JP3923024B2 - 流動体塗布具 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールペンなどの筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等に用いられるボールペン型ペン先を備えた流動体塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ボールペンなどの筆記具や修正具、並びに、化粧具等の流動体塗布具は、塗布液収容管にインキや修正液、塗布液等を充填すると共に、落下衝撃などに対してインキや修正液、塗布液等の流動体塗布液の流出を防止するために該流動体塗布液の後方に、流動体塗布液と相溶しない難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容されると共に、これらの流動体塗布液及び末端可動栓が充填される流動体塗布液収容管の一端部には、塗布部の先端に転写ボールが組み込まれたボールペン型ペン先を取付けて、筆記や塗布を可能にしたものが一般的である。
【0003】
近年では、用いる流動体塗布液の組成や流動体塗布具の構造の改良に伴い、塗布部の先端に配置される転写ボールを、ボールペン型ペン先先端のボール抱持部の内縁に密接するように該転写ボールの背面をばねなどの弾性部材等で押し付けて、インキや塗布液等の流出を規制するようにしたものが知られている。
このように転写ボールを用いた弁機構を持つ流動体塗布具において、弁開放は塗布面に転写ボールを押し当てることによって行われる。更に、柔軟性のある塗布液収容管を備える流動体塗布具の場合には、該塗布液収容管本体を押圧して塗布液を流出するようにしたものが知られている。
【0004】
このような構造の流動体塗布具を製造する場合には、製造工程の一工程として、通常、塗布液収容管へ流動体塗布液及び末端可動栓を充填した後に塗布液収容管の一端部にチップ継手を介してボールペン型ペン先を差し込む方式や、塗布液収容管とボールペン型ペン先とを組み立てた後に流動体塗布液及び末端可動栓を注入する方式等が採用されている。この流動体塗布具の製造では、ボールペン型ペン先とチップ継手内に存在していた空気がインキや塗布液等の流動体塗布液と置換せずに残ってしまうことが多く、この残存空気による流路の閉塞を防止して良好な流動体塗布液の流出を発揮させるために、更に遠心分離機などの遠心力により残存空気を塗布液収容管の後部より排出させるなどの工程を経ることにより行われている。
このボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造される流動体塗布具にあっては、通常、塗布液収容管へ充填する流動体塗布液及び末端可動栓の各比重は流動体塗布液の比重>末端可動栓の比重の順で充填している。
【0005】
しかしながら、上記流動体塗布液の比重>末端可動栓の比重の順で充填した流動体塗布具を遠心分離機等によりボールペン型ペン先の内部の空気を取り除こうとすると、流動体塗布液と末端可動栓との接触状態が解かれて末端可動栓が追従できないものとなったりして、目的の流動体塗布具が得られないという課題がある。また、上記流動体塗布液の比重>末端可動栓の比重の順で充填した流動体塗布具を遠心分離機等によりボールペン型ペン先の内部の空気を取り除いて得られる流動体塗布具であっても、ボールペン型ペン先を上向きにして長期間保存等した場合には、流動体塗布液と末端可動栓とが逆転して目的の流動体塗布具が得られないという課題が生じている。
しかも、これらの課題は、本発明者らの知見によれば、流動体塗布液の配合組成が特に油性の場合、または、粘度が低い等の場合に生じることが多いものである。
【0006】
一方、ボールペン先を一端に取り付けたインキ収容管に、溶剤が水である水性インキと、この水性インキの逆流防止体とを充填してなるボールペンにおいて、前記水性インキはインキ全量に対して25重量%以上の酸化チタンを含むものであり、かつ、このインキと前記逆流防止体に用いている基材との比重差(インキの比重−基材の比重)が0.2以下であることを特徴とするボールペンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−156281号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載されるボールペンは、ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造されるか否か不明であり、該特許文献1には本願発明における課題の認識はなく、しかも、実施例1〜3の比重差(水性インキの比重−基材の比重)は順次0.16、0.14、0.16であり、本願発明とはその範囲も全く相違するものである。また、水性インキと逆流防止体に用いている基材との比重差を0.2以下と規定しているが、逆流防止体の粘度が低い場合、上向きに長期間放置した場合等には、未だインキと逆流防止体との逆転が生じたりする課題がある。