JP2000218984A - 筆記具 - Google Patents

筆記具

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JP2000218984A
JP2000218984A JP11148581A JP14858199A JP2000218984A JP 2000218984 A JP2000218984 A JP 2000218984A JP 11148581 A JP11148581 A JP 11148581A JP 14858199 A JP14858199 A JP 14858199A JP 2000218984 A JP2000218984 A JP 2000218984A
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ink tank
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Takao Koyama
隆雄 小山
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インキ残量の視認性等に優れた筆記具、液体
塗布具を提供する。 【解決手段】 インキを貯留するインキタンク部を有す
る筆記具において、インキタンク部31内のインキ11
がインキ成分12と、該インキ成分12と層分離する層
分離成分13とからなり、該層分離成分13はインキ成
分12よりも比重、表面張力が共に小さく、かつ、イン
キタンク部11内をインキ11が自由に動けることを特
徴とする筆記具A。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキを貯留する
インキタンク部を有する筆記具などに関し、更に詳しく
は、インキタンク部内の生インキをペン先に供給してな
る直液式の筆記具、または、インキを貯留するカートリ
ッジ式のインキタンク部を備えた筆記具、並びに、塗布
液を貯留するカートリッジ式のタンク部を備えた液体塗
布具などにおいて、インキ残量又は塗布液残量の視認性
に優れた筆記具、液体塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、直液式の筆記具の特徴の一つに
インキ残量を確認できること(視認性)が挙げられる。
すなわち、直液式筆記具は、軸部となるインキタンク内
にインキが充填されると共に、インキはインキタンク内
を自由に動き、ペン先を下側に向けた場合にそのインキ
残量を軸部の視認部により確認できるものである。
【0003】現在、直液式の筆記具に使用されている軸
部は、視認性が確保できるものとして透明性及び耐溶剤
性に優れ成形の良いポリプロピレンなどが用いられてい
るが、この視認性を上げるためにリブ形状等によるイン
キ切れ性の改良やフッ素処理、シリコーン処理と言った
表面処理等を施し視認性を向上させる方法が知られてい
る。
【0004】しかしながら、上記リブ形状等によるイン
キ切れ性の改良の方法は、金型形状を複雑にしたりする
などの工程が煩雑になるという課題がある。また、上記
リブ形状等によるインキ切れ性の改良やフッ素処理、シ
リコーン処理と言った表面処理等を施したものであって
も、未だ視認性が不十分であり、特に、黒色、青色等の
濃い色のインキを充填した直液式筆記具にあっては、イ
ンキ切れ性が悪く、その視認性に未だ問題があり、実際
には視認性に優れたものはないのが現状である。
【0005】一方、実公平3−53902号公報には、
材質がポリエチレン又はポリプロピレンよりなる透明又
は半透明のインキ筒であって、インキが水性インキであ
り、かつ、該水性インキの末端側に該水性インキと相溶
しないグリース状となる逆流防止剤(インキ追従体)よ
りなる筆記具のインキ筒において、該水性インキと該逆
流防止剤の接触面の中心部で、該水性インキが該逆流防
止剤へ突入状に接触させるために、該インキ筒に対する
該水性インキの濡れ方が該インキ筒に対する該逆流防止
剤の濡れよりも濡れ難くなるように、該逆流防止剤がポ
リブテンよりなり、該インキ筒に対する該水性インキの
濡れがポリブテンの該インキ筒に対する濡れよりも小さ
い水性インキよりなることを特徴とする筆記具のインキ
筒が知られている。
【0006】しかしながら、この公報に記載される目
的、技術思想等は、インキがインキ筒より飛散しないよ
うに水性インキと相溶しないグリース状となるポリブテ
ンの逆流防止剤をインキに接触させて充填しても、筆記
によるインキの流出量に応じてインキと逆流防止剤の境
界線が円滑に移動し、常にインキの外より境界線が容易
に観察でき、インキ筒内のインキ量を確実に読みとれる
筆記具のインキ筒であり、本願発明の一つであるインキ
タンクを兼ねた軸部内をインキが自由に動き、ペン先を
下側に向けた場合にそのインキ残量を軸部の視認部によ
り確認できる構造の直液式筆記具とはその目的、構成等
が異なるものであり、この構成となるインキに上記グリ
ース状のポリブテンからなる逆流防止剤を適用できるも
のではない。
【0007】また、従来より、インキを貯留するインキ
タンク部をカートリッジタイプとした筆記具は数多く知
られている(例えば、実開昭56−42070号公
報)。このインキタンク部をカートリッジ式とした筆記
具において、繰り返し使用する場合には、インキタンク
部内のインキを完全に消費し描線がかすれるまで筆記し
てから新しいカートリッジと交換している。
【0008】しかしながら、新しいカートリッジと交換
して筆記使用しても、元のペン先からのインキ流出量は
著しく低下し筆記描線濃度の著しい低下をきたし使用で
きないという課題が度々あり、この課題に対して未だ満
足する解決策は提案されていないのが現状である。上記
課題の原因は、インキの完全な消費によりペン先となる
ペン芯内に空気による空間ができたり、その空間部での
顔料凝集による詰まり等が生じて新たにカートリッジを
装着してもペン芯内を通るインキ流量は著しく抑制さ
れ、そのために描線濃度が著しく低下するものと推察さ
れるものである。また、このような課題等は、マニキュ
ア液等の塗布液を収容するタンク部をカートリッジ式と
した液体塗布具においても、上記と同様の課題を有する
ものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来に
おける直液式やカートリッジ式の筆記具、液体塗布具の
課題に鑑み、これを解消しようとするものであり、イン
キ残量又は塗布液残量の視認性に優れた直液式の筆記
具、並びに、インキカートリッジ等の交換時期を確実に
視認できると共に、新しいインキカートリッジ等に交換
