JP4640749B2 - 流動体塗布具 - Google Patents
流動体塗布具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4640749B2 JP4640749B2 JP2001224505A JP2001224505A JP4640749B2 JP 4640749 B2 JP4640749 B2 JP 4640749B2 JP 2001224505 A JP2001224505 A JP 2001224505A JP 2001224505 A JP2001224505 A JP 2001224505A JP 4640749 B2 JP4640749 B2 JP 4640749B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fluid
- movable stopper
- applicator
- diglycerin
- propylene oxide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Pens And Brushes (AREA)
- Coating Apparatus (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動体塗布具に関し、更に詳しくは、サインペン、ボールペンを含めた筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等に用いられる流動体塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、流動体の飛散防止、揮発防止のために、流動体を収容したパイプ状容器内の流動体末端部に液状の可動栓を生のまま具備したボールペン等の塗布具が広く知られている。
【0003】
しかしながら、上記従来の流動体塗布具の液状可動栓としては、鉱物油、シリコーンオイル、エステル油、ポリブテン等の不揮発性オイルを主成分としたものが用いられているが、水のような高極性の揮発性液体を配合したインキには揮発防止効果があるものの、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンといった低極性の揮発性液体を配合した流動体では、可動栓と相溶してしまったり、可動栓を通過して揮発してしまうという問題があり実用に至っていないものである。
なお、低極性で揮発性の有機溶媒は、インキ配合により描線が速く乾きやすいこと、非吸収面での固着性が強く、修正液に使うと水性のインキのブリードが起こりにくいこと等の点で好ましい。
【0004】
また、上記従来の流動体塗布具において、シリコーシゴム等を用いた固体の可動栓も知られているが、上述の如く、低極性の揮発性液体を配合した流動体では、揮発防止効果が不十分であり、またゴムが膨潤して可動できなくなるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決した流動体塗布具をこれまで開発してきている。すなわち、流動体塗布液の流出制御機構を具備する塗布具の収容管に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する流動体塗布液が収容され、かつ、該流動体塗布液の後方には、該流動体塗布液と相溶しない、難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容され、該可動栓の後方収容管内を大気解放させ、その可動栓としてグリセリン、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物のうちの1種もしくは2種以上の混合物とすること、さらには可動栓としての性能を向上させるためこれらに構造粘性を賦与したゲル状可動栓とすること、構造粘性賦与剤として微粉末のシリカ、有機ベントナイト、12−ヒドロキシステアリン酸およびその誘導体、アルミナやジベンジリデンソルビトール等を添加しゲル化させる方法、これらの液体をポリウレタンフォームのような連続気泡性発泡体に含浸させた状態で用いることなどを出願している。(特開2000−343875号公報)。
なお、上記公報で規定される液状の可動栓には、「流動体塗布液と相溶せず、流動体塗布液の揮発を防止すること」と「可動栓自身が揮発しにくいこと」の2つの性能が要求されるものである。
【0006】
しかしながら、これらの物質は、確かに流動体塗布液と相溶せず、流動体の揮発を防止すること」と「自己揮発しにくいこと」の2つの性能は満たされているが、後端部が大気開放されている流動体塗布具では、これらの物質は溶剤と相溶しない反面、吸湿性があるために高湿度下に置かれた場合には吸湿のために体積の膨張や粘度低下、さらには水滴や水層の発生等の不具合が生じることが判った。
【0007】
そこで、本発明者らは、水と構造粘性付与剤からなるゲル状可動栓Bと、さらにはその後端に鉱物油、シリコーンオイル、エステル油、ポリブテン等の不揮発性オイルと構造粘性付与剤からなるゲル状可動栓Cとからなる二重(二層式)の可動栓を具備する流動体塗布具を出願している(特開2000−343879号公報)。