更に、実施例等で用いている逆流防止体1〜5は、基材に増粘剤やゲル化剤が配合されたものであるにも拘わらず、増粘剤やゲル化剤の量、比重を考慮せずに、水性インキと逆流防止体の基材との比重差のみをもって検討しているため、実際上、水性インキと逆流防止体全体との比重差は判らず、逆転現象などがどの範囲の比重差で生じるかは不明なものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造される流動体塗布具においても、流動体塗布液と末端可動栓との接触状態が維持されて良好な末端可動栓としての機能を発揮すると共に、流動体塗布液と末端可動栓とが逆転せず本来の良好な筆記又は塗布ができる流動体塗布具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造される流動体塗布具において、塗布液収容管へ充填する流動体塗布液及び末端可動栓の比重差を特定の範囲にすることにより、上記目的の流動体塗布具が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 粘度が25℃、剪断速度400s-1において250mPa・s以下、剪断速度5s-1において1000mPa・s以上である流動体塗布液が充填されると共に、該流動体塗布液の後方には、流動体塗布液と相溶しない難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容された塗布液収容管を備え、該塗布液収容管の端部に流出制御機構を有するボールペン型ペン先を取り付けると共に、上記塗布液収容管後部より加圧し該流動体塗布液をボールペン型ペン先に充填させ、先端より流動体塗布液を流出させる工程、及び、該ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造される流動体塗布具であって、上記塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差が−0.1〜0.1であることを特徴とする流動体塗布具。
(2) 流動体塗布液がn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソへキサン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する油性流動体塗布液であることを特徴とする上記(1)に記載の流動体塗布具。
(3) 塗布液収容管がポリアミド樹脂から構成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の流動体塗布具。
(4) 塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差が−0.05〜0.05であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の流動体塗布具。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の流動体塗布具は、粘度が25℃、剪断速度400s-1において250mPa・s以下、剪断速度5s-1において1000mPa・s以上である流動体塗布液が充填されると共に、該流動体塗布液の後方には、流動体塗布液と相溶しない難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容された塗布液収容管を備え、該塗布液収容管の端部に流出制御機構を有するボールペン型ペン先を取り付けると共に、上記塗布液収容管後部より加圧し該流動体塗布液をボールペン型ペン先に充填させ、先端より流動体塗布液を流出させる工程、及び、該ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造される流動体塗布具であって、上記塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差が−0.1〜0.1であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明において、塗布液収容管に充填する流動体塗布液としては、例えば、カーボンブラックや二酸化チタン等の無機顔料や、有機顔料、樹脂顔料などの顔料類、油溶性染料などの染料類などの着色剤、有機溶媒、有機溶媒に可溶な増粘剤、バインダーとしての樹脂類、界面活性剤類、香料、並びに、筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等の流動体塗布液の用途に応じたその他の任意成分を適宜溶解もしくは分散させたものが使用される。
有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソへキサン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒が挙げられる。
これらの配合量については、例えば、流動体塗布液全量(100重量%)に対して、有機溶媒20〜85重量%、顔料等の着色剤10〜60重量%、樹脂類その他の成分が5〜30重量%程度の配合組成物とすることが望ましい。