しても元のインキ流出量等をそのまま維持できる筆記
具、液体塗布具を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来の
各課題等について鋭意検討した結果、インキタンク部内
等に収容するインキ成分又は塗布液成分の他に、特定物
性となる成分を充填等することにより、上記目的の筆記
具、液体塗布具が得られることを見い出し、本発明を完
成するに至ったのである。
【0011】すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)に存す
る。 (1) インキを貯留するインキタンク部を有する筆記具に
おいて、インキタンク部内のインキがインキ成分と、該
インキ成分と層分離する層分離成分とからなり、該層分
離成分はインキ成分よりも比重、表面張力が共に小さ
く、かつ、インキタンク内をインキが自由に動けること
を特徴とする筆記具。 (2) 前記筆記具は、インキタンク部を兼ねた軸部にイン
キ残量を確認する視認部を備えた直液式の筆記具である
上記(1)記載の筆記具。 (3) 前記筆記具は、インキを収容するカートリッジ式の
インキタンク部を備えた筆記具である上記(1)記載の筆
記具。 (4) 層分離成分の表面張力がインキタンクを兼ねた軸部
のインキ残量を確認する視認部の表面張力よりも小さい
ものとなる上記(2)記載の筆記具。 (5) 層分離成分の粘度が、25℃において10000m
Pa・s以下である上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の
筆記具。 (6) インキ成分の粘度が、25℃において100mPa
・s以下である(1)〜(5)の何れか一つに記載の筆記具。 (7) 塗布液を貯留するカートリッジ式のタンク部を備え
た液体塗布具において、上記タンク部の塗布液が塗布液
成分と、該塗布液成分と層分離する層分離成分とからな
り、該層分離成分は塗布液成分よりも比重、表面張力が
共に小さく、かつ、タンク中を塗布液が自由に動けるこ
とを特徴とする液体塗布具。なお、本発明において、
「直液式の筆記具」とは、インキを中綿等に吸蔵させな
いで直接貯溜するインキタンクを有し、また、インキタ
ンク内の空気が温度上昇等によって膨張した場合にイン
キタンクから押し出されるインキをペン先や空気孔から
ボタ落ちさせないために一時的に保溜するインキ保溜体
(コレクター部材)を付設した筆記具をいう。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を図面
を参照しながら各実施形態ごとに詳しく説明する。図1
及び図2は、直液式の筆記具の実施形態であり、図3
は、カートリッジ式のインキタンク部を備えた筆記具の
実施形態であり、図4及び図5は、カートリッジ式の塗
布液タンク部を備えた液体塗布具の実施形態である。
【0013】図1は、直液式の筆記具をマーキングペン
に適用した場合の実施形態の一例である。本実施形態の
直液式筆記具Aは、図1に示すように、軸部となるイン
キタンク部10内のインキ11がインキ成分12と、該
インキ成分12と層分離する層分離成分13とからな
り、該層分離成分13はインキ成分12よりも比重、表
面張力が共に小さく、かつ、インキタンク部10内をイ
ンキ11が自由に動けることを特徴とするものである。
なお、図1中の14は、コレクター部材であり、15は
ホルダー部材、16は中継芯、17はペン先となるペン
芯である。また、インキタンク10からペン芯17への
インキ導出は、コレクター部材14の中心孔14aに付
設されたインキ流路を設けた中継芯16を介してインキ
タンク10からインキ11をペン先17に導出すること
により行われる。
【0014】本発明において、層分離成分13は、イン
キタンクを兼ねた軸部10における視認部の視認性の向
上させるものであり、層分離成分13の表面張力がイン
キ11中のインキ成分12の表面張力よりも小さく、か
つ、インキ成分12と相溶することなく層分離し、しか
も、インキ成分12よりも比重が小さい関係にある条件
を満たしているものであれば特に限定されるものではな
い。この層分離成分13は、インキ成分12と相溶する
ことなく層分離し、インキ成分12の物性に何等悪影響
を及ぼすものではないものである。
【0015】また、層分離成分13は、層分離成分13
の表面張力がインキタンクを兼ねた軸部10のインキ残
量を確認する視認部(本実施形態では視認部となる軸部
全体)の表面張力よりも大きい場合でも、本発明の目的
であるインキ残量の確認が容易となるものであるが、好
ましくは、層分離成分13は層分離成分13の表面張力
がインキタンクを兼ねた軸部10のインキ残量を確認す
る視認部(軸部全体が視認部となる)の表面張力よりも
小さくなるものが望ましい。この層分離成分により、更
にインキ残量の確認が更に容易となる。
【0016】本発明に用いる層分離成分13としては、
例えば、ジメチルシロキサン結合を主骨格とする直鎖状
シリコーン油、環状シリコーン油、メチル基の一部が他
の官能基(アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カ
ルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、アルキル
基、高級脂肪酸エステル基、高級アルコキシ基、フッ素
基、メチルスチリル基等の有機基)により変成された変
成シリコーン油、或いは炭化水素系の液状物質などを一
種又は二種以上混合したものを挙げることができる。
【0017】具体的には、下記一般式(I)で表される
直鎖状シリコーン油、下記一般式(II)で表される環状
シリコーン油、下記一般式(III)〜(VI)で表される
ポリシロキサンの側鎖若しくは両末端、または、片末
端、並びに、側鎖、両末端に有機基を導入した変成シリ
コーン油〔アミノ変成シリコーン油、エポキシ変成シリ
コーン油、カルボキシル変成シリコーン油、カルビノー
ル変成シリコーン油、メタクリル変成シリコーン油、メ
ルカプト変成シリコーン油、フェノール変成シリコーン
油、片末端反応性変成シリコーン油(片末端カルビノー
ル変成シリコーン油、片末端エポキシ変成シリコーン
油、片末端メタクリル変成シリコーン油等)、異種官能
基変成シリコーン油(エポキシ基/ポリエーテル基変成
シリコーン油、アミノ基/ポリエーテル基変成シリコー
ン油、アミノ基/アルコキシ基変成シリコーン油等)、
ポリエーテル変成シリコーン油、メチルスチリル変成シ
リコーン油、アルキル変成シリコーン油、高級脂肪酸エ
ステル変成シリコーン油、親水性変成シリコーン油、高
級アルコキシ変成シリコーン油、高級脂肪酸含有変成シ
