JP2004262196A - 修正ペン用リフィール - Google Patents
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Abstract
【課題】耐溶媒性に優れ、かつ使用時及び経時的に内容物である修正液とその残量が容易に視認可能となる修正ペン用リフィールを提供する。
【解決手段】少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィール10であって、該修正ペン用リフィール10がエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)の成形体から構成されていることを特徴とする修正ペン用リフィール。
好ましくは、エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合比率が20〜60mol%の範囲となるものが望ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィール10であって、該修正ペン用リフィール10がエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)の成形体から構成されていることを特徴とする修正ペン用リフィール。
好ましくは、エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合比率が20〜60mol%の範囲となるものが望ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、修正液を収容してなる修正ペン用リフィールに関し、更に詳しくは、耐溶媒性、視認性(クリアドレイン性)に優れた修正ペン用リフィールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題から、修正液を収容する修正液収容部材は、所謂リフィーラブル化が望まれている。修正液収容部材をリフィーラブル化する場合には、修正液の主溶媒であるシクロへキサンは揮発性が高いので、耐溶媒性を有する材質を選択する必要があり、また、修正液の残量の確認ができる透明性を有する材質を選択する必要があるものである。
【0003】
従来において、修正ペン用の修正液収容部材としては、ポリエチレンやポリプロピレンに対して、耐溶媒性が強く、使用する溶媒による膨潤や修正液の透過減量を抑制するために、ナイロン樹脂を押し出し成形、ブロー成形、射出成形によって形成したものや(例えば、特許文献1参照)、ナイロン12から形成したものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−65351号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開2002−67585号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0005】
しかしながら、これらの文献1及び2に記載されるナイロン12などの脂肪族系モノマーよりなるポリアミド樹脂の成形体では、その透明性、耐溶媒性、耐溶媒透過性が未だ十分でなく、また、塗布により修正液が消費されても修正液が収容部材の内壁面に付着し、下方に行かず、残量の確認が正確に視認できないという課題を有すると共に、充填した修正液を全部使用することは困難であるという課題を未だ有するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、揮発性の高いメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールにおいて、耐溶媒性に優れると共に、使用時及び経時的に内容物である修正液とその残量が容易に視認可能となる透明性、視認性に優れる修正ペン用リフィールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールを特定物性の樹脂成形体から構成することによって、上記目的の修正ペン用リフィールが得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の修正ペン用リフィールは、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールであって、該修正ペン用リフィールがエチレン・ビニルアルコール共重合体の成形体から構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の修正ペン用リフィールは、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールであって、該修正ペン用リフィールがエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)の成形体から構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
図1は、本発明における修正ペン用リフィールの実施形態の一例を示すものである。この修正ペン用リフィール10内には、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液30が収容されると共に、該修正液30の後端部に修正液追従体(フォロア)32が接触状態で配置されている。また、修正ペン用リフィール10の先端部には継手(部材)11を介して塗布(筆記)部となるボールペンチップ12が装着されてリフィールユニットとなっている。
