JP2000037986A - スライド栓付き塗布具 - Google Patents

スライド栓付き塗布具

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JP2000037986A
JP2000037986A JP10225271A JP22527198A JP2000037986A JP 2000037986 A JP2000037986 A JP 2000037986A JP 10225271 A JP10225271 A JP 10225271A JP 22527198 A JP22527198 A JP 22527198A JP 2000037986 A JP2000037986 A JP 2000037986A
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liquid
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sliding plug
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Hisanari Fujita
尚成 藤田
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Sakura Color Products Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部にインキが貯留される筒状の本体部2の
先端にペン先部材3が設けられるとともに、本体部2の
後端には空気の流通を許す尾栓6が設けられ、本体部2
内の液体の後端側に、スライド栓5が軸方向摺動可能に
設けられた塗布具1において、スライド栓5の液密性、
摺動円滑性を確保しつつも、スライド栓5を透過してイ
ンキ溶剤が蒸発することを抑制する。 【解決手段】 スライド栓5の空気と接する部分に、本
体部2内のインキ溶剤がスライド栓5を透過して蒸発す
ることを抑制する蒸発抑制剤30を保持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラインマーカー、
ホワイドボ−ドマーカー、フェルトチップペンなどの塗
布具に関し、特に、多量のインキを貯蔵するために流動
性を有する状態のままでインキが内蔵され、そのインキ
の後端にインキの消費につれて前進するスライド栓が配
置されたスライド栓付き塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】ラインマーカー等の塗布具には、発色が
良好な水性インキや、アルコールを溶媒とする油性イン
キが使用されることが多い。また旧来のラインマーカー
等では、インキは、筒状の本体内に配された中綿にしみ
込ませた状態で塗布具に内蔵されていたが、近年ではよ
り多量のインキを貯蔵するために、流動性を有する状態
のままでインキが筒状本体内に直接的に内蔵される塗布
具が採用される場合が多い。
【0003】この塗布具は、例えば特公平7−1131
01号公報、特開平6−92082号公報、特開平6−
92083号公報に開示されているように、内部にイン
キが貯留される筒状の本体部の先端にペン先部材が設け
られるとともに、本体部の後端に空気の流通を許す尾栓
が設けられ、本体部内のインキの後端側にスライド栓が
軸方向摺動可能に設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記スライド栓付き塗
布具では、インキの液密性を確保しつつもインキの流出
に従ってスライド栓が軸方向に円滑に摺動するものであ
るため、このスライド栓は弾力性のある材質である必要
があり、通常はゴムが用いられている。しかし、ゴムは
一般的に成形されたプラスチックに比較して、インキ中
の溶剤の透過率が大きい。その理由は、ゴムは、分子間
すきまが大きいことに起因するものと考えられる。例え
ば、エタノールの50°Cでの減量率は、ポリプロピレ
ンに比較して、ブチルゴムで約5倍、シリコンゴムでは
約500倍にも達する。
【0005】また、ゴムの耐溶剤性は実験しなければわ
からないという問題もある。したがって、耐溶剤性があ
り、溶剤が蒸発して透過する率が少なく、かつ、塗布具
本体内を軸方向に摺動するのに適当な弾性を有するゴム
を得ることは極めて困難であり、現実には比較的溶剤透
過率の低いブチルゴムによりスライド栓が構成されてい
るが、ブチルゴムは、炭化水素系溶剤インキには使用で
きず、アルコール系溶剤インキ及び水性インキに限られ
てしまう。結局、スライド栓付き塗布具では、アルコー
ル系溶剤インキ及び水性インキとブチルゴム性スライド
栓の組み合わせに限定されている。また、ブチルゴム
は、ゴムのなかでは粘性が強く、クリープ現象も観察さ
れ、経時的にインキ流出性が低下することがある。
【0006】そこで、本発明は、スライド栓が移動する