この二層式可動栓の効果は優れているものであるが、流動体を含めた3層の比重差の管理、抱き込まれた空気の除去、充填方法など組み立ての煩雑さといった2次的な課題を生じる点に若干の課題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、従来の技術では不可能であった、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどいった低極性の高揮発性溶媒を配合した流動体塗布液を、後端が大気中に解放された収容管に直接収容した塗布具において、上記従来の可動栓の抱える課題のうち、高湿度下での経時安定性に優れた可動栓を具備した流動体塗布具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の課題等を解決すべく、先端に塗布液の流出制御機構を具備し、後端部が大気に解放されている塗布具の収納管内に収容する流動体塗布液と液状可動栓との組み合わせを種々検討した結果、長期にわたり湿度の影響を受けにくく、かつ、流動体塗布液と相溶しない高極性かつ低揮発性である液状可動栓として、主成分がジグリセリンのプロピオンオキサイド2から6モル付加物、特に、4モル付加物が最も好ましいことを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 流動体塗布液の流出制御機構を具備する塗布具の収容管に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する流動体塗布液が収容され、かつ、該流動体塗布液の後方には、該流動体塗布液と相溶しない、難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容され、該可動栓の後方収容管内を大気解放される流動体塗布具であって、上記可動栓が下記一般式(I)で示されるジグリセリンのプロピレンオキサイド付加物を主成分とすることを特徴とする流動体塗布具。
【化2】
(2) 上記(1)記載の可動栓がジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物(s=4)であることを特徴とする流動体塗布具。
(3) 上記(1)又は(2)記載の可動栓がシリカ、アルミナ混合物により構造粘性を有することを特徴とする流動体塗布具。
(4) 上記(3)記載の構造粘性を有する可動栓は、可動栓の全量に対して、シリカ、アルミナ混合物が5〜10重量%含有してなることを特徴とする流動体塗布具。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の流動体塗布具は、流動体塗布液の流出制御機構を具備する塗布具の収容管に、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する流動体塗布液が収容され、かつ、該流動体塗布液の後方には、該流動体塗布液と相溶しない、難揮発性の液状物が末端可動栓として接触状態で収容され、該可動栓の後方収容管内を大気解放される流動体塗布具であって、上記可動栓が下記一般式(I)で示されるジグリセリンのプロピレンオキサイド付加物を主成分とすることを特徴とするものである。
【化3】
【0011】
本発明で対象とする流動体塗布具としては、例えば、サインペン、ボールペン等を含めた筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等が挙げられる。
これらの流動体塗布具の先端には、通常、使用時に流動体が出過ぎたり、出にくくなるのを防止する流動体塗布液の流出制御機構が具備される。例えば、流動体(インキ等)がゲル状である場合には、構造粘性破壊手段を有するボールペン型チップや、弾撥体で前方の弁座に突出付勢させて先端孔を閉塞保持する弁付き塗布体又はニードルバルブ等の流出制御機構を具備させたものが挙げられる。
図1は、本発明の流動体塗布具をボールペンに適用した場合の一例を示す縦断面図である。この流動体塗布具は、図1に示すように、流出抑制機構としてボールペン型チップ3を具備した収容管7に、流動体塗布液8が充填されており、この流動体塗布液8の末端部に接触状態で可動栓9が収容されている。なお、1はキャップ体、2はシールゴム、4はボール、5はペン先部と収容管の継手部材、6は軸体、10は尾栓である。
このボールペン型チップ3の構造としては、通常のボールペンチップ構造の他、例えば、先端に金属(ステンレス又はセラミック)製のボール及び金属(ステンレス又はセラミック)製のホルダーを有するチップからなり、図示しないがボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接するようにボールの背面にスプリング部材からなる押圧手段により押圧が付与されてなる構造のものであっても良い。この押圧手段を内蔵したものでは、筆記等の際にはボールが沈み、ボールとボール抱持部との間にクリアランス部ができ、この際に収納管内の流動体塗布液がクリアランス部を通って適正な流出量で外部に流出して塗布することができるものとなる。筆記等の作業が終わると(通常の状態では)、押圧手段により、ボールがチップ先端のボール抱持部の内縁に密接して流動体塗布液は流出しない構造となるものである。
【0012】
これらの流動体塗布具において、流出制御機構を具備する収容管内、例えば、パイプ状容器からなる収容管内には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン及びキシレンから選ばれる少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する流動体塗布液が収容される構成となっている。
