WO2014006981A1

WO2014006981A1 - 包装袋、それを用いた包装体および該包装袋の製造方法

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Publication number: WO2014006981A1
Application number: PCT/JP2013/063527
Authority: WO
Inventors: 二瀬　克規
Original assignee: 株式会社悠心
Priority date: 2012-07-03
Filing date: 2013-05-15
Publication date: 2014-01-09
Also published as: JP6108517B2; US9511904B2; KR101612200B1; US20140217119A1; EP2871137B1; CN103732506B; CN103732506A; JP2014009030A; EP2871137A4; BR112014003177A2; EP2871137A1; KR20140030314A

Abstract

【課題】逆止注出ノズルの意図しない引裂き開封や永久変形の発生等を効果的に防止することができる包装袋、それを用いた包装体および、該包装袋の製造方法を提供する。【解決手段】ベースフィルム層とシーラント層とを具える包装用フィルムのシーラント層を融着接合させてなるフレキシブル包装袋本体と、表裏の両面にシーラント層を具える薄肉の平坦な積層フィルムからなるセルフシール機能を有する逆止注出ノズルとからなり、包装袋本体の側部内表面に、逆止注出ノズルの基端部を融着接合させて、該逆止注出ノズルを側方へ突出させてなる包装袋であって、包装袋本体に連続して逆止注出ノズルを、それの表裏面側から全体にわたって覆う突出部分を設けるとともに、該突出部分に注出ノズルの中間部を横切る引裂き誘導疵を設け、包装袋本体を、上端もしくは下端のいずれか一方で開口させてなる。

Description

包装袋、それを用いた包装体および該包装袋の製造方法

　この発明は、セルフシール機能を有し、フレキシブル包装袋本体内への外気の不測の侵入を防止する逆止注出ノズルを、該包装袋本体の側方に突出姿勢で設けてなる包装袋、その包装袋に液状の被包装物を充填包装してなる包装体および該包装袋の製造方法に関する。
　とくに、本発明は、被包装物を充填包装してなる包装体の取り扱いに当たり、該包装体が自立性、定形性等を有すると否とにかかわらず、包装袋本体から突出する逆止注出ノズルの、他の部材への引っ掛かりや、他の部材との干渉等に起因する、該逆止注出ノズルの意図しない引裂き開封の発生を有効に防止すること、また、逆止注出ノズルの、所要の位置での外部露出を簡易なものとすると共に、外部に露出されるまで、逆止注出ノズルを十分衛生的に維持すること、さらには、逆止注出ノズルの曲がりや膨れ等の永久変形を効果的に防止することのできる技術を提案する。

　特許文献１、２には、粉状物や粒状物等を含むことのある液状あるいは粘稠状の被包装物を包装袋に充填包装してなる包装体から、該被包装物を注出するに当たり、逆止注出ノズルへの引裂き開口の形成の前後を問わず、被包装物の注出前、注出中および注出後のいずれにおいても、フレキシブル包装袋本体内への外気の意図しない侵入を防止することのできるセルフシール機能を有する逆止注出ノズルについて記載されている。

　これらの特許文献に記載された逆止注出ノズルは、表裏の両面にシーラント層を具える、薄肉にして平坦な一枚もしくは二枚の積層フィルムを重ね合わせるとともに、形成される注出通路の周りを、基端辺を除いて融着接合させてなるものである。この逆止注出ノズルは、先端部の融着接合部分を引裂き除去して、注出通路を開口させ、フレキシブルな包装袋本体内の液状被包装物の所要に応じた注出を、包装袋本体の潰れ変形等に基づき、包装袋本体内へ外気を吸い込むことなく許容する一方で、包装袋本体の起立変位に基づく注出の停止に当たっては、逆止注出ノズルの注出通路内面を、液状の被包装物の毛細管現象等による濡れに伴う被包装物の薄膜の介在下で直ちに密閉して、包装袋本体内への外気の侵入を阻止するべく機能する。

　ところで、袋内被包装物のその後の注出に際しては、フレキシブル包装袋本体を、逆止注出ノズルが下方に向くように傾動させて、該注出ノズルの注出通路を液状被包装物の水頭圧等によって開放し、袋内被包装物を所要に応じて注出させる。

　したがって、特許文献１、２に記載された逆止注出ノズルを具える包装体によれば、包装袋を液中シール等によって抜気シールすることにより、包装袋内への外気の侵入を常に十分に防止し、袋内被包装物の酸化、汚損、腐敗等を長期間にわたって確実に防ぐことができる。

特開２００５－１５０２９号公報特開２００５－５９９５８号公報

　しかるに、特許文献１および２に記載された逆止注出ノズルを具える包装袋の、包装袋本体の上端開口もしくは下端開口から、液状の被包装物を充填するとともに、該開口を抜気下で横シールしてなる包装体では、図８に例示するように、逆止注出ノズル２１がフレキシブル包装袋本体２２の上端部から側方へ突出することになる。このような包装体２３においては、側方へ突出する逆止注出ノズル２１が、他の部材に引っ掛かったり、他の部材と干渉等したりして、逆止注出ノズル２１の先端部に意図しない引裂き開封が生じたり、包装体２３の箱詰め等により、薄く、平坦な積層フィルムを融着接合してなる逆止注出ノズル２１が曲がったり、永久変形等して、セルフシール機能を損ねるおそれがあった。

　これに対し、包装体２３を、フレキシブル包装袋本体２２よりも高い剛性を有する紙や樹脂成形体等からなる容器等に、逆止注出ノズル部分を含めて収納した場合には、逆止注出ノズル２１の意図しない引裂き開封や、包装体の積み重ね等による逆止注出ノズル２１の破損、包装体の箱詰め等による注出ノズル２１の永久変形その他、を有効に防止することができるも、この場合には、高剛性の容器等の使用によって、液状被包装物の包装コストの増加が余儀なくされるという問題があった。

　この発明は、これらの問題点を解決することを課題としてなされたものであり、それの目的とするところは、包装コストの増加をもたらす、高剛性の収納容器等を用いることなしに、逆止注出ノズルの意図しない引裂き開封のおそれを十分に取り除くことができると共に、逆止注出ノズルへの永久変形の発生等を効果的に防止することができる包装袋、それを用いた包装体および、該包装袋の製造方法を提供するにある。

　この発明の包装袋は、ベースフィルム層とシーラント層とを具える積層構造の包装用フィルムのシーラント層を融着接合させてなるフレキシブル包装袋本体と、表裏の両面にシーラント層を具える薄肉の平坦な積層フィルムからなり、袋内被包装物の注出通路の周りを、基端辺を除いて融着接合させてなるセルフシール機能を有する逆止注出ノズルと、からなり、前記包装袋本体の側部内表面のシーラント層に、前記逆止注出ノズルの基端部外表面を融着接合させて、該逆止注出ノズルをフレキシブル包装袋本体の上端部分もしくは下端部分から側方へ突出させてなる包装袋であって、前記フレキシブル包装袋本体に連続して、前記逆止注出ノズルを、それの表面側および裏面側のそれぞれから全体にわたって覆う前記包装用フィルムの突出部分を設けるとともに、該突出部分に、逆止注出ノズルのフレキシブル包装袋本体からの突出方向の中間部を横切って延びる引裂き誘導疵を設けてなり、包装袋本体を、上端もしくは下端のいずれか一方で開口させてなる包装袋である。