リコーン油、フッ素変成シリコーン油など〕、
【0018】並びに、鉱油(60、100、150、3
00、500ニュートラル油、ブライトストックな
ど)、合成油として、ポリα−ポリオレフィン(エチレ
ン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオ
リゴマー、及びこれらの水素化物など)、アルキルベン
ゼン、アルキルナフタレン、ポリアルキレングリコール
類(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなど)、ジエステル類(ジ−2−エチルヘキシルセバ
ケート、ジイソオクチルアジベート、ジオクチルアジベ
ート、ジオクチルセバケート、ジイソデシルアジベー
ト、ジブチルアジベートなど)、ポリオールエステル類
〔トリメチロールプロパンエステル、ネオペンチルグリ
コール、ジペラルゴネート、ペンタエリスリトールテト
ラペラルゴネート、ジ(イソオクチル)アゼレート、ビ
ス(2,2−ジメチルオクチル)アゼレート、ビス
(2,2−ジメチルペンチル)2,2,8,8−テトラ
エチルアゼレートなど〕、リン酸エステル類(トリクレ
ジルホスフェートなど)、シラン類(ジドデシルジオク
チルシランなど)、けい酸エステル類〔ヘキサ(2−エ
チルプトキシ)ジシロキサンなど〕、ポリフェニルエー
テル類〔m−ビス−(m−フェノキシフェノキシ)ベン
ゼン、ビス(m−フェノキシフェニル)エ−テル〕、フ
ルオロカーボン類(クロロフルオロカーボンなど)、ネ
オペンチルポリオールエステル類、その他ひまし油、ス
クワレン、高級脂肪酸類(オレイン酸、ラウリン酸、リ
ノール酸、リノレン酸等)、イソステアリン酸、イソス
テアリルアルコール、分岐高級アルコール類、ポリグリ
セリンエステル類、アボガド油、アルモンド油、オリブ
油、ゴマ油、サザンカ油、サフラワー油、ツバキ油、ト
ウモロコシ油、ナタネ油、綿実油、落花生油、パーム
油、椰子油、ワセリン、ブリスタン、ザメン、ガズセン
など、また、ポリエーテルエステル、スクワラン、流動
パラフィンなどの炭化水素系油を一種又は二種以上混合
したものを使用することができ、これらは安全性も確認
されているものである。
【0019】
【化1】
【化2】
【0020】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】 なお、上記一般式(III)〜(VI)中の記載のm,n
は、0以上の整数であり、夫々m,nは適宜設定された
ものが使用されるが、層分離成分として機能する範囲内
のものを限度とする。
【0021】特に、好ましい層分離成分13は、該層分
離成分13が直液式筆記具Aのペン芯17から排出され
た場合(インキタンク10内のインキ成分12を筆記に
より消費した後に最後に排出された場合)に紙面等を汚
すことなく、残存性がない点等を考慮すれば、揮発性の
ものが挙げられ、例えば、揮発性直鎖状シリコーン油
〔上記一般式(I)においてnが5〜30の場合〕、揮
発性環状シリコーン油〔上記一般式(II)においてnが
3〜4の場合〕が挙げられる。
【0022】本発明において、層分離成分13の表面張
力がインキ11中のインキ成分12よりも大きい場合に
は、層分離成分がインキタンク部材表面とインキ成分と
の間に介在できなくなりクリアドレインができなくな
り、また、層分離成分13がインキ成分12よりも比重
が大きい場合には、筆記時(ペン先下向きの通常筆記)
に層分離成分が中継芯を通じてペン芯を通って滞留又は
筆記面に出て通常の描線が得られなくなくなってしまう
ことがあり、好ましくない。
【0023】また、層分離成分13は、25℃における
粘度が10000mPa・s以下、好ましくは、100
0mPa・s以下、更に好ましくは、30mPa・s以
下であることが望ましい。粘度が10000mPa・s
を越えると、インキ残量の確認に時間がかかりインキ残
量の確認がしづらくなる。
【0024】層分離成分の使用量は、インキタンクの内
容積(容量)に対して、0.01〜50%、好ましく
は、0.1〜20%、更に好ましくは、1〜10%であ
る。層分離成分の量が0.01%未満であると、インキ
タンク部材表面とインキ成分との間に介在できない部分
が生じきれいなクリアドレインができなくなり、また、
層分離成分の量が50%を越えると、ペン先水平で筆記
した際に中継芯を通じてペン芯側に層分離成分でて通常
の筆記描線が得られなくなってしまうことがある。
【0025】また、本発明のインキ成分12は、層分離
成分13と層分離し、かつ、筆記具のインキ成分として
機能するものであれば、特に限定されるものではなく、
例えば、染料及び/又は顔料からなる着色剤、樹脂、分
散剤、防腐剤、その他の筆記具用添加剤等を水(精製
水、イオン交換水等)或いは有機溶剤(1−メトキシ−
2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、
ベンジルアルコール、エタノール、エチレングリコー
ル、カルビトール、セロソルブ、グリセリン、ジエチレ
ングリコールステアレート、プロピレングリコール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、t−ブチルアルコール等)の一種又は
二種以上混合してなる液体に溶解、分散させてなる、い
わゆる通常の筆記具に使用される水性インキ、油性イン
キなどを使用することができる。
【0026】また、インキ成分の25℃における粘度は
100mPa・s以下、好ましくは、50mPa・s以
下、更に好ましくは、10mPa・s以下が望ましい。
インキ成分の粘度が100mPa・sを越えると、イン
キタンク内での動きが悪くなりインキ残量の確認がしず
らくなるばかりでなく、筆記においてインキ追従性が著
しく悪くなる弊害を生じる。
【0027】また、本発明に使用されるインキタンクと
視認部を兼ねた軸部の部材としては、透明性を有する射
出成形可能な熱可塑性プラスチックスが挙げられ、具体
的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、
ポリカーボネート、ポリサルフォン、アクリロニトリル
アクリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレン
共重合体、ブタジエンスチレンメチルメタクリレートタ
ーポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレ
ンビニルアルコールコポリマー、ポリメチルペンテン、
ポリエーテルサルホンなどを例示することができる。好
ましくは、熱可塑性プラスチックスがインキ中のインキ
