JP2004136939A - 包装袋本体に融着される注出ノズル、それの製造方法およびそれを用いた包装袋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表裏のフィルム2、3の側部および頂部のそれぞれの内面をヒートシールにより封止されて全体として袋状をなし、底部外面を包装袋本体にヒートシールされるものであり、表裏のフィルム2、3の非融着部分に、それらのフィルム2、3の内表面部分より溶融温度の高い離型フィルム4を介装してなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば軟質のプラスチックフィルムからなる、可撓性にすぐれた包装袋の本体に、それの製造と同時にまたは事後的に熱融着されて、包装袋内の被包装物、とくには液状被包装物の注出を司る注出ノズル、それの製造方法、およびそれを用いた包装袋に関するものであり、とくには、安価にして製造が容易な注出ノズルにして、包装袋本体への熱融着作業を簡単かつ容易にするとともに、飲食物の注出をも可能とする技術を提案するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、液状、ゼリー状等の飲食物の包装袋としては、アルミニウム箔を含む比較的硬質な包装袋本体の内面に、プラスチックの射出成形品等からなる、キャップを設けた注出ノズルを熱融着させたものがあり、これによれば、注出ノズルに対するキャップの取り外しおよび螺合操作の下で、被包装物を複数回に分けて飲食等することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、このような包装袋にあっては、プラスチック成形品である注出ノズルおよびキャップのコストが高くなり、また、三次元の立体形状を有するその注出ノズルの、包装袋本体への完全なる熱融着が、特別のヒートシール手段等を用いてなお困難である他、被包装物の注出の度毎に、キャップの取り外しおよび再螺合が必要となるという取り扱い上の煩わしさがあり、しかも、被包装物の注出の終了後、注出ノズルへのキャップの螺合までの間の、包装袋内への外気の侵入が不可避となり、その外気中の塵埃、菌類等が被包装物を汚損し、また、外気それ自体が被包装物を酸化させて、風味等を損ねることがあるという問題があった。
【0004】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの主たる目的は、袋内被包装物の注出を、包装袋内に外気を取り込むことなく行って、自身は圧潰変形によってその注出に対処する軟質の包装袋本体に適用されて、飲食物の注出をも可能とする、製造が容易で安価な注出ノズル、それの製造方法およびそれを用いた包装袋を提供するとともに、包装袋本体への完全なる熱融着を、特別の手段を用いることなく簡易迅速に行うことができる注出ノズル、それの製造方法およびそれを用いた包装袋を提供するにあり、他の目的は、注出ノズルに対する一回の開封操作の後は、キャップの脱着等なしに、複数回にわたる注出を繰り返し行うことができる注出ノズル等を、そして、さらなる目的は、被包装物の注出の停止、終了等に伴う、およびその後における包装袋内への外気の侵入を有効に阻止することができる注出ノズル、それの製造方法およびそれを用いた包装袋を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る、包装袋に融着される注出ノズルは、表裏に位置するそれぞれのフィルムの、少なくとも一方の側部および頂部のそれぞれの内面を熱融着により封止されて全体として袋状をなし、底部外面を包装袋本体の内面に熱融着されて使用に供されるものであり、表裏のフィルム間の、それらの非融着部分に、両フィルムの内表面部分より溶融温度の高い素材からなる離型フィルムを介装したものである。
【0006】
なお、ここでいう熱融着は、ヒートシール方式、インパルスシール方式、高周波ウエルダーシール方式または超音波シール方式のいずれかによって実現することができる。また、ここでの包装袋本体は、被包装物を充填前の、底部を開放したものとすることができる他、低部の閉止下で被包装物を充填したものとすることができる。
【0007】