　なお、この発明のより好ましい解決手段としては、
（１）前記包装用フィルムの突出部分の対向する内表面のシーラント層どうしが、逆止注出ノズルの近傍で、包装袋本体の幅方向に融着接合されてなること、
（２）前記包装用フィルムの突出部分の、包装袋本体の幅方向に延びる融着接合部が、包装袋本体の下端部もしくは上端部の横シール部に連続して形成されてなること、
（３）前記包装用フィルムの突出部分の、包装袋本体の幅方向に延びる融着接合部が、包装袋本体の下端部もしくは上端部の横シール部と平行に延びる、融着部の延長線上に形成されてなること、
（４）前記包装用フィルムの突出部分の遊端部で、包装用フィルムの対向する内表面のシーラント層どうしが、包装袋本体の上下方向に融着接合されてなること、
（５）前記引裂き誘導疵が、逆止注出ノズルの突出方向の中央部分を横切る位置に形成されてなること、
（６）前記引裂き誘導疵が、逆止注出ノズルとの重なり域で、直線状もしくは曲線状に形成されてなること、
（７）逆止注出ノズルの基端部を融着接合させた包装袋本体の内表面に、該逆止注出ノズルの基端部の、包装袋本体の下端側の領域を含んで、被包装物の収納スペース側へ迫出す、補強シール部が設けられてなること、
（８）前記補強シール部の平面輪郭形状が、円形、楕円形、長円形もしくは多角形からなること、
（９）前記平面輪郭形状が多角形をなす前記補強シール部の、少なくとも包装袋の上端側の隅部が、外側へ突出する曲線状の輪郭形状からなること、
（１０）前記逆止注出ノズルの基端部分の内表面に、注出通路を完全に閉止する仮融着部が設けられてなること、
である。

　また、本発明は、先に述べたいずれかの包装袋の、上端開口もしくは下端開口から液状の被包装物を充填するとともに、包装袋の上端部もしくは下端部が抜気下で横シールされてなり、形成される該横シール部が、包装用フィルムの突出部分の全体にわたって延在してなる包装体を提案する。
　ここでこの包装体は、三方シール形、四方シール形のもの等とすることができる他、自立用底部を設けてなるものとすることもできる。

　さらに、本発明は、前記包装袋を製造するに当たり、多数の逆止注出ノズルを予め形成したノズルフィルムを、所要の速度で走行される、引裂き誘導疵を予め形成した包装用フィルムに対して繰出し走行させて、両フィルムの等速走行下で、各個の逆止注出ノズルの基端部外表面の一方のシーラント層を、前記引裂き誘導疵が逆止注出ノズルの中間部を通過し、かつ、逆止注出ノズルの先端が包装用フィルムの側縁と整列する位置、もしくは逆止注出ノズルの先端を包装用フィルムの側縁から引っ込めた位置で、包装用フィルムの内表面のシーラント層に融着接合させ、次いで、ノズルフィルムの不要部分を、逆止注出ノズルから切り離して除去し、その後、包装用フィルムを幅方向の中央部で半折して、包装用フィルムの半折側のシーラント層を、逆止注出ノズルの基端部外表面の他方のシーラント層、および、該逆止注出ノズルの前記基端部の延長線上で対向する包装用フィルムのそれぞれに、縦方向に融着接合させて包装袋を形成するとともに、製造される包装袋の下端部分もしくは上端部分のいずれかと対応する位置で、包装袋本体から側方へ突出する逆止注出ノズルを、該包装袋本体から連続する包装用フィルムの突出部分で、表裏面の両面側から覆う包装袋の製造方法を提案する。

　この発明の包装袋では、フレキシブル包装袋本体の側方へ突出する逆止注出ノズルを、該包装袋本体に連続させて設けた包装用フィルムからなる突出部分で表裏の両面側からカバーして、逆止注出ノズルの、外部への露出を阻止することができる。
　そのため、包装袋内へ被包装物を充填包装してなる包装体において、逆止注出ノズルの他の部材への引っ掛かりや、他の部材との干渉等を、包装用フィルムの該突出部分にて有効に防止することができるので、包装体を、高い剛性を有する収納容器等に収納することなく、逆止注出ノズルの意図しない引裂き開封のおそれを十分に取り除くことができる。

　またこの包装袋では、逆止注出ノズルが、包装用フィルムの突出部分によって表裏の両面側からカバーされているので、その逆止注出ノズルを、引裂き誘導疵の形成位置で、前記突出部分を切除して外部へ露出させるまでは、逆止注出ノズルを衛生的に維持することができ、また、包装袋内に被包装物を充填包装してなる包装体を箱詰め等した場合には、前記突出部分の有する固有の剛性によって、逆止注出ノズルが折れ曲がる等して永久変形することを有効に防止することができる。

　この一方で、包装体から液状等の被包装物を注出するに当たっては、包装用フィルムの突出部分に形成され、逆止注出ノズルの突出方向の中間部を横切って延びて、逆止注出ノズルの引裂き開口の形成予定位置よりも包装袋本体側に位置する引裂き誘導疵に沿って該突出部分を引裂き除去し、さらに外部に露出した逆止注出ノズルの先端融着部を引裂き除去して注出通路を開口させ、該開口が下方を向くように包装体を傾動させることで、被包装物の水頭圧によって注出通路を開放し、袋内被包装物を所期した通りに注出することができる。

　なお、この場合、フレキシブル包装袋本体は、被包装物の注出量に対応する体積分だけ潰れ変形等するので、被包装物の注出中の、包装体内への外気の侵入は有効に防止されることになる。

　そして、注出の停止に伴う、包装体の起立姿勢への復帰に基づき、液状の被包装物に濡れた逆止注出ノズルの注出通路内面は、特許文献１、２に記載された注出ノズルと同様に、被包装物の薄膜の介在下で直ちに密着し、包装体内への外気の侵入が阻止されることになる。

　したがって、この包装体では、被包装物の注出前、注出中および注出後のいずれにおいても、袋内被包装物が外気の侵入から確実に保護されることになり、該被包装物の酸化、汚損、腐敗等のおそれを効果的に取り除くことができる。

　なお、この包装体では、包装用フィルムの突出部分の、引裂き誘導疵の形成位置より、フレキシブル包装袋本体側の残部が、被包装物の注出の停止に際して逆止注出ノズルの中間部までを外側から挟み付けるように機能することから、注出通路内面の上述したような密着が、より迅速にかつ、より確実に行われることになる。