成分と層分離成分に対して表面張力が大きく且つ溶解性
の無いものを選択することが好ましい。なお、インキタ
ンクと視認部を兼ねた軸部の内側の視認部表面をフッ素
樹脂、シリコーン樹脂などの表面処理等を施して更に視
認性を向上させたものであってもよい。
【0028】本実施形態の直液式筆記具Aでは、上記特
性の層分離成分13により、視認部となるインキタンク
10に対してインキ成分12を残さず、短時間にインキ
切れし、インキ残量の視認性にきわめて優れたものとな
る。また、インキタンク10内にインキ成分12と、上
記特性の層分離成分13とからなるインキ11を充填す
るだけで、インキ残量の視認性に優れた直液式筆記具と
なるものであり、従来のインキ残量の視認性を向上させ
るためのインキクンクにリブ形状の形成などの工程を経
ることなく目的の直液式筆記具が製造できることとなる
ので、生産性、コストの面からも優れた直液式筆記具が
提供されるものとなる。
【0029】図2(a)及び(b)は、直液式の筆記具
をボールペンに適用した場合の実施形態を示す説明図で
ある。本実施形態の直液式筆記具Bは、軸部となるイン
キタンク20中のインキ21がインキ成分22と、該イ
ンキ成分22と層分離する層分離成分23とからなり、
該層分離成分23はインキ成分22よりも比重、表面張
力が共に小さく、かつ、該インキ成分22がインキタン
クを兼ねた軸部20内を自由に動けることを特徴とする
ものである。また、層分離成分23の表面張力は、イン
キタンクを兼ねた軸部20のインキ残量を確認する視認
部20aの表面張力よりも小さいものとなっている。
【0030】上記視認部20a以外のインキタンク20
の表面部には、塗膜、金属蒸着膜などのコート膜が施さ
れて、視認できない不透明部となっている。また、軸部
となるインキタンク20、インキ成分22、層分離成分
23などは、上記メーキングペンの実施形態で詳述した
各種のものが使用できるものである。なお、図2中の2
4はコレクター部材であり、25はホルダー部材、26
は誘導芯26aと中芯26bとからなる中継芯、27は
ボールペンチップからなるペン先である。また、インキ
タンク20からペン先27へのインキ導出は、コレクタ
ー部材24の中心孔24aに付設されたインキ流路を設
けた誘導芯26aと中芯26bからなる中継芯26を介
してインキタンク20からインキ21をペン先27に導
出することにより行われる。
【0031】本実施形態の直液式筆記具Bでは、インキ
タンク20の一部に視認部20a(反対側となる裏面側
にも同一構造の視認部)が形成されているものである
が、この視認部20aがインキタンク20の一部であっ
ても、上記特性の層分離成分23により、視認部20a
表面に対してインキ成分を残さず、短時間にインキ切れ
するので、クリアドレイン性がよく、インキ残量の視認
性にきわめて優れたものとなる。特に、視認部がインキ
タンクの一部に形成されている場合において、黒色、青
色等の濃い色のインキ成分を充填した従来の直液式筆記
具にあっては、リブ形状等が施されたインキタンクであ
っても、そのインキ切れ性が悪く、その視認性に未だ問
題があるものであったが、本発明では、黒色、青色等の
濃い色のインキを充填した直液式筆記具にあっても、視
認部20a表面に対してインキ成分を残さず、短時間に
インキ切れし、インキ残量の視認性にきわめて優れたも
のとなるものである。
【0032】本発明における直液式の筆記具は、上記実
施形態のマーキングペン、ボールペンに限定されるもの
でなく、筆ペン、万年筆、サインペン、化粧品等の塗布
具などにも適用できるものである。また、上記各実施形
態の直液式の筆記具は、上述の如く、インキタンク部内
に充填するインキ成分と、上記特性の層分離成分とから
なるインキに特徴を有するものであるので、これ以外の
構成である直液式の筆記具の構造等は特に限定されるも
のではない。
【0033】本発明における実施形態の直液式の筆記具
は、上述の如く構成されるものであり、インキタンク部
内のインキがインキ成分と、該インキ成分と層分離する
層分離成分とからなり、該層分離成分はインキ成分より
も比重、表面張力が共に小さく、かつ、インキタンク部
内をインキが自由に動けるものとすることにより、該イ
ンキは、軸部表面に対してインキ成分を残さず、短時間
にインキ切れし、インキ残量の視認性にきわめて優れた
ものとなる。また、層分離成分がインキタンクを兼ねた
軸部(視認部)の表面張力よりも小さい表面張力を有す
るものであれば、更に、インキ残量の視認性にきわめて
優れたものとなる。更に、インキタンク内にインキ成分
と、上記特性の層分離成分とからなるインキを充填する
だけで、インキ残量の視認性に優れた直液式の筆記具と
なるものであり、生産性、コストの面からも優れた直液
式筆記具が提供されるものとなる。
【0034】図3は、カートリッジ式のインキタンク部
を備えた筆記具の実施形態の概略を説明するための概略
説明図である。本実施形態のカートリッジ式の筆記具C
は、図3(a)に示すように、軸体となる筆記具本体3
0には着脱自在となるカートリッジ式のインキタンク部
31を備え、該インキタンク部31内のインキ32は、
インキ成分33と、該インキ成分33と層分離する層分
離成分34とからなり、該層分離成分34はインキ成分
33よりも比重、表面張力が共に小さく、かつ、インキ
タンク部31内をインキ32が自由に動けることを特徴
とするものである。また、筆記具本体30の先端部には
ペン芯等からなるペン先35が取り付けられている。
【0035】上記インキタンク部31内に収容するイン
キ成分33は、特に限定されるものではなく、上述のマ
ーキングペンの実施形態で示した各種成分が挙げられ、
例えば、染料及び/又は顔料からなる着色剤、水、有機
溶剤等からなる水性インキ等が挙げられる。なお、これ
らのインキ成分には、必要に応じて、pH調整剤、分散
剤、防腐剤、防錆剤、補色用染料等の従来から公知の添
加剤等を適宜添加することができる。
【0036】また、インキタンク部31内にインキ成分
33と共に収容する層分離成分34は、インキ成分33
よりも比重、表面張力が共に小さく、かつ、インキタン
ク部31内をインキ32が自由に動けることが必要であ
り、また、インキ成分33が筆記により完全に消費され
描線濃度が著しく低下しても、インキタンク部31内に
なお層分離成分34が収容される量が必要となる。この
必要量となる層分離成分34としては、インキ成分33
よりも比重、表面張力が共に小さく、かつ、インキタン
ク部内をインキが自由に動ける特性を有するものであれ
ば、特に限定されるものではなく、例えば、上述のマー
キングペンの実施形態で示した特性となる各種の層分離