さらに、ここでの離型フィルムは、たとえば、両フィルムの内表面部分をポリエチレン、無延伸ポリプロピレン等としたときは、それより溶融温度の高いポリエチレンテレフタレート(以下「PETフィルム」という)、ナイロンフィルム等とすることができる他、セロファンフィルムとすることもでき、また、熱塑化性樹脂フィルム、無機材料フィルムとすることもできる。
【0008】
この注出ノズルは、後に差込み配置することもできる離型フィルムを具備するものの、全体としてほぼ袋状の極めて簡単な構造を有しているので、製造が容易であるとともに安価であり、また、このノズルは平坦な形状を有していることから、それの底部外面の、包装袋本体への熱融着は、一般的なシール手段をもって簡単かつ容易に、しかも常に確実に行うことができる。
【0009】
ところで、このような注出ノズルでは、それ自身の製造のために、表裏のフィルムの相互の対向面をともにシーラント層で構成することが必要となる他、ノズル底部の外面を、包装袋本体の内面に熱融着させるために、両フィルムの外向き表面をもまたシーラント層にて構成することが必要になる。従って、両フィルムの内面の所要個所を熱融着させて、底縁が開口されただけの構造の注出ノズルを構成した場合には、それの底部外面を包装袋本体に、たとえばヒートシールによって熱融着させるに際し、注出ノズルの底部外面が包装袋本体に融着されると同時に、注出ノズルの内面もまた熱融着されることになり、ノズルがそれ本来の機能を発揮し得なくなる。
そこでここでは、表裏のフィルムの非融着部分に離型フィルムを介装して注出ノズルを構成し、その離型フィルムによって、このような場合の、注出ノズルの内面の融着を阻止することとしており、これにより、注出ノズルの機能の確実なる発揮を担保している。
【0010】
なお、同様のことは、たとえば、表裏のフィルムの少なくとも一方の内面に離型剤の印刷層等を設けることによっても実現できるが、これによれば、被包装物の、注出ノズルを経た注出に当って、離型剤が被包装物に接触することになるので、その被包装物が飲食物等である場合、被包装物が離型剤に反応する場合等には、この対応は、衛生上および安全上の観点から不適当である。
【0011】
ところで、このような注出ノズルは、たとえば、表裏のフィルム間で、それらの両者の非融着域に、両フィルムの内表面部分より溶融温度の高い、上述したような離型フィルムを予め配置し、次いで、両フィルムの、少なくとも一方の側部および頂部のそれぞれの内面を、一回のシール作業で、または、所要の順序による複数回のシール作業によって相互に熱融着させることにより製造することができ、これによれば、離型フィルムを事後的に差込み配置する場合に比し、そのフィルムを所定の位置に簡易にかつ確実に配設することができる。
【0012】
なお、ここで、一回のシール作業による所要の全ての熱融着は、たとえばヒートシール刃の輪部形状および寸法を、全ての熱融着部のそれに対応するものとして行い得ることはもちろんであるが、表裏のフィルム間の離型フィルムの作用の下で、ヒートシール刃の形状を特別のものとすることなしに、フィルムの平面輪部形状とほぼ対応する輪部形状だけを有する平坦なヒートシール刃を用いて行うこともできる。
【0013】
注出ノズルを上述のようにして製造するに当っては、表裏のフィルムは、一枚のフィルムを幅方向の中央部分で折返すことによって形成することができる他、相互の別葉の二枚のフィルムを対向姿勢で配置することによって形成することができ、前者によって注出ノズルを製造するときは、折返し遊端部分となる一方の側部を熱融着させることが必須となり、また、後者によれば、両方の側部を熱融着させることが必須となる。
【0014】
ここで、表裏のそれぞれのフィルムは、内外面がともに熱融着性を有する単層フィルムによって構成する他、エチレンビルニアルコール共重合体(以下「EVOH」という)層を中間層とし、その両面に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の同種もしくは異種のシーラントフィルムを積層した積層フィルムによって構成することもできる。
【0015】
表裏の両フィルムを単層フィルムとするときは、注出ノズルを一層容易にかつ安価に製造することができ、EVOH層を含む積層フィルムとするときは、被包装物を充填包装した包装袋を、注出ノズル部分で開封する前、および開封した後のいずれにおいても、EVOH層のすぐれたガスバリア性の下に、袋内被包装物の酸化等を有効に防止することができる。
【0016】