ための適切な弾性と液密性を確保しつつも、インキ中の
溶剤がスライド栓を透過して蒸発してしまうことを防止
し得るスライド栓付き塗布具を提供し、スライド栓の構
成材料とインキの組み合わせの多様化を図ることを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明が講じた技術的手段は、内部に液体が貯留さ
れる筒状の本体部の先端にペン先部材が設けられるとと
もに、本体部の後端には空気の流通を許す尾栓が設けら
れ、本体部内の液体の後端側にスライド栓が軸方向摺動
可能に設けられた塗布具において、前記スライド栓に、
スライド栓とは異なる組成物からなる蒸発抑制層を設け
ることである。
【0008】かかる本発明によれば、スライド栓自体
は、円滑な摺動と液密性を確保するための適当な弾性を
有する材料、例えばブチルゴムやシリコンゴムを用いつ
つも、このスライド栓に設けられる層を、例えば、シリ
コングリス、マイクロクリスタルワックス、或いは高粘
度高沸点物質又はそれらに流動性改良剤を加えて、更に
高粘度化、降伏値の付与を行なったグリース状の蒸発抑
制剤により構成することによって、本体部内の液体が透
過して蒸発してしまうことが抑制される。
【0009】本体部内の液体が蒸発することを抑制する
蒸発抑制剤を、スライド栓の空気と接する部分に保持さ
せる構成にすれば、蒸発抑制剤が本体部内の液体に混入
することがないとともに、スライド栓を本体内に挿通す
る際にスライド栓に蒸発抑制剤を塗布すればよく、製造
の容易化が図られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1〜図5は本発明のスライド栓
付き塗布具1の各実施の形態をそれぞれ示しており、塗
布具1は、本体部2、ペン先部材3、弁部材4、スライ
ド栓5および尾栓6によって構成される。またペン先部
材3は、さらにペン先チップ7とスライドホルダー8に
よって構成される。なお、本体部2の前端側には、ペン
先部材3を覆うキャップ28が着脱自在に外嵌されてい
る。
【0011】上記本体部2は、インキ貯留部9(液体貯
留部)の一部としての機能を果たすものであり、インキ
の残量が目視できる様に、透明又は半透明の素材によっ
て作られた円筒体である。本体部2の内部は、概ね均一
な断面円形の空洞となっているが、先端近くの部位に
は、括れ部10が設けられている。ペン先チップ7は、
断面円形状を呈し、例えばポリエステルやアクリルの繊
維束からなるチップ等で、先端からインキが滲み出され
る。ペン先チップ7の後端側11は、若干小径に構成さ
れている。
【0012】スライドホルダー8は、前記したペン先チ
ップ7を保持するものである。スライドホルダー8は筒
状であって中心部に有底のペン先挿入穴12が設けられ
ている。ペン先挿入穴12の奥側には、小径に作られた
小径穴部13が設けられている。またスライドホルダー
8の外形側の基部には、小径筒状の嵌合部14が突設さ
れている。嵌合部14には、径方向に貫通孔15が形成
されている。貫通孔15は、液体流通路として機能し、
本体部2内のインキ貯留部9とペン先挿入穴12を連通
させる。
【0013】上記ペン先チップ7の後端側の小径部分1
1は、ペン先挿入穴12に挿入されている。そしてペン
先チップ7とスライドホルダー8が一体となってペン先
部材3を構成している。スライドホルダー8は、ペン先
チップ7を保持したままの状態で、本体部2の先端部分
に軸方向に摺動自在に内嵌されている。
【0014】弁部材4は、弾性材料からなり、中心に円
形の挿通孔16を有する円環板状を呈している。弁部材
4は、前記した本体部2の括れ部10の近傍に内蔵され
ている。そして弁部材4の外周面は、本体部2の内周面
に密着していると共に、スライドホルダー8の後端に設
けられた嵌合部14が、弁部材4の挿通孔16に密着状
に挿通されている。その結果、弁部材4の挿通孔16
は、スライドホルダー8の嵌合部14によって閉塞され
ている。また一方、スライドホルダー8の嵌合部14に
設けられた貫通孔15は、挿通孔16を形成する弁部材
4の内周面によって閉塞されている。
【0015】本体部2の後端側には、スライド栓5が軸
方向摺動自在に挿入されている。スライド栓5は、ゴム
又は樹脂によって作られたものであり、その外周部に、
本体部2の内面に液密状に接するシール部5aが形成さ
れている。そしてスライド栓5と弁部材4の間にインキ
が充填されており、当該部位が液体貯留部9として機能
する。スライド栓5の前端は、液体貯留部9内のインキ
の後端側の液面と密接しており、液面が前後に移動する
と、スライド栓5もこれに伴って移動し、液体貯留部9
内がインキで完全に満たされた状態を保つ。
【0016】なお、インキとしては、プロピレングリコ
ールモノエチルエーテル(PM)が主溶剤のものや、エ
チルシクロヘキサンが主溶剤のもの、水性インキ等、ス
ライド栓5の材質に応じた種々のものを選定できる。P