成分が挙げられる。
【0037】本実施形態において、インキ成分33及び
上記特性の層分離成分34からなるインキ32を収容す
るカートリッジ式のインキタンク部31、ペン先部35
の使用材料、大きさ、形状などは特に限定されるもので
はなく、上述のマーキングペンの実施形態で示したもの
などを使用することができる。例えば、ペン先35とし
ては、ペン先と一体型の繊維収束体、連続多孔を有する
合成樹脂製ペン先、小管ペン先などが適宜使用される。
【0038】このように構成される本実施形態の筆記具
Cでは、インキタンク部31内のインキ32がインキ成
分33と、該インキ成分33と層分離する層分離成分3
4とからなり、該層分離成分34はインキ成分33より
も比重、表面張力が共に小さく、かつ、インキタンク部
31内をインキ32が自由に動けるものであるので、イ
ンキタンク部31内にインキ成分33が筆記により完全
に消費され描線濃度が著しく低下しても、インキタンク
部31内には、図3(b)に示すように、なお層分離成
分34が入っている構成となっており、ペン先35内は
層分離成分34で満たされているものとなっている。従
って、上記層分離成分34がペン先部35より流出した
場合、すなわち、筆記描線がインキ成分33から層分離
成分34に変化した場合には、インキタンク部31内の
インキが完全に消費されたものとなり、インキタンク部
31の交換(サイン)を知らせるものとなる。また、本
実施形態では、次の新しいインキタンク部31を交換し
てもペン先部35内に空気による空間ができたり、その
空間部でのインキ成分に含有した顔料凝集による詰まり
等がないために、元のインキ流出量をそのまま維持で
き、元の描線濃度が維持できることとなる。更に、本実
施形態において、インキタンク部31の交換は、ペン先
部35自身の損傷等による筆記不良が生じるまで繰り返
し使用することができるものとなる。なお、ペン先部3
5がカートリッジ式であれば、インキタンク部31の交
換と共に繰り返して使用することができるものとなる。
【0039】図4及び図5は、液体塗布具の実施形態の
一例を示す断面図である。本実施形態の液体塗布具D
は、後端を開口した塗布具本体40と、カートリッジ式
のタンク部50と、円筒状の尾栓60とにより構成さ
れ、上記タンク部50内に収容される塗布液(図示せ
ず)は、マニュキア液などの塗布液成分と、該塗布液成
分と層分離する層分離成分とからなり、該層分離成分は
塗布液成分よりも比重、表面張力が共に小さく、かつ、
タンク部50中を塗布液が自由に動けるものとなってい
る。なお、45はキャップである。この液体塗布具Dの
セットは、図4及び図5に示すように、尾栓60をカー
トリッジ式のタンク部50の後端側より挿入する。この
際、尾栓60の先端開口部67は、カートリッジ式のタ
ンク部50の段部54に当接し、尾栓60の挿入が止ま
ることとなる。この挿入した状態で尾栓60を塗布具本
体40の内部にその後端開口側から挿入する。これによ
り、尾栓60の凹形嵌合部65が各スリット64上の外
周面部が適宜な締め代でスリット64の幅を狭めなが
ら、塗布具本体40の凸形嵌合部42に嵌合して固定さ
れると共に、塗布具本体40のパイプ部材43にカート
リッジ式のタンク部50の内先軸53の開口が挿入され
てセットが完了する。
【0040】次に、このようにセットされた液体塗布具
Dの使用方法等について説明する。カートリッジ式のタ
ンク部50は、図5に示すように、パイプ部43に対し
軸線方向に摺動自在であり、該タンク部50の後端を前
方へ押圧すると、タンク部50の弁体52が開口してタ
ンク部50の塗布液が弁体52を通ってパイプ部材43
に流入しブラシ部材41aへ供給される。タンク部50
の後端に対する押圧を解除すると、弁体52に内蔵する
弁バネ52aにより該タンク部50がパイプ部材53に
対し後退して弁体52を閉じると共に、タンク部50
は、段部54によりタンク部50の押圧(ノック)時、
あるいは不用意な力が加わってタンク部50が尾栓60
側へスライドして、タンク部50に組み込まれた弁体5
2がパイプ部材43より脱落することを防止するため、
尾栓60の先端開口部67に当たって止まることとな
る。
【0041】本実施形態の液体塗布具Dは、上記押圧操
作を繰り返すことにより、所要量の塗布液をブラシ部材
41aへ供給して使用に供されることとなる。上記タン
ク部50内に収容する塗布液成分は、特に限定されるも
のではなく、例えば、マニュキア液等の液体化粧料、液
体洗浄剤、液状薬剤などを挙げることができる。また、
タンク部50内に塗布液成分と共に収容する層分離成分
は塗布液成分よりも比重、表面張力が共に小さく、か
つ、タンク中を塗布液が自由に動けるものであることが
必要であり、また、塗布液成分が塗布により完全に消費
され塗布濃度が著しく低下しても、タンク部50内にな
お層分離成分が収容される量の層分離成分が必要とな
る。この必要量となる層分離成分としては、塗布液成分
よりも比重、表面張力が共に小さく、かつ、タンク中を
塗布液が自由に動ける特性を有するものであれば、特に
限定されるものではなく、例えば、上述のマーキングペ
ンの実施形態で示した特性の各種の層分離成分などが挙
げられる。
【0042】このように構成される本実施形態の液体塗
布具Dでは、上述の筆記具Cと同様の作用効果を有する
ものとなり、層分離成分がブラシ部材41aより流出し
た場合、すなわち、塗布描線が塗布液成分から上記特性
の層分離成分に変化した場合には、タンク部50内の塗
布液が完全に消費されたものとなり、タンク部50の交
換(サイン)を知らせるものとなる。なお、上記カート
リッジ式のタンク部50の交換は、尾栓60を塗布具本
体40から嵌合を解除することにより取り外ずした後、
タンク部50を取り外し、新しいタンクを上述のセット
方法によりセットすれば簡単に交換することができるも
のとなる。
【0043】このように構成される上述のインキ又は塗
布液を収容するカートリッジ式のインキタンク部等を備
えた筆記具、液体塗布具において、タンク部内に収容さ
れるインキ又は塗布液は、インキ成分又はマニュキア液
などの塗布液成分と、該インキ成分又は塗布液成分と層
分離する層分離成分とからなり、該層分離成分はインキ
成分又は塗布液成分よりも比重、表面張力が共に小さ
く、かつ、タンク部内を塗布液が自由に動けるものとす
ることにより、目的のインキ又は塗布液の残量の確認が
簡単かつ容易に達成できるものであり、インキタンク部
等内に収容する上記特性となる層分離成分以外の構成は
特に限定されるものではない。また、上記実施形態のカ
ートリッジ式のインキタンク部を備えた筆記具として