　そして、このような包装袋において、包装用フィルムの突出部分の対向する内表面シーラント層どうしを、逆止注出ノズルの近傍で、フレキシブル包装袋本体の幅方向に融着させた場合には、逆止注出ノズルの意図しない露出が、一層有効に防止されて、逆止注出ノズルがより衛生的に維持されるとともに、逆止注出ノズルへの曲がり変形等による永久変形が、より効果的に防止されることになる。

　かかる作用効果は、フレキシブル包装袋本体の幅方向に延びる融着接合部を、フレキシブル包装袋本体の下端部もしくは上端部の横シール部に連続させて形成した場合、および該融着接合部を、フレキシブル包装袋本体の下端部もしくは上端部の横シール部と平行に延びる別個の融着部の延長線上に形成した場合、のいずれにあっても同様に発揮されることになるが、前者の、横シール部に連続させてフレキシブル包装袋本体の幅方向に融着接合部を形成する場合は、横シール部と平行な別個の融着部を別途形成するための工程を省き得る利点がある。

　また、前記突出部分の遊端部で、包装用フィルムの対向する内表面シーラント層どうしを、フレキシブル包装袋本体の上下方向に融着接合させる場合は、フレキシブル包装袋本体の幅方向に延びる融着接合部を形成する場合と同様に、逆止注出ノズルを外部から保護することができる。なお、このことは、フレキシブル包装袋本体の幅方向に延びる融着接合部を形成することと、フレキシブル包装袋本体の上下方向に融着接合させることとの両者を併せて行った場合により効果的であり、これによれば、逆止注出ノズルは、融着接合部によって鉤状に囲まれることになる。

　なお、引裂き誘導疵を、逆止注出ノズルの突出方向の中央部分を横切る位置に形成した場合には、引裂き誘導疵の形成位置で包装用フィルムの突出部分（逆止注出ノズルの前方側部分）を引裂き除去してなお、包装袋本体側に残存する該突出部分を十分長く確保することができるため、被包装物の注出の停止時の、突出部分による注出通路の挟み付け機能を確実に担保することができる。
　ここで、突出方向の「中央部分」とするのは、逆止注出ノズルの包装袋本体からの突出量との関連において、前記包装用フィルムの突出部分の「中央部」位置から、突出量の前後２０％の範囲内の部分に引裂き誘導疵が通過すれば、逆止注出ノズルのセルフシール機能を有効にアシストできることによる。

　また、引裂き誘導疵が、逆止注出ノズルとの重なり域で、直線状もしくは曲線状からなる場合には、逆止注出ノズルの注出通路に対する挟み付け態様、挟み付け力等を所要に応じて適宜にコントロールすることができ、逆止注出ノズルのセルフシール機能を所要に応じてアシストすることができる。
　なお、引裂き誘導疵の形状が、これらのいずれにあっても、包装用フィルムの突出部分は、引裂き誘導疵の前方側部分（逆止注出ノズル先端側）が所要に応じて簡易に引裂き除去され、逆止注出ノズルを外部に露出させることができる。

　ところで、引裂き誘導疵を、包装用フィルムの突出部分に、それの厚み方向に貫通するミシン目状の穿孔により形成した場合は、該突出部分の、逆止注出ノズルの前方側部分の引裂き誘導疵に沿った引裂き除去を極めて容易なものとすることができる。

　これに対し、引裂き誘導疵を、包装用フィルムのベースフィルム層に対するレーザー加工等によって連続的もしくは間欠的に形成し、シーラント層には達しない条溝により形成した場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にバリア層等を設けたとしても、その機能はそのままに、逆止注出ノズルの、外気との接触をより確実に阻止して、医薬品等とすることもできる被包装物を一層効果的に保護することができる。

　ここにおいて、薄肉にして平坦な積層フィルムからなる逆止注出ノズルの基端部分を融着接合させたフレキシブル包装袋本体の内表面に、逆止注出ノズルの基端部の、包装袋本体の下端側の領域を含んで、被包装物の収納スペース側へ迫出す補強シール部を設けた場合は、逆止注出ノズルの基端部の、包装袋本体への融着接合部に対する応力の集中を、該補強シール部をもって有効に緩和するとともに、逆止注出ノズルの、注出通路の周りの融着接合部への応力集中を緩和することができる。これによれば、被包装物を充填包装してなる包装体を積み重ね等した場合に、包装体への意図しない破損の発生を有効に防止することができる。

　そして、前記補強シール部の平面輪郭形状を、楕円形、円形、長円形もしくは多角形とした場合には、平面輪郭形状の如何にかかわらず、補強シール部に、所期したとおりの補強機能を十分に発揮させることができる。
　また、前記補強シール部は、逆止注出ノズルの注出通路、ひいては、注出通路開口が開放しすぎるのを防止する効果を有し、逆止注出ノズル融着接合部の意図しない剥離を十分に防止することができる。

　なお、補強シール部の平面輪郭形状を多角形とするとともに、少なくとも、包装袋の上端側の隅部を、外側へ突出する曲線状の輪郭形状とした場合には、補強シール部の輪郭形状を円形、楕円形、長円形等とした場合と同様に、フレキシブル包装袋本体側から、逆止注出ノズルの注出通路へ流入する被包装物を整流化し、注出量の均一化を図ることができる。

　ところで、このような補強シール部は、フレキシブル包装袋本体と逆止注出ノズルの基端部との融着接合部を含むように形成されているので、薄肉にして平坦な積層フィルムからなる逆止注出ノズルの基端部の腰度が、フレキシブル包装袋本体の腰度と同程度まで高まり、逆止注出ノズルがそれの基端部から折れ曲がる等することがなく、逆止注出ノズルの注出性能を十分に確保することができる。

　そしてまた、逆止注出ノズルの基端部分の内表面に、注出通路を完全に閉止する仮融着部を設けたときは、たとえば、高温殺菌された液状の被包装物が、逆止注出ノズルの注出通路内へ入り込むのを、該仮融着部にて阻止することができるので、注出通路の膨満変形等の永久変形による、セルフシール機能の低下を有効に阻止することができる。なお、前記仮融着部は、加熱温度、加圧力および加熱時間の少なくとも一つを、所要の融着接合部に比して小さくすることにより形成することができる。
　ここで、逆止注出ノズルの「基端部分」とは、逆止注出ノズル基端側の、フレキシブル包装袋本体への融着接合部と対応する位置のみならず、逆止注出ノズルの先端側に、セルフシール機能を発揮するに十分な長さの注出通路を確保できる位置である。

　また、この仮融着部は、作為的に剥離されるまでの間は、包装体の積み重ね等に対しても剥離抗力を発揮することができるので、被包装物の注出通路内への入り込みに起因する、注出通路の破損や、膨満変形等を有効に防止して、セルフシール機能の発揮を十分に担保することができる。

