JP4744917B2 - 流動体塗布具 - Google Patents
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Description
なお、低極性で揮発性の有機溶媒は、インキ配合により描線が速く乾きやすいこと、非吸収面での固着性が強く、修正液に使うと水性のインキのブリードが起こりにくいこと等の点で好ましい。
なお、上記公報で規定される液状の可動栓には、「流動体塗布液と相溶せず、流動体塗布液の揮発を防止すること」と「可動栓自身が揮発しにくいこと」の2つの性能が要求されるものである。
しかしながら、上記特許文献2に示される流動体塗布具における二層式可動栓の効果は優れているものであるが、流動体を含めた3層の比重差の管理、抱き込まれた空気の除去、充填方法など組み立ての煩雑さといった2次的な課題を生じる点に若干の課題があり、また、上記特許文献3に示される流動体塗布具では、今までにない高湿度下での経時安定性に優れたものであるが、更なる高湿度下での経時安定性の確保及び早書き筆記等においても優れた追従性を有する流動体塗布具の出現が切望されているのが現状である。
(1) 流動体塗布液の流出制御機構を具備する塗布具の収容管に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する流動体塗布液が収容され、かつ、該流動体塗布液の後方には、該流動体塗布液と相溶しない、難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容され、該可動栓の後方収容管内を大気解放される流動体塗布具であって、上記可動栓が下記一般式(I)で示されるジグリセリンのエチレンオキサイド付加物にプロピレンオキサイドを付加重合したものを主成分とすることを特徴とする流動体塗布具。
(3) 上記(1)又は(2)記載の可動栓がシリカ及び/又はアルミナにより構造粘性を有することを特徴とする流動体塗布具。
(4) 上記(3)記載の構造粘性を有する可動栓は、可動栓の全量に対して、シリカ及び/又はアルミナが5〜10重量%含有することを特徴とする流動体塗布具。
本発明の流動体塗布具は、流動体塗布液の流出制御機構を具備する塗布具の収容管に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する流動体塗布液が収容され、かつ、該流動体塗布液の後方には、該流動体塗布液と相溶しない、難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容され、該可動栓の後方収容管内を大気解放される流動体塗布具であって、上記可動栓が下記一般式(I)で示されるジグリセリンのエチレンオキサイド付加物にプロピレンオキサイドを付加重合したものを主成分とすることを特徴とするものである。
これらの流動体塗布具の先端には、通常、使用時に流動体が出過ぎたり、出にくくなるのを防止する流動体塗布液の流出制御機構が具備される。例えば、流動体(インキ等)がゲル状である場合には、構造粘性破壊手段を有するボールペン型チップや、弾撥体で前方の弁座に突出付勢させて先端孔を閉塞保持する弁付き塗布体又はニードルバルブ等の流出制御機構を具備させたものが挙げられる。
本発明における流動体塗布液としては、例えば、上記有機溶媒に、カーボンブラックや二酸化チタン等の顔料・染料等の色材、溶剤に可溶な増粘剤・バインダーとしての樹脂類、界面活性剤類、香料、並びに、筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等の用途に応じたその他の任意成分を適宜溶解もしくは分散させたものが使用される。
これらの配合量については、例えば、流動体塗布液全量(100重量%)に対して、有機溶媒20〜85重量%、顔料等の色材10〜60重量%、樹脂類その他成分が5〜30重量%程度の配合組成物とすることが望ましい。
また、上記流動体塗布液をそのまま使用してもよいが、上記流動体塗布液に微粉末シリカ、アルミナ、ジベンジルソルビトールなどの粘性付与剤を含有せしめてゲル状粘性体として使用してもよい。このゲル状粘性体とすることにより、流動体塗布液に重たい顔料(酸化チタン等)等の色材を配合してもこれらの沈降を抑制し易く、更に、紙等の被塗布体にインキ(流動体)を塗布した場合、構造粘性を有することにより被塗布体上での「にじみ」が抑制できることとなる。このゲル強度は使用する色材(顔料等)の粒子径、比重により適宜調整される。
これによって可動栓は流動体塗布液の消費につれて流動体塗布液に追従して移動し可動栓としての作用をなすことになる。
上記2つの基本性能を満足する可動栓には、その性質を有するがために親水性=吸湿性を併せ持つという欠点があり、これを回避するためには親水性と親油性のバランスが適度のものを選ぶ必要がある。
従って、グリセリンやポリグリセリンでは吸湿性が高過ぎることとなる。また、種々の重合度を有するアルキレンオキサイドのうちエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドより炭素数が大きなアルキル基になると、親油性が勝ってしまい、上記低極性の有機溶媒と相溶してしまったり、溶媒の揮発性を抑制することができなくなってしまうという問題がある。
そこで、本発明においては、可動栓を形成する難揮発性の液状物は、グリセリンおよびポリグリセリンによって親水性を持たせ、アルキレンオキサイド付加物により親油性を付与して、両親媒性のバランスを調整した結果、主成分を上記各性能を有する一般式(I)で示されるジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物(s=w+x+y+z=13)にプロピレンオキサイド付加物1〜10モル付加物〔w´+x´+y´+z´が1〜10の数〕を主成分とするもの、好ましくは、2〜5モル付加物から選ばれ、特に3モル付加物が最もバランスが優れている点で望ましい。
本発明では、可動栓を構成することとなる上記一般式(I)で示されるジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物に、プロピレンオキサイド1〜10モル付加物が可動栓全量(100重量%)に対して、80重量%以上含有せしめること(主成分とすること)により、本発明の効果を発揮せしめることとなる。
なお、本発明では、上記ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物に、プロピレンオキサイド1〜10モルを付加重合した以外のもの、例えば、ジグリセリンのプロピレンオキサイド付加物、または、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物などでは本発明の効果より劣ることとなり、目的の効果を発揮することができないものとなる。