は、例えば、カートリッジ式のインキタンク部を備えた
サインペン、ボールペン、アンダーライン用マーカーな
どのマーキングペン、万年筆などに適用でき、更に、カ
ートリッジ式の塗布液を収容したタンク部を備えた各種
用途の液体塗布具にも適用できるものである。
【0044】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例に基づき更
に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。なお、実施例1〜7及び比較例1〜5
は、直液式の筆記具の実施例及び比較例であり、実施例
8及び比較例6は、カートリッジ式のインキタンク部を
備えた筆記具の実施例及び比較例である。
【0045】〔実施例1〕インキタンクには、図1に示
すような、インキタンク内側の視認部にリブ等の形状を
有しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレン(PP)で表面張力が32
dyn/cm(at25℃)のものを用いた。
【0046】 インキ組成 (1)インキ成分組成 (重量%) 精製水 55.0 プロピレングリコール 17.0 グリセリン 5.0 防腐剤(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン) 0.3 樹脂(アクリル系エマルション) 7.0 分散剤(スチレン−アクリル系分散樹脂) 0.7 カーボンブラック 15.0 表面張力 35dyn/cm(at25℃) 比重 1.07(at25℃) 粘度 4.5mPa・s(at25℃)
【0047】(2)層分離成分には、デカメチルシクロペ
ンタシロキサン(KF995;信越化学工業社製)を用
いた。 表面張力 17.8dyn/cm(at25℃) 比重 0.956(at25℃) 粘度 3.8mPa・s(at25℃) インキタンクに上記インキ成分を1.5ccと層分離成
分を0.1ccを充填し視認部が完全にインキ成分で覆
われるようにした。これを図1に示すような筆記具に組
立て下記方法により視認性の試験を行った。
【0048】〔視認性の試験〕視認性の試験方法として
は、ペン先を下向きにして視認部をインキ成分で覆う。
次いで、ペン先を上向きにしてインキ成分が視認部より
下に位置するようにする。このときに視認部でインキ切
れしてインキ残量が確認できるようになるまでの時間を
測定することにより視認性の性能評価を行った。この結
果を下記表1に示す。
【0049】〔実施例2〕インキタンクには、図1に示
すようなインキタンク内側の視認部にリブ等の形状を有
しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレンで表面張力が32dyn/
cm(at25℃)のものを用いた。
【0050】 インキ組成 (1)インキ成分組成 (重量%) プロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0 樹脂(アルキルフェノール樹脂) 7.0 染料(黒) 13.0 表面張力 24dyn/cm(at25℃) 比重 0.950(at25℃) 粘度 4.7mPa・s(at25℃) (2)層分離成分には、ジメチルシリコーンオイル(KF96−10;信越化学工 業社製)を用いた。 表面張力 20.0dyn/cm(at25℃) 比重 0.940(at25℃) 粘度 9.4mPa・s(at25℃) インキタンクに上記インキ成分を1.5ccと層分離成
分を0.1ccを充填し視認部が完全にインキ成分で覆
われるようにした。これを図1に示すような筆記具に組
立て上記実施例1の方法と同様に視認性の試験を行っ
た。この結果を下記表1に示す。
【0051】〔実施例3〕インキタンクには、図2に示
すようなインキタンク内側の視認部にリブ等の形状を有
しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレンで表面張力が32dyn/
cm(at25℃)のものを用いた。
【0052】 インキ組成 (1)インキ成分組成 (重量%) 精製水 55.0 プロピレングリコール 17.0 グリセリン 5.0 防腐剤(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン) 0.3 樹脂(アクリル系エマルション) 7.0 分散剤(スチレン−アクリル系分散樹脂) 0.7 カーボンブラック 15.0 表面張力 35dyn/cm(at25℃) 比重 1.07(at25℃) 粘度 4.5mPa・s(at25℃) (2)層分離成分には、α−オレフィンオリゴマー(炭化
水素油、SHF-20、モービル社製)を用いた。 表面張力 27.2dyn/cm(at25℃) 比重 0.80(at25℃) 粘度 6.5mPa・s(at40℃) インキタンクに上記インキ成分を1.5ccと層分離成
分を0.1ccを充填し視認部が完全に着色成分で覆わ
れるようにした。これを図2に示すような筆記具に組立
て上記実施例1の方法と同様に視認性の試験を行った。
この結果を下記表1に示す。
【0053】〔実施例4〕インキタンクには、図1に示
すようなインキタンク内側の視認部にリブ等の形状を有
しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレンで表面張力が32dyn/
cm(at25℃)のものを用いた。
【0054】 インキ組成 (1)インキ成分組成 (重量%) 精製水 55.0 プロピレングリコール 17.0 グリセリン 5.0 防腐剤(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン) 0.3 樹脂(アクリル系エマルション) 7.0 分散剤(スチレン−アクリル系分散樹脂) 0.7 カーボンブラック 15.0 表面張力 35dyn/cm(at25℃) 比重 1.07(at25℃) 粘度 4.5mPa・s(at25℃) (2)層分離成分組成 (重量%) α−オレフィンオリゴマー 98.0 (炭化水素油、SHF-20、モービル社製) ジメチルシリコーンオイル 2.0 (KF96−1万;信越化学工業社製) 表面張力 22.0dyn/cm(at25℃) 比重 0.805(at25℃) 粘度 6.0mPa・s(at25℃) インキタンクに上記インキ成分を1.5ccと上記二成
分からなる層分離成分を0.1ccを充填し視認部が完
全にインキ成分で覆われるようにした。これを図1に示
すような筆記具に組立て上記実施例1の方法と同様に視
認性の試験を行った。この結果を下記表1に示す。
【0055】〔実施例5〕インキタンクには、図1に示