本発明における流動体塗布液としては、例えば、上記有機溶媒に、カーボンブラックや二酸化チタン等の顔料・染料等の色材、溶剤に可溶な増粘剤・バインダーとしての樹脂類、界面活性剤類、香料、並びに、筆記具、修正具、接着剤塗布具、化粧具等の用途に応じたその他の任意成分を適宜溶解もしくは分散させたものが使用される。
これらの配合量については、例えば、流動体塗布液全量(100重量%)に対して、有機溶媒20〜85重量%、顔料等の色材10〜60重量%、樹脂類その他成分が5〜30重量%程度の配合組成物とすることが望ましい。
また、上記流動体塗布液をそのまま使用してもよいが、上記流動体塗布液に微粉末シリカ、アルミナ、ジベンジルソルビトールなどの粘性付与剤を含有せしめてゲル状粘性体として使用してもよい。このゲル状粘性体とすることにより、流動体塗布液に重たい顔料(酸化チタン等)等の色材を配合してもこれらの沈降を抑制し易く、更に、紙等の被塗布体にインキ(流動体)を塗布した場合、構造粘性を有することにより被塗布体上での「にじみ」が抑制できることとなる。このゲル強度は使用する色材(顔料等)の粒子径、比重により適宜調整される。
【0013】
本発明では、塗布具の収容管内に上記流動体塗布液が収容され、かつ、該流動体塗布液と相溶性のない難揮発性の液状物が流動体塗布液の末端部可動栓として接触状態で収容され、該可動栓の後方収容管内が大気解放される構成となるものである。
これによって可動栓は流動体塗布液の消費につれて流動体塗布液に追従して移動し可動栓としての作用をなすことになる。
【0014】
本発明における可動栓を形成する難揮発性の液状物としては、上述したように「流動体塗布液と相溶せず、流動体の揮発を防止すること」と「自己揮発しにくいこと」の2つの基本性能の他に、「非吸湿性」の性能が要求される。
上記2つの基本性能を満足する可動栓には、その性質を有するがために親水性=吸湿性を併せ持つという欠点があり、これを回避するためには親水性と親油性のバランスが適度のものを選ぶ必要がある。
従って、グリセリンやポリグリセリンでは吸湿性が高過ぎることとなる。また、種々の重合度を有するアルキレンオキサイドのうちプロピレンオキサイドより炭素数が大きなアルキル基になると、親油性が勝ってしまい、上記低極性の有機溶媒と相溶してしまったり、溶媒の揮発性を抑制することができなくなってしまうという問題がある。
そこで、本発明においては、可動栓を形成する難揮発性の液状物は、グリセリンおよびポリグリセリンによって親水性を持たせ、アルキレンオキサイド付加物により親油性を付与して、両親媒性のバランスを調整した結果、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物のうち、上記三つの性能を有する一般式(I)で示されるジグリセリンのプロピレンオキサイド2〜6モル付加物〔m+n+o+p(=s)が2〜6の整数〕を主成分とするもの、好ましくは、この2〜6モル付加物が可動栓全量(100重量%)に対して、80〜100重量%、更に好ましくは、90〜100重量%となるものが選ばれ、特に好ましくは、4モル付加物(s=4)が上記三つの性能のバランスの点で最も優れていることから望ましい。
本発明では、可動栓を構成することとなる上記一般式(I)で示されるジグリセリンのプロピレンオキサイド2〜6モル付加物が可動栓全量(100重量%)に対して、80重量%以上含有せしめること(主成分とすること)により、本発明の効果を発揮せしめることとなる。
なお、本発明では、上記ジグリセリンのプロピレンオキサイド2〜6モル付加物以外のもの、例えば、ジグリセリンのプロピレンオキサイド2モル未満又は6モルを越える付加物、または、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物などでは本発明の目的の効果を発揮することができないものとなる。
【0015】
本発明では、更に可動栓としての性能を向上させるため、すなわち、ペン先を上向きにしておいた場合の逆流防止のために微粉末のシリカ、アルミナ又はこれらの混合物やジベンジリデンソルビトールといった構造粘性付与材を上記一般式(I)で示されるジグリセリンのプロピレンオキサイド2〜6モル付加物に添加しゲル化させた状態での使用が望ましい。
本発明に用いることができる構造粘性付与材としては、例えば、微粉末シリカとアルミナとの混合物を用いたものが使用性、経時安定性の点から最も優れている。なお、上記微粉末シリカ(S)とアルミナ(A)の混合物の配合比は、重量比でS:Aが1:4〜9:1となるものが好ましい。
具体的な微粉末シリカとアルミナとの混合物としては、日本アエロジル社製のCOK84等の市販品が挙げられる。
この構造粘性付与材の含有量は、可動栓全量に対して5〜10重量%含有されることが好ましい。この構造粘性付与材の含有量が5重量%未満であると、構造粘性が弱く、強い衝撃により逆流してしまう場合がある。また、10重量%を越えると、構造粘性が強くなり、早書きによってはインキの消費に伴う追従性が劣ってしまう場合もある。なお、これらの量のいずれの場合においても目的の親油性と吸湿性のバランスを阻害するものではない。
【0016】