以上のような注出ノズルの、少なくとも一方の側部の熱融着部に、−ノッチ、Vノッチその他の引裂き誘導疵を設けた場合には、その誘導疵の位置で注出ノズルを、手指をもって引裂いて頂部融着部分を取り除くことで、注出ノズルを融着させた包装袋の開封を簡単かつ容易に行うことができる。
【0017】
なお、注出ノズルのこのような引裂きに当っては、そのノズル内の離型フィルムを、引き裂き除去する頂部融着部分とともに手指で把持することで、その離型フィルムの抜き取りをも併せて、円滑かつ容易に行うことができ、これにより、注出ノズルにそれ本来の機能を発揮させることができる。
【0018】
ここで、離型フィルムのこのような抜き取りは、注出ノズルの頂部内面を熱融着させるに当って、それの一部を熱融着部分内に幾分入り込ませ、これにより、その頂部熱融着部分に、離型フィルムに対する拘束力を発揮させた場合には、手指により、離型フィルム把持力をほとんど必要とすることなく行うことができる。しかるに、この場合、頂部熱融着部分の幅の全体にわたって離型フィルムを介在させると、その離型フィルムの物性上、頂部熱融着が十分に行われなくなる。
【0019】
また、上述したような引裂き誘導疵は、表裏のフィルムの少なくとも一方で、その厚みを、内表面側もしくは外表面側から局部的に減じる溝とすることもでき、たとえば、レーザ加工によって形成することができるこのような溝は、注出ノズルの全幅にわたって設けることで、頂部融着部分の引き裂き除去を一層容易にすることができる。
【0020】
ここでより好ましくは、注出ノズルの表裏のフィルムに、一方の側部から他方の側部まで延びて相互に入り込む凹凸条を設ける。
【0021】
注出ノズル、ひいては、包装袋を開封して、その包装袋の傾動姿勢で、袋内被包装物を、注出ノズルから流下させる場合には、注出ノズルの表裏のフィルムは、被包装物の重量、水頭圧等を受けて、相互の離隔姿勢でそれの流下を許容することになる。この一方で、流下の停止は、包装袋を、元の起立姿勢に復帰させることによって行われ、これに伴って、注出ノズルの表裏のフィルムが十分に近接変位することになる。
【0022】
ここにおける表裏のフィルムのこの近接変位は、それら両者が十分大きな弾性復元力を有するものであって、ともに平坦面形状に確実に復帰するときは、それら両者がいずれかの部分で線もしくは面接触することにより、包装袋の原形状への弾性復元力に基く、包装袋内の減圧傾向の下で、表裏の両フィルムの緊密なる負圧吸着をもたらすので、被包装物の注出の終了時およびその後において、包装袋内に外気が侵入することはなく、従って、袋内被包装物がそれによって汚損され、酸化等されるおそれを十分に除去することができる。なお、表裏のフィルムのこのような負圧吸着は、それらの両者を、包装袋の起立復帰に際して、手指をもって押し付けることで、フィルム物性との係りなしに一層確実に行わせることができる。
【0023】
ところで、包装袋内の上述したような減圧傾向は、軟質の包装袋からの被包装物の注出を、袋内への外気の取り込みなしに、包装袋自身の潰れ変形の下にて行わせた場合の、包装袋に固有の弾性復元力に基いて発生することになり、包装袋を起立姿勢に復帰させたときに、注出ノズルの表裏のフィルムをその減圧雰囲気に晒すことで、それらのフィルムは、いずれかの個所で気密に接触されていることを原因として、十分緊密に負圧吸着されることになる。
そして、注出ノズルの表裏のフィルムのこのような負圧吸着は、それらのフィルムに相互に入り込む凹凸条を設けて、両フィルムの弾性復元力を高めるとともに、両フィルムの接触の機会を高めることでより確実に行われることになる。
【0024】
かかる凹凸条は、それらの横断面形状を、三角形状、四角形状もしくは円弧形状の谷および山形とすることができ、好ましくはくは同種の形状の谷山形とする。また凹凸条は、注出ノズルの頂部から底部の間に交互に、たとえば相互に平行に複数条設けることが好ましい。
【0025】
以上のような凹凸条は、たとえば、所要の凹凸形状に応じた横断面形状を有する押込刃を、フィルム内面の溶融温度よりはるかに低い温度に加熱して、対をなす押込刃間に表裏の両フィルムを同時に挟み込むことによって形成することもできるが、ここでは、両フィルム間に離型フィルムを介装することにより、それらのフィルムを、内面の溶融温度まで加熱しても、表裏のフィルムの熱融着を、離型フィルムをもって十分に防止できるので、好ましくは、押込刃を、それらのフィルムの溶融温度もしくはその近くまで加熱し、対をなす押込刃で、表裏のフィルムをより十分に加熱加圧することによって、凹凸条を形成する。これによれば、押込刃の形状を、両フィルムに正確に転写して、形成された凹凸条の入り込み状態を一層密にすることができ、結果として、袋内被包装物の注出後の、表裏のフィルムの密着をより一層確実にするとともに、密着度を一層高めることができる。