すようなインキタンク内側の視認部にリブ等の形状を有
しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレンで表面張力が32dyn/
cm(at25℃)のものを用いた。
【0056】 インキ組成 (1)インキ成分組成 (重量%) プロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0 樹脂(アルキルフェノール樹脂) 7.0 染料(黒) 13.0 表面張力 24dyn/cm(at25℃) 比重 0.950(at25℃) 粘度 4.7mPa・s(at25℃) (2)層分離成分組成 (重量%) 流動パラフィン 99.0 (試薬1級、和光純薬工業社製) ジメチルシリコーンオイル 1.0 (KF96−5万;信越化学工業社製) 表面張力 21.9dyn/cm(at25℃) 比重 0.900(at25℃) 粘度 110mPa・s(at25℃) インキタンクに上記インキ成分を1.5ccと上記二成
分からなる層分離成分を0.1ccを充填し視認部が完
全にインキ成分で覆われるようにした。これを図1に示
すような筆記具に組立て上記実施例1の方法と同様に視
認性の試験を行った。この結果を下記表1に示す。
【0057】〔実施例6〕インキタンクには、図1に示
すようなインキタンク内側の視認部にリブ等の形状を有
しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレン(PP)で酸化防止剤、光
劣化防止剤、帯電防止剤を含まないものからなり、表面
張力が28dyn/cm(at25℃)のものを用い
た。
【0058】 インキ組成 (1)インキ成分組成 (重量%) 精製水 55.0 プロピレングリコール 17.0 グリセリン 5.0 防腐剤(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン) 0.3 樹脂(アクリル系エマルション) 7.0 分散剤(スチレン−アクリル系分散樹脂) 0.7 カーボンブラック 15.0 表面張力 35dyn/cm(at25℃) 比重 1.07(at25℃) 粘度 4.5mPa・s(at25℃) (2)層分離成分には、流動パラフィン100重量%(試
薬1級、和光純薬工業社製)を用いた。 表面張力 30.5dyn/cm(at25℃) 比重 0.870(at25℃) 粘度 105mPa・s(at25℃) インキタンクにインキ成分を1.5ccと層分離成分を
0.1ccを充填し視認部が完全に着色成分で覆われる
ようにした。これを図1に示すような筆記具に組立て上
記実施例1の方法と同様に視認性の試験を行った。この
結果を下記表1に示す。
【0059】〔比較例1〕上記実施例1において、層分
離成分を除いた筆記具を組立て上記実施例1の方法と同
様に視認性の試験を行った。この結果を下記表1に示
す。
【0060】〔比較例2〕上記実施例2において、層分
離成分を除いた筆記具を組立て上記実施例1の方法と同
様に視認性の試験を行った。この結果を下記表1に示
す。
【0061】〔比較例3〕上記実施例3において、層分
離成分を除いた筆記具を組立て上記実施例1の方法と同
様に視認性の試験を行った。この結果を下記表1に示
す。
【0062】〔比較例4〕インキタンクには、図1に示
すようなインキタンク内側の視認部にリブ等の形状を有
しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレン(PP)でインキタンク内
側の視認部表面にフッ素樹脂(フッ素系コーティング
剤:フロラード FC-722 住友スリーエム社製)をコー
トし、表面張力が12dyn/cm(at25℃)のも
のを用いた。インキ組成は、実施例3と同じものを用い
た。すなわち、表面張力35dyn/cm(at25
℃)、比重1.07(at25℃)、粘度4.5mPa・
s(at25℃)である。インキタンクに上記インキ成分
を1.5ccを充填し視認部が完全に着色成分で覆われ
るようにした。これを図1に示すような筆記具に組立て
上記実施例1の方法と同様に視認性の試験を行った。こ
の結果を下記表1に示す。
【0063】〔比較例5〕インキタンクには、図1に示
すようなインキタンク内側の視認部にリブ等の形状を有
しない平滑な面を有し内容積2.0ccのものを用い
た。材質は、ポリプロピレン(PP)でインキタンク内
側の視認部表面にフッ素樹脂(フッ素系コーティング
剤:フロラード FC-722 住友スリーエム社製)をコー
トし、表面張力が12dyn/cm(at25℃)のも
のを用いた。インキ組成は、実施例2と同じものを用い
た。すなわち、表面張力24dyn/cm(at25
℃)、比重0.950(at25℃)、粘度4.7mPa
・s(at25℃)である。インキタンクに上記インキ成
分を1.5ccを充填し視認部が完全に着色成分で覆わ
れるようにした。これを図1に示すような筆記具に組立
て上記実施例1の方法と同様に視認性の試験を行った。
この結果を下記表1に示す。
【0064】〔比較例6〕上記実施例6において、層分
離成分を除いた筆記具を組立て上記実施例1の方法と同
様に視認性の試験を行った。この結果を下記表1に示
す。
【0065】
【表1】
【0066】上記表1の結果から明らかなように、本発
明となる実施例1〜6の層分離成分を含有する直液式筆
記具は、比較例1〜6の層分離成分を含有しない直液式
筆記具に較べ、インキ残量の視認性にきわめて優れてい
ることが判明した。個別的に実施例をみると、実施例1
〜6は、インキタンク中のインキがインキ成分と、該イ
ンキ成分と層分離する層分離成分とからなり、該層分離
成分がインキ成分よりも比重、表面張力が共に小さく、
かつ、インキタンク中をインキが自由に動けるものであ
るので、インキ残量の視認性にきわめて優れていること
が判る。更に考察すると、実施例1〜5は、更に層分離
成分の表面張力がインキタンクを兼ねた軸部のインキ残
量を確認する視認部の表面張力よりも小さいものであ
り、実施例6は、層分離成分の表面張力がインキタンク
を兼ねた軸部のインキ残量を確認する視認部の表面張力
よりも大きいものであり、これらのいずれの場合も本発
明の目的を達成していることが判る。これに対して、比
較例1〜6は、層分離成分を含有しない直液式筆記具で
あり、特に、比較例4及び5は、更にインキタンクの内
部の視認部表面にフッ素樹脂をコートしたものであり、
これらの場合は、初期は5秒以内であったが、経時的
(5日放置後)にコーティング膜がインキタンク内壁表
面から離脱して効果が消失し、結局インキ残量が確認で
きるまでに比較例4では5分以上、比較例5では、20