また、上記流動体塗布液をそのまま使用してもよいが、上記流動体塗布液に微粉末シリカ、アルミナ、ジベンジルソルビトール、有機処理ベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸及びその誘導体、硬化ひまし油及びその誘導体、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミド、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの粘性付与剤を含有せしめてゲル状粘性体として使用してもよい。このゲル状粘性体とすることにより、流動体塗布液に重たい顔料(酸化チタン等)等の着色剤を配合してもこれらの沈降を抑制し易く、更に、紙等の被塗布体にインキや修正液の流動体塗布液を塗布した場合、構造粘性を有することにより被塗布体上での「にじみ」が抑制できることとなる。
【0013】
本発明において、流動体塗布液の粘度は、好ましくは、25℃において、剪断速度400s-1(=100rpm)の場合には、300mPa・s以下、剪断速度5s-1(=1rpm)の場合には300mPa・s以上の構造粘性を有することが望ましく、更に好ましくは、剪断速度400s-1において250mPa・s以下、剪断速度5s-1において1000mPa・s以上であることが望ましい。
流動体塗布液の粘度を上記の好ましい範囲に設定すること(剪断速度400s-1の場合に、300mPa・s以下、剪断速度5s-1の場合に300mPa・s以上の構造粘性を有すること)により、遠心分離工程での歩留まりの向上、店頭陳列での上向き長期保存又は下向き長期保存、更にこれらの交互の長期保存においても流動体塗布液と末端可動栓との位置の逆転現象もなく、保存性能の更なる向上、並びに筆記性能の更なる向上を発揮することができる。
なお、流動体塗布液の粘度調整は、筆記具、修正具、化粧具などの使用用途に応じて、顔料等の着色剤の粒子径、比重、配合組成、粘性付与剤等を調整することにより行うことができる。
【0014】
本発明において、塗布液収容管に充填する末端可動栓は、上記流動体塗布液と相溶しない難揮発性の液状物であり、上述の流動体塗布液に接触状態で収容されるものであり、流動体塗布液の消費につれて流動体塗布液に追従して移動し可動栓としての作用をなすものである。また、後述するように、流動体塗布液と末端可動栓との比重差は、−0.1〜0.1〔(流動体塗布液の比重−末端可動栓)=−0.1〜0.1〕に設定されるものである。
本発明における可動栓を形成する難揮発性の液状物としては、流動体塗布液と相溶せず、流動体の揮発を防止すること、自己揮発しにくいこと2つのの基本性能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物、ジグリセリンのアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
【0015】
本発明では、更に可動栓としての性能を向上させるため、すなわち、ペン先を上向きにしておいた場合の逆流防止のために微粉末のシリカ、アルミナ又はこれらの混合物やジベンジリデンソルビトール、有機処理ベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸及びその誘導体、硬化ひまし油及びその誘導体、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスといった構造粘性付与材を上記液状物に添加しゲル化させた状態での使用が望ましい。
本発明に用いることができる構造粘性付与材としては、例えば、微粉末シリカとアルミナとの混合物を用いたものが使用性、経時安定性の点から最も優れている。なお、上記微粉末シリカ(S)とアルミナ(A)の混合物を用いた場合の配合比は、重量比でS:Aが1:4〜9:1となるものが好ましい。具体的な微粉末シリカとアルミナとの混合物としては、日本アエロジル社製のCOK84等の市販品が挙げられる。
この構造粘性付与材の含有量は、可動栓全量に対して5〜20重量%含有されることが好ましい。
【0016】
更に、本発明では、上記した難揮発性の液状物を流動体塗布液の末端部にそのまま液層として接触した状態で収容して可動栓としてもよい。この時の液層の高さは20〜30mm程度となるようにすることが望ましい。その他に本発明の好ましい可動栓としては、難揮発性の液状物に前記した構造粘性付与材を添加してゲル状構造粘性体として流動体塗布液の末端部に接触した状態で収容する場合である。この場合の液層の高さは10〜15mm程度でよく、ゲル状構造粘性体の可動栓が流動体塗布液への移行が起こりにくくなり、逆流防止体としての品質を維持でき、流動体塗布液の長期間の品質劣化を防止する効果を発揮せしめることとなる。
【0017】
更に、本発明では、別の方法として、可動栓を構成する難揮発性の液状物を、ポリウレタンフォームのような連続気泡性発泡体に含浸させた状態で用いることができる。例えば、収容管の内径に近似して高さ10〜15mm程度の円柱状としてスポンジ状連続多孔体に含浸させたものを流動体塗布液の末端部に接触した状態で収容する。この場合は、収容管の内径の大小に関わりなく可動栓の耐衝撃性が高まり、スポンジ等の連続多孔体中で難揮発性の液状物の流動が抑制される。特に、可動栓が流動体塗布液へ移行することがなく物理的にも流動体塗布液とはさらに交わりにくくなり、逆流防止体としての品質を更に高めて維持でき、流動体塗布液の長期間の品質劣化を防止する効果を発揮せしめることとなる。
【0018】