本発明では、上記した難揮発性の液状物を流動体塗布液の末端部にそのまま液層として接触した状態で収容して可動栓としてもよい。この時の液層の高さは20〜30mm程度となるようにすることが望ましい。その他に本発明の好ましい可動栓としては、難揮発性の液状物に前記した構造粘性付与材を添加してゲル状構造粘性体として流動体塗布液の末端部に接触した状態で収容する場合である。この場合の液層の高さは10〜15mm程度でよく、ゲル状構造粘性体の可動栓が流動体塗布液への移行が起こりにくくなり、逆流防止体としての品質を維持でき、流動体塗布液の長期間の品質劣化を防止する効果を発揮せしめることとなる。
【0017】
また、本発明では、別の方法として、可動栓を構成する難揮発性の液状物を、ポリウレタンフォームのような連続気泡性発泡体に含浸させた状態で用いることができる。例えば、収容管の内径に近似して高さ10〜15mm程度の円柱状としてスポンジ状連続多孔体に含浸させたものを流動体塗布液の末端部に接触した状態で収容する。この場合は、収容管の内径の大小に関わりなく可動栓の耐衝撃性が高まり、スポンジ等の連続多孔体中で難揮発性の液状物の流動が抑制される。特に、可動栓が流動体塗布液へ移行することがなく物理的にも流動体塗布液とはさらに交わりにくくなり、逆流防止体としての品質を更に高めて維持でき、流動体塗布液の長期間の品質劣化を防止する効果を発揮せしめることとなる。
【0018】
このように構成される本発明では、パイプ状容器などの収容管内に、上記一般式(I)で示されるジグリセリンのプロピレンオキサイド付加物を主成分とする難揮発性の液状物を流動体塗布液の末端部に接触状態で収容して可動栓とし、該可動栓の後方収容管内を大気解放される流動体塗布具とするものであり、この場合、パイプ状容器などの収容管の内径が小さい場合(筆記具、修正液容器用途としては通常2mm以下)であれば、流動体塗布液及び可動栓とも特に構造粘性を与えずとも、流動体塗布液及び可動栓が有する表面張力によりパイプ状容器などの収容管内において各々安定して収容される流動体塗布具とすることができる。
なお、パイプ状容器などの収容管内に多量の流動体塗布液を収容すべく収容管の内径を大きくした場合(筆記具、修正液容器用途としては通常3mm以上)、そのままではパイプ状容器を横向き、逆さにしたときにフォロアーの液面が切れる等の問題が発生してしまう場合がある。この場合は、上述の如く、可動栓を構造粘性を有するものとしたり、可動栓をスポンジ状連続多孔体に難揮発性液状物を含浸させたものとすることにより、流動体塗布液及び可動栓共々パイプ状容器などの収容管内において安定して収容する流動体塗布具とすることができ、本発明の逆流防止構造としての品質を維持し、流動体塗布液の長期間の品質劣化を防止する効果を発揮せしめる流動体塗布具とすることができるものとなる。
【0019】
【実施例】
次に、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何等限定されるものではない。以下に記載の「部」は重量部を意味する。
【0020】
〔実施例1〜17及び比較例1〜7〕
図1に示すように、先端に、流出抑制機構としてボールペン型チップを具備した内径5mmのパイプ状の容器に、下記配合組成の流動体塗布液(流動体A)を約2g注入した。次いで、この流動体塗布液(流動体A)の末端部に接触状態で収容してなる下記各実施例及び各比較例により調製した可動栓を収容して各流動体塗布具を作製した。
得られた各流動体塗布具を25℃、60%RHの環境試験室に入れ、1ケ月後の重量変化の測定と可動栓の外観状態を官能評価すると共に、下記方法により早書きによる可動栓の追従性、落下による可動栓の逆流性及び50℃での揮発減量を評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0021】
(流動体Aの配合組成)
下記成分を混合分散し流動体Aを調製した。
メチルシクロヘキサン 40部
アクリル樹脂 10部
二酸化チタン 50部
【0022】
〔早書きによる可動栓の追従性の評価法〕
筆記試験機にて9.0m/分の速度で筆記して下記評価基準により官能評価した。
評価基準:
〇:良好な追従性を有する。
△:追従性がやや劣る。
×:追従性が劣る。
【0023】
〔落下による可動栓の逆流性の評価法〕
図1のキャップをした状態で、1.2mの高さからペン先を前方にしてゴム板上に落下させて下記評価基準により官能評価した。
評価基準:
〇:全く逆流することがない。
△:わずかに逆硫した。
×:逆流した。
【0024】
〔50℃での揮発減量の測定法〕
図1のキャップをした状態で、50℃のオーブンに入れ、1カ月後の重量の変化を揮発減量として測定し、下記評価基準により官能評価した。
評価基準:
〇:30mg未満
△:30mg〜50mg
×:50mg超過
【0025】
〔実施例1〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物(阪本薬品工業社製、SY−P400)からなる可動栓を0.4gを注入し、流動体塗布具を作製した。