本発明に用いることができる構造粘性付与材としては、例えば、微粉末シリカとアルミナとの混合物を用いたものが使用性、経時安定性の点から最も優れている。なお、上記微粉末シリカ(S)とアルミナ(A)の混合物の配合比は、重量比でS:Aが1:4〜9:1となるものが好ましい。
具体的な微粉末シリカとアルミナとの混合物としては、日本アエロジル社製のCOK84(S:A=5:1)等の市販品が挙げられる。
この構造粘性付与材の含有量は、可動栓全量に対して5〜10重量%含有されることが好ましい。この構造粘性付与材の含有量が5重量%未満であると、構造粘性が弱く、強い衝撃により逆流してしまう場合がある。また、10重量%を越えると、構造粘性が強くなり、早書きによってはインキの消費に伴う追従性が劣ってしまう場合もある。なお、これらの量のいずれの場合においても目的の親油性と吸湿性のバランスを阻害するものではない。
この実施形態における流動体塗布具の収容管10は、図1に示すように、先端に塗布部となるボールペン型のチップ12を備えると共に、後方にメチルシクロヘキサンを含有する流動体塗布液(修正液)30及び本発明の上記一般式(I)で示されるジグリセリンのエチレンオキサイド付加物にプロピレンオキサイドを付加重合したものを主成分とする可動栓32を収容したものであり、先端チップ12には押し棒11a、スプリング部材11b、ボール収納室12a、前端開口部12b、チップ本体12c、ボール12dからなる先端チップ構造体を有したものである。
図2は、図1に示したチップ構造を備えた塗布液収容管10を具備した加圧型のノック式流動体塗布具Aである。この流動体塗布具Aは、先端に塗布部となるボーペンチップ12と収容管10を備えたユニット14が、第1のスプリング16で後方に向けて弾発された状態で軸本体18内に装填されると共に、前記ユニット14のボールペンチップ12を、軸本体18の後端側に設けたノック機構20の押し出し操作及び押し出し解除操作に連動させて先端開口18aから出没可能となるものである。この流動体塗布具Aでは、前記ユニット14の流動体収容管10内の後部10rが開放され、軸本体18内には、該後部10rとノック機構20との間に収容管10内圧力を増加させる加圧機構22が設けられ、加圧機構22は、シール部24と前端開放の筒部26とシール部24及び筒部26を離隔させる方向に弾発させる第2のスプリング28とを有するものであり、前記ノック機構20の押し出し操作終了後に、軸本体18から突出したボールペンチップ12先端を押圧してユニット14を後退させた場合に、加圧機構22では前記シール部24が後退して相対的に筒部26が前進して内部加圧室40の内部空気を圧縮し、その圧縮された内部空気により逆止弁29を開きシール部24を通してリフィール10内を加圧するようになっている。また、加圧機構22は、ノック機構20の押し出し解除時における前記リフィールユニット14のボールペンチップ12のペン先の軸本体18内への没入状態でリフィール10内の加圧状態を解除するものである。
なお、塗布液収容管内に多量の流動体塗布液を収容すべく収容管の内径を大きくした場合(筆記具、修正液容器用途としては通常3mm以上)、そのままでは収容管を横向き、逆さにしたときにフォロアーの液面が切れる等の問題が発生してしまう場合がある。この場合は、上述の如く、可動栓を構造粘性を有するものとしたり、可動栓をスポンジ状連続多孔体に難揮発性液状物を含浸させたものとすることにより、流動体塗布液及び可動栓共々収容管内において安定して収容する流動体塗布具とすることができ、本発明の逆流防止構造としての品質を維持し、流動体塗布液の長期間の品質劣化を防止する効果、特に、高湿度下でも優れた経時安定性を有すると共に、優れた追従性を発揮せしめる流動体塗布具とすることができるものとなる。
図1に示すように、先端に、流出抑制機構としてボールペン型チップを具備した内径6mm、外径8mmのポリアミド製パイプ状の容器に、下記配合組成の流動体塗布液を約1.5g注入した。次いで、この流動体塗布液の末端部に接触状態で収容してなる下記各実施例及び各比較例により調製した可動栓を収容して各流動体塗布具(三菱鉛筆社製、CLN250)を作製した。
得られた各流動体塗布具を25℃、60%RHの環境試験室に入れ、1ケ月後の重量変化の測定と可動栓の外観状態を官能評価すると共に、下記方法により早書きによる可動栓の追従性、落下による可動栓の逆流性及び50℃での揮発減量を評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
下記成分を混合分散しゲル状の流動体Aを調製した。
・メチルシクロヘキサン 46部
・アクリル樹脂(N−ブチルメタクリレート、ブチルアクリリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、アゾビスブチロニトリルを重合したもの。数平均分子量41000) 12部
・二酸化チタン(KR−380N、チタン工業社製) 40部
・ゲル化剤(GP−1;N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ブチルアミド、味の素社製) 2部
筆記試験機にて4.2m/分の速度で筆記して下記評価基準により官能評価した。
評価基準:
◎:非常に良好な追従性を有する。
〇:良好な追従性を有する。
△:追従性がやや劣る。
×:追従性が劣る。
図1(a)の状態で、1.2mの高さからペン先を水平にして杉板上に落下させて下記評価基準により官能評価した。
評価基準:
◎:全く逆流することがない。
〇:わずかに逆硫した。
△:逆硫するが本体から垂れはない。
×:逆流して本体からの垂れてしまう。
図2の状態で、50℃のオーブンに入れ、1カ月後の重量の変化を揮発減量として測定した。
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(2モル)を付加重合したものからなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