本発明において、流動体塗布液及び末端可動栓を収容する塗布液収容管としては、耐久性を有し、流動体塗布液の残量が確認容易となる透明又は半透明の視認性を有するものであれば、特に限定されず、筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等の用途に応じた各種部材を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂などから構成される塗布液収容管が挙げられる。
特に、流動体塗布液がn−ヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの有機溶媒を含有する油性の流動体塗布液である場合には、耐溶剤性、ガスバリヤ性、継ぎ手とのシール性などに優れている点からポリアミド樹脂が好適である。具体的に用いることができるポリアミド樹脂としては、上記特性と共に更に視認性に優れるノバミット(三菱エンジニアリングプラスチック社製)、トロガミド(ダイセル・デグサ社製)、グリルアミド(EMS昭和電工社製)などが挙げられる。
なお、塗布液収容管の内径、長さなどのサイズは、筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等の用途に応じて好適なサイズが設定される。
【0019】
また、本発明において、塗布液収容管の端部に取り付けられる流出制御機構を有するボールペン型ペン先としては、従来より筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等に使用され、好適にペン先から流動体塗布液が流出できるものであれば、特に限定されるものではない。
このボールペン型ペン先の構造としては、通常の筆記具のボールペンチップ構造の他、例えば、先端に金属(ステンレス又はセラミック)製のボール及び金属(ステンレス又はセラミック)製のホルダーを有するチップからなり、ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接するようにボールの背面にスプリング部材からなる押圧手段により押圧が付与されてなる構造のものであっても良い。この押圧手段を内蔵したものでは、筆記等の際にはボールが沈み、ボールとボール抱持部との間にクリアランス部ができ、この際に収納管内の流動体塗布液がクリアランス部を通って適正な流出量で外部に流出して塗布することができるものとなる。筆記等の作業が終わると(通常の状態では)、押圧手段により、ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接して流動体塗布液は流出しない構造となるものである。
【0020】
本発明において、流動体塗布具の製造は、塗布液収容管に流動体塗布液と可動栓を充填し、ボールペン型ペン先を取り付け、次いで、前記塗布液収容管の後部より圧縮空気で加圧しつつ、先端部のペン先の転写ボールを紙面に押し当てて流動体塗布液をペン先のチップ内に充満させ、先端よりインクを流出させる。次いで、遠心分離によりチップ内の残存空気を排除することにより製造されるものである。ここで、上記遠心分離は、筆記具、修正具、化粧具などに応じて、その遠心分離力は相違するが、通常、3〜10000G、好ましくは、100〜5000Gの遠心力で、時間は1分〜1昼夜(24時間)とインキの粘性や比重などを考慮して幅広く利用できる。なお、上記遠心力Gは、G=1.119×回転数(回/分)2×半径(cm)×10-5である。
従って、本発明は、上述の如く、ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造されるものであるので、塗布液収容管に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重の差が大きいと、流動体塗布液と末端可動栓との接触状態が解かれて末端可動栓が追従できないものとなったり、また、上記遠心分離機等によりボールペン型ペン先の内部の空気を取り除いて得られる流動体塗布具であっても、ボールペン型ペン先を上向きにして長期間保存等した場合には、流動体塗布液と末端可動栓とが逆転して目的の流動体塗布具が得られないという製造上の課題及び製造後の課題を生じるため、塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差(流動体塗布液の比重−末端可動栓の比重)は、−0.1〜0.1とすることが必要であり、好ましくは、−0.05〜0.1、更に好ましくは、−0.05〜0.05とすることが望ましい。
【0021】
特に、上記比重差を−0.1〜0.1であると、流動体塗布液と末端可動栓との接触状態が良好に維持され、ボールペン型ペン先を上向きにして長期間保存等した場合においても、流動体塗布液と末端可動栓とが逆転せず、優れた筆記又は塗布性能を有する流動体塗布具が得られるものとなる。
この塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差が、−0.1〜0.1の範囲を外れるものであると、遠心分離において流動体塗布液と末端可動栓との接触状態が解かれたり、ペン先を上向きに長期間保存した場合に流動体塗布液と末端可動栓とが逆転して良好な流動体塗布具が得られないものとなり、好ましくない。
【0022】