　なお、仮融着部の融着強度が、逆止注出ノズルの注出通路の周りの融着強度の半分以下である場合は、注出通路内への被包装物の意図しない流入を阻止することができると共に、該仮融着部を、たとえば包装体への押圧力の作用下で作為的に剥離させる場合に、注出通路の周りの融着接合部が剥離するおそれを十分に取り除くことができ、逆止注出ノズルを所期したとおりに機能させることができる。

　また、この発明の包装体では、前述したいずれかの包装袋の上端もしくは下端開口から液状の被包装物を充填するとともに、該開口部を、液中シール等によって抜気下で横シールし、形成される横シール部を包装用フィルムの突出部分の全体にわたって延在させることで、フレキシブル包装袋本体の側方へ突出する逆止注出ノズルを有効に保護することができる。また、逆止注出ノズルを、包装用フィルムの突出部分の先端側および上下端部分に設けた融着接合部によって取り囲むことができ、この場合には、逆止注出ノズルの外部への不測の露出をより十分に防止して、逆止注出ノズルを、引裂き開封、破損、折れ曲がり変形等から一層効果的に保護することができる。

　そしてさらに、この発明の、前記包装袋の製造方法では、はじめに、多数の逆止注出ノズルを予め形成したノズルフィルムの、たとえば巻回ロールを、所要の速度で、たとえば連続走行される引裂き誘導疵を予め形成した包装用フィルムに対して繰り出し走行させ、両フィルムの等速走行下で、各個の逆止注出ノズルの基端部外表面の一方のシーラント層を、引裂き誘導疵が逆止注出ノズルの突出方向の中間部を通過し、かつ、逆止注出ノズルの先端が包装用フィルムの側縁と整列する位置、もしくは逆止注出ノズルの先端が包装用フィルムの側縁から幾分引っ込んだ位置で、包装用フィルムの内表面のシーラント層に融着接合させる。
　次いで、ノズルフィルムの不要部分を、逆止注出ノズルから切り離し除去し、その後、包装用フィルムを幅方向の中央部で半折して、この半折部の引裂き誘導疵を、逆止注出ノズルの中間部に通過させ、そして、包装用フィルムの半折側のシーラント層を、逆止注出ノズルの基端部外表面の他方のシーラント層および、該逆止注出ノズルの前記基端部の延長線上で対向する包装用フィルムのそれぞれに、縦方向に融着接合させて包装袋を形成するとともに、包装用フィルムの内表面の対向するシーラント層を、製造される包装袋の下端部もしくは上端部のいずれかと対応する位置で、横方向に融着接合させて、フレキシブル包装袋本体から側方へ突出する逆止注出ノズルを、該包装袋本体に連続する包装用フィルムの突出部分で表裏の両面側から完全に覆う。これにより、包装用フィルムの突出部分で逆止注出ノズルを挟んで有効に保護する包装袋を、高剛性の容器等を準備する必要なしに安価に製造することができる。

包装袋の実施形態を示す平面図である。包装用フィルムの突出部分の融着接合例を示す平面図である。補強シールの形成例を示す拡大平面図である。仮融着部を例示する拡大平面図である。包装袋内へ液状の被包装物を充填包装してなる包装体の実施形態を示す斜視図である。この発明に係る包装体を例示する写真である。この発明に係る方法の要部を例示する斜視図である。従来の包装体を例示する斜視図である。本発明の包装袋と紙パックにそれぞれロングライフ牛乳を充填包装した場合の、経時時間と微生物の発生サンプル数とを示す図である。本発明の包装袋と紙パックにそれぞれロングライフ牛乳を充填包装した場合の、水分活性の経時変化を示す図である。本発明の包装袋と紙パックにそれぞれロングライフ牛乳を充填包装した場合の、ｐＨの経時変化を示す図である。本発明の包装袋と紙パックにそれぞれロングライフ牛乳を充填包装した場合の、糖度の経時変化を示す図である。実施例２に用いた包装袋の寸法を示す図である。

　以下にこの発明の実施形態を図面に示すところに基づいて説明する。
　図１に示す実施形態は、ベースフィルム層とシーラント層とを具える、二層もしくは三層以上の積層構造になる包装用フィルム１を幅方向の中央部で半折するとともに、内表面のシーラント層を、図に斜線を施して示すように、長さ方向（縦シール部１９）および幅方向（横シール部２ａ）の各方向に直線状に融着接合させてなるフレキシブル包装袋本体２に下端開口３を形成してなる二方シール形の包装袋４である。
　なお、包装用フィルム１は、中間層、蒸着層等を具えてもよく、該包装用フィルム１を、上記したように二方シール形にする他、たとえば、側方シール形、三方シール形等に融着接合して包装袋４とし、その下端部に自立用底部を設けてもよい。
　この包装袋４は、フレキシブル包装袋本体２の側部内表面のシーラント層に、表裏の両側にシーラント層を具える薄肉で平坦な一枚もしくは二枚の積層フィルムからなり、袋内被包装物の注出通路の周りを基端辺を除いて融着接合させてなるセルフシール機能を有する逆止注出ノズル５の基端部外表面を融着接合させることで、逆止注出ノズル５が、フレキシブル包装袋本体２の、図では上端部分から側方へ突出して設けられてなる。

　なおここで、逆止注出ノズル５は、一枚の平坦な積層フィルムを折返した状態、または、二枚の平坦な積層フィルムを、シーラント層の対向姿勢で重ね合わせた状態で、所要の注出通路の周りを、基端辺を除いて融着接合させて形成されたものである。このような逆止注出ノズル５の外表面側のシーラント層の溶融温度は、該注出ノズル５の内表面側のシーラント層の溶融温度より低温とすることが好ましく、これによれば、逆止注出ノズル５の基端部外表面を、フレキシブル包装袋本体２の側部内表面に、ヒートシール、高周波シール、インパルスシール等によって融着接合するに当たって、逆止注出ノズル５の基端部内面が融着接合するのを防止することができる。
　ところで、各部の融着接合強度を十分に高めるためには、フレキシブル包装袋本体２の内表面側シーラント層と逆止注出ノズル５の外表面側シーラント層を、同種の樹脂材料にて形成することが好ましい。

　この包装袋４は、フレキシブル包装袋本体２に連続して、逆止注出ノズル５を、それの表面側および裏面側のそれぞれから全体にわたって覆う包装用フィルム１の突出部分６を設けたところに特徴があり、該突出部分６で逆止注出ノズル５を挟むことにより、逆止注出ノズル５の、突出部分６の外部への露出が拘束され、該注出ノズル５の意図しない引裂き開封、該注出ノズル５の曲がり変形等の発生が防止されることになる。

　さらにこの包装袋４では、包装用フィルム１の表裏の突出部分６のそれぞれに、相互に対応して位置して、逆止注出ノズル５の突出方向の中間部を横切って延びる引裂き誘導疵７を設ける。
　ここで、この引裂き誘導疵７は、包装袋４内に充填包装された液状の被包装物を初めて注出する際に引裂いて、該引裂き誘導疵７の形成位置から逆止注出ノズル５先端側の突出部分６を除去し、これによって逆止注出ノズル５を外部に露出させる。
　その後は、逆止注出ノズル５の先端融着部を、たとえばＶノッチ、－ノッチ等の形成位置で引裂き除去して、注出通路を開口させることで、被包装物を所要に応じて注出することができる。

　ところで、表裏のそれぞれの突出部分６に対応させて形成した引裂き誘導疵７は、図１に示すように、該突出部分６の厚み方向に貫通する多数のミシン目状の穿孔にて形成することとし、図１（ａ）では、該誘導疵７を、逆止注出ノズル５上で曲線状に湾曲して延在させ、図１（ｂ）では、逆止注出ノズル５上で直線状に延在させている。
　包装用フィルム１の突出部分６が逆止注出ノズル５に及ぼす挟み込み力は、逆止注出ノズル５に対する引裂き誘導疵７の通過位置、通過形態等を所要に応じて選択することで調整することができ、これによれば、被包装物の注出の停止後の、注出通路の密着タイミングを所期した通りのものとすることができる。

　ところで、包装用フィルム１の突出部分６による逆止注出ノズル５の挟み込み力は、その突出部分６の、逆止注出ノズル５の上下位置に、フレキシブル包装袋本体２の、幅方向に延びる二条の融着接合部を設けるとともに、突出部分６の遊端部の、逆止注出ノズル５の近傍位置に、フレキシブル包装袋本体２の長さ方向に延びる融着接合部を設けた場合にとくに大きくすることができる。

　図２は、包装用フィルム１の突出部分６のシーラント層を、逆止注出ノズル５の近傍で、フレキシブル包装袋本体２の幅方向および長さ方向に融着接合部を設けた場合を例示する平面図であり、図２（ａ）は、包装用フィルム１の突出部分６の、フレキシブル包装袋本体２の幅方向に延びる融着接合部６ａを、フレキシブル包装袋本体２の、たとえば上端部の横シール部２ａに連続させて形成したものである。

　また、図２（ｂ）は、包装フィルム１の突出部分６の、フレキシブル包装袋本体２の幅方向に延びる融着接合部６ａを、フレキシブル包装袋本体２の、たとえば上端部の横シール部２ａと平行に延びる横方向融着部８の延長線上に形成したものである。
　図２（ａ）に示すところによれば、横シール部２ａと平行に延びる、それとは別個の横方向融着部８を形成するための工程を省略できる利点がある。

　そして、図２（ａ）、（ｂ）のいずれに示す場合にあっても、包装用フィルム１の突出部分６の遊端部の、逆止注出ノズル５の近傍位置で、包装用フィルム１のシーラント層を、フレキシブル包装袋本体２の長さ方向に、図にドットを施して示すように融着接合させることもでき、このような長さ方向の融着接合部９の付設によれば、逆止注出ノズル５の、表裏からなる突出部分６による挟み込みによって、それの露出をより有利に防止して効果的に保護することができる。

　なお、図１に示すように、引裂き誘導疵７は、逆止注出ノズル５の突出方向の中央部分を横切る位置に形成することが好ましく、この場合、引裂き誘導疵７の形成位置で、包装用フィルム１の突出部分６を引裂き除去しても、フレキシブル包装袋本体２側に残存する突出部分６の長さを十分に確保することができ、その残存突出部分６によって、逆止注出ノズル５の注出通路を十分に挟み付けることができるので、フレキシブル包装袋本体２内への外気の意図しない入り込みを迅速に、かつ、より確実に阻止することができる。

　また、図１に示す引裂き誘導疵７は、包装用フィルム１の突出部分６を厚み方向に貫通するミシン目状の穿孔にて形成されている。そのため、包装用フィルム１の突出部分６を、引裂き誘導疵７に沿って極めて簡易に引裂き除去することができる一方、ミシン目状の穿孔は、突出分６を厚み方向に貫通するものであることから、該穿孔から塵埃等が侵入するおそれがあり、それらが逆止注出ノズル５に付着するおそれがある。

　これに対し、引裂き誘導疵７を、包装用フィルム１のベースフィルム層に対するレーザ加工等によって連続的もしくは間欠的に、シーラント層には達しない条溝によって形成した場合には、引裂き誘導疵７に沿った突出部分６の引裂き抵抗の増加が余儀なくされることになるも、逆止注出ノズル５への塵埃等の付着のおそれを十分に取り除くことができる。したがって、液状の被包装物が医薬品等であっても、該被包装物をより衛生的に維持することができる。

　以上のような包装袋４において、薄肉にして平坦な積層フィルムからなる逆止注出ノズル５の基端部を融着接合させたフレキシブル包装袋本体２の内表面のシーラント層に、逆止注出ノズル５の基端部の、包装袋本体２の下端側の領域を含んで、図３に例示するような、被包装物の収納スペース２ｂ側へ迫出す補強シール部１０を設けたときは、逆止注出ノズル５の基端部の、フレキシブル包装袋本体２への融着接合部に対する応力の集中を、補強シール部１０によって緩和するだけでなく、逆止注出ノズル５それ自体の注出通路の周りの融着接合部への応力の集中を緩和し、被包装物を充填包装してなる包装体の積み重ね等に起因する、包装体への破損の発生を有効に防止することができる。

　ここで、補強シール部１０の平面輪郭形状は、図３（ａ）～（ｄ）に示すように、楕円形、円形、長円形もしくは多角形とすることができ、これらのいずれの輪郭形状を有するものであっても、平面面積との関連の下で、所期した通りの補強機能を発揮させることができる。また、補強シール部１０によって、逆止注出ノズル５の注出通路、ひいては、注出通路開口が開きすぎるのを防止して、逆止注出ノズル５の剥離のおそれを十分に取り除くことができる。

　このような補強シール部１０は、フレキシブル包装袋本体２と逆止注出ノズル５の基端部との融着接合部を含む領域に形成されているため、薄肉の積層フィルムからなる逆止注出ノズル５の基端部の腰度を、フレキシブル包装袋本体２の腰度と同程度まで高めることができる。このため、逆止注出ノズル５が、基端部から折れ曲がることがなく、逆止注出ノズル５の注出性能を、セルフシール機能をも含んで十分に確保することができる。

　なお、補強シール部１０の平面輪郭形状を多角形としたときは、その補強シール部１０の、少なくとも包装袋４の上端側の隅部を、図３（ｄ）に二点鎖線で示すように、外側へ突出する曲線状の輪郭形状とすることが好ましい。これによれば、平面輪郭形状が楕円形、円形、長円形等からなる補強シール部１０と同様に、フレキシブル包装袋本体２から、逆止注出ノズル４の注出通路内へ流入する被包装物が整流化され、注出通路を通る被包装物の注出量を均一化することができる。

　そしてまた、逆止注出ノズル５の基端部分の内表面に、図４にドットを施して示すように、注出通路１１を完全に閉止する仮融着部１２を設けたときは、たとえば、高温殺菌によって加熱された液状の被包装物の、逆止注出ノズル５の、仮融着部１２より前方側の注出通路１１内への入り込みが阻止されることになり、注出通路１１が加熱被包装物によって膨満変形等されることがなく、逆止注出ノズル５のセルフシール機能の低下を防止することができる。なお、仮融着部１２は、加熱温度、加圧力および加熱時間の少なくとも一つを、注出通路１１の周りの所要の融着接合部に比して小さくすることにより形成することができる。

併せて、この仮融着部１２は、それが作為的に剥離されるまでは、包装体の積み重ね、押圧等に対しても剥離抗力を発揮することができるので、被包装物の注出通路１１内への入り込みに起因する注出通路１１の破損や永久膨満変形を有効に防止して、逆止注出ノズル５のセルフシール機能を十分に発揮することができる。

ここで好ましくは、仮融着部１２の融着接合強度を、逆止注出ノズル５の注出通路１１の周りの融着強度の半分以下とする。
　これによれば、注出通路１１内への、被包装物の意図しない流入を十分に阻止することができると共に、仮融着部１２を作為的に剥離させる場合の、注出通路１１の周りの融着接合部への剥離等の発生のおそれを十分に取り除いて、逆止注出ノズル５を所期した通りに機能させることができる。

　図５は、この発明に係る包装体１３を例示する斜視図である。この包装体１３は、先に述べたいずれかの包装袋４の上端開口もしくは下端開口、ここでは下端開口から、液状の所要の被包装物を充填するとともに、包装袋４の下端部を、液中シールその他によって抜気下で横シールして形成される横シール部１４、すなわち底シール部を、包装用フィルム１の突出部分の全体にわたって連続させて延在させたものである。なお、この発明に係る包装体１３を例示する写真を図６に示す。
　図５の包装体１３は自立性を有しないものの、包装体１３に自立用の底部を付設することによって包装体１３を自立させることも可能である。

この包装体１３によれば、逆止注出ノズル５は、包装用フィルム１の突出部分６の上端部分で、包装体１３の幅方向に延びる融着接合部６ａと、突出部分６の遊端部の包装体１３の長さ方向の融着接合部９と、底シール部に連続する、該突出部分６の下端融着接合部１４ａとに囲まれるとともに、該ノズル５の表裏の両面が、突出部分６に挟まれて位置することになるので、包装体１３を、高い剛性を有する容器等に収納するまでもなく、逆止注出ノズル５の意図しない引裂き開封等を十分に防止することができる。

　また、逆止注出ノズル５の外部への露出は、引裂き誘導疵７の形成位置で、包装用フィルム１の突出部分６の先端域を引裂き除去することで極めて簡易に行うことができる。
　そして、逆止注出ノズル５を、このようにして外部へ露出させるまでは、該ノズル５を、それの両面側に位置する突出部分６によって衛生的に維持するとともに、曲がり、膨れ等の永久変形から効果的に保護することができる。

　ところで、逆止注出ノズル５を外部に露出させた後の、袋内被包装物の注出は、逆止注出ノズル５の先端部の、たとえばＶノッチ位置から、逆止注出ノズル５先端の融着接合部を、図に破線で示すように引裂き除去して注出通路１１を開口させ、かかる状態で、注出通路開口が下方を向く姿勢となるように包装体１３を傾動させ、被包装物の水頭圧をもって注出通路１１を大きく開放させることにより行うことができる。
　なお、この注出に当たっては、フレキシブル包装袋本体２が、注出量に相当する体積分だけつぶれ変形等することになるので、該注出時の、フレキシブル包装袋本体２内への外気の吸い込みは十分に防止されることになる。

　この一方で、被包装物の注出の停止は、包装体１３を起立復帰させることで、逆止注出ノズル５の注出通路１１を、特許文献１、２に先に述べたと同様に、毛細管現象等による、被包装物の薄膜の介在下で、直ちに密着させることにより行うことができ、従って、この注出の停止時および停止後にもまた、フレキシブル包装袋本体２内への外気の侵入は十分に阻止されることになり、袋内被包装物を、酸化、汚損および腐敗等から十分に保護することができる。

　なお、図５の包装体１３に、図３で述べた補強シール部１０および／または図４で述べた仮融着部１２を設けることも可能であり、これによれば、補強シール部１０および／または仮融着部１２の有する固有の効果を十分に発揮させることができる。
　ここで、図５に示す包装体１３において、突出部分６の上端部分で包装袋本体２の幅方向に延びる融着接合部６ａ、突出部分６の遊端部の包装袋本体２の長さ方向の融着接合部９および突出部分６の下端融着接合部１４ａは、必須のものではなく、一以上の融着接合部を省略することもできる。

　そして、すべての融着接合部６ａ、９、１４ａを省略した包装体１３では、突出部分６による逆止注出ノズル５に対する拘束力の低下は否めないものの、逆止注出ノズル５の表裏の両面側が突出部分６に挟まれることだけで、意図しない引裂き開封、永久変形等から保護されることになる。

　図７は、この発明に係る製造方法の要部を例示する斜視図であり、この製造方法は、たとえば、特開２００８－５５７３９号公報に記載されたと同様の装置および既存の製袋機を使用して実施することができる。

　ここでは、多数の逆止注出ノズル５を予め形成したノズルフィルム１６を、たとえばそれの巻回ロール１７から、所要の速度で連続的もしくは間欠的に、好ましくは連続的に走行される、引裂き誘導疵７を予め形成した包装用フィルム１に対して繰り出し走行させて、両フィルム１、１６の等速走行下で、各個の逆止注出ノズル５の基端部外表面の一方のシーラント層を、引裂き誘導疵７が逆止注出ノズル５の中間部を通過し、かつ、逆止注出ノズル５の先端が包装用フィルム１の側縁、いいかえれば包装用フィルム１の突出部分６の側縁と整列する位置もしくは、逆止注出ノズル５の先端を包装用フィルム１の側縁から幾分引っ込めた位置で、包装用フィルム１の内表面のシーラント層に融着接合させる。次いで、ノズルフィルム１６の不要部分１８を、逆止注出ノズル５から切り離して除去し、その後、包装用フィルム１を幅方向の中央部ＣＬで、シーラント層が相互に向き合う姿勢で半折して、包装用フィルム１の半折側のシーラント層を、逆止注出ノズル５の基端部外表面の他方のシーラント層および、該逆止注出ノズル５の基端部の延長線上で対向する包装用フィルム１のそれぞれに、縦方向に融着接合することにより縦シール部１９を形成してフレキシブル包装袋本体２を形成するとともに、製造される包装袋４の下端もしくは上端のいずれかと対応する位置、たとえば上端と対応する位置で、対向するシーラント層を横方向に融着接合させて、フレキシブル包装袋本体２から側方へ突出する逆止注出ノズル５を、フレキシブル包装袋本体２に連続する包装用フィルム１の突出部分６で、表裏面の両面側から覆うことで包装袋４を製造する。

　ここで、包装用フィルム１に対して繰り出し走行されるノズルフィルム１６への多数の逆止注出ノズル５の形成は、表裏の両面にシーラント層を具える、薄肉にして平坦な積層フィルムの一枚もしくは二枚を用いて適宜に行い得ることはもちろんであるが、たとえば、幅方向に二つ折りにした半折状態の一枚の積層フィルムの内表面どうしを、逆止注出ノズル５の所要の注出通路１１の周りをヒートシール等によって融着接合させるとともに、形成された融着接合部の周りに、逆止注出ノズル５の所要の外輪郭形状に対応する引裂き誘導疵を形成することによってノズルフィルム１６を構成することができる。この場合には、積層フィルムを半折状態に折畳みながら巻き取る工程と、巻き取ったその積層フィルムを繰り出し走行させながら、所要の融着接合加工および引裂き誘導疵形成加工を順次に施す工程とによって、ノズルフィルム１６に多数の逆止注出ノズル５を簡易に形成することができる。

　またここで、包装用フィルム１の内表面のシーラント層に対する逆止注出ノズル５の基端部外表面の一方のシーラント層の融着接合は、たとえば、横シール信号もしくはレジマークセンサ信号の入力に基いてノズルフィルム１６の繰出し走行速度を加速させて、その繰出し走行速度が包装用フィルム１の走行速度と等速になったときに、逆止注出ノズル５を包装用フィルム１に融着接合させ、この接合の終了後は、ノズルフィルム１６の速度を設定速度まで減速させることによって行うことができる。

　したがって、製造される包装袋４のサイズに応じた、逆止注出ノズル５の包装用フィルム１に対する融着接合間隔の調整は、たとえば、ノズルフィルム１６の繰出し走行速度が包装用フィルム１の速度と等速になるまでの、加速時間および加速度の少なくとも一方を調整すること、ならびに、ノズルフィルム１６の速度を設定速度に低減させるまでの減速時間および減速度の少なくとも一方を調整することによって行うことができる。

　そして、図７に要部を示すように、包装用フィルム１の内表面シーラント層に、逆止注出ノズル５の基端部外表面の一方のシーラント層を融着接合させるためには、たとえば、多数の逆止注出ノズル５を予め形成したノズルフィルム１６の巻回ロール１７を支持する繰出し軸と、繰出し軸上の巻回ロール１７からノズルフィルム１６を所要の速度で引き出すフィードローラと、たとえば製袋機の、包装用フィルム１の走行経路内に配設されて、積層構造の包装用フィルム１の、ベースフィルム層側に常時接触する熱ローラと、この熱ローラに対して進退変位されて、熱ローラ上の包装用フィルム１のシーラント層に、ノズルフィルム１６の外表面のシーラント層を押圧して、逆止注出ノズル５の基端部外表面をヒートシールによって包装用フィルム１に接合させる圧着ローラと、逆止注出ノズル５を包装用フィルム１にヒートシールした後の、ノズルフィルム１６の不要部分１８をその逆止注出ノズル５から切り離す分離ローラと、ノズルフィルム１６の不要部分１８の巻取り軸と、を具えるノズル取付け装置を用いることができる。この装置は簡単な構造の小型のものとすることができるので、既存の製袋機に、大きなスペースの占有なしに簡単に付設することができる。

　ところで、図７に要部を示す方法によって、逆止注出ノズル５の基端部外表面の一方のシーラント層を、包装用フィルム１の内表面のシーラント層に、ヒートシール等によって融着接合させる場合、逆止注出ノズル５のシーラント層を、それの包装用フィルム１の走行方向の中間部だけで包装用フィルム１に融着接合させることもでき、この場合は、逆止注出ノズル５の一方のシーラント層の残部は、逆止注出ノズル５の基端部外表面の他方のシーラント層を、包装用フィルム１の半折側のシーラント層に融着接合させるに際して、所要の液密性を確保するに十分な程度に融着接合させることができる。

（実施例１）
　逆止注出ノズルのセルフシール機能に基づく防菌および抗菌効果について、以下の試験を行った。
　なお、被包装物としては、ロングライフ牛乳（メーカー：イオン株式会社、殺菌方法：１４０℃、２秒間殺菌）を用いるとともに、包装袋として、先に述べた逆止注出ノズルを突設してなる、２００ｍｌサイズのもの（γ線照射済み）を用い、これを２０サンプル準備した。なお、本実施例において使用した包装袋は、ノズル：ＰＥ１５μｍ／ＰＥＴ１２μｍ／ＰＥ２５μｍ、包装袋本体：ＮＹ１５μｍ／ＰＥ５０μｍの積層フィルムからなる。

　まず、各包装袋（２０サンプル）に、ロングライフ牛乳２００ｍｌを、クリーンベンチ内にて無菌的に充填包装した。その後、室内にてノズル先端を開封して、注出通路を開口させ、被包装物（牛乳）を１週間ごとに５ｍｌずつ注ぎ出して、標準かんてん培地の混釈平板培養にて被包装物（牛乳）中の微生物の有無を評価した。
　なお、各包装袋は、室温（２５℃）にて保存し、上記試験を２ヶ月間行った。また、水分活性、ｐＨおよび糖度も評価した。なお、比較例として、ロングライフ牛乳２００ｍｌを紙パックに充填包装したものを２０サンプル準備した。

　その結果を図９～図１２に示す。図９の結果によれば、逆止注出ノズルを突設なるして包装袋では、注出通路の開口後、経時的（１週間毎）に被包装物を注出したにもかかわらず、２ヶ月経過した後も、被包装物（牛乳）に微生物が発生することがなく、また包装袋内への空気の侵入も認められず、セルフシール機能を有する逆止注出ノズルによる逆止効果が有効に発揮されていることが確認できた。
　一方、被包装物の紙パックで保存した場合では、注ぎ出しから３週間後に微生物が発生し、その後も微生物が増殖することが確認された。

　また、水分活性、ｐＨおよび糖度（図１０～図１２）においても、逆止注出ノズルを突設してなる包装袋では、２ヶ月間を経過した後もほぼ変化が見られず、品質の低下が認められなかったのに対し、比較例の紙パックに保存した場合では、注ぎ出しから１ヶ月後にｐＨが酸性側へと移行すると共に、糖度も低下し、品質の低下が認められた。

（実施例２）
　図１３に示す寸法を有し、逆止注出ノズル：ＰＥ１５μｍ／ＰＥＴ１２μｍ／ＰＥ２５μｍ、包装袋本体：ＮＹ１５μｍ／ＰＥ５０μｍのフィルム構成からなる包装袋に、１０００ｍｌの水を充填包装してなる包装体が実用に供するに足る破袋強度を有するものであることを検証した。

　はじめに、水の収納スペース２ｂを８００Ｎの荷重で２分間押圧し、その後、荷重を１００Ｎづつ増加させて包装体１３の耐圧力を測定したところ、包装体１３の１０体平均の耐圧力は１４００Ｎであり、破袋箇所は、逆止注出ノズル５の包装袋本体２からの突出部の下縁近傍部分であった。

　次いで、１０体の包装体１３を、高さ６０ｃｍから２０ｃｍづつ高さを増加させて、自然落下させた場合の破袋高さを測定したところ、平均破袋高さは１８０ｃｍであった。
　なお、破袋箇所は、上記の耐圧力の場合と同様、逆止注出ノズル５の、包装袋本体２からの突出部の下縁近傍部分であった。

　本発明の包装袋は、図示例だけに限らず、本発明思想を逸脱しない範囲内において、その構成を部分的に変更することは可能であり、醤油やソース、ドレッシングなどの調味液、各種飲料の他、マヨネーズや化粧料の如き粘稠物、医薬品等の包装袋として使うことができる。

１　包装用フィルム
２　フレキシブル包装袋本体
２ａ　横シール部
２ｂ　収納スペース
３　下端開口
４　包装袋
５　逆止注出ノズル
６　突出部分
６ａ　融着接合部
７　引裂き誘導疵
８　横方向融着部
９　融着接合部
１０　補強シール部
１１　注出通路
１２　仮融着部
１３　包装体
１４　横シール部
１４ａ　下端融着接合部
１６　ノズルフィルム
１７　巻回ロール
１８　不要部分
１９　縦シール部
ＣＬ　中央部

Claims

ベースフィルム層とシーラント層とを具える積層構造の包装用フィルムのシーラント層を融着接合させてなるフレキシブル包装袋本体と、表裏の両面にシーラント層を具える薄肉の平坦な積層フィルムからなり、袋内被包装物の注出通路の周りを、基端辺を除いて融着接合させてなるセルフシール機能を有する逆止注出ノズルと、からなり、前記包装袋本体の側部内表面のシーラント層に、前記逆止注出ノズルの基端部外表面を融着接合させて、該逆止注出ノズルをフレキシブル包装袋本体の上端部分もしくは下端部分から側方へ突出させてなる包装袋であって、
　前記フレキシブル包装袋本体に連続して、前記逆止注出ノズルを、それの表面側および裏面側のそれぞれから全体にわたって覆う前記包装用フィルムの突出部分を設けるとともに、該突出部分に、逆止注出ノズルのフレキシブル包装袋本体からの突出方向の中間部を横切って延びる引裂き誘導疵を設けてなり、包装袋本体を、上端もしくは下端のいずれか一方で開口させてなる包装袋。
前記包装用フィルムの突出部分の対向する内表面のシーラント層どうしが、逆止注出ノズルの近傍で、包装袋本体の幅方向に融着接合されてなる請求項１に記載の包装袋。
前記包装用フィルムの突出部分の、包装袋本体の幅方向に延びる融着接合部が、包装袋本体の下端部もしくは上端部の横シール部に連続して形成されてなる請求項２に記載の包装袋。
前記包装用フィルムの突出部分の、包装袋本体の幅方向に延びる融着接合部が、包装袋本体の下端部もしくは上端部の横シール部と平行に延びる、融着部の延長線上に形成されてなる請求項２に記載の包装袋。
前記包装用フィルムの突出部分の遊端部で、包装用フィルムの対向する内表面のシーラント層どうしが、包装袋本体の上下方向に融着接合されてなる請求項１～４のいずれか１項に記載の包装袋。
前記引裂き誘導疵が、逆止注出ノズルの突出方向の中央部分を横切る位置に形成されてなる請求項１～５のいずれか１項に記載の包装袋。
前記引裂き誘導疵が、逆止注出ノズルとの重なり域で、直線状もしくは曲線状に形成されてなる請求項１～６のいずれか１項に記載の包装袋。
逆止注出ノズルの基端部を融着接合させた包装袋本体の内表面に、該逆止注出ノズルの基端部の、包装袋本体の下端側の領域を含んで、被包装物の収納スペース側へ迫出す、補強シール部が設けられてなる請求項１～７のいずれか１項に記載の包装袋。
前記補強シール部の平面輪郭形状が、円形、楕円形、長円形もしくは多角形からなる請求項８に記載の包装袋。
前記平面輪郭形状が多角形をなす前記補強シール部の、少なくとも包装袋の上端側の隅部が、外側へ突出する曲線状の輪郭形状からなる請求項９に記載の包装袋。
前記逆止注出ノズルの基端部分の内表面に、注出通路を完全に閉止する仮融着部が設けられてなる請求項１～１０のいずれか１項に記載の包装袋。
請求項１～１１のいずれかに記載の包装袋の、上端開口もしくは下端開口から液状の被包装物を充填するとともに、包装袋の上端部もしくは下端部が抜気下で横シールされてなり、形成される該横シール部が、包装用フィルムの突出部分の全体にわたって延在してなる包装体。
請求項１に記載の包装袋を製造するに当たり、
多数の逆止注出ノズルを予め形成したノズルフィルムを、所要の速度で走行される、引裂き誘導疵を予め形成した包装用フィルムに対して繰出し走行させて、両フィルムの等速走行下で、各個の逆止注出ノズルの基端部外表面の一方のシーラント層を、前記引裂き誘導疵が逆止注出ノズルの中間部を通過し、かつ、逆止注出ノズルの先端が包装用フィルムの側縁と整列する位置、もしくは逆止注出ノズルの先端を包装用フィルムの側縁から引っ込めた位置で、包装用フィルムの内表面のシーラント層に融着接合させ、
次いで、ノズルフィルムの不要部分を、逆止注出ノズルから切り離して除去し、その後、包装用フィルムを幅方向の中央部で半折して、包装用フィルムの半折側のシーラント層を、逆止注出ノズルの基端部外表面の他方のシーラント層、および、該逆止注出ノズルの前記基端部の延長線上で対向する包装用フィルムのそれぞれに、縦方向に融着接合させて包装袋を形成するとともに、製造される包装袋の下端部もしくは上端部のいずれかと対応する位置で、横方向に融着接合させて、包装袋本体から側方へ突出する逆止注出ノズルを、該包装袋本体から連続する包装用フィルムの突出部分で、表裏面の両面側から覆う包装袋の製造方法。