【0026】
また、この発明に係る包装袋は、先に述べたいずれかの注出ノズルの底部外面を、軟質の包装袋本体への差込み姿勢で、その包装袋本体内に、たとえば外部からの加熱加圧に基いて熱融着させてなるものである。
先にも述べたように、注出ノズルの表裏のフィルム間には離型フィルムが存在することから、注出ノズルの外面と、包装袋本体の内面とを、ヒートシール等の外部からの加熱加圧によって熱融着させることによって、注出ノズルの内面もまた溶融温度にまで加熱されても、表裏のフィルムの内面相互の熱融着は、その離型フィルムによって十分に防止されることになるので、注出ノズルの本質的な機能の発揮が妨げられるおそれはない。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基いて説明する。
図1は、この発明に係る、注出ノズルの製造方法の実施形態を示す工程図であり、ここではたとえば、各種のポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマ等のヒートシール性にすぐれた単層フィルム1をその幅方向の中央部分から二つ折りにして表裏のそれぞれのフィルム2、3とするとともに、それらの両フィルム間の非融着部分に、単層フィルム1より溶融温度の高いPETフィルム、ナイロンフィルム、セロファンフィルム等の離型フィルム4を事前に、または事後的に配置する。
【0028】
次いで、表裏のフィルム2、3の、両側部および頂部のそれぞれの内面を、たとえばヒートシールによって、所要の順序で相互に熱融着させて注出ノズル5を構成する。なおこの場合、側部シール部分6および頂部シール部分7の少なくとも一方、より好ましくは頂部シール部分7内に離型シート4の一部を入り込ませることによって、離型シート4の不測の抜け出しを防止し、併せて、注出ノズル5の開封に当ってのその離型シート4の抜き取りを容易ならしめる。
ここで好ましくは、少なくとも一方の側部シール部分6、図では両側部シール部分6に、−ノッチとすることができる引裂き誘導疵8を設ける。
【0029】
ところで、このような注出ノズル5において、表裏のそれぞれのフィルムは、相互に別葉のフィルムとすることもでき、また、折返しフィルムにすると別葉フィルムにするとの別なく、フィルムそれ自体を、図2に示すように、EVOH層9を中間層とし、その両面に同種もしくは異種のシーラントフィルム10、11、これもたとえば、各種ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、アイオノマフィルム等を積層した、たとえば40〜60μm程度の厚みの積層フィルム12とすることもできる。
【0030】
図3はこのように構成してなる注出ノズルの、包装袋本体への融着状態を示す縦断面図であり、ここにおける注出ノズル5は、先に述べた−ノッチからなる引裂き誘導疵8に代えて、表裏の両フィルム2、3の外表面に、たとえばレーザ加工によって、一方の側縁から他方の側縁にわたって直線状に連続させて設けたそれぞれの溝からなる引裂き誘導疵8を有する。
【0031】
ここでは、このような注出ノズル5の底部外面を、たとえば、二軸延伸ナイロンフィルムとポリエチレン層からなる、一般的な液体包装用積層フィルムにより形成した包装袋本体13のポリエチレン層13aに、これもたとえばヒートシールによって融着接合させており、この場合は、注出ノズル5の外面層もまたポリエチレンからなる。
【0032】
注出ノズル5の外面ポリエチレン層と、包装袋本体13の内面ポリエチレン層13aとをヒートシールによって、このように熱融着させるに当っては、注出ノズル5の底部の、包装袋本体内への差し込み姿勢で、それら両者を、図に仮想線で示すような一対のヒートシール刃14、15により、包装袋本体13の外側から挟持して加熱加圧することが必要になり、この場合、注出ノズル5のそれぞれのフィルム2、3の内面もまたポリエチレン層からなるときは、それら両者の熱融着を確実に阻止することが不可避となる。そこでここでは、表裏のフィルム2、3間に、ポリエチレンより溶融温度の高い、PETフィルム、ナイロンフィルム等からなる離型フィルム4を介装することで、それらのフィルム2、3の熱融着のおそれを取り除いている。