図2は、本発明における修正ペン用リフィールの実施形態の他例を示すものであり、図2(a)はその部分縦断面図、(b)はA−A線断面図、(c)はB部の拡大縦断面図である。
この修正ペン用リフィール15は、図2に示すように継手(部材)まで一体に成形したものである。この修正ペン用リフィール15内にも、図示しないが、上述の如く、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液が収容されると共に、該修正液の後端部に修正液追従体(フォロア)が接触状態で配置されている。
【0010】
この修正ペン用リフィール10又は15は、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)の成形体から構成されるものである。
本発明に用いるエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、溶媒バリア、修正液の視認性、成形性の点から、エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合比率が20〜60mol%の範囲となるものが望ましい。
このEVOHのエチレン共重合比率(エチレンモル比率)が20〜60mol%の範囲にあるものとしては、例えば、EP−FlOl(エチレン共重合比率32mol%、クラレ社製)、EP−H101(エチレン共重合比率38mol%、クラレ社製)、EP−E105(エチレン共重合比率44mol%、クラレ社製)、EP−G156(エチレン共重合比率47mol%、クラレ社製)、ソアノールD2908(エチレン共重合比率29mol%、日本合成化学社製)、ソアノールD3203(エチレン共重合比率32mol%、日本合成化学社製)、ソアノールD2903(エチレン共重合比率29mol%、日本合成化学社製)、ソアノールD3808(エチレン共重合比率38mol%、日本合成化学社製)、ソアノールET3803(エチレン共重合比率38mol%、日本合成化学社製)、ソアノールA4412(エチレン共重合比率44mol%、日本合成化学社製)、ソアノールAT4403(エチレン共重合比率44mol%、日本合成化学社製)等を挙げることができる。
【0011】
本発明となる修正ペン用リフィール10又は15、上述のEVOHを押出成形、射出成形、ブロー成形等により容易に得られるものである。
本発明となる修正ペン用リフィール10の肉厚(厚さ)は、修正ペンの構造、修正液種等により、変動するものであるが、好ましくは、0.1〜3.0mm、更に好ましくは、0.2〜1.5mmとすることが望ましい。
上記肉厚が0.1mm未満であると、機械的強度の点で劣ることとなり、また、3.0mmを越えると、透明性が悪くなり、修正液の視認性が悪くなり、好ましくない。
【0012】
本発明において、修正ペン用リフィール10又は15内に収容する修正液30としては、従来より用いられている修正液の組成であれば、特に限定されるものでないが、例えば、二酸化チタン等の隠蔽剤と、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒(溶媒中に50重量%以上)とする有機溶媒、該有機溶媒に可溶な増粘剤、バインダーとしての樹脂類、界面活性剤類、その他の任意成分を適宜溶解もしくは分散させた修正液が使用される。
上記メチルシクロへキサン以外に用いることができる溶媒としては、n−ヘキサン、n−へブタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロへキサン、エチルシクロへキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記修正液の各成分の含有量としては、例えば、修正液全量(100重量%)に対して、有機溶媒20〜85重量%、隠蔽剤10〜60重量%、樹脂類その他の成分が5〜30重量%程度の組成物とすることが望ましい。
【0013】
また、上記修正液をそのまま使用してもよいが、上記修正液に微粉末シリカ、アルミナ、ジベンジルソルビトール、有機処理ベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸及びその誘導体、硬化ひまし油及びその誘導体、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミド、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの粘性付与剤を修正液全量に対して、0.1〜10重量%程度含有せしめてゲル状修正液(粘性体)として使用してもよい。このゲル状修正液インキとすることにより、更に撹拌不要となり、酸化チタンの沈降を抑制し易く、更に、紙等の被塗布体に修正液を塗布した場合、構造粘性を有することにより被塗布体上での「にじみ」が更に抑制できることとなる。
【0014】
本発明において、修正液30の後端部に接触状態で配置する修正液追従体(フォロア)32としては、修正液30と相溶しない難揮発性の液状物であり、上述の修正液の後端部に接触状態で収容配置されるものであり、修正液の消費につれて修正液に追従して移動し可動栓としての作用をなすものである。
この修正液追従体32を形成する難揮発性の液状物としては、修正液と相溶せず、修正液の揮発を防止すること、自己揮発しにくいこと2つの基本性能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物、ジグリセリンのアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
更に、修正液追従体32としての性能を更に向上させるため、微粉末のシリカ、アルミナ又はこれらの混合物やジベンジリデンソルビトールといった構造粘性付与材を上記液状物に添加しゲル化させた状態として良いものである。