M主溶剤の黒、赤、及び青色インキのそれぞれの組成例
を表1に示す。ここで、「タマノール#510」は荒川
化学工業製のアルキルフェノール樹脂、「ニッカノール
HP100」は三菱瓦斯化学製のキシレン樹脂、「バリ
ファーストブラック3810」はオリエント化学製の
C.I.Sol Black29、「スピロンレッドC
GH」は保土谷化学製のキサンテン系赤色染料、「スピ
ロンブルーCRH」は保土谷化学製のトリフェニールメ
タン系青色染料である。
【0017】
【表1】
【0018】また、エチルシクロヘキサン主溶剤の青色
インキの組成例を表2に示す。ここで、「テスポール1
044」は日立化成製のロジンエステル樹脂、「オイル
ブルー#8」は中央合成製のC.I.Sol Blue
5である。
【0019】
【表2】
【0020】また、水性の赤インキの組成例を表3に示
す。ここで、「アシッドフロキシンPB」は保土谷製の
C.I.Acid Red 92、「エオシンGH」は
保土谷製のC.I.Acid Red 87、「タート
ラジンコンク」は保土谷製のC.I.Acid Yel
low 23である。
【0021】
【表3】
【0022】スライド栓5の空気と接する部分、即ち、
スライド栓5の後端面には保持部29が形成されてお
り、本体部2の液体貯留部9内に充填されたインキ中の
溶剤が透過して蒸発することを抑制する蒸発抑制層が形
成されるように、保持部29に、スライド栓5とは異な
る組成物からなる蒸発抑制剤30が保持されている。
【0023】このような蒸発抑制剤30としては、ラノ
リン、シリコングリス、機械用グリスなどのグリース
類、又はポリブテン、グリセリン、ポリグリセリン、ポ
リグリセリンアルキルエステル、ポリプロピレングリコ
ール、ヂオクチル、ステアリン酸イソブチルエステル、
シリコンオイル等の高沸点、高粘度液体又はそれらに増
粘剤、ゲル化剤、チクソトロピー性付与剤等を添加した
ものを用いることができる。
【0024】好ましくは、高沸点でインキ溶剤に不溶の
液体又はペースト状物質からなる蒸発抑制主剤に、該主
剤を増粘又は揺変性にする増粘改良剤を添加混合して、
スライド栓5の保持部29からの流出を防止する。蒸発
抑制主剤としては、シリコンオイルやシリコングリスの
他、ポリブテンや流動パラフィン等の炭化水素を用いる
ことができる。さらに、ラノリン、ひまし油、マイクロ
クリスタルワックス、モノグリセライド等の油脂や加工
品を用いてもよく、ポリプロピレングリコール等のポリ
エーテル系合成油を用いることもできる。最も好適なも
のとしては、シリコングリス、ポリブテン、ポリエーテ
ル系合成油が挙げられ、シリコングリス等は有利に用い
ることができる。
【0025】粘性改良剤としては、ポリアミド、イソコ
レステロール、アミノ酸系ゲル化剤、ベンジリデンソル
ビトール系、アルミナシリケート、微粉末シリカ等の無
機物の増粘、揺変又はゲル化剤を用いることができ、ポ
リアミド、ベンジリデンソルビトール、微粉末シリカが
好適である。この粘性改良剤は必要に応じて用いればよ
く、蒸発抑制主剤との組み合わせにより異なる。
【0026】粘性改良剤が過剰のときは、流動性を失
い、保持部29に保持させることが困難となるととも
に、保持させた後においても、スライド栓の摺動に付い
ていかなくなる。一方、粘性改良剤が過少のときは、保
持部29から蒸発抑制剤30が流出してしまう。したが
って、蒸発抑制主剤に応じた適切な粘性改良剤を、適当
な量だけ添加すべきである。例えば、信越化学工業株式
会社製のシリコンオイルであるシリコーンKF−54
に、ヘンケル社製のポリアミドであるパーサミド335
を0.001重量%添加して蒸発抑制剤とすることがで
きる。また、日本油脂製のポリブテンであるニッサンポ
リブテン3Nに、新日本理化株式会社製のベンジリデン
ソルビトール系ゲル化剤であるゲルオールDを0.00
5重量%添加して蒸発抑制剤とすることができる。
【0027】なお、スライド栓5の形状、構造は特に限
定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、
図1に示す実施の形態では、スライド栓5に後端側に開
口する有底筒状の保持部29を形成し、この保持部29
内に蒸発抑制剤30を充填するとともに、後端に形成し
たシール部5aの空気と接する面(後端面)上にも塗布
することにより蒸発抑制層を構成している。
【0028】また、図2に示す実施の形態では、保持部
29の内面とシール部5aの後端面に蒸発抑制剤30を
ほぼ均一に塗布することにより蒸発抑制層を構成してい
る。
【0029】また、図3に示す実施の形態では、シール
部5aはスライド栓5の前端に設けられており、保持部
29の底面に抑制剤30を塗布することにより蒸発抑制
層が構成されている。
【0030】また、図4に示す実施の形態では、スライ
ド栓5は、その軸方向中途部に設けられた仕切り壁部5
bにより液体貯留部9と尾栓側空間24とが仕切られて