【0033】
図3(b)は、注出ノズルを取付けた包装袋から、たとえば液状被包装物を注出するに当っての包装袋の開封、直接的には、注出ノズルの頂部融着部分の引き裂き除去態様を示す図である。
この場合は、注出ノズル5の、離型フィルム配設域を、図3(a)に仮想線で示すように手指をもって把持した状態で、注出ノズル5の頂部融着部分側に幾分の捩り力を加えることで、その頂部融着部分は、引裂き誘導疵位置から簡単かつ容易に引き裂かされるので、このような引き裂きを終えた後、図3(b)に示すように、把持状態はそのままに、頂部融着部分の取り除きと併せて、離型フィルム4の抜き取りを行うことにより、注出ノズル5の残部、すなわち底部側部分は、包装袋の傾動操作による被包装物の流動変位に基いて、それ本来の機能を発揮して被包装物の注出を許容する。
【0034】
ところで、軟質包装袋への被包装物のこのような注出は、包装袋内への外気の取り込みなしに、包装袋自身の圧潰変形に基いて行われることにより、また、注出の停止に当って包装袋を起立姿勢に復帰させると、注出ノズル5の表裏のフィルム2、3が、それらに固有の弾性復元力に基いて直ちに面もしくは線接触するので、被包装物の注出中および、その注出の停止に伴う、包装袋内への外気の侵入は十分に防止されることになる。そしてこの注出の停止に際しては、ノズル5の表裏のフィルム2、3を、注出の停止と同時に、手指のアシスト下で十分に面接触させることにより、外気の、袋内への侵入をより効果的に防止することができる。
【0035】
しかも、注出の停止に際して、表裏のフィルム2、3の接触下で外気の侵入をこのようにして一旦阻止した後は、潰れ変形した軟質包装袋の自己復元力が包装袋内に負圧雰囲気をもたらすことになり、これにより、表裏の両フィルム2、3がより緊密に負圧吸着されることになるので、被包装物の注出の停止後においてもまた、外気の、袋内への侵入は十分に阻止されることになる。
【0036】
なお、注出ノズル5の構成フィルム2、3を透過したガスの、包装袋内への侵入は、それらのフィルム2、3を、ガスバリアにすぐれるEVOH中間層を具えるものとした場合にとくに有効に防止することができる。
【0037】
図4は注出ノズルの他の実施形態を示す縦断面図であり、これは、表裏の両フィルム2、3に、注出ノズルの一方の側縁から他方の側縁まで直線状に連続して延びて相互に入り込む凹凸条16、17を、注出ノズル5の長さ方向に交互に、相互に平行に設けたものである。
このような凹凸条16、17は、たとえば図1に示すような注出ノズル5に対する後加工として形成することもでき、この場合には、両フィルム2、3間への離型フィルム4の予めの介在下で、十分に加熱した押込成形刃をもって両フィルム2、3を挟持して加熱および加圧することで、両フィルム2、3に押込成形刃の形状を正確に転写することができる。
【0038】
なおここでは、凹凸条16、17の横断面形状をほぼ三角形状の谷形および山形としているも、その形状は、所要に応じて四角形状、台形状、円弧形状、波形状等の谷形および山形とすることもでき、横断面形状の異なる谷形と山形とを組み合わせることもできる。
【0039】
このような構成の注出ノズル5もまた、先に述べたものと同様にして包装袋本体13に融着させることができ、それの頂部融着部分の引き裂き除去もまた前述したところと同様にして行うことができる。
【0040】
しかるに、この注出ノズル5によれば、被包装物の注出の停止後における、表裏の両フィルム2、3の、原形状への弾性復元力が、凹凸条16、17の存在下で大きくなって、両フィルム2、3は、先に述べた注出ノズルに比してより迅速に、かつより確実に面もしくは線接触することになるので、外気の、注出ノズル5を通る袋内侵入を一層効果的に防止することができる。
【0041】
そして、この注出ノズル5にあってもまた、表裏のそれぞれのフィルム2、3をEVOH層を中間層とし、その両面に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の、同種もしくは異種のシーラントフィルムを積層した、たとえば40〜60μm程度の厚みの積層フィルムとした場合には、EVOH層のすぐれたガスバリア性の下で、包装袋の開封の前後にわたって、外気の、包装袋内への侵入をより十分に防止することができる。