【0015】
塗布(筆記)部としては、修正液の好適な量を吐出できる構造であれば特に限定されないが、例えば、図1に示すように、先端に金属(ステンレス又はセラミック)製のボール及び金属(ステンレス又はセラミック)製のホルダーを有するボールペンチップ12からなり、ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接するようにボールの背面にスプリング部材からなる押圧手段により押圧が付与されてなる構造のものが挙げられる。この押圧手段を内蔵したものでは、塗布等の際にはボールが沈み、ボールとボール抱持部との間にクリアランス部ができ、この際にリフィール10又は15内の修正液がクリアランス部を通って適正な流出量で外部に流出して塗布することができるものとなる。塗布作業が終わると(通常の状態では)、押圧手段により、ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接して修正液は流出しない構造となるものである。
【0016】
本発明の修正ペン用リフィールは、従来のボールペン形式と同様に、本体部(軸体)に継手(先軸)部材を螺合等により着脱自在とした修正ペン、または、本願出願人による特開平2000−335173号記載の加圧ポンピング機構を備えたノック式のボールペン型修正ペン、更に、図3〜図4に示すような加圧機構を有する本体部に着脱着自在とした加圧型の修正ペンとして使用に供される。
【0017】
この図3及び図4に示す加圧型の流動体塗布具の構成等を簡単に説明すると、先端にボーペンチップ(塗布部の例)12と後方に本発明となる修正ペン用リフィール10を備えたリフィールユニット14が、第1のスプリング16で後方に向けて弾発された状態で軸本体18内に装填されると共に、前記リフィールユニット14のボールペンチップ12を、軸本体18の後端側に設けたノック機構20の押し出し操作及び押し出し解除操作に連動させて先端開口18aから出没可能となる流動体塗布具であって、前記リフィールユニット14の流動体収容管10内の後部10rが開放され、軸本体18内には、該後部10rとノック機構20との間にリフィール10内圧力を増加させる加圧機構22が設けられ、加圧機構22は、シール部24と前端開放の筒部26とシール部24及び筒部26を離隔させる方向に弾発させる第2のスプリング28とを有するものであり、前記ノック機構20の押し出し操作終了後に、軸本体18から突出したボールペンチップ12先端を押圧してリフィールユニット14を後退させた場合に、加圧機構22では前記シール部24が後退して相対的に筒部26が前進して内部加圧室の内部空気を圧縮し、その圧縮された内部空気により逆止弁29を開きシール部24を通してリフィール10内を加圧するようになっている。なお、図示符号30は、修正液であり、32は修正液30に追従するフォロア32である。
【0018】
このように構成されると共に、使用に供される本発明の修正ペン用リフィールでは、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールをEVOHの成形体から構成することにより、耐溶媒性に優れ、かつ使用時及び経時的に内容物である修正液とその残量が容易に視認可能となる。
【0019】
本発明の修正ペン用リフィールは、上述の如く構成されるものであり、リフィールの構成に特徴を有するものであるので、リフィール以外の構造となる修正液、修正液追従体、塗布部(ボールペンチップ等)、修正ペンの構造などは上記各実施形態のものが好ましいが、特に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることができるものである。
【0020】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何等限定されるものではない。
【0021】
〔実施例1〜5及び比較例1〜2〕
下記記載の樹脂を用いて各方法により各修正ペン用リフィールを作製した。
(実施例1)
EP−F101(エチレンモル比率32mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(実施例2)
EP−H101(エチレンモル比率38mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(実施例3)
EP−E105(エチレンモル比率44mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
【0022】
(実施例4)
EP−G101(エチレンモル比率47mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(実施例5)
ソアノールD2908(エチレンモル比率29mol%、日本合成化学社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
【0023】
(比較例1)
ナイロン12をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(比較例2)
ナイロン11をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
【0024】
上記で得られた各修正ペン用リフィールに、下記に示される配合組成、粘度の修正液を約1.5g注入した。次いで、この修正液の末端部に接触状態で配置されるように下記配合組成及び粘度の追従体0.4gを収容して各修正ペンを得た。
(修正液の配合組成)