いるとともに、その外周にシール部5aが設けられてい
る。そして、仕切り壁部5bとシール部5aの空気と接
する部分、即ち後端面により構成される保持部29に蒸
発抑制剤30が塗布されて、蒸発抑制層が構成されてい
る。
【0031】また、図5に示す実施の形態では、スライ
ド栓5は、前端側に開口する有底筒状に構成され、その
前端にシール部5aが設けられ、このスライド栓5の空
気と接する部分が保持部29とされており、この保持部
29に蒸発抑制剤30が塗布されて蒸発抑制層が構成さ
れている。その他、スライド栓5の内部に保持部を形成
して、その保持部内に蒸発抑制剤を注入することにより
蒸発抑制層を構成することもできる。
【0032】尾栓6は、本体部2の後端に設けられてい
る。尾栓6には内外に連通する空気連通孔17が設けら
れている。この尾栓8の素材としては、変形が容易なも
のが選択採用されている。具体的には、ブチルゴム、天
然ゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム、スチレンブタ
ジエンゴム等のゴム素材を採用することが推奨される。
【0033】尾栓6の形状は、筒状であって、前端側
(ペン先部材側)が完全に開放されている。また後端側
は、天面18を持つ。すなわち尾栓6は、外周面19と
後端の天面18を持つ円筒体であり、その内部は空洞で
ある。尾栓6には、天面18の中心部に空気流通孔17
が設けられている。空気流通孔17は、筒状部19を有
し、筒状部19は尾栓6の内部にノズル状に延びてい
る。
【0034】尾栓6の外周面19には、フランジ部20
が設けられ、尾栓6の外周面19は当該フランジ部20
を境として前端部21と後端部22に分けられている。
また尾栓6の前端部21には、環状の突起23が設けら
れている。この突起23は、尾栓6が脱落することを防
ぐことを第一の目的とし、さらに尾栓6の外周面19
と、本体部2の内面との密着性を向上させて、両者の間
の気密性を確保することをもう一つの目的とするもので
ある。そして尾栓6は、その前端部21が本体部2の内
部に挿入され、後端部22は本体部2の後端から露出し
ている。
【0035】次に本実施形態の塗布具1の使用方法につ
いて説明する。本実施形態の塗布具1では、使用に先立
って、尾栓6の後端部の天面18を親指で押すと、本体
部2から真っ直ぐに突出していた尾栓6の後端部22が
変形するとともに、空気流通孔17は必然的に親指によ
って封鎖される。
【0036】その結果、内部に空気が閉塞された状態
で、尾栓6が変形し、尾栓の容積が減少して尾栓6と連
続する本体部2内の圧力が上昇する。より具体的には、
スライド栓5と尾栓6との間の空間24の圧力が上昇す
る。その結果、スライド栓5が前進し、液体貯留部9の
容積を減少させる。したがって液体貯留部9の圧力が上
昇し、負圧状態が解消される。
【0037】その後、ペン先チップ7を紙等に押しつ
け、弁部材4を開放して液体貯留部9内のインキをペン
先チップ7に流出させ、所望の筆記を行う。より詳細に
説明すると、ペン先チップ7を紙等に押しつけるとき、
ペン先チップ7のスライドホルダー8が本体部2の液体
貯留部9側に後退移動し、スライドホルダー8は、弁部
材4の中央部分を押圧する。
【0038】すると弁部材4の中央が液体貯留部9側に
突入状態に変形し、液体貯留部9内の圧力が僅かに上昇
する。そして弁部材4が液体貯留部9側に突入状態に変
形することにより、挿通孔16の内周面が貫通孔15か
ら離間し、液体貯留部9とペン先チップ7とが連通す
る。この結果、液体貯留部9内のインキは、貫通孔15
を介してペン先チップ7側に供給される。
【0039】この時、液体貯留部9内のインキが減少
し、インキの後端の液面がペン先側に前進する。ここ
で、スライド栓5は前記した様にインキの後端の液面及
び本体部2の内周面と密接しているため、インキの液面
の移動と共に、スライド栓5が前進し、液体貯留部9内
がインキで満たされた状態を保つ。
【0040】またスライド栓5の前進により、スライド
栓5と尾栓6との間の空間24の容積が増加するが、尾
栓6には空気流通穴17が設けられており、スライド栓
5と尾栓6との間の空間24は、常に大気圧となる。そ
のため当該空間24の容積が増大しても、当該空間24
が負圧となることはなく、スライド栓5の前進に支障は
ない。
【0041】塗布が終了し、ペン先チップ7を紙面から
離間させると、弁部材4は自己の弾性力によりスライド
ホルダー8を前進させ、元の閉塞姿勢に復帰する。この
スライドホルダー8の復帰により、前記貫通孔15は再
度閉塞され、液体貯留部9からのインキの供給が遮断さ
れる。
【0042】
【実施例】上記した塗布具1において、本体部2及びキ
ャップ28をポリプロピレン(PP)で構成し、液体貯
留部9内にプロピレングリコールモノメチルエーテル
(PM)、エチルシクロヘキサン又は水を主溶剤とした
染料インキを詰め、種々の蒸発抑制剤30をスライド栓