本発明において、上記流動体塗布液と末端可動栓との比重差の調整は、例えば、流動体塗布液の場合は、酸化チタンなどの比重の重いものを中空樹脂などの比重の軽いものに置き換えたり、ミルベースと樹脂液の配合を微調整することで行うことができ、また、末端可動栓では、比重の異なる溶剤を混合したり、比重の重い成分を溶解することなどにより行うことができる。
【0023】
次に、本発明の具体的実施形態を、更に図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の具体的実施形態の一例を示すものであり、流動体塗布具のボールペン型ペン先の取付け部の構成を示す側面断面図、図2は流動体塗布具の部分縦断面図である。
本実施形態の流動体塗布具1は、図1及び図2に示すように、塗布液収容管4に直接流動体塗布液Aが充填され、該塗布液収容管4の先端部にボールペン用チップとなるペン先3を取付けたものである。
具体的に詳述すれば、この流動体塗布具1は、転写ボール2を採用したペン先3と塗布液収容管4とをチップ継手5により連結して筆記部を構成したものである。
【0024】
このボールペン型ペン先3は、図1に示すように、略円筒形状の外形を呈し、その先端部が尖塔状に形成されている。その先端部には平面視円状の開口部3aが形成され、該開口部3aは内蔵される転写ボール2の外径よりも小さい寸法で開口されている。また、前記先端部の内部には転写ボール2を抱持するボール抱持部3bが形成され、該ボール抱持部3bは先端側を前記開口部3aと連通するとともに後端側が塗布液通路3cと連通されている。
前記ボール抱持部3bの後方には該ボール抱持部3bと連通するとともにボールペン用チップ3の後端部に亘り塗布液通路3cが貫通形成されている。
前記ボール抱持部3bに配置された転写ボール2の後方には、該転写ボール2の背面より先端方向に付勢するボール押しピン6とコイルバネからなる弾性材7が配置されている。
前記チップ継手5は、一方端側が先細りテーパ状に形成され、その先端部には前記ボールペン用チップ3が嵌着される嵌合部5aが開口形成されるとともに、後端部に亘りインク通路5bが貫通形成されている。また、他方端側外周部には前記塗布液収容管4を嵌着固定するための塗布液収容管係止部5cが後方側を小径にして段付き形成されている。
【0025】
前記塗布液通路5bの内壁部には、前記弾性材7を係止するためのリブ8が内側に向かい突設されている。前記リブ8の軸心方向に沿って略中央部に、コイルばね7をガイドするとともに係止するためのばねストッパ部5dが段付き形成されている。
前記塗布収容管4は、略円筒状の透明なポリアミド樹脂から構成されるものであって、流動体塗布液Aと流動体塗布液Aの一方端に該流動体塗布液Aと追従する末端可動栓(フォロア)Bが充填されている。
【0026】
次に、本実施形態の流動体塗布具の製造は、まず、ボールペン用チップ3をチップ継手5に挿入する。次に、塗布液収容管4に上記比重差となる流動体塗布液Aと可動栓Bとを接触状態となるように充填してチップ継手5を差込み嵌合する。次いで、前記塗布液収容管4の後部より圧縮空気(大気圧+100〜500mmHg)で加圧しつつ、先端部の転写ボール2を紙面に押し当てて塗布液をチップ内に充満させ、先端よりインクを流出させる。次いで、遠心分離機(遠心力100〜5000G)により残存空気を排除する。このようにして、ボールペン用チップ3および継手5の内部の空気が排除されて塗布液で満たされ、目的の流動体塗布具が得られるものとなる。
なお、遠心分離により空気を排除する前、または、遠心分離と共に、ボールペン用チップ内の空気を加温によって膨張、または、減圧させてもよいものである。また、本発明の流動体塗布具の製造は、上記例示に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【0027】
このように構成される本発明では、塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差を−0.1〜0.1とすることにより、ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造される流動体塗布具であっても、流動体塗布液と末端可動栓との接触状態が維持されて良好な末端可動栓としての機能を発揮すると共に、ペン先に上向きに長期に保存した場合においても流動体塗布液と末端可動栓とが逆転せず本来の良好な筆記又は塗布ができる流動体塗布具を実現できるものとなる。
【0028】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何等限定されるものではない。以下に記載の「部」は重量部を意味する。
【0029】
〔実施例1〜7及び比較例1〜3〕
下記表1に示される配合組成、粘度の流動体塗布液(流動体A1〜A5)をビーズミルにより調製した。また、下記表2に示される配合組成の末端可動栓(B1〜B5)を三本ロールにより調製した。なお、粘度は、ヴィスコメーターTY−20(トキメック社製)により測定し、また、比重は、比重瓶により測定した。
上記で得た各流動体塗布液(流動体A1〜A5)及び各末端可動栓(B1〜B5)を用いて下記表3に示す組合わせ及び下記方法により各流動体塗布具を作製した。
【0030】
(各流動体塗布具の作製法)