・メチルシクロへキサン 40部
・アクリル樹脂 10部
・二酸化チタン 49部
・粉末シリカ 1部
(修正液追従体の配合組成)
・ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物 95部
・微粉末シリカ 5部
この修正液の粘度(25℃)を粘度計(東機産業社製)により測定したところ、1rpmで5000mP・sであり、修正液追従体の粘度(25℃)は、1rpmで10,000mP・sであった。
【0025】
得られた各修正ペンについて、下記評価方法により、耐溶媒性及びクリアドレイン性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0026】
(耐溶媒性の評価方法)
上記で得た修正ペンを25℃、65%RHの環境試験室にて、1ケ月間放置した後の耐溶媒性を目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
〇:リフィールは全く変化なし
△:リフィールにやや変化あり
×:リフィールに変化あり
【0027】
(クリアドレインの評価方法)
上記で得た修正ペンを50℃、65%RHの環境試験室にて、1ケ月間放置した後のクリアドレイン性を目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
〇:リフィールは全く変化がなく、明瞭であり、容易に残量の確認ができる。
△:リフィールにやや変化があり、また、若干不明瞭となり、残量の確認がやっとできる状態である。
×:リフィールに変化があり、また、不明瞭となり、残量の確認ができない状態である。
【0028】
【表1】
【0029】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べて、耐溶媒性及びクリアドレイン性に優れていることが判明した。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、耐溶媒性に優れ、かつ使用時及び経時的に内容物である修正液とその残量が容易に視認可能となる修正ペン用リフィールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の修正ペン用リフィールの実施形態の一例を示すものであり、修正ペン用リフィールにボールペンチップを取り付けた状態(リフィールユニット)を示す縦断面図である。
【図2】本発明における修正ペン用リフィールの実施形態の他例を示すものであり、(a)はその部分縦断面図、(b)はA−A線断面図、(c)はB部の拡大縦断面図である。
【図3】図2に準拠する修正ペン用リフィールを用いた修正ペンの一例を示すものであり、修正ペンの作動時(筆記時)の説明図である。
【図4】図3の修正ペンの非作動時(非筆記時)の説明図である。
【符号の説明】
10 修正ペン用リフィール
12 ボールペンチップ
14 リフィールユニット
16 第1のスプリング
18 軸本体
【発明の属する技術分野】
本発明は、修正液を収容してなる修正ペン用リフィールに関し、更に詳しくは、耐溶媒性、視認性(クリアドレイン性)に優れた修正ペン用リフィールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題から、修正液を収容する修正液収容部材は、所謂リフィーラブル化が望まれている。修正液収容部材をリフィーラブル化する場合には、修正液の主溶媒であるシクロへキサンは揮発性が高いので、耐溶媒性を有する材質を選択する必要があり、また、修正液の残量の確認ができる透明性を有する材質を選択する必要があるものである。
【0003】
従来において、修正ペン用の修正液収容部材としては、ポリエチレンやポリプロピレンに対して、耐溶媒性が強く、使用する溶媒による膨潤や修正液の透過減量を抑制するために、ナイロン樹脂を押し出し成形、ブロー成形、射出成形によって形成したものや(例えば、特許文献1参照)、ナイロン12から形成したものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−65351号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開2002−67585号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【0005】
しかしながら、これらの文献1及び2に記載されるナイロン12などの脂肪族系モノマーよりなるポリアミド樹脂の成形体では、その透明性、耐溶媒性、耐溶媒透過性が未だ十分でなく、また、塗布により修正液が消費されても修正液が収容部材の内壁面に付着し、下方に行かず、残量の確認が正確に視認できないという課題を有すると共に、充填した修正液を全部使用することは困難であるという課題を未だ有するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、揮発性の高いメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールにおいて、耐溶媒性に優れると共に、使用時及び経時的に内容物である修正液とその残量が容易に視認可能となる透明性、視認性に優れる修正ペン用リフィールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールを特定物性の樹脂成形体から構成することによって、上記目的の修正ペン用リフィールが得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の修正ペン用リフィールは、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールであって、該修正ペン用リフィールがエチレン・ビニルアルコール共重合体の成形体から構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の修正ペン用リフィールは、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールであって、該修正ペン用リフィールがエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)の成形体から構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
図1は、本発明における修正ペン用リフィールの実施形態の一例を示すものである。この修正ペン用リフィール10内には、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液30が収容されると共に、該修正液30の後端部に修正液追従体(フォロア)32が接触状態で配置されている。また、修正ペン用リフィール10の先端部には継手(部材)11を介して塗布(筆記)部となるボールペンチップ12が装着されてリフィールユニットとなっている。
図2は、本発明における修正ペン用リフィールの実施形態の他例を示すものであり、図2(a)はその部分縦断面図、(b)はA−A線断面図、(c)はB部の拡大縦断面図である。
この修正ペン用リフィール15は、図2に示すように継手(部材)まで一体に成形したものである。この修正ペン用リフィール15内にも、図示しないが、上述の如く、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液が収容されると共に、該修正液の後端部に修正液追従体(フォロア)が接触状態で配置されている。
【0010】
この修正ペン用リフィール10又は15は、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)の成形体から構成されるものである。
本発明に用いるエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、溶媒バリア、修正液の視認性、成形性の点から、エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合比率が20〜60mol%の範囲となるものが望ましい。
このEVOHのエチレン共重合比率(エチレンモル比率)が20〜60mol%の範囲にあるものとしては、例えば、EP−FlOl(エチレン共重合比率32mol%、クラレ社製)、EP−H101(エチレン共重合比率38mol%、クラレ社製)、EP−E105(エチレン共重合比率44mol%、クラレ社製)、EP−G156(エチレン共重合比率47mol%、クラレ社製)、ソアノールD2908(エチレン共重合比率29mol%、日本合成化学社製)、ソアノールD3203(エチレン共重合比率32mol%、日本合成化学社製)、ソアノールD2903(エチレン共重合比率29mol%、日本合成化学社製)、ソアノールD3808(エチレン共重合比率38mol%、日本合成化学社製)、ソアノールET3803(エチレン共重合比率38mol%、日本合成化学社製)、ソアノールA4412(エチレン共重合比率44mol%、日本合成化学社製)、ソアノールAT4403(エチレン共重合比率44mol%、日本合成化学社製)等を挙げることができる。
【0011】
本発明となる修正ペン用リフィール10又は15、上述のEVOHを押出成形、射出成形、ブロー成形等により容易に得られるものである。
本発明となる修正ペン用リフィール10の肉厚(厚さ)は、修正ペンの構造、修正液種等により、変動するものであるが、好ましくは、0.1〜3.0mm、更に好ましくは、0.2〜1.5mmとすることが望ましい。
上記肉厚が0.1mm未満であると、機械的強度の点で劣ることとなり、また、3.0mmを越えると、透明性が悪くなり、修正液の視認性が悪くなり、好ましくない。
【0012】
本発明において、修正ペン用リフィール10又は15内に収容する修正液30としては、従来より用いられている修正液の組成であれば、特に限定されるものでないが、例えば、二酸化チタン等の隠蔽剤と、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒(溶媒中に50重量%以上)とする有機溶媒、該有機溶媒に可溶な増粘剤、バインダーとしての樹脂類、界面活性剤類、その他の任意成分を適宜溶解もしくは分散させた修正液が使用される。
上記メチルシクロへキサン以外に用いることができる溶媒としては、n−ヘキサン、n−へブタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロへキサン、エチルシクロへキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記修正液の各成分の含有量としては、例えば、修正液全量(100重量%)に対して、有機溶媒20〜85重量%、隠蔽剤10〜60重量%、樹脂類その他の成分が5〜30重量%程度の組成物とすることが望ましい。
【0013】
