JPH1199790A - 筆記具 - Google Patents

筆記具

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JPH1199790A
JPH1199790A JP9262203A JP26220397A JPH1199790A JP H1199790 A JPH1199790 A JP H1199790A JP 9262203 A JP9262203 A JP 9262203A JP 26220397 A JP26220397 A JP 26220397A JP H1199790 A JPH1199790 A JP H1199790A
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JP
Japan
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ink
space
inner cylinder
balance liquid
writing
Prior art date
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Pending
Application number
JP9262203A
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English (en)
Inventor
Shinichi Ishikawa
真一 石川
Morio Akiyama
守雄 秋山
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Zebra Pen Corp
Original Assignee
Zebra Pen Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ペン先に掛かるインキの流動圧を一定圧に制御
した筆記具を提供する。 【解決手段】インキ2を流動的に直接収容し且つ後端を
開口させた内筒3と、この内筒3との間に空気交換溝8
を介して外部と流通する所要の断面積の空間5が確保さ
れるように該内筒3を同軸遊嵌状に内設し且つ後端を閉
鎖させた外筒4と、この外筒4と前記内筒3との前端開
口に備えるペン先1とを有し、所要の収容長さLAにて
流動的に収容されている内筒3内空間のインキ2との界
面9から連ねた状態でその後部側に、インキ2より比重
が小さいバランス液体A6-1 を所要の収容長さLBにて
流動的に収容する一方、このバランス液体A6-1 との界
面10から連ねた状態で外筒4内空間5の後部側に、イン
キ2と同程度の比重のバランス液体6-2 を所要の収容長
さLCにて収容する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、水性、油性インキ
がニュートン粘性のインキや非ニュートン粘性のインキ
を流動的に直接収容し、先端には該インキを回転により
筆記面に転写する転写ボールを回転可能に保持するペン
先を備えてなるボールペン並びにそのレフィール、又は
インキを毛細管現象により筆記面に転写する繊維等から
なるペン先を備えてなるマーカーペン並びにそのレフィ
ール等の筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、筆記具、例えば転写ボールを抱
持するペン先を先端に接続具備するボールペン等におい
てはペン先を下向きにした通常の下向き筆記において、
重力によるインキの流動力がペン先に掛かり、流動力に
よりインキがペン先に供給され、インキがペン先の先端
内部に回転可能に抱持されている転写ボールの回転によ
り筆記面に吐出転写されるように構成されている。又、
直液式マーカーペン等においては温度(外気温)、気圧
等の変化によるインキの吐出量を制御する蛇腹方式のイ
ンキ吐出制御体を介して先端にペン先を具備してなるも
の(例えば、実開平3−106087号、特開平6−127186号
公報等参照)、或いは筆圧により後退するペン体により
開弁する開閉弁体を有する弁機構を介してペン先を進退
可能に具備してなるものがある(例えば、実開昭60−41
284号、実公平4−35190 号公報等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、筆記姿勢と
しては前述したペン先側を下に向けた下向き筆記姿勢に
限らず、ペン先を斜め上方に向ける等のその筆記姿勢は
使用者によって様々である。この様に、ペン先を上向き
にした上向き筆記姿勢においては重力によるインキの流
動力がペン先側に掛からず、逆に重力による流動圧がイ
ンキ収容管等の後端側に掛かり、該後端側に向けてイン
キが流動するインキの逆流が起こる。従って、従来では
上向き筆記姿勢を取ると、ペン先へのインキの供給が不
十分となり、インキが掠れる等の不書きが生じたり、逆
流したインキが外部に流出し、手や衣服を汚す等の虞れ
があった。
【0004】又、従来のボールペンにおいては上向き筆
記時において重力によるインキの逆流を防止すべく、ペ
ン先を接続保持する継ぎ手内に設けた弁室に弁ボールを
内臓し、上向き筆記姿勢を取った際に弁ボールが弁室の
弁座に着座し、該弁座のインキ導入孔を閉弁せしめるこ
とで、インキの逆流を防止する逆流防止構造を具備した
筆記具が知られている(例えば、特開平7−276876号公
報等参照)。ところが、この従来の筆記具においてはイ
ンキが外部に流出する等を防ぐインキの逆流は防止でき
る反面、どうしても上向き筆記姿勢においてはインキの
ペン先側に掛かる流動圧が下向き筆記姿勢に比べて減少
し、結果として前述したようにペン先へのインキの供給
が不十分となり、インキが掠れる等の不書きを生じ、最
終的には筆記不能になってしまうものであった。
【0005】又、従来では上向き筆記姿勢において、イ