〔実施例2〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド2モル付加物を可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例3〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド6モル付加物を可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例4〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物95部に微粉末シリカ(日本アエロジル社製、R972)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例5〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物95部に微粉末シリカ、アルミナの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を5部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例6〕
上記実施例5においてジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をジグリセリンのプロピレンオキサイド2モル付加物とした他は、実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例7〕
上記実施例5においてジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をジグリセリンのプロピレンオキサイド6モル付加物とした他は、実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
【0026】
〔実施例8〕
実施例1における流動体Aに微粉末シリカを1部添加し混合分散したものを流動体Bとして用いた他は、実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例9〕
実施例2において流動体Aを流動体Bとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例10〕
実施例3において流動体Aを流動体Bとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例11〕
実施例4において流動体Aを流動体Bとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例12〕
実施例5において流動体Aを流動体Bとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例13〕
実施例6において流動体Aを流動体Bとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
【0027】
〔実施例14〕
実施例7において流動体Aを流動体Bとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例15〕
実施例5においてジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物を90部に微粉末シリカ、アルミナの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を10部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例16〕
実施例5においてジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物を85部に微粉末シリカ、アルミナの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を15部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔実施例17〕
実施例5においてジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物を96部に微粉末シリカ、アルミナの混合物(日本アエロジル社製、COK84)を4部混合分散したものを可動栓とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
【0028】
〔比較例1〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をグリセリンとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔比較例2〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔比較例3〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をジグリセリンのプロピレンオキサイド9モル付加物とした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔比較例4〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をジグリセリンとした他は実施例1と同様に流動体塗布具を作製した。
〔比較例5〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をグリセリンとした他は実施例8と同様に流動体塗布具を作製した。
〔比較例6〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物とした他は実施例8と同様に流動体塗布具を作製した。
〔比較例7〕
ジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物をジグリセリンのプロピレンオキサイド9モル付加物とした他は実施例8と同様に流動体塗布具を作製した。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜17は、本発明の範囲外となる比較例1〜7に較べて、25℃、60%RHの環境条件における1ケ月後の重量変化量は少なく、しかも、その可動栓の外観状態の変化もなく、また、早書きによる可動栓の追従性も良好であり、落下による可動栓の逆流性もなく、50℃での揮発減量も少ないことが判明した。
具体的に実施例をみると、実施例1〜3は、本発明のジグリセリンのプロピレンオキサイド2モル付加物、4モル付加物、6モル付加物を夫々可動栓としたものであり、実施例4〜7は本発明のジグリセリンのプロピレンオキサイドの各モル付加物に微粉末シリカからなる構造粘性付与材を添加しゲル化させた状態のゲル状可動栓としたものであり、実施例8〜14は上記実施例1〜7の流動体をゲル状粘性体としたものであり、実施例15〜17は本発明のジグリセリンのプロピレンオキサイドの4モル付加物に微粉末シリカ、アルミナの混合物からなる構造粘性付与材を添加しゲル化させた状態のゲル状可動栓としたものであり、これらの場合は、25℃、60%RHの環境条件における1ケ月後の重量変化量は少なく、しかも、その可動栓の外観状態の変化もなく、また、早書きによる可動栓の追従性も良好であり、落下による可動栓の逆流性もなく、50℃での揮発減量も少ないことが判った。従って、本発明では、高湿度下でも経時安定性に優れた流動体塗布具となることが判明した。
これに対して、比較例1はグリセリンを可動栓としたものであり、比較例2はジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物を可動栓としたものであり、比較例4はジグリセリンを可動栓としたものであり、比較例5は流動体として実施例8のゲル状流動体を使用し、グリセリンを可動栓としたものであり、比較例6は、流動体として実施例8のゲル状流動体を使用し、ジグリセリンのエチレンオキサイド13モル付加物を可動栓としたものであり、比較例7は、流動体として実施例8のゲル状流動体を使用し、ジグリセリンのプロピレンオキサイド9モル付加物を可動栓としたものであり、比較例1,2及び4〜6の場合は、25℃、60%RHの環境条件における1ケ月後の重量変化量が大きく、しかも、可動栓の外観状態は水浮き乃至水層となるものであり、また、比較例3及び7においては、実施例1〜17に較べ50℃での揮発減量が大きいことが判った。従って、本発明(実施例1〜17)の構成とすることにより、初めて、高湿度下でも経時安定性に優れた流動体塗布具となることが判明した。
なお、本実施例では二酸化チタンを色材とした白色流動体塗布具を例にとって説明したが、本発明では、カーボンブラック、赤・青等の染・顔料で着色した流動体であっても何ら機能に差し支えはなく、本発明の目的の作用効果を発揮せしめるものである。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、高湿度下においても経時安定性に優れた流動体塗布具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流動体塗布具の一例を示す縦断面図である。
Claims (4)
- 請求項1記載の可動栓がジグリセリンのプロピレンオキサイド4モル付加物(s=4)であることを特徴とする流動体塗布具。
- 請求項1又は2記載の可動栓がシリカ、アルミナ混合物により構造粘性を有することを特徴とする流動体塗布具。
- 請求項3記載の構造粘性を有する可動栓は、可動栓の全量に対して、シリカ、アルミナ混合物が5〜10重量%含有することを特徴とする流動体塗布具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001224505A JP4640749B2 (ja) | 2001-07-25 | 2001-07-25 | 流動体塗布具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001224505A JP4640749B2 (ja) | 2001-07-25 | 2001-07-25 | 流動体塗布具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003034098A JP2003034098A (ja) | 2003-02-04 |
JP4640749B2 true JP4640749B2 (ja) | 2011-03-02 |
Family
ID=19057652
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001224505A Expired - Fee Related JP4640749B2 (ja) | 2001-07-25 | 2001-07-25 | 流動体塗布具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4640749B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4289041B2 (ja) * | 2002-06-28 | 2009-07-01 | ぺんてる株式会社 | ボールペン用油性インキ組成物 |