また、上記修正液をそのまま使用してもよいが、上記修正液に微粉末シリカ、アルミナ、ジベンジルソルビトール、有機処理ベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸及びその誘導体、硬化ひまし油及びその誘導体、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミド、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの粘性付与剤を修正液全量に対して、0.1〜10重量%程度含有せしめてゲル状修正液(粘性体)として使用してもよい。このゲル状修正液インキとすることにより、更に撹拌不要となり、酸化チタンの沈降を抑制し易く、更に、紙等の被塗布体に修正液を塗布した場合、構造粘性を有することにより被塗布体上での「にじみ」が更に抑制できることとなる。
【0014】
本発明において、修正液30の後端部に接触状態で配置する修正液追従体(フォロア)32としては、修正液30と相溶しない難揮発性の液状物であり、上述の修正液の後端部に接触状態で収容配置されるものであり、修正液の消費につれて修正液に追従して移動し可動栓としての作用をなすものである。
この修正液追従体32を形成する難揮発性の液状物としては、修正液と相溶せず、修正液の揮発を防止すること、自己揮発しにくいこと2つの基本性能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物、ジグリセリンのアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
更に、修正液追従体32としての性能を更に向上させるため、微粉末のシリカ、アルミナ又はこれらの混合物やジベンジリデンソルビトールといった構造粘性付与材を上記液状物に添加しゲル化させた状態として良いものである。
【0015】
塗布(筆記)部としては、修正液の好適な量を吐出できる構造であれば特に限定されないが、例えば、図1に示すように、先端に金属(ステンレス又はセラミック)製のボール及び金属(ステンレス又はセラミック)製のホルダーを有するボールペンチップ12からなり、ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接するようにボールの背面にスプリング部材からなる押圧手段により押圧が付与されてなる構造のものが挙げられる。この押圧手段を内蔵したものでは、塗布等の際にはボールが沈み、ボールとボール抱持部との間にクリアランス部ができ、この際にリフィール10又は15内の修正液がクリアランス部を通って適正な流出量で外部に流出して塗布することができるものとなる。塗布作業が終わると(通常の状態では)、押圧手段により、ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接して修正液は流出しない構造となるものである。
【0016】
本発明の修正ペン用リフィールは、従来のボールペン形式と同様に、本体部(軸体)に継手(先軸)部材を螺合等により着脱自在とした修正ペン、または、本願出願人による特開平2000−335173号記載の加圧ポンピング機構を備えたノック式のボールペン型修正ペン、更に、図3〜図4に示すような加圧機構を有する本体部に着脱着自在とした加圧型の修正ペンとして使用に供される。
【0017】
この図3及び図4に示す加圧型の流動体塗布具の構成等を簡単に説明すると、先端にボーペンチップ(塗布部の例)12と後方に本発明となる修正ペン用リフィール10を備えたリフィールユニット14が、第1のスプリング16で後方に向けて弾発された状態で軸本体18内に装填されると共に、前記リフィールユニット14のボールペンチップ12を、軸本体18の後端側に設けたノック機構20の押し出し操作及び押し出し解除操作に連動させて先端開口18aから出没可能となる流動体塗布具であって、前記リフィールユニット14の流動体収容管10内の後部10rが開放され、軸本体18内には、該後部10rとノック機構20との間にリフィール10内圧力を増加させる加圧機構22が設けられ、加圧機構22は、シール部24と前端開放の筒部26とシール部24及び筒部26を離隔させる方向に弾発させる第2のスプリング28とを有するものであり、前記ノック機構20の押し出し操作終了後に、軸本体18から突出したボールペンチップ12先端を押圧してリフィールユニット14を後退させた場合に、加圧機構22では前記シール部24が後退して相対的に筒部26が前進して内部加圧室の内部空気を圧縮し、その圧縮された内部空気により逆止弁29を開きシール部24を通してリフィール10内を加圧するようになっている。なお、図示符号30は、修正液であり、32は修正液30に追従するフォロア32である。
【0018】
このように構成されると共に、使用に供される本発明の修正ペン用リフィールでは、少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールをEVOHの成形体から構成することにより、耐溶媒性に優れ、かつ使用時及び経時的に内容物である修正液とその残量が容易に視認可能となる。
【0019】
本発明の修正ペン用リフィールは、上述の如く構成されるものであり、リフィールの構成に特徴を有するものであるので、リフィール以外の構造となる修正液、修正液追従体、塗布部(ボールペンチップ等)、修正ペンの構造などは上記各実施形態のものが好ましいが、特に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることができるものである。
【0020】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何等限定されるものではない。
【0021】
〔実施例1〜5及び比較例1〜2〕
下記記載の樹脂を用いて各方法により各修正ペン用リフィールを作製した。
(実施例1)
EP−F101(エチレンモル比率32mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(実施例2)