5に保持させたものと保持させないものを、50°Cの
大気中に2週間保管して、ペンの重量変化を計量するこ
とにより、インキ溶剤の蒸発量を求めた。その結果を表
4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】なお、表中、「PM」はダウケミカル社製
のプロピレングリコールモノメチルエーテル、「エチル
シクロヘキサン」は丸善石油株式会社製のエチルシクロ
ヘキサン、「ポリブテン」は二本油脂株式会社製のニッ
サンポリブテン3N、「ラノリン」は吉川製油株式会社
製の工業用ラノリン、「50MB−168」は日本油脂
株式会社製のポリエーテル系合成油であるニッサンユニ
ルーフ50MB−168、「MB−700」は日本油脂
株式会社製のポリエーテル系合成油である日参ユニルー
フMB−700である。
【0045】この実験例から、蒸発抑制剤30をスライ
ド栓5に保持させることにより、インキ溶剤の蒸発量が
大幅に低減することは明らかである。特に、シリコンゴ
ムによりスライド栓5を構成する場合に抑制剤30の効
果が顕著であり、本発明により、スライド栓付き塗布具
において、スライド栓をシリコンゴムにより構成するこ
とができ、これにより炭化水素系溶剤を有するインキを
用いることが可能となる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、スライド栓の空気と接
する部分に、本体部内の液体がスライド栓を透過して蒸
発することを抑制する蒸発抑制剤を保持させたので、本
体部内の液体、例えばインキ中の溶剤等が蒸発してしま
うことを抑制することができるとともに、蒸発抑制剤が
保持されているスライド栓は液体が減るにしたがって液
体の後端とともに摺動されるので、本体部内に残存する
液体の量にかかわらず上記した蒸発抑制が液体の後端で
行なわれ、効率的に蒸発抑制を行なうことができる。ま
た、本発明は、スライド栓に、スライド栓とは異なる組
成物からなる蒸発抑制層を設けたことを特徴とするもの
であるから、スライド栓を、液密性と摺動性を確保する
のに適した弾性を有する材質から構成しながらも、蒸発
抑制層を、本体部内に充填された液体、例えばインキ中
の溶剤が蒸発することを抑制する性質を有する組成物に
より構成することができる。したがって、スライド栓の
構成材料の蒸発抑制作用は必要ではなく、種々の材料、
例えばシリコンゴムなどの溶剤透過率の大きいものを用
いることができ、これに伴い、本体部内に充填される液
体として種々のものを選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスライド栓付
き塗布具を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るスライド栓付
き塗布具を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係るスライド栓付
き塗布具を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係るスライド栓付
き塗布具を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係るスライド栓付
き塗布具を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 スライド栓付き塗布具 2 本体部 3 ペン先部材 5 スライド栓 30 蒸発抑制剤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に液体が貯留される筒状の本体部の
    先端にペン先部材が設けられるとともに、本体部の後端
    には空気の流通を許す尾栓が設けられ、本体部内の液体
    の後端側に、スライド栓が軸方向摺動可能に設けられた
    塗布具において、 前記スライド栓の空気と接する部分に、本体部内の液体
    がスライド栓を透過して蒸発することを抑制する蒸発抑
    制剤が保持されていることを特徴とするスライド栓付き
    塗布具。
  2. 【請求項2】 内部に液体が貯留される筒状の本体部の
    先端にペン先部材が設けられるとともに、本体部の後端
    には空気の流通を許す尾栓が設けられ、本体部内の液体
    の後端側にスライド栓が軸方向摺動可能に設けられた塗
    布具において、 前記スライド栓に、スライド栓とは異なる組成物からな
    る蒸発抑制層を設けたことを特徴とするスライド栓付き
    塗布具。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003039875A (ja) * 2001-07-31 2003-02-13 Pentel Corp 筆記具

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