ンキが掠れる等の不書きを防ぐべく、インキが収容され
ているインキ収容部内のインキ後方に高圧の空気やガス
を封入し、上向き筆記姿勢において空気圧又はガス圧に
よりインキのペン先側に掛かる流動圧の減少を防いでイ
ンキがペン先に確実に供給されるようにした加圧式の筆
記具が知られている(例えば、特公昭50−35857 号、特
公昭50−35858 号公報等参照)。しかし乍ら、斯る従来
の筆記具においては外気温度の変化、そしてインキの減
少(消耗)等の変化に対応できず、実用化には至ってい
ないのが現状である。例えば、封入された空気やガスが
外気温度の変化により膨脹し、その結果としてインキの
ペン先に掛かる流動圧が必要以上に高くなり、インキが
ペン先から必要以上に吐出してしまうと言ったボタ落ち
現象等を引き起こす要因となる等の不具合が生じ、実用
化に難点を有するものであった。
【0006】本発明はこの様な従来事情に鑑みてなされ
たもので、その目的とする処は、下向き筆記は勿論、上
向き筆記等の各筆記姿勢、そしてインキの減少(消耗)
等に関わらずペン先に掛かるインキの流動圧を一定圧に
制御し得るように改良した筆記具を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を達成するための手段】課題を達成するために本
発明は、インキを流動的に直接収容し且つ後端を開口さ
せた内筒と、この内筒との間に空気交換手段を介して外
部と流通する所要の断面積の空間が確保されるように該
内筒を同軸遊嵌状に内設し且つ後端を閉鎖させた外筒
と、この外筒と前記内筒との前端開口に備えるペン先と
を有し、内筒内空間に収容されているインキの界面から
連ねた状態で外筒内の前記空間の後部側に、ペン先に掛
かるインキの流動圧を一定圧に制御するバランス液体を
流動的に収容してなり、該バランス液体が、インキより
比重が小さいバランス液体Aと、インキと同程度の比重
のバランス液体Bとの二種からなり、バランス液体Aを
ペン先から内筒内の空間の前部側に所要の収容長さにて
収容されているインキの界面から連ねた状態で内筒内空
間の後端開口に至るその後部側に所要の収容長さにて流
動的に収容する一方、バランス液体Bを前記バランス液
体Aの界面から連ねた状態で内筒内空間の後端開口を介
して連絡する外筒内空間の後部側に所要の収容長さにて
流動的に収容してなる事を要旨とする。斯る技術的手段
によれば、ペン先を下向きにした下向き筆記姿勢を取る
と、内筒内空間のインキとバランス液体Aが重力により
ペン先側に流動する動きを成すと同時に、バランス液体
Aと連なった状態で外筒内空間の後部側に収容されてい
るバランス液体Bも重力により該空間の前部側に流動す
る動きを成す。即ち、内筒内空間とこの空間の後端開口
を介して連絡する外筒内空間とには内筒内空間のインキ
とバランス液体Aとの合成単位面積当たりの重力と、外
筒内空間のバランス液体Bの単位面積当たりの重力とが
互いに相殺し合う重力の釣り合いが生まれる。それによ
り、内筒内空間のインキの単位面積当たりの重力が小さ
くなり、ペン先に掛かるインキの流動圧は軽減される。
一方、ペン先を上向きにした上向き筆記姿勢を取ると、
内筒内空間のインキとバランス液体Aが重力により該内
筒内空間の後部側に流動する動きを成すと同時に、外筒
内空間のバランス液体Bも重力により内筒の後端開口を
介して連絡する外筒内空間の後端側に流動する動きを成
す。即ち、内筒内空間のインキとバランス液体Aが重力
により後退するその動きが同じく重力により後退する外
筒内空間のバランス液体Bの動きにより制止され且つイ
ンキをペン先側に押し上げる押動力として作用する。こ
れにより、内筒内空間のインキは逆流することなく、ペ
ン先に掛かる流動圧は一定圧に制御される。そして、筆
記により内筒内空間のインキが減少(消耗)すると、減
少したインキの減少量と等量のバランス液体Bが内筒内
空間にその後端開口から流入する。これにより、内筒内
空間のインキとバランス液体Aの重力と該内筒内空間に
流入したバランス液体Bの一部の重力との合成単位面積
当たりの重力と、外筒内空間のバランス液体Bの単位面
積当たりの重力とが互いに相殺し合い、内筒内空間のイ
ンキの重力が小さくなり、ペン先側に掛かるインキの流
動圧は軽減される。インキは毛細管現象によりペン先の
先端まで流動し、筆記に供される。
【0008】又、本発明では上記内筒内の空間の断面積
と、内筒との間に確保された外筒内の空間の断面積との
比を、 に設定したことを要旨とする。斯る技術的手段によれ
ば、所要の収容長さにて収容されている内筒内空間のイ
ンキが筆記により減少(消耗)し、減少したインキの減
少量と等量のバランス液体Bが内筒内空間にその後端開
口から流入し、流入した分、外筒内空間におけるバラン
ス液体Bの収容長さも減少する。即ち、外筒内空間に所
要の収容長さにて収容されているバランス液体Bの該収
容長さは、筆記で減少する内筒内空間のインキの収容長
さの2分の1〜200 分の1に軽減される。これにより、
内筒内空間のインキの収容長さ、バランス液体Aの収容
長さ、インキの減少量と等量にて流入したバランス液体
Bの収容長さによるその合成単位面積当たりの重力と、
外筒内空間のバランス液体Bの収容長さによるその単位
面積当たりの重力とが互いに相殺し合う重力の釣り合い
が生まれて、ペン先に掛かるインキの流動圧は一定圧に
制御される。
【0009】又、本発明では上記内筒内の空間並びに外
筒内の空間に、インキ、バランス液体A、バランス液体
Bの軸方向における収容配列形態を崩さずに流動的に保
つ密に装填する細長い管体、又は内筒内の空間並びに外
筒内の空間を周方向並びに径方向に細分割するように軸
方向に設けた各仕切り壁間の空隙からなる細管構造を具
備してなり、且つ該細管構造を構成する細長い管体内個
々又は空隙個々の断面積を、0.0078〜0.283 平方センチ
メートルの範囲に設定した事を要旨とする。斯る技術的
手段によれば、インキより比重が小さい内筒内空間の後
部側に収容されるバランス液体Aが上向き筆記時におい
て、比重差によりインキ中を通過して上向きのペン先側
に移動すると言った逆転現象、又はインキ中に移動・混
入すると言った混入現象が起きたり、そして、下向き筆
記時において、比重差によりバランス液体Aがバランス
液体B中を移動・混入すると言った混入現象が起きた
り、更には下向き筆記時において、バランス液体Bの開
放表面が崩れて流動落下して先口等に開口されている空
気交換手段から外部に流出すると言った流出現象が起こ
る。この様な逆転現象、混入現象、流出現象が起き得な
いように阻止することができる。
【0010】又、本発明ではインキを流動的に直接収容
し且つ後端を開口させた内筒と、この内筒との間に空気
交換手段を介して外部と流通する所要の断面積の空間が
確保されるように該内筒を同軸遊嵌状に内設し且つ後端
を閉鎖させた外筒と、この外筒と前記内筒との前端開口
に備えるペン先とを有し、内筒内空間に収容されている
インキの界面から連ねた状態で該内筒内空間の後端開口
を介して連絡する外筒内の前記空間の後部側に、25℃に
おける粘度が1.0 〜30.000mpa・s のニュートン粘性を有
する物質、又はJIS K−2220における混和ちょ
う度が 500〜50の非ニュートン粘性を有する物質からな
るバランス液体を流動的に収容して、このバランス液体
によりペン先に掛かるインキの流動圧を一定圧に制御す
るようにしてなり、且つバランス液体が、インキより比
重が小さいバランス液体Aと、インキと同程度の比重の
バランス液体Bとの二種からなり、バランス液体Aをペ
ン先から内筒内空間の前部側に所要の収容長さにて収容
されているインキの界面から連ねた状態で該内筒内空間
の後端開口に至るその後部側に所要の収容長さにて流動
的に収容する一方、バランス液体Bを前記バランス液体
Aの界面から連ねた状態で内筒内空間の後端開口を介し
て連絡する外筒内空間の後部側に所要の収容長さにて流
動的に収容してなる事を要旨とする。斯る技術的手段に
よれば、ペン先を下向きにした下向き筆記、ペン先を上
向きにした上向き筆記等の各筆記姿勢、そして筆記によ
り内筒内のインキが減少(消耗)に関わらず前述したよ
うに、ペン先に掛かる流動圧は一定圧に制御することが
できる。そして、25℃における粘度が1.0 〜30.000mpa・
s のニュートン粘性を有する物質、又はJIS K−2
220における混和ちょう度が 500〜50の非ニュートン
粘性を有する物質からなるバランス液体A、バランス液
体Bを利用して前述した逆転現象、混入現象、流出現象
を起き得ないように阻止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の具体例を図面に基
づいて説明する。図1乃至図7は転写ボール1-2 を回転
可能に抱持するペン先1(通称、チップと称している)
を先端に備えるボールペンの例を示した本発明筆記具の
縦断面図で、インキ2を収容すると共に先口7を介して
ペン先1を先端に備える内筒3を、有底筒状の外筒4内
に同軸遊嵌状に内設すると共に、内筒3内空間に収容さ
れているインキ2の界面9から連ねた状態で該内筒3と
の間に所要の断面積にて確保される外筒4内空間5の少
なくとも後端側にバランス液体6を収容して、下向き筆
記、上向き筆記等の各筆記姿勢、そしてインキ2の減少
(消耗)に関わらずペン先1に掛かるインキ2の流動力
を一定圧に制御し得るように形成してなる。
【0012】ペン先1は、先端側を先細状に形成した長
さが11mmの洋白製細管1-1 の先端内部に、直径φが 0.7
mmの超硬合金製転写ボール1-2 を回転可能に抱持させて
なり、ポリプロピレン等の所望の合成樹脂材料からなる
先口7を介して内筒3内空間の先端開口に接続備えて、
下向き筆記、上向き筆記等の各筆記姿勢において、イン
キ2はペン先1に接触し、更に接触したインキ2が毛細
管現象により先端の転写ボール1-2 まで供給されるよう
になっている。
【0013】図中8は、先口7の1乃至数カ所に縦断面
略L字形の溝状に設けた空気交換手段(以後、空気交換
溝と言う)であり、この空気交換溝8によって内筒3と
の間に確保されている外筒4内空間5が外部と流通状態
に保たれるようになっている。つまり、筆記等に伴う内
筒3内空間のインキ2の減少(消耗)等に応じて前記外
筒4内の空間5に収容されているバランス液体6の後述
するバランス液体B6-2 が流動し得るようになってい
る。
【0014】内筒3は、ポリプロピレン等の所望の合成
樹脂材料にて内径D1が3mm程度、外径D2が5mm程度
(図2参照)、そして長さを120mm 程度とする前後端を
開口させた筒状に形成され、その内部空間の前端開口に
先口7を介して前述構成のペン先1を接続備えると共
に、内部空間の前部側にインキ2を、後部側にバランス
液体6の後述するバランス液体A6-1 を所要の収容長さ
にて夫々流動的に収容してなる。
【0015】外筒4は、ポリプロピレン等の所望の合成
樹脂材料にて内径D3が11mm程度、外径D4が13mm程度
(図2参照)、そして長さを127mm 程度とする後端を閉
鎖した有底筒状に形成され、その前端開口から内筒3が
同軸遊嵌状に内設されることで、該内筒3の外周面並び
にその後端開口との間に確保される空間5におけるその
後部側にバランス液体B6-2 を所要の収容長さにて流動
的に収容し得るように形成してなる。
【0016】バランス液体6は、下向き筆記、上向き筆
記等の各筆記姿勢、そしてインキ2の減少(消耗)に関
わらず筆記時にペン先1に掛かるインキ2の流動力を常
に一定圧に制御する。即ち、筆記行為によって回転する
ペン先1の転写ボール1-2 の回転により吐出するインキ
2の吐出量を一定量に制御する役目を成すもので、イン
キ2の比重より比重が小さいバランス液体A6-1 と、イ
ンキ2の比重と同程度の比重のバランス液体B6-2 との
二種からなり、バランス液体A6-1 とバランス液体B6-
2 とによって各筆記姿勢、そしてインキ2の減少(消
耗)等に関わらずペン先1に掛かる内筒3内空間のイン
キ2の流動力を一定圧に制御保持するものである。
【0017】バランス液体A6-1 は、前述した内径と長
さを有する内筒3内の空間に、ペン先1の後端開口から
該空間の前部側に所要の収容長さLAにて収容されてい
るインキ2との界面9から連ねた状態で該空間の後端開
口に至るその後部側に所要の収容長さLBにて流動的に
収容され(図1乃至図2参照)、ペン先1を下向きにし
た通常の下向き筆記姿勢において、バランス液体B6-2
との連繋(協動)でペン先1に掛かるインキ2の流動力
を一定圧に制御する。即ち、インキ2が収容長さLAに
て収容されている購入初期時から筆記に伴い減少(消
耗)するインキ2量の変化に関わらずペン先1に掛かる
該インキ2の流動力を、バランス液体B6-2 との連繋
(協動)で一定圧に制御する役目を成すもので、インキ
2の比重より小さい比重の物質、例えばスクアラン、ス
クアレン、流動パラフィン、ポリブデン、シリコンオイ
ル、ワセリン、αオレフィンのオリゴマー、鉱物油、植
物油、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル等の物質の内、一種又は選択されたに二種以上の複合
混合体とし、目的の比重、粘性又は混和ちょう度に調整
して使用するものである。又、このバランス液体A6-1
は、インキ2及びバランス液体B6-2 に対して非相溶
性、非混合性、非化学反応性であることが必要である。
【0018】バランス液体B6-2 は、前述した外径と長
さを有する内筒3と同じく前述した内径と長さを有する
外筒4との間に所要の断面積にて確保される空間5の後
部側に前記バランス液体A6-1 との界面10から連ねた状
態で所要の収容長さLCにて流動的に収容され(図1乃
至図2参照)、下向き筆記からペン先1を上向きにした
上向き筆記等の各筆記方向の筆記姿勢において、内筒3
内空間のインキ2とバランス液体A6-1 との合成単位面
積当たりの重力と、バランス液体B6-2 の単位面積当た
りの重力との釣り合いによってペン先1に掛かるインキ
2の流動力を一定圧に制御する。特に、インキ2が収容
長さLAにて収容されている購入初期時から筆記に伴い
減少(消耗)するインキ2量の変化に関わらずペン先1
に掛かる該インキ2の流動力を内筒3内空間のインキ2
とバランス液体A6-1 と流入したバランス液体B6-2 と
の合成単位面積当たりの重力と、バランス液体B6-2 の
単位面積当たりの重力との釣り合いによって一定圧に制
御保持する役目を成すもので、インキ2の比重と同程度
の比重の物質、例えばトリクレジルホスフェートを代表
とする無機酸エステル、フタル酸ヂメチルを代表とする
有機酸エステル、又はアルコールの単体及びそのエステ
ル等の適宜選択される比重の小さい流動性物質に、フェ
ノール樹脂を代表とする比重の大きい樹脂、テトラフェ
ニール錫を代表とする有機金属化合物、塩化亜鉛を代表
とする溶媒に可溶性無機物の内、一種又は選択された二
種以上の複合混合体とし、目的の比重、粘性又は混和ち
ょう度に調整して使用するものである。図1における長
さLDは、内筒3内空間のインキ2とバランス液体A6-
1 との合成単位面積当たりの重力と、外筒4内空間5の
バランス液体B6-2 の単位面積当たりの重力との釣り合
いによって該空間5の前部側に作られる前記インキ2と
バランス液体A6-1 との双方の収容長さLA+LBとバ
ランス液体B6-2 の収容長さLCとの差を意味するもの
である。
【0019】そして、本発明においてインキ2よりも比
重の小さい前述した例えばスクアラン等の物質からなる
バランス液体A6-1 並びにインキ2と同程度の比重の前
述した例えばトリクレジルホスフェートを代表とする無
機酸エステル等の物質からなるバランス液体B6-2 の物
理的・化学的特性を考慮する事が重要である。然るに、
インキ2より比重が小さく該インキ2との界面9から連
なった状態で内筒3内空間の後部側に収容長さLBにて
収容されるバランス液体A6-1 が上向き筆記時におい
て、比重差によりインキ2中を通過して上向きのペン先
1側に移動すると言った逆転現象、又はインキ2中に移
動・混入すると言った混入現象が起こる。そして、バラ
ンス液体B6-2 より比重が小さいバランス液体A6-1 が
下向き筆記時において、比重差によりバランス液体B6-
2 中を移動・混入すると言った混入現象が起こる。更に
は下向き筆記時において、バランス液体B6-2 の開放表
面11が崩れて流動落下し先口7に開口されている空気交
換溝8から外部に流出すると言った流出現象が起こる。
この様な逆転現象、混入現象、流出現象が起き得ないよ
うにすることが本発明を成立させる上で重要であり、そ
の防止策として例えば内筒3内空間並びに外筒4内空間
5に断面形状が丸形や三角、四角、五角、六角等の多角
形、図4に例示したように丸形筒状の細長い管体12を密
に装填せしめた細管構造を構設具備し、各細長い管体12
に流入せしめた状態で内筒3内空間並びに外筒4内空間
5に収容されたバランス液体A6-1 とインキ2との界面
9、そしてバランス液体A6-1 とバランス液体B6-2 と
の界面10での内筒3内空間並びに外筒4内空間5の内面
に作用する付着力と界面張力、更にバランス液体B6-2
の開放表面11での空間5の内面に作用する付着力と表面
張力とにより前述した逆転現象、混入現象、流出現象を
防止するようにしてなる。
【0020】又、図5に例示したように、直径が前述し
た細長い管体12の直径より太く、本数を減らした状態で
該管体12と同じく内筒3内の空間並びに外筒4内の空間
5に密に装填し得るように形成した管体13内に周方向を
含めたその筒内全面を碁盤目状に細分割するように軸方
向に伸びる仕切り壁14を設けて、この仕切り壁14間の空
隙15に前述したバランス液体A6-1 とインキ2との界面
9、そしてバランス液体A6-1 とバランス液体B6-2 と
の界面10での空隙15の内面に作用する付着力と界面張
力、更にバランス液体B6-2 の開放表面11での空隙15の
内面に作用する付着力と表面張力とによりバランス液体
A6-1 ,バランス液体B6-2 の逆転現象、混入現象、流
出現象を防止するようにすると良い。尚、この仕切り形
態を用いた逆転現象、混入現象、流出現象の防止構造は
管体13の成形(押出し成形)時に仕切り壁14を同時成形
により一体に設けることができることから、生産性の向
上が期待できる。又、この管体13を内筒3として利用す
ることは勿論自由である。
【0021】又、図6(イ)に例示したように、この仕
切り形態を外筒4内の空間5を周方向並びに径方向に碁
盤目状に細分割するように軸方向に伸びる内向き仕切り
壁16を設けて、各内向き仕切り壁16間の空隙17内のバラ
ンス液体A6-1 とバランス液体B6-2 との界面10での空
隙17の内面に作用する付着力と界面張力、そしてバラン
ス液体B6-2 の開放表面11での空隙17の内面に作用する
付着力と表面張力とによりバランス液体B6-2 の流出現
象を防止するようにすると良い。この場合、二点鎖線で
示したように、外筒4内の空間5を周方向に仕切る各仕
切り壁16の内向き突端が、外筒4内の軸芯に組み込み内
設される内筒3の外周面を支持する役目を成すと共に、
外筒4の強度を強化する役目を成す。そして、前述した
管体13と同じく、外筒4の成形時に仕切り壁16を同時成
形により一体に設けることができることから、生産性の
向上が期待できる。又、図6(ロ)に例示したように、
内筒3も同時成形により一体に内設することで、その組
み込み作業が不要となり、より一層の生産性の向上が期
待でき、ひいては、コストの削減も期待できるものであ
る。
【0022】更に、本発明では前述した内筒3内の空間
の断面積と、外筒4内の空間5の断面積との比を、 に設定する事が、本発明を成立させる上で重要である。
然るに、購入初期時において前述した収容長さLAにて
収容されている内筒3内空間のインキ2は筆記により減
少(消耗)して行く。そして、減少したインキ2の減少
量と等量のバランス液体B6-2 が内筒3内空間にその後
端開口から流入し、バランス液体B6-2 が外筒4内空間
5から内筒3内空間に流入した分、該空間5におけるバ
ランス液体B6-2 の収容長さLCも減少する。即ち、外
筒4内の空間5のバランス液体B6-2 の収容長さLC
は、筆記で減少する内筒3内空間のインキ2の収容長さ
LAの2分の1〜200 分の1に軽減される。これによ
り、下向き筆記又は上向き筆記でも内筒3内空間のイン
キ2の収容長さLA-1、バランス液体A6-1 の収容長さ
LB、インキ2の減少量と等量にて流入したバランス液
体B6-2 の収容長さLC-2による合成単位面積当たりの
重力と、外筒4内空間5のバランス液体B6-2 の収容長
さLC-1によるその単位面積当たりの重力とが互いに相
殺し合う重力の釣り合いが生まれる(図7の状態)。従
って、ペン先1に掛かるインキ2の流動圧は内筒3内の
インキ2が筆記により減少しても一定圧に制御される。
【0023】又、内筒3内の細管構造を構成する各細長
い管体12又は各空隙15,17個々の断面積と、外筒4内空
間5の細管構造を構成する各細長い管体12又は各空隙1
5,17個々の断面積を、0.0078〜0.283 平方センチメー
トルの範囲に設定する事が、本発明を成立させる上で重
要であり、この場合、断面積が0.0078平方センチメート
ルでは細管12の直径が1mmであり、断面積が0.283 平方
センチメートルでは細管12の直径が6mmである。
【0024】又、前述したバランス液体A6-1 ,バラン
ス液体B6-2 の逆転現象、混入現象、流出現象を防止す
る他の方法として、インキ2、バランス液体A6-1 、バ
ランス液体B6-2 これら液体間の非相溶性、非混合性等
の物理的・化学的特性を考慮し、インキ2とバランス液
体A6-1 との界面9、バランス液体A6-1 とバランス液
体B6-2 との界面10、そして開放するバランス液体B6-
2 の開放表面11が衝撃等により崩れたりしないようにす
る意味合いを含めて、25℃における粘度が1.0〜30.000m
pa・s のニュートン粘性を有する物質、又はJIS K
−2220における混和ちょう度が 500〜50の非ニュー
トン粘性を有する物質を用いることで可能となる。この
場合、ニュートン粘性を有する物質の粘度、又は非ニュ
ートン粘性を有する物質の混和ちょう度は内筒3内空間
並びに外筒4内空間5の断面積の大きさ等の関係によっ
て適宜選択設定されるものである
【0025】次に、下記に示す条件からなるペン先、内
筒、外筒、インキ、バランス液体A、バランス液体Bを
用いて構成した筆記具(以後、本製品と言う)と従来周
知の筆記具(以後、従来品と言う)との下向き筆記、上
向き筆記における筆記性能テストの試験結果を説明す
る。
【0026】実施例1(油性ボールペン) 1.ペン先 長さが11mmの洋白製細管の先端内部に、直径φが 0.7mm
の超硬合金製転写ボールを回転可能に抱持させ、ポリプ
ロピレン製先口を用いて内筒内空間の先端開口に接続備
える。 2.内筒 ポリプロピレン製で、内径D1が3mm、外径D2が5m
m、長さが120mm 3.外筒 ポリプロピレン製で、内径D3が11mm、外径D4が13m
m、長さが127mm 4.インキ 油性ボールペン用黒色インキで、内筒内空間への収容長
さLAが65mm 5.バランス液体A(非ニュートン粘性) スクアラン98.8%(日光ケミカルズ(株))とゲルオー
ル T 1.2%(新日本理化(株))との複合混合体
で、内筒内空間への収容長さLBが100mm 6.バランス液体B(非ニュートン粘性) トリクレジルホスフェート95.5%((株)大八化学工業
所)とゲルーオル D0.5%(新日本理化(株))との
複合混合体で、外筒内空間への収容長さLCが 136mm 7.インキ、バランス液体A、バランス液体Bの比重、
垂直時の内筒内空間、外筒内空間の重力並びに内筒内空
間の断面積と外筒内空間の断面積の比 a.インキの比重 1.15 b.バランス液体Aの比重 0.81 c.バランス液体Bの比重 1.15 d.内筒内空間のインキとバランス液体Aとの 合成単位面積当たりの重力 15.6g/cm2 e.外筒内空間のバランス液体Bの 単位面積当たりの重力 15.6g/cm2 以上の条件にて構成した本製品と周知の油性ボールペン
である従来品(ゼブラ株式会社製、油性ボールペン、商
品名:ハードクリスタル、黒色インキ)とを下向き筆
記、上向き筆記の両筆記姿勢にてレポート用紙に直径が
15mm程度の単円を筆記し、その単円の数と筆跡の品質を
調べ、その結果を表1と表2に示す。尚、ここで、表1
は下向き筆記の試験結果であり、表2は上向き筆記の試
験結果である。
【0027】表1から明らかなように、下向き筆記の場
合において従来品並びに本製品共に筆跡の品質には全く
問題がなく、 500以上の単円を筆記し得た。一方、上向
き筆記の場合においては表2から明らかなように、本製
品は単円を500以上筆記してもインキが掠れる等の不書
きが生じると言った筆跡の品質には全く問題がなく、一
定量のインキが転写ボールの回転にて吐出し、レポート
用紙に転写されることが分かった。これに対し、従来品
においては3〜7の単円を筆記し得たが、単円の数が7
を越えた時点でインキが掠れる等の不書き現象が生じ、
以後は筆記不能となった。これは上向き筆記姿勢を取っ
た時点でインキが逆流し、ペン先に掛かるインキの流動
圧が減圧され、ペン体へのインキの供給が閉ざされた結
果である。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】実施例2(直液式水性マーカーペン) 1.ペン先 長さが13mmで、太さが2mmの先端先細形のアクリル繊維
収束体をポリプロピレン製先口を用いて内筒の先端開口
に直接備える。 2.内筒 ポリプロピレン製で、内径D1が3mm、外径D2が5m
m、長さが120mm 3.外筒 ポリプロピレン製で、内径D3が11mm、外径D4が13m
m、長さが127mm 4.インキ 水性マーカー用青色インキで、内筒内空間への収容長さ
LAが66mm 5.バランス液体A(非ニュートン粘性) スクアラン98.8%(日光ケミカルズ(株))とゲルオー
ル T 1.2%(新日本理化(株))との複合混合体
で、内筒内空間への収容長さLBが51mm 6.バランス液体B(非ニュートン粘性) ジブチルフタレート95.5%((株)大八化学工業所)と
ゲルーオル D 0.5%(新日本理化(株))との複合
混合体で、外筒内空間への収容長さLCが 106mm 7.インキ、バランス液体A、バランス液体Bの比重、
垂直時の内筒内空間、外筒内空間の重力並びに内筒内空
間の断面積と外筒内空間の断面積の比 a.インキの比重 1.05 b.バランス液体Aの比重 0.81 c.バランス液体Bの比重 1.05 d.内筒内空間のインキとバランス液体Aとの 合成単位面積当たりの重力 11.1g/cm2 e.外筒内空間のバランス液体Bの 単位面積当たりの重力 11.1g/cm2 以上の条件にて構成した本製品と従来品(ゼブラ株式会
社製、水性マーカー、蛇腹方式、商品名:シーサイン、
青色インキ)とを下向き筆記、上向き筆記の両筆記姿勢
にてレポート用紙に直径が15mm程度の単円を筆記し、そ
の単円の数と筆跡の品質を調べ、その結果を表3と表4
に示す。尚、ここで表3は下向き筆記の試験結果であ
り、表4は上向き筆記の試験結果である。
【0031】表3から明らかなように、下向き筆記の場
合において従来品並びに本製品共に筆跡の品質には全く
問題がなく、 500以上の単円を筆記し得た。一方、上向
き筆記の場合においては表4から明らかなように、本製
品は単円を500以上筆記してもインキが掠れる等の不書
きが生じると言った筆跡の品質には全く変化がなく、一
定量のインキがペン先から吐出し、レポート用紙に転写
されることが分かった。これに対し、従来品においては
ペン体に既に浸透されているインキ量にて58〜76の単円
を筆記し得たが、単円の数が58〜76を越えた時点でイン
キが掠れる等の不書き現象が生じ、以後は筆記不能とな
った。これは上向き筆記姿勢を取った時点でインキがペ
ン体から離れ、ペン体へのインキの供給が閉ざされた結
果である。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】而して、前述構成の本実施例の直液式マー
カーペンによれば、インキのペン先からの吐出量をイン
キより小さい比重のバランス液体Aとインキと同程度の
比重のバランス液体Bとの二種からなるバランス液体に
より制御し得るようにしてなることから、従来の直液式
マーカーペンのように、合成樹脂材料を用いて成形する
インキ吐出制御体、そして、開閉弁体を含めて数種類の
部品からなり且つ組み立てが必要となる弁機構が不要と
なることから、この種の筆記具分野において製造メーカ
ーの最大限の課題とされている生産コストの大幅な削減
が期待でき、有益である。
【0035】図8は、他の実施例としてボールペンの軸
筒18内に交換が可能に装填するレフィールの例を示し、
斯る実施例は前述した内筒3と外筒5との先端開口に接
続備える先口19の構成形態を変えた以外の構成において
は前述した実施例詳述と基本的に同じ事から同じ構成部
分に同じ符号を用いる事でその詳細は省略する。斯る実
施例における先口19は、ポリプロピレン等の所望の合成
樹脂材料から成形され、外筒4の先端開口並びに軸筒18
の先端開口を当接させるその鍔部20に、外筒4内空間5
を外部と流通状態に保つ空気交換溝21を1乃至数カ所に
縦断面略L字形に設けると共に、同鍔部20から前方に向
けた周方向数カ所には芯出し凸片22を設けてなる。図中
23は、レフィールを軸筒18内にその先端開口から挿入装
填した後に、該先端開口にネジ式により備える先金であ
り、24は、軸筒18の後端開口に圧入により嵌着する尾栓
である。
【0036】
【発明の効果】本発明の筆記具は叙上の如く構成してな
るから、下記の作用効果を奏する。 .請求項1乃至2によれば、ペン先を下向きにした下
向き筆記姿勢を取ると、内筒内空間とこの内筒内空間の
後端開口を介して連絡する外筒内空間とには内筒内空間
のインキとバランス液体Aとの合成単位面積当たりの重
力と、外筒内空間のバランス液体Bの単位面積当たりの
重力とが互いに相殺し合う重力の釣り合いが生まれる。
それにより、内筒内空間のインキの単位面積当たりの重
力が小さくなり、ペン先に掛かるインキの流動圧は軽減
される。一方、ペン先を上向きにした上向き筆記姿勢を
取ると、内筒内空間のインキとバランス液体Aが重力に
より後退するその動きを同じく重力により後退する外筒
内空間のバランス液体Bの動きにより制止され且つイン
キをペン先側に押し上げる押動力として作用する。これ
により、内筒内空間のインキは逆流することなく、ペン
先に掛かるインキの流動圧は一定圧に制御される。そし
て、筆記により内筒内空間のインキが減少(消耗)する
と、減少したインキの減少量と等量のバランス液体Bが
内筒内空間にその後端開口から流入する。これにより、
内筒内空間のインキとバランス液体Aの重力と該内筒内
空間に流入したバランス液体Bの一部の重力との合成単
位面積当たりの重力と、外筒内空間のバランス液体Bの
単位面積当たりの重力とが互いに相殺し合い、内筒内空
間のインキの重力が小さくなり、それにより、ペン先側
に掛かるインキの流動圧はバランス液体の重力により軽
減される。
【0037】.請求項3によれば、外筒内空間に所要
の収容長さにて収容されているバランス液体Bの該収容
長さは、筆記で減少(消耗)する内筒内空間のインキの
収容長さの2分の1〜200 分の1に軽減される。これに
より、内筒内空間のインキの収容長さ、バランス液体A
の収容長さ、インキの減少量と等量にて流入したバラン
ス液体Bの収容長さによるその合成単位面積当たりの重
力と、外筒内空間のバランス液体Bの収容長さによるそ
の単位面積当たりの重力とが互いに相殺し合う重力の釣
り合いが生まれて、ペン先に掛かるインキの流動圧は一
定圧に制御される。
【0038】.請求項4乃至7によれば、インキより
比重が小さい内筒内空間の後部側に収容されるバランス
液体Aが上向き筆記時において、比重差によりインキ中
を通過して上向きのペン先側に移動する逆転現象、又は
インキ中に移動・混入すると言った混入現象が起きた
り、そして、下向き筆記時において、比重差によりバラ
ンス液体Aがバランス液体B中を移動・混入する混入現
象が起きたり、更には下向き筆記時において、バランス
液体Bの開放表面が崩れて流動落下して先口等に開口さ
れている溝等からなる空気交換手段から外部に流出する
流出現象が起こる。この様な逆転現象、混入現象、流出
現象を起き得ないように阻止することができる。
【0039】.請求項8乃至9によれば、インキより
比重が小さく、インキが所要の収容長さLAにて前部側
に収容されている内筒内空間のその後部側に収容長さL
Bにて収容されるバランス液体Aが上向き筆記時におい
て、比重差によりインキ中を通過して上向きのペン先側
に移動する逆転現象、又はインキ中に移動・混入すると
言った混入現象が起きたり、そして、下向き筆記時にお
いてバランス液体Aが、インキと同程度の比重で前述し
たニュートン粘性を有する物質、又は非ニュートン粘性
を有する物質からなるバランス液体B中を移動・混入す
る混入現象が起きたり、更には下向き筆記時において、
バランス液体Bの開放表面が崩れて流動落下して先口等
に開口されている溝等からなる空気交換手段から外部に
流出する流出現象が起こるこの様な逆転現象、混入現
象、流出現象を、25℃における粘度が1.0 〜30.000mpa・
s のニュートン粘性を有する物質、又はJIS K−2
220における混和ちょう度が 500〜50の非ニュートン
粘性を有する物質からなるバランス液体A、バランス液
体Bを用いる事により阻止することができる。
【0040】従って、本発明によれば、下向き筆記は勿
論、上向き筆記等の各筆記姿勢、そしてインキの減少
(消耗)等に関わらずペン先に掛かるインキの流動圧を
バランス液体との重力の釣り合いにより一定圧に制御し
得ることから、従来のようにペン先からインキが必要以
上に吐出するインキのボタ落ち現象、そして、インキが
重力により後退するインキの逆流現象等を起こす事な
く、下向き筆記は勿論、上向き筆記等の各筆記姿勢、そ
してインキの減少等に関わらず常に一定量のインキをペ
ン先から継続的に吐出させることができる。故に、筆跡
等の品質の向上を図った今までにはない筆記具を提供す
る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ボールペンの例を示した本発明筆記具の縦断
面図
【図2】 図1のII−II線拡大横断面図
【図3】 図1の III−III 線拡大横断面図
【図4】 内筒内に細長い管体を密に装填せしめて構設
した細管構造の一例を示した要部の拡大横断面図
【図5】 軸方向に延びる仕切り壁を碁盤目状に設けて
細分割した例を更に拡大して示した同横断面図
【図6】 外筒内の空間に軸方向に延びる仕切り壁を設
けて構設した細管構造の一例を示した要部の拡大横断面
図で、(イ)は内筒を外筒内に同軸状に支持内設するよ
うに軸方向に延びる仕切り壁を外筒内の空間に碁盤目状
に設けた状態、(ロ)は内筒と共に軸方向に延びる仕切
り壁を外筒内の空間に碁盤目状に設けた状態
【図7】 内筒内のインキの減少(消耗)により該内筒
内にバランス液体Bの一部が流入した状態の本発明筆記
具の縦断面図
【図8】 ボールペンのリフィールの例を示した本発明
筆記具の縦断面図
【符号の説明】
1…ペン先 2…インキ 3…内筒 4…外筒 5…空間 6…バランス液体 6-1 …バランス液体A 6-2 …バランス液体B 7,19…先口 8,21…空気交換溝

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インキを流動的に直接収容し且つ後端を
    開口させた内筒と、この内筒との間に空気交換手段を介
    して外部と流通する所要の断面積の空間が確保されるよ
    うに該内筒を同軸遊嵌状に内設し且つ後端を閉鎖させた
    外筒と、この外筒と前記内筒との前端開口に備えるペン
    先とを有し、内筒内空間のインキの界面から連ねた状態
    で該内筒内空間の後端開口を介して連絡する外筒内の前
    記空間の後部側に、ペン先に掛かるインキの流動圧を一
    定圧に制御するバランス液体を流動的に収容してなる事
    を特徴とする筆記具。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の筆記具において、 バランス液体が、インキより比重が小さいバランス液体
    Aと、インキと同程度の比重のバランス液体Bとの二種
    からなり、バランス液体Aをペン先から内筒内空間の前
    部側に所要の収容長さにて収容されているインキの界面
    から連ねた状態で該内筒内空間の後端開口に至るその後
    部側に所要の収容長さにて流動的に収容する一方、バラ
    ンス液体Bを前記バランス液体Aの界面から連ねた状態
    で内筒内空間の後端開口を介して連絡する外筒内空間の
    後部側に所要の収容長さにて流動的に収容してなる事を
    特徴とする筆記具。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の筆記具において、 内筒内の空間の断面積と、内筒との間に確保された外筒
    内の空間の断面積との比を、 に設定した事を特徴とする筆記具。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の筆記具において、 内筒内の空間並びに外筒内の空間に、インキ、バランス
    液体A、バランス液体Bの軸方向における収容配列形態
    を崩さずに流動的に保つ細管構造を具備してなる事を特
    徴とする筆記具。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の筆記具において、 細管構造が、細長い管体を内筒内の空間並びに外筒内の
    空間に密に装填してなる事を特徴とする筆記具。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の筆記具において、 細管構造が、内筒内の空間並びに外筒内の空間を少なく
    とも周方向に細分割するように軸方向に設けた各仕切り
    壁間の空隙である事を特徴とする筆記具。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6記載の筆記具において、 細管構造を構成する細長い管体個々又は空隙個々の断面
    積が、0.0078〜0.283平方センチメートルである事を特
    徴とする筆記具。
  8. 【請求項8】 インキを流動的に直接収容し且つ後端を
    開口させた内筒と、この内筒との間に空気交換手段を介
    して外部と流通する所要の断面積の空間が確保されるよ
    うに該内筒を同軸遊嵌状に内設し且つ後端を閉鎖させた
    外筒と、この外筒と前記内筒との前端開口に備えるペン
    先とを有し、内筒内空間のインキの界面から連ねた状態
    で該内筒内空間の後端開口を介して連絡する外筒内の前
    記空間の後部側に、25℃における粘度が1.0 〜30.000
    mpa・s のニュートン粘性を有する物質、又は混和ちょう
    度が 500〜50の非ニュートン粘性を有する物質からなる
    バランス液体を流動的に収容して、このバランス液体に
    よりペン先に掛かるインキの流動圧を一定圧に制御する
    ようにした事を特徴する筆記具。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の筆記具において、 バランス液体が、インキより比重が小さいバランス液体
    Aと、インキと同程度の比重のバランス液体Bとの二種
    からなり、バランス液体Aをペン先から内筒内空間の前
    部側に所要の収容長さにて収容されているインキの界面
    から連ねた状態で該内筒内空間の後端開口に至るその後
    部側に所要の収容長さにて流動的に収容する一方、バラ
    ンス液体Bを前記バランス液体Aの界面から連ねた状態
    で内筒内空間の後端開口を介して連絡する外筒内空間の
    後部側に所要の収容長さにて流動的に収容してなる事を
    特徴とする筆記具。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9636940B2 (en) 2012-12-04 2017-05-02 Mitsubishi Pencil Company, Limited Writing instrument

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US9636940B2 (en) 2012-12-04 2017-05-02 Mitsubishi Pencil Company, Limited Writing instrument

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