【0042】
【発明の効果】
かくしてこの発明によれば、飲食物の注出も可能な、製造が容易で、安価な平坦形状の注出ノズルをもたらすことができ、それの、包装袋本体への熱融着を、特別の手段を用いることなく簡単迅速に、しかも、常に確実に行うことができる。
【0043】
またここでは、袋内被包装物の複数回にわたる注出を、注出ノズルの一回の開封の後、キャップの脱着等なしに簡単に行うことができ、さらには、被包装物の注出の停止等に伴う、およびその後における、包装袋内への外気の侵入を、注出ノズルの表裏のフィルムの接触下で効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る方法の実施形態を示す工程図である。
【図2】積層フィルムの構成例を示す断面図である。
【図3】包装袋本体への注出ノズルの適用状態を示す縦断面図である。
【図4】注出ノズルの他の実施形態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 単層フィルム
2 表面フィルム
3 裏面フィルム
4 離型フィルム
5 注出ノズル
6 側部シール部分
7 頂部シール部分
8 引裂き誘導疵
9 EVOH層
10、11 シーラントフィルム
12 積層フィルム
13 包装袋本体
13a ポリエチレン層
14、15 ヒートシール刃
16 凹条
17 凸条
Claims (12)
- 表裏に位置するそれぞれのフィルムの、少なくとも一方の側部および頂部のそれぞれの内面を熱融着により封止されて全体として袋状をなし、底部外面を包装袋本体に熱融着される注出ノズルであり、
表裏のフィルムの非融着部分に、それらのフィルムの内表面部分より溶融温度の高い離型フィルムを介装してなる、包装袋本体に融着される注出ノズル。 - 表裏のそれぞれのフィルムを単層フィルムとしてなる請求項1に記載の包装袋本体に融着される注出ノズル。
- 表裏のそれぞれのフィルムを、エチレンビルニアルコール共重合体層を中間層とし、その両面に同種もしくは異種のシーラントフィルムを積層した積層フィルムとしてなる請求項1に記載の包装袋本体に融着される注出ノズル。
- 少なくとも一方の側部の熱融着部に、引裂き誘導疵を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋本体に融着される注出ノズル。
- 表裏の両フィルムに、一方の側部から他方の側部まで延びて相互に入り込む凹凸条を設けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の包装袋本体に融着される注出ノズル。
- 凹条および凸条のそれぞれの横断面形状を、三角形状、四角形状もしくは円弧形状の谷および山形としてなる請求項5に記載の包装袋本体に融着される注出ノズル。
- 凹凸条を、頂部から底部の間に交互に複数条設けてなる請求項5もしくは6に記載の包装袋本体に融着される注出ノズル。
- 表裏に位置するそれぞれのフィルムの、少なくとも一方の側部および頂部のそれぞれの内面を熱融着により封止されて全体として袋状をなし、底部外面を包装袋本体に熱融着される注出ノズルを製造するに当り、
表裏のフィルム間で、それら両者の非融着域に、両フィルムの内表面部分より溶融温度の高い離型フィルムを配置し、次いで、両フィルムの、少なくとも一方の側部および頂部のそれぞれの内面を相互に熱融着させる注出ノズルの製造方法。 - 一枚のフィルムを幅方向の中央部分で折返して表裏のそれぞれのフィルムとする請求項8に記載の注出ノズルの製造方法。
- 二枚のフィルムを相互の対向姿勢で配置して表裏のそれぞれのフィルムとするとともに、両側部の内面を熱融着させる請求項8に記載の注出ノズルの製造方法。
- 表裏のそれぞれのフィルムを加熱加圧して、両側部にわたる凹凸条を形成する請求項8〜10のいずれかに記載の注出ノズルの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の注出ノズルの底部外面を、包装袋本体の内側への差込み姿勢で、その包装袋本体に熱融着させてなる包装袋。
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