JP4611715B2 (ja) * | 2003-11-07 | 2011-01-12 | 株式会社サクラクレパス | 塗布具 |
US7637680B2 (en) | 2003-11-07 | 2009-12-29 | Sakura Color Products Corporation | Coating tool |
JP4744917B2 (ja) * | 2005-04-14 | 2011-08-10 | 三菱鉛筆株式会社 | 流動体塗布具 |
JP4708939B2 (ja) * | 2005-09-16 | 2011-06-22 | ゼブラ株式会社 | 逆流防止剤及び筆記具 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0987566A (ja) * | 1995-09-19 | 1997-03-31 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 水性顔料インキ組成物 |
JPH1142884A (ja) * | 1997-07-28 | 1999-02-16 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 水性ボールペン用インキ追従体ゲル状物 |
JP2000343875A (ja) * | 1999-06-03 | 2000-12-12 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 流動体塗布具 |
-
2001
- 2001-07-25 JP JP2001224505A patent/JP4640749B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0987566A (ja) * | 1995-09-19 | 1997-03-31 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 水性顔料インキ組成物 |
JPH1142884A (ja) * | 1997-07-28 | 1999-02-16 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 水性ボールペン用インキ追従体ゲル状物 |
JP2000343875A (ja) * | 1999-06-03 | 2000-12-12 | Mitsubishi Pencil Co Ltd | 流動体塗布具 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003034098A (ja) | 2003-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7321331B2 (ja) | 筆記具 | |
KR20150133841A (ko) | 도포구 | |
JP3105711B2 (ja) | ゲル状物と固形物を併用する水性ボールペン用インキ追従体 | |
KR20020026173A (ko) | 유성 볼펜 잉크 조성물 및 유성 볼펜 | |
JP4640749B2 (ja) | 流動体塗布具 | |
JP2017200748A (ja) | 熱変色性筆記具 | |
JP4442778B2 (ja) | 流動体塗布具 | |
JP4744917B2 (ja) | 流動体塗布具 | |
JP4656771B2 (ja) | 流動体塗布具 | |
JP4526250B2 (ja) | 流動体塗布具 | |
JP3923024B2 (ja) | 流動体塗布具 | |
WO2005017056A1 (ja) | 流動体塗布液及び流動体塗布具 | |
JP2004143292A (ja) | 流動体組成物 | |
WO2004091931A1 (ja) | 非水系ボールペン用フォロワーおよび非水系ボールペン | |
WO2017159154A1 (ja) | 化粧料塗布具用追従体組成物 | |
JP2000343879A (ja) | 流動体塗布具 | |
JP4219193B2 (ja) | 水性ボールペン | |
JP7447336B1 (ja) | インク組成物及び筆記具 | |
WO2024043292A1 (ja) | インク組成物及び筆記具 | |
JP4578080B2 (ja) | 流動性のよいフォロワー及びこれを有するボールペン | |
JP6126828B2 (ja) | 筆記具 | |
JP4708939B2 (ja) | 逆流防止剤及び筆記具 | |
JP2000218984A (ja) | 筆記具 | |
JP3544960B2 (ja) | インキ追従体の製造方法 | |
JP2001150863A (ja) | インキ容器 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080605 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101115 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101124 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101124 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |