力よりも大き
いことを利用して、やはり少なからず補償できる。常に
向きを同じくしておかれる専用筆記具としてだけではな
く、通常の筆記具としても、各部の毛細管力を設定する
とか、あるいは、軸筒２の内径は基本的に任意であるの
で、同じインキ量であってもインキ３の収容高さを調整
するなどすることによって、十分に実用に供し得るもの
となる訳である。必要があれば、前述したインキの流れ
における「途中」での手当てについての技術も併用して
よい。
【００１６】
【発明の効果】本発明によれば、インキ収容室に生イン
キ状態で収容したインキをペン先に供給するようにした
筆記具であって、インキ収容室がインキの消費につれて
容積減少するように、インキ収容室を形成する壁部に可
動壁部を設けたものにおいて、前記可動壁部を前記イン
キ収容室との区画壁部に有するとともに弾性壁部と毛細
管力による液膜形成壁部とを外界との区画壁部に有する
空気室を設けたので、ペン先からのインキ漏れを防止す
る一つの手段となるが、特に、可動壁部として、必ずし
も成形物を全体もしくは主体として使用しなければなら
ないという制約、あるいは、可動壁部に関して、部品の
寸法や物性などのばらつきに対する高い精度での管理が
必要であるという制約、このような制約を解消できる大
きな利点を有する。
キ状態で収容したインキをペン先に供給するようにした
筆記具であって、インキ収容室がインキの消費につれて
容積減少するように、インキ収容室を形成する壁部に可
動壁部を設けたものにおいて、前記可動壁部を前記イン
キ収容室との区画壁部に有するとともに弾性壁部と毛細
管力による液膜形成壁部とを外界との区画壁部に有する
空気室を設けたので、ペン先からのインキ漏れを防止す
る一つの手段となるが、特に、可動壁部として、必ずし
も成形物を全体もしくは主体として使用しなければなら
ないという制約、あるいは、可動壁部に関して、部品の
寸法や物性などのばらつきに対する高い精度での管理が
必要であるという制約、このような制約を解消できる大
きな利点を有する。
【図１】本発明の一実施例を説明する縦断面図。
１ ペン先 ２ 軸筒 ３ インキ ４ 粘稠液体 ５ 尾栓体 ６ 弾性膜体 ７ 前固定体 ８ 前尾栓 ９ 後尾栓 １０ 液膜形成体 １１ 後固定体 １２ 第１の空気通路 １３ 第２の空気通路 １４ 第１の貫通孔 １５ 第２の貫通孔 １６ 空気室
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B43K 5/02 B43K 7/02 B43K 8/02
Claims (1)
- 【請求項１】 インキ収容室に生インキ状態で収容した
インキをペン先に供給するようにした筆記具であって、
インキ収容室がインキの消費につれて容積減少するよう
に、インキ収容室を形成する壁部に可動壁部を設けたも
のにおいて、前記可動壁部を前記インキ収容室との区画
壁部に有するとともに弾性壁部と毛細管力による液膜形
成壁部とを外界との区画壁部に有する空気室を設けたこ
とを特徴とする筆記具。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP35208393A JP3178211B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 筆記具 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP35208393A JP3178211B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 筆記具 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07195891A JPH07195891A (ja) | 1995-08-01 |
| JP3178211B2 true JP3178211B2 (ja) | 2001-06-18 |
Family
ID=18421671
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP35208393A Expired - Fee Related JP3178211B2 (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 筆記具 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3178211B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6126829B2 (ja) * | 2012-12-04 | 2017-05-10 | 三菱鉛筆株式会社 | 筆記具 |
| JP6406812B2 (ja) * | 2012-12-04 | 2018-10-17 | 三菱鉛筆株式会社 | 筆記具 |
| EP2933117A4 (en) * | 2012-12-04 | 2017-03-01 | Mitsubishi Pencil Company, Limited | Writing instrument |
| JP6126828B2 (ja) * | 2012-12-04 | 2017-05-10 | 三菱鉛筆株式会社 | 筆記具 |
| JP6389649B2 (ja) * | 2014-06-03 | 2018-09-12 | 三菱鉛筆株式会社 | 筆記具 |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP35208393A patent/JP3178211B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH07195891A (ja) | 1995-08-01 |
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