EP−H101(エチレンモル比率38mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(実施例3)
EP−E105(エチレンモル比率44mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
【0022】
(実施例4)
EP−G101(エチレンモル比率47mol%、クラレ社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(実施例5)
ソアノールD2908(エチレンモル比率29mol%、日本合成化学社製)をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
【0023】
(比較例1)
ナイロン12をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
(比較例2)
ナイロン11をチューブ状に外径8mm、内径6mm、肉厚(厚さ)1mmとなるように、押し出し成形にて長さ70mmの修正ペン用リフィールを得た。
【0024】
上記で得られた各修正ペン用リフィールに、下記に示される配合組成、粘度の修正液を約1.5g注入した。次いで、この修正液の末端部に接触状態で配置されるように下記配合組成及び粘度の追従体0.4gを収容して各修正ペンを得た。
(修正液の配合組成)
・メチルシクロへキサン 40部
・アクリル樹脂 10部
・二酸化チタン 49部
・粉末シリカ 1部
(修正液追従体の配合組成)
・ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物 95部
・微粉末シリカ 5部
この修正液の粘度(25℃)を粘度計(東機産業社製)により測定したところ、1rpmで5000mP・sであり、修正液追従体の粘度(25℃)は、1rpmで10,000mP・sであった。
【0025】
得られた各修正ペンについて、下記評価方法により、耐溶媒性及びクリアドレイン性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0026】
(耐溶媒性の評価方法)
上記で得た修正ペンを25℃、65%RHの環境試験室にて、1ケ月間放置した後の耐溶媒性を目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
〇:リフィールは全く変化なし
△:リフィールにやや変化あり
×:リフィールに変化あり
【0027】
(クリアドレインの評価方法)
上記で得た修正ペンを50℃、65%RHの環境試験室にて、1ケ月間放置した後のクリアドレイン性を目視により、下記評価基準で評価した。
評価基準:
〇:リフィールは全く変化がなく、明瞭であり、容易に残量の確認ができる。
△:リフィールにやや変化があり、また、若干不明瞭となり、残量の確認がやっとできる状態である。
×:リフィールに変化があり、また、不明瞭となり、残量の確認ができない状態である。
【0028】
【表1】
【0029】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べて、耐溶媒性及びクリアドレイン性に優れていることが判明した。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、耐溶媒性に優れ、かつ使用時及び経時的に内容物である修正液とその残量が容易に視認可能となる修正ペン用リフィールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の修正ペン用リフィールの実施形態の一例を示すものであり、修正ペン用リフィールにボールペンチップを取り付けた状態(リフィールユニット)を示す縦断面図である。
【図2】本発明における修正ペン用リフィールの実施形態の他例を示すものであり、(a)はその部分縦断面図、(b)はA−A線断面図、(c)はB部の拡大縦断面図である。
【図3】図2に準拠する修正ペン用リフィールを用いた修正ペンの一例を示すものであり、修正ペンの作動時(筆記時)の説明図である。
【図4】図3の修正ペンの非作動時(非筆記時)の説明図である。
【符号の説明】
10 修正ペン用リフィール
12 ボールペンチップ
14 リフィールユニット
16 第1のスプリング
18 軸本体
Claims (1)
- 少なくともメチルシクロへキサンを主溶媒とする修正液を収容してなる修正ペン用リフィールであって、該修正ペン用リフィールがエチレン・ビニルアルコール共重合体の成形体から構成されていることを特徴とする修正ペン用リフィール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003057289A JP2004262196A (ja) | 2003-03-04 | 2003-03-04 | 修正ペン用リフィール |
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ID=33120752
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016203300A (ja) * | 2015-04-21 | 2016-12-08 | 株式会社サクラクレパス | マーキング機能付き工具 |
-
2003
- 2003-03-04 JP JP2003057289A patent/JP2004262196A/ja not_active Withdrawn
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