分以上必要となった。
【0067】(実施例7及び比較例7)実施例7は、イ
ンキ成分として下記組成の水系インキ(比重1.07/
25℃)を使用した。 (インキ成分組成) 着色樹脂エマルショントナー(黄色) 50.0重量% (着色エマルション粒子径:0.5μm) 精製水 29.5重量% グリセリン 20.0重量% 防腐剤 0.5重量% 表面張力 35dyn/cm(at25℃) 比重 1.07(at25℃) 粘度 5mPa・s(at25℃)
【0068】(層分離成分)デカメチルシクロペンタシ
ロキサン(KF995;信越化学工業社製)を用いた。 表面張力 17.8dyn/cm(at25℃) 比重 0.956(at25℃) 粘度 3.8mPa・s(at25℃) 比較例7として、上記実施例7と同じインキを用いてシ
リコーンオイルの入っていないものを用いて下記方法に
より試験を行った。
【0069】また、この試験には、図6に示される筆記
具を使用した。該筆記具Eは、カートリッジ部となる軸
体兼用のインキタンク部70を備え、該インキタンク部
70は本体部71と螺合部72を介して着脱自在に取り
付けられている。インキタンク部70内に収容されるイ
ンキ73は中継芯74を介してペン芯75に導出され
る。なお、76は、コレクター部材である。
【0070】(試験方法)カートリッジ式のインキタン
ク部70に上記組成のインキ成分と上記層分離成分を夫
々2.0ccと0.2cc充填し、インキタンク部70
内のインキを完全に消費し筆記描線がかすれるまで筆記
したところで、上記組成のインキ成分と層分離成分とが
充填された新たなインキタンクカートリッジ兼軸体と交
換して、再び筆記し、筆記描線濃度を目視にて観察して
元の濃度と比較した。この操作を5回繰り返した。
【0071】上記試験結果をみると、実施例7の層分離
成分をインキ成分と共に充填したものは、5回インキタ
ンクカートリッジを交換等しても筆記描線濃度の低下は
全く見られなかったのに対して、比較例7の層分離成分
をインキ成分と共に充填しないものは、2回目からすで
に筆記描線濃度の低下が見られインキタンクカートリッ
ジの交換回数等と共に、著しく濃度低下をきたすものと
なった。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、インキ残量の視認性に
きわめて優れた直液式の筆記具及びカートリッジ式のイ
ンキタンク部を備えた筆記具が提供される。また、本発
明の筆記具によれば、インキタンク部内には従来のイン
キ成分と共に、インキ成分よりも比重、表面張力が共に
小さく、かつ該インキ成分と層分離する層分離成分を収
容するだけでよいので、生産性及び経済性に優れた筆記
具が提供される。更に、カートリッジ式のインキタンク
部を備えた筆記具では、インキタンク部のカートリッジ
の交換が何回でも可能となり、インキ成分が完全に消費
されてもペン芯等のペン先内が層分離成分で満ちた状態
にすることができ、また、インキ成分が完全に消費され
ると筆記描線はインキ成分から上記層分離成分の液体に
変化するのでインキタンク部等の交換時期を確実に視認
できるものとなる。更にまた、本発明の液体塗布具によ
れば、カートリッジ式のタンク部の交換時期を確実に視
認できると共に、新しいタンク部に交換しても元の塗布
液の流出量をそのまま維持できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直液式筆記具をマーキングペンに適用
した場合の実施形態の一例を断面態様で示す説明図であ
る。
【図2】(a)は、本発明の直液式筆記具をボールペン
に適用した場合の実施形態の一例を断面態様で示す説明
図、(b)は(a)のインキタンクを平面態様で示す説
明図である。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の筆記具の概略を
説明するための概略説明図である。
【図4】本発明の液体塗布具の一例を分解図態様で示す
断面図である。
【図5】図4の液体塗布具をセットした状態を示す断面
図である。
【図6】実施例7及び比較例7で使用した筆記具を示す
断面図である。
【符号の説明】
A 直液式の筆記具 10 インキタンク部(軸部) 11 インキ 12 インキ成分 13 層分離成分

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インキを貯留するインキタンク部を有す
    る筆記具において、インキタンク部内のインキがインキ
    成分と、該インキ成分と層分離する層分離成分とからな
    り、該層分離成分はインキ成分よりも比重、表面張力が
    共に小さく、かつ、インキタンク部内をインキが自由に
    動けることを特徴とする筆記具。
  2. 【請求項2】 前記筆記具は、インキタンク部を兼ねた
    軸部にインキ残量を確認する視認部を備えた直液式の筆
    記具である請求項1記載の筆記具。
  3. 【請求項3】 前記筆記具は、インキを収容するカート
    リッジ式のインキタンク部を備えた筆記具である請求項
    1記載の筆記具。
  4. 【請求項4】 層分離成分の表面張力がインキタンクを
    兼ねた軸部のインキ残量を確認する視認部の表面張力よ
    りも小さいものとなる請求項2記載の筆記具。
  5. 【請求項5】 層分離成分の粘度が、25℃において1
    0000mPa・s以下である請求項1〜4の何れか一
    つに記載の筆記具。
  6. 【請求項6】 インキ成分の粘度が、25℃において1
    00mPa・s以下である請求項1〜5の何れか一つに
    記載の筆記具。
  7. 【請求項7】 塗布液を貯留するカートリッジ式のタン
    ク部を備えた液体塗布具において、上記タンク部の塗布
    液が塗布液成分と、該塗布液成分と層分離する層分離成
    分とからなり、該層分離成分は塗布液成分よりも比重、
    表面張力が共に小さく、かつ、タンク中を塗布液が自由
    に動けることを特徴とする液体塗布具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002055318A1 (fr) * 2001-01-10 2002-07-18 Mitsubishi Pencil Kabushiki Kaisha Instrument d'ecriture, capuchon pour instrument d'ecriture et procede d'assemblage du capuchon
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