〔実施例2〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(3モル)を付加重合したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例3〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(4モル)を付加重合したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例4〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(5モル)を付加重合したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(2モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカ(日本アエロジル社製、R972)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例6〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(3モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカ(日本アエロジル社製、R972)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例7〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(4モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカ(日本アエロジル社製、R972)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例8〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(5モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカ(日本アエロジル社製、R972)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(2モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカとアルミナとの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例10〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(3モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカとアルミナとの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例11〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(4モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカとアルミナとの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例12〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物にプロピレンオキサイド(5モル)を付加重合したもの95部に微粉末シリカとアルミナとの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
グリセリンからなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
〔比較例2〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド6モル付加物からなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
〔比較例3〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド6モル付加物にプロピレンオキサイド(2モル)を付加重合したものからなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
〔比較例4〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド6モル付加物にプロピレンオキサイド(3モル)を付加重合したものからなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
〔比較例5〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド6モル付加物にプロピレンオキサイド(4モル)を付加重合したものからなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
〔比較例6〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド6モル付加物にプロピレンオキサイド(5モル)を付加重合したものからなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
〔比較例7〕
ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物からなる可動栓を0.4g注入し、流動体塗布具を作製した。
これに対して、比較例を見ると、比較例1は、グリセリンからなる可動栓、比較例2〜6は、ジグリセリンのエチレンオキサイド6モル付加物にプロピレンオキサイドの各モル(2〜5モル)を付加重合した可動栓であり、比較例7は、ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物からなる可動栓であり、これらの本発明の範囲外なるものでは、本発明の効果を発揮できないことが判った。
10 収容管
30 流動体塗布液
32 可動栓
Claims (4)
- 請求項1記載の可動栓がジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物(s=w+x+y+z=13)にプロピレンオキサイド(付加モル数2〜5モル)を付加重合したものを主成分とすることを特徴とする流動体塗布具。
- 請求項1又は2記載の可動栓がシリカ及び/又はアルミナにより構造粘性を有することを特徴とする流動体塗布具。
- 請求項3記載の構造粘性を有する可動栓は、可動栓の全量に対して、シリカ及び/又はアルミナが5〜10重量%含有することを特徴とする流動体塗布具。
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