図1に示すように、先端に、流出抑制機構としてボールペン型ペン先(ボール径1.0mm、ボール材質:超硬)を具備した内径4mm、長さ100mm、厚さ1.0mmの視認性を有するポリアミド樹脂(トロガミド、ダイセル・デグサ社製)からなるパイプ状の容器に、上記表1に示される配合組成、粘度の流動体塗布液(流動体A1〜A5)を約1g注入した。次いで、この流動体塗布液(流動体A1〜A5)の末端部に接触状態で収容してなる上記表2に示される配合組成及び粘度の末端可動栓(B1〜B5)0.2gを収容して各流動体塗布具を得た。
得られた各流動体塗布具の後部より圧縮空気(大気圧+250mmHg)で加圧しつつ、先端部の転写ボールを紙面に押し当てて塗布液をチップ内に充満させ、先端より塗布液を流出させた。次いで、遠心分離機(遠心力300G)により残存空気を排除して各流動体塗布具を作製した。
【0031】
得られた各流動体塗布具について、下記評価方法により、流動体塗布液と末端可動栓の経時的変化(評価1〜3)を評価した。
これらの結果を下記表3に示す。
【0032】
〔流動体塗布液と末端可動栓の経時的変化(評価1〜3)の評価方法〕
遠心分離後の流動体塗布液と末端可動栓との接触状態(評価1)、並びに、ペン先を上向きに長期保存及び下向きに長期保存(共に25℃、60%の環境室で12ヶ月放置)した場合の流動体塗布液と末端可動栓の経時的変化(評価2:上向き長期保存、評価3:下向き長期保存)を下記評価基準で評価した。
評価基準:
〇:流動体塗布液と末端可動栓は逆転していない。
△:末端可動栓の一部が流動体塗布液の中に潜り込んでいる。
×:末端可動栓と流動体塗布液とが逆転している。
【0033】
【表1】
Figure 0003923024
【0034】
【表2】
Figure 0003923024
【0035】
【表3】
Figure 0003923024
【0036】
上記表1〜3の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜7は、本発明の範囲外となる比較例1〜3に較べて、遠心分離の際の流動体塗布液と末端可動船との接触状態が良好であり、ペン先を下向き又は上向きに長期保存した場合の流動体塗布液と末端可動栓とは逆転せず、優れた流動体塗布具となることが判明した。
なお、本実施例では二酸化チタンを色材とした白色流動体塗布具を例にとって説明したが、本発明では、カーボンブラック、赤・青等の染料・顔料で着色した流動体であっても何ら機能に差し支えはなく、本発明の目的の作用効果を発揮せしめるものである。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、流動体塗布液と末端可動栓との接触状態が維持されて良好な末端可動栓としての機能を発揮すると共に、流動体塗布液と末端可動栓とが逆転せず本来の良好な筆記又は塗布ができる流動体塗布具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る流動体塗布具のボールペン型ペン先の構成を示す側面断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る流動体塗布具の部分縦断断面図である。
【符号の説明】
1 流動体塗布具
2 転写ボール
3 チップ
3a 開口部
3b ボール抱持部
3c 塗布液通路
4 塗布液収容管
5 チップ継手

Claims (4)

  1. 粘度が25℃、剪断速度400s-1において250mPa・s以下、剪断速度5s-1において1000mPa・s以上である流動体塗布液が充填されると共に、該流動体塗布液の後方には、流動体塗布液と相溶しない難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容された塗布液収容管を備え、該塗布液収容管の端部に流出制御機構を有するボールペン型ペン先を取り付けると共に、上記塗布液収容管後部より加圧し該流動体塗布液をボールペン型ペン先に充填させ、先端より流動体塗布液を流出させる工程、及び、該ボールペン型ペン先の内部の空気を遠心力により取り除く工程を経て製造される流動体塗布具であって、上記塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差が−0.1〜0.1であることを特徴とする流動体塗布具。
  2. 流動体塗布液がn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソへキサン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する油性流動体塗布液であることを特徴とする請求項1に記載の流動体塗布具。
  3. 塗布液収容管がポリアミド樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流動体塗布具。
  4. 塗布液収容管内に充填される流動体塗布液と末端可動栓との比重差が−0.05〜0.05であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の流動体塗布具。
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